JP2005012248A - 画像読影支援方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる時期に撮影された同一の被写体を表す画像の位置合わせをして、画像の読影を支援する方法及び装置において、被写体の姿勢や状態の変化に関わらず、高い精度で位置合わせを行う。
【解決手段】撮影手段1が患者の体位や呼吸相をコントロールしながら撮影をして取得した複数の過去画像と複数の現在画像とを、各々、現在/過去画像記憶手段2/3から読み込み、現在画像と過去画像のすべての組合せについて、指標値算出手段4が両画像の一致性を表す指標値(代表相関値)を算出し、抽出手段5が最も一致性の高い組合せを抽出する。この一致性の高い組合せを構成する現在画像と過去画像について、画像位置合わせ手段6が位置合わせ処理を行い、差分画像生成手段7が現在画像と位置合わせ処理後の過去画像とに基づいて差分画像を生成し、画像表示手段8が位置合わせ処理後の過去画像と現在画像と差分画像を表示し、診断者の読影に供する。
【選択図】 図1
【解決手段】撮影手段1が患者の体位や呼吸相をコントロールしながら撮影をして取得した複数の過去画像と複数の現在画像とを、各々、現在/過去画像記憶手段2/3から読み込み、現在画像と過去画像のすべての組合せについて、指標値算出手段4が両画像の一致性を表す指標値(代表相関値)を算出し、抽出手段5が最も一致性の高い組合せを抽出する。この一致性の高い組合せを構成する現在画像と過去画像について、画像位置合わせ手段6が位置合わせ処理を行い、差分画像生成手段7が現在画像と位置合わせ処理後の過去画像とに基づいて差分画像を生成し、画像表示手段8が位置合わせ処理後の過去画像と現在画像と差分画像を表示し、診断者の読影に供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読影支援方法及び装置に関し、より詳細には、異なる時期に撮影された同一の被写体を表す画像の位置合わせを行うことによって、画像の読影を支援する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、同一被写体についての2以上の画像を比較読影して、両画像間の差異を調べ、その差異に基づいて被写体の検査などを行うことが、種々の分野において行われている。例えば工業製品の製造分野においては、ある製品について新品の状態の時に撮影された画像と、当該製品の耐久試験後に撮影された画像とを比較読影して、両者の差異の大きな部位に注目することにより、製品の耐久性を向上させるべき部位を検討することが行われており、また医療分野においては、ある患者の疾患部位について異なる時期に撮影された複数枚の放射線画像を医師が比較読影することにより、当該疾患の進行状況や治癒状況を把握して治療方針を検討することが行われている。
【0003】
このような2以上の画像の比較読影を支援する技術として経時サブトラクション技術が知られている。経時サブトラクション技術とは、撮影時期の異なる同一被写体を表す複数の画像間の位置合わせを行い、差分画像を生成し、経時変化部分を抽出、強調する技術である。具体的には、2つの画像間の全体的なシフト量(位置ずれ量)を検出する概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行った後、両画像中の局所領域毎のシフト量を検出し、それに基づき各画素のシフト量を決定する局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行い、決定された各画素のシフト量に基づき一方の画像に対して非線形歪変換処理(ワーピング)を行うことによって両画像中の被写体の位置合わせを行う。そして、非線形歪変換処理された一方の画像と他方の画像との差分処理を行うことによって差分画像を生成する。これにより、2つの画像を比較的良好に位置合わせすることが可能になる(例えば、特許文献1、2、3、4、非特許文献1)
しかしながら、この経時サブトラクション技術は、あくまでも2次元に投影した後の画像間の位置合わせを実現する技術であり、撮影時の被写体の3次元的な体位変化(例えば、患者の前傾、後傾、回旋)に対応することは原理的に不可能であった。また、大きな状態変化に対応することも非常に困難であった。例えば、人間の胸部の経時変化の観察のために、胸部放射線画像に対して経時サブトラクションを適用した場合、呼吸相の変化により肺野サイズに1〜2cm以上の大きな変化があると、差分画像中の横隔膜下付近に大きな位置ずれアーチファクト(偽像)が生じてしまう。
【0004】
このような問題を解決するために、前回の撮影時の撮影条件を保存しておき、次の撮影時には、この保存されている撮影条件を提示する画像撮影方法が提案されている。これは、提示された撮影条件に合うように、撮影者が撮影装置の設定や被写体の姿勢(前後傾等)や状態(呼吸相等)を調整しながら撮影することによって、前回撮影された画像と同じ撮影条件で撮影した画像を得ようとするものである(例えば、特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−37074号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平8−335271号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2001−157675号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2002−032735号公報
【0009】
【特許文献5】
特開2001−285858号公報
【0010】
【非特許文献1】
A.Kano, K.Doi, H.MacMahon, D.Hassell, M.L.Giger, “Digital image subtraction of temporally sequential chest images for detection of interval change”,(米国), Medical Physics, AAPM, Vol.21, Issue 3, March 1994, p.453−461
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献5記載の方法では、撮影装置の設定を合わせるという点では効果的であるが、被写体の姿勢や状態を合わせるには、非常に時間を要する。また、被写体の姿勢や状態を前回の撮影時と完全に一致させることは現実的には非常に困難であると考えられる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被写体の姿勢や状態の変化に関わらず、異なる時期に撮影された同一の被写体を表す画像の位置合わせを高い精度で行うことによって、画像の読影を支援する方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像読影支援方法は、互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群の各々の画像(第1の画像とする)について、互いに異なる撮影条件の下で第1の画像群の撮影とは異なる時期にその被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群の各々の画像(第2の画像とする)との一致性を表す指標値を算出し、算出した指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せを1つ抽出し、この組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行うことを特徴とする。
【0014】
さらに、位置合わせ処理後の、第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成するようにすることも好ましい。
【0015】
「撮影条件」の具体例としては、被写体の撮影角度や被写体の状態等がある。この被写体の撮影角度は、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋等による姿勢の変化によって生じるものが考えられる。被写体の状態の具体例としては、人間の呼吸相、すなわち、最大呼気状態から最大吸気状態までの呼吸の各段階が考えられる。なお、第1及び第2の画像群は、各々、互いに異なる撮影条件の下で撮影され、取得されたものであるが、これは、各々の画像群中に被写体の撮影角度や被写体の状態等の撮影条件が異なる画像が含まれていることを意味する。ここで、第2の画像群は1以上の画像からなるものであるが、第2の画像群中の画像が1つだけの場合には、撮影条件の異同の判断対象となる第2の画像群中の他の画像が存在しないので、この第2の画像群中の1つの画像は「互いに異なる撮影条件」の下で撮影されたものとみなす。
【0016】
「同時期」や「異なる時期」の「時期」とは、比較読影のための所定の比較条件の下で、被写体を連続的に撮影して複数の画像を取得するのに要する一定の時間幅を含む概念を意味する。例えば、被写体の1年前の状態と現在の状態とを比較するのであれば、「1年間」と「現在」とが比較条件であり、複数の画像の撮影が行われる「1年前」と「現在」とが、各々1つの撮影時期となる。すなわち、「1年前」という時期に所定の撮影時間の中で撮影された複数の画像は、「同時期に」撮影された画像であり、「現在」という時期に所定の撮影時間幅の中で撮影された複数の画像は、「1年前」とは「異なる時期に」撮影された画像である。また他の例としては、造影剤の投入前後の画像を比較するのであれば、造影剤の「投入前」と「投入後」とが比較条件であり、「投入前」に撮影された複数の画像は「同時期」に撮影された画像となり、「投入後」に撮影された複数の画像は「投入前」とは「異なる時期に」撮影された画像となる。なお、それぞれの「時期」において、複数の画像が同時刻に撮影される必要はない。
【0017】
撮影される画像の具体例としては、医用画像、放射線画像等が考えられ、撮影部位の具体例としては、人間の胸部画像等が考えられる。
【0018】
指標値の算出の具体例としては、第2の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定し、テンプレート領域を第1の画像中で移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、第1の画像中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索し、この相関値の最大値を指標値とすることが考えられる。なお、テンプレート領域を第1の画像中に設定し、第2の画像中でテンプレート領域を移動させながら相関値の最大値を探索するようにしてもよい。また、第1の画像と第2の画像との位置合わせ処理を行い、位置合わせ処理後の第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成し、生成された差分画像中の画素値の分散を指標値として算出することも考えられる。さらに、この差分画像に対して胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行うことによって抽出した胸郭内の画素の画素値の分散を指標値として算出してもよい。
【0019】
「指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せの1つを抽出」する処理の具体例としては、値が大きいほど一致性が高いことを表すような指標値の場合、指標値を閾値処理によって評価し、閾値よりも大きい値の指標値を有する画像の組合せの少なくとも1つを抽出する方法や、第1の画像と第2の画像のすべての組合せの中で最も大きい指標値の値を有する画像の組合せを抽出する方法が考えられる。
【0020】
「位置合わせ処理」は、2つの画像中の被写体の位置に注目し、画素毎の位置の対応関係を求め、画素毎に一方の画像から他方の画像へのシフト量を求める処理であることが好ましい。具体例としては、前述の特許文献1、2、3、4記載の経時サブトラクション技術により、2つの画像間の全体的なシフト量(位置ずれ量)を検出する概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行った後、両画像中の局所領域毎のシフト量を検出し、それに基づき各画素のシフト量を決定する局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行い、決定された各画素のシフト量に基づき一方の画像に対して非線形歪変換処理(ワーピング)を行うことによって位置合わせを行う方法が考えられる。なお、位置合わせ手法は、このような線形と非線形の位置合わせを組み合わせて行うものであってもよいし、線形または非線形の位置合わせのいずれか一方のみを行うものであってもよい。
【0021】
「差分画像を生成」する処理の具体例としては、2つの画像の対応する画素間で減算処理を行い、得られた差分を強調した画像を生成する処理が考えられる。
【0022】
次に、本発明による画像読影支援装置について説明する。本発明による画像読影支援装置は、上記の画像読影支援方法を実現する装置である。
【0023】
すなわち、互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群を記憶する第1の画像群記憶手段と、互いに異なる撮影条件の下で第1の画像の撮影とは異なる時期にその被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群を記憶する第2の画像群記憶手段と、第1の画像群記憶手段から第1の画像群の各画像(第1の画像とする)を順次読み込み、第2の画像群記憶手段から第2の画像群の各画像(第2の画像とする)を順次読み込み、読み込まれた第1の画像の各々について、第2の画像の各々との一致性を表す指標値を算出する指標値算出手段と、算出された指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せを1つ抽出する抽出手段と、抽出された組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行う画像位置合わせ手段とを備えたことを特徴とする画像読影支援装置である。
【0024】
位置合わせ処理後の、記第1の画像群と第2の画像との差分による差分画像を生成する差分画像生成手段をさらに設けることも好ましい。
【0025】
指標値算出手段の具体例としては、第2の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定するテンプレート領域設定部と、設定されたテンプレート領域を第1の画像中で移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、第1の画像中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索する相関値探索部とを設け、この相関値の最大値を一致性の指標値とするようにしたものが考えられる。
【0026】
その他、本発明による画像読影支援装置は、互いに異なる撮影条件の下で被写体を撮影して画像を取得する撮影手段をさらに設け、第1の画像群が、この撮影手段によって撮影され、取得されるようにすることも考えられる。さらに、第1の画像群に加えて第2の画像群も、この撮影手段によって撮影され、取得されるようにすることも考えられる。
【0027】
撮影手段の具体例としては、被写体に対して放射線を曝射する線源が放射線を曝射する角度を制御する線源制御部を有する放射線画像撮影装置や、被写体を支持する撮影台の角度を制御する撮影台制御部を有する放射線画像撮影装置等が考えられる。これらは、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋等による姿勢の変化によって生じる被写体の撮影角度を撮影条件としてコントロールするためのものである。また、撮影時における被検者の呼吸のタイミングを指示する指示部を有するものも考えられる。これは、被検者の呼吸相を撮影条件としてコントロールするためのものである。なお、撮影手段は、線源制御部、撮影台制御部、指示部のうちの2つ以上を有するものであってもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の画像読影支援方法及び装置は、第1の画像群の各々の画像(第1の画像)と、これらとは異なる時期に同じ被写体を撮影して取得した1以上の第2の画像群の各々の画像(第2の画像)との一致性を表す指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せに対して位置合わせ処理を行うものである。ここで、第1の画像群及び第2の画像群の各画像は互いに異なる撮影条件の下で撮影され取得されたものであるから、被写体の姿勢や状態の異なる複数の画像を含んでいるため、撮影時に被写体の姿勢や状態が変化していたとしても、その変化による各々の状態で撮影された第1の画像群の各画像と第2の画像群の各画像との中からより適切な第1の画像と第2の画像との組合せを抽出することが可能になり、位置合わせ処理後の第1の画像と第2の画像とは、高い精度で位置合わせがなされたものとなる。したがって、診断者は、効率的に第1の画像と第2の画像との比較読影を行うことが可能になる。
【0029】
このような位置合わせ処理後の、第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成するようにすれば、アーチファクトの少ない差分画像が得られるため、診断者は、より効率的に第1の画像と第2の画像との間での経時変化を観察することが可能になる。
【0030】
特に、人間の胸部を被写体とした医用放射線画像を入力として、本発明による方法及び装置を実施する場合、撮影時に被写体の前傾や後傾、回旋による3次元的な体位変化があったり、呼吸相の変化により肺野サイズに1〜2cm以上の大きな変化があったりしたとしても、このような変化の中で撮影された複数の画像中には、被写体の3次元的な体位や呼吸相が他方の画像と一致または近似する画像が含まれている可能性が高く、より一致性の高い画像の組合せを抽出することにより、より高い精度での位置合わせが実現される。さらに、このような位置合わせ処理後の画像間の差分による差分画像は、横隔膜下部分等のアーチファクトの少ないものとなる。したがって、診断者は、より効率的に経時変化を観察することが可能になり、腫瘤等の病変の見落としの軽減にも資する。
【0031】
一方の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定し、テンプレート領域を他方の画像中で移動させて、テンプレート領域中の各画素の画素値と、その他方の画像中でテンプレート領域中の各画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索し、この最大値を一致性の指標値として算出するようにした場合には、両画像の一致性の算出のために、両画像の位置合わせや差分画像の生成を行う必要がなくなるため、処理効率が向上する。
【0032】
本発明による画像読影支援装置において、線源が放射線を曝射する角度を制御する線源制御部や、被写体を支持する撮影台の角度を制御する撮影台制御部を有する撮影手段(放射線画像撮影装置)をさらに設けた場合には、被写体の撮影角度をコントロールして様々な角度から撮影した画像が得られるので、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋による影響を受けにくくなるため、より精度の高い位置合わせに資する。
【0033】
また、本発明による画像読影支援装置において、撮影時における被検者の呼吸のタイミングを指示する指示部を有する撮影手段をさらに設けた場合には、被写体の呼吸相をコントロールして様々な呼吸相の下で撮影した画像が得られるので、撮影時における被写体の呼吸相の変化の影響を受けにくくなるため、より精度の高い位置合わせに資する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、患者の胸部を被写体とする放射線画像に基づき、経時変化を比較観察する場合を例として、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
図17は、胸部画像診断支援システムの構成の概要を示したものである。図に示すように、画像撮影・読取システム20と、画像管理システム30、画像読影支援システム10、画像表示システム40が、LAN等のネットワーク50を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0036】
画像撮影・読取システム20は、患者の胸部を被写体として、複数の呼吸段階を撮影した放射線画像を取得するものであり、CR(Computed Radiography)装置21や、動画対応のFPD(Flat−Panel Detector;平面検出器)を搭載したX線画像デジタル撮影装置(以下、FPD装置という)22等が含まれる。
【0037】
画像読影支援システム10は、画像撮影・読取システム20で撮影された放射線画像に対して画像処理を行い、診断者の読影に適した画像を生成するものであり、画像処理サーバ11等が含まれる。
【0038】
画像管理システム30は、画像撮影・読取システム20や画像読影支援システム10で生成された画像を保存・管理するものであり、画像管理サーバ31と大容量外部記憶装置32、データベース管理ソフトウェア(例えば、ORDB(Object Relational DataBase)管理ソフトウェア)等が含まれる。
【0039】
画像表示システム40は、画像撮影・読取システム20や画像読影支援システム10で生成された画像を表示するものであり、クライアントPC41や3台の高精細液晶ディスプレイ42等が含まれる。
【0040】
本発明の第1の実施形態となる画像読影支援装置Xは、複数の現在画像の各々と複数の過去画像の各々との組合せについて、局所領域の一致性を評価し、最も一致性の高い現在画像と過去画像の組合せに対して位置合わせ処理を行い、差分画像を生成、出力する機能を備えたものである。
【0041】
図1は、画像読影支援装置Xとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、画像読影支援装置Xには、互いに異なる撮影条件の下で同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる現在画像セットP1を記憶する現在画像記憶手段2と、互いに異なる撮影条件の下で現在画像セットP1の撮影より前に同じ被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる過去画像セットP2を記憶する過去画像記憶手段3と、現在画像記憶手段2から現在画像セットP1の各画像P1(i)を順次読み込み、過去画像記憶手段3から過去画像セットP2の各画像P2(j)を順次読み込み、読み込まれた現在画像P1(i)について、読み込まれた過去画像セットP2(j)との一致性を表す指標値(代表相関値R(i,j))を算出する指標値算出手段4と、各々の画像の組合せについて算出された代表相関値R(i,j)のうち、この値が最大となる場合の現在画像セットP1の1つの画像と過去画像P2の1つの画像との組合せ(IRmax,JRmax)を抽出する抽出手段5と、抽出された組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行う画像位置合わせ手段6と、位置合わせ処理後の過去画像セットP2の画像P2(JRmax)″と現在画像セットP1の画像P1(IRmax)との差分による差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成する差分画像生成手段7とが設けられている。また、現在画像セットP1、過去画像セットP2は、各々の撮影条件の下で患者の胸部を撮影して放射線画像を取得する撮影手段1により撮影されたものである。位置合わせ処理後の過去画像セットP2の画像P2(JRmax)″と現在画像セットP1の画像P1(IRmax)と差分画像Q(IRmax,JRmax)は、画像表示手段8により画面表示される。なお、説明の便宜上、現在画像セットP1や過去画像セットP2の各画像を各々P1(i)、P2(j)と表している。また、画像セットを構成する個々の画像を識別して、例えば、現在画像セットP1の3番目の画像をP1(3)、過去画像セットP2の5番目の画像をP2(5)と表すこともある。
【0042】
現在画像記憶手段2と過去画像記憶手段3とは、画像管理システム30に実装され、画像管理サーバ31で実行可能なプログラムと、画像管理サーバ31のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、画像データが患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられて記憶されている大容量外部記憶装置32、各種入出力や通信のインターフェース、データベース管理ソフトウェア、オペレーティングシステム等から構成される。
【0043】
指標値算出手段4と、抽出手段5、画像位置合わせ手段6、差分画像生成手段7は、画像読影支援システム10の画像処理サーバ11に実装され、画像処理サーバ11で実行可能なプログラムと、画像処理サーバ11のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、複数の画像を記憶するフレームメモリ、ハードディスク等の外部記憶装置、各種入出力や通信のインターフェース、オペレーティングシステム等から構成される。
【0044】
撮影手段1は、画像撮影・読取システム20の動画対応のFPD装置22として実装されている。なお、この撮影手段1の特徴的構成については後述する。
【0045】
画像表示手段8は、画像表示システム40に実装され、クライアントPC41で実行可能なプログラムと、クライアントPC41のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、表示対象の画像を記憶するフレームメモリ、表示対象の画像を記憶するハードディスク等の外部記憶装置、表示対象の画像を表示する高精細液晶ディスプレイ42、各種入出力や通信のインターフェース、オペレーティングシステム等から構成される。
【0046】
次に、画像読影支援装置Xとその周辺のシステムで行われる処理の流れを説明する。なお、処理の前提として、過去画像セットP2は、撮影手段1により既に撮影・取得済であり、取得された複数の過去画像セットP2の各々の画像P2(j)は、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられ、複数の画像データ(以下、過去画像データP2(j)という)として出力され、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に転送され、過去画像記憶手段3において、データベース管理ソフトウェアで定められたデータ形式、データ構造に基づき、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられて大容量外部記憶装置32に記憶されているものとする。記憶された過去画像P2(j)は、患者IDや撮影日時等の付随情報の一部または全部を検索キーとして、検索可能な状態となっている。
【0047】
まず、撮影手段1が、現在画像セットP1の撮影、取得を行う。図2は、撮影手段1の構成の特徴的部分を示した模式図である。
【0048】
図2(a)は、被写体に対して放射線を曝射する線源1aが放射線を曝射する角度を制御する線源制御部1bを有する放射線画像撮影装置であり、線源制御部1bが線源1aを上下左右に移動させながら撮影することができる。この図では、線源1aを上下に移動させる場合の例を示している。図2(b)は、被写体を支持する撮影台1cの角度を制御する撮影台制御部1dを有する放射線画像撮影装置であり、撮影台制御部1dが撮影台1cを前後左右に移動させながら撮影することができる。この図では、撮影台1cを前後に傾けさせる場合の例を示している。これらの装置により、患者の前傾・後傾、回旋といった姿勢の変化に対応した複数の画像を撮影・取得することができる。
【0049】
次に、図2(c)は、撮影時に患者の呼吸のタイミングを指示する指示部1eを有する放射線画像撮影装置である。図3は、指示部1eの一例を示すものであり、呼吸段階を表す複数のインジケータの各々を一定の時間間隔で順に点灯させていくことにより、患者は一定のリズムで呼吸を行うことが可能になり、患者の呼吸相の変化に対応した複数の画像を撮影・取得することができる。
【0050】
以上のようにして、撮影手段1は、被写体についての複数の撮影条件の下で撮影を行い、複数の現在画像P1(i)からなる現在画像セットP1を取得する。取得された複数の現在画像セットP1の各々の画像P1(i)は、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられ、複数の画像データ(以下、現在画像データP1(i)という)として出力され、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に送信される。
【0051】
画像管理サーバ31では、送信されてきた複数の現在画像データP1(i)を受信した後、現在画像記憶手段2において、データベース管理ソフトウェアで定められたデータ形式、データ構造に基づき、現在画像セットP1の各々の画像P1(i)と患者IDや撮影日時等の付随情報とが関連づけられて大容量外部記憶装置32に記憶される。記憶された現在画像P1(i)は、患者IDや撮影日時等の付随情報の一部または全部を検索キーとして、検索可能な状態となっている。
【0052】
比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の現在画像及び過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。
【0053】
画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報を受信し、受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の現在画像セットP1と過去画像セットP2とを特定する。
【0054】
図4と図5は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。なお、以下の処理では、現在画像メモリと過去画像メモリ、ワープ画像メモリ、差分画像メモリという4つのフレームメモリを使用している。
【0055】
まず、指標値算出手段4が以下の処理を行う。
【0056】
最初に、i=1、j=1として(#1)、現在画像P1(i)(=P1(1))を読み込み、現在画像メモリに格納し(#2,#3)、過去画像P2(j)(=P2(1))を読み込み、過去画像メモリに格納する(#4,#5)。画像の読込みは、クライアントPC41から受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、画像処理サーバ11からネットワーク50を経由して画像管理サーバ31に読込み要求が送信され、この要求に基づいて、画像管理サーバ31で、データベースの検索が行われ、画像処理サーバ11が要求した画像データが抽出され、画像管理サーバ31が、画像データをネットワーク50経由で画像処理サーバ11に送信することによって行われる。
【0057】
次に、指標値算出手段4のテンプレート領域設定部が、現在画像P1(1)に対して胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行い、胸郭内領域をテンプレート領域として設定する(#6)。
【0058】
さらに、指標値算出手段4の相関値探索部が、設定されたテンプレート領域を過去画像P2(1)の中で上下左右に平行移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、過去画像P2(1)中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索する。探索の結果得られた相関値の最大値が代表相関値R(i,j)(=R(1,1))である(#7)。
【0059】
抽出手段5は、探索によって得られた代表相関値R(1,1)を暫定最大相関値Rmaxとしてメモリに格納し、このときのiとjの値をIRmax、JRmaxとしてメモリに格納する(#8,#9)。ここで、暫定最大相関値Rmaxとは、これまでに代表相関値R(i,j)の探索が行われた現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中で、代表相関値R(i,j)が最大となったときの値であり、IRmax、JRmaxは、このときのiとjの値である。
【0060】
次に、指標値算出手段4は、jの値を1加算し(j=2)(#10)、次の過去画像P2(2)を読み込み、過去画像メモリに格納する(#11,#4,#5)。以下、同様にして、現在画像P1(1)と過去画像P2(2)について、テンプレート領域の設定(#6)、代表相関値の探索(#7)の各処理を行い、代表相関値R(1,2)を得る。
【0061】
ここで、抽出手段5は、探索によって得られた代表相関値R(1,2)と暫定最大相関値Rmaxとの比較を行い(#8)、R(1,2)>Rmaxであれば、Rmax=R(1,2)、IRmax=1、JRmax=2に更新する(#9)。R(1,2)≦Rmaxの時は、そのまま次の処理に進む(#9)。
【0062】
同様にして、jの値を1ずつ加算しながら(#10)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#4,#5)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#6)、代表相関値の探索(#7)、代表相関値R(1,j)と暫定最大相関値Rmaxとの比較(#8)を行い、R(1,j)>Rmaxであれば、Rmax、IRmax、JRmaxの値を更新していく(#9)ことを繰り返し、過去画像セットP2の全画像に対して処理が完了したら(#5)、過去画像終了フラグをYにして(#16)、この繰り返し処理を抜ける(#11)。そして、iの値を1加算し(i=2)(#12)、現在画像P1(i)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#2,#3)、現在画像P1(2)に対して、jの値を1ずつ加算しながら(#10)、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#4〜#11,#16)を繰り返し行う。同様にして、iの値を1ずつ加算し(#12)、現在画像セットP1の全画像について、各々、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#2〜#11,#16)を繰り返し行う。現在画像セットP1の全画像に対して処理が完了したら(#13)、現在画像終了フラグをYにして(#17)、この繰り返し処理を抜ける(#13)。
【0063】
以上の処理が完了した時点で、暫定最大相関値Rmaxには、現在画像セットP1の各画像P1(i)と過去画像セットP2の各画像P2(j)との組合せの中で、代表相関値R(i,j)が最大となったときの値が格納され、IRmax、JRmaxには、このときのiとjの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)との組合せを、最も一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0064】
次に、画像位置合わせ手段6が行う処理(#14)について、図6を参照しながら説明する。
【0065】
この画像位置合わせ処理では、まず、現在画像P1(IRmax)を読み込み、現在画像メモリに格納し(#14.1)、過去画像P2(JRmax)を読み込み、過去画像メモリに格納する(#14.2)。
【0066】
次に、現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)との概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行う(#14.3)。これは、現在画像P1(IRmax)に過去画像P2(JRmax)を一致させるように、過去画像P2(JRmax)に対してアフィン変換(回転、平行シフト)を施す処理であり、この処理により過去画像P2(JRmax)は、図7に示すように過去画像P2(JRmax)′に変換される。
【0067】
グローバルマッチング処理の完了後、局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行う(#14.4〜#14.7)。以下に詳細に説明する。
【0068】
現在画像P1(IRmax)の全体を多数の関心領域(ROI)T(以下、テンプレートROI(T)という)に区切り、図8のように、各テンプレートROI(T)の中心画素をそれぞれx−y座標系(x,y)により表す(#14.4)。また、過去画像P2(JRmax)′に探索ROI(R)を設定する(#14.5)。この探索ROI(R)は、現在画像P1(IRmax)の各テンプレートROI(T)に対応して設定され、同一の中心座標(x,y)を有し、テンプレートROI(T)よりも大きい領域である。ここでは、テンプレートROI(T)の4倍(縦横ともに2倍)の大きさの領域としている。
【0069】
過去画像P2(JRmax)′に設定された各探索ROI(R)の中で、現在画像P1(IRmax)の対応するテンプレートROI(T)を移動させて、両画像P1(IRmax),P2(JRmax)′のマッチング度合いが最も高くなる位置(ROIの中心位置(x′,y′))を探索ROI(R)毎に求める(ローカルマッチングによるROI毎のシフト量算出; #14.6)。マッチング度合いの高低を示す指標値としては、最小自乗法や相互相関による指標値を用いることができる。
【0070】
このようにして求められた各ROIの中心画素(x,y)毎のシフト値(Δx,Δy)(ただし、Δx=x′−x,Δy=y′−y)は、各画像P1(IRmax),P2(JRmax)′間において図9に示すようなものとなる。そして中心画素(x,y)毎のシフト値(Δx,Δy)を用いて、過去画像P2(JRmax)′の全ての画素に対するシフト値(Δx,Δy)を求めるために、2次元10次のフィッティング多項式による近似処理を行なう(#14.7)。そして得られた画素毎のシフト値(Δx,Δy)に基づいて、過去画像P2(JRmax)′の各画素(x,y)をシフトさせる非線形歪変換処理(ワーピング)を過去画像P2(JRmax)′に対して施してワープ画像(P2(JRmax)″)を生成し、ワープ画像メモリに格納する(#14.8)。
【0071】
以上の処理により、過去画像P2(JRmax)中の被写体の位置を、現在画像P1(IRmax)中の被写体の位置に合わせた後の過去画像P2(JRmax)″が生成される(#14)。
【0072】
次に、差分画像生成手段7は、現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とを読み込み、両画像の対応する画素間で減算処理を行うことにより、差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成し、その画像データ(以下、差分画像データQ(IRmax,JRmax)という)を出力する(#15)。
【0073】
この差分画像データQ(IRmax,JRmax)は、現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とともに、画像処理サーバ11から画像表示システム40のクライアントPC41にネットワーク50を経由して送信される。
【0074】
クライアントPC41では、画像表示手段8が、受信した3つの画像データに基づき、3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に、現在画像P1(IRmax)、位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″と差分画像Q(IRmax,JRmax)とを表示する処理を行い、これらの画像が診断者の比較読影に供される(図10参照)。
【0075】
このように、本発明の第1の実施形態となる画像読影支援装置Xとその周辺のシステムでは、撮影手段1が、患者の体位や呼吸相をコントロールしながら撮影を行い、複数の過去画像P2(j)及び複数の現在画像P1(i)を取得するので、撮影時において患者の3次元的な体位変化があったり、呼吸相の変化による肺野サイズの大きな変化があったりしたとしても、このようなコントロールの中で撮影された複数の画像中には、被写体の3次元的な体位や呼吸相が他方の画像と一致または近似する画像が含まれている可能性が高くなる。そして、指標値算出手段4が複数の過去画像P2(j)の各々と複数の現在画像P1(i)と各々のすべての組合せについて一致性を表す指標値(代表相関値R(i,j))を算出し、抽出手段5が最も一致性の高い組合せを抽出するので、現在画像と過去画像とがそれぞれ1つずつしかない場合と比較すると、より一致性が高い現在画像と過去画像との組合せを抽出することが可能になる。この一致性の高い組合せを構成する現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)について、画像位置合わせ手段6が位置合わせ処理を行うので、位置合わせの精度が向上し、差分画像生成手段7が現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とに基づいて生成する差分画像Q(IRmax,JRmax)は、横隔膜下部分等に生じうるアーチファクトが少ない画像となる。したがって、画像表示手段8は、位置合わせ精度の高い現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)″との組合せと、アーチファクトの少ない差分画像Q(IRmax,JRmax)とを画面表示するので、診断者は、現在と過去における経時変化の観察をより容易かつ効率的にできるようになり、腫瘤等の病変の見落としの軽減にも資する。
【0076】
なお、本実施形態では、現在画像セットP1と過去画像セットP2の両方が複数の画像を含む場合を例に説明したが、これに限定されず、一方の画像セットを構成する画像が1つしかなくても、他方の画像セットに複数の画像が含まれていれば、その複数の画像のうち、その一方の画像セットの画像と最も一致性の高い画像との組合せを抽出することができるので、位置合わせ精度の向上、差分画像中のアーチファクトの軽減には十分に資する。また、図4と図5は、一方の画像セットの画像が1つしかない場合でも処理可能なものとなっている。
【0077】
本実施形態では、現在画像セットP1と過去画像セットP2の両方が同じ撮影手段1により撮影、取得されるようにしたが、同様の画像、すなわち、一致性を表す指標値がある程度高い画像の組合せが得られるのであれば、異なる撮影装置により撮影、取得されたものであってもよい。
【0078】
本実施形態では、差分画像生成手段7を設け、差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成するようにしたが、これを設けず、画像表示手段8が現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)″のみを表示するようにしても、位置合わせ精度の高い両画像の組合せを比較読影することが可能であるから、経時変化の観察の容易化、効率化に十分に資する。
【0079】
次に、この第1の実施形態の変形例となる画像読影支援装置X′について説明する。画像読影支援装置X′は、現在画像セットP1を画像管理システム30の画像管理サーバ31から取得せず、画像撮影・読取システム20のFPD装置22から直接取得するようにし、現在画像P1(i)の撮影と同じタイミングで、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との一致性を表す指標値を算出し、指標値が所定の基準を満たす現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せが得られた時点で、撮影を完了できるようにしたものである。
【0080】
図11は、画像読影支援装置X′とその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、画像読影支援装置Xとは、現在画像記憶手段2が現在画像一時記憶手段2′となっている点と、抽出手段5が、代表相関値R(i,j)の値と所定の閾値とを比較し、所定の閾値以上のときはその現在画像P1(ITh)と過去画像P2(JTh)との組合せ(ITh,JTh)を抽出し、所定の閾値に満たないときは次の画像の組合せに基づき指標値算出手段4が処理を繰り返し行うようにしている点で異なっている。
【0081】
現在画像一時記憶手段2′は、画像撮影・読取システム20のFPD装置22に実装され、FPD装置22のハードディスク等の外部記憶装置や、CPU、制御プログラム、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、各種入出力や通信のインターフェース等から構成される。なお、この現在画像一時記憶手段2′は、画像読影支援システム10の画像処理サーバ11に実装されていてもよい。
【0082】
次に、画像読影支援装置X′とその周辺のシステムで行われる処理の流れを、画像読影支援装置Xとの相違点を中心に説明する。なお、画像読影支援装置Xと同様、過去画像セットP2は既に過去画像記憶手段3に記憶されているものとする。
【0083】
まず、比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。
【0084】
撮影手段1は、画像読影支援装置Xと同様に被写体の体位や呼吸相の条件をコントロールしながら患者の胸部の撮影を行う。撮影により1つの画像を取得したら、その画像データを現在画像一時記憶手段2′が一時的に記憶する。
【0085】
画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、クライアントPC41から送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報を受信し、受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の過去画像セットP2を特定する。
【0086】
図12と図13は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。
【0087】
まず、指標値算出手段4は、現在画像P1(1)を読み込み、現在画像メモリに格納する(#21,#22)。ここで、現在画像P1(i)の読込みは、クライアントPC41から受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、画像処理サーバ11からネットワーク50を経由して画像撮影・読取システム20のFPD装置22に読込み要求が送信され、この要求に基づいて、FPD装置22が画像データP1(1)を選択し、ネットワーク50経由で画像処理サーバ11に送信することによって行われる。
【0088】
次に、画像読影支援装置Xと同様に、過去画像P2(1)を読み込み、過去画像メモリに格納し(#23,#24)、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値R(1,1)の探索(#26)を行う。
【0089】
抽出手段5は、得られた代表相関値R(1,1)と所定の閾値RThとの大小関係を判定する(#27)。ここで、R(1,1)≦RThであれば(#27)、jの値を1加算し(#28)、指標値算出手段4による次の過去画像P2(2)の読込み、過去画像メモリへの格納(#23,#24)、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値R(1,2)の探索(#26)が行われ、抽出手段5による代表相関値R(1,2)と所定の閾値RThとの大小関係の判定が行われる(#27)。同様にして、R(i,2)≦RThであれば(#27)、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。過去画像セットP2のすべての過去画像P2(j)についてR(i,j)≦RThとなった場合には、指標値算出手段4が過去画像終了フラグにYを設定し(#35)、iに1を加算し(#30)、次の現在画像P1(2)の読込みが行われる(#22)。なお、撮影手段1は、この時の読込み要求に応じて、新たな画像P1(2)の撮影を行ってもよいし、所定の撮影条件下で、読込み要求とは独立して撮影を行っておいてもよい。現在画像P1(2)についても、同様に、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。さらにR(2,j)≦RThであれば、同様にして、iの値を1ずつ加算しながら(#30)、現在画像P1(i)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#22)、現在画像P1(i)について、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。
【0090】
この繰返しの中で、R(ITh,JTh)>RThとなるIThとJThの組合せがあれば(#27)、抽出手段5は抽出済フラグにYを設定し(#34)、この繰返しの処理を抜ける(#29,#31)。
【0091】
画像位置合わせ手段6は、R(i,j)>RThとなった時の現在画像P1(ITh)と過去画像P2(JTh)について、画像読影支援装置Xと同様の位置合わせ処理を行って、位置合わせ後の過去画像P2(JTh)″を生成し(#32)、差分画像生成手段7は、現在画像P1(ITh)と位置合わせ後の過去画像P2(JTh)″とに基づき、画像読影支援装置Xと同様にして差分画像Q(ITh,JTh)を生成する(#33)。そして、画像表示手段8は、画像読影支援装置Xと同様にして、現在画像P1(ITh)、位置合わせ処理後の過去画像P2(JTh)″、差分画像Q(ITh,JTh)を3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に表示する処理を行う(図10参照)。
【0092】
このように、本発明の第1の実施形態の変形例となる画像読影支援装置X′では、画像読影支援装置Xと同様の効果が得られるとともに、現在画像P1(i)の撮影と同じタイミングで、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との一致性を表す指標値を算出し、指標値が所定の基準を満たす現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せが得られた時点で、撮影を完了できるようになるので、実用上問題のない程度に位置合わせの精度を向上させ、差分画像Q(ITh,JTh)中のアーチファクトの軽減を図ると同時に、撮影時の患者の負担を軽減することができる。
【0093】
本発明の第2の実施形態となる画像読影支援装置Yは、複数の現在画像の各々と複数の過去画像の各々との位置合わせ処理を行い、差分画像を生成し、差分画像中の画素値の分散が所定の基準を満たす差分画像を抽出する機能を備えたものである。
【0094】
図14は、画像読影支援装置Yとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、構成要素は画像読影支援装置Xと同じであるが、画像位置合わせ手段6が、現在画像記憶手段2から現在画像P1(i)を順次読み込み、過去画像記憶手段3から過去画像P2(j)を順次読み込んで位置合わせ処理を行い、差分画像生成手段7が、現在画像P1(i)と位置合わせ処理後の過去画像P2(j)″とに基づき、差分画像Q(i,j)を生成し、指標値算出手段4が、この差分画像Q(i,j)中の画素値の分散値V(i,j)を一致性の指標値として算出し、この分散値V(i,j)が所定の基準を満たす時のI、Jについて、画像表示手段8が現在画像P1(I)、過去画像P2(J)″、差分画像Q(i,j)を表示するようにしている点で異なる。
【0095】
次に、画像読影支援装置Yとその周辺のシステムで行われる処理の流れを、画像読影支援装置Xとの相違点を中心に説明する。なお、画像読影支援装置Xと同様、過去画像セットP2は既に過去画像記憶手段3に記憶されているものとする。
【0096】
まず、撮影手段1は、画像読影支援装置Xと同様に被写体の体位や呼吸相の条件をコントロールしながら患者の胸部の撮影を行う。取得された現在画像セットP1は、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に送信され、現在画像記憶手段2が、現在画像セットP1を記憶する。
【0097】
比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の現在画像及び過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の現在画像セットP1と過去画像セットP2とを特定する。
【0098】
図15と図16は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。
【0099】
まず、画像位置合わせ手段6が、i=1、j=1として(#41)、現在画像P1(i)(=P1(1))を読み込み、現在画像メモリに格納し(#42,#43)、過去画像P2(j)(=P2(1))を読み込み、過去画像メモリに格納する(#44,#45)。そして、画像読影支援装置Xと同様にして、読み込まれた過去画像P2(1)中の被写体の位置を、現在画像P1(1)中の被写体の位置に合わせた後の過去画像P2(1)″を生成する(#46)。
【0100】
次に、差分画像生成手段7は、現在画像P1(1)と位置合わせ処理後の過去画像P2(1)″とを読み込み、両画像の対応する画素間で減算処理を行うことにより、差分画像Q(1,1)を生成する(#47)。
【0101】
指標値算出手段4は、差分画像Q(1,1)中の画素値の分散値V(1,1)を算出する(#48)。なお、ここで、胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行い、胸郭内の画素を抽出し、この画素の画素値の分散を指標値として算出してもよい。
【0102】
ここで、抽出手段5は、分散値V(1,1)を暫定最小分散値Vminとしてメモリに格納し、このときのiとjの値をIVmin、JVminとしてメモリに格納する(#49,50)。ここで、暫定最小分散値Vminとは、これまでに分散値V(i,j)の算出が行われた現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中で、分散値V(i,j)が最小となったときの値であり、IVmin、JVminは、このときのiとjの値である。
【0103】
さらに、得られた分散値V(1,1)と所定の閾値VThとの大小関係を判定する(#51)。
【0104】
ここで、R(1,1)≧VThであれば(#51)、jの値を1加算し(#52)、画像位置合わせ手段6による次の過去画像P2(2)の読込み、過去画像メモリへの格納(#44,#45)、位置合わせ処理(#46)、差分画像生成手段7による差分画像Q(1,2)の生成(#47)、指標値算出手段4による分散値V(1,2)の算出(#48)が行われる。
【0105】
抽出手段5は、算出された分散値V(1,2)と暫定最小分散値Vminとの比較を行い(#49)、V(1,2)<Vminであれば、Vmin=V(1,2)、IVmin=1、JVmin=2に更新する(#50)。V(1,2)≧Vminの時は、そのまま次の処理に進み、分散値V(1,2)と所定の閾値VThとの大小関係の判定を行う(#51)。
【0106】
以下、V(i,j)≧VThであれば(#51)、同様にして、jの値を1ずつ加算しながら(#52)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#44,#45)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、位置合わせ処理(#46)、差分画像Q(1,j)の生成(#47)、分散値V(1,j)の算出(#48)、分散値V(1,j)と暫定最小分散値Vminとの比較(#49)を行い、V(1,j) <Vminであれば、Vmin、IVmin、JVminの値を更新していく(#50)ことを繰り返し、過去画像セットP2の全画像に対して処理が完了したら(#45)、過去画像終了フラグをYにして(#59)、この繰り返し処理を抜ける(#53,#54)。そして、iの値を1加算し(i=2)(#55)、現在画像P1(2)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#42,#43)、現在画像P1(2)に対して、jの値を1ずつ加算しながら(#52)、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#44〜#53,#59)を繰り返し行う。同様にして、iの値を1ずつ加算し(#55)、現在画像セットP1の全画像について、各々、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#42〜#56,#59)を繰り返し行う。現在画像セットP1の全画像に対して処理が完了したら(#43)、現在画像終了フラグをYにして(#60)、この繰り返し処理を抜ける(#56)。
【0107】
以上の処理が完了した時点で、暫定最小分散値Vminには、現在画像セットP1の各画像P1(i)と過去画像セットP2の各画像P2(j)との組合せの中で、分散値V(i,j)が最小となったときの値が格納され、IVmin、JVminには、このときのiとjの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)と過去画像P2(JVmin)との組合せを、最も一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0108】
一方、この繰返し処理の途中で、V(i,j)<VThとなる現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せがあった場合(#51)には、抽出手段5は抽出済フラグにYを設定し(#58)、この繰り返し処理を抜ける(#53,#54,#56)。この場合、暫定最小分散値Vmin、IVmin、JVminには、各々、この繰返し処理を抜けたときの分散値V(i,j)、i、jの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)と過去画像P2(JVmin)との組合せを、閾値VThによる基準を満たす一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0109】
抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を画像データとして出力する(#57)。出力された画像データは、画像処理サーバ11から画像表示システム40のクライアントPC41にネットワーク50を経由して送信される。
【0110】
クライアントPC41では、画像表示手段8が、受信した3つの画像データに基づき、3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に、現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を表示する処理を行い、これらの画像が診断者の比較読影に供される(図10参照)。
【0111】
このように、本発明の第2の実施形態となる画像読影支援装置Yでは、画像位置合わせ手段6による位置合わせ処理と差分画像生成手段7による差分画像Q(i,j)の生成の後、指標値算出手段4が、この差分画像Q(i,j)中の画素値の分散値V(i,j)を一致性の指標値として算出し、すべての現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中でこの分散値V(i,j)が最小となる場合のIVmin、JVminについて、画像表示手段8が現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を表示することにより、画像読影支援装置Xと同様の効果が得られる。また、この分散値V(i,j)が所定の閾値より小さくなるようなiとjの組合せがあった場合には、その時のiとjについて、画像表示手段8が現在画像P1(i)、位置合わせ後の過去画像P2(j)″、差分画像Q(i,j)を表示するので、すべての現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せについて処理をせずに、実用上問題のない程度に位置合わせの精度が高い現在画像と過去画像、及びアーチファクトの少ない差分画像を得ることができるので処理効率が向上する。
【0112】
なお、画像読影支援装置Yでは、指標値の算出のために、位置合わせ処理、差分画像の生成を予め行う必要があるので、その点においては、画像読影支援装置Xの方が処理効率がよい。
【0113】
上記の説明では、本発明による画像読影支援装置が、画像読影支援システム10、画像撮影・読取システム20、画像管理システム30に分散して実装されているが、これらを1台のコンピュータに実装するようにしてもよい。これは小規模なシステムの場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図2】撮影手段の本発明において特徴的な構成を示した模式図
【図3】撮影手段が有する指示部の一例となる呼吸相インジケータを示す模式図
【図4】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xによる処理を示すフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xによる処理を示すフローチャート(続き)
【図6】画像位置合わせ手段の処理を示すフローチャート
【図7】画像位置合わせ手段が行うグローバルマッチング処理を説明する図
【図8】画像位置合わせ手段が行うローカルマッチング処理を説明する図
【図9】画像位置合わせ手段が行うローカルマッチング処理により求めた各ROIの中心画素のシフトの様子を模式的に表した図
【図10】画像表示手段により表示される位置合わせ後の過去画像(a)、現在画像(b)、差分画像(c)の一例を表した図
【図11】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′とその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′による処理を示すフローチャート
【図13】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′による処理を示すフローチャート(続き)
【図14】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図15】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yによる処理を示すフローチャート
【図16】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yによる処理を示すフローチャート(続き)
【図17】本発明の実施形態となる胸部画像診断支援システムの構成の概要を示した図
【符号の説明】
1 撮影手段
1a 線源
1b 線源制御部
1c 撮影台
1d 撮影台制御部
1e 指示部
2 現在画像記憶手段
2′ 現在画像一時記憶手段
3 過去画像記憶手段
4 指標値算出手段
5 抽出手段
6 画像位置合わせ手段
7 差分画像生成手段
8 画像表示手段
10 画像読影支援システム
11 画像処理サーバ
20 画像撮影・読取システム
21 CR装置
22 FPDを搭載したX線画像デジタル撮影装置
30 画像管理システム
31 画像管理サーバ
32 大容量外部記憶装置
40 画像表示システム
41 クライアントPC
42 高精細液晶ディスプレイ
50 ネットワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読影支援方法及び装置に関し、より詳細には、異なる時期に撮影された同一の被写体を表す画像の位置合わせを行うことによって、画像の読影を支援する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、同一被写体についての2以上の画像を比較読影して、両画像間の差異を調べ、その差異に基づいて被写体の検査などを行うことが、種々の分野において行われている。例えば工業製品の製造分野においては、ある製品について新品の状態の時に撮影された画像と、当該製品の耐久試験後に撮影された画像とを比較読影して、両者の差異の大きな部位に注目することにより、製品の耐久性を向上させるべき部位を検討することが行われており、また医療分野においては、ある患者の疾患部位について異なる時期に撮影された複数枚の放射線画像を医師が比較読影することにより、当該疾患の進行状況や治癒状況を把握して治療方針を検討することが行われている。
【0003】
このような2以上の画像の比較読影を支援する技術として経時サブトラクション技術が知られている。経時サブトラクション技術とは、撮影時期の異なる同一被写体を表す複数の画像間の位置合わせを行い、差分画像を生成し、経時変化部分を抽出、強調する技術である。具体的には、2つの画像間の全体的なシフト量(位置ずれ量)を検出する概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行った後、両画像中の局所領域毎のシフト量を検出し、それに基づき各画素のシフト量を決定する局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行い、決定された各画素のシフト量に基づき一方の画像に対して非線形歪変換処理(ワーピング)を行うことによって両画像中の被写体の位置合わせを行う。そして、非線形歪変換処理された一方の画像と他方の画像との差分処理を行うことによって差分画像を生成する。これにより、2つの画像を比較的良好に位置合わせすることが可能になる(例えば、特許文献1、2、3、4、非特許文献1)
しかしながら、この経時サブトラクション技術は、あくまでも2次元に投影した後の画像間の位置合わせを実現する技術であり、撮影時の被写体の3次元的な体位変化(例えば、患者の前傾、後傾、回旋)に対応することは原理的に不可能であった。また、大きな状態変化に対応することも非常に困難であった。例えば、人間の胸部の経時変化の観察のために、胸部放射線画像に対して経時サブトラクションを適用した場合、呼吸相の変化により肺野サイズに1〜2cm以上の大きな変化があると、差分画像中の横隔膜下付近に大きな位置ずれアーチファクト(偽像)が生じてしまう。
【0004】
このような問題を解決するために、前回の撮影時の撮影条件を保存しておき、次の撮影時には、この保存されている撮影条件を提示する画像撮影方法が提案されている。これは、提示された撮影条件に合うように、撮影者が撮影装置の設定や被写体の姿勢(前後傾等)や状態(呼吸相等)を調整しながら撮影することによって、前回撮影された画像と同じ撮影条件で撮影した画像を得ようとするものである(例えば、特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−37074号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平8−335271号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2001−157675号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2002−032735号公報
【0009】
【特許文献5】
特開2001−285858号公報
【0010】
【非特許文献1】
A.Kano, K.Doi, H.MacMahon, D.Hassell, M.L.Giger, “Digital image subtraction of temporally sequential chest images for detection of interval change”,(米国), Medical Physics, AAPM, Vol.21, Issue 3, March 1994, p.453−461
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献5記載の方法では、撮影装置の設定を合わせるという点では効果的であるが、被写体の姿勢や状態を合わせるには、非常に時間を要する。また、被写体の姿勢や状態を前回の撮影時と完全に一致させることは現実的には非常に困難であると考えられる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被写体の姿勢や状態の変化に関わらず、異なる時期に撮影された同一の被写体を表す画像の位置合わせを高い精度で行うことによって、画像の読影を支援する方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像読影支援方法は、互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群の各々の画像(第1の画像とする)について、互いに異なる撮影条件の下で第1の画像群の撮影とは異なる時期にその被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群の各々の画像(第2の画像とする)との一致性を表す指標値を算出し、算出した指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せを1つ抽出し、この組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行うことを特徴とする。
【0014】
さらに、位置合わせ処理後の、第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成するようにすることも好ましい。
【0015】
「撮影条件」の具体例としては、被写体の撮影角度や被写体の状態等がある。この被写体の撮影角度は、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋等による姿勢の変化によって生じるものが考えられる。被写体の状態の具体例としては、人間の呼吸相、すなわち、最大呼気状態から最大吸気状態までの呼吸の各段階が考えられる。なお、第1及び第2の画像群は、各々、互いに異なる撮影条件の下で撮影され、取得されたものであるが、これは、各々の画像群中に被写体の撮影角度や被写体の状態等の撮影条件が異なる画像が含まれていることを意味する。ここで、第2の画像群は1以上の画像からなるものであるが、第2の画像群中の画像が1つだけの場合には、撮影条件の異同の判断対象となる第2の画像群中の他の画像が存在しないので、この第2の画像群中の1つの画像は「互いに異なる撮影条件」の下で撮影されたものとみなす。
【0016】
「同時期」や「異なる時期」の「時期」とは、比較読影のための所定の比較条件の下で、被写体を連続的に撮影して複数の画像を取得するのに要する一定の時間幅を含む概念を意味する。例えば、被写体の1年前の状態と現在の状態とを比較するのであれば、「1年間」と「現在」とが比較条件であり、複数の画像の撮影が行われる「1年前」と「現在」とが、各々1つの撮影時期となる。すなわち、「1年前」という時期に所定の撮影時間の中で撮影された複数の画像は、「同時期に」撮影された画像であり、「現在」という時期に所定の撮影時間幅の中で撮影された複数の画像は、「1年前」とは「異なる時期に」撮影された画像である。また他の例としては、造影剤の投入前後の画像を比較するのであれば、造影剤の「投入前」と「投入後」とが比較条件であり、「投入前」に撮影された複数の画像は「同時期」に撮影された画像となり、「投入後」に撮影された複数の画像は「投入前」とは「異なる時期に」撮影された画像となる。なお、それぞれの「時期」において、複数の画像が同時刻に撮影される必要はない。
【0017】
撮影される画像の具体例としては、医用画像、放射線画像等が考えられ、撮影部位の具体例としては、人間の胸部画像等が考えられる。
【0018】
指標値の算出の具体例としては、第2の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定し、テンプレート領域を第1の画像中で移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、第1の画像中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索し、この相関値の最大値を指標値とすることが考えられる。なお、テンプレート領域を第1の画像中に設定し、第2の画像中でテンプレート領域を移動させながら相関値の最大値を探索するようにしてもよい。また、第1の画像と第2の画像との位置合わせ処理を行い、位置合わせ処理後の第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成し、生成された差分画像中の画素値の分散を指標値として算出することも考えられる。さらに、この差分画像に対して胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行うことによって抽出した胸郭内の画素の画素値の分散を指標値として算出してもよい。
【0019】
「指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せの1つを抽出」する処理の具体例としては、値が大きいほど一致性が高いことを表すような指標値の場合、指標値を閾値処理によって評価し、閾値よりも大きい値の指標値を有する画像の組合せの少なくとも1つを抽出する方法や、第1の画像と第2の画像のすべての組合せの中で最も大きい指標値の値を有する画像の組合せを抽出する方法が考えられる。
【0020】
「位置合わせ処理」は、2つの画像中の被写体の位置に注目し、画素毎の位置の対応関係を求め、画素毎に一方の画像から他方の画像へのシフト量を求める処理であることが好ましい。具体例としては、前述の特許文献1、2、3、4記載の経時サブトラクション技術により、2つの画像間の全体的なシフト量(位置ずれ量)を検出する概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行った後、両画像中の局所領域毎のシフト量を検出し、それに基づき各画素のシフト量を決定する局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行い、決定された各画素のシフト量に基づき一方の画像に対して非線形歪変換処理(ワーピング)を行うことによって位置合わせを行う方法が考えられる。なお、位置合わせ手法は、このような線形と非線形の位置合わせを組み合わせて行うものであってもよいし、線形または非線形の位置合わせのいずれか一方のみを行うものであってもよい。
【0021】
「差分画像を生成」する処理の具体例としては、2つの画像の対応する画素間で減算処理を行い、得られた差分を強調した画像を生成する処理が考えられる。
【0022】
次に、本発明による画像読影支援装置について説明する。本発明による画像読影支援装置は、上記の画像読影支援方法を実現する装置である。
【0023】
すなわち、互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群を記憶する第1の画像群記憶手段と、互いに異なる撮影条件の下で第1の画像の撮影とは異なる時期にその被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群を記憶する第2の画像群記憶手段と、第1の画像群記憶手段から第1の画像群の各画像(第1の画像とする)を順次読み込み、第2の画像群記憶手段から第2の画像群の各画像(第2の画像とする)を順次読み込み、読み込まれた第1の画像の各々について、第2の画像の各々との一致性を表す指標値を算出する指標値算出手段と、算出された指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せを1つ抽出する抽出手段と、抽出された組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行う画像位置合わせ手段とを備えたことを特徴とする画像読影支援装置である。
【0024】
位置合わせ処理後の、記第1の画像群と第2の画像との差分による差分画像を生成する差分画像生成手段をさらに設けることも好ましい。
【0025】
指標値算出手段の具体例としては、第2の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定するテンプレート領域設定部と、設定されたテンプレート領域を第1の画像中で移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、第1の画像中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索する相関値探索部とを設け、この相関値の最大値を一致性の指標値とするようにしたものが考えられる。
【0026】
その他、本発明による画像読影支援装置は、互いに異なる撮影条件の下で被写体を撮影して画像を取得する撮影手段をさらに設け、第1の画像群が、この撮影手段によって撮影され、取得されるようにすることも考えられる。さらに、第1の画像群に加えて第2の画像群も、この撮影手段によって撮影され、取得されるようにすることも考えられる。
【0027】
撮影手段の具体例としては、被写体に対して放射線を曝射する線源が放射線を曝射する角度を制御する線源制御部を有する放射線画像撮影装置や、被写体を支持する撮影台の角度を制御する撮影台制御部を有する放射線画像撮影装置等が考えられる。これらは、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋等による姿勢の変化によって生じる被写体の撮影角度を撮影条件としてコントロールするためのものである。また、撮影時における被検者の呼吸のタイミングを指示する指示部を有するものも考えられる。これは、被検者の呼吸相を撮影条件としてコントロールするためのものである。なお、撮影手段は、線源制御部、撮影台制御部、指示部のうちの2つ以上を有するものであってもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の画像読影支援方法及び装置は、第1の画像群の各々の画像(第1の画像)と、これらとは異なる時期に同じ被写体を撮影して取得した1以上の第2の画像群の各々の画像(第2の画像)との一致性を表す指標値が所定の基準を満たす第1の画像と第2の画像との組合せに対して位置合わせ処理を行うものである。ここで、第1の画像群及び第2の画像群の各画像は互いに異なる撮影条件の下で撮影され取得されたものであるから、被写体の姿勢や状態の異なる複数の画像を含んでいるため、撮影時に被写体の姿勢や状態が変化していたとしても、その変化による各々の状態で撮影された第1の画像群の各画像と第2の画像群の各画像との中からより適切な第1の画像と第2の画像との組合せを抽出することが可能になり、位置合わせ処理後の第1の画像と第2の画像とは、高い精度で位置合わせがなされたものとなる。したがって、診断者は、効率的に第1の画像と第2の画像との比較読影を行うことが可能になる。
【0029】
このような位置合わせ処理後の、第1の画像と第2の画像との差分による差分画像を生成するようにすれば、アーチファクトの少ない差分画像が得られるため、診断者は、より効率的に第1の画像と第2の画像との間での経時変化を観察することが可能になる。
【0030】
特に、人間の胸部を被写体とした医用放射線画像を入力として、本発明による方法及び装置を実施する場合、撮影時に被写体の前傾や後傾、回旋による3次元的な体位変化があったり、呼吸相の変化により肺野サイズに1〜2cm以上の大きな変化があったりしたとしても、このような変化の中で撮影された複数の画像中には、被写体の3次元的な体位や呼吸相が他方の画像と一致または近似する画像が含まれている可能性が高く、より一致性の高い画像の組合せを抽出することにより、より高い精度での位置合わせが実現される。さらに、このような位置合わせ処理後の画像間の差分による差分画像は、横隔膜下部分等のアーチファクトの少ないものとなる。したがって、診断者は、より効率的に経時変化を観察することが可能になり、腫瘤等の病変の見落としの軽減にも資する。
【0031】
一方の画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定し、テンプレート領域を他方の画像中で移動させて、テンプレート領域中の各画素の画素値と、その他方の画像中でテンプレート領域中の各画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索し、この最大値を一致性の指標値として算出するようにした場合には、両画像の一致性の算出のために、両画像の位置合わせや差分画像の生成を行う必要がなくなるため、処理効率が向上する。
【0032】
本発明による画像読影支援装置において、線源が放射線を曝射する角度を制御する線源制御部や、被写体を支持する撮影台の角度を制御する撮影台制御部を有する撮影手段(放射線画像撮影装置)をさらに設けた場合には、被写体の撮影角度をコントロールして様々な角度から撮影した画像が得られるので、撮影時における被写体の前傾や後傾、回旋による影響を受けにくくなるため、より精度の高い位置合わせに資する。
【0033】
また、本発明による画像読影支援装置において、撮影時における被検者の呼吸のタイミングを指示する指示部を有する撮影手段をさらに設けた場合には、被写体の呼吸相をコントロールして様々な呼吸相の下で撮影した画像が得られるので、撮影時における被写体の呼吸相の変化の影響を受けにくくなるため、より精度の高い位置合わせに資する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、患者の胸部を被写体とする放射線画像に基づき、経時変化を比較観察する場合を例として、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
図17は、胸部画像診断支援システムの構成の概要を示したものである。図に示すように、画像撮影・読取システム20と、画像管理システム30、画像読影支援システム10、画像表示システム40が、LAN等のネットワーク50を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0036】
画像撮影・読取システム20は、患者の胸部を被写体として、複数の呼吸段階を撮影した放射線画像を取得するものであり、CR(Computed Radiography)装置21や、動画対応のFPD(Flat−Panel Detector;平面検出器)を搭載したX線画像デジタル撮影装置(以下、FPD装置という)22等が含まれる。
【0037】
画像読影支援システム10は、画像撮影・読取システム20で撮影された放射線画像に対して画像処理を行い、診断者の読影に適した画像を生成するものであり、画像処理サーバ11等が含まれる。
【0038】
画像管理システム30は、画像撮影・読取システム20や画像読影支援システム10で生成された画像を保存・管理するものであり、画像管理サーバ31と大容量外部記憶装置32、データベース管理ソフトウェア(例えば、ORDB(Object Relational DataBase)管理ソフトウェア)等が含まれる。
【0039】
画像表示システム40は、画像撮影・読取システム20や画像読影支援システム10で生成された画像を表示するものであり、クライアントPC41や3台の高精細液晶ディスプレイ42等が含まれる。
【0040】
本発明の第1の実施形態となる画像読影支援装置Xは、複数の現在画像の各々と複数の過去画像の各々との組合せについて、局所領域の一致性を評価し、最も一致性の高い現在画像と過去画像の組合せに対して位置合わせ処理を行い、差分画像を生成、出力する機能を備えたものである。
【0041】
図1は、画像読影支援装置Xとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、画像読影支援装置Xには、互いに異なる撮影条件の下で同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる現在画像セットP1を記憶する現在画像記憶手段2と、互いに異なる撮影条件の下で現在画像セットP1の撮影より前に同じ被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる過去画像セットP2を記憶する過去画像記憶手段3と、現在画像記憶手段2から現在画像セットP1の各画像P1(i)を順次読み込み、過去画像記憶手段3から過去画像セットP2の各画像P2(j)を順次読み込み、読み込まれた現在画像P1(i)について、読み込まれた過去画像セットP2(j)との一致性を表す指標値(代表相関値R(i,j))を算出する指標値算出手段4と、各々の画像の組合せについて算出された代表相関値R(i,j)のうち、この値が最大となる場合の現在画像セットP1の1つの画像と過去画像P2の1つの画像との組合せ(IRmax,JRmax)を抽出する抽出手段5と、抽出された組合せを構成する両画像に含まれる被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行う画像位置合わせ手段6と、位置合わせ処理後の過去画像セットP2の画像P2(JRmax)″と現在画像セットP1の画像P1(IRmax)との差分による差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成する差分画像生成手段7とが設けられている。また、現在画像セットP1、過去画像セットP2は、各々の撮影条件の下で患者の胸部を撮影して放射線画像を取得する撮影手段1により撮影されたものである。位置合わせ処理後の過去画像セットP2の画像P2(JRmax)″と現在画像セットP1の画像P1(IRmax)と差分画像Q(IRmax,JRmax)は、画像表示手段8により画面表示される。なお、説明の便宜上、現在画像セットP1や過去画像セットP2の各画像を各々P1(i)、P2(j)と表している。また、画像セットを構成する個々の画像を識別して、例えば、現在画像セットP1の3番目の画像をP1(3)、過去画像セットP2の5番目の画像をP2(5)と表すこともある。
【0042】
現在画像記憶手段2と過去画像記憶手段3とは、画像管理システム30に実装され、画像管理サーバ31で実行可能なプログラムと、画像管理サーバ31のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、画像データが患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられて記憶されている大容量外部記憶装置32、各種入出力や通信のインターフェース、データベース管理ソフトウェア、オペレーティングシステム等から構成される。
【0043】
指標値算出手段4と、抽出手段5、画像位置合わせ手段6、差分画像生成手段7は、画像読影支援システム10の画像処理サーバ11に実装され、画像処理サーバ11で実行可能なプログラムと、画像処理サーバ11のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、複数の画像を記憶するフレームメモリ、ハードディスク等の外部記憶装置、各種入出力や通信のインターフェース、オペレーティングシステム等から構成される。
【0044】
撮影手段1は、画像撮影・読取システム20の動画対応のFPD装置22として実装されている。なお、この撮影手段1の特徴的構成については後述する。
【0045】
画像表示手段8は、画像表示システム40に実装され、クライアントPC41で実行可能なプログラムと、クライアントPC41のCPU、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、表示対象の画像を記憶するフレームメモリ、表示対象の画像を記憶するハードディスク等の外部記憶装置、表示対象の画像を表示する高精細液晶ディスプレイ42、各種入出力や通信のインターフェース、オペレーティングシステム等から構成される。
【0046】
次に、画像読影支援装置Xとその周辺のシステムで行われる処理の流れを説明する。なお、処理の前提として、過去画像セットP2は、撮影手段1により既に撮影・取得済であり、取得された複数の過去画像セットP2の各々の画像P2(j)は、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられ、複数の画像データ(以下、過去画像データP2(j)という)として出力され、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に転送され、過去画像記憶手段3において、データベース管理ソフトウェアで定められたデータ形式、データ構造に基づき、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられて大容量外部記憶装置32に記憶されているものとする。記憶された過去画像P2(j)は、患者IDや撮影日時等の付随情報の一部または全部を検索キーとして、検索可能な状態となっている。
【0047】
まず、撮影手段1が、現在画像セットP1の撮影、取得を行う。図2は、撮影手段1の構成の特徴的部分を示した模式図である。
【0048】
図2(a)は、被写体に対して放射線を曝射する線源1aが放射線を曝射する角度を制御する線源制御部1bを有する放射線画像撮影装置であり、線源制御部1bが線源1aを上下左右に移動させながら撮影することができる。この図では、線源1aを上下に移動させる場合の例を示している。図2(b)は、被写体を支持する撮影台1cの角度を制御する撮影台制御部1dを有する放射線画像撮影装置であり、撮影台制御部1dが撮影台1cを前後左右に移動させながら撮影することができる。この図では、撮影台1cを前後に傾けさせる場合の例を示している。これらの装置により、患者の前傾・後傾、回旋といった姿勢の変化に対応した複数の画像を撮影・取得することができる。
【0049】
次に、図2(c)は、撮影時に患者の呼吸のタイミングを指示する指示部1eを有する放射線画像撮影装置である。図3は、指示部1eの一例を示すものであり、呼吸段階を表す複数のインジケータの各々を一定の時間間隔で順に点灯させていくことにより、患者は一定のリズムで呼吸を行うことが可能になり、患者の呼吸相の変化に対応した複数の画像を撮影・取得することができる。
【0050】
以上のようにして、撮影手段1は、被写体についての複数の撮影条件の下で撮影を行い、複数の現在画像P1(i)からなる現在画像セットP1を取得する。取得された複数の現在画像セットP1の各々の画像P1(i)は、患者IDや撮影日時等の付随情報と関連づけられ、複数の画像データ(以下、現在画像データP1(i)という)として出力され、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に送信される。
【0051】
画像管理サーバ31では、送信されてきた複数の現在画像データP1(i)を受信した後、現在画像記憶手段2において、データベース管理ソフトウェアで定められたデータ形式、データ構造に基づき、現在画像セットP1の各々の画像P1(i)と患者IDや撮影日時等の付随情報とが関連づけられて大容量外部記憶装置32に記憶される。記憶された現在画像P1(i)は、患者IDや撮影日時等の付随情報の一部または全部を検索キーとして、検索可能な状態となっている。
【0052】
比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の現在画像及び過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。
【0053】
画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報を受信し、受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の現在画像セットP1と過去画像セットP2とを特定する。
【0054】
図4と図5は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。なお、以下の処理では、現在画像メモリと過去画像メモリ、ワープ画像メモリ、差分画像メモリという4つのフレームメモリを使用している。
【0055】
まず、指標値算出手段4が以下の処理を行う。
【0056】
最初に、i=1、j=1として(#1)、現在画像P1(i)(=P1(1))を読み込み、現在画像メモリに格納し(#2,#3)、過去画像P2(j)(=P2(1))を読み込み、過去画像メモリに格納する(#4,#5)。画像の読込みは、クライアントPC41から受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、画像処理サーバ11からネットワーク50を経由して画像管理サーバ31に読込み要求が送信され、この要求に基づいて、画像管理サーバ31で、データベースの検索が行われ、画像処理サーバ11が要求した画像データが抽出され、画像管理サーバ31が、画像データをネットワーク50経由で画像処理サーバ11に送信することによって行われる。
【0057】
次に、指標値算出手段4のテンプレート領域設定部が、現在画像P1(1)に対して胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行い、胸郭内領域をテンプレート領域として設定する(#6)。
【0058】
さらに、指標値算出手段4の相関値探索部が、設定されたテンプレート領域を過去画像P2(1)の中で上下左右に平行移動させながら、テンプレート領域中の各画素の画素値と、過去画像P2(1)中でテンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索する。探索の結果得られた相関値の最大値が代表相関値R(i,j)(=R(1,1))である(#7)。
【0059】
抽出手段5は、探索によって得られた代表相関値R(1,1)を暫定最大相関値Rmaxとしてメモリに格納し、このときのiとjの値をIRmax、JRmaxとしてメモリに格納する(#8,#9)。ここで、暫定最大相関値Rmaxとは、これまでに代表相関値R(i,j)の探索が行われた現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中で、代表相関値R(i,j)が最大となったときの値であり、IRmax、JRmaxは、このときのiとjの値である。
【0060】
次に、指標値算出手段4は、jの値を1加算し(j=2)(#10)、次の過去画像P2(2)を読み込み、過去画像メモリに格納する(#11,#4,#5)。以下、同様にして、現在画像P1(1)と過去画像P2(2)について、テンプレート領域の設定(#6)、代表相関値の探索(#7)の各処理を行い、代表相関値R(1,2)を得る。
【0061】
ここで、抽出手段5は、探索によって得られた代表相関値R(1,2)と暫定最大相関値Rmaxとの比較を行い(#8)、R(1,2)>Rmaxであれば、Rmax=R(1,2)、IRmax=1、JRmax=2に更新する(#9)。R(1,2)≦Rmaxの時は、そのまま次の処理に進む(#9)。
【0062】
同様にして、jの値を1ずつ加算しながら(#10)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#4,#5)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#6)、代表相関値の探索(#7)、代表相関値R(1,j)と暫定最大相関値Rmaxとの比較(#8)を行い、R(1,j)>Rmaxであれば、Rmax、IRmax、JRmaxの値を更新していく(#9)ことを繰り返し、過去画像セットP2の全画像に対して処理が完了したら(#5)、過去画像終了フラグをYにして(#16)、この繰り返し処理を抜ける(#11)。そして、iの値を1加算し(i=2)(#12)、現在画像P1(i)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#2,#3)、現在画像P1(2)に対して、jの値を1ずつ加算しながら(#10)、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#4〜#11,#16)を繰り返し行う。同様にして、iの値を1ずつ加算し(#12)、現在画像セットP1の全画像について、各々、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#2〜#11,#16)を繰り返し行う。現在画像セットP1の全画像に対して処理が完了したら(#13)、現在画像終了フラグをYにして(#17)、この繰り返し処理を抜ける(#13)。
【0063】
以上の処理が完了した時点で、暫定最大相関値Rmaxには、現在画像セットP1の各画像P1(i)と過去画像セットP2の各画像P2(j)との組合せの中で、代表相関値R(i,j)が最大となったときの値が格納され、IRmax、JRmaxには、このときのiとjの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)との組合せを、最も一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0064】
次に、画像位置合わせ手段6が行う処理(#14)について、図6を参照しながら説明する。
【0065】
この画像位置合わせ処理では、まず、現在画像P1(IRmax)を読み込み、現在画像メモリに格納し(#14.1)、過去画像P2(JRmax)を読み込み、過去画像メモリに格納する(#14.2)。
【0066】
次に、現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)との概略的な位置合わせ処理(グローバルマッチング)を行う(#14.3)。これは、現在画像P1(IRmax)に過去画像P2(JRmax)を一致させるように、過去画像P2(JRmax)に対してアフィン変換(回転、平行シフト)を施す処理であり、この処理により過去画像P2(JRmax)は、図7に示すように過去画像P2(JRmax)′に変換される。
【0067】
グローバルマッチング処理の完了後、局所的な位置合わせ処理(ローカルマッチング)を行う(#14.4〜#14.7)。以下に詳細に説明する。
【0068】
現在画像P1(IRmax)の全体を多数の関心領域(ROI)T(以下、テンプレートROI(T)という)に区切り、図8のように、各テンプレートROI(T)の中心画素をそれぞれx−y座標系(x,y)により表す(#14.4)。また、過去画像P2(JRmax)′に探索ROI(R)を設定する(#14.5)。この探索ROI(R)は、現在画像P1(IRmax)の各テンプレートROI(T)に対応して設定され、同一の中心座標(x,y)を有し、テンプレートROI(T)よりも大きい領域である。ここでは、テンプレートROI(T)の4倍(縦横ともに2倍)の大きさの領域としている。
【0069】
過去画像P2(JRmax)′に設定された各探索ROI(R)の中で、現在画像P1(IRmax)の対応するテンプレートROI(T)を移動させて、両画像P1(IRmax),P2(JRmax)′のマッチング度合いが最も高くなる位置(ROIの中心位置(x′,y′))を探索ROI(R)毎に求める(ローカルマッチングによるROI毎のシフト量算出; #14.6)。マッチング度合いの高低を示す指標値としては、最小自乗法や相互相関による指標値を用いることができる。
【0070】
このようにして求められた各ROIの中心画素(x,y)毎のシフト値(Δx,Δy)(ただし、Δx=x′−x,Δy=y′−y)は、各画像P1(IRmax),P2(JRmax)′間において図9に示すようなものとなる。そして中心画素(x,y)毎のシフト値(Δx,Δy)を用いて、過去画像P2(JRmax)′の全ての画素に対するシフト値(Δx,Δy)を求めるために、2次元10次のフィッティング多項式による近似処理を行なう(#14.7)。そして得られた画素毎のシフト値(Δx,Δy)に基づいて、過去画像P2(JRmax)′の各画素(x,y)をシフトさせる非線形歪変換処理(ワーピング)を過去画像P2(JRmax)′に対して施してワープ画像(P2(JRmax)″)を生成し、ワープ画像メモリに格納する(#14.8)。
【0071】
以上の処理により、過去画像P2(JRmax)中の被写体の位置を、現在画像P1(IRmax)中の被写体の位置に合わせた後の過去画像P2(JRmax)″が生成される(#14)。
【0072】
次に、差分画像生成手段7は、現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とを読み込み、両画像の対応する画素間で減算処理を行うことにより、差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成し、その画像データ(以下、差分画像データQ(IRmax,JRmax)という)を出力する(#15)。
【0073】
この差分画像データQ(IRmax,JRmax)は、現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とともに、画像処理サーバ11から画像表示システム40のクライアントPC41にネットワーク50を経由して送信される。
【0074】
クライアントPC41では、画像表示手段8が、受信した3つの画像データに基づき、3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に、現在画像P1(IRmax)、位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″と差分画像Q(IRmax,JRmax)とを表示する処理を行い、これらの画像が診断者の比較読影に供される(図10参照)。
【0075】
このように、本発明の第1の実施形態となる画像読影支援装置Xとその周辺のシステムでは、撮影手段1が、患者の体位や呼吸相をコントロールしながら撮影を行い、複数の過去画像P2(j)及び複数の現在画像P1(i)を取得するので、撮影時において患者の3次元的な体位変化があったり、呼吸相の変化による肺野サイズの大きな変化があったりしたとしても、このようなコントロールの中で撮影された複数の画像中には、被写体の3次元的な体位や呼吸相が他方の画像と一致または近似する画像が含まれている可能性が高くなる。そして、指標値算出手段4が複数の過去画像P2(j)の各々と複数の現在画像P1(i)と各々のすべての組合せについて一致性を表す指標値(代表相関値R(i,j))を算出し、抽出手段5が最も一致性の高い組合せを抽出するので、現在画像と過去画像とがそれぞれ1つずつしかない場合と比較すると、より一致性が高い現在画像と過去画像との組合せを抽出することが可能になる。この一致性の高い組合せを構成する現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)について、画像位置合わせ手段6が位置合わせ処理を行うので、位置合わせの精度が向上し、差分画像生成手段7が現在画像P1(IRmax)と位置合わせ処理後の過去画像P2(JRmax)″とに基づいて生成する差分画像Q(IRmax,JRmax)は、横隔膜下部分等に生じうるアーチファクトが少ない画像となる。したがって、画像表示手段8は、位置合わせ精度の高い現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)″との組合せと、アーチファクトの少ない差分画像Q(IRmax,JRmax)とを画面表示するので、診断者は、現在と過去における経時変化の観察をより容易かつ効率的にできるようになり、腫瘤等の病変の見落としの軽減にも資する。
【0076】
なお、本実施形態では、現在画像セットP1と過去画像セットP2の両方が複数の画像を含む場合を例に説明したが、これに限定されず、一方の画像セットを構成する画像が1つしかなくても、他方の画像セットに複数の画像が含まれていれば、その複数の画像のうち、その一方の画像セットの画像と最も一致性の高い画像との組合せを抽出することができるので、位置合わせ精度の向上、差分画像中のアーチファクトの軽減には十分に資する。また、図4と図5は、一方の画像セットの画像が1つしかない場合でも処理可能なものとなっている。
【0077】
本実施形態では、現在画像セットP1と過去画像セットP2の両方が同じ撮影手段1により撮影、取得されるようにしたが、同様の画像、すなわち、一致性を表す指標値がある程度高い画像の組合せが得られるのであれば、異なる撮影装置により撮影、取得されたものであってもよい。
【0078】
本実施形態では、差分画像生成手段7を設け、差分画像Q(IRmax,JRmax)を生成するようにしたが、これを設けず、画像表示手段8が現在画像P1(IRmax)と過去画像P2(JRmax)″のみを表示するようにしても、位置合わせ精度の高い両画像の組合せを比較読影することが可能であるから、経時変化の観察の容易化、効率化に十分に資する。
【0079】
次に、この第1の実施形態の変形例となる画像読影支援装置X′について説明する。画像読影支援装置X′は、現在画像セットP1を画像管理システム30の画像管理サーバ31から取得せず、画像撮影・読取システム20のFPD装置22から直接取得するようにし、現在画像P1(i)の撮影と同じタイミングで、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との一致性を表す指標値を算出し、指標値が所定の基準を満たす現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せが得られた時点で、撮影を完了できるようにしたものである。
【0080】
図11は、画像読影支援装置X′とその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、画像読影支援装置Xとは、現在画像記憶手段2が現在画像一時記憶手段2′となっている点と、抽出手段5が、代表相関値R(i,j)の値と所定の閾値とを比較し、所定の閾値以上のときはその現在画像P1(ITh)と過去画像P2(JTh)との組合せ(ITh,JTh)を抽出し、所定の閾値に満たないときは次の画像の組合せに基づき指標値算出手段4が処理を繰り返し行うようにしている点で異なっている。
【0081】
現在画像一時記憶手段2′は、画像撮影・読取システム20のFPD装置22に実装され、FPD装置22のハードディスク等の外部記憶装置や、CPU、制御プログラム、プログラム中で使用するデータや命令を記憶する主記憶装置、各種入出力や通信のインターフェース等から構成される。なお、この現在画像一時記憶手段2′は、画像読影支援システム10の画像処理サーバ11に実装されていてもよい。
【0082】
次に、画像読影支援装置X′とその周辺のシステムで行われる処理の流れを、画像読影支援装置Xとの相違点を中心に説明する。なお、画像読影支援装置Xと同様、過去画像セットP2は既に過去画像記憶手段3に記憶されているものとする。
【0083】
まず、比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。
【0084】
撮影手段1は、画像読影支援装置Xと同様に被写体の体位や呼吸相の条件をコントロールしながら患者の胸部の撮影を行う。撮影により1つの画像を取得したら、その画像データを現在画像一時記憶手段2′が一時的に記憶する。
【0085】
画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、クライアントPC41から送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報を受信し、受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の過去画像セットP2を特定する。
【0086】
図12と図13は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。
【0087】
まず、指標値算出手段4は、現在画像P1(1)を読み込み、現在画像メモリに格納する(#21,#22)。ここで、現在画像P1(i)の読込みは、クライアントPC41から受信した患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、画像処理サーバ11からネットワーク50を経由して画像撮影・読取システム20のFPD装置22に読込み要求が送信され、この要求に基づいて、FPD装置22が画像データP1(1)を選択し、ネットワーク50経由で画像処理サーバ11に送信することによって行われる。
【0088】
次に、画像読影支援装置Xと同様に、過去画像P2(1)を読み込み、過去画像メモリに格納し(#23,#24)、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値R(1,1)の探索(#26)を行う。
【0089】
抽出手段5は、得られた代表相関値R(1,1)と所定の閾値RThとの大小関係を判定する(#27)。ここで、R(1,1)≦RThであれば(#27)、jの値を1加算し(#28)、指標値算出手段4による次の過去画像P2(2)の読込み、過去画像メモリへの格納(#23,#24)、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値R(1,2)の探索(#26)が行われ、抽出手段5による代表相関値R(1,2)と所定の閾値RThとの大小関係の判定が行われる(#27)。同様にして、R(i,2)≦RThであれば(#27)、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。過去画像セットP2のすべての過去画像P2(j)についてR(i,j)≦RThとなった場合には、指標値算出手段4が過去画像終了フラグにYを設定し(#35)、iに1を加算し(#30)、次の現在画像P1(2)の読込みが行われる(#22)。なお、撮影手段1は、この時の読込み要求に応じて、新たな画像P1(2)の撮影を行ってもよいし、所定の撮影条件下で、読込み要求とは独立して撮影を行っておいてもよい。現在画像P1(2)についても、同様に、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。さらにR(2,j)≦RThであれば、同様にして、iの値を1ずつ加算しながら(#30)、現在画像P1(i)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#22)、現在画像P1(i)について、jの値を1ずつ加算しながら(#28)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#23,#24)、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して、テンプレート領域の設定(#25)、代表相関値の探索(#26)、代表相関値R(1,j)と閾値RThとの比較(#27)が繰り返し行われる。
【0090】
この繰返しの中で、R(ITh,JTh)>RThとなるIThとJThの組合せがあれば(#27)、抽出手段5は抽出済フラグにYを設定し(#34)、この繰返しの処理を抜ける(#29,#31)。
【0091】
画像位置合わせ手段6は、R(i,j)>RThとなった時の現在画像P1(ITh)と過去画像P2(JTh)について、画像読影支援装置Xと同様の位置合わせ処理を行って、位置合わせ後の過去画像P2(JTh)″を生成し(#32)、差分画像生成手段7は、現在画像P1(ITh)と位置合わせ後の過去画像P2(JTh)″とに基づき、画像読影支援装置Xと同様にして差分画像Q(ITh,JTh)を生成する(#33)。そして、画像表示手段8は、画像読影支援装置Xと同様にして、現在画像P1(ITh)、位置合わせ処理後の過去画像P2(JTh)″、差分画像Q(ITh,JTh)を3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に表示する処理を行う(図10参照)。
【0092】
このように、本発明の第1の実施形態の変形例となる画像読影支援装置X′では、画像読影支援装置Xと同様の効果が得られるとともに、現在画像P1(i)の撮影と同じタイミングで、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との一致性を表す指標値を算出し、指標値が所定の基準を満たす現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せが得られた時点で、撮影を完了できるようになるので、実用上問題のない程度に位置合わせの精度を向上させ、差分画像Q(ITh,JTh)中のアーチファクトの軽減を図ると同時に、撮影時の患者の負担を軽減することができる。
【0093】
本発明の第2の実施形態となる画像読影支援装置Yは、複数の現在画像の各々と複数の過去画像の各々との位置合わせ処理を行い、差分画像を生成し、差分画像中の画素値の分散が所定の基準を満たす差分画像を抽出する機能を備えたものである。
【0094】
図14は、画像読影支援装置Yとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図である。図に示すように、構成要素は画像読影支援装置Xと同じであるが、画像位置合わせ手段6が、現在画像記憶手段2から現在画像P1(i)を順次読み込み、過去画像記憶手段3から過去画像P2(j)を順次読み込んで位置合わせ処理を行い、差分画像生成手段7が、現在画像P1(i)と位置合わせ処理後の過去画像P2(j)″とに基づき、差分画像Q(i,j)を生成し、指標値算出手段4が、この差分画像Q(i,j)中の画素値の分散値V(i,j)を一致性の指標値として算出し、この分散値V(i,j)が所定の基準を満たす時のI、Jについて、画像表示手段8が現在画像P1(I)、過去画像P2(J)″、差分画像Q(i,j)を表示するようにしている点で異なる。
【0095】
次に、画像読影支援装置Yとその周辺のシステムで行われる処理の流れを、画像読影支援装置Xとの相違点を中心に説明する。なお、画像読影支援装置Xと同様、過去画像セットP2は既に過去画像記憶手段3に記憶されているものとする。
【0096】
まず、撮影手段1は、画像読影支援装置Xと同様に被写体の体位や呼吸相の条件をコントロールしながら患者の胸部の撮影を行う。取得された現在画像セットP1は、画像撮影・読取システム20からネットワーク50を経由して画像管理システム30の画像管理サーバ31に送信され、現在画像記憶手段2が、現在画像セットP1を記憶する。
【0097】
比較読影を行う診断者は、クライアントPC41を操作して、診断対象の患者の患者IDや比較読影対象の現在画像及び過去画像の撮影日時等を指定・選択する。指定・選択された患者IDや撮影日時等の付随情報は、ネットワーク50を経由して画像読影支援システム10に送信される。画像読影支援システム10の画像処理サーバ11は、送信されてきた患者IDや撮影日時等の付随情報に基づき、処理対象の現在画像セットP1と過去画像セットP2とを特定する。
【0098】
図15と図16は、現在画像P1(i)と過去画像P2(j)に対して行われる処理の流れを示したフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づいて説明を行う。
【0099】
まず、画像位置合わせ手段6が、i=1、j=1として(#41)、現在画像P1(i)(=P1(1))を読み込み、現在画像メモリに格納し(#42,#43)、過去画像P2(j)(=P2(1))を読み込み、過去画像メモリに格納する(#44,#45)。そして、画像読影支援装置Xと同様にして、読み込まれた過去画像P2(1)中の被写体の位置を、現在画像P1(1)中の被写体の位置に合わせた後の過去画像P2(1)″を生成する(#46)。
【0100】
次に、差分画像生成手段7は、現在画像P1(1)と位置合わせ処理後の過去画像P2(1)″とを読み込み、両画像の対応する画素間で減算処理を行うことにより、差分画像Q(1,1)を生成する(#47)。
【0101】
指標値算出手段4は、差分画像Q(1,1)中の画素値の分散値V(1,1)を算出する(#48)。なお、ここで、胸郭認識処理(例えば、特開2002−109548号公報、特開2002−109550号公報参照)を行い、胸郭内の画素を抽出し、この画素の画素値の分散を指標値として算出してもよい。
【0102】
ここで、抽出手段5は、分散値V(1,1)を暫定最小分散値Vminとしてメモリに格納し、このときのiとjの値をIVmin、JVminとしてメモリに格納する(#49,50)。ここで、暫定最小分散値Vminとは、これまでに分散値V(i,j)の算出が行われた現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中で、分散値V(i,j)が最小となったときの値であり、IVmin、JVminは、このときのiとjの値である。
【0103】
さらに、得られた分散値V(1,1)と所定の閾値VThとの大小関係を判定する(#51)。
【0104】
ここで、R(1,1)≧VThであれば(#51)、jの値を1加算し(#52)、画像位置合わせ手段6による次の過去画像P2(2)の読込み、過去画像メモリへの格納(#44,#45)、位置合わせ処理(#46)、差分画像生成手段7による差分画像Q(1,2)の生成(#47)、指標値算出手段4による分散値V(1,2)の算出(#48)が行われる。
【0105】
抽出手段5は、算出された分散値V(1,2)と暫定最小分散値Vminとの比較を行い(#49)、V(1,2)<Vminであれば、Vmin=V(1,2)、IVmin=1、JVmin=2に更新する(#50)。V(1,2)≧Vminの時は、そのまま次の処理に進み、分散値V(1,2)と所定の閾値VThとの大小関係の判定を行う(#51)。
【0106】
以下、V(i,j)≧VThであれば(#51)、同様にして、jの値を1ずつ加算しながら(#52)、過去画像P2(j)の読込み、過去画像メモリへの格納を行い(#44,#45)、現在画像P1(1)と過去画像P2(j)に対して、位置合わせ処理(#46)、差分画像Q(1,j)の生成(#47)、分散値V(1,j)の算出(#48)、分散値V(1,j)と暫定最小分散値Vminとの比較(#49)を行い、V(1,j) <Vminであれば、Vmin、IVmin、JVminの値を更新していく(#50)ことを繰り返し、過去画像セットP2の全画像に対して処理が完了したら(#45)、過去画像終了フラグをYにして(#59)、この繰り返し処理を抜ける(#53,#54)。そして、iの値を1加算し(i=2)(#55)、現在画像P1(2)の読込み、現在画像メモリへの格納を行い(#42,#43)、現在画像P1(2)に対して、jの値を1ずつ加算しながら(#52)、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#44〜#53,#59)を繰り返し行う。同様にして、iの値を1ずつ加算し(#55)、現在画像セットP1の全画像について、各々、過去画像セットP2の全画像との間で上記の処理(#42〜#56,#59)を繰り返し行う。現在画像セットP1の全画像に対して処理が完了したら(#43)、現在画像終了フラグをYにして(#60)、この繰り返し処理を抜ける(#56)。
【0107】
以上の処理が完了した時点で、暫定最小分散値Vminには、現在画像セットP1の各画像P1(i)と過去画像セットP2の各画像P2(j)との組合せの中で、分散値V(i,j)が最小となったときの値が格納され、IVmin、JVminには、このときのiとjの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)と過去画像P2(JVmin)との組合せを、最も一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0108】
一方、この繰返し処理の途中で、V(i,j)<VThとなる現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せがあった場合(#51)には、抽出手段5は抽出済フラグにYを設定し(#58)、この繰り返し処理を抜ける(#53,#54,#56)。この場合、暫定最小分散値Vmin、IVmin、JVminには、各々、この繰返し処理を抜けたときの分散値V(i,j)、i、jの値が格納されているので、抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)と過去画像P2(JVmin)との組合せを、閾値VThによる基準を満たす一致性の高い組合せとして抽出したことになる。
【0109】
抽出手段5は、現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を画像データとして出力する(#57)。出力された画像データは、画像処理サーバ11から画像表示システム40のクライアントPC41にネットワーク50を経由して送信される。
【0110】
クライアントPC41では、画像表示手段8が、受信した3つの画像データに基づき、3台の高精細液晶ディスプレイ42の各々に、現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を表示する処理を行い、これらの画像が診断者の比較読影に供される(図10参照)。
【0111】
このように、本発明の第2の実施形態となる画像読影支援装置Yでは、画像位置合わせ手段6による位置合わせ処理と差分画像生成手段7による差分画像Q(i,j)の生成の後、指標値算出手段4が、この差分画像Q(i,j)中の画素値の分散値V(i,j)を一致性の指標値として算出し、すべての現在画像P1(i)と過去画像P2(j)の組合せの中でこの分散値V(i,j)が最小となる場合のIVmin、JVminについて、画像表示手段8が現在画像P1(IVmin)、位置合わせ後の過去画像P2(JVmin)″、差分画像Q(IVmin、JVmin)を表示することにより、画像読影支援装置Xと同様の効果が得られる。また、この分散値V(i,j)が所定の閾値より小さくなるようなiとjの組合せがあった場合には、その時のiとjについて、画像表示手段8が現在画像P1(i)、位置合わせ後の過去画像P2(j)″、差分画像Q(i,j)を表示するので、すべての現在画像P1(i)と過去画像P2(j)との組合せについて処理をせずに、実用上問題のない程度に位置合わせの精度が高い現在画像と過去画像、及びアーチファクトの少ない差分画像を得ることができるので処理効率が向上する。
【0112】
なお、画像読影支援装置Yでは、指標値の算出のために、位置合わせ処理、差分画像の生成を予め行う必要があるので、その点においては、画像読影支援装置Xの方が処理効率がよい。
【0113】
上記の説明では、本発明による画像読影支援装置が、画像読影支援システム10、画像撮影・読取システム20、画像管理システム30に分散して実装されているが、これらを1台のコンピュータに実装するようにしてもよい。これは小規模なシステムの場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図2】撮影手段の本発明において特徴的な構成を示した模式図
【図3】撮影手段が有する指示部の一例となる呼吸相インジケータを示す模式図
【図4】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xによる処理を示すフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態による画像読影支援装置Xによる処理を示すフローチャート(続き)
【図6】画像位置合わせ手段の処理を示すフローチャート
【図7】画像位置合わせ手段が行うグローバルマッチング処理を説明する図
【図8】画像位置合わせ手段が行うローカルマッチング処理を説明する図
【図9】画像位置合わせ手段が行うローカルマッチング処理により求めた各ROIの中心画素のシフトの様子を模式的に表した図
【図10】画像表示手段により表示される位置合わせ後の過去画像(a)、現在画像(b)、差分画像(c)の一例を表した図
【図11】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′とその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′による処理を示すフローチャート
【図13】本発明の第1の実施形態の変形例による画像読影支援装置X′による処理を示すフローチャート(続き)
【図14】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yとその周辺のシステムの論理的な構成とデータの流れとを表したブロック図
【図15】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yによる処理を示すフローチャート
【図16】本発明の第2の実施形態による画像読影支援装置Yによる処理を示すフローチャート(続き)
【図17】本発明の実施形態となる胸部画像診断支援システムの構成の概要を示した図
【符号の説明】
1 撮影手段
1a 線源
1b 線源制御部
1c 撮影台
1d 撮影台制御部
1e 指示部
2 現在画像記憶手段
2′ 現在画像一時記憶手段
3 過去画像記憶手段
4 指標値算出手段
5 抽出手段
6 画像位置合わせ手段
7 差分画像生成手段
8 画像表示手段
10 画像読影支援システム
11 画像処理サーバ
20 画像撮影・読取システム
21 CR装置
22 FPDを搭載したX線画像デジタル撮影装置
30 画像管理システム
31 画像管理サーバ
32 大容量外部記憶装置
40 画像表示システム
41 クライアントPC
42 高精細液晶ディスプレイ
50 ネットワーク
Claims (13)
- 互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群の各々の画像について、互いに異なる撮影条件の下で前記第1の画像群の撮影とは異なる時期に前記被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群の各々の画像との一致性を表す指標値を算出し、
該指標値が所定の基準を満たす前記第1の画像群の中の1つの画像と前記第2の画像群の中の1つの画像との1つの組合せを抽出し、
該組合せを構成する両画像に含まれる前記被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行うことを特徴とする画像読影支援方法。 - 前記第2の画像群の中の1つの画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定し、
該テンプレート領域を前記第1の画像群の中の1つの画像中で移動させながら、前記テンプレート領域中の各画素の画素値と、前記第1の画像群の中の1つの画像中で前記テンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索し、
該相関値の最大値を前記一致性を表す指標値とすることを特徴とする請求項1記載の画像読影支援方法。 - 前記位置合わせ処理後の、前記第1の画像群の中の1つの画像と前記第2の画像群の中の1つの画像との差分による差分画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の画像読影支援方法。
- 互いに異なる撮影条件の下で同時期に同一の被写体を撮影して取得した2以上の画像からなる第1の画像群を記憶する第1の画像群記憶手段と、
互いに異なる撮影条件の下で前記第1の画像の撮影とは異なる時期に前記被写体を撮影して取得した1以上の画像からなる第2の画像群を記憶する第2の画像群記憶手段と、
前記第1の画像群記憶手段から前記第1の画像群の各画像を順次読み込み、前記第2の画像群記憶手段から前記第2の画像群の各画像を順次読み込み、読み込まれた前記第1の画像群の各画像について、前記第2の画像群の各画像との一致性を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
算出された前記指標値が所定の基準を満たす前記第1の画像群の中の1つの画像と前記第2の画像群の中の1つの画像との1つの組合せを抽出する抽出手段と、
抽出された前記組合せを構成する両画像に含まれる前記被写体の位置を合わせる位置合わせ処理を行う画像位置合わせ手段とを備えたことを特徴とする画像読影支援装置。 - 前記指標値算出手段が、
前記第2の画像群の中の1つの画像中の所定の領域をテンプレート領域として設定するテンプレート領域設定部と、
設定された前記テンプレート領域を前記第1の画像群の中の1つの画像中で移動させながら、前記テンプレート領域中の各画素の画素値と、前記第1の画像群の中の1つの画像中で前記テンプレート領域中の画素に対応する各画素の画素値との相関値の最大値を探索する相関値探索部とからなり、
該相関値の最大値を前記一致性を表す指標値とするものであることを特徴とする請求項4記載の画像読影支援装置。 - 前記位置合わせ処理後の、前記第1の画像群の中の1つの画像と前記第2の画像群の中の1つの画像との差分による差分画像を生成する差分画像生成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または5記載の画像読影支援装置。
- 前記撮影条件が、前記被写体の撮影角度と前記被写体の状態の少なくとも一方であることを特徴とする第4項から第6項のいずれか1項に記載の画像読影支援装置。
- 前記被写体の状態が、人間の呼吸相であることを特徴とする請求項7記載の画像読影支援装置。
- 前記撮影条件の下で前記被写体を撮影して画像を取得する撮影手段をさらに備え、
前記第1の画像群が、前記撮影手段によって撮影され、取得されたものであることを特徴とする第4項から第8項のいずれか1項に記載の画像読影支援装置。 - 前記第2の画像群が、前記撮影手段によって撮影され、取得されたものであることを特徴とする請求項9記載の画像読影支援装置。
- 前記撮影手段が、被写体に対して放射線を曝射する線源が該放射線を曝射する角度を制御する線源制御部を備えた放射線画像撮影装置であることを特徴とする請求項9または10記載の画像読影支援装置。
- 前記撮影手段が、被写体を支持する撮影台の角度を制御する撮影台制御部を備えた放射線画像撮影装置であることを特徴とする第9項から第11項のいずれか1項に記載の画像読影支援装置。
- 前記被写体が人間の胸部であり、
前記撮影手段が、撮影時に前記人間の呼吸のタイミングを指示する指示部を備えたものであることを特徴とする第9項から第12項のいずれか1項に記載の画像読影支援装置。
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- 2003-06-16 JP JP2003170722A patent/JP2005012248A/ja not_active Withdrawn
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