JP2005015646A - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】混合物の嵩比重を高くして吐出量を向上させることができるとともに、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級を防止して一定の成分比でポリエステル組成物が得られるポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリエステル組成物の製造方法は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散、または溶解した液体を添加する。そして、エポキシ基含有化合物を含む成分1を介して、粒状飽和ポリエステル2に粉体状フィラー3を付着させる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のポリエステル組成物の製造方法は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散、または溶解した液体を添加する。そして、エポキシ基含有化合物を含む成分1を介して、粒状飽和ポリエステル2に粉体状フィラー3を付着させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合してポリエステル組成物を製造するポリエステル組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを含有するポリエステル組成物は、その物性が優れることから、幅広い分野で使用されている。
このポリエステル組成物の製造方法の一例について図2を参照して説明する。ここで、図2は、上記のポリエステル組成物を製造する際に使用される製造装置の一例を模式的に示す図である。この製造装置10は、ブレンダ11と、ブレンダ11から供給された混合物を一定量で供給する定量フィーダ12と、混合物を溶融混練する押出機13と、押出機13から吐出したストランド14を冷却する冷却槽15と、ストランド14を切断するペレタイザ16とを具備して概略構成される。
【0003】
そして、この製造方法では、まず、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとをタンブラーミキサなどのブレンダ11内に投入し、ブレンダ11を作動させて混合する。次いで、この混合物を落下させることで定量フィーダ12に供給して所定の速度で押出機13に供給する。そして、加熱された押出機13内で溶融混練し、次いで、押出機13のダイス17から吐出したストランド14を冷却槽15内で冷却し、そのストランド14をペレタイザ16で切断して、ポリエステル組成物のペレットを得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、粉体状フィラーは嵩比重が小さく、粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルの嵩比重は差があることから、ブレンダから落下させたときの粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルとの落下速度は異なる。そのため、ブレンダで混合したにもかかわらず、粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルとが分級して、押出機に供給される混合物中における粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの比率が経時的に変化し、フィラーが飽和ポリエステル中に偏在する、分散性不良の問題が発生した。具体的には、初期には飽和ポリエステルが多いものになり、後期には粉体状フィラーが多いものになっていた。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級を防止してフィラーの分散性が高く、一定の成分比のポリエステル組成物を得ることができるポリエステル組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散または溶解した液体Aを添加することを特徴とする。
ポリエステル組成物の製造方法においては、粒状飽和ポリエステルに、液体A、粉体状フィラーをこの順で添加することが好ましい。
また、エポキシ基含有化合物を含む成分が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル組成物の製造方法の一例について図面を参照して説明する。
このポリエステル組成物の製造方法では、図2に示す製造装置を用い、まず、タンブラーミキサなどのブレンダ11に粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを含む原料を投入し、次いで、ブレンダ11を作動させて混合する。ここで、ブレンダ11に原料を投入する際に液体Aをブレンダ11内に添加する。
次いで、ブレンダ11によって混合された粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーと液体Aとを含む混合物を落下させて定量フィーダ12に供給して、この混合物を所定の速度で押出機13に供給する。そして、混合物を加熱された押出機13内で溶融混練し、次いで、押出機13のダイスから吐出したストランド14を冷却槽15内で冷却し、そのストランド14をペレタイザ16で切断して、ポリエステル組成物のペレットを得る。
【0007】
この製造方法において、原料をブレンダ11に投入する際には、ブレンダ11内に最初に粒状飽和ポリエステルを投入し、次いで、液体A、粉体状フィラーの順で添加することが好ましい。このような順で添加すれば、粒状飽和ポリエステルの表面に液体Aを十分に付着させてから、粉体状フィラーを添加できるので、粒状飽和ポリエステルの表面に粉体状フィラーをより付着させることができる。したがって、分級をより防止できる。
【0008】
液体Aは、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散または溶解したものである。エポキシ基含有化合物としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートを含む成分を構成単位とした共重合体などが挙げられる。そのような共重合体の中でも、分級をより防ぐとともに強度の低下をより防ぐことから、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
【0009】
液体Aにおいて、エポキシ基含有化合物を含む成分の濃度は、10〜50質量%であることが好ましい。このような濃度であれば、エポキシ基含有化合物を含む成分をより均一に分散または溶解できるとともに、ポリエステルの加水分解の原因になる水の添加を少なくできる。また、この濃度の下限値は25質量%以上であることがより好ましく、上限値は45質量%以下であることがより好ましい。
【0010】
液体Aには、乳化剤が含まれていることが好ましい。液体Aに乳化剤が含まれていれば、エポキシ基含有化合物を含む成分が液中で均一に分散する。その結果、エポキシ基含有化合物を含む成分がブレンダ内で均一に分散しやすくなり、粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーをより付着させることができるので、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級をより防止できる。
乳化剤としては、エポキシ基含有化合物を含む成分を乳化できるものであれば特に制限はない。
乳化剤が含まれるとともに、エポキシ基含有化合物を含む成分がエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である液体Aとしては、住友精化(株)製セポルジョンGなどが挙げられる。
【0011】
液体Aの添加量は、エポキシ基含有化合物を含む成分が、ポリエステル組成物中の0.3〜3.0質量%になるような量であることが好ましい。このような添加量であれば、分級を確実に防ぐことができるとともに、必要以上の添加によるコスト増を防ぐことができる。液体Aの添加量の下限値は、エポキシ基含有化合物を含む成分がポリエステル組成物中の0.5質量%以上になるような量であることがより好ましく、上限値は、エポキシ基含有化合物を含む成分がポリエステル組成物中の2.0質量%以下になるような量であることがより好ましい。
【0012】
粒状飽和ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのチップ、ペレット、粒子などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのチップあるいはペレットが好適に用いられる。ここで、粒状とは、長さ2.0〜5.0mmのもの、あるいは、粒子径1.0〜3.5mmのもののことである。
また、このような粒状飽和ポリエステルの嵩比重は、1.0g/cm3 以下である。ここで、嵩比重とは、一定容量の容器内に試料を自然落下させて充填し、容器内に充填された試料の質量を容器容量で除した値のことである。
粒状飽和ポリエステルの添加量は、特に制限されないが、ポリエステル組成物中の20〜95質量%になるような量であることが好ましい。
【0013】
粉体状フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維強化材、チタン酸等のウイスカー、タルク、マイカ、ワラストナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、木粉等の粉末強化材などの粉体が挙げられる。ここで、粉体とは、長さ1000μm以下のもの、あるいは、粒子径500μm以下のものが挙げられる。このような粉体状フィラーの嵩比重は、0.7g/cm3 以下である。
粉体状フィラーの添加量は、特に制限されないが、ポリエステル組成物中の5〜80質量%になるような量であることが好ましい。
【0014】
ポリエステル組成物には、必要に応じて、粉体状フィラー以外の添加剤、例えば、多官能性化合物、安定剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤などを添加することもできる。
【0015】
上述した製造方法で使用される押出機は、単軸押出機であってもよいし、二軸押出機であってもよい。押出機の温度は、通常、230〜300℃の範囲であり、吐出量は20〜500kg/時間である。
【0016】
以上説明した製造方法にあっては、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に上記液体Aを添加するので、液体Aの水系媒体を混合物に含ませることができ、嵩比重の低い粉体状フィラーをまとめることができる。また、図1に示すように、液体A中に含まれるエポキシ基含有化合物を含む成分1が粒状飽和ポリエステル2に付着し、さらに、これが接着剤の役割を果たして粉体状フィラー3が付着する。このように、粉体状フィラーがまとまり、粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーが付着した結果、ブレンダから落下させたときの粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの落下速度が同じになるため、分級を防止できる。
【0017】
そして、分級が防止されたことで、押出機に供給される混合物中における粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの比率が一定化するので、フィラーが飽和ポリエステル中に偏在することがなく、分散性が高くなる。
しかも、飽和ポリエステルに水系媒体を添加し、加熱した場合には、加水分解によってポリエステル組成物の強度が低下する可能性があるが、エポキシ基含有化合物を含む成分で粉体状フィラーを粒状飽和ポリエステルに付着させた場合には、水が添加された場合でも強度の低下を抑えることができる。
【0018】
なお、本発明は上述した例に限定されず、例えば、上述した例では図2に示す製造装置10を用い、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとをブレンダで混合したが、他の手段でこれらを混合することもできる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
(実施例1)
粒状ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン製 タフペットPBT N1300、嵩比重0.75g/cm3)80質量部と、液体A(住友精化製 セポルジョンG、エポキシ基含有化合物の濃度40質量%)1.5質量部と、粉体状フィラー(林化成製 MICA POWDER325、平均粒径50μm、嵩比重0.50g/cm3)20質量部とをブレンダ11に投入し、20回/分の条件で20分間回転させて、内容物を混合した。次いで、ブレンダ11の吐出口を開けて内容物を定量フィーダ12に落下させた。そして、定量フィーダ12により内容物を押出機13に200kg/時間で供給して、溶融、混練し、得られたポリエステル組成物をダイス17から押し出し、ペレタイザ16で粒状に切断した。この時の押出機のバレル温度は250℃であった。
押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2時間の熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、19.3質量%、20.4質量%、20.9質量%であり、押出工程全体にわたって組成ムラが発生していなかった。
【0020】
(実施例2)
粒状ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン製 タフペットPBT N1300)80質量部と、液体A(住友精化製 セポルジョンG)1.5質量部とをブレンダ11に投入し、20回/分の条件で10分間回転させた。次いで、粉体状フィラー(林化成製 MICA POWDER325)20質量部をブレンダ11に追加投入し、20回/分の条件で20分間回転させて、内容物を混合した。次いで、ブレンダ11の吐出口を開けて内容物を定量フィーダに落下させた。そして、定量フィーダ12により内容物を押出機13に200kg/時間で供給して、溶融、混練し、ポリエステル組成物をダイス17から押し出し、ペレタイザ16で粒状に切断した。この時の押出機のバレル温度は250℃であった。
押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2Hrの熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、19.7質量%、20.3質量%、20.4質量%であり、押出工程全体にわたって組成ムラが発生していなかった。
【0021】
(比較例1)
液体Aを用いずに、粒状ポリブチレンテレフタレートと粉体状フィラーとを混合し、ダイス17から押出したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得た。押出工程の後期に押出されたポリエステル組成物は、粉体状フィラーの含有量が高くなったため、押出の途中で何度もストランド14が切れてしまい、連続したストランド状にすることができなかった。
また、押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2Hrの熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、17.2質量%、18.3質量%、30.9質量%であり、押出工程が進むに伴って、粉体状フィラーの含有量が増加していた。
【0022】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物の製造方法によれば、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級を防止するので、フィラーの分散性が高く、一定の成分比のポリエステル組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、粒状飽和ポリエステルに、液体A、粉体状フィラーをこの順で添加すれば、分級をより防止できる。
また、エポキシ基含有化合物を含む成分が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であれば、分級をより防ぐとともに強度の低下をより防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーが付着したときの態様を模式的に示す図である。
【図2】ポリエステル組成物を製造する際に使用される製造装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 エポキシ基含有化合物を含む成分
2 粒状飽和ポリエステル
3 粉体状フィラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合してポリエステル組成物を製造するポリエステル組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを含有するポリエステル組成物は、その物性が優れることから、幅広い分野で使用されている。
このポリエステル組成物の製造方法の一例について図2を参照して説明する。ここで、図2は、上記のポリエステル組成物を製造する際に使用される製造装置の一例を模式的に示す図である。この製造装置10は、ブレンダ11と、ブレンダ11から供給された混合物を一定量で供給する定量フィーダ12と、混合物を溶融混練する押出機13と、押出機13から吐出したストランド14を冷却する冷却槽15と、ストランド14を切断するペレタイザ16とを具備して概略構成される。
【0003】
そして、この製造方法では、まず、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとをタンブラーミキサなどのブレンダ11内に投入し、ブレンダ11を作動させて混合する。次いで、この混合物を落下させることで定量フィーダ12に供給して所定の速度で押出機13に供給する。そして、加熱された押出機13内で溶融混練し、次いで、押出機13のダイス17から吐出したストランド14を冷却槽15内で冷却し、そのストランド14をペレタイザ16で切断して、ポリエステル組成物のペレットを得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、粉体状フィラーは嵩比重が小さく、粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルの嵩比重は差があることから、ブレンダから落下させたときの粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルとの落下速度は異なる。そのため、ブレンダで混合したにもかかわらず、粉体状フィラーと粒状飽和ポリエステルとが分級して、押出機に供給される混合物中における粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの比率が経時的に変化し、フィラーが飽和ポリエステル中に偏在する、分散性不良の問題が発生した。具体的には、初期には飽和ポリエステルが多いものになり、後期には粉体状フィラーが多いものになっていた。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級を防止してフィラーの分散性が高く、一定の成分比のポリエステル組成物を得ることができるポリエステル組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散または溶解した液体Aを添加することを特徴とする。
ポリエステル組成物の製造方法においては、粒状飽和ポリエステルに、液体A、粉体状フィラーをこの順で添加することが好ましい。
また、エポキシ基含有化合物を含む成分が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル組成物の製造方法の一例について図面を参照して説明する。
このポリエステル組成物の製造方法では、図2に示す製造装置を用い、まず、タンブラーミキサなどのブレンダ11に粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを含む原料を投入し、次いで、ブレンダ11を作動させて混合する。ここで、ブレンダ11に原料を投入する際に液体Aをブレンダ11内に添加する。
次いで、ブレンダ11によって混合された粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーと液体Aとを含む混合物を落下させて定量フィーダ12に供給して、この混合物を所定の速度で押出機13に供給する。そして、混合物を加熱された押出機13内で溶融混練し、次いで、押出機13のダイスから吐出したストランド14を冷却槽15内で冷却し、そのストランド14をペレタイザ16で切断して、ポリエステル組成物のペレットを得る。
【0007】
この製造方法において、原料をブレンダ11に投入する際には、ブレンダ11内に最初に粒状飽和ポリエステルを投入し、次いで、液体A、粉体状フィラーの順で添加することが好ましい。このような順で添加すれば、粒状飽和ポリエステルの表面に液体Aを十分に付着させてから、粉体状フィラーを添加できるので、粒状飽和ポリエステルの表面に粉体状フィラーをより付着させることができる。したがって、分級をより防止できる。
【0008】
液体Aは、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散または溶解したものである。エポキシ基含有化合物としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートを含む成分を構成単位とした共重合体などが挙げられる。そのような共重合体の中でも、分級をより防ぐとともに強度の低下をより防ぐことから、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
【0009】
液体Aにおいて、エポキシ基含有化合物を含む成分の濃度は、10〜50質量%であることが好ましい。このような濃度であれば、エポキシ基含有化合物を含む成分をより均一に分散または溶解できるとともに、ポリエステルの加水分解の原因になる水の添加を少なくできる。また、この濃度の下限値は25質量%以上であることがより好ましく、上限値は45質量%以下であることがより好ましい。
【0010】
液体Aには、乳化剤が含まれていることが好ましい。液体Aに乳化剤が含まれていれば、エポキシ基含有化合物を含む成分が液中で均一に分散する。その結果、エポキシ基含有化合物を含む成分がブレンダ内で均一に分散しやすくなり、粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーをより付着させることができるので、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級をより防止できる。
乳化剤としては、エポキシ基含有化合物を含む成分を乳化できるものであれば特に制限はない。
乳化剤が含まれるとともに、エポキシ基含有化合物を含む成分がエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体である液体Aとしては、住友精化(株)製セポルジョンGなどが挙げられる。
【0011】
液体Aの添加量は、エポキシ基含有化合物を含む成分が、ポリエステル組成物中の0.3〜3.0質量%になるような量であることが好ましい。このような添加量であれば、分級を確実に防ぐことができるとともに、必要以上の添加によるコスト増を防ぐことができる。液体Aの添加量の下限値は、エポキシ基含有化合物を含む成分がポリエステル組成物中の0.5質量%以上になるような量であることがより好ましく、上限値は、エポキシ基含有化合物を含む成分がポリエステル組成物中の2.0質量%以下になるような量であることがより好ましい。
【0012】
粒状飽和ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのチップ、ペレット、粒子などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのチップあるいはペレットが好適に用いられる。ここで、粒状とは、長さ2.0〜5.0mmのもの、あるいは、粒子径1.0〜3.5mmのもののことである。
また、このような粒状飽和ポリエステルの嵩比重は、1.0g/cm3 以下である。ここで、嵩比重とは、一定容量の容器内に試料を自然落下させて充填し、容器内に充填された試料の質量を容器容量で除した値のことである。
粒状飽和ポリエステルの添加量は、特に制限されないが、ポリエステル組成物中の20〜95質量%になるような量であることが好ましい。
【0013】
粉体状フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維強化材、チタン酸等のウイスカー、タルク、マイカ、ワラストナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、木粉等の粉末強化材などの粉体が挙げられる。ここで、粉体とは、長さ1000μm以下のもの、あるいは、粒子径500μm以下のものが挙げられる。このような粉体状フィラーの嵩比重は、0.7g/cm3 以下である。
粉体状フィラーの添加量は、特に制限されないが、ポリエステル組成物中の5〜80質量%になるような量であることが好ましい。
【0014】
ポリエステル組成物には、必要に応じて、粉体状フィラー以外の添加剤、例えば、多官能性化合物、安定剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤などを添加することもできる。
【0015】
上述した製造方法で使用される押出機は、単軸押出機であってもよいし、二軸押出機であってもよい。押出機の温度は、通常、230〜300℃の範囲であり、吐出量は20〜500kg/時間である。
【0016】
以上説明した製造方法にあっては、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に上記液体Aを添加するので、液体Aの水系媒体を混合物に含ませることができ、嵩比重の低い粉体状フィラーをまとめることができる。また、図1に示すように、液体A中に含まれるエポキシ基含有化合物を含む成分1が粒状飽和ポリエステル2に付着し、さらに、これが接着剤の役割を果たして粉体状フィラー3が付着する。このように、粉体状フィラーがまとまり、粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーが付着した結果、ブレンダから落下させたときの粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの落下速度が同じになるため、分級を防止できる。
【0017】
そして、分級が防止されたことで、押出機に供給される混合物中における粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの比率が一定化するので、フィラーが飽和ポリエステル中に偏在することがなく、分散性が高くなる。
しかも、飽和ポリエステルに水系媒体を添加し、加熱した場合には、加水分解によってポリエステル組成物の強度が低下する可能性があるが、エポキシ基含有化合物を含む成分で粉体状フィラーを粒状飽和ポリエステルに付着させた場合には、水が添加された場合でも強度の低下を抑えることができる。
【0018】
なお、本発明は上述した例に限定されず、例えば、上述した例では図2に示す製造装置10を用い、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとをブレンダで混合したが、他の手段でこれらを混合することもできる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
(実施例1)
粒状ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン製 タフペットPBT N1300、嵩比重0.75g/cm3)80質量部と、液体A(住友精化製 セポルジョンG、エポキシ基含有化合物の濃度40質量%)1.5質量部と、粉体状フィラー(林化成製 MICA POWDER325、平均粒径50μm、嵩比重0.50g/cm3)20質量部とをブレンダ11に投入し、20回/分の条件で20分間回転させて、内容物を混合した。次いで、ブレンダ11の吐出口を開けて内容物を定量フィーダ12に落下させた。そして、定量フィーダ12により内容物を押出機13に200kg/時間で供給して、溶融、混練し、得られたポリエステル組成物をダイス17から押し出し、ペレタイザ16で粒状に切断した。この時の押出機のバレル温度は250℃であった。
押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2時間の熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、19.3質量%、20.4質量%、20.9質量%であり、押出工程全体にわたって組成ムラが発生していなかった。
【0020】
(実施例2)
粒状ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン製 タフペットPBT N1300)80質量部と、液体A(住友精化製 セポルジョンG)1.5質量部とをブレンダ11に投入し、20回/分の条件で10分間回転させた。次いで、粉体状フィラー(林化成製 MICA POWDER325)20質量部をブレンダ11に追加投入し、20回/分の条件で20分間回転させて、内容物を混合した。次いで、ブレンダ11の吐出口を開けて内容物を定量フィーダに落下させた。そして、定量フィーダ12により内容物を押出機13に200kg/時間で供給して、溶融、混練し、ポリエステル組成物をダイス17から押し出し、ペレタイザ16で粒状に切断した。この時の押出機のバレル温度は250℃であった。
押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2Hrの熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、19.7質量%、20.3質量%、20.4質量%であり、押出工程全体にわたって組成ムラが発生していなかった。
【0021】
(比較例1)
液体Aを用いずに、粒状ポリブチレンテレフタレートと粉体状フィラーとを混合し、ダイス17から押出したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得た。押出工程の後期に押出されたポリエステル組成物は、粉体状フィラーの含有量が高くなったため、押出の途中で何度もストランド14が切れてしまい、連続したストランド状にすることができなかった。
また、押出工程の初期(押出開始から5分後)、押出工程の中期(押出開始から60分後)、押出工程の後期(押出開始から135分後)にそれぞれ得られたポリエステル組成物中の粉体状フィラーの含有量を灰化法(800℃で2Hrの熱処理)で分析した。その結果、粉体状フィラーの含有量はそれぞれ、17.2質量%、18.3質量%、30.9質量%であり、押出工程が進むに伴って、粉体状フィラーの含有量が増加していた。
【0022】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物の製造方法によれば、粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとの分級を防止するので、フィラーの分散性が高く、一定の成分比のポリエステル組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、粒状飽和ポリエステルに、液体A、粉体状フィラーをこの順で添加すれば、分級をより防止できる。
また、エポキシ基含有化合物を含む成分が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であれば、分級をより防ぐとともに強度の低下をより防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒状飽和ポリエステルに粉体状フィラーが付着したときの態様を模式的に示す図である。
【図2】ポリエステル組成物を製造する際に使用される製造装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 エポキシ基含有化合物を含む成分
2 粒状飽和ポリエステル
3 粉体状フィラー
Claims (3)
- 粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーとを混合する際に、エポキシ基含有化合物を含む成分が水系媒体中に分散または溶解した液体Aを添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
- 粒状飽和ポリエステルに、液体A、粉体状フィラーをこの順で添加することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物の製造方法。
- エポキシ基含有化合物を含む成分が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル組成物の製造方法。
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2003
- 2003-06-26 JP JP2003182767A patent/JP2005015646A/ja active Pending
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