JP2004537999A - 前立腺様の腺を得るための細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、前立腺様の腺の形成方法;該方法に由来する腺;該腺に由来する細胞または細胞株;前立腺ガン細胞の増殖および/または転移を阻害可能な物質を同定する方法;該方法により同定される物質;および前立腺細胞の分化または前立腺ガン細胞の新規マーカーを同定する方法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、前立腺の形成方法;該方法に由来する腺;該腺に由来する細胞または細胞株;前立腺ガン細胞の増殖および/または転移を阻害可能な物質を同定する方法;該方法により同定される物質;および前立腺細胞の分化または前立腺ガン細胞の新規マーカーを同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺ガンは、ヒトにおけるガンに関連した死の第1の原因である。前立腺は、膀胱の直下の下方の骨盤中に位置される男性腺であり、前立腺は尿道を取り囲み、精液の液体成分を産生し、尿の流れを制御するのを助ける。前立腺肥大は、加齢と共によく起こることであり、悪性ではない症状である。該症状は、精液または尿中の血、下方の背中、尻または上方の腿における頻発する痛みまたはこわばりを包含する。前立腺ガンは、結果的に腫瘍の形成をもたらす制御されない細胞増殖の疾病である。該腫瘍は、第1のもの(すなわち、起源の器官中に位置される)であることもあり、または第2のもの(すなわち、循環系を経由して移動し他の組織に侵襲するガン細胞の能力により、他の器官中で形成する腫瘍)であることもある。
【0003】
前立腺ガンは、相対的に無害であり得、または非常に攻撃的であり得る。幾つかの前立腺腫瘍は、ゆっくり成長して行き、殆ど臨床的な症状を引き起こさない。攻撃的な前立腺腫瘍は、リンパ節および他の器官、特に骨へ急速に拡がる。前立腺ガンの成長は、テストステロンのような男性ホルモンの供給をブロックすることにより阻害され得ることが知られている。しかしながら、前立腺ガンは結局進展し、男性ホルモンに依存しなくなる(すなわち、アンドロゲン−非依存性前立腺ガン細胞になる)。これらの細胞は、攻撃的で悪性の前立腺ガンと関連している。
【0004】
全ての雄の哺乳類は前立腺を持っているが、ヒトおよびイヌだけが、自然に前立腺ガンを進展させることが知られている。
【0005】
前立腺細胞の生物学の研究に関しての有用なモデルであるとされる数多くのモデル系がある。米国特許第5,874,305号は、1層に成長する前立腺細胞株を記載している。該細胞株は、アンドロゲン−非依存性(男性ホルモンの添加に対して感受性でない)前立腺ガン細胞株である。これらの細胞は当業界において知られており、攻撃的な腫瘍形成能力と相関している。該細胞株は1層に成長し、これ故に前立腺腫瘍の進展の基準となる代表ではない。前立腺ガン細胞がアンドロゲン非依存性になり、治療に対してより抵抗性になる前に前立腺ガン細胞を標的とすることが、出来れば望まれる。
【0006】
40歳を超えた男性では、良性の前立腺肥大およびの前立腺ガンの両方が益々罹患率が高くなって来ているので(Boyle(1994年))、前立腺は主要な医療問題を代表する。上皮および間質の両方が、これらの疾病の進展において役割を演じており、これ故にこれらのタイプの細胞の相互作用を研究するための良いモデルが、非常に重要である。例えば、米国特許第5,917,124号および米国特許第5,907,078号が、前立腺ガンの遺伝子導入マウスモデルを開示している。各特許は、遺伝子導入マウスにおけるSV40T抗原の発現を司る前立腺特異的プロモーターの使用を開示している。前立腺細胞は形質転換されて、前立腺ガンの攻撃的形態を反映するようになる。全ての腫瘍がウィルスで誘導されるわけではないので、これらの遺伝子導入動物は、必ずしも前立腺腫瘍の進展を反映しない。また、アンドロゲン−抑制前立腺腫瘍細胞の研究に関して、この遺伝子導入モデルは、遅い段階の前立腺ガンの攻撃的前立腺腫瘍を反映するのみである。
【0007】
動物モデルは、前立腺の成長および分化を研究するために存在するが(Timms, Lee, Aumueller, および Seitz(1995年))、間質および上皮培養を上手く用いて前立腺の形態および機能分化を作り出す、ヒトの3次元モデルはない。このようなモデルは、前立腺の正常な生理学を理解し、疾病の進展をより良く理解するのに不可欠である。
【0008】
前立腺において、ラット上皮培養物が、コラーゲンゲル(Ma, Fujiyama, Masaki および Sugihara(1997年))および Matrigel(商標)(Freeman, Bagli, Lamb ら(1994年))中で成長されている。コラーゲン中では、これらは前立腺特異的抗原を分泌する腺様構造を形成し、一方 Matrigel 中では、正常な形態および機能分化を示さない球状細胞塊が産生された。Matrigel 中で培養された正常なヒト前立腺上皮細胞株は、内分泌およびPSA(前立腺特異的抗原)分泌を示す腺様構造を示したが(Webber, Bello, Kleinman および Hoffman(1997年))、しかしながら初代培養は、僅かな機能分化しか示さない固体の細胞塊を形成した(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
In vivo において見出される前立腺に非常によく似ている前立腺様の腺を前立腺上皮細胞が形成するようになされる培養レジメを提供する in vitro での細胞培養方法を、我々は開発した。我々の方法は、血清、ホルモンおよび適切な細胞基質支持材の組み合わせに依っており、これは該上皮細胞が付着し、増殖し、分化して前立腺様の腺を形成するようにさせる。この系は、クローニングされた前立腺ガン細胞、初代前立腺上皮細胞と同様にクローニングされた正常な前立腺上皮細胞の成長を支持することが出来、P4、E6および初代前立腺ガン細胞のような細胞の寿命を延長し、in vivo での状態を反映する3D構造を提供する。該系は、前立腺細胞の分化および前立腺細胞の形質転換の研究には無価値である。前立腺ガン細胞の増殖および転移を阻害するのに有効であり、前立腺細胞の分化および形質転換の新規マーカーを同定するにも有効である物質の同定における使用のためのツールを、それは提供するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前立腺細胞が付着し増殖する細胞支持基材、ならびに血清、間質細胞抽出物およびホルモンを組み合わせる培養条件を組み合わせる細胞培養方法に関し、該組み合わせは、in vivo の腺と同様の特徴を有する前立腺様の腺の形成を促進する。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、前立腺様の腺の形成のための in vitro での方法が提供され、これは:
i)細胞培養器を提供し、これは:
a)前立腺由来細胞;
b)(a)における該細胞が付着して増殖出来る細胞培養支持基材;
c)血清、間質分画、および適切な比のホルモン(エストロゲンおよびジヒドロテストステロン、またはこれらの機能誘導体)を補った細胞培養培地;
を含み、
ii)該細胞培養器中での該前立腺由来細胞の成長および分化を促進する条件を提供すること
を含む。
【0012】
「細胞培養器」は、前記細胞培養を含有するに適した如何なる手段としても定義される。典型的には、このような細胞培養器の例は、ペトリ皿;細胞培養瓶またはフラスコ;多穴培養皿である。
【0013】
本発明の更に好ましい方法では、この補われた細胞培養液は、該前立腺由来細胞が加えられる血清、間質分画、ホルモンおよび細胞培養培地の混合物を含む。あるいは、または好ましくは、該間質分画は別個の細胞培養器中で提供されるが、この補われた細胞培養液の他の成分とは、この液体中で接触する。典型的には、この別個の細胞培養器は、該間質分画中に含有される該細胞が増殖するようにするが、該細胞培養器中に含有される該前立腺由来細胞との接触を阻害する、挿入物または同様の手段である。
【0014】
腺形成を最大化するには成分の組み合わせが要求されることを、我々は観察した。間質の存在下に、形成される球状細胞塊の数はおよそ2倍になり、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンの添加と共に更に増加した。加えて、共培養中の間質の提示は、挿入物中の間質を、細胞培養支持材(例えば Matrigel)中の上皮と直接混合されたもの、または予め固められたゲルの上に加えられたものと比較することにより試された。挿入物中で共培養された間質が球状細胞塊の最大の形成を作り出すことを、我々の結果は指し示した。
【0015】
本発明の好ましい方法では、該前立腺細胞は上皮細胞であり、好ましくはヒト上皮細胞である。好ましくは、該上皮細胞は前立腺由来であり、これは少なくとも7日間移植片として維持された。
【0016】
単離されたばかりのものよりもむしろ7日間の移植からの上皮細胞の使用の方が、より大きな腺形成効率に至り、引き続いて作り出される腺はより長い期間培養中で維持されることを、我々は観察した。
【0017】
本発明の好ましい方法では、該前立腺由来細胞は正常であり(すなわち、ガン性ではない)、好ましくは上皮細胞である。正常な前立腺上皮細胞は数多くの特徴を呈し、例えば該細胞は分化され、低い運動性を持ち、および非侵襲性である。分化した前立腺上皮細胞は、数多くの特徴的な細胞マーカー、例えばCK8、PSA、PSMA、Eカドヘリンを発現する。
【0018】
本発明の更に好ましい方法では、該上皮細胞は初代前立腺上皮細胞である。
【0019】
1層である細胞株を使用する本方法は、1人の患者から単離された細胞株を典型的には使用する。このことは、該細胞株から産み出される如何なる結果も、男性の集団の代表的なものではなく、前立腺ガン自体のクローンの性質でもないことを意味する。ガンの処置は、個人の遺伝子プロファイルに対してテイラーメイドされなくてはならないであろうということが、現在では信じられている。これ故に、細胞株モデルは、臨床診断に関して要求される多くの疑問に答え、ガン患者にとっての適切な処置レジメを工夫することにおいて、使用を限定してしまうであろう。初代培養は、前立腺上皮細胞の不均一な混合物を提供し、多くの患者に由来され、これ故に細胞および患者の集団の代表であるモデルを提供するが、しかしながら各初代培養細胞株は、各患者に特異的である。
【0020】
本発明の更に好ましい方法では、該前立腺上皮細胞はガン性である。
【0021】
前立腺上皮ガン細胞は、アンカー非依存的な成長、侵襲および転移性の表現型により特徴付けられる。幾つかの上皮ガン細胞は、正常上皮細胞の典型細胞マーカーの発現を欠いて反映される未分化状態によっても特徴付けられる。ガン細胞は、数多くの独自のガン特異的抗原、いわゆる腫瘍拒絶抗原も発現させる。
【0022】
本発明の更に好ましい方法では、組み換え技術により遺伝子工学的に操作されることを特徴とする前立腺上皮細胞が提供される。
【0023】
例えば、そしてこれにより限定するものではないが、プロドラッグ活性化遺伝子が前立腺細胞中へトランスフェクション(形質移入)され、細胞毒性物質としてのプロドラッグの効率をモニターしてもよい。プロドラッグ活性化遺伝子は、その発現が非治療用化合物を治療用化合物へと変換可能なタンパク質の産生を結果的にもたらす遺伝子に関し、該治療用化合物は該細胞を外部因子による殺傷に対して敏感にし、または該細胞中の毒性条件を惹起する。プロドラッグ活性化遺伝子の例は、シトシン脱アミノ化酵素遺伝子である。シトシン脱アミノ化酵素は、5−フルオロシトシンを、潜在的な抗腫瘍剤である5−フルオロウラシルへと変換する。該腫瘍細胞の溶解は、該腫瘍の局在化された点にて、5FC(5−フルオロシトシン)を5FU(5−フルオロウラシル)へと変換可能なシトシン脱アミノ化酵素の局在化された炸裂を提供し、結果的に多くの周辺の腫瘍細胞の殺傷をもたらす。このことは、これらの細胞をベクターで感染させる必要性なしに、数多くの腫瘍細胞の殺傷をもたらす(いわゆる「傍観者効果」)。プロドラッグ活性化遺伝子のもう1つ別の例は、チミジンキナーゼ(TK)(米国特許第5,631,236号および米国特許第5,601,818号参照)であり、ここでこのTK遺伝子産物を発現する細胞は、gancyclovir の投与による選択的殺傷に対して敏感である。このことは単に、本発明による該細胞と組み合わせて使用され得る組み換え方法の例示であると意図されるだけである。他の例は、腫瘍抑制遺伝子(例えばp53)のトランスフェクションを包含してもよい。この用語「腫瘍抑制遺伝子」はヌクレオチド配列に関し標的細胞におけるその発現は、ガンの表現型を抑制し、および/またはアポトーシスを誘導することが可能である。
【0024】
遺伝子工学的な操作をされた前立腺上皮細胞は、正常初代細胞、ガン性初代細胞、クローニングされた正常細胞、またはクローニングされたガン性細胞であってもよい。
【0025】
本発明の更に好ましい実施形態では、該前立腺上皮細胞は、発ガン遺伝子、好ましくはウィルス性発ガン遺伝子(例えば、HPV E6またはE7発ガン遺伝子、SV40T抗原)で形質転換される。
【0026】
核酸を細胞中へ導入する方法は、当業界においてよく知られ、化学試薬、陽イオン性脂質、または物理的方法の使用を典型的に含む。細胞によるDNAの取り込みを容易にする化学的方法は、DEAE−デキストラン(Vaheri および Pagano, Science 175: p434)の使用を包含する。DEAE−デキストランは、マイナスに荷電された陽イオンであり、これは会合してDNAを細胞中へ導入するが、結果的に細胞の生存力の喪失をもたらし得る。リン酸カルシウムも、汎用される化学物質であり、これはDNAと共に沈殿された場合に、該DNAを細胞中へ導入する(Graham et al Virology (1973) 52: p456)。
【0027】
前記の化学的方法により示された程度の毒性を持たないので、陽イオン性脂質の使用(例えばリポソーム、Felgner (1987) Proc. Natl. Acad. Sci USA, 84: p7413 参照)は汎用の方法となっている。該脂質の陽イオン性の頭部は、導入されるべきDNAのマイナスに荷電された核酸骨格と会合する。この脂質/DNA複合体は細胞膜と会合し、該細胞と融合して、この会合されたDNAを該細胞中へ導入する。リポソーム媒介のDNAの移動は、既存の方法を凌駕する幾つかの利点を持つ。例えば、伝統的な化学的方法に抵抗性である細胞は、リポソーム媒介の移動を使用して、より容易にトランスフェクションされる。
【0028】
更により最近では、DNAを導入する物理的方法が、再現性よく細胞をトランスフェクションするに有効な手段となっている。直接の微注入は、細胞の核へ直接DNAを送達することが出来るこのような1つの方法である(Capecchi (1980) Cell, 22: p479)。これは、単一細胞トランスフェクションの分析を可能にする。電気穿孔法は、DNAをトランスフェクションする恐らく最も汎用の方法である。該方法は、高電圧の電荷の使用を含み、細胞膜を瞬間的に透過性にし、該細胞膜を巨大分子複合体に対して透過性にする。しかしながら、DNAを導入する物理的方法は、細胞内の損傷により、結果的に細胞の生存力の重篤な喪失をもたらす。これらの方法はこれ故に、更なる最適化を要求し、高価な装置も要求する。
【0029】
更により最近では、免疫穿孔法と名付けられた方法が、核酸の細胞中への導入に関して認められた技術となっている(Bildirici et al, Nature 405, 769 参照)。該技術は、特異的受容体に対しての抗体でコーティングされたビーズの使用を含む。このトランスフェクション用混合物は、核酸(典型的にはベクターDNA)、抗体でコーティングされたビーズ、および特異的な細胞表面受容体を発現している細胞を包含する。このコーティングされたビーズは該細胞表面受容体に結合し、剪断力が該細胞に適用されると、該ビーズは該細胞表面から引き剥がされる。ビーズ除去の間に、一過性の孔が作り出され、これを通じて、核酸および/または他の生物学的分子が入り得る。40〜50%のトランスフェクション効率が、使用される核酸に依っては達成可能である。
【0030】
本発明の更に好ましい方法では、該細胞の培養支持体は、コラーゲン主体である。
【0031】
なお更に好ましい実施形態では、血清が約0.5%〜4%(v/v)にて提供される。好ましくは、該血清は、1%〜3%(v/v)にて提供される。最も好ましくは、該血清は、約2%(v/v)にて提供される。
【0032】
本発明の更に好ましい方法では、エストロゲンが約10ng/mLにて提供され、ジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、コラーゲン主体の細胞支持体;間質、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンを含む細胞培養組成物が提供される。
【0034】
本発明の更に好ましい実施形態では、エストロゲンが約10ng/mLにて提供され、ジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される。
【0035】
本発明の更なる態様によれば、本発明による方法により形成された前立腺様の腺が提供される。
【0036】
本発明のなお更なる態様によれば、組み換え技術により遺伝子的に修飾された前立腺様の腺が提供される。
【0037】
本発明のなお更なる態様によれば、本発明による方法により形成された前立腺由来の細胞または細胞株が提供される。該細胞または細胞株は、遺伝子工学的な操作をされてもよい。
【0038】
本発明の更なる態様によれば、前立腺ガン細胞の増殖を阻害可能な物質を同定する方法が提供され、該方法は:
i)本発明による培養条件および少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞に関する、該物質の抗増殖活性をモニターすること
を含む。
【0039】
本発明のなお更なる態様によれば、前立腺ガン細胞の転移を阻害可能な物質を同定する方法が提供され、該方法は:
i)本発明による培養条件および少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞の転移をモニターすること
を含む。
【0040】
本発明のなお更なる態様によれば、本発明による方法により同定される物質が提供される。
【0041】
本発明の更なる態様によれば、前立腺細胞の分化マーカーを同定する方法が提供される。
【0042】
本発明の更なる態様によれば、前立腺細胞の形質転換マーカーを同定する方法が提供される。
【0043】
細胞分化マーカーおよび/または前立腺細胞の形質転換マーカーの同定において使用される方法は、免疫原を主体とした技術(例えば、細胞表面マーカーおよび類似のものに対して抗血清を結合させる複合免疫原として、該細胞を使用する)、核酸を主体とした技術(例えば、正常な腺および形質転換された腺からのcDNAを使用する、分化に関するスクリーニング)を包含する。
【0044】
また、長年の間、腫瘍細胞は数多くの腫瘍細胞特異的抗原を産生し、これらの内の幾つかは該腫瘍細胞表面に提示されることが知られてきた。これらは一般に腫瘍拒絶抗原として言及され、腫瘍拒絶抗原前駆体として言及されるより大きなポリペプチドに由来する。腫瘍拒絶抗原は、HLAを介して免疫系に提示される。免疫系は、これらの分子を異物として認識し、自然に選択し、これらの抗原を発現している細胞を破壊する。形質転換された細胞が検出を逃れて樹立された場合、腫瘍が進展する。優れた腫瘍拒絶抗原を主体としたワクチンが開発され、腫瘍の樹立に対しての前もっての防御を個人に提供している。本発明による方法は、腫瘍拒絶抗原および前駆体を同定する手段を提供し、これは、この患者自身の免疫系が前立腺腫瘍のこの樹立を妨げるように促すワクチン開発に関する利用を保有するであろう。
【0045】
本発明のなお更なる態様によれば、正常前立腺細胞からの前立腺ガン細胞の発達を分析する in vitro の方法が提供され、該方法は、本発明の方法により形成された腺を、前立腺細胞の形質転換を誘導可能な少なくとも1つの物質に曝すことを含む。
【0046】
本発明の好ましい方法では、該正常前立腺細胞は、発ガン遺伝子、好ましくはウィルス性発ガン遺伝子で形質転換される。
【0047】
ガン細胞の特徴の多くを有する形質転換細胞へと正常細胞を形質転換可能な物質があることは、当業界でよく知られている。これらは、例示するだけであるが、ウィルス、DNAと相互作用する物質、発ガン遺伝子、テロメラーゼ遺伝子を包含する。本願に記載の実施形態は、レトロウィルス(両栄養性)を使用するE6遺伝子の導入である。
【0048】
本発明の更なる態様によれば、形質転換された前立腺由来細胞が提供され、ここで該形質転換は、レトロウィルスベクターを含む核酸分子により仲介され、これはウィルス性発ガン遺伝子をコード化する核酸分子を包含する。
【0049】
好ましくは、この形質転換された前立腺由来細胞は、前立腺上皮細胞である。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、該レトロウィルスベクターは、両栄養性レトロウィルスである。
【0051】
本発明の更に好ましい実施形態では、該発ガン遺伝子は、ヒトパピローマウィルス発ガン遺伝子、好ましくはE6またはE7発ガン遺伝子である。好ましくは、該ヒトパピローマウィルスはHPV16であり、該発ガン遺伝子はE6である。
【0052】
本発明の更なる態様によれば、ヒトパピローマウィルス発ガン遺伝子を包含するレトロウィルスベクターが提供される。好ましくは、該発ガン遺伝子はE6またはE7発ガン遺伝子である。
【0053】
本発明の更なる態様によれば、前立腺由来細胞を形質転換する方法が提供され、該方法は:
i)前立腺由来細胞を含む細胞試料を提供し;
ii)本発明によるベクターを提供し;
iii)(i)および(ii)の調製物を形成し;
iv)該前立腺由来細胞が形質転換される形質転換条件を提供する
段階を含む。
【0054】
本発明の好ましい方法では、該前立腺由来細胞は、前立腺上皮細胞である。
【0055】
本発明の実施形態は、以下の図面に言及しながら例示のみにより今から記載される。
【0056】
[材料および方法]
他に述べられていなければ、一般的な化学物質は Sigma(シグマ)(Poole, UK)から購入され、組織培養培地は Life Technologies(Paisley, UK)から、組織培養プラスチックは Corning Costar Ltd.(High Wycombe, UK)から購入された。述べられていなければ、抗体は Dako(High Wycombe, UK)から購入された。
【0057】
[細胞株培養]
STO細胞(マウス胚線維芽細胞)が、European Collection of Animal Cell Cultures(Porton Down, UK)から得られ、10%牛胎児血清(PAA Laboratories, GmbH, Linz, Austria)および2mMグルタミン(Life Technologies)を補ったDMEM培養培地(Life Technologies, Paisley, UK)中で通常通り培養された。細胞は、37℃および5%CO2での湿度を与えられた雰囲気中、抗生物質なしに通常通りに培養された。
【0058】
[前立腺組織採集]
非悪性組織が、良性の前立腺肥大に対しての経尿道的切除、または膀胱ガンに対しての膀胱前立腺切除を受けている同意患者から得られた。7つの試料が上皮培養のために採集され(年齢幅54〜86歳)、5つの試料が間質培養のために採集され(年齢幅57〜89歳)、表1にまとめられた。
【0059】
[前立腺初代培養細胞]
上皮および間質培養物が調製され(Lang, Clarke, George, Allen および Testa(1998年))、前記のように特徴付けられ(Lang, Stower および Maitland(2000年))、これらの方法は Chaproniere McKeehan によるもの(45)に基づいたものであった。簡潔には、前立腺組織はコラゲナーゼおよびトリプシンにより消化され、分画遠心分離が使用されて、上皮および間質画分に関して豊富にした。この豊富にされた間質画分は間質細胞成長培地(10%FCSおよび1%抗生物質/抗真菌物質溶液を補ったRPMI1640培地)中に再懸濁され、通常通り75mL組織培養フラスコ中で培養された。間質培養が、2〜5代の間で使用された。該上皮画分が、5ng/mLの上皮成長因子、50μg/mLの牛下垂体抽出物、および1%抗生物質/抗真菌物質溶液を補ったケラチノサイト無血清培地(KSFMとして引き続き言及される培地)中に再懸濁され、細胞篩(40μm)を通過されて、単一種類の細胞を得た。単一種類の細胞は、更なる実験に直ちに使用され、保管のために凍結され、または25mLフラスコ中へ播種され、8mLのKSFM中、1週間成長された。
【0060】
間質により条件を整えられた培地は、15mLの無血清培地(10μg/mLのインシュリン、5μg/mLのトランスフェリン、および1ng/mLのセレンを補ったDMEM/F12)中で48時間培養物をインキュベートすることにより、間質細胞の融合培養物から採集された。条件を整えられた培地は除去され、濾過され(0.2μm孔)、必要とされるまで−20℃にて凍結された。
【0061】
[細胞培養およびウィルス]
PA317マウスのパッケージされた細胞株(ATCC CRL−9078)が、American Tissue Culture Collection から得られた。レトロウィルストランスファーベクターpLNCXおよびpLXSNは、Clontech により上市されている RetroX キットの一部として得られ得る。
【0062】
[レトロウィルス導入に関しての初代前立腺上皮培養の設定]
この方法は、前立腺上皮のために最適化されたが、組織解離の如何なる方法も用いられ得る。両栄養性レトロウィルスの手順についての臨床的な段階は、該ウィルスのライフサイクルがG0細胞中で完結されないので(この場合であれば、レンチウィルスベクターが置換され得る)、分割細胞培養を得ることである。
【0063】
[培養用の生検の調製]
組織は、無菌ペトリ皿中で機械的に解離され(チョップされ)、1mLの輸送培地(RPMI1640、3%(v/v)馬血清、50μgmL−1のゲンタマイシン(シグマ)、2.5μgmL−1の Fungizone)中で、直径1mm2片を産生する。
【0064】
[体外移植培養中の生検材料の播種]
使い捨て可能なトランスファーピペットを使用して、この解離された生検は吸引されて0.2μmの脱気孔を有する蓋(Corning)を有する25cm2の組織培養フラスコへ移される。該初代培養用に選ばれる培地は、どこにでも記載されている(初代培養培地)。この解離された組織検体の大多数は、組織培養プラスチック上へ直接播種されるべきだが、ポリリジンおよびコラーゲンのような他の基質は、該体外移植片の接着を助けるのに使用され得る。
【0065】
[組み換え両栄養性レトロウィルスの維持および成長]
レトロウィルス用の産生者細胞株を生成させるには、該組み換えDNAトランスファーベクターが該パッケージ細胞株(PA317)中へトランスフェクションされなければならない。このことは、バクテリア中で操作された、その最も原始的な形態のレトロウィルスの原ウィルス形態を模倣しているトランスファープラスミドベクター、すなわち、ウィルスのLTR配列に隣接されている導入遺伝子をコードしている領域中への、不死化遺伝子の挿入を要求する。多くのこのようなトランスファーベクターが存在し、この例で使用される不死化遺伝子は、pLXSN(Genbank 寄託番号M28248)中に挿入される。このベクターも、SV40プロモーター制御ネオマイシン/G418耐性遺伝子を含有し、該産生者細胞の選択を行えるようにする。該不死化遺伝子(ヒトパピローマウィルスからのE6遺伝子)は、該LTR中のレトロウィルスのプロモーターの制御下にある。より優雅な(および究極的により安全な)代替法は、関連したpLNCXトランスファーベクター(Genbank 寄託番号M28247)を使用することであり、ここで該LTR中の該レトロウィルスプロモーターは不活性であり、該不死化遺伝子は、別個であるがより強いサイトメガロウィルス即時型プロモーターの制御下にある。両栄養性レトロウィルスの生成および操作用の完全なキットは、今市販されている(Clontech からの Retro-X)。
【0066】
[レトロウィルス性産生者細胞株]
マウス線維芽細胞株PA317は、組み換えレトロウィルスのための幾つかの有効な宿主の内の1つである。それは、HSV1TK遺伝子で3T3細胞中へ共にトランスフェクションされたトランスファーベクターpMAM3からの、gag、pol、およびenvオープンリーディングフレームを含有する。該gag、pol、およびenv遺伝子は本質的に発現され、pLXSNのようなレトロウィルス性末端LTR配列由来の適切なパッケージシグナルと共に、如何なる小さなRNA(<9kb)に関してもこの「パッケージ」機能を提供する。
1.該細胞株は、D10培地中に維持され、標準的な技術を使用して、4〜5日毎に1:10〜1:40で継代培養される。
2.反復凍結保管されたPA317が、40%DMEM、50%FCS、および10%DMSO中で調製され、液体窒素中で保管される。
【0067】
[組み換え両栄養性レトロウィルスの生成および保管]
PA317中への全てのトランスフェクションは、Dosper(登録商標)トランスフェクション(ロシュ)試薬を利用して行われる。
1.接着性細胞は、トランスフェクション前に48時間、そして再び、50〜80%の合流にてトランスフェクション前に24時間、1:2で継代される。
2.1μgのトランスファープラスミドDNAが、3.125μLの Dosper 試薬と混合され、無血清培地が約0.1mLまで加えられる。この反応は、15分間20℃にてインキュベートされる。
3.トランスフェクションの直前に、10容積の適切な完全培地がこのトランスフェクション混合物に加えられ、この完全な混合物は、穏やかに細胞上へとピペッティングされる。
4.トランスフェクションは5〜12時間37℃にて行われ、この後、該トランスフェクション混合物は新鮮完全培地で置き換えられる。
5.トランスフェクションされた細胞は、6〜16時間インキュベートされ、この後、該細胞は1回PBSで洗浄され、更なる24〜48時間、25cm2につき1mLのD10培地が加えられる。
6.一過的に産生されるレトロウィルスは、この成長培地を除去し、0.45μm円盤での濾過(Supor(登録商標)、Gelman Sciences)により除去される細胞を漂わせることにより採集される。
7.このレトロウィルス含有上清は、数ヶ月までの間4℃にて保管され得、または更なる修飾なしに−80℃にて凍結され得る。
【0068】
[ウィルスのストックの滴定]
1.HaCaT細胞((18)からのATCC番号)が、25〜30%の合流にて6ウェルを有する組織培養プレート中へ植え付けられ、12〜24時間完全に接着するようにしておかれる。
2.培地が、8μg/mLヘキサジメトリンブロミド(polybrene)を含有する0.7〜1mLの新鮮なDF10で置き換えられる。10μLの一連の希釈レトロウィルス上清(1:1、1:2、1:10、1:100、1:1000、1:10000)がこの調製されたHaCaT細胞に加えられ、37℃にて4〜12時間インキュベートされる。
3.この形質導入が完結された後、該レトロウィルス上清は除去され、該細胞は数回PBSで洗浄され、更に48時間、DF10完全培地中に維持される。
4.HaCaT細胞はその後、500μg/mLのG418(登録商標)(pLNCXまたはpLXSNシリーズ)を含有する選択培地でインキュベートされる。選択は、3〜4日毎に培地を代えながら10〜20日間行われた。
5.生成したコロニーの視覚化のために、該細胞は Giemsa の染色溶液(BDH)で染色されることが可能である。該培地が除去され、細胞は1回PBSで洗浄され、500μLの Giemsa の染色溶液が各ウェルに加えられる。細胞は10〜20分間インキュベートされ、過剰な染色溶液が tab の水で数回洗浄されて除去される。この染色固定された細胞は風乾され、コロニーが数えられる。
6.力価は以下のように計算され、1mLのウィルスについてのコロニー形成単位で表現される(cfu)((19)に従って)。
【0069】
【数1】
【0070】
[初代前立腺上皮の不死化]
実際の不死化の手順は、前記プロトコルの延長であり、前記組み換えウィルスのストックをアッセイするのに使用される。前立腺上皮細胞は、従来の沈殿またはリポソーム仲介の技術によりトランスフェクションすることがよく知られているように難しいが、レトロウィルスに関連した我々の経験は、該細胞が殆どの哺乳類の細胞株と同様の高い効率で容易に感染し得ることを指し示している。
【0071】
[ウィルスのストックでの初代前立腺上皮細胞の感染]
初代前立腺上皮細胞の感染のために、未希釈のウィルスのストックが使用される。
1.培地が、該前立腺細胞の外殖から引き離される。
2.25cm2のフラスコにつき8μgmL−1にて polybrene と共に1.5mLのウィルスを添加する前に、細胞がPBS中5分間×2回洗浄される。細胞は、37℃、5%CO2にて2時間、該ウィルスの存在下にインキュベートされる。
3.この後、この polybrene 含有培地は除去され、該細胞はPBSで5分間×2回洗浄される。これは新鮮なD10培地で置き換えられ、25μgmL−1におけるG418での選択前に、更に48時間、該細胞はインキュベートされる。
【0072】
[トランスフェクションされた細胞のリングクローニング]
薬剤による選択の10〜14日後に、別個のコロニーが観察され、これらは個々に12.5cm2フラスコ中へリングクローニングされ得るものである。
1.細胞はPBS−Ca2+/Mg2+中で3分間×2回洗浄され、該フラスコの蓋は無菌条件下に切り落とされる。
2.無菌ガラスリング(直径10mm)が、オートクレーブされたパラフィンゼリー中に浸され、これらの個々のコロニーの上に置かれ、シールを作り出す。
3.500μLの0.25%(v/v)トリプシン/EDTAが該リング中に置かれ、PBSと一緒に直ちに吸引された。
4.トリプシンが再び適用され、該細胞がモニターされる。それらが丸くなり始めたら、細胞は穏やかに上下にピペッティングされ、R10培養培地を含有するフラスコ中に置かれる。
この単離されたコロニーは、それらがより大きな組織培養フラスコ中へと継代培養され得るまで、37℃、5%CO2にてインキュベートされる。
【0073】
[DNA精製のための細胞の持ち上げ]
不死化の過程をモニターするために、およびこの不死化細胞の原点の指標を提供するために、上皮細胞の成長している不死化コロニーからのミクロアッセイが行われ得る。以下の手順を使用して、いずれかの既知の遺伝子のPCR増幅(本来の腫瘍および該細胞外殖間で、変異の状態を比較するため)またはミクロサテライト1本鎖ヌクレオチド多型分析を行うに充分な細胞が得られる。後者の分析に関する全プロトコルは、どこででも入手出来る。
1.培地が、成長している細胞から吸引され、これはその後PBS中で5分間×2回洗浄される。
2.4角い3MMの紙が切られ(3×3mmを測りながら)、ガラスペトリ皿中でオートクレーブにより無菌化される。
3.無菌の押型を使用して、この3MMの4角い紙は該細胞上へ置かれ、20秒間放置され、その後、200μLのDNA抽出緩衝液を含有するエッペンドルフチューブ中へと除去される。
4.新鮮な培地がこの培養細胞へと補充され、これはその後成長し続けることが出来る。
5.この3MMの4角い紙は、以下のように加工される。50μL(またはこれより多い)が、この3MMの4角い紙を含有するエッペンドルフチューブへ加えられ、42℃にて終夜インキュベートされる。
6.翌日、プロテアーゼKが8〜10分間の95℃におけるインキュベーションにより不活性化され、該紙は該チューブの底へ遠心分離されるか、または無菌のチップで注意深く除去された。
7.この結果得られた溶液は、10%以下のPCR反応の最終容積を作り上げるために使用されると、PCR増幅および更なる分析について用意が整う。
【0074】
[感染細胞中のE6DNAの検出]
1.細胞は遠心分離によりペレット状にされ、そのDNAは標準的な方法により抽出される。20ngのDNAがPCR用基質として使用される。
2.反応混合物は、2mMのdNTP、0.05%のW−1、1.5mMのMgCl2、0.3μLの正および逆プライマー(記6参照)、および0.5UのTaq.DNAポリメラーゼを含有する。55℃においてのアニールを伴った35回転の増幅は、該不死化細胞中に保持される低いコピー数のE6を検出するに充分である。
3.PCR産物(455塩基対)が、1%(w/v)アガロースゲル中での電気泳動により検出される。
【0075】
[E6mRNAを検出するためのRT−PCR]
1.5μgの全細胞RNAが、0.5μLのRNA防護溶液(ベーリンガー・マンハイム)、500ngのオリゴ−dTプライマー、および無菌ddH2Oと共に、10.5μLの容積まで、DEPC処理されたエッペンドルフチューブ中へピペッティングされる。
2.該チューブは10分間70℃に加熱され、氷上で時折冷却される。該エッペンドルフチューブはその後 microfuge 中でパルスを与えられ、内容物を集める。
3.cDNA合成反応が、0.5μLのRNA防護溶液、IX Superscript 緩衝液(ベーリンガー・マンハイム)、10mMのDTT、1mMのdNTP、および200Uの Superscript 酵素の添加により設定される。
4.該チューブの内容物は、穏やかに混合され、1時間42℃にてインキュベートされる。この期間の後、該cDNAは、0.05容積のグリコーゲン溶液、0.5容積の3MのNaCl、および3容積の純粋エタノールの添加により、1時間−80℃にて沈殿される。
5.該cDNAは、5分間4℃、15,000rpmにての遠心分離によりペレット化され、その後氷冷70%エタノールで最終的に洗浄され、該ペレットは風乾されて、20μLの無菌ddH2O中に再懸濁される。
6.2μLのcDNAが、E6の発現を検出するためのPCR用の基質として使用される。この反応混合物も、2mMのdNTP、0.05%のW−1洗剤、1.5mMのMgCl2、3ピコモルの正および逆各プライマー(記6参照)、1×PCR緩衝液、および1UのTaq.DNAポリメラーゼ(Gibco-BRL)からなる。
7.産生物は、図20に示されるように1%(w/v)アガロースゲル中での電気泳動により再溶解される。
【0076】
[Shmac細胞株]
Shmacシリーズの前立腺上皮細胞株は、連続した一連の組織生検に由来し、前記のように初代培養中の移植片として成長され、Maitland et al(2001)に記載のようにE6レトロウィルスで感染された。薬剤(G418)耐性により選択された個々の集団は(P4E6のように)不死性ではないが、延長された寿命を持つ。
【0077】
[細胞株の不死化および培養]
Shmac2、3および6細胞は、良性の前立腺肥大に由来するものであった。Shmac4細胞は、よく分化された腫瘍(1+2)に由来し、Shmac5は中程度に分化された腫瘍(3+3)に由来した。P4E6は、よく分化された腫瘍 Gleason score 4(Maitland et al(2001年))に由来する前立腺上皮細胞から不死化された。上皮細胞株は、2%牛胎児血清(PAA Laboratories, GmbH, Linz, Austria)、5ng/mLの上皮成長因子、および25μg/mLの牛下垂体抽出物(K2)を補ったケラチノサイト無血清培地中で通常通りに培養された。
STO細胞(マウス胚線維芽細胞株)が、European Collection of Animal Cell Cultures(Porton Down, UK)から得られ、10%牛胎児血清および2mMグルタミンを補ったDMEM培養培地中で通常通りに培養された。全ての細胞は、37℃および5%CO2での湿度を与えられた雰囲気中、抗生物質なしに通常通りに培養された。
【0078】
[Shmac細胞株の細胞形態学および成長アッセイ]
相の画像が、Nikon TE300 倒立顕微鏡を用いて観察され、JVC3-CCD ビデオカメラで撮影された。画像は、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続いて準備された。成長アッセイに関して、細胞が適切な培地中、104細胞/mLの濃度にて調製された。200μLの細胞溶液が、その後96穴プレートのウェルへ加えられた。細胞は、培地を代えられて、3〜4日毎に数えられた。細胞数のカウントは、トリプシンを与えられた後、血球計算器により行われた。細胞溶液は、トリパン・ブルーで希釈され、生菌数が数えられた。
【0079】
[Shmac細胞株に関する侵襲および転移アッセイ]
両方のアッセイが、Lang et al(2000)に詳述されるように行われた。簡潔には、転移は、約8〜16細胞の上皮細胞コロニーを観察することにより測定された。位相差画像が、JVC ビデオカメラを使用して8時間、4分毎に撮影され、Scion Image CG7 frame grabber(Scion Corporation, Frederick, Maryland, USA)を使用して、コンピューター上に記録された。転移は、Mohler et al(1988年)の方法に基づいて、膜の波打ち、擬足的な、および並進的な動きを査定することによりスコア化された。
【0080】
侵襲は、無血清培地中の Matrigel(Becton Dickinson, Oxford, UK)でコーティングされた細胞培養挿入物(8μm孔、Becton Dickinson)に侵襲している上皮細胞の数を数えることにより測定された。挿入物は、STO間質細胞の合流培養を含有する24穴プレート中に置かれた。上皮の侵襲は終夜測定され、この後、該挿入物は除去され、クリスタルバイオレットが、該挿入物の下側に侵襲した細胞を染色して数えるのに使用された。
【0081】
[CD44+上皮細胞の単離]
初代前立腺上皮(106個の細胞)の単一細胞懸濁が、4℃にて5分間、2.5μgの抗CD44(Pharmingen, Becton Dickinson UK Ltd., Oxford, UK)でラベルされ、その後、2mMのEDTAおよび0.5%(w/v)のBSAを補ったPBSを更に使用して洗浄された。抗体はその後、15分間4℃にて、20μLのヤギ抗マウスMACSミクロビーズ(Miltenyi Biotec Ltd., Bisley, UK)に結合され、該細胞は再び更に洗浄され、この後該細胞はMACSカラムへ加えられ、このラベルされた基底細胞は溶出されて、適切な培養培地中に再懸濁された(基底細胞は、全上皮細胞集団の10〜43%形成された)。
【0082】
[Matrigel 中での細胞培養]
上皮細胞は、KSFM中60,000細胞/mLの濃度にて調製された。氷上で、それらは Matrigel(Becton Dickinson, Oxford, UK)と1:1(v/v)で混合され、0.25mLの分取が、引き続き24穴プレート中へ植え付けられた。該 Matrigel は、30分間37℃にてインキュベートすることにより固められた。間質との共培養を要求する実験用に、間質が細胞培養挿入物上ヘと前もって成長され、これらはその後 Matrigel /上皮細胞混合物の上に置かれた(図1に例示される)。1mLの要求される成長培地が各ウェルへ加えられ、細胞はこの後、0.5mLの消費された培地の除去および0.5mLの新鮮な培地の追加により、3日毎に培地交換された。等価なバッチの Matrigel が全体を通じて使用された。位相差画像は、Nikon TE300 倒立顕微鏡を用いて観察され、JVC3-CCD ビデオカメラで撮影された。画像は、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続いて調製された。
【0083】
[透過電子顕微鏡検査]
Matrigel 中で成長する細胞は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄され、その後、100mMのリン酸緩衝液、4%のパラホルムアルデヒド(TAAB、UK)および2.5%超純粋グルタルアルデヒド中、室温にて1時間固定された。細胞は、Allen および de Wynter(46)により記載されたように、電子顕微鏡検査に向けて更に加工された。濃い区画が1μmにて切り取られ、0.3%重炭酸ナトリウム中で0.6%トルイデン・ブルーで染色された。70nmの区画が切り取られ、50%エタノール中で飽和酢酸ウラニルで、その後 Reynolds クエン酸鉛で染色され、Jeol JEM 1200 Ex 透過電子顕微鏡で観察された。
【0084】
[蛍光免疫染色]
Matrigel 中で成長する細胞は、該ゲルをOCT化合物(BDH, Poole, UK)中に包埋した後に、液体窒素中で時折凍結された。包埋されたゲルは、−20℃にて保管された。7μmの区画が Leica の低温槽上で切り取られ、Super frost 顕微鏡スライド(BDH)上へとマウントされた。
【0085】
免疫染色が、表2に従って行われた。抗体は、1%牛血清アルブミンを補ったPBS中で調製された。各段階は、PBS中での3回の洗浄を伴った。初代抗体が、1時間室温にてインキュベートされ、第2抗体が30分間インキュベートされた。球状細胞塊が、1μg/mLのDAPIを用いて対比染色された。カバーガラスが、Cityfluor(Agar Scientific Limited, Stansted, UK)を使用してスライドへのせられた。免疫染色された培養物が、Nikon Eclipse TE300 蛍光顕微鏡を使用して観察され、写真撮影された。デジタル画像が、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続き調製された。
【0086】
[共焦点顕微鏡検査]
OCT中に包埋された試料は20μmにて区分けされ、前記のように免疫染色された。区画はその後、MRC1000 Biorad Confocal Microscope(Hemel Hempstead, UK)を使用して、1μmの層にて観察された。
【実施例】
【0087】
[実施例1]
非悪性前立腺上皮の7日間培養物が、Matrigel 中へ直接単一細胞として播種され、KSFMの存在下に、該単一細胞は、形が不規則な球状細胞塊へと発展した(図1a)。TEMは、これらの球状細胞塊が立方体のような、および階層化された両方の細胞の固体の塊であり、それらの外見は肥大した成長と一致するものである(図1b)ことを論証した。該球状細胞塊の中心には、壊死の証拠があった。この中央の階層化/立方体様細胞は、非常に密な細胞−細胞接触を持っていたが(図1c)、より外側の立方体様細胞は、お互いにはるかによりルーズに接触しており、相対的に疎な細胞質、および張り出した仁を有する長くなった核を持っていた。高い力の倍率が、両方の細胞型(図1cに示された実施例)の間に存在する細胞間橋様および密接様細胞接触と一致した、沢山の接合を有する複合体があることを指し示した。エストロゲン、ジヒドロテストステロンまたは前立腺間質培養により条件付けられた培地の存在は、その形態学に影響を及ぼさなかった(結果は示されていない)。
【0088】
該培地への2%血清の添加は、該球状細胞塊がより小さい密度を現すようにし(図2a)、TEMは、このことが該球状細胞塊が管腔を発展させることによるものであることを指し示した(図2b)。該球状細胞塊は、1/2の上皮細胞層を持ち、形は立方体様または円筒状であった。微柔毛は、該上皮の管腔状端にて観察されたが、分極の他の徴候は明らかでなかった。ゴルジ体、分泌小胞、および積層された粗い小胞体(RER)は全て存在し、分泌機能との一貫性を伴っていた。基底板は全く観察されず、接合複合体は殆ど観察されなかった。血清はこれらの実験に包含され、間質の成長を支えた。
【0089】
探索は、間質、エストロゲン、およびジヒドロテストステロンが、前立腺上皮の分化を誘導するのに要求されることを示した(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))。Matrigel 中で成長する上皮へのこれらの因子+血清の添加は、形が規則的なコンパクトな球状細胞塊の形成に至った(図3a)。TEMは、該球状細胞塊が、それらが近くで組織化され円筒状である1または2層の上皮細胞層により取り囲まれた管腔を含有するので、in vivo の腺に似ていることを論証した(図3b)。より高い倍率(図3c)は、核が優性に基底である一方、微柔毛、ゴルジおよび分泌小胞が前記管腔側へと組織化されるように、該細胞が分極化されることを指し示した。ゴルジは一貫して大きく、積み重ねられたRERは明確であった。より数多くの接合複合体(細胞間橋様、および密接合(タイトジャンクション)様)が横向きに見られ、優性に管腔に向かっていたが、非接触基底板は全く見られなかった。
【0090】
この実験は、3つの異なる上皮培養(B、C、D)に関して並行して行われた。この結果は、全てに関して似たものであったが、試料Cだけが(図1〜3に示される)、間質の存在下に高い程度の分極化を論証した(図3b)。試料BおよびCは、円筒状または立方体様の上皮を伴った球状細胞塊を含有する管腔を産生したが、分極化はしなかった。
【0091】
表1は、K2、DHT、Oesおよび間質における全ての繰り返し実験をまとめている。これらの培養条件における実験全体は、2/4の試された上皮の試料(C、J)における、円筒状の分極化された上皮の証拠を示した。2つの別個の実験において、球状細胞塊は、無血清条件下には(試料FおよびG)成長しなかった。図1に例示されたように、2%血清中での成長は、一貫して管腔を伴った球状細胞塊の形成に至り(5/7の試料)、成長しなかったり(試料F)不規則な球状細胞塊の形成があったり(試料G)ということには至らなかった。成長を示さなかった試料は、間質の存在下でのみ球状細胞塊を産生し、この瞬間では該球状細胞塊は不規則であった。2%血清中で不規則な球状細胞塊を産生した試料は、間質の存在下に管腔を産生したが、上皮は、分極化の証拠なしに、立方体様、円筒状および積層状であった。引き続いて、分極化のTEM分析が、コンパクトな腺様球状細胞塊が観察された場合のみ行われた。
【0092】
前立腺中の基底上皮はCD44(25)を発現し、Matrigel 培養中でよりよく分化する候補となる上皮の集団を代表することがある。これ故に、我々は(7つの内)4つの前立腺上皮調製物(F、G、I、J)からCD44陽性の上皮を選択した。全上皮集団(試料B、C、D)から産生されたものに比較して、球状細胞塊形成または形態学において特筆すべき相違は観察されなかった。しかしながら、CD44陰性の上皮集団は、Matrigel 中全く成長を示さなかった(結果は示されていない)。該試料(B、F)の内の2つは、K2、DHT、OESおよび間質中で成長された場合に発芽および管状構造を形成し、更なる2つも(D、G)、間質なしで成長された場合に(例は図4に示される)このような形態学を呈した。発芽および管状構造を産生した全ての試料は、積層された上皮を伴っていた。上皮は前立腺管または腺において正常に積層されないので、我々は我々の研究を腺様球状細胞塊に集中させた。
【0093】
[実施例2]
間質培養物の存在は、上皮試料の球状細胞塊形成効率を有意に上昇させることが見出された。図5は、およそ等しい数の球状細胞塊が、KSFMおよびK2中で形成したことを指し示している(試料C)。間質の存在下に、形成された球状細胞塊の数はおよそ2倍になり、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンの添加で更に増加した。並行して試された他の2つの試料(BおよびD)は、間質の存在下にのみ増加した球状細胞塊形成を示したが(およそ2倍)、ホルモンは更なる効果を持たなかった。間質の存在下での増加した球状細胞塊形成は、別個の機会に試された更に3つの試料(F、G、J)に関して再現された。加えて、この共培養中での該間質の提示は、挿入物内の間質を、Matrigel 中で上皮と直接混合されるか、または予め固められたゲルの上に加えられるものと比較することにより試される。我々の結果は、挿入物内で共培養された間質が最大の球状細胞塊形成を作り出すことを指し示した。加えて、間質を提示する異なるやり方は、球状細胞塊の形態学に影響を持たなかった(結果は示されていない)。我々は、7日の移植からの上皮細胞の使用が、新鮮に単離されたものよりもむしろ、より大きな球状細胞塊形成効率に至り、引き続いて産生された該球状細胞塊がより長い期間培養中に維持されることも観察した(結果は示されていない)。
【0094】
[実施例3]
Matrigel 内で形成する上皮球状細胞塊の大きさおよびタイプは(不規則かまたは腺様か)、試料間で変動した(表1にまとめられている)。しかしながら我々は、間質の共培養が、より小さな大きさの球状細胞塊を有意に産生することを一貫して観察した。図6は、Matrigel およびK2中1週間後、等しい数の直径0.1mmおよび0.2mmの上皮球状細胞塊が成長したことを示している(22細胞/フィールドは球状細胞塊を形成しなかったが、単一細胞として維持された)。全体で、平均30球状細胞塊/フィールドが形成された。初代および細胞株の間質存在下に、36および42合計平均の球状細胞塊/フィールドがそれぞれ形成されたが、優性に直径0.1mmであった。特筆すべきことに、STO細胞との共培養は、より数多くの球状細胞塊形成に至った。
【0095】
[実施例4]
球状細胞塊は区分され、蛍光免疫組織化学により染色され、無血清条件中で成長されたものの表現型のプロファイルを、血清、間質およびホルモンと共に成長されたものと比較した。該球状細胞塊は、種々の分化マーカーを調べることにより表現型化された。管腔状の前立腺上皮は、サイトケラチン18および前立腺特異的抗原(PSA)(Nagle(1996年))を使用して同定され、一方基底上皮細胞は、基底サイトケラチン(1、5、10、14)、CD44およびβ1インテグリン(Knox, Cress, Clark, et al(1994年))を使用して同定された。Vimentin は、それが分化を反映し得るので(Iwatsuki, Sasaki, Suda および Itano(1999年))分析された。アンドロゲン受容体、PSAおよび前立腺特異的膜抗原(PSMA)が、機能分化マーカーとして働いた(30、31)。最終的に、細胞接着分子、E−カドヘリンおよび desmoglein も分析された。これらの結果は表2にまとめられ、各染色の例は、図7、8および9に示される。中間フィラメントは、異なるタイプの球状細胞間で似た強度で染まった(表2)。しかしながら、サイトケラチン18、および1、5、10、14の局在化は、異なる球状細胞塊間で変動した(図7)。KSFM存在下に成長された球状細胞塊は、該球状細胞塊の外側末端にて該上皮中サイトケラチン1、5、10、14の発現を示したが、一方サイトケラチン18は、該球状細胞塊の真ん中に、細胞により独立に発現された。血清および/または間質の存在下に成長された球状細胞塊は、優性にサイトケラチン18陽性であったが、サイトケラチン18、および1、5、10、14の共局在化も観察された。PSAは全ての球状細胞塊中で強く発現されていたが、発現は、間質の存在下に成長された球状細胞塊中で(管腔に向かって)分極化されていた(図8)。PSMAは、全てのタイプの球状細胞塊で強く発現されていたが、発現は、無血清条件中成長された球状細胞塊の外側の細胞中でより強かった(図9)。アンドロゲン受容体は、間質と共に成長された球状細胞塊中で弱く検出されたのみであった(図9)。Eカドヘリンおよび desmoglein は、細胞対細胞接触にて、全ての球状細胞塊により発現された。CD44およびβ1インテグリンは、細胞膜にて同様に全ての球状細胞塊により強く発現されたが、特筆すべきことに、両マーカーは、無血清条件下に成長された球状細胞塊の外側の細胞により発現されたのみであった。加えて、β1インテグリン発現は、間質の存在下に強く(基底に)分極されていた(図8)。
【0096】
本研究は初めて、Matrigel 中へ播種されたヒト初代前立腺上皮が、間質、アンドロゲン、エストロゲンおよび血清の存在下に腺様構造を形成し得ることを論証する。これらの腺は、in vivo でのヒト前立腺と一致して、高い程度の機能的(PSA+/PSMA+/アンドロゲン受容体+)および形態学的分化を示す。このことは、これを用いて前立腺の生物学を研究するための非常に有用なモデルを表し、このような系に固有な複雑さを減少させることにより既存の動物モデル(Hayward, Rosen および Cunha(1997年))を補完するであろう。
【0097】
PSA発現は、Matrigel のみ(ここで示される)または間質のみ(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))により誘導され得る。間質なしでの上皮によるPSA発現の誘導は、上皮の分化が部分的に固有のものであることを指し示している。我々のモデルでは、Matrigel および間質両方が、建設的組織化、アンドロゲン受容体発現およびPSAの分極化された分泌を誘導するのに明確に要求された。以前に、ヒト初代前立腺中でのアンドロゲン受容体発現は、一緒に共培養されたが単離されなかった場合に(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))、上皮および間質両方において観察されており、末期の上皮の分化に対しての両タイプの細胞の重要性を強調していた。この正しい建設的組織化を誘導する間質に対しての要求は、以前にマウスのモデル(32)において論証されていた。我々の結果も、間質の共培養がより数多くの小さな球状細胞塊を産生することを見出したが、このことは、該間質およびホルモンが、成長を抑制したかまたは接着を増加させた(これにより該細胞はより小さな球状細胞塊へとコンパクト化する)ことを指し示しているのかも知れない。間質は、球状細胞塊形成効率を上昇させるのに明らかに重要であった。球状細胞塊形成効率を2倍にする間質の能力は、間質が、より多くの上皮を球状細胞塊を形成するのに動員し得ることを示唆する。もしそれらが既に分化するシグナルを受け取っていた場合、単離された上皮が球状細胞塊を形成し得るが、その後適切な分化を受けることが出来ないことがあり得る。これらの分化経路を支配する因子は未知である。間質由来の1因子である肝細胞成長因子が、初代肺上皮の成長を増加させ、Matrigel 中で形成される球状細胞塊の数を2倍に増加させもする(Sato および Takahashi(1997年))ことが見出された。肝細胞成長因子は、我々自身のモデル系において更に調査するに明らかに値する。
【0098】
Matrigel への未知の血清因子の添加は、腺様構造へのこの球状細胞塊の正しい形態学的組織の産生への何らかの経路を進んだが、間質共培養がより大きな分化については要求された。Matrigel のみの中で培養された哺乳類初代上皮の振る舞いを試す実験は、乳腺特異的タンパク質も発現され得ることを見出した(Chen および Bissell(1989年)(5))。しかしながら、乳腺上皮球状細胞塊は、Matrigel 中で成長され得、血清およびホルモンのみの存在下に機能的および形態学的両方の分化を論証し得る(Barcellos-Hoff, Aggeler, Ram および Bissell(1989年))。間質共培養系は分化を増加させ、我々自身の結果と一致して、管状の形態形成よりもむしろ槽状の形態形成を産生した(Darcy, Zangani, Shea-Eaton et al(2000年))。乳腺の研究は、成長因子/キナーゼ受容体活性化における違いが、槽状または管状形態形成を説明し得ることを示している(Niemann, Brinkmann, Spitzer et al(1998年))。最近の研究は、成長因子およびホルモンの複雑な混合物が、乳腺上皮が間質の共培養と共に Matrigel 中で成長される場合、血清に対する必要性を踏み潰し得(Darcy, Zangani, Shea-Eaton et al(2000年))、このような研究は、前立腺の分化における重要な因子を理解するのに今や明確に要求される。間質の共培養は、卵巣上皮のような他の器官のモデルにおける機能的および形態学的分化の誘導に関しても要求される(Ohtake, Katabuchi, Matsuura および Okamura(1999年))。コラーゲン基材中での尿路上皮の分化は、間質の相互作用により特異的に駆り立てられた基底基材の形成にも依存するが、可溶性の間質因子には依らない(Fujiyama, Masaki および Sugihara(1995年))。以上で論じられた乳腺および卵巣モデルは全て、上皮の直下に形成する完全な基底層の証拠を見出したが、一方我々の結果は、ラット前立腺と共にも報告された現象である Matrigel のみが分化を誘導するに充分であることを示唆する不完全な基底層のみを見出した(Ma, Fujiyama, Masaki および
Sugihara(1997年))。
【0099】
ここで記載の前立腺モデルを作り出す以前の試みは、殆ど恐らく間質培養の欠如のために、形態学的な分化を産生するのに失敗していた。初代ラット上皮(Freeman, Bagli, Lamb et al(1994年))、およびより最近ではヒト初代上皮(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))を使用する早期の試みは両方とも、無血清培地中で球状細胞塊を成長させるのに成功し、両方の例において、肥大した成長の表現型を呈する固形の細胞の球状細胞塊が産生された。このような形態学は、溶解性の間質因子の存在下およびアンドロゲン受容体の発現下においてさえ、明らかである(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))。このこととは矛盾して、前立腺細胞株は、間質なしに植え付けられた場合、Matrigel 中で形態学的および機能的分化を受け得(Webber, Bello, Kleinman および Hoffman(1997年))、このことは不死化の過程が、間質細胞がここで記載されているような充分な分化を誘導する要求を踏み潰し得ることを示唆する。上皮の分化に関しての間充織の重要性は基本的であり、数多くの動物研究により論証されて来た(Timms, Lee, Aumueller および Seitz(1995年)(17))。異なる起源からの間充織は、上皮が異なる経路に沿って分化するよう誘導し得る。例えば、泌尿器の間充織は、膀胱上皮が前立腺への分化を受けるよう誘導し得、泌尿器の幹細胞の潜在的な存在を指し示す(39)。より最近では、疾病の進展に向かっての間質のより大きな寄与が、考えられている。研究は、異なる再現性状態の乳腺(Bemis および Schedin(2000年))または前立腺腫瘍(Lang, SH., Stower, M. および Maitland, NJ.(2000年)非悪性および悪性前立腺における上皮および間質の相互作用の in vitro モデリング。British Journal of Cancer 82(4): 990-997, Hall, J., Maitland, N. J., Stower, M., Lang, S., (2001) Primary Prostate Stromal Cells Modulate the Morphology and Migration of Primary Prostate Epithelial Cells in Type 1 Collagen Gels. Cancer Research 62: 58-62)からの間質が、ガンの進行に関して明らかに重要な特徴である上皮の侵襲および転移を調節し得ることを示している。我々のモデルは、ガンの進行に向けてどのように上皮/間質相互作用が寄与するのかを研究するための有用なツールを提供するであろう。
【0100】
血清存在下での Matrigel 中での球状細胞塊の形成は、上皮の表現型のプロファイルに関して明らかに区別出来る効果を持っていた。無血清培地中で成長された球状細胞塊は、2つの区別可能な細胞区画を示した。該球状細胞塊の外側の細胞は、形態学および表現型において基底であり(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18−/CD44+/β1インテグリン+)、一方中央の細胞は、表現型において中間的(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/CD44−/β1インテグリン−)または管腔状(サイトケラチン1、5、10、14−/サイトケラチン18+/CD44−/β1インテグリン−)であった。全ての細胞集団において、PSAの存在は、この基底様細胞が表現型において初期の中間体でよりありそうなことを指し示す。これらの無血清球状細胞塊は、Hudson et al(21)により以前に産生されたものに似ており、van Leenders et al(42)により1層培養中で産生された発芽構造にも似ている。表現型では、無血清条件中で産生された球状細胞塊は、それらが別個の細胞区画(基底および管腔様の層)を含有するので、より in vivo の腺に似ている。管腔、および円筒状、管腔状上皮の欠如は、それらが形態学的に似ていないことを意味する。血清、ホルモンおよび間質の存在下に成長された球状細胞塊は、形態学的に非常に in vivo の腺に似ている球状細胞塊を産生した。表現型では、それらは中間的(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/PSA+/AR+)または管腔様の(サイトケラチン1、5、10、14−/サイトケラチン18+/PSA+/AR+)上皮プロファイルをを示すが、明らかに区別出来る基底層の存在は失われる。アンドロゲン受容体の存在およびより完全な形態学は、これらの球状細胞塊が無血清条件下に成長されたものよりもより分化されたものであることを指し示す。(如何なる条件下に成長された)球状細胞塊の大部分もが、早期の基底細胞に由来し、わずかなものしか幹細胞集団に由来しないことが考えられ得る。早期の基底細胞に由来するものであれば分化する能力を持つであろうが、基底細胞集団を置き換えることはない。幹細胞に由来するそれらの確認しがたい球状細胞塊は、形態学的に分化された球状細胞塊において、基底および管腔状細胞をこれ故に含有するかも知れない。これらの研究で使用された初代上皮の集団は、それらが増殖性および全能性であるので(基底および管腔状の両方である細胞、積層された円筒状または立方体様細胞、および腺様または管様構造も産生可能である)、幹細胞様(または早期基底細胞)であることが、非常にもっともらしい。CD44+(基底)細胞由来の球状細胞塊は、確実にPSA+/サイトケラチン18+/CD44−(管腔状)細胞を発生させた。この研究は、基底および管腔状の細胞が、前駆体−後代の関係で繋がっている階層関係についての更なる証拠を提供する。基底および管腔状の細胞の幾つかのマーカーの一様でない発現は、推定の幹細胞集団がこの基底層内に存在し、中間的な細胞(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/PSA+)を発生させ、最終的には分化された細胞(サイトケラチン18+/PSA+/AR+)となることを示唆する。
【0101】
我々の実験は、組織試料間で変動を示した。これは、組織試料の多様性および前立腺疾患の非一様な性質を考えれば期待されないものではない。実際、このタイプの分析は、2、3の細胞株の分析よりも、我々をより前立腺腫瘍の表現型に近付けてくれるであろう。組織が得られる患者の年齢も、培養において役割を演じる。我々の実験(表1)では、70〜90歳からの組織の培養は、より若い患者(54/57歳)からのものよりもより成功しなかった。このことは、幹細胞がより若い組織中でより優性であろうから、モデルが生存可能な幹細胞集団を要求することを指し示しているのかも知れない。これ故に我々の将来の研究は、年齢および幹細胞集団の、腺様構造の形成への寄与を分析することを試みながら、より若い組織の使用に集中するであろう。
【0102】
[実施例5]
[1層の細胞株の形態学]
全ての細胞株は典型的な上皮の形態学を示し、これは丸いかまたは立方体様で、合流時に小石様になった(図11)。非典型的に、全ての細胞株は、特に副合流時に、細胞集団の百分率において偽の拡大の存在も示した。Shmac2細胞は、糸状のおよび空胞化された外見を持つことに関して特筆すべきであった。Shmac3細胞は、外見上最大であった。Shmac4細胞は、その細胞膜における小気胞の出現について特筆すべきであった。
【0103】
[実施例6]
[1層での成長]
Shmac3細胞は、不死化後3または4代以降は、うまく成長せず、これ故に更なる実験は試みられなかった。Shmac2細胞は、10代以降は使用されず、一方Shmac4、5、6およびP4E6は、15代以降使用されなかった。図12は、17日間の期間に亘るK2中の他の全ての細胞株の成長を指し示している。Shmac6およびP4E6全体は、非常に速く成長し、直ぐに合流に達した。2倍化時間は、P4E6に関しては丁度24時間に亘り、Shmac6に関しては48時間であった。Shmac5細胞は、約5日の2倍化時間を伴ってスタートしてゆっくりと成長したが、その後はより速く成長して合流に達した。Shmac2および4は、非常にゆっくりと成長し、この17日間の成長期間後合流に達しなかった。
【0104】
[実施例7]
[細胞株の侵襲および転移]
Shmac細胞の潜在的な転移能力は、in vitro でそれらの転移性および侵襲能力を測定することにより調べられた。Shmac5は、Matrigel でコーティングされた挿入物を通じて侵襲することが可能な唯一の細胞株であった。MDA−MB−231およびP4E6細胞は、それぞれ陽性および陰性コントロールとして包含された。対照的に、これは主に細胞膜を波打たせることに限られたが、全ての細胞株は、高いレベルの転移性を示した。Shmac4細胞は、散乱されたコロニーとして沢山の並行移動を示し、一方Shmac5および6は、個々の細胞の並行移動が出来た。P4E6、PNT2−C2およびPC−3の侵襲および転移性は以前に測定されているが(Lang et al, 2001)、比較用に包含された。
【0105】
[実施例8]
[1層の細胞株の表現型]
これらの細胞株の細胞表現型は、免疫細胞化学により決定された。我々は、以前に報告された(25970)ような、標準的な種々の細胞マーカーを試した。サイトケラチン1、5、10、14、β1インテグリン・ファミリーおよびCD44は全て、基底前立腺上皮のマーカーであり、一方サイトケラチン18、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)およびアンドロゲン受容体は全て、管腔状または機能的に分化された前立腺上皮のマーカーである。加えて、細胞接着マーカー、E−カドヘリンおよび間充織マーカー vimentin も、調べられた。全てのShmac細胞に関する結果は、表2にまとめられ(P4E6は比較用に包含されている)、各染色の例は、図14にShmac5細胞株について論証されている。
【0106】
Shmac5およびP4E6以外の全ての細胞株は、細胞質中で非常に強く染まっているサイトケラチン8を示した。Shmac5およびShmac2に関しては、この染色はおおよそ細胞集団の50%に限られ、培養中で最高だった細胞により最も強く発現されているのが見られた。より強い発現は、1層培養中他の細胞上に乗っかっている細胞中、Shmac4および6に関しても特筆された。逆に、Shmac5およびShmac4以外、殆どの細胞株が弱い基底サイトケラチン染色を示した。Vimentin 染色は、全ての細胞株において中庸または強かった。PSA発現は、それが中庸であったP4E6およびShmac4を除く殆どの細胞株において弱かった。PSMAは、全てにおいて中庸〜強く、細胞質中で発現されるか、または細胞膜へと局在化された。アンドロゲン受容体発現は、いずれの細胞株においても検出されなかったが、少数の細胞が、弱い発現を示したかも知れない(図14E参照)。基底マーカーCD44およびβ1インテグリンは、殆ど全ての細胞株により強く発現され、膜または細胞対細胞または細胞質が染まっていた。同様に、E−カドヘリン発現は全ての細胞株中に見出され、細胞対細胞発現は、このタンパク質が機能的であることを指し示していた。
【0107】
[実施例9]
[Matigel 中で成長されたShmac細胞株およびP4E6の成長および形態学]
汎用の前立腺細胞株の以前の調査は、PC−3のみが(PNT2−C2、PNT1a、DU145およびLNCaPではなく)in vivo の腺に似ている球状細胞塊を Matrigel 中形成し得ることを見出した(Lang et al 2001a および未公開の結果)。In vitro の腺を樹立するのに何の細胞因子が重要かを決定するために、我々は、より広範囲のShmac細胞株およびP4E6を試した。初代培養を用いた実験は、間質共培養が in vitro の腺の分化を促進することが出来、これ故に細胞は間質共培養と共にまたは用いずに植え付けられることを指し示した。
【0108】
Shmac4細胞は、Matrigel 培養中14日後に、管腔を形成するに充分大きな球状細胞塊を形成しなかった。間質共培養は、Shmac5、6およびP4E6の培養から形成される球状細胞塊の数を増加させたが(図15)、Shmac2細胞からの球状細胞塊形成に関しては僅かな効果しか持たなかった。図16aおよび16bは、相の画像、および培養中7〜10日後に Matrigel 中へ植え付けられた細胞から成長された球状細胞塊の区画を示す。Shmac2およびP4E6細胞は、間質の非存在下に大きな球状細胞塊を形成し、区分けはそれらが多層であることを解き明かした。間質共培養はそれらの大きさを小さくし、管腔の消失に至った。Shmac5および6細胞も、間質の存在下により小さな球状細胞塊を形成したが、その違いはより明らかではなかった。Shmac5細胞は、間質共培養があってもなくても腺様の球状細胞塊を形成し、優性に単一層の上皮を持っていた。幾つかの区画の試みは、間質の存在下に成長された上皮が、優性に円筒状または立方体様であるが、一方間質非存在下の培養は、立方体様または積層された細胞を産生することを指し示した。間質と共に成長されたShmac5球状細胞塊内の単一上皮の試みは、該細胞が微柔毛、分泌小胞およびゴルジの管腔状の分極を示すことを指し示した(図17)。ゴルジは、特筆すべきことに細胞質を通り抜けて拡大した。核は、位置は主に基底であった。加えて、細胞間橋様接合が、隣接する細胞間に見られた。管腔は、非常に僅かな細胞砕片または壊死細胞しか示さなかった。間質非存在下に成長されたShmac5細胞も、細胞内小器官の分極を呈し得たが、これはより頻繁には観察されなかった。Shmac6細胞は、管腔の証拠を示さない小さな球状細胞塊を産生した。
【0109】
[実施例10]
[Shmac5 Matrigel 球状細胞塊の表現型]
Shmac5 Matrigel 球状細胞塊は、免疫細胞化学分析によりさらに調べられ、結果は表3にまとめられている。特に、細胞分極の証拠が試された(図18)。該Shmac5球状細胞塊は、間質と共に共培養された初代上皮細胞球状細胞塊に非常に似た表現型を論証した(25970)。該球状細胞塊の外側の細胞は、基底サイトケラチンに関しては染まったが、一方内側の細胞は、管腔のサイトケラチンに関して染まり、または両方に関して共に局在化した。アンドロゲン受容体発現は、今や該球状細胞塊中の、および時にはその中心核中の全細胞の細胞質を通して明らかとなった。管腔に対するPSA発現の局在化、およびβ1インテグリンの基底発現はわずかであった。しかしながら、CD44は、該球状細胞塊の基底表面へと局在化した。PSMA発現は、細胞質または膜特異的であり、E−カドヘリンは、細胞質にあるか、または細胞:細胞膜において見出され、それが機能的であることを指し示した。
【0110】
[実施例11]
[E6形質転換前立腺上皮細胞の不死化または延長された寿命]
E6遺伝子の初代前立腺細胞培養中への導入は、該細胞の寿命を延ばすように働く。前立腺上皮に関しては、3〜4代を超える如何なる延長も、寿命の延長を表す。初期の段階では、該細胞は遺伝子的に安定であり、形態学において元の培養に似ている(図19参照)。この段階では、該細胞はしかしながら不死性ではなく、全不死化が起こる「危機」をくぐり抜けることを要求する。該危機の期間後、何らかの染色体の再編成が起きてしまっているであろうが、該細胞は形態学においてまだ上皮状である。
【0111】
これらの延長された寿命の細胞は、第1のレトロウィルス感染後に産生されたが、遺伝子的に安定であり、12までの集団の倍増に関しての生物学的アッセイの大部分において、元の初代細胞に非常に似た様式で振る舞う。極めて大きな細胞数が要求されなければ、その時はこれらの延長された寿命の細胞が好ましい。これらの細胞を維持するには、該培養の割合は、特に該細胞が増殖している間は、各代において標準的な冷凍保存により保存されるべきである。
【0112】
[実施例12]
[継代数]
E6の延長された寿命の培養物の殆どに関しては、E6遺伝子の導入および細胞クローンの選択後、少なくとも25代が可能である。これは予期不可能なことで、患者の年齢に依存するのかも知れない。しかしながら我々は、腫瘍原性表現型との関係を見出していない。殆ど不可避的に、30までの継代後に、該上皮細胞は危機および延長されたG0相に入る。この時点での必須の要求は、6週までの期間該培養を維持する根気であり、本質的に静的な、および明らかに死んだ細胞を与える。自ずと不死化細胞は、この危機から滅多に脱出せず、しばしば元の培養物に似るが、上皮の表現型をより伴わない(vimentin の発現−間質マーカー−は時々、元の培養物に比較してアップレギュレーションされない)。
【0113】
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【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、Matrigel およびKSFM(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは80μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)密接している内部細胞間に存在する、密接合(TJ)および細胞間橋様(D)接合の両方を指し示す高倍率TEM。バーは1μmを指し示す。
【図2】図2は、Matrigel およびK2(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは90μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)管腔微柔毛(mv)、分泌小胞(sv)およびゴルジ装置(G)を示す、該球状細胞塊内の細胞全体の高倍率TEM。バーは10μmを指し示す。
【図3】図3は、Matrigel、K2、10−7MのDHT、10ng/mLのOESおよび間質(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは70μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)該球状細胞塊内の細胞全体の高倍率TEM。分泌小胞(sv)は全て、該管腔へ向かって分極されており、微柔毛は該管腔表面上で見ることも出来る。バーは6μmを指し示す。d)(cにおいて示される)上皮の管腔の半分を示す高倍率TEM。該図面は、活動している大きなゴルジ(g)および積み重ねられた粗い小胞体の細網を示す。加えて、密接合(JT)は該管腔表面において見ることも出来る。バーは2μmを指し示す。e)管腔末端の細胞:細胞界面に存在する細胞間橋様接合複合体(D)。バーは1μmを指し示す。f)無傷の基底板が見えなかったことを示す球状細胞塊の基底末端。バーは1μmを指し示す。
【図4】図4は、位相差における(バーは100μmを指し示す)沢山の腺および管様の構造を伴った発芽している球状細胞塊の例を例示し、発芽の証拠も伴っている。階層化された細胞の存在を示す(バーは50μmを指し示す)トルイデン・ブルーで濃く染色された発芽区域および管様構造。
【図5】図5は、間質培養が球状細胞塊形成効率を増加させたことを例示する。上皮試料Cは、Matrigel 中へと混合され、KSFM、K2、K2および初代間質(S)、またはK2、Sおよび10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)中で、2週間成長された。
【図6】図6は、間質培養が球状細胞塊の大きさに影響を及ぼすことを例示する。上皮試料Jは、Matrigel 中へと混合され、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)、またはK2+STO細胞、DおよびO中で、1週間成長された。
【図7】図7は、Matrigel 中成長された前立腺上皮の、サイトケラチン18(緑)およびサイトケラチン1、5、10、14(赤)の2段階免疫染色を例示する。上皮(試料C)は、KSFM、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)の存在下に、2週間成長された。球状細胞塊中の細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。バーは80μmを指し示している。
【図8】図8は、間質と共に培養された場合の、Matrigel 上皮球状細胞塊中のPSAおよびβ1インテグリンの分極を例示する。共焦点分析を使用して、PSAおよびβ1インテグリンの発現は、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)中2週間成長された上皮球状細胞塊(試料C)との間で比較された。バーは70μmを指し示している。
【図9】図9は、前立腺上皮 Matrigel 球状細胞塊の免疫組織化学的染色の例を例示する。K2、10−7Mジヒドロテストステロン(DHT)、10ng/mLエストロゲン(O)および初代間質の存在下に培養されたアンドロゲン受容体発現を例示すること以外は、示された全ての球状細胞塊は、KSFM中で成長された。球状細胞塊の核は、DAPI(青)で対比染色された(上皮試料Cは、2週間培養された)。バーは80μmを指し示している。
【図10】図10は、Matrigel 中での前立腺上皮および間質細胞の共培養の例示である。
【図11】図11は、1層として成長するShmac細胞株およびP4E6の形態学を例示する。位相差写真は、10倍の対物倍率にて撮影された。
【図12】図12は、K2培地中1層で成長している前立腺細胞株の成長曲線を例示する。
【図13】図13は、間質細胞株との共培養に応答した、Matrigel でコーティングされた細胞挿入物を通じてのShmac細胞株の侵襲能力を例示する。結果は、3回の平均として表現される。
【図14】図14は、1層の培養中で成長するShmac5細胞の免疫細胞化学的染色を例示する。A)サイトケラチン18(赤)およびサイトケラチン1、5、10、14(緑)の2段階染色。B)Vimentin。C)PSA。D)PSMA。E)アンドロゲン受容体。F)E−カドヘリン。G)β1インテグリン。H)CD44。細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。全ての画像は、20倍の対物倍率にて撮影された。
【図15】図15は、如何に間質共培養が球状細胞塊形成効率に影響を及ぼすかを例示する。上皮細胞は Matrigel 中へ植え付けられ、間質共培養有り(白)または無し(黒)で、1週間K2中で成長された。球状細胞塊の平均個数は、1フィールドにつき数えられた。SEは、平均の10%未満だった。
【図16a】図16は、Matrigel 中成長された前立腺細胞株球状細胞塊の、典型的な位相差形態学(A)および1μm区域(B)を例示する。全ての写真は、7〜10日の成長後、10倍の対物倍率にて撮影された。バーは100μm。
【図16b】図16は、Matrigel 中成長された前立腺細胞株球状細胞塊の、典型的な位相差形態学(A)および1μm区域(B)を例示する。全ての写真は、7〜10日の成長後、10倍の対物倍率にて撮影された。バーは100μm。
【図17】図17は、間質の存在下に Matrigel 中成長されたShmac5上皮細胞の透過電子顕微鏡検査を例示する。細胞は円筒形であり、細胞小器官の分極を示す。核(n)が基底である一方、微柔毛(mv)、分泌小胞(sv)およびゴルジ(G)は全て管腔状であった。バーは2μm。
【図18】図18は、Matrigel 培養中で成長しているShmac5細胞の免疫細胞化学的染色を例示する。A)サイトケラチン18(赤)およびサイトケラチン1、5、10、14(緑)の2段階染色。B)PSA。C)アンドロゲン受容体。D)CD44。E)β1インテグリン。細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。全ての画像は、20倍の対物倍率にて撮影された。
【図19】図19は、初代上皮の外殖およびE6不死化培養の比較形態学を例示する。前立腺組織の断片からの上皮外殖が、左のパネルに示されている。該組織は、該パネルの上右にある大きな黒い物体である。右のパネルにおいて、この外殖からの該上皮成分は組み換えE6発現レトロウィルスで感染され、クローニングされた上皮培養が産生された。同様の形態学が記される。
【図20】図20は、E6−形質転換前立腺上皮細胞からのRT−PCR産物のPCRアガロースゲル電気泳動による、不死化された培養中のE6DNAおよびmRNAの検出を例示する。マーカーのレーン(M)は、Life Technologies からの100塩基対毎のマークである。レーン1は、E6およびE6*両方に特異的な産物を示す細胞株からのcDNAの増幅である。レーン2は、陰性コントロールである。レーン3は、同じ細胞株からのDNA(455塩基対の産物のみ)を含有し、レーン4は、CaSki 細胞DNA陽性コントロールである。
【図21】図21は、E6形質転換前立腺上皮細胞中のE6タンパク質の免疫的検出を例示する。パネルAは、図2に示されたようなDNAおよびRNAについて分析されたのと同じ細胞株の抗E6血清(20)での陽性免疫染色(主に全細胞に関する)を示す。パネルBは、対応する陰性コントロールであり、ここでは1次抗体は、全染色手順中PBSで置き換えられている。
【0001】
本発明は、前立腺の形成方法;該方法に由来する腺;該腺に由来する細胞または細胞株;前立腺ガン細胞の増殖および/または転移を阻害可能な物質を同定する方法;該方法により同定される物質;および前立腺細胞の分化または前立腺ガン細胞の新規マーカーを同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺ガンは、ヒトにおけるガンに関連した死の第1の原因である。前立腺は、膀胱の直下の下方の骨盤中に位置される男性腺であり、前立腺は尿道を取り囲み、精液の液体成分を産生し、尿の流れを制御するのを助ける。前立腺肥大は、加齢と共によく起こることであり、悪性ではない症状である。該症状は、精液または尿中の血、下方の背中、尻または上方の腿における頻発する痛みまたはこわばりを包含する。前立腺ガンは、結果的に腫瘍の形成をもたらす制御されない細胞増殖の疾病である。該腫瘍は、第1のもの(すなわち、起源の器官中に位置される)であることもあり、または第2のもの(すなわち、循環系を経由して移動し他の組織に侵襲するガン細胞の能力により、他の器官中で形成する腫瘍)であることもある。
【0003】
前立腺ガンは、相対的に無害であり得、または非常に攻撃的であり得る。幾つかの前立腺腫瘍は、ゆっくり成長して行き、殆ど臨床的な症状を引き起こさない。攻撃的な前立腺腫瘍は、リンパ節および他の器官、特に骨へ急速に拡がる。前立腺ガンの成長は、テストステロンのような男性ホルモンの供給をブロックすることにより阻害され得ることが知られている。しかしながら、前立腺ガンは結局進展し、男性ホルモンに依存しなくなる(すなわち、アンドロゲン−非依存性前立腺ガン細胞になる)。これらの細胞は、攻撃的で悪性の前立腺ガンと関連している。
【0004】
全ての雄の哺乳類は前立腺を持っているが、ヒトおよびイヌだけが、自然に前立腺ガンを進展させることが知られている。
【0005】
前立腺細胞の生物学の研究に関しての有用なモデルであるとされる数多くのモデル系がある。米国特許第5,874,305号は、1層に成長する前立腺細胞株を記載している。該細胞株は、アンドロゲン−非依存性(男性ホルモンの添加に対して感受性でない)前立腺ガン細胞株である。これらの細胞は当業界において知られており、攻撃的な腫瘍形成能力と相関している。該細胞株は1層に成長し、これ故に前立腺腫瘍の進展の基準となる代表ではない。前立腺ガン細胞がアンドロゲン非依存性になり、治療に対してより抵抗性になる前に前立腺ガン細胞を標的とすることが、出来れば望まれる。
【0006】
40歳を超えた男性では、良性の前立腺肥大およびの前立腺ガンの両方が益々罹患率が高くなって来ているので(Boyle(1994年))、前立腺は主要な医療問題を代表する。上皮および間質の両方が、これらの疾病の進展において役割を演じており、これ故にこれらのタイプの細胞の相互作用を研究するための良いモデルが、非常に重要である。例えば、米国特許第5,917,124号および米国特許第5,907,078号が、前立腺ガンの遺伝子導入マウスモデルを開示している。各特許は、遺伝子導入マウスにおけるSV40T抗原の発現を司る前立腺特異的プロモーターの使用を開示している。前立腺細胞は形質転換されて、前立腺ガンの攻撃的形態を反映するようになる。全ての腫瘍がウィルスで誘導されるわけではないので、これらの遺伝子導入動物は、必ずしも前立腺腫瘍の進展を反映しない。また、アンドロゲン−抑制前立腺腫瘍細胞の研究に関して、この遺伝子導入モデルは、遅い段階の前立腺ガンの攻撃的前立腺腫瘍を反映するのみである。
【0007】
動物モデルは、前立腺の成長および分化を研究するために存在するが(Timms, Lee, Aumueller, および Seitz(1995年))、間質および上皮培養を上手く用いて前立腺の形態および機能分化を作り出す、ヒトの3次元モデルはない。このようなモデルは、前立腺の正常な生理学を理解し、疾病の進展をより良く理解するのに不可欠である。
【0008】
前立腺において、ラット上皮培養物が、コラーゲンゲル(Ma, Fujiyama, Masaki および Sugihara(1997年))および Matrigel(商標)(Freeman, Bagli, Lamb ら(1994年))中で成長されている。コラーゲン中では、これらは前立腺特異的抗原を分泌する腺様構造を形成し、一方 Matrigel 中では、正常な形態および機能分化を示さない球状細胞塊が産生された。Matrigel 中で培養された正常なヒト前立腺上皮細胞株は、内分泌およびPSA(前立腺特異的抗原)分泌を示す腺様構造を示したが(Webber, Bello, Kleinman および Hoffman(1997年))、しかしながら初代培養は、僅かな機能分化しか示さない固体の細胞塊を形成した(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
In vivo において見出される前立腺に非常によく似ている前立腺様の腺を前立腺上皮細胞が形成するようになされる培養レジメを提供する in vitro での細胞培養方法を、我々は開発した。我々の方法は、血清、ホルモンおよび適切な細胞基質支持材の組み合わせに依っており、これは該上皮細胞が付着し、増殖し、分化して前立腺様の腺を形成するようにさせる。この系は、クローニングされた前立腺ガン細胞、初代前立腺上皮細胞と同様にクローニングされた正常な前立腺上皮細胞の成長を支持することが出来、P4、E6および初代前立腺ガン細胞のような細胞の寿命を延長し、in vivo での状態を反映する3D構造を提供する。該系は、前立腺細胞の分化および前立腺細胞の形質転換の研究には無価値である。前立腺ガン細胞の増殖および転移を阻害するのに有効であり、前立腺細胞の分化および形質転換の新規マーカーを同定するにも有効である物質の同定における使用のためのツールを、それは提供するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前立腺細胞が付着し増殖する細胞支持基材、ならびに血清、間質細胞抽出物およびホルモンを組み合わせる培養条件を組み合わせる細胞培養方法に関し、該組み合わせは、in vivo の腺と同様の特徴を有する前立腺様の腺の形成を促進する。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、前立腺様の腺の形成のための in vitro での方法が提供され、これは:
i)細胞培養器を提供し、これは:
a)前立腺由来細胞;
b)(a)における該細胞が付着して増殖出来る細胞培養支持基材;
c)血清、間質分画、および適切な比のホルモン(エストロゲンおよびジヒドロテストステロン、またはこれらの機能誘導体)を補った細胞培養培地;
を含み、
ii)該細胞培養器中での該前立腺由来細胞の成長および分化を促進する条件を提供すること
を含む。
【0012】
「細胞培養器」は、前記細胞培養を含有するに適した如何なる手段としても定義される。典型的には、このような細胞培養器の例は、ペトリ皿;細胞培養瓶またはフラスコ;多穴培養皿である。
【0013】
本発明の更に好ましい方法では、この補われた細胞培養液は、該前立腺由来細胞が加えられる血清、間質分画、ホルモンおよび細胞培養培地の混合物を含む。あるいは、または好ましくは、該間質分画は別個の細胞培養器中で提供されるが、この補われた細胞培養液の他の成分とは、この液体中で接触する。典型的には、この別個の細胞培養器は、該間質分画中に含有される該細胞が増殖するようにするが、該細胞培養器中に含有される該前立腺由来細胞との接触を阻害する、挿入物または同様の手段である。
【0014】
腺形成を最大化するには成分の組み合わせが要求されることを、我々は観察した。間質の存在下に、形成される球状細胞塊の数はおよそ2倍になり、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンの添加と共に更に増加した。加えて、共培養中の間質の提示は、挿入物中の間質を、細胞培養支持材(例えば Matrigel)中の上皮と直接混合されたもの、または予め固められたゲルの上に加えられたものと比較することにより試された。挿入物中で共培養された間質が球状細胞塊の最大の形成を作り出すことを、我々の結果は指し示した。
【0015】
本発明の好ましい方法では、該前立腺細胞は上皮細胞であり、好ましくはヒト上皮細胞である。好ましくは、該上皮細胞は前立腺由来であり、これは少なくとも7日間移植片として維持された。
【0016】
単離されたばかりのものよりもむしろ7日間の移植からの上皮細胞の使用の方が、より大きな腺形成効率に至り、引き続いて作り出される腺はより長い期間培養中で維持されることを、我々は観察した。
【0017】
本発明の好ましい方法では、該前立腺由来細胞は正常であり(すなわち、ガン性ではない)、好ましくは上皮細胞である。正常な前立腺上皮細胞は数多くの特徴を呈し、例えば該細胞は分化され、低い運動性を持ち、および非侵襲性である。分化した前立腺上皮細胞は、数多くの特徴的な細胞マーカー、例えばCK8、PSA、PSMA、Eカドヘリンを発現する。
【0018】
本発明の更に好ましい方法では、該上皮細胞は初代前立腺上皮細胞である。
【0019】
1層である細胞株を使用する本方法は、1人の患者から単離された細胞株を典型的には使用する。このことは、該細胞株から産み出される如何なる結果も、男性の集団の代表的なものではなく、前立腺ガン自体のクローンの性質でもないことを意味する。ガンの処置は、個人の遺伝子プロファイルに対してテイラーメイドされなくてはならないであろうということが、現在では信じられている。これ故に、細胞株モデルは、臨床診断に関して要求される多くの疑問に答え、ガン患者にとっての適切な処置レジメを工夫することにおいて、使用を限定してしまうであろう。初代培養は、前立腺上皮細胞の不均一な混合物を提供し、多くの患者に由来され、これ故に細胞および患者の集団の代表であるモデルを提供するが、しかしながら各初代培養細胞株は、各患者に特異的である。
【0020】
本発明の更に好ましい方法では、該前立腺上皮細胞はガン性である。
【0021】
前立腺上皮ガン細胞は、アンカー非依存的な成長、侵襲および転移性の表現型により特徴付けられる。幾つかの上皮ガン細胞は、正常上皮細胞の典型細胞マーカーの発現を欠いて反映される未分化状態によっても特徴付けられる。ガン細胞は、数多くの独自のガン特異的抗原、いわゆる腫瘍拒絶抗原も発現させる。
【0022】
本発明の更に好ましい方法では、組み換え技術により遺伝子工学的に操作されることを特徴とする前立腺上皮細胞が提供される。
【0023】
例えば、そしてこれにより限定するものではないが、プロドラッグ活性化遺伝子が前立腺細胞中へトランスフェクション(形質移入)され、細胞毒性物質としてのプロドラッグの効率をモニターしてもよい。プロドラッグ活性化遺伝子は、その発現が非治療用化合物を治療用化合物へと変換可能なタンパク質の産生を結果的にもたらす遺伝子に関し、該治療用化合物は該細胞を外部因子による殺傷に対して敏感にし、または該細胞中の毒性条件を惹起する。プロドラッグ活性化遺伝子の例は、シトシン脱アミノ化酵素遺伝子である。シトシン脱アミノ化酵素は、5−フルオロシトシンを、潜在的な抗腫瘍剤である5−フルオロウラシルへと変換する。該腫瘍細胞の溶解は、該腫瘍の局在化された点にて、5FC(5−フルオロシトシン)を5FU(5−フルオロウラシル)へと変換可能なシトシン脱アミノ化酵素の局在化された炸裂を提供し、結果的に多くの周辺の腫瘍細胞の殺傷をもたらす。このことは、これらの細胞をベクターで感染させる必要性なしに、数多くの腫瘍細胞の殺傷をもたらす(いわゆる「傍観者効果」)。プロドラッグ活性化遺伝子のもう1つ別の例は、チミジンキナーゼ(TK)(米国特許第5,631,236号および米国特許第5,601,818号参照)であり、ここでこのTK遺伝子産物を発現する細胞は、gancyclovir の投与による選択的殺傷に対して敏感である。このことは単に、本発明による該細胞と組み合わせて使用され得る組み換え方法の例示であると意図されるだけである。他の例は、腫瘍抑制遺伝子(例えばp53)のトランスフェクションを包含してもよい。この用語「腫瘍抑制遺伝子」はヌクレオチド配列に関し標的細胞におけるその発現は、ガンの表現型を抑制し、および/またはアポトーシスを誘導することが可能である。
【0024】
遺伝子工学的な操作をされた前立腺上皮細胞は、正常初代細胞、ガン性初代細胞、クローニングされた正常細胞、またはクローニングされたガン性細胞であってもよい。
【0025】
本発明の更に好ましい実施形態では、該前立腺上皮細胞は、発ガン遺伝子、好ましくはウィルス性発ガン遺伝子(例えば、HPV E6またはE7発ガン遺伝子、SV40T抗原)で形質転換される。
【0026】
核酸を細胞中へ導入する方法は、当業界においてよく知られ、化学試薬、陽イオン性脂質、または物理的方法の使用を典型的に含む。細胞によるDNAの取り込みを容易にする化学的方法は、DEAE−デキストラン(Vaheri および Pagano, Science 175: p434)の使用を包含する。DEAE−デキストランは、マイナスに荷電された陽イオンであり、これは会合してDNAを細胞中へ導入するが、結果的に細胞の生存力の喪失をもたらし得る。リン酸カルシウムも、汎用される化学物質であり、これはDNAと共に沈殿された場合に、該DNAを細胞中へ導入する(Graham et al Virology (1973) 52: p456)。
【0027】
前記の化学的方法により示された程度の毒性を持たないので、陽イオン性脂質の使用(例えばリポソーム、Felgner (1987) Proc. Natl. Acad. Sci USA, 84: p7413 参照)は汎用の方法となっている。該脂質の陽イオン性の頭部は、導入されるべきDNAのマイナスに荷電された核酸骨格と会合する。この脂質/DNA複合体は細胞膜と会合し、該細胞と融合して、この会合されたDNAを該細胞中へ導入する。リポソーム媒介のDNAの移動は、既存の方法を凌駕する幾つかの利点を持つ。例えば、伝統的な化学的方法に抵抗性である細胞は、リポソーム媒介の移動を使用して、より容易にトランスフェクションされる。
【0028】
更により最近では、DNAを導入する物理的方法が、再現性よく細胞をトランスフェクションするに有効な手段となっている。直接の微注入は、細胞の核へ直接DNAを送達することが出来るこのような1つの方法である(Capecchi (1980) Cell, 22: p479)。これは、単一細胞トランスフェクションの分析を可能にする。電気穿孔法は、DNAをトランスフェクションする恐らく最も汎用の方法である。該方法は、高電圧の電荷の使用を含み、細胞膜を瞬間的に透過性にし、該細胞膜を巨大分子複合体に対して透過性にする。しかしながら、DNAを導入する物理的方法は、細胞内の損傷により、結果的に細胞の生存力の重篤な喪失をもたらす。これらの方法はこれ故に、更なる最適化を要求し、高価な装置も要求する。
【0029】
更により最近では、免疫穿孔法と名付けられた方法が、核酸の細胞中への導入に関して認められた技術となっている(Bildirici et al, Nature 405, 769 参照)。該技術は、特異的受容体に対しての抗体でコーティングされたビーズの使用を含む。このトランスフェクション用混合物は、核酸(典型的にはベクターDNA)、抗体でコーティングされたビーズ、および特異的な細胞表面受容体を発現している細胞を包含する。このコーティングされたビーズは該細胞表面受容体に結合し、剪断力が該細胞に適用されると、該ビーズは該細胞表面から引き剥がされる。ビーズ除去の間に、一過性の孔が作り出され、これを通じて、核酸および/または他の生物学的分子が入り得る。40〜50%のトランスフェクション効率が、使用される核酸に依っては達成可能である。
【0030】
本発明の更に好ましい方法では、該細胞の培養支持体は、コラーゲン主体である。
【0031】
なお更に好ましい実施形態では、血清が約0.5%〜4%(v/v)にて提供される。好ましくは、該血清は、1%〜3%(v/v)にて提供される。最も好ましくは、該血清は、約2%(v/v)にて提供される。
【0032】
本発明の更に好ましい方法では、エストロゲンが約10ng/mLにて提供され、ジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、コラーゲン主体の細胞支持体;間質、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンを含む細胞培養組成物が提供される。
【0034】
本発明の更に好ましい実施形態では、エストロゲンが約10ng/mLにて提供され、ジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される。
【0035】
本発明の更なる態様によれば、本発明による方法により形成された前立腺様の腺が提供される。
【0036】
本発明のなお更なる態様によれば、組み換え技術により遺伝子的に修飾された前立腺様の腺が提供される。
【0037】
本発明のなお更なる態様によれば、本発明による方法により形成された前立腺由来の細胞または細胞株が提供される。該細胞または細胞株は、遺伝子工学的な操作をされてもよい。
【0038】
本発明の更なる態様によれば、前立腺ガン細胞の増殖を阻害可能な物質を同定する方法が提供され、該方法は:
i)本発明による培養条件および少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞に関する、該物質の抗増殖活性をモニターすること
を含む。
【0039】
本発明のなお更なる態様によれば、前立腺ガン細胞の転移を阻害可能な物質を同定する方法が提供され、該方法は:
i)本発明による培養条件および少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞の転移をモニターすること
を含む。
【0040】
本発明のなお更なる態様によれば、本発明による方法により同定される物質が提供される。
【0041】
本発明の更なる態様によれば、前立腺細胞の分化マーカーを同定する方法が提供される。
【0042】
本発明の更なる態様によれば、前立腺細胞の形質転換マーカーを同定する方法が提供される。
【0043】
細胞分化マーカーおよび/または前立腺細胞の形質転換マーカーの同定において使用される方法は、免疫原を主体とした技術(例えば、細胞表面マーカーおよび類似のものに対して抗血清を結合させる複合免疫原として、該細胞を使用する)、核酸を主体とした技術(例えば、正常な腺および形質転換された腺からのcDNAを使用する、分化に関するスクリーニング)を包含する。
【0044】
また、長年の間、腫瘍細胞は数多くの腫瘍細胞特異的抗原を産生し、これらの内の幾つかは該腫瘍細胞表面に提示されることが知られてきた。これらは一般に腫瘍拒絶抗原として言及され、腫瘍拒絶抗原前駆体として言及されるより大きなポリペプチドに由来する。腫瘍拒絶抗原は、HLAを介して免疫系に提示される。免疫系は、これらの分子を異物として認識し、自然に選択し、これらの抗原を発現している細胞を破壊する。形質転換された細胞が検出を逃れて樹立された場合、腫瘍が進展する。優れた腫瘍拒絶抗原を主体としたワクチンが開発され、腫瘍の樹立に対しての前もっての防御を個人に提供している。本発明による方法は、腫瘍拒絶抗原および前駆体を同定する手段を提供し、これは、この患者自身の免疫系が前立腺腫瘍のこの樹立を妨げるように促すワクチン開発に関する利用を保有するであろう。
【0045】
本発明のなお更なる態様によれば、正常前立腺細胞からの前立腺ガン細胞の発達を分析する in vitro の方法が提供され、該方法は、本発明の方法により形成された腺を、前立腺細胞の形質転換を誘導可能な少なくとも1つの物質に曝すことを含む。
【0046】
本発明の好ましい方法では、該正常前立腺細胞は、発ガン遺伝子、好ましくはウィルス性発ガン遺伝子で形質転換される。
【0047】
ガン細胞の特徴の多くを有する形質転換細胞へと正常細胞を形質転換可能な物質があることは、当業界でよく知られている。これらは、例示するだけであるが、ウィルス、DNAと相互作用する物質、発ガン遺伝子、テロメラーゼ遺伝子を包含する。本願に記載の実施形態は、レトロウィルス(両栄養性)を使用するE6遺伝子の導入である。
【0048】
本発明の更なる態様によれば、形質転換された前立腺由来細胞が提供され、ここで該形質転換は、レトロウィルスベクターを含む核酸分子により仲介され、これはウィルス性発ガン遺伝子をコード化する核酸分子を包含する。
【0049】
好ましくは、この形質転換された前立腺由来細胞は、前立腺上皮細胞である。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、該レトロウィルスベクターは、両栄養性レトロウィルスである。
【0051】
本発明の更に好ましい実施形態では、該発ガン遺伝子は、ヒトパピローマウィルス発ガン遺伝子、好ましくはE6またはE7発ガン遺伝子である。好ましくは、該ヒトパピローマウィルスはHPV16であり、該発ガン遺伝子はE6である。
【0052】
本発明の更なる態様によれば、ヒトパピローマウィルス発ガン遺伝子を包含するレトロウィルスベクターが提供される。好ましくは、該発ガン遺伝子はE6またはE7発ガン遺伝子である。
【0053】
本発明の更なる態様によれば、前立腺由来細胞を形質転換する方法が提供され、該方法は:
i)前立腺由来細胞を含む細胞試料を提供し;
ii)本発明によるベクターを提供し;
iii)(i)および(ii)の調製物を形成し;
iv)該前立腺由来細胞が形質転換される形質転換条件を提供する
段階を含む。
【0054】
本発明の好ましい方法では、該前立腺由来細胞は、前立腺上皮細胞である。
【0055】
本発明の実施形態は、以下の図面に言及しながら例示のみにより今から記載される。
【0056】
[材料および方法]
他に述べられていなければ、一般的な化学物質は Sigma(シグマ)(Poole, UK)から購入され、組織培養培地は Life Technologies(Paisley, UK)から、組織培養プラスチックは Corning Costar Ltd.(High Wycombe, UK)から購入された。述べられていなければ、抗体は Dako(High Wycombe, UK)から購入された。
【0057】
[細胞株培養]
STO細胞(マウス胚線維芽細胞)が、European Collection of Animal Cell Cultures(Porton Down, UK)から得られ、10%牛胎児血清(PAA Laboratories, GmbH, Linz, Austria)および2mMグルタミン(Life Technologies)を補ったDMEM培養培地(Life Technologies, Paisley, UK)中で通常通り培養された。細胞は、37℃および5%CO2での湿度を与えられた雰囲気中、抗生物質なしに通常通りに培養された。
【0058】
[前立腺組織採集]
非悪性組織が、良性の前立腺肥大に対しての経尿道的切除、または膀胱ガンに対しての膀胱前立腺切除を受けている同意患者から得られた。7つの試料が上皮培養のために採集され(年齢幅54〜86歳)、5つの試料が間質培養のために採集され(年齢幅57〜89歳)、表1にまとめられた。
【0059】
[前立腺初代培養細胞]
上皮および間質培養物が調製され(Lang, Clarke, George, Allen および Testa(1998年))、前記のように特徴付けられ(Lang, Stower および Maitland(2000年))、これらの方法は Chaproniere McKeehan によるもの(45)に基づいたものであった。簡潔には、前立腺組織はコラゲナーゼおよびトリプシンにより消化され、分画遠心分離が使用されて、上皮および間質画分に関して豊富にした。この豊富にされた間質画分は間質細胞成長培地(10%FCSおよび1%抗生物質/抗真菌物質溶液を補ったRPMI1640培地)中に再懸濁され、通常通り75mL組織培養フラスコ中で培養された。間質培養が、2〜5代の間で使用された。該上皮画分が、5ng/mLの上皮成長因子、50μg/mLの牛下垂体抽出物、および1%抗生物質/抗真菌物質溶液を補ったケラチノサイト無血清培地(KSFMとして引き続き言及される培地)中に再懸濁され、細胞篩(40μm)を通過されて、単一種類の細胞を得た。単一種類の細胞は、更なる実験に直ちに使用され、保管のために凍結され、または25mLフラスコ中へ播種され、8mLのKSFM中、1週間成長された。
【0060】
間質により条件を整えられた培地は、15mLの無血清培地(10μg/mLのインシュリン、5μg/mLのトランスフェリン、および1ng/mLのセレンを補ったDMEM/F12)中で48時間培養物をインキュベートすることにより、間質細胞の融合培養物から採集された。条件を整えられた培地は除去され、濾過され(0.2μm孔)、必要とされるまで−20℃にて凍結された。
【0061】
[細胞培養およびウィルス]
PA317マウスのパッケージされた細胞株(ATCC CRL−9078)が、American Tissue Culture Collection から得られた。レトロウィルストランスファーベクターpLNCXおよびpLXSNは、Clontech により上市されている RetroX キットの一部として得られ得る。
【0062】
[レトロウィルス導入に関しての初代前立腺上皮培養の設定]
この方法は、前立腺上皮のために最適化されたが、組織解離の如何なる方法も用いられ得る。両栄養性レトロウィルスの手順についての臨床的な段階は、該ウィルスのライフサイクルがG0細胞中で完結されないので(この場合であれば、レンチウィルスベクターが置換され得る)、分割細胞培養を得ることである。
【0063】
[培養用の生検の調製]
組織は、無菌ペトリ皿中で機械的に解離され(チョップされ)、1mLの輸送培地(RPMI1640、3%(v/v)馬血清、50μgmL−1のゲンタマイシン(シグマ)、2.5μgmL−1の Fungizone)中で、直径1mm2片を産生する。
【0064】
[体外移植培養中の生検材料の播種]
使い捨て可能なトランスファーピペットを使用して、この解離された生検は吸引されて0.2μmの脱気孔を有する蓋(Corning)を有する25cm2の組織培養フラスコへ移される。該初代培養用に選ばれる培地は、どこにでも記載されている(初代培養培地)。この解離された組織検体の大多数は、組織培養プラスチック上へ直接播種されるべきだが、ポリリジンおよびコラーゲンのような他の基質は、該体外移植片の接着を助けるのに使用され得る。
【0065】
[組み換え両栄養性レトロウィルスの維持および成長]
レトロウィルス用の産生者細胞株を生成させるには、該組み換えDNAトランスファーベクターが該パッケージ細胞株(PA317)中へトランスフェクションされなければならない。このことは、バクテリア中で操作された、その最も原始的な形態のレトロウィルスの原ウィルス形態を模倣しているトランスファープラスミドベクター、すなわち、ウィルスのLTR配列に隣接されている導入遺伝子をコードしている領域中への、不死化遺伝子の挿入を要求する。多くのこのようなトランスファーベクターが存在し、この例で使用される不死化遺伝子は、pLXSN(Genbank 寄託番号M28248)中に挿入される。このベクターも、SV40プロモーター制御ネオマイシン/G418耐性遺伝子を含有し、該産生者細胞の選択を行えるようにする。該不死化遺伝子(ヒトパピローマウィルスからのE6遺伝子)は、該LTR中のレトロウィルスのプロモーターの制御下にある。より優雅な(および究極的により安全な)代替法は、関連したpLNCXトランスファーベクター(Genbank 寄託番号M28247)を使用することであり、ここで該LTR中の該レトロウィルスプロモーターは不活性であり、該不死化遺伝子は、別個であるがより強いサイトメガロウィルス即時型プロモーターの制御下にある。両栄養性レトロウィルスの生成および操作用の完全なキットは、今市販されている(Clontech からの Retro-X)。
【0066】
[レトロウィルス性産生者細胞株]
マウス線維芽細胞株PA317は、組み換えレトロウィルスのための幾つかの有効な宿主の内の1つである。それは、HSV1TK遺伝子で3T3細胞中へ共にトランスフェクションされたトランスファーベクターpMAM3からの、gag、pol、およびenvオープンリーディングフレームを含有する。該gag、pol、およびenv遺伝子は本質的に発現され、pLXSNのようなレトロウィルス性末端LTR配列由来の適切なパッケージシグナルと共に、如何なる小さなRNA(<9kb)に関してもこの「パッケージ」機能を提供する。
1.該細胞株は、D10培地中に維持され、標準的な技術を使用して、4〜5日毎に1:10〜1:40で継代培養される。
2.反復凍結保管されたPA317が、40%DMEM、50%FCS、および10%DMSO中で調製され、液体窒素中で保管される。
【0067】
[組み換え両栄養性レトロウィルスの生成および保管]
PA317中への全てのトランスフェクションは、Dosper(登録商標)トランスフェクション(ロシュ)試薬を利用して行われる。
1.接着性細胞は、トランスフェクション前に48時間、そして再び、50〜80%の合流にてトランスフェクション前に24時間、1:2で継代される。
2.1μgのトランスファープラスミドDNAが、3.125μLの Dosper 試薬と混合され、無血清培地が約0.1mLまで加えられる。この反応は、15分間20℃にてインキュベートされる。
3.トランスフェクションの直前に、10容積の適切な完全培地がこのトランスフェクション混合物に加えられ、この完全な混合物は、穏やかに細胞上へとピペッティングされる。
4.トランスフェクションは5〜12時間37℃にて行われ、この後、該トランスフェクション混合物は新鮮完全培地で置き換えられる。
5.トランスフェクションされた細胞は、6〜16時間インキュベートされ、この後、該細胞は1回PBSで洗浄され、更なる24〜48時間、25cm2につき1mLのD10培地が加えられる。
6.一過的に産生されるレトロウィルスは、この成長培地を除去し、0.45μm円盤での濾過(Supor(登録商標)、Gelman Sciences)により除去される細胞を漂わせることにより採集される。
7.このレトロウィルス含有上清は、数ヶ月までの間4℃にて保管され得、または更なる修飾なしに−80℃にて凍結され得る。
【0068】
[ウィルスのストックの滴定]
1.HaCaT細胞((18)からのATCC番号)が、25〜30%の合流にて6ウェルを有する組織培養プレート中へ植え付けられ、12〜24時間完全に接着するようにしておかれる。
2.培地が、8μg/mLヘキサジメトリンブロミド(polybrene)を含有する0.7〜1mLの新鮮なDF10で置き換えられる。10μLの一連の希釈レトロウィルス上清(1:1、1:2、1:10、1:100、1:1000、1:10000)がこの調製されたHaCaT細胞に加えられ、37℃にて4〜12時間インキュベートされる。
3.この形質導入が完結された後、該レトロウィルス上清は除去され、該細胞は数回PBSで洗浄され、更に48時間、DF10完全培地中に維持される。
4.HaCaT細胞はその後、500μg/mLのG418(登録商標)(pLNCXまたはpLXSNシリーズ)を含有する選択培地でインキュベートされる。選択は、3〜4日毎に培地を代えながら10〜20日間行われた。
5.生成したコロニーの視覚化のために、該細胞は Giemsa の染色溶液(BDH)で染色されることが可能である。該培地が除去され、細胞は1回PBSで洗浄され、500μLの Giemsa の染色溶液が各ウェルに加えられる。細胞は10〜20分間インキュベートされ、過剰な染色溶液が tab の水で数回洗浄されて除去される。この染色固定された細胞は風乾され、コロニーが数えられる。
6.力価は以下のように計算され、1mLのウィルスについてのコロニー形成単位で表現される(cfu)((19)に従って)。
【0069】
【数1】
【0070】
[初代前立腺上皮の不死化]
実際の不死化の手順は、前記プロトコルの延長であり、前記組み換えウィルスのストックをアッセイするのに使用される。前立腺上皮細胞は、従来の沈殿またはリポソーム仲介の技術によりトランスフェクションすることがよく知られているように難しいが、レトロウィルスに関連した我々の経験は、該細胞が殆どの哺乳類の細胞株と同様の高い効率で容易に感染し得ることを指し示している。
【0071】
[ウィルスのストックでの初代前立腺上皮細胞の感染]
初代前立腺上皮細胞の感染のために、未希釈のウィルスのストックが使用される。
1.培地が、該前立腺細胞の外殖から引き離される。
2.25cm2のフラスコにつき8μgmL−1にて polybrene と共に1.5mLのウィルスを添加する前に、細胞がPBS中5分間×2回洗浄される。細胞は、37℃、5%CO2にて2時間、該ウィルスの存在下にインキュベートされる。
3.この後、この polybrene 含有培地は除去され、該細胞はPBSで5分間×2回洗浄される。これは新鮮なD10培地で置き換えられ、25μgmL−1におけるG418での選択前に、更に48時間、該細胞はインキュベートされる。
【0072】
[トランスフェクションされた細胞のリングクローニング]
薬剤による選択の10〜14日後に、別個のコロニーが観察され、これらは個々に12.5cm2フラスコ中へリングクローニングされ得るものである。
1.細胞はPBS−Ca2+/Mg2+中で3分間×2回洗浄され、該フラスコの蓋は無菌条件下に切り落とされる。
2.無菌ガラスリング(直径10mm)が、オートクレーブされたパラフィンゼリー中に浸され、これらの個々のコロニーの上に置かれ、シールを作り出す。
3.500μLの0.25%(v/v)トリプシン/EDTAが該リング中に置かれ、PBSと一緒に直ちに吸引された。
4.トリプシンが再び適用され、該細胞がモニターされる。それらが丸くなり始めたら、細胞は穏やかに上下にピペッティングされ、R10培養培地を含有するフラスコ中に置かれる。
この単離されたコロニーは、それらがより大きな組織培養フラスコ中へと継代培養され得るまで、37℃、5%CO2にてインキュベートされる。
【0073】
[DNA精製のための細胞の持ち上げ]
不死化の過程をモニターするために、およびこの不死化細胞の原点の指標を提供するために、上皮細胞の成長している不死化コロニーからのミクロアッセイが行われ得る。以下の手順を使用して、いずれかの既知の遺伝子のPCR増幅(本来の腫瘍および該細胞外殖間で、変異の状態を比較するため)またはミクロサテライト1本鎖ヌクレオチド多型分析を行うに充分な細胞が得られる。後者の分析に関する全プロトコルは、どこででも入手出来る。
1.培地が、成長している細胞から吸引され、これはその後PBS中で5分間×2回洗浄される。
2.4角い3MMの紙が切られ(3×3mmを測りながら)、ガラスペトリ皿中でオートクレーブにより無菌化される。
3.無菌の押型を使用して、この3MMの4角い紙は該細胞上へ置かれ、20秒間放置され、その後、200μLのDNA抽出緩衝液を含有するエッペンドルフチューブ中へと除去される。
4.新鮮な培地がこの培養細胞へと補充され、これはその後成長し続けることが出来る。
5.この3MMの4角い紙は、以下のように加工される。50μL(またはこれより多い)が、この3MMの4角い紙を含有するエッペンドルフチューブへ加えられ、42℃にて終夜インキュベートされる。
6.翌日、プロテアーゼKが8〜10分間の95℃におけるインキュベーションにより不活性化され、該紙は該チューブの底へ遠心分離されるか、または無菌のチップで注意深く除去された。
7.この結果得られた溶液は、10%以下のPCR反応の最終容積を作り上げるために使用されると、PCR増幅および更なる分析について用意が整う。
【0074】
[感染細胞中のE6DNAの検出]
1.細胞は遠心分離によりペレット状にされ、そのDNAは標準的な方法により抽出される。20ngのDNAがPCR用基質として使用される。
2.反応混合物は、2mMのdNTP、0.05%のW−1、1.5mMのMgCl2、0.3μLの正および逆プライマー(記6参照)、および0.5UのTaq.DNAポリメラーゼを含有する。55℃においてのアニールを伴った35回転の増幅は、該不死化細胞中に保持される低いコピー数のE6を検出するに充分である。
3.PCR産物(455塩基対)が、1%(w/v)アガロースゲル中での電気泳動により検出される。
【0075】
[E6mRNAを検出するためのRT−PCR]
1.5μgの全細胞RNAが、0.5μLのRNA防護溶液(ベーリンガー・マンハイム)、500ngのオリゴ−dTプライマー、および無菌ddH2Oと共に、10.5μLの容積まで、DEPC処理されたエッペンドルフチューブ中へピペッティングされる。
2.該チューブは10分間70℃に加熱され、氷上で時折冷却される。該エッペンドルフチューブはその後 microfuge 中でパルスを与えられ、内容物を集める。
3.cDNA合成反応が、0.5μLのRNA防護溶液、IX Superscript 緩衝液(ベーリンガー・マンハイム)、10mMのDTT、1mMのdNTP、および200Uの Superscript 酵素の添加により設定される。
4.該チューブの内容物は、穏やかに混合され、1時間42℃にてインキュベートされる。この期間の後、該cDNAは、0.05容積のグリコーゲン溶液、0.5容積の3MのNaCl、および3容積の純粋エタノールの添加により、1時間−80℃にて沈殿される。
5.該cDNAは、5分間4℃、15,000rpmにての遠心分離によりペレット化され、その後氷冷70%エタノールで最終的に洗浄され、該ペレットは風乾されて、20μLの無菌ddH2O中に再懸濁される。
6.2μLのcDNAが、E6の発現を検出するためのPCR用の基質として使用される。この反応混合物も、2mMのdNTP、0.05%のW−1洗剤、1.5mMのMgCl2、3ピコモルの正および逆各プライマー(記6参照)、1×PCR緩衝液、および1UのTaq.DNAポリメラーゼ(Gibco-BRL)からなる。
7.産生物は、図20に示されるように1%(w/v)アガロースゲル中での電気泳動により再溶解される。
【0076】
[Shmac細胞株]
Shmacシリーズの前立腺上皮細胞株は、連続した一連の組織生検に由来し、前記のように初代培養中の移植片として成長され、Maitland et al(2001)に記載のようにE6レトロウィルスで感染された。薬剤(G418)耐性により選択された個々の集団は(P4E6のように)不死性ではないが、延長された寿命を持つ。
【0077】
[細胞株の不死化および培養]
Shmac2、3および6細胞は、良性の前立腺肥大に由来するものであった。Shmac4細胞は、よく分化された腫瘍(1+2)に由来し、Shmac5は中程度に分化された腫瘍(3+3)に由来した。P4E6は、よく分化された腫瘍 Gleason score 4(Maitland et al(2001年))に由来する前立腺上皮細胞から不死化された。上皮細胞株は、2%牛胎児血清(PAA Laboratories, GmbH, Linz, Austria)、5ng/mLの上皮成長因子、および25μg/mLの牛下垂体抽出物(K2)を補ったケラチノサイト無血清培地中で通常通りに培養された。
STO細胞(マウス胚線維芽細胞株)が、European Collection of Animal Cell Cultures(Porton Down, UK)から得られ、10%牛胎児血清および2mMグルタミンを補ったDMEM培養培地中で通常通りに培養された。全ての細胞は、37℃および5%CO2での湿度を与えられた雰囲気中、抗生物質なしに通常通りに培養された。
【0078】
[Shmac細胞株の細胞形態学および成長アッセイ]
相の画像が、Nikon TE300 倒立顕微鏡を用いて観察され、JVC3-CCD ビデオカメラで撮影された。画像は、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続いて準備された。成長アッセイに関して、細胞が適切な培地中、104細胞/mLの濃度にて調製された。200μLの細胞溶液が、その後96穴プレートのウェルへ加えられた。細胞は、培地を代えられて、3〜4日毎に数えられた。細胞数のカウントは、トリプシンを与えられた後、血球計算器により行われた。細胞溶液は、トリパン・ブルーで希釈され、生菌数が数えられた。
【0079】
[Shmac細胞株に関する侵襲および転移アッセイ]
両方のアッセイが、Lang et al(2000)に詳述されるように行われた。簡潔には、転移は、約8〜16細胞の上皮細胞コロニーを観察することにより測定された。位相差画像が、JVC ビデオカメラを使用して8時間、4分毎に撮影され、Scion Image CG7 frame grabber(Scion Corporation, Frederick, Maryland, USA)を使用して、コンピューター上に記録された。転移は、Mohler et al(1988年)の方法に基づいて、膜の波打ち、擬足的な、および並進的な動きを査定することによりスコア化された。
【0080】
侵襲は、無血清培地中の Matrigel(Becton Dickinson, Oxford, UK)でコーティングされた細胞培養挿入物(8μm孔、Becton Dickinson)に侵襲している上皮細胞の数を数えることにより測定された。挿入物は、STO間質細胞の合流培養を含有する24穴プレート中に置かれた。上皮の侵襲は終夜測定され、この後、該挿入物は除去され、クリスタルバイオレットが、該挿入物の下側に侵襲した細胞を染色して数えるのに使用された。
【0081】
[CD44+上皮細胞の単離]
初代前立腺上皮(106個の細胞)の単一細胞懸濁が、4℃にて5分間、2.5μgの抗CD44(Pharmingen, Becton Dickinson UK Ltd., Oxford, UK)でラベルされ、その後、2mMのEDTAおよび0.5%(w/v)のBSAを補ったPBSを更に使用して洗浄された。抗体はその後、15分間4℃にて、20μLのヤギ抗マウスMACSミクロビーズ(Miltenyi Biotec Ltd., Bisley, UK)に結合され、該細胞は再び更に洗浄され、この後該細胞はMACSカラムへ加えられ、このラベルされた基底細胞は溶出されて、適切な培養培地中に再懸濁された(基底細胞は、全上皮細胞集団の10〜43%形成された)。
【0082】
[Matrigel 中での細胞培養]
上皮細胞は、KSFM中60,000細胞/mLの濃度にて調製された。氷上で、それらは Matrigel(Becton Dickinson, Oxford, UK)と1:1(v/v)で混合され、0.25mLの分取が、引き続き24穴プレート中へ植え付けられた。該 Matrigel は、30分間37℃にてインキュベートすることにより固められた。間質との共培養を要求する実験用に、間質が細胞培養挿入物上ヘと前もって成長され、これらはその後 Matrigel /上皮細胞混合物の上に置かれた(図1に例示される)。1mLの要求される成長培地が各ウェルへ加えられ、細胞はこの後、0.5mLの消費された培地の除去および0.5mLの新鮮な培地の追加により、3日毎に培地交換された。等価なバッチの Matrigel が全体を通じて使用された。位相差画像は、Nikon TE300 倒立顕微鏡を用いて観察され、JVC3-CCD ビデオカメラで撮影された。画像は、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続いて調製された。
【0083】
[透過電子顕微鏡検査]
Matrigel 中で成長する細胞は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄され、その後、100mMのリン酸緩衝液、4%のパラホルムアルデヒド(TAAB、UK)および2.5%超純粋グルタルアルデヒド中、室温にて1時間固定された。細胞は、Allen および de Wynter(46)により記載されたように、電子顕微鏡検査に向けて更に加工された。濃い区画が1μmにて切り取られ、0.3%重炭酸ナトリウム中で0.6%トルイデン・ブルーで染色された。70nmの区画が切り取られ、50%エタノール中で飽和酢酸ウラニルで、その後 Reynolds クエン酸鉛で染色され、Jeol JEM 1200 Ex 透過電子顕微鏡で観察された。
【0084】
[蛍光免疫染色]
Matrigel 中で成長する細胞は、該ゲルをOCT化合物(BDH, Poole, UK)中に包埋した後に、液体窒素中で時折凍結された。包埋されたゲルは、−20℃にて保管された。7μmの区画が Leica の低温槽上で切り取られ、Super frost 顕微鏡スライド(BDH)上へとマウントされた。
【0085】
免疫染色が、表2に従って行われた。抗体は、1%牛血清アルブミンを補ったPBS中で調製された。各段階は、PBS中での3回の洗浄を伴った。初代抗体が、1時間室温にてインキュベートされ、第2抗体が30分間インキュベートされた。球状細胞塊が、1μg/mLのDAPIを用いて対比染色された。カバーガラスが、Cityfluor(Agar Scientific Limited, Stansted, UK)を使用してスライドへのせられた。免疫染色された培養物が、Nikon Eclipse TE300 蛍光顕微鏡を使用して観察され、写真撮影された。デジタル画像が、Adobe Photoshop 4 を使用して引き続き調製された。
【0086】
[共焦点顕微鏡検査]
OCT中に包埋された試料は20μmにて区分けされ、前記のように免疫染色された。区画はその後、MRC1000 Biorad Confocal Microscope(Hemel Hempstead, UK)を使用して、1μmの層にて観察された。
【実施例】
【0087】
[実施例1]
非悪性前立腺上皮の7日間培養物が、Matrigel 中へ直接単一細胞として播種され、KSFMの存在下に、該単一細胞は、形が不規則な球状細胞塊へと発展した(図1a)。TEMは、これらの球状細胞塊が立方体のような、および階層化された両方の細胞の固体の塊であり、それらの外見は肥大した成長と一致するものである(図1b)ことを論証した。該球状細胞塊の中心には、壊死の証拠があった。この中央の階層化/立方体様細胞は、非常に密な細胞−細胞接触を持っていたが(図1c)、より外側の立方体様細胞は、お互いにはるかによりルーズに接触しており、相対的に疎な細胞質、および張り出した仁を有する長くなった核を持っていた。高い力の倍率が、両方の細胞型(図1cに示された実施例)の間に存在する細胞間橋様および密接様細胞接触と一致した、沢山の接合を有する複合体があることを指し示した。エストロゲン、ジヒドロテストステロンまたは前立腺間質培養により条件付けられた培地の存在は、その形態学に影響を及ぼさなかった(結果は示されていない)。
【0088】
該培地への2%血清の添加は、該球状細胞塊がより小さい密度を現すようにし(図2a)、TEMは、このことが該球状細胞塊が管腔を発展させることによるものであることを指し示した(図2b)。該球状細胞塊は、1/2の上皮細胞層を持ち、形は立方体様または円筒状であった。微柔毛は、該上皮の管腔状端にて観察されたが、分極の他の徴候は明らかでなかった。ゴルジ体、分泌小胞、および積層された粗い小胞体(RER)は全て存在し、分泌機能との一貫性を伴っていた。基底板は全く観察されず、接合複合体は殆ど観察されなかった。血清はこれらの実験に包含され、間質の成長を支えた。
【0089】
探索は、間質、エストロゲン、およびジヒドロテストステロンが、前立腺上皮の分化を誘導するのに要求されることを示した(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))。Matrigel 中で成長する上皮へのこれらの因子+血清の添加は、形が規則的なコンパクトな球状細胞塊の形成に至った(図3a)。TEMは、該球状細胞塊が、それらが近くで組織化され円筒状である1または2層の上皮細胞層により取り囲まれた管腔を含有するので、in vivo の腺に似ていることを論証した(図3b)。より高い倍率(図3c)は、核が優性に基底である一方、微柔毛、ゴルジおよび分泌小胞が前記管腔側へと組織化されるように、該細胞が分極化されることを指し示した。ゴルジは一貫して大きく、積み重ねられたRERは明確であった。より数多くの接合複合体(細胞間橋様、および密接合(タイトジャンクション)様)が横向きに見られ、優性に管腔に向かっていたが、非接触基底板は全く見られなかった。
【0090】
この実験は、3つの異なる上皮培養(B、C、D)に関して並行して行われた。この結果は、全てに関して似たものであったが、試料Cだけが(図1〜3に示される)、間質の存在下に高い程度の分極化を論証した(図3b)。試料BおよびCは、円筒状または立方体様の上皮を伴った球状細胞塊を含有する管腔を産生したが、分極化はしなかった。
【0091】
表1は、K2、DHT、Oesおよび間質における全ての繰り返し実験をまとめている。これらの培養条件における実験全体は、2/4の試された上皮の試料(C、J)における、円筒状の分極化された上皮の証拠を示した。2つの別個の実験において、球状細胞塊は、無血清条件下には(試料FおよびG)成長しなかった。図1に例示されたように、2%血清中での成長は、一貫して管腔を伴った球状細胞塊の形成に至り(5/7の試料)、成長しなかったり(試料F)不規則な球状細胞塊の形成があったり(試料G)ということには至らなかった。成長を示さなかった試料は、間質の存在下でのみ球状細胞塊を産生し、この瞬間では該球状細胞塊は不規則であった。2%血清中で不規則な球状細胞塊を産生した試料は、間質の存在下に管腔を産生したが、上皮は、分極化の証拠なしに、立方体様、円筒状および積層状であった。引き続いて、分極化のTEM分析が、コンパクトな腺様球状細胞塊が観察された場合のみ行われた。
【0092】
前立腺中の基底上皮はCD44(25)を発現し、Matrigel 培養中でよりよく分化する候補となる上皮の集団を代表することがある。これ故に、我々は(7つの内)4つの前立腺上皮調製物(F、G、I、J)からCD44陽性の上皮を選択した。全上皮集団(試料B、C、D)から産生されたものに比較して、球状細胞塊形成または形態学において特筆すべき相違は観察されなかった。しかしながら、CD44陰性の上皮集団は、Matrigel 中全く成長を示さなかった(結果は示されていない)。該試料(B、F)の内の2つは、K2、DHT、OESおよび間質中で成長された場合に発芽および管状構造を形成し、更なる2つも(D、G)、間質なしで成長された場合に(例は図4に示される)このような形態学を呈した。発芽および管状構造を産生した全ての試料は、積層された上皮を伴っていた。上皮は前立腺管または腺において正常に積層されないので、我々は我々の研究を腺様球状細胞塊に集中させた。
【0093】
[実施例2]
間質培養物の存在は、上皮試料の球状細胞塊形成効率を有意に上昇させることが見出された。図5は、およそ等しい数の球状細胞塊が、KSFMおよびK2中で形成したことを指し示している(試料C)。間質の存在下に、形成された球状細胞塊の数はおよそ2倍になり、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンの添加で更に増加した。並行して試された他の2つの試料(BおよびD)は、間質の存在下にのみ増加した球状細胞塊形成を示したが(およそ2倍)、ホルモンは更なる効果を持たなかった。間質の存在下での増加した球状細胞塊形成は、別個の機会に試された更に3つの試料(F、G、J)に関して再現された。加えて、この共培養中での該間質の提示は、挿入物内の間質を、Matrigel 中で上皮と直接混合されるか、または予め固められたゲルの上に加えられるものと比較することにより試される。我々の結果は、挿入物内で共培養された間質が最大の球状細胞塊形成を作り出すことを指し示した。加えて、間質を提示する異なるやり方は、球状細胞塊の形態学に影響を持たなかった(結果は示されていない)。我々は、7日の移植からの上皮細胞の使用が、新鮮に単離されたものよりもむしろ、より大きな球状細胞塊形成効率に至り、引き続いて産生された該球状細胞塊がより長い期間培養中に維持されることも観察した(結果は示されていない)。
【0094】
[実施例3]
Matrigel 内で形成する上皮球状細胞塊の大きさおよびタイプは(不規則かまたは腺様か)、試料間で変動した(表1にまとめられている)。しかしながら我々は、間質の共培養が、より小さな大きさの球状細胞塊を有意に産生することを一貫して観察した。図6は、Matrigel およびK2中1週間後、等しい数の直径0.1mmおよび0.2mmの上皮球状細胞塊が成長したことを示している(22細胞/フィールドは球状細胞塊を形成しなかったが、単一細胞として維持された)。全体で、平均30球状細胞塊/フィールドが形成された。初代および細胞株の間質存在下に、36および42合計平均の球状細胞塊/フィールドがそれぞれ形成されたが、優性に直径0.1mmであった。特筆すべきことに、STO細胞との共培養は、より数多くの球状細胞塊形成に至った。
【0095】
[実施例4]
球状細胞塊は区分され、蛍光免疫組織化学により染色され、無血清条件中で成長されたものの表現型のプロファイルを、血清、間質およびホルモンと共に成長されたものと比較した。該球状細胞塊は、種々の分化マーカーを調べることにより表現型化された。管腔状の前立腺上皮は、サイトケラチン18および前立腺特異的抗原(PSA)(Nagle(1996年))を使用して同定され、一方基底上皮細胞は、基底サイトケラチン(1、5、10、14)、CD44およびβ1インテグリン(Knox, Cress, Clark, et al(1994年))を使用して同定された。Vimentin は、それが分化を反映し得るので(Iwatsuki, Sasaki, Suda および Itano(1999年))分析された。アンドロゲン受容体、PSAおよび前立腺特異的膜抗原(PSMA)が、機能分化マーカーとして働いた(30、31)。最終的に、細胞接着分子、E−カドヘリンおよび desmoglein も分析された。これらの結果は表2にまとめられ、各染色の例は、図7、8および9に示される。中間フィラメントは、異なるタイプの球状細胞間で似た強度で染まった(表2)。しかしながら、サイトケラチン18、および1、5、10、14の局在化は、異なる球状細胞塊間で変動した(図7)。KSFM存在下に成長された球状細胞塊は、該球状細胞塊の外側末端にて該上皮中サイトケラチン1、5、10、14の発現を示したが、一方サイトケラチン18は、該球状細胞塊の真ん中に、細胞により独立に発現された。血清および/または間質の存在下に成長された球状細胞塊は、優性にサイトケラチン18陽性であったが、サイトケラチン18、および1、5、10、14の共局在化も観察された。PSAは全ての球状細胞塊中で強く発現されていたが、発現は、間質の存在下に成長された球状細胞塊中で(管腔に向かって)分極化されていた(図8)。PSMAは、全てのタイプの球状細胞塊で強く発現されていたが、発現は、無血清条件中成長された球状細胞塊の外側の細胞中でより強かった(図9)。アンドロゲン受容体は、間質と共に成長された球状細胞塊中で弱く検出されたのみであった(図9)。Eカドヘリンおよび desmoglein は、細胞対細胞接触にて、全ての球状細胞塊により発現された。CD44およびβ1インテグリンは、細胞膜にて同様に全ての球状細胞塊により強く発現されたが、特筆すべきことに、両マーカーは、無血清条件下に成長された球状細胞塊の外側の細胞により発現されたのみであった。加えて、β1インテグリン発現は、間質の存在下に強く(基底に)分極されていた(図8)。
【0096】
本研究は初めて、Matrigel 中へ播種されたヒト初代前立腺上皮が、間質、アンドロゲン、エストロゲンおよび血清の存在下に腺様構造を形成し得ることを論証する。これらの腺は、in vivo でのヒト前立腺と一致して、高い程度の機能的(PSA+/PSMA+/アンドロゲン受容体+)および形態学的分化を示す。このことは、これを用いて前立腺の生物学を研究するための非常に有用なモデルを表し、このような系に固有な複雑さを減少させることにより既存の動物モデル(Hayward, Rosen および Cunha(1997年))を補完するであろう。
【0097】
PSA発現は、Matrigel のみ(ここで示される)または間質のみ(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))により誘導され得る。間質なしでの上皮によるPSA発現の誘導は、上皮の分化が部分的に固有のものであることを指し示している。我々のモデルでは、Matrigel および間質両方が、建設的組織化、アンドロゲン受容体発現およびPSAの分極化された分泌を誘導するのに明確に要求された。以前に、ヒト初代前立腺中でのアンドロゲン受容体発現は、一緒に共培養されたが単離されなかった場合に(Bayne, Donnelly, Chapman, Bollina, Buck および Habib(1998年))、上皮および間質両方において観察されており、末期の上皮の分化に対しての両タイプの細胞の重要性を強調していた。この正しい建設的組織化を誘導する間質に対しての要求は、以前にマウスのモデル(32)において論証されていた。我々の結果も、間質の共培養がより数多くの小さな球状細胞塊を産生することを見出したが、このことは、該間質およびホルモンが、成長を抑制したかまたは接着を増加させた(これにより該細胞はより小さな球状細胞塊へとコンパクト化する)ことを指し示しているのかも知れない。間質は、球状細胞塊形成効率を上昇させるのに明らかに重要であった。球状細胞塊形成効率を2倍にする間質の能力は、間質が、より多くの上皮を球状細胞塊を形成するのに動員し得ることを示唆する。もしそれらが既に分化するシグナルを受け取っていた場合、単離された上皮が球状細胞塊を形成し得るが、その後適切な分化を受けることが出来ないことがあり得る。これらの分化経路を支配する因子は未知である。間質由来の1因子である肝細胞成長因子が、初代肺上皮の成長を増加させ、Matrigel 中で形成される球状細胞塊の数を2倍に増加させもする(Sato および Takahashi(1997年))ことが見出された。肝細胞成長因子は、我々自身のモデル系において更に調査するに明らかに値する。
【0098】
Matrigel への未知の血清因子の添加は、腺様構造へのこの球状細胞塊の正しい形態学的組織の産生への何らかの経路を進んだが、間質共培養がより大きな分化については要求された。Matrigel のみの中で培養された哺乳類初代上皮の振る舞いを試す実験は、乳腺特異的タンパク質も発現され得ることを見出した(Chen および Bissell(1989年)(5))。しかしながら、乳腺上皮球状細胞塊は、Matrigel 中で成長され得、血清およびホルモンのみの存在下に機能的および形態学的両方の分化を論証し得る(Barcellos-Hoff, Aggeler, Ram および Bissell(1989年))。間質共培養系は分化を増加させ、我々自身の結果と一致して、管状の形態形成よりもむしろ槽状の形態形成を産生した(Darcy, Zangani, Shea-Eaton et al(2000年))。乳腺の研究は、成長因子/キナーゼ受容体活性化における違いが、槽状または管状形態形成を説明し得ることを示している(Niemann, Brinkmann, Spitzer et al(1998年))。最近の研究は、成長因子およびホルモンの複雑な混合物が、乳腺上皮が間質の共培養と共に Matrigel 中で成長される場合、血清に対する必要性を踏み潰し得(Darcy, Zangani, Shea-Eaton et al(2000年))、このような研究は、前立腺の分化における重要な因子を理解するのに今や明確に要求される。間質の共培養は、卵巣上皮のような他の器官のモデルにおける機能的および形態学的分化の誘導に関しても要求される(Ohtake, Katabuchi, Matsuura および Okamura(1999年))。コラーゲン基材中での尿路上皮の分化は、間質の相互作用により特異的に駆り立てられた基底基材の形成にも依存するが、可溶性の間質因子には依らない(Fujiyama, Masaki および Sugihara(1995年))。以上で論じられた乳腺および卵巣モデルは全て、上皮の直下に形成する完全な基底層の証拠を見出したが、一方我々の結果は、ラット前立腺と共にも報告された現象である Matrigel のみが分化を誘導するに充分であることを示唆する不完全な基底層のみを見出した(Ma, Fujiyama, Masaki および
Sugihara(1997年))。
【0099】
ここで記載の前立腺モデルを作り出す以前の試みは、殆ど恐らく間質培養の欠如のために、形態学的な分化を産生するのに失敗していた。初代ラット上皮(Freeman, Bagli, Lamb et al(1994年))、およびより最近ではヒト初代上皮(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))を使用する早期の試みは両方とも、無血清培地中で球状細胞塊を成長させるのに成功し、両方の例において、肥大した成長の表現型を呈する固形の細胞の球状細胞塊が産生された。このような形態学は、溶解性の間質因子の存在下およびアンドロゲン受容体の発現下においてさえ、明らかである(Hudson, O'Hare, Watt および Masters(2000年))。このこととは矛盾して、前立腺細胞株は、間質なしに植え付けられた場合、Matrigel 中で形態学的および機能的分化を受け得(Webber, Bello, Kleinman および Hoffman(1997年))、このことは不死化の過程が、間質細胞がここで記載されているような充分な分化を誘導する要求を踏み潰し得ることを示唆する。上皮の分化に関しての間充織の重要性は基本的であり、数多くの動物研究により論証されて来た(Timms, Lee, Aumueller および Seitz(1995年)(17))。異なる起源からの間充織は、上皮が異なる経路に沿って分化するよう誘導し得る。例えば、泌尿器の間充織は、膀胱上皮が前立腺への分化を受けるよう誘導し得、泌尿器の幹細胞の潜在的な存在を指し示す(39)。より最近では、疾病の進展に向かっての間質のより大きな寄与が、考えられている。研究は、異なる再現性状態の乳腺(Bemis および Schedin(2000年))または前立腺腫瘍(Lang, SH., Stower, M. および Maitland, NJ.(2000年)非悪性および悪性前立腺における上皮および間質の相互作用の in vitro モデリング。British Journal of Cancer 82(4): 990-997, Hall, J., Maitland, N. J., Stower, M., Lang, S., (2001) Primary Prostate Stromal Cells Modulate the Morphology and Migration of Primary Prostate Epithelial Cells in Type 1 Collagen Gels. Cancer Research 62: 58-62)からの間質が、ガンの進行に関して明らかに重要な特徴である上皮の侵襲および転移を調節し得ることを示している。我々のモデルは、ガンの進行に向けてどのように上皮/間質相互作用が寄与するのかを研究するための有用なツールを提供するであろう。
【0100】
血清存在下での Matrigel 中での球状細胞塊の形成は、上皮の表現型のプロファイルに関して明らかに区別出来る効果を持っていた。無血清培地中で成長された球状細胞塊は、2つの区別可能な細胞区画を示した。該球状細胞塊の外側の細胞は、形態学および表現型において基底であり(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18−/CD44+/β1インテグリン+)、一方中央の細胞は、表現型において中間的(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/CD44−/β1インテグリン−)または管腔状(サイトケラチン1、5、10、14−/サイトケラチン18+/CD44−/β1インテグリン−)であった。全ての細胞集団において、PSAの存在は、この基底様細胞が表現型において初期の中間体でよりありそうなことを指し示す。これらの無血清球状細胞塊は、Hudson et al(21)により以前に産生されたものに似ており、van Leenders et al(42)により1層培養中で産生された発芽構造にも似ている。表現型では、無血清条件中で産生された球状細胞塊は、それらが別個の細胞区画(基底および管腔様の層)を含有するので、より in vivo の腺に似ている。管腔、および円筒状、管腔状上皮の欠如は、それらが形態学的に似ていないことを意味する。血清、ホルモンおよび間質の存在下に成長された球状細胞塊は、形態学的に非常に in vivo の腺に似ている球状細胞塊を産生した。表現型では、それらは中間的(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/PSA+/AR+)または管腔様の(サイトケラチン1、5、10、14−/サイトケラチン18+/PSA+/AR+)上皮プロファイルをを示すが、明らかに区別出来る基底層の存在は失われる。アンドロゲン受容体の存在およびより完全な形態学は、これらの球状細胞塊が無血清条件下に成長されたものよりもより分化されたものであることを指し示す。(如何なる条件下に成長された)球状細胞塊の大部分もが、早期の基底細胞に由来し、わずかなものしか幹細胞集団に由来しないことが考えられ得る。早期の基底細胞に由来するものであれば分化する能力を持つであろうが、基底細胞集団を置き換えることはない。幹細胞に由来するそれらの確認しがたい球状細胞塊は、形態学的に分化された球状細胞塊において、基底および管腔状細胞をこれ故に含有するかも知れない。これらの研究で使用された初代上皮の集団は、それらが増殖性および全能性であるので(基底および管腔状の両方である細胞、積層された円筒状または立方体様細胞、および腺様または管様構造も産生可能である)、幹細胞様(または早期基底細胞)であることが、非常にもっともらしい。CD44+(基底)細胞由来の球状細胞塊は、確実にPSA+/サイトケラチン18+/CD44−(管腔状)細胞を発生させた。この研究は、基底および管腔状の細胞が、前駆体−後代の関係で繋がっている階層関係についての更なる証拠を提供する。基底および管腔状の細胞の幾つかのマーカーの一様でない発現は、推定の幹細胞集団がこの基底層内に存在し、中間的な細胞(サイトケラチン1、5、10、14+/サイトケラチン18+/PSA+)を発生させ、最終的には分化された細胞(サイトケラチン18+/PSA+/AR+)となることを示唆する。
【0101】
我々の実験は、組織試料間で変動を示した。これは、組織試料の多様性および前立腺疾患の非一様な性質を考えれば期待されないものではない。実際、このタイプの分析は、2、3の細胞株の分析よりも、我々をより前立腺腫瘍の表現型に近付けてくれるであろう。組織が得られる患者の年齢も、培養において役割を演じる。我々の実験(表1)では、70〜90歳からの組織の培養は、より若い患者(54/57歳)からのものよりもより成功しなかった。このことは、幹細胞がより若い組織中でより優性であろうから、モデルが生存可能な幹細胞集団を要求することを指し示しているのかも知れない。これ故に我々の将来の研究は、年齢および幹細胞集団の、腺様構造の形成への寄与を分析することを試みながら、より若い組織の使用に集中するであろう。
【0102】
[実施例5]
[1層の細胞株の形態学]
全ての細胞株は典型的な上皮の形態学を示し、これは丸いかまたは立方体様で、合流時に小石様になった(図11)。非典型的に、全ての細胞株は、特に副合流時に、細胞集団の百分率において偽の拡大の存在も示した。Shmac2細胞は、糸状のおよび空胞化された外見を持つことに関して特筆すべきであった。Shmac3細胞は、外見上最大であった。Shmac4細胞は、その細胞膜における小気胞の出現について特筆すべきであった。
【0103】
[実施例6]
[1層での成長]
Shmac3細胞は、不死化後3または4代以降は、うまく成長せず、これ故に更なる実験は試みられなかった。Shmac2細胞は、10代以降は使用されず、一方Shmac4、5、6およびP4E6は、15代以降使用されなかった。図12は、17日間の期間に亘るK2中の他の全ての細胞株の成長を指し示している。Shmac6およびP4E6全体は、非常に速く成長し、直ぐに合流に達した。2倍化時間は、P4E6に関しては丁度24時間に亘り、Shmac6に関しては48時間であった。Shmac5細胞は、約5日の2倍化時間を伴ってスタートしてゆっくりと成長したが、その後はより速く成長して合流に達した。Shmac2および4は、非常にゆっくりと成長し、この17日間の成長期間後合流に達しなかった。
【0104】
[実施例7]
[細胞株の侵襲および転移]
Shmac細胞の潜在的な転移能力は、in vitro でそれらの転移性および侵襲能力を測定することにより調べられた。Shmac5は、Matrigel でコーティングされた挿入物を通じて侵襲することが可能な唯一の細胞株であった。MDA−MB−231およびP4E6細胞は、それぞれ陽性および陰性コントロールとして包含された。対照的に、これは主に細胞膜を波打たせることに限られたが、全ての細胞株は、高いレベルの転移性を示した。Shmac4細胞は、散乱されたコロニーとして沢山の並行移動を示し、一方Shmac5および6は、個々の細胞の並行移動が出来た。P4E6、PNT2−C2およびPC−3の侵襲および転移性は以前に測定されているが(Lang et al, 2001)、比較用に包含された。
【0105】
[実施例8]
[1層の細胞株の表現型]
これらの細胞株の細胞表現型は、免疫細胞化学により決定された。我々は、以前に報告された(25970)ような、標準的な種々の細胞マーカーを試した。サイトケラチン1、5、10、14、β1インテグリン・ファミリーおよびCD44は全て、基底前立腺上皮のマーカーであり、一方サイトケラチン18、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)およびアンドロゲン受容体は全て、管腔状または機能的に分化された前立腺上皮のマーカーである。加えて、細胞接着マーカー、E−カドヘリンおよび間充織マーカー vimentin も、調べられた。全てのShmac細胞に関する結果は、表2にまとめられ(P4E6は比較用に包含されている)、各染色の例は、図14にShmac5細胞株について論証されている。
【0106】
Shmac5およびP4E6以外の全ての細胞株は、細胞質中で非常に強く染まっているサイトケラチン8を示した。Shmac5およびShmac2に関しては、この染色はおおよそ細胞集団の50%に限られ、培養中で最高だった細胞により最も強く発現されているのが見られた。より強い発現は、1層培養中他の細胞上に乗っかっている細胞中、Shmac4および6に関しても特筆された。逆に、Shmac5およびShmac4以外、殆どの細胞株が弱い基底サイトケラチン染色を示した。Vimentin 染色は、全ての細胞株において中庸または強かった。PSA発現は、それが中庸であったP4E6およびShmac4を除く殆どの細胞株において弱かった。PSMAは、全てにおいて中庸〜強く、細胞質中で発現されるか、または細胞膜へと局在化された。アンドロゲン受容体発現は、いずれの細胞株においても検出されなかったが、少数の細胞が、弱い発現を示したかも知れない(図14E参照)。基底マーカーCD44およびβ1インテグリンは、殆ど全ての細胞株により強く発現され、膜または細胞対細胞または細胞質が染まっていた。同様に、E−カドヘリン発現は全ての細胞株中に見出され、細胞対細胞発現は、このタンパク質が機能的であることを指し示していた。
【0107】
[実施例9]
[Matigel 中で成長されたShmac細胞株およびP4E6の成長および形態学]
汎用の前立腺細胞株の以前の調査は、PC−3のみが(PNT2−C2、PNT1a、DU145およびLNCaPではなく)in vivo の腺に似ている球状細胞塊を Matrigel 中形成し得ることを見出した(Lang et al 2001a および未公開の結果)。In vitro の腺を樹立するのに何の細胞因子が重要かを決定するために、我々は、より広範囲のShmac細胞株およびP4E6を試した。初代培養を用いた実験は、間質共培養が in vitro の腺の分化を促進することが出来、これ故に細胞は間質共培養と共にまたは用いずに植え付けられることを指し示した。
【0108】
Shmac4細胞は、Matrigel 培養中14日後に、管腔を形成するに充分大きな球状細胞塊を形成しなかった。間質共培養は、Shmac5、6およびP4E6の培養から形成される球状細胞塊の数を増加させたが(図15)、Shmac2細胞からの球状細胞塊形成に関しては僅かな効果しか持たなかった。図16aおよび16bは、相の画像、および培養中7〜10日後に Matrigel 中へ植え付けられた細胞から成長された球状細胞塊の区画を示す。Shmac2およびP4E6細胞は、間質の非存在下に大きな球状細胞塊を形成し、区分けはそれらが多層であることを解き明かした。間質共培養はそれらの大きさを小さくし、管腔の消失に至った。Shmac5および6細胞も、間質の存在下により小さな球状細胞塊を形成したが、その違いはより明らかではなかった。Shmac5細胞は、間質共培養があってもなくても腺様の球状細胞塊を形成し、優性に単一層の上皮を持っていた。幾つかの区画の試みは、間質の存在下に成長された上皮が、優性に円筒状または立方体様であるが、一方間質非存在下の培養は、立方体様または積層された細胞を産生することを指し示した。間質と共に成長されたShmac5球状細胞塊内の単一上皮の試みは、該細胞が微柔毛、分泌小胞およびゴルジの管腔状の分極を示すことを指し示した(図17)。ゴルジは、特筆すべきことに細胞質を通り抜けて拡大した。核は、位置は主に基底であった。加えて、細胞間橋様接合が、隣接する細胞間に見られた。管腔は、非常に僅かな細胞砕片または壊死細胞しか示さなかった。間質非存在下に成長されたShmac5細胞も、細胞内小器官の分極を呈し得たが、これはより頻繁には観察されなかった。Shmac6細胞は、管腔の証拠を示さない小さな球状細胞塊を産生した。
【0109】
[実施例10]
[Shmac5 Matrigel 球状細胞塊の表現型]
Shmac5 Matrigel 球状細胞塊は、免疫細胞化学分析によりさらに調べられ、結果は表3にまとめられている。特に、細胞分極の証拠が試された(図18)。該Shmac5球状細胞塊は、間質と共に共培養された初代上皮細胞球状細胞塊に非常に似た表現型を論証した(25970)。該球状細胞塊の外側の細胞は、基底サイトケラチンに関しては染まったが、一方内側の細胞は、管腔のサイトケラチンに関して染まり、または両方に関して共に局在化した。アンドロゲン受容体発現は、今や該球状細胞塊中の、および時にはその中心核中の全細胞の細胞質を通して明らかとなった。管腔に対するPSA発現の局在化、およびβ1インテグリンの基底発現はわずかであった。しかしながら、CD44は、該球状細胞塊の基底表面へと局在化した。PSMA発現は、細胞質または膜特異的であり、E−カドヘリンは、細胞質にあるか、または細胞:細胞膜において見出され、それが機能的であることを指し示した。
【0110】
[実施例11]
[E6形質転換前立腺上皮細胞の不死化または延長された寿命]
E6遺伝子の初代前立腺細胞培養中への導入は、該細胞の寿命を延ばすように働く。前立腺上皮に関しては、3〜4代を超える如何なる延長も、寿命の延長を表す。初期の段階では、該細胞は遺伝子的に安定であり、形態学において元の培養に似ている(図19参照)。この段階では、該細胞はしかしながら不死性ではなく、全不死化が起こる「危機」をくぐり抜けることを要求する。該危機の期間後、何らかの染色体の再編成が起きてしまっているであろうが、該細胞は形態学においてまだ上皮状である。
【0111】
これらの延長された寿命の細胞は、第1のレトロウィルス感染後に産生されたが、遺伝子的に安定であり、12までの集団の倍増に関しての生物学的アッセイの大部分において、元の初代細胞に非常に似た様式で振る舞う。極めて大きな細胞数が要求されなければ、その時はこれらの延長された寿命の細胞が好ましい。これらの細胞を維持するには、該培養の割合は、特に該細胞が増殖している間は、各代において標準的な冷凍保存により保存されるべきである。
【0112】
[実施例12]
[継代数]
E6の延長された寿命の培養物の殆どに関しては、E6遺伝子の導入および細胞クローンの選択後、少なくとも25代が可能である。これは予期不可能なことで、患者の年齢に依存するのかも知れない。しかしながら我々は、腫瘍原性表現型との関係を見出していない。殆ど不可避的に、30までの継代後に、該上皮細胞は危機および延長されたG0相に入る。この時点での必須の要求は、6週までの期間該培養を維持する根気であり、本質的に静的な、および明らかに死んだ細胞を与える。自ずと不死化細胞は、この危機から滅多に脱出せず、しばしば元の培養物に似るが、上皮の表現型をより伴わない(vimentin の発現−間質マーカー−は時々、元の培養物に比較してアップレギュレーションされない)。
【0113】
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【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、Matrigel およびKSFM(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは80μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)密接している内部細胞間に存在する、密接合(TJ)および細胞間橋様(D)接合の両方を指し示す高倍率TEM。バーは1μmを指し示す。
【図2】図2は、Matrigel およびK2(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは90μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)管腔微柔毛(mv)、分泌小胞(sv)およびゴルジ装置(G)を示す、該球状細胞塊内の細胞全体の高倍率TEM。バーは10μmを指し示す。
【図3】図3は、Matrigel、K2、10−7MのDHT、10ng/mLのOESおよび間質(試料C)中で成長させた前立腺上皮球状細胞塊を例示する。a)相の画像。バーは70μmを指し示す。b)球状細胞塊全体のTEM、バーは10μmを指し示す。c)該球状細胞塊内の細胞全体の高倍率TEM。分泌小胞(sv)は全て、該管腔へ向かって分極されており、微柔毛は該管腔表面上で見ることも出来る。バーは6μmを指し示す。d)(cにおいて示される)上皮の管腔の半分を示す高倍率TEM。該図面は、活動している大きなゴルジ(g)および積み重ねられた粗い小胞体の細網を示す。加えて、密接合(JT)は該管腔表面において見ることも出来る。バーは2μmを指し示す。e)管腔末端の細胞:細胞界面に存在する細胞間橋様接合複合体(D)。バーは1μmを指し示す。f)無傷の基底板が見えなかったことを示す球状細胞塊の基底末端。バーは1μmを指し示す。
【図4】図4は、位相差における(バーは100μmを指し示す)沢山の腺および管様の構造を伴った発芽している球状細胞塊の例を例示し、発芽の証拠も伴っている。階層化された細胞の存在を示す(バーは50μmを指し示す)トルイデン・ブルーで濃く染色された発芽区域および管様構造。
【図5】図5は、間質培養が球状細胞塊形成効率を増加させたことを例示する。上皮試料Cは、Matrigel 中へと混合され、KSFM、K2、K2および初代間質(S)、またはK2、Sおよび10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)中で、2週間成長された。
【図6】図6は、間質培養が球状細胞塊の大きさに影響を及ぼすことを例示する。上皮試料Jは、Matrigel 中へと混合され、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)、またはK2+STO細胞、DおよびO中で、1週間成長された。
【図7】図7は、Matrigel 中成長された前立腺上皮の、サイトケラチン18(緑)およびサイトケラチン1、5、10、14(赤)の2段階免疫染色を例示する。上皮(試料C)は、KSFM、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)の存在下に、2週間成長された。球状細胞塊中の細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。バーは80μmを指し示している。
【図8】図8は、間質と共に培養された場合の、Matrigel 上皮球状細胞塊中のPSAおよびβ1インテグリンの分極を例示する。共焦点分析を使用して、PSAおよびβ1インテグリンの発現は、K2、またはK2+初代間質(S)、10−7Mジヒドロテストステロン(D)および10ng/mLエストロゲン(O)中2週間成長された上皮球状細胞塊(試料C)との間で比較された。バーは70μmを指し示している。
【図9】図9は、前立腺上皮 Matrigel 球状細胞塊の免疫組織化学的染色の例を例示する。K2、10−7Mジヒドロテストステロン(DHT)、10ng/mLエストロゲン(O)および初代間質の存在下に培養されたアンドロゲン受容体発現を例示すること以外は、示された全ての球状細胞塊は、KSFM中で成長された。球状細胞塊の核は、DAPI(青)で対比染色された(上皮試料Cは、2週間培養された)。バーは80μmを指し示している。
【図10】図10は、Matrigel 中での前立腺上皮および間質細胞の共培養の例示である。
【図11】図11は、1層として成長するShmac細胞株およびP4E6の形態学を例示する。位相差写真は、10倍の対物倍率にて撮影された。
【図12】図12は、K2培地中1層で成長している前立腺細胞株の成長曲線を例示する。
【図13】図13は、間質細胞株との共培養に応答した、Matrigel でコーティングされた細胞挿入物を通じてのShmac細胞株の侵襲能力を例示する。結果は、3回の平均として表現される。
【図14】図14は、1層の培養中で成長するShmac5細胞の免疫細胞化学的染色を例示する。A)サイトケラチン18(赤)およびサイトケラチン1、5、10、14(緑)の2段階染色。B)Vimentin。C)PSA。D)PSMA。E)アンドロゲン受容体。F)E−カドヘリン。G)β1インテグリン。H)CD44。細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。全ての画像は、20倍の対物倍率にて撮影された。
【図15】図15は、如何に間質共培養が球状細胞塊形成効率に影響を及ぼすかを例示する。上皮細胞は Matrigel 中へ植え付けられ、間質共培養有り(白)または無し(黒)で、1週間K2中で成長された。球状細胞塊の平均個数は、1フィールドにつき数えられた。SEは、平均の10%未満だった。
【図16a】図16は、Matrigel 中成長された前立腺細胞株球状細胞塊の、典型的な位相差形態学(A)および1μm区域(B)を例示する。全ての写真は、7〜10日の成長後、10倍の対物倍率にて撮影された。バーは100μm。
【図16b】図16は、Matrigel 中成長された前立腺細胞株球状細胞塊の、典型的な位相差形態学(A)および1μm区域(B)を例示する。全ての写真は、7〜10日の成長後、10倍の対物倍率にて撮影された。バーは100μm。
【図17】図17は、間質の存在下に Matrigel 中成長されたShmac5上皮細胞の透過電子顕微鏡検査を例示する。細胞は円筒形であり、細胞小器官の分極を示す。核(n)が基底である一方、微柔毛(mv)、分泌小胞(sv)およびゴルジ(G)は全て管腔状であった。バーは2μm。
【図18】図18は、Matrigel 培養中で成長しているShmac5細胞の免疫細胞化学的染色を例示する。A)サイトケラチン18(赤)およびサイトケラチン1、5、10、14(緑)の2段階染色。B)PSA。C)アンドロゲン受容体。D)CD44。E)β1インテグリン。細胞核は、DAPI(青)で対比染色された。全ての画像は、20倍の対物倍率にて撮影された。
【図19】図19は、初代上皮の外殖およびE6不死化培養の比較形態学を例示する。前立腺組織の断片からの上皮外殖が、左のパネルに示されている。該組織は、該パネルの上右にある大きな黒い物体である。右のパネルにおいて、この外殖からの該上皮成分は組み換えE6発現レトロウィルスで感染され、クローニングされた上皮培養が産生された。同様の形態学が記される。
【図20】図20は、E6−形質転換前立腺上皮細胞からのRT−PCR産物のPCRアガロースゲル電気泳動による、不死化された培養中のE6DNAおよびmRNAの検出を例示する。マーカーのレーン(M)は、Life Technologies からの100塩基対毎のマークである。レーン1は、E6およびE6*両方に特異的な産物を示す細胞株からのcDNAの増幅である。レーン2は、陰性コントロールである。レーン3は、同じ細胞株からのDNA(455塩基対の産物のみ)を含有し、レーン4は、CaSki 細胞DNA陽性コントロールである。
【図21】図21は、E6形質転換前立腺上皮細胞中のE6タンパク質の免疫的検出を例示する。パネルAは、図2に示されたようなDNAおよびRNAについて分析されたのと同じ細胞株の抗E6血清(20)での陽性免疫染色(主に全細胞に関する)を示す。パネルBは、対応する陰性コントロールであり、ここでは1次抗体は、全染色手順中PBSで置き換えられている。
Claims (30)
- 前立腺様の腺の形成のための in vitro での方法であって、
i)細胞培養器を提供し、これは:
a)前立腺由来細胞;
b)(a)における該細胞が付着して増殖出来る細胞培養支持基材;
c)血清、間質分画、および適切な比のホルモン(エストロゲンおよびジヒドロテストステロン、またはこれらの機能誘導体)を補った細胞培養培地;
を含み、
ii)該細胞培養器中での該前立腺由来細胞の成長および分化を促進する条件を提供すること
を含む方法。 - 前記間質分画が別個の細胞培養器中で提供されるが、前記の補われた細胞培養培地のその他の成分と液体で接触される、請求項1に記載の方法。
- 前記の別個の細胞培養器が、前記間質分画に含有される前記細胞が増殖するようにするが、該細胞培養器に含有される該前立腺由来細胞との細胞接触を防ぐ挿入物である、請求項2に記載の方法。
- 前記前立腺細胞がヒト上皮細胞である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記上皮細胞が、少なくとも7日間移植片として維持されている前立腺由来である、請求項4に記載の方法。
- 前記前立腺由来細胞が非ガン性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記前立腺由来細胞がガン性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記上皮細胞が初代前立腺上皮細胞である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記前立腺由来細胞が、組み換え技術により遺伝子工学的に操作される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記前立腺由来細胞が、発ガン遺伝子で形質転換される、請求項9に記載の方法。
- 前記発ガン遺伝子がウィルス性発ガン遺伝子である、請求項10に記載の方法。
- 前記ウィルス性発ガン遺伝子が、ヒトパピローマウィルス(HPV)E6またはE7発ガン遺伝子、SV40T抗原からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
- 前記細胞培養支持材がコラーゲン主体である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 血清が約0.5%〜4%(v/v)にて提供される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 血清が約1%〜3%(v/v)にて提供される、請求項14に記載の方法。
- 血清が約2%(v/v)にて提供される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- エストロゲンが約10ng/mL、およびジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- コラーゲン主体の細胞支持材、間質、エストロゲンおよびジヒドロテストステロンを含む、細胞培養組成物。
- エストロゲンが約10ng/mL、およびジヒドロテストステロンが約10−7Mにて提供される、請求項18に記載の組成物。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法により形成される前立腺様の腺。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法により形成される前立腺由来細胞。
- 前立腺ガン細胞の増殖を阻害可能な物質を同定する方法であって、
i)培養条件、および請求項20に記載の少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞に関する、該物質の抗増殖活性をモニターすること
を含む方法。 - 前立腺ガン細胞の転移を阻害可能な物質を同定する方法であって、
i)培養条件、および請求項20に記載の少なくとも1つのガン性の腺を提供し;
ii)試験されるべき少なくとも1つの物質を加え;および
iii)このガン性の腺を含む細胞の転移をモニターすること
を含む方法。 - 請求項22または23に記載の方法により同定される物質。
- 前立腺細胞の分化マーカーを同定する方法であって、
i)請求項20に記載の前立腺を提供し;および
ii)前立腺細胞の分化を指し示すRNAまたはタンパク質分子の存在を決定すること
を含む方法。 - 前立腺細胞の形質転換マーカーを同定する方法であって、
i)請求項20に記載の前立腺を提供し;および
ii)前立腺細胞の形質転換を指し示すRNAまたはタンパク質分子の存在を決定すること
を含む方法。 - 正常前立腺細胞からの前立腺ガン細胞の進展を分析する in vitro での方法であって、請求項20に記載の腺を、前立腺細胞の形質転換を誘導可能な少なくとも1つの物質に曝すことを含む方法。
- 前記正常前立腺細胞が、発ガン遺伝子で形質転換される、請求項27に記載の方法。
- 前記発ガン遺伝子がウィルス性発ガン遺伝子である、請求項28に記載の方法。
- 前記ウィルス性発ガン遺伝子がヒトパピローマウィルス性発ガン遺伝子である、請求項28に記載の方法。
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