JP2004152043A - 差分画像の補正方法および画像処理装置 - Google Patents

差分画像の補正方法および画像処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】同一被写体の画像の全体的濃度の変化に起因する差分画像中のアーティファクトの発生を防ぐ。
【解決手段】同一被写体の2つの画像P1、P2間の変化を検出するために得た差分画像Pで変化のない領域の濃度を一定濃度にするために、差分画像P上に所定領域21の濃度から特徴量を求める。その特徴量を用いて背景領域の濃度が所定濃度になるように補正する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変化を検出する画像間の差分画像において、差分画像の濃度の補正を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、放射線画像における患部の経時変化を観察するために、時系列放射線画像間の差分画像を作成し、経時変化のある部分を際立たせて観察しやすいようにする経時サブトラクション技術が提案され、作成した差分画像を時系列放射線画像と同時に観察することにより診断支援をしようとする試みがある(例えば、非特許文献1)。
【0003】
しかし、画像間で濃度設定の条件が異なる場合には、画像間の位置合わせが正確に行われたとしても画像間の濃度の相違により差分画像中にその濃度に起因するアーティファクト、すなわち、変化がなく、本来、差分画像中には何も見えない筈のところに画像が現れてしまう問題が発生する。
【0004】
そこで、このようなアーティファクトを防ぐため、対応する画像中の構造物の信号値が略一致するように、画像の信号値を一方の画像に合わせて補正するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、2つのオリジナル画像間の濃度の違いは、各オリジナル画像の変化の無い部分の画素値の平均値を求め、この平均値の差として表すことができる。そこで、差分画像から、上記の平均値の差を差し引くことによって、2つオリジナル画像間の濃度の違いによる差分画像の濃度のずれをなくして、複数の差分画像間で濃度が一定に保たれるようにするものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】
A.Kano、K.Doi、H.MacMahon、D.Hassell、M.L.Ginger”Digital image subtraction of temporally sequential chest images for interval charge”、Med.Phys.21(3)、March 1994、453−461[1]
【0007】
【特許文献1】
特開2000−266147号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−190010号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、差分画像に対して濃度補正を行う必要があるとき、経時サブトラクション処理やオリジナル画像の濃度処理が存在しない計算機上では、特許文献1のように、画像中の構造物の濃度を一致させるために画像の濃度を一方の画像に合わせることはできない。
【0010】
あるいは、オリジナル画像が存在しないような場合には、特許文献2のようにオリジナル画像の画素値を用いた補正を適用することはできない。
【0011】
そこで、本発明はこの課題に鑑みて、差分画像自身の濃度から濃度補正を行って差分画像の変化の無い領域に発生するアーティファクトをなくすように差分画像の濃度を補正する方法および補正した差分画像を生成する装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の差分画像の補正方法は、同一被写体の2つの画像間の差分画像の濃度を補正する差分画像補正方法において、
前記差分画像上の所定領域の濃度に関する特徴量を求め、該特徴量を用いて、前記2つの画像間において相違のない領域である前記差分画像の背景領域の濃度が所定濃度になるように該差分画像の濃度を補正することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の差分画像の画像処理装置は、本発明の差分画像の補正方法を実施するための装置であって、同一被写体の2つの画像間の差分画像を取得する差分画像取得手段と、
前記差分画像上の所定領域の濃度に基づいて特徴量を求める特徴量算出手段と、
該特徴量算出手段から求めた特徴量を用いて、前記2つの画像間において相違のない領域である前記差分画像の背景領域の濃度が所定濃度になるように補正する差分画像の補正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
ここで画像とは、CR(Computed Radiography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CT(Computerized Tomography)、超音波診断装置、放射線固体検出器等のモダリティにより得られた画像や、該画像に類似して人工的に生成した画像等が挙げられる。また、画像の被写体としては、人体等のほか、動植物、工業製品等のあらゆるものを適用することができる。
【0015】
また、差分画像の画素値(負の値も含む)を、便宜上、差分画像の濃度と呼ぶこととする。
【0016】
差分画像は、同一被写体に対する2つ画像の間での相違、つまり変化を観察するため、両画像の対応する画素間で画素値の差を求めて、その値に必要に応じてオフセットを加えて変化のなかった領域の濃度が所定濃度になるように表示するようにしたもので、オフセットを加えることにより、変化の結果濃度が高くなった部分を変化のない背景領域より黒く(つまり、所定濃度より高い濃度で)表示し、濃度が低くなった部分を変化のない背景領域より白く(つまり、所定濃度より低い濃度で)表示することができ、変化の方向の観察をすることができるようにしたものである(引き算の方向を逆にすれば、変化と濃度の大小の関係が逆になることは言うまでもない)。変化の方向が一定の方向に限られる場合(例えば、時間の経過とともに増大する対象の場合など)には、オフセットを加える必要がない。また、差分画像の変化のない背景領域の濃度が常に所定濃度になるようにすると、複数の差分画像間で変化があった部分が一定の見え方になるようにすることができる。
【0017】
同一被写体に対する2つの画像とは、同一被写体を異なる時期に撮影して得られた2つの画像、同一人物の左右乳房、同一人物の左右肺、実際に撮影した画像に対応するように人工的に生成した画像と実際に撮影した画像等の略同一の被写体に対する画像である。人工的に生成した画像には、実際に撮影した画像から正常と思われる画像を生成したもの等があげられる。
【0018】
また、所定領域は、差分画像の変化のない部分に設定した方が変化のある部分が顕著に表れるので好ましいが、変化する部分が少ない場合には画像全体を所定領域としてもよく、実質的に変化が無いと想定される領域であればよい。この所定領域は、例えば、所定領域を操作者が表示装置に表示された画像を指示して設定したり、画像の所定の領域に予め所定領域を設定したり、画像から自動的に変化が無いと認識された領域を所定領域として設定してもよい。
【0019】
また、特徴量は、変化がない部分の濃度に実質的に対応するものであり、前記所定領域の平均濃度を用いてもよいし、前記所定領域の濃度のヒストグラムにおけるピーク値を用いてもよい。
【0020】
濃度のヒストグラムにおけるピーク値とは、ヒストグラムの最大値や極大値などのピークを示す濃度(または、輝度)をいう。
【0021】
また、画像が胸部画像を含む場合には、胸郭領域の変化を観察することが望まれる。従がって、画像が胸部画像を含む場合には、所定領域は、胸郭領域に設定するのが望ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明の差分画像の補正方法およびは画像処理装置によれば、同一被写体の画像間の差分画像上の変化がないところに所定領域を設け、あるいは、画像全体を所定領域とし、所定領域の濃度に基づいて変化のない背景領域の濃度を所定濃度に合わせるように補正するようにしたので、変化のない領域の濃度を一定にすることにより、変化した領域の見え方を複数の差分画像間で一定に保ち変化を比較し易くすることができる。
【0023】
また、胸部画像の場合には胸郭領域に所定領域を設定することにより、腫瘍等の最も発生しやすい胸郭領域においてアーティファクトを防ぐことができ、診断性能を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の差分画像の補正方法および差分画像を生成する装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の差分画像の補正方法および画像処理装置を実施するための一実施形態である画像処理装置の概要を示す図である。図1に示すように、この画像処理装置1は、同一被写体の対する2つの画像P1とP2の間の差分画像Pを差分画像記憶手段20に記憶する差分画像取得手段と、差分画像記憶手段20に記憶されている差分画像P上に所定領域21を設ける所定領域設定手段10と、所定領域21の濃度に基づいて特徴量を求める特徴量算出手段11と、特徴量算出手段11で求めた特徴量を用いて変化の無い領域の濃度が一定の所定濃度になるように補正する補正手段12とを備えている。
【0026】
また、この画像処理装置1は、CR、MRI、CT等の画像データを入力する入力手段と、CPU等の演算手段とを備え(不図示)、入力手段から入力した画像データを用いて様々な演算が可能なものとしてもよい。
【0027】
さらに、画像処理装置1は、2つの画像P1、P2から差分画像Pを生成する差分画像生成手段13を備えようにしてもよく、差分画像取得手段は、入力手段から同じ被写体を異なる時点で撮影した画像や、同一人物の左右乳房の画像や、同一人物の左右肺の画像、実際に撮影した画像から人工的に生成した正常と思われる画像と元の画像(詳細は、特願2002−136513等に記載)等を入力して、差分画像生成手段13で差分画像Pを生成して差分画像記憶手段20に記憶する。あるいは、入力手段を介して他の装置で生成した差分画像Pを受信して差分画像記憶手段20に記憶するようにしてもよい。さらに、ハードディスク等の記憶装置に記憶されている差分画像Pを読み出して差分画像記憶手段20に記憶するようにしてもよい。
【0028】
所定領域設定手段10では、図2に示すように、差分画像P上の変化のない部分に、操作者が表示装置に表示された画像を指示して設定する。
【0029】
あるいは、所定領域21は予め設定しておくようにしてもよい。さらに、画像から変化が無いと思われる領域を自動的に認識して所定領域としてもよい。
【0030】
また、変化する部分が少ない場合には差分画像P全体を所定領域21としてもよい。あるいは、対象となる画像が胸部画像の場合には、この所定領域21を胸郭領域に設定するほうが好ましい。
【0031】
この胸郭領域の設定には、胸郭の輪郭のうち肺の上部輪郭が特定の中心点から略円弧状に現れることを利用して胸郭の輪郭を判定する画像処理方法があるが、この判定方法を用いて設定してもよい。この肺の輪郭を求める方法では、まず、胸郭領域の画像データから、概略輪郭検出処理を施して肺の輪郭の概略を検出し、その概略輪郭から肺の上部輪郭の円弧の中心点を求める。肺の上部の形状は特定の中心点から略円弧状に現れるので、中心点を基準とした極座標の値に変換すると肺の上部輪郭は直線に近い形になる。これを利用して、肺の輪郭を求めることができる(詳細は、例えば特開2002−109548参照)。
【0032】
特徴量算出手段11は、所定領域設定手段10で設定した所定領域21内の画素値から、変化のない部分である背景領域の濃度が一定の所定濃度になるように補正するための特徴量を求める。
【0033】
例えば、所定領域21内の画素値の平均濃度を特徴量として用いれば、平均濃度を画素値から差し引くことにより、差分画像P間の濃度の差を取り除くように補正することができる。すなわち、複数の差分画像Pで変化の無い背景領域が同じ濃度(所定濃度)になるように補正することができる(補正の方法の詳細は後述する)。あるいは、所定領域21内の画素値の濃度分布をヒストグラムで表わしたピーク値を特徴量として用いても、平均濃度と同様に補正することができる(詳細は後述する)。
【0034】
そこで、補正手段12は、特徴量算出手段11で求めた特徴量を用いて、差分画像Pの変化の無い部分の濃度が常に所定濃度となるように、差分画像Pの濃度を補正して補正後差分画像Pnewを作成する。
【0035】
具体的には、特徴量に平均濃度を用いる場合には、画素値から平均濃度を引いて、変化のなかった背景領域の濃度値が0になるように一旦補正し、再度、背景領域の濃度を所定濃度に合うように一定のオフセットを加えて補正すると、前述のように、例えば、変化の結果濃度が高くなった部分が変化のない領域より黒く表示され、濃度が低くなった部分が変化のない領域より白く表示されるように補正される。時間の経過とともに増大する対象の場合など変化の方向が一定の方向に限られる場合は、所定濃度を0に合わせてもよい。このときには、オフセットする必要はない。
【0036】
また濃度分布のヒストグラムは、図3に示すように、所定領域内に最も多く表れる濃度、つまり一般には平均濃度に近い濃度にピーク値がある。濃度値が一致しているオリジナル画像P1、P2から求めた差分画像Pでは変化のない部分の濃度の平均は0になり、濃度分布のヒストグラムのピーク値も0の近傍に現れるが、オリジナル画像P1、P2の濃度値が変化する場合には、ヒストグラムのピーク値は変化の無い領域の平均濃度と略一致する。そこで、このピーク値を特徴量として、画素値からピーク値を引いて変化の無かった領域の濃度値が0になるように一旦補正し、再度オフセットを加えることにより、変化の結果、濃度が高くなった部分と、濃度が低くなった部分を認識することができるようになる。
【0037】
また、オフセットを加えて変化の無い領域の濃度が常に所定濃度になるようにすることにより、複数の差分画像間で変化した領域の見え方を一定に保つことができる。
【0038】
次に、この補正の過程を、差分画像に設定した所定領域21の画素値の平均濃度を用いて補正する場合について具体的に説明する。
【0039】
まず、同一被写体の画像であるオリジナル画像(P1、P2)間の差分画像Pの画素値を、以下の式で表わすものとする。
P=(a2×P2+a1×P1)×const
P1,P2:同一被写体に対する2つの画像のそれぞれの画素値
a1,a2:定数
const :コントラスト係数
また、差分画像に設定した所定領域21内の平均濃度をPaveとする。所定領域21は変化の無い領域(あるいは、変化の少ない領域)に設定するので、この平均濃度が一定の値(閾値)を超える場合には、差分画像Pを求めたオリジナル画像(P1、P2)間で、濃度が異なったものであったと判断することができる。そこで、
|Pave|>th
th:閾値
の場合には、以下の濃度補正を行う。
Pnew=P − Pave
【0040】
この濃度補正では変化のない画素値の濃度を0に合わせることになり、例えば、差分画像P上のA−A’線上(図2参照)は、図4に示すように、補正後の差分画像Pnewの画素値は濃度値が0以下(負)となるものが表れる。しかし、濃度値が負の場合は画像上に現れないため、補正後の差分画像Pnewでは、濃度値が負となるように変化したものを認識することができない。そこで、全体をオフセットして変化のない画素値の濃度が所定の所定濃度となるように再度補正する。例えば、濃度を10ビットで表わす場合には、図5に示すように、中間値である512になるように補正する。
【0041】
Pnew’=Pnew + mid
mid:中間値
これにより、変化した状態が変化の結果濃度が高くなった部分が変化のない領域より黒く表示され、濃度が低くなった部分が変化のない領域より白く表示され、全ての変化を認識することができるようになる。
【0042】
以上、所定領域21の平均濃度を特徴量として用いる場合について、説明したがヒストグラムのピーク値の場合も同様に行うことができる。
【0043】
また、構造物の軟部や骨部の位置合わせをして、アーティファクトが発生しないように作成した差分画像に対して(詳細は、例えば特開2001−325584参照)、所定領域を設定して変化の無い領域の濃度が一定になるように補正して、差分画像の見え方が常に同じになるようにしてもよい。これにより、変化の比較がさらに容易になる。
【0044】
以上詳細に説明したように、差分画像の見え方を一定に保つようにすることにより、画像の一部(医用画像の場合、多くは患部)がどのように変化したかを容易に観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による画像処理装置の概要を示す図
【図2】所定領域の設定を説明する図
【図3】濃度分布のヒストグラムの図
【図4】濃度補正したときの画素値を示す図
【図5】濃度補正した後にシフトさせ再度補正した画素値を示す図
【符号の説明】
1 画像処理装置
10 所定領域設定手段
11 特徴量算出手段
12 補正手段
20 差分画像記憶手段
21 所定領域
P 差分画像
P1、P2 オリジナル画像

Claims (7)

  1. 同一被写体の2つの画像間の差分画像の濃度を補正する差分画像の補正方法において、
    前記差分画像上の所定領域の濃度に関する特徴量を求め、該特徴量を用いて、前記2つの画像間において相違のない領域である前記差分画像の背景領域の濃度が所定濃度になるように該差分画像の濃度を補正することを特徴とする差分画像の補正方法。
  2. 前記特徴量が前記所定領域の平均濃度であることを特徴とする請求項1記載の差分画像の補正方法。
  3. 前記特徴量が前記所定領域の濃度のヒストグラムにおけるピーク値であることを特徴とする請求項1記載の差分画像の補正方法。
  4. 前記画像が胸部を含む画像であり、
    前記所定領域が、胸郭領域であることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の差分画像の補正方法。
  5. 同一被写体の2つの画像間の差分画像を取得する差分画像取得手段と、
    前記差分画像上の所定領域の濃度に基づいて特徴量を求める特徴量算出手段と、
    該特徴量算出手段から求めた特徴量を用いて、前記2つの画像間において相違のない領域である前記差分画像の背景領域の濃度が所定濃度になるように補正する差分画像の補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
  6. 前記特徴量算出手段が、
    前記所定領域の平均濃度を前記特徴量とするものであることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
  7. 前記特徴量算出手段が、
    前記所定領域の濃度の濃度分布におけるピーク値を前記特徴量とするものであることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
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