JP2005019715A - 磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品 - Google Patents

磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品 Download PDF

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Keita Isotani
桂太 磯谷
Teruhiko Fujiwara
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Abstract

【課題】優れたコアロス特性と直流重畳特性を有し、かつ安価な磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品を提供すること。
【解決手段】磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁芯であって、そのギャップに固有保磁力が10×10×(1/4π)KAT/m以上、Tcが500℃以上の粉末平均粒径が2.5〜50μmの希土類磁石粉末と樹脂からなる、比抵抗が1.0Ω・cm以上であり、270℃、大気中で30分熱処理をした時の減磁率が8%以内であるボンド磁石が挿入されており、前記磁芯11と1ターン以上の巻線4とで構成されたインダクタンス部品とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源などに使用されるチョークコイルとして好適な磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョークコイル用及びトランス用磁芯には、良好な直流重畳特性が求められており、高周波用の磁芯にはフェライトや圧粉磁芯が使用されている。フェライト磁芯は初透磁率が高く飽和磁束密度が小さい、圧粉磁芯は初透磁率が低く飽和磁束密度が高い、という材料物性に由来した特徴がある。従って、圧粉磁芯は、トロイダル形状で用いられることが多く、フェライトは、例えばE型コアの中足にギャップを挿入してEEコアで用いられることが多い。
【0003】
しかし、近年の電子機器の小型化要請に伴う電子部品の小型化の要求により、より大きな重畳磁界における、より高い透磁率が強く求められている。一般に、直流重畳特性を向上させるためには、飽和磁化の高い磁芯を選択する事、つまり高磁界で磁気飽和しない磁芯の選択が必須とされている。しかし、飽和磁化は、材料の組成で必然的に決まるものであり、無限に高く出来るものではない。そのため、従来の直流重畳特性を向上させる手段は、わずかな飽和磁化の向上に多大な労力が費やされている割には、直流重畳特性は期待されている程伸びていないのが現状であった。
【0004】
その解決手段として、磁路の一箇所以上にギャップを挿入し、そのギャップに永久磁石を挿入する事が従来から検討されてきた。この方法は、直流重畳特性を向上させるには優れた方法であるが、一方で金属焼結磁石を用いると磁芯のコアロスの増大が著しく、またフェライト磁石を用いると重畳特性が安定しないなどとても実用に耐え得るものではなかった。
【0005】
これらを解決する手段として、例えば、特許文献1では、永久磁石として保磁力の高い希土類磁石粉末とバインダーとを混合し圧縮成形したボンド磁石を挿入することが示されており、直流重畳特性とコアの温度上昇が改善されたことが示されている。
【0006】
しかし、近年、電源に対する電力変換効率向上の要求はますます厳しくなっており、チョークコイル用及びトランス用のコアについても単にコア温度を測定するだけでは優劣が判断不能なレベルとなっている。そのため、コアロス測定装置による測定結果の判断が不可欠であり、実際、本発明者等が検討を行った結果、特許文献1に示された抵抗率の値ではコアロス特性が劣化する事が明らかになった。
【0007】
そこで、我々は、先願特許として特許文献2に、ギャップに挿入する永久磁石として10×10×(1/4π)KAT/m以上の固有保磁力、500℃以上のTc、1.0Ω・cm以上の比抵抗の永久磁石を挿入することでコアロスを低下させることを述べた。これによって、良好な直流重畳特性が得られることを発見している。
【0008】
【特許文献1】
特開昭50−133453号公報
【特許文献2】
特開2003−007519号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの特性値では十分とは言えず、信頼性、コアロス特性、重畳特性において更なる向上を目指すためには、ギャップに挿入する永久磁石の高保磁力と高残留磁束密度、高いキュリ温度をあわせ持つ、磁石の開発が必要である。また、耐蝕性を向上させるために従来行われていたZnコーティング技術では減磁率にばらつきがあり、粉末の酸素濃度の違いにより減磁率が大きく劣化する事例が見られた。
【0010】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、優れたコアロス特性と直流重畳特性を有し、かつ安価な磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するべく挿入する永久磁石について検討した結果、磁石の比抵抗が1.0Ω・cm以上の永久磁石を使用した時、優れた直流重畳特性が得られ、しかも、コアロス特性の劣化が生じない磁芯を形成できる事を発見した。これは、優れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性はエネルギー積よりも、むしろ固有保磁力であり、従って比抵抗の高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重畳特性が得られることを見出したことによる。
【0012】
比抵抗が高く、しかも固有保磁力が高い磁石は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混合して成形した希土類ボンド磁石で得られる。希土類磁石粉末の種類は、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系とあるが、リフロー条件及び耐酸化性を考慮すると、Tcが500℃以上、保磁力が10×10×(1/4π)KAT/m以上の磁石は、現状ではSmCo17系磁石に限定される。
【0013】
また、Znコーティングをする際の粉末の条件として、酸素濃度が1000ppm〜10000ppmのSmCo17粉末を用いることにより、耐食・耐酸化性を備えた磁芯を容易かつ安価に提供することが可能になる。また、Znコーティングに用いるZn量であるが、3wt%以下では磁石粉末の表面を完全にコーティングできずに減磁率が劣化し、また7wt%以上では残留磁束密度が劣化するので、3〜7wt%の範囲が適切と思われる。コーティングする際の熱処理条件は、高温ではZnと磁石粉末との反応が大きくなり、また低温ではZnがコーティングされないので、300℃〜500℃において熱処理し、雰囲気は大気中では酸化が激しいので、減圧下、又は不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることが望ましい。
【0014】
即ち、本発明は、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁芯であって、そのギャップに固有保磁力が10kOe以上、Tcが500℃以上の粉末平均粒径が2.5〜50μmの希土類磁石粉末と樹脂からなる、比抵抗が1.0Ω・cm以上であり、270℃・大気中で30分熱処理をした時の不可逆減磁率と永久減磁率との和が8%以内であるボンド磁石を挿入する磁芯である。
【0015】
また、本発明は、前記ボンド磁石を、酸素濃度が1000ppm〜10000ppmの磁石粉末にZnを被覆をした希土類磁石粉末と樹脂からなる磁芯である。
【0016】
また、本発明は、前記希土類磁石粉末は、磁石粉末に重量比で3%〜7%のZn粉末を混合し、その後、減圧下、又は不活性ガス雰囲気中で300℃〜500℃で熱処理されて、磁石粉末にZnが被覆された磁芯である。
【0017】
また、本発明は、前記磁芯と、前記磁芯に巻かれた少なくとも1ターン以上の巻線とで構成されたインダクタンス部品である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品について、以下に説明する。
【0019】
本発明の実施の形態による磁芯は、磁芯に用いる磁石の比抵抗が1.0Ω・cm以上の永久磁石を使用した時、優れた直流重畳特性が得られ、しかもコアロス特性の劣化が生じない磁芯を形成できる事を発見した。これは、優れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性は、エネルギー積よりもむしろ固有保磁力であり、従って比抵抗の高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重畳特性が得られる事を見出したことによる。比抵抗が高く、しかも固有保磁力が高い磁石は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混合して成形した希土類ボンド磁石である。
【0020】
ここで、希土類磁石粉末の種類は、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系とあるが、リフロー条件及び耐酸化性を考慮すると、Tcが500℃以上、保磁力が10×10×(1/4π)KAT/m以上の磁石は、現状ではSmCo17系磁石に限定される。
【0021】
また、Znコーティングをする際の粉末の条件として、酸素濃度が1000ppm〜10000ppmのSmCo17粉末を用いることにより、耐食・耐酸化性を備えた磁芯を容易かつ安価に提供することが可能になる。また、Znコーティングに用いるZn量であるが、3wt%以下では磁石粉末の表面を完全にコーティングできずに減磁率が劣化し、また7wt%以上では残留磁束密度が劣化するので、3〜7wt%の範囲が適切と思われる。
【0022】
コーティングする際の熱処理条件は、高温ではZnと磁石粉末との反応が大きくなり、また低温では、Znがコーティングされないので、300℃〜500℃において熱処理し、雰囲気は大気中では酸化が激しいので、減圧下、又は不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることが望ましい。
【0023】
チョークコイル用及びトランス用磁芯としては、軟磁気特性を有する材料であればなんでも有効であるが、一般的にはMnZn系又はNiZn系フェライト、圧粉磁芯、珪素鋼板、アモルファス等が用いられる。また、磁芯の形状についても特に制限があるわけではなく、トロイダルコア、EEコア、EIコア等あらゆる形状の磁芯に本発明の適用が可能である。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを設け、そのギャップに永久磁石を挿入する。ギャップ長に特に制限はないが、ギャップ長が狭すぎると直流重畳特性が劣化し、またギャップ長が広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入するギャップ長は決まってくる。
【0024】
次に、ギャップに挿入される永久磁石に対する要求特性は、固有保磁力については信頼性の確保とヒステリシス損失を抑えるため10×10×(1/4π)KAT/m以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は大きいほど良いが、1.0Ω・cm以上であれば渦電流損失劣化の大きな要因にはならない。粉末の平均最大粒径が50μm以上になるとコアロス特性が劣化するので、粉末の最大粒径は50μm以下であることが望ましい。最小粒径が2.5μm以下になると粉末熱処理及びリフロー時に粉末の酸化による磁化の減少が顕著になるため、2.5μm以上の粒径が必要で有る。減磁率が大きくなると、信頼性に問題があり、また、逆バイアス量が減少するため直流重畳特性が伸びず、磁石を挿入した効果がほとんど無くなる。
【0025】
また、磁石の劣化に伴い、ヒステリシス損失が増大しコアロス特性に大きな影響を与えることがわかっている。これらの信頼性・重畳特性・コアロス特性から見て、減磁率は8%以内に抑える必要があると思われる。また、耐蝕性を向上させるために行うZnコーティング処理は、粉末の酸化状態に依存し、酸素濃度の高い粉末では減磁率特性が劣化する。これに対し、酸素濃度が1000ppm〜10000ppmの磁石粉末を用いてZnコーティングすることにより、270℃・大気中で30分熱処理をした時の減磁率が8%以内に抑えることが可能になる。これにより、高耐食性を満足するバイアスコア用のボンド磁石を得ることが可能になる。
【0026】
また、Znコーティングに用いるZn量は、3wt%以下では磁石粉末の表面を完全にコーティングできずに減磁率が劣化し、また7wt%以上では残留磁束密度が劣化するので、3〜7wt%の範囲が適切と思われる。コーティングする際の熱処理条件は、高温ではZnと磁石粉末との反応が大きくなり、また低温では、Znがコーティングされないので、300℃〜500℃において熱処理し、雰囲気は大気中では酸化が激しいので、減圧下、又は不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることが望ましい。
【0027】
【実施例】
本発明の実施例による磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品について、以下に説明する。
【0028】
(実施例1)
以下に、SmCo17系磁石粉末を酸化処理し、その後、Znコーティングを施した試料の減磁率特性を測定し、比較を行った例を示す。
【0029】
実施例1の磁芯は、SmCo17系磁石粉末(平均粒径:12μm)を120℃で0分(未処理)、30分、1時間、3時間、10時間、30時間、保持して酸化処理した。その後、十分に乾燥させた後、これらの粉末に対し総重量に対し5wt%のZnをV型混合機で30分間、混合した。これらの粉末を5×10−3Torrの真空中において350℃で2時間熱処理し、SmCo粉末にZnコーティングを施した。
【0030】
これらのZnコーティングしたSm−Co磁石粉末に10wt%に当たる量のバインダー(エポキシ樹脂)を混合した後、プレス圧5ton/cm・無磁場中で金型成形を行い、その後、150℃・30分、大気中で乾燥を行った。
【0031】
Figure 2005019715
【0032】
〔磁気特性測定〕
・測定装置:東英工業社製B−Hトレーサー(硬磁性測定)
・形状:φ13×9(mm)の円柱型
・最大印加磁界:25×10×(1/4π)KAT/m[25×10×(1/4π)KAT/m以上の保磁力は外挿して導出]
・検出コイル:25ターン、16ターン
【0033】
〔減磁率測定〕
・OEI TDF−5 DIGITAL FLUXMETER
・76ターンの巻線を施した15×15×50(mm)のパーマロイの磁芯に磁石を貼り付け、そこを零点とし、シート磁石を引き剥がした時の磁束の変化を測定
・測定5回の平均値
【0034】
上記の各酸化処理条件で作製された試料の、酸素濃度、減磁率の各特性の結果を表1に示す。また、図1は、本発明の実施例1の磁芯での磁石の減磁率と酸素濃度との関係を示す。減磁率は270℃で30分、大気中で加熱した後、室温まで冷却し、その時のフラックス量の降下した割合を示している。
【0035】
【表1】
Figure 2005019715
【0036】
表1より、酸化処理時間が長くなるほど酸素濃度も上昇し、減磁率もそれとともに上昇し、耐食性が劣化することが明らかになった。50時間酸化処理を行った粉末については、13500ppmもの酸素濃度があり、この時の減磁率は12.0%と非常に大きな値を示した。
【0037】
図1より、酸素濃度10000ppm以下で行った場合、減磁率は8%以下に押えられ、良好な特性を示すことが明らかになった。また、磁石粉末の酸素濃度の下限と思われる1000ppmで行っても減磁率は良好な値を示すのはグラフより容易に推測できる。
【0038】
【実施例2】
以下に、SmCo17系磁石粉末を酸化処理し、その後、Znコーティングを施した試料の減磁率特性を測定し、比較を行った例を示す。
【0039】
実施例2の磁芯は、SmCo17系磁石粉末(平均粒径:12μm)を85℃・85湿度%で0分(未処理)、30分、1時間、3時間、10時間保持して酸化処理した。その後、十分に乾燥させた後、これらの粉末に対し総重量に対し5wt%のZnをV型混合機で30分間、混合した。これらの粉末を5×10−3Torrの真空中において350℃で2時間熱処理し、SmCo粉末にZnコーティングを施した。
【0040】
これらのZnコーティングしたSm−Co磁石粉末に10wt%に当たる量のバインダー(エポキシ樹脂)を混合した後、プレス圧5ton/cm・無磁場中で金型成形を行い、その後、150℃・30分、大気中で乾燥を行った。
【0041】
Figure 2005019715
【0042】
〔磁気特性測定〕
・測定装置:東英工業社製B−Hトレーサー(硬磁性測定)
・形状:φ13×9(mm)の円柱型
・最大印加磁界:25×10×(1/4π)KAT/m[25×10×(1/4π)KAT/m以上の保磁力は外挿して導出]
・検出コイル:25ターン、16ターン
【0043】
〔減磁率測定〕
・OEI TDF−5 DIGITAL FLUXMETER
・76ターンの巻線を施した15×15×50(mm)のパーマロイの磁芯に磁石を貼り付け、そこを零点とし、シート磁石を引き剥がした時の磁束の変化を測定
・測定5回の平均値
【0044】
上記の各酸化処理条件で作製された試料の、酸素濃度、減磁率の各特性の結果を表2に示す。また、図2は、本発明の実施例2の磁芯での磁石の減磁率と酸素濃度との関係を示す。減磁率は270℃で30分、大気中で加熱した後、室温まで冷却し、その時のフラックス量の降下した割合を示している。
【0045】
【表2】
Figure 2005019715
【0046】
表2より、酸化処理時間が長くなるほど酸素濃度も上昇し、減磁率もそれとともに上昇し、耐食性が劣化することが明らかになった。30時間酸化処理を行った粉末については約10930ppmもの酸素濃度があり、この時の減磁率は10.6%と非常に大きな値を示した。
【0047】
図2より、酸素濃度10930ppm以下で行った場合、減磁率は8%以下に押えられ、良好な特性を示すことが明らかになった。また、磁石粉末の酸素濃度の下限と思われる1000ppmで行っても減磁率は良好な値を示すのはグラフより容易に推測できる。
【0048】
【実施例3】
以下に、SmCo17系磁石粉末にZnを1〜10wt%混合し、それをZnコーティングを施した試料の磁気特性・減磁率特性を測定し、比較を行った例を示す。
【0049】
実施例2の磁芯は、使用したSmCo磁石粉末、Zn粉末の平均粒径は、それぞれ12μm、7μmであり、SmCo磁石粉末の酸素濃度8000ppmであった。これらの粉末に対しZnを総重量の1wt%、2wt%、3wt%、5wt%、7wt%、10wt%をそれぞれ加え、V型混合機で30分間、混合した。これらの粉末を5×10−3Torrの真空中で2時間熱処理し、SmCo粉末にZnコーティングを施した。
【0050】
これらのZnコーティングしたSm−Co磁石粉末に10wt%に当たる量のバインダー(エポキシ樹脂)を混合した後、プレス圧5ton/cm・無磁場中で金型成形を行い、その後、150℃・30分、大気中で乾燥を行った。以下に、試料の作製条件・測定条件の詳細を示す。
【0051】
Figure 2005019715
【0052】
〔B−H特性測定(Br測定)〕
・測定装置:東英工業社製B−Hトレーサー(硬磁性測定)
・形状:φ13×9(mm)の円柱型
・最大印加磁界:25×10×(1/4π)KAT/m[25×10×(1/4π)KAT/m以上の保磁力は外挿して導出]
・検出コイル:25ターン、16ターン
【0053】
〔減磁率測定〕
・OEI TDF−5 DIGITAL FLUXMETER
・76ターンの巻線を施した15×15×50(mm)のパーマロイの磁芯に磁石を貼り付け、そこを零点とし、シート磁石を引き剥がした時の磁束の変化を測定
・測定5回の平均値
【0054】
減磁率は、270℃で30分、大気中で加熱した後、室温まで冷却し、その時のフラックス量の降下した割合を示している。
【0055】
表3に、270℃で30分、大気中で加熱した時の減磁率のZn量の依存性を示す。また、上記の条件で作製された試料の残留磁束密度Brの結果も表3に示す。Znコーティングを行わなかった試料の残留磁束密度Brは3000Gであった。
【0056】
【表3】
Figure 2005019715
【0057】
表3より、Znの割合が増えると、非磁性であるZnの占有率が大きくなり、またSmCo磁石とZnとの反応が進み、残留磁束密度が小さくなったものと考えられる。10wt%では、残留磁束密度Brは10%以上小さくなり、磁気特性が大きく劣化することが分かった。また、減磁率では、低Zn量では、SmCo表面を完全にはコーティングできずに減磁率が大きくなると思われる。また、275℃の低温では、減磁率が非常に大きいことから、Znコーティングはほとんどなされないと考えられる。Zn量が1wt%、2wt%では、減磁率が10%を超え、耐食性が大きく劣化することが明らかになった。また、Zn量=3〜10wt%の場合の減磁率は、8%以下になり、良好な特性を示した。
【0058】
以上の実験より、Zn量=3〜7wt%の条件下で磁石粉末をZnコーティングすれば、高Br、高耐食性を満足するバイアスコア用のボンド磁石が得られることが明らかになった。
【0059】
【実施例4】
図3は、本発明の実施例のインダクタンス部品の説明図である。図3のインダクタンス部品は、E型のフェライトコア1とE型のフェライトコア2と、その合体した中足部に磁石3が配置された磁芯11と、前記磁芯11の中足部に巻かれた巻線4とで構成されている。ここで、前記磁芯11は、実施例1と実施例2にて説明した製造方法にて作製された磁芯が用いられる。また、巻線4は、少なくとも1ターン以上、巻かれている。
【0060】
【発明の効果】
以上の実験より、酸素濃度1000ppm〜10000ppmで磁石粉末をZn量=3〜7wt%の条件でZnコーティングすれば、270℃・大気中で30分熱処理をした時の減磁率が8%以内であり、かつ、高耐食性を満足する磁芯およびそれを用いたインダクタンス部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の磁芯での磁石の減磁率と酸素濃度との関係を示す図。
【図2】本発明の実施例2の磁芯での磁石の減磁率と酸素濃度との関係を示す図。
【図3】本発明の実施例のインダクタンス部品の説明図。
【符号の説明】
1,2 フェライトコア
3 磁石
4 巻線
11 磁芯
10 インダクタンス部品

Claims (4)

  1. 磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁芯であって、そのギャップに固有保磁力が10×10×(1/4π)KAT/m以上、Tcが500℃以上の粉末平均粒径が2.5〜50μmの希土類磁石粉末と樹脂からなる、比抵抗が1.0Ω・cm以上であり、270℃、大気中で30分熱処理をした時の不可逆減磁率と永久減磁率との和が8%以内であるボンド磁石を挿入することを特徴とする磁芯。
  2. 前記ボンド磁石は、酸素濃度が1000ppm〜10000ppmの磁石粉末にZnを被覆をした希土類磁石粉末と樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の磁芯。
  3. 前記希土類磁石粉末は、磁石粉末に重量比で3%〜7%のZn粉末を混合し、その後、減圧下、又は不活性ガス雰囲気中で300℃〜500℃で熱処理されて、磁石粉末にZnが被覆されたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁芯。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の磁芯と、前記磁芯に巻かれた少なくとも1ターン以上の巻線とで構成されたことを特徴とするインダクタンス部品。
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