JP2005002873A - 消音器 - Google Patents
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Abstract
【課題】空圧機器の排出騒音の元となる空気の粗密波を熱エネルギに変換することによって効果的に低減すると共に、小形で圧力損失が小さく、空気圧縮機の消費電力の低減と作業環境の改善と地域環境の改善ができる消音器を提供できる。
【解決手段】消音部材として、丸線の金網2を用いて空気の流れ8に対面して配設したことを特徴とする消音器。
【選択図】 図1
【解決手段】消音部材として、丸線の金網2を用いて空気の流れ8に対面して配設したことを特徴とする消音器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は消音器に関し、特に圧縮空気を用いる空圧機器に用いられる消音器に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮空気を用いる空圧機器においては、空圧機器内を流れた圧縮空気は、最後は大気へ放出されることによってその役目を終えるのが一般的である。しかして、圧縮空気が大気へ放出されるときに、大きな音が発生するので、この騒音を抑制ないしは低減する努力が、鋭意、なされている。
【0003】
その努力の一例が、特許文献1たる実公平6−27789号公報に開示されている。すなわち、この公報で開示された技術は、排気された圧縮空気を、ケース内に装填された消音部材たる網目状部材を通過させ、この通過の際に圧縮空気をして網目状部材内で膨張させ、もって消音させんとするものである。
【0004】
また、特許文献2たる特許第3037617号公報には、別のタイプの消音器が開示されている。すなわち、この公報にて開示された微細な径の連続気孔を有する消音材を用いた消音器が開示されている。この消音器はケース内に装填されており、ケース内に導入された空気は、ケースの消音材と圧縮された消音部材を通過して、大気へ放出されるようになっている。しかして、圧縮空気が消音材と、圧縮された消音部材を通過する際に、拡散、膨張、干渉することによって、消音効果を得ることができるようになっており、更には、消音材を形成している粉末焼結体自身に依っても吸音効果を得ることができるとされている。
【0005】
【特許文献1】実公平6−27789号公報
【0006】
【特許文献2】特許第3037617号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した2つの従来技術は、消音材内部の空気の流路断面積を比較的急激に変化させて、空気の拡散、膨張、干渉を大きくすることに依って、より高い消音効果を得ようとするものであるので、消音材内部での流路断面積の拡大・縮小によって圧力損失が増大することは避けることができない。この圧力損失を補って空圧機器を適正に運転するためには、空気圧縮機の供給圧力をその分高くする必要があり、消費電力の増大をもたらす。また消音材の圧力損失を小さくしようとすると、消音材が大きくなってしまうという問題があった。また多種多様の空圧機器では、回転機器や往復動機器の違い、および放出開口部の形状の相違などにより、様々な周波数帯の空気放出音が発生するが、従来技術では、消音器の大きさを変えることなく様々な周波数帯の空気放出音を効果的に低減させることは困難であるなどの問題があった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、圧力損失が小さく空気源の消費電力を低減することができ、かつ小形でありながら大きな消音効果を有し、さらに機器によって異なる様々な周波数帯の空気放出音を容易に低減できる消音器を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段は、「圧縮空気が通過する内部通路に、丸線で織られた金網を複数枚、前記空気の流れに対面して積層配置したことを特徴とする消音器」を構成したことである。
【0010】
請求項1の消音器においては、請求項2に示すように、「複数の前記金網は全て同一で、その粗さは、50〜635MESHである」ようにするのが望ましい。
【0011】
請求項1の消音器においては、請求項3に示すように、「複数の前記金網は、全て同一ではなく、粗さが50〜635MESHのものから適宜選択される」ようにするのが望ましい。
【0012】
請求項1の消音器においては、請求項4に示すように、「前記金網は、比熱が大きな金属、例えば銅合金やステンレス鋼で作製される」ようにするのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面にもとづいて、本発明の実施形態例について、説明する。
【0014】
消音器1は、ケース3を備える。ケース3は段付構造となっており、ケース3の左側には、外周にネジ部が形成された突起部3aが一体形成されている。突起部3aの内部には、インレットポート6が形成されている。
【0015】
ケース3の右側の外周にはネジ部4が形成されており、このネジ部4は、軸方向穴5aが多数規則的に穿設された蓋5の内周部が螺着されている。ケース3と蓋5との間に画成された内部空間には、丸線の金網2が複数枚、積層される態様で、装填されている。丸線の金網2は、断面が略真円の、比熱が大きい銅合金の線材2b(図3)をメッシュ状に織り合わせて、200MESH(つまり、25.4ミリメータ=1インチ間にある目の数が200)となるように形成したものである。
【0016】
積層された丸線の金網2とケース3の段部との間にはスペーサ7が挟着されており、このスペーサ7の軸方向の厚さを調整することにより、丸線の金網2の積層枚数を増減できるようになっている。
【0017】
圧縮空気がインレットポート6に供給されたあと、矢印8にて示されるように、積層された丸線の金網2を通過して、軸方向穴5aから、大気に放出されるが、音の元である粗密波を持った空気が丸線の金網2を通過する際に、金網2は微振動を誘起させられ、織られた金網2の丸線は縦線と横線との間で相互に微少な摩擦運動を繰り返すことによって、微少発熱を起こす。しかして、音圧レベルが120dBの場合でも、音の強さは1W/m2しかなく、また通過していく空気によって強制冷却されるので異常過熱は起こらない。すなわち丸線の金網2によって、気体の波エネルギを効率的に熱エネルギに変換させることによって大きな消音効果がもたらされる。
【0018】
音の元である粗密波を持った空気が丸線の金網2を通過する際の様子は、図3に示されるような態様であるが、空気が矢印8のように、丸線の表面に沿って滑らかに次々と通過していくため空気の流れが剥離現象を起こすことなく、円滑な流れとなるため圧力損失を小さくすることができる。
【0019】
積層された丸線の金網2の材質を、銅合金の代えて、同じく比熱が大きいステンレス鋼を採用しても良い。しかして、比熱が比較的大きく耐食性を有する銅合金の金網やステンレス鋼の金網は、蓄冷効果も比較的大きい。従って流路内や消音容器内で圧縮空気が断熱膨張によって低温になった場合、その冷熱は通過していく金網に蓄えられる。金網が冷えるとそこを更に通過していく空気は、より冷却され通過空気の密度はさらに高くなる。密度の高い空気は、狭い流路でも通過し易くなるので、同じ流量を流す場合においては、圧力損失がより低減できる。また銅合金やステンレス鋼の極細目の金網は、鉄系やアルミ合金の金網より市場性があり、容易に入手することができると共にコスト的にな面での利点がある。
【0020】
上記した積層された丸線の金網2による消音効果を実証するために、実験を行った。実験は、図2に示す装置を用いて、銅合金の丸線の金網の枚数を0〜80まで変化させたときの、空気の流量、音の強さ及び音圧レベルの変化を測定したものである。
【0021】
図2に示す実験装置は、管31を備える。管31は段付構造となっており、左側には、外周にネジ部が形成された突起部31aの内部には、インレットポート6が形成されている。管31の右側の外周にはネジ部41が形成されており、このネジ部41は、開口51aが形成された管51の内周部が螺着されている。しかして、この螺着の際に、管51の先端部と管31の右端部との間に、0〜80枚の200MESHの丸線の銅合金製金網2が挟着されるようになっている。管31と管5とは、金網2が介装された流路を画成し、空気が矢印8のように流れる。管51は、内径φ16.1mmのSGP管1/2B管(JIS−G−3452で規定)を採用した。
【0022】
騒音測定(音の強さ及び音圧レベル)は、JIS−Z−8731で規定される方式に依拠して、インレットポート6へ0.45MPaの圧縮空気を供給したとき、管51の開口51aから1メートルは離れた個所で行った。
【0023】
この実験結果は、図4の図表にて示される。図表において、横軸は金網の枚数を示し、供給空気の設定圧力が0.45MPa時の空気の流量と音圧レベル(距離1m)を縦軸に示している。金網を装着しない場合、流量は毎分1130リットルで音圧レベルは101.6dB(A)であったが、順次金網の枚数を増やしていくと、金網の枚数が80枚で厚さは約8mmとなり、この時の流量は毎分1000リットルだが、音圧レベルは74.6dB(A)まで低減した。流量は11.5%低下したが、音の強さ〔W/m2〕では1/503に低減できた。ここで分かることは、金網の枚数を任意に変化させることによって、必要な流量と必要な音圧レベルを自由に選択することが可能であるということである。
【0024】
上記した消音効果を理論的に解析すると、次のようになる
音の持つエネルギは、一般的には音の強さ〔W/m2〕又は音圧レベル〔dB〕で表される。音の強さと音圧レベルとの関係は、次式の通り定義されている。
【0025】
L=10・log(I/I0)
ここで、 L:音圧レベル〔dB〕
I:音の強さ〔W/m2〕
I0:音の強さの基準値〔W/m2〕=10−12〔W/m2〕
また、音の強さと音のエネルギ密度との関係は、次式の通りである。
【0026】
E=I/c
ここで、 E:音のエネルギ密度〔W/m3〕
I:音の強さ〔W/m2〕
c:1秒間に音波が伝播する距離〔m〕とする。
【0027】
これらの式が示す通り、音源から発せられた音のエネルギは、ある地点では、ある音の強さを有している。該音の強さは単位面積あたりのワット数で示すことができ、100dBでは0.01W/m2、また120dBでは1W/m2となる。なお空圧機器における音の実態は空気の粗密波(縦波)によるものであり、一定のエネルギを有している。
【0028】
この空気の粗密波が金網を通過する際、金網は微振動を誘起させられ、織られた金網の丸線は縦線と横線との間で相互に微少な摩擦運動を繰り返すことによって、微少発熱を起こす。すなわちエネルギ保存の法則でも明らかのように、ここでは空気の音波のエネルギが、金網を介して熱エネルギに変換したのである。ただし微少発熱した金網は、通過する空気によって強制冷却されるので異常過熱することはない。
【0029】
また、金網の材料として丸線を用いることにより、空気の流れが剥離現象を起こすことなく、円滑に金網内を次々に通過することができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0030】
図5に、別の実施形態に係る消音器を示す。
【0031】
図5に示す消音器は、図1示す消音器とは、基本的なコンセプトは同じであるが、消音部材2を、金網の網目の種類を複数選択してひとつのケース3内に配設したものを示している。すなわち、一般的に可聴音とされている音の周波数は、20Hzから20000Hzであるが、ひとつの空圧機器において広域の様々な周波数帯の空気放出音が発生する場合、低い周波数に対しては50MESHか、又はそれに近い粗い目の金網を設置し、また高い周波数に対しては635MESHか、又はそれに近い細かい目の金網を設置する。なお消音器の入口に近い方から粗い目の金網を設置し、開口部に向かって順次細かい目の金網を設置していくことにより、少ない金網数量で大きな消音効果を得ることができると共に、圧力損失も最低限に小さく抑制できる。
【0032】
これは空気を金網に強制通過させていく場合における金網の共振現象の特性として、金網の開口目が粗くなるほど低い周波数で金網の丸線は微振動し易くなり、また金網の開口目が細かくなるほど高い周波数で金網の丸線は微振動し易くなるからである。
【0033】
ひとつの空圧機器において、特定の周波数を多く発生している場合は、その周波数に最適な網目の大きさの金網を他の種類よりも多く入れることによって、さらに少ない金網数量で大きな消音効果を得ることができると共に、圧力損失も最低限に小さく抑制できる。
【0034】
尚、金網としては、50〜635MESHのものが、実用上、最適と考えられる。その理由は、50MESHの金網は線径も大きく共振周波数が低く低周波の騒音低減に有効であり、また、635MESHの金網は、製作限界の金網であって、線径が20マイクロメータとなり小さく、共振周波数が高く高周波の騒音低減に有効である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、音の波エネルギを微少な熱エネルギに変換するので効果的に圧縮空気の大気放出騒音を低減することができる。また金網に丸線を用いることにより空気の剥離騒音が発生し難く、且つ圧力損失を低く抑制できるので空気圧縮機の電力を低減することができる。さらに金網の複数種類の網目サイズを周波数に合わせて任意に配設することにより、より少ない枚数で同様の消音効果を得ることができるので圧力損失も最低限に抑制でき、空気圧縮機の電力を低減することができる。また空気の断熱膨張で得られた冷熱を比熱の高い金網に蓄冷できるので通過していく空気の密度を高くすることが可能となり圧力損失もさらに最低限に抑制でき、空気圧縮機の電力を低減することができるなど、小形で、圧力損失が少なく、消費電力の低減と、消音効果が高く、作業環境の改善と、地域環境の改善が可能となる消音器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】:本発明の実施例の消音器を示す断面図
【図2】:本発明の消音器の特性を把握するための実験装置の概要断面図
【図3】:図1に示す消音器における、消音部材を通過する空気の流れを示す概念図
【図4】:本発明の消音器の特性を把握するための実験装置による実験結果を示す図表
【図5】:本発明の別の実施例の消音器を示す断面図
【符号の説明】
1…消音器
2…丸線の金網
3…ケース
5…蓋
5a…開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は消音器に関し、特に圧縮空気を用いる空圧機器に用いられる消音器に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮空気を用いる空圧機器においては、空圧機器内を流れた圧縮空気は、最後は大気へ放出されることによってその役目を終えるのが一般的である。しかして、圧縮空気が大気へ放出されるときに、大きな音が発生するので、この騒音を抑制ないしは低減する努力が、鋭意、なされている。
【0003】
その努力の一例が、特許文献1たる実公平6−27789号公報に開示されている。すなわち、この公報で開示された技術は、排気された圧縮空気を、ケース内に装填された消音部材たる網目状部材を通過させ、この通過の際に圧縮空気をして網目状部材内で膨張させ、もって消音させんとするものである。
【0004】
また、特許文献2たる特許第3037617号公報には、別のタイプの消音器が開示されている。すなわち、この公報にて開示された微細な径の連続気孔を有する消音材を用いた消音器が開示されている。この消音器はケース内に装填されており、ケース内に導入された空気は、ケースの消音材と圧縮された消音部材を通過して、大気へ放出されるようになっている。しかして、圧縮空気が消音材と、圧縮された消音部材を通過する際に、拡散、膨張、干渉することによって、消音効果を得ることができるようになっており、更には、消音材を形成している粉末焼結体自身に依っても吸音効果を得ることができるとされている。
【0005】
【特許文献1】実公平6−27789号公報
【0006】
【特許文献2】特許第3037617号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した2つの従来技術は、消音材内部の空気の流路断面積を比較的急激に変化させて、空気の拡散、膨張、干渉を大きくすることに依って、より高い消音効果を得ようとするものであるので、消音材内部での流路断面積の拡大・縮小によって圧力損失が増大することは避けることができない。この圧力損失を補って空圧機器を適正に運転するためには、空気圧縮機の供給圧力をその分高くする必要があり、消費電力の増大をもたらす。また消音材の圧力損失を小さくしようとすると、消音材が大きくなってしまうという問題があった。また多種多様の空圧機器では、回転機器や往復動機器の違い、および放出開口部の形状の相違などにより、様々な周波数帯の空気放出音が発生するが、従来技術では、消音器の大きさを変えることなく様々な周波数帯の空気放出音を効果的に低減させることは困難であるなどの問題があった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、圧力損失が小さく空気源の消費電力を低減することができ、かつ小形でありながら大きな消音効果を有し、さらに機器によって異なる様々な周波数帯の空気放出音を容易に低減できる消音器を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段は、「圧縮空気が通過する内部通路に、丸線で織られた金網を複数枚、前記空気の流れに対面して積層配置したことを特徴とする消音器」を構成したことである。
【0010】
請求項1の消音器においては、請求項2に示すように、「複数の前記金網は全て同一で、その粗さは、50〜635MESHである」ようにするのが望ましい。
【0011】
請求項1の消音器においては、請求項3に示すように、「複数の前記金網は、全て同一ではなく、粗さが50〜635MESHのものから適宜選択される」ようにするのが望ましい。
【0012】
請求項1の消音器においては、請求項4に示すように、「前記金網は、比熱が大きな金属、例えば銅合金やステンレス鋼で作製される」ようにするのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面にもとづいて、本発明の実施形態例について、説明する。
【0014】
消音器1は、ケース3を備える。ケース3は段付構造となっており、ケース3の左側には、外周にネジ部が形成された突起部3aが一体形成されている。突起部3aの内部には、インレットポート6が形成されている。
【0015】
ケース3の右側の外周にはネジ部4が形成されており、このネジ部4は、軸方向穴5aが多数規則的に穿設された蓋5の内周部が螺着されている。ケース3と蓋5との間に画成された内部空間には、丸線の金網2が複数枚、積層される態様で、装填されている。丸線の金網2は、断面が略真円の、比熱が大きい銅合金の線材2b(図3)をメッシュ状に織り合わせて、200MESH(つまり、25.4ミリメータ=1インチ間にある目の数が200)となるように形成したものである。
【0016】
積層された丸線の金網2とケース3の段部との間にはスペーサ7が挟着されており、このスペーサ7の軸方向の厚さを調整することにより、丸線の金網2の積層枚数を増減できるようになっている。
【0017】
圧縮空気がインレットポート6に供給されたあと、矢印8にて示されるように、積層された丸線の金網2を通過して、軸方向穴5aから、大気に放出されるが、音の元である粗密波を持った空気が丸線の金網2を通過する際に、金網2は微振動を誘起させられ、織られた金網2の丸線は縦線と横線との間で相互に微少な摩擦運動を繰り返すことによって、微少発熱を起こす。しかして、音圧レベルが120dBの場合でも、音の強さは1W/m2しかなく、また通過していく空気によって強制冷却されるので異常過熱は起こらない。すなわち丸線の金網2によって、気体の波エネルギを効率的に熱エネルギに変換させることによって大きな消音効果がもたらされる。
【0018】
音の元である粗密波を持った空気が丸線の金網2を通過する際の様子は、図3に示されるような態様であるが、空気が矢印8のように、丸線の表面に沿って滑らかに次々と通過していくため空気の流れが剥離現象を起こすことなく、円滑な流れとなるため圧力損失を小さくすることができる。
【0019】
積層された丸線の金網2の材質を、銅合金の代えて、同じく比熱が大きいステンレス鋼を採用しても良い。しかして、比熱が比較的大きく耐食性を有する銅合金の金網やステンレス鋼の金網は、蓄冷効果も比較的大きい。従って流路内や消音容器内で圧縮空気が断熱膨張によって低温になった場合、その冷熱は通過していく金網に蓄えられる。金網が冷えるとそこを更に通過していく空気は、より冷却され通過空気の密度はさらに高くなる。密度の高い空気は、狭い流路でも通過し易くなるので、同じ流量を流す場合においては、圧力損失がより低減できる。また銅合金やステンレス鋼の極細目の金網は、鉄系やアルミ合金の金網より市場性があり、容易に入手することができると共にコスト的にな面での利点がある。
【0020】
上記した積層された丸線の金網2による消音効果を実証するために、実験を行った。実験は、図2に示す装置を用いて、銅合金の丸線の金網の枚数を0〜80まで変化させたときの、空気の流量、音の強さ及び音圧レベルの変化を測定したものである。
【0021】
図2に示す実験装置は、管31を備える。管31は段付構造となっており、左側には、外周にネジ部が形成された突起部31aの内部には、インレットポート6が形成されている。管31の右側の外周にはネジ部41が形成されており、このネジ部41は、開口51aが形成された管51の内周部が螺着されている。しかして、この螺着の際に、管51の先端部と管31の右端部との間に、0〜80枚の200MESHの丸線の銅合金製金網2が挟着されるようになっている。管31と管5とは、金網2が介装された流路を画成し、空気が矢印8のように流れる。管51は、内径φ16.1mmのSGP管1/2B管(JIS−G−3452で規定)を採用した。
【0022】
騒音測定(音の強さ及び音圧レベル)は、JIS−Z−8731で規定される方式に依拠して、インレットポート6へ0.45MPaの圧縮空気を供給したとき、管51の開口51aから1メートルは離れた個所で行った。
【0023】
この実験結果は、図4の図表にて示される。図表において、横軸は金網の枚数を示し、供給空気の設定圧力が0.45MPa時の空気の流量と音圧レベル(距離1m)を縦軸に示している。金網を装着しない場合、流量は毎分1130リットルで音圧レベルは101.6dB(A)であったが、順次金網の枚数を増やしていくと、金網の枚数が80枚で厚さは約8mmとなり、この時の流量は毎分1000リットルだが、音圧レベルは74.6dB(A)まで低減した。流量は11.5%低下したが、音の強さ〔W/m2〕では1/503に低減できた。ここで分かることは、金網の枚数を任意に変化させることによって、必要な流量と必要な音圧レベルを自由に選択することが可能であるということである。
【0024】
上記した消音効果を理論的に解析すると、次のようになる
音の持つエネルギは、一般的には音の強さ〔W/m2〕又は音圧レベル〔dB〕で表される。音の強さと音圧レベルとの関係は、次式の通り定義されている。
【0025】
L=10・log(I/I0)
ここで、 L:音圧レベル〔dB〕
I:音の強さ〔W/m2〕
I0:音の強さの基準値〔W/m2〕=10−12〔W/m2〕
また、音の強さと音のエネルギ密度との関係は、次式の通りである。
【0026】
E=I/c
ここで、 E:音のエネルギ密度〔W/m3〕
I:音の強さ〔W/m2〕
c:1秒間に音波が伝播する距離〔m〕とする。
【0027】
これらの式が示す通り、音源から発せられた音のエネルギは、ある地点では、ある音の強さを有している。該音の強さは単位面積あたりのワット数で示すことができ、100dBでは0.01W/m2、また120dBでは1W/m2となる。なお空圧機器における音の実態は空気の粗密波(縦波)によるものであり、一定のエネルギを有している。
【0028】
この空気の粗密波が金網を通過する際、金網は微振動を誘起させられ、織られた金網の丸線は縦線と横線との間で相互に微少な摩擦運動を繰り返すことによって、微少発熱を起こす。すなわちエネルギ保存の法則でも明らかのように、ここでは空気の音波のエネルギが、金網を介して熱エネルギに変換したのである。ただし微少発熱した金網は、通過する空気によって強制冷却されるので異常過熱することはない。
【0029】
また、金網の材料として丸線を用いることにより、空気の流れが剥離現象を起こすことなく、円滑に金網内を次々に通過することができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0030】
図5に、別の実施形態に係る消音器を示す。
【0031】
図5に示す消音器は、図1示す消音器とは、基本的なコンセプトは同じであるが、消音部材2を、金網の網目の種類を複数選択してひとつのケース3内に配設したものを示している。すなわち、一般的に可聴音とされている音の周波数は、20Hzから20000Hzであるが、ひとつの空圧機器において広域の様々な周波数帯の空気放出音が発生する場合、低い周波数に対しては50MESHか、又はそれに近い粗い目の金網を設置し、また高い周波数に対しては635MESHか、又はそれに近い細かい目の金網を設置する。なお消音器の入口に近い方から粗い目の金網を設置し、開口部に向かって順次細かい目の金網を設置していくことにより、少ない金網数量で大きな消音効果を得ることができると共に、圧力損失も最低限に小さく抑制できる。
【0032】
これは空気を金網に強制通過させていく場合における金網の共振現象の特性として、金網の開口目が粗くなるほど低い周波数で金網の丸線は微振動し易くなり、また金網の開口目が細かくなるほど高い周波数で金網の丸線は微振動し易くなるからである。
【0033】
ひとつの空圧機器において、特定の周波数を多く発生している場合は、その周波数に最適な網目の大きさの金網を他の種類よりも多く入れることによって、さらに少ない金網数量で大きな消音効果を得ることができると共に、圧力損失も最低限に小さく抑制できる。
【0034】
尚、金網としては、50〜635MESHのものが、実用上、最適と考えられる。その理由は、50MESHの金網は線径も大きく共振周波数が低く低周波の騒音低減に有効であり、また、635MESHの金網は、製作限界の金網であって、線径が20マイクロメータとなり小さく、共振周波数が高く高周波の騒音低減に有効である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、音の波エネルギを微少な熱エネルギに変換するので効果的に圧縮空気の大気放出騒音を低減することができる。また金網に丸線を用いることにより空気の剥離騒音が発生し難く、且つ圧力損失を低く抑制できるので空気圧縮機の電力を低減することができる。さらに金網の複数種類の網目サイズを周波数に合わせて任意に配設することにより、より少ない枚数で同様の消音効果を得ることができるので圧力損失も最低限に抑制でき、空気圧縮機の電力を低減することができる。また空気の断熱膨張で得られた冷熱を比熱の高い金網に蓄冷できるので通過していく空気の密度を高くすることが可能となり圧力損失もさらに最低限に抑制でき、空気圧縮機の電力を低減することができるなど、小形で、圧力損失が少なく、消費電力の低減と、消音効果が高く、作業環境の改善と、地域環境の改善が可能となる消音器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】:本発明の実施例の消音器を示す断面図
【図2】:本発明の消音器の特性を把握するための実験装置の概要断面図
【図3】:図1に示す消音器における、消音部材を通過する空気の流れを示す概念図
【図4】:本発明の消音器の特性を把握するための実験装置による実験結果を示す図表
【図5】:本発明の別の実施例の消音器を示す断面図
【符号の説明】
1…消音器
2…丸線の金網
3…ケース
5…蓋
5a…開口部
Claims (4)
- 圧縮空気が通過する内部通路に、丸線で織られた金網を複数枚、前記空気の流れに対面して積層配置したことを特徴とする消音器。
- 複数の前記金網は全て同一で、その粗さは、50〜635MESHであることを特徴とする、請求項1記載の消音器。
- 複数の前記金網は、全て同一ではなく、粗さが50〜635MESHのものから適宜選択されることを特徴とする、請求項1記載の消音器。
- 前記金網は、比熱が大きな金属、例えば銅合金やステンレス鋼で作製されることを特徴とする、請求項1記載の消音器。
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JP2011125673A (ja) * | 2009-11-02 | 2011-06-30 | Koatsu Co Ltd | ガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド |
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2003
- 2003-06-11 JP JP2003166735A patent/JP2005002873A/ja active Pending
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