JP2005006428A - 回転電機におけるロータ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機において左右のステータコイルエンドを均一に冷却する。
【解決手段】電動機は、ステータコアと、ステータコアの内周側に配置されたロータ1010とから構成される。ロータ1010は、回転軸1000の内部の回転軸冷却油路1100と、回転軸1000に垂直な方向に回転軸冷却油路1100からの冷却油を分岐する回転軸分岐油路1102,1104と、回転軸に平行であってそれぞれ独立したロータ冷却油路1106,1108と、ロータ1010の端面に設けられた円周溝形状のロータ端面油路1110,1112と、ロータ端面油路1110に連通された噴射孔1114,1115と、ロータ端面油路1112に連通された噴射孔1116,1117とを含む。
【選択図】 図2
【解決手段】電動機は、ステータコアと、ステータコアの内周側に配置されたロータ1010とから構成される。ロータ1010は、回転軸1000の内部の回転軸冷却油路1100と、回転軸1000に垂直な方向に回転軸冷却油路1100からの冷却油を分岐する回転軸分岐油路1102,1104と、回転軸に平行であってそれぞれ独立したロータ冷却油路1106,1108と、ロータ1010の端面に設けられた円周溝形状のロータ端面油路1110,1112と、ロータ端面油路1110に連通された噴射孔1114,1115と、ロータ端面油路1112に連通された噴射孔1116,1117とを含む。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの構造に関し、特に、自動車等の車両に搭載される液冷のモータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に搭載されるモータや発電機は、回転子(ロータ)と、その周囲に配設されステータ巻線が巻き付けられたステータコアとを有する。モータはステータ巻線に通電して回転力を得て、発電機はロータの回転によりステータ巻線に流れる電流を取り出す。そして、ロータ回転時にステータ巻線に電流が流れると、ステータコアやステータ巻線が発熱する。この発熱を抑えるための冷却に関する技術が、以下の公報に開示されている。
【0003】
特開2001−16826号公報(特許文献1)は、冷却効率の優れた電動機ロータを開示する。この電動機ロータは、冷却油の経路となる中空部を有するロータシャフトと、このロータシャフトの中空部と連通し、電動機ロータの径方向に形成された1または2以上の第1の油路と、この第1の油路と連通し、電動機ロータの円周表面または表面近傍に回転方向に沿って形成される1または2以上の第2の油路と、この第2の油路と連通し、電動機ロータの円周表面または表面近傍に軸方向に沿って、電動機ロータの端面近傍まで形成される1または2以上の第3の油路と、この第3の油路と連通し、電動機ロータの端面近傍に形成される油留め部と、この油留め部と連通し、電動機ロータの端面に形成され、断面が油留め部よりも狭められた形状を有する吹き出し口が形成されているロータコアとを備える。
【0004】
特許文献1に開示された電動機ロータによると、概ね電動機ロータの全体の冷却が効率よく行なわれるようになる。また、電動機ロータの高速回転による遠心力と、冷却油が吹き出し口から空気との摩擦により引き出される作用とにより、ポンプ等の特殊な冷却油供給手段を必要とせず、電動機の構造を簡単なものとすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−16826号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された電動機ロータでは、ロータの軸方向油路がロータの中心近傍のみに形成され、ロータ表面の冷却効率が低いことに鑑み、電動機ロータの円周表面または表面近傍に軸方向に沿って、電動機ロータの端面近傍まで形成される1または2以上の第3の油路を設けている。この第3の油路を介してロータエンドから遠心力によりステータのコイルエンドに冷却油がミスト状に噴霧されて、ステータ両端のコイルエンドが冷却される。
【0007】
ステータ両端のコイルエンドを左右均等に冷却するためには、軸方向の油路に流れる冷却油の油量を均等にする必要がある。モータの搭載状態や車両が走行している路面の傾斜等により、ロータ軸が水平に対して傾斜している場合、ロータの径方向に形成された油路と、ロータの軸方向に形成された油路との連結点において、ロータ両端への冷却油の分配配分に差が生じて、ステータコアの片方に冷却油が十分に供給されないで、供給されなかった方のステータコアにおいて、局部的な温度上昇を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、ステータとその内周側に配置されたロータとから構成される回転電機におけるロータの構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るロータの構造は、中空円筒形状のステータと、ステータの中空部の内周側に配置された回転自在な円筒形状のロータとから構成される回転電機におけるロータの構造である。ステータの両方の端面の側方にステータコイルエンドが形成される。このロータの構造は、ロータの両方の端面に冷却媒体を供給するための供給手段と、端面に設けられ、ステータコイルエンドに冷却媒体を付与するための第1の付与手段と、端面とは異なる他方の端面に設けられ、ステータコイルエンドに冷却媒体を付与するための第2の付与手段とを含む。供給手段は、第1の付与手段に供給される冷却媒体と第2の付与手段に供給される冷却媒体とを流通するための第1の流通手段と、第1の流通手段から第1の付与手段および第2の付与手段に分岐するように接続され、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることなく、第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を流通するための第2の流通手段とを含む。
【0010】
第1の発明によると、この回転電機のステータコイルエンドには、第1の付与手段および第2の付与手段から、たとえば、噴射、噴霧、滴下などにより、冷却媒体が付与される。この第1の付与手段および第2の付与手段には、供給手段により冷却媒体である冷却油などが供給される。第1の流通手段には、第1の付与手段に供給される冷却媒体も第2の付与手段に供給される冷却媒体も流れる。第2の流通手段は、第1の流通手段から第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を分岐させる。このとき、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることなく、第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を流通させることができる。このため、ロータの端面の両方にあるそれぞれの付与手段には、均等に冷却媒体が供給される。特に、回転軸が水平方向に傾いた場合であっても、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることがないので、ロータの端面の両方にあるそれぞれの付与手段には、均等に冷却媒体が供給される。その結果、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0011】
第2の発明に係るロータの構造は、第1の発明の構成において、回転軸は、中空軸であって、第1の流通手段は、中空軸により形成される中空部を共通通路として構成されるものである。第2の流通手段は、回転軸の内部において、共通通路に接続され、ロータの径方向に冷却媒体を分岐させる少なくとも2つの分岐通路と、分岐通路の1つと第1の付与手段とを接続する、回転軸に平行な第1冷却通路と、分岐通路の他の1つと第2の付与手段とを接続する、回転軸に平行な第2冷却通路とにより構成されるものである。
【0012】
第2の発明によると、中空軸の回転軸を用い、その中空部を通って、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが流れる。分岐通路が少なくとも2つ設けられ、ロータの径方向に冷却媒体を分岐させる。この分岐通路の1つが第1の付与手段に接続され第2の付与手段には接続されず、この分岐通路の他の1つが第2の付与手段に接続され第1の付与手段には接続されない。このため、回転軸に平行に第1の付与手段と第2の付与手段とを連通させる冷却通路である場合に比べて、回転軸が水平方向に傾いた場合であっても、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが均等になる。その結果、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0013】
第3の発明に係るロータの構造は、第2の発明の構成において、第1冷却通路および第2の冷却通路は、ロータ内部に設けられるか、または、ロータ内部であって、回転軸との接触面に設けられるものである。
【0014】
第3の発明によると、ロータの内部、または、ロータ内部であって回転軸との接触面に、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を設けることができる。この冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。また、ロータ内部で発生した熱を冷却することができる。
【0015】
第4の発明に係るロータの構造は、第2の発明の構成において、第1冷却通路および第2の冷却通路は、回転軸内部に設けられるか、または、回転軸内部であって、ロータとの接触面に設けられるものである。
【0016】
第4の発明によると、回転軸の内部、または、回転軸内部であってロータとの接触面に、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を設けることができる。この冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。
【0017】
第5の発明に係るロータの構造は、第2〜4のいずれかの発明の構成において、分岐通路または冷却通路は、ロータの断面において点対称に配置され、回転電機の回転中心が点対称の中心であるものである。
【0018】
第5の発明によると、分岐通路または冷却通路は、ロータの断面において点対称に配置され、回転電機の回転中心が点対称の中心になるように配置されるので、回転のバランスを崩すことなく、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0019】
第6の発明に係るロータの構造は、第3の発明の構成において、ロータは、回転軸に対応する円形の穴部を有する円板形状の薄板鋼板が積層されて構成されるものである。薄板鋼板の穴部を形成する内周面には切欠部が設けられる。切欠部により冷却通路が形成される。冷却通路がロータの断面において点対称に配置され回転電機の回転中心が点対称の中心であるように、薄板鋼板は積層されるものである。
【0020】
第6の発明によると、ロータが薄い電磁鋼板を積層して構成され、回転軸に平行な冷却通路を2つ設ける場合、薄板鋼板の穴部を形成する内周面には、たとえば切欠部が設けられる。電磁鋼板の半分をこの切欠部を同じ位相にして積層して、その後、残りの半分を反対の位相(180度ずらした位相)にして積層する。このようにすると、ロータにおいて、積層された電磁鋼板の切欠部により、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることがないように設けることができる。この切欠部により形成された冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
なお、以下の説明においては、本発明における回転電機を電動機として説明するが、本発明は電動機に限定されて適用されるものではない。たとえば、ジェネレータやオルタネータなどの発電機に適用するようにしてもよい。
【0023】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両に搭載される電動機について説明する。車両には図1に示すように回転軸を水平あるいはほぼ水平な状態にして搭載される。
【0024】
図1は、このような電動機の横断面図を示す。この電動機は、2つのベアリング1020により回転自在に支持されたロータ1010を含むロータ部と、ロータ1010の外周方向に設置されたステータコア2000を含むステータ部とから構成される。このロータ1010は、ベアリング1020により支持され、回転軸1000を中心として回転して、回転トルクを車両のパワートレーンに伝達する。
【0025】
ロータ1010に対応して、わずかなギャップを介して対向した位置には、ステータコア2000が設けられる。ステータコア2000には、回転軸に平行な方向にステータコア2000を貫通するように設けられたスリットに、コイルが巻着される。このコイルに電流が流されて、ステータコア2000は、ロータ1010を回転させるための磁界を発生させる。
【0026】
また、ステータコア2000に巻着されたステータコイルの端部がコイルエンド2010として形成されている。ステータコイルは、ステータコア2000のスロットに巻着されて、その一部が、巻返されることによりステータコイルエンド2010が形成される。
【0027】
これらの構成部品である、回転軸1000、ロータ1010、ベアリング1020、ステータコア2000、ステータコイルエンド2010は、ハウジング3000内に収められている。
【0028】
図2を参照して、電動機内部の油路の構造について説明する。図2は、ロータ1010およびステータコア2000を含む断面図である。ロータ1010の回転軸1000は中空軸であって、その中空部分は、回転軸冷却油路1100とされる。この回転軸冷却油路が「共通通路」に相当する。この回転軸冷却油路1100は図示しないオイルポンプに接続され、冷却油がこの回転軸冷却油路1100に供給される。なお、図2に示すようにロータ1010には、回転軸1000に平行な方向にロータ1010を貫くように永久磁石1200が設けられている。回転軸を点対称の中心になるように複数の永久磁石1200が設置されている。
【0029】
回転軸冷却油路1100は、ロータ1010の回転軸方向のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とに、ロータ1010の円周方向に分岐する。この回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とが、「少なくとも2つの分岐通路」に相当する。
【0030】
回転軸分岐油路1102は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106に接続される。このロータ冷却油路1106が「第1冷却通路」に相当する。ロータ冷却油路1106はさらにロータ1010の端面に設けられたロータ端面油路1110に接続される。ロータ端面油路1110は、ロータ1010の円周方向に設けられた溝であって、噴射孔1114および噴射孔1115に接続される。噴射孔1114および噴射孔1115は、ステータコイルエンド2010に冷却油を噴射、噴霧、適下する。
【0031】
一方、回転軸分岐油路1104は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108に接続される。このロータ冷却油路1108が「第2冷却通路」に相当する。ロータ冷却油路1108はさらにロータ1010の端面に設けられたロータ端面油路1112に接続される。ロータ端面油路1112は、ロータ1010の円周方向に設けられた溝であって、噴射孔1116および噴射孔1117に接続される。噴射孔1116および噴射孔1117は、ステータコイルエンド2010に冷却油を噴射、噴霧、滴下する。
【0032】
このような回転軸分岐油路1102および回転軸分岐油路1104ならびにロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108は、それぞれ2つに限定されるものではない。後述するように、電動機の回転バランスを崩さない限り(すなわち、回転軸中心を点対称の中心であるように配置すれば)、2つより多くてもよい。4つの場合は90度の位相のずれをもって左右に2つずつ配置され、6つの場合は60度の位相のずれをもって左右に3つずつ配置され、8つの場合は45度の位相のずれをもって左右に4つずつ配置されることになる。
【0033】
図3に図2の3−3断面図を示す。図3に示すように、ロータ1010には、回転軸1000に平行な方向に、さらに回転軸1000に対して点対称になるように、複数の永久磁石1200が設けられている。
【0034】
図3に示すように、回転軸1000には、回転軸1000の中心(回転中心)とその中心が合致する円断面の回転軸冷却油路1100が、回転軸1000を貫通するように設けられている。回転軸冷却油路1100は、ロータ1010の回転軸方向のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と1104とに、ロータ1010の円周方向に分岐されるように接続されている。回転軸分岐油路1102は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106に接続され、回転軸分岐油路1104は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108に、それぞれ接続されている。
【0035】
図4に図2の4−4断面図を示す。図4に示すように、この断面位置では、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106のみが現れる。この4−4断面の位置と回転軸に平行な方向の反対側(図2の紙面右側)の断面位置では、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108のみが現れる。このロータ冷却油路1108は、ロータ冷却油路1106に対して位相が180度ずれている。
【0036】
図5に図2の5−5断面図を示す。図5に示すように、この断面位置では、ロータ1010端面に設けられた円周溝部であるロータ端面油路1110が現れる。図5に示すように、ロータ端面油路1110は、円周形状の溝であるので、噴出孔1114のみならず噴出孔1115にも冷却油を供給することができる。これは、反対側のロータ1010の端面も同じ構造であって、ロータ端面油路1112は、円周形状の溝であるので、噴出孔1116のみならず噴出孔1117にも冷却油を供給することができる。
【0037】
このような冷却油路を通って噴出孔1114、噴出孔1115、噴出孔1116、および噴出孔1117から冷却油が噴射、噴霧、滴下されて、ステータコア2000の外側のステータコイルエンド2010が、冷却される。
【0038】
以上のような構造を有する電動機における、ステータコア2000のコイルに電流を流すことによりステータコイルエンド2010に発生した熱の冷却について説明する。
【0039】
電動機が回転軸1000を中心として回転して、車両を駆動するためには、ステータコア2000のコイルに、所定の電流(たとえば、車両を走行させるために必要とされるトルクを発生するための電流)が流される。このとき、この電流によりステータコイルエンド2010自体が発熱、あるいはステータコア2000での発熱がステータコイルエンド2010に熱伝導されて、ステータコイルエンド2010が発熱する。
【0040】
このとき、中空軸である回転軸1000の回転軸冷却油路1100を通ってオイルポンプから冷却油が供給される。回転軸冷却油路1100を通った冷却油は、ロータ1010のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とに分岐して、回転軸分岐油路1102側に分岐した冷却油は、ロータ冷却油路1106を通りさらにロータ端面油路1110を通って噴出孔1114および噴出孔1115に到達する。また、回転軸分岐油路1104側に分岐した冷却油は、ロータ冷却油路1108を通りさらにロータ端面油路1112を通って噴出孔1116および噴出孔1117に到達する。
【0041】
噴出孔1114および噴出孔1115および噴出孔1116および噴出孔1117から、ロータ1010の回転による遠心力を受けて、ロータ1010の端面からステータコイルエンド2010に冷却油が噴射、噴霧、滴下などされて飛沫されて、ステータコイルエンド2010が冷却される。
【0042】
以上のようにして、本実施の形態に係る電動機によると、中空円筒形状を有するステータと、電動機は、ステータの中空部の内周側に配置された円筒形状を有する回転自在なロータとから構成され、ステータには、ステータコイルを巻着するための多数のスロットが設けられ、ステータコアからステータコイルエンドがはみ出している。この左右にはみ出したステータコアを冷却油で冷却する場合に、回転軸に設けられた油路からロータの中央で左右均等に冷却油が振り分けられるように左右に独立した油路を設けた。このため、電動機の回転軸が左右に傾いていても左右のいずれか一方のみに冷却油が多く流れて、他方に少なくしか流れないということを回避できる。さらに、ロータ冷却油路およびロータ冷却油路をロータの内周面に設けたので、ロータの発熱を抑制することができる。その結果、ステータのコイルエンドにロータから冷却媒体を供給して冷却する電動機において、回転軸方向の異なる左右の位置に設けられたステータコアを左右均等に冷却することができる。
【0043】
なお、以下に変形例を示す。
上述した電動機においては、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を回転軸1000に接したロータ1010の内周面に設けた。このように構成しないで、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、さらにロータ1010の外側(永久磁石1200側)に設けるようにしてもよい。電動機の回転時にロータ1010に熱が発生する場合であっても、好適に冷却することができる。
【0044】
また、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、ロータ1010の回転軸1000の内部に設けるようにしてもよい。ロータ1010の製作が容易になる。また、この場合、回転軸1000の内部であってその最外周(すなわちロータ1010の内周面に接する位置)にロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、設けるようにしてもよい。この場合、回転軸1000の外周面にキー溝のような溝部を設ければよいだけになり、製造コストを抑制できる可能性が高い。
【0045】
さらに、このロータ1010は、一体成型品であっても、薄い電磁鋼板を多数積層したものであってもよい。電磁鋼板を積層する際には、ロータ冷却油路1106を構成するために切欠部(図4におけるロータ冷却油路1106を形成することになる切欠部)を設けて、電磁鋼板の積層枚数の半分をその切欠部を同じ位置にして積層して、残りの半分の枚数の電磁鋼板を180度位相をずらして積層するようにすればよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動機の断面図である。
【図2】図1に示すロータ部分の拡大図である。
【図3】図2の3−3断面図である。
【図4】図2の4−4断面図である。
【図5】図2の5−5断面図である。
【符号の説明】
1000 回転軸、1010 ロータ、1020 ベアリング、1100 回転軸冷却油路、1102,1104 回転軸分岐油路、1106,1108 ロータ冷却油路、1110,1112 ロータ端面油路、1114,1115,1116,1117 噴射孔、1200 永久磁石、2000 ステータコア、2010 ステータコイルエンド、3000 ハウジング。
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの構造に関し、特に、自動車等の車両に搭載される液冷のモータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に搭載されるモータや発電機は、回転子(ロータ)と、その周囲に配設されステータ巻線が巻き付けられたステータコアとを有する。モータはステータ巻線に通電して回転力を得て、発電機はロータの回転によりステータ巻線に流れる電流を取り出す。そして、ロータ回転時にステータ巻線に電流が流れると、ステータコアやステータ巻線が発熱する。この発熱を抑えるための冷却に関する技術が、以下の公報に開示されている。
【0003】
特開2001−16826号公報(特許文献1)は、冷却効率の優れた電動機ロータを開示する。この電動機ロータは、冷却油の経路となる中空部を有するロータシャフトと、このロータシャフトの中空部と連通し、電動機ロータの径方向に形成された1または2以上の第1の油路と、この第1の油路と連通し、電動機ロータの円周表面または表面近傍に回転方向に沿って形成される1または2以上の第2の油路と、この第2の油路と連通し、電動機ロータの円周表面または表面近傍に軸方向に沿って、電動機ロータの端面近傍まで形成される1または2以上の第3の油路と、この第3の油路と連通し、電動機ロータの端面近傍に形成される油留め部と、この油留め部と連通し、電動機ロータの端面に形成され、断面が油留め部よりも狭められた形状を有する吹き出し口が形成されているロータコアとを備える。
【0004】
特許文献1に開示された電動機ロータによると、概ね電動機ロータの全体の冷却が効率よく行なわれるようになる。また、電動機ロータの高速回転による遠心力と、冷却油が吹き出し口から空気との摩擦により引き出される作用とにより、ポンプ等の特殊な冷却油供給手段を必要とせず、電動機の構造を簡単なものとすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−16826号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された電動機ロータでは、ロータの軸方向油路がロータの中心近傍のみに形成され、ロータ表面の冷却効率が低いことに鑑み、電動機ロータの円周表面または表面近傍に軸方向に沿って、電動機ロータの端面近傍まで形成される1または2以上の第3の油路を設けている。この第3の油路を介してロータエンドから遠心力によりステータのコイルエンドに冷却油がミスト状に噴霧されて、ステータ両端のコイルエンドが冷却される。
【0007】
ステータ両端のコイルエンドを左右均等に冷却するためには、軸方向の油路に流れる冷却油の油量を均等にする必要がある。モータの搭載状態や車両が走行している路面の傾斜等により、ロータ軸が水平に対して傾斜している場合、ロータの径方向に形成された油路と、ロータの軸方向に形成された油路との連結点において、ロータ両端への冷却油の分配配分に差が生じて、ステータコアの片方に冷却油が十分に供給されないで、供給されなかった方のステータコアにおいて、局部的な温度上昇を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、ステータとその内周側に配置されたロータとから構成される回転電機におけるロータの構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るロータの構造は、中空円筒形状のステータと、ステータの中空部の内周側に配置された回転自在な円筒形状のロータとから構成される回転電機におけるロータの構造である。ステータの両方の端面の側方にステータコイルエンドが形成される。このロータの構造は、ロータの両方の端面に冷却媒体を供給するための供給手段と、端面に設けられ、ステータコイルエンドに冷却媒体を付与するための第1の付与手段と、端面とは異なる他方の端面に設けられ、ステータコイルエンドに冷却媒体を付与するための第2の付与手段とを含む。供給手段は、第1の付与手段に供給される冷却媒体と第2の付与手段に供給される冷却媒体とを流通するための第1の流通手段と、第1の流通手段から第1の付与手段および第2の付与手段に分岐するように接続され、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることなく、第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を流通するための第2の流通手段とを含む。
【0010】
第1の発明によると、この回転電機のステータコイルエンドには、第1の付与手段および第2の付与手段から、たとえば、噴射、噴霧、滴下などにより、冷却媒体が付与される。この第1の付与手段および第2の付与手段には、供給手段により冷却媒体である冷却油などが供給される。第1の流通手段には、第1の付与手段に供給される冷却媒体も第2の付与手段に供給される冷却媒体も流れる。第2の流通手段は、第1の流通手段から第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を分岐させる。このとき、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることなく、第1の付与手段および第2の付与手段に冷却媒体を流通させることができる。このため、ロータの端面の両方にあるそれぞれの付与手段には、均等に冷却媒体が供給される。特に、回転軸が水平方向に傾いた場合であっても、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることがないので、ロータの端面の両方にあるそれぞれの付与手段には、均等に冷却媒体が供給される。その結果、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0011】
第2の発明に係るロータの構造は、第1の発明の構成において、回転軸は、中空軸であって、第1の流通手段は、中空軸により形成される中空部を共通通路として構成されるものである。第2の流通手段は、回転軸の内部において、共通通路に接続され、ロータの径方向に冷却媒体を分岐させる少なくとも2つの分岐通路と、分岐通路の1つと第1の付与手段とを接続する、回転軸に平行な第1冷却通路と、分岐通路の他の1つと第2の付与手段とを接続する、回転軸に平行な第2冷却通路とにより構成されるものである。
【0012】
第2の発明によると、中空軸の回転軸を用い、その中空部を通って、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが流れる。分岐通路が少なくとも2つ設けられ、ロータの径方向に冷却媒体を分岐させる。この分岐通路の1つが第1の付与手段に接続され第2の付与手段には接続されず、この分岐通路の他の1つが第2の付与手段に接続され第1の付与手段には接続されない。このため、回転軸に平行に第1の付与手段と第2の付与手段とを連通させる冷却通路である場合に比べて、回転軸が水平方向に傾いた場合であっても、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが均等になる。その結果、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0013】
第3の発明に係るロータの構造は、第2の発明の構成において、第1冷却通路および第2の冷却通路は、ロータ内部に設けられるか、または、ロータ内部であって、回転軸との接触面に設けられるものである。
【0014】
第3の発明によると、ロータの内部、または、ロータ内部であって回転軸との接触面に、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を設けることができる。この冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。また、ロータ内部で発生した熱を冷却することができる。
【0015】
第4の発明に係るロータの構造は、第2の発明の構成において、第1冷却通路および第2の冷却通路は、回転軸内部に設けられるか、または、回転軸内部であって、ロータとの接触面に設けられるものである。
【0016】
第4の発明によると、回転軸の内部、または、回転軸内部であってロータとの接触面に、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を設けることができる。この冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。
【0017】
第5の発明に係るロータの構造は、第2〜4のいずれかの発明の構成において、分岐通路または冷却通路は、ロータの断面において点対称に配置され、回転電機の回転中心が点対称の中心であるものである。
【0018】
第5の発明によると、分岐通路または冷却通路は、ロータの断面において点対称に配置され、回転電機の回転中心が点対称の中心になるように配置されるので、回転のバランスを崩すことなく、左右のステータコイルエンドを均等に冷却することができる、回転電機におけるロータの構造を提供することができる。
【0019】
第6の発明に係るロータの構造は、第3の発明の構成において、ロータは、回転軸に対応する円形の穴部を有する円板形状の薄板鋼板が積層されて構成されるものである。薄板鋼板の穴部を形成する内周面には切欠部が設けられる。切欠部により冷却通路が形成される。冷却通路がロータの断面において点対称に配置され回転電機の回転中心が点対称の中心であるように、薄板鋼板は積層されるものである。
【0020】
第6の発明によると、ロータが薄い電磁鋼板を積層して構成され、回転軸に平行な冷却通路を2つ設ける場合、薄板鋼板の穴部を形成する内周面には、たとえば切欠部が設けられる。電磁鋼板の半分をこの切欠部を同じ位相にして積層して、その後、残りの半分を反対の位相(180度ずらした位相)にして積層する。このようにすると、ロータにおいて、積層された電磁鋼板の切欠部により、回転軸に平行な少なくとも2つの冷却通路(第1の冷却通路および第2の冷却通路)を、第1の付与手段に供給される冷却媒体と、第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることがないように設けることができる。この切欠部により形成された冷却通路を通って、第1の付与手段と第2の付与手段とに均等に冷却媒体が供給される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
なお、以下の説明においては、本発明における回転電機を電動機として説明するが、本発明は電動機に限定されて適用されるものではない。たとえば、ジェネレータやオルタネータなどの発電機に適用するようにしてもよい。
【0023】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両に搭載される電動機について説明する。車両には図1に示すように回転軸を水平あるいはほぼ水平な状態にして搭載される。
【0024】
図1は、このような電動機の横断面図を示す。この電動機は、2つのベアリング1020により回転自在に支持されたロータ1010を含むロータ部と、ロータ1010の外周方向に設置されたステータコア2000を含むステータ部とから構成される。このロータ1010は、ベアリング1020により支持され、回転軸1000を中心として回転して、回転トルクを車両のパワートレーンに伝達する。
【0025】
ロータ1010に対応して、わずかなギャップを介して対向した位置には、ステータコア2000が設けられる。ステータコア2000には、回転軸に平行な方向にステータコア2000を貫通するように設けられたスリットに、コイルが巻着される。このコイルに電流が流されて、ステータコア2000は、ロータ1010を回転させるための磁界を発生させる。
【0026】
また、ステータコア2000に巻着されたステータコイルの端部がコイルエンド2010として形成されている。ステータコイルは、ステータコア2000のスロットに巻着されて、その一部が、巻返されることによりステータコイルエンド2010が形成される。
【0027】
これらの構成部品である、回転軸1000、ロータ1010、ベアリング1020、ステータコア2000、ステータコイルエンド2010は、ハウジング3000内に収められている。
【0028】
図2を参照して、電動機内部の油路の構造について説明する。図2は、ロータ1010およびステータコア2000を含む断面図である。ロータ1010の回転軸1000は中空軸であって、その中空部分は、回転軸冷却油路1100とされる。この回転軸冷却油路が「共通通路」に相当する。この回転軸冷却油路1100は図示しないオイルポンプに接続され、冷却油がこの回転軸冷却油路1100に供給される。なお、図2に示すようにロータ1010には、回転軸1000に平行な方向にロータ1010を貫くように永久磁石1200が設けられている。回転軸を点対称の中心になるように複数の永久磁石1200が設置されている。
【0029】
回転軸冷却油路1100は、ロータ1010の回転軸方向のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とに、ロータ1010の円周方向に分岐する。この回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とが、「少なくとも2つの分岐通路」に相当する。
【0030】
回転軸分岐油路1102は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106に接続される。このロータ冷却油路1106が「第1冷却通路」に相当する。ロータ冷却油路1106はさらにロータ1010の端面に設けられたロータ端面油路1110に接続される。ロータ端面油路1110は、ロータ1010の円周方向に設けられた溝であって、噴射孔1114および噴射孔1115に接続される。噴射孔1114および噴射孔1115は、ステータコイルエンド2010に冷却油を噴射、噴霧、適下する。
【0031】
一方、回転軸分岐油路1104は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108に接続される。このロータ冷却油路1108が「第2冷却通路」に相当する。ロータ冷却油路1108はさらにロータ1010の端面に設けられたロータ端面油路1112に接続される。ロータ端面油路1112は、ロータ1010の円周方向に設けられた溝であって、噴射孔1116および噴射孔1117に接続される。噴射孔1116および噴射孔1117は、ステータコイルエンド2010に冷却油を噴射、噴霧、滴下する。
【0032】
このような回転軸分岐油路1102および回転軸分岐油路1104ならびにロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108は、それぞれ2つに限定されるものではない。後述するように、電動機の回転バランスを崩さない限り(すなわち、回転軸中心を点対称の中心であるように配置すれば)、2つより多くてもよい。4つの場合は90度の位相のずれをもって左右に2つずつ配置され、6つの場合は60度の位相のずれをもって左右に3つずつ配置され、8つの場合は45度の位相のずれをもって左右に4つずつ配置されることになる。
【0033】
図3に図2の3−3断面図を示す。図3に示すように、ロータ1010には、回転軸1000に平行な方向に、さらに回転軸1000に対して点対称になるように、複数の永久磁石1200が設けられている。
【0034】
図3に示すように、回転軸1000には、回転軸1000の中心(回転中心)とその中心が合致する円断面の回転軸冷却油路1100が、回転軸1000を貫通するように設けられている。回転軸冷却油路1100は、ロータ1010の回転軸方向のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と1104とに、ロータ1010の円周方向に分岐されるように接続されている。回転軸分岐油路1102は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106に接続され、回転軸分岐油路1104は、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108に、それぞれ接続されている。
【0035】
図4に図2の4−4断面図を示す。図4に示すように、この断面位置では、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1106のみが現れる。この4−4断面の位置と回転軸に平行な方向の反対側(図2の紙面右側)の断面位置では、ロータ1010に設けられた溝部であるロータ冷却油路1108のみが現れる。このロータ冷却油路1108は、ロータ冷却油路1106に対して位相が180度ずれている。
【0036】
図5に図2の5−5断面図を示す。図5に示すように、この断面位置では、ロータ1010端面に設けられた円周溝部であるロータ端面油路1110が現れる。図5に示すように、ロータ端面油路1110は、円周形状の溝であるので、噴出孔1114のみならず噴出孔1115にも冷却油を供給することができる。これは、反対側のロータ1010の端面も同じ構造であって、ロータ端面油路1112は、円周形状の溝であるので、噴出孔1116のみならず噴出孔1117にも冷却油を供給することができる。
【0037】
このような冷却油路を通って噴出孔1114、噴出孔1115、噴出孔1116、および噴出孔1117から冷却油が噴射、噴霧、滴下されて、ステータコア2000の外側のステータコイルエンド2010が、冷却される。
【0038】
以上のような構造を有する電動機における、ステータコア2000のコイルに電流を流すことによりステータコイルエンド2010に発生した熱の冷却について説明する。
【0039】
電動機が回転軸1000を中心として回転して、車両を駆動するためには、ステータコア2000のコイルに、所定の電流(たとえば、車両を走行させるために必要とされるトルクを発生するための電流)が流される。このとき、この電流によりステータコイルエンド2010自体が発熱、あるいはステータコア2000での発熱がステータコイルエンド2010に熱伝導されて、ステータコイルエンド2010が発熱する。
【0040】
このとき、中空軸である回転軸1000の回転軸冷却油路1100を通ってオイルポンプから冷却油が供給される。回転軸冷却油路1100を通った冷却油は、ロータ1010のほぼ中央で、回転軸分岐油路1102と回転軸分岐油路1104とに分岐して、回転軸分岐油路1102側に分岐した冷却油は、ロータ冷却油路1106を通りさらにロータ端面油路1110を通って噴出孔1114および噴出孔1115に到達する。また、回転軸分岐油路1104側に分岐した冷却油は、ロータ冷却油路1108を通りさらにロータ端面油路1112を通って噴出孔1116および噴出孔1117に到達する。
【0041】
噴出孔1114および噴出孔1115および噴出孔1116および噴出孔1117から、ロータ1010の回転による遠心力を受けて、ロータ1010の端面からステータコイルエンド2010に冷却油が噴射、噴霧、滴下などされて飛沫されて、ステータコイルエンド2010が冷却される。
【0042】
以上のようにして、本実施の形態に係る電動機によると、中空円筒形状を有するステータと、電動機は、ステータの中空部の内周側に配置された円筒形状を有する回転自在なロータとから構成され、ステータには、ステータコイルを巻着するための多数のスロットが設けられ、ステータコアからステータコイルエンドがはみ出している。この左右にはみ出したステータコアを冷却油で冷却する場合に、回転軸に設けられた油路からロータの中央で左右均等に冷却油が振り分けられるように左右に独立した油路を設けた。このため、電動機の回転軸が左右に傾いていても左右のいずれか一方のみに冷却油が多く流れて、他方に少なくしか流れないということを回避できる。さらに、ロータ冷却油路およびロータ冷却油路をロータの内周面に設けたので、ロータの発熱を抑制することができる。その結果、ステータのコイルエンドにロータから冷却媒体を供給して冷却する電動機において、回転軸方向の異なる左右の位置に設けられたステータコアを左右均等に冷却することができる。
【0043】
なお、以下に変形例を示す。
上述した電動機においては、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を回転軸1000に接したロータ1010の内周面に設けた。このように構成しないで、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、さらにロータ1010の外側(永久磁石1200側)に設けるようにしてもよい。電動機の回転時にロータ1010に熱が発生する場合であっても、好適に冷却することができる。
【0044】
また、ロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、ロータ1010の回転軸1000の内部に設けるようにしてもよい。ロータ1010の製作が容易になる。また、この場合、回転軸1000の内部であってその最外周(すなわちロータ1010の内周面に接する位置)にロータ冷却油路1106およびロータ冷却油路1108を、設けるようにしてもよい。この場合、回転軸1000の外周面にキー溝のような溝部を設ければよいだけになり、製造コストを抑制できる可能性が高い。
【0045】
さらに、このロータ1010は、一体成型品であっても、薄い電磁鋼板を多数積層したものであってもよい。電磁鋼板を積層する際には、ロータ冷却油路1106を構成するために切欠部(図4におけるロータ冷却油路1106を形成することになる切欠部)を設けて、電磁鋼板の積層枚数の半分をその切欠部を同じ位置にして積層して、残りの半分の枚数の電磁鋼板を180度位相をずらして積層するようにすればよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動機の断面図である。
【図2】図1に示すロータ部分の拡大図である。
【図3】図2の3−3断面図である。
【図4】図2の4−4断面図である。
【図5】図2の5−5断面図である。
【符号の説明】
1000 回転軸、1010 ロータ、1020 ベアリング、1100 回転軸冷却油路、1102,1104 回転軸分岐油路、1106,1108 ロータ冷却油路、1110,1112 ロータ端面油路、1114,1115,1116,1117 噴射孔、1200 永久磁石、2000 ステータコア、2010 ステータコイルエンド、3000 ハウジング。
Claims (6)
- 中空円筒形状のステータと、前記ステータの中空部の内周側に配置された回転自在な円筒形状のロータとから構成される回転電機におけるロータの構造であって、前記ステータの両方の端面の側方にステータコイルエンドが形成され、
前記ロータの両方の端面に冷却媒体を供給するための供給手段と、
前記端面に設けられ、ステータコイルエンドに前記冷却媒体を付与するための第1の付与手段と、
前記端面とは異なる他方の端面に設けられ、ステータコイルエンドに前記冷却媒体を付与するための第2の付与手段とを含み、
前記供給手段は、
前記第1の付与手段に供給される冷却媒体と前記第2の付与手段に供給される冷却媒体とを流通するための第1の流通手段と、
前記第1の流通手段から前記第1の付与手段および前記第2の付与手段に分岐するように接続され、前記第1の付与手段に供給される冷却媒体と、前記第2の付与手段に供給される冷却媒体とが互いに影響を受けることなく、前記第1の付与手段および前記第2の付与手段に前記冷却媒体を流通するための第2の流通手段とを含む、ロータ構造。 - 前記回転軸は、中空軸であって、
前記第1の流通手段は、前記中空軸により形成される中空部を共通通路として構成され、
前記第2の流通手段は、
前記回転軸の内部において、前記共通通路に接続され、前記ロータの径方向に前記冷却媒体を分岐させる少なくとも2つの分岐通路と、
前記分岐通路の1つと前記第1の付与手段とを接続する、前記回転軸に平行な第1冷却通路と、
前記分岐通路の他の1つと前記第2の付与手段とを接続する、前記回転軸に平行な第2冷却通路とにより構成される、請求項1に記載のロータ構造。 - 前記第1冷却通路および前記第2の冷却通路は、前記ロータ内部に設けられるか、または、前記ロータ内部であって、前記回転軸との接触面に設けられる、請求項2に記載のロータ構造。
- 前記第1冷却通路および前記第2の冷却通路は、前記回転軸内部に設けられるか、または、前記回転軸内部であって、前記ロータとの接触面に設けられる、請求項2に記載のロータ構造。
- 前記分岐通路または前記冷却通路は、前記ロータの断面において点対称に配置され、前記回転電機の回転中心が点対称の中心である、請求項2〜4のいずれかに記載のロータ構造。
- 前記ロータは、前記回転軸に対応する円形の穴部を有する円板形状の薄板鋼板が積層されて構成され、
前記薄板鋼板の穴部を形成する内周面には切欠部が設けられ、
前記切欠部により前記冷却通路が形成され、
前記冷却通路が前記ロータの断面において点対称に配置され、前記回転電機の回転中心が点対称の中心であるように、前記薄板鋼板は積層される、請求項3に記載のロータ構造。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060905 |