【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット式記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから水性インクを吐出させることで記録媒体に縁無し印刷を行うインクジェット式記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
記録媒体における前後左右それぞれの端縁の余白をゼロにして印刷できるインクジェット式記録装置が開示されている（例えば、特許文献１、特許文献２）。
【０００３】
この公報に開示された記録装置によると、キャリッジに搭載された記録ヘッドの走査範囲を、記録媒体における左右の両端縁より外側に外れる位置まで移動するように設定して印刷動作を実行するように構成されている。
【０００４】
このインクジェット式記録装置で印刷を行う際には、図５（Ａ）に示すように、記録媒体としての記録用紙１００が矢印Ａの副走査方向に搬送され、記録用紙１００の前縁１００Ａが記録ヘッド１０１の下方に到達したとき、キャリッジが矢印Ｂの主走査方向に沿って往復動するとともに、記録ヘッド１０１からインク１０２を吐出させて記録用紙１００への印刷を開始する。
【０００５】
この際、記録用紙１００における前縁１００Ａの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙１００の前縁１００Ａから外側にインク１０２をはみ出させる。
【０００６】
この状態から記録用紙１００が矢印Ａの副走査方向に搬送されることにより、図５（Ｂ）の状態になると、記録用紙１００における側縁１００Ｂの余白をゼロにして印刷を行うために、矢印Ｂの主走査方向に沿うキャリッジの往復動距離を適宜調整することにより、記録用紙１００の側縁１００Ｂから外側にインク１０２をはみ出させる。
【０００７】
さらに、この状態から記録用紙１００が矢印Ａの副走査方向に搬送されることにより、図５（Ｃ）の状態になると、記録用紙１００における後縁１００Ｃの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙１００の後縁１００Ｃから外側にインク１０２をはみ出させる。
【０００８】
【特許文献１】
特開平７−９７１２号公報
【特許文献２】
特開平８−１６９１５５号公報
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、記録用紙１００の前縁１００Ａ、側縁１００Ｂや後縁１００Ｃから外側にはみ出したインク１０２は、図６に示すプラテン１０４に染み込ませる。例えば特許文献１では、プラテン１０４にインク吸収体として多孔質セラミック等を用いることが示されている。従来は、この構成で縁無し印刷を行う際に水性インクを用いた場合、特に夏季等で室温が上昇した使用環境下で、間欠的な印刷をおこなうと印刷と乾燥が繰り返される結果、プラテン１０４上に吐出された水性インク１０２中の水分が蒸発して、着色剤分が析出することがある。
【００１０】
このため、図７に示すように水性インク１０２をプラテン１０４に十分に染み込ませることができない場合があり、図８に示すようにプラテン１０４の表面にインクおよびその乾燥物１０２が堆積物１０５として山盛りに成長する場合があった。
【００１１】
このように、プラテン１０４の表面に堆積物１０５が発生すると、次の記録用紙１００に印刷する際に、堆積物１０５に記録用紙１００の端面が接触して、記録用紙１００の端面が汚れてしまう。
【００１２】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体の端縁から外側にはみ出したインクをプラテンに十分に染み込ませることができる水性インクを用いたインクジェット式記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のインクジェット式記録装置は、請求項１に記載したように、カチオン性の着色剤を含む水性インクを用い、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから水性インクを吐出させることで記録媒体に縁無し印刷を行う際に、記録媒体の縁の外側にはみ出した水性インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録装置において、前記プラテンが少なくとも水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させたするインク吸収材からなることを特徴としている。
【００１４】
また、本発明のインクジェット式記録方法は、カチオン性の着色剤を含む水性インクを用い、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから水性インクを吐出させることで記録媒体に縁無し印刷を行う際に、記録媒体の縁の外側にはみ出した水性インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録方法において、前記プラテンがあらかじめ少なくとも水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させておくことを特徴としている。
【００１５】
カチオン性の着色剤を含む水性インクを用い、かつプラテンが少なくとも水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させたするインク吸収材からなることにより、記録媒体の縁の外側に印刷された水性インクを、乾燥が進んで増粘する前に素早く吸収剤内部に染み込ませるできる。さらに、水溶性有機溶剤と酸性化合物が沸点が１５０℃以上および／または２５℃で固体の化合物から選ばれることで、印刷装置の使用環境下で実質的に蒸散せず、よって、特に夏季等で室温が上昇した使用環境下で、間欠的な印刷を行っても、着色剤の析出を抑制してプラテンに十分に染み込ませることができる。その結果として、プラテンの表面に水性インクの乾燥物が堆積物になることを阻止できるので、後続の記録媒体が堆積物に接触することを防いで記録媒体が汚れてしまうことを防止できる。
【００１６】
一方、本発明のインクジェット記録方法は、請求項３に記載したように、カチオン性の着色剤を含む水性インクを用い、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから水性インクを吐出させることで記録媒体に縁無し印刷を行う際に、記録媒体の縁の外側にはみ出した水性インクをプラテンに染み込ませるインクジェット記録方法において、あらかじめプラテンに少なくとも水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させていることを特徴としている。
【００１７】
あらかじめ水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させていることで、印刷初期から記録媒体の縁の外側に印刷された水性インクを、素早く吸収剤内部に染み込ませるできる。さらに、水溶性有機溶剤と酸性化合物が沸点が１５０℃以上および／または２５℃で固体の化合物から選ばれることで、印刷装置の使用環境下で実質的に蒸散せず、よって、特に夏季等で室温が上昇した使用環境下で、間欠的な印刷を行っても、着色剤の析出を抑制してプラテンに十分に染み込ませることができる。その結果として、プラテンの表面に水性インクの乾燥物が堆積物になることを阻止できるので、後続の記録媒体が堆積物に接触することを防いで記録媒体が汚れてしまうことを防止できる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、既に図で説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【００１９】
図１および図２に示すように、本発明に係る水性インクを用いたインクジェット式記録装置１０は、記録ヘッド１１をガイド軸１２に沿って矢印Ｂの主走査方向に移動して、記録ヘッド１１からインクを吐出させることで記録用紙（記録媒体）１３に縁無し印刷を行う際に、記録用紙１３の外側にはみ出したインク１４をプラテン１５に染み込ませるように構成されている。
【００２０】
記録ヘッド１１にはキャリッジ１６が設けられ、このキャリッジ１６がガイド軸１２に移動自在に支持されている。これにより、記録ヘッド１１をガイド軸１２に沿って矢印Ｂの主走査方向に走査することができる。
【００２１】
インクとしては、カチオン性の着色剤を用いることができ、着色剤としてはカチオン染料あるいはカチオンを含む水溶性樹脂で分散された顔料、カチオン性官能基をその表面に直接化学結合で結合した自己分散型顔料のいずれも用いることができる。
【００２２】
キャリッジ１６にはブラックインクカートリッジ１７やカラーインクカートリッジ１８が着脱自在に装填されている。ブラックインクカートリッジ１７の先端は記録ヘッド１１のノズル１１Ａに連通されている。
【００２３】
また、カラーインクカートリッジ１８にはシアンのカートリッジ１８Ａ、マゼンタのカートリッジ１８Ｂおよびイエローのカートリッジ１８Ｃが備えられ、それぞれのカートリッジ１８Ａ、１８Ｂ、１８Ｃの先端は記録ヘッド１１の各ノズル１１Ｂ、１１Ｃ、１１Ｄに連通されている。
【００２４】
ガイド軸１２の下方には、プラテン１５がガイド軸１２に平行に配置されている。プラテン１５は、一例として発泡性樹脂が該当するが、布、綿やスポンジ等のその他の材料を使用することも可能である。
【００２５】
このプラテン１５には、一方の端部１５Ａから他方の端部１５Ｂに渡って全域に、沸点が１５０℃以上および／または２５℃で固体の水溶性有機溶剤と酸性化合物が含浸されている。
【００２６】
沸点が１５０℃以上の水溶性有機溶剤としては、水溶性で吸湿性の高い化合物として、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、１，３−プロパンジオール、１，４−ブタンジオール、１，５−ペンタンジオール、１，２，６−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、２−ピロリドン、Ｎ−メチル−２−ピロリドン等のラクラム類、１，３−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類を用いることができる。
【００２７】
また、水溶性でインク吸収剤へのインク浸透性を早める化合物として、１，２−アルキルジオール類あるいは多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体から選択することもできる。１，２−アルキルジオール類としては、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等の炭素数が４〜８の１，２−アルキルジオールが好ましい。多価アルコールの誘導体として、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−ｎ−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−ｉｓｏ−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−ｉｓｏ−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−ｎ−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−ｔ−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−ｎ−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−ｎ−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−ｔ−ブチルエーテル、１−メチル−１−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−ｔ−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−ｎ−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−ｉｓｏ−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−ｎ−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−ｎ−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−ｎ−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−ｉｓｏ−プロピルエーテル等が挙げられる
さらに、水溶性でインク吸収剤へのインク浸透性を早める化合物の助剤として、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤を追加して含浸させることも可能である。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、サーフィノール系界面活性剤（商品名、エアープロダクツアンドケミカルズ社製）、アセチレノール系界面活性剤（商品名、川研ファインケミカル株式会社製）等のアセチレングリコール系、シリコン界面活性剤等のノニオン性界面活性剤、アルキルアンモニウムハロゲン化物、ＥＯ−ＰＯ付加アンモニウムハロケン化物等のカチオン性界面活性剤を加えることも好ましい。
【００２８】
室温では固体であるが、水溶性が極めて高く、上述の水溶性有機溶剤と同等にインクに添加可能な化合物も、含浸含させることができる。好ましい化合物としては、１，６−ヘキサンジオール、１，８−オクタンジオール等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、（ソルビット）、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類およびこれらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【００２９】
水中で酸性に解離する酸性化合物は、沸点が１５０℃以上および／または２５℃で固体の化合物から選ばれる。好ましい化合物として、乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、グリセリン酸、ｐ−ヒドロキシ安息香酸、グリセロリン酸等の分子中にカルボン酸基を有する有機酸、あるいは、硫酸、リン酸等の不揮発性の鉱酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の酸性塩等が挙げられる。
【００３０】
水溶性有機溶剤と酸性化合物は、室温で液体のものはそのまま、あるいは２種以上を混合してプラテン１５部分のインク吸収材に塗布・含浸させることができる。室温で固体の化合物は、融点以上まで加熱溶融させた状態あるいは水や他の水溶性有機溶剤と混合した状態のどちらの形態でも、共にプラテン１５へ含浸させることができる。水溶液の状態で塗布した場合は、印刷装置にインク吸収材を装着する前に乾燥して水分のみ除去する方法、水分を除去せず放置して使用者が使用するまでの放置期間に自然蒸発させる、いずれの方法を用いることもできる。また、二種類以上を混合して用いる場合、その混合比率はプラテン１５への含浸作業性・用いる水性インク種類等に応じて適宜決定されてよい。
【００３１】
水溶性有機溶剤と酸性化合物の比率は、用いる水性インク種類等に応じて適宜決定されてよいが、酸性物質のインクジェット式記録装置への酸腐食の影響を抑えるために、酸性化合物が１０％以下で添加されることが好ましい。また、酸性化合物は、０．１％以上添加することで、カチオン性の着色剤を含むインクの堆積を防止して、インク吸収材に染み込ませることができる。
【００３２】
このカチオン性の着色剤を含むインクを用いたインクジェット式記録装置１０によれば、キャリッジ１６をガイド軸１２に沿って矢印Ｂの主走査方向に移動させることにより、記録ヘッド１１をガイド軸１２に沿って走査し、併せて記録用紙１３を記録ヘッド１１の走査方向に直交する副走査方向（矢印Ａ）へ紙送りする際に、それぞれのカートリッジ１７、１８Ａ〜１８Ｃから各ノズル１１Ａ〜１１Ｂを介してインクを吐出することにより記録用紙１３に印刷を行うことができる。
【００３３】
次に、カチオン性の着色剤を含むインクを用いたインクジェット式記録装置１０のインクジェット記録方法を図２〜図４に基づいて説明する。
【００３４】
カチオン性の着色剤を含むインクを用いたインクジェット式記録装置１０で印刷を行う際には、図２（Ａ）に示すように、矢印Ａの副走査方向に搬送されて記録用紙１３の先端１３Ａが記録ヘッド１１の下方に到達したとき、キャリッジが矢印Ｂの主走査方向に沿って往復動するとともに、記録ヘッド１１から水性インク１４を吐出させて記録用紙１３への印刷を開始する。この際、記録用紙１３における前縁１３Ａの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙１３の前縁１３Ａから外側に水性インク１４をはみ出させる。
この状態から記録用紙１３が矢印Ａの副走査方向に搬送されることにより、図２（Ｂ）の状態になると、記録用紙１３における側縁１３Ｂの余白をゼロにして印刷を行うために、矢印Ｂの主走査方向に沿うキャリッジの往復動距離を適宜調整することにより、記録用紙１３の側縁１３Ｂから外側に水性インクをはみ出させる。
【００３５】
さらに、この状態から記録用紙１３が矢印Ａの副走査方向に搬送されることにより、図２（Ｃ）の状態になると、記録用紙１３における後縁１３Ｃの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙１３の後縁１３Ｃから外側に水性インク１４をはみ出させる（図３参照）。
【００３６】
ここで、記録用紙１３の前縁１３Ａ、側縁１３Ｂや後縁１３Ｃから外側にはみ出した水性インク１４は、図３に示すプラテン１５に染み込ませる。プラテン１５には、一方の端部１５Ａから他方の端部１５Ｂに渡って全域に水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸されている。
【００３７】
このため、図４に示すように、記録用紙１３の前縁１３Ａ、側縁１３Ｂや後縁１３Ｃから外側にはみ出した水性インク１４をプラテン１５に効率よく染み込ませることができる。よって、水性インクを用いたインクジェット式記録装置１０の使用環境が、特に夏季等で室温が上昇した場合等でも、乾燥が進んで増粘する前に素早く吸収剤内部に染み込ませるできる。さらに、印刷装置の使用環境下で実質的に蒸散せず、よって、特に夏季等で室温が上昇した使用環境下で、間欠的な印刷を行っても、着色剤の析出を抑制してプラテンに十分に染み込ませることができる。その結果として、プラテンの表面に水性インクの乾燥物が堆積物１０５になることを阻止できるので、後続の記録媒体が堆積物１０５に接触することを防いで記録媒体が汚れてしまうことを防止できる。
【００３８】
また、プラテン１５には、一方の端部１５Ａから他方の端部１５Ｂに渡って全域に水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸を含浸させている。このため、記録用紙１３の前縁１３Ａ、側縁１３Ｂや後縁１３Ｃからプラテン１５に染み込んだ水性インクを、プラテン１５の一方の端部１５Ａから他方の端部１５Ｂの全域に染み込ませることができる。従って、プラテン１５に多量の水性インクを染み込ませることができるので、プラテン１５を交換するサイクルを延ばすことができる。
【００３９】
なお、前記実施形態では、記録媒体として記録用紙１３を例に説明したが、これに限らないで、その他の記録媒体に適用することも可能である。
さらに、本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形，改良等が可能であり、前述した実施形態において例示した記録ヘッド，ガイド軸およびプラテン等の材質，形状，寸法，形態，数，配置個所，厚さ寸法等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【００４０】
次に、実施例１〜６と比較例１〜２について説明する。
【００４１】
実施例１〜６および比較例１〜２のプラテン１５として、ウレタンフォームの発泡材を使用した。
【００４２】
実施例１、２および比較例１の水性インクとして、カチオン性の着色剤としてカチオン染料を用いた水性インクを使用した。また、実施例３〜６および比較例２の水性インクは、カチオン性の着色剤としてカチオンを含む水溶性樹脂で分散された顔料を用いた水性インクを使用した。各々の実施例、比較例について、ブラックインクカートリッジ１７にブラック水性インク、シアンのカートリッジ１８Ａにシアン水性インク、マゼンタのカートリッジ１８Ｂにマゼンタ水性インク、イエローのカートリッジ１８Ｃにイエロー水性インクをそれぞれ充填した。
【００４３】
カチオン性の着色剤としてカチオン染料を用いた水性インクは、ブラック染料インクとして、カチオン染料のＣ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｂｌａｃｋ ２ ６ｗｔ％、グリセリン １５ｗｔ％、２−ピロリドン ３ｗｔ％、トリエチレングリコール ５ｗｔ％、トリエチレングリコールモノブチルエーテル １０ｗｔ％、アセチレングリコール系界面活性剤としてサーフィノール４６５（商品名、エアープロダクツアンドケミカルズ社製） １．０ｗｔ％、乳酸 ０．２ｗｔ％、残りを純水とすることで１００ｗｔ％としたものを使用した。
【００４４】
シアン染料インクとして、カチオン染料のＣ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｂｌｕｅ ２１ ３ｗｔ％を用いる以外は、ブラック染料インクと同様にインクを調整した。
【００４５】
マゼンタ染料インクとして、カチオン染料のＣ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｒｅｄ １３ ４ｗｔ％を用いる以外は、ブラック染料インクと同様にインクを調整した。
【００４６】
イエロー染料インクとして、カチオン染料のＣ．Ｉ．Ｂａｓｉｃ Ｙｅｌｌｏｗ ３６ ４ｗｔ％を用いる以外は、ブラック染料インクと同様にインクを調整した。
【００４７】
カチオン性の着色剤としてカチオンを含む水溶性樹脂で分散された水性インクは、ブラック顔料インクとして、カチオンを含む樹脂として４−ビニルピリジン（１０ｍｏｌ％）−スチレン（５０ｍｏｌ％）−アクリル酸ブチル（４０ｍｏｌ％）共重合体−塩酸塩／Ｍｗ２５，０００ １．５ｗｔ％、ブラック顔料としてカーボンブラックＭＡ１００（商品名、三菱化学株式会社製） ７ｗｔ％、ｐＨ調整剤として１Ｎ塩酸でｐＨ５．６に調整して分散した顔料分散液に、グリセリン ８ｗｔ％、２−ピロリドン ３ｗｔ％、トリメチロールプロパン ８ｗｔ％、１，２−ヘキサンジオール ２ｗｔ％、リエチレングリコールモノブチルエーテル ２ｗｔ％、アセチレングリコール系界面活性剤としてサーフィノール１０４（商品名、エアープロダクツアンドケミカルズ社製） ０．３ｗｔ％、乳酸 ０．２ｗｔ％、残りを純水とすることで１００ｗｔ％としたものを使用した。
【００４８】
シアン顔料インクとして、カチオンを含む樹脂として、４−ビニルピリジン（１０ｍｏｌ％）−スチレン（５０ｍｏｌ％）−アクリル酸ブチル（４０ｍｏｌ％）共重合体−塩酸塩／Ｍｗ２５，０００ ３ｗｔ％、シアン顔料としてＣ．Ｉ．Ｐｉｇｍｅｎｔ Ｂｌｕｅ １５：３ ３．５ｗｔ％を用いる以外は、ブラック顔料インクと同様にインクを調整した。
【００４９】
マゼンタ顔料インクとして、カチオンを含む樹脂として、４−ビニルピリジン（１０ｍｏｌ％）−スチレン（５０ｍｏｌ％）−アクリル酸ブチル（４０ｍｏｌ％）共重合体−塩酸塩／Ｍｗ２５，０００ １ｗｔ％、マゼンタ顔料としてＣ．Ｉ．Ｐｉｇｍｅｎｔ Ｒｅｄ １２２ ５ｗｔ％を用いる以外は、ブラック顔料インクと同様にインクを調整した。
【００５０】
イエロー顔料インクとして、カチオンを含む樹脂として、４−ビニルピリジン（１０ｍｏｌ％）−スチレン（５０ｍｏｌ％）−アクリル酸ブチル（４０ｍｏｌ％）共重合体−塩酸塩／Ｍｗ２５，０００ １．５ｗｔ％、イエロー顔料顔料としてＣ．Ｉ．Ｐｉｇｍｅｎｔ Ｙｅｌｌｏｗ ７４ ５ｗｔ％を用いる以外は、ブラック顔料インクと同様にインクを調整した。
【００５１】
（実施例１）
水溶性有機溶剤としてグリセリン ９９ｗｔ％、酸性化合物としてグリコール酸 １ｗｔ％を混合して、塗布液を作成した。ウレタンフォームの発泡材に対して塗布量２００ｇ／ｍ２で均一に塗布した。インクジェット式記録装置として、ＥＭ−９３０Ｃ（商品名、セイコーエプソン株式会社製）の金属製プラテンの代わりに上記の含浸済みウレタンフォームを通紙とのギャップ２ｍｍの位置に装着して、Ａ４サイズ（２１０ｍｍ×２９７ｍｍ）の記録媒体に対して２３０ｍｍ×２９７ｍｍの画像データを送り、４０℃／２０％ＲＨ環境下において縁なし印刷を行った。
【００５２】
２０００枚連続印刷を行った状態で、以下の基準で判定をおこなった。
【００５３】
Ａ：インク堆積物が認められない、もしくはインク堆積物の高さが１ｍｍ以内である。
【００５４】
Ｂ：インク堆積物は認められるが、１ｍｍを超えて２ｍｍ未満であり通紙する紙の裏面に達していない。
【００５５】
Ｃ：インク堆積物が通紙する紙の裏面に達しており、紙裏面にインクが再転写される。
【００５６】
（実施例２〜６）
用いた含浸液を表１に変える以外は、実施例１と同様にプラテンを作成・装着して、評価を行った。
【００５７】
（比較例１）
実施例１に対して、ウレタンフォームの発泡材に塗布を行わない以外は同様な方法で、染料インクセットを用いて評価を行った。
【００５８】
（比較例２）
実施例１に対して、ウレタンフォームの発泡材に塗布を行わない以外は同様な方法で、顔料インクセットを用いて評価を行った。
【００５９】
含浸液、使用したしたインク種、および結果の一覧を表１にまとめて示す。
【００６０】
【表１】
【００６１】
表１の縁なし印刷結果に示す様に本発明のインクジェット式印刷装置は、比較例１、２に比較して、高温・乾燥下での連続印刷後のインク堆積物がないもしくは少なく、記録媒体の裏面が汚れないインクジェット式記録装置を提供できた。
【００６２】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、カチオン性の着色剤を含む水性インクを用い、かつプラテンが少なくとも水溶性有機溶剤と水中で酸性に解離する酸性化合物とを含浸させたするインク吸収材からなることにより、記録媒体の縁の外側に印刷された水性インクを、乾燥が進んで増粘する前に素早く吸収剤内部に染み込ませるできる。さらに、水溶性有機溶剤と酸性化合物が沸点が１５０℃以上および／または２５℃で固体の化合物から選ばれることで、印刷装置の使用環境下で実質的に蒸散せず、よって、特に夏季等で室温が上昇した使用環境下で、間欠的な印刷を行っても、着色剤の析出を抑制してプラテンに十分に染み込ませることができる。その結果として、プラテンの表面に水性インクの乾燥物が堆積物になることを阻止できるので、後続の記録媒体が堆積物に接触することを防いで記録媒体が汚れてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るインクジェット式記録装置を示す概略図である。
【図２】本発明に係るインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図３】本発明に係るインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図４】本発明に係るインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図５】従来のインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図６】従来のインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図７】従来のインクジェット記録方法を示す説明図である。
【図８】従来のインクジェット記録方法を示す説明図である。
【符号の説明】
１０ インクジェット式記録装置
１１ 記録ヘッド
１２ ガイド軸
１３ 記録用紙（記録媒体）
１４ 水性インク
１５ プラテン[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet recording apparatus and an ink jet recording method, and in particular, an ink jet recording apparatus that performs borderless printing on a recording medium by moving a recording head along a guide shaft and discharging aqueous ink from the recording head. The present invention relates to an ink jet recording method.
[0002]
[Prior art]
Inkjet recording apparatuses that can print with zero margins at the front, rear, left, and right edges of a recording medium are disclosed (for example, Patent Document 1 and Patent Document 2).
[0003]
According to the recording apparatus disclosed in this publication, the scanning operation of the recording head mounted on the carriage is set to move to a position outside the left and right edges of the recording medium so as to execute the printing operation. It is configured.
[0004]
When printing with this ink jet recording apparatus, as shown in FIG. 5A, the recording paper 100 as a recording medium is conveyed in the sub-scanning direction of the arrow A, and the leading edge 100A of the recording paper 100 is recorded. When reaching below the head 101, the carriage reciprocates along the main scanning direction indicated by the arrow B, and ink 102 is ejected from the recording head 101 to start printing on the recording paper 100.
[0005]
At this time, in order to perform printing with the margin of the leading edge 100 </ b> A on the recording paper 100 being zero, the ink 102 protrudes outward from the leading edge 100 </ b> A of the recording paper 100.
[0006]
In this state, when the recording paper 100 is conveyed in the sub-scanning direction of the arrow A, when the state shown in FIG. 5B is reached, in order to perform printing with the margin of the side edge 100B on the recording paper 100 being zero, By appropriately adjusting the reciprocating distance of the carriage along the B main scanning direction, the ink 102 protrudes from the side edge 100B of the recording paper 100 to the outside.
[0007]
Further, when the recording paper 100 is transported in the sub-scanning direction indicated by the arrow A from this state, when the state shown in FIG. 5C is reached, printing is performed with the margin of the trailing edge 100C on the recording paper 100 set to zero. Then, the ink 102 protrudes outward from the trailing edge 100C of the recording paper 100.
[0008]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-9712 [Patent Document 2]
JP-A-8-169155
[Problems to be solved by the invention]
Here, the ink 102 that protrudes outward from the front edge 100A, the side edge 100B, and the rear edge 100C of the recording paper 100 is soaked into the platen 104 shown in FIG. For example, Patent Document 1 discloses that a porous ceramic or the like is used for the platen 104 as an ink absorber. Conventionally, when water-based ink is used when performing borderless printing with this configuration, printing and drying are repeated when intermittent printing is performed, particularly in a usage environment where the room temperature has increased in summer or the like. The water in the water-based ink 102 ejected above may evaporate and the colorant component may be deposited.
[0010]
For this reason, as shown in FIG. 7, the water-based ink 102 may not be sufficiently soaked into the platen 104, and as shown in FIG. 8, the ink and its dried product 102 are piled up as a deposit 105 on the surface of the platen 104. There was a case to grow.
[0011]
As described above, when the deposit 105 is generated on the surface of the platen 104, the end surface of the recording paper 100 comes into contact with the deposit 105 when the next recording paper 100 is printed, and the end surface of the recording paper 100 becomes dirty. .
[0012]
The present invention has been made in view of the above-described problems, and an object of the present invention is to perform ink jet recording using water-based ink that can sufficiently infiltrate the platen with ink protruding outward from the edge of the recording medium. An apparatus and an ink jet recording method are provided.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, an ink jet recording apparatus according to the present invention uses a water-based ink containing a cationic colorant and moves the recording head along a guide shaft as described in claim 1. In the ink jet recording apparatus in which water-based ink that protrudes outside the edge of the recording medium is soaked into the platen when performing borderless printing on the recording medium by discharging the water-based ink from the recording head, the platen is at least water-soluble It is characterized by comprising an ink absorbing material impregnated with an organic solvent and an acidic compound that dissociates acidicly in water.
[0014]
Further, the ink jet recording method of the present invention uses a water-based ink containing a cationic colorant, moves the recording head along the guide shaft, and discharges the water-based ink from the recording head so that there is no border on the recording medium. In the ink jet recording method in which water-based ink protruding outside the edge of the recording medium is soaked into the platen when printing is performed, the platen is impregnated with at least a water-soluble organic solvent and an acidic compound that is dissociated acidic in water. It is characterized by keeping.
[0015]
A water-based ink containing a cationic colorant is used, and the platen is made of an ink absorbing material impregnated with at least a water-soluble organic solvent and an acidic compound that is acidicly dissociated in water. The printed water-based ink can be quickly soaked into the absorbent before drying proceeds and thickens. Furthermore, since the water-soluble organic solvent and the acidic compound are selected from solid compounds having a boiling point of 150 ° C. or higher and / or 25 ° C., they do not substantially evaporate under the usage environment of the printing apparatus. Even when intermittent printing is performed in a use environment where the room temperature has increased, the precipitation of the colorant can be suppressed and the platen can be sufficiently infiltrated. As a result, it is possible to prevent the dry matter of the water-based ink from becoming a deposit on the surface of the platen, thereby preventing the subsequent recording medium from coming into contact with the deposit and preventing the recording medium from becoming dirty.
[0016]
On the other hand, according to the ink jet recording method of the present invention, as described in claim 3, the aqueous ink containing a cationic colorant is used, the recording head is moved along the guide shaft, and the aqueous ink is ejected from the recording head. Thus, when performing borderless printing on the recording medium, in the ink jet recording method in which the aqueous ink that protrudes outside the edge of the recording medium is soaked into the platen, the platen is dissociated acidic in water and at least a water-soluble organic solvent in advance. It is characterized by impregnation with an acidic compound.
[0017]
Since the water-soluble organic solvent and the acidic compound that dissociates acidic in water are impregnated in advance, the aqueous ink printed on the outer side of the edge of the recording medium from the beginning of printing can be quickly soaked into the absorbent. Furthermore, since the water-soluble organic solvent and the acidic compound are selected from solid compounds having a boiling point of 150 ° C. or higher and / or 25 ° C., they do not substantially evaporate under the usage environment of the printing apparatus. Even when intermittent printing is performed in a use environment where the room temperature has increased, the precipitation of the colorant can be suppressed and the platen can be sufficiently infiltrated. As a result, it is possible to prevent the dry matter of the water-based ink from becoming a deposit on the surface of the platen, thereby preventing the subsequent recording medium from coming into contact with the deposit and preventing the recording medium from becoming dirty.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
DESCRIPTION OF EMBODIMENTS Hereinafter, embodiments according to the present invention will be described in detail with reference to the drawings. In each embodiment described below, members and the like already described with reference to the drawings are denoted by the same or corresponding reference numerals, and the description is simplified or omitted.
[0019]
As shown in FIG. 1 and FIG. 2, the ink jet recording apparatus 10 using the water-based ink according to the present invention moves the recording head 11 along the guide shaft 12 in the main scanning direction indicated by the arrow B. When performing borderless printing on the recording paper (recording medium) 13 by ejecting ink from the ink, the ink 14 that protrudes outside the recording paper 13 is soaked into the platen 15.
[0020]
The recording head 11 is provided with a carriage 16, and the carriage 16 is movably supported on the guide shaft 12. Accordingly, the recording head 11 can be scanned along the guide shaft 12 in the main scanning direction indicated by the arrow B.
[0021]
As the ink, a cationic colorant can be used. As the colorant, a pigment dispersed with a cationic dye or a water-soluble resin containing a cation, or a self-dispersion in which a cationic functional group is directly bonded to the surface by a chemical bond. Any type pigment can be used.
[0022]
A black ink cartridge 17 and a color ink cartridge 18 are detachably loaded on the carriage 16. The front end of the black ink cartridge 17 communicates with the nozzle 11 </ b> A of the recording head 11.
[0023]
The color ink cartridge 18 includes a cyan cartridge 18A, a magenta cartridge 18B, and a yellow cartridge 18C. The tips of the cartridges 18A, 18B, and 18C communicate with the nozzles 11B, 11C, and 11D of the recording head 11, respectively. Has been.
[0024]
A platen 15 is disposed below the guide shaft 12 in parallel to the guide shaft 12. The platen 15 corresponds to an expandable resin as an example, but other materials such as cloth, cotton, and sponge can also be used.
[0025]
The platen 15 is impregnated with a solid water-soluble organic solvent and acidic compound having a boiling point of 150 ° C. or higher and / or 25 ° C. over the entire region from one end 15A to the other end 15B.
[0026]
Water-soluble organic solvents having a boiling point of 150 ° C. or higher include water-soluble and highly hygroscopic compounds such as glycerin, ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, tetraethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, dipropylene glycol, and polypropylene glycol. Polyethylene glycol-polypropylene glycol copolymer, 1,3-propanediol, 1,4-butanediol, 1,5-pentanediol, 1,2,6-hexanetriol, hexylene glycol, octylene glycol, pentaerythritol Polyols such as 2-pyrrolidone, lactams such as N-methyl-2-pyrrolidone, and ureas such as 1,3-dimethylimidazolidinone can be used.
[0027]
Further, as a compound that is water-soluble and accelerates ink penetration into the ink absorbent, it can be selected from 1,2-alkyldiols or glycol monoether derivatives of polyhydric alcohols. As the 1,2-alkyldiols, 1,2-alkyldiols having 4 to 8 carbon atoms such as butanediol, pentanediol, hexanediol, heptanediol, and octanediol are preferable. As derivatives of polyhydric alcohol, ethylene glycol monobutyl ether, diethylene glycol mono-n-propyl ether, ethylene glycol mono-iso-propyl ether, diethylene glycol mono-iso-propyl ether, ethylene glycol mono-n-butyl ether, ethylene glycol mono-t -Butyl ether, diethylene glycol mono-n-butyl ether, triethylene glycol mono-n-butyl ether, diethylene glycol mono-t-butyl ether, 1-methyl-1-methoxybutanol, propylene glycol mono-t-butyl ether, propylene glycol mono-n-propyl Ether, propylene glycol mono-iso-propyl ether, propylene glycol mono-n-butyl ether Ter, dipropylene glycol mono-n-butyl ether, dipropylene glycol mono-n-propyl ether, dipropylene glycol mono-iso-propyl ether, and the like. Further, the compound is water-soluble and accelerates ink penetration into the ink absorbent. It is also possible to impregnate with a nonionic or cationic surfactant as an auxiliary agent. Surfactants include polyoxyethylene alkyl ether, polyoxyethylene phenyl ether, Surfinol surfactant (trade name, manufactured by Air Products and Chemicals), and acetylenol surfactant (trade name, Kawaken Fine Chemical Co., Ltd.) It is also preferable to add a nonionic surfactant such as an acetylene glycol type such as a silicon surfactant, or a cationic surfactant such as an alkyl ammonium halide or an EO-PO-added ammonium halosaponified product.
[0028]
Although it is solid at room temperature, it can be impregnated with a compound that is extremely water-soluble and can be added to the ink in the same manner as the above-mentioned water-soluble organic solvent. Preferred compounds include diols such as 1,6-hexanediol and 1,8-octanediol, trimethylolethane, trimethylolpropane and the like, lactams such as ε-caprolactam, urea such as urea, thiourea and ethyleneurea. Derivatives, glucose, mannose, fructose, ribose, xylose, arabinose, galactose, aldonic acid, glucitol, (sorbitol), maltose, cellobiose, lactose, sucrose, trehalose, maltotriose, monosaccharides, disaccharides, oligosaccharides and many Examples of saccharides and derivatives of these saccharides include reducing sugars, oxidized sugars, amino acids, thiosaccharides, and the like of the aforementioned sugars. Sugar alcohol is particularly preferable, and specific examples include maltitol and sorbit.
[0029]
The acidic compound that dissociates acidicly in water is selected from compounds that have a boiling point of 150 ° C. or higher and / or a solid at 25 ° C. Preferred compounds include organic acids having a carboxylic acid group in the molecule such as lactic acid, glycolic acid, citric acid, tartaric acid, glyceric acid, p-hydroxybenzoic acid, and glycerophosphoric acid, or non-volatile minerals such as sulfuric acid and phosphoric acid. Acids, acidic salts such as sodium hydrogen sulfate and potassium hydrogen sulfate are listed.
[0030]
As the water-soluble organic solvent and the acidic compound, those which are liquid at room temperature can be applied to and impregnated into the ink absorbing material of the platen 15 part as they are or by mixing two or more kinds. The compound that is solid at room temperature can be impregnated into the platen 15 both in the form of being heated and melted to the melting point or higher or mixed with water or other water-soluble organic solvent. When it is applied in the form of an aqueous solution, it is dried before removing ink from the ink absorbing material in the printing device, or it is allowed to evaporate naturally during the standing period until the user uses it without removing the moisture. Any method can be used. When two or more types are mixed and used, the mixing ratio may be appropriately determined according to the impregnation workability of the platen 15 and the type of water-based ink used.
[0031]
The ratio of the water-soluble organic solvent and the acidic compound may be appropriately determined according to the type of aqueous ink used, but the acidic compound is 10% or less in order to suppress the influence of acid corrosion of the acidic substance on the ink jet recording apparatus. It is preferable to add in. Further, by adding 0.1% or more of the acidic compound, it is possible to prevent the ink containing the cationic colorant from being deposited and soak into the ink absorbing material.
[0032]
According to the ink jet recording apparatus 10 using the ink containing the cationic colorant, the recording head 11 is moved to the guide shaft 12 by moving the carriage 16 along the guide shaft 12 in the main scanning direction of the arrow B. When the recording paper 13 is fed in the sub-scanning direction (arrow A) orthogonal to the scanning direction of the recording head 11, the cartridges 17 and 18A to 18C pass through the nozzles 11A to 11B. Thus, printing can be performed on the recording paper 13 by discharging the ink.
[0033]
Next, an ink jet recording method of the ink jet recording apparatus 10 using ink containing a cationic colorant will be described with reference to FIGS.
[0034]
When printing is performed with the ink jet recording apparatus 10 using ink containing a cationic colorant, the leading end 13A of the recording paper 13 is conveyed in the sub-scanning direction indicated by the arrow A as shown in FIG. When the ink reaches below the recording head 11, the carriage reciprocates along the main scanning direction indicated by the arrow B, and the aqueous ink 14 is ejected from the recording head 11 to start printing on the recording paper 13. At this time, in order to perform printing with the margin of the front edge 13A on the recording paper 13 set to zero, the aqueous ink 14 protrudes from the front edge 13A of the recording paper 13 to the outside.
In this state, when the recording paper 13 is conveyed in the sub-scanning direction indicated by the arrow A, when the state shown in FIG. 2B is reached, the margin of the side edge 13B of the recording paper 13 is set to zero to perform printing. By appropriately adjusting the reciprocating distance of the carriage along the B main scanning direction, the water-based ink protrudes from the side edge 13B of the recording paper 13 to the outside.
[0035]
Further, when the recording paper 13 is transported in the sub-scanning direction indicated by the arrow A from this state, when the state shown in FIG. 2C is reached, printing is performed with the margin of the trailing edge 13C on the recording paper 13 set to zero. Then, the water-based ink 14 protrudes outward from the rear edge 13C of the recording paper 13 (see FIG. 3).
[0036]
Here, the aqueous ink 14 that protrudes outward from the front edge 13A, the side edge 13B, and the rear edge 13C of the recording paper 13 is soaked into the platen 15 shown in FIG. The platen 15 is impregnated with a water-soluble organic solvent and an acidic compound that is acidicly dissociated in water over the entire region from one end 15A to the other end 15B.
[0037]
For this reason, as shown in FIG. 4, the aqueous ink 14 that protrudes outward from the front edge 13 </ b> A, the side edge 13 </ b> B, and the rear edge 13 </ b> C of the recording paper 13 can be efficiently infiltrated into the platen 15. Therefore, even when the use environment of the ink jet recording apparatus 10 using the water-based ink is increased particularly in the summer, etc., the inside of the absorbent can be quickly infiltrated before drying proceeds and thickens. Furthermore, it does not substantially evaporate under the usage environment of the printing apparatus. Therefore, even when intermittent printing is performed particularly in the usage environment where the room temperature has increased, especially in summer, the deposition of the colorant is suppressed and the platen is reduced. It can be sufficiently infiltrated. As a result, it is possible to prevent the dry matter of the water-based ink from becoming the deposit 105 on the surface of the platen, thereby preventing the subsequent recording medium from coming into contact with the deposit 105 and preventing the recording medium from becoming dirty. .
[0038]
Further, the platen 15 is impregnated with a water-soluble organic solvent and an acidic compound that is dissociated acidic in water over the entire region from one end 15A to the other end 15B. For this reason, the water-based ink that has soaked into the platen 15 from the front edge 13A, the side edge 13B, and the rear edge 13C of the recording paper 13 can be soaked in the entire area from one end 15A of the platen 15 to the other end 15B. . Therefore, since a large amount of water-based ink can be infiltrated into the platen 15, the cycle for replacing the platen 15 can be extended.
[0039]
In the above embodiment, the recording paper 13 is described as an example of the recording medium. However, the present invention is not limited to this, and the present invention can be applied to other recording media.
Furthermore, the present invention is not limited to the above-described embodiments, and appropriate modifications, improvements, and the like are possible. The materials, shapes, dimensions, etc., of the recording head, guide shaft, and platen exemplified in the above-described embodiments. As long as the present invention can be achieved, the form, number, location, thickness, etc. are arbitrary and are not limited.
[0040]
Next, Examples 1-6 and Comparative Examples 1-2 will be described.
[0041]
As the platen 15 of Examples 1 to 6 and Comparative Examples 1 and 2, urethane foam foam was used.
[0042]
As the water-based inks of Examples 1 and 2 and Comparative Example 1, water-based inks using a cationic dye as a cationic colorant were used. In addition, as the water-based inks of Examples 3 to 6 and Comparative Example 2, water-based inks using a pigment dispersed with a water-soluble resin containing a cation as a cationic colorant were used. In each example and comparative example, the black ink cartridge 17 was filled with black aqueous ink, the cyan cartridge 18A was filled with cyan aqueous ink, the magenta cartridge 18B was filled with magenta aqueous ink, and the yellow cartridge 18C was filled with yellow aqueous ink.
[0043]
An aqueous ink using a cationic dye as a cationic colorant is a C.I. I. Basic Black 2 6 wt%, glycerin 15 wt%, 2-pyrrolidone 3 wt%, triethylene glycol 5 wt%, triethylene glycol monobutyl ether 10 wt%, Surfynol 465 as an acetylene glycol surfactant (trade name, manufactured by Air Products and Chemicals) ) 1.0 wt%, 0.2 wt% lactic acid, and 100 wt% by using the rest as pure water were used.
[0044]
As a cyan dye ink, C.I. I. The ink was prepared in the same manner as the black dye ink except that 3% by weight of Basic Blue 21 was used.
[0045]
As a magenta dye ink, C.I. I. The ink was prepared in the same manner as the black dye ink except that 4% by weight of Basic Red 13 was used.
[0046]
As yellow dye ink, C.I. I. The ink was prepared in the same manner as the black dye ink except that 4% by weight of Basic Yellow 36 was used.
[0047]
A water-based ink dispersed with a water-soluble resin containing a cation as a cationic colorant is used as a black pigment ink as 4-vinylpyridine (10 mol%)-styrene (50 mol%)-butyl acrylate (40 mol) as a resin containing a cation. %) Copolymer-hydrochloride / Mw 25,000 1.5 wt%, carbon black MA100 as black pigment (trade name, manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation) 7 wt%, pH adjuster adjusted to pH 5.6 with 1N hydrochloric acid To the dispersed pigment dispersion, glycerin 8 wt%, 2-pyrrolidone 3 wt%, trimethylolpropane 8 wt%, 1,2-hexanediol 2 wt%, reethylene glycol monobutyl ether 2 wt%, Surfynol 104 (as acetylene glycol surfactant) Product name, Air Products Tour (Manufactured by Nand Chemicals Co., Ltd.) 0.3 wt%, lactic acid 0.2 wt%, and the rest made pure water 100 wt%.
[0048]
As a cyan pigment ink, 4-vinylpyridine (10 mol%)-styrene (50 mol%)-butyl acrylate (40 mol%) copolymer-hydrochloride / Mw 25,000 3 wt% as a resin containing a cation, C as a cyan pigment . I. Pigment Blue 15: 3 An ink was prepared in the same manner as the black pigment ink except that 3.5 wt% was used.
[0049]
As a magenta pigment ink, 4-vinylpyridine (10 mol%)-styrene (50 mol%)-butyl acrylate (40 mol%) copolymer-hydrochloride / Mw 25,000 1 wt% as a resin containing a cation, C as a magenta pigment . I. The ink was prepared in the same manner as the black pigment ink except that Pigment Red 122 5 wt% was used.
[0050]
As a yellow pigment ink, 4-vinylpyridine (10 mol%)-styrene (50 mol%)-butyl acrylate (40 mol%) copolymer-hydrochloride / Mw 25,000 1.5 wt% as a resin containing a cation, yellow pigment As a pigment, C.I. I. The ink was prepared in the same manner as the black pigment ink except that Pigment Yellow 74 5 wt% was used.
[0051]
(Example 1)
A coating solution was prepared by mixing 99 wt% glycerin as a water-soluble organic solvent and 1 wt% glycolic acid as an acidic compound. It apply | coated uniformly with the application quantity of 200 g / m <2> with respect to the foaming material of urethane foam. As an ink jet recording apparatus, instead of a metal platen of EM-930C (trade name, manufactured by Seiko Epson Corporation), the above impregnated urethane foam is mounted at a position with a gap of 2 mm from the paper, and an A4 size (210 mm Image data of 230 mm × 297 mm was sent to a recording medium of × 297 mm), and borderless printing was performed in a 40 ° C./20% RH environment.
[0052]
In the state where 2000 sheets were continuously printed, the determination was made according to the following criteria.
[0053]
A: No ink deposit is observed, or the height of the ink deposit is within 1 mm.
[0054]
B: Although an ink deposit is recognized, it exceeds 1 mm and is less than 2 mm, and does not reach the back surface of the paper to be passed.
[0055]
C: The ink deposit has reached the back side of the paper to be passed, and the ink is retransferred to the back side of the paper.
[0056]
(Examples 2 to 6)
A platen was prepared and mounted in the same manner as in Example 1 except that the impregnating solution used was changed to Table 1, and evaluation was performed.
[0057]
(Comparative Example 1)
For Example 1, evaluation was performed using a dye ink set in the same manner except that the foaming material of urethane foam was not applied.
[0058]
(Comparative Example 2)
Evaluation was performed on Example 1 using a pigment ink set in the same manner except that the foam foam material was not coated.
[0059]
Table 1 summarizes the impregnating liquid, the ink type used, and the results.
[0060]
[Table 1]
[0061]
As shown in the borderless printing results in Table 1, the ink jet printing apparatus of the present invention has no or little ink deposits after continuous printing under high temperature and drying as compared with Comparative Examples 1 and 2, and the recording medium An ink jet recording apparatus can be provided in which the back surface of the ink is not soiled.
[0062]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, ink absorption using a water-based ink containing a cationic colorant and impregnating a platen with at least a water-soluble organic solvent and an acidic compound that is acidicly dissociated in water. By using the material, the water-based ink printed on the outer side of the edge of the recording medium can be quickly infiltrated into the absorbent before drying proceeds and thickens. Furthermore, since the water-soluble organic solvent and the acidic compound are selected from solid compounds having a boiling point of 150 ° C. or higher and / or 25 ° C., they do not substantially evaporate under the usage environment of the printing apparatus. Even when intermittent printing is performed in a use environment where the room temperature has increased, the precipitation of the colorant can be suppressed and the platen can be sufficiently infiltrated. As a result, it is possible to prevent the dry matter of the water-based ink from becoming a deposit on the surface of the platen, thereby preventing the subsequent recording medium from coming into contact with the deposit and preventing the recording medium from becoming dirty.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing an ink jet recording apparatus according to the present invention.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing an ink jet recording method according to the present invention.
FIG. 3 is an explanatory diagram showing an ink jet recording method according to the present invention.
FIG. 4 is an explanatory diagram showing an ink jet recording method according to the present invention.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing a conventional inkjet recording method.
FIG. 6 is an explanatory diagram showing a conventional inkjet recording method.
FIG. 7 is an explanatory diagram showing a conventional inkjet recording method.
FIG. 8 is an explanatory diagram showing a conventional ink jet recording method.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 10 Inkjet recording apparatus 11 Recording head 12 Guide shaft 13 Recording paper (recording medium)
14 Water-based ink 15 Platen
