JP2005017032A - 目標運動解析方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水中及び水上を運動する音源から放射される音波を音響センサ201により観測し、得られる到来音波の方位時系列データ及び周波数時系列データを、観測船の位置の時系列データと共に記憶器205に格納する。目標運動解析装置210は、最適運動演算器208を備え、目標及び観測船の運動パターンに関する予測計算を実施し、音響センサの受信可能範囲や観測船運動性能に関する制約条件を考慮してフィッシャー情報行列が最大化される観測船の運動パターンを計算してリコメンドし、観測船を操舵させる。これにより、解析収束時間を加速することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、目標運動解析方法及び装置に係り、特に、水中及び水上を運動する目標が有する音源から放射される音波を音響センサにより観測し、そこから得られる到来音波の方位及び周波数を用いて目標の運動諸元を解析する目標運動解析方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、目標運動の解析は、観測船に設けられた音響センサを使用して、目標が放射する音波を受信することにより、到来音波の方位及び周波数を観測し、観測された方位及び周波数、観測時刻及び観測位置の時系列データに基づいて目標の状態ベクトル(距離、方位、速力、針路、放射音波の周波数)を解析するという方法により行われている。
【0003】
前述した解析方法は、状態ベクトルから推定される各観測時刻の解析方位及び解析周波数と、観測方位及び周波数との残差二乗を観測誤差分散により正規化し、これらを時系列的に合計した評価関数が最小となるような状態ベクトルを解析する非線形最適化問題に帰着する。
【0004】
前述のような非線形最適化問題を解析する方法としては、これまで、カルマンフィルタや最小二乗法によるものが知られており、カルマンフィルタを用いた目標運動解析については、非特許文献1等に記載されたものが、また、最小二乗法を用いた目標運動解析については、非特許文献2等に記載されたものが知られている。
【0005】
【非特許文献1】
IEEE会報1985年 Vol AC−30 No 10 「A Stochastic Analysis of a Modified Gain Extended Kalman Filter with Application to Estimation with Bearing Only Measurements」
【0006】
【非特許文献2】
IEEE会報1984年 Vol AC−29 No 9 「Fundamental Properties and Performance of Conventional Bearing−only Target Motion Analysis」
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術は、何れも、既に観測された到来音波の方位時系列データ及び周波数時系列データを用いて目標運動諸元を解析する技術であるが、目標が遠距離で時系列データの変化率が小さく、時系列データ誤差が大きい場合で、時系列データが十分蓄積されていない場合に目標運動諸元を一義的に決定する条件である可観測性が成立せず、解析が不能となるという問題点を有している。
【0008】
また、前述した従来技術は、何れも、観測船が運動を実施しても適切な運動でなければ解析不能な状態から脱することができないという問題点を有している。
【0009】
図9は目標が遠距離で時系列データの変化率が小さく、時系列データの誤差が大きい場合で、時系列データが十分蓄積されていない場合に解析が不能となるという問題点を説明する図、図10は観測船の運動が適切でない場合に解析不能な状態から脱することができないという問題点について説明する図であり、これらの図を参照して、前述した問題点について説明する。
【0010】
図9において、音響センサの受信可能範囲が902として示すような範囲であり、観測船901が停止状態にあるとし、さらに、周波数時系列データが得られないものとする。このような場合、方位時系列データの観測誤差903が、図示のように大きい場合、観測結果から得られる目標の運動ベクトルが誤差の範囲となってしまい、目標の運動ベクトル(真値)905と目標の運動ベクトル解析値(誤値)904、906との区別がつかないことになる。
【0011】
また、観測船が運動を実施しても適切な運動でない場合、例えば、図10に示すように、観測船1001が目標と並行運動して時系列データを蓄積しても、目標運動ベクトル(真値)1004と目標運動ベクトル解析値(誤値)1003、1005との区別がつかない。
【0012】
さらに、従来から知られている目標運動解析装置は、パッシブ音響センサで受信した音波の到来方位及び周波数が海中雑音による誤差やセンサ特有の測定誤差を有していたため、解析精度を一定値以下に収束させるのに長時間を要するという問題点を有している。また、従来、方位変化率を最大化する観測船の運動パターンが解析収束時間を加速させると考えられていたが、音響センサの受信可能範囲や観測船の運動性能の制約から観測船をどのように操舵するのが最適かを指示する指針は存在していない。
【0013】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、目標物の運動解析収束時間を最小化することが可能に観測船の運動パターンを決定して、目標物の運動解析を行う目標運動解析方法及び装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、水中及び水上を運動する目標が有する音源から放射される音波を観測船に設けた音響センサにより観測し、そこから得られる到来音波の方位時系列データ及び周波数時系列データを用いて目標の距離、方位、速力、針路を含む運動諸元を解析する目標運動解析方法において、目標及び観測船の運動パターンに関する予測計算を実施し、算出された目標及び観測船の予測運動パターンについて、ヤコビアン行列の可観測性を評価することにより、解析収束時間を最小化することができる観測船の運動パターンを指示することにより達成される。
【0015】
前述した手段を備える本発明によれば、その結果としての観測船の運動パターンを観測船の操舵装置へ送出することにより、可観測性が成立し解析可能な状態を生成して解析収束速度を加速させることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による目標運動解析方法及び装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に適用する目標運動解析の原理を説明する図である。図1において、101は観測船、102は目標である。
【0018】
観測船101は、自身も移動しながら音響センサを使用して、水上または水中を移動する船舶等の目標102が放射する音波を受信することにより、到来音波の方位B〜y(なお、〜 は、本来直前の符号の上に付けて表記すべきものである。以下の説明で、^ と記述するものもあるが、これも同様である)及び周波数f〜 を観測する。そして、観測された方位及び周波数、そして観測時刻及び観測位置の時系列データに基づいて、目標102の状態ベクトルX(距離r、方位By 、速力Mt 、針路Ct 、放射音波の周波数f0)が解析される。図10には、観測船101が移動しながら到来音波の方位B〜y及び周波数f〜 を観測し、それらの観測結果の時系列データから目標102の状態ベクトルX(距離r、方位By 、速力Mt 、針路Ct 、放射音波の周波数f)を得ることができることを示している。なお、状態ベクトルを示す各要素の時刻の順を各要素の符号の後に1、2、……、i、lを付けて示している。
【0019】
前述した解析は、状態ベクトルXから推定される各観測時刻の解析方位By 及び解析周波数fと、観測方位B〜y及び周波数f〜 との残差二乗を観測誤差分散σB〜y2 及びσf〜 2により正規化し、これらを時系列的に合計した評価関数Φ(X) が最小となるような状態ベクトルXを解析する非線形最適化問題として行うことができ、図11に示す式(1)、式(2)を解くことにより解析することができる。
【0020】
図2は本発明の一実施形態による目標運動解析装置の構成例を示すブロック図である。図2において、201は音響センサ、202は航海センサ、203は操舵装置、204は位置演算器、205は観測データベース記憶器、206は状態ベクトル推定器、207は解析値表示器、208は最適運動演算器、209は最適運動表示器、210は目標運動解析装置、211はオペレータコンソールである。
【0021】
図2に示す本発明の実施形態による目標運動解析装置210は、音響センサ201で受信した目標音源からの音波到来方位及び受信周波数と、自船のログ(船速)及びジャイロ(方位)を計測する航海センサ202からの計測値に基づき位置演算器204で算出された観測船位置とを観測データベース記録器205に、時刻を整合させた時系列の観測データベースとして蓄積する。状態ベクトル推定器206は、ここで蓄積した観測データベースに対して最小二乗法や適応型フィルタにより目標運動諸元に関する非線形解析を実施し、その解析過程を解析値表示器207に表示すると共に、現在時刻における目標運動ベクトル解析値を最適運動演算器208に送出する。最適運動演算器208は、状態ベクトル推定器206で解析された目標運動ベクトルと観測船の複数の運動パターンの候補に基づいて将来の予測計算を実施し、図13に示す式(16)を使用してフィッシャー情報行列値の増加状況を比較評価する。そして、最適運動演算器208は、式(16)に示すフィッシャー情報行列値が最大となる観測船の運動パターンを最適運動表示器209に表示する。なお、図13における式(17)〜式(20)は、式(16)の各項を示す式である。
【0022】
通常、観測船の操舵装置203は、オペレータコンソール211からの指示により作動するが、最適運動演算器208により算出された運動パターンを操舵装置203に送出することにより、状態ベクトル推定器206における可観測性が成立し、目標の運動解析が可能な状態を生成して、解析収束速度を加速させるような観測船の運動を実施させることが可能となる。
【0023】
図3は観測船の最適運動演算の原理を説明する図である。図3において、観測船308の現在位置305とその時点における目標運動ベクトルの解析値303及び観測方位誤差309との関係から、目標の運動ベクトルが現在の解析値303を維持して運動することを前提に予測計算を行うことにより、予測運動ベクトル304を得ることができる。そして、観測船の運動パターンに関する複数の候補306について、それぞれの運動を実施した場合における図13に示すフィッシャー情報行列値の式(16)を算出して比較評価し、フィッシャー情報行列値の式(16)が最大化される観測船の運動パターンを決定して操舵することにより、可観測性が成立し解析可能な状態を生成して解析収束速度を加速させることが可能となる。また、目標の運動ベクトルの現在の解析値303と観測船の運動パターンに関する複数の候補306との関係から予測計算を行うことにより、予測運動ベクトル304を得る場合、音響センサの受信可能範囲307や誤差特性及び観測船308の運動性能を考慮することにより、より正確に観測船308の運動パターンを決定することができる。
【0024】
なお、初回観測時点から目標の運動ベクトルの現在の解析値303が得られるまでは、音響センサの受信感度から目標距離を推定すると共に、図11に示している式(3)を用いて、音波到来方位の変化方向に目標の運動ベクトル301を仮定し、前述した最適運動演算処理を実施する。
【0025】
図4は最適運動演算器208での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、図4には2つのフローを示しているが、ステップ401〜403を持つフローは、もう一方のフローにおけるステップ411の処理の詳細を示すものであり、以下では、2つのフローを一連のものとして説明する。
【0026】
(1)処理が開始されると、まず、図13に示す式(16)の各観測船の運動パターン番号毎のフィッシャー情報行列値を初期化(FIM(0)=0に初期化)し、観測船の運動パターン番号を1に初期化(現在の運動パターン)する(ステップ404〜407)。
【0027】
(2)次に、観測船の運動パターン番号nと目標運動ベクトルの解析値とに基づいて将来の仮想位置の予測計算を実施し、音響センサの受信可能範囲307で受信可能な仮想観測データを図13に示す式(18)を用いて生成し、さらに、生成した仮想観測データを仮想観測データベースに蓄積してデータベースを更新する(ステップ408〜410)。
【0028】
(3)ここで、蓄積された仮想観測データベースの情報に基づいて、図13に示す式(16)フィッシャー情報行列値の計算を実施する(ステップ411)。
【0029】
(4)フィッシャー情報行列値の計算の処理において、まず、図13に式(17)として示す予測ヤコビアン行列及び図13に式(20)として示す予測重み行列を計算し、さらに、図13に示す式(16)のフィッシャー情報行列値を算出する(ステップ401〜403)。
【0030】
(5)次に、観測船の運動パターン番号nに関するフィッシャー情報行列値FIM(n)が観測船の運動パターン番号n−1に関するフィッシャー情報行列値FIM(n−1)よりも大きくなるか否かを判定し、大きくなる場合、最適運動パターン番号をnに置換える(ステップ412、413)。
【0031】
(6)ステップ412の判定で、観測船の運動パターン番号nに関するフィッシャー情報行列値が観測船の運動パターン番号n−1に関するフィッシャー情報行列値よりも大きくならない場合、また、ステップ413の処理後、観測船の全ての運動パターン番号に関する比較評価が完了しているか否か、すなわち、運動パターンnが最大値を越えたか否かを判定し、完了していれば、ここでの処理を終了し、完了していなければ、運動パターン番号をインクリメントして、ステップ408からの処理に戻って、処理を繰り返す(ステップ414、415)。
【0032】
図5は Marquardt法を利用した最小二乗法による状態ベクトル推定器206の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、図5には2つのフローを示しているが、ステップ501〜504を持つフローは、もう一方のフローにおけるステップ506の処理の詳細を示すものであり、以下では、2つのフローを一連のものとして説明する。
【0033】
(1)疑似線形解析の処理の実行が開始されると、まず、データベース内の全観測時刻のデータを使用して、初期値算出の処理が実行される(ステップ505、506)。
【0034】
(2)初期値算出の処理において、まず、観測データベースに蓄積されている全観測時刻のデータを使用し、観測誤差が微少であることを仮定した疑似線形解析の処理を行って初期解析値を算出する。この解析値は、ステップ505での非線形解析処理により反復修正されて最終的な解析値として算出される(ステップ501)。
【0035】
(3)前回時刻における非線形解析処理505による解析値が「解有り」として存在するか否かを判定し、存在した場合、これを今回の初期解析値とし、疑似線形解析処理をスキップする(ステップ502)。
【0036】
(4)ステップ502の判定で、前回の処理での解析値が存在していなかった場合、目標運動諸元の状態ベクトルを図11に示す式(4)のように定義し、係数行列F及び定数行列Gのそれぞれを、図11に示す式(6)、式(7)により計算する線形解析準備の処理を実行する。その後、図11に示す式(5)により初期解析値を算出する(ステップ503、504)。
【0037】
(5)次に、非線形解析処理で、目標運動諸元の状態ベクトルを、図12に示す式(8)のように定義し、前述した疑似線形解析処理で算出した初期解析値とこれに基づく目標音源の放射周波数を、図12に示す式(9)を用いて算出して設定する。
【0038】
(6)次に、Marquardt 法解析における反復修正を安定的行うことを目的とした縮小因子λの初期値を設定する縮小因子λ設定の処理を実行し、さらに、反復修正回数の初期化(Loop1=0)を行う(ステップ507、508)。
【0039】
(7)次に、図11に示している式(1)により、各時刻における観測情報と解析情報との残差の二乗和Φを算出する残差二乗和算出処理を実行し、さらに、図12に示す式(11)を用いて、方位情報及び周波数情報に関する偏微分係数を算出するヤコビアン行列形成の処理を実行する(ステップ509、510)。
【0040】
(8)ステップ509の処理で算出した残差二乗行列とステップ510の処理で算出したヤコビアン行列とを用い、図12に示す式(10)により状態ベクトル修正量Δxの算出を行う修正量Δx算出処理を実行する。なお、図12における式(11)〜式(15)は、前述の式(10)の各項を示す式である(ステップ511)。
【0041】
(9)反復修正回数Loop1 が最大値を越えたか否か、あるいは、前回の残差の二乗和Φが今回の残差の二乗和Φより大きいか否かを判定し、判定結果がNGであった場合、縮小因子λを2倍にしてステップ509からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ512、518)。
【0042】
(10)ステップ512の判定で、判定結果がOKであり、判定条件を満足していた場合、状態ベクトルxを、x+Δxに修正し、反復修正回数Loop1 が1より大きいか否かを判定し、大きかった場合、縮小因子λを半分にして次回の反復修正処理に備える(ステップ513〜515)。
【0043】
(11)ステップ514の判定で、反復修正回数Loop1 が1より大きくなかった場合、あるいは、ステップ515の処理後、状態ベクトルの修正量Δxが極小値min より小さくなったか否か、反復修正回数Loop2 が上限値に達した否かを判定する。判定の結果がNGであった場合、ステップ509からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ516)。
【0044】
(12)ステップ516の判定で、状態ベクトルの修正量が極小値min より小さくなるか、反復修正回数Loop2 が上限値に達した場合、反復を打ち切り、図12に示す式(8)で求められた状態ベクトルを目標運動諸元(距離r,方位By ,速力Mt ,針路Ct ,放射周波数f0 )に変換して処理を終了する(ステップ517)。
【0045】
前述した処理において、ステップ516の判定で、反復修正回数Loop2 が上限値に達して終了した場合「解なし」として扱う。
【0046】
なお、誤差を伴って観測される情報から内部の状態モデルを推定する最小二乗法及びMarquardt 法の詳細については以下の文献に記載されている。
【0047】
「最小二乗法による実験データ解析」中川徹 他 東京大学出版会
図6はカルマンフィルタを利用した適応型フィルタによる状態ベクトル推定器206の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、図6には2つのフローを示しているが、ステップ601〜603を持つフローは、もう一方のフローにおけるステップ605の処理の詳細を示すものであり、以下では、2つのフローを一連のものとして説明する。
【0048】
ここでの処理は、目標運動諸元の状態ベクトルを、図14に式(21)として示すように定義し、観測データベースに蓄積されている各観測時刻毎のデータを1つ1つ使用して状態ベクトル及び共分散行列の初期値を逐次更新することにより解析値を収束させる処理である。
【0049】
(1)逐次推定の処理の実行が開始されると、初期値設定の処理を実行する(ステップ604、605)。
【0050】
(2)初期値設定の処理において、まず、前回の解析値が存在しない場合、図14に示す式(22)を用いて、状態ベクトルの初期値を設定する状態ベクトル初期化の処理を実行し、図14に示す式(23)を用いて、共分散行列の初期値を設定する共分散行列初期化の処理を実行する(ステップ601〜603)。
【0051】
(3)次に、状態ベクトルの初期値を、観測データべースから取り出したデータの観測時刻まで、図14に示す式(24)により時間遷移させる状態ベクトル状態遷移処理を実行し、共分散行列状態遷移では、共分散行列の初期値を、観測データべースから取り出したデータの観測時刻まで、図14に示す式(25)により時間遷移させる共分散行列状態遷移の処理を実行する(ステップ606、607)。
【0052】
(4)次に、図14に示す式(26)により、観測データベースから取り出した観測データに基づき状態ベクトルを修正更新する状態ベクトルフィルタリングの処理を実行し、図14に示す式(27)により、共分散行列を修正更新する共分散ベクトルフィルタリングの処理を実行する(ステップ608、609)。
【0053】
(5)さらに、図14に示す式(28)により状態ベクトルを目標運動諸元に変換し、図14に示す式(29)により共分散行列を目標運動諸元解析値の解析誤差標準偏差に変換する目標運動諸元変換の処理を実行する(ステップ610)。
【0054】
(6)最後に、観測データベースファイルがEOF(終了)となっているか否かを判定し、EOFとなっていた場合、ここでの処理を終了し、そうでない場合、ステップ606からの処理に戻り、観測データベースから取り出すデータがなくなるまで処理を繰り返す(ステップ611)。
【0055】
なお、誤差を伴って観測される情報から内部の状態モデルを推定するカルマンフィルタの詳細については以下の文献に記載されている。
【0056】
「応用カルマンフィルタ」片山徹 朝倉書店
前述した本発明の実施形態における各処理は、処理プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HD、DAT、FD、MO、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0057】
図7は観測船の運動パターンとして、初回受信した音波到来方位の方向へ一定時間運動した後に時系列方位データの変化率が最大化される方向へ針路を変更した場合における状態ベクトル推定器206の解析結果の状況を示す図である。
【0058】
図7(a)には、観測船709の航跡と目標運動ベクトル(真値)711と解析目標位置710とを表示した平面図を示している。また、図7(b)には、グラフ702〜706を示している。グラフ702には、横軸を時間軸とし、縦軸を距離とした目標距離(真値)712と解析距離713との時系列推移が表示されており、グラフ703には、横軸を時間軸とし、縦軸を速力とした目標速力(真値)714と解析速力715との時系列推移が表示されている。また、グラフ704には、横軸を時間軸とし、縦軸を針路とした目標針路(真値)716と解析針路717との時系列推移が表示されており、グラフ705には、横軸を時間軸とし、縦軸を方位とした観測船針路707と最適運動リコメンド708との時系列推移が表示されている。さらに、グラフ706には、横軸を時間軸としたフィッシャー情報行列値718の時系列推移が表示されている。
【0059】
図8は観測船の運動パターンとして、初回受信した音波到来方位の方向へ一定時間運動した後に最適運動演算器の計算結果に従って針路を変更した場合における状態ベクトル推定器の解析結果の状況を示す図である。
【0060】
図8(a)には、観測船809の航跡と目標運動ベクトル(真値)811と解析目標位置810とを表示した平面図を示している。また、図8(b)には、グラフ802〜806を示している。グラフ802には、横軸を時間軸とし、縦軸を距離とした目標距離(真値)812と解析距離813との時系列推移が表示されており、グラフ803には、横軸を時間軸とし、縦軸を速力とした目標速力(真値)814と解析速力815との時系列推移が表示されている。また、グラフ804には、横軸を時間軸とし、縦軸を針路とした目標針路(真値)816と解析針路817との時系列推移が表示されており、グラフ805には、横軸を時間軸とし、縦軸を方位とした観測船針路807と最適運動リコメンド808との時系列推移が表示されている。さらに、グラフ806には、横軸を時間軸としたフィッシャー情報行列値818の時系列推移が表示されている。
【0061】
図7と図8とに示す解析結果を比較してみると、観測船の運動パターンが図8(a)に示すように、フィッシャー情報行列を最大化する運動の場合、図7における方位変化率最大化の場合に比較してフッシャー情報行列値818が初期段階から増加傾向を示しており、目標距離の解析結果813及び目標速力の解析結果815の収束時間が加速されていることが判る。
【0062】
前述した本発明の実施形態によれば、観測船の現在位置とその時点における目標運動ベクトルの解析値及び観測方位誤差との関係から、目標の運動ベクトルが現在の解析値を維持して運動することを前提に予測計算を行い、観測船の運動パターンに関する複数の候補について、それぞれの運動を実施した場合におけるフィッシャー情報行列値を算出して比較評価し、フィッシャー情報行列値を最大化することのできる観測船の運動パターンを決定することができる。そして、この運動パターンにより観測船を操舵することにより、可観測性が成立し解析可能な状態を生成して解析収束速度を加速させることが可能となる。
【0063】
また、前述した本発明の実施形態によれば、目標の運動ベクトルの現在の解析値と観測船の運動パターンに関する複数の候補との関係を用いて予測計算を行う場合に、音響センサの受信可能範囲や誤差特性及び観測船の運動性能を考慮することにより、より正確な観測船の運動パターンを決定することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、目標物の運動解析収束時間を最小化することが可能に観測船の運動パターンを決定して、観測船を運動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用する目標運動解析の原理を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態による目標運動解析装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】観測船の最適運動演算の原理を説明する図である。
【図4】最適運動演算器での処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】Marquardt 法を利用した最小二乗法による状態ベクトル推定器の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】カルマンフィルタを利用した適応型フィルタによる状態ベクトル推定器の処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】観測船の運動パターンとして、初回受信した音波到来方位の方向へ一定時間運動した後に時系列方位データの変化率が最大化される方向へ針路を変更した場合における状態ベクトル推定器の解析結果の状況を示す図である。
【図8】観測船の運動パターンとして、初回受信した音波到来方位の方向へ一定時間運動した後に最適運動演算器の計算結果に従って針路を変更した場合における状態ベクトル推定器の解析結果の状況を示す図である。
【図9】目標が遠距離で時系列データの変化率が小さく、時系列データの誤差が大きい場合で、時系列データが十分蓄積されていない場合に解析が不能となるという問題点を説明する図である。
【図10】観測船の運動が適切でない場合に解析不能な状態から脱することができないという問題点について説明する図である。
【図11】説明の中で使用される数式を示す図(その1)である。
【図12】説明の中で使用される数式を示す図(その2)である。
【図13】説明の中で使用される数式を示す図(その3)である。
【図14】説明の中で使用される数式を示す図(その4)である。
【符号の説明】
101 観測船
102 目標
201 音響センサ
202 航海センサ
203 操舵装置
204 位置演算器
205 観測データベース記憶器
206 状態ベクトル推定器
207 解析値表示器
208 最適運動演算器
209 最適運動表示器
210 目標運動解析装置
211 オペレータコンソール
Claims (5)
- 水中及び水上を運動する目標が有する音源から放射される音波を観測船に設けた音響センサにより観測し、そこから得られる到来音波の方位時系列データ及び周波数時系列データを用いて目標の距離、方位、速力、針路を含む運動諸元を解析する目標運動解析方法において、目標及び観測船の運動パターンに関する予測計算を実施し、算出された目標及び観測船の予測運動パターンについて、ヤコビアン行列の可観測性を評価することにより、解析収束時間を最小化することができる観測船の運動パターンを指示することを特徴とする目標運動解析方法。
- 前記ヤコビアン行列の可観測性を評価は、音響センサの受信可能範囲及び誤差特性、観測船の運動特性を考慮しておこなわれることを特徴とする請求項1記載の目標運動解析方法。
- 前記ヤコビアン行列の可観測性を評価は、複数の観測船の運動パターンの候補の中からフィッシャー情報行列値を最大化する観測船の運動パターンを算出するように行われることを特徴とする請求項1または2記載の目標運動解析方法。
- 算出された観測船の最適運動パターンをオペレータの判断により操舵装置へ送出することを特徴とする請求項1、2または3記載の目標運動解析方法。
- 水中及び水上を運動する目標が有する音源から放射される音波を観測船に設けた音響センサにより観測し、そこから得られる到来音波の方位時系列データ及び周波数時系列データを用いて目標の距離、方位、速力、針路を含む運動諸元を解析する目標運動解析装置において、目標及び観測船の運動パターンに関する予測計算を実施し、算出された目標及び観測船の予測運動パターンについて、ヤコビアン行列の可観測性を評価することにより、解析収束時間を最小化することができる観測船の運動パターンを指示する最適運動演算器を備えることを特徴とする目標運動解析装置。
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