JP2005012350A - 音声・音響信号再生調整方法、装置、および音声・音響信号再生調整プログラム、そのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受信バッファに音声・音響信号のディジタルデータ系列を入力して蓄積し、受信バッファから読み出された音声・音響信号のディジタルデータ系列を入力として、遅延回路とオールパスフィルタ(I)を経由した信号A、遅延回路を介した信号B、オールパスフィルタ(II)を介した信号Cを再生バッファまたは受信バッファの状態に応じて、選択回路により選択してサンプル数の間引きと挿入を組み合わせて再生サンプル数を調整し、再生バッファに出力する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は音楽や音声のディジタルデータ系列を再生する際のサンプル数の調整技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な端末装置間の音声通信や音楽配信では、音を再生するための同期クロックは送信側、受信側端末のクロックに依存するが、クロックの周期にはわずかのずれが避けられないために、送り側と受け側のクロックのずれによって、再生するデータが不足したりオーバーフローを起こす可能性がある。データの時間調整をするために、波形サンプルを間引いたり足したりする。これは大きな歪を伴うが、時間領域の歪を軽減するために、再生サンプルによって時間調整を行う方法や時間軸をずらしたりした波形を滑らかに重ね合わす方法が知られている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】
矢島、小川、伏見、海老沢、「VoIPにおけるクロックスリップ対策方式の検討」電子情報通信学会総合大会 B−6−146
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法は、オーバーラップ加算区間で、現時点のサンプルと一つ前のサンプルまたは一つ後のサンプルとの重みつき平均をとって現在の出力のサンプルとする。時間領域では滑らかな変化となるが、スペクトル上では周波数の高い成分が欠落する。例えば隣接するサンプルとの均等な平均をとることは2タップのローパスフィルタをかけることと等価であるため、高域成分は大きく減衰する。このため、大きな劣化となる可能性がある。従来の方法は時間軸での歪は軽減されるがスペクトルに歪が避けられないために、波形が濁り、特に音楽では品質劣化が問題となる。
本発明は音質を損なわないように波形の時間調整を行う手段を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、サンプルの位相(遅延)を連続的に制御できる比較的簡単なフィルタによって音質を損なうことなく、緩やかに波形のサンプル数の調整を行う。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の音声・音響信号再生調整装置の構成例を示す。
音声・音響信号再生調整装置は、受信バッファと、遅延回路、2個のオールパスフィルタ、選択回路からなる再生サンプル数調整回路と、再生バッファから構成される。
受信バッファには音声・音響信号のディジタルデータ系列が入力され蓄積される。再生サンプル数調整回路は受信バッファから読み出された音声・音響信号のディジタルデータ系列のサンプル数を調整して再生バッファに出力する。再生バッファはサンプル数を調整した音声・音響信号のディジタルデータ系列を蓄積するとともに読み出して復号器に出力する。
【0007】
波形を再生する前に、位相変化量を調整できるオールパスフィルタまたはそれに近似するフィルタ(位相変化量を調整できる周波数特性がほぼフラットなフィルタ)を利用する。再生バッファのデータが少なくなると位相遅れ量を増加させ、再生バッファのデータが多くなると位相遅れ量を減少させる。もともと数サンプル早めた再生に設定することで、後者の場合の実質遅れはマイナスとする(早める)ことができる。
【0008】
復号器のクロック(再生バッファの読み出しクロック)が早いと、オールパスフィルタの位相遅れが増加するようにパラメータをゆっくり変更する。2サンプル遅れる状況になれば、ある時点までの出力値を処理後のサンプルから選択し、その1つあとの出力値を1サンプル遅れるオールパスフィルタの出力に乗り換える。これにより復号器の出力サンプル数は復号器に入力されたサンプル数よりひとつ多くなる。
【0009】
復号器のクロックが遅いと、オールパスフィルタの位相遅れが減少するようにパラメータが変更される。1サンプル遅れる状況が中立とすると、1サンプルも遅れない何もしない処理になる。ある時点までの出力値を処理後のサンプルから選択し、その1つあとの出力値を1サンプル遅れるオールパスフィルタの出力の1サンプルスキップしたサンプル値に乗り換える。これにより復号器の出力サンプル数は復号器に入力されたサンプルの数よりひとつ少なくなる。
オールパスフィルタの具体例として下記の伝達関数H(z)を考える。
【数1】
これはオールパスフィルタでパワースペクトル特性|H(z−1)|2は以下のように周波数によらず平坦である。
【数2】
位相特性はαによって変化する、αが0に近いときにz−1に近似されるので1サンプルの遅延に相当する。またαが−1に近いときには1に近似されるので処理がないときに近似される。インパルス応答は−α,1−α2,α(1−α2)となり、αの値によって図2のようになる。すなわち、αが中間の値の場合には中間の位相遅れの波形が得られる。
【0010】
本発明の音声・音響信号再生調整方法及び音声・音響信号再生調整装置を図面を参照して説明する。
再生バッファの再生クロックと受信バッファの配信クロックが一致している場合には、単に1サンプル遅延を挿入する。すなわち図1の遅延回路の出力Bを選択回路により選択して再生バッファに供給する。
【0011】
次に再生クロックが配信クロックより早い場合には、再生バッファあるいは受信バッファともにデータ量が次第に減ってくる。このために、図3のような処理が必要になる。この場合、(1)遅延回路を介したオールパスフィルタ(I)の出力Aを選択回路により選択して再生バッファに供給する。オールパスフィルタの係数としてまずαを−0.99から出発し、ゆっくり0に近づける。出力はBと同じものから次第に位相が遅れ、αが0に近いところでは遅延回路の出力Bよりほぼ1サンプル遅れた波形が得られる。すなわち、Nサンプルの入力に対してN−1サンプルの信号をNサンプルの時間(再生クロック)で再生することになる。(2)次のサンプルではN+1の時間にN番目のサンプルを出力Bから再生し、数サンプルだけ続ける。その後すぐにAのオールパスフィルタの係数αを−0.99に変更して出力Aに切り替える。クロックのずれがちょうどN:(N−1)となるように係数αをゆっくり変動させればよい。変動の速度はバッファのデータ数からフィードバックすればよい。
【0012】
次に再生バッファの再生クロックが受信バッファの配信クロックより遅い場合には、再生バッファあるいは受信バッファともにデータ量が次第に増えてくる。この場合、図4のようにオールパスフィルタ(II)の出力Cを選択回路で選択して再生バッファに供給する。オールパスフィルタの係数としてまずαを−0.01から出発し、ゆっくりと−1に近づける。出力はBと同じものから次第に位相遅れが減り、αが−1に近いところでは出力Bよりほぼ1サンプル進んだ波形が得られる。すなわち、Nサンプルの入力に対してNサンプルの信号をN−1サンプルの時間(再生クロック)で再生することになる。次のサンプルではNの時間に出力BのN+1番目のサンプルを再生し、数サンプルだけ続ける。そのあとすぐに出力Cのフィルタの係数を−0.01に変更して出力Cに切り替える。
【0013】
図5、図6にオールパスフィルタの構成例を示す。
オールパスフィルタは乗算器、加算器、遅延回路から構成され、乗算器の係数αを制御することによりαに応じた遅延時間を設定する。オールパスフィルタを用いることにより、演算量もメモリ量も少なくすることができる。
【0014】
本発明の音声・音響信号再生調整装置は、CPUやメモリ等を有するコンピュータと利用者端末とCD−ROM、磁気ディスク装置、半導体メモリ等の機械読み取り可能な記録媒体とから構成される。記録媒体に記録された音声・音響信号再生調整プログラムはコンピュータに読み取られ、コンピュータの動作を制御し、コンピュータ上に各構成要素、すなわち受信バッファ、遅延回路、オールパスフィルタ(I),(II)、選択回路、再生バッファを形成し、前述した各処理を実行する。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、音質をほとんど損なうことなく連続的に再生時間調整が可能となる。また揺らぎ吸収バッファの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音声音響信号再生調整装置のブロック図。
【図2】オールパスフィルタのインパルス応答例を示す図。
【図3】再生クロックが早い場合の対応図。
【図4】再生クロックが遅い場合の対応図。
【図5】オールパスフィルタの構成例を示す図。
【図6】別形式のオールパスフィルタの構成例を示す図。
Claims (5)
- 音声・音響信号のディジタルデータ系列に対して、設定される係数によって異なる位相遅れを生じるフィルタを備え、その係数を緩やかにかつ適応的に変更しながらフィルタを通すことによって、再生サンプル数を調整することを特徴とする音声・音響信号再生調整方法。
- 音声・音響信号のディジタルデータ系列に対して、再生バッファまたは受信バッファの状態に応じて、位相を連続的に変更するオールパスフィルタを通過させ、サンプル数の間引きと挿入を組み合わせて、出力の再生サンプル数を調整することを特徴とする音声・音響信号再生調整方法。
- 音声・音響信号のディジタルデータ系列を入力して蓄積する受信バッファと、再生サンプル数調整回路と、音声・音響信号のディジタルデータ系列を蓄積するとともに読み出して出力する再生バッファを備え、
再生サンプル数調整回路は、
受信バッファから読み出された音声・音響信号のディジタルデータ系列を再生バッファまたは受信バッファの状態に応じて、位相を連続的に変更するオールパスフィルタを通過させ、サンプル数の間引きと挿入を組み合わせて再生サンプル数を調整して再生バッファに出力することを特徴とする音声・音響信号再生調整装置。 - 受信バッファ、オールパスフィルタ、再生バッファを形成する処理と、
入力された音声・音響信号のディジタルデータ系列に対して、再生バッファまたは受信バッファの状態に応じて、位相を連続的に変更するオールパスフィルタを通過させ、サンプル数の間引きと挿入を組み合わせて、出力の再生サンプル数を調整する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする音声・音響信号再生調整プログラム。 - 受信バッファ、オールパスフィルタ、再生バッファを形成する処理と、
入力された音声・音響信号のディジタルデータ系列に対して、再生バッファまたは受信バッファの状態に応じて、位相を連続的に変更するオールパスフィルタを通過させ、サンプル数の間引きと挿入を組み合わせて、出力の再生サンプル数を調整する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする音声・音響信号再生調整プログラムを記録した記録媒体。
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2003
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