JP2005006243A - 回線エコーキャンセル装置、回線エコーキャンセル方法および記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することを目的とする。
【解決手段】電話回線などに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置108であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段204と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段202と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段205と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段203とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】電話回線などに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置108であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段204と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段202と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段205と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段203とを有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話回線などのネットワークに接続して使用される通話端末において利用される回線エコーキャンセル装置、その通話端末における回線エコーキャンセル方法、および、その回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電話回線(以下、単に「回線」という)において発生するエコーを抑止するための装置として、回線エコーキャンセル装置がある。この回線エコーキャンセル装置によれば、エコー経路を経て装置に入力されたエコー信号から、経路を擬似的に模擬した伝達関数とエコー経路へ出力した信号とを畳み込んだ信号を差し引くことにより、エコー信号を除去することができる。以下に、従来の回線エコーキャンセル装置について(特許文献1)を用いて説明する。
【0003】
図7は、(特許文献1)に記載された従来の回線エコーキャンセル装置を示すブロック図である。
【0004】
図7において、701は回線エコーキャンセル装置、702は回線1からの受信信号との間で畳み込み演算を行う適応フィルタ、703は減算器、704は減算器703における減算後の信号に対する自乗誤差信号を計算する自乗誤差算出器、705は自乗誤差信号と閾値とを比較する判定器、706はタップ係数値を記憶するタップ係数メモリ、707はより適切なタップ係数値の推定を行うタップ係数比較器である。
【0005】
このように構成された回線エコーキャンセル装置701について、その動作を説明する。
【0006】
回線1側より受信信号が入力されると、この受信信号は回線エコーキャンセル装置701内で分岐され、1つは回線2側へ、もう1つは適応フィルタ702へ入力される。適応フィルタ702では、タップ係数値がタップ係数メモリ706から読み出され、受信信号との間で畳み込み演算が実施されて疑似エコー信号が生成される。生成された擬似エコー信号は減算器703に入力され、エコー信号から減算される。減算後の信号は同時に自乗誤差算出器704へ与えられ、自乗誤差算出器704では減算後の信号に対する自乗誤差信号が計算され、その結果が適応フィルタ702と判定器705とへ出力される。判定器705では、或る閾値を持っており、自乗誤差信号とこの閾値とが比較され、自乗誤差信号と閾値との差が判定され、その結果を示す制御信号がタップ係数比較器707へ出力される。タップ係数比較器では、その制御信号の示す結果を元に、より適切なタップ係数値の推定が行われる。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−079136号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回線エコーキャンセル装置では、通話相手がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末である場合には、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、先方の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を進めてしまい、最悪の場合にはエコーキャンセル機能の破綻へと至るという問題点を有していた。
【0009】
この回線エコーキャンセル装置、回線エコーキャンセル方法および記憶媒体では、手元の通話端末の回線エコーキャンセル装置が先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することが要求されている。
【0010】
本発明は、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる回線エコーキャンセル装置、および、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現するための回線エコーキャンセル方法、ならびに、その回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の回線エコーキャンセル装置は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有する構成を備えている。
【0012】
これにより、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる回線エコーキャンセル装置が得られる。
【0013】
上記課題を解決するために本発明の回線エコーキャンセル方法は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有する構成を備えている。
【0014】
これにより、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現するための回線エコーキャンセル方法が得られる。
【0015】
上記課題を解決するために本発明の記録媒体は、上記回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である構成を備えている。
【0016】
これにより、上記回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有することとしたものである。
【0018】
この構成により、フィルタ手段の計数値は伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置(つまり本回線エコーキャンセル装置)が、先方の通話端末(相手の通話端末)の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという作用がある。
【0019】
請求項2に記載の回線エコーキャンセル装置は、請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置において、係数判断手段は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することとしたものである。
【0020】
この構成により、係数判断手段における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという作用がある。
【0021】
請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有することとしたものである。
【0022】
この構成により、フィルタの計数値は伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという作用がある。
【0023】
請求項4に記載の回線エコーキャンセル方法は、請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法において、係数判断ステップにおいては、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することとしたものである。
【0024】
この構成により、係数判断ステップにおける判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという作用がある。
【0025】
請求項5に記載の記録媒体は、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることとしたものである。
【0026】
この構成により、記録媒体をコンピュータで読み取りさえすれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法を任意の時間に任意の場所で実行することができるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、一般的な通話端末を示すブロック図であり、スピーカフォン方式電話機を示す。
【0029】
図1において、101は電話回線とのインタフェースを有する電話回路装置、102はアナログ信号である受話音声信号をデジタル信号に変換する第1のA/D変換装置、103はデジタル信号をアナログ信号へ変換する第1のD/A変換装置、104はD/A変換装置103からのアナログ信号を音声に変換するスピーカ、105は音声をアナログ信号に変換するマイクロフォン、106はマイクロフォンからのアナログ信号をデジタル信号に変換する第2のA/D変換装置、107はデジタル信号をアナログ信号に変換する第2のD/A変換装置、108はA/D変換装置102およびA/D変換装置106から得られたデジタル信号に対してデジタル信号処理を行い、その演算結果をD/A変換装置103およびD/A変換装置107に出力する中央演算処理装置(回線エコーキャンセル装置)、109は回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置108を動作させるためのプログラムが記憶されているROM(Read Only Memory)、110はROM109に記憶されているプログラムに従って中央演算処理装置108が動作する際に使用するRAM(Random Access Memory)である。
【0030】
図2は、図1の通話端末の回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置108を示す機能ブロック図であり、ROM109記憶のプログラムを実行することにより実現される機能ブロックを示す。
【0031】
図2において、201は遠端話者の発話、近端話者の発話およびダブルトーク(遠端話者と近端話者の同時発話)を検出する話者検出手段、202はNLMS方式等により電話回線装置101の伝達関数を推定する伝達関数推定手段、204は参照信号207とエコー成分の伝達関数との畳み込み演算を行い疑似エコー成分を生成するフィルタ手段、203は伝達関数推定手段202の推定結果をフィルタ手段204内のタップ係数に対して反映更新する係数更新手段、205はフィルタ手段204内のタップ係数の状態を判断する係数判断手段、206は減算手段である。また、208はエコー成分減算前の入力信号、209は、入力信号208から疑似エコー成分を減算手段206によって減算した出力信号である。この構成により、フィルタ手段204の係数の状態を判断した結果により係数更新手段203の動作を制御することが可能となる。
【0032】
図3は、フィルタ手段204内のタップ係数について、回線の伝達関数を正常に学習できた例(通話相手がハンドセット)と、誤学習してしまった例(通話相手はスピーカーホン)との比較図である(回線は同一)。回線エコーキャンセル装置については、回線エコーの特性のみを学習することが望ましいが、通話相手がスピーカーホンの場合には、近端端末の回線エコーキャンセル装置が通話相手の音響エコーキャンセル装置の消し残りを含めて誤学習してしまっている。このように、正常学習時と誤学習時には、フィルタ手段204のタップ係数の値には差異があり、その差は特にタップの後半部に顕著に認められる。この性質を用いて係数判断手段205が両者の違いを判断することにより、フィルタ手段204のタップ係数の状態が望ましいものか、そうでないものかを判断することが可能である。
【0033】
図4は、図2の回線エコーキャンセル装置の動作を示すフローチャートでありスピーカフォン方式電話機におけるエコーキャンセル方法を示す。
【0034】
図4において、回線エコーキャンセル処理を開始すると、まず話者検出手段201が遠端話者発話、近端話者発話、ダブルトークを判定し(S1)、学習可能な状態であれば伝達関数推定手段202がNLMS等のアルゴリズムを用いて伝達関数の推定(S2)を行い、係数判断手段205はフィルタ手段204の係数値から、誤学習の状態を判断し(S3)、その判断結果を元に、係数更新手段203はフィルタ手段204の係数更新を行う(S4)。次に、フィルタ手段204は、参照信号207との畳み込み演算(S5)を行い疑似エコー成分を生成し、減算手段206は入力信号208から上記疑似エコー成分を減算除去(S6)することで出力信号209を生成し、終了する。ステップS1で学習可能な状態でないと判定したときは、フィルタ手段204の計数値を更新することなくステップS5へ移行する。
【0035】
図5は、図4の係数判断ステップS3(係数判断手段205の動作)を示すフローチャートである。
【0036】
図5において、係数判断手段205が判断処理を開始すると、まずフィルタ手段204内のタップ係数のパワーを係数ごとに算出する(S11)。タップ係数の後半部のパワー総和が閾値を上回っているかどうかを判定し(S12)、上回っていればカウンタを増やし(S13)そうでなければカウンタを減らす(S14)。さらに、上記カウンタが規定値に達したかどうかを判定し(S15)、規定値に達していれば誤学習と判定し(S16)、そうでなければ係数判断ステップを終了する。なお、ステップS12については、他にもタップ係数の前半部のパワー総和と後半部のパワー総和との比を閾値と比較する方法など様々な方法が考えられる。また、上記のようにカウンタを設けずに瞬時々々で誤学習判定を行う方法なども考えられる。
【0037】
図6は、図4の係数更新ステップS4(係数更新手段203の動作)を示すフローチャートである。
【0038】
図6において、係数更新手段203が更新処理を開始すると、まず係数判断手段205の判断結果に基づき、タップ係数が誤学習しているかどうかを確認し(S21)、誤学習しているようであればタップ係数をクリア(S22)し、そうでなければ伝達関数推定手段202の推定結果に基づき、タップ係数の更新処理を行い(S23)、更新ステップを終了する。なお、係数クリアステップS22については、タップ係数全体をゼロクリアする方法や、後半部分のみをゼロクリアする方法、係数判断手段205がゼロ近傍と判断したポイント以降をクリアする方法、係数を一切クリアせずにそのままの状態で保持する方法など様々な方法が考えられる。
【0039】
以上のように本実施の形態によれば、回線エコーキャンセル装置208は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段204と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段202と、フィルタ手段204の係数値を判断する係数判断手段205と、伝達関数推定手段202における推定結果と係数判断手段205における判断結果とに基づきフィルタ手段204の係数値を更新する係数更新手段203とを有することにより、フィルタ手段204の計数値は伝達関数推定手段202における推定結果と係数判断手段205における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置108が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる。
【0040】
また、係数判断手段205は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断手段205における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置108が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置によれば、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有することにより、フィルタ手段の計数値は伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置(つまり本回線エコーキャンセル装置)が、先方の通話端末(相手の通話端末)の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0042】
請求項2に記載の回線エコーキャンセル装置によれば、請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置において、係数判断手段は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断手段における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
【0043】
請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法によれば、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有することにより、フィルタの計数値は伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0044】
請求項4に記載の回線エコーキャンセル方法によれば、請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法において、係数判断ステップにおいては、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断ステップにおける判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
【0045】
請求項5に記載の記録媒体によれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、記録媒体をコンピュータで読み取りさえすれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法を任意の時間に任意の場所で実行することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な通話端末を示すブロック図
【図2】図1の通話端末の回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置を示す機能ブロック図
【図3】フィルタ手段内のタップ係数について、回線の伝達関数を正常に学習できた例と誤学習してしまった例との比較図
【図4】図2の回線エコーキャンセル装置の動作を示すフローチャート
【図5】図4の係数判断ステップ(係数判断手段の動作)を示すフローチャート
【図6】図4の係数更新ステップ(係数更新手段の動作)を示すフローチャート
【図7】従来の回線エコーキャンセル装置を示すブロック図
【符号の説明】
101 電話回路装置
102、106 A/D変換装置
103、107 D/A変換装置
104 スピーカ
105 マイクロフォン
108 中央演算処理装置(回線エコーキャンセル装置)
109 ROM
110 RAM
201 話者検出手段
202 伝達関数推定手段
203 係数更新手段
204 フィルタ手段
205 係数判断手段
206 減算手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話回線などのネットワークに接続して使用される通話端末において利用される回線エコーキャンセル装置、その通話端末における回線エコーキャンセル方法、および、その回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電話回線(以下、単に「回線」という)において発生するエコーを抑止するための装置として、回線エコーキャンセル装置がある。この回線エコーキャンセル装置によれば、エコー経路を経て装置に入力されたエコー信号から、経路を擬似的に模擬した伝達関数とエコー経路へ出力した信号とを畳み込んだ信号を差し引くことにより、エコー信号を除去することができる。以下に、従来の回線エコーキャンセル装置について(特許文献1)を用いて説明する。
【0003】
図7は、(特許文献1)に記載された従来の回線エコーキャンセル装置を示すブロック図である。
【0004】
図7において、701は回線エコーキャンセル装置、702は回線1からの受信信号との間で畳み込み演算を行う適応フィルタ、703は減算器、704は減算器703における減算後の信号に対する自乗誤差信号を計算する自乗誤差算出器、705は自乗誤差信号と閾値とを比較する判定器、706はタップ係数値を記憶するタップ係数メモリ、707はより適切なタップ係数値の推定を行うタップ係数比較器である。
【0005】
このように構成された回線エコーキャンセル装置701について、その動作を説明する。
【0006】
回線1側より受信信号が入力されると、この受信信号は回線エコーキャンセル装置701内で分岐され、1つは回線2側へ、もう1つは適応フィルタ702へ入力される。適応フィルタ702では、タップ係数値がタップ係数メモリ706から読み出され、受信信号との間で畳み込み演算が実施されて疑似エコー信号が生成される。生成された擬似エコー信号は減算器703に入力され、エコー信号から減算される。減算後の信号は同時に自乗誤差算出器704へ与えられ、自乗誤差算出器704では減算後の信号に対する自乗誤差信号が計算され、その結果が適応フィルタ702と判定器705とへ出力される。判定器705では、或る閾値を持っており、自乗誤差信号とこの閾値とが比較され、自乗誤差信号と閾値との差が判定され、その結果を示す制御信号がタップ係数比較器707へ出力される。タップ係数比較器では、その制御信号の示す結果を元に、より適切なタップ係数値の推定が行われる。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−079136号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回線エコーキャンセル装置では、通話相手がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末である場合には、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、先方の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を進めてしまい、最悪の場合にはエコーキャンセル機能の破綻へと至るという問題点を有していた。
【0009】
この回線エコーキャンセル装置、回線エコーキャンセル方法および記憶媒体では、手元の通話端末の回線エコーキャンセル装置が先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することが要求されている。
【0010】
本発明は、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる回線エコーキャンセル装置、および、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現するための回線エコーキャンセル方法、ならびに、その回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の回線エコーキャンセル装置は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有する構成を備えている。
【0012】
これにより、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる回線エコーキャンセル装置が得られる。
【0013】
上記課題を解決するために本発明の回線エコーキャンセル方法は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有する構成を備えている。
【0014】
これにより、先方の通話端末の音響エコー成分の影響を受けることなく、手元の通信端末の回線エコーを安定してキャンセルすることで、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現するための回線エコーキャンセル方法が得られる。
【0015】
上記課題を解決するために本発明の記録媒体は、上記回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である構成を備えている。
【0016】
これにより、上記回線エコーキャンセル方法を実行するための記録媒体が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有することとしたものである。
【0018】
この構成により、フィルタ手段の計数値は伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置(つまり本回線エコーキャンセル装置)が、先方の通話端末(相手の通話端末)の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという作用がある。
【0019】
請求項2に記載の回線エコーキャンセル装置は、請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置において、係数判断手段は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することとしたものである。
【0020】
この構成により、係数判断手段における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという作用がある。
【0021】
請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法は、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有することとしたものである。
【0022】
この構成により、フィルタの計数値は伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという作用がある。
【0023】
請求項4に記載の回線エコーキャンセル方法は、請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法において、係数判断ステップにおいては、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することとしたものである。
【0024】
この構成により、係数判断ステップにおける判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという作用がある。
【0025】
請求項5に記載の記録媒体は、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることとしたものである。
【0026】
この構成により、記録媒体をコンピュータで読み取りさえすれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法を任意の時間に任意の場所で実行することができるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、一般的な通話端末を示すブロック図であり、スピーカフォン方式電話機を示す。
【0029】
図1において、101は電話回線とのインタフェースを有する電話回路装置、102はアナログ信号である受話音声信号をデジタル信号に変換する第1のA/D変換装置、103はデジタル信号をアナログ信号へ変換する第1のD/A変換装置、104はD/A変換装置103からのアナログ信号を音声に変換するスピーカ、105は音声をアナログ信号に変換するマイクロフォン、106はマイクロフォンからのアナログ信号をデジタル信号に変換する第2のA/D変換装置、107はデジタル信号をアナログ信号に変換する第2のD/A変換装置、108はA/D変換装置102およびA/D変換装置106から得られたデジタル信号に対してデジタル信号処理を行い、その演算結果をD/A変換装置103およびD/A変換装置107に出力する中央演算処理装置(回線エコーキャンセル装置)、109は回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置108を動作させるためのプログラムが記憶されているROM(Read Only Memory)、110はROM109に記憶されているプログラムに従って中央演算処理装置108が動作する際に使用するRAM(Random Access Memory)である。
【0030】
図2は、図1の通話端末の回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置108を示す機能ブロック図であり、ROM109記憶のプログラムを実行することにより実現される機能ブロックを示す。
【0031】
図2において、201は遠端話者の発話、近端話者の発話およびダブルトーク(遠端話者と近端話者の同時発話)を検出する話者検出手段、202はNLMS方式等により電話回線装置101の伝達関数を推定する伝達関数推定手段、204は参照信号207とエコー成分の伝達関数との畳み込み演算を行い疑似エコー成分を生成するフィルタ手段、203は伝達関数推定手段202の推定結果をフィルタ手段204内のタップ係数に対して反映更新する係数更新手段、205はフィルタ手段204内のタップ係数の状態を判断する係数判断手段、206は減算手段である。また、208はエコー成分減算前の入力信号、209は、入力信号208から疑似エコー成分を減算手段206によって減算した出力信号である。この構成により、フィルタ手段204の係数の状態を判断した結果により係数更新手段203の動作を制御することが可能となる。
【0032】
図3は、フィルタ手段204内のタップ係数について、回線の伝達関数を正常に学習できた例(通話相手がハンドセット)と、誤学習してしまった例(通話相手はスピーカーホン)との比較図である(回線は同一)。回線エコーキャンセル装置については、回線エコーの特性のみを学習することが望ましいが、通話相手がスピーカーホンの場合には、近端端末の回線エコーキャンセル装置が通話相手の音響エコーキャンセル装置の消し残りを含めて誤学習してしまっている。このように、正常学習時と誤学習時には、フィルタ手段204のタップ係数の値には差異があり、その差は特にタップの後半部に顕著に認められる。この性質を用いて係数判断手段205が両者の違いを判断することにより、フィルタ手段204のタップ係数の状態が望ましいものか、そうでないものかを判断することが可能である。
【0033】
図4は、図2の回線エコーキャンセル装置の動作を示すフローチャートでありスピーカフォン方式電話機におけるエコーキャンセル方法を示す。
【0034】
図4において、回線エコーキャンセル処理を開始すると、まず話者検出手段201が遠端話者発話、近端話者発話、ダブルトークを判定し(S1)、学習可能な状態であれば伝達関数推定手段202がNLMS等のアルゴリズムを用いて伝達関数の推定(S2)を行い、係数判断手段205はフィルタ手段204の係数値から、誤学習の状態を判断し(S3)、その判断結果を元に、係数更新手段203はフィルタ手段204の係数更新を行う(S4)。次に、フィルタ手段204は、参照信号207との畳み込み演算(S5)を行い疑似エコー成分を生成し、減算手段206は入力信号208から上記疑似エコー成分を減算除去(S6)することで出力信号209を生成し、終了する。ステップS1で学習可能な状態でないと判定したときは、フィルタ手段204の計数値を更新することなくステップS5へ移行する。
【0035】
図5は、図4の係数判断ステップS3(係数判断手段205の動作)を示すフローチャートである。
【0036】
図5において、係数判断手段205が判断処理を開始すると、まずフィルタ手段204内のタップ係数のパワーを係数ごとに算出する(S11)。タップ係数の後半部のパワー総和が閾値を上回っているかどうかを判定し(S12)、上回っていればカウンタを増やし(S13)そうでなければカウンタを減らす(S14)。さらに、上記カウンタが規定値に達したかどうかを判定し(S15)、規定値に達していれば誤学習と判定し(S16)、そうでなければ係数判断ステップを終了する。なお、ステップS12については、他にもタップ係数の前半部のパワー総和と後半部のパワー総和との比を閾値と比較する方法など様々な方法が考えられる。また、上記のようにカウンタを設けずに瞬時々々で誤学習判定を行う方法なども考えられる。
【0037】
図6は、図4の係数更新ステップS4(係数更新手段203の動作)を示すフローチャートである。
【0038】
図6において、係数更新手段203が更新処理を開始すると、まず係数判断手段205の判断結果に基づき、タップ係数が誤学習しているかどうかを確認し(S21)、誤学習しているようであればタップ係数をクリア(S22)し、そうでなければ伝達関数推定手段202の推定結果に基づき、タップ係数の更新処理を行い(S23)、更新ステップを終了する。なお、係数クリアステップS22については、タップ係数全体をゼロクリアする方法や、後半部分のみをゼロクリアする方法、係数判断手段205がゼロ近傍と判断したポイント以降をクリアする方法、係数を一切クリアせずにそのままの状態で保持する方法など様々な方法が考えられる。
【0039】
以上のように本実施の形態によれば、回線エコーキャンセル装置208は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段204と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段202と、フィルタ手段204の係数値を判断する係数判断手段205と、伝達関数推定手段202における推定結果と係数判断手段205における判断結果とに基づきフィルタ手段204の係数値を更新する係数更新手段203とを有することにより、フィルタ手段204の計数値は伝達関数推定手段202における推定結果と係数判断手段205における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置108が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができる。
【0040】
また、係数判断手段205は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断手段205における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置108が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置によれば、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づきフィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有することにより、フィルタ手段の計数値は伝達関数推定手段における推定結果と係数判断手段における判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置(つまり本回線エコーキャンセル装置)が、先方の通話端末(相手の通話端末)の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0042】
請求項2に記載の回線エコーキャンセル装置によれば、請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置において、係数判断手段は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断手段における判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
【0043】
請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法によれば、電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、近端話者の音声が電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づきフィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有することにより、フィルタの計数値は伝達関数推定ステップにおける推定結果と係数判断ステップにおける判断結果とに基づいて更新されるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を実現することができるという有利な効果が得られる。
【0044】
請求項4に記載の回線エコーキャンセル方法によれば、請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法において、係数判断ステップにおいては、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することにより、係数判断ステップにおける判断結果を正確なものとすることができるので、相手の通話端末がスピーカフォン方式電話等の音声ハンズフリー端末であって、手元の通話端末にある回線エコーキャンセル装置が、相手の通話端末の音声ハンズフリー端末の音響エコー成分を含めた形で誤学習を行った場合にも、誤学習を早期かつ確実に検出することができ、エコーやハウリングの発生しにくい安定した通話環境を確実に実現することができるという有利な効果が得られる。
【0045】
請求項5に記載の記録媒体によれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることにより、記録媒体をコンピュータで読み取りさえすれば、請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法を任意の時間に任意の場所で実行することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な通話端末を示すブロック図
【図2】図1の通話端末の回線エコーキャンセル装置としての中央演算処理装置を示す機能ブロック図
【図3】フィルタ手段内のタップ係数について、回線の伝達関数を正常に学習できた例と誤学習してしまった例との比較図
【図4】図2の回線エコーキャンセル装置の動作を示すフローチャート
【図5】図4の係数判断ステップ(係数判断手段の動作)を示すフローチャート
【図6】図4の係数更新ステップ(係数更新手段の動作)を示すフローチャート
【図7】従来の回線エコーキャンセル装置を示すブロック図
【符号の説明】
101 電話回路装置
102、106 A/D変換装置
103、107 D/A変換装置
104 スピーカ
105 マイクロフォン
108 中央演算処理装置(回線エコーキャンセル装置)
109 ROM
110 RAM
201 話者検出手段
202 伝達関数推定手段
203 係数更新手段
204 フィルタ手段
205 係数判断手段
206 減算手段
Claims (5)
- 電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末の回線エコーキャンセル装置であって、
前記回線エコーキャンセル装置は、近端話者の音声が前記電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分を除去するフィルタ手段と、前記回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、前記フィルタ手段の係数値を判断する係数判断手段と、前記伝達関数推定手段における推定結果と前記係数判断手段における判断結果とに基づき前記フィルタ手段の係数値を更新する係数更新手段とを有することを特徴とする回線エコーキャンセル装置。 - 前記係数判断手段は、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の回線エコーキャンセル装置。
- 電話回線などのネットワークに接続するための電話回路装置と、遠端話者からの受話音声等を出力するスピーカと、近端話者の音声等が入力されるマイクロフォンとを有する通話端末における回線エコーキャンセル方法であって、
近端話者の音声が前記電話回路装置を通じて回り込む回線エコー成分をフィルタを用いて除去するフィルタステップと、前記回線エコー成分の伝達関数を推定する伝達関数推定ステップと、前記フィルタステップにおけるフィルタの係数値を判断する係数判断ステップと、前記伝達関数推定ステップにおける推定結果と前記係数判断ステップにおける判断結果とに基づき前記フィルタステップにおけるフィルタの係数値を更新する係数更新ステップとを有することを特徴とする回線エコーキャンセル方法。 - 前記係数判断ステップにおいては、係数の後半部にパワーが偏っているか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の回線エコーキャンセル方法。
- 請求項3または4に記載の回線エコーキャンセル方法の各ステップを実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。
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JP2003170299A JP2005006243A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | 回線エコーキャンセル装置、回線エコーキャンセル方法および記録媒体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113168840A (zh) * | 2018-11-30 | 2021-07-23 | 松下知识产权经营株式会社 | 翻译装置以及翻译方法 |
-
2003
- 2003-06-16 JP JP2003170299A patent/JP2005006243A/ja active Pending
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