JP2005009277A - 断熱パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は不要になった畳床を断熱材とした、建築用の断熱パネルに関するものである。
【解決手段】不要になった畳床から、断熱パネル枠組に合わせて断熱材ブロックを切り出し、防腐・防蟻の目的でホウ酸塩処理したのち防蟻処理したケースに入れ、ケースごとパネル芯材内に装填し、面材を接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】不要になった畳床から、断熱パネル枠組に合わせて断熱材ブロックを切り出し、防腐・防蟻の目的でホウ酸塩処理したのち防蟻処理したケースに入れ、ケースごとパネル芯材内に装填し、面材を接合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築用断熱パネルに関する。さらに詳しくは、不要になった畳床を断熱材として再利用する資源循環型の建築用断熱パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築用断熱パネルは、パネル枠組内に断熱材を装填し、両面に面材を接合したもので、省エネルギーや遮音等の目的で建築用途に広く利用されている。
【0003】
断熱材としては、空気を含みやすいガラス繊維、セルロースファイバー、のような繊維集合体やポリスチレンフォーム、ウレタンフォームのようなプラスチック発泡体が広く用いられている。
【0004】
一方、畳床は、日本の伝統的な建築材料で、元来は乾燥した藁を圧縮成形して製造されるが、近年は畳床を形成する藁の一部または全部を発泡プラスチックやインシュレーションボード等の軽量断熱材で置き換える、いわゆる化学畳や建材畳が大半を占めている。
【0005】
建築用断熱パネルに使用される断熱材のうち、プラスチック発泡体は非循環型資源であり、不要になった場合の廃棄処分が難しく、リサイクルが課題となっている。ガラス繊維はエネルギー消費型の製品で、取り扱いや接着剤の使用等の問題がある。循環型資源のセルロースファイバーは微細な繊維を壁や天井に吹き込んで使用するが、建物を解体したあとの取り扱いが今後の課題である。
【0006】
一方、わが国では年間1千万枚以上の畳床が不要品として放出されているが、環境規制の進む中で、その廃棄やリサイクルは社会問題となりつつある。藁畳床は、ほとんどが天然の稲藁であるが、滑り性を改善するため裏面にプラスチックシートを付ける場合が多い。また、ダニ防除のため、各種の防虫紙が挿入されていることもある。さらに、圧縮形状を保つため、全ての畳床は畳糸で縫い合わされている。このため、藁畳床を構成素材に分解するにはかなりの労力を要する。
【0007】
化学畳畳は軽量で取り扱いは便利であるが、廃棄やリサイクルに際して発泡プラスチックボードの処分が問題となる。また、建材畳では、原料の木材チップを固めるために使用される接着剤が、リサイクルの妨げとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑み提案されたものであって、不要となった畳床を、そのまま断熱材として建築用断熱パネルに組み入れることにより、畳床の廃棄・リサイクル問題を軽減しつつ、安価で性能の優れた建築用断熱パネルを提供しようとすものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明は、畳床又は畳床から切り出した直方体のブロックを、ホウ酸塩処理した状態で、断熱材としてパネル枠組に装填したのち、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネルである。
【0010】
また、第二の本発明は、第一の本発明において、パネル枠組を構成する枠組材と該枠組材に接合される面材がホウ酸塩処理した木質材料であることを特徴とする建築用断熱パネルである。
【0011】
さらに、第三の本発明は、第一の本発明において、畳床または畳床から切り出した直方体のブロックを一旦紙、不織布、プラスチックフィルム、ラミネートフィルム、木質板、合板等からなる規格化された寸法の容器に収納し、容器ごとパネル枠組に装填したのち、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネルである。
【0012】
さらに、第四の本発明は、第三の本発明において、容器を構成する紙、不織布、木質板、合板がホウ酸塩処理されていることを特徴とする建築用断熱パネルである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明でいう畳床とは、稲藁を圧縮したワラ床、藁の間にスチレンフォームを挟んだワラサンド床、インシュレーションボードを重ね合わせ、あるいはインシュレーションボードの間にスチレンフォームを挟んだ建材床など全ての市販畳床を含む。
【0014】
これらの畳床には、通常防虫シートや裏面材が畳糸で縫いつけられているが、畳床を切断する場合は、この構成を変えることはなく、横方向の寸法を調整するだけである。畳表は付けたままでも外してもよい。
【0015】
畳床を構成する稲ワラ、インシュレーションボード、紙などは、腐朽やシロアリの食害を被りやすい欠点がある。また、ポリスチレン発泡体はシロアリを誘引しやすい。この欠点を解消するため、本発明では、畳床をホウ酸塩で処理する。
【0016】
断熱材を収納する容器を構成する紙、木質材料、レーヨン不織布、木綿や羊毛等の天然繊維材料も同じ理由でホウ酸塩処理する。また、畳から切り出した断熱材ブロックを湿気から保護する必要のある場合は、収納容器をプラスチックシート、プラスチックフィルムやアルミフォイルを成分とするラミネート等の防水材料で作るか、あるいは撥水剤で処理するとよい。
【0017】
本発明でいうホウ酸塩とは、ホウ素のオキソ酸とその塩を総称するが、特に、ホウ酸、ホウ砂、八ホウ酸二ナトリウムがあげられる。八ホウ酸二ナトリウムは水によく溶解し、また植物組織に対する浸透性にすぐれている点で特に好ましい。また、木質ボードなどでは、防腐・防蟻の目的で、木材チップやファイバーにホウ酸塩を直接混合してもよい。
【0018】
ホウ酸塩処理は、処理すべき材料組織中にホウ酸塩を浸透させるため、該材料をホウ酸塩水溶液中に浸漬するか、溶液を直接散布するとよい。ホウ酸塩水溶液が浸透しにくい材料では、浸漬に際し、減圧や加圧を利用して、ホウ酸塩溶液の浸透を加速することもできる。
【0019】
合板、パーティクルボード、ファイバーボードのように単板、パーティクル、ファイバー等の原材料を接着、成形して面材とする場合には、原材料にホウ酸塩を浸透させ、あるいはホウ酸塩微粉を混合した後、接着成形してもよい。また、接着剤にホウ酸塩を添加し、接着してもよい。
【0020】
特殊な例としては、処理すべき材料中にアルコールとホウ酸塩との縮合物を浸透させ、加水分解により材料組織中にホウ酸を生成させることもある。
【0021】
発泡ポリスチレンやポリウレタンフォームのような親水性に乏しい合成材料の場合、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのいずれか、あるいは混合物をホウ酸塩と加熱縮合した粘調液体を散布あるいは塗布すると効果的である。また、上述の有機化合物成分は蒸気圧が極めて低いため、VOCの問題も起こらない。
【0022】
ホウ酸塩処理に際し材料に添加すべきホウ酸塩の量は、処理材料を攻撃する怖れのある劣化生物によって異なる。イエシロアリの生息地域では、生物劣化の対象となる材料の乾燥重量に対しホウ酸(H3BO3)換算で1.0重量パーセント(1.0wt%BAE)以上、好ましくは1.5wt%BAE以上がよい。イエシロアリが生息せず、ヤマトシロアリが生息する地域では、ホウ酸塩添加量は、材料に対し0.7wt%BAE以上、好ましくは1.0wt%BAE以上がよい。イエシロアリもヤマトシロアリも生息しない地域では、0.4wt%BAE以上、好ましくは0.6wt%BAEがよい。
【0023】
本発明では、断熱パネルを構成する材料を生物劣化から保護するための保存剤としてホウ酸塩を使用する。ホウ酸塩の室温における蒸気圧は実質的にゼロであり、VOC問題を起こす心配がない。また、哺乳類に対する毒性が微弱で、住宅用断熱材であるセルロースファイバーの防蟻・難燃剤として半世紀以上使用されている実績もある。また、ホウ酸塩は化学的に安定で、その防虫・防腐・防蟻効果は、処理材中にホウ酸塩が存在する限り持続する。
【0024】
本発明でいうパネル枠組、断熱材、面材との接合には、いろいろな例がある。建材床のように両面がきちんと規定されている場合は、両面に面材を接着すれば断熱ボードとして使用できる。しかし、性能や品質を一定水準に保つには、パネル枠組の構成に合わせて製造した断熱材ブロックまたは断熱材ブロックを収納した容器を枠組に装填し、枠組の両面に面材を釘や接着剤で固定する方法が好ましい。また、建設現場で壁などの枠組に断熱材ブロックまたは断熱材ブロックを収納した容器を装填したのち、面材を接合してもよい。
【0025】
断熱性能から要求される断熱材の厚さが断熱材ブロック1枚では十分でない場合は、2枚以上を一緒に装填してもよい。また、畳床を切断する場合に発生する寸法不足のブロックや畳表などをホウ酸塩処理し、適宜断熱材ブロック収納容器に補足的に充填してもよい。
【0026】
本発明でいう断熱材ブロック収納容器は、畳床を切断したために発生する屑を散乱させず、断熱材ブロックの取り扱いを容易にする。また、収納容器に撥水性、耐水性を付与することにより、断熱材を漏水や結露水から保護することができる。撥水性、耐水性を付与するには、収納容器を親水性の低いプラスチックフィルムで作るか、紙、木質材料、レーヨン不織布等を撥水材で処理する。また、これらの親水性材料にプラスチックフィルムやアルミニウム泊をラミネートしてもよい。また、断熱材ブロック収納容器に断熱材の構成や化学組成などを明示することにより、将来建物を解体する場合、分別が容易になる。
【0027】
本発明をさらに詳しく説明するために実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
畳床からの断熱材ブロックの切り出し
厚さ25mmのポリスチレンフォームを厚さ15mmのワラ層で挟んだ三層構造のワラサンド畳床2帖から、木工用丸鋸で385×800×55mmのブロック8個を切り出した。切り出した直方体断熱材の重量は8.92〜9.57kgであった。
【0028】
断熱材のホウ酸塩処理
平均分子量600のポリエチレングリコール10g、グリセリン20g、八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)1000gを水に溶解して5kgの処理溶液を調製した。このDOT20%水溶液で、上記の断熱材ブロック5個を次のように処理した。市販の園芸用噴霧器を用いて、ブロックの上面と側面に600gの処理液を散布した。ついで、裏面材に約100gの溶液を均一に散布し、溶液が畳糸の縫い孔を通してワラ層に吸収されるのを待ち、更に100gを散布する。このようにして合計400gの処理液を裏面に散布した。処理を終えた5個の断熱材ブロックは1週間室内で自然乾燥した後、80℃の熱風乾燥機中で24時間乾燥した。
【0029】
ポリスチレンフォームのホウ酸塩処理
ポリスチレンフォームは親水性に乏しいため、ホウ酸塩水溶液による処理だけでは不十分である。解決法として、米国NISUS社製のシロアリ防除剤
られた均一な粘調液体100ccを、DOT水溶液で処理、乾燥した断熱材ブロックのポリスチレンフォーム側面に刷毛で塗布した。塗布した粘調液体は自然にポリスチレンフォームに吸収された。
【0030】
断熱材ブロックの紙容器への収納
内寸390×805×57mmの段ボールケースを試作した。このケースを組み立てる前に、ケースの乾燥重量に対して約5%のDOTを15%水溶液として内外面に少量ずつ繰り返し散布し、自然乾燥した。
【0031】
DOT処理した段ボールケースを組み立て、このケースにホウ酸塩処理した断熱材ブロックを収納した。
【0032】
建築用断熱パネルの試作
AWPA規格C−32−02の耐イエシロアリ水準に準拠してDOT処理した断面50×60mmのサザンパイン材を用いて、第1図のような横桟型のパネル芯材を製作し、上述のホウ酸塩処理断熱ブロックを収納した段ボールケースを各々の区画に装填した後、パネルの両面に910×1820×12mmの構造用合板を木工用ボンドで接着、釘打ちした。ついで合板の外側面に15%DOT水溶液を2度散布し、自然乾燥し、断熱パネル試作品を完成させた。
【0033】
実施例2
ホウ酸塩処理した断熱材ブロックの防蟻性能評価
実施例1のワラサンド畳床から切り出した断熱材ブロックの未処理品とホウ酸塩処理品とを、イエシロアリの食害が進行している老朽した木造建築物(愛媛県松山市在)床下の蟻道上に並べ、厚手の防水シート(黒色)で覆い、5月初めから10月末まで半年間放置した。未処理材はワラ、ポリスチレンフォームとも顕著な食害が見られたが、ホウ酸塩処理材では食害は全く見られなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係わる建築用断熱パネルは、断熱材として使用済みの畳床を用いるので断熱性能も高く、また畳床の廃棄、リサイクル問題の一助ともなりうる。また、パネルに使用する天然由来の材料はホウ酸塩処理により劣化生物の被害から保護される。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明 の断熱パネルの試作に用いたパネル枠組の正面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は建築用断熱パネルに関する。さらに詳しくは、不要になった畳床を断熱材として再利用する資源循環型の建築用断熱パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築用断熱パネルは、パネル枠組内に断熱材を装填し、両面に面材を接合したもので、省エネルギーや遮音等の目的で建築用途に広く利用されている。
【0003】
断熱材としては、空気を含みやすいガラス繊維、セルロースファイバー、のような繊維集合体やポリスチレンフォーム、ウレタンフォームのようなプラスチック発泡体が広く用いられている。
【0004】
一方、畳床は、日本の伝統的な建築材料で、元来は乾燥した藁を圧縮成形して製造されるが、近年は畳床を形成する藁の一部または全部を発泡プラスチックやインシュレーションボード等の軽量断熱材で置き換える、いわゆる化学畳や建材畳が大半を占めている。
【0005】
建築用断熱パネルに使用される断熱材のうち、プラスチック発泡体は非循環型資源であり、不要になった場合の廃棄処分が難しく、リサイクルが課題となっている。ガラス繊維はエネルギー消費型の製品で、取り扱いや接着剤の使用等の問題がある。循環型資源のセルロースファイバーは微細な繊維を壁や天井に吹き込んで使用するが、建物を解体したあとの取り扱いが今後の課題である。
【0006】
一方、わが国では年間1千万枚以上の畳床が不要品として放出されているが、環境規制の進む中で、その廃棄やリサイクルは社会問題となりつつある。藁畳床は、ほとんどが天然の稲藁であるが、滑り性を改善するため裏面にプラスチックシートを付ける場合が多い。また、ダニ防除のため、各種の防虫紙が挿入されていることもある。さらに、圧縮形状を保つため、全ての畳床は畳糸で縫い合わされている。このため、藁畳床を構成素材に分解するにはかなりの労力を要する。
【0007】
化学畳畳は軽量で取り扱いは便利であるが、廃棄やリサイクルに際して発泡プラスチックボードの処分が問題となる。また、建材畳では、原料の木材チップを固めるために使用される接着剤が、リサイクルの妨げとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑み提案されたものであって、不要となった畳床を、そのまま断熱材として建築用断熱パネルに組み入れることにより、畳床の廃棄・リサイクル問題を軽減しつつ、安価で性能の優れた建築用断熱パネルを提供しようとすものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明は、畳床又は畳床から切り出した直方体のブロックを、ホウ酸塩処理した状態で、断熱材としてパネル枠組に装填したのち、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネルである。
【0010】
また、第二の本発明は、第一の本発明において、パネル枠組を構成する枠組材と該枠組材に接合される面材がホウ酸塩処理した木質材料であることを特徴とする建築用断熱パネルである。
【0011】
さらに、第三の本発明は、第一の本発明において、畳床または畳床から切り出した直方体のブロックを一旦紙、不織布、プラスチックフィルム、ラミネートフィルム、木質板、合板等からなる規格化された寸法の容器に収納し、容器ごとパネル枠組に装填したのち、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネルである。
【0012】
さらに、第四の本発明は、第三の本発明において、容器を構成する紙、不織布、木質板、合板がホウ酸塩処理されていることを特徴とする建築用断熱パネルである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明でいう畳床とは、稲藁を圧縮したワラ床、藁の間にスチレンフォームを挟んだワラサンド床、インシュレーションボードを重ね合わせ、あるいはインシュレーションボードの間にスチレンフォームを挟んだ建材床など全ての市販畳床を含む。
【0014】
これらの畳床には、通常防虫シートや裏面材が畳糸で縫いつけられているが、畳床を切断する場合は、この構成を変えることはなく、横方向の寸法を調整するだけである。畳表は付けたままでも外してもよい。
【0015】
畳床を構成する稲ワラ、インシュレーションボード、紙などは、腐朽やシロアリの食害を被りやすい欠点がある。また、ポリスチレン発泡体はシロアリを誘引しやすい。この欠点を解消するため、本発明では、畳床をホウ酸塩で処理する。
【0016】
断熱材を収納する容器を構成する紙、木質材料、レーヨン不織布、木綿や羊毛等の天然繊維材料も同じ理由でホウ酸塩処理する。また、畳から切り出した断熱材ブロックを湿気から保護する必要のある場合は、収納容器をプラスチックシート、プラスチックフィルムやアルミフォイルを成分とするラミネート等の防水材料で作るか、あるいは撥水剤で処理するとよい。
【0017】
本発明でいうホウ酸塩とは、ホウ素のオキソ酸とその塩を総称するが、特に、ホウ酸、ホウ砂、八ホウ酸二ナトリウムがあげられる。八ホウ酸二ナトリウムは水によく溶解し、また植物組織に対する浸透性にすぐれている点で特に好ましい。また、木質ボードなどでは、防腐・防蟻の目的で、木材チップやファイバーにホウ酸塩を直接混合してもよい。
【0018】
ホウ酸塩処理は、処理すべき材料組織中にホウ酸塩を浸透させるため、該材料をホウ酸塩水溶液中に浸漬するか、溶液を直接散布するとよい。ホウ酸塩水溶液が浸透しにくい材料では、浸漬に際し、減圧や加圧を利用して、ホウ酸塩溶液の浸透を加速することもできる。
【0019】
合板、パーティクルボード、ファイバーボードのように単板、パーティクル、ファイバー等の原材料を接着、成形して面材とする場合には、原材料にホウ酸塩を浸透させ、あるいはホウ酸塩微粉を混合した後、接着成形してもよい。また、接着剤にホウ酸塩を添加し、接着してもよい。
【0020】
特殊な例としては、処理すべき材料中にアルコールとホウ酸塩との縮合物を浸透させ、加水分解により材料組織中にホウ酸を生成させることもある。
【0021】
発泡ポリスチレンやポリウレタンフォームのような親水性に乏しい合成材料の場合、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのいずれか、あるいは混合物をホウ酸塩と加熱縮合した粘調液体を散布あるいは塗布すると効果的である。また、上述の有機化合物成分は蒸気圧が極めて低いため、VOCの問題も起こらない。
【0022】
ホウ酸塩処理に際し材料に添加すべきホウ酸塩の量は、処理材料を攻撃する怖れのある劣化生物によって異なる。イエシロアリの生息地域では、生物劣化の対象となる材料の乾燥重量に対しホウ酸(H3BO3)換算で1.0重量パーセント(1.0wt%BAE)以上、好ましくは1.5wt%BAE以上がよい。イエシロアリが生息せず、ヤマトシロアリが生息する地域では、ホウ酸塩添加量は、材料に対し0.7wt%BAE以上、好ましくは1.0wt%BAE以上がよい。イエシロアリもヤマトシロアリも生息しない地域では、0.4wt%BAE以上、好ましくは0.6wt%BAEがよい。
【0023】
本発明では、断熱パネルを構成する材料を生物劣化から保護するための保存剤としてホウ酸塩を使用する。ホウ酸塩の室温における蒸気圧は実質的にゼロであり、VOC問題を起こす心配がない。また、哺乳類に対する毒性が微弱で、住宅用断熱材であるセルロースファイバーの防蟻・難燃剤として半世紀以上使用されている実績もある。また、ホウ酸塩は化学的に安定で、その防虫・防腐・防蟻効果は、処理材中にホウ酸塩が存在する限り持続する。
【0024】
本発明でいうパネル枠組、断熱材、面材との接合には、いろいろな例がある。建材床のように両面がきちんと規定されている場合は、両面に面材を接着すれば断熱ボードとして使用できる。しかし、性能や品質を一定水準に保つには、パネル枠組の構成に合わせて製造した断熱材ブロックまたは断熱材ブロックを収納した容器を枠組に装填し、枠組の両面に面材を釘や接着剤で固定する方法が好ましい。また、建設現場で壁などの枠組に断熱材ブロックまたは断熱材ブロックを収納した容器を装填したのち、面材を接合してもよい。
【0025】
断熱性能から要求される断熱材の厚さが断熱材ブロック1枚では十分でない場合は、2枚以上を一緒に装填してもよい。また、畳床を切断する場合に発生する寸法不足のブロックや畳表などをホウ酸塩処理し、適宜断熱材ブロック収納容器に補足的に充填してもよい。
【0026】
本発明でいう断熱材ブロック収納容器は、畳床を切断したために発生する屑を散乱させず、断熱材ブロックの取り扱いを容易にする。また、収納容器に撥水性、耐水性を付与することにより、断熱材を漏水や結露水から保護することができる。撥水性、耐水性を付与するには、収納容器を親水性の低いプラスチックフィルムで作るか、紙、木質材料、レーヨン不織布等を撥水材で処理する。また、これらの親水性材料にプラスチックフィルムやアルミニウム泊をラミネートしてもよい。また、断熱材ブロック収納容器に断熱材の構成や化学組成などを明示することにより、将来建物を解体する場合、分別が容易になる。
【0027】
本発明をさらに詳しく説明するために実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
畳床からの断熱材ブロックの切り出し
厚さ25mmのポリスチレンフォームを厚さ15mmのワラ層で挟んだ三層構造のワラサンド畳床2帖から、木工用丸鋸で385×800×55mmのブロック8個を切り出した。切り出した直方体断熱材の重量は8.92〜9.57kgであった。
【0028】
断熱材のホウ酸塩処理
平均分子量600のポリエチレングリコール10g、グリセリン20g、八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)1000gを水に溶解して5kgの処理溶液を調製した。このDOT20%水溶液で、上記の断熱材ブロック5個を次のように処理した。市販の園芸用噴霧器を用いて、ブロックの上面と側面に600gの処理液を散布した。ついで、裏面材に約100gの溶液を均一に散布し、溶液が畳糸の縫い孔を通してワラ層に吸収されるのを待ち、更に100gを散布する。このようにして合計400gの処理液を裏面に散布した。処理を終えた5個の断熱材ブロックは1週間室内で自然乾燥した後、80℃の熱風乾燥機中で24時間乾燥した。
【0029】
ポリスチレンフォームのホウ酸塩処理
ポリスチレンフォームは親水性に乏しいため、ホウ酸塩水溶液による処理だけでは不十分である。解決法として、米国NISUS社製のシロアリ防除剤
られた均一な粘調液体100ccを、DOT水溶液で処理、乾燥した断熱材ブロックのポリスチレンフォーム側面に刷毛で塗布した。塗布した粘調液体は自然にポリスチレンフォームに吸収された。
【0030】
断熱材ブロックの紙容器への収納
内寸390×805×57mmの段ボールケースを試作した。このケースを組み立てる前に、ケースの乾燥重量に対して約5%のDOTを15%水溶液として内外面に少量ずつ繰り返し散布し、自然乾燥した。
【0031】
DOT処理した段ボールケースを組み立て、このケースにホウ酸塩処理した断熱材ブロックを収納した。
【0032】
建築用断熱パネルの試作
AWPA規格C−32−02の耐イエシロアリ水準に準拠してDOT処理した断面50×60mmのサザンパイン材を用いて、第1図のような横桟型のパネル芯材を製作し、上述のホウ酸塩処理断熱ブロックを収納した段ボールケースを各々の区画に装填した後、パネルの両面に910×1820×12mmの構造用合板を木工用ボンドで接着、釘打ちした。ついで合板の外側面に15%DOT水溶液を2度散布し、自然乾燥し、断熱パネル試作品を完成させた。
【0033】
実施例2
ホウ酸塩処理した断熱材ブロックの防蟻性能評価
実施例1のワラサンド畳床から切り出した断熱材ブロックの未処理品とホウ酸塩処理品とを、イエシロアリの食害が進行している老朽した木造建築物(愛媛県松山市在)床下の蟻道上に並べ、厚手の防水シート(黒色)で覆い、5月初めから10月末まで半年間放置した。未処理材はワラ、ポリスチレンフォームとも顕著な食害が見られたが、ホウ酸塩処理材では食害は全く見られなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係わる建築用断熱パネルは、断熱材として使用済みの畳床を用いるので断熱性能も高く、また畳床の廃棄、リサイクル問題の一助ともなりうる。また、パネルに使用する天然由来の材料はホウ酸塩処理により劣化生物の被害から保護される。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明 の断熱パネルの試作に用いたパネル枠組の正面図である。
Claims (4)
- 畳床又は畳床から切り出した直方体のブロックをホウ酸塩処理した状態で、断熱材としてパネル枠組に装填したのち、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネル。
- 請求項1において、パネル枠組を構成する枠組材と該パネル枠組みに接合される面材が、ホウ酸塩処理された木質材料であることを特徴とする建築用断熱パネル。
- 請求項1において畳床または畳床から切り出した直方体のブロックを一旦紙、不織布、プラスチックフィルム、ラミネートフィルム、木質板、合板等からなる規格化された寸法の容器に収納したのち、容器ごとパネル枠組に装填し、該パネル枠組に面材を接合してなる建築用断熱パネル。
- 請求項3において、容器を構成する紙、不織布、木質板、合板がホウ酸塩処理されていることを特徴とする建築用断熱パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003200144A JP2005009277A (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | 断熱パネル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003200144A JP2005009277A (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | 断熱パネル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005009277A true JP2005009277A (ja) | 2005-01-13 |
Family
ID=34100427
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003200144A Pending JP2005009277A (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | 断熱パネル |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005009277A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010269322A (ja) * | 2009-05-20 | 2010-12-02 | Jfe Steel Corp | 溶融金属用保温材 |
JP2016520738A (ja) * | 2013-04-22 | 2016-07-14 | ユン インハクYOON, In Hak | 生態建築構造物とその断熱構造体及び該断熱構造体の施工方法 |
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2003
- 2003-06-17 JP JP2003200144A patent/JP2005009277A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010269322A (ja) * | 2009-05-20 | 2010-12-02 | Jfe Steel Corp | 溶融金属用保温材 |
JP2016520738A (ja) * | 2013-04-22 | 2016-07-14 | ユン インハクYOON, In Hak | 生態建築構造物とその断熱構造体及び該断熱構造体の施工方法 |
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