JP2005009429A - タービンシュラウドの回り止め構造 - Google Patents

タービンシュラウドの回り止め構造 Download PDF

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Abstract

【課題】運転時にシュラウドセグメントが冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張しても、シュラウド内外面を連通する隙間ができず、冷却空気の漏れ量を低く抑えることができ、かつ加工が容易なタービンシュラウドの回り止め構造を提供する。
【解決手段】タービン動翼2を囲み周方向に密接して延びる複数のシュラウドセグメント12と、シュラウドセグメントを囲むリング形状のシュラウドサポート14と、シュラウドセグメントとシュラウドサポートの両方に嵌合しシュラウドセグメントの周方向の移動を阻止する回り止めピン16とを備える。回り止めピン16と嵌合するシュラウドセグメント及びシュラウドサポートの凹部12c,14cは軸方向の一端が閉じている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンのタービン動翼を囲むタービンシュラウドの回り止め構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンは、空気圧縮機により空気を圧縮し、燃焼器で圧縮空気中で燃料を燃焼させ、燃焼ガスでタービンを駆動し、この駆動力により空気圧縮機等を駆動するようになっている。
ガスタービンは、その作動温度を高めるほど効率が向上する。そのため、従来からタービン動翼と、これを囲むタービンシュラウド及びタービンケーシングを冷却してガスタービンを高温作動させることにより、効率向上が図られている。
【0003】
従来のガスタービンのシュラウド構造は、特許文献1、2、3等に開示されている。
【0004】
特許文献1の「シュラウド支持構造」は、図3に示すように、半径方向内方に位置するシュラウド51を支持するとともに冷却空気プレナムを部分的に画成する支持構体52を有するタイプのシュラウド支持装置において、支持構体52に有孔衝突バッフル53を取付けて、冷却空気プレナムの残りの部分を画成するとともに、冷却空気をシュラウド51に衝突させ得るようにしたものである。
【0005】
特許文献2の「ガスシール装置を備えたタービンシュラウド」は、図4に示すように、タービンシュラウドが、周方向に延びる複数のシュラウドセグメント62と、シュラウドセグメント間の隙間をシールするガスシール装置とからなり、ガスシール装置は、隣接するシュラウドセグメント62の両端面に挿入された主シール部材63と補助シール部材64とからなり、主シール部材63は、タービンシュラウドのほぼ全体にわたって軸方向に延び、補助シール部材64は、内端が主シール部材に接し外端がタービンケーシング65に接するように半径方向に延びているものである。
【0006】
特許文献3の「ガスタービン静翼の支持構造」は、図5に示すように、ロータ周囲に配置された複数の静翼71に対向する車室72の壁に、同車室を貫通する穴をそれぞれ設け、同穴には同車室外から車室内空間を通って嵌入されると共に内部には外側シュラウド73及び静翼71に蒸気を供給し、同シュラウド及び静翼を冷却した蒸気を回収する通路を有する円柱74を設けてなる蒸気冷却方式のガスタービン静翼の支持構造において、前記車室72は前記円柱の嵌入する穴の中心線を通って円周方向に輪切り状に2分割可能に固定されているものである。
【0007】
【特許文献1】
特開昭54−159516号公報
【特許文献2】
特開平9−329003号公報
【特許文献3】
特開平11−36809号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年のジェットエンジン開発に要求される性能向上や環境への配慮の必要性から、冷却空気量の削減は、エンジン重量の削減とともに重要な課題である。
【0009】
特許文献1、2に開示されているように、タービンシュラウドは、周方向に延びる複数のシュラウドセグメントからなり、これを囲むリング形状のシュラウドサポートの内側に取り付けられる。
この場合、シュラウドセグメントがシュラウドサポートの内面に沿って周方向に移動するのを防止するため、タービンシュラウドの回り止め構造が必要となる。
【0010】
従来使用されているタービンシュラウドの回り止め構造は、図6に示すように、切り欠き構造を適用していた。この構造は、シュラウドサポート72の一部に軸方向に延びる溝72aを設け、シュラウドセグメント73に設けた突起部73aをこの溝72aと嵌合させることによりシュラウドセグメントの周方向移動を防止するものである。
【0011】
しかし、切り欠き構造の場合、シュラウドサポートに設ける溝72aは、加工の困難性のため貫通溝となる。また、運転時にシュラウドセグメント73は冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張する。このため、シュラウド回り止め部(A部)の溝外周部にシュラウド内外面を連通する隙間が生じ、冷却空気の漏れ量が大きい問題点があった。またこの冷却空気漏れ量は加工公差や熱膨張量が影響するため正確には予測できなかった。
【0012】
本発明は、上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、運転時にシュラウドセグメントが冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張しても、シュラウド内外面を連通する隙間ができず、冷却空気の漏れ量を低く抑えることができ、かつ加工が容易なタービンシュラウドの回り止め構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、タービン動翼を囲み周方向に密接して延びる複数のシュラウドセグメントと、該シュラウドセグメントを囲むリング形状のシュラウドサポートと、前記シュラウドセグメントとシュラウドサポートの両方に嵌合しシュラウドセグメントの周方向の移動を阻止する回り止めピンとを備え、該回り止めピンと嵌合するシュラウドセグメント及びシュラウドサポートの凹部は軸方向の一端が閉じている、ことを特徴とするタービンシュラウドの回り止め構造が提供される。
【0014】
上記本発明の構成によれば、回り止めピンが、シュラウドセグメントとシュラウドサポートの両方に嵌合するので、シュラウドセグメントの周方向の移動を阻止することができる。
また、この回り止めピンと嵌合するシュラウドセグメント及びシュラウドサポートの凹部は軸方向の一端が閉じているので、運転時にシュラウドセグメントが冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張しても、シュラウド内外面を連通する隙間ができず、冷却空気の漏れ量を低く抑えることができる。
さらに、回り止めピンと嵌合するシュラウドセグメント及びシュラウドサポートの凹部は軸方向の一端が閉じているが、この回り止めピン用の穴は、ドリルとリーマで容易に加工できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記シュラウドサポートは、シュラウドセグメントの一端部が軸方向に嵌合しかつ周方向に延びる周方向溝と、シュラウドセグメントの他端部が軸方向内面に嵌合しかつ周方向に延びるリング部とを有し、前記凹部は、シュラウドセグメントの他端部とシュラウドサポートのリング部に設けられており、更にシュラウドセグメントの他端部とシュラウドサポートのリング部に軸方向に嵌合し、これらを嵌合状態に保持する連結保持部材を備える。
【0016】
この構成により、シュラウドサポートの周方向溝に、シュラウドセグメントの一端部を軸方向に嵌合させ、シュラウドセグメントの他端部とシュラウドサポートのリング部に連結保持部材を軸方向に嵌合して保持することにより、シュラウドサポートにシュラウドセグメントを隙間なく保持することができる。
また、連結保持部材の取り付け前に、回り止めピンをシュラウドセグメントとシュラウドサポートの互いに整合する凹部に挿入することにより、シュラウドセグメントの周方向の移動を簡単に防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明による回り止め構造のタービンシュラウド構造を示す断面図である。この図において、1はタービンノズル、2はタービン動翼、3はタービン静翼である。図示しない燃焼器で発生した高温ガス4は、タービンノズル1からタービン動翼2に高速で流入し、後段のタービン静翼3に向けて流出する。
タービンシュラウドは、この例では、初段のタービン動翼2を間隔を隔てて囲んでいる。なお本発明の構造は、初段の動翼用に限定されず、その他のタービン動翼或いはタービン静翼用にも用いることができる。
【0019】
図2は、図1のタービンシュラウド構造の部分拡大図である。図1及び図2に示すように、本発明による回り止め構造は、複数のシュラウドセグメント12、シュラウドサポート14、回り止めピン16及び連結保持部材18からなる。
複数のシュラウドセグメント12は、タービン動翼を囲むタービンシュラウドを周方向に分割したものであり。互いに周方向に密接して配置することにより、タービンシュラウド全体が構成される。シュラウドセグメント12の互いに近接する端面は、周知のシール構造、例えば特許文献2に開示のシール部材によりその隙間からガスが漏れないようになっている。
【0020】
シュラウドサポート14は、リング形状であり、複数のシュラウドセグメント12で構成されるタービンシュラウド全体を囲んで位置する。またこのシュラウドサポート14は、図示しないタービンケーシングに固定されている。
図2に示すように、シュラウドサポート14は、周方向に延びる周方向溝14aと、周方向に延びるリング部14bとを有する。
【0021】
この例において、周方向溝14aは、シュラウドサポート14の上流端に設けられたコの字部分で形成され、下流端が開いたガスタービンと同心の円筒形空洞である。この周方向溝14aには、シュラウドセグメント12の一端部12a(この例で左端部)が軸方向に嵌合するようになっている。
またこの例において、リング部14bは、シュラウドサポート14の下流端に設けられたガスタービンと同心の円筒部である。このリング部14bの内側には、シュラウドセグメント14の他端部12b(この例で右端部)が軸方向内面に嵌合するようになっている。
【0022】
回り止めピン16は、シュラウドセグメント12とシュラウドサポート14の両方に嵌合し、シュラウドセグメント12の周方向の移動を阻止する機能を有する。また、回り止めピン16と嵌合するシュラウドセグメント12及びシュラウドサポート14の凹部12c,14cは軸方向の一端(図で左端)が閉じている。
【0023】
またこの例において、シュラウドセグメント12及びシュラウドサポート14の凹部12c,14cは、シュラウドセグメント12の他端部とシュラウドサポート14のリング部14bに設けられている。
連結保持部材18は、この例では、上流側が開いたコの字断面のリング状部材であり、シュラウドセグメント12の他端部12bとシュラウドサポート14のリング部14bの外面に軸方向に嵌合し、これらを嵌合状態に保持するようになっている。
【0024】
図2において、15はインピンジ冷却用の多穴板である。シュラウドサポート14の外側から供給された冷却空気5(破線矢印)は、多穴板15に設けられた複数の穴からシュラウドセグメント12の内面に向けて噴出し、シュラウドセグメント12の内面をインピンジ冷却した後、シュラウドセグメント12の設けられた噴射穴を通ってシュラウドセグメント12の外面をフィルム冷却し、高温ガス4と混合する。
また、この冷却空気5の圧力により、運転時にシュラウドセグメント12は内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張する。
【0025】
上述した本発明の構成によれば、回り止めピン16が、シュラウドセグメント12とシュラウドサポート14の両方に嵌合するので、シュラウドセグメント12の周方向の移動を阻止することができる。
また、この回り止めピン16と嵌合するシュラウドセグメント12及びシュラウドサポート14の凹部12c,14cは軸方向の一端が閉じているので、運転時にシュラウドセグメント12が冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張しても、シュラウド内外面を連通する隙間ができず、冷却空気の漏れ量を低く抑えることができる。
さらに、回り止めピン16と嵌合するシュラウドセグメント12及びシュラウドサポート14の凹部は軸方向の一端が閉じているが、この回り止めピン用の穴は、ドリルとリーマで容易に加工できる。
【0026】
また、上述の構成により、シュラウドサポート14の周方向溝14aに、シュラウドセグメント12の一端部12aを軸方向に嵌合させ、シュラウドセグメントの他端部12bとシュラウドサポートのリング部14bに連結保持部材18を軸方向に嵌合して保持することにより、シュラウドサポート14にシュラウドセグメント12を隙間なく保持することができる。
また、連結保持部材18の取り付け前に、回り止めピン16をシュラウドセグメント12とシュラウドサポート14の互いに整合する凹部12c,14cに挿入することにより、シュラウドセグメントの周方向の移動を簡単に防止することができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りで種々に変更できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、切り欠き構造の代わりにピンを用いてまわり止めを行い、まわり止め部の密閉性を向上させ、隙間を減少させることにより、冷却空気漏れ量を減少させるものであり、以下の効果が得られる。
(1) 冷却空気漏れ量を減少させることにより、冷却性を向上させることが可能である。
(2) 従来に比べ少量の冷却空気で冷却可能となり、エンジン性能を向上させることが可能である。
【0029】
従って、本発明のタービンシュラウドの回り止め構造は、運転時にシュラウドセグメントが冷却空気の圧力で内方に押し付けられ、かつ高温で熱膨張しても、シュラウド内外面を連通する隙間ができず、冷却空気の漏れ量を低く抑えることができ、かつ加工が容易である、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回り止め構造のタービンシュラウド構造を示す断面図である。
【図2】図1のタービンシュラウド構造の部分拡大図である。
【図3】従来のシュラウド支持構造の模式図である。
【図4】従来のガスシール装置を備えたタービンシュラウドの構成図である。
【図5】従来のガスタービン静翼の支持構造の図である。
【図6】従来のタービンシュラウドの回り止め構造の図である。
【符号の説明】
1 タービンノズル、2 タービン動翼、3 タービン静翼、4 高温ガス、5 冷却空気、12 シュラウドセグメント、12a 一端部、12b 他端部、14 シュラウドサポート、14a 周方向溝、14b リング部、12c,14c 凹部、16 回り止めピン、18 連結保持部材

Claims (2)

  1. タービン動翼を囲み周方向に密接して延びる複数のシュラウドセグメントと、該シュラウドセグメントを囲むリング形状のシュラウドサポートと、前記シュラウドセグメントとシュラウドサポートの両方に嵌合しシュラウドセグメントの周方向の移動を阻止する回り止めピンとを備え、
    該回り止めピンと嵌合するシュラウドセグメント及びシュラウドサポートの凹部は軸方向の一端が閉じている、ことを特徴とするタービンシュラウドの回り止め構造。
  2. 前記シュラウドサポートは、シュラウドセグメントの一端部が軸方向に嵌合しかつ周方向に延びる周方向溝と、シュラウドセグメントの他端部が軸方向内面に嵌合しかつ周方向に延びるリング部とを有し、
    前記凹部は、シュラウドセグメントの他端部とシュラウドサポートのリング部に設けられており、
    更にシュラウドセグメントの他端部とシュラウドサポートのリング部に軸方向に嵌合し、これらを嵌合状態に保持する連結保持部材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のタービンシュラウドの回り止め構造。
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