JP2005003269A - 壁空間を利用した空調換気システム - Google Patents
壁空間を利用した空調換気システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005003269A JP2005003269A JP2003167381A JP2003167381A JP2005003269A JP 2005003269 A JP2005003269 A JP 2005003269A JP 2003167381 A JP2003167381 A JP 2003167381A JP 2003167381 A JP2003167381 A JP 2003167381A JP 2005003269 A JP2005003269 A JP 2005003269A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- air
- wall
- ventilation
- room
- floor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Duct Arrangements (AREA)
- Ventilation (AREA)
Abstract
【課題】本発明は自然の風だけで換気が可能となると共に騒音の発生がなく、且つ建物全体が乾燥し易くなって長持ちする建物が得られ、しかも風の強さに関係なく換気が可能となると共に冷暖房が極めて低コストで可能となる壁空間を利用した空調換気システムを提供することを目的とする。
【解決手段】基礎3と床4とから形成された密閉可能な床下Aには、取入口1を設けると共に冷暖房用パイプ11を配管させ、室内Bの下方に室内用給気口6を設けると共に室内Bの上方に室内用排気口7を設け、屋根裏Cに排出口2を設けると共に排出口2に蓋付き換気扇8を設置させ、取入口1と室内B及び排出口2と連通する中空状の壁Dが、内壁9と外壁10によって形成され、且つ取入口1に逆流防止部材5を設けた構造とする。
【選択図】 図1
【解決手段】基礎3と床4とから形成された密閉可能な床下Aには、取入口1を設けると共に冷暖房用パイプ11を配管させ、室内Bの下方に室内用給気口6を設けると共に室内Bの上方に室内用排気口7を設け、屋根裏Cに排出口2を設けると共に排出口2に蓋付き換気扇8を設置させ、取入口1と室内B及び排出口2と連通する中空状の壁Dが、内壁9と外壁10によって形成され、且つ取入口1に逆流防止部材5を設けた構造とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は室内換気が窓やドア等の開閉に関係なく自然の風によって、建物全体の室内換気が行われると共にその自然流が利用される壁空間を利用した空調換気システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物全体の室内換気を行う空調換気システムとしては、空調設備装置で強制的に換気する強制換気が主であり、中には自然換気に近いものもあるようである。この場合の建物の壁は、室内の保温性を高めるために、壁内部へ断熱材を詰め込んでいた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記強制換気システムの場合は、空調装置の設置や排気ダクトの配管などの作業が大変であると共にその購入費や作業費用は高価であり、個人で導入する際の負担が大きいと共にランニングコストも大きかった。また空調装置を作動させると騒音が発生するので、夜間に作動すると近所に迷惑が掛ると共に熟睡の妨害になっていた。このため、近年に於いては自然換気システムが注目され始めているが、風が弱い時や強風の時などは換気が行えなかったり、或いは風の具合が良い状態であっても室内の換気が充分に行えない等の問題点があり、単独だけのシステムは普及していないのが現状であった。
【0004】
又、前記強制換気システムや自然換気システムに於ける建物の壁の中には断熱材が詰め込まれているため、外気と室温との差によって水滴が壁に付着され易く、且つ壁だけでなく床下などの密閉箇所に於いては換気が行えないので、湿気が多くなり、建物が腐って傷み易いものとなる等の問題点もあった。
【0005】
本発明は自然の風で換気が可能となると共に騒音の発生がなく、且つ建物全体が乾燥し易くなって長持ちする建物が得られる壁空間を利用した空調換気システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的としては、風の強さに関係なく換気が可能になると共に冷暖房が極めて低コストで可能となる壁空間を利用した空調換気システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、外気の取入口を有した密閉可能な床下と、室内の換気後の空気が外部へ排出されるための排出口を有した屋根裏と、取入口と室内及び排出口と連通する中空状の壁とから少なくとも構成する。また床下を基礎と床とから形成し、取入口に逆流防止部材を設けると良く、室内の下方に室内用給気口を設けると共にその室内の上方に室内用排気口を設け、且つ排出口に蓋付き換気扇を設置させると良い。更に壁を内壁と外壁によって中空状に形成し、床下に冷暖房用パイプを配管させても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の実施形態を示す図であり、これに基づいて説明する。(A)は密閉可能な床下であり、(B)は室内で、(C)は中空状な屋根裏で、(D)は中空状な壁で、(E)は中空状な天井である。尚、建物が平屋の場合は、屋根裏(C)を天井(E)と共用させたものとしても良い。(1)は床下(A)の全周囲に設けられた複数個の取入口であり、該取入口(1)は外気を取入れるためのものである。(2)は屋根裏(C)の複数箇所に設けた排出口であり、該排出口(2)にルーバーを取付けても良い。この排出口(2)は室内(B)の換気後の空気を外部へ排出するためのものである。(3)は四方(全周囲)に立設するコンクリート製の基礎であり、(4)は床である。(5)は全周囲の取入口(1)に設けた逆流防止部材であり、該逆流防止部材(5)としては、図3に示すような柔軟で帯状の合成樹脂板やフィルムなどを用い、根太などの木材へ釘等で打ち付けて固定している。前記逆流防止部材(5)は前記柔軟で帯状のものに限定されるものではなく、取入れた外気を床下(A)内部から出さないものであれば良い。(6)は室内(B)の下方に設けた室内用給気口であり、該室内用給気口(6)にルーバーを取付けても良い。また前記室内用給気口(6)は壁(D)の空間部と連通している。(7)は室内(B)の上方に設けた室内用排気口であり、該室内用排気口(7)は前記室内用給気口(6)に対して対角線状に設け、換気が効率良く出来る位置に設けるのが好ましく、特に前記室内用排気口(7)を設ける位置としては、天井(E)に設けるのが好ましい。また前記室内用排気口(7)は天井(E)の空間部を介して壁(D)の空間部と連通している。
【0009】
(8)は各排出口(2)に設置した蓋付き換気扇であり、該蓋付き換気扇(8)は排出口(2)に直接取付け、外気が入らない方向に蓋付き換気扇(8)を設置させている。前記蓋付き換気扇(8)は風がない時に作動させ、強制換気をするためのものである。尚、蓋付き換気扇(8)の代りに、電磁弁を設けて排出口(2)が閉じられるようにさせても良い。この時、排出口(2)が閉じると、屋根裏(C)は密閉され空気の流れが止まるため、特に冬場においては、暖められた空気が壁(D)や天井(E)に溜まったままになり、空気の流れによる温度低下を防止させ、温度調整が可能な機能が備わるものとなるのである。(9)はクロス貼りされた内壁であり、(10)は外壁である。この内壁(9)と外壁(10)によって中空状に壁(D)が形成され、その空間部の幅としては120mm前後が好ましい。尚、断熱効果を向上させるために、外壁(10)に断熱材が取付けられたものを使用しても良い。(11)は床下(A)に配管した冷暖房用パイプであり、該冷暖房用パイプ(11)は鋼管を用い、その上部にはアルミニウム板で且つ覆状の放射板(11a)が取付けられている。前記冷暖房用パイプ(11)は、冬場には温水を循環せ、夏場には冷却水を循環させる。尚、前記冷暖房用パイプ(11)は必ずしも必要ではない。
【0010】
次に本発明の作用について説明する。先ず外気が取入れられて室内(B)の換気を行い、そして外部に排出される通気路について説明する。先ず始めに外気が図2に示す白抜き矢印のように取入口(1)から入ると、逆流防止部材(5)が図中の点線矢印のように持上げられて床下(A)内部に外気が入り込む。この床下(A)に於いては、図中の矢印のように外気が先ず右に進み、更に上方から図中の矢印のように左に進む。尚、この左右の進む外気の方向は一例であり、このように整然としたものではない。その後、中空状の壁(D)に外気が入って来ると、図中の矢印のように外気は上昇する。そして室内用給気口(6)から室内(B)に新鮮な空気が供給され、室内(B)の下方から上方に向って換気すると、室内用排気口(7)から排気され、その空気は中空状な天井(E)を通り、中空状の壁(D)に入り、更に上昇する(図1参照)。その後、一部の空気は上の階の室内用給気口(6)から供給され、残りの空気は更に上昇して換気を行いながら排出口(2)から外部へ排出される。この時、排出口(2)にルーバーを取付けた時は、該排出口(2)から外気が入って来ても、反対側の排出口(2)から排出されるため、多少の外気が通気路に入ったとしても、取入口(1)からの外気の取入量が遥かに多いので、換気に支障がないのである。また本発明は自然発生的な風力だけでなく、取入れられた外気に対する室温度の上昇による自然発生的な空気流により、室内換気が促されるのである。
【0011】
このように通気路が、取入口(1), 床下(A),壁(D),各室内(B),天井(E),屋根裏(C),排出口(2)とから形成されると共に各室内(B)は通気路で囲まれた状態となることにより、その通気路に流れる空気自体が断熱材の役目を果すので、外部の温度の影響が各室内(B)に直接に及ぶことがなくなり、自然の風がやさしく導入されて過ごし易くなる。しかも本発明は窓を開けなくても良く、且つ風が吹けば、自然に外気が壁(D)を通過して換気を行うものとなる。特に冬場に於ける換気は、従来の如き窓から冷気を直接に取入れなくても良くなるので、不快になることがなくなる。また夏の夜の冷気を室内(B)に導入させることが出来るため、無動力で外気による冷房が可能となり、空調のランニングコストが掛らないものとなる。又、床下(A)や壁(D)に断熱材が詰め込まれておらず、そこが中空状で且つ通気路であると共に換気が常に行われることにより、従来の建物に発生していた断熱材の弊害である壁(D)や床下(A)などに水滴が溜まって腐る恐れがなくなり、建物全体の換気を促進し、建物の耐久性が向上するものとなる。特に壁(D)内で絶えず空気が動き、各室内(B)に流れ込んで換気されているので、建物の外壁(10)の湿気が乾燥してその湿気は除去され、外壁(10)の割れが生じにくいものになることにより、防震対策となる。また中空状の壁(D)内部を利用すれば、配線や配管等の工事が容易に行えると共にそのメンテナンスが容易になる。更に通気路には空気が常時流れて換気されているので、床下(A)に於いて煙による防虫散布を行えば、建物の隅々まで散布することが可能となる。
【0012】
次に風の強さと換気について説明する。先ず弱風が吹く場合、外気は取入口(1)から入り、逆流防止部材(5)を少し持上げ、基礎(3)との隙間から外気が流れ込んで床下(A)内部に溜まる。尚、前記逆流防止部材(5)としては微風でもカーテンのように持上げられて外気を入れ、且つ風がなくなると自重で元の位置に戻されて取入口(1)を塞ぐものが好ましい。前記逆流防止部材(5)は風が吹いている間は、風によって持上げられているため、床下(A)内部には外気が入り続ける。また風が止むと、逆流防止部材(5)が取入口(1)を塞ぎ、床下(A)内部が密閉される。該床下(A)内部に溜まった外気は、中空状の壁(D)に入り、壁(D)の通気路から各室内(B)の室内用給気口(6)へ新鮮な空気を供給する。各室内(B)に入った空気は下方から溜まり、上方の室内用排気口(7)から排気されるため、新鮮な空気は室内(B)の下方から上方に向って換気する。換気された空気は中空状な天井(E)を通り、中空状の壁(D)に戻され、更に前記空気は上昇し、屋根裏(C)の排出口(2)から排出されるのである。この時、風が弱くて換気が良くない時には、窓を開けて外気を室内(B)へ直接入れると良い。また排出口(2)に蓋付き換気扇(8)が設置されている場合には、蓋付き換気扇(8)を作動すれば強制的に換気が行えるものとなる。
【0013】
強風が吹く場合には、外気は逆流防止部材(5)を持上げて、取入口(1)から勢い良く入って来るが、床下(A)内部を始め通気路全体には空気が溜まっているため、風の勢いは前記内部の空気とぶつかり、内部の空気を押して溜まっていた空気と共に外気も徐々に上昇して壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)の室内用給気口(6)からは、柔らかな風となって供給されるのである。この時、排出口(2)に蓋付き換気扇(8)が設置されている場合には、蓋付き換気扇(8)の蓋を開けなければ、排出口(2)が塞がり、通気路は遮断されて密閉状態となる。このため、台風による強風時は、取入口(1)から勢い良く風が床下(A)内部に入っても、内部に溜まった空気を押しながら通気路に達するので、風の勢いが制圧されたものとなる。また床下(A)の内部圧が高まると共に強風の風圧と内部圧が均衡状態になると、取入口(1)からの外気の取入れは中断されるのである。従って、強風が吹いても適宜にバランスされた状態になり、通気路を強風のまま通過することはないものとなる。
【0014】
図4は本実施形態の冷暖房用パイプ(11)が床下(A)に配管された状態を示し、この場合の作用について説明する。先ず床下(A)上部の冷暖房用パイプ(11)に冷却水を循環させる。すると冷暖房用パイプ(11)は、図中の点線矢印のように四方へ冷気を放出させる。この時、冷暖房用パイプ(11)の上部には放射板(11a)が取付けられているので、循環する冷気は放射板(11a)も冷し、その放射板(11a)からも四方へ冷気を放出することにより、床下(A)内部の空気も冷されるのである。そして冷された空気は床下(A)内部に溜められる。次に外気が取入口(1)から入って来ると、床下(A)内部に溜まっている冷気が押されて壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)へ冷気が導入されると、室内(B)の空気が対流し、常に冷気が流れることにより、冷気の温度が余り低くなくても涼しく感じられるようになる。前記冷気は壁(D)の通気路を上昇しながら建物全体が程好く冷され、夏場を快適に過ごすことが出来るものとなるのである。一方、冷暖房用パイプ(11)に温水を循環させると、上記同様に冷暖房用パイプ(11)から図中の点線矢印のように四方へ暖気が放出されると放射板(11a)からも四方へ暖気が放出される。このため、床下(A)内部の空気が暖められると共に床(4)も暖められ、且つ暖気が上昇して壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)に暖気が導入され、室内(B)全体が暖められて暖房の役目を果す。しかも、この時には床暖房の役目も果されるものとなる。尚、この時、床下(A)の底面が地熱によって暖められ、外気よりも高い温度になるので、この地熱によっても暖房効果が高まるものとなる。このように冷暖房用パイプ(11)に冷却水又は温水を循環させるだけで、冷暖房が可能となり、その設備費や維持が低コストで行えるものとなる。
【0015】
また図1に示すように排出口(2)に設置された蓋付き換気扇(8)の作用について説明する。先ず蓋付き換気扇(8)が停止されて排出口(2)は閉じた状態になっている場合は、取入口(1), 床下(A),壁(D),各室内(B),天井(E),屋根裏(C),排出口(2)とから形成された通気路は、密閉された状態となるため、取入口(1)から床下(A)内部に外気が入って来なくなり、且つ各室内(B)に外気が入って来なくなるため、換気が出来なくなるのである。この蓋付き換気扇(8)を停止する場合としては、強風が吹いている時や、冬場で外気の冷え込みが厳しい時などである。つまり、台風の接近時や北風が吹いている時に排出口(2)を閉じておけば、取入口(1)からの外気は殆ど入らず、各室内(B)に強風の影響が及ばなくなるのである。また冬場で外気の冷え込みが厳しい時に排出口(2)を閉じておけば、取入口(1)からの冷えた外気が建物内部へ入らずに済むのである。この時、前記冷暖房用パイプ(11)に温水を循環させておくと、暖気が上昇して壁(D)から各室内(B)へ自然に流れ出し、建物全体を程好く暖めることが可能となる。次に蓋付き換気扇(8)を作動する場合は、室内(B)から図示しないスイッチを入れることにより、図中の点線矢印のように蓋が持上げられて蓋付き換気扇(8)が作動される。すると、蓋付き換気扇(8)によって通気路に溜まった空気が排出口(2)から図中の白抜き矢印のように外部へ強制的に排出される。排出されると通気路全体の圧力が低下するため、逆流防止部材(5)が内部へ引張られて持上がるため、外気が取入口(1)から取入れられ、壁(D)を通って各室内(B)に新鮮な空気が導入され、換気が行われる。つまり、風がない時或いは微風の時は、蓋付き換気扇(8)を作動させれば、自然換気の補助の役目を果すのである。尚、本発明に使用する蓋付き換気扇(8)はスイッチの操作で蓋だけが開く状態と、蓋が開くと共に換気扇機能が作動する状態とを区別して操作出来るものを使用するのが好ましい。通常は蓋付き換気扇(8)の蓋だけを開いた状態にしておき、風があれば取入口(1)から外気が自然に入り、床下(A)内部を通って自然換気が行われるようにしておく。このように蓋付き換気扇(8)や冷暖房用パイプ(11)を設けることにより、自然に室内換気が行われ且つ室内(B)を快適温度に保つことが容易にでき、外気に対して理想的な室内空気環境を得ることが可能となる。また必要最小限の器具による換気に対応した省エネルギー対応型の建物換気システムが、簡単な構造で且つ製作コストを押えて完成させることが可能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0017】
請求項1のように取入口(1)を有した密閉可能な床下(A)と、室内(B)の換気後の空気が外部へ排出されるための排出口(2)を有した屋根裏(C)と、取入口(1)と室内(B)及び排出口(2)と連通する中空状の壁(D)とから少なくとも構成することにより、自然の風で換気が可能となると共に騒音の発生がなく、且つ室内(B)でタバコを吸った煙やガスストーブなどを使用した燃焼ガスなどが自然に排出される。また自然換気が常時行われることにより、建物全体が乾燥し易くなって長持ちする建物が得られるものとなると共に壁(D)内に断熱材が不要となり、建物の腐食による損傷がなく、且つ空調装置の設置や排気ダクトの配管などが不要となり、メンテナンスも不要となるため、本発明の空調換気システムを導入する際、個人負担が軽減されるものとなると共にランニングコストが殆ど掛らないものとなる。
【0018】
請求項2のように床下(A)を四方に立設する基礎(3)と床(4)とから形成し、且つ取入口(1)に逆流防止部材(5)を設けることにより、中空状の床下(A)が密閉可能となって、取入口(1)からの外気が一旦溜められるので、床下(A)に断熱材を使用しなくても断熱効果が得られる。また外気が室温に近付けた温度に調整された後に上昇して室内(B)へ給気され、更に床下(A)の底面が地熱を吸収するため、夏場は涼しく且つ冬場は暖められた床下(A)内部に、外気が通過すれば、室温により近付けた温度に調整されて室内(B)へ給気出来るものとなる。しかも取入口(1)から強風が入って来ても床下(A)内部の空気により、強風の勢いが緩和された後に給気されるものとなる。
【0019】
請求項3に示すように室内(B)の下方に室内用給気口(6)を設け、上方は室内用排気口(7)を設けることにより、室内(B)に対流が生じ易くなり、換気が効率良く行えるものとなる。
【0020】
請求項4に示すように排出口(2)に蓋付き換気扇(8)を設置させ、それを作動することにより、風のない時や微風の時であっても、建物全体の換気を行うことが可能となるため、自然換気の補助の役目が果せるものとなり、空調機などの装置が不要となる。又、蓋付き換気扇(8)の蓋で排出口(2)を塞ぐことにより、台風の接近時や北風が吹いている時であっても、外気は取入口(1)から殆ど入らず、且つ冬場で外気の冷え込みが厳しい時であっても、取入口(1)からの冷気が建物内部へ入らずに済むため、各室内(B)には殆ど冷気が入って来なくなる。従って、自然換気システムが風の強さに関係なく良好状態の換気が可能となるのである。
【0021】
請求項5のように壁(D)を、内壁(9)と外壁(10)によって中空状に形成することにより、空気層が作られて断熱効果を発揮し、且つ空気の循環により、外壁(10)に割れが生じにくいものとなる。また壁(D)内部を利用すれば、配線や配管等の工事が容易となると共にメンテナンスが容易に出来るものとなる。しかも壁(D)の空間部を利用して、煙による防虫散布などを行えば、建物の隅々まで散布することが可能となる。
【0022】
請求項6のように床下(A)に冷暖房用パイプ(11)を配管することにより、夏場に冷暖房用パイプ(11)へ冷却水を循環させると、外気は床下(A)内部で冷却されて各室内(B)に冷気として給気されるため、各室内(B)を程好く冷すことが出来る。また冬場に冷暖房用パイプ(11)へ温水を循環させると、外気は床下(A)内部で暖められ、その暖気が室内(B)に入ると共にこの暖気の流れは上昇して室内用排気口(7)から出て行くので、対流し易くなり、窓を開けなくても換気が充分に行えるものとなり、各室内(B)を程好く暖めることが出来るものとなると共に床暖房として利用出来るものとなる。このため、冷暖房が極めて低コストで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
【図2】本実施形態の通気路の要部を示す説明図である。
【図3】本実施形態の逆流防止部材の要部を示す説明図である。
【図4】本実施形態の冷暖房用パイプが配管された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 床下
B 室内
C 屋根裏
D 壁
1 取入口
2 排出口
3 基礎
4 床
5 逆流防止部材
6 室内用給気口
7 室内用排気口
8 蓋付き換気扇
9 内壁
10 外壁
11 冷暖房用パイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は室内換気が窓やドア等の開閉に関係なく自然の風によって、建物全体の室内換気が行われると共にその自然流が利用される壁空間を利用した空調換気システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物全体の室内換気を行う空調換気システムとしては、空調設備装置で強制的に換気する強制換気が主であり、中には自然換気に近いものもあるようである。この場合の建物の壁は、室内の保温性を高めるために、壁内部へ断熱材を詰め込んでいた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記強制換気システムの場合は、空調装置の設置や排気ダクトの配管などの作業が大変であると共にその購入費や作業費用は高価であり、個人で導入する際の負担が大きいと共にランニングコストも大きかった。また空調装置を作動させると騒音が発生するので、夜間に作動すると近所に迷惑が掛ると共に熟睡の妨害になっていた。このため、近年に於いては自然換気システムが注目され始めているが、風が弱い時や強風の時などは換気が行えなかったり、或いは風の具合が良い状態であっても室内の換気が充分に行えない等の問題点があり、単独だけのシステムは普及していないのが現状であった。
【0004】
又、前記強制換気システムや自然換気システムに於ける建物の壁の中には断熱材が詰め込まれているため、外気と室温との差によって水滴が壁に付着され易く、且つ壁だけでなく床下などの密閉箇所に於いては換気が行えないので、湿気が多くなり、建物が腐って傷み易いものとなる等の問題点もあった。
【0005】
本発明は自然の風で換気が可能となると共に騒音の発生がなく、且つ建物全体が乾燥し易くなって長持ちする建物が得られる壁空間を利用した空調換気システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的としては、風の強さに関係なく換気が可能になると共に冷暖房が極めて低コストで可能となる壁空間を利用した空調換気システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、外気の取入口を有した密閉可能な床下と、室内の換気後の空気が外部へ排出されるための排出口を有した屋根裏と、取入口と室内及び排出口と連通する中空状の壁とから少なくとも構成する。また床下を基礎と床とから形成し、取入口に逆流防止部材を設けると良く、室内の下方に室内用給気口を設けると共にその室内の上方に室内用排気口を設け、且つ排出口に蓋付き換気扇を設置させると良い。更に壁を内壁と外壁によって中空状に形成し、床下に冷暖房用パイプを配管させても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の実施形態を示す図であり、これに基づいて説明する。(A)は密閉可能な床下であり、(B)は室内で、(C)は中空状な屋根裏で、(D)は中空状な壁で、(E)は中空状な天井である。尚、建物が平屋の場合は、屋根裏(C)を天井(E)と共用させたものとしても良い。(1)は床下(A)の全周囲に設けられた複数個の取入口であり、該取入口(1)は外気を取入れるためのものである。(2)は屋根裏(C)の複数箇所に設けた排出口であり、該排出口(2)にルーバーを取付けても良い。この排出口(2)は室内(B)の換気後の空気を外部へ排出するためのものである。(3)は四方(全周囲)に立設するコンクリート製の基礎であり、(4)は床である。(5)は全周囲の取入口(1)に設けた逆流防止部材であり、該逆流防止部材(5)としては、図3に示すような柔軟で帯状の合成樹脂板やフィルムなどを用い、根太などの木材へ釘等で打ち付けて固定している。前記逆流防止部材(5)は前記柔軟で帯状のものに限定されるものではなく、取入れた外気を床下(A)内部から出さないものであれば良い。(6)は室内(B)の下方に設けた室内用給気口であり、該室内用給気口(6)にルーバーを取付けても良い。また前記室内用給気口(6)は壁(D)の空間部と連通している。(7)は室内(B)の上方に設けた室内用排気口であり、該室内用排気口(7)は前記室内用給気口(6)に対して対角線状に設け、換気が効率良く出来る位置に設けるのが好ましく、特に前記室内用排気口(7)を設ける位置としては、天井(E)に設けるのが好ましい。また前記室内用排気口(7)は天井(E)の空間部を介して壁(D)の空間部と連通している。
【0009】
(8)は各排出口(2)に設置した蓋付き換気扇であり、該蓋付き換気扇(8)は排出口(2)に直接取付け、外気が入らない方向に蓋付き換気扇(8)を設置させている。前記蓋付き換気扇(8)は風がない時に作動させ、強制換気をするためのものである。尚、蓋付き換気扇(8)の代りに、電磁弁を設けて排出口(2)が閉じられるようにさせても良い。この時、排出口(2)が閉じると、屋根裏(C)は密閉され空気の流れが止まるため、特に冬場においては、暖められた空気が壁(D)や天井(E)に溜まったままになり、空気の流れによる温度低下を防止させ、温度調整が可能な機能が備わるものとなるのである。(9)はクロス貼りされた内壁であり、(10)は外壁である。この内壁(9)と外壁(10)によって中空状に壁(D)が形成され、その空間部の幅としては120mm前後が好ましい。尚、断熱効果を向上させるために、外壁(10)に断熱材が取付けられたものを使用しても良い。(11)は床下(A)に配管した冷暖房用パイプであり、該冷暖房用パイプ(11)は鋼管を用い、その上部にはアルミニウム板で且つ覆状の放射板(11a)が取付けられている。前記冷暖房用パイプ(11)は、冬場には温水を循環せ、夏場には冷却水を循環させる。尚、前記冷暖房用パイプ(11)は必ずしも必要ではない。
【0010】
次に本発明の作用について説明する。先ず外気が取入れられて室内(B)の換気を行い、そして外部に排出される通気路について説明する。先ず始めに外気が図2に示す白抜き矢印のように取入口(1)から入ると、逆流防止部材(5)が図中の点線矢印のように持上げられて床下(A)内部に外気が入り込む。この床下(A)に於いては、図中の矢印のように外気が先ず右に進み、更に上方から図中の矢印のように左に進む。尚、この左右の進む外気の方向は一例であり、このように整然としたものではない。その後、中空状の壁(D)に外気が入って来ると、図中の矢印のように外気は上昇する。そして室内用給気口(6)から室内(B)に新鮮な空気が供給され、室内(B)の下方から上方に向って換気すると、室内用排気口(7)から排気され、その空気は中空状な天井(E)を通り、中空状の壁(D)に入り、更に上昇する(図1参照)。その後、一部の空気は上の階の室内用給気口(6)から供給され、残りの空気は更に上昇して換気を行いながら排出口(2)から外部へ排出される。この時、排出口(2)にルーバーを取付けた時は、該排出口(2)から外気が入って来ても、反対側の排出口(2)から排出されるため、多少の外気が通気路に入ったとしても、取入口(1)からの外気の取入量が遥かに多いので、換気に支障がないのである。また本発明は自然発生的な風力だけでなく、取入れられた外気に対する室温度の上昇による自然発生的な空気流により、室内換気が促されるのである。
【0011】
このように通気路が、取入口(1), 床下(A),壁(D),各室内(B),天井(E),屋根裏(C),排出口(2)とから形成されると共に各室内(B)は通気路で囲まれた状態となることにより、その通気路に流れる空気自体が断熱材の役目を果すので、外部の温度の影響が各室内(B)に直接に及ぶことがなくなり、自然の風がやさしく導入されて過ごし易くなる。しかも本発明は窓を開けなくても良く、且つ風が吹けば、自然に外気が壁(D)を通過して換気を行うものとなる。特に冬場に於ける換気は、従来の如き窓から冷気を直接に取入れなくても良くなるので、不快になることがなくなる。また夏の夜の冷気を室内(B)に導入させることが出来るため、無動力で外気による冷房が可能となり、空調のランニングコストが掛らないものとなる。又、床下(A)や壁(D)に断熱材が詰め込まれておらず、そこが中空状で且つ通気路であると共に換気が常に行われることにより、従来の建物に発生していた断熱材の弊害である壁(D)や床下(A)などに水滴が溜まって腐る恐れがなくなり、建物全体の換気を促進し、建物の耐久性が向上するものとなる。特に壁(D)内で絶えず空気が動き、各室内(B)に流れ込んで換気されているので、建物の外壁(10)の湿気が乾燥してその湿気は除去され、外壁(10)の割れが生じにくいものになることにより、防震対策となる。また中空状の壁(D)内部を利用すれば、配線や配管等の工事が容易に行えると共にそのメンテナンスが容易になる。更に通気路には空気が常時流れて換気されているので、床下(A)に於いて煙による防虫散布を行えば、建物の隅々まで散布することが可能となる。
【0012】
次に風の強さと換気について説明する。先ず弱風が吹く場合、外気は取入口(1)から入り、逆流防止部材(5)を少し持上げ、基礎(3)との隙間から外気が流れ込んで床下(A)内部に溜まる。尚、前記逆流防止部材(5)としては微風でもカーテンのように持上げられて外気を入れ、且つ風がなくなると自重で元の位置に戻されて取入口(1)を塞ぐものが好ましい。前記逆流防止部材(5)は風が吹いている間は、風によって持上げられているため、床下(A)内部には外気が入り続ける。また風が止むと、逆流防止部材(5)が取入口(1)を塞ぎ、床下(A)内部が密閉される。該床下(A)内部に溜まった外気は、中空状の壁(D)に入り、壁(D)の通気路から各室内(B)の室内用給気口(6)へ新鮮な空気を供給する。各室内(B)に入った空気は下方から溜まり、上方の室内用排気口(7)から排気されるため、新鮮な空気は室内(B)の下方から上方に向って換気する。換気された空気は中空状な天井(E)を通り、中空状の壁(D)に戻され、更に前記空気は上昇し、屋根裏(C)の排出口(2)から排出されるのである。この時、風が弱くて換気が良くない時には、窓を開けて外気を室内(B)へ直接入れると良い。また排出口(2)に蓋付き換気扇(8)が設置されている場合には、蓋付き換気扇(8)を作動すれば強制的に換気が行えるものとなる。
【0013】
強風が吹く場合には、外気は逆流防止部材(5)を持上げて、取入口(1)から勢い良く入って来るが、床下(A)内部を始め通気路全体には空気が溜まっているため、風の勢いは前記内部の空気とぶつかり、内部の空気を押して溜まっていた空気と共に外気も徐々に上昇して壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)の室内用給気口(6)からは、柔らかな風となって供給されるのである。この時、排出口(2)に蓋付き換気扇(8)が設置されている場合には、蓋付き換気扇(8)の蓋を開けなければ、排出口(2)が塞がり、通気路は遮断されて密閉状態となる。このため、台風による強風時は、取入口(1)から勢い良く風が床下(A)内部に入っても、内部に溜まった空気を押しながら通気路に達するので、風の勢いが制圧されたものとなる。また床下(A)の内部圧が高まると共に強風の風圧と内部圧が均衡状態になると、取入口(1)からの外気の取入れは中断されるのである。従って、強風が吹いても適宜にバランスされた状態になり、通気路を強風のまま通過することはないものとなる。
【0014】
図4は本実施形態の冷暖房用パイプ(11)が床下(A)に配管された状態を示し、この場合の作用について説明する。先ず床下(A)上部の冷暖房用パイプ(11)に冷却水を循環させる。すると冷暖房用パイプ(11)は、図中の点線矢印のように四方へ冷気を放出させる。この時、冷暖房用パイプ(11)の上部には放射板(11a)が取付けられているので、循環する冷気は放射板(11a)も冷し、その放射板(11a)からも四方へ冷気を放出することにより、床下(A)内部の空気も冷されるのである。そして冷された空気は床下(A)内部に溜められる。次に外気が取入口(1)から入って来ると、床下(A)内部に溜まっている冷気が押されて壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)へ冷気が導入されると、室内(B)の空気が対流し、常に冷気が流れることにより、冷気の温度が余り低くなくても涼しく感じられるようになる。前記冷気は壁(D)の通気路を上昇しながら建物全体が程好く冷され、夏場を快適に過ごすことが出来るものとなるのである。一方、冷暖房用パイプ(11)に温水を循環させると、上記同様に冷暖房用パイプ(11)から図中の点線矢印のように四方へ暖気が放出されると放射板(11a)からも四方へ暖気が放出される。このため、床下(A)内部の空気が暖められると共に床(4)も暖められ、且つ暖気が上昇して壁(D)の通気路に入り、その後、各室内(B)に暖気が導入され、室内(B)全体が暖められて暖房の役目を果す。しかも、この時には床暖房の役目も果されるものとなる。尚、この時、床下(A)の底面が地熱によって暖められ、外気よりも高い温度になるので、この地熱によっても暖房効果が高まるものとなる。このように冷暖房用パイプ(11)に冷却水又は温水を循環させるだけで、冷暖房が可能となり、その設備費や維持が低コストで行えるものとなる。
【0015】
また図1に示すように排出口(2)に設置された蓋付き換気扇(8)の作用について説明する。先ず蓋付き換気扇(8)が停止されて排出口(2)は閉じた状態になっている場合は、取入口(1), 床下(A),壁(D),各室内(B),天井(E),屋根裏(C),排出口(2)とから形成された通気路は、密閉された状態となるため、取入口(1)から床下(A)内部に外気が入って来なくなり、且つ各室内(B)に外気が入って来なくなるため、換気が出来なくなるのである。この蓋付き換気扇(8)を停止する場合としては、強風が吹いている時や、冬場で外気の冷え込みが厳しい時などである。つまり、台風の接近時や北風が吹いている時に排出口(2)を閉じておけば、取入口(1)からの外気は殆ど入らず、各室内(B)に強風の影響が及ばなくなるのである。また冬場で外気の冷え込みが厳しい時に排出口(2)を閉じておけば、取入口(1)からの冷えた外気が建物内部へ入らずに済むのである。この時、前記冷暖房用パイプ(11)に温水を循環させておくと、暖気が上昇して壁(D)から各室内(B)へ自然に流れ出し、建物全体を程好く暖めることが可能となる。次に蓋付き換気扇(8)を作動する場合は、室内(B)から図示しないスイッチを入れることにより、図中の点線矢印のように蓋が持上げられて蓋付き換気扇(8)が作動される。すると、蓋付き換気扇(8)によって通気路に溜まった空気が排出口(2)から図中の白抜き矢印のように外部へ強制的に排出される。排出されると通気路全体の圧力が低下するため、逆流防止部材(5)が内部へ引張られて持上がるため、外気が取入口(1)から取入れられ、壁(D)を通って各室内(B)に新鮮な空気が導入され、換気が行われる。つまり、風がない時或いは微風の時は、蓋付き換気扇(8)を作動させれば、自然換気の補助の役目を果すのである。尚、本発明に使用する蓋付き換気扇(8)はスイッチの操作で蓋だけが開く状態と、蓋が開くと共に換気扇機能が作動する状態とを区別して操作出来るものを使用するのが好ましい。通常は蓋付き換気扇(8)の蓋だけを開いた状態にしておき、風があれば取入口(1)から外気が自然に入り、床下(A)内部を通って自然換気が行われるようにしておく。このように蓋付き換気扇(8)や冷暖房用パイプ(11)を設けることにより、自然に室内換気が行われ且つ室内(B)を快適温度に保つことが容易にでき、外気に対して理想的な室内空気環境を得ることが可能となる。また必要最小限の器具による換気に対応した省エネルギー対応型の建物換気システムが、簡単な構造で且つ製作コストを押えて完成させることが可能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0017】
請求項1のように取入口(1)を有した密閉可能な床下(A)と、室内(B)の換気後の空気が外部へ排出されるための排出口(2)を有した屋根裏(C)と、取入口(1)と室内(B)及び排出口(2)と連通する中空状の壁(D)とから少なくとも構成することにより、自然の風で換気が可能となると共に騒音の発生がなく、且つ室内(B)でタバコを吸った煙やガスストーブなどを使用した燃焼ガスなどが自然に排出される。また自然換気が常時行われることにより、建物全体が乾燥し易くなって長持ちする建物が得られるものとなると共に壁(D)内に断熱材が不要となり、建物の腐食による損傷がなく、且つ空調装置の設置や排気ダクトの配管などが不要となり、メンテナンスも不要となるため、本発明の空調換気システムを導入する際、個人負担が軽減されるものとなると共にランニングコストが殆ど掛らないものとなる。
【0018】
請求項2のように床下(A)を四方に立設する基礎(3)と床(4)とから形成し、且つ取入口(1)に逆流防止部材(5)を設けることにより、中空状の床下(A)が密閉可能となって、取入口(1)からの外気が一旦溜められるので、床下(A)に断熱材を使用しなくても断熱効果が得られる。また外気が室温に近付けた温度に調整された後に上昇して室内(B)へ給気され、更に床下(A)の底面が地熱を吸収するため、夏場は涼しく且つ冬場は暖められた床下(A)内部に、外気が通過すれば、室温により近付けた温度に調整されて室内(B)へ給気出来るものとなる。しかも取入口(1)から強風が入って来ても床下(A)内部の空気により、強風の勢いが緩和された後に給気されるものとなる。
【0019】
請求項3に示すように室内(B)の下方に室内用給気口(6)を設け、上方は室内用排気口(7)を設けることにより、室内(B)に対流が生じ易くなり、換気が効率良く行えるものとなる。
【0020】
請求項4に示すように排出口(2)に蓋付き換気扇(8)を設置させ、それを作動することにより、風のない時や微風の時であっても、建物全体の換気を行うことが可能となるため、自然換気の補助の役目が果せるものとなり、空調機などの装置が不要となる。又、蓋付き換気扇(8)の蓋で排出口(2)を塞ぐことにより、台風の接近時や北風が吹いている時であっても、外気は取入口(1)から殆ど入らず、且つ冬場で外気の冷え込みが厳しい時であっても、取入口(1)からの冷気が建物内部へ入らずに済むため、各室内(B)には殆ど冷気が入って来なくなる。従って、自然換気システムが風の強さに関係なく良好状態の換気が可能となるのである。
【0021】
請求項5のように壁(D)を、内壁(9)と外壁(10)によって中空状に形成することにより、空気層が作られて断熱効果を発揮し、且つ空気の循環により、外壁(10)に割れが生じにくいものとなる。また壁(D)内部を利用すれば、配線や配管等の工事が容易となると共にメンテナンスが容易に出来るものとなる。しかも壁(D)の空間部を利用して、煙による防虫散布などを行えば、建物の隅々まで散布することが可能となる。
【0022】
請求項6のように床下(A)に冷暖房用パイプ(11)を配管することにより、夏場に冷暖房用パイプ(11)へ冷却水を循環させると、外気は床下(A)内部で冷却されて各室内(B)に冷気として給気されるため、各室内(B)を程好く冷すことが出来る。また冬場に冷暖房用パイプ(11)へ温水を循環させると、外気は床下(A)内部で暖められ、その暖気が室内(B)に入ると共にこの暖気の流れは上昇して室内用排気口(7)から出て行くので、対流し易くなり、窓を開けなくても換気が充分に行えるものとなり、各室内(B)を程好く暖めることが出来るものとなると共に床暖房として利用出来るものとなる。このため、冷暖房が極めて低コストで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
【図2】本実施形態の通気路の要部を示す説明図である。
【図3】本実施形態の逆流防止部材の要部を示す説明図である。
【図4】本実施形態の冷暖房用パイプが配管された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 床下
B 室内
C 屋根裏
D 壁
1 取入口
2 排出口
3 基礎
4 床
5 逆流防止部材
6 室内用給気口
7 室内用排気口
8 蓋付き換気扇
9 内壁
10 外壁
11 冷暖房用パイプ
Claims (6)
- 外気が取入れられるための取入口(1)を有した密閉可能な床下(A)と、室内(B)の換気後の空気が外部へ排出されるための排出口(2)を有した屋根裏(C)と、前記取入口(1)と前記室内(B)及び前記排出口(2)と連通する中空状の壁(D)とから少なくとも構成することを特徴とする壁空間を利用した空調換気システム。
- 前記床下(A)が、四方に立設する基礎(3)と床(4)とから形成され、且つ前記取入口(1)には、取入れた外気を出さないための逆流防止部材(5)が設けられた請求項1記載の壁空間を利用した空調換気システム。
- 前記室内(B)の下方には室内用給気口(6)が設けられ、前記室内(B)の上方には室内用排気口(7)が設けられた請求項1記載の壁空間を利用した空調換気システム。
- 前記排出口(2)に蓋付き換気扇(8)が設置された請求項1記載の壁空間を利用した空調換気システム。
- 前記壁(D)が、内壁(9)と外壁(10)によって中空状に形成された請求項1記載の壁空間を利用した空調換気システム。
- 前記床下(A)には、冷暖房用パイプ(11)が配管された請求項1又は2記載の壁空間を利用した空調換気システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003167381A JP2005003269A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | 壁空間を利用した空調換気システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003167381A JP2005003269A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | 壁空間を利用した空調換気システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005003269A true JP2005003269A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34093204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003167381A Pending JP2005003269A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | 壁空間を利用した空調換気システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005003269A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008303529A (ja) * | 2007-06-05 | 2008-12-18 | Daiwa House Ind Co Ltd | 外壁壁体内に通気層を有する建物の換気システム |
CN108571779A (zh) * | 2018-07-13 | 2018-09-25 | 格力电器(杭州)有限公司 | 空调系统 |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003167381A patent/JP2005003269A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008303529A (ja) * | 2007-06-05 | 2008-12-18 | Daiwa House Ind Co Ltd | 外壁壁体内に通気層を有する建物の換気システム |
CN108571779A (zh) * | 2018-07-13 | 2018-09-25 | 格力电器(杭州)有限公司 | 空调系统 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4392508B2 (ja) | 自然対流式床下暖房換気システム | |
JP5578594B2 (ja) | 省エネルギー換気システムを備えた建築物 | |
JP4524348B1 (ja) | 省エネルギー換気システム | |
JP3944181B2 (ja) | 建物空調システム | |
JP5370632B2 (ja) | 建築物の換気構造 | |
JP2001311232A (ja) | 温湿度調整機能付き住宅 | |
JP3677363B2 (ja) | 住宅の換気装置 | |
JP2005003269A (ja) | 壁空間を利用した空調換気システム | |
JP4295541B2 (ja) | 換気システム | |
JP5410112B2 (ja) | 建物の換気構造 | |
JP3082061B2 (ja) | 暖房または暖冷房の空調方法 | |
JP2010091243A (ja) | 省エネルギー換気システム及びそれを備えた省エネ建築物 | |
JP4049380B2 (ja) | 建物の換気システム | |
JP2905417B2 (ja) | 空気循環建物 | |
JP3338412B2 (ja) | 家屋の換気システム | |
JPH0293228A (ja) | 建屋における通気装置 | |
JP2001279837A (ja) | エアサイクル家屋及び家屋の換気システム | |
KR101012282B1 (ko) | 건축물의 벽체에 형성된 환기 구조 | |
JP2002013219A (ja) | 家屋の換気システム | |
JP3123276U (ja) | 住宅構造 | |
JPH11264201A (ja) | 建物の換気構造 | |
JP2020186874A (ja) | 空調システムおよび家屋 | |
JPH0293227A (ja) | 寄せ棟建屋における通気装置 | |
JP2009156483A (ja) | 建物 | |
JP5030246B1 (ja) | 建物の通気断熱構造 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20060221 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060228 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060704 |