JP2005010061A - 液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及びその液体タンクを備えた液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体容器に収容される所定の液体の液面を検出して液体の充填状態又は残量を検出する液面検出において、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する。
【解決手段】所定の液体8を収容する液体容器1と、この液体容器1の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体10と、この電気抵抗体10に電流を供給する電力供給手段(4)と、上記電気抵抗体10の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器1内の液体8の液面9を検出する演算手段(11)とを備えて成り、上記液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流し、該電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体8の液面9を検出する。これにより、液体8の液面9の変化を連続的な変化状態として検出し、液体容器1内の液体8の充填状態又は残量を検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】所定の液体8を収容する液体容器1と、この液体容器1の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体10と、この電気抵抗体10に電流を供給する電力供給手段(4)と、上記電気抵抗体10の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器1内の液体8の液面9を検出する演算手段(11)とを備えて成り、上記液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流し、該電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体8の液面9を検出する。これにより、液体8の液面9の変化を連続的な変化状態として検出し、液体容器1内の液体8の充填状態又は残量を検出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体容器に収容される所定の液体の液面を検出して液体の充填状態又は残量を検出する液面検出方法に関し、詳しくは、上記液体容器の内部に電気抵抗体を底面から上面にわたって配置してその両端間に生じる電圧を計測することにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及び液体吐出装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液面検出装置、例えばインクジェットプリンタのインク液の残量検出装置は、図10に示すように、所定の液体(インク液)を収容する液体容器1の底面に共通電極2を設け、上記液体容器1の一側面に該液体容器1の高さ方向に所定の間隔で例えば四つの計測電極3a,3b,3c,3dを設け、上記共通電極2と各計測電極3a〜3dとの間には電力供給手段としてのパルス駆動回路4を接続すると共に、上記共通電極2及び各計測電極3a〜3dへの接続線に残量計測回路5を接続して構成されている。なお、図10において、符号6は液体容器1の上面に形成された大気連通孔を示し、符号7は底面に設けられた液送出し口を示し、符号R1,R2,R3,R4は上記各計測電極3a〜3dに挿入された負荷抵抗を示している。
【0003】
このような状態で、液体容器1の内部に液体8を収容すると、その液体8の量に応じて液面9が適宜の高さに形成される。そして、液体8としてのインク液は導電性を有しているので、パルス駆動回路4から共通電極2にパルス的に電流を供給すると、液体8が収容された高さ内にある共通電極2と計測電極3a〜3dとの間では電流が流れ、残量計測回路5に計測信号が送られる。このとき、どの計測電極3a〜3dから計測信号が送られてきたかにより、液面9がどこにあるかが分かり、液体8の残量を検出する。
【0004】
例えば、図10に示されるように、第2の計測電極3bと第3の計測電極3cとの間に液面9があるときは、第3及び第4の計測電極3c,3dから残量計測回路5に計測信号が送られ、他の計測電極からは信号が入らないので、第3の計測電極3cの高さに相当する液体8の残量(例えば約50%)を検出する。また、第1の計測電極3aの上方に液面9があり、第1〜第4の計測電極3a〜3dの総てから計測信号が送られてきた場合は、液体8の残量は100%であると検出する。或いは、第4の計測電極3dの下方に液面9があり、第1〜第4の計測電極3a〜3dのいずれからも計測信号が送られてこない場合は、液体8の残量は0%であると検出する。
【0005】
そして、このようなインク液の残量検出装置は、例えば特願2002−99655号、特願2002−215848号等の明細書に記載されている。また、インクタンク内のインク残量を検知する装置が記載された先行技術文献としては、特許文献1がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−226990号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のインク液の残量検出装置においては、液体容器1の高さ方向に所定の間隔で設けられた例えば四つの計測電極3a,3b,3c,3dの位置に応じて液面9を検出して液体8の残量を検出しているので、計測電極の設置数及び位置に応じた段階的な液の残量しか検出できない。例えば、残量=満杯、3/4、2/4、1/4、0のように概略の残量しか分からなかった。
【0008】
この場合、図10において、第1の計測電極3aから計測信号が送られてきていれば、残量=満杯となるが、実際には該第1の計測電極3aの設置位置まで液体8が減少している状態がある。また、第1〜第4の計測電極3a〜3dのいずれからも計測信号が送られてこない場合は、残量=0となるが、実際には第4の計測電極3dの直ぐ下まで液体8が残っていて使用可能な状態がある。すなわち、段階的な液の残量しか検出できず、残量検出が不正確であった。
【0009】
また、共通電極2以外に、計測電極3a〜3dが残量の段階的な検出数に応じて必要となり、インク液の残量検出装置の全体として電極の数が多くなり、構造が複雑となるものであった。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による液面検出方法は、液体容器に収容される所定の液体の液面を検出する液面検出方法であって、上記液体容器の内部に所定の長さの電気抵抗体を該液体容器内の底面から上面にわたって配置し、上記液体容器内に液体を収容した状態で電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体の液面を検出するものである。
【0012】
このような方法により、液体容器内に液体を収容した状態で該液体容器の底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出する。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する。
【0013】
また、本発明による液面検出装置は、所定の液体を収容する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体に電流を供給する電力供給手段と、上記電気抵抗体の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器内の液体の液面を検出する演算手段と、を備えて成るものである。
【0014】
このような構成により、液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に、電力供給手段で電流を供給し、上記電気抵抗体の両端に接続された演算手段で電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出する。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する。
【0015】
さらに、本発明による液体タンクは、所定の液体を収容し上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、を備えて成るものである。
【0016】
このような構成により、液体容器で所定の液体を収容し、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極を利用して、該電気抵抗体に電流を供給する。このとき、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。
【0017】
さらにまた、本発明による液体吐出装置は、所定の液体を収容する液体タンクを備えた液体吐出ヘッドを装置本体部に着脱可能な状態に保持し、該液体吐出ヘッドに形成された各液体吐出ノズルから液体を吐出してドット列又はドットを形成する液体吐出装置であって、上記液体タンクは、上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、を備えて成るものである。
【0018】
このような構成により、装置本体部に着脱可能に保持される液体吐出ヘッドに備えられた液体タンクを、前述の手段による液体タンクと同じ構成とすることにより、液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電気抵抗体の電極を利用して、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることによって、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による液面検出方法の実施の形態を説明する概略図であり、且つこの液面検出方法の実施に使用する液面検出装置の実施形態を示す模式図である。本発明の液面検出方法は、液体容器1、例えばインクジェットプリンタのインク容器に収容される所定の液体(インク)の液面を検出するもので、上記液体容器1の内部に所定の長さの電気抵抗体10を該液体容器1内の底面から上面にわたって配置し、上記液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流し、該電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体8の液面9を検出する。
【0020】
いま、説明の都合上、液面検出装置の構成について図1を参照して説明する。この液面検出装置は、図1に示すように、液体容器1と、電気抵抗体10と、パルス駆動回路4と、演算回路11とを備えて成る。なお、図1において、符号Rは上記電気抵抗体10に挿入された負荷抵抗を示している。
【0021】
上記液体容器1は、内部に所定の液体、例えば導電性を有するインクを収容するもので、所定の高さで所定の容積を有する箱状に形成され、その上面に大気連通孔6を有すると共に底面に液送出し口7を有している。
【0022】
上記液体容器1の内部には、電気抵抗体10が設けられている。この電気抵抗体10は、液体容器1の内部に収容される液体8の液面9を検出するセンサーとなるもので、上記液体容器1の高さと略同等の長さを有し、該液体容器1の一側面に沿って底面から上面にわたって垂直方向に配置されている。ここで、上記液体容器1内に収容される液体8は導電性を有するので、液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流すと、液体8中に浸る電気抵抗体10の部分については電流は該液体8を伝わって流れ、上記電気抵抗体10は、液体8中に浸る部分の長さの変化によって可変抵抗器として働くこととなる。これにより、液体容器1内に液体8を収容した状態で上記電気抵抗体10の両端の抵抗値を求めることにより、液面9から露出した部分の長さが分かり、液体8の液面9を検出することができる。
【0023】
上記電気抵抗体10の具体例を示すと、図3〜図5に示すようになる。図3は、例えばセラミック等の絶縁材から成る丸棒状の芯材12の外周面に、その長手方向の全幅に広がる金属皮膜又はカーボン皮膜を巻き付けた後に、その金属皮膜又はカーボン皮膜の表面に適宜のピッチで螺旋状の切り取り溝を入れて、上記芯材12の周りに螺旋状に周回する膜状抵抗体13を形成し、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。なお、上記膜状抵抗体13は、芯材12の外周面に、細長いリボン状に形成された金属皮膜又はカーボン皮膜を螺旋状に巻き付けて形成してもよい。これらの場合、螺旋状に周回する膜状抵抗体13のピッチを適宜調節することにより、該膜状抵抗体13の長さを調節して全体の抵抗値を変えることができる。また、符号10a,10bは、電気抵抗体10を後述の電極16a,16bに接続するための導電体から成る端子を示している。
【0024】
また、図4は、例えばベークライト等の絶縁材から成る細長板状のベース板14の片面に、細長いリボン状に形成された金属皮膜又はカーボン皮膜を長手方向の全長にわたって貼り付けて膜状抵抗体13を形成し、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。
【0025】
さらに、図5は、例えばセラミック等の絶縁材から成る丸棒状の芯材12の外周面に、細長い線材に形成されたニクロム線などの金属巻線15を適宜のピッチで螺旋状に巻き付けて、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。なお、螺旋状に巻き付ける金属巻線15のピッチを適宜調節することにより、該金属巻線15の長さを調節して全体の抵抗値を変えることができる。また、図3〜図5の例に共通しているが、いずれの場合も抵抗体としての金属皮膜又はカーボン皮膜又は金属巻線の表面には、保護膜としてのコーティングは施されていない。
【0026】
上記電気抵抗体10は、二つの電極16a,16bの間に接続される。この電極16a,16bは、上記電気抵抗体10をパルス駆動回路4に接続するためのもので、一方の電極16aは液体容器1の外部にてその上面に設けられ、他方の電極16bは液体容器1の外部にてその底面に設けられている。そして、これらの電極16a,16bに対して、図3〜図5に示す電気抵抗体10の両端の端子10a,10bを電気的に接続するようになっている。
【0027】
上記電極16a,16bには、パルス駆動回路4が接続されている。このパルス駆動回路4は、上記電気抵抗体10に電流を供給する電力供給手段となるもので、導電性を有する液体8の電気分解を抑えるために電気抵抗体10に電流を供給する時間をできるだけ短くする必要から、後述の演算回路11で電圧を計測して液面9を検出するときにのみパルス的に電流を供給するようになっている。
【0028】
上記電極16a,16bには、演算回路11が接続されている。この演算回路11は、上記電気抵抗体10の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器1内の液体8の液面9を検出する演算手段となるもので、例えば計測した電圧値を用いてオームの法則を適用し、液体容器1内で液面9から露出した部分の電気抵抗体10の抵抗値(液面9の高さにより変化する)を求めることにより液面9の位置を演算するようになっている。
【0029】
図2は、このように構成された液面検出装置の電気的な等価回路を示す説明図である。図2において、パルス駆動回路4が供給する電圧をEvとし、可変抵抗器として働く電気抵抗体10の全長による抵抗値をRvとし、該電気抵抗体10が液体容器1内で液面9から露出した部分の長さによる抵抗値をrvとする。この等価回路において、図1に示す液体容器1内に収容した液体8の液面9の位置が、可変抵抗器の摺動子17の位置となる。したがって、上記電気抵抗体10の一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さによる抵抗値がrvとなり、この値が可変となる。
【0030】
次に、このように構成された液面検出装置の動作について、本発明の液面検出方法と共に図1及び図2を参照して説明する。初めに、図1に示す液体容器1内に液体8が収容されており、電気抵抗体10が上記液体8内に適宜の高さだけ(液面9まで)浸っているとする。この状態で、まず、パルス駆動回路4を駆動して電気抵抗体10にパルス的に電流を供給する。すると、図2において、電流は、パルス駆動回路4のプラス側→負荷抵抗R→一方の電極16a→電気抵抗体10の摺動子17→他方の電極16b→パルス駆動回路4のマイナス側、の経路で流れる。このとき、上記摺動子17の位置は、液体容器1内の液面9の位置によって変化する。
【0031】
次に、上記のような電流の流れにより電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を、演算回路11で計測する。このときの電圧値は、電気抵抗体10の一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さの抵抗体を電流が流れて生じる電圧値となる。上記計測された電圧値はA/D変換された後、演算回路11内の演算器に入力され、オームの法則を適用して一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さによる抵抗値rvを求める。
【0032】
ここで、前記電流経路を流れる電流値をIとすると、オームの法則により次の式が成立する。
Ev=(R+rv)×I …(1)
この式(1)において、EvとRとIは既知であるので、抵抗値rvは、
rv=(Ev/I)−R …(2)
の式で求められる。
【0033】
そして、図1及び図2から明らかなように、上記のように求めた抵抗値rvが液面9の位置を表す量となるので、液体容器1の全高に対する底面からの液面9の高さHは、
H=(1−rv/Rv)×100(%) …(3)
の式で求められる。これにより、液体容器1内に収容される液体8の液面9が検出され、これは液体8の充填状態又は残量を百分率で示すものとなる。
【0034】
例えば、図1において液体容器1内に液体8が満杯に充填されているときは、図2において摺動子17は一方の電極16aの位置に移動した状態となり、rv=0となる。したがって、式(3)において、液面9の高さH=100(%)となり、充填量=100%又は残量=100%となる。一方、液体容器1内の液体8が空になったときは、図2において摺動子17は他方の電極16bの位置に移動した状態となり、rv=Rvとなる。したがって、式(3)において、液面9の高さH=0(%)となり、充填量=0%又は残量=0%となる。図1に示すように、液面9が液体容器1の高さの中間にあるときは、その位置に応じて例えばH=55(%)となり、充填量又は残量=55%となる。
【0035】
このような動作により、本発明の液面検出方法及び液面検出装置によれば、従来の図10に示す計測電極の設置数及び位置に応じた段階的な液体8の残量検出ではなく、液体8の液面9の変化を連続的な変化状態として検出し、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【0036】
なお、図1においては、電気抵抗体10は、液体容器1内の1箇所に垂直方向に設けたものとしたが、本発明はこれに限られず、液体容器1内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面に沿わせて1個ずつ、合計2個の電気抵抗体10を設けてもよい。この場合は、複数個の電気抵抗体10による液面検出の結果を平均することにより、より精度の高い検出をすることができる。また、上記電気抵抗体10は、液体容器1内に斜め方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面間において、対角線方向に設けてもよい。
【0037】
図6は、本発明による液体タンクの実施形態を示す説明図である。この液体タンク20は、内部に所定の液体を収容しておき対象装置に対してその液体を供給するもので、例えばインクジェットプリンタのプリントヘッドにおいてノズル部材にインクを供給するものである。そして、この液体タンク20は、図6に示すように、液体容器1と、電気抵抗体10と、電極16a,16bとを備えて成る。
【0038】
上記液体容器1は、内部に所定の液体、例えば導電性を有するインクを収容するもので、所定の高さで所定の容積を有する細長い箱状に形成され、その上面に大気連通孔6を有すると共に底面に液送出し口7を有している。
【0039】
上記液体容器1の内部には、電気抵抗体10が設けられている。この電気抵抗体10は、液体容器1の内部に収容される液体8の液面9を検出するセンサーとなるもので、上記液体容器1の高さと略同等の長さを有し、該液体容器1の一側面に沿って底面から上面にわたって垂直方向に配置されている。ここで、上記液体容器1内に収容される液体8は導電性を有するので、液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流すと、液体8中に浸る電気抵抗体10の部分については電流は該液体8を伝わって流れ、上記電気抵抗体10は、液体8中に浸る部分の長さの変化によって可変抵抗器として働くこととなる。これにより、液体容器1内に液体8を収容した状態で上記電気抵抗体10の両端の抵抗値を求めることにより、液面9から露出した部分の長さが分かり、液体8の液面9を検出することができる。なお、上記電気抵抗体10の具体例は、前述の図3〜図5に示すと同様に構成されている。
【0040】
上記電気抵抗体10の両端には、二つの電極16a,16bが接続されている。この電極16a,16bは、上記電気抵抗体10を図示外の例えば図1に示すパルス駆動回路4に接続するためのもので、一方の電極16aは液体容器1の外部にてその上面に設けられ、他方の電極16bは液体容器1の外部にてその底面に設けられている。そして、これらの電極16a,16bに対して、図3〜図5に示す電気抵抗体10の両端の端子10a,10bが電気的に接続されている。
【0041】
このように構成された液体タンク20を、図示外の例えばインクジェットプリンタのプリントヘッドに組み込むことにより、インクジェットプリンタの装置本体部側の装置部品と接続されて図1に示すような液面検出装置を構成し、前述と同様の動作をして、液体容器1内の液体8の液面9を検出し、液体8の充填状態又は残量が検出可能となる。
【0042】
図7は、上述の液体タンク20の他の実施形態を示す説明図である。この実施形態は、前記電気抵抗体10を液体容器1内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたものである。すなわち、図6の実施形態に追加して、液体容器1内の一側面に対向する他側面に沿って底面から上面にわたって第2の電気抵抗体21を垂直方向に配置し、この第2の電気抵抗体21の両端に二つの電極22a,22bを接続したものである。
【0043】
この場合は、図7(b)に示すように、細長い箱状に形成された液体容器1がその使用状態において傾斜しているときに、第1の電気抵抗体10及び第2の電気抵抗体21による液面9の検出結果を加算して平均することにより、誤差を低減して液体8の充填状態又は残量が検出可能となる。
【0044】
なお、図6及び図7の実施形態において、上記電気抵抗体10又は電気抵抗体21は、液体容器1内に斜め方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面間において、適宜の角度で傾斜して設けてもよい。
【0045】
次に、本発明による液体吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタの実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。このインクジェットプリンタ30は、図6又は図7に示す所定の液体(インク)を収容する液体タンク20を備えたプリントヘッド25にて記録媒体の所定位置にインク滴を吐出して画像を形成するものであり、プリンタ本体部31と、プリントヘッド25と、記録紙トレイ32とを備えている。
【0046】
上記プリンタ本体部31は、装置本体部として記録媒体である記録紙に対して適正に印画を行わせるための記録紙搬送機構部や電気回路部を内部に納めたものであり、上面にはプリントヘッド25を収納する収納部33が開口されており、その上端部には該収納部33を開閉する上蓋34が設けられている。また、プリンタ本体部31の前面下部には、後述の記録紙トレイ32を装着するためのトレイ挿入口35が設けられている。なお、このトレイ挿入口35は記録紙の排紙口も兼ねている。
【0047】
上記プリンタ本体部31の収納部33には、前述の液体タンク20を備えたプリントヘッド25が矢印Zのように収納されて、着脱可能な状態に保持されている。ここでは、一例として記録紙(例えばA4判)の一辺の幅にわたってノズル部材(図示せず)が長尺に形成されたフルラインタイプのプリントヘッドを示している。また、上記プリンタ本体部31のトレイ挿入口35には、記録紙トレイ32が着脱可能状態に装着されている。この記録紙トレイ32は、記録紙を重ねて収納するものであり、その上面部にはプリンタ本体部31から排紙される記録紙の排紙受け部32aが設けられている。
【0048】
図9は、上記プリンタ本体部31の内部構造の具体的な一例を示す断面図で、(a)は印画停止状態を示し、(b)は印画動作状態を示している。このプリンタ本体部31は、図9(a)に示すように、プリンタ本体部31の下方部で、記録紙トレイ32の挿入方向にてその側端部に対応する上方部位には、ローラーから成る給紙手段36が設けられており、記録紙トレイ32から記録紙37が随時供給できるようになっている。また、記録紙37の供給方向には、分離手段38が設けられており、重ねて収納された記録紙37を1枚ずつ分離して給紙できるようになっている。さらに、この分離手段38で分離された記録紙37の搬送方向でプリンタ本体部31の上方部位には、記録紙37の搬送方向を反転する反転ローラー39が設けられている。
【0049】
そして、この反転ローラー39で反転された記録紙37の搬送方向の先にはベルト搬送手段40が設けられており、図9(a)に示すように、印画停止状態においては、排紙方向の端部40aが矢印A方向に下がって、プリントヘッド25の下面との間に大きなギャップを形成している。一方、図9(b)に示す印画動作状態においては、上記端部40aが矢印B方向に上昇して水平状態にされ、プリントヘッド25の下面との間に所定の小さなギャップの記録紙通路を形成するようにされている。
【0050】
また、印画停止状態において、図9(a)に示すように、プリントヘッド25の下面はヘッドキャップ41で閉じられており、インク吐出ノズルのインクが乾燥して目詰まりするのを防いでいる。また、ヘッドキャップ41には、クリーニング手段42が設けられており、印画動作開始前に、ヘッドキャップ41が所定の位置に退避する(図9(b)参照)動作に伴って、インク吐出ノズルをクリーニングするようになっている。
【0051】
次に、このように構成されたインクジェットプリンタ30の動作について説明する。まず、図8に示すプリンタ本体部31の上面の上蓋34を開いて、プリントヘッド25を収納部33に矢印Zのように収納する。また、プリンタ本体部31の前面下部に設けられたトレイ挿入口35に記録紙トレイ32を挿入する。このとき、図9(a)に示すように、プリンタ本体部31の内部は、ベルト搬送手段40の端部40aが矢印A方向に下がっており、プリントヘッド25の下面がヘッドキャップ41で閉じられて印画停止状態となっている。
【0052】
次に、印画開始の制御信号が入力されると、ヘッドキャップ41が図9(a)において矢印Cのように移動して所定の位置に退避する。このとき、ヘッドキャップ41の退避動作に伴って、クリーニング手段42がプリントヘッド25のノズル部材の表面を摺動してインク吐出ノズルをクリーニングする。
【0053】
また、このヘッドキャップ41が所定位置に退避すると、ベルト搬送手段40の端部40aが図9(a)において矢印B方向に上昇し、該ベルト搬送手段40は、水平状態にてその搬送用ベルトと上記プリントヘッド25との間に所定の小さなギャップの記録紙通路を形成して停止する(図9(b)参照)。
【0054】
そして、図9(b)に示す印画動作状態において、給紙手段36が駆動し、記録紙トレイ32内に重ねて収納された記録紙37が矢印D方向に供給される。この際、分離手段38によって記録紙37は1枚ずつに分離されて矢印E方向に随時給紙される。
【0055】
この給紙された記録紙37は、反転ローラー39により搬送方向が反転されて、ベルト搬送手段40まで送られる。そして、該記録紙37は、ベルト搬送手段40によってプリントヘッド25の下方部まで運ばれて行く。
【0056】
さらに、記録紙37が、プリントヘッド25の下方部に達すると、印画信号が入力され、該印画信号に応じてプリントヘッド25の発熱抵抗素子が駆動される。そして、一定速度で送られる記録紙37に対して、例えば4色のインクに対応するインク吐出ノズルの列からインク液滴が吐出され、記録紙37上にカラーのプリント画像が形成される。
【0057】
このようにして記録紙37上への印画が総て終了すると、図9(b)に示すように、記録紙37はプリントヘッド25の下方部から矢印F方向に搬送され、排紙口を兼ねたトレイ挿入口35(図8参照)から記録紙トレイ32の排紙受け部32aに排紙される。そして、図9(a)に示すように、ベルト搬送手段40の端部40aが矢印A方向に下がり、ヘッドキャップ41がプリントヘッド25の下面を閉じて印画停止状態に復帰し、インクジェットプリンタ30の動作が停止する。
【0058】
なお、以上の説明においては、インクジェットプリンタに適用された例について述べたが、本発明はこれに限らず、記録方式がインクジェット方式のファクシミリ装置や複写機等の画像形成装置についても適用可能である。
【0059】
また、液体タンク20に収容される液体はインクに限られず、液体吐出ヘッド(25)に形成された液体吐出ノズルから所定の液体を吐出してドット列又はドットを形成するものであるならば、他の液体の吐出装置にも適用することができる。例えば、DNA鑑定などにおいてDNA含有溶液をパレット上に吐出するための液体吐出装置にも適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1〜6に係る液面検出方法によれば、液体容器内に液体を収容した状態で該液体容器の底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することができる。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出することができる。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【0061】
また、請求項7〜12に係る液面検出装置によれば、液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に、電力供給手段で電流を供給し、上記電気抵抗体の両端に接続された演算手段で電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することができる。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出することができる。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。また、液面検出のセンサーとしては、1本の電気抵抗体と2個の電極があればよいので、構造が簡単であると共に、コスト低減を図ることができる。
【0062】
さらに、請求項13〜17に係る液体タンクによれば、液体容器で所定の液体を収容し、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極を利用して、該電気抵抗体に電流を供給することができる。このとき、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。また、液面検出のセンサーとしては、1本の電気抵抗体と2個の電極があればよいので、構造が簡単であると共に、コスト低減を図ることができる。
【0063】
さらにまた、請求項18に係る液体吐出装置によれば、装置本体部に着脱可能に保持される液体吐出ヘッドに備えられた液体タンクを、請求項13〜17に係る液体タンクと同じ構成とすることにより、液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電気抵抗体の電極を利用して、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることによって、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。したがって、液体吐出装置の液体タンクについて、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液面検出方法の実施の形態を説明する概略図であり、且つこの液面検出方法の実施に使用する液面検出装置の実施形態を示す模式図である。
【図2】上記液面検出装置の電気的な等価回路を示す説明図である。
【図3】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の具体例を示す説明図である。
【図4】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の他の具体例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の更に他の具体例を示す説明図である。
【図6】本発明による液体タンクの実施形態を示す説明図である。
【図7】上記液体タンクの他の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明による液体吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタの実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8に示すインジェットプリンタの内部構成を示した断面図であり、(a)は印画停止状態を示し、(b)は印画動作状態を示している。
【図10】従来の液面検出装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1…液体容器
4…パルス駆動回路(電力供給手段)
8…液体
9…液面
10…電気抵抗体
11…演算回路(演算手段)
16a,16b…電極
17…摺動子
20…液体タンク
21…第2の電気抵抗体
22a,22b…第2の電気抵抗体の電極
25…プリントヘッド(液体吐出ヘッド)
30…インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
31…プリンタ本体部
32…記録紙トレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体容器に収容される所定の液体の液面を検出して液体の充填状態又は残量を検出する液面検出方法に関し、詳しくは、上記液体容器の内部に電気抵抗体を底面から上面にわたって配置してその両端間に生じる電圧を計測することにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及び液体吐出装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液面検出装置、例えばインクジェットプリンタのインク液の残量検出装置は、図10に示すように、所定の液体(インク液)を収容する液体容器1の底面に共通電極2を設け、上記液体容器1の一側面に該液体容器1の高さ方向に所定の間隔で例えば四つの計測電極3a,3b,3c,3dを設け、上記共通電極2と各計測電極3a〜3dとの間には電力供給手段としてのパルス駆動回路4を接続すると共に、上記共通電極2及び各計測電極3a〜3dへの接続線に残量計測回路5を接続して構成されている。なお、図10において、符号6は液体容器1の上面に形成された大気連通孔を示し、符号7は底面に設けられた液送出し口を示し、符号R1,R2,R3,R4は上記各計測電極3a〜3dに挿入された負荷抵抗を示している。
【0003】
このような状態で、液体容器1の内部に液体8を収容すると、その液体8の量に応じて液面9が適宜の高さに形成される。そして、液体8としてのインク液は導電性を有しているので、パルス駆動回路4から共通電極2にパルス的に電流を供給すると、液体8が収容された高さ内にある共通電極2と計測電極3a〜3dとの間では電流が流れ、残量計測回路5に計測信号が送られる。このとき、どの計測電極3a〜3dから計測信号が送られてきたかにより、液面9がどこにあるかが分かり、液体8の残量を検出する。
【0004】
例えば、図10に示されるように、第2の計測電極3bと第3の計測電極3cとの間に液面9があるときは、第3及び第4の計測電極3c,3dから残量計測回路5に計測信号が送られ、他の計測電極からは信号が入らないので、第3の計測電極3cの高さに相当する液体8の残量(例えば約50%)を検出する。また、第1の計測電極3aの上方に液面9があり、第1〜第4の計測電極3a〜3dの総てから計測信号が送られてきた場合は、液体8の残量は100%であると検出する。或いは、第4の計測電極3dの下方に液面9があり、第1〜第4の計測電極3a〜3dのいずれからも計測信号が送られてこない場合は、液体8の残量は0%であると検出する。
【0005】
そして、このようなインク液の残量検出装置は、例えば特願2002−99655号、特願2002−215848号等の明細書に記載されている。また、インクタンク内のインク残量を検知する装置が記載された先行技術文献としては、特許文献1がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−226990号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のインク液の残量検出装置においては、液体容器1の高さ方向に所定の間隔で設けられた例えば四つの計測電極3a,3b,3c,3dの位置に応じて液面9を検出して液体8の残量を検出しているので、計測電極の設置数及び位置に応じた段階的な液の残量しか検出できない。例えば、残量=満杯、3/4、2/4、1/4、0のように概略の残量しか分からなかった。
【0008】
この場合、図10において、第1の計測電極3aから計測信号が送られてきていれば、残量=満杯となるが、実際には該第1の計測電極3aの設置位置まで液体8が減少している状態がある。また、第1〜第4の計測電極3a〜3dのいずれからも計測信号が送られてこない場合は、残量=0となるが、実際には第4の計測電極3dの直ぐ下まで液体8が残っていて使用可能な状態がある。すなわち、段階的な液の残量しか検出できず、残量検出が不正確であった。
【0009】
また、共通電極2以外に、計測電極3a〜3dが残量の段階的な検出数に応じて必要となり、インク液の残量検出装置の全体として電極の数が多くなり、構造が複雑となるものであった。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による液面検出方法は、液体容器に収容される所定の液体の液面を検出する液面検出方法であって、上記液体容器の内部に所定の長さの電気抵抗体を該液体容器内の底面から上面にわたって配置し、上記液体容器内に液体を収容した状態で電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体の液面を検出するものである。
【0012】
このような方法により、液体容器内に液体を収容した状態で該液体容器の底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出する。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する。
【0013】
また、本発明による液面検出装置は、所定の液体を収容する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体に電流を供給する電力供給手段と、上記電気抵抗体の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器内の液体の液面を検出する演算手段と、を備えて成るものである。
【0014】
このような構成により、液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に、電力供給手段で電流を供給し、上記電気抵抗体の両端に接続された演算手段で電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出する。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出する。
【0015】
さらに、本発明による液体タンクは、所定の液体を収容し上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、を備えて成るものである。
【0016】
このような構成により、液体容器で所定の液体を収容し、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極を利用して、該電気抵抗体に電流を供給する。このとき、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。
【0017】
さらにまた、本発明による液体吐出装置は、所定の液体を収容する液体タンクを備えた液体吐出ヘッドを装置本体部に着脱可能な状態に保持し、該液体吐出ヘッドに形成された各液体吐出ノズルから液体を吐出してドット列又はドットを形成する液体吐出装置であって、上記液体タンクは、上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、を備えて成るものである。
【0018】
このような構成により、装置本体部に着脱可能に保持される液体吐出ヘッドに備えられた液体タンクを、前述の手段による液体タンクと同じ構成とすることにより、液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電気抵抗体の電極を利用して、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることによって、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による液面検出方法の実施の形態を説明する概略図であり、且つこの液面検出方法の実施に使用する液面検出装置の実施形態を示す模式図である。本発明の液面検出方法は、液体容器1、例えばインクジェットプリンタのインク容器に収容される所定の液体(インク)の液面を検出するもので、上記液体容器1の内部に所定の長さの電気抵抗体10を該液体容器1内の底面から上面にわたって配置し、上記液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流し、該電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体8の液面9を検出する。
【0020】
いま、説明の都合上、液面検出装置の構成について図1を参照して説明する。この液面検出装置は、図1に示すように、液体容器1と、電気抵抗体10と、パルス駆動回路4と、演算回路11とを備えて成る。なお、図1において、符号Rは上記電気抵抗体10に挿入された負荷抵抗を示している。
【0021】
上記液体容器1は、内部に所定の液体、例えば導電性を有するインクを収容するもので、所定の高さで所定の容積を有する箱状に形成され、その上面に大気連通孔6を有すると共に底面に液送出し口7を有している。
【0022】
上記液体容器1の内部には、電気抵抗体10が設けられている。この電気抵抗体10は、液体容器1の内部に収容される液体8の液面9を検出するセンサーとなるもので、上記液体容器1の高さと略同等の長さを有し、該液体容器1の一側面に沿って底面から上面にわたって垂直方向に配置されている。ここで、上記液体容器1内に収容される液体8は導電性を有するので、液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流すと、液体8中に浸る電気抵抗体10の部分については電流は該液体8を伝わって流れ、上記電気抵抗体10は、液体8中に浸る部分の長さの変化によって可変抵抗器として働くこととなる。これにより、液体容器1内に液体8を収容した状態で上記電気抵抗体10の両端の抵抗値を求めることにより、液面9から露出した部分の長さが分かり、液体8の液面9を検出することができる。
【0023】
上記電気抵抗体10の具体例を示すと、図3〜図5に示すようになる。図3は、例えばセラミック等の絶縁材から成る丸棒状の芯材12の外周面に、その長手方向の全幅に広がる金属皮膜又はカーボン皮膜を巻き付けた後に、その金属皮膜又はカーボン皮膜の表面に適宜のピッチで螺旋状の切り取り溝を入れて、上記芯材12の周りに螺旋状に周回する膜状抵抗体13を形成し、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。なお、上記膜状抵抗体13は、芯材12の外周面に、細長いリボン状に形成された金属皮膜又はカーボン皮膜を螺旋状に巻き付けて形成してもよい。これらの場合、螺旋状に周回する膜状抵抗体13のピッチを適宜調節することにより、該膜状抵抗体13の長さを調節して全体の抵抗値を変えることができる。また、符号10a,10bは、電気抵抗体10を後述の電極16a,16bに接続するための導電体から成る端子を示している。
【0024】
また、図4は、例えばベークライト等の絶縁材から成る細長板状のベース板14の片面に、細長いリボン状に形成された金属皮膜又はカーボン皮膜を長手方向の全長にわたって貼り付けて膜状抵抗体13を形成し、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。
【0025】
さらに、図5は、例えばセラミック等の絶縁材から成る丸棒状の芯材12の外周面に、細長い線材に形成されたニクロム線などの金属巻線15を適宜のピッチで螺旋状に巻き付けて、全体として細長直線状の電気抵抗体10を構成した例を示している。なお、螺旋状に巻き付ける金属巻線15のピッチを適宜調節することにより、該金属巻線15の長さを調節して全体の抵抗値を変えることができる。また、図3〜図5の例に共通しているが、いずれの場合も抵抗体としての金属皮膜又はカーボン皮膜又は金属巻線の表面には、保護膜としてのコーティングは施されていない。
【0026】
上記電気抵抗体10は、二つの電極16a,16bの間に接続される。この電極16a,16bは、上記電気抵抗体10をパルス駆動回路4に接続するためのもので、一方の電極16aは液体容器1の外部にてその上面に設けられ、他方の電極16bは液体容器1の外部にてその底面に設けられている。そして、これらの電極16a,16bに対して、図3〜図5に示す電気抵抗体10の両端の端子10a,10bを電気的に接続するようになっている。
【0027】
上記電極16a,16bには、パルス駆動回路4が接続されている。このパルス駆動回路4は、上記電気抵抗体10に電流を供給する電力供給手段となるもので、導電性を有する液体8の電気分解を抑えるために電気抵抗体10に電流を供給する時間をできるだけ短くする必要から、後述の演算回路11で電圧を計測して液面9を検出するときにのみパルス的に電流を供給するようになっている。
【0028】
上記電極16a,16bには、演算回路11が接続されている。この演算回路11は、上記電気抵抗体10の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器1内の液体8の液面9を検出する演算手段となるもので、例えば計測した電圧値を用いてオームの法則を適用し、液体容器1内で液面9から露出した部分の電気抵抗体10の抵抗値(液面9の高さにより変化する)を求めることにより液面9の位置を演算するようになっている。
【0029】
図2は、このように構成された液面検出装置の電気的な等価回路を示す説明図である。図2において、パルス駆動回路4が供給する電圧をEvとし、可変抵抗器として働く電気抵抗体10の全長による抵抗値をRvとし、該電気抵抗体10が液体容器1内で液面9から露出した部分の長さによる抵抗値をrvとする。この等価回路において、図1に示す液体容器1内に収容した液体8の液面9の位置が、可変抵抗器の摺動子17の位置となる。したがって、上記電気抵抗体10の一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さによる抵抗値がrvとなり、この値が可変となる。
【0030】
次に、このように構成された液面検出装置の動作について、本発明の液面検出方法と共に図1及び図2を参照して説明する。初めに、図1に示す液体容器1内に液体8が収容されており、電気抵抗体10が上記液体8内に適宜の高さだけ(液面9まで)浸っているとする。この状態で、まず、パルス駆動回路4を駆動して電気抵抗体10にパルス的に電流を供給する。すると、図2において、電流は、パルス駆動回路4のプラス側→負荷抵抗R→一方の電極16a→電気抵抗体10の摺動子17→他方の電極16b→パルス駆動回路4のマイナス側、の経路で流れる。このとき、上記摺動子17の位置は、液体容器1内の液面9の位置によって変化する。
【0031】
次に、上記のような電流の流れにより電気抵抗体10の両端間に生じる電圧を、演算回路11で計測する。このときの電圧値は、電気抵抗体10の一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さの抵抗体を電流が流れて生じる電圧値となる。上記計測された電圧値はA/D変換された後、演算回路11内の演算器に入力され、オームの法則を適用して一方の電極16aから摺動子17の位置までの長さによる抵抗値rvを求める。
【0032】
ここで、前記電流経路を流れる電流値をIとすると、オームの法則により次の式が成立する。
Ev=(R+rv)×I …(1)
この式(1)において、EvとRとIは既知であるので、抵抗値rvは、
rv=(Ev/I)−R …(2)
の式で求められる。
【0033】
そして、図1及び図2から明らかなように、上記のように求めた抵抗値rvが液面9の位置を表す量となるので、液体容器1の全高に対する底面からの液面9の高さHは、
H=(1−rv/Rv)×100(%) …(3)
の式で求められる。これにより、液体容器1内に収容される液体8の液面9が検出され、これは液体8の充填状態又は残量を百分率で示すものとなる。
【0034】
例えば、図1において液体容器1内に液体8が満杯に充填されているときは、図2において摺動子17は一方の電極16aの位置に移動した状態となり、rv=0となる。したがって、式(3)において、液面9の高さH=100(%)となり、充填量=100%又は残量=100%となる。一方、液体容器1内の液体8が空になったときは、図2において摺動子17は他方の電極16bの位置に移動した状態となり、rv=Rvとなる。したがって、式(3)において、液面9の高さH=0(%)となり、充填量=0%又は残量=0%となる。図1に示すように、液面9が液体容器1の高さの中間にあるときは、その位置に応じて例えばH=55(%)となり、充填量又は残量=55%となる。
【0035】
このような動作により、本発明の液面検出方法及び液面検出装置によれば、従来の図10に示す計測電極の設置数及び位置に応じた段階的な液体8の残量検出ではなく、液体8の液面9の変化を連続的な変化状態として検出し、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【0036】
なお、図1においては、電気抵抗体10は、液体容器1内の1箇所に垂直方向に設けたものとしたが、本発明はこれに限られず、液体容器1内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面に沿わせて1個ずつ、合計2個の電気抵抗体10を設けてもよい。この場合は、複数個の電気抵抗体10による液面検出の結果を平均することにより、より精度の高い検出をすることができる。また、上記電気抵抗体10は、液体容器1内に斜め方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面間において、対角線方向に設けてもよい。
【0037】
図6は、本発明による液体タンクの実施形態を示す説明図である。この液体タンク20は、内部に所定の液体を収容しておき対象装置に対してその液体を供給するもので、例えばインクジェットプリンタのプリントヘッドにおいてノズル部材にインクを供給するものである。そして、この液体タンク20は、図6に示すように、液体容器1と、電気抵抗体10と、電極16a,16bとを備えて成る。
【0038】
上記液体容器1は、内部に所定の液体、例えば導電性を有するインクを収容するもので、所定の高さで所定の容積を有する細長い箱状に形成され、その上面に大気連通孔6を有すると共に底面に液送出し口7を有している。
【0039】
上記液体容器1の内部には、電気抵抗体10が設けられている。この電気抵抗体10は、液体容器1の内部に収容される液体8の液面9を検出するセンサーとなるもので、上記液体容器1の高さと略同等の長さを有し、該液体容器1の一側面に沿って底面から上面にわたって垂直方向に配置されている。ここで、上記液体容器1内に収容される液体8は導電性を有するので、液体容器1内に液体8を収容した状態で電気抵抗体10に電流を流すと、液体8中に浸る電気抵抗体10の部分については電流は該液体8を伝わって流れ、上記電気抵抗体10は、液体8中に浸る部分の長さの変化によって可変抵抗器として働くこととなる。これにより、液体容器1内に液体8を収容した状態で上記電気抵抗体10の両端の抵抗値を求めることにより、液面9から露出した部分の長さが分かり、液体8の液面9を検出することができる。なお、上記電気抵抗体10の具体例は、前述の図3〜図5に示すと同様に構成されている。
【0040】
上記電気抵抗体10の両端には、二つの電極16a,16bが接続されている。この電極16a,16bは、上記電気抵抗体10を図示外の例えば図1に示すパルス駆動回路4に接続するためのもので、一方の電極16aは液体容器1の外部にてその上面に設けられ、他方の電極16bは液体容器1の外部にてその底面に設けられている。そして、これらの電極16a,16bに対して、図3〜図5に示す電気抵抗体10の両端の端子10a,10bが電気的に接続されている。
【0041】
このように構成された液体タンク20を、図示外の例えばインクジェットプリンタのプリントヘッドに組み込むことにより、インクジェットプリンタの装置本体部側の装置部品と接続されて図1に示すような液面検出装置を構成し、前述と同様の動作をして、液体容器1内の液体8の液面9を検出し、液体8の充填状態又は残量が検出可能となる。
【0042】
図7は、上述の液体タンク20の他の実施形態を示す説明図である。この実施形態は、前記電気抵抗体10を液体容器1内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたものである。すなわち、図6の実施形態に追加して、液体容器1内の一側面に対向する他側面に沿って底面から上面にわたって第2の電気抵抗体21を垂直方向に配置し、この第2の電気抵抗体21の両端に二つの電極22a,22bを接続したものである。
【0043】
この場合は、図7(b)に示すように、細長い箱状に形成された液体容器1がその使用状態において傾斜しているときに、第1の電気抵抗体10及び第2の電気抵抗体21による液面9の検出結果を加算して平均することにより、誤差を低減して液体8の充填状態又は残量が検出可能となる。
【0044】
なお、図6及び図7の実施形態において、上記電気抵抗体10又は電気抵抗体21は、液体容器1内に斜め方向に設けたものとしてもよい。例えば、液体容器1内の対向する両側面間において、適宜の角度で傾斜して設けてもよい。
【0045】
次に、本発明による液体吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタの実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。このインクジェットプリンタ30は、図6又は図7に示す所定の液体(インク)を収容する液体タンク20を備えたプリントヘッド25にて記録媒体の所定位置にインク滴を吐出して画像を形成するものであり、プリンタ本体部31と、プリントヘッド25と、記録紙トレイ32とを備えている。
【0046】
上記プリンタ本体部31は、装置本体部として記録媒体である記録紙に対して適正に印画を行わせるための記録紙搬送機構部や電気回路部を内部に納めたものであり、上面にはプリントヘッド25を収納する収納部33が開口されており、その上端部には該収納部33を開閉する上蓋34が設けられている。また、プリンタ本体部31の前面下部には、後述の記録紙トレイ32を装着するためのトレイ挿入口35が設けられている。なお、このトレイ挿入口35は記録紙の排紙口も兼ねている。
【0047】
上記プリンタ本体部31の収納部33には、前述の液体タンク20を備えたプリントヘッド25が矢印Zのように収納されて、着脱可能な状態に保持されている。ここでは、一例として記録紙(例えばA4判)の一辺の幅にわたってノズル部材(図示せず)が長尺に形成されたフルラインタイプのプリントヘッドを示している。また、上記プリンタ本体部31のトレイ挿入口35には、記録紙トレイ32が着脱可能状態に装着されている。この記録紙トレイ32は、記録紙を重ねて収納するものであり、その上面部にはプリンタ本体部31から排紙される記録紙の排紙受け部32aが設けられている。
【0048】
図9は、上記プリンタ本体部31の内部構造の具体的な一例を示す断面図で、(a)は印画停止状態を示し、(b)は印画動作状態を示している。このプリンタ本体部31は、図9(a)に示すように、プリンタ本体部31の下方部で、記録紙トレイ32の挿入方向にてその側端部に対応する上方部位には、ローラーから成る給紙手段36が設けられており、記録紙トレイ32から記録紙37が随時供給できるようになっている。また、記録紙37の供給方向には、分離手段38が設けられており、重ねて収納された記録紙37を1枚ずつ分離して給紙できるようになっている。さらに、この分離手段38で分離された記録紙37の搬送方向でプリンタ本体部31の上方部位には、記録紙37の搬送方向を反転する反転ローラー39が設けられている。
【0049】
そして、この反転ローラー39で反転された記録紙37の搬送方向の先にはベルト搬送手段40が設けられており、図9(a)に示すように、印画停止状態においては、排紙方向の端部40aが矢印A方向に下がって、プリントヘッド25の下面との間に大きなギャップを形成している。一方、図9(b)に示す印画動作状態においては、上記端部40aが矢印B方向に上昇して水平状態にされ、プリントヘッド25の下面との間に所定の小さなギャップの記録紙通路を形成するようにされている。
【0050】
また、印画停止状態において、図9(a)に示すように、プリントヘッド25の下面はヘッドキャップ41で閉じられており、インク吐出ノズルのインクが乾燥して目詰まりするのを防いでいる。また、ヘッドキャップ41には、クリーニング手段42が設けられており、印画動作開始前に、ヘッドキャップ41が所定の位置に退避する(図9(b)参照)動作に伴って、インク吐出ノズルをクリーニングするようになっている。
【0051】
次に、このように構成されたインクジェットプリンタ30の動作について説明する。まず、図8に示すプリンタ本体部31の上面の上蓋34を開いて、プリントヘッド25を収納部33に矢印Zのように収納する。また、プリンタ本体部31の前面下部に設けられたトレイ挿入口35に記録紙トレイ32を挿入する。このとき、図9(a)に示すように、プリンタ本体部31の内部は、ベルト搬送手段40の端部40aが矢印A方向に下がっており、プリントヘッド25の下面がヘッドキャップ41で閉じられて印画停止状態となっている。
【0052】
次に、印画開始の制御信号が入力されると、ヘッドキャップ41が図9(a)において矢印Cのように移動して所定の位置に退避する。このとき、ヘッドキャップ41の退避動作に伴って、クリーニング手段42がプリントヘッド25のノズル部材の表面を摺動してインク吐出ノズルをクリーニングする。
【0053】
また、このヘッドキャップ41が所定位置に退避すると、ベルト搬送手段40の端部40aが図9(a)において矢印B方向に上昇し、該ベルト搬送手段40は、水平状態にてその搬送用ベルトと上記プリントヘッド25との間に所定の小さなギャップの記録紙通路を形成して停止する(図9(b)参照)。
【0054】
そして、図9(b)に示す印画動作状態において、給紙手段36が駆動し、記録紙トレイ32内に重ねて収納された記録紙37が矢印D方向に供給される。この際、分離手段38によって記録紙37は1枚ずつに分離されて矢印E方向に随時給紙される。
【0055】
この給紙された記録紙37は、反転ローラー39により搬送方向が反転されて、ベルト搬送手段40まで送られる。そして、該記録紙37は、ベルト搬送手段40によってプリントヘッド25の下方部まで運ばれて行く。
【0056】
さらに、記録紙37が、プリントヘッド25の下方部に達すると、印画信号が入力され、該印画信号に応じてプリントヘッド25の発熱抵抗素子が駆動される。そして、一定速度で送られる記録紙37に対して、例えば4色のインクに対応するインク吐出ノズルの列からインク液滴が吐出され、記録紙37上にカラーのプリント画像が形成される。
【0057】
このようにして記録紙37上への印画が総て終了すると、図9(b)に示すように、記録紙37はプリントヘッド25の下方部から矢印F方向に搬送され、排紙口を兼ねたトレイ挿入口35(図8参照)から記録紙トレイ32の排紙受け部32aに排紙される。そして、図9(a)に示すように、ベルト搬送手段40の端部40aが矢印A方向に下がり、ヘッドキャップ41がプリントヘッド25の下面を閉じて印画停止状態に復帰し、インクジェットプリンタ30の動作が停止する。
【0058】
なお、以上の説明においては、インクジェットプリンタに適用された例について述べたが、本発明はこれに限らず、記録方式がインクジェット方式のファクシミリ装置や複写機等の画像形成装置についても適用可能である。
【0059】
また、液体タンク20に収容される液体はインクに限られず、液体吐出ヘッド(25)に形成された液体吐出ノズルから所定の液体を吐出してドット列又はドットを形成するものであるならば、他の液体の吐出装置にも適用することができる。例えば、DNA鑑定などにおいてDNA含有溶液をパレット上に吐出するための液体吐出装置にも適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1〜6に係る液面検出方法によれば、液体容器内に液体を収容した状態で該液体容器の底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することができる。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出することができる。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【0061】
また、請求項7〜12に係る液面検出装置によれば、液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体に、電力供給手段で電流を供給し、上記電気抵抗体の両端に接続された演算手段で電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く上記電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することができる。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出することができる。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。また、液面検出のセンサーとしては、1本の電気抵抗体と2個の電極があればよいので、構造が簡単であると共に、コスト低減を図ることができる。
【0062】
さらに、請求項13〜17に係る液体タンクによれば、液体容器で所定の液体を収容し、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置された電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極を利用して、該電気抵抗体に電流を供給することができる。このとき、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることにより、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。したがって、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。また、液面検出のセンサーとしては、1本の電気抵抗体と2個の電極があればよいので、構造が簡単であると共に、コスト低減を図ることができる。
【0063】
さらにまた、請求項18に係る液体吐出装置によれば、装置本体部に着脱可能に保持される液体吐出ヘッドに備えられた液体タンクを、請求項13〜17に係る液体タンクと同じ構成とすることにより、液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電気抵抗体の電極を利用して、上記電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測し、液体中に浸る電気抵抗体の長さの変化によって可変抵抗器として働く電気抵抗体の両端の抵抗値を求めることによって、液体の液面を検出することを可能とする。これにより、液体の液面の変化を連続的な変化状態として検出可能とする。したがって、液体吐出装置の液体タンクについて、100%から0%までアナログ的に連続した値として、液体の充填状態又は残量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液面検出方法の実施の形態を説明する概略図であり、且つこの液面検出方法の実施に使用する液面検出装置の実施形態を示す模式図である。
【図2】上記液面検出装置の電気的な等価回路を示す説明図である。
【図3】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の具体例を示す説明図である。
【図4】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の他の具体例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】上記液面検出装置に備えられる電気抵抗体の更に他の具体例を示す説明図である。
【図6】本発明による液体タンクの実施形態を示す説明図である。
【図7】上記液体タンクの他の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明による液体吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタの実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8に示すインジェットプリンタの内部構成を示した断面図であり、(a)は印画停止状態を示し、(b)は印画動作状態を示している。
【図10】従来の液面検出装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1…液体容器
4…パルス駆動回路(電力供給手段)
8…液体
9…液面
10…電気抵抗体
11…演算回路(演算手段)
16a,16b…電極
17…摺動子
20…液体タンク
21…第2の電気抵抗体
22a,22b…第2の電気抵抗体の電極
25…プリントヘッド(液体吐出ヘッド)
30…インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
31…プリンタ本体部
32…記録紙トレイ
Claims (18)
- 液体容器に収容される所定の液体の液面を検出する液面検出方法であって、
上記液体容器の内部に所定の長さの電気抵抗体を該液体容器内の底面から上面にわたって配置し、上記液体容器内に液体を収容した状態で電気抵抗体に電流を流し、該電気抵抗体の両端間に生じる電圧を計測することにより、液体の液面を検出することを特徴とする液面検出方法。 - 上記電気抵抗体への電流の供給は、電圧の計測時にのみパルス的に行うことを特徴とする請求項1記載の液面検出方法。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内の1箇所に垂直方向に設けたものであることを特徴とする請求項1記載の液面検出方法。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたものであることを特徴とする請求項1記載の液面検出方法。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内に斜め方向に設けたものであることを特徴とする請求項1記載の液面検出方法。
- 上記電気抵抗体は、金属被膜、カーボン被膜又は金属巻線を用いて細長直線状に形成したものであることを特徴とする請求項1記載の液面検出方法。
- 所定の液体を収容する液体容器と、
この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、
この電気抵抗体に電流を供給する電力供給手段と、
上記電気抵抗体の両端に接続されその両端間に生じる電圧を計測して上記液体容器内の液体の液面を検出する演算手段と、
を備えて成ることを特徴とする液面検出装置。 - 上記電力供給手段は、電気抵抗体への電流の供給を電圧の計測時にのみパルス的に行うものであることを特徴とする請求項7記載の液面検出装置。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内の1箇所に垂直方向に設けたことを特徴とする請求項7記載の液面検出装置。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたことを特徴とする請求項7記載の液面検出装置。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内に斜め方向に設けたことを特徴とする請求項7記載の液面検出装置。
- 上記電気抵抗体は、金属被膜、カーボン被膜、金属巻線を用いて細長直線状に形成したことを特徴とする請求項7記載の液面検出装置。
- 所定の液体を収容し上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、
この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、
この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、
を備えて成ることを特徴とする液体タンク。 - 上記電気抵抗体は、液体容器内の1箇所に垂直方向に設けたことを特徴とする請求項13記載の液体タンク。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内の異なる複数箇所に垂直方向に設けたことを特徴とする請求項13記載の液体タンク。
- 上記電気抵抗体は、液体容器内に斜め方向に設けたことを特徴とする請求項13記載の液体タンク。
- 上記電気抵抗体は、金属被膜、カーボン被膜、金属巻線を用いて細長直線状に形成したことを特徴とする請求項13記載の液体タンク。
- 所定の液体を収容する液体タンクを備えた液体吐出ヘッドを装置本体部に着脱可能な状態に保持し、該液体吐出ヘッドに形成された各液体吐出ノズルから液体を吐出してドット列又はドットを形成する液体吐出装置であって、
上記液体タンクは、上面に大気連通孔を有すると共に底面に液送出し口を有する液体容器と、この液体容器の内部にてその底面から上面にわたって配置され所定の長さを有する電気抵抗体と、この電気抵抗体の両端に接続され上記液体容器の外部にてその底面及び上面に設けられた電極と、を備えて成るものであることを特徴とする液体吐出装置。
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---|---|---|---|
JP2003175917A JP2005010061A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及びその液体タンクを備えた液体吐出装置 |
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Publications (1)
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JP2005010061A true JP2005010061A (ja) | 2005-01-13 |
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JP2003175917A Pending JP2005010061A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 液面検出方法及び液面検出装置並びに液体タンク及びその液体タンクを備えた液体吐出装置 |
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JP (1) | JP2005010061A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017047535A (ja) * | 2015-08-31 | 2017-03-09 | セイコーエプソン株式会社 | 記録装置 |
CN108332815A (zh) * | 2017-01-19 | 2018-07-27 | 广东美的生活电器制造有限公司 | 一种家用器具容量判断设备及家用器具 |
-
2003
- 2003-06-20 JP JP2003175917A patent/JP2005010061A/ja active Pending
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CN108332815A (zh) * | 2017-01-19 | 2018-07-27 | 广东美的生活电器制造有限公司 | 一种家用器具容量判断设备及家用器具 |
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