JP2005010420A - フェルールとその製造方法ならびにそれを用いた光ファイバの接続方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ファイバ35を挿入するスリーブ32と該スリーブ32の上面に穴31aとを有するフェルール31の両端に、被覆を除去してなる光ファイバ心線35cの側面に接着剤を塗布した状態で挿入し、穴31aから該光ファイバ35の端面を見て調整する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの接続技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信は、インターネットの利用者の増加や多種多様なサービスの拡大によって、より高速化した、且つ大容量化した通信技術が必要とされている。しかし、従来の光ファイバを利用した光通信速度およびその通信容量が限界にいたることは既に予想されている。そのため、より高速化した、且つ大容量化した通信技術を有する新たな光ファイバが開発されている。最近は、光ファイバの端面に様々な穴形態を施した穴付き光ファイバが開発されている(例えば、非特許文献1を参照)。このような光ファイバは、光関係の機器や通信機器に使用されている。
【0003】
しかし、光ファイバ同士を高精度に接続する必要がある中継系や加入者系の光通通信網には、使用されていない。
よって、このような穴付き光ファイバ同士を高精度に接続するため、この光ファイバの研究開発や実用化において、新たな接続技術の開発やその技術の簡易性、経済性、信頼性に十分な配慮がなされたものでなければならない。そのうえ、研磨技術、寸法精度、接続損失、信頼性、経済性、操作性において、従来の光ファイバの接続技術よりも向上させることが必要である。
【0004】
上記接続技術には、2種類の技術がある。一つは、融着機の放電時に発生する熱を利用して、光ファイバ心線を直接溶かして接続する融着技術である。他の技術は、フェルールを取り付けた該光ファイバ心線の端面を研磨機により研磨し、研磨したフェルール同士をハウジングにより接合させるコネクタ組み立て技術(例えば、非特許文献2および非特許文献3を参照)である。このハウジングは、メカニカルコネクタ、例えばMTコネクタがある。
【0005】
これらの接続技術は穴無し光ファイバを対象として開発されてきた。
上記融着技術を穴付き光ファイバの接続に適用した場合には、接続時に穴付き光ファイバの穴が潰れてしまい、接続損失が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
上記コネクタ組み立て技術を穴付き光ファイバの接続に適用した場合、研磨作業時において穴付き光ファイバの穴内に研磨により生成される光ファイバ屑や研磨材などの異物が入り込んでしまい、超音波洗浄を用いても取り除くことができず、光通信特性を低減してしまうという問題がある。
【0007】
しかし、コネクタを光ファイバに接続しても、コネクタ同士の接続には、コネクタの嵌合ピンによるクリアランスが必要となり誤差が生じ、高精度接続が困難である。
即ち、一体構造ではないため、長期間使用し続けると、安定した接合と外力に対する影響が比較的大きくなるおそれがある。そのうえ、フェルールの劣化による変形で接合面のずれも大きくなるおそれがある。さらに、ハウジング時の部品数が多くなると共に、より複雑な形状になるため、接続作業時間がかかり、経済性も悪くなる。
【0008】
つまり、従来の光ファイバ接続技術である融着技術およびコネクタ組み立て技術を、そのまま穴付き光ファイバに適用することができない。
【0009】
【非特許文献1】
長谷川健美著、「ホーリーファイバーの展望」、雑誌「O pluseE」、vol.123、No.9、2001年9月、p.1067〜1071
【非特許文献2】
石原廣司監修、「光ファイバ技術200のポイント」、電気通信協会、1997年3月20日、p.258
【非特許文献3】
西村憲一、白川英俊編著、「やさしい光ファイバ通信」、電気通信協会、1992年1月20日、p.81〜82
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、従来の光ファイバの接続技術をそのまま利用すると、光ファイバの穴の中に異物が浸入してしまい、光信号の異常、減衰、遮断に繋がる可能性が大きくなってしまうおそれがある。また、穴付き光ファイバの端面の穴同士を正確に一致させて接続する技術は、全く存在しなかった。
さらに、従来のコネクタは、接続のときにクリアランス(コネクタと光ファイバとの間の隙間)を2、3μm程度必要とするため、コア部に相当する光信号を伝送する径が半分程度になっている穴付き光ファイバでは接続損失が大きくなってしまうおそれがある。
【0011】
また、コネクタ接続方法において、フェルール同士を接合させて長期間使用すると、フェルールが変形して接続損失が2倍以上になるおそれがある。そして、従来のコネクタは、フェルール自体の構造も複雑である。光ファイバとフェルールとの結合に接着剤が使用される。この接着剤の結合力は、この接着剤の劣化と、主剤と硬化剤の混ぜ具合とに依存している。
以上、上述したような従来の接続方法では、穴付き光ファイバの接続技術に適用することが殆ど不可能である。
【0012】
そこで、穴付き光ファイバの接続を実現するために、解決されなければならない課題は、以下の通りである。
▲1▼長期間に亘ってフェルールを使用しても、該フェルールの劣化による寸法精度の影響をできるだけ小さくする。
▲2▼長時間使用しても接合状態は、1つの要因で大きく左右されないような構成にする。
▲3▼接続部品数を少なくして、安価で信頼性があり、専門的な作業及び操作を必要としない。
▲4▼接続作業が失敗しても損害が少なく、やり直し作業が可能である。
▲5▼将来考えられる光通信方式の変更、および大容量通信への応用拡大を見込める。
▲6▼この接続技術の開発に新たに開発しなければならない技術が存在しない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、円筒フェルールを用いた接続法とフェルールの製作とその特徴、応用範囲、応用拡大、接続技術の研究開発で得られた技術、現在の光ファイバ製造技術の応用でより効果的な接続技術の確立、安価で多量生産の可能性、実用化、信頼性への配慮を十分に取り入れて課題の解決に当たった。
【0014】
前述した課題を解決する第1の発明に係るフェルールは、光ファイバを挿入するスリーブの長手方向全長に亘ってスリットまたは該スリーブの内面の長手方向全長に亘って凹部を設けてなることを特徴とする。
【0015】
また、第2の発明に係るフェルールは、光ファイバを挿入するスリーブに内外面を貫通する貫通穴を設けてなることを特徴とする。
【0016】
また、第3の発明に係るフェルールは、第1の発明または第2の発明に記載のフェルールを穴付き光ファイバ同士の接続に適用したことを特徴とする。
【0017】
また、第4の発明に係るフェルールの製造方法は、フェルールを製造する製造方法であって、中心に空洞を有する円筒状の母材の内壁面に該母材の長手方向の全長に亘って切り欠きを形成した後、線引きすることを特徴とする。
【0018】
また、第5の発明に係るフェルールの製造方法は、上金型部材と下金型部材とが形成するキャビティ内に円柱状部材を配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱状部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とする。
【0019】
また、第6の発明に係るフェルールの製造方法は、上金型部材と下金型部材とが形成するキャビティ内に複数の円柱状部材を該円柱状部材の側面が隣接するように配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とする。
【0020】
また、第7の発明に係るフェルールの製造方法は、上金型部材と下金型部材とが形成する円柱状キャビティ内に複数の円柱状部材を該キャビティの同心円上に配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とする。
【0021】
また、第8の発明に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法は、第1の発明乃至第3の発明に記載のフェルールを用い、光ファイバの被覆を除去してなる光ファイバ心線の側面に無定形物質を塗布し、前記フェルールの両端から前記光ファイバ心線をそれぞれ挿入して、前記光ファイバの端面同士を接合させると共に、前記無定形物質により前記スリーブの内周面と前記光ファイバ心線の側面とを密着させることを特徴とする。
【0022】
また、第9の発明に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法は、スリットまたは貫通穴を有するフェルールの両端から位置決め穴を有する光ファイバをそれぞれ挿入し、前記スリットまたは貫通穴を通して前記光ファイバの位置決め穴同士を一致させることにより前記光ファイバの端面同士を位置決めすることを特徴とする。
【0023】
また、第10の発明に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法は、第9の発明において、前記位置決め穴を有する光ファイバが光信号を通す複数の空孔を有する穴付き光ファイバであることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るフェルールおよびその製造方法ならびにそれを用いた光ファイバの接続方法について、以下に説明する。
【0025】
光ファイバ同士を接続する技術は、フェルールの形状として、円筒状フェルールと、角型フェルールとがある。
この円筒状フェルールは、現在の穴付き光ファイバの製造技術である線引き法を応用することにより製造することができる。つまり、フェルール相似形の母材を線引きし、形成された長尺のスリーブを使用目的に合わせて切断する。そのまま使用したり、多少機械加工を加えて使用したりすることができる。また、角型フェルールは、現在のプラスチック製造技術である金型加工を応用することにより製造することができる。つまり、フェルールに合せた金型を使用することにより製造することができる。
本発明のフェルールは、従来のフェルールとは異なり、構造が簡単であり、光ファイバの端面を接合する箇所が一体と成っている。
【0026】
このような光ファイバ接続方法では、穴付き光ファイバ心線を超精密に合せて、長期間に亘って安定した接続を可能にするために、フェルールのクリアランスを極限にまで小さくした。そして、光ファイバ同士が接合した状態を維持するために、フェルール内を低圧や真空状態にする方法を採用した。また、穴付き光ファイバの位置を正確に合わせることができる簡単で著しく安価な手法を駆使している。
なお、穴なし光ファイバにもそのまま応用することができる。
【0027】
本発明では、円筒状フェルールを用いた光ファイバの接続方法と、フェルールの製造方法と、その特徴、応用範囲、応用拡大、接続技術の研究開発で得られた技術、現在の光ファイバ製造技術の応用でより効果的な接続技術の確立、安価で大量生産の可能性、実用化、信頼性への配慮を十分に取り入れて課題の解決に当たり、以下に示す多くの問題点を全て解決した。
【0028】
▲1▼研磨時の異物を穴付き光ファイバの穴内に浸入させないようにした。異物が浸入しても完全に排除できるようにした。
▲2▼クリアランスを極力小さくして、円筒状フェルール構造で一体型になるようにした。
▲3▼一体構造で長期期間のフェルールの劣化による寸法精度の影響をできるだけ小さくするようにした。
▲4▼長時間の使用で接合状態が、1つの要因で大きく左右されない様に、真空または接着剤を使用して密閉構造になるようにした。
▲5▼接続部品を少なくして、安価で信頼性があり、専門的な技術、操作を必要としないようにした。
▲6▼作業の失敗による損害が少なく、やり直し作業が容易であるようにした。
▲7▼将来考えられる光通信方式の変更、大容量通信に応用拡大が見込める。
▲8▼この接続技術の開発において新たに開発しなければならない技術が存在しない。
つまり、既に開発された技術の応用、特許出願済みの技術、独自に開発して確認された技術の総合的な利用で達成するようにした。
【0029】
[フェルール]
以下に、本発明に係るフェルールについて、3つの実施形態を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面図である。図2は、本発明の他の実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面図である。図3は、本発明の更に他の実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面面図、(C)はその側面図である。
【0030】
光ファイバのフェルール(以下、フェルールと略す)は、図1に示すように、光ファイバを挿入するスリーブ2の内周面に、長手方向の全長に亘って該フェルール1の外周面に向かって凹んでいる凹部1aを有する形状である。凹部1aを設けたことにより、光ファイバをフェルール1の両端に挿入するときに、フェルール1内の空気を排出することができる。なお、線引き法によりフェルール1を製造する場合には、この凹部1aをフェルール1のプリフォーム(母材)に設けても良く、光ファイバの挿入や接合精度には全く影響がない。
【0031】
この空気を逃がす凹部1aの代わりに、図2に示すように、スリーブ22の長手方向の全長に亘ってスリット21aを設けても良い。スリット21aを設けたことにより、光ファイバをフェルール21の両端に挿入するときに、フェルール21内の空気を排出することができる。
【0032】
また、この空気を逃がす凹部1aおよびスリット21aの代わりに、図3に示すように、フェルール31の略中央部にスリーブ32の内周面と外周面とを貫通する貫通穴31aを設けても良い。貫通穴31aを設けたことにより、光ファイバをフェルール31の両端に挿入するときに、フェルール31内の空気を排出したり、光ファイバ同士が接合する端面を顕微鏡で直視したりすることができる。なお、この貫通穴31aの寸法精度は必要とされない。
【0033】
フェルール1によれば、フェルール1に光ファイバを挿入するときに、フェルール1の中の空気を排出する凹部1aを設けたことにより、容易にフェルール1の中に光ファイバを挿入することができるようになる。また、フェルール21によれば、フェルール1と同様に、スリット21aを設けたことにより、容易にフェルール21の中に光ファイバを挿入することができるようになる。また、フェルール31によれば、フェルール1と同様に、貫通穴31aを設けたことにより、容易にフェルール31の両端から光ファイバを挿入することができるようになる。
これらフェルール1、21、31の両端部には、穴付き光ファイバ心線を挿入しやすいように、開口端を広げたテーパ部を設けても良い。
【0034】
[線引き法によるフェルールの製造]
以下に、本発明に係るフェルールの製造方法の一実施形態である線引き法について説明する。
なお、従来の穴付き光ファイバの製造技術をそのまま利用することができる。
最初に図1乃至図3に示すようなフェルール1、21、31の約1000倍に当たる相似形の母材を製作する。次に、線引き装置により、前記母材を設計寸法通り線引きする。続いて、線引きしたフェルールを所定の長さに切断する。なお、フェルール31が有する貫通穴31aの加工作業は、この切断作業終了後に行われる。
【0035】
[フェルールを用いた穴付き光ファイバの接続]
以下に、本発明の図3に示したフェルールを用いた穴付き光ファイバ(以下、光ファイバと略す)の接続手順について説明する。
図4(A)〜(E)は、光ファイバの接続方法を示す工程図である。
【0036】
最初に、接続すべき対の光ファイバ35、38の端部の被覆35b、38bを除去して、光ファイバ心線35a、38aを露出させる。次に、一方の光ファイバ35に、収縮チューブ36を通す。次に、図4(A)に示すように、光ファイバ心線35aの側面に無定形物質37、例えば真空オイルや接着剤などを塗布して、この光ファイバ35をフェルール31の一端から挿入する。このとき、貫通穴31aに光ファイバ35の端面35cが位置するように配置する。図4(B)に示すように、光ファイバ心線35aとスリーブ32との間のクリアランスが無定形物質37により、密閉される。次に、図4(C)に示すように、もう一方の光ファイバ38をフェルール31の他端から挿入して、光ファイバ35の端面35cと光ファイバ38の端面とを接合させる。このとき、貫通穴31aを無定形物質37で塞ぐ。次に、図4(D)に示すように、フェルール31と重なる位置(光ファイバ接続部)まで収縮チューブ36を移動する。最後に、図4(E)に示すように、収縮チューブ36はドライヤなどによる熱が加えられ収縮して、光ファイバ35、38とフェルール31と収縮チューブ36とは一体構造になる。
【0037】
この接続方法によれば、光ファイバ心線35c、38cの側面に塗布された無定形物質37により、収縮チューブ36およびフェルール31内に空気が入り込むのを遮断して、該フェルール31内は真空状態になる。よって、光ファイバ同士の接着力が低下するのをふせぐと共に、光ファイバ35、38がフェルール31から脱落するのをふせぐ効果がある。
【0038】
[2つのフェルールを用いた光ファイバの接続方法]
以下に、本発明に係るフェルールを2つ用いた光ファイバの接続手順について説明する。
【0039】
図5は、光ファイバの接続部品を示し、(A)は調心フェルールの斜視図、(B)は保護フェルールの斜視図、(C)はフェルールを覆う収縮チューブの斜視図である。図6は、本発明の実施の形態に係るフェルールの一端から光ファイバを挿入した状態を示し、(A)はその側断面図、(B)はその端面図である。図7は、本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの接続工程を示す要部拡大図である。図8は、本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法を示す工程図である。
【0040】
ここでは、調心フェルール51と保護フェルール59とを用いた。図5に示すように、保護フェルール59の直径は調心フェルール51の直径より大きい。また、保護フェルール59は調心フェルール51より長尺である。収縮チューブ56の直径は保護フェルール59の直径より大きい。収縮チューブ56は保護フェルール59より長尺である。
最初に、接続すべき対の光ファイバ55、58の端部の被覆55b、58bを除去して、光ファイバ心線55a、58aを露出させる。次に、一方の光ファイバ55に保護フェルール59および収縮チューブ56を通す。次に、図6(A)に示すように、光ファイバ心線55aの側面に無定形物質57、例えば、真空オイルまたは接着剤などを塗布して、この光ファイバ55を調心フェルール51の一端から挿入する。このとき、貫通穴51aに光ファイバ55の端面55cが位置するように配置する。また、図6(B)に示すように、光ファイバ心線55aとスリーブ52との間のクリアランスが無定形物質57により、密閉される。次に、もう一方の光ファイバ58を調心フェルール51の他端から挿入して、光ファイバ55の端面55cと光ファイバ58の端面とを接合させる。このとき、調心フェルール51の貫通穴51aを無定形物質57などで塞ぐ。次に、図7(A)、図8(A)に示すように、調心フェルール51の側面に無定形物質57を塗布して、調心フェルール51と重なる位置まで保護フェルール59を移動する。このとき、保護フェルール59の貫通穴59aを無定形物質57などで塞ぐ。次に、図7(B)、図8(B)に示すように、保護フェルール59と重なる位置(光ファイバ接合部)まで収縮チューブ56を移動する。最後に、図7(C)、図8(C)に示すように、収縮チューブ56はドライヤなどによる熱が加えられ収縮して、光ファイバ55、58と調心フェルール51と保護フェルール59と収縮チューブ56とは一体構造になる。
【0041】
この接続方法によれば、調心フェルール51より長い保護フェルール59および収縮チューブ56を用いたことにより、外力が光ファイバ心線55c、58cに加わらないように防いでいる。
【0042】
[フェルールを用いた光ファイバの高精度接続]
以下に、本発明に係るフェルールを用いた光ファイバの高精度接続手順について説明する。ここでは、位置合わせ穴と区別するために、光特性を左右する穴を光特性孔と呼ぶ事とする。
【0043】
図9(A)〜(E)は、本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの高精度接続工程を示す。図10は、本発明の実施の形態に係るフェルールの両端から挿入した光ファイバを位置合わせ調整した状態を示す要部拡大図である。図11は、図10におけるXI−XI矢視図である。図12は、図10におけるXII−XII矢視図である。
【0044】
ここでは、図11および図12に示した位置合わせ穴を有する光ファイバを用いる。
最初に、接続すべき対の光ファイバ75、78の端部の被覆75b、78bを除去して、光ファイバ心線75a、78aを露出させる。次に、図9(A)に示すように、フェルール71が有する貫通穴71aを上になるように鉄製V溝治具79のV溝79aの上に載せ、該フェルール71の両端部にゴム製マグネットシート80を載せる。つまり、ゴム製マグネットシート80の磁力を利用して、フェルール71をV溝79a上に固定する。なお、ゴム製マグネットシート80の磁力を利用して、V溝79a上にフェルール71を固定しているので、容易にフェルール71を取り外すことができる。次に、図9(B)に示すように、もう一方の光ファイバ心線75aの先端を残した側面に無定形物質77、例えばオイルまたは接着剤を塗布した光ファイバ75をフェルール71の一端から挿入する。このとき、貫通穴71aに光ファイバ75の端面75cが位置するように配置する。次に、図9(C)に示すように、フェルール71の他端からもう一方の光ファイバ78を挿入する。次に、図9(D)に示すように、この光ファイバ75、78にマグネットシート80を載せて、光ファイバ75、78が軸回転可能に固定する。次に、図示しない顕微鏡を用いてフェルール71の貫通穴71aから光ファイバ75、78の端面75d、78dを見る。このとき、図10乃至図12に示すように、光ファイバ75の位置あわせ穴75eと光ファイバ78の位置あわせ穴78eとを合せる。そして、光ファイバ75の端面75cと光ファイバ78の端面78cとを接合する。なお、この方法による位置合わせが約1μm/2mmの確度で可能であることを拡大倍率2000倍のレーザ顕微鏡を用いて確認している。次に、図9(E)に示すように、フェルール71の貫通穴71aを無定形物質77などで塞ぐ。
よって、鉄製V溝治具79を用いることにより、光ファイバ75の端面75cと、光ファイバ78の端面78cとをそれぞれ微調整することができるようになるので、光ファイバ75、78を高精度で接合することができる。
【0045】
[円筒型マルチガラスフェルール]
以下に、本発明の一例である円筒型マルチガラスフェルール(以下、円筒型フェルールと略す)について説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る円筒型フェルールに光ファイバを接続する方法を示す説明図である。
図13に示すように、円筒型フェルール91は、光ファイバ心線を挿入するスリーブ92と、光ファイバの端面を位置あわせする位置合わせ穴93と、凹部91aと、凹部91aを円筒型フェルール91の端面で密閉する凹部止め101を固定する止め具100を挿入する空洞91bとを有している。空洞91bは、円筒型フェルール91の中心に形成される。空洞91bの外側に、円筒型フェルール91の同心円状にスリーブ92が形成される。スリーブ92の側面の空洞91bの側には凹部91aが配設され、円筒型フェルール91の外周面側には位置決め穴93が配設される。
【0046】
この円筒型フェルール91に穴無し光ファイバを接続する手順について、以下に説明する。
最初に、穴無し光ファイバの端部の被覆を除去して、光ファイバ心線を露出させる。次に、円筒型フェルール91の一端に接続すべき穴無し光ファイバに、この円筒型フェルール91全体を覆う収縮チューブを通す。次に、光ファイバ心線に無定形物質、例えばオイルまたは接着剤を塗布する。次に、この円筒型フェルール91の両端から光ファイバを挿入して、光ファイバの端面同士を接合させる。この円筒型フェルール91が有するスリーブ92の全てに光ファイバを挿入した後、この円筒型フェルール91の空洞91bに止め具100を挿入する。次に、この止め具100に凹部91aを塞ぐ凹部止め101を付けて固定する。次に、この円筒型フェルール91を覆う位置まで収縮チューブを移動する。最後に、収縮チューブはドライヤなどの熱が加えられ収縮して、円筒型フェルール91と光ファイバと収縮チューブとは一体構造になる。
【0047】
この円筒型フェルール91を用いて穴付き光ファイバを接続する手順について、以下に説明する。
最初に、顕微鏡の対物レンズ直下にこの円筒型フェルール91を固定する。次に、穴付き光ファイバの被覆を除去して、光ファイバ心線を露出させる。次に、円筒型フェルール91の一端に接続すべき穴付き光ファイバに、この円筒型フェルール91全体を覆う収縮チューブを通す。次に、この光ファイバ心線にオイルまたは接着剤を塗布する。次に、この円筒型フェルール91の両端から光ファイバを挿入する。このとき、この穴付き光ファイバの位置合わせ穴と円筒型フェルール91の位置合わせ穴93とを、上記顕微鏡を用いて合致させる。これにより、挿入した穴付き光ファイバの端面の光特性孔が自動的に一致する。次に、この円筒型フェルール91の空洞91bに止め具100を挿入する。次に、この止め具100に凹部91aを塞ぐ凹部止め101を付けて、固定する。次に、この円筒型フェルール91を覆う位置まで収縮チューブを移動する。最後に、収縮チューブはドライヤなどの熱を加えられ収縮して、円筒型フェルール91と光ファイバと収縮チューブとは一体構造になる。
【0048】
[角型マルチフェルール]
次に、角型マルチフェルール(以下、角型フェルールと略す)について説明する。
図14は、本発明の実施の形態に係る角型フェルールの斜視図である。図15は、本発明の実施の形態に係る角型フェルールを示し、(A)はその側断面図、(B)はその空気溝に空気溝止め具を付けた状態の側断面図である。図16は、本発明の実施の形態に係る角型フェルールを積み重ねた状態の斜視図である。
図14に示すように、角型フェルール111は、光ファイバ心線を挿入するスリーブ112と、空気溝111aとを有する。スリーブ112は、該スリーブ112の側面が隣接するように複数設けられる。空気溝111aは、角型フェルール111の上面に、光ファイバの挿入方向を横断する方向に形成される。図15(A)に示すように、この空気溝111aは、スリーブ112の内面と角型フェルール111の上面とを貫通する。この空気溝111aは、空気止め121で塞がれ、該空気止め121の上から空気溝止め具120で固定される。
【0049】
この角型フェルール111に穴無し光ファイバを接続する手順について、以下に説明する。
最初に、穴無し光ファイバの端部の被覆を除去して、光ファイバ心線を露出させる。次に、角型フェルール111の一端に接続すべき穴無し光ファイバに、この角型フェルール111の全体を覆う収縮チューブを通す。次に、光ファイバ心線に無定形物質、例えばオイルまたは接着剤を塗布する。次に、この角型フェルール111の両端から光ファイバを挿入して、光ファイバの端面同士を接合させる。この角型フェルール111が有するスリーブ112に全ての光ファイバを挿入した後、空気溝111aを空気止め121で塞ぎ、その上から空気溝止め具120により固定する。なお、1つの角型フェルール111を用いて、接続すべき光ファイバを全て接続することができない場合は、角型フェルール111を複数個使い、これら角型フェルール111を積み重ねても良く、図16に示すように、2つの角型フェルール111を積み重ねても良い。次に、この角型フェルール111を覆う位置まで収縮チューブを移動する。最後に、収縮チューブはドライヤなどの熱を加えられ収縮して、角型フェルール111と光ファイバと収縮チューブとは一体構造になる。
【0050】
この角型フェルールを用いて穴付き光ファイバを接続する手順について、以下に説明する。
最初に、顕微鏡の対物レンズ直下にこの角型フェルール111を固定する。次に、穴付き光ファイバの被覆を除去して、光ファイバ心線を露出させる。次に、角型フェルール111の一端に接続すべき穴付き光ファイバに、この角型フェルール111の全体を覆う収縮チューブを通す。次に、この光ファイバ心線に無定形物質、例えばオイルまたは接着剤を塗布する。上記顕微鏡を用いて、接続すべき対の光ファイバの位置合わせ穴同士を合致させる。次に、空気溝111aを空気止め121で塞ぎ、その上から空気溝止め具120により固定する。次に、上記角型フェルール111に穴付き光ファイバを接続するときと同様に、必要に応じて、複数の角型フェルール111を用いても良い。複数の角型フェルール111を用いたときには、該角型フェルールを積み重ねても良い。次に、この角型フェルール111を覆う位置まで収縮チューブを移動する。最後に、収縮チューブはドライヤなどの熱を加えられ収縮して、角型フェルール111と光ファイバと収縮チューブとは一体構造になる。
【0051】
[角型フェルールの製造]
以下に、本発明の一例である角型フェルールの製造手順について説明する。
図17(A)〜(C)および図18(D)、(E)は、本発明の実施の形態に係る角型フェルールの製造工程の一例を示す。図19は、キャビティ内部を示す斜視図である。
【0052】
角型フェルールを製造する成型機は、上金型部材151と、下金型部材152と、金型基盤153と、成型ピン固定部材154と、ホット兼金型押さえ板155(以下、押さえ板と略す)とを有する。
上金型部材151の上面151aには、上金型部材151と下金型部材152とが形成するキャビティ内に溶融成形材を流入する溶融成形流入口151bを有する。下面151cには、角型フェルールの空気溝を成形する空気溝成形部151dと、成形ピンを固定するフェルール成形ピン置きV溝151eとを有する。下金型部材152は上金型部材151と嵌合する形状であり、上金型部材151に対向する位置に、スリーブ成形ピン置きV溝152aとを有する。
成型ピン固定部材154は、複数の円柱状の成形ピン156と該成形ピン156の端部を固定する固定部材157とからなる。複数の成型ピン156は、該成形ピン156の側面が隣接するように固定部材157に固定される。成型ピン156は、光ファイバ心線と略同じ形状を有する。
押さえ板155は、上金型部材151と下金型部材152とを金型基盤153に押さえつけるためのものである。また、この押さえ板155は、上金型部材151と下金型部材152とを加熱することもできる。押さえ板155は、成形材投入口155aを有する。上金型部材151の上に押さえ板155を配設したとき、成形材投入口155aと溶融成形流入口151bとが連通する。
【0053】
(1)図17(A)に示すように、上金型部材151と下金型部材152とで形成されるキャビティと、成形ピン156とに離形剤158を噴霧する。この離形剤158により、成形品がキャビティから容易に取り出すことができる。
(2)図17(B)に示すように、成形ピン固定部材154をキャビティ内に押し込み、成形ピン156所定の位置に配設する。
(3)図17(C)に示すように、上金型部材151と下金型部材152とを密着させる。この上金型部材151の上に押さえ板155を置き、該押さえ板155と金型基盤153とで挟み込んで金型一式150とする。このとき、キャビティは、図19に示すように、直方体の空洞の中に円柱を複数有する形状となる。
(4)図18(D)に示すように、成形機に金型一式150をセットして金型の温度が設定温度に達し、成形時間に達したら成型材投入口155aからフェルールの母材である成形タブレット(溶融成形材)を投入する。
(5)最適な成形圧力を加え最適な時間に達したら、押さえ板155を外し、上金型部材151を開ける。
(6)成形ピン固定部材154を取り出し、図18(E)に示すように、角型フェルール159が成形される。
【0054】
よって、角型フェルールの製造手順によれば、従来の光ファイバ製造技術をそのまま応用するだけなので、経済的である。また、角型フェルールの構造が簡単であるので、大量生産が可能であり、フェルールの製造コストを低減することができる。
【0055】
[フェルールの製造]
以下に、本発明の一例であるフェルールの製造手順について説明する。
図20(A)〜(C)および図21(D)、(E)は、本発明の実施の形態に係るフェルールの製造工程の一例を示す。
【0056】
フェルールを成型する成型機は、上金型部材171と、下金型部材172と、金型基盤173と、成型ピン固定部材174と、ホット兼金型押さえ板175(以下、押さえ板と略す)とを有する。
上金型部材171の上面171aには、溶融成形材を流入する溶融成形流入口171bを有する。下面171cには、フェルールの空気溝を成形する空気溝成形部171dを有する。下金型部材172は上金型部材171と嵌合する形状であり、上金型部材171に対向する位置に、スリーブ成形ピン置きV溝172aを有する。
成型ピン固定部材174は、成形ピン176と該成形ピン176の端部を固定する固定部材177とからなる。成型ピン176は円柱状であり、光ファイバ心線と略同じ形状を有する。
押さえ板175は、上金型部材171と下金型部材172とを金型基盤173に押さえつけるためのものである。また、この押さえ板175は、上金型部材171と下金型部材172とを加熱することもできる。押さえ板175は、成形材投入口175aを有する。上金型部材171の上に押さえ板175を配設したとき、成形材投入口175aと溶融成形流入口171bとが連通する。
【0057】
(1)図20(A)に示すように、上金型部材171と、下金型部材172とで形成されるキャビティと、成形ピン176とに離形剤178を噴霧する。この離形剤178により、成形品がキャビティから容易に取り出すことができる。
(2)図20(B)に示すように、成形ピン固定部材174をキャビティ内に押し込み、成形ピン176を所定の位置に配設する。
(3)図20(C)に示すように、上金型部材171と下金型部材172とを密着させる。この上金型部材171の上に押さえ板175を置き、該押さえ板175と金型基盤173とで挟み込んで金型一式170とする。このとき、キャビティは、図22に示すように、円筒状となる。
(4)図21(D)に示すように、成形機に金型一式170をセットして金型の温度が設定温度に達し、成形時間に達したら成型材投入口175aからフェルールの母材である成形タブレット(溶融成形材)を投入する。
(5)最適な成形圧力を加え最適な時間に達したら、押さえ板175を外し、上金型部材171を開ける。
(6)成形ピン固定部材174を取り出し、図21(E)に示すように、フェルール179が成型される。
【0058】
よって、フェルールの製造手順によれば、従来の光ファイバ製造技術をそのまま応用するだけなので、経済的である。また、フェルールの構造が簡単であるので、大量生産が可能であり、フェルールの製造コストを低減することができる。
【0059】
[円筒型マルチガラスフェルールの製造]
以下に、本発明の一例である円筒型マルチガラスフェルールの製造工程について説明する。
図23(A)〜(C)および図24(D)、(E)は、本発明の実施の形態に係る円筒型マルチガラスフェルールの製造工程の一例を示す。
【0060】
(1)図23(A)、(B)に示すように、線引き装置で製造可能な、円筒型マルチガラスフェルール相似形の母材191を設計し製作する。母材191は、光ファイバ心線を挿入するスリーブ192と、光ファイバの端面を位置あわせする位置合わせ穴193と、凹部191aと、凹部191aを母材191の端面で密閉する凹部止めを固定する止め具を挿入する空洞191bとを有している。ただし、位置合わせ穴193は、目視が正確にできるように可能な限り表面に設ける。
(2)母材191を線引き装置にかけて約400倍の長さに引き伸ばす。
(3)図23(C)に示すように、外形約500μmの円筒型マルチガラスフェルールの母材194を製作する。
(4)図24(D)に示すように、カッタ195などで、この母材194を使用用途に応じた長さに切断する。
(5)図24(E)に示すように、用途に応じた円筒型マルチガラスフェルール196を製作する。
【0061】
よって、円筒型マルチガラスフェルールの製造方法によれば、従来の光ファイバ製造技術である線引き法をそのまま応用できるので、経済的である。
【0062】
なお、本発明では、最後に収縮チューブを用いることにより、光ファイバにかかる外力を防ぎ、且つ光ファイバ端面の接合状態を安定化させている。
また、収縮チューブの代わりに既存の真空封じ機を利用すれば密閉度は強化され、光ファイバ接合面の密着性も増して、より長期間安定した接合が保たれる構造になる。
なお、上金型部材と下金型部材とが形成する円柱状キャビティ内に複数の円柱状部材を該キャビティの同心円上に配設することができる成形機を用いることにより、フェルールを製造しても良い。この製造方法によれば、従来の光ファイバの製造技術を応用するだけなので、経済的である。
【0063】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態と共に具体的に説明したように、本発明に係るフェルールによれば、従来の穴なし光ファイバはもとより、穴付き光ファイバの光特性を左右する穴を一致させる構造を有したスリーブ型フェルールを使用して光ファイバの端面を超精密に接合させることが可能になった。
【0064】
マグネットシートで光ファイバを押さえた状態で光ファイバの回転を超精密に操作でき、光ファイバ端面同士を超精密に合わせることができるようになった。また、安価で簡単な構成が達成された。
【0065】
フェルールと光ファイバとが一体になっているために、外圧に対して光ファイバ同士を接合する接合部のずれも殆ど起こらない構造になり、長期間にわたって安定した接合状態が維持できるようになった。
【0066】
また、ガラス円筒形のフェルールの製作は、従来の光ファイバ製造技術をそのまま応用できるので、経済的である。とくに、角型フェルールは、金型製造に適するので、安価で多数の光ファイバを効率良くできると共に、小さなスペースにマウントするのに優れている。
また、本発明に係るフェルールによれば、将来穴付き多心光ファイバが開発された時にそのまま応用が可能である。フェルールの構造が単純であるため大量生産が可能になり、従来のコネクタとは比較にならないほどに安価になる可能性がある。
【0067】
また、本発明に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法によれば、収縮チューブで覆ったことにより、外力から光ファイバ同士の接続を保護し、長期間に渡ってより安定した状態が維持するので、信頼性の向上が図れる。そして、真空パック機を利用すれば、さらに光ファイバの接合状態が安定して、高信頼性の光ファイバ接続が確立可能である。
【0068】
また、本発明に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法によれば、光ファイバ端面の研磨が精密に行われれば、さらに安定した光ファイバの密着接合が可能になる。
さらに、光ファイバの特性を殆ど損なうことなく、光ファイバを接続するができるので、今後より高性能な穴付き光ファイバの開発に大きな貢献が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態に係るフェルールを示し、(A)はその斜視図、(B)はその端面図、(C)はその側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法を示す工程図である。
【図5】光ファイバの接続部品を示し、(A)は調心フェルールの斜視図、(B)は保護フェルールの斜視図、(C)はフェルールを覆う収縮チューブの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るフェルールの一端に光ファイバを挿入した状態を示し、(A)はその側断面図、(B)はその端面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの接続工程を示す要部拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの接続方法を示す工程図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るフェルールを用いた光ファイバの高精度接続工程を示し、(A)はV溝治具にフェルールを固定した状態を示す上面図、(B)はフェルールの一端に光ファイバを挿入した状態を示す側断面図、(C)はフェルールの他端に光ファイバを挿入した状態を示す上面図、(D)は光ファイバを位置合わせ調整した状態を示す上面図、(E)はフェルールに光ファイバを固定した状態を示す上面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るフェルールの両端に挿入した光ファイバを位置合わせ調整した状態を示す要部拡大図である。
【図11】図10におけるXI−XI矢視図である。
【図12】図10におけるXII−XII矢視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る円筒型マルチガラスフェルールに光ファイバを接続する方法を示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る角型マルチフェルールの斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る角型マルチフェルールを示し、(A)はその側断面図、(B)はその空気溝に空気溝止め具を付けた状態の側断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る角型マルチフェルールを積み重ねた状態の斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る角型フェルールの製造工程の一例を示し、(A)は離形剤を塗布する状態を示す斜視図、(B)は成型ピン固定部材を配設した状態を示す斜視図、(C)は上金型部材と下金型部材とを密着した状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る角型フェルールの製造工程の一例を示し、(D)は成形タブレットを投入した状態を示す斜視図、(E)は成形した角型フェルールの斜視図である。
【図19】キャビティ内部を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係るフェルールの製造工程の一例を示し、(A)は離形剤を塗布する状態を示す斜視図、(B)は成型ピン固定部材を配設した状態を示す斜視図、(C)は上金型部材と下金型部材とを密着した状態を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態に係るフェルールの製造工程の一例を示し、(D)は成形タブレットを投入した状態を示す斜視図、(E)は成形したフェルールの斜視図である。
【図22】キャビティ内部を示す斜視図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る円筒型マルチガラスフェルールの製造工程の一例を示し、(A)は円筒型マルチガラスフェルールの母剤の側断面図、(B)はその母剤の端面図、(C)はその母剤を線引きした状態を示す側断面図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る円筒型マルチガラスフェルールの製造方法の一例を示し、(D)は線引きした状態の円筒型マルチガラスフェルールの母材を切断する状態を示す斜視図、(E)はその円筒型マルチガラスフェルールの母材を切断した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
31 フェルール
31a 貫通穴
32 スリーブ
35 光ファイバ
35a 光ファイバ心線
35b 被覆
35c 端面
36 収縮チューブ
37 無定形物質
38 光ファイバ
Claims (10)
- 光ファイバを挿入するスリーブの長手方向全長に亘ってスリットまたは該スリーブの内面の長手方向全長に亘って凹部を設けてなることを特徴とするフェルール。
- 光ファイバを挿入するスリーブに内外面を貫通する貫通穴を設けてなることを特徴とするフェルール。
- 請求項1または請求項2に記載のフェルールを穴付き光ファイバ同士の接続に適用したことを特徴とするフェルール。
- フェルールを製造する製造方法であって、
中心に空洞を有する円筒状の母材の内壁面に該母材の長手方向の全長に亘って切り欠きを形成した後、線引きすることを特徴とするフェルールの製造方法。 - 上金型部材と下金型部材とが形成するキャビティ内に円柱状部材を配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱状部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とするフェルールの製造方法。
- 上金型部材と下金型部材とが形成するキャビティ内に複数の円柱状部材を該円柱状部材の側面が隣接するように配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とするフェルールの製造方法。
- 上金型部材と下金型部材とが形成する円柱状キャビティ内に複数の円柱状部材を該キャビティの同心円上に配設し、前記上金型部材と前記下金型部材とを密着させて加熱した後、前記キャビティ内に前記フェルールの母材を投入し、前記上金型部材と前記下金型部材とを冷却した後、前記円柱部材を取り除いてフェルールを得ることを特徴とするフェルールの製造方法。
- 請求項1乃至請求項3に記載のフェルールを用い、光ファイバの被覆を除去してなる光ファイバ心線の側面に無定形物質を塗布し、前記フェルールの両端から前記光ファイバ心線をそれぞれ挿入して、前記光ファイバの端面同士を接合させると共に、前記無定形物質により前記スリーブの内周面と前記光ファイバ心線の側面とを密着させることを特徴とするフェルールを用いた光ファイバの接続方法。
- スリットまたは貫通穴を有するフェルールの両端から位置決め穴を有する光ファイバをそれぞれ挿入し、前記スリットまたは貫通穴を通して前記光ファイバの位置決め穴同士を一致させることにより前記光ファイバの端面同士を位置決めすることを特徴とするフェルールを用いた光ファイバの接続方法。
- 請求項9において、
前記位置決め穴を有する光ファイバが光信号を通す複数の空孔を有する穴付き光ファイバであることを特徴とするフェルールを用いた光ファイバの接続方法。
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JP2014202836A (ja) * | 2013-04-03 | 2014-10-27 | 矢崎総業株式会社 | 光コネクタ |
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