JP2005006699A - 転倒防止具付き杖 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩行者が手足を傷つけることなく、外観上も体裁がよく、しかも自立機能を十分に発揮できる転倒防止具付き杖を提供する。
【解決手段】上部に把手11が取付けられ、主要部が筒状に形成された杖本体12と、杖本体12の内部を上下方向にスライド可能な操作部材13と、操作部材13をスライドさせて上位置及び下位置で操作部材13を停止させる昇降停止手段と、半径方向基部17が操作部材13の下部に開閉可能に取付けられ、半径方向先部には接地部20が形成された少なくとも3本の棒状の自立用脚部材21と、杖本体12の下部に設けられ、自立用脚部材21の開閉位置を決める案内部材22とを有し、前記昇降停止手段によって操作部材13を上下して自立用脚部材21の開閉及びその開又は閉状態の維持を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】上部に把手11が取付けられ、主要部が筒状に形成された杖本体12と、杖本体12の内部を上下方向にスライド可能な操作部材13と、操作部材13をスライドさせて上位置及び下位置で操作部材13を停止させる昇降停止手段と、半径方向基部17が操作部材13の下部に開閉可能に取付けられ、半径方向先部には接地部20が形成された少なくとも3本の棒状の自立用脚部材21と、杖本体12の下部に設けられ、自立用脚部材21の開閉位置を決める案内部材22とを有し、前記昇降停止手段によって操作部材13を上下して自立用脚部材21の開閉及びその開又は閉状態の維持を行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、杖を曳いて歩行する身体障害者が、例えば、トイレの使用や買物等のため、杖を手から離して用事を行い、用事が終わった後に、腰や体を大きく曲げることなく立った状態で再びその杖を手に掴むことのできる転倒防止具付き杖に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、杖を曳いて歩行する身体障害者がトイレを使用したり、買物等で杖を手から離して用事を足し、用事が終わった後、腰や体を大きく曲げることなく、略立った姿勢で、また杖を手に持つことができる転倒防止具付き杖として、例えば、以下に示す特許文献1に記載のものが知られている。
この転倒防止具付き杖は、上端部に把手が取付けられた杖軸の下端部に、折り畳み(開閉)可能な3本の自立脚体が、傘の場合と逆に装着された構造となっている。即ち、3本の自立脚体の上端部はそれぞれ杖軸に外嵌されたスライド可能な連結部に回動可能に設けられており、連結部の上、下動に伴って3本の自立脚体は同期して回動することにより、3本の自立脚体は開閉し、閉時(3本の自立脚体は杖軸に略平行位置となり、自立脚体の下端は杖軸の下端より上方位置にある)の状態で、通常の歩行に使用し、一方、開時(3本の自立脚体の下端は平面視して正三角形の頂点に位置し、自立脚体の下端は杖軸の下端より下方位置にある)の状態で、杖軸を自立させることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−119316号公報(要約、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の転倒防止具付き杖においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
開時(自立時)に、3本の自立脚体を開閉するための連結部材が杖軸の外側に位置しているため、連結部材が歩行者の足等に引っ掛かってしまい、杖が倒れて自立の機能を発揮できなかったり、また、外観上極めて体裁が悪かった。しかも、連結部材には異物が挟まり易いため、開閉機能が発揮できない場合もあり、さらに、手や足を連結部材により傷つけることもあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、歩行者が手足を傷つけることなく、外観上も体裁がよく、しかも自立機能を十分に発揮できる転倒防止具付き杖を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る転倒防止具付き杖は、上部に把手が取付けられ、主要部が筒状に形成された杖本体と、杖本体の内部を上下方向にスライド可能な操作部材と、操作部材をスライドさせて上位置及び下位置で操作部材を停止させる昇降停止手段と、半径方向基部が操作部材の下部に開閉可能に取付けられ、半径方向先部には接地部が形成された少なくとも3本の棒状の自立用脚部材と、杖本体の下部に設けられ、自立用脚部材の開閉位置を決める案内部材とを有し、昇降停止手段によって操作部材を上下して自立用脚部材の開閉及びその開又は閉状態の維持を行う。これによって、杖本体の内部で操作部材をスライドさせた上位置での自立用脚部材の閉状態では、自立用脚部材の大半を杖本体内に収納することができる。
【0007】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、昇降停止手段は、杖本体の外側にその一部が露出し操作部材を外側から昇降操作する操作把手と、杖本体の内部にあって操作部材を上下のいずれか一方の端部まで付勢する第1の弾性部材と、操作部材を第1の弾性部材の付勢力に対抗して上下のいずれか他方の端部で固定保持するロック機構とを備えることもできる。これによって、操作部材の上下移動、及び上位置と下位置での固定保持が容易にできる。
【0008】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、第1の弾性部材はコイルスプリングからなって操作部材を下方に付勢し、ロック機構は、操作把手と兼用され、杖本体に設けられた縦溝内を上下に移動し操作部材の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじと、縦溝の上部に連接して杖本体に設けられ把手付きねじを掛止する切欠き部とを備えることもできる。これによって、コイルスプリングの付勢力によって操作部材を下方に移動し、自立用脚部材を開状態として把手付きねじにより開状態を保持することができ、コイルスプリングの付勢力に抗して把手付きねじを、縦溝内を移動して切欠き部に掛止することにより、自立用脚部材の閉状態を保持することができる。
【0009】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、ロック機構は、操作部材の上側に設けられた第1の掛止部と、第1の掛止部に掛合し杖本体の外側から操作ボタンが突出する第2の掛止部を有し、操作部材を上昇させることにより第1、第2の掛止部が掛合し、かつ第1、第2の掛止部が掛合した状態で操作ボタンの押圧により掛合が解除されるようにすることもできる。これによって、操作部材の上昇により第1、第2の掛止部が掛合し、かつ操作ボタンの押圧により掛合が解除される。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、昇降停止手段は操作部材を上下させる電動アクチュエータとすることもできる。これによって、電動アクチュエータの使用により操作部材を上下させる人力が不要となる。
【0010】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、電動アクチュエータは、操作部材の上端部に設けられたナット部と、ナット部に螺合するスクリュー部材と、スクリュー部材を回転駆動する減速モータとを備え、減速モータ、減速モータの電源である電池、及び減速モータのオンオフを行うスイッチは杖本体に内蔵することもできる。これによって、外見上の体裁が良い。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、案内部材は、開閉する自立用脚部材を開閉方向にカイドする案内溝が設けられて、自立用脚部材の周方向の横移動を防止するように形成することもできる。これによって、自立用脚部材の周方向の横移動が防止されて、開時の自立の安定性が向上すると共に、閉時の収納性が向上する。
【0011】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材の先端部には挿通孔が設けられて、挿通孔を通る一本のワイヤを介して操作部材に枢支することもできる。これによって、製作及び組立てが簡単にできる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材を開方向に付勢する第2の弾性部材を設けることもできる。これによって、自立用脚部材を開き易くなる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材は一体的に、操作部材の下端部に着脱可能に設けることもできる。これによって、自立用脚部材を一括して交換することができる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、把手は垂直に設けられた高さ調整部を有し、高さ調整部の下端部を杖本体に着脱可能に取付けることもできる。これによって、歩行者の掴む高さ位置に応じた把手を取付けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖の閉時、開時の正面図、図2(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の一部省略正断面図、図3(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の要部拡大断面図、図4は図3(A)の矢視A−A断面図、図5は同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時から開時の経過を説明する拡大断面図、図6(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の操作部材の先端部に設けられる脚取付部材の平面図、正断面図、図7(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の杖本体の先端部に設けられる案内部材の平面図、正断面図、図8は同転倒防止具付き杖の変形例のロック機構の正断面図、図9は同転倒防止具付き杖の変形例の昇降停止手段の正断面図である。
【0013】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖10は、上部に把手11が取付けられ、主要部が円筒状に形成された杖本体12と、杖本体12の中間位置の内部を上下方向にスライド可能な操作部材13と、操作部材13をスライドさせて上位置(図2(A)で示す操作部材13の上昇位置)及び下位置(図2(B)で示す操作部材13の下降位置)で操作部材13を停止させる昇降停止手段とを有している。この昇降停止手段は、杖本体12の外側にその一部が露出し操作部材13を外側から昇降操作する操作把手14、杖本体12の内部にあって操作部材13を下側の端部まで付勢する第1の弾性部材の一例であるコイルスプリング15、及び操作部材13をコイルスプリング15の付勢力に対抗して上側の端部で固定保持するロック機構16とを備えている。
【0014】
図3(A)、(B)及び図4で詳細に示すように、転倒防止具付き杖10は、さらに、杖本体12の下部に4本の棒状の自立用脚部材21と、自立用脚部材21の開閉位置を決めるコップ状の案内部材22とを有している。自立用脚部材21の半径方向基部17は操作部材13の下端部に取付ボルト18を介して設けられた円筒状の脚取付部材19の外周部に開閉可能に取付けられ、自立用脚部材21の半径方向先部には、接地部の一例である接地ブロック20が形成されている。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図5に示すように、自立用脚部材21の下端部にはステンレス製のアンカープレート21aが設けられており、アンカープレート21a及び自立用脚部材21の下部は接地ブロック20内に埋め込まれた構成となっている。
【0015】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、手でグリップする把手11は樹脂からなり、把手11の下端部は杖本体12の上端部にねじ締結等によりに着脱可能に取付けられている。
杖本体12は主としてアルミ製のパイプからなっており、外径Dが例えば10〜25mm程度で、長さLが例えば70〜110cm程度としている。また、操作部材13は断面円形で、ステンレスからなっている。
【0016】
コイルスプリング15は杖本体12の上端部の内部に設けられた上側バネ座(図示せず)と、操作部材13の上端部に設けられた下側バネ座(図示せず)との間に装着されており、常時、操作部材13を下方に付勢して、図3(B)に示すように、操作部材13の下端部に設けられた取付ボルト18を、杖本体12の下端部に設けられた案内部材22に当接させることができる。
【0017】
図3(A)、(B)、図4及び図6(A)、(B)に示すように、脚取付部材19の高さ方向の中間位置の外周部には、断面が矩形状の凹部23が形成されており、凹部23の底面24に4本の自立用脚部材21の基端部の内側が当接している。4本の自立用脚部材21は断面が円状に形成されており、半球形状に形成された基端部にはそれぞれ周方向に水平に形成された挿通孔25が設けられ、4箇所の挿通孔25を通る無端のワイヤ25aを介して脚取付部材19に回動自在に枢支されている。また、自立用脚部材21の基端が凹部23の上端に当接するようになっており、さらに、ワイヤ25aが凹部23に係合して自立用脚部材21を脚取付部材19に対して軸方向に移動しないように構成されている。
【0018】
なお、脚取付部材19の凹部23より下方の外周部には、それぞれの自立用脚部材21の開閉方向に直交する方向(即ち、横又は水平方向)をガイドするためのガイド溝26が平面視して凹状に形成されており、ガイド溝26の底面27は、凹部23の底面24と同じレベルの面となっている。なお、脚取付部材19及びワイヤ25aはステンレス製であり、脚取付部材19の外径は例えば3〜5mm程度、ワイヤ25aの外径は例えば1〜2mm程度としている。なお、実情に合わせて、脚取付部材19の外径を、例えば、3〜15mmとしてもよい。
【0019】
また、図3(B)に示すように、取付ボルト18は、下端部に形成された円板状の押え部18aと、押え部18aの上端に一体的に設けられた大径雄ねじ部18bと、大径雄ねじ部18bの上端に一体的に設けられた小径雄ねじ部18cとを備えている。押え部18aの下面には締め付け用の溝部18dが形成されている。従って、大径雄ねじ部18bが脚取付部材19の内周部に形成された雌ねじ部に螺合することにより、取付ボルト18に脚取付部材19を取付けることができると共に、小径雄ねじ部18cが操作部材13の下端部中央に形成された雌ねじ部に螺合することにより、脚取付部材19を操作部材13の下端部に着脱可能に固定することができる。
【0020】
図3(A)、(B)、図4及び図7(A)、(B)に示すように、ステンレス製の案内部材22は、短尺の円筒部28と、円筒部28の下面にその外周部が連結された円板部29とを有している。円板部29の底部の4等分された位置の外周部には、操作部材13の昇降に追随して4本の自立用脚部材21をそれぞれ開閉方向にガイドする半トラック状の案内溝30が形成されている。案内溝30も脚取付部材19のガイド溝26と同様に、自立用脚部材21を開閉方向に直交する方向には移動しないような形状、即ち、自立用脚部材21の周方向の横移動を防止するように形成されている。なお、案内部材22の円筒部28の内周部には雌ねじ部が形成されており、案内部材22は、この雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が下端部外周に形成された杖本体12とねじ締結可能に構成されている。さらに、このねじ締結部にはOリング28aが設けられており、円板部29の中心部には取付孔29aが形成されている。接地ブロック20はABS等の樹脂製の硬質ゴムからなっており、4個の各接地ブロック20は円柱を略4等分したもので、上に引き上げられた状態(閉状態)では、略円柱状になって接地することになる。
【0021】
かかる構成によって、図5に示すように、操作部材13の昇降に追随して、自立用脚部材21の閉位置、中間位置及び開位置を規制することができる。なお、図3(B)においては、自立用脚部材21の開度は、自立用脚部材21の先端部に設けた接地ブロック20が地面(図示せず)に接地して、自立用脚部材21が開く方向に荷重が作用した場合で、案内部材22の案内溝30により最大開度が制限された状態を示しているが、接地ブロック20が接地していない場合には、案内溝30と自立用脚部材21との間のガタ及び自立用脚部材21の自重に基づいて、閉方向に移動し、案内溝30により最小開度に保持されることになる。なお、図3及び図5に示すように、自立用脚部材21の脚取付部材19への取付け位置(ワイヤ25aの挿通孔25)が案内溝30より内側(中心側)に位置しているので、自立用脚部材21は容易に閉状態から開状態となる。
【0022】
従って、閉状態の自立用脚部材21で接地ブロック20を接地した場合、一般的に、自立用脚部材21は問題なく開く。しかし、接地条件(接地ブロック20の形状や材質、地面側の凸凹状態や性状等を考慮した摩擦力)によって、自立用脚部材21が開かない場合がある。このため、図5に示すように、接地ブロック20の底部内側に形成された斜面20aに薄板状の突起片20bを設けており、この金属製の突起片20bと地面との摩擦係数を小さくして、自立用脚部材21を開き易く構成している。なお、図5に示すように、自立用脚部材21の閉時(左図)には、4個の接地ブロック20は円柱を周方向に4分割した状態で近接しており、一方、自立用脚部材21の開時(右図)には、4個の接地ブロック20の斜面20aが水平な地面に当接するようになっている。
【0023】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、ロック機構16は、杖本体12の上端部の一側部に垂直に設けられた縦溝31内を上下に移動し、操作部材13の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじ32と、縦溝31の上部に連接して杖本体12に水平に設けられ、把手付きねじ32を掛止する切欠き部33とを備えている。なお、把手付きねじ32の外側端部に操作把手14が設けられている。
【0024】
従って、操作把手14を兼用する把手付きねじ32が縦溝31内にある場合には、コイルスプリング15による下方への付勢力により、図5に示すように、脚取付部材19が上昇位置から下降位置に移動して、脚取付部材19が取付ボルト18を介して案内部材22に押し付けられている(自立用脚部材21の開位置)が、この付勢力に対抗して把手付きねじ32を操作部材13と共に縦溝31内を上限まで上昇させ、操作部材13を杖本体12内で回動させて縦溝31の切欠き部33に掛止することにより、操作部材13の上昇位置(自立用脚部材21の閉位置)で固定、保持することができる。
【0025】
かかる構成によって、操作把手14、コイルスプリング15及びロック機構16とを備えた昇降停止手段によって操作部材13を杖本体12の内で上下して、自立用脚部材21の開閉を行うことができ、しかも、自立用脚部材21の開又は閉状態の維持を行うこともできる。
【0026】
次いで、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖10の使用方法及び作用について、図を参照しながら説明する。
(1)予め、図1(A)及び図2(A)に示すように、操作部材13が上昇位置(自立用脚部材21の閉位置)でロック機構16により杖本体12に固定、保持されており、使用者が把手11を一方の手(例えば、右手)で掴んで歩行用の杖として使用している。
(2)使用者は、買物等の用事ができ、手を把手11から離す必要が生じたため、ロック機構16の把手付きねじ32と兼用される操作把手14を空いている他方の手(例えば、左手)で掴んで、把手付きねじ32を緩めて杖本体12に固定、保持された状態を解除する。この状態で、コイルスプリング15の付勢力により把手付きねじ32は、まだ切欠き部33に掛止している。
【0027】
(3)把手付きねじ32を縦溝31側に水平方向に移動させ、即ち、操作部材13を杖本体12の内で回動させて縦溝31内に入れると、操作部材13の上昇位置での掛止状態が解除されて、コイルスプリング15により操作部材13が下降する際、4本の自立用脚部材21が案内部材22の案内溝30にガイドされて開方向に移動する。
(4)図1(B)及び図2(B)に示すように、自立用脚部材21は、脚取付部材19が案内部材22に取付ボルト18を介して当接した最大開度位置となる。この際、操作部材13が下降位置で停止するが、自立用脚部材21と案内溝30との間のガタに基づいて発生する開度不足を、常時、自立用脚部材21を開方向に付勢する第2の弾性部材(バネ材、ゴム等を用いて、例えば、案内部材22の円板部29と自立用脚部材21との間に設けることができる)により補正してもよい。
【0028】
(5)自立用脚部材21が最大開度位置になった状態で、接地ブロック20を接地させて転倒防止具付き杖10を自立させる。
(6)用事が終わって、再び歩行用の杖として使用する場合には、使用者が把手11を一方の手で掴んで、操作把手14を他方の手で持ち、コイルスプリング15の付勢力に抗して縦溝31及び切欠き部33に移動し、操作部材13を上昇位置にて、ロック機構16により杖本体12に固定、保持して、前記(1)の状態にする。
【0029】
なお、上昇位置で切欠き部33において把手付きねじ32の作用により、操作把手14を杖本体12に固定したが、必要又は状況に応じて、把手付きねじ32を作用させなくて、単に切欠き部33に掛止するだけでも構わない。また、下降位置で把手付きねじ32を締め付けて操作把手14を杖本体12に固定しなかったが、必要又は状況に応じて、把手付きねじ32を作用させて操作把手14を杖本体12に固定することもできる。
【0030】
図8には変形例のロック機構40を示す。なお、転倒防止具付き杖10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する(以下の変形例についても同様)。
ロック機構40は、パイプ状の操作部材41の上端部に設けられた第1の掛止部の一例である掛止孔42と、掛止孔42に掛合し杖本体43の外側から操作ボタン44が突出する第2の掛止部の一例である鉤状の掛止片45とを有している。また、操作ボタン44は杖本体43との間に設けられた弾性部材の一例であるバネ46により、常時、外方向に付勢力が掛かっている。
【0031】
かかる構成によって、操作把手47を持って、縦溝31内を上昇させることにより操作部材41の掛止孔42と掛止片45とが掛合し、しかも、掛止孔42と掛止片45とが掛合した状態で、バネ46の付勢力に抗して操作ボタン44の押圧によって、この掛合が解除される。このロック機構40の場合には、操作部材41の上方に掛止片45が配置されているので、操作部材41の上方にコイルスプリングを設けることができないため、操作部材41を下方に付勢するコイルスプリングは、例えば、操作部材41の下端部又は中間部に設けることができる。なお、変形例のロック機構40を用いた転倒防止具付き杖の使用方法及び作用については、転倒防止具付き杖10の場合と略同じであるため、説明を割愛する。
【0032】
図9には、変形例の昇降停止手段50を示す。昇降停止手段50は、上部に把手51が取付けられ、主要部が円筒状に形成された杖本体52の内部を上下方向にスライド可能な操作部材53の上端部に設けられた円筒状のナット部54と、ナット部54に螺合するスクリュー部材55と、スクリュー部材55をカップリング56を介して回転駆動する減速モータ57とを備えた電動アクチュエータからなっている。さらに、減速モータ57、減速モータ57の電源である電池58、減速モータ57のオンオフを行うスイッチ59、及び減速モータ57の過電流値を検出して減速モータ57を停止するコントローラ60は、杖本体52にねじ締結により着脱可能な把手51に内蔵されている。
【0033】
なお、ナット部54の回転防止用のスプライン61及びスプライン61に掛合するスプライン溝62がそれぞれ、杖本体52の内周部の一側、ナット部54及び操作部材53の上端部の外周部の一側に形成されている。かかる構成によって、昇降停止手段50によって操作部材53を上下して自立用脚部材21の開閉及びその開又は閉状態の維持を行うことができる。なお、図9中の符号63はスクリュー部材55の下端に設けられた下降位置決め用のストッパーを、符号64はカップリング56に設けられたスクリュー部材55を着脱するための取付ねじを、符号65はカップリング56等を外から監視するための点検窓を、符号66は把手51の一部を構成し、ねじ締結により取り外し可能なキャップを表している。昇降停止手段50を用いた転倒防止具付き杖の使用方法及び作用については、減速モータ57の正逆回転により操作部材53を上下すると共に、上下位置の停止状態ではナット部54とスクリュー部材55との螺合により位置が固定される点で、転倒防止具付き杖10の場合と異なる。
【0034】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の転倒防止具付き杖を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、昇降停止手段は、操作部材13を外側から昇降操作する操作把手14と、操作部材13を下方向の端部まで付勢するコイルスプリング15と、操作部材13をコイルスプリング15の付勢力に対抗して上方向の端部で固定保持するロック機構16とを備えたが、これに限定されず、必要に応じて、その他の構成の昇降停止手段、例えば、ワンタッチ式の傘のロック機構を備えた昇降停止手段を用いることもできる。また、操作部材13を下方向に付勢するコイルスプリング15を用いたが、これに限定されず、操作部材13を上方向に付勢するコイルスプリングを用いても構わない。
【0035】
第1の弾性部材としてコイルスプリングを用いたが、これに限定されず、状況に応じて、その他の弾性部材(例えば、ゴム)を用いることもできる。
ロック機構16は、操作把手14と兼用され、杖本体12に設けられた縦溝31内を上下に移動し操作部材13の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじ32と、縦溝31の上部に連接して杖本体12に設けられ把手付きねじ32を掛止する切欠き部33とを備えた構成としたり、又は、操作部材41の上側に設けられた掛止孔42と、掛止孔42に掛合し杖本体43の外側から操作ボタン44が突出する掛止片45を有し、操作部材41を上昇させることによって掛止孔42、掛止片45が掛合し、かつ掛止孔42、掛止片45が掛合した状態で操作ボタン44の押圧によって掛合が解除されるように構成したが、これに限定されず、その他の構成のロック機構とすることもできる。
【0036】
昇降停止手段50では、操作部材53を上下させる電動アクチュエータとして、操作部材53の上端部に設けられたナット部54と、ナット部54に螺合するスクリュー部材55と、スクリュー部材55を回転駆動する減速モータ57とを備えたが、これに限定されず、その他の構成、例えば、直動式の電動シリンダー等を使用することもできる。
4本の自立用脚部材21の先端部に挿通孔25を設け、4本の自立用脚部材21は挿通孔25を通る一本の無端のワイヤ25aを介して操作部材13に枢支したが、これに限定されず、必要に応じて、他の方法で、4本の自立用脚部材を操作部材に枢支することもできる。
【0037】
自立用脚部材21を開方向に常時付勢する第2の弾性部材は、状況に応じて、設けることも、省略することもできる。
4本の自立用脚部材21は、脚取付部材19及び取付ボルト18を介して一体的に、操作部材13の下端部に着脱可能に設けたが、これに限定されず、必要に応じて、操作部材の下端部に固定することもできる。
自立用脚部材21を4本設けたが、これに限定されず、状況に応じて、自立用脚部材を3本又は5本以上設けることもできる。
【0038】
把手11は掴む高さ位置の調整を考慮することなく杖本体12に取付けたが、これに限定されず、必要に応じて、垂直に設けられた高さ調整部を有し、該高さ調整部の下端部を杖本体に着脱可能に取付けるように構成しても構わない。
自立用脚部材21の下端部に自立用脚部材21が挿通する接地ブロック20を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、接地ブロックを設けることなく、自立用脚部材の下端部に接地部を一体的に形成することもできる。
杖本体の主要部を円筒状としたが、これに限定されず、必要に応じて、矩形状又は多角形状としても構わない。
【0039】
【発明の効果】
請求項1〜11記載の転倒防止具付き杖においては、杖本体の内部で操作部材をスライドさせた上位置での自立用脚部材の閉状態では、自立用脚部材の大半を杖本体内に収納することができるので、歩行者が足等に引っ掛けてつまずくことなく、さらに、外観上体裁が良い。また、足等に引っ掛かり、杖の転倒により、部品が損傷する恐れがないので、所定の自立機能を十分発揮できる。
特に、請求項2記載の転倒防止具付き杖においては、操作部材の上下移動、及び上位置と下位置での固定保持が容易にできるので、使用者が簡単に使用できるため非常に便利である。
【0040】
請求項3記載の転倒防止具付き杖においては、コイルスプリングの付勢力によって操作部材を下方に移動し、自立用脚部材を開状態として把手付きねじにより開状態を保持することができ、コイルスプリングの付勢力に抗して把手付きねじを、縦溝内を移動して切欠き部に掛止することにより、自立用脚部材の閉状態を保持することができるので、昇降停止手段が簡略化され、しかも、昇降停止操作が極めて簡単である。
請求項4記載の転倒防止具付き杖においては、操作部材の上昇により第1、第2の掛止部が掛合し、かつ操作ボタンの押圧により掛合が解除されるので、操作部材の上昇位置での保持及び上昇位置での保持の解除が簡単に操作できる。
【0041】
請求項5記載の転倒防止具付き杖においては、電動アクチュエータの使用によって、操作部材を上下させる人力が不要となるので、歩行者は大きな操作力を必要としない。
請求項6記載の転倒防止具付き杖においては、所要の各部品を杖本体に内蔵することもでき、外見上の体裁がさらに良くなる。
請求項7記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材の周方向の横移動が防止されて、開時の自立の安定性が向上するので、より安全に使用できると共に、閉時の収納性が向上するので、外見上の体裁がよい。
【0042】
請求項8記載の転倒防止具付き杖においては、製作及び組立てが簡単にできるので、製作及び組立て時間が短縮されると同時に、製作及び組立て費用が安くできる。
請求項9記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材を開き易くなるので、操作性が向上する。
請求項10記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材を一括して交換することができるので、メンテナンスが容易で、安価にできる。
請求項11記載の転倒防止具付き杖においては、歩行者の掴む高さ位置に応じた把手を取付けることができるので、歩行者の使用対象範囲が拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖の閉時、開時の正面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の一部省略正断面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の要部拡大断面図である。
【図4】図3(A)の矢視A−A断面図である。
【図5】同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時から開時の経過を説明する拡大断面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の操作部材の先端部に設けられる脚取付部材の平面図、正断面図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の杖本体の先端部に設けられる案内部材の平面図、正断面図である。
【図8】同転倒防止具付き杖の変形例のロック機構の正断面図である。
【図9】同転倒防止具付き杖の変形例の昇降停止手段の正断面図である。
【符号の説明】
10:転倒防止具付き杖、11:把手、12:杖本体、13:操作部材、14:操作把手、15:コイルスプリング(第1の弾性部材)、16:ロック機構、17:半径方向基部、18:取付ボルト、18a:押え部、18b:大径雄ねじ部、18c:小径雄ねじ部、18d:溝部、19:脚取付部材、20:接地ブロック(接地部)、20a:斜面、20b:突起片、21:自立用脚部材、21a:アンカープレート、22:案内部材、23:凹部、24:底面、25:挿通孔、25a:ワイヤ、26:ガイド溝、27:底面、28:円筒部、28a:Oリング、29:円板部、29a:取付孔、30:案内溝、31:縦溝、32:把手付きねじ、33:切欠き部、40:ロック機構、41:操作部材、42:掛止孔(第1の掛止部)、43:杖本体、44:操作ボタン、45:掛止片(第2の掛止部)、46:バネ(弾性部材)、47:操作把手、50:昇降停止手段、51:把手、52:杖本体、53:操作部材、54:ナット部、55:スクリュー部材、56:カップリング、57:減速モータ、58:電池、59:スイッチ、60:コントローラ、61:スプライン、62:スプライン溝、63:ストッパー、64:取付ねじ、65:点検窓、66:キャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、杖を曳いて歩行する身体障害者が、例えば、トイレの使用や買物等のため、杖を手から離して用事を行い、用事が終わった後に、腰や体を大きく曲げることなく立った状態で再びその杖を手に掴むことのできる転倒防止具付き杖に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、杖を曳いて歩行する身体障害者がトイレを使用したり、買物等で杖を手から離して用事を足し、用事が終わった後、腰や体を大きく曲げることなく、略立った姿勢で、また杖を手に持つことができる転倒防止具付き杖として、例えば、以下に示す特許文献1に記載のものが知られている。
この転倒防止具付き杖は、上端部に把手が取付けられた杖軸の下端部に、折り畳み(開閉)可能な3本の自立脚体が、傘の場合と逆に装着された構造となっている。即ち、3本の自立脚体の上端部はそれぞれ杖軸に外嵌されたスライド可能な連結部に回動可能に設けられており、連結部の上、下動に伴って3本の自立脚体は同期して回動することにより、3本の自立脚体は開閉し、閉時(3本の自立脚体は杖軸に略平行位置となり、自立脚体の下端は杖軸の下端より上方位置にある)の状態で、通常の歩行に使用し、一方、開時(3本の自立脚体の下端は平面視して正三角形の頂点に位置し、自立脚体の下端は杖軸の下端より下方位置にある)の状態で、杖軸を自立させることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−119316号公報(要約、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の転倒防止具付き杖においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
開時(自立時)に、3本の自立脚体を開閉するための連結部材が杖軸の外側に位置しているため、連結部材が歩行者の足等に引っ掛かってしまい、杖が倒れて自立の機能を発揮できなかったり、また、外観上極めて体裁が悪かった。しかも、連結部材には異物が挟まり易いため、開閉機能が発揮できない場合もあり、さらに、手や足を連結部材により傷つけることもあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、歩行者が手足を傷つけることなく、外観上も体裁がよく、しかも自立機能を十分に発揮できる転倒防止具付き杖を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る転倒防止具付き杖は、上部に把手が取付けられ、主要部が筒状に形成された杖本体と、杖本体の内部を上下方向にスライド可能な操作部材と、操作部材をスライドさせて上位置及び下位置で操作部材を停止させる昇降停止手段と、半径方向基部が操作部材の下部に開閉可能に取付けられ、半径方向先部には接地部が形成された少なくとも3本の棒状の自立用脚部材と、杖本体の下部に設けられ、自立用脚部材の開閉位置を決める案内部材とを有し、昇降停止手段によって操作部材を上下して自立用脚部材の開閉及びその開又は閉状態の維持を行う。これによって、杖本体の内部で操作部材をスライドさせた上位置での自立用脚部材の閉状態では、自立用脚部材の大半を杖本体内に収納することができる。
【0007】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、昇降停止手段は、杖本体の外側にその一部が露出し操作部材を外側から昇降操作する操作把手と、杖本体の内部にあって操作部材を上下のいずれか一方の端部まで付勢する第1の弾性部材と、操作部材を第1の弾性部材の付勢力に対抗して上下のいずれか他方の端部で固定保持するロック機構とを備えることもできる。これによって、操作部材の上下移動、及び上位置と下位置での固定保持が容易にできる。
【0008】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、第1の弾性部材はコイルスプリングからなって操作部材を下方に付勢し、ロック機構は、操作把手と兼用され、杖本体に設けられた縦溝内を上下に移動し操作部材の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじと、縦溝の上部に連接して杖本体に設けられ把手付きねじを掛止する切欠き部とを備えることもできる。これによって、コイルスプリングの付勢力によって操作部材を下方に移動し、自立用脚部材を開状態として把手付きねじにより開状態を保持することができ、コイルスプリングの付勢力に抗して把手付きねじを、縦溝内を移動して切欠き部に掛止することにより、自立用脚部材の閉状態を保持することができる。
【0009】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、ロック機構は、操作部材の上側に設けられた第1の掛止部と、第1の掛止部に掛合し杖本体の外側から操作ボタンが突出する第2の掛止部を有し、操作部材を上昇させることにより第1、第2の掛止部が掛合し、かつ第1、第2の掛止部が掛合した状態で操作ボタンの押圧により掛合が解除されるようにすることもできる。これによって、操作部材の上昇により第1、第2の掛止部が掛合し、かつ操作ボタンの押圧により掛合が解除される。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、昇降停止手段は操作部材を上下させる電動アクチュエータとすることもできる。これによって、電動アクチュエータの使用により操作部材を上下させる人力が不要となる。
【0010】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、電動アクチュエータは、操作部材の上端部に設けられたナット部と、ナット部に螺合するスクリュー部材と、スクリュー部材を回転駆動する減速モータとを備え、減速モータ、減速モータの電源である電池、及び減速モータのオンオフを行うスイッチは杖本体に内蔵することもできる。これによって、外見上の体裁が良い。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、案内部材は、開閉する自立用脚部材を開閉方向にカイドする案内溝が設けられて、自立用脚部材の周方向の横移動を防止するように形成することもできる。これによって、自立用脚部材の周方向の横移動が防止されて、開時の自立の安定性が向上すると共に、閉時の収納性が向上する。
【0011】
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材の先端部には挿通孔が設けられて、挿通孔を通る一本のワイヤを介して操作部材に枢支することもできる。これによって、製作及び組立てが簡単にできる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材を開方向に付勢する第2の弾性部材を設けることもできる。これによって、自立用脚部材を開き易くなる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、自立用脚部材は一体的に、操作部材の下端部に着脱可能に設けることもできる。これによって、自立用脚部材を一括して交換することができる。
本発明に係る転倒防止具付き杖において、把手は垂直に設けられた高さ調整部を有し、高さ調整部の下端部を杖本体に着脱可能に取付けることもできる。これによって、歩行者の掴む高さ位置に応じた把手を取付けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖の閉時、開時の正面図、図2(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の一部省略正断面図、図3(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の要部拡大断面図、図4は図3(A)の矢視A−A断面図、図5は同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時から開時の経過を説明する拡大断面図、図6(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の操作部材の先端部に設けられる脚取付部材の平面図、正断面図、図7(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の杖本体の先端部に設けられる案内部材の平面図、正断面図、図8は同転倒防止具付き杖の変形例のロック機構の正断面図、図9は同転倒防止具付き杖の変形例の昇降停止手段の正断面図である。
【0013】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖10は、上部に把手11が取付けられ、主要部が円筒状に形成された杖本体12と、杖本体12の中間位置の内部を上下方向にスライド可能な操作部材13と、操作部材13をスライドさせて上位置(図2(A)で示す操作部材13の上昇位置)及び下位置(図2(B)で示す操作部材13の下降位置)で操作部材13を停止させる昇降停止手段とを有している。この昇降停止手段は、杖本体12の外側にその一部が露出し操作部材13を外側から昇降操作する操作把手14、杖本体12の内部にあって操作部材13を下側の端部まで付勢する第1の弾性部材の一例であるコイルスプリング15、及び操作部材13をコイルスプリング15の付勢力に対抗して上側の端部で固定保持するロック機構16とを備えている。
【0014】
図3(A)、(B)及び図4で詳細に示すように、転倒防止具付き杖10は、さらに、杖本体12の下部に4本の棒状の自立用脚部材21と、自立用脚部材21の開閉位置を決めるコップ状の案内部材22とを有している。自立用脚部材21の半径方向基部17は操作部材13の下端部に取付ボルト18を介して設けられた円筒状の脚取付部材19の外周部に開閉可能に取付けられ、自立用脚部材21の半径方向先部には、接地部の一例である接地ブロック20が形成されている。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図5に示すように、自立用脚部材21の下端部にはステンレス製のアンカープレート21aが設けられており、アンカープレート21a及び自立用脚部材21の下部は接地ブロック20内に埋め込まれた構成となっている。
【0015】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、手でグリップする把手11は樹脂からなり、把手11の下端部は杖本体12の上端部にねじ締結等によりに着脱可能に取付けられている。
杖本体12は主としてアルミ製のパイプからなっており、外径Dが例えば10〜25mm程度で、長さLが例えば70〜110cm程度としている。また、操作部材13は断面円形で、ステンレスからなっている。
【0016】
コイルスプリング15は杖本体12の上端部の内部に設けられた上側バネ座(図示せず)と、操作部材13の上端部に設けられた下側バネ座(図示せず)との間に装着されており、常時、操作部材13を下方に付勢して、図3(B)に示すように、操作部材13の下端部に設けられた取付ボルト18を、杖本体12の下端部に設けられた案内部材22に当接させることができる。
【0017】
図3(A)、(B)、図4及び図6(A)、(B)に示すように、脚取付部材19の高さ方向の中間位置の外周部には、断面が矩形状の凹部23が形成されており、凹部23の底面24に4本の自立用脚部材21の基端部の内側が当接している。4本の自立用脚部材21は断面が円状に形成されており、半球形状に形成された基端部にはそれぞれ周方向に水平に形成された挿通孔25が設けられ、4箇所の挿通孔25を通る無端のワイヤ25aを介して脚取付部材19に回動自在に枢支されている。また、自立用脚部材21の基端が凹部23の上端に当接するようになっており、さらに、ワイヤ25aが凹部23に係合して自立用脚部材21を脚取付部材19に対して軸方向に移動しないように構成されている。
【0018】
なお、脚取付部材19の凹部23より下方の外周部には、それぞれの自立用脚部材21の開閉方向に直交する方向(即ち、横又は水平方向)をガイドするためのガイド溝26が平面視して凹状に形成されており、ガイド溝26の底面27は、凹部23の底面24と同じレベルの面となっている。なお、脚取付部材19及びワイヤ25aはステンレス製であり、脚取付部材19の外径は例えば3〜5mm程度、ワイヤ25aの外径は例えば1〜2mm程度としている。なお、実情に合わせて、脚取付部材19の外径を、例えば、3〜15mmとしてもよい。
【0019】
また、図3(B)に示すように、取付ボルト18は、下端部に形成された円板状の押え部18aと、押え部18aの上端に一体的に設けられた大径雄ねじ部18bと、大径雄ねじ部18bの上端に一体的に設けられた小径雄ねじ部18cとを備えている。押え部18aの下面には締め付け用の溝部18dが形成されている。従って、大径雄ねじ部18bが脚取付部材19の内周部に形成された雌ねじ部に螺合することにより、取付ボルト18に脚取付部材19を取付けることができると共に、小径雄ねじ部18cが操作部材13の下端部中央に形成された雌ねじ部に螺合することにより、脚取付部材19を操作部材13の下端部に着脱可能に固定することができる。
【0020】
図3(A)、(B)、図4及び図7(A)、(B)に示すように、ステンレス製の案内部材22は、短尺の円筒部28と、円筒部28の下面にその外周部が連結された円板部29とを有している。円板部29の底部の4等分された位置の外周部には、操作部材13の昇降に追随して4本の自立用脚部材21をそれぞれ開閉方向にガイドする半トラック状の案内溝30が形成されている。案内溝30も脚取付部材19のガイド溝26と同様に、自立用脚部材21を開閉方向に直交する方向には移動しないような形状、即ち、自立用脚部材21の周方向の横移動を防止するように形成されている。なお、案内部材22の円筒部28の内周部には雌ねじ部が形成されており、案内部材22は、この雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が下端部外周に形成された杖本体12とねじ締結可能に構成されている。さらに、このねじ締結部にはOリング28aが設けられており、円板部29の中心部には取付孔29aが形成されている。接地ブロック20はABS等の樹脂製の硬質ゴムからなっており、4個の各接地ブロック20は円柱を略4等分したもので、上に引き上げられた状態(閉状態)では、略円柱状になって接地することになる。
【0021】
かかる構成によって、図5に示すように、操作部材13の昇降に追随して、自立用脚部材21の閉位置、中間位置及び開位置を規制することができる。なお、図3(B)においては、自立用脚部材21の開度は、自立用脚部材21の先端部に設けた接地ブロック20が地面(図示せず)に接地して、自立用脚部材21が開く方向に荷重が作用した場合で、案内部材22の案内溝30により最大開度が制限された状態を示しているが、接地ブロック20が接地していない場合には、案内溝30と自立用脚部材21との間のガタ及び自立用脚部材21の自重に基づいて、閉方向に移動し、案内溝30により最小開度に保持されることになる。なお、図3及び図5に示すように、自立用脚部材21の脚取付部材19への取付け位置(ワイヤ25aの挿通孔25)が案内溝30より内側(中心側)に位置しているので、自立用脚部材21は容易に閉状態から開状態となる。
【0022】
従って、閉状態の自立用脚部材21で接地ブロック20を接地した場合、一般的に、自立用脚部材21は問題なく開く。しかし、接地条件(接地ブロック20の形状や材質、地面側の凸凹状態や性状等を考慮した摩擦力)によって、自立用脚部材21が開かない場合がある。このため、図5に示すように、接地ブロック20の底部内側に形成された斜面20aに薄板状の突起片20bを設けており、この金属製の突起片20bと地面との摩擦係数を小さくして、自立用脚部材21を開き易く構成している。なお、図5に示すように、自立用脚部材21の閉時(左図)には、4個の接地ブロック20は円柱を周方向に4分割した状態で近接しており、一方、自立用脚部材21の開時(右図)には、4個の接地ブロック20の斜面20aが水平な地面に当接するようになっている。
【0023】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示すように、ロック機構16は、杖本体12の上端部の一側部に垂直に設けられた縦溝31内を上下に移動し、操作部材13の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじ32と、縦溝31の上部に連接して杖本体12に水平に設けられ、把手付きねじ32を掛止する切欠き部33とを備えている。なお、把手付きねじ32の外側端部に操作把手14が設けられている。
【0024】
従って、操作把手14を兼用する把手付きねじ32が縦溝31内にある場合には、コイルスプリング15による下方への付勢力により、図5に示すように、脚取付部材19が上昇位置から下降位置に移動して、脚取付部材19が取付ボルト18を介して案内部材22に押し付けられている(自立用脚部材21の開位置)が、この付勢力に対抗して把手付きねじ32を操作部材13と共に縦溝31内を上限まで上昇させ、操作部材13を杖本体12内で回動させて縦溝31の切欠き部33に掛止することにより、操作部材13の上昇位置(自立用脚部材21の閉位置)で固定、保持することができる。
【0025】
かかる構成によって、操作把手14、コイルスプリング15及びロック機構16とを備えた昇降停止手段によって操作部材13を杖本体12の内で上下して、自立用脚部材21の開閉を行うことができ、しかも、自立用脚部材21の開又は閉状態の維持を行うこともできる。
【0026】
次いで、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖10の使用方法及び作用について、図を参照しながら説明する。
(1)予め、図1(A)及び図2(A)に示すように、操作部材13が上昇位置(自立用脚部材21の閉位置)でロック機構16により杖本体12に固定、保持されており、使用者が把手11を一方の手(例えば、右手)で掴んで歩行用の杖として使用している。
(2)使用者は、買物等の用事ができ、手を把手11から離す必要が生じたため、ロック機構16の把手付きねじ32と兼用される操作把手14を空いている他方の手(例えば、左手)で掴んで、把手付きねじ32を緩めて杖本体12に固定、保持された状態を解除する。この状態で、コイルスプリング15の付勢力により把手付きねじ32は、まだ切欠き部33に掛止している。
【0027】
(3)把手付きねじ32を縦溝31側に水平方向に移動させ、即ち、操作部材13を杖本体12の内で回動させて縦溝31内に入れると、操作部材13の上昇位置での掛止状態が解除されて、コイルスプリング15により操作部材13が下降する際、4本の自立用脚部材21が案内部材22の案内溝30にガイドされて開方向に移動する。
(4)図1(B)及び図2(B)に示すように、自立用脚部材21は、脚取付部材19が案内部材22に取付ボルト18を介して当接した最大開度位置となる。この際、操作部材13が下降位置で停止するが、自立用脚部材21と案内溝30との間のガタに基づいて発生する開度不足を、常時、自立用脚部材21を開方向に付勢する第2の弾性部材(バネ材、ゴム等を用いて、例えば、案内部材22の円板部29と自立用脚部材21との間に設けることができる)により補正してもよい。
【0028】
(5)自立用脚部材21が最大開度位置になった状態で、接地ブロック20を接地させて転倒防止具付き杖10を自立させる。
(6)用事が終わって、再び歩行用の杖として使用する場合には、使用者が把手11を一方の手で掴んで、操作把手14を他方の手で持ち、コイルスプリング15の付勢力に抗して縦溝31及び切欠き部33に移動し、操作部材13を上昇位置にて、ロック機構16により杖本体12に固定、保持して、前記(1)の状態にする。
【0029】
なお、上昇位置で切欠き部33において把手付きねじ32の作用により、操作把手14を杖本体12に固定したが、必要又は状況に応じて、把手付きねじ32を作用させなくて、単に切欠き部33に掛止するだけでも構わない。また、下降位置で把手付きねじ32を締め付けて操作把手14を杖本体12に固定しなかったが、必要又は状況に応じて、把手付きねじ32を作用させて操作把手14を杖本体12に固定することもできる。
【0030】
図8には変形例のロック機構40を示す。なお、転倒防止具付き杖10と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する(以下の変形例についても同様)。
ロック機構40は、パイプ状の操作部材41の上端部に設けられた第1の掛止部の一例である掛止孔42と、掛止孔42に掛合し杖本体43の外側から操作ボタン44が突出する第2の掛止部の一例である鉤状の掛止片45とを有している。また、操作ボタン44は杖本体43との間に設けられた弾性部材の一例であるバネ46により、常時、外方向に付勢力が掛かっている。
【0031】
かかる構成によって、操作把手47を持って、縦溝31内を上昇させることにより操作部材41の掛止孔42と掛止片45とが掛合し、しかも、掛止孔42と掛止片45とが掛合した状態で、バネ46の付勢力に抗して操作ボタン44の押圧によって、この掛合が解除される。このロック機構40の場合には、操作部材41の上方に掛止片45が配置されているので、操作部材41の上方にコイルスプリングを設けることができないため、操作部材41を下方に付勢するコイルスプリングは、例えば、操作部材41の下端部又は中間部に設けることができる。なお、変形例のロック機構40を用いた転倒防止具付き杖の使用方法及び作用については、転倒防止具付き杖10の場合と略同じであるため、説明を割愛する。
【0032】
図9には、変形例の昇降停止手段50を示す。昇降停止手段50は、上部に把手51が取付けられ、主要部が円筒状に形成された杖本体52の内部を上下方向にスライド可能な操作部材53の上端部に設けられた円筒状のナット部54と、ナット部54に螺合するスクリュー部材55と、スクリュー部材55をカップリング56を介して回転駆動する減速モータ57とを備えた電動アクチュエータからなっている。さらに、減速モータ57、減速モータ57の電源である電池58、減速モータ57のオンオフを行うスイッチ59、及び減速モータ57の過電流値を検出して減速モータ57を停止するコントローラ60は、杖本体52にねじ締結により着脱可能な把手51に内蔵されている。
【0033】
なお、ナット部54の回転防止用のスプライン61及びスプライン61に掛合するスプライン溝62がそれぞれ、杖本体52の内周部の一側、ナット部54及び操作部材53の上端部の外周部の一側に形成されている。かかる構成によって、昇降停止手段50によって操作部材53を上下して自立用脚部材21の開閉及びその開又は閉状態の維持を行うことができる。なお、図9中の符号63はスクリュー部材55の下端に設けられた下降位置決め用のストッパーを、符号64はカップリング56に設けられたスクリュー部材55を着脱するための取付ねじを、符号65はカップリング56等を外から監視するための点検窓を、符号66は把手51の一部を構成し、ねじ締結により取り外し可能なキャップを表している。昇降停止手段50を用いた転倒防止具付き杖の使用方法及び作用については、減速モータ57の正逆回転により操作部材53を上下すると共に、上下位置の停止状態ではナット部54とスクリュー部材55との螺合により位置が固定される点で、転倒防止具付き杖10の場合と異なる。
【0034】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の転倒防止具付き杖を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、昇降停止手段は、操作部材13を外側から昇降操作する操作把手14と、操作部材13を下方向の端部まで付勢するコイルスプリング15と、操作部材13をコイルスプリング15の付勢力に対抗して上方向の端部で固定保持するロック機構16とを備えたが、これに限定されず、必要に応じて、その他の構成の昇降停止手段、例えば、ワンタッチ式の傘のロック機構を備えた昇降停止手段を用いることもできる。また、操作部材13を下方向に付勢するコイルスプリング15を用いたが、これに限定されず、操作部材13を上方向に付勢するコイルスプリングを用いても構わない。
【0035】
第1の弾性部材としてコイルスプリングを用いたが、これに限定されず、状況に応じて、その他の弾性部材(例えば、ゴム)を用いることもできる。
ロック機構16は、操作把手14と兼用され、杖本体12に設けられた縦溝31内を上下に移動し操作部材13の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじ32と、縦溝31の上部に連接して杖本体12に設けられ把手付きねじ32を掛止する切欠き部33とを備えた構成としたり、又は、操作部材41の上側に設けられた掛止孔42と、掛止孔42に掛合し杖本体43の外側から操作ボタン44が突出する掛止片45を有し、操作部材41を上昇させることによって掛止孔42、掛止片45が掛合し、かつ掛止孔42、掛止片45が掛合した状態で操作ボタン44の押圧によって掛合が解除されるように構成したが、これに限定されず、その他の構成のロック機構とすることもできる。
【0036】
昇降停止手段50では、操作部材53を上下させる電動アクチュエータとして、操作部材53の上端部に設けられたナット部54と、ナット部54に螺合するスクリュー部材55と、スクリュー部材55を回転駆動する減速モータ57とを備えたが、これに限定されず、その他の構成、例えば、直動式の電動シリンダー等を使用することもできる。
4本の自立用脚部材21の先端部に挿通孔25を設け、4本の自立用脚部材21は挿通孔25を通る一本の無端のワイヤ25aを介して操作部材13に枢支したが、これに限定されず、必要に応じて、他の方法で、4本の自立用脚部材を操作部材に枢支することもできる。
【0037】
自立用脚部材21を開方向に常時付勢する第2の弾性部材は、状況に応じて、設けることも、省略することもできる。
4本の自立用脚部材21は、脚取付部材19及び取付ボルト18を介して一体的に、操作部材13の下端部に着脱可能に設けたが、これに限定されず、必要に応じて、操作部材の下端部に固定することもできる。
自立用脚部材21を4本設けたが、これに限定されず、状況に応じて、自立用脚部材を3本又は5本以上設けることもできる。
【0038】
把手11は掴む高さ位置の調整を考慮することなく杖本体12に取付けたが、これに限定されず、必要に応じて、垂直に設けられた高さ調整部を有し、該高さ調整部の下端部を杖本体に着脱可能に取付けるように構成しても構わない。
自立用脚部材21の下端部に自立用脚部材21が挿通する接地ブロック20を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、接地ブロックを設けることなく、自立用脚部材の下端部に接地部を一体的に形成することもできる。
杖本体の主要部を円筒状としたが、これに限定されず、必要に応じて、矩形状又は多角形状としても構わない。
【0039】
【発明の効果】
請求項1〜11記載の転倒防止具付き杖においては、杖本体の内部で操作部材をスライドさせた上位置での自立用脚部材の閉状態では、自立用脚部材の大半を杖本体内に収納することができるので、歩行者が足等に引っ掛けてつまずくことなく、さらに、外観上体裁が良い。また、足等に引っ掛かり、杖の転倒により、部品が損傷する恐れがないので、所定の自立機能を十分発揮できる。
特に、請求項2記載の転倒防止具付き杖においては、操作部材の上下移動、及び上位置と下位置での固定保持が容易にできるので、使用者が簡単に使用できるため非常に便利である。
【0040】
請求項3記載の転倒防止具付き杖においては、コイルスプリングの付勢力によって操作部材を下方に移動し、自立用脚部材を開状態として把手付きねじにより開状態を保持することができ、コイルスプリングの付勢力に抗して把手付きねじを、縦溝内を移動して切欠き部に掛止することにより、自立用脚部材の閉状態を保持することができるので、昇降停止手段が簡略化され、しかも、昇降停止操作が極めて簡単である。
請求項4記載の転倒防止具付き杖においては、操作部材の上昇により第1、第2の掛止部が掛合し、かつ操作ボタンの押圧により掛合が解除されるので、操作部材の上昇位置での保持及び上昇位置での保持の解除が簡単に操作できる。
【0041】
請求項5記載の転倒防止具付き杖においては、電動アクチュエータの使用によって、操作部材を上下させる人力が不要となるので、歩行者は大きな操作力を必要としない。
請求項6記載の転倒防止具付き杖においては、所要の各部品を杖本体に内蔵することもでき、外見上の体裁がさらに良くなる。
請求項7記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材の周方向の横移動が防止されて、開時の自立の安定性が向上するので、より安全に使用できると共に、閉時の収納性が向上するので、外見上の体裁がよい。
【0042】
請求項8記載の転倒防止具付き杖においては、製作及び組立てが簡単にできるので、製作及び組立て時間が短縮されると同時に、製作及び組立て費用が安くできる。
請求項9記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材を開き易くなるので、操作性が向上する。
請求項10記載の転倒防止具付き杖においては、自立用脚部材を一括して交換することができるので、メンテナンスが容易で、安価にできる。
請求項11記載の転倒防止具付き杖においては、歩行者の掴む高さ位置に応じた把手を取付けることができるので、歩行者の使用対象範囲が拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る転倒防止具付き杖の閉時、開時の正面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の一部省略正断面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時、開時の要部拡大断面図である。
【図4】図3(A)の矢視A−A断面図である。
【図5】同転倒防止具付き杖の自立用脚部材の閉時から開時の経過を説明する拡大断面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の操作部材の先端部に設けられる脚取付部材の平面図、正断面図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ、同転倒防止具付き杖の杖本体の先端部に設けられる案内部材の平面図、正断面図である。
【図8】同転倒防止具付き杖の変形例のロック機構の正断面図である。
【図9】同転倒防止具付き杖の変形例の昇降停止手段の正断面図である。
【符号の説明】
10:転倒防止具付き杖、11:把手、12:杖本体、13:操作部材、14:操作把手、15:コイルスプリング(第1の弾性部材)、16:ロック機構、17:半径方向基部、18:取付ボルト、18a:押え部、18b:大径雄ねじ部、18c:小径雄ねじ部、18d:溝部、19:脚取付部材、20:接地ブロック(接地部)、20a:斜面、20b:突起片、21:自立用脚部材、21a:アンカープレート、22:案内部材、23:凹部、24:底面、25:挿通孔、25a:ワイヤ、26:ガイド溝、27:底面、28:円筒部、28a:Oリング、29:円板部、29a:取付孔、30:案内溝、31:縦溝、32:把手付きねじ、33:切欠き部、40:ロック機構、41:操作部材、42:掛止孔(第1の掛止部)、43:杖本体、44:操作ボタン、45:掛止片(第2の掛止部)、46:バネ(弾性部材)、47:操作把手、50:昇降停止手段、51:把手、52:杖本体、53:操作部材、54:ナット部、55:スクリュー部材、56:カップリング、57:減速モータ、58:電池、59:スイッチ、60:コントローラ、61:スプライン、62:スプライン溝、63:ストッパー、64:取付ねじ、65:点検窓、66:キャップ
Claims (11)
- 上部に把手が取付けられ、主要部が筒状に形成された杖本体と、前記杖本体の内部を上下方向にスライド可能な操作部材と、
前記操作部材をスライドさせて上位置及び下位置で該操作部材を停止させる昇降停止手段と、
半径方向基部が前記操作部材の下部に開閉可能に取付けられ、半径方向先部には接地部が形成された少なくとも3本の棒状の自立用脚部材と、
前記杖本体の下部に設けられ、前記自立用脚部材の開閉位置を決める案内部材とを有し、
前記昇降停止手段によって前記操作部材を上下して前記自立用脚部材の開閉及びその開又は閉状態の維持を行うことを特徴とする転倒防止具付き杖。 - 請求項1記載の転倒防止具付き杖において、前記昇降停止手段は、前記杖本体の外側にその一部が露出し前記操作部材を外側から昇降操作する操作把手と、前記杖本体の内部にあって前記操作部材を上下のいずれか一方の端部まで付勢する第1の弾性部材と、前記操作部材を前記第1の弾性部材の付勢力に対抗して上下のいずれか他方の端部で固定保持するロック機構とを備えることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項2記載の転倒防止具付き杖において、前記第1の弾性部材はコイルスプリングからなって前記操作部材を下方に付勢し、前記ロック機構は、前記操作把手と兼用され、前記杖本体に設けられた縦溝内を上下に移動し前記操作部材の上側部に水平方向から螺合する把手付きねじと、前記縦溝の上部に連接して前記杖本体に設けられ前記把手付きねじを掛止する切欠き部とを備えることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項2記載の転倒防止具付き杖において、前記ロック機構は、前記操作部材の上側に設けられた第1の掛止部と、該第1の掛止部に掛合し前記杖本体の外側から操作ボタンが突出する第2の掛止部を有し、前記操作部材を上昇させることによって前記第1、第2の掛止部が掛合し、かつ前記第1、第2の掛止部が掛合した状態で前記操作ボタンの押圧によって掛合が解除されることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1記載の転倒防止具付き杖において、前記昇降停止手段は前記操作部材を上下させる電動アクチュエータであることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項5記載の転倒防止具付き杖において、前記電動アクチュエータは、前記操作部材の上端部に設けられたナット部と、該ナット部に螺合するスクリュー部材と、該スクリュー部材を回転駆動する減速モータとを備え、該減速モータ、該減速モータの電源である電池、及び前記減速モータのオンオフを行うスイッチは前記杖本体に内蔵されていることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の転倒防止具付き杖において、前記案内部材は、開閉する前記自立用脚部材を開閉方向にカイドする案内溝が設けられて、前記自立用脚部材の周方向の横移動を防止するように形成されていることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の転倒防止具付き杖において、前記自立用脚部材の先端部には挿通孔が設けられて、該挿通孔を通る一本のワイヤを介して前記操作部材に枢支されていることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の転倒防止具付き杖において、前記自立用脚部材を開方向に付勢する第2の弾性部材が設けられていることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の転倒防止具付き杖において、前記自立用脚部材は一体的に、前記操作部材の下端部に着脱可能に設けられていることを特徴とする転倒防止具付き杖。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の転倒防止具付き杖において、前記把手は垂直に設けられた高さ調整部を有し、該高さ調整部の下端部を前記杖本体に着脱可能に取付けることを特徴とする転倒防止具付き杖。
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- 2003-06-16 JP JP2003171053A patent/JP2005006699A/ja active Pending
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