JP2005012117A - アモルファス鉄心変圧器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アモルファス鉄心変圧器において、アモルファス材の層間絶縁と破片の飛散防止とを自動化し易い技術で可能にする。
【解決手段】積層型鉄心を形成するアモルファス材の積層間に、該アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を入れ、該シート状絶縁材の幅方向端部を折り曲げて鉄心の側面部と平面部を覆う構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】積層型鉄心を形成するアモルファス材の積層間に、該アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を入れ、該シート状絶縁材の幅方向端部を折り曲げて鉄心の側面部と平面部を覆う構成とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層したアモルファス材を鉄心に用いたアモルファス鉄心変圧器に係り、特に変圧器の絶縁性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関連した従来技術としては、例えば、特開平6−84655号公報(特許文献1)や特開平6−132142号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特開平6−84655号公報には、非晶質磁性薄帯の層間の絶縁性を確保して渦電流損の増大を防ぐために、該層間に該非晶質磁性薄帯よりも幅広の耐熱フィルムを設けた巻鉄心が記載されている。また、特開平6−132142号公報には、樹脂モールド後においても磁心の磁化曲線の角形比を高くするために、Fe基非晶質合金薄帯の層間に、該Fe基非晶質合金薄帯よりも幅広の電気絶縁層を、該電気絶縁層の両端部が該Fe基非晶質合金薄帯よりはみ出させて設け、該はみ出した部分を加熱し、軟化または溶解させることで該Fe基非晶質合金薄帯の幅方向端部を被覆する構成の磁心が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−84655号公報(段落番号0013、0014、図6)
【特許文献2】
特開平6−132142号公報(段落番号0019、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち例えば特開平6−84655号公報記載の図6の技術では、耐熱フィルムはあくまで非晶質磁性薄帯の層間の渦電流損の増大を防ぐためのものであると考えられ、破片の飛散防止等のために該耐熱フィルムで巻鉄心の側面を覆う技術的発想は伺えない。また、特開平6−132142号公報記載の技術では、Fe基非晶質合金薄帯の幅方向端部を被覆するために電気絶縁層の加熱が必要となる。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、アモルファス鉄心変圧器技術として、アモルファス材の層間絶縁と破片の飛散防止とを、自動化し易い技術において可能にすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決できる技術の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題点を解決するために、本発明では、基本的に、アモルファス鉄心変圧器技術として、積層型鉄心を形成するアモルファス材の積層間に、該アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を入れ、該シート状絶縁材の幅方向端部の折り曲げて少なくとも鉄心側面部を覆う構成とする。具体的には、上記を基本構成とするアモルファス鉄心変圧器と、上記を経時的基本動作とするアモルファス鉄心変圧器の製造方法とを本発明として提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の第1の実施例の説明図である。本第1の実施例は、アモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心として、薄帯状のアモルファス材が複数枚重ねられて成る積層体毎に、1枚のシート状絶縁材を該積層体の外側に設ける構成とした場合の例である。図1は、本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いるU字状の積層型鉄心の外観図、図2は、図1の積層型鉄心を製造する過程中で、アモルファス材の積層体をシート状絶縁材で覆うときの説明図、図3は、図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図、図4は、図1の積層型鉄心を製造する過程中で、シート状絶縁材といっしょに切断したアモルファス材の積層体を水平積みするとともに、シート状絶縁材を折り曲げるときの説明図である。
【0007】
図1において、1は、本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いるU字状の積層型鉄心、2はアモルファス材部、3はシート状絶縁材である。アモルファス材部2は、薄い(例えば厚さ0.025×10−3m程度)帯状のアモルファス材を複数枚(例えば10枚)重ねて成る積層体が、さらに複数個積層されることにより構成される。シート状絶縁材3は、該積層体よりも幅広の構成を有し、該積層体毎に設けられ、該積層体の両平面と両側面とを覆っている。該シート状絶縁材3としては、耐熱性の厚さ7〜8×10−6mのポリイミドフィルム(例えば商品名カプトン(東レ・デュポン株式会社製:カプトンはデュポン社の登録商標))などを用いる。該積層体の該両側面と一方の平面は、シート状絶縁材3の幅方向端部の上記積層体からはみ出した部分が折り曲げられることで覆われる。シート状絶縁材3は、積層する積層体間の絶縁性を確保するとともに、アモルファス材破片の飛散を阻止し、これに起因するコイルの短絡などを防止する。
【0008】
図2は、図1の積層型鉄心を形成する積層体をシート状絶縁材で覆うときの説明図である。
図2において、2aは、薄帯状のアモルファス材が複数枚(例えば10枚)重ねられて成る積層体、3はシート状絶縁材である。図2(a)は、積層体2aよりも幅広のシート状絶縁材3を、該積層体2aの1個あたり1枚、該積層体2aの裏面側に重ねて設けた状態を示し、同(b)は、シート状絶縁材3の幅方向端部の上記積層体2aからはみ出した部分を折り曲げることで、該積層体2aの両側面と表面の一部とを覆うようにした状態を示す。上記図1の積層型鉄心は、上記(b)の、シート状絶縁材3で覆った積層体2aを該シート状絶縁材3とともに所定の長さに切断したものを複数個積層し、これをU字状に変形させて構成している。
【0009】
図3は、図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図である。
図3において、2hはフープ状に巻かれたアモルファス材、2は、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のアモルファス材、3hはフープ状に巻かれたシート状絶縁材、3は、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のシート状絶縁材、4aは、1枚ずつのアモルファス材2を送り出すローラ、4bは、複数枚重ねたアモルファス材2(図2の積層体2aに相当)を送り出すローラ、4cは、シート状絶縁材3を送り出すローラ、5は、複数枚のアモルファス材2(図2の積層体2aに相当)とシート状絶縁材3とを重ねた状態で所定の長さに切断する切断部、6は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3との重なったものをつかんで所定位置まで移動させるグリッパ、10は、グリッパ6により所定位置に水平積みされた複数の積層体から成る積層体群、20は、該積層体群10をU字状に変形させ、積層型鉄心とするための巻型である。シート状絶縁材3はアモルファス材の積層体2aよりも幅広のものを用いる。ローラ4a、4b間では、アモルファス材2はたるんだ状態とされ、ローラ4bによる送り出し動作においてアモルファス材2に過度の引張り力が働かないようにしている。
【0010】
上記構成における動作は次のようになる。
(1)フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のアモルファス材2は、ローラ4bを通過する時、複数枚のアモルファス材2が重なったもの(=積層体2a)とされる。
(2)その後、ローラ4cにより、該積層体2aに、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出されたシート状絶縁材3とが重ねられる。このとき、該シート状絶縁材3は、その幅方向の端部が該積層体2aの幅方向の両側で該積層体2aからはみ出した状態とされる。
(3)上記積層体2aに上記シート状絶縁材3が重ねられたものは、切断部5に移送され該切断部5において所定の長さに切断される。
(4)上記切断されたもの(アモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3とが重なったもの)が、該切断毎にグリッパ6により所定位置に移動され、順次水平積みされる。
(5)上記水平積みのとき、該水平積み動作と同時に、シート状絶縁材3の、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部と平面部とを覆うようにされる。
(6)水平積みされるアモルファス材の積層体2aの数が所定数に達し所定の積層体群10が形成されると、巻型20を該積層体群10に当接させて上昇させ、該積層体群10をU字状に変形させる。該変形により所定の積層型鉄心1が形成される。
(7)形成された積層型鉄心1は、例えば上記U字状の開放端を突き合わされて環状にされた状態で焼鈍処理され、該焼鈍処理後再びU字状にされ、該U字状状態で励磁用コイルが挿入される。該励磁用コイルの挿入後は再び、U字状の開放端を互いに突合せて閉じられ磁気回路が形成されるとともに、コイル端子の接続等の配線処理がなされ、最終的にアモルファス鉄心変圧器として完成される。
【0011】
図4は、上記切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものを水平積みするときの説明図である。(a)は水平積み部の側面図、(b)は同正面側の断面図である。
図4において、30は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものを計量する計量テーブル、31は、該重ねられたものを案内するとともにシート状絶縁材3の上記はみ出した部分を上記積層体2aの側面方向に沿って折り曲げる幅方向ガイド部材、32a、32bは、シート状絶縁材3の上記はみ出した部分を上記積層体2aの平面方向に沿って折り曲げる移動板である。移動板32a、32bは、水平積みされる積層体2aの平面方向に沿って移動できるようにされている。切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものは1枚ずつ、グリッパ6により移動されて計量テーブル30上に水平積みされる。計量テーブル30上への移動は、該計量テーブル30の上方から上記幅方向ガイド部材31に沿って行われる。該移動のとき、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、該移動動作と同時に上記幅方向ガイド部材31によって約直角に折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部を覆い、移動動作後は、該側面部を覆った部分のさらに端部側の部分が、上記移動板32a、32bによって、約直角に折り曲げられて該積層体2aの平面部を覆うようにされる。
【0012】
上記第1の実施例によれば、アモルファス材の層間絶縁の確保と同時に、アモルファス材破片の飛散防止が可能となる。また、鉄心特性の劣化も抑えられる。さらに、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作を自動化し易くなり、低コストも可能となる。
【0013】
図5は、本発明の第2の実施例の説明図であって積層型鉄心を製造する場合の手順を説明する図である。本第2の実施例は、アモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心として、薄帯状のアモルファス材が複数枚重ねられて成る積層体の表面及び層間に、アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を設ける場合の例である。上記第1の実施例(図3)の場合と同じ構成要素には、該第1の実施例(図3)の場合と同じ符号を付す。
【0014】
図5において、1’は積層型鉄心、4dは、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出されたシート状絶縁材3を送り出すローラ、10’は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものが複数個水平積みされて成る積層体群である。ローラ4aは、1枚ずつのアモルファス材2または1枚ずつのアモルファス材2と1枚ずつのシート状絶縁材3が重ねられたものを送り出し、ローラ4bは、複数枚重ねたアモルファス材2とその層間及び表面に積層されたシート状絶縁材3とを送り出す。該送り出された、アモルファス材2とシート状絶縁材3の重ねられたものは、切断部5で所定の長さに切断され、該切断されたもの毎にグリッパ6により所定位置に移動され、順次水平積みされ、積層体群10’とされる。上記水平積みは、上記第1の実施例の場合と同様にして行われ、該水平積み動作と同時に、シート状絶縁材3の、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部と平面部とを覆うようにされる。水平積みされるアモルファス材の積層体2aの数が所定数に達し所定の積層体群10’が形成されると、巻型20を該積層体群10’に当接させた状態で上昇させ、該積層体群10’をU字状に変形させる。該変形により所定の積層型鉄心1’が形成される。さらに、上記第1の実施例の場合と同様、焼鈍処理、励磁用コイルの挿入、磁気回路形成、配線処理等がなされる。
【0015】
上記第2の実施例によっても、アモルファス材の層間の絶縁が確保され、アモルファス材破片の飛散防止が可能となり、鉄心特性の劣化も抑えられる。また、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作も自動化し易くなり、低コストも可能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、アモルファス材の層間絶縁の確保とともに、アモルファス材破片の飛散防止が可能となり、鉄心特性の劣化も抑えられる。また、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作も自動化し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心の外観図である。
【図2】図1の積層型鉄心におけるアモルファス材の積層体をシート状絶縁材で覆う説明図である。
【図3】図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図である。
【図4】図1の積層型鉄心におけるアモルファス材の積層体の水平積みの説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1…積層型鉄心、 2…アモルファス材、 2a…アモルファス材の積層体、2h…フープ状に巻かれたアモルファス材、 3…シート状絶縁材、 3h…フープ状に巻かれたシート状絶縁材、 4a、4b、4c、4d…ローラ、 5…切断部、 6…グリッパ、 10、10’…積層体群、 20…巻型、 30…計量テーブル、 31…幅方向ガイド部材、 32a、32b…移動板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層したアモルファス材を鉄心に用いたアモルファス鉄心変圧器に係り、特に変圧器の絶縁性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関連した従来技術としては、例えば、特開平6−84655号公報(特許文献1)や特開平6−132142号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特開平6−84655号公報には、非晶質磁性薄帯の層間の絶縁性を確保して渦電流損の増大を防ぐために、該層間に該非晶質磁性薄帯よりも幅広の耐熱フィルムを設けた巻鉄心が記載されている。また、特開平6−132142号公報には、樹脂モールド後においても磁心の磁化曲線の角形比を高くするために、Fe基非晶質合金薄帯の層間に、該Fe基非晶質合金薄帯よりも幅広の電気絶縁層を、該電気絶縁層の両端部が該Fe基非晶質合金薄帯よりはみ出させて設け、該はみ出した部分を加熱し、軟化または溶解させることで該Fe基非晶質合金薄帯の幅方向端部を被覆する構成の磁心が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−84655号公報(段落番号0013、0014、図6)
【特許文献2】
特開平6−132142号公報(段落番号0019、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち例えば特開平6−84655号公報記載の図6の技術では、耐熱フィルムはあくまで非晶質磁性薄帯の層間の渦電流損の増大を防ぐためのものであると考えられ、破片の飛散防止等のために該耐熱フィルムで巻鉄心の側面を覆う技術的発想は伺えない。また、特開平6−132142号公報記載の技術では、Fe基非晶質合金薄帯の幅方向端部を被覆するために電気絶縁層の加熱が必要となる。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、アモルファス鉄心変圧器技術として、アモルファス材の層間絶縁と破片の飛散防止とを、自動化し易い技術において可能にすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決できる技術の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題点を解決するために、本発明では、基本的に、アモルファス鉄心変圧器技術として、積層型鉄心を形成するアモルファス材の積層間に、該アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を入れ、該シート状絶縁材の幅方向端部の折り曲げて少なくとも鉄心側面部を覆う構成とする。具体的には、上記を基本構成とするアモルファス鉄心変圧器と、上記を経時的基本動作とするアモルファス鉄心変圧器の製造方法とを本発明として提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の第1の実施例の説明図である。本第1の実施例は、アモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心として、薄帯状のアモルファス材が複数枚重ねられて成る積層体毎に、1枚のシート状絶縁材を該積層体の外側に設ける構成とした場合の例である。図1は、本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いるU字状の積層型鉄心の外観図、図2は、図1の積層型鉄心を製造する過程中で、アモルファス材の積層体をシート状絶縁材で覆うときの説明図、図3は、図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図、図4は、図1の積層型鉄心を製造する過程中で、シート状絶縁材といっしょに切断したアモルファス材の積層体を水平積みするとともに、シート状絶縁材を折り曲げるときの説明図である。
【0007】
図1において、1は、本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いるU字状の積層型鉄心、2はアモルファス材部、3はシート状絶縁材である。アモルファス材部2は、薄い(例えば厚さ0.025×10−3m程度)帯状のアモルファス材を複数枚(例えば10枚)重ねて成る積層体が、さらに複数個積層されることにより構成される。シート状絶縁材3は、該積層体よりも幅広の構成を有し、該積層体毎に設けられ、該積層体の両平面と両側面とを覆っている。該シート状絶縁材3としては、耐熱性の厚さ7〜8×10−6mのポリイミドフィルム(例えば商品名カプトン(東レ・デュポン株式会社製:カプトンはデュポン社の登録商標))などを用いる。該積層体の該両側面と一方の平面は、シート状絶縁材3の幅方向端部の上記積層体からはみ出した部分が折り曲げられることで覆われる。シート状絶縁材3は、積層する積層体間の絶縁性を確保するとともに、アモルファス材破片の飛散を阻止し、これに起因するコイルの短絡などを防止する。
【0008】
図2は、図1の積層型鉄心を形成する積層体をシート状絶縁材で覆うときの説明図である。
図2において、2aは、薄帯状のアモルファス材が複数枚(例えば10枚)重ねられて成る積層体、3はシート状絶縁材である。図2(a)は、積層体2aよりも幅広のシート状絶縁材3を、該積層体2aの1個あたり1枚、該積層体2aの裏面側に重ねて設けた状態を示し、同(b)は、シート状絶縁材3の幅方向端部の上記積層体2aからはみ出した部分を折り曲げることで、該積層体2aの両側面と表面の一部とを覆うようにした状態を示す。上記図1の積層型鉄心は、上記(b)の、シート状絶縁材3で覆った積層体2aを該シート状絶縁材3とともに所定の長さに切断したものを複数個積層し、これをU字状に変形させて構成している。
【0009】
図3は、図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図である。
図3において、2hはフープ状に巻かれたアモルファス材、2は、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のアモルファス材、3hはフープ状に巻かれたシート状絶縁材、3は、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のシート状絶縁材、4aは、1枚ずつのアモルファス材2を送り出すローラ、4bは、複数枚重ねたアモルファス材2(図2の積層体2aに相当)を送り出すローラ、4cは、シート状絶縁材3を送り出すローラ、5は、複数枚のアモルファス材2(図2の積層体2aに相当)とシート状絶縁材3とを重ねた状態で所定の長さに切断する切断部、6は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3との重なったものをつかんで所定位置まで移動させるグリッパ、10は、グリッパ6により所定位置に水平積みされた複数の積層体から成る積層体群、20は、該積層体群10をU字状に変形させ、積層型鉄心とするための巻型である。シート状絶縁材3はアモルファス材の積層体2aよりも幅広のものを用いる。ローラ4a、4b間では、アモルファス材2はたるんだ状態とされ、ローラ4bによる送り出し動作においてアモルファス材2に過度の引張り力が働かないようにしている。
【0010】
上記構成における動作は次のようになる。
(1)フープ状に巻かれた状態から解かれて引出された状態のアモルファス材2は、ローラ4bを通過する時、複数枚のアモルファス材2が重なったもの(=積層体2a)とされる。
(2)その後、ローラ4cにより、該積層体2aに、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出されたシート状絶縁材3とが重ねられる。このとき、該シート状絶縁材3は、その幅方向の端部が該積層体2aの幅方向の両側で該積層体2aからはみ出した状態とされる。
(3)上記積層体2aに上記シート状絶縁材3が重ねられたものは、切断部5に移送され該切断部5において所定の長さに切断される。
(4)上記切断されたもの(アモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3とが重なったもの)が、該切断毎にグリッパ6により所定位置に移動され、順次水平積みされる。
(5)上記水平積みのとき、該水平積み動作と同時に、シート状絶縁材3の、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部と平面部とを覆うようにされる。
(6)水平積みされるアモルファス材の積層体2aの数が所定数に達し所定の積層体群10が形成されると、巻型20を該積層体群10に当接させて上昇させ、該積層体群10をU字状に変形させる。該変形により所定の積層型鉄心1が形成される。
(7)形成された積層型鉄心1は、例えば上記U字状の開放端を突き合わされて環状にされた状態で焼鈍処理され、該焼鈍処理後再びU字状にされ、該U字状状態で励磁用コイルが挿入される。該励磁用コイルの挿入後は再び、U字状の開放端を互いに突合せて閉じられ磁気回路が形成されるとともに、コイル端子の接続等の配線処理がなされ、最終的にアモルファス鉄心変圧器として完成される。
【0011】
図4は、上記切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものを水平積みするときの説明図である。(a)は水平積み部の側面図、(b)は同正面側の断面図である。
図4において、30は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものを計量する計量テーブル、31は、該重ねられたものを案内するとともにシート状絶縁材3の上記はみ出した部分を上記積層体2aの側面方向に沿って折り曲げる幅方向ガイド部材、32a、32bは、シート状絶縁材3の上記はみ出した部分を上記積層体2aの平面方向に沿って折り曲げる移動板である。移動板32a、32bは、水平積みされる積層体2aの平面方向に沿って移動できるようにされている。切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものは1枚ずつ、グリッパ6により移動されて計量テーブル30上に水平積みされる。計量テーブル30上への移動は、該計量テーブル30の上方から上記幅方向ガイド部材31に沿って行われる。該移動のとき、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、該移動動作と同時に上記幅方向ガイド部材31によって約直角に折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部を覆い、移動動作後は、該側面部を覆った部分のさらに端部側の部分が、上記移動板32a、32bによって、約直角に折り曲げられて該積層体2aの平面部を覆うようにされる。
【0012】
上記第1の実施例によれば、アモルファス材の層間絶縁の確保と同時に、アモルファス材破片の飛散防止が可能となる。また、鉄心特性の劣化も抑えられる。さらに、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作を自動化し易くなり、低コストも可能となる。
【0013】
図5は、本発明の第2の実施例の説明図であって積層型鉄心を製造する場合の手順を説明する図である。本第2の実施例は、アモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心として、薄帯状のアモルファス材が複数枚重ねられて成る積層体の表面及び層間に、アモルファス材よりも幅広のシート状絶縁材を設ける場合の例である。上記第1の実施例(図3)の場合と同じ構成要素には、該第1の実施例(図3)の場合と同じ符号を付す。
【0014】
図5において、1’は積層型鉄心、4dは、フープ状に巻かれた状態から解かれて引出されたシート状絶縁材3を送り出すローラ、10’は、切断されたアモルファス材の積層体2aとシート状絶縁材3が重ねられたものが複数個水平積みされて成る積層体群である。ローラ4aは、1枚ずつのアモルファス材2または1枚ずつのアモルファス材2と1枚ずつのシート状絶縁材3が重ねられたものを送り出し、ローラ4bは、複数枚重ねたアモルファス材2とその層間及び表面に積層されたシート状絶縁材3とを送り出す。該送り出された、アモルファス材2とシート状絶縁材3の重ねられたものは、切断部5で所定の長さに切断され、該切断されたもの毎にグリッパ6により所定位置に移動され、順次水平積みされ、積層体群10’とされる。上記水平積みは、上記第1の実施例の場合と同様にして行われ、該水平積み動作と同時に、シート状絶縁材3の、上記アモルファス材の積層体2aの幅方向の両側からはみ出した部分は、折り曲げられて該積層体2aの幅方向の側面部と平面部とを覆うようにされる。水平積みされるアモルファス材の積層体2aの数が所定数に達し所定の積層体群10’が形成されると、巻型20を該積層体群10’に当接させた状態で上昇させ、該積層体群10’をU字状に変形させる。該変形により所定の積層型鉄心1’が形成される。さらに、上記第1の実施例の場合と同様、焼鈍処理、励磁用コイルの挿入、磁気回路形成、配線処理等がなされる。
【0015】
上記第2の実施例によっても、アモルファス材の層間の絶縁が確保され、アモルファス材破片の飛散防止が可能となり、鉄心特性の劣化も抑えられる。また、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作も自動化し易くなり、低コストも可能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、アモルファス材の層間絶縁の確保とともに、アモルファス材破片の飛散防止が可能となり、鉄心特性の劣化も抑えられる。また、アモルファス材を用いた積層型鉄心の製作も自動化し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としてのアモルファス鉄心変圧器に用いる積層型鉄心の外観図である。
【図2】図1の積層型鉄心におけるアモルファス材の積層体をシート状絶縁材で覆う説明図である。
【図3】図1の積層型鉄心を製造する手順の説明図である。
【図4】図1の積層型鉄心におけるアモルファス材の積層体の水平積みの説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1…積層型鉄心、 2…アモルファス材、 2a…アモルファス材の積層体、2h…フープ状に巻かれたアモルファス材、 3…シート状絶縁材、 3h…フープ状に巻かれたシート状絶縁材、 4a、4b、4c、4d…ローラ、 5…切断部、 6…グリッパ、 10、10’…積層体群、 20…巻型、 30…計量テーブル、 31…幅方向ガイド部材、 32a、32b…移動板。
Claims (5)
- 積層したアモルファス材を鉄心に用いたアモルファス鉄心変圧器であって、
上記鉄心が、上記アモルファス材の積層間に該アモルファス材よりも大きな幅寸法のシート状絶縁材を有し、該シート状絶縁材の幅方向端部の折り曲げ部で側面部を覆われている構成を特徴とするアモルファス鉄心変圧器。 - 上記シート状絶縁材は、上記幅方向端部の折り曲げ部で上記鉄心の側面部と併せ、平面部を覆う構成である請求項1に記載のアモルファス鉄心変圧器。
- 上記シート状絶縁材は、耐熱性のフィルムである請求項1または請求項2に記載のアモルファス鉄心変圧器。
- 積層したアモルファス材を鉄心に用いたアモルファス鉄心変圧器の製造方法であって、
複数のフープ状に巻かれたアモルファス材をそれぞれ所定の方向に解いて取り出すとともに、フープ状に巻かれ該アモルファス材よりも大きな幅寸法を有するシート状絶縁材を解いて取り出しながら上記取り出された複数のアモルファス材と重ねる第1のステップと、
上記重ねられた上記アモルファス材と上記シート状絶縁材とを、上記取り出し方向の所定の長さに切断し積層体ブロックとする第2のステップと、
上記積層体ブロック毎に上記シート状絶縁材の幅方向の端部を折り曲げて少なくとも上記アモルファス材の側面部を覆うとともに、該積層体ブロックを所定の順序で複数個積層し鉄心用積層体とする第3のステップと、
上記鉄心用積層体をU字状に折り曲げる第4のステップと、
上記折り曲げられた鉄心用積層体に励磁用コイルを挿入する第5のステップと、
上記鉄心用積層体のU字状の開放端を互いに突合せて閉じ磁気回路を形成するとともに配線を行う第6のステップと、
を経て、アモルファス鉄心変圧器を製造することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器の製造方法。 - 上記第1のステップでは、上記シート状絶縁材が上記複数のアモルファス材の間に重ねられる請求項4に記載のアモルファス鉄心変圧器の製造方法。
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