JP2005014137A - 切削工具および切削工具の測温校正方法 - Google Patents

切削工具および切削工具の測温校正方法 Download PDF

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真徳 中村
Koji Ono
孝司 小野
Yoshiaki Matsuura
好明 松浦
Takashi Hattori
隆志 服部
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Abstract

【課題】被削材の切削品質を悪化させることなく簡単な位置決め加工により熱電対を刃先近くに配置することが可能な切削工具及びその測温校正方法を提供すること
【解決手段】切削工具1の逃げ面5において刃先11に向かって形成された収納溝7aに熱電対9が収納される。熱電対9の先端測温部9cは熱硬化性樹脂によるコーティング層9dでコーティングされている。コーティング層9dは第3の熱起電力を有する切削工具1と熱電対との接触を避けると同時に、熱硬化させることにより熱電対9、特に先端測温部9cを切削工具1に固定して測温位置の変動を防止する。収納溝7aに収納された熱電対はロウ付け材7bで固定される。これにより、収納溝7aに収納された熱電対9を更に確実に切削工具1に固定することができ、切削加工時に切り出される切屑や機械振動等に対しても安定した刃先温度の測温が可能となる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削工具および切削工具の測温校正方法に関するものであり、特に、切削工具の刃先温度を検出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に開示されている切削工具は、一対の工具半片から構成され、工具半片を熱起電力の異なる2種類の工具材料を使用してそれぞれ作製し、2種類の工具半片を工具刃先の部分で接触させ、その接触面を測温点として熱電対を構成する。被削材を切削加工する際、工具半片間の接触面の平均温度の工具表面温度を測定することができ、被削材の切削時の工具刃先温度を測定するものである。
【0003】
尚、その他の関連技術として、特許文献1乃至3には、工具にあけられた孔内に挿入された熱電対により、切削温度を測定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−178240号公報(第10段落)
【特許文献2】
特開平11−10408号公報(第14段落)
【特許文献3】
特表平3−503862号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1では、工具の刃先を構成する一対の工具半片を熱起電力の異なる2種類の工具材料とする必要がある。このため、工具材料のうち一方については、被削材に対して好適な切削品質を得られる材料を選択することができるところ、他方の工具材料については、一方の工具材料との間で熱電対を構成する際に、切削時の刃先の温度範囲において的確な温度検出が得られる材料を選択する必要がある。各々の工具材料が有する性質の相違から工具半片ごとに被削材に与える切削時の影響は異なるものとなり、切削品質を維持することが困難な場合もあり問題である。
【0006】
例えば、工具材料間で摩擦係数が異なる場合には、回転する被削材に工具刃先を押圧して切削加工する際、一対の工具半片は、工具刃先の接触面を挟んで工具材料ごとの摩擦係数に応じて異なる温度に上昇し、工具半片間の接触面を介して温度勾配が発生することとなる。ドライ加工やセミドライ加工等の切削技術によっては、切削品質を維持するために切削加工時の刃先温度を所定温度に維持する必要があるところ、工具刃先の接触面を挟んだ狭い領域に温度勾配を生じてしまい、刃先温度を所定温度に温度管理することができず問題である。
【0007】
また、切削時において、工具半片ごとに異なる工具材料を使用するため、工具半片間で被削材の切削量が異なってしまうおそれがあり均一な切削面が得られないことも考えられ問題である。また、切削工具の磨耗度合いも工具材料ごとに異なる場合があり、工具刃先において工具半片間で接触面に段差等のずれが生じてしまうことも考えられ問題である。
【0008】
更に、一方の工具半片については、被削材との親和性を得て良好な切削品質とすることが可能であるとしても、他方の工具半片については、被削材との親和性は保証されることはなく切削品質は良好であるとは限らない。切削する工具半片によっては切削品質が好ましくない場合も考えられ、被削材の切削品質を均一に維持することができないおそれがあり問題である。
【0009】
また、工具にあけられた孔内に熱電対を挿入する技術については、工具刃先の温度を精度よく検出するためには開孔の先端部と工具刃先との距離を精度よく合わせる必要がある。熱電対を挿入できる細径の開孔を深さ精度よくあけることは困難な場合もあり問題である。
【0010】
本発明は前記従来技術の課題の少なくとも1つを解消するためになされたものであり、被削材の切削品質を悪化させることなく、簡単な位置決め加工により熱電対を刃先近くに取り付けて切削加工時の工具刃先の温度を検出することが可能な切削工具を提供すると共に、刃先温度と熱電対での測定温度との温度差がある場合にも刃先温度を算出することが可能な切削工具の測温校正方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る切削工具は、先端測温部が熱硬化性の樹脂コーティング層で被覆されてなる熱電対と、熱電対を収納して刃先にガイドする収納溝とを備え、熱電対は、熱硬化性樹脂またはロウ付け部材により収納溝に固定されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項1の切削工具では、切削工具の表面に収納溝を形成して熱電対を収納し、熱電対の先端測温部を刃先にガイドする。収納された熱電対は、熱硬化性樹脂またはロウ付け部材により収納溝内に固定される。また、先端測温部は樹脂コーティング層で被覆されている。
【0013】
これにより、被削材に対して好適な1種類の工具材料で刃先を形成しながら、刃先の測温を行うことができる。刃先を熱電対とすることによる刃先の意図しない温度勾配は発生せず、刃先温度を精度よく測温することができる。良好な刃先の温度管理が可能となることにより、1種類の工具材料で刃先を形成することと相俟って、被削材は良好な切削品質で切削加工されることとなる。
【0014】
また、刃先温度を精度よく測定するためには熱電対の先端測温部と刃先との離間距離を精度よく位置決めすることが必要であるところ、熱電対の刃先へのガイドは収納溝によりなされるため、収納溝の位置決めは開孔の深さ決めに比して容易に行うことができ、熱電対の先端測温部の位置を精度よく確定して精度のよい測温を行うことができる。
【0015】
また、樹脂コーティング層により先端測温部を収納溝に確実に固定することができると共に、先端測温部と切削工具やロウ付け部材との接触を防止して意図しない熱起電力の発生による測定温度のずれを防止することができる。
【0016】
このとき、樹脂コーティング層は、層厚に比して細粒径の金属酸化物が混入されてなることが好ましい。これにより、金属酸化物が有する低電気伝導性と高熱伝導性とを利用して、意図しない熱起電力の伝導経路が形成されることなく樹脂コーティング層の熱伝導率を向上させることができ、刃先と先端測温部との熱抵抗を低減することができる。
【0017】
また、収納溝は、刃先側端部において深溝部または穿孔部を備えることが好ましい。これにより、熱電対の先端測温部を切削工具により確実に固定することができると共に、刃先と先端測温部との熱的な結合を向上させることができる。
【0018】
また、収納溝は、すくい面または逃げ面に形成されてなるが好ましい。すくい面または逃げ面に形成される収納溝に沿って熱電対が刃先にガイドされる。
【0019】
また、請求項5に係る切削工具は、請求項1乃至4に記載の切削工具において、刃先からの距離が異なる複数の熱電対を備えることを特徴とする。これにより、個々の熱電対により測温される測定温度の違いに基づき、切削工具における熱伝導係数を算出してやれば、刃先の実温度を精度よく算出することができる。
【0020】
また、請求項6に係る切削工具の測温校正方法は、請求項1乃至5の少なくとも何れか1項に記載の切削工具により、所定切削時間の切削加工を行う際の切削工具の測温校正方法であって、熱電対について定常的な温度の測温校正を行う基礎校正ステップと、所定切削時間に刃先を既知温度として測温動作を行い、測定されるピーク測定温度を取得するピーク温度取得ステップと、ピーク測定温度から既知温度を換算する換算式を確定する換算式確定ステップとを有することを特徴とする。
【0021】
請求項6の切削工具の測温校正方法では、先ず、基礎校正ステップにより定常的な温度測定について熱電対を測温校正する。次に、ピーク温度取得ステップにより所定切削時間に既知温度とした刃先の測温動作を行い、測定されるピーク測定温度を取得する。換算式確定ステップでは、得られたピーク測定温度から既知温度を換算する換算式を確定する。
【0022】
これにより、切削加工に応じて刃先で発生する熱の伝導径路における熱抵抗や各部の熱容量等の要因で、所定切削時間内では刃先温度と熱電対の先端測温部での測定温度との間に温度差が残存してしまう場合にも、換算式を使用して刃先温度を精度よく算出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の切削工具および切削工具の測温校正方法について具体化した実施形態を図1乃至図6に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1には、実施形態の切削工具による切削の様子を模式的に示す。回転軸Rに回転可能に支持される円筒形の被削材20の外側面を順次切削する場合を示している。切削工具1は、三角錐の頂点部分を底面に平行な平面で切り落とした形状を有しており、底面の三角形平面をすくい面3、切り落とされた三角錐の側面を逃げ面5、すくい面3の外周辺のうち頂点近傍部分を刃先11とする構成である。切削工具1は、刃先11が被削材20の外側面に当接するように工具ホルダー10に固定される。
【0025】
切削に際しては、工具ホルダー10を被削材20の方向に順次移動して被削材20の外側面を連続的に切削する場合の他、被削材20の切削位置における外側面の外径寸法を所定値に調整するための切削加工もある。また、図1では、被削材20の外側面を切削する場合の構成を示したが、切削の態様はこれに限定されるものではなく、円環状の被削材について内側面の内径寸法を調整する切削加工の場合の他、さまざまな切削態様が考えられることは言うまでもない。外/内径寸法を調整する場合においては、切削加工は連続的に行われることはなく、切削条件に応じて設定された時間で切削加工を1回行いあるいは複数回繰り返すことにより調整されることが一般的である。
【0026】
ここで、切削条件は、被削材20および切削工具1の硬度等の材質、被削材20の回転速度、被削材20への切削工具1の押圧力、押圧時の摩擦係数などの様々な組み合わせにより変化する。
【0027】
切削加工においては、切削工具1の刃先11の温度を管理することが重要である。切削加工による発熱は刃先温度を上昇させ、切屑の切削工具1への溶着や溶着に起因する刃先の損傷等が発生するおそれがあるからである。工具刃先11の温度を測温するため、熱電対9を切削工具1に取り付けることが有効である。図1において、熱電対9は刃先11の近傍において取り付け部7により切削工具1に取り付けられている。熱電対9の先端測温部(不図示)は、取り付け部7における刃先11側の端部に収納されており、刃先温度の急峻な温度変動に対しても追従性よく測温することができる。
【0028】
図2には、熱電対9と取り付け部7との拡大斜視図を示し、図3には、取り付け部7のAA曲線(図2、参照)での断面図を示す。取り付け部7は、切削工具1の逃げ面5において刃先11に向かって形成された収納溝7aに、熱電対9を収納することにより形成される。熱電対9は、熱起電力の異なる2つの異種金属線9a、9bを先端部分で接合してなる先端測温部9cを有して構成されている。先端測温部9cと収納溝7aに収納される熱電対部分とは熱硬化性樹脂によるコーティング層9dでコーティングされている。コーティング層9dは、第3の熱起電力を有する切削工具1と異種金属線9a、9bとの接触を避けると同時に、熱硬化させることにより熱電対9、その中でも特に先端測温部9cを切削工具1に固定して測温位置の変動を防止するためのものである。ここで、異種金属線9a、9bの各々を図示しない被覆材で被覆しておけば、コーティング層9dの熱硬化前または/および熱硬化処理中において、異種金属線9a、9b間の接触を確実に防止することができる。
【0029】
コーティング層9dの収納溝7aへの収納後、または収納溝7aに収納されたコーティング層9dの熱硬化後に、ロウ付け材7bで熱電対9を収納溝7a内に固定するロウ付け処理を行うことが好ましい。これにより、収納溝7aに収納された熱電対9を更に確実に切削工具1に固定することができ、切削加工時に切り出される切屑や機械振動等に対しても熱電対9が切削工具1に確実に固定され、安定した刃先温度の測温が可能となる。
【0030】
また、コーティング層9dには、細粒径の金属酸化物の粉体が混入されている。金属酸化物の混入によりコーティング層9の熱伝導性が向上するからである。ここで、細粒径とは、コーティング層9の層厚に比して小さな粒径であることをいう。細粒径の粉体であることにより、金属酸化物がコーティング層9の全体に均等に分散され、コーティング層9の熱伝導性を均等に維持することができる。また、金属酸化物が細粒径であるため、金属酸化物を介して異種金属線9a、9b、または切削工具1の何れか2つが接触する可能性低く、仮に接触する場合にも、金属酸化物であり電気抵抗が高いため、熱起電力に伴う電流が流れることはなく、意図しない測定温度が測温されることはない。
【0031】
上記の説明では、コーティング層9dを、熱電対9のうち収納溝7aへの収納部分を含んでコーティングする場合を例示したが、ロウ付け材7bによる熱電対9の固定が確実に行われるのであれば、コーティング層9dは、熱電対9の先端測温部9cをコーティングすればよい。これにより、先端測温部9cと切削工具1との接触による意図しない熱起電力の発生に伴う測定温度のズレ等の発生を防止することができる。
【0032】
ここで、刃先11と収納溝7aに収納される熱電対9の先端測温部9cとの間には、切削工具1、熱硬化性樹脂のコーティング層9d等が存在し、これらに起因する熱抵抗が存在する。従って、熱伝導には所定の時間を要することが一般的である。更に、切削工具1、コーティング層9d、熱電対9等の構成要素は、各々に固有の熱容量を有しており、温度上昇に必要な熱量は熱容量に依存して異なることが一般的である。一般的にいって、熱抵抗、熱容量を低減して刃先11(熱源)の温度をより直接的に時間的な遅れなく測温するためには、収納溝7aの加工技術の範囲内で刃先11と先端測温部9cとの離間距離Xを短く設定することが有効である。例えば、1mm〜0.5mm程度の範囲に離間距離Xを設定してやれば、後述する測温校正方法を使用して刃先11の温度を的確に測温することができる。
【0033】
実施形態では、収納溝7aの形成位置により離間距離Xが決定されるところ、収納溝7aの形成位置は容易に確認することができる。離間距離Xの調整を容易に行うことができる。また、形成すべき収納溝7aの深さは、収納される熱電対9の太さ、コーティング層9dの厚み、ロウ付け部材7bの厚みに依存して決定すればよい。例えば、異種金属線9a、9bを合わせた径として0.4Φの熱電対に対しては、0.5mm程度の溝深さを備えてやればよい。
【0034】
図3(B)では、収納溝の先端部に穿孔部7cを有する場合である。穿孔部7cにより、熱電対9の先端測温部9cを、切削工具1における逃げ面で挟まれた中央部分に配置することができる。刃先11と先端測温部9cとの熱的な結合を向上させることができ、測温時の時間応答性の向上を図ることができる。尚、穿孔部7cは、穿孔に代えて溝をより深く形成する深溝部を形成しても同様な作用・効果を奏することは言うまでもない。
【0035】
図4は、他の実施形態の切削工具1について、熱電対91、92の切削工具1への取り付け部71、72の拡大斜視図を示す。
【0036】
図2の実施形態と同様な構成を有して、2本の熱電対91、92が切削工具1に取り付けられる構成である。各熱電対91、92は、先端測温部(不図示)から刃先11までの距離が各々異なる離間距離X1、X2を有して配置されている。従って、熱電対91、92ごとに、刃先11からの熱抵抗、刃先11との間の熱容量は異なるものとなり、刃先温度に対する温度応答性は異なるものとなる。
【0037】
この様子を図5に示す。刃先温度が温度T0から温度T1に時間遅れなく上昇したとした場合の、各々の熱電対91、92での測定温度T71、T72を時間経過を横軸として表わした図である。刃先11と先端測温部との離間距離X1、X2に応じて測定温度の時間応答性が異なることを示している。より近距離に位置する熱電対91の測定温度T71は先行して立ち上がり温度T1に収束する。より遠距離に位置する熱電対92の測定温度T72は遅れて立ち上がり温度T1に収束する。
【0038】
∂q/∂t=k・∂θ/∂x(k:熱伝導係数)なる熱伝導に関する方程式より、所定時刻における各々の熱電対91、92での刃先11からの距離と測定温度との値(x1、θ1)、(x2、θ2)を代入してやれば、発熱量qを既知とすると、熱伝導係数kを求めることができる。算出された熱伝導係数kを代入すれば、発熱量qに応じた刃先11での温度を算出することができる。
【0039】
図5では、2本の熱電対91、92を備える場合を例示したが、3本以上の熱電対を備える場合でもよい。熱電対の配置位置ごとに上記の熱伝導方程式における熱伝導係数を求めてやれば、より正確な刃先温度を算出することができる。また、図5では、同一の逃げ面に複数の熱電対を配置する場合を示したが、異なる面に熱電対を配置する構成も可能である。
【0040】
図6には、上記の実施形態(図1乃至図5)で示した熱電対を備えた切削工具に対して、測温に先立ち熱電対の測温校正を行う手順を示したフローチャートである。切削工具に取り付けられた熱電対により精度よく測温を行うためには、所定の定常温度に対して発生する熱起電力に応じて温度を表示する測定装置(不図示)等の校正が必要になる。更に、切削条件に応じて設定された所定切削時間で切削加工を断続的に行う際に、刃先から熱電対の先端測温部への温度上昇の応答遅れにより刃先温度とは異なる温度を測温する熱電対の測定温度に対して、刃先温度との関係を把握する必要がある。
【0041】
先ず、所定の定常温度での熱電対の校正を行う(S1)。必要とされる切削量、被削材および切削工具の硬度等の材質、被削材の回転速度、被削材への切削工具の押圧力、押圧時の摩擦係数などの様々な切削条件に応じて、切削加工中に上昇する刃先温度を含んだ熱電対の測温範囲に応じた所定の定常温度での校正を行うことが必要である。熱電対からの熱起電力を増幅して温度に変換する測定装置(不図示)において、増幅率等を調整することにより行う。所定の定常温度での校正完了の後、未だ校正すべき定常温度があれば(S2:NO)校正すべき温度を変更して(S3)再度S1に戻る。ここで、定常温度の設定は、恒温槽(不図示)などの所定の温度調整装置内に切削工具を格納して行うことができるほか、所定温度に保持された溶液中に切削工具を投入して行うことも可能である。以上の手続き(I)(S1乃至S3のステップ)が基礎校正ステップの一例である。
【0042】
次に、ピーク温度取得ステップの一例を示す。下記の手続き(II)(S4乃至S8)が一例である。所定切削時間での切削加工により刃先温度が上昇する場合をシミュレートするため、例えば、既知の所定温度の溶液に切削工具の刃先部分を所定切削時間の間浸す動作を行う。S4において溶液の温度を所定温度に設定する。所定切削時間の間、切削工具の刃先部分を溶液に浸し熱電対により測温を行う(S5)。所定切削時間において測温された温度のうちピーク温度をピーク測定温度して取得する(S6)。取得されたピーク測定温度は、データ格納部D1に格納しておく。測温すべき所定温度が未だあれば(S7:NO)、所定温度を変更して(S8)、S5、S6の手続きを繰り返す。この時の所定温度は、手続き(I)での定常温度と同様な温度であることが好ましいが、異なる温度であっても構わない。切削加工中に刃先温度として可能性のある温度範囲を含んでいることが好ましい。全ての所定温度に対してピーク測定温度を取得したら手続き(II)は終了する(S7:YES)。
【0043】
次に、換算式確定ステップの一例を示す。下記の手続き(III)(S9)が一例である。S4乃至S8によりデータ格納部D1に格納されたピーク測定温度を取り出し所定温度との対応関係を算出して換算式を確定する(S9)。刃先温度である所定温度と、刃先から離間した熱電対の先端測温部でのピーク測定温度との関係は、必要とされる切削量、被削材および切削工具の硬度等の材質、被削材の回転速度、被削材への切削工具の押圧力、押圧時の摩擦係数などの様々な切削条件が確定すれば、所定の比例関係になることがわかっているので、2点以上の所定温度の各々に対応するピーク測定温度から比例定数を算出することにより換算式が確定される。これにより所定切削時間で測温される測定温度のうちピーク測定温度を取得してやれば切削時の刃先温度が算出される。
【0044】
以上に説明した測温校正により、同一の切削条件においては刃先と熱電対の先端測温部との離間距離が長く、または/および所定切削時間が短時間である等の理由により、測温時間である所定切削時間内には熱電対の先端測温部の温度が刃先温度に達しない場合においても刃先温度を精度よく算出することができる。
【0045】
なお、上記の換算式における比例定数は、必要とされる切削量、被削材および切削工具の硬度等の材質、被削材の回転速度、被削材への切削工具の押圧力、押圧時の摩擦係数などの様々な切削条件が変われば異なる値となる可能性があるが、上記に示した切削工具の測温校正方法によれば、切削条件に応じた測温校正を行うことができる。
【0046】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、実施形態においては、熱電対を収納する収納溝を切削工具の逃げ面に形成する場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、すくい面に形成することも可能である。
また、実施形態においては、切削工具について例示したが、ドリル工具やタップ工具に対しても同様に適用することが可能である。この場合、収納溝はドリル工具やタップ工具の螺旋状の溝に沿って形成すればよい。またドリル工具やタップ工具は固定して被削材を回転させる加工装置に適用して好適である。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、被削材の切削品質を悪化させることなく簡単な位置決め加工により、切削加工時の工具刃先の温度を検出する熱電対を刃先近くに取り付けて刃先温度を測温することが可能な切削工具を提供することができると共に、所定切削時間の切削が断続して行われる切削加工において刃先温度と熱電対での測定温度との温度差がある場合にも、精度よく刃先温度を算出することが可能な切削工具の測温校正方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の切削工具による切削の様子を示す模式図である。
【図2】実施形態の切削工具の構成を示す拡大斜視図である。
【図3】実施形態の切削工具の構成を示す拡大断面図である。
【図4】他の実施形態の切削工具の構成を示す拡大斜視図である。
【図5】他の実施形態の切削工具による測温の様子を示す図である。
【図6】実施形態の切削工具の測温校正方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 切削工具
3 すくい面
5 逃げ面
7、71、72 取り付け部
7a 収納溝
7b ロウ付け材
7c 穿孔部
9、91、92 熱電対
9c 先端測温部
9d コーティング層
10 工具ホルダー
11 刃先
20 被削材

Claims (6)

  1. 先端測温部が熱硬化性の樹脂コーティング層で被覆されてなる熱電対と、
    前記熱電対を収納して刃先にガイドする収納溝とを備え、
    前記熱電対は、熱硬化性樹脂またはロウ付け部材により前記収納溝に固定されてなることを特徴とする切削工具。
  2. 前記樹脂コーティング層は、層厚に比して細粒径の金属酸化物が混入されてなることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記収納溝は、刃先側端部において、深溝部または穿孔部を備えることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  4. 前記収納溝は、すくい面または逃げ面に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  5. 前記刃先からの距離が異なる複数の熱電対を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の切削工具。
  6. 請求項1乃至5の少なくとも何れか1項に記載の切削工具により、所定切削時間の切削加工を行う際の前記切削工具の測温校正方法であって、
    前記熱電対について定常的な温度の測温校正を行う基礎校正ステップと、
    前記所定切削時間に前記刃先を既知温度として測温動作を行い、測定されるピーク測定温度を取得するピーク温度取得ステップと、
    前記ピーク測定温度から前記既知温度を換算する換算式を確定する換算式確定ステップとを有することを特徴とする切削工具の測温校正方法。
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