JP2005009354A - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Takeshi Ueki
毅 植木
Motoki Otani
元希 大谷
Masatoshi Umasaki
政俊 馬崎
Tatsushi Nakajima
樹志 中島
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Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】温間始動時や温間発進時において、異常燃焼を抑制することができる内燃機関制御装置を提供する。
【解決手段】ステップS104では基本燃料噴射時期AINJbaseが算出される。続くステップS106及びS108が共に肯定されたとき、即ち温間始動時であると判断された場合には、ステップS110に処理が移行する。ステップS110では燃料噴射時期補正量AINJtempが求められる。そして続くステップS112において、基本燃料噴射時期AINJbaseと燃料噴射時期補正量AINJtempとが加算され目標燃料噴射時期AINJfinが算出される。この場合、基本燃料噴射時期AINJbaseが遅角側に補正されるため、吸気弁17が閉弁された後の下死点近傍でインジェクタ12が駆動されて燃料が噴射される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を燃焼室に直接噴射させる内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機関暖機後の温間時には、ピストンが吸気上死点近傍にある吸気行程の初期段階から燃料噴射が開始される筒内噴射式内燃機関が下記特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−213030号公報(第2,3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
温間時に吸気行程の初期段階から燃料噴射が開始された場合、噴射された燃料は、吸気上死点近傍に位置するピストン頂面に付着する。付着した燃料は、高温のピストンからの熱によって気化する。そのため、筒内の吸入空気に対する冷却効果が減少する。
【0005】
また、吸気行程中に燃料噴射が行われた場合には、冷却効果が減少はするものの、吸入空気が冷却されて体積が減少することにより、充填効率が高まる。
【0006】
一方、機関始動時は機関回転数が低く吸気時間が長くなるため、スロットルバルブ開度が低開度であっても気筒内に多くの空気が吸入され、高負荷になる。また、車両発進時においてアクセルペダルが踏込まれた直後は、機関回転数が上昇していない状態でスロットルバルブが開けられるため、気筒内に多くの空気が吸入され、高負荷になる。
【0007】
これらの理由から、上記筒内噴射式内燃機関では、温間時における機関始動時や発進時に筒内の温度及び圧力が上昇するため、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼が発生し易いという問題を有する。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、温間始動時や温間発進時において、異常燃焼を抑制することができる内燃機関制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内燃機関制御装置は、内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射手段と、燃料噴射手段により燃料が噴射される燃料噴射時期を設定する燃料噴射時期制御手段とを備え、温間始動時又は温間発進時には、燃料噴射時期制御手段が、吸気弁が閉弁された後に燃料が噴射されるように燃料噴射時期を設定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る内燃機関制御装置によれば、ピストンが下死点近傍に位置する吸気弁閉弁後に燃料が噴射される。そのため、ピストン頂面に付着する燃料がほとんど無く、燃料が気化する際に気筒内の空気を効率良く冷却することができる。また、燃料が噴射されるときには吸気弁が閉じられているので、吸入空気が冷却され体積が減少したとしても充填効率が上昇しない。従って、充填効率を上げずに気筒内の混合気の温度を低下させることができるので、圧縮時の気筒内の圧力及び温度を低下させることが可能となる。
【0011】
本発明に係る内燃機関制御装置は、吸気弁の閉弁時期を可変とする可変動弁機構をさらに備え、温間始動時又は温間発進時には、可変動弁機構が、吸気弁の閉弁時期を進角させることが好ましい。
【0012】
この場合、吸気弁の閉弁時期が進角されることにより、燃料噴射時期を進角させることができる。そのため、気筒内に噴射された燃料の気化時間をより長く取ることができる。これにより燃料の気化が促進され冷却効果をさらに高めることが可能となる。
【0013】
本発明に係る内燃機関制御装置は、燃料噴射手段により噴射される燃料の圧力を可変とする燃料圧力可変手段をさらに備え、温間始動時又は温間発進時には、燃料圧力可変手段が、燃料圧力を高圧化することが好ましい。
【0014】
この場合、燃料圧力が高圧化されることにより、噴射される燃料がより微粒化される。これにより燃料の気化が促進され冷却効果をさらに高めることが可能となる。
【0015】
本発明に係る内燃機関制御装置では、温間始動時又は温間発進時には、燃料噴射時期制御手段が、吸気弁閉弁後に燃料を分割して噴射するように燃料噴射時期を設定することが好ましい。
【0016】
高温の排気ガスが排出される排気弁近辺は温度が高いため、排気弁付近に滞留している混合気は高温になり易い。本発明に係る内燃機関制御装置によれば、燃料が複数回に分割されて噴射されることにより、気筒内の混合気が流動させられる。これにより、排気弁付近に滞留している高温の混合気を流動させることができるので、一部の混合気が集中的に加熱され高温になることを防止することが可能となる。
【0017】
本発明に係る内燃機関制御装置は、機関回転数を検出する機関回転数検出手段をさらに備え、温間始動時又は温間発進時において、機関回転数が所定値以下の場合に、燃料噴射時期制御手段が、吸気弁が閉弁された後に燃料が噴射されるように燃料噴射時期を設定することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、異常燃焼の発生しやすい低回転時、即ち、混合気の圧縮時間が長く混合気が高温高圧状態におかれる時間が長い場合に、燃料噴射時期を吸気弁閉弁後に設定することができる。
【0019】
本発明に係る内燃機関制御装置は、アイドル回転数を可変とするアイドル回転数可変手段と、機関温度に対応した温度を検出する温度検出手段とをさらに備え、アイドル回転数可変手段が、上記温度が所定値より低い場合には、上記温度が上昇するほどアイドル回転数を低下させ、上記温度が所定値以上の場合には、上記温度が上昇するほどアイドル回転数を上昇させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る内燃機関制御装置によれば、アイドル回転数が上昇させられることにより、混合気の圧縮時間が短縮される。これにより、混合気が高温高圧状態におかれる時間を短縮ことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
まず、図1を用いて、本実施形態に係る内燃機関制御装置1の構成について説明する。内燃機関であるエンジン10は、直接噴射式のものであり、燃焼室11に直接燃料を噴射するインジェクタ12を備えている。インジェクタ12は、加圧された燃料を燃焼室11へ供給する燃料噴射手段であり、例えばエンジン10に設けたシリンダ(気筒)13ごとに設置される。
【0023】
燃焼室11は、シリンダ13内に配設されたピストン14の上方に形成されている。燃焼室11の上方には、吸気ポート15及び排気ポート16が開口しており、吸気ポート15には吸気弁17が配設され、排気ポート16には排気弁18が配設されている。吸気ポート15は燃焼室11に空気を供給するための吸気口であり、吸気弁17により開閉される。排気ポート16は燃焼室11の燃焼ガスを排出するための排出口であり、排気弁18により開閉される。また、燃焼室11の上部には、点火装置19が設置されている。
【0024】
エンジン10には、可変バルブタイミング機構20が設けられている。可変バルブタイミング機構20は、吸気弁17の上方に配設されており、吸気弁17の開閉タイミングを変化させる。即ち、可変バルブタイミング機構20は可変動弁機構として機能する。また、可変バルブタイミング機構20には、カムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ21が取り付けられている。
【0025】
エンジン10のクランクシャフト25には、クランクシャフト25の回転位置を検出するクランクポジションセンサ26が設置されている。クランクポジションセンサ26は、電子制御装置(以下「ECU」という)70に接続されている。なお、ECU70では、クランクポジションセンサ26からのパルス信号に基づいてエンジン回転数が算出される。即ち、クランクポジションセンサ26は、機関回転数検出手段として機能する。また、エンジン10には、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ27が取り付けられている。
【0026】
インジェクタ12には、デリバリーパイプ30が接続されている。デリバリーパイプ30は、高圧燃料ポンプ31から燃料配管32を通じて圧送されてきた燃料を各インジェクタ12に分配するものである。このデリバリーパイプ30には、燃料の圧力を検出する圧力センサ33が設けられている。高圧燃料ポンプ31は、燃料タンク35から低圧燃料ポンプ36により吸い上げられた燃料を、運転状態に応じて高圧(例えば、8〜13MPa)に昇圧してデリバリーパイプ30へ供給する。このように、高圧燃料ポンプ31は、燃料圧力可変手段として機能するものである。高圧燃料ポンプ31としては、例えばエンジン10によって駆動される、電子制御プランジャー式フューエルポンプ等が用いられる。
【0027】
吸気ポート15には、インテークマニホールド40が接続されている。インテークマニホールド40の上流には、サージタンク41を介して吸気管42が結合されている。この吸気管42には、電子制御スロットルバルブ50が設置されている。電子制御スロットルバルブ50は、ステッピングモータやDCモータ等の電動モータ51の駆動により、その開閉状態が操作される。電子制御スロットルバルブ50の開度は、スロットル開度センサ52により検出される。また、アクセルペダル開度センサ60が設けられており、アクセルペダル61の踏込み量、即ちアクセルペダル開度が検出される。さらに、サージタンク41には吸気管圧力を検出する吸気圧センサ43が取り付けられている。
【0028】
ECU70には、上記カムポジションセンサ21、クランクポジションセンサ26、水温センサ27、スロットル開度センサ52、アクセルペダル開度センサ60及び吸気圧センサ43などが接続されている。
【0029】
また、ECU70は、インジェクタ12を駆動するインジェクタドライバ及び電動モータ51を駆動するモータドライバを備えている。さらに、ECU70は、高圧燃料ポンプ31を構成する電磁弁を駆動する駆動回路及び点火信号を出力する出力回路などを備えている。
【0030】
ECU70は、その内部に演算を行うマイクロプロセッサ、このマイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM及び図示しない12Vバッテリによってその記憶内容が保持されるバックアップRAM等を有している。
【0031】
そして、これらによって、ECU70の内部には、インジェクタ12により燃料が噴射される燃料噴射時期を設定する燃料噴射時期制御部70aなどが構築されている。即ち、ECU70は、燃料噴射時期制御手段として機能する。
【0032】
次に、図2を用いて、内燃機関制御装置1の動作について説明する。図2は、内燃機関制御装置1による温間始動時の燃料噴射時期制御の処理手順を示すフローチャートである。この燃料噴射時期制御は、エンジン10の回転に同期して起動され、実行される。
【0033】
ステップS100では、エンジン10の冷却水温度THWが水温センサ27から読み込まれ、スロットル開度TAがスロットル開度センサ52から読み込まれる。また、クランクポジションセンサ26からのパルス信号に基づいて算出されたエンジン回転数NE等が読み込まれる。
【0034】
続くステップS102では、ステップS100で読み込まれたエンジン回転数NE等に基づいて基本バルブタイミングVTbaseが求められる。より具体的には、ECU70のROMには、スロットル開度TA等から求められるエンジン負荷とエンジン回転数NEとバルブタイミングとの関係を定めたマップ(バルブタイミングマップ)が記憶されている。そして、このバルブタイミングマップが、エンジン負荷とエンジン回転数NEとに基づいて検索され、基礎となるバルブタイミングが求められる。さらに、この基礎となるバルブタイミングが冷却水温度THWにより補正されて基本バルブタイミングVTbaseが算出される。
【0035】
続くステップS104では、ステップS100で読み込まれたエンジン回転数NE等に基づいて基本燃料噴射時期AINJbaseが求められる。より具体的には、ECU70のROMには、エンジン負荷とエンジン回転数NEと燃料噴射時期との関係を定めたマップ(燃料噴射時期マップ)が記憶されている。そして、この燃料噴射時期マップが、エンジン負荷とエンジン回転数NEとに基づいて検索され、基礎となる燃料噴射時期が求められる。さらに、この基礎となる燃料噴射時期が冷却水温度THWにより補正されて基本燃料噴射時期AINJbaseが算出される。
【0036】
次にステップS106では、エンジン10の暖機状態の判断が行われる。具体的には、ステップS100で読み込まれた冷却水温度THWが所定温度THWbase以上であるか否かについて判断が行われる。ここで、冷却水温度THWが所定温度THWbase以上である場合には、暖機終了後の温間時であると判断されてステップS108に処理が移行する。
【0037】
一方、冷却水温度THWが所定温度THWbaseより低いときには、暖機が終了していない冷間時であると判断され、ステップS114に処理が移行する。ステップS114では、ステップS104で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0038】
ステップS106が肯定された場合、即ち温間時と判断されたときには、ステップS108においてエンジン始動中であるか否かについての判断が行われる。具体的には、ステップS100で読み込まれたエンジン回転数NEが所定回転数NEbase1以下であるか否かについて判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase1以下である場合には、エンジン始動中であると判断されてステップS110に処理が移行する。
【0039】
一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase1より高いときには、エンジン始動が終了していると判断され、ステップS114に処理が移行する。ステップS114では、ステップS104で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0040】
ステップS108が肯定された場合、即ちエンジン始動中と判断されたときには、ステップS110において燃料噴射時期補正量AINJtempの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、基本バルブタイミングVTbaseと基本燃料噴射時期AINJbaseと燃料噴射時期補正量AINJtempとの関係を定めたマップ(燃料噴射時期補正量マップ)が記憶されている。そして、この燃料噴射時期補正量マップが、基本バルブタイミングVTbaseと基本燃料噴射時期AINJbaseとに基づいて検索され、燃料噴射時期補正量AINJtempが求められる。
【0041】
続くステップS112では、ステップS104で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseと、ステップS110で求められた燃料噴射時期補正量AINJtempとが加算され、その加算値が最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。この場合、基本燃料噴射時期AINJbaseが遅角側に補正されるため、図3(a)に示されるように、吸気弁17が閉弁された後の下死点(BDC)近傍でインジェクタ12が駆動されて燃料が噴射される。
【0042】
一方、基本燃料噴射時期AINJbaseに対して補正が行われない従来の燃料噴射時期は、図3(b)に示されるように、ピストン14が上死点(TDC)近傍に位置する吸気行程の初期段階に設定されている。このため、吸気弁17が開弁された直後の上死点近傍でインジェクタ12が駆動され、燃料噴射が行われる。
【0043】
図4に、本実施形態における燃料噴射時期及び従来技術における燃料噴射時期により燃料噴射を行ったときの筒内圧力変化の比較を示す。図4において、実線は本実施形態における燃料噴射時期で燃料噴射を行った場合の筒内圧力の変化を示し、点線は従来技術における燃料噴射時期で燃料噴射を行った場合の筒内圧力の変化を示す。
【0044】
従来技術における燃料噴射時期で燃料噴射を行った場合では、プレイグニッションが発生しているため、点火装置19による点火が行われる前に筒内圧力が立ち上がり、筒内圧力の最大値が上死点前にきている。
【0045】
一方、本実施形態における燃料噴射時期で燃料噴射を行った場合には、プレイグニッション等の異常燃焼が発生しておらず、筒内圧力の最大値が上死点後約10度あたりに位置する正常な筒内圧力波形となっている。
【0046】
図5は、燃料噴射時期と異常燃焼が発生するエンジン負荷との関係(異常燃焼発生領域)を示す図である。図5に示されるように、燃料噴射時期を吸気上死点から吸気下死点側へ遅角(図5において右側)していくにしたがい、異常燃焼の発生するエンジン負荷が高負荷側にずれる。このように、燃料噴射時期を遅角するほど異常燃焼発生領域が減少し、吸気下死点後に燃料噴射を行った場合には、異常燃焼は発生しない。
【0047】
本実施形態では、エンジン負荷が高負荷となる温間始動時には、ピストン14が下死点近傍に位置する吸気弁閉弁後に燃料噴射が行われるように目標燃料噴射時期AINJfinが設定される。このようなタイミングで燃料が噴射された場合、ピストン頂面に付着する燃料がほとんど無く、燃料が気化する際に気筒内の空気を効率良く冷却することができる。また、燃料が噴射されるときには吸気弁17が閉じられているので、吸入空気が冷却され体積が減少しても充填効率が上昇しない。これにより、充填効率を上げずに気筒内の温度を低下させることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0048】
次に、図6を参照して内燃機関制御装置1による温間発進時の燃料噴射時期制御について説明する。図6のフローチャートに示される処理手順が図2のフローチャートに示される処理手順と異なるのは、ステップS208及びステップS210において低回転域で電子制御スロットルバルブ50が所定値より大きく開弁されているか否か、即ち発進時であるか否かの判断が追加されている点である。なお、このステップS208及びステップS210以外の処理手順は、上述した図2のフローチャートにおける処理手順と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0049】
ステップS208では、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下の場合には、ステップS210に処理が移行する。一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2より高い場合には、車両発進時ではないと判断されてステップS216に処理が移行する。なお、ステップS216では、ステップS204で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0050】
ステップS210では、スロットル開度TAが所定のスロットル開度TAbaseより大きいか否か、即ち、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)が1より大きいか否かが判断される。ここで、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)>1の場合、ステップS212において燃料噴射時期補正量AINJtempが求められ、続くステップS214において、ステップS204で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseと、ステップS212で求められた燃料噴射時期補正量AINJtempとが加算され、その加算値が最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。この場合、基本燃料噴射時期AINJbaseが遅角側に補正されるため、図3(a)に示されるように、吸気弁17が閉弁された後の下死点(BDC)近傍でインジェクタ12が駆動されて燃料が噴射される。
【0051】
一方、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)≦1の場合、ステップS216において、ステップS204で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0052】
本実施形態によれば、エンジン負荷が高負荷となる温間発進時には、ピストン14が下死点近傍に位置する吸気弁閉弁後に燃料噴射が行われるように目標燃料噴射時期AINJfinが設定される。このようなタイミングで燃料が噴射された場合、ピストン頂面に付着する燃料がほとんど無く、燃料が気化する際に気筒内の空気を効率良く冷却することができる。また、燃料が噴射されるときには吸気弁が閉じられているので、吸入空気が冷却され体積が減少しても充填効率が上昇しない。これにより、充填効率を上げずに気筒内の温度を低下させることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0053】
次に、図7を参照して内燃機関制御装置1による温間始動時のバルブタイミング制御について説明する。図7は、内燃機関制御装置1による温間始動時のバルブタイミング制御の処理手順を示すフローチャートである。このバルブタイミング制御は、エンジン10の回転に同期して起動され、実行される。
【0054】
ステップS300,S302における処理内容は、図2のフローチャートに示されるステップS100,S102と同一である。また、ステップS304,S306における処理内容は、上記ステップS106,S108と同一である。よって、ここではステップS300,S302,S304及びS306の説明を省略する。
【0055】
ステップS304又はS306が否定された場合、即ち冷間時、若しくは始動中ではないと判断された場合、ステップS312に処理が移行する。ステップS312では、ステップS302で求められた基本バルブタイミングVTbaseが最終的な目標バルブタイミングVTfinとして設定される。
【0056】
一方、ステップS304及びS306が共に肯定された場合、即ち温間始動時であると判断された場合には、ステップS308においてバルブタイミング補正量VTtempの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、エンジン回転数NEとエンジン負荷とバルブタイミング補正量VTtempとの関係を定めたマップ(バルブタイミング補正量マップ)が記憶されている。そして、このバルブタイミング補正量マップが、エンジン回転数NEとエンジン負荷とに基づいて検索され、バルブタイミング補正量VTtempが求められる。
【0057】
続くステップS310では、ステップS302で求められた基本バルブタイミングVTbaseと、ステップS308で求められたバルブタイミング補正量VTtempとが加算され、その加算値が最終的な目標バルブタイミングVTfinとして設定される。この場合、基本バルブタイミングVTbaseが進角側に補正されるため、図8に示されるように、吸気弁17の開閉タイミングが進角(図8において左側)するように可変バルブタイミング機構20が駆動される。
【0058】
本実施形態によれば、エンジンの負荷が高負荷となる温間始動時には、吸気弁17の閉弁タイミングが進角されるので、燃料噴射時期を進角させることができる。これにより、気筒内に噴射された燃料の気化時間をより長く取ることができため、燃料の気化が促進され冷却効果がさらに高められる。また、燃料が噴射されるときには吸気弁17が閉じられているので、吸入空気が冷却され体積が減少しても充填効率が上昇しない。これにより、充填効率を上昇させずに気筒内の温度を下げることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0059】
次に、図9を参照して内燃機関制御装置1による温間発進時のバルブタイミング制御について説明する。図9のフローチャートに示される処理手順が図7のフローチャートに示される処理手順と異なるのは、ステップS406及びステップS408において低回転域で電子制御スロットルバルブ50が所定値より大きく開弁されているか否か、即ち発進時であるか否かの判断が追加されている点である。なお、このステップS406及びステップS408以外の処理手順は、上述した図7のフローチャートにおける処理手順と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0060】
ステップS406では、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下の場合には、ステップS408に処理が移行する。一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2より高い場合には、車両発進時ではないと判断されてステップS414に処理が移行する。なお、ステップS414では、ステップS402で求められた基本バルブタイミングVTbaseが最終的な目標バルブタイミングVTfinとして設定される。
【0061】
ステップS408では、スロットル開度TAが所定のスロットル開度TAbaseより大きいか否か、即ち、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)が1より大きいか否かが判断される。ここで、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)>1の場合、ステップS410においてバルブタイミング補正量VTtempが求められ、続くステップS412において、ステップS402で求められた基本バルブタイミングVTbaseと、ステップS410で求められたバルブタイミング補正量VTtempとが加算され、その加算値が最終的な目標バルブタイミングVTfinとして設定される。この場合、基本バルブタイミングVTbaseが進角側に補正されるため、図8に示されるように、吸気弁17の開閉タイミングが進角するように可変バルブタイミング機構20が駆動される。
【0062】
一方、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)≦1の場合、ステップS414において、ステップS402で求められた基本バルブタイミングVTbaseが最終的な目標バルブタイミングVTfinとして設定される。
【0063】
本実施形態によれば、エンジン負荷が高負荷となる温間発進時には、吸気弁17の閉弁タイミングが進角されるので、燃料噴射時期を進角させることができる。これにより、気筒内に噴射された燃料の気化時間をより長く取ることができため、燃料の気化が促進され冷却効果がさらに高められる。また、燃料が噴射されるときには吸気弁が閉じられているので、吸入空気が冷却され体積が減少しても充填効率が上昇しない。これにより、充填効率を上昇させずに気筒内の温度を下げることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0064】
次に、図10を参照して内燃機関制御装置1による温間発進時のアイドル回転数制御について説明する。図10は、内燃機関制御装置1による温間発進時のアイドル回転数制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS500における処理内容は、図6のフローチャートに示されるステップS200の処理内容と同一である。また、ステップS502,S504,S506における処理内容は、上記ステップS206,S208,S210と同一である。よって、ここではステップS500,S502,S504及びS506の説明を省略する。
【0066】
ステップS502,S504又はS506が否定された場合、即ち冷間時、若しくは発進中ではないと判断された場合、ステップS512に処理が移行する。ステップS512では、冷却水温度THWに応じて算出された基本アイドル回転数NEbaseが最終的な目標アイドル回転数NEbaseとして設定される。
【0067】
一方、ステップS502,S504及びS506が全て肯定された場合、即ち温間発進時であると判断された場合には、ステップS508においてアイドル回転数補正量NEtempの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、エンジン温度に対応した温度である冷却水温度THWとアイドル回転数補正量NEtempとの関係を定めたマップ(アイドル回転数補正量マップ)が記憶されている。そして、このアイドル回転数補正量マップが、冷却水温度THWに基づいて検索され、アイドル回転数補正量NEtempが求められる。なお、アイドル回転数補正量マップは、所定の冷却水温度THWbase以上の領域で、冷却水温度THWが上昇するほどアイドル回転数正量NEtempが上昇するように設定されている。
【0068】
続くステップS510では、冷却水温度THWに応じて算出された基本アイドル回転数NEbaseと、ステップS508で求められたアイドル回転数補正量NEtempとが加算され、その加算値が最終的な目標アイドル回転数NEfinとして設定される。この場合、基本アイドル回転数NEbaseが冷却水温度THWに応じて高回転側に補正されるため、図11に示されるように、所定の冷却水温度THWbase以上の領域において、冷却水温度THWが上昇するほどアイドル回転数が上昇するように電子制御スロットルバルブ50等が駆動される。
【0069】
本実施形態によれば、アイドル回転数が上昇させられるため、混合気の圧縮時間が短縮される。これにより、混合気が高温高圧状態におかれる時間が短縮されるので、プレイグニッション等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0070】
次に、図12を参照して内燃機関制御装置1による温間始動時の燃料圧力制御について説明する。図12は、内燃機関制御装置1による温間始動時の燃料圧力制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS600では、エンジン10の冷却水温度THWが水温センサ27から読み込まれ、スロットル開度TAがスロットル開度センサ52から読み込まれる。また、クランクポジションセンサ26からのパルス信号に基づいて算出されたエンジン回転数NE等が読み込まれる。
【0072】
ステップS602では、基本燃料圧力PFbaseの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、エンジン回転数NEとエンジン負荷と基本燃料圧力PFbaseとの関係を定めたマップ(基本燃料圧力マップ)が記憶されている。そして、この基本燃料圧力マップが、エンジン回転数NEとエンジン負荷とに基づいて検索され、基本燃料圧力PFbaseが求められる。
【0073】
次にステップS604では、エンジン10の暖機状態の判断が行われる。具体的には、ステップS600で読み込まれた冷却水温度THWが所定温度THWbase以上であるか否かについて判断が行われる。ここで、冷却水温度THWが所定温度THWbase以上である場合には、暖機終了後の温間時であると判断されてステップS606に処理が移行する。
【0074】
一方、冷却水温度THWが所定温度THWbaseより低いときには、暖機が終了していない冷間時であると判断され、ステップS612に処理が移行する。ステップS612では、ステップS602で求められた基本燃料圧力PFbaseが最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。
【0075】
ステップS604が肯定された場合、即ち温間時と判断されたときには、ステップS606においてエンジン始動中であるか否かについての判断が行われる。具体的には、ステップS600で読み込まれたエンジン回転数NEが所定回転数NEbase1以下であるか否かについて判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase1以下である場合には、エンジン始動中であると判断されてステップS608に処理が移行する。
【0076】
一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase1より高いときには、エンジン始動が終了していると判断され、ステップS612に処理が移行する。ステップS612では、ステップS602で求められた基本燃料圧力PFbaseが最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。
【0077】
ステップS606が肯定された場合、即ちエンジン始動中と判断されたときには、ステップS608において燃料圧力補正量PFtempの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、エンジン回転数NEとエンジン負荷と燃料圧力補正量PFtempとの関係を定めたマップ(燃料圧力補正量マップ)が記憶されている。そして、この燃料圧力補正量マップが、エンジン回転数NEとエンジン負荷とに基づいて検索され、燃料圧力補正量PFtempが求められる。
【0078】
続くステップS610では、ステップS602で求められた基本燃料圧力PFbaseと、ステップS608で求められた燃料圧力補正量PFtempとが加算され、その加算値が最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。この場合、基本燃料圧力PFbaseが高圧側に補正されるため、燃料圧力が上昇されるように高圧燃料ポンプ31が駆動される。
【0079】
本実施形態によれば、エンジン10の負荷が高負荷となる温間始動時には、燃料圧力が高圧化されることにより、噴射される燃料がより微粒化される。これにより燃料の気化が促進され冷却効果をさらに高めることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0080】
次に、図13を参照して内燃機関制御装置1による温間発進時の燃料圧力制御について説明する。図13は、内燃機関制御装置1による温間発進時の燃料圧力制御の処理手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートに示される処理手順が図12のフローチャートに示される処理手順と異なるのは、ステップS706及びステップS708において低回転域で電子制御スロットルバルブ50が所定値より大きく開弁されているか否か、即ち発進時であるか否かの判断が追加されている点である。なお、このステップS706及びステップS708以外の処理手順は、上述した図12のフローチャートにおける処理手順と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0081】
ステップS706では、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下の場合には、ステップS708に処理が移行する。一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2より高い場合には、車両発進時ではないと判断されてステップS714に処理が移行する。なお、ステップS714では、ステップS702で求められた基本燃料圧力PFbaseが最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。
【0082】
ステップS708では、スロットル開度TAが所定のスロットル開度TAbaseより大きいか否か、即ち、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)が1より大きいか否かが判断される。ここで、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)>1の場合、ステップS710において燃料圧量補正量PFtempが求められ、続くステップS712において、ステップS702で求められた基本燃料圧力PFbaseと、ステップS710で求められた燃料圧力補正量PFtempとが加算され、その加算値が最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。この場合、基本燃料圧力PFbaseが高圧側に補正されるため、燃料圧力が上昇されるように高圧燃料ポンプ31が駆動される。
【0083】
一方、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)≦1の場合、ステップS714において、ステップS702で求められた基本燃料圧量PFbaseが最終的な目標燃料圧力PFfinとして設定される。
【0084】
本実施形態によれば、エンジン10の負荷が高負荷となる温間発進時には、燃料圧力が高圧化されることにより、噴射される燃料がより微粒化される。これにより燃料の気化が促進され冷却効果をさらに高めることができるので、圧縮行程における気筒内の圧力及び温度が低下し、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0085】
次に、図14を参照して内燃機関制御装置1による温間始動時の分割噴射制御について説明する。図14は、内燃機関制御装置1による温間始動時の分割噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。この分割噴射制御は、エンジン10の回転に同期して起動され、実行される。
【0086】
ステップS800〜S808における処理内容は、図2のフローチャートに示されるステップS100〜S108と同一である。よって、ここではステップSS800〜S808の説明を省略する。
【0087】
ステップS806又はS808が否定された場合、即ち冷間時、若しくは始動中ではない場合、ステップS814に処理が移行する。ステップS814では、分割噴射が行われることなく、ステップS804で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0088】
一方、ステップS806及びS808が共に肯定された場合、即ち温間始動時であると判断された場合には、ステップS810においてメイン燃料噴射時期AINJmainの算出が行われる。ここで、メイン燃料噴射時期AINJmainの噴き始めタイミングは、基本燃料噴射時期AINJbaseの噴き始めタイミングと同一に設定される。また、メイン噴射(主噴射)の燃料噴射時間は、総燃料噴射時間からサブ噴射(補助噴射)の燃料噴射時間を引いた値が設定される。そのため、メイン燃料噴射時期AINJmainの噴き終わりタイミングは、基本燃料噴射時期AINJbaseの噴き終わりタイミングと比較して、サブ噴射(補助噴射)の噴射時間だけ早くなる。
【0089】
次にステップS812において、サブ燃料噴射時期AINJsubの算出が行われる。具体的には、ECU70のROMには、エンジン回転数NEとサブ燃料噴射時期AINJsubとの関係を定めたマップ(サブ燃料噴射時期マップ)が記憶されている。そして、このサブ燃料噴射時期マップが、エンジン回転数NEに基づいて検索され、サブ燃料噴射時期AINJsubが求められる。
【0090】
ここで、サブ燃料噴射時期マップは、図15に示されるように、エンジン回転数NEが上昇するほどサブ燃料噴射時期AINJsubが下死点(BDC)側に進角するように設定されている。これは、サブ噴射により噴射された燃料が排気弁18に到達する時間を考慮したものである。また、サブ噴射(補助噴射)の燃料噴射量は、一定量又はメイン噴射の燃料噴射量に対し同一比とされ、エンジン10の運転状態に影響されない。
【0091】
この場合、図16に示されるように、メイン噴射は、吸気弁17が閉弁された後の下死点近傍で行われる。また、サブ噴射は、点火直前の圧縮上死点近傍で行われる。
【0092】
高温の排気ガスが排出される排気弁近辺は温度が高いため、排気弁付近に滞留している混合気は高温になり易い。本実施形態によれば、温間始動時にサブ噴射が行われることにより、排気弁付近に滞留している高温の混合気が流動させられるので、一部の混合気が集中的に加熱され高温になることが防止される。これにより、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0093】
次に、図17を参照して内燃機関制御装置1による温間発進時の分割噴射制御について説明する。図17は、内燃機関制御装置1による温間発進時の分割噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。図17のフローチャートに示される処理手順が図14のフローチャートに示される処理手順と異なるのは、ステップS908及びステップS910において低回転域で電子制御スロットルバルブ50が所定値より大きく開弁されているか否か、即ち発進時であるか否かの判断が追加されている点である。なお、このステップS908及びステップS910以外の処理手順は、上述した図14のフローチャートにおける処理手順と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0094】
ステップS908では、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2以下の場合には、ステップS910に処理が移行する。一方、エンジン回転数NEが所定回転数NEbase2より高い場合には、車両発進時ではないと判断されてステップS916に処理が移行する。ステップS916では、分割噴射が行われることなく、ステップS904で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0095】
ステップS910では、スロットル開度TAが所定のスロットル開度TAbaseより大きいか否か、即ち、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)が1より大きいか否かが判断される。ここで、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)>1の場合、ステップS912においてメイン燃料噴射時期AINJmainが設定され、続くステップS914において、サブ燃料噴射時期AINJsubが設定される。
【0096】
この場合、図16に示されるように、メイン噴射は、吸気弁17が閉弁された後の下死点近傍で行われる。また、サブ噴射は、点火直前の圧縮上死点近傍で行われる。
【0097】
一方、(スロットル開度TA/所定のスロットル開度TAbase)≦1の場合、分割噴射が行われることなく、ステップS916において、ステップS904で求められた基本燃料噴射時期AINJbaseが最終的な目標燃料噴射時期AINJfinとして設定される。
【0098】
高温の排気ガスが排出される排気弁近辺は温度が高いため、排気弁付近に滞留している混合気は高温になり易い。本実施形態によれば、温間発進時にサブ噴射が行われることにより、排気弁付近に滞留している高温の混合気が流動させられるので、一部の混合気が集中的に加熱され高温になることが防止される。これにより、プレイグニッションやノッキング等の異常燃焼を抑制することが可能となる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、エンジン10の暖機状態の検出では、冷却水温度THWを用いたが、エンジン温度、吸気温度又は油温等を用いてもよい。また、上記実施形態では、サブ噴射により燃焼室11内に対流を発生させたが、スワールやタンブルにより対流を発生させてもよい。
【0100】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、温間始動時又は温間発進時には、吸気弁が閉弁された後に燃料が噴射されるように燃料噴射時期を設定する燃料噴射時期制御手段を備えた構成とすることにより、温間始動時や温間発進時において、異常燃焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る内燃機関制御装置の説明図である。
【図2】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間始動時の燃料噴射時期制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、実施形態に係る内燃機関制御装置における燃料噴射時期を示す図である。(b)は、従来技術における燃料噴射時期を示す図である。
【図4】実施形態に係る内燃機関制御装置における燃料噴射時期及び従来技術における燃料噴射時期により燃料噴射を行った場合の筒内圧力の変化を示す図である。
【図5】燃料噴射時期と異常燃焼が発生するエンジン負荷との関係(異常燃焼発生領域)を示す図である。
【図6】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間発進時の燃料噴射時期制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間始動時のバルブタイミング制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係る内燃機関制御装置によるバルブタイミング制御が行われた場合の燃料噴射時期を示す図である。
【図9】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間発進時のバルブタイミング制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間発進時のアイドル回転数制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る内燃機関制御装置によるアイドル回転数制御が行われた場合の冷却水温度とアイドル回転数との関係を示す図である。
【図12】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間始動時の燃料圧力制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間発進時の燃料圧力制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間始動時の分割噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施形態に係る内燃機関制御装置におけるサブ噴射時期マップの一例を示す図である。
【図16】実施形態に係る内燃機関制御装置による分割噴射制御が実行された場合の燃料噴射時期を示す図である。
【図17】実施形態に係る内燃機関制御装置による温間発進時の分割噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関制御装置、10…エンジン、12…インジェクタ、20…可変バルブタイミング機構、21…カムポジションセンサ、26…クランクポジションセンサ、27…水温センサ、31…高圧燃料ポンプ、43…吸気圧センサ、50…電子制御スロットルバルブ、52…スロットル開度センサ、60…アクセルペダル開度センサ、70…ECU、70a…燃料噴射時期制御部。

Claims (6)

  1. 内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射手段と、
    前記燃料噴射手段により燃料が噴射される燃料噴射時期を設定する燃料噴射時期制御手段と
    を備え、
    前記燃料噴射時期制御手段は、温間始動時又は温間発進時には、吸気弁が閉弁された後に燃料が噴射されるように前記燃料噴射時期を設定する
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 前記吸気弁の閉弁時期を可変とする可変動弁機構をさらに備え、
    前記可変動弁機構は、温間始動時又は温間発進時には、前記吸気弁の閉弁時期を進角させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記燃料噴射手段により噴射される燃料の圧力を可変とする燃料圧力可変手段をさらに備え、
    前記燃料圧力可変手段は、温間始動時又は温間発進時には、前記燃料圧力を高圧化する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記燃料噴射時期制御手段は、温間始動時又は温間発進時には、吸気弁閉弁後に燃料を分割して噴射するように前記燃料噴射時期を設定する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関制御装置。
  5. 機関回転数を検出する機関回転数検出手段をさらに備え、
    前記燃料噴射時期制御手段は、温間始動時又は温間発進時において、前記機関回転数が所定値以下の場合に、前記吸気弁が閉弁された後に燃料が噴射されるように前記燃料噴射時期を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  6. アイドル回転数を可変とするアイドル回転数可変手段と、
    機関温度に対応した温度を検出する温度検出手段と
    をさらに備え、
    前記アイドル回転数可変手段は、前記温度が所定値より低い場合には、前記温度が上昇するほど前記アイドル回転数を低下させ、前記温度が前記所定値以上の場合には、前記温度が上昇するほど前記アイドル回転数を上昇させる
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
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