JP2005015546A - 被覆剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】分散安定性が良好で、膜厚ムラや、ハジキ、にじみが生じにくく、色再現性の良く、パターン精度の高い被覆剤を提供する。
【解決手段】顔料と、分散剤樹脂と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する。被覆剤は、以下の特性を有する。(1)分散剤樹脂及びバインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である。(2)20℃における粘度が、100mPa・s以下である。(3)静置状態における表面張力が、38mN/m以下である。(4)被覆剤中の顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である。
【解決手段】顔料と、分散剤樹脂と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する。被覆剤は、以下の特性を有する。(1)分散剤樹脂及びバインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である。(2)20℃における粘度が、100mPa・s以下である。(3)静置状態における表面張力が、38mN/m以下である。(4)被覆剤中の顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散安定性が良好であり、基材表面にハジキや膜厚ムラ、にじみの生じにくい状態で塗布もしくは印刷することができ、更に、透明性の高い塗膜もしくは印字面を得ることができる被覆剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチックや、紙、金属、木材、無機質等の各種素材からなる基材の表面に、装飾や、画像、機能性等を付与する目的で各種被覆剤が、印刷もしくは塗装されている。
ところで、シート状、フィルム状又は板状の基材表面に、被覆剤を塗布もしくは印刷する際、しばしば膜厚ムラやハジキが生じ易く、それを解消するため、通常、基材表面を特定の表面処理剤で予め処理したり(例えば、特許文献1及び2参照)、被覆剤に消泡剤や粘度調整剤等の各種添加剤を配合することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
従来、水性のインク組成物に関して、均一な画像が得られる方法が提示されているが、溶剤系の塗料及びインクに関して、そのような提示はなく、パターン幅の均一性が高い被覆剤が得られなかった。
【特許文献1】
特開平6−256995号公報
【特許文献2】
特開平7−256202号公報
【特許文献3】
特開2002−241698号公報
【0004】
しかしながら、基材表面を表面処理剤で処理する方法は、処理工程が増え、またコストの面でも問題があり、更に、基材の種類毎に表面処理剤を開発する必要があり、それでもしばしば膜厚ムラやハジキ、にじみ等が生じる問題があった。また、添加剤を配合する方法も基材の種類に応じて被覆剤を配合設計しないと同様な問題が発生しており、更に、添加剤を多く配合すると塗膜もしくは印字面の性能に悪影響を及ぼす恐れがあった。また、顔料分散体の粒度分布が整っていないと、塗膜もしくは印字面の表面粗さや色再現性が得られにくいなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来の課題を背景になされたもので、分散安定性が良好で、膜厚ムラや、ハジキ、にじみが生じにくく、色再現性が良く、パターン精度の高い被覆剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の構成により、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、顔料と、分散剤樹脂と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する被覆剤であって、以下の特性、
(1)前記分散剤樹脂及び前記バインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である、
(2)前記被覆剤の20℃における粘度が、100mPa・s以下である、
(3)前記被覆剤の静置状態における表面張力が、38mN/m以下である、
(4)前記被覆剤中で形成される顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である、
を有することを特徴とする被覆剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の被覆剤は、顔料(着色顔料、体質顔料、特殊機能性顔料など)、分散剤樹脂、バインダー樹脂(必要に応じてその硬化剤)、それらを溶解又は分散させる有機溶剤を必須成分として含み、更に必要に応じて、通常、塗料に適宜配合される粘度調整剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、硬化促進剤等の各種添加剤を含む。
本発明の被覆剤に使用される顔料としては、通常、塗料やインキに使用されているものが特に制限なく利用可能である。具体的な顔料としては、例えば、アゾ系や、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、インジゴ系、チオインジゴ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ジアリル系、ベンズイミダゾロン系、ペリノン系、ペリレン系、カーボンブラック、チタンブラック、鉄系黒顔料、焼成黒顔料、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛、チタン酸鉛、モリブデン酸鉛等の無機酸化物、金、銀、銅、パラジウム等の貴金属化合物等を、1種もしくは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0008】
本発明の被覆剤に使用される分散剤樹脂は、顔料を均一に分散させる樹脂であり、使用する顔料や、以下で詳述するバインダー樹脂の種類に応じて任意に選択されるものである。分散剤樹脂としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であり、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸基、アミノ基等の塩基性基を有するポリエステル系、(メタ)アクリル系、ビニル系、ポリアミド系ポリマー、あるいはこれらポリマーの変性ポリマー等が挙げられる。分散剤樹脂は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の被覆剤に使用されるバインダー樹脂としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれら樹脂の変性樹脂が代表的なものとして挙げられる。バインダー樹脂は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよく、更に、各バインダーと共に通常に使用されている硬化剤を併用してもよい。そのような硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂や、アミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0009】
本発明の被覆剤に使用される有機溶剤としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であるが、具体的には、例えば、シリコン系溶剤、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン等の炭化水素系溶剤、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ステアリン酸ブチル、安息香酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジブチル、マロン酸ジエチル等のエステル系溶剤、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、及び、上記グリコールエーテル系溶剤のエステル類等が挙げられる。有機溶剤は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。また、水を併用することも可能である。
【0010】
本発明の被覆剤においては、ハジキや、膜厚ムラ、にじみが生じないようにするため、また、透明性の高い塗膜を得るために、以下の特性を有する必要がある。
(1)前記分散剤樹脂及び前記バインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である。
(2)前記被覆剤の20℃における粘度が、100mPa・s以下である。
(3)前記被覆剤の静置状態における表面張力が、38mN/m以下である。
(4)前記被覆剤中で形成される顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である。
【0011】
上記(1)において、全固形分濃度は、好ましくは、2〜35質量%である。なお、樹脂固形分濃度が、0.1質量%未満では、被覆剤の分散安定性が悪くなり、40質量%を越えると、薄膜、例えば、5μm以下の膜厚制御が困難となり易い。
上記(2)においては、20℃における粘度は、好ましくは、60mPa・s以下(下限は、例えば、0.5mPa・sである)である。更に、インクジェット印刷用のインク組成物として使用する場合には、20℃における粘度は、10mPa・s以下であることが更に好ましい。なお、この粘度が、100mPa・sを超えると、膜厚制御が困難となり易い。
20℃における粘度は、回転粘度計(例えば、(株)トキメック製、B型粘度計)にて測定される粘度である。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤を、このような粘度に調整することは、当業者には、容易である。
上記(3)において、静置状態における表面張力は、好ましくは、22〜33mN/mである。この表面張力が、38mN/mを超えると、薄膜、例えば5μm以下の膜厚制御が困難となり易い。なお、この表面張力は、ウィルヘミー(Wilhelmy)法(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−A型)にて測定される張力を言う。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤を、このような表面張力に調整することは、当業者には、容易である。
【0012】
なお、本発明の被覆剤中においては、顔料表面には、分散剤樹脂及びバインダー樹脂が付着又は吸着されて、その表面を完全に又は部分的に被覆していると考えられ、この状態で、被覆剤中に均一に分散されているものと考えられる。この状態を、本件明細書では、「顔料分散体」と呼ぶ。
上記(4)においては、顔料分散体の体積平均粒子径は、好ましくは、50〜400nm、体積累積10%粒子径は、好ましくは、15nm以上(上限は、例えば、300nmである)、体積累積90%粒子径は、好ましくは、700nm以下(下限は、例えば、50nmである)である。顔料分散体の体積平均粒子径が35〜500nmの範囲以外では、分散安定性や透明性が悪くなり易い。顔料分散体の体積累積10%粒子径が、10nm未満では、顔料の耐光性が悪くなり、また、にじみも生じ易くなる。体積累積90%粒子径が、800nmを超えると、分散安定性や、透明性、パターン精度が悪くなり易い。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤における顔料分散体を、このような体積平均粒子径、体積累積10%粒子径、体積累積90%粒子径に調整することは、当業者には、容易である。
【0013】
体積平均粒子径や、体積累積10%粒子径、体積累積90%粒子径は、動的光散乱法(例えば、日機装(株)製、9340−UPA型)にて測定される。
本発明においては、被覆剤は、基材と接触して1秒後の接触角(初期接触角)が、50゜以下であり、好ましくは、15〜48°であることが好適である。基材との初期接触角が50゜を超えると、膜厚ムラやハジキが生じ易く、パターン精度が悪くなり易い。なお、接触角は、液適法(例えば、協和界面科学(株)製、接触角計CA−X型)にて測定される。
本発明の被覆剤は、インクジェット印刷用のインク組成物としても好適に用いることができる。
【0014】
本発明の被覆剤においては、顔料を、通常、塗料やインクの製造に通常使用されている分散機を使用することによって好適に分散させることができる。このような分散機として、具体的には、ボールミルや、ロールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー等が好適に挙げられる。これらの分散機は必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の被覆剤は、その目的や、用途、基材に応じて、印刷や被覆をすることができる。このような印刷や被覆は、例えば、ディスペンサーや、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、フローコーター、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、インクジェット等を使用することによって好適に行うことができる。
本発明の被覆剤が適用される基材としては、その形状にかかわらず、プラスチックや、紙、金属、木材、無機質等の各種素材が好適に挙げられる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」、「%」は特に断らない限り、質量基準として示す。
(被覆剤の調製)
「被覆剤A」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Aを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077*(ビックケミー社製) 2.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 6.3部
酢酸ブチル 14.0部
メチルイソブチルケトン 7.3部
(注:*ディスパーbyk−9077は、分散剤樹脂である。)
【0016】
なお、被覆剤Aは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度14%、粘度30mPa・sに調整した。
被覆剤Aの特性は、以下のようであった。
【0017】
「被覆剤B」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Bを調製した。
なお、被覆剤Bは、ペイントシェーカーで6時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度5mPa・sに調整した。
被覆剤Bの特性は、以下のようであった。
【0018】
「被覆剤C」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Cを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077(ビックケミー社製) 2.0部
酢酸ブチル45%のアクリル樹脂溶液 30.0部
シクロヘキサノン 6.1部
メチルエチルケトン 1.2部
なお、被覆剤Cは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度44%、粘度95mPa・sに調整した。
被覆剤Cの特性は、以下のようであった。
【0019】
「被覆剤D」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Dを調製した。
なお、被覆剤Dは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度37%、粘度132mPa・sに調整した。
被覆剤Dの特性は、以下のようであった。
【0020】
「被覆剤E」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Eを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077(ビックケミー社製) 2.0部
シクロヘキサノン60%のアクリル樹脂溶液 4.2部
シクロヘキサノン 20.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.2部
なお、被覆剤Eは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度12%、粘度43mPa・sに調整した。
被覆剤Eの特性は、以下のようであった。
【0021】
「被覆剤F」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Fを調製した。
なお、被覆剤Fは、ペイントシェーカーで14時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度10%、粘度53mPa・sに調整した。
被覆剤Fの特性は、以下のようであった。
【0022】
「被覆剤G」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Gを調製した。
ホスタパームピンクEB trans.(クラリアント社製) 4.0部
ソルスパース32500*(アビシア社製) 7.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 10.2部
酢酸ブチル 39.6部
プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.3部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.3部
(注:*ソルスパース32500は、分散剤樹脂である。)
なお、被覆剤Gは、ペイントシェーカーで14時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度4mPa・sに調整した。
被覆剤Gの特性は、以下のようであった。
【0023】
「被覆剤H」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Hを調製した。
ホスタパームピンクEB trans.(クラリアント社製) 4.0部
ソルスパース32500(アビシア社製) 7.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 10.2部
酢酸ブチル 40.0部
プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4.3部
なお、被覆剤Hは、ペイントシェーカーで30分間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度3mPa・sに調整した。
被覆剤Hの特性は、以下のようであった。
【0024】
実施例1〜3、比較例1〜6
各基材表面に、幅25μmの直線パターンの塗膜を形成するロールコーターを用いて、それぞれ被覆剤A〜Hを、膜厚1μmになるように塗布し、120℃で30分間の加熱乾燥後、塗膜を形成させた。
【0025】
実施例4
実施例4は、被覆剤Bを用い、ガラス基材上に、ノズル口径20μmのピエゾ方式のインクジェット印刷装置を使用して、幅25μmの直線パターンを形成させた。
【0026】
ハジキ試験
塗膜のハジキ状態を、以下の基準で目視判定した。
(評価基準)
○○:塗布直後の塗膜が、30秒超える時間、はじかずに濡れている。
○:塗布直後の塗膜が、10〜30秒、はじかずに濡れている。
×:塗布直後の塗膜が、10秒未満で、はじいてしまう。
【0027】
にじみ試験
塗布直後の幅25μmの直線パターンの塗膜近傍が、30秒間ににじみ出た、着色せずに溶剤のみで濡れている部分の長さを測定し、以下の基準で評価した。(評価基準)
○:0.1μm未満
×:0.1μm以上
【0028】
膜厚均一性(膜厚ムラ)試験
形成された塗膜の30箇所をランダムに選択して膜厚測定し、最大膜厚と最小膜厚との差を計算し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○○:0.1μm未満
○:0.1〜0.5μm
×:0.5μmを超える
【0029】
パターン幅の均一性試験
幅25μmの直線パターンと実際に形成された塗膜幅との差を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○○:0.2μm未満
○:0.2〜0.5μm
×:0.5μmを超える
以上のように、各試験を行い、その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
表1
【0031】
【表2】
表1
【0032】
表1より明らかなように、本発明の実施例1〜4は、各試験項目に対して良い評価結果が得られ、良好な塗膜が得られた。
一方、樹脂固形分濃度が高い被覆剤を使用した比較例1、粘度の高い被覆剤を使用した比較例2、表面張力の高い被覆剤を使用した比較例3、体積平均粒子径の小さい被覆剤を使用した比較例4、体積累積10%粒子径(D10)の小さい被覆剤を使用した比較例5、体積累積90%粒子径(D90)の大きい被覆剤を使用した比較例6は、いずれも良好な塗膜は得られなかった。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、分散安定性が良好で、膜厚ムラや、ハジキ、にじみが生じにくく、色再現性の良く、パターン精度の高い被覆剤を提供することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散安定性が良好であり、基材表面にハジキや膜厚ムラ、にじみの生じにくい状態で塗布もしくは印刷することができ、更に、透明性の高い塗膜もしくは印字面を得ることができる被覆剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチックや、紙、金属、木材、無機質等の各種素材からなる基材の表面に、装飾や、画像、機能性等を付与する目的で各種被覆剤が、印刷もしくは塗装されている。
ところで、シート状、フィルム状又は板状の基材表面に、被覆剤を塗布もしくは印刷する際、しばしば膜厚ムラやハジキが生じ易く、それを解消するため、通常、基材表面を特定の表面処理剤で予め処理したり(例えば、特許文献1及び2参照)、被覆剤に消泡剤や粘度調整剤等の各種添加剤を配合することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
従来、水性のインク組成物に関して、均一な画像が得られる方法が提示されているが、溶剤系の塗料及びインクに関して、そのような提示はなく、パターン幅の均一性が高い被覆剤が得られなかった。
【特許文献1】
特開平6−256995号公報
【特許文献2】
特開平7−256202号公報
【特許文献3】
特開2002−241698号公報
【0004】
しかしながら、基材表面を表面処理剤で処理する方法は、処理工程が増え、またコストの面でも問題があり、更に、基材の種類毎に表面処理剤を開発する必要があり、それでもしばしば膜厚ムラやハジキ、にじみ等が生じる問題があった。また、添加剤を配合する方法も基材の種類に応じて被覆剤を配合設計しないと同様な問題が発生しており、更に、添加剤を多く配合すると塗膜もしくは印字面の性能に悪影響を及ぼす恐れがあった。また、顔料分散体の粒度分布が整っていないと、塗膜もしくは印字面の表面粗さや色再現性が得られにくいなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来の課題を背景になされたもので、分散安定性が良好で、膜厚ムラや、ハジキ、にじみが生じにくく、色再現性が良く、パターン精度の高い被覆剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の構成により、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、顔料と、分散剤樹脂と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する被覆剤であって、以下の特性、
(1)前記分散剤樹脂及び前記バインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である、
(2)前記被覆剤の20℃における粘度が、100mPa・s以下である、
(3)前記被覆剤の静置状態における表面張力が、38mN/m以下である、
(4)前記被覆剤中で形成される顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である、
を有することを特徴とする被覆剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の被覆剤は、顔料(着色顔料、体質顔料、特殊機能性顔料など)、分散剤樹脂、バインダー樹脂(必要に応じてその硬化剤)、それらを溶解又は分散させる有機溶剤を必須成分として含み、更に必要に応じて、通常、塗料に適宜配合される粘度調整剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、硬化促進剤等の各種添加剤を含む。
本発明の被覆剤に使用される顔料としては、通常、塗料やインキに使用されているものが特に制限なく利用可能である。具体的な顔料としては、例えば、アゾ系や、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、インジゴ系、チオインジゴ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ジアリル系、ベンズイミダゾロン系、ペリノン系、ペリレン系、カーボンブラック、チタンブラック、鉄系黒顔料、焼成黒顔料、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛、チタン酸鉛、モリブデン酸鉛等の無機酸化物、金、銀、銅、パラジウム等の貴金属化合物等を、1種もしくは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0008】
本発明の被覆剤に使用される分散剤樹脂は、顔料を均一に分散させる樹脂であり、使用する顔料や、以下で詳述するバインダー樹脂の種類に応じて任意に選択されるものである。分散剤樹脂としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であり、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸基、アミノ基等の塩基性基を有するポリエステル系、(メタ)アクリル系、ビニル系、ポリアミド系ポリマー、あるいはこれらポリマーの変性ポリマー等が挙げられる。分散剤樹脂は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の被覆剤に使用されるバインダー樹脂としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれら樹脂の変性樹脂が代表的なものとして挙げられる。バインダー樹脂は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよく、更に、各バインダーと共に通常に使用されている硬化剤を併用してもよい。そのような硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂や、アミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0009】
本発明の被覆剤に使用される有機溶剤としては、通常、塗料やインクに使用されているものが特に制限なく利用可能であるが、具体的には、例えば、シリコン系溶剤、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン等の炭化水素系溶剤、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ステアリン酸ブチル、安息香酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジブチル、マロン酸ジエチル等のエステル系溶剤、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、及び、上記グリコールエーテル系溶剤のエステル類等が挙げられる。有機溶剤は、必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。また、水を併用することも可能である。
【0010】
本発明の被覆剤においては、ハジキや、膜厚ムラ、にじみが生じないようにするため、また、透明性の高い塗膜を得るために、以下の特性を有する必要がある。
(1)前記分散剤樹脂及び前記バインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である。
(2)前記被覆剤の20℃における粘度が、100mPa・s以下である。
(3)前記被覆剤の静置状態における表面張力が、38mN/m以下である。
(4)前記被覆剤中で形成される顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である。
【0011】
上記(1)において、全固形分濃度は、好ましくは、2〜35質量%である。なお、樹脂固形分濃度が、0.1質量%未満では、被覆剤の分散安定性が悪くなり、40質量%を越えると、薄膜、例えば、5μm以下の膜厚制御が困難となり易い。
上記(2)においては、20℃における粘度は、好ましくは、60mPa・s以下(下限は、例えば、0.5mPa・sである)である。更に、インクジェット印刷用のインク組成物として使用する場合には、20℃における粘度は、10mPa・s以下であることが更に好ましい。なお、この粘度が、100mPa・sを超えると、膜厚制御が困難となり易い。
20℃における粘度は、回転粘度計(例えば、(株)トキメック製、B型粘度計)にて測定される粘度である。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤を、このような粘度に調整することは、当業者には、容易である。
上記(3)において、静置状態における表面張力は、好ましくは、22〜33mN/mである。この表面張力が、38mN/mを超えると、薄膜、例えば5μm以下の膜厚制御が困難となり易い。なお、この表面張力は、ウィルヘミー(Wilhelmy)法(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−A型)にて測定される張力を言う。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤を、このような表面張力に調整することは、当業者には、容易である。
【0012】
なお、本発明の被覆剤中においては、顔料表面には、分散剤樹脂及びバインダー樹脂が付着又は吸着されて、その表面を完全に又は部分的に被覆していると考えられ、この状態で、被覆剤中に均一に分散されているものと考えられる。この状態を、本件明細書では、「顔料分散体」と呼ぶ。
上記(4)においては、顔料分散体の体積平均粒子径は、好ましくは、50〜400nm、体積累積10%粒子径は、好ましくは、15nm以上(上限は、例えば、300nmである)、体積累積90%粒子径は、好ましくは、700nm以下(下限は、例えば、50nmである)である。顔料分散体の体積平均粒子径が35〜500nmの範囲以外では、分散安定性や透明性が悪くなり易い。顔料分散体の体積累積10%粒子径が、10nm未満では、顔料の耐光性が悪くなり、また、にじみも生じ易くなる。体積累積90%粒子径が、800nmを超えると、分散安定性や、透明性、パターン精度が悪くなり易い。一旦、本発明が開示されれば、被覆剤における顔料分散体を、このような体積平均粒子径、体積累積10%粒子径、体積累積90%粒子径に調整することは、当業者には、容易である。
【0013】
体積平均粒子径や、体積累積10%粒子径、体積累積90%粒子径は、動的光散乱法(例えば、日機装(株)製、9340−UPA型)にて測定される。
本発明においては、被覆剤は、基材と接触して1秒後の接触角(初期接触角)が、50゜以下であり、好ましくは、15〜48°であることが好適である。基材との初期接触角が50゜を超えると、膜厚ムラやハジキが生じ易く、パターン精度が悪くなり易い。なお、接触角は、液適法(例えば、協和界面科学(株)製、接触角計CA−X型)にて測定される。
本発明の被覆剤は、インクジェット印刷用のインク組成物としても好適に用いることができる。
【0014】
本発明の被覆剤においては、顔料を、通常、塗料やインクの製造に通常使用されている分散機を使用することによって好適に分散させることができる。このような分散機として、具体的には、ボールミルや、ロールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー等が好適に挙げられる。これらの分散機は必要に応じて、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の被覆剤は、その目的や、用途、基材に応じて、印刷や被覆をすることができる。このような印刷や被覆は、例えば、ディスペンサーや、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、フローコーター、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、インクジェット等を使用することによって好適に行うことができる。
本発明の被覆剤が適用される基材としては、その形状にかかわらず、プラスチックや、紙、金属、木材、無機質等の各種素材が好適に挙げられる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」、「%」は特に断らない限り、質量基準として示す。
(被覆剤の調製)
「被覆剤A」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Aを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077*(ビックケミー社製) 2.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 6.3部
酢酸ブチル 14.0部
メチルイソブチルケトン 7.3部
(注:*ディスパーbyk−9077は、分散剤樹脂である。)
【0016】
なお、被覆剤Aは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度14%、粘度30mPa・sに調整した。
被覆剤Aの特性は、以下のようであった。
【0017】
「被覆剤B」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Bを調製した。
なお、被覆剤Bは、ペイントシェーカーで6時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度5mPa・sに調整した。
被覆剤Bの特性は、以下のようであった。
【0018】
「被覆剤C」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Cを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077(ビックケミー社製) 2.0部
酢酸ブチル45%のアクリル樹脂溶液 30.0部
シクロヘキサノン 6.1部
メチルエチルケトン 1.2部
なお、被覆剤Cは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度44%、粘度95mPa・sに調整した。
被覆剤Cの特性は、以下のようであった。
【0019】
「被覆剤D」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Dを調製した。
なお、被覆剤Dは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度37%、粘度132mPa・sに調整した。
被覆剤Dの特性は、以下のようであった。
【0020】
「被覆剤E」
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Eを調製した。
カーボンブラックMA100(三菱化学社製) 3.0部
ディスパーbyk−9077(ビックケミー社製) 2.0部
シクロヘキサノン60%のアクリル樹脂溶液 4.2部
シクロヘキサノン 20.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.2部
なお、被覆剤Eは、ペイントシェーカーで2時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度12%、粘度43mPa・sに調整した。
被覆剤Eの特性は、以下のようであった。
【0021】
「被覆剤F」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Fを調製した。
なお、被覆剤Fは、ペイントシェーカーで14時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度10%、粘度53mPa・sに調整した。
被覆剤Fの特性は、以下のようであった。
【0022】
「被覆剤G」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Gを調製した。
ホスタパームピンクEB trans.(クラリアント社製) 4.0部
ソルスパース32500*(アビシア社製) 7.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 10.2部
酢酸ブチル 39.6部
プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.3部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.3部
(注:*ソルスパース32500は、分散剤樹脂である。)
なお、被覆剤Gは、ペイントシェーカーで14時間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度4mPa・sに調整した。
被覆剤Gの特性は、以下のようであった。
【0023】
「被覆剤H」(参考例)
以下に示す成分を、それぞれ混合し、被覆剤Hを調製した。
ホスタパームピンクEB trans.(クラリアント社製) 4.0部
ソルスパース32500(アビシア社製) 7.0部
酢酸ブチル60%のアクリル樹脂溶液 10.2部
酢酸ブチル 40.0部
プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4.3部
なお、被覆剤Hは、ペイントシェーカーで30分間練合し、微粒子化を行い、樹脂固形分濃度6%、粘度3mPa・sに調整した。
被覆剤Hの特性は、以下のようであった。
【0024】
実施例1〜3、比較例1〜6
各基材表面に、幅25μmの直線パターンの塗膜を形成するロールコーターを用いて、それぞれ被覆剤A〜Hを、膜厚1μmになるように塗布し、120℃で30分間の加熱乾燥後、塗膜を形成させた。
【0025】
実施例4
実施例4は、被覆剤Bを用い、ガラス基材上に、ノズル口径20μmのピエゾ方式のインクジェット印刷装置を使用して、幅25μmの直線パターンを形成させた。
【0026】
ハジキ試験
塗膜のハジキ状態を、以下の基準で目視判定した。
(評価基準)
○○:塗布直後の塗膜が、30秒超える時間、はじかずに濡れている。
○:塗布直後の塗膜が、10〜30秒、はじかずに濡れている。
×:塗布直後の塗膜が、10秒未満で、はじいてしまう。
【0027】
にじみ試験
塗布直後の幅25μmの直線パターンの塗膜近傍が、30秒間ににじみ出た、着色せずに溶剤のみで濡れている部分の長さを測定し、以下の基準で評価した。(評価基準)
○:0.1μm未満
×:0.1μm以上
【0028】
膜厚均一性(膜厚ムラ)試験
形成された塗膜の30箇所をランダムに選択して膜厚測定し、最大膜厚と最小膜厚との差を計算し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○○:0.1μm未満
○:0.1〜0.5μm
×:0.5μmを超える
【0029】
パターン幅の均一性試験
幅25μmの直線パターンと実際に形成された塗膜幅との差を測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○○:0.2μm未満
○:0.2〜0.5μm
×:0.5μmを超える
以上のように、各試験を行い、その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
表1
【0031】
【表2】
表1
【0032】
表1より明らかなように、本発明の実施例1〜4は、各試験項目に対して良い評価結果が得られ、良好な塗膜が得られた。
一方、樹脂固形分濃度が高い被覆剤を使用した比較例1、粘度の高い被覆剤を使用した比較例2、表面張力の高い被覆剤を使用した比較例3、体積平均粒子径の小さい被覆剤を使用した比較例4、体積累積10%粒子径(D10)の小さい被覆剤を使用した比較例5、体積累積90%粒子径(D90)の大きい被覆剤を使用した比較例6は、いずれも良好な塗膜は得られなかった。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、分散安定性が良好で、膜厚ムラや、ハジキ、にじみが生じにくく、色再現性の良く、パターン精度の高い被覆剤を提供することが可能となった。
Claims (3)
- 顔料と、分散剤樹脂と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する被覆剤であって、以下の特性、
(1)前記分散剤樹脂及び前記バインダー樹脂の全固形分濃度が、0.1〜40質量%である、
(2)前記被覆剤の20℃における粘度が、100mPa・s以下である、
(3)前記被覆剤の静置状態における表面張力が、38mN/m以下である、
(4)前記被覆剤中で形成される顔料分散体の体積平均粒子径が、35〜500nmであり、かつ、体積累積10%粒子径(D10)が、10nm以上であり、体積累積90%粒子径(D90)が、800nm以下である、
を有することを特徴とする被覆剤。 - 基材と接触して1秒後の接触角が、50゜以下である請求項1に記載の被覆剤。
- インクジェット印刷用のインク組成物である請求項1又は請求項2に記載の被覆剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003179308A JP2005015546A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 被覆剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011213809A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Dainippon Toryo Co Ltd | コーティング組成物及びその塗布方法 |
JP2013100456A (ja) * | 2011-10-20 | 2013-05-23 | Canon Chemicals Inc | 光学素子用内面反射防止黒色塗料 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003179308A patent/JP2005015546A/ja active Pending
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