JP2005006556A - ビール有害菌の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビール有害菌、特にラクトバチルス属菌およびペクチネイタス属菌を迅速に検出する方法であって、偽陽性が生じにくい検出方法を提供すること。
【解決手段】ラクトバチルス属菌およびペクチネイタス属菌、特に、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチル・リンドネリ、ラクトバチルスABBC74(FERM P−19330)、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・コリニフォルミス、ラクトバチルス・プランタルム、ペクチネイタス・フリシンゲンシスおよびペクチネイタス・セレヴィシィフィルスのゲノムDNAを増幅し得るプライマーを組み合わせて、ネスティッドPCRにより各菌種に極めて特異的なDNA増幅を行う。
【解決手段】ラクトバチルス属菌およびペクチネイタス属菌、特に、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチル・リンドネリ、ラクトバチルスABBC74(FERM P−19330)、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・コリニフォルミス、ラクトバチルス・プランタルム、ペクチネイタス・フリシンゲンシスおよびペクチネイタス・セレヴィシィフィルスのゲノムDNAを増幅し得るプライマーを組み合わせて、ネスティッドPCRにより各菌種に極めて特異的なDNA増幅を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビール有害菌、特にビール中で生育する乳酸菌およびペクチネイタス属菌の検出および同定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品ビール、半製品および培養酵母にビール有害菌が存在しないことを保証することは、品質管理上極めて重要である。そのため、これらを製品等を検査対象として、ビ−ル有害菌である乳酸菌をPCR法によって同定あるいは検出する方法が開発されてきた(特開平7−289295、特開2002−34578)。また、同じくビール有害菌であるペクチネイタス属菌についても同様な方法が開発されている(特開2002−34578)。
一方、特異性の高いDNA増幅を行うための技術として、ネスティッドPCR(nested PCR;「入れ子PCR」)が知られている(ワトソン・組換えDNAの分子生物学第2版)。例えば、特開平11−75852にはL−ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼ遺伝子、この遺伝子を含むプラスミド、およびL−ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼに関する発明で、前記遺伝子をクローニングするのに、nested PCR法を用いたことが記載されている。また、特開平2000−157299には、HIVウィルスDNAの一部を欠失する配列を競合DNA断片として、nested PCR法を用いて当該ウィルスを定量する方法が記載されている。さらに、特開2002−159295にはHIV−1ウィルスと相同な配列を競合DNA断片として、nested PCR法を用いることにより、患者の細胞中のRNA―DNAハイブリッド濃度を測定する方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−289259
【特許文献2】
特開2002−34578
【特許文献3】
特開平11−75852
【特許文献4】
特開2000−157299
【特許文献5】
特開2002−159295
【非特許文献1】
「ワトソン・組換えDNAの分子生物学」、第2版、丸善(株)、平成7年5月25日発行
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はビール有害菌、特にラクトバチルス属菌(乳酸菌)およびペクチネイタス属菌を迅速に検出する方法であって、偽陽性が生じにくい検出方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した先行技術による方法は当該微生物を検出あるいは同定するのに有効であるが、これらの方法においては、著しく少ない菌数の当該菌種の検出も可能にするため、PCR法による増殖回数を高めに設定する、あるいは、増幅効率の高い酵素を使用する。このため、当該菌が存在しない場合でも、判定に迷う程度のうっすらとしたバンドが生じることがある。通常、このような場合を「擬陽性」と呼び、当該菌の存在が疑わしい検体と仮判定し、PCR試験の再実施をしてきた。しかし、擬陽性である場合は、再試験によっても再度擬陽性反応が生じることがあり、判断に支障をきたすことがあった。これに対して、偽陽性検体については増幅されたDNA断片のヌクレオチド配列を決定することによって菌種の特定を行い、ビール有害菌か否かを最終判定することも可能であるが、そのような方法は極めて高い精度を有する方法であるものの、2〜3日程度の時間を要する点で改善すべき点があった。本発明者らは、ビール有害菌、特に乳酸菌およびペクチネイタス属菌の特定の菌種に対してネスティッドPCR行った場合に、各菌種について極めて特異的な増幅を行い得るプライマーセットの組み合わせが存在することを見いだし、これらのプライマーセットを用いることによって、各菌種を個別に特異的に検出および同定する方法を開発するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、乳酸菌およびペクチネイタス属菌のそれぞれの菌種由来DNAに特異的な2組のプライマーセットを使用してネスティッドPCR(nested PCR;「入れ子PCR」)を行い、乳酸菌およびペクチネイタス属菌を検出および同定する方法である。
より具体的には、本発明は、プライマーLBP2およびUNP1からなる第1のプライマーセットLBを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLBNPXFおよびLBNPXRからなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3およびLBNP1RからなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2FおよびLBNP1RからなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus brevis(ラクトバチルス・ブレビス)の検出方法である。
【0007】
プライマーLBP2:5’− CTGATTTCAACAATGAAGC −3’ (配列番号1)
プライマーUNP1:5’− CCGTCAATTCCTTTGAGTTT −3’ (配列番号2)
プライマーLBNPXF: 5’− TTGGTGAGGTAAAGGCC −3’ (配列番号3)
プライマーLBNPXR: 5’− TAAATACCGTCAACCCT −3’ (配列番号4)
プライマーLBP3:5’− GTGGCTTCGGCTATCACTTC −3’ (配列番号5)
プライマーLBNP1R:5’− AGCACTGAAGGGCGGAAACC −3’ (配列番号6)
プライマーLBNP2F:5’− TGAGAGTAACTGTTCAAGGG −3’ (配列番号7)
【0008】
本発明はまた、プライマー16F−FおよびIF−Rからなる第1のプライマーセットPfIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーFR−F2およびFR−R3からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5およびFR−R4からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5およびPFNP−2RからなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌であるペクチネイタス属菌Pectinatus frisingensis(ペクチネイタス・フリシンゲンシス)の検出方法である。
【0009】
プライマー16F−F:5’− CGTATCCAGAGATGGATATT −3’(配列番号8)
プライマーIF−R:5’− CCATCCTCTTGAAAATCTC −3’’ (配列番号9)
プライマーFR−F2:5’− AAAGGTGGGAACTCAAGT −3’(配列番号10)
プライマーFR−R3:5’− TCGACGGATTGTTTTA −3’(配列番号11)
プライマーFR−F5:5’− AGGTGGGAACTCAAGT −3’(配列番号12)
プライマーFR−R4:5’− GCTCGACGGATTGTTTTA −3’(配列番号13)
プライマーPFNP−2R:5’− TGTGCTCGACGGATTG −3’(配列番号14)
【0010】
本発明はまた、プライマー16C−FおよびIC−Rからなる第1のプライマーセットPcIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーPCNP5FおよびPCNP2R−XからなるプライマーセットPcN1、または、プライマーPCNPF6およびPCNP2R−XからなるプライマーセットPcN2、を第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌であるペクチネイタス属菌Pectinatus cerevisiiphilus(ペクチネイタス・セレヴィシィフィルス)の検出方法である。
【0011】
プライマー16C−F:5’− CGTATGCAGAGATGCATATT −3’ (配列番号15)
プライマーIC−R:5’− CACTCTTACAAGTATCTAC −3’ (配列番号16)
プライマーPCNP5F:5’− GGAACCCAAAAAATATCC −3’ (配列番号17)
プライマーPCNP2R−X:5’− ACTCGACAGATTTTTGTC −3’ (配列番号18)
プライマーPCNPF6:5’− ATTTGTTGCCAGCACGTC −3’ (配列番号19)
【0012】
本発明はまた、プライマーLLP2およびUNP1からなる第1のプライマーセットLLを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLLNPXF3およびLLNPXR3からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3FおよびLLNP1RからなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4FおよびLLNP1RからなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus lindneri(ラクトバチルス・リンドネリ)の検出方法である。
【0013】
プライマーLLP2:5’− GTCTCCTAACTGATAGCT −3’ (配列番号20)
プライマーLLNPXF3:5’− TTGACGATAGATCTGACC −3’ (配列番号21)
プライマーLLNPXR3:5’− GCAGTTGCTCTCACGGTC −3’ (配列番号22)
プライマーLLNP3F:5’− AGAACGACCGTGAGAGC −3’ (配列番号23)
プライマーLLNP1R:5’− TTAGCTGCGGCACTGAGA −3’ (配列番号24)
プライマーLLNP4F:5’− AGCAACTGCTCACGGTG −3’ (配列番号25)
【0014】
本発明はまた、プライマーL74P4−3およびUNP1からなる第1のプライマーセットL74を用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーL74NPXFおよびL74NPXRからなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1FおよびL74NP2RからなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2FおよびL74NP2RからなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus sp. ABBC74(ラクトバチルス ABBC74)(特開2002−34578)(受託番号FERM P−19330)の検出方法である。
【0015】
プライマーL74P4−3:5’− TTTTAACATCGGATGAG −3’ (配列番号26)
プライマーL74NPXF:5’− ATTAGCTAGTTGGTGGA −3’ (配列番号27)
プライマーL74NPXR:5’− TGAATACCGTCAACGTC −3’ (配列番号28)
プライマーL74NP1F:5’− TAACACTTGGAAACAGG −3’ (配列番号29)
プライマーL74NP2R:5’− TTTCCGATGCACTTCTCC −3’ (配列番号30)
プライマーL74NP2F:5’− GTTTCGGCTATCACTTCTG −3’ (配列番号31)
【0016】
本発明はまた、プライマーLCP1およびUNP1からなるプライマーセットLCまたはプライマーLCP11およびUNP1からなるプライマーセットLC2のいずれかを第1のプライマーセットとして試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLCNP1FおよびLCNP1RからなるプライマーセットLCNを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus casei(ラクトバチルス・カゼイ)の検出方法である。
【0017】
プライマーLCP1:5’− ATCCAAGAACCGCATGGTTCTTGGC −3’ (配列番号32)
プライマーLCP11:5’− GAACCGCATGGTTCTTGGC −3’ (配列番号33)
プライマーLCNP1F:5’− GTTGGAGAAGAATGGT −3’ (配列番号34)
プライマーLCNP1R:5’− CTGTTCGCTACCCATG −3’ (配列番号35)
【0018】
本発明はまた、プライマーLOP4およびUNP1からなるプライマーセットLOを第1のプライマーセットとして用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLONP2FおよびLONP1RからなるプライマーセットLONを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus coryniformis(ラクトバチルス・コリニフォルミス)の検出方法である。
【0019】
プライマーLOP4:5’− GGGACTAGAGTAACTGTTAGTCC −3’ (配列番号36)
プライマーLONP2F:5’− CCGAAGAAGTGCATTA −3’ (配列番号37)
プライマーLONP1R:5’− TAATCCTGTTCGCTCC −3’ (配列番号38)
【0020】
本発明はまた、プライマーLPP1およびUNP1からなる第1のプライマーセットLPを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLPNPXFおよびLPNPXRからなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2FおよびLPNP1RからなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3FおよびLPNP1RからなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタルム)の検出方法である。
【0021】
プライマーLPP1:5’− TGGACCGCATGGTCCGAGC −3’ (配列番号39)
プライマーLPNPXF:5’− CTAGATGGTGGGGTAAC −3’ (配列番号40)
プライマーLPNPXR:5’− ACAGTTACTCTCAGATA −3’ (配列番号41)
プライマーLPNP2F:5’− TTGACGGTATTTAACC −3’ (配列番号42)
プライマーLPNP1R:5’−CGTTAGCTGCAGCACTG −3’ (配列番号43)
プライマーLPNP3F:5’− GCTCAACCGAAGAAGTG −3’ (配列番号44)
【0022】
更に本発明は、プライマーLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLB、並びに、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2F(配列番号7)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus brevis検出用キットでもある。
【0023】
本発明は、 プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfII、並びに、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるPectinatus frisingensis検出用キットでもある。
【0024】
また本発明は、プライマー16C−F(配列番号15)およびIC−R(配列番号16)からなる第1のプライマーセットPcII、並びに、プライマーPCNP5F(配列番号17)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN1、およびプライマーPCNPF6(配列番号19)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN2、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるPectinatus cerevisiiphilus検出用キットでもある。
【0025】
本発明は、プライマーLLP2(配列番号20)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLLNPXF3(配列番号21)およびLLNPXR3(配列番号22)からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3F(配列番号23)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4F(配列番号25)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus lindneri検出用キットでもある。
【0026】
本発明は、プライマーL74P4−3(配列番号26)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットL74、並びに、プライマーL74NPXF(配列番号27)およびL74NPXR(配列番号28)からなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1F(配列番号29)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2F(配列番号31)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus ABBC74(受託番号FERM P−19330)検出用キットでもある。
【0027】
また本発明は、プライマーLCP1(配列番号32)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC、および、プライマーLCP11(配列番号33)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC2、からなる群より選ばれる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLCNP1F(配列番号34)およびLCNP1R(配列番号35)からなる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus caseiの検出用キットでもある。
【0028】
本発明は、プライマーLOP4(配列番号36)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLONP2F(配列番号37)およびLONP1R(配列番号38)からなる第2のプライマーセットLONを含む、ビール有害菌であるLactobacillus coryniformis検出用キットでもある。
【0029】
更に、本発明は、プライマーLPP1(配列番号39)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLPNPXF(配列番号40)およびLPNPXR(配列番号41)からなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2F(配列番号42)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3F(配列番号44)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus plantarum検出用キットでもある。
【0030】
本発明のこれらのキットに含まれるプライマーセットを用いて、一般的な条件下においてPCRを行うことによって各プライマーセットに対応したビール有害菌の各菌種に特異的な検出が可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ビール中で生育し混濁事故を引き起こす可能性のある微生物、すなわち「ビール有害菌」が試料中に存在するか否かが、各菌種に特異的な2組のプライマーセットを用いたネスティッドPCRによって判定される。ビール有害菌には、乳酸菌、例えばラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチル・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)、ラクトバチルスsp. ABBC74(Lactobacillus sp. ABBC74;特開2002−34578;FERM P−19330)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、およびペクチネイタス属菌、例えば、ペクチネイタス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)およびペクチネイタス・セレヴィシィフィルス(Pectinatus cerevisiiphilus)が含まれる。ビール製造において最も問題となるのはこれらの菌種である。また、ビール製造業界においては、特に上記の菌を含む、ビール製造において有害である菌を概念的に一括りにして「ビール有害菌」と呼ぶことがあり、この「ビール有害菌」を検出および同定する簡便且つ迅速な方法が望まれてきた。
本発明によって検査される対象物(試料または検体とも呼ぶ)は特に限定されないが、一般にはビールの製造工程において存在する、あるいは排出される一切の材料、中間産物、最終産物その他が含まれる。本発明における検体としは、製品ビール、半製品ビール、培養酵母液が特に適しており、また有用でもある。
【0032】
本発明においては、検体中に含まれる微生物由来のDNA、特にビール有害菌のゲノムDNAを鋳型としてPCRが行われる。必要に応じて検体の微生物を培養した後に、PCRを行うこともできる。PCRの鋳型となるDNAは通常PCR工程中の高温処理によって微生物から流出するためPCRに先立つ前処理は必須ではないが、DNAを簡便に抽出してもよい。例えば、リゾチームやN−アセチルムラミダーゼ等により細胞を溶解し、必要によりタンパク質分解酵素を作用させてタンパク質を分解し、クロロホルム/イソアミルアルコール抽出し、水相にエタノールまたはイソプロパノール等を加え、遠心分離することによって、上述したビール有害菌から簡便にDNAを抽出することができる。このような、ビール有害菌から簡便にDNAを抽出する方法は当業者によく知られたものである。
例えば、ビール製造工程中のサンプル、あるいは排出物を各微生物に応じた適切な寒天培地上に塗布し、各微生物に応じた適切な条件下で培養し、出現したコロニーを上述したような処理にかけることができる。培地としては、例えばMRS寒天培地、GAM寒天培地を利用することができる。その他の条件、例えば、温度、酸素等の条件は各微生物の特性に応じて選択することができる。
【0033】
本発明においては特異性の高い増幅を行うためネスティッドPCR法(「入れ子PCR法」とも呼ばれる)が行われる。ネスティッドPCR法は、増幅対象配列特異的な第1のプライマーセットを用いて1回目のPCRを行い、次に第1のプライマーセットによって増幅されるDNA断片を増幅し得る1対のプライマーであって第1のプライマーセットと共通のプライマーを含まない第2のプライマーセットを用いて、第1のプライマーセットを用いたPCR反応生成物を鋳型として2回目のPCRを行う方法である。これによって、1回目のPCRにおいて目的とするDNA断片以外が増幅されることがあったとしても、2回目のPCRにおいて再びその目的とするDNA断片でないDNA断片が増幅される可能性が極めて低いため、増幅すべきDNA配列に非常に特性の高い増幅を行うことができる。1回目のPCRにおいて増幅すべき断片の長さは特に限定されないが、取り扱いの容易さと反応条件の設定しやすさの観点から約100〜約900塩基対が好ましく、約200〜約900塩基対がより好ましく、約400〜約900塩基対であることが特に好ましい。2回目のPCRにおいて増幅すべき断片の長さは、1回目のPCRによって増幅されるDNA断片より短いという点以外には特に限定されず、一般にPCRにおいて適切な増幅が可能である範囲内であればよい。ここで本明細書において用語「プライマーセット」とは、PCRにおいてプライマーとして機能する2本のオリゴヌクレオチドの組をいい、用語「プライマー対」あるいは「プライマーの組」と互換的に使用される。
【0034】
本発明において特異的増幅に用いるプライマーとしては、16Sあるいは23SリボゾームRNAをコードする遺伝子(rDNA)の部分配列を有するオリゴヌクレオチドまたは、rDNA配列間に存在するスペーサー領域の部分配列を有するオリゴヌクレオチドを使用することができる。種々の生物のrDNAおよびスペーサー領域のヌクレオチド配列は当業者に知られており、本発明において検出対象とする乳酸菌およびペクチネイタス属菌を含むビール有害菌についてもこれらの配列情報は例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrea/query.fcgi?db=PubMedから入手可能である。得られた配列情報を詳細に比較検討することによって、目的とする菌種に特異的な一群のプライマーが選択される。この場合、本発明においては2段階(2回)のPCRを行うため、各段階におけるプライマーセットの特異性は必ずしも極めて高くなくてもよく、2回のPCRを総合的に考慮して特異性の高い2つのプライマーセットを設計することができる。実際、各段階での各プライマーセットの特異性があまり高くない場合でも、異なるプライマーセットを用いて連続的に2回のPCRを行った場合には高い特異性が得られることもある。
【0035】
本発明においては、上述したような2本のオリゴヌクレオチドからなる第1のプライマー対を用いて試料中のDNAを鋳型として1回目のPCRを行い、更に、上述したような2本のオリゴヌクレオチドからなる第2のプライマー対を用いて1回目のPCRの生成物を鋳型として2回目のPCRが行われる。一方、増幅対象となるDNA断片(検出対象となるビール有害菌DNA)を陽性対照として試料に用いた場合と同じ2種のプライマー対および反応条件を用いてPCRを行うことができる。陽性対照として、一連の検査の対象となる菌種由来のDNAを予め混合したDNA混合物を用いても良い。本発明に用いるプライマーは特異性が高いため、そのような混合物を鋳型とした場合でも各検査における陽性対照DNAのみを増幅することができる。 PCRの反応条件は一般的な条件で良く、例えば、約95℃にて5〜10分間処理した後、約95℃にて15〜秒間、約55℃〜60℃にて15〜30秒間、約72℃にて15〜30秒間を25〜30サイクルでよい。これらの温度および時間はプライマーの長さおよびGC含量等を考慮して、当業者の一般的能力の範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0036】
増幅された核酸分子は、電気泳動等によってその存在およびヌクレオチド長(大きさ)を確認することができる。単に存在だけを知るためには、予めプライマーを標識しておき、PCR後、ゲルろ過等により短いオリゴヌクレオチドを除去し、残存する標識を調べることができる。より正確には、存在及び長さ(大きさ)を同定し、陽性対照と同じ大きさの分子が試料を増幅対象としたPCR産物において観察された場合に(例えば、ゲル電気泳動上のバンドとして)、検出対象とした微生物、特にビール有害菌が存在していたと判断することができる。そのような分子が観察されない場合には、試料中には検出対象の微生物が存在していなかったと判断することができる。本発明において検査対象とするビール有害菌はいずれも商業的に入手可能、あるいは公的機関から分譲を受けることが可能である。
【0037】
本発明の一つの実施態様において、上述のLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLBを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2(配列番号7)FおよびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことによって、乳酸菌Lactobacillus brevisの存在の有無が検出される。陽性対照としてはLactobacillus brevis(例えば、DSM20054)のゲノムDNAを利用することができる。
【0038】
本発明の別の実施態様においては、プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれる第2のプラマーセットを用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことにより、ペクチネイタス属菌Pectinatus frisingensisが検出される。陽性対照としては、例えば、Pectinatus frisingensis DSM6306のゲノムDNAを使用することができる。
【0039】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表1に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のP.cerevisiiphilusが検出される。
【表1】
表1.P.cereviisiphilu検出用プライマーセット
【0040】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表2に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus lindneriが検出される。
【0041】
【表2】
表2.Lactobacillus lindneri検出用プライマーセット
【0042】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表3に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus sp. ABBC74が検出される。
【表3】
表3.Lactobacillus sp. ABBC74検出用プライマーセット
【0043】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表4に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus caseiが検出される。
【表4】
表4.Lactobacillus casei検出用プライマーセット
【0044】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表5に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus coryniformisが検出される。
【表5】
表5.Lactobacillus coryniformis検出用プライマーセット
【0045】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表6に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus plantarumが検出される。
【表6】
表6.Lactobacillus plantarum検出用プライマーセット
【0046】
また1回目、2回目の各PCRにおけるプライマーの設計及び選択においては更に一般にPCR用プライマーとして望ましい条件を十分に考慮して行うことができる。そのような条件は当業者にはよく知られたものであり、そのためのコンピュータプログラムも商業的に入手可能である。また、本発明のプライマーは、検出可能な適当な物質で標識されていてもよく、1〜8ヌクレオチドからなる追加の配列が5’末端側に付加されていてもよい。例えば、増幅された断片のヌクレオチド配列を決定する目的でこの断片を適当なベクターにクローニングできるように、各プライマーの5’末端に制限酵素の認識配列を含む6〜8ヌクレオチド程度の配列を付加することもできる。その場合に特異性を失わないように、上述したようなコンピュータープログラムを使用することもできる。
【0047】
これらの各プライマーセットは、1回目のPCRに使用するプライマーセットを第1のプライマーセットとし、2回目のPCRに使用するプライマーセットを第2のプライマーセットとして、検出対象となる菌種に応じて第1のプライマーセットおよび第2のプライマーセットを組み合わせてキットとすることができる。また、複数の菌種を検出するために、各菌種に対応した複数のプライマーセットを同一キットに含めることもでき、更に、キットに含まれる一の菌種検出用のプライマーは、第1のプライマーセット、第2のプライマーセットを、それぞれ1づつ含んでも複数組含んでいてもよい。
【0048】
【実施例】
実施例1.Lactobacillus brevis(L.brevis)の検出
(1)試料の調製
あらかじめ滅菌しておいた綿棒を用いて工場排水口のふき取り試験を実施した。検体をMRS寒天培地(メルク社;1リットルあたり、ペプトン10.0g、肉エキストラクト8.0g、酵母エキストラクト4.0g、D−グルコース20.0g、リン酸水素二カリウム2.0g、Tween80 1.0g、クエン酸水素二アンモニウム2.0g、酢酸ナトリウム5.0g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン0.04g、寒天15.0g、pH 5.8)に塗沫し、25℃にて1週間嫌気培養を行った。得られた微生物コロニーを3個単離し、さらにMRS寒天培地に塗沫し、同様の条件で嫌気培養を行うことによりそれぞれについて単一コロニーを得た。
得られた菌体約108細胞を細胞溶解バッファー(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、0.35mMシュークロース(pH8.0)、1mg/mlリゾチーム(シグマ社)、50μg/ml N−アセチルムラミダーゼ(生化学工業社))0.9mlに懸濁し、37℃にて1時間インキュベートすることにより溶菌した。インキュベート後、背散るトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)バッファー(100mM Tris−HCL、1.5M NaCl、20mM EDTA、20mg/ml CTAB、40mg/ml 2−メルカプトエタノール(pH8.0)、80μg/mlプロテイナーゼK(ナカライテスク社))2mlを添加し、50℃で2時間インキュベートすることによりタンパク質分解を行った。
【0049】
インキュベート後、この溶液に2mlのクロロホルム−イソアミルアルコール(97:3)の混合液を加え、よく懸濁した。1,000 x gにて10分間遠心分離を行い、水相と溶媒相(クロロホルム−イソアミルアルコール混合液)に分離した。水相2mlを新しい15ml遠心チューブに採取し、等量のイソプロパノールを加えてよく混和し、4℃にて1時間放置してDNAを析出させた。放置後、1,000 x gにて10分間遠心分離を行うことにより、菌由来DNAをペレット化した。得られたペレットを70%エタノール1mlで洗浄後、風乾し、0.5ml Trisバッファー(10mM Tris−HCl(pH8.0))に溶解し、抽出DNA溶液を得た。
【0050】
(2)PCR
得られた抽出DNA溶液5μlを鋳型としてPCR反応を行った。
L.brevis JCM1059に特異的になるよう設計されたプライマーセットLB(プライマーPBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる)(図1)を各プライマーが最終濃度1 pmol/μlとなるように用いて、以下の条件でPCR反応を行った。PCR試薬はすべて宝酒造社製PCR用酵素EX Taqを用い、サーマルサイクラーはABI社のGeneAmp PCR System 9700を用いた。陽性対照としては、Lacobacillus brevis DSM20054から上述したように抽出したDNAを鋳型として用いた。
【0051】
【0052】
【0053】
上述のPCR反応により得られた反応液5μlをアガロースゲル電気泳動(2%w/v、TAEバッファー(1Lあたり、Tris 4.8g、酢酸1.14ml、0.5mM EDTA(pH8.0))に供した(100V、30分間)。電気泳動後、サイバーグリーンにより30分間染色し、陽性対照と同じ分子量のPCR産物の存在を調べた。アガロースはSigma社のA−9539を用い、TAE緩衝液はナカライ・テスク社製のものを用いた。また、サイバーグリーンはBMA社のSYBR Green I Nucleic Acid Gel Stain 10μlを100mlのTAEバッファーに添加して調製した。
上述の第1のPCRにより、単離した3株のいずれについても陽性対照と同じ塩基長のPCR産物が得られた。次に、このPCR反応液1μl中の反応生成物をテンプレートとして第2のPCRを行った(ネスティッドPCR)。第2のPCRのために、プライマーセットとして、LBN(配列番号3および4に記載の配列を有するプライマーからなる)、LBN2(配列番号5および6に記載の配列を有するプライマーからなる)およびLBN3(配列番号7および6に記載の配列を有するプライマーからなる)を使用した(図1)。
PCRの反応条件は以下の通りである。
【0054】
【0055】
【0056】
第2のPCRにより得られたPCR反応液10μlを第1のPCR反応物と同様にアガロース電気泳動に供し、陽性対照と同じ分子量のPCR産物の有無を調べた。
ビール有害細菌L.brevis JCM1059に対する3種の特異的プライマーセットLBN、LBN2およびLBN3(図1)を使用した結果、いずれのプライマーセットを用いた場合も増幅断片が観察されなかった。従って、試料中にL.brevisが存在しなかったと判定した。
【0057】
実施例2.Pectinatus frisingensisの検出
あらかじめ滅菌しておいた綿棒を用いて工場排水口のふき取り試験を実施した。検体をGAM寒天培地(日水製薬社;1リットルあたり、ペプトン10.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン10.0g、消化血清末13.5g、酵母エキス5.0g、肉エキス2.2g、肝臓エキス1.2g、ブドウ糖3.0g、リン酸二水素ナトリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、溶性デンプン5.0g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、寒天15.0g、pH 7.1)に塗沫し、30℃にて1週間嫌気培養を行った。得られた微生物コロニーを3個単離し、さらにGAM寒天培地に塗沫し、同様の条件で嫌気培養を行うことによりそれぞれについて単一コロニーを得た。
実施例1と同じ条件で菌体からDNAを抽出し、第1のPCR反応を行った。
P. frisingensis DSM6306に特異的なプライマー・セットPf II(図2)を各プライマー(配列番号8および9に記載の配列を有するプライマー)が最終濃度1 pmol/μlとなるように用いて以下の条件でPCR反応を行った。PCR反応は、実施例1に記載したのと同様である。得られたPCR産物を実施例1と同様にして電気泳動に供し、染色後、陽性対照と同じ分子量を持つPCR産物の存在について調べた。第1のPCRにより、単離した3株のいずれについても陽性対照と同じ塩基長のPCR産物が得られた。
【0058】
次に、このPCR反応液1μl中の反応生成物をテンプレートとして第2のPCRを行った(ネスティッドPCR)。プライマーセットとして、PfN1(配列番号10および11に記載の配列を有するプライマーからなる)、PfN2(配列番号12および13に記載の配列を有するプライマーからなる)およびPfN3(配列番号12および14に記載の配列を有するプライマーからなる)を用いた。
第2のPCRにより得られたPCR反応液10μlをアガロース電気泳動(2% W/V、 TAE 緩衝液)に供した。電気泳動後、サイバーグリーンにより染色し、当該分子量のPCR産物の有無を調べた。アガロースはSigma社のA−9539を用い、TAE緩衝液はナカライ・テスク社製のものを用いた。また、サイバーグリーンはBMA社のSYBR Green I Nucleic Acid Gel Stainを使用した。
ビール有害細菌P. frisingensis DSM6306に対する3種の特異的プライマーセット(PfN1(配列番号10および11)、PfN2(配列番号12および13)、PfN3(配列番号12および14))(図2)を使用した結果、いずれのプライマーセットを使用した場合も所定のバンドが観察され、試料中に存在したビール有害菌はP. frisingensisであることが確認された。
【0059】
実施例3.その他のビール有害菌の検出および特異性の確認
8種のビール有害菌に対するNested PCR用プライマーセットについて特異性を試験した。各プライマーセットは、各菌種に特異的なrDNA配列に基づいて設計したものである。設計したプライマーセットを用いて実施例1または2と同様にPCR反応を行い、電気泳動によって、各菌種の遺伝子配列から予想される分子量に応じたDNA分子が検出されるか否かにより特異性を判定した。
代表的な例として、P.frisingensisに関する結果を図3に示す。PCRの条件及び用いたプライマーは実施例2と同じである。P.frisingensis DSM6306、P.cerevisiiphilus DSM20467、S.lacticifex DSM20757、Z.paucivorans DSM20756、Z.raffinosivorans DSM2765のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅が見られた場合に“+”、見られなかった場合に“−”として表した。図3に示したように、P.frisingensis 用に設計したプライマーセットはP.frisingensis DSM6306のゲノムDNAのみを特異的に増幅した。
同様にして、プライマーゼットLB(配列番号1および2に記載のプライマーからなる)+LBN2(配列番号3および4に記載のプライマーからなる)、プライマーゼットLB(配列番号1および2に記載のプライマーからなる)+LBN3(配列番号5および4に記載のプライマーからなる)を用いたNested PCRにより、いずれの場合もLactobacillus brevisのゲノムDNAが特異的に増幅されることが示された。
【0060】
さらに、プライマーセットpcII+pcN1、pcII+pcN2(表1参照)によりPectinatus cerevisiiphilusのゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLL+LLN、LL+LLN2、LL+LLN3(表2参照)によりLactobacillus lindneriゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLL74+L74N、L74+L74N2、L74+L74N3(表3参照)によりLactobacillus sp. ABBC74ゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLC+LCN、LC2+LCN(表4参照)によりLactobacillus caseiゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLO+LON(表5参照)によりLactobacillus coryniformisゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLP+LPN、LP+LPN2、LP+LPN3(表6参照)によりLactobacillus plantarumゲノムDNAが特異的に増幅されることが確認された。
【発明の効果】
従来のPCR法を用いてわずかの菌数の有害菌を検出しようとする場合、有害菌が存在するかどうかの判定が混乱させる、ごく薄いバンドが生じることがある。このような場合であっても本発明により、確実に陽性か陰性かを判定することが可能になる。従って、本発明により品質管理検査などで問題となる擬陽性反応を回避することができる。
【0061】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Lactobacillus brevis検出用のプライマーセットの名称および配列を示したものである。「第1のPCR」と記載されたプライマーセットはnested PCRにおける最初のPCRに使用するプライマーセットを意味し、「第2のPCR」と記載されたプライマーセットはnested PCRにおいて前記「第1のPCR」に続く第2のPCRにおいて使用するプライマーセットを意味する。
【図2】図2は、Pectinatus frisingensis検出用のプライマーセットの名称および配列を示したものである。「第1のPCR」、「第2のPCR」の意味は図1におけるのと同じである。
【図3】図3は、Pectinatus frisingensis用プライマーを用いたNested PCRの特異性を示したものである。各プライマーセットに含まれるプライマーは図2に示した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビール有害菌、特にビール中で生育する乳酸菌およびペクチネイタス属菌の検出および同定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品ビール、半製品および培養酵母にビール有害菌が存在しないことを保証することは、品質管理上極めて重要である。そのため、これらを製品等を検査対象として、ビ−ル有害菌である乳酸菌をPCR法によって同定あるいは検出する方法が開発されてきた(特開平7−289295、特開2002−34578)。また、同じくビール有害菌であるペクチネイタス属菌についても同様な方法が開発されている(特開2002−34578)。
一方、特異性の高いDNA増幅を行うための技術として、ネスティッドPCR(nested PCR;「入れ子PCR」)が知られている(ワトソン・組換えDNAの分子生物学第2版)。例えば、特開平11−75852にはL−ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼ遺伝子、この遺伝子を含むプラスミド、およびL−ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼに関する発明で、前記遺伝子をクローニングするのに、nested PCR法を用いたことが記載されている。また、特開平2000−157299には、HIVウィルスDNAの一部を欠失する配列を競合DNA断片として、nested PCR法を用いて当該ウィルスを定量する方法が記載されている。さらに、特開2002−159295にはHIV−1ウィルスと相同な配列を競合DNA断片として、nested PCR法を用いることにより、患者の細胞中のRNA―DNAハイブリッド濃度を測定する方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−289259
【特許文献2】
特開2002−34578
【特許文献3】
特開平11−75852
【特許文献4】
特開2000−157299
【特許文献5】
特開2002−159295
【非特許文献1】
「ワトソン・組換えDNAの分子生物学」、第2版、丸善(株)、平成7年5月25日発行
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はビール有害菌、特にラクトバチルス属菌(乳酸菌)およびペクチネイタス属菌を迅速に検出する方法であって、偽陽性が生じにくい検出方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した先行技術による方法は当該微生物を検出あるいは同定するのに有効であるが、これらの方法においては、著しく少ない菌数の当該菌種の検出も可能にするため、PCR法による増殖回数を高めに設定する、あるいは、増幅効率の高い酵素を使用する。このため、当該菌が存在しない場合でも、判定に迷う程度のうっすらとしたバンドが生じることがある。通常、このような場合を「擬陽性」と呼び、当該菌の存在が疑わしい検体と仮判定し、PCR試験の再実施をしてきた。しかし、擬陽性である場合は、再試験によっても再度擬陽性反応が生じることがあり、判断に支障をきたすことがあった。これに対して、偽陽性検体については増幅されたDNA断片のヌクレオチド配列を決定することによって菌種の特定を行い、ビール有害菌か否かを最終判定することも可能であるが、そのような方法は極めて高い精度を有する方法であるものの、2〜3日程度の時間を要する点で改善すべき点があった。本発明者らは、ビール有害菌、特に乳酸菌およびペクチネイタス属菌の特定の菌種に対してネスティッドPCR行った場合に、各菌種について極めて特異的な増幅を行い得るプライマーセットの組み合わせが存在することを見いだし、これらのプライマーセットを用いることによって、各菌種を個別に特異的に検出および同定する方法を開発するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、乳酸菌およびペクチネイタス属菌のそれぞれの菌種由来DNAに特異的な2組のプライマーセットを使用してネスティッドPCR(nested PCR;「入れ子PCR」)を行い、乳酸菌およびペクチネイタス属菌を検出および同定する方法である。
より具体的には、本発明は、プライマーLBP2およびUNP1からなる第1のプライマーセットLBを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLBNPXFおよびLBNPXRからなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3およびLBNP1RからなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2FおよびLBNP1RからなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus brevis(ラクトバチルス・ブレビス)の検出方法である。
【0007】
プライマーLBP2:5’− CTGATTTCAACAATGAAGC −3’ (配列番号1)
プライマーUNP1:5’− CCGTCAATTCCTTTGAGTTT −3’ (配列番号2)
プライマーLBNPXF: 5’− TTGGTGAGGTAAAGGCC −3’ (配列番号3)
プライマーLBNPXR: 5’− TAAATACCGTCAACCCT −3’ (配列番号4)
プライマーLBP3:5’− GTGGCTTCGGCTATCACTTC −3’ (配列番号5)
プライマーLBNP1R:5’− AGCACTGAAGGGCGGAAACC −3’ (配列番号6)
プライマーLBNP2F:5’− TGAGAGTAACTGTTCAAGGG −3’ (配列番号7)
【0008】
本発明はまた、プライマー16F−FおよびIF−Rからなる第1のプライマーセットPfIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーFR−F2およびFR−R3からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5およびFR−R4からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5およびPFNP−2RからなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌であるペクチネイタス属菌Pectinatus frisingensis(ペクチネイタス・フリシンゲンシス)の検出方法である。
【0009】
プライマー16F−F:5’− CGTATCCAGAGATGGATATT −3’(配列番号8)
プライマーIF−R:5’− CCATCCTCTTGAAAATCTC −3’’ (配列番号9)
プライマーFR−F2:5’− AAAGGTGGGAACTCAAGT −3’(配列番号10)
プライマーFR−R3:5’− TCGACGGATTGTTTTA −3’(配列番号11)
プライマーFR−F5:5’− AGGTGGGAACTCAAGT −3’(配列番号12)
プライマーFR−R4:5’− GCTCGACGGATTGTTTTA −3’(配列番号13)
プライマーPFNP−2R:5’− TGTGCTCGACGGATTG −3’(配列番号14)
【0010】
本発明はまた、プライマー16C−FおよびIC−Rからなる第1のプライマーセットPcIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーPCNP5FおよびPCNP2R−XからなるプライマーセットPcN1、または、プライマーPCNPF6およびPCNP2R−XからなるプライマーセットPcN2、を第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌であるペクチネイタス属菌Pectinatus cerevisiiphilus(ペクチネイタス・セレヴィシィフィルス)の検出方法である。
【0011】
プライマー16C−F:5’− CGTATGCAGAGATGCATATT −3’ (配列番号15)
プライマーIC−R:5’− CACTCTTACAAGTATCTAC −3’ (配列番号16)
プライマーPCNP5F:5’− GGAACCCAAAAAATATCC −3’ (配列番号17)
プライマーPCNP2R−X:5’− ACTCGACAGATTTTTGTC −3’ (配列番号18)
プライマーPCNPF6:5’− ATTTGTTGCCAGCACGTC −3’ (配列番号19)
【0012】
本発明はまた、プライマーLLP2およびUNP1からなる第1のプライマーセットLLを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLLNPXF3およびLLNPXR3からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3FおよびLLNP1RからなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4FおよびLLNP1RからなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus lindneri(ラクトバチルス・リンドネリ)の検出方法である。
【0013】
プライマーLLP2:5’− GTCTCCTAACTGATAGCT −3’ (配列番号20)
プライマーLLNPXF3:5’− TTGACGATAGATCTGACC −3’ (配列番号21)
プライマーLLNPXR3:5’− GCAGTTGCTCTCACGGTC −3’ (配列番号22)
プライマーLLNP3F:5’− AGAACGACCGTGAGAGC −3’ (配列番号23)
プライマーLLNP1R:5’− TTAGCTGCGGCACTGAGA −3’ (配列番号24)
プライマーLLNP4F:5’− AGCAACTGCTCACGGTG −3’ (配列番号25)
【0014】
本発明はまた、プライマーL74P4−3およびUNP1からなる第1のプライマーセットL74を用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーL74NPXFおよびL74NPXRからなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1FおよびL74NP2RからなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2FおよびL74NP2RからなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus sp. ABBC74(ラクトバチルス ABBC74)(特開2002−34578)(受託番号FERM P−19330)の検出方法である。
【0015】
プライマーL74P4−3:5’− TTTTAACATCGGATGAG −3’ (配列番号26)
プライマーL74NPXF:5’− ATTAGCTAGTTGGTGGA −3’ (配列番号27)
プライマーL74NPXR:5’− TGAATACCGTCAACGTC −3’ (配列番号28)
プライマーL74NP1F:5’− TAACACTTGGAAACAGG −3’ (配列番号29)
プライマーL74NP2R:5’− TTTCCGATGCACTTCTCC −3’ (配列番号30)
プライマーL74NP2F:5’− GTTTCGGCTATCACTTCTG −3’ (配列番号31)
【0016】
本発明はまた、プライマーLCP1およびUNP1からなるプライマーセットLCまたはプライマーLCP11およびUNP1からなるプライマーセットLC2のいずれかを第1のプライマーセットとして試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLCNP1FおよびLCNP1RからなるプライマーセットLCNを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus casei(ラクトバチルス・カゼイ)の検出方法である。
【0017】
プライマーLCP1:5’− ATCCAAGAACCGCATGGTTCTTGGC −3’ (配列番号32)
プライマーLCP11:5’− GAACCGCATGGTTCTTGGC −3’ (配列番号33)
プライマーLCNP1F:5’− GTTGGAGAAGAATGGT −3’ (配列番号34)
プライマーLCNP1R:5’− CTGTTCGCTACCCATG −3’ (配列番号35)
【0018】
本発明はまた、プライマーLOP4およびUNP1からなるプライマーセットLOを第1のプライマーセットとして用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLONP2FおよびLONP1RからなるプライマーセットLONを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus coryniformis(ラクトバチルス・コリニフォルミス)の検出方法である。
【0019】
プライマーLOP4:5’− GGGACTAGAGTAACTGTTAGTCC −3’ (配列番号36)
プライマーLONP2F:5’− CCGAAGAAGTGCATTA −3’ (配列番号37)
プライマーLONP1R:5’− TAATCCTGTTCGCTCC −3’ (配列番号38)
【0020】
本発明はまた、プライマーLPP1およびUNP1からなる第1のプライマーセットLPを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLPNPXFおよびLPNPXRからなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2FおよびLPNP1RからなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3FおよびLPNP1RからなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌である乳酸菌Lactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタルム)の検出方法である。
【0021】
プライマーLPP1:5’− TGGACCGCATGGTCCGAGC −3’ (配列番号39)
プライマーLPNPXF:5’− CTAGATGGTGGGGTAAC −3’ (配列番号40)
プライマーLPNPXR:5’− ACAGTTACTCTCAGATA −3’ (配列番号41)
プライマーLPNP2F:5’− TTGACGGTATTTAACC −3’ (配列番号42)
プライマーLPNP1R:5’−CGTTAGCTGCAGCACTG −3’ (配列番号43)
プライマーLPNP3F:5’− GCTCAACCGAAGAAGTG −3’ (配列番号44)
【0022】
更に本発明は、プライマーLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLB、並びに、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2F(配列番号7)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus brevis検出用キットでもある。
【0023】
本発明は、 プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfII、並びに、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるPectinatus frisingensis検出用キットでもある。
【0024】
また本発明は、プライマー16C−F(配列番号15)およびIC−R(配列番号16)からなる第1のプライマーセットPcII、並びに、プライマーPCNP5F(配列番号17)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN1、およびプライマーPCNPF6(配列番号19)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN2、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるPectinatus cerevisiiphilus検出用キットでもある。
【0025】
本発明は、プライマーLLP2(配列番号20)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLLNPXF3(配列番号21)およびLLNPXR3(配列番号22)からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3F(配列番号23)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4F(配列番号25)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus lindneri検出用キットでもある。
【0026】
本発明は、プライマーL74P4−3(配列番号26)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットL74、並びに、プライマーL74NPXF(配列番号27)およびL74NPXR(配列番号28)からなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1F(配列番号29)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2F(配列番号31)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus ABBC74(受託番号FERM P−19330)検出用キットでもある。
【0027】
また本発明は、プライマーLCP1(配列番号32)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC、および、プライマーLCP11(配列番号33)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC2、からなる群より選ばれる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLCNP1F(配列番号34)およびLCNP1R(配列番号35)からなる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus caseiの検出用キットでもある。
【0028】
本発明は、プライマーLOP4(配列番号36)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLONP2F(配列番号37)およびLONP1R(配列番号38)からなる第2のプライマーセットLONを含む、ビール有害菌であるLactobacillus coryniformis検出用キットでもある。
【0029】
更に、本発明は、プライマーLPP1(配列番号39)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLPNPXF(配列番号40)およびLPNPXR(配列番号41)からなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2F(配列番号42)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3F(配列番号44)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌であるLactobacillus plantarum検出用キットでもある。
【0030】
本発明のこれらのキットに含まれるプライマーセットを用いて、一般的な条件下においてPCRを行うことによって各プライマーセットに対応したビール有害菌の各菌種に特異的な検出が可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ビール中で生育し混濁事故を引き起こす可能性のある微生物、すなわち「ビール有害菌」が試料中に存在するか否かが、各菌種に特異的な2組のプライマーセットを用いたネスティッドPCRによって判定される。ビール有害菌には、乳酸菌、例えばラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチル・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)、ラクトバチルスsp. ABBC74(Lactobacillus sp. ABBC74;特開2002−34578;FERM P−19330)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、およびペクチネイタス属菌、例えば、ペクチネイタス・フリシンゲンシス(Pectinatus frisingensis)およびペクチネイタス・セレヴィシィフィルス(Pectinatus cerevisiiphilus)が含まれる。ビール製造において最も問題となるのはこれらの菌種である。また、ビール製造業界においては、特に上記の菌を含む、ビール製造において有害である菌を概念的に一括りにして「ビール有害菌」と呼ぶことがあり、この「ビール有害菌」を検出および同定する簡便且つ迅速な方法が望まれてきた。
本発明によって検査される対象物(試料または検体とも呼ぶ)は特に限定されないが、一般にはビールの製造工程において存在する、あるいは排出される一切の材料、中間産物、最終産物その他が含まれる。本発明における検体としは、製品ビール、半製品ビール、培養酵母液が特に適しており、また有用でもある。
【0032】
本発明においては、検体中に含まれる微生物由来のDNA、特にビール有害菌のゲノムDNAを鋳型としてPCRが行われる。必要に応じて検体の微生物を培養した後に、PCRを行うこともできる。PCRの鋳型となるDNAは通常PCR工程中の高温処理によって微生物から流出するためPCRに先立つ前処理は必須ではないが、DNAを簡便に抽出してもよい。例えば、リゾチームやN−アセチルムラミダーゼ等により細胞を溶解し、必要によりタンパク質分解酵素を作用させてタンパク質を分解し、クロロホルム/イソアミルアルコール抽出し、水相にエタノールまたはイソプロパノール等を加え、遠心分離することによって、上述したビール有害菌から簡便にDNAを抽出することができる。このような、ビール有害菌から簡便にDNAを抽出する方法は当業者によく知られたものである。
例えば、ビール製造工程中のサンプル、あるいは排出物を各微生物に応じた適切な寒天培地上に塗布し、各微生物に応じた適切な条件下で培養し、出現したコロニーを上述したような処理にかけることができる。培地としては、例えばMRS寒天培地、GAM寒天培地を利用することができる。その他の条件、例えば、温度、酸素等の条件は各微生物の特性に応じて選択することができる。
【0033】
本発明においては特異性の高い増幅を行うためネスティッドPCR法(「入れ子PCR法」とも呼ばれる)が行われる。ネスティッドPCR法は、増幅対象配列特異的な第1のプライマーセットを用いて1回目のPCRを行い、次に第1のプライマーセットによって増幅されるDNA断片を増幅し得る1対のプライマーであって第1のプライマーセットと共通のプライマーを含まない第2のプライマーセットを用いて、第1のプライマーセットを用いたPCR反応生成物を鋳型として2回目のPCRを行う方法である。これによって、1回目のPCRにおいて目的とするDNA断片以外が増幅されることがあったとしても、2回目のPCRにおいて再びその目的とするDNA断片でないDNA断片が増幅される可能性が極めて低いため、増幅すべきDNA配列に非常に特性の高い増幅を行うことができる。1回目のPCRにおいて増幅すべき断片の長さは特に限定されないが、取り扱いの容易さと反応条件の設定しやすさの観点から約100〜約900塩基対が好ましく、約200〜約900塩基対がより好ましく、約400〜約900塩基対であることが特に好ましい。2回目のPCRにおいて増幅すべき断片の長さは、1回目のPCRによって増幅されるDNA断片より短いという点以外には特に限定されず、一般にPCRにおいて適切な増幅が可能である範囲内であればよい。ここで本明細書において用語「プライマーセット」とは、PCRにおいてプライマーとして機能する2本のオリゴヌクレオチドの組をいい、用語「プライマー対」あるいは「プライマーの組」と互換的に使用される。
【0034】
本発明において特異的増幅に用いるプライマーとしては、16Sあるいは23SリボゾームRNAをコードする遺伝子(rDNA)の部分配列を有するオリゴヌクレオチドまたは、rDNA配列間に存在するスペーサー領域の部分配列を有するオリゴヌクレオチドを使用することができる。種々の生物のrDNAおよびスペーサー領域のヌクレオチド配列は当業者に知られており、本発明において検出対象とする乳酸菌およびペクチネイタス属菌を含むビール有害菌についてもこれらの配列情報は例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrea/query.fcgi?db=PubMedから入手可能である。得られた配列情報を詳細に比較検討することによって、目的とする菌種に特異的な一群のプライマーが選択される。この場合、本発明においては2段階(2回)のPCRを行うため、各段階におけるプライマーセットの特異性は必ずしも極めて高くなくてもよく、2回のPCRを総合的に考慮して特異性の高い2つのプライマーセットを設計することができる。実際、各段階での各プライマーセットの特異性があまり高くない場合でも、異なるプライマーセットを用いて連続的に2回のPCRを行った場合には高い特異性が得られることもある。
【0035】
本発明においては、上述したような2本のオリゴヌクレオチドからなる第1のプライマー対を用いて試料中のDNAを鋳型として1回目のPCRを行い、更に、上述したような2本のオリゴヌクレオチドからなる第2のプライマー対を用いて1回目のPCRの生成物を鋳型として2回目のPCRが行われる。一方、増幅対象となるDNA断片(検出対象となるビール有害菌DNA)を陽性対照として試料に用いた場合と同じ2種のプライマー対および反応条件を用いてPCRを行うことができる。陽性対照として、一連の検査の対象となる菌種由来のDNAを予め混合したDNA混合物を用いても良い。本発明に用いるプライマーは特異性が高いため、そのような混合物を鋳型とした場合でも各検査における陽性対照DNAのみを増幅することができる。 PCRの反応条件は一般的な条件で良く、例えば、約95℃にて5〜10分間処理した後、約95℃にて15〜秒間、約55℃〜60℃にて15〜30秒間、約72℃にて15〜30秒間を25〜30サイクルでよい。これらの温度および時間はプライマーの長さおよびGC含量等を考慮して、当業者の一般的能力の範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0036】
増幅された核酸分子は、電気泳動等によってその存在およびヌクレオチド長(大きさ)を確認することができる。単に存在だけを知るためには、予めプライマーを標識しておき、PCR後、ゲルろ過等により短いオリゴヌクレオチドを除去し、残存する標識を調べることができる。より正確には、存在及び長さ(大きさ)を同定し、陽性対照と同じ大きさの分子が試料を増幅対象としたPCR産物において観察された場合に(例えば、ゲル電気泳動上のバンドとして)、検出対象とした微生物、特にビール有害菌が存在していたと判断することができる。そのような分子が観察されない場合には、試料中には検出対象の微生物が存在していなかったと判断することができる。本発明において検査対象とするビール有害菌はいずれも商業的に入手可能、あるいは公的機関から分譲を受けることが可能である。
【0037】
本発明の一つの実施態様において、上述のLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLBを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2(配列番号7)FおよびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことによって、乳酸菌Lactobacillus brevisの存在の有無が検出される。陽性対照としてはLactobacillus brevis(例えば、DSM20054)のゲノムDNAを利用することができる。
【0038】
本発明の別の実施態様においては、プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれる第2のプラマーセットを用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことにより、ペクチネイタス属菌Pectinatus frisingensisが検出される。陽性対照としては、例えば、Pectinatus frisingensis DSM6306のゲノムDNAを使用することができる。
【0039】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表1に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のP.cerevisiiphilusが検出される。
【表1】
表1.P.cereviisiphilu検出用プライマーセット
【0040】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表2に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus lindneriが検出される。
【0041】
【表2】
表2.Lactobacillus lindneri検出用プライマーセット
【0042】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表3に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus sp. ABBC74が検出される。
【表3】
表3.Lactobacillus sp. ABBC74検出用プライマーセット
【0043】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表4に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus caseiが検出される。
【表4】
表4.Lactobacillus casei検出用プライマーセット
【0044】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表5に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus coryniformisが検出される。
【表5】
表5.Lactobacillus coryniformis検出用プライマーセット
【0045】
更にまた、本発明の別の実施態様においては、上述した方法と同様にして、以下の表6に示したプライマーセットの組み合わせを用いることにより、試料中のLactobacillus plantarumが検出される。
【表6】
表6.Lactobacillus plantarum検出用プライマーセット
【0046】
また1回目、2回目の各PCRにおけるプライマーの設計及び選択においては更に一般にPCR用プライマーとして望ましい条件を十分に考慮して行うことができる。そのような条件は当業者にはよく知られたものであり、そのためのコンピュータプログラムも商業的に入手可能である。また、本発明のプライマーは、検出可能な適当な物質で標識されていてもよく、1〜8ヌクレオチドからなる追加の配列が5’末端側に付加されていてもよい。例えば、増幅された断片のヌクレオチド配列を決定する目的でこの断片を適当なベクターにクローニングできるように、各プライマーの5’末端に制限酵素の認識配列を含む6〜8ヌクレオチド程度の配列を付加することもできる。その場合に特異性を失わないように、上述したようなコンピュータープログラムを使用することもできる。
【0047】
これらの各プライマーセットは、1回目のPCRに使用するプライマーセットを第1のプライマーセットとし、2回目のPCRに使用するプライマーセットを第2のプライマーセットとして、検出対象となる菌種に応じて第1のプライマーセットおよび第2のプライマーセットを組み合わせてキットとすることができる。また、複数の菌種を検出するために、各菌種に対応した複数のプライマーセットを同一キットに含めることもでき、更に、キットに含まれる一の菌種検出用のプライマーは、第1のプライマーセット、第2のプライマーセットを、それぞれ1づつ含んでも複数組含んでいてもよい。
【0048】
【実施例】
実施例1.Lactobacillus brevis(L.brevis)の検出
(1)試料の調製
あらかじめ滅菌しておいた綿棒を用いて工場排水口のふき取り試験を実施した。検体をMRS寒天培地(メルク社;1リットルあたり、ペプトン10.0g、肉エキストラクト8.0g、酵母エキストラクト4.0g、D−グルコース20.0g、リン酸水素二カリウム2.0g、Tween80 1.0g、クエン酸水素二アンモニウム2.0g、酢酸ナトリウム5.0g、硫酸マグネシウム0.2g、硫酸マンガン0.04g、寒天15.0g、pH 5.8)に塗沫し、25℃にて1週間嫌気培養を行った。得られた微生物コロニーを3個単離し、さらにMRS寒天培地に塗沫し、同様の条件で嫌気培養を行うことによりそれぞれについて単一コロニーを得た。
得られた菌体約108細胞を細胞溶解バッファー(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、0.35mMシュークロース(pH8.0)、1mg/mlリゾチーム(シグマ社)、50μg/ml N−アセチルムラミダーゼ(生化学工業社))0.9mlに懸濁し、37℃にて1時間インキュベートすることにより溶菌した。インキュベート後、背散るトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)バッファー(100mM Tris−HCL、1.5M NaCl、20mM EDTA、20mg/ml CTAB、40mg/ml 2−メルカプトエタノール(pH8.0)、80μg/mlプロテイナーゼK(ナカライテスク社))2mlを添加し、50℃で2時間インキュベートすることによりタンパク質分解を行った。
【0049】
インキュベート後、この溶液に2mlのクロロホルム−イソアミルアルコール(97:3)の混合液を加え、よく懸濁した。1,000 x gにて10分間遠心分離を行い、水相と溶媒相(クロロホルム−イソアミルアルコール混合液)に分離した。水相2mlを新しい15ml遠心チューブに採取し、等量のイソプロパノールを加えてよく混和し、4℃にて1時間放置してDNAを析出させた。放置後、1,000 x gにて10分間遠心分離を行うことにより、菌由来DNAをペレット化した。得られたペレットを70%エタノール1mlで洗浄後、風乾し、0.5ml Trisバッファー(10mM Tris−HCl(pH8.0))に溶解し、抽出DNA溶液を得た。
【0050】
(2)PCR
得られた抽出DNA溶液5μlを鋳型としてPCR反応を行った。
L.brevis JCM1059に特異的になるよう設計されたプライマーセットLB(プライマーPBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる)(図1)を各プライマーが最終濃度1 pmol/μlとなるように用いて、以下の条件でPCR反応を行った。PCR試薬はすべて宝酒造社製PCR用酵素EX Taqを用い、サーマルサイクラーはABI社のGeneAmp PCR System 9700を用いた。陽性対照としては、Lacobacillus brevis DSM20054から上述したように抽出したDNAを鋳型として用いた。
【0051】
【0052】
【0053】
上述のPCR反応により得られた反応液5μlをアガロースゲル電気泳動(2%w/v、TAEバッファー(1Lあたり、Tris 4.8g、酢酸1.14ml、0.5mM EDTA(pH8.0))に供した(100V、30分間)。電気泳動後、サイバーグリーンにより30分間染色し、陽性対照と同じ分子量のPCR産物の存在を調べた。アガロースはSigma社のA−9539を用い、TAE緩衝液はナカライ・テスク社製のものを用いた。また、サイバーグリーンはBMA社のSYBR Green I Nucleic Acid Gel Stain 10μlを100mlのTAEバッファーに添加して調製した。
上述の第1のPCRにより、単離した3株のいずれについても陽性対照と同じ塩基長のPCR産物が得られた。次に、このPCR反応液1μl中の反応生成物をテンプレートとして第2のPCRを行った(ネスティッドPCR)。第2のPCRのために、プライマーセットとして、LBN(配列番号3および4に記載の配列を有するプライマーからなる)、LBN2(配列番号5および6に記載の配列を有するプライマーからなる)およびLBN3(配列番号7および6に記載の配列を有するプライマーからなる)を使用した(図1)。
PCRの反応条件は以下の通りである。
【0054】
【0055】
【0056】
第2のPCRにより得られたPCR反応液10μlを第1のPCR反応物と同様にアガロース電気泳動に供し、陽性対照と同じ分子量のPCR産物の有無を調べた。
ビール有害細菌L.brevis JCM1059に対する3種の特異的プライマーセットLBN、LBN2およびLBN3(図1)を使用した結果、いずれのプライマーセットを用いた場合も増幅断片が観察されなかった。従って、試料中にL.brevisが存在しなかったと判定した。
【0057】
実施例2.Pectinatus frisingensisの検出
あらかじめ滅菌しておいた綿棒を用いて工場排水口のふき取り試験を実施した。検体をGAM寒天培地(日水製薬社;1リットルあたり、ペプトン10.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン10.0g、消化血清末13.5g、酵母エキス5.0g、肉エキス2.2g、肝臓エキス1.2g、ブドウ糖3.0g、リン酸二水素ナトリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、溶性デンプン5.0g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、寒天15.0g、pH 7.1)に塗沫し、30℃にて1週間嫌気培養を行った。得られた微生物コロニーを3個単離し、さらにGAM寒天培地に塗沫し、同様の条件で嫌気培養を行うことによりそれぞれについて単一コロニーを得た。
実施例1と同じ条件で菌体からDNAを抽出し、第1のPCR反応を行った。
P. frisingensis DSM6306に特異的なプライマー・セットPf II(図2)を各プライマー(配列番号8および9に記載の配列を有するプライマー)が最終濃度1 pmol/μlとなるように用いて以下の条件でPCR反応を行った。PCR反応は、実施例1に記載したのと同様である。得られたPCR産物を実施例1と同様にして電気泳動に供し、染色後、陽性対照と同じ分子量を持つPCR産物の存在について調べた。第1のPCRにより、単離した3株のいずれについても陽性対照と同じ塩基長のPCR産物が得られた。
【0058】
次に、このPCR反応液1μl中の反応生成物をテンプレートとして第2のPCRを行った(ネスティッドPCR)。プライマーセットとして、PfN1(配列番号10および11に記載の配列を有するプライマーからなる)、PfN2(配列番号12および13に記載の配列を有するプライマーからなる)およびPfN3(配列番号12および14に記載の配列を有するプライマーからなる)を用いた。
第2のPCRにより得られたPCR反応液10μlをアガロース電気泳動(2% W/V、 TAE 緩衝液)に供した。電気泳動後、サイバーグリーンにより染色し、当該分子量のPCR産物の有無を調べた。アガロースはSigma社のA−9539を用い、TAE緩衝液はナカライ・テスク社製のものを用いた。また、サイバーグリーンはBMA社のSYBR Green I Nucleic Acid Gel Stainを使用した。
ビール有害細菌P. frisingensis DSM6306に対する3種の特異的プライマーセット(PfN1(配列番号10および11)、PfN2(配列番号12および13)、PfN3(配列番号12および14))(図2)を使用した結果、いずれのプライマーセットを使用した場合も所定のバンドが観察され、試料中に存在したビール有害菌はP. frisingensisであることが確認された。
【0059】
実施例3.その他のビール有害菌の検出および特異性の確認
8種のビール有害菌に対するNested PCR用プライマーセットについて特異性を試験した。各プライマーセットは、各菌種に特異的なrDNA配列に基づいて設計したものである。設計したプライマーセットを用いて実施例1または2と同様にPCR反応を行い、電気泳動によって、各菌種の遺伝子配列から予想される分子量に応じたDNA分子が検出されるか否かにより特異性を判定した。
代表的な例として、P.frisingensisに関する結果を図3に示す。PCRの条件及び用いたプライマーは実施例2と同じである。P.frisingensis DSM6306、P.cerevisiiphilus DSM20467、S.lacticifex DSM20757、Z.paucivorans DSM20756、Z.raffinosivorans DSM2765のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅が見られた場合に“+”、見られなかった場合に“−”として表した。図3に示したように、P.frisingensis 用に設計したプライマーセットはP.frisingensis DSM6306のゲノムDNAのみを特異的に増幅した。
同様にして、プライマーゼットLB(配列番号1および2に記載のプライマーからなる)+LBN2(配列番号3および4に記載のプライマーからなる)、プライマーゼットLB(配列番号1および2に記載のプライマーからなる)+LBN3(配列番号5および4に記載のプライマーからなる)を用いたNested PCRにより、いずれの場合もLactobacillus brevisのゲノムDNAが特異的に増幅されることが示された。
【0060】
さらに、プライマーセットpcII+pcN1、pcII+pcN2(表1参照)によりPectinatus cerevisiiphilusのゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLL+LLN、LL+LLN2、LL+LLN3(表2参照)によりLactobacillus lindneriゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLL74+L74N、L74+L74N2、L74+L74N3(表3参照)によりLactobacillus sp. ABBC74ゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLC+LCN、LC2+LCN(表4参照)によりLactobacillus caseiゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLO+LON(表5参照)によりLactobacillus coryniformisゲノムDNAが特異的に増幅され、プライマーセットLP+LPN、LP+LPN2、LP+LPN3(表6参照)によりLactobacillus plantarumゲノムDNAが特異的に増幅されることが確認された。
【発明の効果】
従来のPCR法を用いてわずかの菌数の有害菌を検出しようとする場合、有害菌が存在するかどうかの判定が混乱させる、ごく薄いバンドが生じることがある。このような場合であっても本発明により、確実に陽性か陰性かを判定することが可能になる。従って、本発明により品質管理検査などで問題となる擬陽性反応を回避することができる。
【0061】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Lactobacillus brevis検出用のプライマーセットの名称および配列を示したものである。「第1のPCR」と記載されたプライマーセットはnested PCRにおける最初のPCRに使用するプライマーセットを意味し、「第2のPCR」と記載されたプライマーセットはnested PCRにおいて前記「第1のPCR」に続く第2のPCRにおいて使用するプライマーセットを意味する。
【図2】図2は、Pectinatus frisingensis検出用のプライマーセットの名称および配列を示したものである。「第1のPCR」、「第2のPCR」の意味は図1におけるのと同じである。
【図3】図3は、Pectinatus frisingensis用プライマーを用いたNested PCRの特異性を示したものである。各プライマーセットに含まれるプライマーは図2に示した。
Claims (21)
- プライマーLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLBを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2F(配列番号7)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルス・ブレビスの検出方法。
- プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ペクチネイタス・フリシンゲンシスの検出方法。
- プライマー16C−F(配列番号15)およびIC−R(配列番号16)からなる第1のプライマーセットPcIIを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーPCNP5F(配列番号17)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN1、または、プライマーPCNPF6(配列番号19)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN2、を第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ペクチネイタス・セレヴィシィフィルスの検出方法。
- プライマーLLP2(配列番号20)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLLを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLLNPXF3(配列番号21)およびLLNPXR3(配列番号22)からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3F(配列番号23)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4F(配列番号25)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルス・リンドネリの検出方法
- プライマーL74P4−3(配列番号26)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットL74を用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーL74NPXF(配列番号27)およびL74NPXR(配列番号28)からなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1F(配列番号29)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2F(配列番号31)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルスABBC74(FERM P−19330)の検出方法。
- プライマーLCP1(配列番号32)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLCまたはプライマーLCP11(配列番号33)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC2のいずれかを第1のプライマーセットとして試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLCNP1F(配列番号34)およびLCNP1R(配列番号35)からなるプライマーセットLCNを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルス・カゼイの検出方法。
- プライマーLOP4(配列番号36)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLOを第1のプライマーセットとして用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLONP2F(配列番号37)およびLONP1R(配列番号38)からなるプライマーセットLONを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルス・コリニフォルミスの検出方法
- プライマーLPP1(配列番号39)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLPを用いて試料中のDNAを鋳型として第1のPCRを行い、プライマーLPNPXF(配列番号40)およびLPNPXR(配列番号41)からなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2F(配列番号42)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3F(配列番号44)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれるプライマーセットを第2のプライマーセットとして用いて第1のPCRの反応産物を鋳型として第2のPCRを行うことを特徴とする、ビール有害菌ラクトバチルス・プランタルムの検出方法
- プライマーLBP2(配列番号1)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットLB、並びに、プライマーLBNPXF(配列番号3)およびLBNPXR(配列番号4)からなるプライマーセットLBN、プライマーLBP3(配列番号5)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN2、および、プライマーLBNP2F(配列番号7)およびLBNP1R(配列番号6)からなるプライマーセットLBN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ラクトバチルス・ブレビス検出用キット。
- プライマー16F−F(配列番号8)およびIF−R(配列番号9)からなる第1のプライマーセットPfII、並びに、プライマーFR−F2(配列番号10)およびFR−R3(配列番号11)からなるプライマーセットPfN1、プライマーFR−F5(配列番号12)およびFR−R4(配列番号13)からなるプライマーセットPfN2、および、プライマーFR−F5(配列番号12)およびPFNP−2R(配列番号14)からなるプライマーセットPfN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ペクチネイタス・フリシンゲンシス検出用キット。
- プライマー16C−F(配列番号15)およびIC−R(配列番号16)からなる第1のプライマーセットPcII、並びに、プライマーPCNP5F(配列番号17)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN1、およびプライマーPCNPF6(配列番号19)およびPCNP2R−X(配列番号18)からなるプライマーセットPcN2、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ペクチネイタス・セレヴィシィフィルス検出用キット。
- プライマーLLP2(配列番号20)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLLNPXF3(配列番号21)およびLLNPXR3(配列番号22)からなるプライマーセットLLN、プライマーLLNP3F(配列番号23)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットセットLLN2、および、プライマーLLNP4F(配列番号25)およびLLNP1R(配列番号24)からなるプライマーセットLLN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ラクトバチルス・リンドネリ検出用キット。
- プライマーL74P4−3(配列番号26)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセットL74、並びに、プライマーL74NPXF(配列番号27)およびL74NPXR(配列番号28)からなるプライマーセットL74N、プライマーL74NP1F(配列番号29)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N2、および、プライマーL74NP2F(配列番号31)およびL74NP2R(配列番号30)からなるプライマーセットL74N3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ラクトバチルスABBC74(FERM P−19330)検出用キット。
- プライマーLCP1(配列番号32)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC、および、プライマーLCP11(配列番号33)およびUNP1(配列番号2)からなるプライマーセットLC2、からなる群より選ばれる1以上の第1のプライマーセット、並びに、プライマーLCNP1F(配列番号34)およびLCNP1R(配列番号35)からなる第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ラクトバチルス・カゼイの検出用キット。
- プライマーLOP4(配列番号36)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLONP2F(配列番号37)およびLONP1R(配列番号38)からなる第2のプライマーセットLONを含む、ビール有害菌ラクトバチルス・コリニフォルミス検出用キット。
- プライマーLPP1(配列番号39)およびUNP1(配列番号2)からなる第1のプライマーセット、並びに、プライマーLPNPXF(配列番号40)およびLPNPXR(配列番号41)からなるプライマーセットLPN、プライマーLPNP2F(配列番号42)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN2、および、プライマーLPNP3F(配列番号44)およびLPNP1R(配列番号43)からなるプライマーセットLPN3、からなる群より選ばれる1以上の第2のプライマーセットを含む、ビール有害菌ラクトバチルス・プランタルム検出用キット。
- 少なくとも1つのプライマーが標識されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1つのプライマーの5’末端に1〜8個のヌクレオチドが付加された、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1つのプライマーが標識されている、請求項9〜16のいずれか1項に記載のキット。
- 少なくとも1つのプライマーの5’末端に1〜8個のヌクレオチドが付加された、請求項9〜16のいずれか1項に記載のキット。
- 配列番号1〜43に記載のオリゴヌクレオチドを含む、ビール有害菌検出用キット。
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