JP2005017575A - 前面投影型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】テレビやパーソナルコンピューター等の画像表示装置で、電力消費を軽減することができる表示装置を提供する。
【解決手段】画像投影装置2とスクリーン1を備えて成る前面投影型画像表示装置であって、該画像投影装置は1個の投影レンズ6を具備し、該スクリーンは複数の鏡4の集合体より構成され、該複数の鏡のそれぞれは観察者の顔に対応する範囲にのみ該投影レンズから受けた光を反射するように構成されて成ることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】画像投影装置2とスクリーン1を備えて成る前面投影型画像表示装置であって、該画像投影装置は1個の投影レンズ6を具備し、該スクリーンは複数の鏡4の集合体より構成され、該複数の鏡のそれぞれは観察者の顔に対応する範囲にのみ該投影レンズから受けた光を反射するように構成されて成ることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビやパーソナルコンピューターなどの画像表示装置であって、電力消費量を大幅に低減でき、特に、観察者が一人の場合に最適に用いられる表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラウン管、液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、前面投影型プロジェクター、背面投影型プロジェクターやフィールドエミッションディスプレーがテレビやパーソナルコンピューターなどの画像表示装置として知られている(従来技術1)。これらは、同時に複数の観察者が観察することが出来る。一方、観察者が一人の場合には、ヘッドマウントディスプレーや眼鏡型ディスプレーも用いられ得る(従来技術2)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1では、表示面から発せられる光が広範囲に広がり、そのほとんどすべてが無駄なものである。このことによるエネルギー効率の悪さのために、多くの無駄な電力を消費する。また、他人に見られたくない画像情報を覗き見される危険が生じる場合がある。一方、従来技術2では、エネルギー効率がよく、他人に覗き見される危険が生じることはないが、眼前に器具を装着することに対する圧迫感があり、また、表示画像以外のものに視線を移す時には大変な不便を感じる。このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の第1の目的は、エネルギー効率が格段に高く、他人に覗き見される危険がなく、かつ、眼前に器具を装着することによる圧迫感がなく、また、表示画像以外のものに視線を移す時に不便を感じない、一人用画像表示装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、第1の目的に合致する立体画像表示装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明における前記の課題を解決するための手段の基本的構成は、スクリーンを小さい鏡の集合体で構成し、それぞれの鏡を、その向きが画像投影装置から到達した光が観察者の目を含むしかし出来るだけ限られた範囲にだけ到達するように設置することである。画像投影装置の投影レンズが1個の場合、前記の限られた範囲としては観察者の顔の大きさの程度が適当である。
【0005】
以上述べた本発明の基本的構成要素と動作原理を図1を使って詳しく説明する。図1(a)は、本発明の基本的構成要素の配置を上から見た図である。典型的な画像投影装置2は、例えば液晶ライトバルブのような、画像情報から実際の画像を生成する装置7を備え、それによって生成された画像を投影レンズ6によってスクリーン1に投影する。ここで、通常、投影レンズは一枚のレンズではなく複数のレンズから成るレンズ群であるが、そのことは本発明に関しては重要ではないので、便宜上1枚のレンズとする。このことは以下の記述においても同様である。また、通常、光源8が画像生成装置7の後ろに置かれる。光源8と画像生成装置7によって、画像生成装置7表面に、例えば1024×768の、画素の集合体による画像が形成される。各画素から出て投影レンズ6に入った光は、スクリーン1上に実像を結ぶ。スクリーン1は、小さい鏡の集合体で構成され、それぞれの鏡は、そのスクリーン1上の位置によってその向きが異なる。例えばスクリーン1上の左端または右端の鏡は、それぞれ、図1(a)の拡大図中に示すような向き(図では符号4で示されている向き)を向いている。即ち、投影レンズ6から受けた光が観察者3の顔に向かって(図では符号5で示される範囲に向かって)反射されるように向いている。図示はしないが、すべての小さい鏡が、投影レンズ6から受けた光を観察者3の顔に向かって反射するようにその向きが設定されている。図1(b)は、以上説明した本発明の構成を横から見た図である。小さい鏡の面4がスクリーン1の上端と下端で図中拡大図の如く異なるのは、左右で異なるのと同じ理由による。画像投影装置2は、観察者3がスクリーン1を観察する視界を遮らないような位置に設置される。画像投影装置2の光学系は、画像投影装置2が上記のような位置に設置されたときに、スクリーン1上に所望の(通常長方形の)画像が投影されるように、設計される。
【0006】
前記小さい鏡の寸法としては、観察者が視認できない程度に小さいことが最も望ましい(優れた性能を与える)が、必ずしも観察者が視認できない程度に小さい必要はない。
【0007】
上記の基本的構成だけでは、観察者が顔を動かすことがかなり制限され、使用し辛い。そこで、さらに、スクリーン保持体から見た観察者の方向を検知し、スクリーンの向きを変化させる為の一群のアクチュエーターを具備し、前記検知された観察者の顔の方向に前記反射光が反射されるように前記スクリーンの向きを制御する手段を備える。このようにすることによって、観察者が顔を上下左右に動かすことに対して、かなりの自由度が与えられる。ここで、スクリーンの基材としては、軽くかつ剛性に優れたものが好適に用いられる。なぜなら、そうすることで、必要な応答速度を得るのに必要となるアクチュエーターの出力(力)が小さくなり、装置がより小型・省電力のものになるからである。
【0008】
しかし、以上に述べた手段だけでは、観察者がそれぞれの実施形態の具体的仕様で決まる許容範囲を超えて前後に動く(スクリーンと観察者の距離が変化する)場合、対応しきれない。そのような場合には、前記手段に加えて、更に、第2のアクチュエーター群を具備し、該第2のアクチュエーター群によって、スクリーン面に湾曲を形成することを可能ならしめ、該湾曲を観察者の顔とスクリーン間の距離に応じて調節する機能を備えることをで、問題を解決することが出来る。この場合には、スクリーンは適度の可とう性をもつ基材より作成される。なお、観察者の顔とスクリーン間の距離は、これを絶対値として求める必要はない。ここでの目的に必要なのは、スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角である。
【0009】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第一に、観察者の顔を撮影できる位置に設置された撮像装置から得られる観察者の顔の像の位置と大きさを求める、という手段がある。
【0010】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第二に、観察者の頭部、例えば、左右の耳の上部に各1個の発光素子を取り付け、これらの発光素子からの光の方向をそれぞれ検出する、という手段がある。原理的には2個の発光素子で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上の発光素子を用いてもよい。
【0011】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第三に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個の発光素子を取り付け、該発光素子からの光の方向を検出する手段を2個使用する、という手段がある。原理的には2個の光の方向を検出する手段で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上の光の方向を検出する手段を用いてもよい。
【0012】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第四に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個の発光素子を取り付け、該発光素子からの光の方向と強度を測定する、という手段がある。ここでは、光の強度を用いて距離を計測し、その距離から観察者の顔の立体角を求める。
【0013】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第五に、観察者の頭部、例えば、左右の耳の上部に各1個のマイクロ波源を取り付け、これらのマイクロ波源からのマイクロ波の方向をそれぞれ検出する、という手段がある。原理的には2個のマイクロ波源で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上のマイクロ波源を用いてもよい。
【0014】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第六に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個のマイクロ波源を取り付け、該マイクロ波源からのマイクロ波の方向を検出する手段を2個使用する、という手段がある。原理的には2個のマイクロ波の方向を検出する手段で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上のマイクロ波の方向を検出する手段を用いてもよい。
【0015】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第七に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個のマイクロ波源を取り付け、該マイクロ波源からのマイクロ波の方向と強度を測定する、という手段がある。ここでは、マイクロ波の強度を用いて距離を計測し、その距離から観察者の顔の立体角を求める。
【0016】
さて、これまでは、投影レンズが1個の場合について述べてきた。この場合、従来技術1に比べれば大幅な省電力化が図られるものの、更に大幅な省電力化の余地がある。即ち、投影レンズが1個の場合には概ね顔全体という広い範囲に光があたるのに対し、実際に利用される光(目が感じる光)は瞳孔に達する光だけであり、光の利用効率はまだ著しく低い。
【0017】
この問題を解決する手段として、光を、瞳孔を含むしかし顔全体よりは大幅に小さい領域にのみ当たるようにすることが考えられる。そして、その為には、投影レンズを2個に分割し、それらの光学的開口径を小さくし、スクリーンで反射された光がそれぞれの投影レンズから概ね観察者の左右の眼球の範囲にそれぞれ届くようにすることが出来る。この場合、2個の投影レンズ間の距離は投影レンズとスクリーン間の距離とスクリーンと観察者の距離に対応して、決められる。なお、上記説明では、光が当たる範囲を概ね眼球の範囲としたが、これは一つの目安にすぎず、部品の加工・組み立て精度や制御系の能力に応じて、また、製造コストとの妥協において、適宜の設計をすることが出来る。
【0018】
投影レンズが2個の場合においても、観察者の上下左右および前後の動きに対応してスクリーンの向きや湾曲を調整するメカニズムは投影レンズが1個の場合と基本的に同じである。
【0019】
しかし、観察者の前後の動きに対しては、2個一対の投影レンズ間の距離を変化させなければ完全には対応できない。換言すると、例えば観察者がスクリーンから遠ざかっていった場合、2個一対の投影レンズ間の距離が一定では、光が当たる一対の範囲の距離が離れていってしまい、やがて左右の目の瞳孔をそれそれの光が当たる範囲が覆うことが出来なくなる。従って、投影レンズが2個の場合でかつ観察者が前後に動く場合には、必要に応じて、2個一対の投影レンズ間の距離を観察者の顔とスクリーン間の距離に応じて調節する機能を備えるとよい。
【0020】
以上述べてきた画像表示装置の仕組みを実現するためには、スクリーンはアクチュエーター群を介してスクリーン保持体に保持され、該スクリーン保持体から見た観察者の方向、または、方向および立体角を検知する手段を該スクリーン保持体に一体的に取り付けることが簡便な方法であり好適に用いられる。しかし、必ずしも該検知手段をスクリーン保持体に一体的に取り付ける必要はなく、個別に設置することも出来る。この場合、適宜の手段で、該検出手段とスクリーン保持体の相対的位置関係をシステムに入力する。
【0021】
さらに、以上述べてきた画像表示装置の仕組みを実現するためには、スクリーンはアクチュエーター群を介してスクリーン保持体に保持され、該スクリーン保持体に画像表示装置を一体的に取り付けることが簡便な方法であり好適に用いられる。しかし、必ずしもスクリーン保持体に画像表示装置を一体的に取り付ける必要はなく、画像表示装置を、スクリーンに画像を投影できる適宜の場所に、個別に設置して、適宜の手段により画像表示装置とスクリーン保持体の相対的位置を求めて、その情報をシステムに入力することで本発明の画像表示装置の仕組みを実現することも出来る。上記の適宜の手段としては、観察者の方向と位置を測定するための前記手段が好適に用いられる。
【0022】
本発明の前面投影型画像表示装置では、第一番目の構成、即ち、投影レンズが1個でスクリーンで反射された光が概ね人間の顔の大きさ程度の範囲に広がるという構成でも、従来型の前面投影型画像表示装置に比べて著しく少ない光量で使用される。従って、投影レンズの光学的開口を小さくすることが出来る。例えば、直径1cm程度が大まかな目安である。しかし、この場合、スクリーンを構成する鏡が平面鏡であると、概ね人間の顔の大きさ程度の範囲に光を広げるためには、人間の顔の寸法を直径20cmとすれば、観察者とスクリーンの距離を投影レンズとスクリーンの距離の20倍にしなければならない。この様な制約は、実用性を大きく損なう。そこで、この問題を解決するために、スクリーンを構成する鏡を凹面または凸面にして、光を所望の範囲に広げることが出来る。
【0023】
本発明の前面投影型画像表示装置では、投影レンズの光学的開口の全体を均一な明るさ、即ち、出射光量とすることが望ましい。なぜなら、観察者の顔あるいは瞳孔に反射光の中心が当たるように制御する機構が十分な精度を持っていなくても、投影レンズの光学的開口の全体が均一な明るさであれば、瞳孔が反射光の範囲から外れない限り一定の明るさが得られ、従って、スクリーン全体が均一な明るさに見えるからである。
【0024】
本発明の前面投影型画像表示装置で使用されるスクリーンを構成する小さな鏡が、該鏡の寸法が観察者が視認出来ないほどに小さい場合には、その形状には特段の制限はない。ただし、第1〜第2の実施形態例で示されるような製造上の観点から、円形が好適に用いられる。それらの小さな鏡の配列は、2次元正方格子状でもよいが、最も高い密度での配置となる、2次元六方格子状も好適に用いられる。また、それぞれの小さな鏡は隣接する鏡と接しいなくてもよいが、接していてもよい。
【0025】
本発明の前面投影型画像表示装置で使用されるスクリーンを構成する小さな鏡が、該鏡の寸法が観察者が視認出来るほどに大きい場合には、鏡と鏡の境界が視認できないようにすることが望ましい。この場合、一つの鏡の形としては、正方形または長方形が好適に用いられる。
【0026】
以上、本発明の第1の目的を達成する手段を述べてきた。本発明の第2の目的は、投影レンズが2個の構成において左右の投影レンズから立体画像を構成するように作成された一組の画像を投影することで達成される。
【0027】
【発明の好ましい実施の形態】
図2を参照して、本発明の第1の実施形態例を説明する。本実施例は、例えば18インチのパーソナルコンピューターのモニターなどに好適に用いられる平面画像投影装置である。このような用途の場合、観察者の頭の動く範囲は比較的狭いと想定してよいので、スクリーン1は後述するような方法で作成された樹脂を基材とするものを、例えばハニカム構造により軽く剛性が高いように作成された金属材に貼り付けて、作成される。スクリーンを湾曲させる手段は具備しない。適宜のリニアーアクチュエーター12はフレキシブルジョイント13を介してスクリーン支持体11に固定される。投影レンズが1個の画像投影装置2が、アーム15を介して、スクリーン支持体11に固定される。本実施例では、反射光は観察者3の概ね顔全体に反射される。撮像装置が撮影した観察者3の画像を図示しない画像処理装置の処理によって、観察者の顔あるいは瞳孔の方向を検出し、リニアーアクチュエーター12を制御することで、反射光が常に観察者の目に届くようにする。
【0028】
図4を参照して、本実施例に用いられるスクリーンの主たる部分の製造方法を説明する。低コストで大量の製品を生産する為には、金型を用いて、樹脂を成型し、その表面に鏡として適当な材料の薄膜を形成することが望ましい。図4(a)は、その金型を作成する方法の例である。基材31を定盤に固定し、研削・研摩工具32を回転させて、最終的に鏡を形成する部分を円形に研削・研摩する。この際、スクリーン上の位置に対応して研削・研摩工具32の回転軸を変化させることで、本発明の実施に必要な、小さな鏡の配列を作成する為の金型を作成することが出来る。図4(b)はこのようにして作成した金型の断面図(左側)と平面図(右側)である。符号33で示された部分は最終的に鏡として使用される部分であり、符号34で示された部分は最終的に鏡として使用されない部分である。その後、当業者によく知られている適宜の方法で、樹脂を成型し、その表面に適宜の方法で例えは銀の薄膜を形成し、さらに、その表面に保護膜を形成する。
【0029】
本実施例の場合、小さな鏡の直径としては、0.15mm程度が好適である。また、反射光を広げる為に、鏡は凸面鏡とする。これは、研削・研摩工具32の先を凸型にすることで達成される。
【0030】
図3を参照して、本発明の第2の実施形態例を説明する。本実施例は例えば50インチのテレビなどに好適に用いられる平面画像投影装置である。2個一組の投影レンズを具備する画像投影装置25がスクリーンとは独立して、床27上に設置される。画像投影装置25には発光素子26が取り付けられ、それからの光を撮像装置10で検出し、スクリーンの向きを調節する情報として使用する。画像投影装置25は、スクリーン1から、例えば4m離して、設置される。スクリーンと観察者の距離は、2m乃至4mが想定される。画像投影装置25はその2個の投影レンズの間隔を変化させる手段を具備し、投影レンズの光学的開口は例えば3cmとする。観察者の方向と位置は、第1の実施形態例と同様、画像認識によって行われる。観察者の動く範囲が広いので、スクリーンを湾曲させるための一群のアクチュエータ23がフレキシブルジョイント24を介して、スクリーン中間支持体21に取り付けられる。
【0031】
本実施例の場合、小さな鏡の直径としては、0.5mm程度が好適である。また、鏡は平面鏡でよい。
【0032】
なお、上記の第2の実施形態例において、第1の実施形態例と同じ部分は、説明を省略した。
【0033】
第3の実施形態例は、第1の実施形態例に、以下に述べる変更を加えたものである。第一の変更点は、スクリーンとその作成方法に関わる。本実施例では、スクリーンを構成する小さな鏡は、直径0.5mmの円形ではなく、一辺が5mmの正方形とする。本実施例のスクリーンを作成する為の金型は、以下のようにして作成することができる。即ち、図5を参照して、適宜の基板51の上に、底面が5mm×5mmのブロック52を二次元に配列し、適宜の方法で貼り付ける。ここで、各ブロック52の表面53は、それぞれが置かれる基板51上の位置に対応した傾きを持つ平面を成している。このようなブロックを作成することは容易であり、また、二次元に配列して基板に貼り付けることも容易である。従って、本実施例のスクリーンを作成するための金型の作成は容易である。第二の変更点は、観察者とスクリーンの距離を第1の実施形態例よりは狭く設定し、第1の実施形態例では使用したスクリーンを湾曲させるための手段(一群のアクチュエータ23、フレキシブルジョイント24、および、スクリーン中間支持体21)を使用しないことである。本実施例では、成型された樹脂は、第1の実施形態例のように、軽量で剛性の高い支持材に貼り付けて使用される。一つの鏡が5mm×5mmと大きくても、鏡と鏡の境界が観察者に視認されなければ、問題はない。そして、鏡と鏡の境界が観察者に視認されない程度の精度で前記ブロックの加工と基板への貼り付けを行うことは、周知の技術で容易に実現することが出来る。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)従来技術1に比べて格段に消費電力の少ない一人用画像表示装置が実現される。画像投影装置が出力しなければならない光出力が格段に減少するため、大光量のランプは不要となり、冷却ファンも不要となる。
(2)装置を格段に小型化することができる。大光量を扱うために大型化が必要であった部品はすべて小型化することが出来、その結果、画像投影装置が小型化し、製造コストが低減する。
(3)従来技術2のような問題、即ち、眼前に器具を装着することによる圧迫感があり、また、表示画像以外のものに視線を移す時に不便を感じる、という問題が解消する。
(4)観察者が上下左右あるいは前後に動ける範囲を格段に広げることが出来る。
(5)既存技術を利用して容易に、本発明の装置を実現することが出来る。
(6)システム構成が簡単になる。
(7)応用範囲の広い一人用画像表示装置の構成が可能となる。
(8)高品質の一人用画像表示装置が実現される。
(9)スクリーンの製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成要素と動作原理を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態例を示す図である。
【図4】本発明におけるスクリーンの型の作成方法の例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態例におけるスクリーンの型の作成方法を示す図である。
【符号の説明】
1 スクリーン
2 画像投影装置
3 観察者
4 スクリーンを構成する小さな鏡の面
5 光の反射される範囲
6 投影レンズ
7 画像生成装置(ライトバルブ)
8 光源
10 撮像装置
11 スクリーン保持体
12 スクリーンの向きを変えるためのリニアアクチュエーター
13 フレキブル・ジョイント
14 スタンド
15 画像投影装置2を支持するアーム
21 スクリーン中間支持体
22 スクリーン保持体
23 スクリーンの湾曲を変えるためのリニアアクチュエーター
24 フレキブル・ジョイント
25 2個一対の投影レンズを具備する画像投影装置
26 発光素子
27 部屋の床
31 スクリーンを製造するための金型、または、金型を作成するための母材
32 研削・研摩用回転工具
33 最終的に鏡として使用される部分
34 最終的に鏡として使用されない部分
51 金型の基板
52 金型を構成する要素であるところのブロック
53 ブロック52の表面(鏡の面に対応する)
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビやパーソナルコンピューターなどの画像表示装置であって、電力消費量を大幅に低減でき、特に、観察者が一人の場合に最適に用いられる表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラウン管、液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、前面投影型プロジェクター、背面投影型プロジェクターやフィールドエミッションディスプレーがテレビやパーソナルコンピューターなどの画像表示装置として知られている(従来技術1)。これらは、同時に複数の観察者が観察することが出来る。一方、観察者が一人の場合には、ヘッドマウントディスプレーや眼鏡型ディスプレーも用いられ得る(従来技術2)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1では、表示面から発せられる光が広範囲に広がり、そのほとんどすべてが無駄なものである。このことによるエネルギー効率の悪さのために、多くの無駄な電力を消費する。また、他人に見られたくない画像情報を覗き見される危険が生じる場合がある。一方、従来技術2では、エネルギー効率がよく、他人に覗き見される危険が生じることはないが、眼前に器具を装着することに対する圧迫感があり、また、表示画像以外のものに視線を移す時には大変な不便を感じる。このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の第1の目的は、エネルギー効率が格段に高く、他人に覗き見される危険がなく、かつ、眼前に器具を装着することによる圧迫感がなく、また、表示画像以外のものに視線を移す時に不便を感じない、一人用画像表示装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、第1の目的に合致する立体画像表示装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明における前記の課題を解決するための手段の基本的構成は、スクリーンを小さい鏡の集合体で構成し、それぞれの鏡を、その向きが画像投影装置から到達した光が観察者の目を含むしかし出来るだけ限られた範囲にだけ到達するように設置することである。画像投影装置の投影レンズが1個の場合、前記の限られた範囲としては観察者の顔の大きさの程度が適当である。
【0005】
以上述べた本発明の基本的構成要素と動作原理を図1を使って詳しく説明する。図1(a)は、本発明の基本的構成要素の配置を上から見た図である。典型的な画像投影装置2は、例えば液晶ライトバルブのような、画像情報から実際の画像を生成する装置7を備え、それによって生成された画像を投影レンズ6によってスクリーン1に投影する。ここで、通常、投影レンズは一枚のレンズではなく複数のレンズから成るレンズ群であるが、そのことは本発明に関しては重要ではないので、便宜上1枚のレンズとする。このことは以下の記述においても同様である。また、通常、光源8が画像生成装置7の後ろに置かれる。光源8と画像生成装置7によって、画像生成装置7表面に、例えば1024×768の、画素の集合体による画像が形成される。各画素から出て投影レンズ6に入った光は、スクリーン1上に実像を結ぶ。スクリーン1は、小さい鏡の集合体で構成され、それぞれの鏡は、そのスクリーン1上の位置によってその向きが異なる。例えばスクリーン1上の左端または右端の鏡は、それぞれ、図1(a)の拡大図中に示すような向き(図では符号4で示されている向き)を向いている。即ち、投影レンズ6から受けた光が観察者3の顔に向かって(図では符号5で示される範囲に向かって)反射されるように向いている。図示はしないが、すべての小さい鏡が、投影レンズ6から受けた光を観察者3の顔に向かって反射するようにその向きが設定されている。図1(b)は、以上説明した本発明の構成を横から見た図である。小さい鏡の面4がスクリーン1の上端と下端で図中拡大図の如く異なるのは、左右で異なるのと同じ理由による。画像投影装置2は、観察者3がスクリーン1を観察する視界を遮らないような位置に設置される。画像投影装置2の光学系は、画像投影装置2が上記のような位置に設置されたときに、スクリーン1上に所望の(通常長方形の)画像が投影されるように、設計される。
【0006】
前記小さい鏡の寸法としては、観察者が視認できない程度に小さいことが最も望ましい(優れた性能を与える)が、必ずしも観察者が視認できない程度に小さい必要はない。
【0007】
上記の基本的構成だけでは、観察者が顔を動かすことがかなり制限され、使用し辛い。そこで、さらに、スクリーン保持体から見た観察者の方向を検知し、スクリーンの向きを変化させる為の一群のアクチュエーターを具備し、前記検知された観察者の顔の方向に前記反射光が反射されるように前記スクリーンの向きを制御する手段を備える。このようにすることによって、観察者が顔を上下左右に動かすことに対して、かなりの自由度が与えられる。ここで、スクリーンの基材としては、軽くかつ剛性に優れたものが好適に用いられる。なぜなら、そうすることで、必要な応答速度を得るのに必要となるアクチュエーターの出力(力)が小さくなり、装置がより小型・省電力のものになるからである。
【0008】
しかし、以上に述べた手段だけでは、観察者がそれぞれの実施形態の具体的仕様で決まる許容範囲を超えて前後に動く(スクリーンと観察者の距離が変化する)場合、対応しきれない。そのような場合には、前記手段に加えて、更に、第2のアクチュエーター群を具備し、該第2のアクチュエーター群によって、スクリーン面に湾曲を形成することを可能ならしめ、該湾曲を観察者の顔とスクリーン間の距離に応じて調節する機能を備えることをで、問題を解決することが出来る。この場合には、スクリーンは適度の可とう性をもつ基材より作成される。なお、観察者の顔とスクリーン間の距離は、これを絶対値として求める必要はない。ここでの目的に必要なのは、スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角である。
【0009】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第一に、観察者の顔を撮影できる位置に設置された撮像装置から得られる観察者の顔の像の位置と大きさを求める、という手段がある。
【0010】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第二に、観察者の頭部、例えば、左右の耳の上部に各1個の発光素子を取り付け、これらの発光素子からの光の方向をそれぞれ検出する、という手段がある。原理的には2個の発光素子で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上の発光素子を用いてもよい。
【0011】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第三に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個の発光素子を取り付け、該発光素子からの光の方向を検出する手段を2個使用する、という手段がある。原理的には2個の光の方向を検出する手段で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上の光の方向を検出する手段を用いてもよい。
【0012】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第四に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個の発光素子を取り付け、該発光素子からの光の方向と強度を測定する、という手段がある。ここでは、光の強度を用いて距離を計測し、その距離から観察者の顔の立体角を求める。
【0013】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第五に、観察者の頭部、例えば、左右の耳の上部に各1個のマイクロ波源を取り付け、これらのマイクロ波源からのマイクロ波の方向をそれぞれ検出する、という手段がある。原理的には2個のマイクロ波源で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上のマイクロ波源を用いてもよい。
【0014】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第六に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個のマイクロ波源を取り付け、該マイクロ波源からのマイクロ波の方向を検出する手段を2個使用する、という手段がある。原理的には2個のマイクロ波の方向を検出する手段で所定の目的は達成されるが、精度の向上やシステム構成の容易さの為に3個以上のマイクロ波の方向を検出する手段を用いてもよい。
【0015】
スクリーン保持体から見た観察者の顔の方向と立体角を求める手段としては、第七に、観察者の頭部、例えば、頭頂部に1個のマイクロ波源を取り付け、該マイクロ波源からのマイクロ波の方向と強度を測定する、という手段がある。ここでは、マイクロ波の強度を用いて距離を計測し、その距離から観察者の顔の立体角を求める。
【0016】
さて、これまでは、投影レンズが1個の場合について述べてきた。この場合、従来技術1に比べれば大幅な省電力化が図られるものの、更に大幅な省電力化の余地がある。即ち、投影レンズが1個の場合には概ね顔全体という広い範囲に光があたるのに対し、実際に利用される光(目が感じる光)は瞳孔に達する光だけであり、光の利用効率はまだ著しく低い。
【0017】
この問題を解決する手段として、光を、瞳孔を含むしかし顔全体よりは大幅に小さい領域にのみ当たるようにすることが考えられる。そして、その為には、投影レンズを2個に分割し、それらの光学的開口径を小さくし、スクリーンで反射された光がそれぞれの投影レンズから概ね観察者の左右の眼球の範囲にそれぞれ届くようにすることが出来る。この場合、2個の投影レンズ間の距離は投影レンズとスクリーン間の距離とスクリーンと観察者の距離に対応して、決められる。なお、上記説明では、光が当たる範囲を概ね眼球の範囲としたが、これは一つの目安にすぎず、部品の加工・組み立て精度や制御系の能力に応じて、また、製造コストとの妥協において、適宜の設計をすることが出来る。
【0018】
投影レンズが2個の場合においても、観察者の上下左右および前後の動きに対応してスクリーンの向きや湾曲を調整するメカニズムは投影レンズが1個の場合と基本的に同じである。
【0019】
しかし、観察者の前後の動きに対しては、2個一対の投影レンズ間の距離を変化させなければ完全には対応できない。換言すると、例えば観察者がスクリーンから遠ざかっていった場合、2個一対の投影レンズ間の距離が一定では、光が当たる一対の範囲の距離が離れていってしまい、やがて左右の目の瞳孔をそれそれの光が当たる範囲が覆うことが出来なくなる。従って、投影レンズが2個の場合でかつ観察者が前後に動く場合には、必要に応じて、2個一対の投影レンズ間の距離を観察者の顔とスクリーン間の距離に応じて調節する機能を備えるとよい。
【0020】
以上述べてきた画像表示装置の仕組みを実現するためには、スクリーンはアクチュエーター群を介してスクリーン保持体に保持され、該スクリーン保持体から見た観察者の方向、または、方向および立体角を検知する手段を該スクリーン保持体に一体的に取り付けることが簡便な方法であり好適に用いられる。しかし、必ずしも該検知手段をスクリーン保持体に一体的に取り付ける必要はなく、個別に設置することも出来る。この場合、適宜の手段で、該検出手段とスクリーン保持体の相対的位置関係をシステムに入力する。
【0021】
さらに、以上述べてきた画像表示装置の仕組みを実現するためには、スクリーンはアクチュエーター群を介してスクリーン保持体に保持され、該スクリーン保持体に画像表示装置を一体的に取り付けることが簡便な方法であり好適に用いられる。しかし、必ずしもスクリーン保持体に画像表示装置を一体的に取り付ける必要はなく、画像表示装置を、スクリーンに画像を投影できる適宜の場所に、個別に設置して、適宜の手段により画像表示装置とスクリーン保持体の相対的位置を求めて、その情報をシステムに入力することで本発明の画像表示装置の仕組みを実現することも出来る。上記の適宜の手段としては、観察者の方向と位置を測定するための前記手段が好適に用いられる。
【0022】
本発明の前面投影型画像表示装置では、第一番目の構成、即ち、投影レンズが1個でスクリーンで反射された光が概ね人間の顔の大きさ程度の範囲に広がるという構成でも、従来型の前面投影型画像表示装置に比べて著しく少ない光量で使用される。従って、投影レンズの光学的開口を小さくすることが出来る。例えば、直径1cm程度が大まかな目安である。しかし、この場合、スクリーンを構成する鏡が平面鏡であると、概ね人間の顔の大きさ程度の範囲に光を広げるためには、人間の顔の寸法を直径20cmとすれば、観察者とスクリーンの距離を投影レンズとスクリーンの距離の20倍にしなければならない。この様な制約は、実用性を大きく損なう。そこで、この問題を解決するために、スクリーンを構成する鏡を凹面または凸面にして、光を所望の範囲に広げることが出来る。
【0023】
本発明の前面投影型画像表示装置では、投影レンズの光学的開口の全体を均一な明るさ、即ち、出射光量とすることが望ましい。なぜなら、観察者の顔あるいは瞳孔に反射光の中心が当たるように制御する機構が十分な精度を持っていなくても、投影レンズの光学的開口の全体が均一な明るさであれば、瞳孔が反射光の範囲から外れない限り一定の明るさが得られ、従って、スクリーン全体が均一な明るさに見えるからである。
【0024】
本発明の前面投影型画像表示装置で使用されるスクリーンを構成する小さな鏡が、該鏡の寸法が観察者が視認出来ないほどに小さい場合には、その形状には特段の制限はない。ただし、第1〜第2の実施形態例で示されるような製造上の観点から、円形が好適に用いられる。それらの小さな鏡の配列は、2次元正方格子状でもよいが、最も高い密度での配置となる、2次元六方格子状も好適に用いられる。また、それぞれの小さな鏡は隣接する鏡と接しいなくてもよいが、接していてもよい。
【0025】
本発明の前面投影型画像表示装置で使用されるスクリーンを構成する小さな鏡が、該鏡の寸法が観察者が視認出来るほどに大きい場合には、鏡と鏡の境界が視認できないようにすることが望ましい。この場合、一つの鏡の形としては、正方形または長方形が好適に用いられる。
【0026】
以上、本発明の第1の目的を達成する手段を述べてきた。本発明の第2の目的は、投影レンズが2個の構成において左右の投影レンズから立体画像を構成するように作成された一組の画像を投影することで達成される。
【0027】
【発明の好ましい実施の形態】
図2を参照して、本発明の第1の実施形態例を説明する。本実施例は、例えば18インチのパーソナルコンピューターのモニターなどに好適に用いられる平面画像投影装置である。このような用途の場合、観察者の頭の動く範囲は比較的狭いと想定してよいので、スクリーン1は後述するような方法で作成された樹脂を基材とするものを、例えばハニカム構造により軽く剛性が高いように作成された金属材に貼り付けて、作成される。スクリーンを湾曲させる手段は具備しない。適宜のリニアーアクチュエーター12はフレキシブルジョイント13を介してスクリーン支持体11に固定される。投影レンズが1個の画像投影装置2が、アーム15を介して、スクリーン支持体11に固定される。本実施例では、反射光は観察者3の概ね顔全体に反射される。撮像装置が撮影した観察者3の画像を図示しない画像処理装置の処理によって、観察者の顔あるいは瞳孔の方向を検出し、リニアーアクチュエーター12を制御することで、反射光が常に観察者の目に届くようにする。
【0028】
図4を参照して、本実施例に用いられるスクリーンの主たる部分の製造方法を説明する。低コストで大量の製品を生産する為には、金型を用いて、樹脂を成型し、その表面に鏡として適当な材料の薄膜を形成することが望ましい。図4(a)は、その金型を作成する方法の例である。基材31を定盤に固定し、研削・研摩工具32を回転させて、最終的に鏡を形成する部分を円形に研削・研摩する。この際、スクリーン上の位置に対応して研削・研摩工具32の回転軸を変化させることで、本発明の実施に必要な、小さな鏡の配列を作成する為の金型を作成することが出来る。図4(b)はこのようにして作成した金型の断面図(左側)と平面図(右側)である。符号33で示された部分は最終的に鏡として使用される部分であり、符号34で示された部分は最終的に鏡として使用されない部分である。その後、当業者によく知られている適宜の方法で、樹脂を成型し、その表面に適宜の方法で例えは銀の薄膜を形成し、さらに、その表面に保護膜を形成する。
【0029】
本実施例の場合、小さな鏡の直径としては、0.15mm程度が好適である。また、反射光を広げる為に、鏡は凸面鏡とする。これは、研削・研摩工具32の先を凸型にすることで達成される。
【0030】
図3を参照して、本発明の第2の実施形態例を説明する。本実施例は例えば50インチのテレビなどに好適に用いられる平面画像投影装置である。2個一組の投影レンズを具備する画像投影装置25がスクリーンとは独立して、床27上に設置される。画像投影装置25には発光素子26が取り付けられ、それからの光を撮像装置10で検出し、スクリーンの向きを調節する情報として使用する。画像投影装置25は、スクリーン1から、例えば4m離して、設置される。スクリーンと観察者の距離は、2m乃至4mが想定される。画像投影装置25はその2個の投影レンズの間隔を変化させる手段を具備し、投影レンズの光学的開口は例えば3cmとする。観察者の方向と位置は、第1の実施形態例と同様、画像認識によって行われる。観察者の動く範囲が広いので、スクリーンを湾曲させるための一群のアクチュエータ23がフレキシブルジョイント24を介して、スクリーン中間支持体21に取り付けられる。
【0031】
本実施例の場合、小さな鏡の直径としては、0.5mm程度が好適である。また、鏡は平面鏡でよい。
【0032】
なお、上記の第2の実施形態例において、第1の実施形態例と同じ部分は、説明を省略した。
【0033】
第3の実施形態例は、第1の実施形態例に、以下に述べる変更を加えたものである。第一の変更点は、スクリーンとその作成方法に関わる。本実施例では、スクリーンを構成する小さな鏡は、直径0.5mmの円形ではなく、一辺が5mmの正方形とする。本実施例のスクリーンを作成する為の金型は、以下のようにして作成することができる。即ち、図5を参照して、適宜の基板51の上に、底面が5mm×5mmのブロック52を二次元に配列し、適宜の方法で貼り付ける。ここで、各ブロック52の表面53は、それぞれが置かれる基板51上の位置に対応した傾きを持つ平面を成している。このようなブロックを作成することは容易であり、また、二次元に配列して基板に貼り付けることも容易である。従って、本実施例のスクリーンを作成するための金型の作成は容易である。第二の変更点は、観察者とスクリーンの距離を第1の実施形態例よりは狭く設定し、第1の実施形態例では使用したスクリーンを湾曲させるための手段(一群のアクチュエータ23、フレキシブルジョイント24、および、スクリーン中間支持体21)を使用しないことである。本実施例では、成型された樹脂は、第1の実施形態例のように、軽量で剛性の高い支持材に貼り付けて使用される。一つの鏡が5mm×5mmと大きくても、鏡と鏡の境界が観察者に視認されなければ、問題はない。そして、鏡と鏡の境界が観察者に視認されない程度の精度で前記ブロックの加工と基板への貼り付けを行うことは、周知の技術で容易に実現することが出来る。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)従来技術1に比べて格段に消費電力の少ない一人用画像表示装置が実現される。画像投影装置が出力しなければならない光出力が格段に減少するため、大光量のランプは不要となり、冷却ファンも不要となる。
(2)装置を格段に小型化することができる。大光量を扱うために大型化が必要であった部品はすべて小型化することが出来、その結果、画像投影装置が小型化し、製造コストが低減する。
(3)従来技術2のような問題、即ち、眼前に器具を装着することによる圧迫感があり、また、表示画像以外のものに視線を移す時に不便を感じる、という問題が解消する。
(4)観察者が上下左右あるいは前後に動ける範囲を格段に広げることが出来る。
(5)既存技術を利用して容易に、本発明の装置を実現することが出来る。
(6)システム構成が簡単になる。
(7)応用範囲の広い一人用画像表示装置の構成が可能となる。
(8)高品質の一人用画像表示装置が実現される。
(9)スクリーンの製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成要素と動作原理を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態例を示す図である。
【図4】本発明におけるスクリーンの型の作成方法の例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態例におけるスクリーンの型の作成方法を示す図である。
【符号の説明】
1 スクリーン
2 画像投影装置
3 観察者
4 スクリーンを構成する小さな鏡の面
5 光の反射される範囲
6 投影レンズ
7 画像生成装置(ライトバルブ)
8 光源
10 撮像装置
11 スクリーン保持体
12 スクリーンの向きを変えるためのリニアアクチュエーター
13 フレキブル・ジョイント
14 スタンド
15 画像投影装置2を支持するアーム
21 スクリーン中間支持体
22 スクリーン保持体
23 スクリーンの湾曲を変えるためのリニアアクチュエーター
24 フレキブル・ジョイント
25 2個一対の投影レンズを具備する画像投影装置
26 発光素子
27 部屋の床
31 スクリーンを製造するための金型、または、金型を作成するための母材
32 研削・研摩用回転工具
33 最終的に鏡として使用される部分
34 最終的に鏡として使用されない部分
51 金型の基板
52 金型を構成する要素であるところのブロック
53 ブロック52の表面(鏡の面に対応する)
Claims (12)
- 画像投影装置とスクリーンを備えて成る前面投影型画像表示装置であって、前記画像投影装置は1個または2個の投影レンズを具備し、前記スクリーンは複数の鏡の集合体より構成され、
前記画像投影装置が1個の場合は、前記複数の鏡のそれぞれが観察者の顔に対応する範囲にのみ該投影レンズから受けた光を反射するように構成され、
前記画像投影装置が2個の場合は、前記複数の鏡のそれぞれは観察者の左右の眼球に対応する範囲にのみ該投影レンズから受けた光を反射するように構成されて成る
ことを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項1に記載の前面投影型画像表示装置であって、前記画像投影装置が2個の場合において、該2個の投影レンズのそれぞれから視差角の異なる2種類の画像を投影することにより立体画像を構成することを特徴とする、立体画像表示装置。
- 請求項1または2に記載の前面投影型画像表示装置であって、さらに、該スクリーンは該スクリーンの向きを変化させる為の第一のアクチュエーター群を介してスクリーン保持体に保持され、
投影レンズが1個の場合は、該スクリーン保持体からみた観察者の顔の方向を検出する手段を具備し、さらに、前記手段で検出された観察者の顔の方向に投影レンズから受けた光を反射し、
投影レンズが2個の場合は、該スクリーン保持体からみた観察者の左右の眼球の方向を検出する手段を具備し、さらに、前記手段で検出された観察者の左右の眼球の方向に投影レンズから受けた光を反射する
ように第一のアクチュエーター群を制御することを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項3に記載の前面投影型画像表示装置であって、
投影レンズが1個の場合は、さらに、前記スクリーンを湾曲させる為の第二のアクチュエーター群を具備し、該1個の投影レンズから前記スクリーンに投影された光が観察者の顔の方向に反射されるように第一のアクチュエーター群および第二のアクチュエーター群を統合制御し、
投影レンズが2個の場合は、さらに、前記スクリーンを湾曲させる為の第二のアクチュエーター群および/または前記2個の投影レンズの間隔を変化させるための第三のアクチュエーター群を具備し、該2個の投影レンズから前記スクリーンに投影された光がそれぞれ観察者の左右の眼球の方向に反射されるように第一のアクチュエーター群、および、第二のアクチュエーター群および/または第三のアクチュエーター群を統合制御する
ことを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項3または4に記載の前面投影型画像表示装置であって、
投影レンズが1個の場合は、前記観察者の顔の方向、または、顔の方向および立体角を、
投影レンズが2個の場合は、前記観察者の左右の眼球の方向、または、左右の眼球の方向および立体角を
検出する手段として、
撮像装置による観察者の顔の撮影と画像処理装置の組み合わせ、または、
観察者の頭部に取り付けられた発光素子と該発光素子からの光の方向、または、方向と強度を検出する手段の組み合わせ、または、
観察者の頭部に取り付けられたマイクロ波源と該マイクロ波源からのマイクロ波の方向、または、方向と強度を検出する手段の組み合わせ
を用いることを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置であって、前記画像投影装置と前記スクリーン保持体が一体的に組み立てられて成ることを特徴とする、前面投影型画像表示装置。
- 請求項1または2に記載の画像表示装置であって、前記画像投影装置と前記スクリーン保持体が独立に設置されて成ることを特徴とする、前面投影型画像表示装置。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の画像表示装置であって、前記画像投影装置と前記スクリーン保持体は独立に設置され、
投影レンズが1個の場合は、前記スクリーン保持体から見た該1個の投影レンズの方向を検出する手段を具備し、該手段によって得られた前記スクリーン保持体から見た前記1個の投影レンズの方向の情報を含めてそれぞれの請求項に記載の制御を行い、
投影レンズが2個の場合は、前記スクリーン保持体から見た該2個の投影レンズの方向を検出する手段を具備し、該手段によって得られた前記スクリーン保持体から見た前記2個の投影レンズの方向の情報を含めてそれぞれの請求項に記載の制御を行う
ことを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の画像表示装置であって、
投影レンズが1個の場合は、前記スクリーンから反射された光が前記観察者の顔に対応する範囲に広がるように、前記スクリーンを構成する複数の鏡を凹または凸の形状にし、
投影レンズが2個の場合は、前記スクリーンから反射された光が前記観察者の左右の眼球に対応する範囲に広がるように、前記スクリーンを構成する複数の鏡を凹または凸の形状にする
ことを特徴とする、前面投影型画像表示装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の画像表示装置であって、前記投影レンズの光学的開口全体を均一な出射光量とする手段を具備することを特徴とする、前面投影型画像表示装置。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の画像表示装置であって、スクリーンを構成する複数の鏡が、観察者が視認出来ないほどに小さい寸法であり、かつ、該複数の鏡が円形であることを特徴とする、前面投影型画像表示装置。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の画像表示装置であって、スクリーンを構成する複数の鏡が正方形または長方形であり、かつ、該複数の鏡の境界が観察者が視認出来ないほどに狭いことを特徴とする、前面投影型画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003180704A JP2005017575A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | 前面投影型画像表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003180704A JP2005017575A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | 前面投影型画像表示装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005017575A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012159853A (ja) * | 2012-04-03 | 2012-08-23 | Seiko Epson Corp | スクリーン |
-
2003
- 2003-06-25 JP JP2003180704A patent/JP2005017575A/ja active Pending
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