JP2005017202A - 電子写真用感光体の欠陥検出装置、検知電極の校正方法 - Google Patents
電子写真用感光体の欠陥検出装置、検知電極の校正方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】感光体の欠陥検知に用いられる複数の検知電極を可及的に実際の使用状態に近い状態で校正可能とする。
【解決手段】電子写真用の感光体101に対して複数の検知電極210を相対的に移動させる手段106、107と、表面102と検知電極210との間に介在する誘電体211と、感光体101の基体101Aに交流電圧を印加する手段109と、表面102の電位変化によって検知電極210に誘導される誘導電流を検出する手段と、基体101Aを交流電圧を印加する手段109を含む2以上の接続先に切替え接続する手段108と、を有し、検知された誘導電流の波形に基づいて、複数の検知電極210を校正可能としたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】電子写真用の感光体101に対して複数の検知電極210を相対的に移動させる手段106、107と、表面102と検知電極210との間に介在する誘電体211と、感光体101の基体101Aに交流電圧を印加する手段109と、表面102の電位変化によって検知電極210に誘導される誘導電流を検出する手段と、基体101Aを交流電圧を印加する手段109を含む2以上の接続先に切替え接続する手段108と、を有し、検知された誘導電流の波形に基づいて、複数の検知電極210を校正可能としたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用感光体の欠陥検出に用いられる複数の検知電極を校正する方法と、その校正方法を用いて検知電極の校正が可能な電子写真感光体の欠陥検出装置と、に関するものである。より詳しくは、基体の表面にアモルファスシリコンからなる感光層が形成されたアモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と略す場合もある。)の微小欠陥を高速で検出するのに適した欠陥検出装置と、そのような欠陥検出装置に用いられる検知電極に好適な校正方法と、に関するものである。ここで、本明細書において検知電極の校正とは、欠陥検出装置に用いられる複数の検知電極の出力特性を一致させるか、可及的に一致させることを意味する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体(以下、感光体と略す場合もある)は、適用される電子写真プロセスに応じた帯電特性、感光特性などに代表される様々な特性を満足する必要があり、出荷前にはそれらの特性に関する検査が行われる。さらに、使用初期より良好な画像の形成を可能とするためには、上記諸特性の検査に加え、感光体に存在する欠陥の有無に関しても検査を行っておく必要がある。
【0003】
感光体に存在する欠陥のうち、視覚によって確認可能な程度の大きさ欠陥の検出に関しては特に問題はないが、微小なピンホールや突起などといった欠陥の存在を検出することは容易ではない。特にa−Si感光体においては、その製法上、しばしば感光層や保護層などを形成する堆積膜の表面に突起が発生することが知られている。突起の発生を抑制する方法は多数提案されているものの、偶然に付着した微細な異物に由来する突起の発生を防止することは、技術的にも、コスト的にも困難である。
【0004】
しかし、堆積膜の表面に突起が存在すると、突起部分と正常部分とで、電荷保持能力に差が生じる場合がある。また、研摩等の後工程によって突起の頭頂部のみが削られたりすると、表面電位の均一性が乱れる要因となる。こうした表面電位の不均一性は、現像プロセスによって白点や黒点となって画像上に現れる懸念がある。
【0005】
従来、上記のような微小欠陥の評価法として、既存の複写機を使って画像を出力し、その画像によって評価を行う方法が一般的に知られている。
【0006】
また、レーザー光や白色光を感光体の表面に照射し、その反射光を光電変換素子やCCDカメラで検出して光学的に欠陥の有無を検出する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、電気的に感光体の表面の欠陥を評価する装置としては、約1mm2程度の面積をもつ検知電極を約1mm程度の間隔をもって感光体の表面に対向させ、その表面に存在する欠陥が検知電極に近づいたときに発生する検知電極の電位低下率を検知電極に接続された分圧コンデンサや増幅器などによって検出して、欠陥の有無や大きさなどを判別する装置がある(例えば、特許文献2参照)。尚、特許文献2に記載されている装置は、直径が0.4mm〜1mmといった比較的大きな欠陥を検出対象としている。
【0008】
また、検知電極を被測定表面の近傍に配置し、それらを相対的に移動させることによって検知電極に被測定表面の電位変化による誘導電流を発生させ、発生した誘導電流を解析することによって、表面電位の均一性を測定する方法もある(例えば、特許文献3参照)。尚、特許文献3に記載されている方法は、検知電極が有するエッジによって被測定表面の電位変化を検出することを特徴としている。
【0009】
また、数ドット毎にOn/Offを繰り返す露光パターンによって形成した潜像電位分布を測定電極によって測定する方法もある(例えば、特許文献4参照)。この種の方法では、測定電極を感光体表面から50μm程度まで接近させて配置し、測定電極と感光体の表面との間のギャップ容量によって測定電極に誘起される電荷を測定用コンデンサで検出して、感光体の表面電位を測定する。尚、特許文献4に記載されている方法は、測定電極と感光体の表面との間における放電を防止するために、バイアスを印加したり、放電開始電圧の高いガス(SF6)を充満させる手段を配備したりすることを特徴としている。さらに、測定電極と感光体の表面との間のギャップを一定に保つために、ギャップセンサーや高精度な精密パルスステージを使用したギャップ制御手段を配備している。
【0010】
また、検知電極を被測定表面に対して相対的に移動させることによって検知電極に発生する誘導電流を測定し、被測定表面の微細な電位変化を読み取る方法であって、検知電極を測定対象となる電位変化の幅よりも小さくし、かつ、エッジを持たない検知電極を用いることでより高分解能な測定を可能としている方法もある(例えば、特許文献5参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平04−194944号公報 (第2−5頁、第1図)
【特許文献2】
特許第2674002号公報 (第2−3頁、第2図)
【特許文献3】
特許第3030398号公報 (第3−7頁、第1図)
【特許文献4】
特許第3009179号公報 (第3−8頁、第2図)
【特許文献5】
特開平11−183542号公報 (第4−8頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
感光体の表面の欠陥を電気的に検出する上記のような方法においては、感光体の表面の微細な電位変化を電気的な信号として検出するため、検知電極と感光体の表面との間のギャップが必要となり、検知電極に発生にする誘導電流の大きさは、このギャップの大きさに極めて強く依存する。従って、ギャップの大きさは測定結果に強い影響を及ぼし、測定中は常にギャップが一定となるように制御する必要がある。その上、数百μm以下のオーダーとなる微細な表面欠陥を検出するためには、ギャップを数百μm以下とすることが求められ、精度が数十μmオーダーの非常に高精度なギャップ制御が要求される。ギャップセンサーと精密ステージとを使って非接触でギャップを制御する従来の方法では、装置構成が複雑化するだけでなく、要求される精度を得る為には高精度な機器が必要となるため、コスト的に不利であった。さらに、ギャップ制御系の精度の範囲内では、ギャップが変動し得る構成であり、特に複数の検知電極を用いた場合には、検知電極毎に出力特性がばらついてしまったり、セッティング毎にばらついてしまったりすることがあった。
【0013】
また、感光体表面と検知電極との間に誘電体を介在させ、その誘電体の厚みによってギャップを一定に保持する方法においても、複数の検知電極を用いる場合には、それらの出力特性を完全に一致させることは難しく、検知電極毎にばらついてしまうことがあった。特に、より小さな欠陥まで検出できるように高分解能の検知電極を用いる場合において、そのような傾向がみられた。これは、高分解能を得るために検知電極を小型化し、精密化すると、検知電極の寸法や形状等にバラツキや歪み等が生じ易くなるためと推測される。一般に、検知電極が小型化すると、検出信号レベルが小さくなり、SN比が低下する。このため、複数の検知電極間で寸法や形状に僅かでもバラツキがあると、それが出力特性に影響を与え易くなるものと考えられる。また、形状的な歪みがある場合は、それが出力特性に与える影響も無視できなくなり、セッティング毎に出力特性がばらつく場合がでてくると考えられる。
【0014】
このように、複数の検知電極を用いて欠陥検出を行う場合は、検知電極の出力特性の校正方法に関して改善の余地を有しており、検知電極単体での校正だけでなく、欠陥検出装置に検知電極をセッティングした状態において、検知電極毎、あるいは、セッティング毎に出力特性を校正できる方法の確立が望まれていた。
【0015】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、感光体の欠陥検出に用いられる複数の検知電極を高精度で校正可能な方法と、その校正方法を用いて検知電極の校正が可能で、再現性、信頼性に優れた検出結果が得られる欠陥検出装置とを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の検知電極の校正方法は、電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させ、前記感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出し、その検出結果に基づいて前記表面の欠陥を検出する電子写真用感光体の欠陥検出装置に用いられる検知電極を校正する検知電極の校正方法であって、検知電極を交流電圧が印加された導体に誘電体を介して接触させる工程と、複数の検知電極に誘導される誘導電流の波形が一定となるように各検知電極を調整する工程と、を少なくとも有する。
【0017】
また、本発明の電子写真感光体の欠陥検出装置は、電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させる手段と、感光体の表面と前記検知電極との間に介在する誘電体と、感光体の基体に交流電圧を印加する手段と、感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出する手段と、感光体の基体を前記交流電圧を印加する手段を含む2以上の接続先に切替え接続する手段と、を少なくとも有する。
【0018】
以上の構成を有する本発明によれば、検知電極の校正に用いられる導体として、実際の評価対象である感光体やその感光体に極めて近い構成の導体を用いることができる。また、同時に使用される複数の検知電極がそれぞれ単体ではなく、実際に欠陥検出装置にセットされた状態で互いの出力特性が一致するように校正される。従って、複数の検知電極が実際の欠陥検出動作時と同じ状態か、実際の欠陥検出動作時に極めて近い状態で校正され、そのようにして校正された検知電極を使用することによって、感光体の表面の微細な欠陥の数や大きさなどを短時間で、且つ、確実に検出することが可能となる。さらに、その検出結果は、再現性に優れた結果となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用感光体の欠陥検出装置(以下、「欠陥検出装置」と略す)は、少なくとも、感光体の表面に対して複数の検知電極を相対的に移動させる手段と、上記感光体に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と、交流電圧が印加されている感光体に対して検知電極が相対的に移動することによって検知電極に発生する誘導電流を検出する手段と、感光体を交流電圧印加手段を含む2以上の接続先に切り替え接続可能な切り替え手段と、を有することにより、複数の検知電極を欠陥検出装置本体にセットした状態で、各検知電極の出力特性を校正可能としたものである。以下、図面に基づいて本発明による欠陥検出装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
【欠陥検出装置の実施形態1】
図1は、本発明による欠陥検出装置の一実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。図1(a)、(b)中の符号101は、円筒状の基体101Aの表面に、少なくとも感光層が形成された電子写真用の感光体を示し、符号102は、感光体101の表面を示す。ここで、感光体101の表面102とは、基体101Aの表面に感光層のみが形成されている場合には、その感光層の表面を意味し、感光層の上に保護層やその他の層が積層されている場合には、最外層の表面を示す。
【0021】
図1に示す欠陥検出装置は、前露光手段103と、帯電手段104と、欠陥検出手段105と、回転手段106と、移動手段107と、切り替え手段108と、交流電圧印加手段109と、を少なくとも備えている。
【0022】
帯電手段104は、感光体101の表面102をほぼ全域に亙って帯電させることが可能な長尺タイプの帯電手段である。前露光手段103は、帯電手段104よりも感光体101の回転方向Aの上流側に配置されている。前露光手段103の光源には、LEDやレーザーを用いることができる。また、ハロゲンランプのようなアナログ光を出力する光源を用いることもできる。さらに、感光体101に照射される露光用の光は、ハロゲン光のようなアナログ光をフィルターや回折格子などを使って単色光とした光などであってもよい。回転手段106は、感光体101を任意の速度で矢印A方向に回転させる、
欠陥検出手段105は、支持基板105Dの上に設けられたセンサー支持台105B及び押し出し手段105Cと、センサー支持台105Bの上に所定間隔で配置された複数の検知センサー105Aとから構成されている。押し出し手段105Cは、センサー支持台105Bを昇降させて、検知センサー105Aを感光体101の表面102に接触させたり、感光体101Bの表面102から遠ざけたりする。
【0023】
移動手段107は、支持基板105Dに繋がれたネジ軸を回転させることによって欠陥検出手段105を感光体101の母線方向(円筒軸線方向)に移動させ、検知センサー105Aを感光体101の母線方向に走査させる。尚、ネジ軸をさらに長尺化し、感光体101の母線方向における任意の位置だけでなく、感光体101の母線方向外側まで欠陥検出手段105を移動可能な構成としても良い。また、検知センサー105Aを感光体101の母線方向の全域に亙って配置することにより、欠陥検出手段105を感光体101の母線方向に移動させることなく、感光体101の全面の欠陥を検出可能な構成としても良い。
【0024】
切り替え手段108は、有接点又は無接点のスイッチであり、感光体101の基体101Aをアースと交流電圧印加手段109とに切替え接続する。
【0025】
図2は、図1に示す検知センサー105Aをより詳細に説明するための模式的拡大図であり、図2(a)は図1(a)と同じ方向から見た図、図2(b)は図1(b)と同じ方向から見た図である。
【0026】
図2(a)、(b)に示すように、検知センサー105Aは、検知電極210と、検知電極210を支える絶縁性支持体212とを備えている。検出電極210の上部は絶縁支持体212よりも上方に突出しており、下端は導線213を介して回路要素214に接続されている。また、絶縁支持体212よりも上方に突出した検知電極210の上部は誘電体211によって被覆され、検知電極210は誘電体211を介して感光体101の表面102に接触するようになっている。誘電体211には、カプトン(Kapton:登録商標)フィルム、マイラー(Mylar:登録商標)フィルム、テフロン(Teflon:登録商標)フィルムなどの誘電体フィルムを用いることができる。また、ディッピング等の方法で何らかの誘電物質を検知電極210の上部表面に固着させて誘電体211を形成することもできる。
【0027】
但し、誘電体211は、感光体101の表面102と検知電極210との間に介在して、表面102の電位変化に伴う誘電電流を検知電極210に発生させるために必要なギャップを形成すると共に、そのギャップを一定に保持する役割を果たしている。従って、誘電体211の厚み(=ギャップの大きさ)は基本的に薄い方が望ましい。しかし、誘電体211が薄すぎると、誘電体210の材質によっては感光体101の表面102と検知電極210との間で放電等が起こり、正常な信号が検出されない場合がある。また、上記のように、誘電体211と感光体101の表面102とは、少なくとも欠陥検出動作中は常に接触しているため、摩耗性、耐久性という観点を考慮して誘電体211の厚みを決める必要もある。以上の観点より、誘電体211の厚みは、5μm以上、200μm以下が好ましく、10μm以上、150μm以下がより好ましい。
【0028】
検知電極210は、感光体101の表面102に押し付けられると図3に示すように撓み、自己復元力によって感光体101の表面102に圧接する弾性を有している。従って、感光体101が偏芯した場合にも、検知電極210は、誘電体211を介して感光体101の表面102に常時接するように追従する。これによって、感光体101の偏芯等に代表される測定系の不安定要因の影響をほとんど受けない評価結果を得ることが可能となる。
【0029】
欠陥検出動作中に感光体の表面に何かを接触させながら走査する方式を用いる場合、感光体の表面にキズ等の損傷を与える懸念がある。しかし、図2(a)、(b)に示す構成の欠陥検出手段105では、検知電極210の接触によって感光体101が受ける力は非常に弱く、そのような懸念はほとんどない。特に、感光層がアモルファスシリコンからなるa−Si感光体や感光層の表面に硬化型保護層が形成された有機系感光体の場合は全く損傷を受けないことが本件発明者らの実験で確認されている。尚、感光層の表面に硬化型保護層が形成されている場合、検知電極は誘電体を介して硬化型保護層の表面に接触することになるが、図2(a)、(b)に示す構成の欠陥検出手段105を用いた場合、感光層の表面が硬化型保護層によって被覆されていても、被覆されていなくても、欠陥検出に影響はない。
【0030】
図1に示す構成の欠陥検出装置において、感光体101が回転し、感光体101の表面102と検知電極210との間に相対的な移動が生じたとき、表面102の電位の微小変化量をdV、相対移動速度をdx/dtとすると、検知電極210には、dV/dt=(dV/dx)・(dx/dt)に比例する誘導電流が発生する。このため、感光体101の表面102に球状突起などに起因する電気的な微小欠陥が存在した場合には、その欠陥を誘導電流の変化として検出することができる。また、回転手段106によって感光体101と検知電極210との相対移動速度を任意に設定できるため、検出される誘導電流には表面電位の傾きに関する情報が含まれている。従って、表面電位の傾きに関する情報を解析することにより、感光体101の表面102に存在する微小欠陥の大きさや数などを知ることができる。なお、電子写真用の感光体には、有機系の感光材料を用いた感光体、いわゆるOPC(Organic Photoconductor)感光体等があるが、表面硬度が硬く、比誘電率εが大きいa−Si感光体は、誘導電流を安定して検出できるラチチュード(Latitude)が広く、本発明の欠陥検出装置による欠陥検出に適している。
【0031】
図1に示す欠陥検出装置を使用して実際に感光体101の表面102に存在する欠陥を検出する実験を行った結果を図4(a)、(b)に示す。図4(a)は、検知電極210に発生した誘導電流(検出信号)の波形を示し、図4(b)は同図(a)のデータを積分解析した後の波形であって、感光体101の表面102における電位分布を示している。図4(a)に示すように、検出信号の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtと相対移動速度との関係に基づいて検出された欠陥の大きさを判別することができる。また、検出信号のピーク強度によって、欠陥の大きさを判別することもできる。また、図4(b)に示すように、同図(a)の波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(FWHM/Full Width at Half Maximum)などにより、検出された欠陥の大きさを判別することもできる。
【0032】
上記のように、検知電極に発生する誘導電流は、感光体と検知電極との相対移動速度に比例している。つまり、相対移動速度を速くすると、検出信号の強度が増大しSN比の良い信号を得ることができる。しかしながら、速過ぎると、検知電極210に接続されている回路要素214などに起因する時定数の影響により、かえってSN比が悪くなる場合がある。このため、相対移動速度は50mm/sec以上、2000mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以上、1000mm/sec以下がより好ましい。
【0033】
図2には、検知電極210を直接感光体101の表面102に接触させず、誘電体211を介して接触させる手段の一例として、検知電極210の上部を誘電体211で被覆する場合を図示した。しかし、図5に示すように、感光体101の表面102と検知電極210との間にシート状の誘電体211を挿入し、その誘電体211をローラー321で送る構成によっても、検知電極210を誘電体211を介して感光体101の表面102に接触させることができる。
【0034】
図2には、検知電極210を感光体101の表面102に追従させる手段の一例として、検知電極210が持つ弾性を利用する場合を図示した。しかし、図6(a)に示すように、バネ322によって検知電極210及び誘電体211を加圧する構成によっても検知電極210を感光体101の表面102に追従させることができる。また、図6(b)に示すように、検知電極210に沿うように配置された押え板323の弾性力によって検知電極210を加圧する構成によっても検知電極210を感光体101の表面102に追従させることができる。逆に、感光体101を検知電極210に向けて押圧する手段を感光体101の支持部(図示しない)に付加することによっても、感光体101の表面102と検知電極210(誘電体211)とを常に接触させることが可能である。
【0035】
検出分解能を上げるという観点からは、検知電極の形状が次のような形状であることが好ましい。即ち、感光体の表面中の接面(感光体の表面のうち、誘電体を介して検知電極が接触する面)に垂直であって、且つ、感光体と検知電極との相対移動方向に平行な断面が、エッジを持たない形状であることが好ましい。円柱状の検知電極を例にとって、上記断面形状について具体的に説明する。図7(a)に示すように、感光体101がその周方向に回転しており、且つ、検知電極210が感光体210の母線方向に走査されている場合、感光体101に対する検知電極210の相対移動方向は、感光体101の回転によって生じる相対移動方向(矢印X方向)と、検知電極210の走査によって生じる相対移動方向(矢印Y方向)との合成方向(矢印Z方向)となる。換言すれば、感光体101の表面における検知電極210の相対移動の軌跡は、螺旋状となる。従って、円柱状の検知電極210を上記接面に垂直で、且つ、相対移動方向に平行(=矢印Z方向と平行)な面で切断した場合、その断面210Aは図7(b)に示すような円形となり、エッジを持たない。尚、図7(a)、(b)に示す検知電極210は、それぞれ異なる縮尺で描かれている。図7(a)、(b)には、上記断面が円形となる例を図示したが、上記断面は真円形や楕円形などであってもよい。また、図7(c)に示すように、上記断面がアールを介して連続する3つ以上の円弧によって形成され、いずれかの円弧が感光体の接面に接触する検知電極である場合も、上記断面は上記条件を満たす。
【0036】
以上のような条件を満たす断面を有する検知電極を備えた検知センサーの一例を図8(a)、(b)を用いて詳しく説明する。図8(a)は、検知センサー105Aの検知電極210の近傍をさらに拡大した図であり、検知電極210の形状と感光体101との位置関係を模式的に表している。図8(b)は、同図(a)に示す検知センサー105Aを図1(b)と同一方向から見た図である。なお、図8(a)、(b)では、ここでの説明に必要のない回路要素などを省略してある。また、図8(a)では誘電体も省略してある。さらに、感光体101と検知電極210はそれぞれ異なる縮尺で図示されており、感光体101と検知電極210の大きさを図面上で比較することはできない。
【0037】
図8(a)、(b)に示す検知センサー105Aでは、L字形に加工された断面円形の導電性線材が図8(a)に示すように配置されている。この検知センサー105Aでは、上記導電性線材のうち、感光体101の表面102に平行な部分が検知電極210として機能し、検知電極210として機能する部分から鉛直方向に延在する部分が導線213として機能する。従って、感光体101の接面に垂直で、且つ、感光体101と検知電極210との相対移動方向に平行な検知電極210の断面は円形となる。なお、上記導電性線材の材質は、導電性の物質であれば特に制限されないが、W、Au、Pt、Cu、Fe、Ti、Cr、Ag、Ta、ステンレス等の物質は、導電性に優れ、検知電極として優れた材質である。その中でも、Wやステンレスは加工の容易さに優れており、検知電極の材質として現時点で総合的に最も適した材質である。
【0038】
図8(a)、(b)に示すような検知電極210では、その直径φが検出分解能を大きく左右する。検知電極210の直径φは基本的に小さい方が望ましいが、直径φを小さくすると信号強度が低下するため、直径φには下限がある。このため、検知電極210の直径φは、1μm以上、500μm以下が好ましく、10μm以上、100μm以下がさらに好ましい。そこで、図8(a)、(b)に示すような検知センサー105Aを製作する場合は、直径が上記範囲内にある導電性ワイヤーなどを使用することが好ましい。
【0039】
また、感光体101と検知電極210との相対移動方向と交差する方向における検知電極210の長さL、即ち感光体101の母線方向における検知電極210の長さLは、検出される信号の強度を左右する。感光体101の母線方向における検知電極210の長さLを長くすると信号強度は増大するが、検知電極210の直線性や平行性が低下しやすく、分解能の低下につながりやすい。このため、検知電極210の長さLは、0.2mm以上、10mm以下が好ましい。そこで、図8(a)、(b)に示すような検知センサー105Aを製作する場合は、検知電極210として機能する部分の長さが上記範囲内となるように、上記直径を有する導電性ワイヤーなどを加工することが好ましい。
【0040】
検知センサーの他例を図9(a)、(b)を用いて詳しく説明する。図9(a)は、検知センサー105Aの検知電極210の近傍をさらに拡大した図であり、検知電極210の形状と感光体101との位置関係を模式的に表している。図9(b)は、同図(a)に示す検知センサー105Aを図1(b)と同一方向から見た図である。なお、図9(a)、(b)では、ここでの説明に必要のない回路要素などを省略してある。また、図9(a)では、誘電体も省略してある。さらに、感光体101と検知電極210はそれぞれ異なる縮尺で図示されており、感光体101と検知電極210の大きさを図面上で比較することはできない。
【0041】
図9(a)、(b)に示す検知センサー105Aでは、誘電性の支持板430の上に、図示されているようなT字形の導体パターンが形成されている。この検知センサー105Aでは、上記導体パターンのうち、感光体101の表面と対向する支持板430の側面431に形成されている導体パターンの一部が検知電極210として機能する。また、検知電極210として機能する部分から鉛直方向に延在している導体パターンの一部が導線213として機能する。図9(b)に示すように、感光体101の接面に垂直で、且つ、感光体101と検知電極210との相対移動方向に平行な検知電極210の断面は略半円形となっている。なお、図9(a)には、検知電極210と導線213とがT字形に配置された場合を図示してあるが、図9(c)に示すようなL字形に配置することもできる。
【0042】
導体パターンからなる検知電極210及び導線213は、プリント基板回路パターニング技術など既存の技術を使って製作することができるため、検知電極210の大きさや形状を均一化し易いといった利点がある。また、導体パターンを形成する材料としては、導電性の物質であればよいが、特に、Cuが加工の容易さに優れており、現時点で総合的に最も適した材料である。
【0043】
ここで、支持板430の厚みは検出分解能を大きく左右する。特に、検知電極210が形成されている側面431近傍の厚みが検知分解能に大きな影響を与える。具体的には、支持板430の厚さが厚くなると、検出分解能が低下するので、支持板430は基本的に薄い方が好ましいが、薄くなり過ぎると、信号強度が低下したり、検知電極210の製作加工が困難になったりする。かかる観点より、少なくとも、検知電極210が形成されている側面431における支持板430の厚みW(=側面430の幅)は、20μm以上、200μm以下が好ましい。すなわち、支持板430は、側面431から反対側の側面に向けて次第に厚くなる形状や、逆に薄くなる形状などであってもよい。もっとも、生産性等を考慮すれば、支持板430の厚みは、全面に亙って一様であることが好ましい。
【0044】
さらに、感光体101と検知電極210との相対移動方向と交差する方向における検知電極210の長さL、即ち感光体101の母線方向における長さLが、0.2mm以上、10mm以下であることが好ましい点は、図8(a)、(b)に示す検知センサー105Aと同様である。
【0045】
なお、図5及び図6や、図8及び図9に示す検出センサー105Aを有する欠陥検出装置の欠陥検出原理は、図1に示す欠陥検出装置の欠陥検出原理と同一である。また、(1)検知電極に発生する誘導電流に表面電位の傾きに関する情報が含まれており、その情報を解析することにより、感光体の表面に存在する微小欠陥の大きさや数などを知ることができること、(2)感光体と検出電極との相対移動速度は50mm/sec以上、2000mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以上、1000mm/sec以下がより好ましいこと、(3)誘電体の厚みは5μm以上、200μm以下が好ましく、10μm以上、150μm以下がより好ましいこと、(4)様々な感光体のうち、表面硬度が硬く、比誘電率εが大きいa−Si感光体の欠陥検出に特に適していること、なども図1に示す欠陥検出装置と同様である。
【0046】
【検知電極の校正方法の実施形態】
次に、本発明による検知電極の校正方法(以下「校正方法」と略す)の一実施形態について説明する。ここで説明する校正方法は、図1に示す欠陥検出装置に用いられている複数の検知電極の出力特性を校正する方法として好適な方法である。
【0047】
まず、図1に示す欠陥検出装置に感光体101をセットし、切り替え手段108によって、感光体101の基体101Aの接続先をアースから交流電圧手段109に切り替える。この際、感光体101の回転および帯電は行わない。
【0048】
次に、交流電圧印加手段109を駆動して、感光体101の基体101Aに交流電圧を印加し、その状態で、欠陥検知手段105のセンサー支持台105Bを押し出し手段105Cによって押し出し(押し上げ)、検知センサー105Aを感光体101の表面102に接触させる。
【0049】
その後、回転手段106を駆動して感光体101を図1(b)の矢印A方向に回転させ、感光体101の表面102と検知電極210とを相対的に移動させる。さらに、必要に応じて移動手段107を駆動し、欠陥検出手段105を感光体101の母線方向に走査する。
【0050】
以上により、基体101Aに印加された交流電圧に起因する表面電位の変化によって、検知センサー105Aの検知電極210に誘導電流が発生する。換言すれば、検知電極210によって誘導電流(信号)が検出される。そこで、検出される信号の波形(以下、検出信号波形)がすべての検知電極210について同一波形となるように、検知電極210を調整する。
【0051】
検出信号波形が同一となるように検出電極210を調整する場合における重要なパラメータとしては、検出信号波形の振幅と時定数が挙げられる。振幅は、主に検出される信号のSN比を左右するパラメータである。基本的に、振幅は大きい方が好ましいが、複数の検知電極210間で検知信号波形の振幅が同一となればよい。振幅の調整を行う場合は、検出信号波形の振幅が数値化し易いように、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を基体101Aに印加することが好ましいが、図10(b)に示すような矩形波や、図10(c)に示すような三角波の交流電圧などを印加してもよい。
【0052】
また、時定数は、主に検出系の分解能に関わるパラメータであり、基本的には、時定数が小さい方が好ましい。但し、複数の検知電極210間で検出信号波形の時定数が同一となればよい。時定数の調整を行う場合は、検出信号波形の時定数の大小が比較し易いように、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を基体101Aに印加することが好ましい。
【0053】
さらに、印加電圧の大きさや周波数は、印加電圧の波形や検出系の状態に応じて適宜選択される。印加電圧の大きさが大きくなると(電圧が高くなると)、検出信号も大きくなるが、大きすぎると検出信号波形が歪む場合がある。また、印加電圧が小さくなると(電圧が低くなると)、検出信号が小さくなる。かかる観点から、印加電圧は、0.1V以上、100V以下とすることが好ましい。また、印加電圧の周波数が高くなると、検出信号は大きくなるが、特に時定数を調整する場合には、検出系の時定数より印加電圧の周期の方が早くなると、判定が難しくなる。また、印加電圧の周波数が低くなると、検出信号が小さくなる。かかる観点から、印加電圧の周波数は、10Hz以上、10kHz以下とすることが好ましい。
【0054】
検出信号波形の振幅や時定数が同一となるように検知電極210を調整する具体的な方法としては、検知電極210のセッティング状態を調整し、感光体101の表面102と検知電極210との位置関係を適正化する方法がある。もっとも、検知電極210が誘電体211を介して感光体101の表面102に接触する構成の欠陥検出装置では、検知電極210と感光体101の表面102との間のギャップが誘電体211の厚みによってほぼ一定に保持されている。従って、セッティング状態に起因する検出信号のバラツキは基本的には小さい。しかしながら、検知電極210の直線性や形状に歪みがある場合には、それらが検出信号に与える影響や、部分的に検出信号に有効的に作用しない箇所の存在等がセッティング状態によって若干変化する場合があり、それらを微調整するためには、セッティング状態の調整が有効な手法となる。
【0055】
検知電極210のセッティング状態を調整するだけでは、検出信号波形の振幅や時定数を十分に調整できない場合には、検知電極210に接続される回路要素214のパラメータ、例えば、容量Cや抵抗Rなどを調整して、検知電極210に発生する誘導電流に対する検出系の利得(ゲイン)や時定数を調整する手法などがある。それらの調整手法によっても、検出信号波形の振幅や時定数を所望の範囲内に調整不能な場合は、検知電極210を別のものに交換して再調整を行ってもよい。
【0056】
また、本発明の校正方法の他例として、図1に示す欠陥検出装置に、感光体101に代えてアルミシリンダのような導体をセットし、その導体に直接交流電圧を印加し、それ以外は上記の校正方法と同じ方法で検知電極210を校正してもよい。この場合、感光体101の代わりとして用いられる導体は、感光体101と同一形状、同一寸法であることが好ましいが、少なくとも、検知電極210が接触する部分に導体部分が存在すれば検知電極210の校正は可能である。そこで、円筒の一部分が切り取られた形状の導体やその他の形状及び寸法の導体であっても感光体101の代わりとして用いることができる。さらには、円筒形状に加工されたガラスやプラスチックなどの絶縁部材の表面に導体部分が形成されたものや、感光体101の表面102と同じ位置に平板上の導体が配置された治具なども感光体101の代わりとして用いることができる。
【0057】
これまで説明した校正方法によれば、検知電極を実際に欠陥検出装置にセットし、且つ、その欠陥検出装置を実際の欠陥検出動作時とほぼ同様に動作させた状態で、検知電極の校正が可能である。特に、実際の感光体を用いて校正を行う上記の方法によれば、実際の欠陥検出動作時とまったく同じ状態で検知電極の校正が行われるため、検知電極の形状的なバラツキやセッティング時のバラツキなどが排除され、飛躍的に精度の高い校正が可能となる。また、アルミシリンダのような導体を用いて校正を行う上記の方法によれば、使用する導体の形状や寸法を感光体と同一にすることによって、実際の欠陥検出動作時とほぼ同一の状態で校正が可能となるばかりでなく、導体に印加された交流電圧が感光層などを介さずに直接検知電極に作用するため、より高精度な校正が可能になるという利点がある。さらに、検知電極の校正を行うとき以外は、感光体の基体がアースに接続されているので、通常の欠陥検出測定や感光体の帯電電位測定などを行うときに基体に交流電圧が印加され、測定に影響を及ぼす虞もない。
【0058】
【欠陥検出装置の実施形態2】
本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を図11(a)、(b)に基づいて説明する。図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置の基本構成は、図1に示す欠陥検出装置と同様である。そこで、図1に示す欠陥検出装置と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置は、感光体101を差し入れることが可能な円形の開口部831が開口されたユニット832と、開口部831の周縁に取り付けられた画像露光手段833及び表面電位測定手段834と、を備えている。画像露光手段833及び表面電位測定手段834は、開口部831の円周方向任意の位置に取り付け可能とされている。また、感光体101の直径に応じて開口部831の径方向任意の位置にも取り付け可能とされている。ユニット832はネジ軸835を介して移動手段836に繋がれており、移動手段832によってネジ軸835がその軸回りに回転させられると、感光体101の母線方向に沿って移動する。ネジ軸835は、ユニット832を感光体101の母線方向外側まで移動させることができるように、感光体101の母線方向の長さよりも長くしてある。これによって、ユニット832に感光体101を脱着する際に、ユニット832を感光体101の母線方向外側まで移動させて、ユニット832と感光体101との干渉を回避することができる。なお、欠陥検出手段105は、ユニット832が感光体101の母線方向に移動した際に、ユニット832と干渉しない位置に設けられていることは言うまでもない。
【0060】
図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置では、感光体101の欠陥検出だけでなく、ユニット832に取り付けられた表面電位測定手段834によって感光体101の帯電特性、感光特性といった、いわゆる電位特性の測定も可能である。さらに、欠陥検出手段105とユニット832とを、感光体101の母線方向において異なる位置に移動させて、欠陥検出と電位特性の測定とを同時に行うこともできる。
【0061】
また必要に応じて、ユニット832に複数の表面電位測定手段834を配備しても良く、感光体101の表面温度測定手段や偏芯量測定手段等をさらに設けても良い。これらにより、感光体101の欠陥検出だけでなく、様々な特性についての評価を行うことも可能となる。
【0062】
また、図12(a)に示すように、ユニット832は複数設けても良い。この場合、移動手段836も複数配備し、各々のユニット832を独立して駆動できる構成とすることにより、評価のスピードや測定位置の自由度を高めることができる。図12(a)には、ユニット832が2台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0063】
また、図12(b)に示すように、ユニット832の移動手段を設けることなく、複数のユニット832を感光体101の母線方向に対して相対的に固定する構成としても良い。図12(b)には、ユニット832が3台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0064】
【欠陥検出装置の実施形態3】
本発明による欠陥検出装置のさらに他の実施形態を図13(a)、(b)に基づいて説明する。図13(a)、(b)に示す欠陥検出装置の基本構成は図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と同様である。そこで、図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図13(a)、(b)に示す欠陥検出装置が図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と異なる点の一つは、帯電手段104が、感光体101の表面をほぼ全域にわたって帯電させる長尺タイプではなく、電位特性の測定に必要な範囲のみを帯電させる短尺タイプの帯電手段とされている点である。異なる点の他の一つは、欠陥検出用帯電手段941を備えている点である。なお、欠陥検出用帯電手段941よりも感光体101の回転方向Xの上流側に、除電光手段を設けることもできる。
【0066】
前露光手段103、帯電手段104及び欠陥検出用帯電手段941は、ユニット832の開口部831の周縁に設けられ、ユニット832の移動とともに感光体101の母線方向任意の位置に移動させることが可能となっている。なお、欠陥検出手段105は、ユニット832が感光体101の母線方向に移動した際に、ユニット832と干渉しない位置に設けられていることは言うまでもない。
【0067】
前露光手段103、帯電手段104及び欠陥検出用帯電手段941は、開口部831の円周方向任意の位置に取り付け可能とされている。また、感光体101の直径に応じて開口部831の径方向任意の位置にも取り付け可能とされている。
【0068】
ユニット832は、図14(a)に示すように複数設けても良い。図14(a)には、一つの移動手段836で2台のユニット832を移動させる例を図示したが、ユニット832毎に移動手段836を設け、各ユニット832を独立して移動させることが可能な構成として、評価のスピードや測定位置の自由度を高めることもできる。また、図14(a)には、ユニット832が2台設けられた例を図示したが、必要に応じて更に台数を増やしても良い。
【0069】
また、図14(b)に示すように、ユニット832の移動手段を設けることなく、複数のユニット832を感光体101の母線方向に対して相対的に固定する構成としても良い。図14(b)には、ユニット832が3台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0070】
以下に本発明の好ましい実施例について説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0071】
【実施例1】
本実施例では、図1に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価を行った。但し、欠陥検出手段は、図2に示す検知センサー105Aではなく、図6(b)に示す押え板323のような加圧手段によって検知電極を加圧する構成の検知センサーを4つ備えている。また、各検知センサーの検知電極には、図8(a)に示すような、導電性ワイヤーをL字形に加工して製作した検知電極を用いた。導電性ワイヤーには、直径60μmのステンレスワイヤーを用い、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。また、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には膜厚30μmのマイラー(Mylar:登録商標)フィルムを用いた。
【0072】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を300[mm/sec]の速度で回転させながら、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0073】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,1〜No,8の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。なお、図4(b)に示すように検出信号波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(Full Width at Half Maximum, FWHM)の値を欠陥の大きさとした。
【0074】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を10セット分、即ち、40個用意し、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0075】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体を使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極を交換する度に、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の振幅と、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の時定数とが毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0076】
表2に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図15には、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果をヒストグラムで表している。図15でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0077】
さらに本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、評価対象の感光体を用いて実際にプリントアウトした画像による評価も合わせて行った。画像による評価は、キヤノン製デジタル複合機iR6000を用いて、ベタ黒原稿及びベタ白原稿をプリントアウトした画像における白点及び黒点の大きさ、数によって判定を行った。判定は、画像上の欠陥が顕著で実用上問題となる場合があるものをNGとし、それ以上のものは合格とした。その結果についても表2に合わせて示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、評価結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0081】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0082】
【比較例1】
実施例1の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例1と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表2、図15に合わせて示す。
【0083】
表2より、比較例1の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返し欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例1の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度の誤判定が発生している。
【0084】
また、図15に示したように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例1では概ね0.04mm以下であるのに対し、比較例1では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがある。
【0085】
これらの結果は次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0086】
以上より、本発明の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0087】
【実施例2】
実施例2では、図12(b)に示す欠陥検出装置と基本的に同一構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価と電位特性評価を行った。
【0088】
電位特性の評価に関しては、ある電子写真プロセスを模倣した測定条件にて測定を行い、この電子写真プロセスに感光体が使用可能であるか否かという判断基準をもとに評価を行った。即ち、本実施例は、感光体の出荷前における検査工程に本実施例の欠陥検出装置を用いた場合の例である。本実施例で用いた電位特性に関する測定条件の一覧を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
本実施例の欠陥検出装置は、基本的に図12(b)に示す構成を有するが、欠陥検出手段は、図2(a)、(b)に示す検知センサー105Aではなく、図6(b)に示す押さえ板323のような加圧手段によって検知電極を加圧する構成を有する検知センサーを8つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図9(a)に示す検知電極210と同一形状の検知電極を用いた。また、検知電極の材質はCuとし、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。さらに、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚30μmのカプトン(Kapton:登録商標)フィルムを使用した。
【0091】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を250[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0092】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,11〜No,18の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(a)に示すような検出信号波形の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtに相対移動速度を掛けた値を欠陥の大きさとした。
【0093】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を5セット分、即ち、40個用意して、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0094】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体と同一形状のアルミシリンダを使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極の交換毎、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図10(a)に示したような正弦波交流信号を印加した時の検出信号波形の振幅が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0095】
表4に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図16は、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果をヒストグラムで表している。図16でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0096】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果も表4に合わせて示す。
【0097】
【表4】
【0098】
表4に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、判定結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0099】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0100】
さらに、本実施例の欠陥検出装置では、感光体の欠陥評価と電位特性評価を同時に行うことができ、感光体の総合的な評価を簡単な作業で、且つ、短時間で行うことが可能であることがわかる。さらに、本実施例の欠陥検出装置には、電位測定ユニットが複数設けられているため、感光体の電位特性評価及び欠陥評価を非常に短時間に行うことができるといった更なる利点を有している。
【0101】
【比較例2】
実施例2の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例2と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表4、図16に合わせて示す。
【0102】
表4より、比較例2の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返して欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例2の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度の誤判定が発生している。
【0103】
また、図16に示すように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例2では概ね0.04mm以下であったのに対し、比較例2では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがあった。
【0104】
これらの結果は、実施例1の時と同様に、次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0105】
以上より、本発明の検知電極の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0106】
【実施例3】
本実施例では、図1に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価を行った。但し、欠陥検出手段は、図2に示す検知センサー105Aではなく、図5(a)に示すような、検知電極と感光体表面との間に挿入されたシート状の誘電体をローラーで送る構成を有する検知センサーを8つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図8(a)に示すような、導電性ワイヤーをL字型に加工して製作した検知電極を用いた。導電性ワイヤーには、φ100μmのタングステンワイヤーを用い、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚50μmのテフロン(Teflon:登録商標)フィルムを用いた。
【0107】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を700[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に2[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0108】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,21〜No,28の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(a)に示すように検出信号波形の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtに相対移動速度を掛けた値を欠陥の大きさとした。
【0109】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を5セット分、即ち、40個用意して、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0110】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体を使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極の交換毎、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図6(b)に示すような矩形波信号を印加した時の検出信号の時定数が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0111】
表5に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図17は、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果のヒストグラムを表している。図17でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0112】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果も表5に合わせて示す。
【0113】
【表5】
【0114】
表5に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、判定結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0115】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0116】
さらに、本実施例の欠陥検出装置では、シート状の誘電体を取り外して交換できるため、メンテナンス性に優れているといった利点がある。更に、誘電体をローラーで送る構成となっているため、耐摺擦性に優れているといった利点がある。
【0117】
【比較例3】
実施例3の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例3と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表5、図17に合わせて示す。
【0118】
表5より、比較例3の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返して欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例3の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度は誤判定が発生した。
【0119】
また、図17に示すように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例3では概ね0.04mm以下であったのに対し、比較例3では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがあった。
【0120】
これらの結果は、実施例1の時と同様に、次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0121】
以上より、本発明の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0122】
【実施例4】
本実施例では、図14(a)に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価と電位特性評価を行った。
【0123】
電位特性の評価に関しては、ある電子写真プロセスを模倣した測定条件にて測定を行い、この電子写真プロセスに感光体が使用可能であるか否かという判断基準をもとに評価を行った。即ち、本実施例は、感光体の出荷前における検査工程に本実施例の欠陥検出装置を用いた場合の例である。本実施例で用いた電位特性に関する測定条件の一覧を表6に示す。
【0124】
【表6】
【0125】
本実施例の欠陥検出装置は、基本的に図14(b)に示す欠陥検出装置と同一の構成を有するが、欠陥検出手段は、図2(a)、(b)に示す検知センサー105Aではなく、図9(c)に示す支持板430のような板材の弾性力を利用した加圧手段によって検知電極を加圧する構成を有する検知センサーを4つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図9(c)に示す検知電極210と同一形状の検知電極を用いた。また、検知電極の材質はCuとし、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。さらに、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚10μmのマイラー(Mylar:登録商標)フィルムを使用した。
【0126】
以上の構成を有する欠陥検知装置を使用し、感光体を150[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。測定結果は、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(b)に示すように、検出信号波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(FWHM/Full Width at Half Maximum)の値によって欠陥の大きさを評価した。
【0127】
以上の評価を、感光層の上に硬化型保護層が形成された有機感光体の出荷前検査として1ヶ月間継続して行った。
【0128】
検知電極の校正は、実際に評価される有機感光体と同じ形状のアルミシリンダを使って校正を行う上記の方法を用い、一日に1回、評価装置の立上げ時に行った。具体的には、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の振幅と、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の時定数が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。また、調整不能な時は、検知電極を新しいものに交換し、その検知電極の出力特性の校正を行った。
【0129】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果を表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
表7に示すように、本実施例の欠陥検出装置による欠陥評価で得られる良品率と、画像による評価で得られる良品率は、まったく同一の数値となった。更に、本実施例の欠陥検出装置による欠陥評価で不良と判定された感光体と、画像による評価で不良と判定された感光体のロットNoを調べたところ、すべて同一のロットNoであった。
【0132】
以上より、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥評価では、画像による評価と一致した結果が得られることがわかる。その上、長期間の連続使用時においても、検知電極の固体差やセッティング毎のバラツキが無く、非常に安定した信号検出系を長期間にわたって維持できることが確認できる。
【0133】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合、感光体表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0134】
また、本実施例の欠陥検出装置では、感光体の欠陥評価と電位特性評価を同時に行うことができ、感光体の総合的な評価を簡単な作業で、且つ、短時間に評価可能であることがわかる。さらに、本実施例の欠陥検出装置には、電位測定ユニットが複数設けられているため、感光体の電位特性評価及び欠陥評価を非常に短時間に行うことができるといった更なる利点を有している。
【0135】
【発明の効果】
本発明によれば、欠陥検出装置に用いられる検知電極を実際の使用状態と同じ状態か、それに極めて近い状態に置いて校正することが可能である。従って、検知電極の形状的な要因によるバラツキやセッティング時のバラツキの要因を排除した校正が可能となり、視覚では検出が困難な微小欠陥であっても、再現性よく検出することができる。
【0136】
また、本発明によれば、非常に安定した検出系を長期間にわたって維持できるので、長期間の連続使用時においても、再現性、信頼性に関して優れた検出結果が得られる。
【0137】
更に、欠陥検出だけでなく、感光体の電位特性に関する測定も同時に行えるので、評価のために必要な作業を簡素化でき、且つ、短時間で感光体の総合的な評価を終えることができるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の欠陥検出装置の一実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図2】欠陥検出手段の模式的に示す拡大図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図3】図2の検知電極が撓んだ状態を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図4】(a)は、本発明の欠陥検出装置による検出結果の一例を示す図であり、(b)は(a)の検出結果を積分解析した結果の一例を示す図である。
【図5】検知センサーの他例を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図6】(a)、(b)は、検出センサーの異なる例を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図7】感光体の接面に垂直であって、且つ、感光体と検知電極との相対移動方向に平行な検知電極の断面を示す図であって、(a)は上記断面の位置関係を示す図、(b)は上記断面を正面から見た図、(c)は上記断面の他例を示す図である。
【図8】検出センサーの一例を模式的に示す拡大図であって、(a)は左斜めから見た図、(b)は側方から見た図である。
【図9】(a)、(c)は検知センサーの異なる例を模式的に示す図であって、左斜めから見た図、(b)は(a)の検知センサーを側方から見た図。
【図10】(a)〜(c)は印加電圧の波形と検知信号波形の異なる例を示す図である。
【図11】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図12】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図13】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図14】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図15】実施例1及び比較例1において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【図16】実施例2及び比較例2において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【図17】実施例3及び比較例3において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【符号の説明】
101 感光体
102 感光体の表面
103 前露光手段
104 帯電手段
105 欠陥検出手段
105A 検知センサー
105B センサー支持台
105C 押し出し手段
105D 支持基板
106 回転手段
107 移動手段
210 検知電極
210A 検知電極の断面
211 誘電体
212 絶縁性支持体
213 導線
214 回路要素
321 ローラー
322 バネ
323 押え板
430 支持板
431 側面
832 ユニット
836 移動手段
833 画総露光手段
834 表面電位測定手段
941 欠陥検出用帯電手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用感光体の欠陥検出に用いられる複数の検知電極を校正する方法と、その校正方法を用いて検知電極の校正が可能な電子写真感光体の欠陥検出装置と、に関するものである。より詳しくは、基体の表面にアモルファスシリコンからなる感光層が形成されたアモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と略す場合もある。)の微小欠陥を高速で検出するのに適した欠陥検出装置と、そのような欠陥検出装置に用いられる検知電極に好適な校正方法と、に関するものである。ここで、本明細書において検知電極の校正とは、欠陥検出装置に用いられる複数の検知電極の出力特性を一致させるか、可及的に一致させることを意味する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体(以下、感光体と略す場合もある)は、適用される電子写真プロセスに応じた帯電特性、感光特性などに代表される様々な特性を満足する必要があり、出荷前にはそれらの特性に関する検査が行われる。さらに、使用初期より良好な画像の形成を可能とするためには、上記諸特性の検査に加え、感光体に存在する欠陥の有無に関しても検査を行っておく必要がある。
【0003】
感光体に存在する欠陥のうち、視覚によって確認可能な程度の大きさ欠陥の検出に関しては特に問題はないが、微小なピンホールや突起などといった欠陥の存在を検出することは容易ではない。特にa−Si感光体においては、その製法上、しばしば感光層や保護層などを形成する堆積膜の表面に突起が発生することが知られている。突起の発生を抑制する方法は多数提案されているものの、偶然に付着した微細な異物に由来する突起の発生を防止することは、技術的にも、コスト的にも困難である。
【0004】
しかし、堆積膜の表面に突起が存在すると、突起部分と正常部分とで、電荷保持能力に差が生じる場合がある。また、研摩等の後工程によって突起の頭頂部のみが削られたりすると、表面電位の均一性が乱れる要因となる。こうした表面電位の不均一性は、現像プロセスによって白点や黒点となって画像上に現れる懸念がある。
【0005】
従来、上記のような微小欠陥の評価法として、既存の複写機を使って画像を出力し、その画像によって評価を行う方法が一般的に知られている。
【0006】
また、レーザー光や白色光を感光体の表面に照射し、その反射光を光電変換素子やCCDカメラで検出して光学的に欠陥の有無を検出する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、電気的に感光体の表面の欠陥を評価する装置としては、約1mm2程度の面積をもつ検知電極を約1mm程度の間隔をもって感光体の表面に対向させ、その表面に存在する欠陥が検知電極に近づいたときに発生する検知電極の電位低下率を検知電極に接続された分圧コンデンサや増幅器などによって検出して、欠陥の有無や大きさなどを判別する装置がある(例えば、特許文献2参照)。尚、特許文献2に記載されている装置は、直径が0.4mm〜1mmといった比較的大きな欠陥を検出対象としている。
【0008】
また、検知電極を被測定表面の近傍に配置し、それらを相対的に移動させることによって検知電極に被測定表面の電位変化による誘導電流を発生させ、発生した誘導電流を解析することによって、表面電位の均一性を測定する方法もある(例えば、特許文献3参照)。尚、特許文献3に記載されている方法は、検知電極が有するエッジによって被測定表面の電位変化を検出することを特徴としている。
【0009】
また、数ドット毎にOn/Offを繰り返す露光パターンによって形成した潜像電位分布を測定電極によって測定する方法もある(例えば、特許文献4参照)。この種の方法では、測定電極を感光体表面から50μm程度まで接近させて配置し、測定電極と感光体の表面との間のギャップ容量によって測定電極に誘起される電荷を測定用コンデンサで検出して、感光体の表面電位を測定する。尚、特許文献4に記載されている方法は、測定電極と感光体の表面との間における放電を防止するために、バイアスを印加したり、放電開始電圧の高いガス(SF6)を充満させる手段を配備したりすることを特徴としている。さらに、測定電極と感光体の表面との間のギャップを一定に保つために、ギャップセンサーや高精度な精密パルスステージを使用したギャップ制御手段を配備している。
【0010】
また、検知電極を被測定表面に対して相対的に移動させることによって検知電極に発生する誘導電流を測定し、被測定表面の微細な電位変化を読み取る方法であって、検知電極を測定対象となる電位変化の幅よりも小さくし、かつ、エッジを持たない検知電極を用いることでより高分解能な測定を可能としている方法もある(例えば、特許文献5参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平04−194944号公報 (第2−5頁、第1図)
【特許文献2】
特許第2674002号公報 (第2−3頁、第2図)
【特許文献3】
特許第3030398号公報 (第3−7頁、第1図)
【特許文献4】
特許第3009179号公報 (第3−8頁、第2図)
【特許文献5】
特開平11−183542号公報 (第4−8頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
感光体の表面の欠陥を電気的に検出する上記のような方法においては、感光体の表面の微細な電位変化を電気的な信号として検出するため、検知電極と感光体の表面との間のギャップが必要となり、検知電極に発生にする誘導電流の大きさは、このギャップの大きさに極めて強く依存する。従って、ギャップの大きさは測定結果に強い影響を及ぼし、測定中は常にギャップが一定となるように制御する必要がある。その上、数百μm以下のオーダーとなる微細な表面欠陥を検出するためには、ギャップを数百μm以下とすることが求められ、精度が数十μmオーダーの非常に高精度なギャップ制御が要求される。ギャップセンサーと精密ステージとを使って非接触でギャップを制御する従来の方法では、装置構成が複雑化するだけでなく、要求される精度を得る為には高精度な機器が必要となるため、コスト的に不利であった。さらに、ギャップ制御系の精度の範囲内では、ギャップが変動し得る構成であり、特に複数の検知電極を用いた場合には、検知電極毎に出力特性がばらついてしまったり、セッティング毎にばらついてしまったりすることがあった。
【0013】
また、感光体表面と検知電極との間に誘電体を介在させ、その誘電体の厚みによってギャップを一定に保持する方法においても、複数の検知電極を用いる場合には、それらの出力特性を完全に一致させることは難しく、検知電極毎にばらついてしまうことがあった。特に、より小さな欠陥まで検出できるように高分解能の検知電極を用いる場合において、そのような傾向がみられた。これは、高分解能を得るために検知電極を小型化し、精密化すると、検知電極の寸法や形状等にバラツキや歪み等が生じ易くなるためと推測される。一般に、検知電極が小型化すると、検出信号レベルが小さくなり、SN比が低下する。このため、複数の検知電極間で寸法や形状に僅かでもバラツキがあると、それが出力特性に影響を与え易くなるものと考えられる。また、形状的な歪みがある場合は、それが出力特性に与える影響も無視できなくなり、セッティング毎に出力特性がばらつく場合がでてくると考えられる。
【0014】
このように、複数の検知電極を用いて欠陥検出を行う場合は、検知電極の出力特性の校正方法に関して改善の余地を有しており、検知電極単体での校正だけでなく、欠陥検出装置に検知電極をセッティングした状態において、検知電極毎、あるいは、セッティング毎に出力特性を校正できる方法の確立が望まれていた。
【0015】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、感光体の欠陥検出に用いられる複数の検知電極を高精度で校正可能な方法と、その校正方法を用いて検知電極の校正が可能で、再現性、信頼性に優れた検出結果が得られる欠陥検出装置とを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の検知電極の校正方法は、電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させ、前記感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出し、その検出結果に基づいて前記表面の欠陥を検出する電子写真用感光体の欠陥検出装置に用いられる検知電極を校正する検知電極の校正方法であって、検知電極を交流電圧が印加された導体に誘電体を介して接触させる工程と、複数の検知電極に誘導される誘導電流の波形が一定となるように各検知電極を調整する工程と、を少なくとも有する。
【0017】
また、本発明の電子写真感光体の欠陥検出装置は、電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させる手段と、感光体の表面と前記検知電極との間に介在する誘電体と、感光体の基体に交流電圧を印加する手段と、感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出する手段と、感光体の基体を前記交流電圧を印加する手段を含む2以上の接続先に切替え接続する手段と、を少なくとも有する。
【0018】
以上の構成を有する本発明によれば、検知電極の校正に用いられる導体として、実際の評価対象である感光体やその感光体に極めて近い構成の導体を用いることができる。また、同時に使用される複数の検知電極がそれぞれ単体ではなく、実際に欠陥検出装置にセットされた状態で互いの出力特性が一致するように校正される。従って、複数の検知電極が実際の欠陥検出動作時と同じ状態か、実際の欠陥検出動作時に極めて近い状態で校正され、そのようにして校正された検知電極を使用することによって、感光体の表面の微細な欠陥の数や大きさなどを短時間で、且つ、確実に検出することが可能となる。さらに、その検出結果は、再現性に優れた結果となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用感光体の欠陥検出装置(以下、「欠陥検出装置」と略す)は、少なくとも、感光体の表面に対して複数の検知電極を相対的に移動させる手段と、上記感光体に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と、交流電圧が印加されている感光体に対して検知電極が相対的に移動することによって検知電極に発生する誘導電流を検出する手段と、感光体を交流電圧印加手段を含む2以上の接続先に切り替え接続可能な切り替え手段と、を有することにより、複数の検知電極を欠陥検出装置本体にセットした状態で、各検知電極の出力特性を校正可能としたものである。以下、図面に基づいて本発明による欠陥検出装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
【欠陥検出装置の実施形態1】
図1は、本発明による欠陥検出装置の一実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。図1(a)、(b)中の符号101は、円筒状の基体101Aの表面に、少なくとも感光層が形成された電子写真用の感光体を示し、符号102は、感光体101の表面を示す。ここで、感光体101の表面102とは、基体101Aの表面に感光層のみが形成されている場合には、その感光層の表面を意味し、感光層の上に保護層やその他の層が積層されている場合には、最外層の表面を示す。
【0021】
図1に示す欠陥検出装置は、前露光手段103と、帯電手段104と、欠陥検出手段105と、回転手段106と、移動手段107と、切り替え手段108と、交流電圧印加手段109と、を少なくとも備えている。
【0022】
帯電手段104は、感光体101の表面102をほぼ全域に亙って帯電させることが可能な長尺タイプの帯電手段である。前露光手段103は、帯電手段104よりも感光体101の回転方向Aの上流側に配置されている。前露光手段103の光源には、LEDやレーザーを用いることができる。また、ハロゲンランプのようなアナログ光を出力する光源を用いることもできる。さらに、感光体101に照射される露光用の光は、ハロゲン光のようなアナログ光をフィルターや回折格子などを使って単色光とした光などであってもよい。回転手段106は、感光体101を任意の速度で矢印A方向に回転させる、
欠陥検出手段105は、支持基板105Dの上に設けられたセンサー支持台105B及び押し出し手段105Cと、センサー支持台105Bの上に所定間隔で配置された複数の検知センサー105Aとから構成されている。押し出し手段105Cは、センサー支持台105Bを昇降させて、検知センサー105Aを感光体101の表面102に接触させたり、感光体101Bの表面102から遠ざけたりする。
【0023】
移動手段107は、支持基板105Dに繋がれたネジ軸を回転させることによって欠陥検出手段105を感光体101の母線方向(円筒軸線方向)に移動させ、検知センサー105Aを感光体101の母線方向に走査させる。尚、ネジ軸をさらに長尺化し、感光体101の母線方向における任意の位置だけでなく、感光体101の母線方向外側まで欠陥検出手段105を移動可能な構成としても良い。また、検知センサー105Aを感光体101の母線方向の全域に亙って配置することにより、欠陥検出手段105を感光体101の母線方向に移動させることなく、感光体101の全面の欠陥を検出可能な構成としても良い。
【0024】
切り替え手段108は、有接点又は無接点のスイッチであり、感光体101の基体101Aをアースと交流電圧印加手段109とに切替え接続する。
【0025】
図2は、図1に示す検知センサー105Aをより詳細に説明するための模式的拡大図であり、図2(a)は図1(a)と同じ方向から見た図、図2(b)は図1(b)と同じ方向から見た図である。
【0026】
図2(a)、(b)に示すように、検知センサー105Aは、検知電極210と、検知電極210を支える絶縁性支持体212とを備えている。検出電極210の上部は絶縁支持体212よりも上方に突出しており、下端は導線213を介して回路要素214に接続されている。また、絶縁支持体212よりも上方に突出した検知電極210の上部は誘電体211によって被覆され、検知電極210は誘電体211を介して感光体101の表面102に接触するようになっている。誘電体211には、カプトン(Kapton:登録商標)フィルム、マイラー(Mylar:登録商標)フィルム、テフロン(Teflon:登録商標)フィルムなどの誘電体フィルムを用いることができる。また、ディッピング等の方法で何らかの誘電物質を検知電極210の上部表面に固着させて誘電体211を形成することもできる。
【0027】
但し、誘電体211は、感光体101の表面102と検知電極210との間に介在して、表面102の電位変化に伴う誘電電流を検知電極210に発生させるために必要なギャップを形成すると共に、そのギャップを一定に保持する役割を果たしている。従って、誘電体211の厚み(=ギャップの大きさ)は基本的に薄い方が望ましい。しかし、誘電体211が薄すぎると、誘電体210の材質によっては感光体101の表面102と検知電極210との間で放電等が起こり、正常な信号が検出されない場合がある。また、上記のように、誘電体211と感光体101の表面102とは、少なくとも欠陥検出動作中は常に接触しているため、摩耗性、耐久性という観点を考慮して誘電体211の厚みを決める必要もある。以上の観点より、誘電体211の厚みは、5μm以上、200μm以下が好ましく、10μm以上、150μm以下がより好ましい。
【0028】
検知電極210は、感光体101の表面102に押し付けられると図3に示すように撓み、自己復元力によって感光体101の表面102に圧接する弾性を有している。従って、感光体101が偏芯した場合にも、検知電極210は、誘電体211を介して感光体101の表面102に常時接するように追従する。これによって、感光体101の偏芯等に代表される測定系の不安定要因の影響をほとんど受けない評価結果を得ることが可能となる。
【0029】
欠陥検出動作中に感光体の表面に何かを接触させながら走査する方式を用いる場合、感光体の表面にキズ等の損傷を与える懸念がある。しかし、図2(a)、(b)に示す構成の欠陥検出手段105では、検知電極210の接触によって感光体101が受ける力は非常に弱く、そのような懸念はほとんどない。特に、感光層がアモルファスシリコンからなるa−Si感光体や感光層の表面に硬化型保護層が形成された有機系感光体の場合は全く損傷を受けないことが本件発明者らの実験で確認されている。尚、感光層の表面に硬化型保護層が形成されている場合、検知電極は誘電体を介して硬化型保護層の表面に接触することになるが、図2(a)、(b)に示す構成の欠陥検出手段105を用いた場合、感光層の表面が硬化型保護層によって被覆されていても、被覆されていなくても、欠陥検出に影響はない。
【0030】
図1に示す構成の欠陥検出装置において、感光体101が回転し、感光体101の表面102と検知電極210との間に相対的な移動が生じたとき、表面102の電位の微小変化量をdV、相対移動速度をdx/dtとすると、検知電極210には、dV/dt=(dV/dx)・(dx/dt)に比例する誘導電流が発生する。このため、感光体101の表面102に球状突起などに起因する電気的な微小欠陥が存在した場合には、その欠陥を誘導電流の変化として検出することができる。また、回転手段106によって感光体101と検知電極210との相対移動速度を任意に設定できるため、検出される誘導電流には表面電位の傾きに関する情報が含まれている。従って、表面電位の傾きに関する情報を解析することにより、感光体101の表面102に存在する微小欠陥の大きさや数などを知ることができる。なお、電子写真用の感光体には、有機系の感光材料を用いた感光体、いわゆるOPC(Organic Photoconductor)感光体等があるが、表面硬度が硬く、比誘電率εが大きいa−Si感光体は、誘導電流を安定して検出できるラチチュード(Latitude)が広く、本発明の欠陥検出装置による欠陥検出に適している。
【0031】
図1に示す欠陥検出装置を使用して実際に感光体101の表面102に存在する欠陥を検出する実験を行った結果を図4(a)、(b)に示す。図4(a)は、検知電極210に発生した誘導電流(検出信号)の波形を示し、図4(b)は同図(a)のデータを積分解析した後の波形であって、感光体101の表面102における電位分布を示している。図4(a)に示すように、検出信号の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtと相対移動速度との関係に基づいて検出された欠陥の大きさを判別することができる。また、検出信号のピーク強度によって、欠陥の大きさを判別することもできる。また、図4(b)に示すように、同図(a)の波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(FWHM/Full Width at Half Maximum)などにより、検出された欠陥の大きさを判別することもできる。
【0032】
上記のように、検知電極に発生する誘導電流は、感光体と検知電極との相対移動速度に比例している。つまり、相対移動速度を速くすると、検出信号の強度が増大しSN比の良い信号を得ることができる。しかしながら、速過ぎると、検知電極210に接続されている回路要素214などに起因する時定数の影響により、かえってSN比が悪くなる場合がある。このため、相対移動速度は50mm/sec以上、2000mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以上、1000mm/sec以下がより好ましい。
【0033】
図2には、検知電極210を直接感光体101の表面102に接触させず、誘電体211を介して接触させる手段の一例として、検知電極210の上部を誘電体211で被覆する場合を図示した。しかし、図5に示すように、感光体101の表面102と検知電極210との間にシート状の誘電体211を挿入し、その誘電体211をローラー321で送る構成によっても、検知電極210を誘電体211を介して感光体101の表面102に接触させることができる。
【0034】
図2には、検知電極210を感光体101の表面102に追従させる手段の一例として、検知電極210が持つ弾性を利用する場合を図示した。しかし、図6(a)に示すように、バネ322によって検知電極210及び誘電体211を加圧する構成によっても検知電極210を感光体101の表面102に追従させることができる。また、図6(b)に示すように、検知電極210に沿うように配置された押え板323の弾性力によって検知電極210を加圧する構成によっても検知電極210を感光体101の表面102に追従させることができる。逆に、感光体101を検知電極210に向けて押圧する手段を感光体101の支持部(図示しない)に付加することによっても、感光体101の表面102と検知電極210(誘電体211)とを常に接触させることが可能である。
【0035】
検出分解能を上げるという観点からは、検知電極の形状が次のような形状であることが好ましい。即ち、感光体の表面中の接面(感光体の表面のうち、誘電体を介して検知電極が接触する面)に垂直であって、且つ、感光体と検知電極との相対移動方向に平行な断面が、エッジを持たない形状であることが好ましい。円柱状の検知電極を例にとって、上記断面形状について具体的に説明する。図7(a)に示すように、感光体101がその周方向に回転しており、且つ、検知電極210が感光体210の母線方向に走査されている場合、感光体101に対する検知電極210の相対移動方向は、感光体101の回転によって生じる相対移動方向(矢印X方向)と、検知電極210の走査によって生じる相対移動方向(矢印Y方向)との合成方向(矢印Z方向)となる。換言すれば、感光体101の表面における検知電極210の相対移動の軌跡は、螺旋状となる。従って、円柱状の検知電極210を上記接面に垂直で、且つ、相対移動方向に平行(=矢印Z方向と平行)な面で切断した場合、その断面210Aは図7(b)に示すような円形となり、エッジを持たない。尚、図7(a)、(b)に示す検知電極210は、それぞれ異なる縮尺で描かれている。図7(a)、(b)には、上記断面が円形となる例を図示したが、上記断面は真円形や楕円形などであってもよい。また、図7(c)に示すように、上記断面がアールを介して連続する3つ以上の円弧によって形成され、いずれかの円弧が感光体の接面に接触する検知電極である場合も、上記断面は上記条件を満たす。
【0036】
以上のような条件を満たす断面を有する検知電極を備えた検知センサーの一例を図8(a)、(b)を用いて詳しく説明する。図8(a)は、検知センサー105Aの検知電極210の近傍をさらに拡大した図であり、検知電極210の形状と感光体101との位置関係を模式的に表している。図8(b)は、同図(a)に示す検知センサー105Aを図1(b)と同一方向から見た図である。なお、図8(a)、(b)では、ここでの説明に必要のない回路要素などを省略してある。また、図8(a)では誘電体も省略してある。さらに、感光体101と検知電極210はそれぞれ異なる縮尺で図示されており、感光体101と検知電極210の大きさを図面上で比較することはできない。
【0037】
図8(a)、(b)に示す検知センサー105Aでは、L字形に加工された断面円形の導電性線材が図8(a)に示すように配置されている。この検知センサー105Aでは、上記導電性線材のうち、感光体101の表面102に平行な部分が検知電極210として機能し、検知電極210として機能する部分から鉛直方向に延在する部分が導線213として機能する。従って、感光体101の接面に垂直で、且つ、感光体101と検知電極210との相対移動方向に平行な検知電極210の断面は円形となる。なお、上記導電性線材の材質は、導電性の物質であれば特に制限されないが、W、Au、Pt、Cu、Fe、Ti、Cr、Ag、Ta、ステンレス等の物質は、導電性に優れ、検知電極として優れた材質である。その中でも、Wやステンレスは加工の容易さに優れており、検知電極の材質として現時点で総合的に最も適した材質である。
【0038】
図8(a)、(b)に示すような検知電極210では、その直径φが検出分解能を大きく左右する。検知電極210の直径φは基本的に小さい方が望ましいが、直径φを小さくすると信号強度が低下するため、直径φには下限がある。このため、検知電極210の直径φは、1μm以上、500μm以下が好ましく、10μm以上、100μm以下がさらに好ましい。そこで、図8(a)、(b)に示すような検知センサー105Aを製作する場合は、直径が上記範囲内にある導電性ワイヤーなどを使用することが好ましい。
【0039】
また、感光体101と検知電極210との相対移動方向と交差する方向における検知電極210の長さL、即ち感光体101の母線方向における検知電極210の長さLは、検出される信号の強度を左右する。感光体101の母線方向における検知電極210の長さLを長くすると信号強度は増大するが、検知電極210の直線性や平行性が低下しやすく、分解能の低下につながりやすい。このため、検知電極210の長さLは、0.2mm以上、10mm以下が好ましい。そこで、図8(a)、(b)に示すような検知センサー105Aを製作する場合は、検知電極210として機能する部分の長さが上記範囲内となるように、上記直径を有する導電性ワイヤーなどを加工することが好ましい。
【0040】
検知センサーの他例を図9(a)、(b)を用いて詳しく説明する。図9(a)は、検知センサー105Aの検知電極210の近傍をさらに拡大した図であり、検知電極210の形状と感光体101との位置関係を模式的に表している。図9(b)は、同図(a)に示す検知センサー105Aを図1(b)と同一方向から見た図である。なお、図9(a)、(b)では、ここでの説明に必要のない回路要素などを省略してある。また、図9(a)では、誘電体も省略してある。さらに、感光体101と検知電極210はそれぞれ異なる縮尺で図示されており、感光体101と検知電極210の大きさを図面上で比較することはできない。
【0041】
図9(a)、(b)に示す検知センサー105Aでは、誘電性の支持板430の上に、図示されているようなT字形の導体パターンが形成されている。この検知センサー105Aでは、上記導体パターンのうち、感光体101の表面と対向する支持板430の側面431に形成されている導体パターンの一部が検知電極210として機能する。また、検知電極210として機能する部分から鉛直方向に延在している導体パターンの一部が導線213として機能する。図9(b)に示すように、感光体101の接面に垂直で、且つ、感光体101と検知電極210との相対移動方向に平行な検知電極210の断面は略半円形となっている。なお、図9(a)には、検知電極210と導線213とがT字形に配置された場合を図示してあるが、図9(c)に示すようなL字形に配置することもできる。
【0042】
導体パターンからなる検知電極210及び導線213は、プリント基板回路パターニング技術など既存の技術を使って製作することができるため、検知電極210の大きさや形状を均一化し易いといった利点がある。また、導体パターンを形成する材料としては、導電性の物質であればよいが、特に、Cuが加工の容易さに優れており、現時点で総合的に最も適した材料である。
【0043】
ここで、支持板430の厚みは検出分解能を大きく左右する。特に、検知電極210が形成されている側面431近傍の厚みが検知分解能に大きな影響を与える。具体的には、支持板430の厚さが厚くなると、検出分解能が低下するので、支持板430は基本的に薄い方が好ましいが、薄くなり過ぎると、信号強度が低下したり、検知電極210の製作加工が困難になったりする。かかる観点より、少なくとも、検知電極210が形成されている側面431における支持板430の厚みW(=側面430の幅)は、20μm以上、200μm以下が好ましい。すなわち、支持板430は、側面431から反対側の側面に向けて次第に厚くなる形状や、逆に薄くなる形状などであってもよい。もっとも、生産性等を考慮すれば、支持板430の厚みは、全面に亙って一様であることが好ましい。
【0044】
さらに、感光体101と検知電極210との相対移動方向と交差する方向における検知電極210の長さL、即ち感光体101の母線方向における長さLが、0.2mm以上、10mm以下であることが好ましい点は、図8(a)、(b)に示す検知センサー105Aと同様である。
【0045】
なお、図5及び図6や、図8及び図9に示す検出センサー105Aを有する欠陥検出装置の欠陥検出原理は、図1に示す欠陥検出装置の欠陥検出原理と同一である。また、(1)検知電極に発生する誘導電流に表面電位の傾きに関する情報が含まれており、その情報を解析することにより、感光体の表面に存在する微小欠陥の大きさや数などを知ることができること、(2)感光体と検出電極との相対移動速度は50mm/sec以上、2000mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以上、1000mm/sec以下がより好ましいこと、(3)誘電体の厚みは5μm以上、200μm以下が好ましく、10μm以上、150μm以下がより好ましいこと、(4)様々な感光体のうち、表面硬度が硬く、比誘電率εが大きいa−Si感光体の欠陥検出に特に適していること、なども図1に示す欠陥検出装置と同様である。
【0046】
【検知電極の校正方法の実施形態】
次に、本発明による検知電極の校正方法(以下「校正方法」と略す)の一実施形態について説明する。ここで説明する校正方法は、図1に示す欠陥検出装置に用いられている複数の検知電極の出力特性を校正する方法として好適な方法である。
【0047】
まず、図1に示す欠陥検出装置に感光体101をセットし、切り替え手段108によって、感光体101の基体101Aの接続先をアースから交流電圧手段109に切り替える。この際、感光体101の回転および帯電は行わない。
【0048】
次に、交流電圧印加手段109を駆動して、感光体101の基体101Aに交流電圧を印加し、その状態で、欠陥検知手段105のセンサー支持台105Bを押し出し手段105Cによって押し出し(押し上げ)、検知センサー105Aを感光体101の表面102に接触させる。
【0049】
その後、回転手段106を駆動して感光体101を図1(b)の矢印A方向に回転させ、感光体101の表面102と検知電極210とを相対的に移動させる。さらに、必要に応じて移動手段107を駆動し、欠陥検出手段105を感光体101の母線方向に走査する。
【0050】
以上により、基体101Aに印加された交流電圧に起因する表面電位の変化によって、検知センサー105Aの検知電極210に誘導電流が発生する。換言すれば、検知電極210によって誘導電流(信号)が検出される。そこで、検出される信号の波形(以下、検出信号波形)がすべての検知電極210について同一波形となるように、検知電極210を調整する。
【0051】
検出信号波形が同一となるように検出電極210を調整する場合における重要なパラメータとしては、検出信号波形の振幅と時定数が挙げられる。振幅は、主に検出される信号のSN比を左右するパラメータである。基本的に、振幅は大きい方が好ましいが、複数の検知電極210間で検知信号波形の振幅が同一となればよい。振幅の調整を行う場合は、検出信号波形の振幅が数値化し易いように、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を基体101Aに印加することが好ましいが、図10(b)に示すような矩形波や、図10(c)に示すような三角波の交流電圧などを印加してもよい。
【0052】
また、時定数は、主に検出系の分解能に関わるパラメータであり、基本的には、時定数が小さい方が好ましい。但し、複数の検知電極210間で検出信号波形の時定数が同一となればよい。時定数の調整を行う場合は、検出信号波形の時定数の大小が比較し易いように、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を基体101Aに印加することが好ましい。
【0053】
さらに、印加電圧の大きさや周波数は、印加電圧の波形や検出系の状態に応じて適宜選択される。印加電圧の大きさが大きくなると(電圧が高くなると)、検出信号も大きくなるが、大きすぎると検出信号波形が歪む場合がある。また、印加電圧が小さくなると(電圧が低くなると)、検出信号が小さくなる。かかる観点から、印加電圧は、0.1V以上、100V以下とすることが好ましい。また、印加電圧の周波数が高くなると、検出信号は大きくなるが、特に時定数を調整する場合には、検出系の時定数より印加電圧の周期の方が早くなると、判定が難しくなる。また、印加電圧の周波数が低くなると、検出信号が小さくなる。かかる観点から、印加電圧の周波数は、10Hz以上、10kHz以下とすることが好ましい。
【0054】
検出信号波形の振幅や時定数が同一となるように検知電極210を調整する具体的な方法としては、検知電極210のセッティング状態を調整し、感光体101の表面102と検知電極210との位置関係を適正化する方法がある。もっとも、検知電極210が誘電体211を介して感光体101の表面102に接触する構成の欠陥検出装置では、検知電極210と感光体101の表面102との間のギャップが誘電体211の厚みによってほぼ一定に保持されている。従って、セッティング状態に起因する検出信号のバラツキは基本的には小さい。しかしながら、検知電極210の直線性や形状に歪みがある場合には、それらが検出信号に与える影響や、部分的に検出信号に有効的に作用しない箇所の存在等がセッティング状態によって若干変化する場合があり、それらを微調整するためには、セッティング状態の調整が有効な手法となる。
【0055】
検知電極210のセッティング状態を調整するだけでは、検出信号波形の振幅や時定数を十分に調整できない場合には、検知電極210に接続される回路要素214のパラメータ、例えば、容量Cや抵抗Rなどを調整して、検知電極210に発生する誘導電流に対する検出系の利得(ゲイン)や時定数を調整する手法などがある。それらの調整手法によっても、検出信号波形の振幅や時定数を所望の範囲内に調整不能な場合は、検知電極210を別のものに交換して再調整を行ってもよい。
【0056】
また、本発明の校正方法の他例として、図1に示す欠陥検出装置に、感光体101に代えてアルミシリンダのような導体をセットし、その導体に直接交流電圧を印加し、それ以外は上記の校正方法と同じ方法で検知電極210を校正してもよい。この場合、感光体101の代わりとして用いられる導体は、感光体101と同一形状、同一寸法であることが好ましいが、少なくとも、検知電極210が接触する部分に導体部分が存在すれば検知電極210の校正は可能である。そこで、円筒の一部分が切り取られた形状の導体やその他の形状及び寸法の導体であっても感光体101の代わりとして用いることができる。さらには、円筒形状に加工されたガラスやプラスチックなどの絶縁部材の表面に導体部分が形成されたものや、感光体101の表面102と同じ位置に平板上の導体が配置された治具なども感光体101の代わりとして用いることができる。
【0057】
これまで説明した校正方法によれば、検知電極を実際に欠陥検出装置にセットし、且つ、その欠陥検出装置を実際の欠陥検出動作時とほぼ同様に動作させた状態で、検知電極の校正が可能である。特に、実際の感光体を用いて校正を行う上記の方法によれば、実際の欠陥検出動作時とまったく同じ状態で検知電極の校正が行われるため、検知電極の形状的なバラツキやセッティング時のバラツキなどが排除され、飛躍的に精度の高い校正が可能となる。また、アルミシリンダのような導体を用いて校正を行う上記の方法によれば、使用する導体の形状や寸法を感光体と同一にすることによって、実際の欠陥検出動作時とほぼ同一の状態で校正が可能となるばかりでなく、導体に印加された交流電圧が感光層などを介さずに直接検知電極に作用するため、より高精度な校正が可能になるという利点がある。さらに、検知電極の校正を行うとき以外は、感光体の基体がアースに接続されているので、通常の欠陥検出測定や感光体の帯電電位測定などを行うときに基体に交流電圧が印加され、測定に影響を及ぼす虞もない。
【0058】
【欠陥検出装置の実施形態2】
本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を図11(a)、(b)に基づいて説明する。図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置の基本構成は、図1に示す欠陥検出装置と同様である。そこで、図1に示す欠陥検出装置と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置は、感光体101を差し入れることが可能な円形の開口部831が開口されたユニット832と、開口部831の周縁に取り付けられた画像露光手段833及び表面電位測定手段834と、を備えている。画像露光手段833及び表面電位測定手段834は、開口部831の円周方向任意の位置に取り付け可能とされている。また、感光体101の直径に応じて開口部831の径方向任意の位置にも取り付け可能とされている。ユニット832はネジ軸835を介して移動手段836に繋がれており、移動手段832によってネジ軸835がその軸回りに回転させられると、感光体101の母線方向に沿って移動する。ネジ軸835は、ユニット832を感光体101の母線方向外側まで移動させることができるように、感光体101の母線方向の長さよりも長くしてある。これによって、ユニット832に感光体101を脱着する際に、ユニット832を感光体101の母線方向外側まで移動させて、ユニット832と感光体101との干渉を回避することができる。なお、欠陥検出手段105は、ユニット832が感光体101の母線方向に移動した際に、ユニット832と干渉しない位置に設けられていることは言うまでもない。
【0060】
図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置では、感光体101の欠陥検出だけでなく、ユニット832に取り付けられた表面電位測定手段834によって感光体101の帯電特性、感光特性といった、いわゆる電位特性の測定も可能である。さらに、欠陥検出手段105とユニット832とを、感光体101の母線方向において異なる位置に移動させて、欠陥検出と電位特性の測定とを同時に行うこともできる。
【0061】
また必要に応じて、ユニット832に複数の表面電位測定手段834を配備しても良く、感光体101の表面温度測定手段や偏芯量測定手段等をさらに設けても良い。これらにより、感光体101の欠陥検出だけでなく、様々な特性についての評価を行うことも可能となる。
【0062】
また、図12(a)に示すように、ユニット832は複数設けても良い。この場合、移動手段836も複数配備し、各々のユニット832を独立して駆動できる構成とすることにより、評価のスピードや測定位置の自由度を高めることができる。図12(a)には、ユニット832が2台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0063】
また、図12(b)に示すように、ユニット832の移動手段を設けることなく、複数のユニット832を感光体101の母線方向に対して相対的に固定する構成としても良い。図12(b)には、ユニット832が3台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0064】
【欠陥検出装置の実施形態3】
本発明による欠陥検出装置のさらに他の実施形態を図13(a)、(b)に基づいて説明する。図13(a)、(b)に示す欠陥検出装置の基本構成は図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と同様である。そこで、図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図13(a)、(b)に示す欠陥検出装置が図11(a)、(b)に示す欠陥検出装置と異なる点の一つは、帯電手段104が、感光体101の表面をほぼ全域にわたって帯電させる長尺タイプではなく、電位特性の測定に必要な範囲のみを帯電させる短尺タイプの帯電手段とされている点である。異なる点の他の一つは、欠陥検出用帯電手段941を備えている点である。なお、欠陥検出用帯電手段941よりも感光体101の回転方向Xの上流側に、除電光手段を設けることもできる。
【0066】
前露光手段103、帯電手段104及び欠陥検出用帯電手段941は、ユニット832の開口部831の周縁に設けられ、ユニット832の移動とともに感光体101の母線方向任意の位置に移動させることが可能となっている。なお、欠陥検出手段105は、ユニット832が感光体101の母線方向に移動した際に、ユニット832と干渉しない位置に設けられていることは言うまでもない。
【0067】
前露光手段103、帯電手段104及び欠陥検出用帯電手段941は、開口部831の円周方向任意の位置に取り付け可能とされている。また、感光体101の直径に応じて開口部831の径方向任意の位置にも取り付け可能とされている。
【0068】
ユニット832は、図14(a)に示すように複数設けても良い。図14(a)には、一つの移動手段836で2台のユニット832を移動させる例を図示したが、ユニット832毎に移動手段836を設け、各ユニット832を独立して移動させることが可能な構成として、評価のスピードや測定位置の自由度を高めることもできる。また、図14(a)には、ユニット832が2台設けられた例を図示したが、必要に応じて更に台数を増やしても良い。
【0069】
また、図14(b)に示すように、ユニット832の移動手段を設けることなく、複数のユニット832を感光体101の母線方向に対して相対的に固定する構成としても良い。図14(b)には、ユニット832が3台設けられた例を図示したが、必要に応じてさらに台数を増やしても良い。
【0070】
以下に本発明の好ましい実施例について説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0071】
【実施例1】
本実施例では、図1に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価を行った。但し、欠陥検出手段は、図2に示す検知センサー105Aではなく、図6(b)に示す押え板323のような加圧手段によって検知電極を加圧する構成の検知センサーを4つ備えている。また、各検知センサーの検知電極には、図8(a)に示すような、導電性ワイヤーをL字形に加工して製作した検知電極を用いた。導電性ワイヤーには、直径60μmのステンレスワイヤーを用い、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。また、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には膜厚30μmのマイラー(Mylar:登録商標)フィルムを用いた。
【0072】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を300[mm/sec]の速度で回転させながら、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0073】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,1〜No,8の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。なお、図4(b)に示すように検出信号波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(Full Width at Half Maximum, FWHM)の値を欠陥の大きさとした。
【0074】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を10セット分、即ち、40個用意し、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0075】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体を使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極を交換する度に、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の振幅と、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の時定数とが毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0076】
表2に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図15には、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果をヒストグラムで表している。図15でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0077】
さらに本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、評価対象の感光体を用いて実際にプリントアウトした画像による評価も合わせて行った。画像による評価は、キヤノン製デジタル複合機iR6000を用いて、ベタ黒原稿及びベタ白原稿をプリントアウトした画像における白点及び黒点の大きさ、数によって判定を行った。判定は、画像上の欠陥が顕著で実用上問題となる場合があるものをNGとし、それ以上のものは合格とした。その結果についても表2に合わせて示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、評価結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0081】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0082】
【比較例1】
実施例1の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例1と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表2、図15に合わせて示す。
【0083】
表2より、比較例1の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返し欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例1の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度の誤判定が発生している。
【0084】
また、図15に示したように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例1では概ね0.04mm以下であるのに対し、比較例1では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがある。
【0085】
これらの結果は次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0086】
以上より、本発明の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0087】
【実施例2】
実施例2では、図12(b)に示す欠陥検出装置と基本的に同一構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価と電位特性評価を行った。
【0088】
電位特性の評価に関しては、ある電子写真プロセスを模倣した測定条件にて測定を行い、この電子写真プロセスに感光体が使用可能であるか否かという判断基準をもとに評価を行った。即ち、本実施例は、感光体の出荷前における検査工程に本実施例の欠陥検出装置を用いた場合の例である。本実施例で用いた電位特性に関する測定条件の一覧を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
本実施例の欠陥検出装置は、基本的に図12(b)に示す構成を有するが、欠陥検出手段は、図2(a)、(b)に示す検知センサー105Aではなく、図6(b)に示す押さえ板323のような加圧手段によって検知電極を加圧する構成を有する検知センサーを8つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図9(a)に示す検知電極210と同一形状の検知電極を用いた。また、検知電極の材質はCuとし、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。さらに、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚30μmのカプトン(Kapton:登録商標)フィルムを使用した。
【0091】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を250[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0092】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,11〜No,18の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(a)に示すような検出信号波形の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtに相対移動速度を掛けた値を欠陥の大きさとした。
【0093】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を5セット分、即ち、40個用意して、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0094】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体と同一形状のアルミシリンダを使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極の交換毎、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図10(a)に示したような正弦波交流信号を印加した時の検出信号波形の振幅が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0095】
表4に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図16は、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果をヒストグラムで表している。図16でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0096】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果も表4に合わせて示す。
【0097】
【表4】
【0098】
表4に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、判定結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0099】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0100】
さらに、本実施例の欠陥検出装置では、感光体の欠陥評価と電位特性評価を同時に行うことができ、感光体の総合的な評価を簡単な作業で、且つ、短時間で行うことが可能であることがわかる。さらに、本実施例の欠陥検出装置には、電位測定ユニットが複数設けられているため、感光体の電位特性評価及び欠陥評価を非常に短時間に行うことができるといった更なる利点を有している。
【0101】
【比較例2】
実施例2の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例2と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表4、図16に合わせて示す。
【0102】
表4より、比較例2の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返して欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例2の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度の誤判定が発生している。
【0103】
また、図16に示すように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例2では概ね0.04mm以下であったのに対し、比較例2では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがあった。
【0104】
これらの結果は、実施例1の時と同様に、次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0105】
以上より、本発明の検知電極の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0106】
【実施例3】
本実施例では、図1に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価を行った。但し、欠陥検出手段は、図2に示す検知センサー105Aではなく、図5(a)に示すような、検知電極と感光体表面との間に挿入されたシート状の誘電体をローラーで送る構成を有する検知センサーを8つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図8(a)に示すような、導電性ワイヤーをL字型に加工して製作した検知電極を用いた。導電性ワイヤーには、φ100μmのタングステンワイヤーを用い、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚50μmのテフロン(Teflon:登録商標)フィルムを用いた。
【0107】
以上の構成を有する欠陥検出装置を使用して、感光体を700[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に2[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。
【0108】
以上の欠陥評価を同じ製造処方によって製作したNo,21〜No,28の8本のa−Si感光体に対して行い、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(a)に示すように検出信号波形の強度が最小となる時刻から最大となる時刻までの時間Δtを算出し、このΔtに相対移動速度を掛けた値を欠陥の大きさとした。
【0109】
そして、評価の再現性と、検知電極を取り替えた場合における評価結果の安定性を確認するために、検知電極を5セット分、即ち、40個用意して、欠陥評価毎に順番に検知電極を取り替えて、同様の欠陥評価を40回行った。さらに、感光体を逆向きにセットして、同様の欠陥評価を行い、1本の感光体に対して合計80回の欠陥評価を行った。
【0110】
検知電極の校正は、実際に評価される感光体を使って校正を行う上記の方法を用い、検知電極の交換毎、即ち、測定ごとに毎回行った。具体的には、図6(b)に示すような矩形波信号を印加した時の検出信号の時定数が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。
【0111】
表5に、上記の欠陥評価において合格した回数を感光体毎にまとめた結果を示す。また、図17は、検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算した結果のヒストグラムを表している。図17でいう欠陥の大きさのバラツキとは、80回の測定値における(Max値−Min値)の値である。
【0112】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果も表5に合わせて示す。
【0113】
【表5】
【0114】
表5に示すように、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥検出の結果では、極めて再現性よく感光体の欠陥の大きさ、数が検出されており、更に、検知電極を取り替えて、評価し直した場合においても非常に安定性した結果が得られていることがわかる。また、判定結果は、画像による評価結果とも非常によく一致しており、画像欠陥と対応した結果であることが確認できる。
【0115】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合において、感光体の表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0116】
さらに、本実施例の欠陥検出装置では、シート状の誘電体を取り外して交換できるため、メンテナンス性に優れているといった利点がある。更に、誘電体をローラーで送る構成となっているため、耐摺擦性に優れているといった利点がある。
【0117】
【比較例3】
実施例3の欠陥検出装置を使用し、検知電極の校正を行わない以外は実施例3と同様の条件で欠陥評価を試みた。この結果を、表5、図17に合わせて示す。
【0118】
表5より、比較例3の条件、即ち、検知電極の校正を行わずに繰り返して欠陥評価を行った場合においても、ほとんどは画像による評価結果や校正を行って欠陥評価を行った実施例3の結果と一致することが確認できる。しかしながら、1〜3%程度は誤判定が発生した。
【0119】
また、図17に示すように、欠陥の大きさのバラツキに関しては、実施例3では概ね0.04mm以下であったのに対し、比較例3では、0.04〜0.08mm程度のバラツキがあった。
【0120】
これらの結果は、実施例1の時と同様に、次のような理由によるものと推測される。即ち、検知電極の校正を行わない場合には、検知電極の固体差やセッティング状態に起因する誤差等の影響で、検出される欠陥の大きさのバラツキが大きくなってしまい、本来の欠陥サイズと異なるサイズの欠陥として検出されてしまったと考えられる。その結果、合否判定を誤ってしまう場合があると考えられる。
【0121】
以上より、本発明の校正方法によって検知電極の校正を行うことによって、検知電極そのものを取り替えたり、セッティングをし直した場合でも、測定結果のバラツキが小さく、非常に安定した評価結果が得られることが確認できる。そして、本発明の校正方法及び欠陥検出装置を使った感光体の欠陥評価は、検知電極の固体差やセッティングの状態等の測定系に依存しない感光体の欠陥評価であることが確認される。
【0122】
【実施例4】
本実施例では、図14(a)に示す欠陥検出装置と基本的に同一の構成を有する欠陥検出装置を用いて、感光体の欠陥評価と電位特性評価を行った。
【0123】
電位特性の評価に関しては、ある電子写真プロセスを模倣した測定条件にて測定を行い、この電子写真プロセスに感光体が使用可能であるか否かという判断基準をもとに評価を行った。即ち、本実施例は、感光体の出荷前における検査工程に本実施例の欠陥検出装置を用いた場合の例である。本実施例で用いた電位特性に関する測定条件の一覧を表6に示す。
【0124】
【表6】
【0125】
本実施例の欠陥検出装置は、基本的に図14(b)に示す欠陥検出装置と同一の構成を有するが、欠陥検出手段は、図2(a)、(b)に示す検知センサー105Aではなく、図9(c)に示す支持板430のような板材の弾性力を利用した加圧手段によって検知電極を加圧する構成を有する検知センサーを4つ備えている。また、それぞれの検知センサーの検知電極には、図9(c)に示す検知電極210と同一形状の検知電極を用いた。また、検知電極の材質はCuとし、感光体の母線方向に対する長さは2mmとした。さらに、感光体の表面と検知電極との間に介在する誘電体には、膜厚10μmのマイラー(Mylar:登録商標)フィルムを使用した。
【0126】
以上の構成を有する欠陥検知装置を使用し、感光体を150[mm/sec]の速度で回転させて、欠陥検出手段を感光体の母線方向に1[mm/sec]の速度で走査し、欠陥の大きさ、数、位置等を測定した。測定結果は、表1に示す判定基準によって合否を判定し、表1の判定基準をすべて満たす場合を合格とした。本実施例では、図4(b)に示すように、検出信号波形を積分解析して表面電位分布を求め、この表面電位分布の半値幅(FWHM/Full Width at Half Maximum)の値によって欠陥の大きさを評価した。
【0127】
以上の評価を、感光層の上に硬化型保護層が形成された有機感光体の出荷前検査として1ヶ月間継続して行った。
【0128】
検知電極の校正は、実際に評価される有機感光体と同じ形状のアルミシリンダを使って校正を行う上記の方法を用い、一日に1回、評価装置の立上げ時に行った。具体的には、図10(a)に示すような正弦波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の振幅と、図10(b)に示すような矩形波の交流電圧を印加した時の検出信号波形の時定数が毎回同じ値になるように検知電極を調整した。また、調整不能な時は、検知電極を新しいものに交換し、その検知電極の出力特性の校正を行った。
【0129】
さらに、本実施例の欠陥検出装置による検出結果の有効性を確認するために、実施例1と同様の方法で画像による評価も行った。それらの結果を表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
表7に示すように、本実施例の欠陥検出装置による欠陥評価で得られる良品率と、画像による評価で得られる良品率は、まったく同一の数値となった。更に、本実施例の欠陥検出装置による欠陥評価で不良と判定された感光体と、画像による評価で不良と判定された感光体のロットNoを調べたところ、すべて同一のロットNoであった。
【0132】
以上より、本実施例の欠陥検出装置を使用した欠陥評価では、画像による評価と一致した結果が得られることがわかる。その上、長期間の連続使用時においても、検知電極の固体差やセッティング毎のバラツキが無く、非常に安定した信号検出系を長期間にわたって維持できることが確認できる。
【0133】
また、本実施例の欠陥検出装置を使用して欠陥検出を行った場合、感光体表面にキズ等の損傷は全く発生しなかった。
【0134】
また、本実施例の欠陥検出装置では、感光体の欠陥評価と電位特性評価を同時に行うことができ、感光体の総合的な評価を簡単な作業で、且つ、短時間に評価可能であることがわかる。さらに、本実施例の欠陥検出装置には、電位測定ユニットが複数設けられているため、感光体の電位特性評価及び欠陥評価を非常に短時間に行うことができるといった更なる利点を有している。
【0135】
【発明の効果】
本発明によれば、欠陥検出装置に用いられる検知電極を実際の使用状態と同じ状態か、それに極めて近い状態に置いて校正することが可能である。従って、検知電極の形状的な要因によるバラツキやセッティング時のバラツキの要因を排除した校正が可能となり、視覚では検出が困難な微小欠陥であっても、再現性よく検出することができる。
【0136】
また、本発明によれば、非常に安定した検出系を長期間にわたって維持できるので、長期間の連続使用時においても、再現性、信頼性に関して優れた検出結果が得られる。
【0137】
更に、欠陥検出だけでなく、感光体の電位特性に関する測定も同時に行えるので、評価のために必要な作業を簡素化でき、且つ、短時間で感光体の総合的な評価を終えることができるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の欠陥検出装置の一実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図2】欠陥検出手段の模式的に示す拡大図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図3】図2の検知電極が撓んだ状態を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図4】(a)は、本発明の欠陥検出装置による検出結果の一例を示す図であり、(b)は(a)の検出結果を積分解析した結果の一例を示す図である。
【図5】検知センサーの他例を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図6】(a)、(b)は、検出センサーの異なる例を模式的に示す拡大図であって、側方から見た図である。
【図7】感光体の接面に垂直であって、且つ、感光体と検知電極との相対移動方向に平行な検知電極の断面を示す図であって、(a)は上記断面の位置関係を示す図、(b)は上記断面を正面から見た図、(c)は上記断面の他例を示す図である。
【図8】検出センサーの一例を模式的に示す拡大図であって、(a)は左斜めから見た図、(b)は側方から見た図である。
【図9】(a)、(c)は検知センサーの異なる例を模式的に示す図であって、左斜めから見た図、(b)は(a)の検知センサーを側方から見た図。
【図10】(a)〜(c)は印加電圧の波形と検知信号波形の異なる例を示す図である。
【図11】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図12】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図13】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図14】本発明による欠陥検出装置の他の実施形態を模式的に示す図であって、(a)は正面から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図15】実施例1及び比較例1において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【図16】実施例2及び比較例2において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【図17】実施例3及び比較例3において検出された欠陥の大きさのバラツキを欠陥毎に計算したヒストグラムを示す図である。
【符号の説明】
101 感光体
102 感光体の表面
103 前露光手段
104 帯電手段
105 欠陥検出手段
105A 検知センサー
105B センサー支持台
105C 押し出し手段
105D 支持基板
106 回転手段
107 移動手段
210 検知電極
210A 検知電極の断面
211 誘電体
212 絶縁性支持体
213 導線
214 回路要素
321 ローラー
322 バネ
323 押え板
430 支持板
431 側面
832 ユニット
836 移動手段
833 画総露光手段
834 表面電位測定手段
941 欠陥検出用帯電手段
Claims (14)
- 電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させ、前記感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出し、その検出結果に基づいて前記表面の欠陥を検出する電子写真用感光体の欠陥検出装置に用いられる検知電極を校正する検知電極の校正方法であって、
前記複数の検知電極を交流電圧が印加された導体に誘電体を介して接触させる工程と、
前記複数の検知電極に誘導される誘導電流の波形が一定となるように各検知電極を調整する工程と、
を少なくとも有する検知電極の校正方法。 - 前記導体が、前記感光体の基体である請求項1記載の検知電極の校正方法。
- 前記誘導電流の波形の振幅が一定となるように、各検知電極を調整する請求項1又は請求項2記載の検知電極の校正方法。
- 前記導体に印加される交流電圧が、正弦波の交流電圧である請求項3記載の検知電極の校正方法。
- 前記誘導電流の波形の時定数が一定となるように、各検知電極を調整する請求項1又は請求項2記載の検知電極の校正方法。
- 前記導体に印加される交流電圧が、矩形波の交流電圧である請求項5記載の検知電極の校正方法。
- 電子写真用の感光体に対して複数の検知電極を相対的に移動させる手段と、
前記感光体の表面と前記検知電極との間に介在する誘電体と、
前記感光体の基体に交流電圧を印加する手段と、
前記感光体の表面の電位変化によって前記検知電極に誘導される誘導電流を検出する手段と、
前記感光体の基体を前記交流電圧を印加する手段を含む2以上の接続先に切替え接続する手段と、
を少なくとも有する電子写真用感光体の欠陥検出装置。 - 前記検知電極を前記感光体の表面に対して相対的に押圧する手段をさらに有する請求項7記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
- 前記感光体の表面に接する接面に垂直であって、且つ、感光体と検知電極との相対移動方向に平行な検知電極の断面が、エッジを持たない形状である請求項7又は請求項8記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
- 前記検知電極が、前記相対移動方向と交差する方向に細長であって、その方向における長さが、0.2mm以上10mm以下である請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
- 前記検知電極の直径が、1.0μm以上500μm以下である請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
- 前記誘電体の厚みが、5μm以上200μm以下である請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
- 前記検知電極が、誘電性の支持板の表面に設けられ、
前記支持板の厚みが、20μm以上200μm以下であり、
前記検知電極は、前記支持基板の表面を構成する面のうち、前記厚み方向と平行であって、且つ、前記感光体の表面に対向する面に設けられている、
請求項7乃至請求項12のいずれかに記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。 - 前記検知電極と前記感光体との相対移動速度が、50mm/sec以上2000mm/sec以下である請求項7乃至請求項13のいずれかに記載の電子写真用感光体の欠陥検出装置。
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JP2003184920A JP2005017202A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 電子写真用感光体の欠陥検出装置、検知電極の校正方法 |
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003184920A patent/JP2005017202A/ja active Pending
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