JP2005006178A - 電話交換システム - Google Patents

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志保美 高橋
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Abstract

【課題】ルーチングしたルートに輻輳や故障が発生している場合でも、呼の疎通を確保することが可能な電話交換システムを提供する。
【解決手段】電話交換システム1は、発信側の電話機7A,7Bが接続された発側交換機3と、着信側の電話機8が接続された着側交換機6と、発側交換機3と着側交換機6との間の回線ルート上に配設された中継交換機4,5とを備えて構成される。発側交換機3には保守端末装置2によってACM信号の受信タイムアウトの回数が閾値(m)として設定される。発側交換機3は、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数(Cn)が閾値未満であれば中継交換機4を経由する通常のルートを選択し、閾値以上であれば中継交換機5を経由する迂回ルートを選択する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話交換システムに関し、特に、輻輳又は故障した交換機(又は局)を避けることにより、呼の疎通を確保できるようにした電話交換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電話交換システムは、SEP局(信号端局)に至る途中に1又は複数のSTP局(信号中継局)が接続されている。前記STP局では、自局収容の信号リンク、及び通話回線の輻輳を検出できても、他局の輻輳状態の検出はできない。STP局では、TFC信号(輻輳通知信号)の送受信により、輻輳の制御が可能である(例えば、特許文献1参照)。この方式では、信号の送受信もできなくなった局を輻輳/故障とみなし、その局へのアクセスを回避するものである。また、トラヒック量により輻輳を判断する方式も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方式では、トラヒック量によらず、交換機自体が輻輳したことを判断するものである。
【0003】
しかし、上記のようなシステムでは、以下のような問題がある。
(a)収容リンクの輻輳、収容通話回線の輻輳しか検出していないため、SEP局では他局が輻輳しているか否かを判断することができない。
(b)局のシステムダウン時には、アクセスに対してREL信号(解放信号又は切断信号)を返信できないため、輻輳や故障している場合、それを示す動作が取れない局があり、無応答になることがある。
(c)SEP局が輻輳や故障をしていても、そこを回避する手段がないため、着信局自身が輻輳や故障がなくとも、SEP局の状態で着信できない場合が発生する。
【0004】
上記の問題を解決するため、伝送制御手順上のエラー回数、リトライ回数、及び上位レベルでのリトライ回数に基づいて中継回線の品質の低下を検出したとき、或いはエラーの発生が一定の基準値を越えたとき、前記中継回線から迂回回線に切り替え、ネットワーク運用者の介在無しに、或いは、中継回線が重大な障害に陥る前に自動的に迂回回線に切り替える方式がある(例えば、特許文献3,4参照)。
【0005】
また、障害監視部によって中央演算処理部の動作を監視し、一方の交換系の中央演算処理部に障害が発生したとき、この障害の発生を回線を通して相手方の交換システムに通知することにより、他方の交換系を経由して通信経路を確立することにより、障害からの再開処理中の呼損を小さくする交換システムも提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−22448号公報
【特許文献2】
特開平11−068940公報
【特許文献3】
特開平3−280753公報
【特許文献4】
特開平5−153164公報
【特許文献5】
特開2000−27107公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電話交換システムによると、特許文献3,4の構成では、エラー回数、リトライ回数、及び上位レベルでのリトライ回数等に基づいて切り替えを判断するため、切り替えが行われるまでに時間がかかり、呼の疎通を上げるには限界がある。
【0008】
また、特許文献5の構成によると、一方の交換系の中央演算処理部の障害の発生には対処できるが、或る局に輻輳が発生した場合、これに対処することはできない。
【0009】
本発明の目的は、ルーチングしたルートに輻輳や故障が発生している場合でも、呼の疎通を確保することが可能な電話交換システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、発信側の加入者電話機が接続される発側交換機と、着信側の加入者電話機が接続される着側交換機と、前記発側交換機と前記着側交換機との間の異なる回線ルート上に配設されて信号の中継を行う複数の中継交換機を備えた電話交換システムにおいて、前記発側交換機は、ACM(Address Complete Message:アドレス完了メッセージ)信号の受信タイムアウトの回数を予め閾値として設定しておき、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が前記閾値未満であれば通常のルートを選択し、前記閾値以上であれば迂回ルートを選択することを特徴とする電話交換システムを提供する。
【0011】
この構成によれば、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が、予め閾値として設定したACM信号受信タイムアウト回数と比較され、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が閾値未満か以上かにより、通常のルート又は迂回ルートを選択する。これにより、輻輳や故障が生じている交換機のルートを避けることができ、呼の疎通を確保できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る電話交換システムを示す。図1に示す電話交換システム1は、保守端末装置2と、発側交換機3と、中継交換機4と、中継交換機5と、着側交換機6とを備えて構成されている。保守端末装置2には発側交換機3が接続され、この発側交換機3には中継交換機4,5、及び電話機7A,7Bが接続されている。更に、中継交換機4,5には、着側交換機6が接続されている。この着側交換機6には、電話機8が接続されている。
【0013】
ここでは、電話機7A又は7Bから電話機8に接続が行われる場合を想定しており、そのため、電話機7A,7Bに接続される交換機を発側交換機3とし、電話機8に接続される交換機を着側交換機6と称している。
【0014】
保守端末装置2は、迂回ルートの設定、及び閾値の設定処理を実行する制御手段20を備えている。更に、発側交換機3は、輻輳や故障の判定処理、及び閾値オーバーの場合のルーチング変更処理を実行する制御手段30を備えている。
【0015】
図2は、発側交換機3における閾値判定処理を示す。なお、以下のフローチャートにおいては、ステップをSで表している。図1及び図2を参照し、本発明の閾値判定処理について説明する。なお、ここでは、中継交換機4,5の一方において輻輳が生じるものとする。
【0016】
電話会社等の保守管理者は、保守端末装置2を用いて、ACM(Address Complete Message:アドレス完了メッセージ)信号の受信タイムアウト発生閾値m(ACM信号の受信タイムアウト発生回数であり、例えば、10回)、及び閾値判定周期n(例えば5分)の2つの設定値が、保守端末装置2から発側交換機3に送られる(S101)。この受信タイムアウト発生閾値(m)及び閾値判定周期(n)は、ルート毎に異なる値にしてもよい。発側交換機3は、保守端末装置2からの設定値を図示しないメモリ上に記憶し(S102)、ルート(回線ルート)毎のカウンターを0にクリアする(S103)。図1の場合、中継交換機4を経由する第1のルートと、中継交換機5を経由する第2のルートとが存在する。
【0017】
次に、発側交換機3は、1分周期で判定プログラムを起動し(S104)、閾値(m)入力後の最初の判定周期か否かを判断する(S105)。それが2回目以降の判定タイミング(2回目以降のn分)であれば、ルート毎のカウント値から一番古い1分の値(最初の1分の値)を減算する(S106)。この処理は、想定される全てのルートについて行われる。
【0018】
そして、ACM信号の受信タイムアウト発生の回数を累積し、その累積数を閾値データとして保存する(S107)。更に、割り込みの発生(例えば、保守端末装置2から)の有無を判定する(S108)。割り込み有りであれば処理を終了し、割り込み無しの場合にはカウント値が0か否かを判定する(S109)。つまり、最初にカウント「5」を設定し、1分経過毎に「1」を減算し、カウント値が「0」、即ち5分が経過した時点でACM信号受信タイムアウト発生回数の累積を終了し、S104〜S109の処理を再実行する。以上により、一定期間におけるACM信号の受信タイムアウトの発生回数を知ることができる。
【0019】
図3は、発側交換機3におけるルート選択処理を示す。図3及び図1を参照して、発側交換機3から着側交換機6に至るルート処理を説明する。
【0020】
次に、電話機7A又は7Bから「呼」が入ると(S201)、その電話番号を翻訳し(S202)、着信先の番号(電話機7A又は7Bでダイヤルした電話番号の上位数桁)に基づいてルーチングを索引する(S203)。ついで、閾値(m)の設定の有無を確認し(204)、設定無しの場合、最も近い中継交換機を経由する通常のルート選択処理を実行する(S207)。
【0021】
また、閾値設定があれば、ルート毎のカウント値Cn(図2のS107におけるACM信号受信タイムアウト発生回数)のデータを読み出し(S205)、閾値(m)との比較判定を行う(S206)。m>Cnであれば通常のルート選択を実行し(S207)、Cn≧mであれば迂回ルートを選択する(S208)。
【0022】
次に、発側交換機3は、選択したルートに対してIAM(Initial Address Message :接続要求)信号を送出する(S209)。発側交換機3は、選択したルート上の中継交換機(4又は5)からのACM信号を受信すれば(S210)、通常のパス接続(発信側への呼び返し)を実施する(S211)。また、受信タイムアウトが発生した場合(S212)、選択したルートのカウンター内容をカウントアップし(S213)、輻輳/故障の発生頻度を更新する。この結果は、保守管理の資料にすることができる。ついで、REL(切断信号)を送信し(S214)、更に、S214のRELに対する応答を受信する(S215)。
【0023】
以上説明した通り、上記実施の形態によれば、閾値の判定により使用予定のルートの輻輳や故障を認識できるようになり、着側交換機(着信局)が正常な状態であった場合に、健全な中継交換機(中継局)を選択することで、着信が可能になる。なお、上記の説明では、発側交換機における処理に限定して説明したが、本願発明は発側交換機に限らず、中継交換機でも同様に実施でき、電話交換網内のルーチングをフレキシブルに組むことができる。
【0024】
図4は、図1の電話交換システムにおける各交換機の動作タイミングを示す。図1、図4を用いてルート決定の処理を説明する。ここでは、発信者が電話機7Aを用いて電話機8の着信者に回線接続を行う場合について説明する。
【0025】
まず、保守端末装置2により、発側交換機3に対してIAM信号受信タイムアウト発生閾値、及び閾値判定周期のデータを付与する。ついで、加入者が電話機7Aを使用して電話機8の電話番号をダイヤルすると、発側交換機3はその電話番号(例えば、「123−456−7890」)の翻訳を行い、中継交換機4へのルートを決定する。更に、発側交換機3は中継交換機4にIAM信号を送信すると共に、ACM信号の受信タイマーを設定する。
【0026】
決定したルートに含まれる中継交換機4が輻輳または故障していた場合、中継交換機4からはACM信号が返信されない。そのため、発側交換機3では、ACM信号の受信タイムアウトが検出され、これにより呼を切断する。その際、発側交換機3は、中継交換機4へのルートに対するタイムアウト回数をカウントアップする。
【0027】
その後、例えば、発側交換機3に接続された電話機7Bから新たな発信があった場合、発側交換機3は、発側交換機3は発信された電話番号を翻訳する。例えば、電話機8が着信先で、その電話番号が「123−456−7890」であれば、その番号の例えば上位3桁を翻訳する。発側交換機3は中継交換機4を含む第1のルート(通常のルート)を決定する。
【0028】
しかし、上記したように、中継交換機4が輻輳または故障の状態にあることが図3のS206の閾値判定結果から認識される。したがって、発側交換機3は、中継交換機4への第1のルートは閾値オーバーにあると判定し、着番号「123−456−7890」から導ける迂回ルート(第2のルート)を選択し、中継交換機5に対してIAM信号を送出する。
【0029】
中継交換機5には輻輳または故障が発生していないので、中継交換機5から着側交換機6に向けてIAM信号が送出され、更に、着側交換機6から電話機8に発呼要求が行われ、これに着信者が応答することにより、電話機7Bと電話機8が接続され、発信者と着信者の間で通話が可能になる。
【0030】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、輻輳や故障の発生していない交換機が選択されるように、自動でルーチング設定(変更)が行われるため、呼の疎通率を上げることが可能になり、ユーザの苦情申告を低減できる。また、キャリア側としては、不完了呼を減らせることで料金請求を増やすことができる。
【0031】
また、制御交換機のデータのみにより他局の輻輳や故障を判断でき、新たな信号シーケンスを必要としないため、他キャリアと、信号方式、料金精算方式についてインプリをとる必要がなく、自網のみでルートを設定できる。
【0032】
更に、保守者が、発生するアラーム等を確認してルーチングを変更する決定をする必要がないため、呼の疎通が人的な条件に左右されることがない。このため、夜間に輻輳や故障が発生した場合でも、時間的な条件に左右されることがないし、保守者の人件費も削減できる。更に、保守者による操作や作業を必要としないため、ルーチング変更ミスを発生することがない。
【0033】
上記実施の形態において、図3の処理ではS204を設けて閾値の有無を判定するものとしたが、閾値を常時判定するフロー、即ち、S204を有しない処理内容にすることもできる。
【0034】
また、図2においては、S104〜S106のカウンター処理を設けて閾値のの測定条件を設定したが、単純に或る時間を繰り返し設定し、その時間内に発生したタイムアウト回数を計数(累積)するようにしてもよい。更に、S106では、カウントダウンとしたが、カウントアップでもよい。
【0035】
更に、図1においては、発側交換機3のほかに保守端末装置2を設ける構成にしたが、保守端末装置2の機能が発側交換機3に内蔵されていてもよい。
【0036】
なお、本発明の機能が発側交換機3側にあるものとしたが、交換機は、通常、発信と着信の両方の処理を行うものであるから、着側交換機6にも図2〜図4で説明した本発明の機能を備えていることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の電話交換システムによれば、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が、予め閾値として設定したACM信号受信タイムアウト回数と比較し、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が閾値未満か以上かにより、通常のルート又は迂回ルートを選択するようにしたので、輻輳や故障を生じている交換機を含むルートを避けることができ、呼の疎通を確保できるようになる。これにより、呼の疎通率を上げることができ、ユーザの苦情申告を低減できる。
【0038】
また、保守者が、発生するアラーム等を確認してルーチングを変更する決定をする必要がないため、呼の疎通が人的な条件に左右されず、夜間に輻輳や故障が発生した場合でも、時間的な条件に左右されることがなく、保守者の人件費も削減できる。更に、保守者による操作や作業を必要としないため、ルーチング変更ミスを発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電話交換システムを示すブロック図である。
【図2】図1の発側交換機の閾値判定処理を示すフローチャートである。
【図3】図1の発側交換機におけるルート選択処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の電話交換システムにおける各交換機の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 電話交換システム
2 保守端末装置
3 発側交換機
4 中継交換機
5 中継交換機
6 着側交換機
7A,7B,8 電話機

Claims (6)

  1. 発信側の加入者電話機が接続される発側交換機と、着信側の加入者電話機が接続される着側交換機と、前記発側交換機と前記着側交換機との間の異なる回線ルート上に配設されて信号の中継を行う複数の中継交換機を備えた電話交換システムにおいて、
    前記発側交換機は、ACM(Address Complete Message:アドレス完了メッセージ)信号の受信タイムアウトの回数を予め閾値として設定しておき、発呼にともなうACM信号の受信タイムアウトの回数が前記閾値未満であれば通常のルートを選択し、前記閾値以上であれば迂回ルートを選択することを特徴とする電話交換システム。
  2. 前記発側交換機は、ルート毎に前記閾値を設定することを特徴とする請求項1記載の電話交換システム。
  3. 前記発側交換機は、所定の周期又は時間を設定して前記受信タイムアウトの回数を検出することを特徴とする請求項1記載の電話交換システム。
  4. 前記閾値、前記周期、又は前記時間の設定は、前記発側交換機に接続された端末装置からの入力により行うことを特徴とする請求項1,2又は3記載の電話交換システム。
  5. 前記発側交換機は、一定時間間隔によりカウントを更新し、カウント0又はカウントオーバーに至るまでのACM信号の受信タイムアウトの回数を前記受信タイムアウトの回数にすることを特徴とする請求項1記載の電話交換システム。
  6. 前記発側交換機は、前記選択したルートに送信したIAM(Initial Address Message :接続要求)信号に対するACM信号の受信タイムアウトが発生したとき、呼の切断を行うと共に、前記選択したルートにおける受信タイムアウト回数をカウントアップすることを特徴とする請求項1記載の電話交換システム。
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