JP2004537956A - 新規化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリペプチドと、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、組み換え技術を利用してそのようなポリペプチドを産生する方法とを提供する。本発明はまた、それらを用いた診断、予後予測、治療の方法も提供する。

Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、ポリヌクレオチド(本明細書では、“BASB047ポリヌクレオチド”、“BASB054ポリヌクレオチド”、“BASB068ポリヌクレオチド”、及び“BASB069ポリヌクレオチド”と呼ぶ)、これらポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド(本明細書では、それぞれ“BASB047”、“BASB054”、“BASB068”、及び“BASB069”、またはそれぞれ“BASB047ポリペプチド”、“BASB054ポリペプチド”、“BASB068ポリペプチド”、“BASB069ポリペプチド”と呼ぶ)、ならびにこれらを産生させるための組み換え材料と方法に関するものである。別の側面として、本発明は、これらポリペプチドおよびポリヌクレオチドの利用方法にも関する。利用方法としては、例えば、細菌感染に対するワクチンが含まれる。さらに別の側面として、本発明は、所定の病原菌に感染したことを検出するための診断法にも関する。
発明の背景
ナイセリア・メニンギティディス(髄膜炎菌)は、ヒト上気道からしばしば単離されるグラム陰性細菌である。この細菌は、菌血症や髄膜炎などの侵入性細菌性疾患を引き起こすことがある。髄膜炎の発生には、地理差、季節差、年差が見られる(シュワルツ, B.、ムーア, P.S.、ブルーム, C.V.、Clin. Microbiol. Rev.、 第2巻(補)、S18〜S24ページ、1989年)。温和な気候の国においては、この疾患はたいてい血清型Bの菌株によって起こり、人口10万人あたり1年に1〜10人の割合で発生するが、時にはさらに大きな割合になることもある(カツマルスキー, E.B.(1997)、Commun. Dis. Rep. Rev.、第7巻、R55〜59ページ、1995年;ショルテン, R.J.P.M.、ビールマー, H.A.、プールマン, J.T. 他、Clin. Infect. Dis.、第16巻、237〜246ページ、1993年;クルス, C.、パベス, G.、アギラール, E. 他、Epidemiol. Infect.、第105巻、119〜126ページ、1990年)。
【0002】
血清型Aの髄膜炎菌が優勢な主に中央アフリカにおいては、感染者の割合が人口10万人あたり1年に1000人に達することがある(シュワルツ, B.、ムーア, P.S.、ブルーム, C.V.、Clin. Microbiol. Rev.、 第2巻(補)、S18〜S24ページ、1989年)。全体として、髄膜炎のほとんどは血清型A、B、C、W−135、Yの髄膜炎菌によって起こり、4価のA、C、W−135、Y多糖ワクチンが利用できる(アルナン, J.、アルマンジョン, F.、ミナール, M.C.、ラフェ, C.、J. Biol. Stand.、第10巻、335〜339ページ、1982年)。
【0003】
多糖ワクチンは、現在、輸送タンパク質と化学的に結合させるという改良が続けられている(リーバーマン, J.M.、チュー, S.S.、ウォン, V.K. 他、JAMA、第275巻、1499〜1503ページ、1996年)。
【0004】
血清型Bのワクチンは利用できない。というのも、B莢膜多糖は免疫原性を示さないことが判明したからである。これは、宿主の成分と構造的に似ていることが原因である可能性が高い(ヴァイル, F.A.、アーテンシュタイン, M.S.、ブラント, M.L. 他、J. Infect. Dis.、第126巻、514〜522ページ、1972年;フィンネ, J.M.、レイノネン, M.、メケレ, P.M.、Lancet、第2巻、355〜357ページ、1983年)。
【0005】
長年にわたって努力が続けられ、髄膜炎菌の外膜に基づいたワクチンが開発された(デ・モラエス, J.C.、パーキンズ, B.、カマルゴ, M.C. 他、Lancet、第340巻、1074〜1078ページ、1992年;ブジューン, G.、ホイビー, E.A.、グロンスビー, J.K. 他、Lancet、第338巻、1991年)。このワクチンは、年長の子ども(4歳より上)と青少年では57〜85%に効果のあることがわかった。
【0006】
このワクチンの中には細菌の外膜成分が多数存在している。例えば、PorA、PorB、Rmp、Opc、Opa、FrpBである。しかし、観察されている防御効果に対するこれら成分の寄与は、さらに明確にする必要がある。細菌の他の外膜成分であるTbpBやNspAなどは、動物またはヒトの抗体を用いることにより、免疫防御に関係している可能性のあることが明らかにされている(マルタン, D.、カデュー, N.、アメル, J.、ブロドゥー, B.R.、J. Exp. Med.、第185巻、1173〜1183ページ、1997年;リソロ, L.、メートル−ヴィルモット, C.、デュマ, P. 他、Inf. Immun.、第63巻、884〜890ページ、1995年)。免疫防御のメカニズムは、抗体を媒介とした細菌の活性とオプソニン食菌作用に関係しているであろう。
【0007】
抗体を媒介としたあらゆるメカニズムを合わせ持たせるのに菌血症モデル動物が用いられている(サウッコネン, K.、レイノネン, M.、アブディライ, H.、プールマン, J.T.、Vaccine、第7巻、325〜328ページ、1989年)。髄膜炎に対する免疫にとって後期補体成分を媒介とした殺菌メカニズムが極めて重要であることが、一般に認められている(ロス, S.C.、ローゼンタール, P.J.、バーベリック, H.M.、デンセン, P.、J. Infect. Dis.、第155巻、1266〜1275ページ、1987年)。
【0008】
ナイセリア・メニンギティディスに感染する頻度は、過去数十年の間に劇的に上昇した。これは、多数の抗生物質に対する耐性を持った菌の出現と、免疫系が弱い人の増加が原因である。標準的な抗生物質のいくつかまたはすべてに耐性のあるナイセリア・メニンギティディスが単離されるのはもはや珍しいことではない。この現象により、これまでに遭遇したことのない医療上の必要性が生じ、新しい抗菌剤、ワクチン、薬剤スクリーニング法、この生物を検出するための診断法に対する要求が生まれている。
発明の要約
本発明は、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069に関するものであり、中でも、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリペプチド、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリヌクレオチド、ならびにこれらを産生させるための組み換え材料と方法に関する。別の側面として、本発明は、これらポリペプチドおよびポリヌクレオチドの利用方法にも関する。利用方法には、特に、微生物による疾患の予防ならびに治療が含まれる。さらに別の側面として、本発明は、微生物の感染に伴う疾患や異常を検出するための診断法にも関する。例えば、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現または活性を検出するための方法に関する。
【0009】
当業者であれば、この明細書の以下の記述やそれ以外の箇所を読むことにより、この明細書に開示された本発明の精神および範囲におけるさまざまな変更や修正を容易に思いつくであろう。
発明の説明
本発明は、BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069ポリペプチドとポリヌクレオチドに関するものであり、それについて以下に詳細に説明する。本発明は、特に、配列番号1、3、5、7で与えられるヌクレオチド配列と配列番号2、4、6、8で与えられるアミノ酸配列をそれぞれ有するBASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069に関する。“DNA”として以下の配列リストに示した配列は、本発明の一実施態様の具体例を表わしているものと理解する。当業者であれば、そうした配列を一般にポリヌクレオチド(リボポリヌクレオチドを含む)において利用できることがわかるはずだからである。
ポリペプチド
本発明の一側面によれば、この明細書で“BASB047”、“BASB054”、“BASB068”、“BASB069”、または“BASB047ポリペプチド”、“BASB054ポリペプチド”、“BASB068ポリペプチド”、“BASB069ポリペプチド”と呼ぶナイセリア・メニンギティディスのポリペプチドのほか、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なこれらポリペプチドの変異体と、これらを含む組成物とが提供される。
【0010】
本発明によれば、以下のものがさらに提供される。
(a)配列番号2と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
(b)配列番号1の全長にわたって配列番号1と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド。
(c)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド。
【0011】
配列番号2で与えられるBASB047ポリペプチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB047ポリペプチドである。
【0012】
本発明により、BASB047ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。すなわち、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドと同じか実質的に同じ免疫活性を有するBASB047ポリペプチドの連続部分が提供される。要するに、この断片(必要であれば担体と結合したときの断片)は、BASB047ポリペプチドを認識する免疫応答を向上させることができる。この免疫原性断片は、例えば、N末端のリーダー配列、および/または膜貫通領域、および/またはC末端のアンカー領域を欠いたBASB047ポリペプチドを含んでいてもよい。好ましい一実施態様では、本発明によるBASB047の免疫原性断片は、配列番号2の全長にわたって配列番号2と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致したポリペプチドの細胞外領域の実質的にすべてを含んでいる。
【0013】
本発明によれば、以下のものがさらに提供される。
(a)配列番号4と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
(b)配列番号3の全長にわたって配列番号3と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド。
(c)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド。
【0014】
配列番号4で与えられるBASB054ポリペプチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB054ポリペプチドである。
【0015】
本発明により、BASB054ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。すなわち、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドと同じか実質的に同じ免疫活性を有するBASB054ポリペプチドの連続部分が提供される。要するに、この断片(必要であれば担体と結合したときの断片)は、BASB054ポリペプチドを認識する免疫応答を向上させることができる。この免疫原性断片は、例えば、N末端のリーダー配列、および/または膜貫通領域、および/またはC末端のアンカー領域を欠いたBASB054ポリペプチドを含んでいてもよい。好ましい一実施態様では、本発明によるBASB054の免疫原性断片は、配列番号4の全長にわたって配列番号4と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致したポリペプチドの細胞外領域の実質的にすべてを含んでいる。
【0016】
本発明によれば、以下のものがさらに提供される。
(a)配列番号6と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
(b)配列番号5の全長にわたって配列番号5と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド。
(c)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド。
【0017】
配列番号6で与えられるBASB068ポリペプチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB068ポリペプチドである。
【0018】
本発明により、BASB068ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。すなわち、配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドと同じか実質的に同じ免疫活性を有するBASB068ポリペプチドの連続部分が提供される。要するに、この断片(必要であれば担体と結合したときの断片)は、BASB068ポリペプチドを認識する免疫応答を向上させることができる。このような免疫原性断片は、例えば、N末端のリーダー配列、および/または膜貫通領域、および/またはC末端のアンカー領域を欠いたBASB068ポリペプチドを含んでいてもよい。好ましい一実施態様では、本発明によるBASB068の免疫原性断片は、配列番号6の全長にわたって配列番号6と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致したポリペプチドの細胞外領域の実質的にすべてを含んでいる。
【0019】
本発明によれば、以下のものがさらに提供される。
(a)配列番号8と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
(b)配列番号7の全長にわたって配列番号7と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド。
(c)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド。
【0020】
配列番号8で与えられるBASB069ポリペプチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB069ポリペプチドである。
【0021】
本発明により、BASB069ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。すなわち、配列番号8のアミノ酸配列を含むポリペプチドと同じか実質的に同じ免疫活性を有するBASB069ポリペプチドの連続部分が提供される。要するに、この断片(必要であれば担体と結合したときの断片)は、BASB069ポリペプチドを認識する免疫応答を向上させることができる。このような免疫原性断片は、例えば、N末端のリーダー配列、および/または膜貫通領域、および/またはC末端のアンカー領域を欠いたBASB069ポリペプチドを含んでいてもよい。好ましい一実施態様では、本発明によるBASB069の免疫原性断片は、配列番号8の全長にわたって配列番号8と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致したポリペプチドの細胞外領域の実質的にすべてを含んでいる。
【0022】
断片とは、本発明の任意のポリペプチドの任意のアミノ酸配列の全部ではなく一部と完全に一致したアミノ酸配列を有するポリペプチドのことである。BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069の場合のように、断片は、“独立して”いてもよい。すなわち、より大きなポリペプチドに含まれていてその一部または一領域を形成していてもよい。最も好ましいのは、より大きな単一のポリペプチドの中の単一の連続領域を形成していることである。
【0023】
好ましい断片としては、例えば、配列番号2、4、6又は8のアミノ酸配列またはその変異体の一部を含む先の切れたポリペプチドが挙げられる。具体例としては、アミノ末端および/またはカルボキシル末端のアミノ酸配列を含む連続残基列がある。宿主細胞によって、または宿主細胞内で産生された本発明のポリペプチドが分解された形態も好ましい。さらに好ましいのは、構造上または機能上の特性を有する断片、例えば、α螺旋とα螺旋形成領域、βシートとβシート形成領域、ターンとターン形成領域、コイルとコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、柔軟領域、表面形成領域、基質結合領域、抗体高指示領域を含む断片などである。
【0024】
好ましい断片としては、さらに、配列番号2、4、6、8のアミノ酸配列からの連続したアミノ酸を少なくとも15、20、30、40、50、または100個有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、あるいは、配列番号2、4、6、8のアミノ酸配列から切断または除去した少なくとも15、20、30、40、50、または100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが挙げられる。
【0025】
本発明のポリペプチド断片は、ペプチド合成によって対応する完全長ポリペプチドを産生するのに用いることができる。したがって、この断片は本発明の完全長ポリペプチドを産生するための中間体として用いることができる。
【0026】
特に好ましいのは、いくつかのアミノ酸、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個、または1個のアミノ酸の置換、欠失、または付加が任意に組み合わされた変異体である。
【0027】
本発明のポリペプチドまたは免疫原性断片は、“成熟”タンパク質の形態でもよいし、前躯体または融合タンパク質などのより大きなタンパク質の一部でもよい。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、複数のヒスチジン残基など精製に役立つ配列を含む付加アミノ酸配列、組み換え体産生の間の安定性を維持するための付加配列が含まれていると望ましいことがしばしばある。さらに、最終的に得られる分子の免疫性を向上させるため、外来性ポリペプチド、脂質テイル、またはポリヌクレオチド配列を付加することも考えられる。
【0028】
一側面によれば、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断片と、さまざまなサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)のH鎖またはL鎖の定常領域のさまざまな部分とを含む、遺伝子工学による可溶性融合タンパク質に関する。免疫グロブリンとして好ましいのは、ヒトIgG、特にIgG1のH鎖の定常部分であり、そのヒンジ領域で融合が起こる。特別な実施態様では、血液凝固第Xa因子でもって切断することのできる切断配列を組み込むだけでFc部分を除去することができる。
【0029】
さらに本発明は、遺伝子工学によってこの融合タンパク質を調製する方法と、この融合タンパク質を利用した薬剤のスクリーニング、診断、治療に関する。本発明のさらに別の側面は、この融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドにも関する。融合タンパク質の技術に関する実例は、国際特許出願番号WO94/29458とWO94/22914に見ることができる。
【0030】
このタンパク質は、化学的に結合させたり組み換え融合タンパク質として発現させたりすることにより、非融合タンパク質と比べて発現系内での発現レベルを向上させることができる。融合パートナーは、Tヘルパー・エピトープ(免疫性融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパー・エピトープを提供するのに役立ったり、もとの組み換えタンパク質よりも高い効率でタンパク質を発現させる(発現エンハンサー)のに役立ったりする可能性がある。融合パートナーは、免疫性融合パートナーであると同時に発現エンハンサー・パートナーにもなっていることが好ましかろう。
【0031】
融合パートナーは、インフルエンザ菌に由来するプロテインDと、インフルエンザ・ウイルスに由来する非構造タンパク質NS1(ヘマグルチニン)を含んでいる。別の融合パートナーは、LytAとして知られるタンパク質である。このタンパク質のC末端部を用いることが好ましい。LytAは、N−アセチル−L−アラニン・アミダーゼと、アミダーゼLytA(lytA遺伝子によってコードされている(Gene、第43巻、265〜272ページ、1986年))と、ペプチドグリカン骨格における所定の結合を特異的に分解するオートリシンを合成する肺炎球菌に由来する。LytAタンパク質のC末端領域は、コリンや、DEAEなどのコリンのアナログに対する親和性に関与している。この特性を利用して、融合タンパク質の発現に役立つ、大腸菌のC−LytAを発現するプラスミドが開発されている。C−LytA断片をアミノ末端に有するハイブリッド・タンパク質の精製については、Biotechenology、第10巻、795〜798ページ、1992年に記載されている。LytAタンパク質のC末端にあって残基番号178から始まる繰り返し部分、例えば残基番号188〜305を用いることが可能である。
【0032】
本発明には、上記のポリペプチドの変異体も含まれる。すなわち、参照基準と比べて保存されたアミノ酸置換だけが異なるポリペプチドも含まれる。なお保存されたアミノ酸置換とは、1つの残基が特性の似た別の残基で置換されることである。そうした置換の典型例は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン相互の置換;セリンとトレオニンの置換;酸性残基であるアスパラギン酸とグルタミン酸の置換;アスパラギンとグルタミンの置換;塩基性残基であるリジンとアルギニンの置換;芳香性残基であるフェニルアラニンとチロシンの置換である。
【0033】
本発明のポリペプチドは、適切な任意の方法で調製することができる。そうしたポリペプチドとしては、単離した天然のポリペプチド、組み換えによるポリペプチド、合成したポリペプチド、これらの方法を組み合わせて作ったポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチドを調製する方法は従来技術で周知である。
【0034】
本発明のポリペプチドはナイセリア・メニンギティディスから由来したものであることが最も好ましいが、分類学上同じ属の他の生物から得られたものも好ましい。本発明のポリペプチドは、例えば、分類学上同じ科または目の生物から得られたものでもよい。
ポリヌクレオチド
本発明の1つの目的は、BASB047ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特にこの明細書でBASB047と表記するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0035】
本発明の特に好ましい実施態様では、このポリヌクレオチドは、完全長の遺伝子を含んでいて配列番号1で与えられる配列を有するBASB047リペプチドをコードする領域、またはその変異体をコードする領域を含んでいる。
【0036】
配列番号1で与えられるBASB047ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB047ポリヌクレオチドである。
【0037】
本発明のさらに別の側面によれば、BASB047ポリペプチドとポリヌクレオチド、特にナイセリア・メニンギティディスのBASB047ポリペプチドとポリヌクレオチドをコードおよび/または発現する、単離された核酸分子が提供される。そのような核酸分子としては、例えば、未処理のRNA、リボザイムRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、B−DNA、Z−DNAが挙げられる。本発明のさらに別の実施態様として、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なポリヌクレオチドとポリペプチド、これらの変異体、これらを含む組成物がある。
【0038】
本発明の別の側面は、配列番号2の推定アミノ酸配列を有するBASB047ポリペプチドをコードしており、少なくとも1つの完全長遺伝子を含む単離されたポリヌクレオチドと、このポリヌクレオチドと密接に関係したポリヌクレオチドと、これらの変異体に関する。
【0039】
本発明の特に好ましい実施態様では、ナイセリア・メニンギティディスに由来し、配列番号2のアミノ酸配列を含むBASB047ポリペプチド、またはそのアミノ酸配列からなるBASB047ポリペプチド、またはその変異体が提供される。
【0040】
配列番号1で与えられるポリヌクレオチド配列など、この明細書の情報を用いると、標準的なクローニング法およびスクリーニング法を利用し、次に完全長のクローンを得ることによって、BASB047ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。なお標準的なクローニング法およびスクリーニング法としては、出発材料としてナイセリア・メニンギティディス細胞を用いて細菌から染色体DNAのクローニングとシークエンシングを行なう方法がある。例えば配列番号1で与えられるポリヌクレオチド配列などの本発明のポリヌクレオチド配列を得るためには、大腸菌またはそれ以外の適切な宿主の中で、ナイセリア・メニンギティディスの染色体DNAのクローンのライブラリーを、部分配列から由来し、好ましくは17マーまたはそれよりも長い放射線標識したオリゴヌクレオチドでプローブするのが一般的である。次に、厳しい条件でのハイブリダイゼーションを行なうと、プローブのDNAと同じDNAを有するクローンを識別することができる。もとのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列から設計したシークエンシング用プライマーを用いたハイブリダイゼーションを通じてこのように同定された個々のクローンをシークエンシングすることにより、ポリヌクレオチド配列を両方の方向に伸長させ、完全長遺伝子の配列を決定することができる。都合のよいことに、このようなシークエンシングは、例えばプラスミド・クローンから調製した変性した二本鎖DNAを用いて実施することができる。適切な方法は、マニアティス, T、フリッチ, E.F.、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)に記載されている(特に「ハイブリダイゼーションによるスクリーニング」1.90と、「変性した二本鎖DNA鋳型のシークエンシング」13.70を参照のこと)。直接的にゲノムDNAのシークエンシングを行なって完全長遺伝子の配列を得ることもできる。本発明の証拠として、配列番号1で与えられる各ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディスに由来するDNAライブラリーの中で発見された。
【0041】
さらに、配列番号1で与えられる各DNA配列は、配列番号2で与えられるアミノ酸残基とほぼ同数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含んでいる。このタンパク質の推定分子量は、当業者には周知のアミノ酸残基の分子量の値を用いて計算することができる。
【0042】
配列番号1のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド番号1の開始コドンとヌクレオチド番号1201から始まる終止コドンの間で、配列番号2のポリペプチドをコードしている。
【0043】
本発明のさらに別の側面によれば、以下のものを含む単離されたポリヌクレオチド、または以下のものからなる単離されたポリヌクレオチドが提供される。
(a)配列番号1の全長にわたって配列番号1と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列、または
(b)配列番号2の全長にわたって配列番号2と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または100%正確に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
【0044】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス以外の種からのホモログやオーソログも含め、配列番号1の配列またはその断片からなる標識したプローブまたは検出可能なプローブ、あるいはこれらの配列またはその断片を含む標識したプローブまたは検出可能なプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件(例えば、温度が45〜65℃、SDSの濃度が0.1〜1%)のもとで適切なライブラリーをスクリーニングし、完全長遺伝子および/またはそのポリヌクレオチド配列を含むゲノム・クローンを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0045】
本発明により、配列番号1の中のコード配列(オープン・リーディング・フレーム)と全長にわたって一致するポリヌクレオチド配列が提供される。さらに本発明により、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはその断片のほか、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはリーディング・フレーム中にあって別のコード配列を有する断片が提供される。別のコード配列とは、例えば、リーダー配列または分泌配列、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列、プレプロタンパク質配列をコードする配列である。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの非コード配列も含んでいてよい。例示するならば、少なくとも1つの非コード5’配列や3’配列、例えば転写はされるが翻訳はされない配列や、終結シグナル(ρ依存性終結シグナルやρ非依存性終結シグナルなど)、リボソーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化させる配列、イントロン、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。ポリヌクレオチド配列は、付加アミノ酸をコードする付加コード配列も含んでいてよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコードすることができる。本発明のいくつかの実施態様では、マーカー配列は、pQEベクター(キアジェン社)の中に与えられるヘキサヒスチジン・ペプチド(ゲンツ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第86巻、821〜824ページ、1989年)、またはHAペプチド・タグ(ウイルソン他、Cell、第37巻、767ページ、1984年)である。そのどちらも、融合することになるポリペプチド配列を精製するのに役立てることができる。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子と、それにもともと付随していて遺伝子の発現を制御する配列とを有するポリヌクレオチドも含んでいる。ただし、本発明のポリヌクレオチドに含まれているのがそれだけとは限らない。
【0046】
配列番号2のBASB047ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1のヌクレオチド番号1〜1200に含まれるポリペプチド・コード配列と同じであってよい。あるいは、遺伝暗号の冗長性(縮重)の結果として、配列番号2のポリペプチドをコードする配列であってもよい。
【0047】
“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”という表現は、この明細書では、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、さらに特定するならば、配列番号2で与えられるアミノ酸配列を有するナイセリア・メニンギティディスのBASB047ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドのことを意味する。この表現は、ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、組み込まれた挿入配列、組み込まれたベクター配列、組み込まれたトランスポゾン配列によって中断されたポリヌクレオチド、またはRNAの編集、ゲノムDNAの再構成のために中断されたポリヌクレオチド)に加え、やはりコード配列および/または非コード配列を含んでいる可能性のある付加領域を含むポリヌクレオチドのことも意味する。
【0048】
本発明はさらに、配列番号2の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする、この明細書に記載したポリヌクレオチドの変異体にも関する。本発明のポリヌクレオチドの断片は、例えば、本発明の完全長ポリヌクレオチドを合成するのに用いることができる。
【0049】
さらに、特に好ましい実施態様によれば、配列番号2で与えられるBASB047ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、いくつかのアミノ酸残基、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、2個、1個、0個のアミノ酸残基が置換、変更、欠失、および/または、付加された状態が任意に組み合わされたBASB047変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。その中でも特に好ましいのは、BASB047ポリペプチドの特性および活性を変化させないサイレントな置換、付加、欠失である。
【0050】
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、全長にわたって少なくとも85%が、配列番号2で与えられるアミノ酸配列を有するBASB047ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと一致するポリヌクレオチドと、そのポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドが提供される。この点に関し、全長にわたって少なくとも90%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましく、そうした特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましい。さらに、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドの中でも少なくとも97%が一致するポリヌクレオチドがさらに好ましく、その中でも少なくとも98%一致するもの、少なくとも99%一致するものがそれ以上に好ましく、少なくとも99%一致するものがより一層好ましい。
【0051】
好ましい実施態様によれば、配列番号1のDNAによってコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的な機能または活性を保持しているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0052】
本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB047ポリヌクレオチド配列、例えば配列番号1のポリヌクレオチドと特にストリンジェント条件下ハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0053】
本発明はさらに、この明細書に記載したポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点に関し、本発明は、特に、この明細書に記載したポリヌクレオチドと厳しい条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この明細書で用いる“厳しい(stringent)条件”、“厳しいハイブリダイゼーション条件”という表現は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%が一致した場合にのみ起こるハイブリダイゼーションのことを意味する。厳しいハイブリダイゼーション条件の具体例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、20μg/mlの変性、切断したサケ精子DNAを含む溶液中で42℃にて一晩培養し、次に、ハイブリダイゼーション用支持体を約65℃にて0.1×SSCの中で洗浄するというものである。ハイブリダイゼーションと洗浄の条件は周知であり、例えばサムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)の特に第11章に記載されている。本発明のポリヌクレオチド配列には溶液ハイブリダイゼーションを行なうこともできる。
【0054】
本発明によればさらに、配列番号1で与えられるポリヌクレオチド配列にとって完全な遺伝子を含む適切なライブラリーを、配列番号1で与えられるこのポリヌクレオチド配列またはその断片を有するプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件のもとでスクリーニングし、そのポリヌクレオチド配列を単離することにより得られるポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、またはそうしたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。そのようなポリヌクレオチドを得るのに役立つ断片としては、例えば、この明細書の別の箇所に詳しく説明したプローブやプライマーが挙げられる。
【0055】
本発明のポリヌクレオチド・アッセイに関してはこの明細書の別の箇所に説明してあるが、例えば本発明のポリヌクレオチドをRNA、cDNA、ゲノムDNAのハイブリダイゼーション用プローブとして用い、BASB047をコードする完全長cDNAやゲノム・クローンを単離したり、BASB047遺伝子との一致度が高い他の遺伝子、特に配列の一致度が高いcDNAやゲノム・クローンを単離したりすることができる。このプローブは、一般に、少なくとも15のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることになろう。このプローブは、少なくとも30のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることが好ましく、少なくとも50のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいてもよい。特に好ましいプローブは、20以上かつ30未満のヌクレオチド残基または塩基対を含むことになろう。
【0056】
BASB047遺伝子のコード領域は、配列番号1で与えられるDNA配列を用いてオリゴヌクレオチド・プローブを合成し、このプローブを用いてスクリーニングを行なうことによって単離できる。そこで、本発明の遺伝子と相補的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーにプローブがハイブリダイズするかを確認する。
【0057】
本発明の1つの目的は、BASB054ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特にこの明細書でBASB054と表記するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0058】
本発明の特に好ましい実施態様では、このポリヌクレオチドは、完全長の遺伝子を含んでいて配列番号3で表わされる配列を有するBASB054ポリペプチドをコードする領域、またはその変異体をコードする領域を含んでいる。
【0059】
配列番号3で与えられるBASB054ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB054ポリヌクレオチドである。
【0060】
本発明のさらに別の側面によれば、BASB054ポリペプチドとポリヌクレオチド、特にナイセリア・メニンギティディスのBASB054ポリペプチドとポリヌクレオチドをコードおよび/または発現する、単離された核酸分子が提供される。そのような核酸分子としては、例えば、未処理のRNA、リボザイムRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、B−DNA、Z−DNAが挙げられる。本発明のさらに別の実施態様として、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なポリヌクレオチドとポリペプチド、これらの変異体、これらを含む組成物がある。
【0061】
本発明の別の側面は、配列番号4の推定アミノ酸配列を有するBASB054ポリペプチドをコードしており、少なくとも1つの完全長遺伝子を含む単離されたポリヌクレオチドと、このポリヌクレオチドと密接に関係したポリヌクレオチドと、これらの変異体に関する。
【0062】
本発明の特に好ましい実施態様では、ナイセリア・メニンギティディスに由来し、配列番号4のアミノ酸配列を含むBASB054ポリペプチド、またはそのアミノ酸配列からなるBASB054ポリペプチド、またはその変異体が提供される。
【0063】
配列番号3で与えられるポリヌクレオチド配列など、この明細書の情報を用いると、標準的なクローニング法およびスクリーニング法を利用し、次に完全長のクローンを得ることによって、BASB054ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。なお標準的なクローニング法およびスクリーニング法としては、出発材料としてナイセリア・メニンギティディス細胞を用いて細菌から染色体DNAのクローニングとシークエンシングを行なう方法がある。例えば配列番号3で与えられるポリヌクレオチド配列などの本発明のポリヌクレオチド配列を得るためには、大腸菌またはそれ以外の適切な宿主の中で、ナイセリア・メニンギティディスの染色体DNAのクローンのライブラリーを、部分配列から由来し、好ましくは17マーまたはそれよりも長い放射線標識したオリゴヌクレオチドでプローブするのが一般的である。次に、厳しい条件でのハイブリダイゼーションを行なうと、プローブのDNAと同じDNAを有するクローンを識別することができる。もとのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列から設計したシークエンシング用プライマーを用いたハイブリダイゼーションを通じてこのように同定された個々のクローンをシークエンシングすることにより、ポリヌクレオチド配列を両方の方向に伸長させ、完全長遺伝子の配列を決定することができる。都合のよいことに、このようなシークエンシングは、例えばプラスミド・クローンから調製した変性した二本鎖DNAを用いて実施することができる。適切な方法は、マニアティス, T、フリッチ, E.F.、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)に記載されている(特に「ハイブリダイゼーションによるスクリーニング」1.90と、「変性した二本鎖DNA鋳型のシークエンシング」13.70を参照のこと)。直接的にゲノムDNAのシークエンシングを行なって完全長遺伝子の配列を得ることもできる。本発明の証拠として、配列番号3で与えられる各ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディスに由来するDNAライブラリーの中で発見された。
【0064】
さらに、配列番号3で与えられる各DNA配列は、配列番号4で与えられるアミノ酸残基とほぼ同数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含んでいる。このタンパク質の推定分子量は、当業者には周知のアミノ酸残基の分子量の値を用いて計算することができる。
【0065】
配列番号3のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド番号1の開始コドンとヌクレオチド番号2407から始まる終止コドンの間で、配列番号4のポリペプチドをコードしている。
【0066】
本発明のさらに別の側面によれば、以下のものを含む単離されたポリヌクレオチド、または以下のものからなる単離されたポリヌクレオチドが提供される。
(a)配列番号3の全長にわたって配列番号3と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列、または
(b)配列番号4の全長にわたって配列番号4と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または100%正確に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
【0067】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス以外の種からのホモログやオーソログも含め、配列番号3の配列またはその断片からなる標識したプローブまたは検出可能なプローブ、あるいはこれらの配列またはその断片を含む標識したプローブまたは検出可能なプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件(例えば、温度が45〜65℃、SDSの濃度が0.1〜1%)のもとで適切なライブラリーをスクリーニングし、完全長遺伝子および/またはそのポリヌクレオチド配列を含むゲノム・クローンを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0068】
本発明により、配列番号3の中のコード配列(オープン・リーディング・フレーム)と全長にわたって一致するポリヌクレオチド配列が提供される。さらに本発明により、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはその断片のほか、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはリーディング・フレーム中にあって別のコード配列を有する断片が提供される。別のコード配列とは、例えば、リーダー配列または分泌配列、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列、プレプロタンパク質配列をコードする配列である。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの非コード配列も含んでいてよい。例示するならば、少なくとも1つの非コード5’配列や3’配列、例えば転写はされるが翻訳はされない配列や、終結シグナル(ρ依存性終結シグナルやρ非依存性終結シグナルなど)、リボソーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化させる配列、イントロン、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。ポリヌクレオチド配列は、付加アミノ酸をコードする付加コード配列も含んでいてよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコードすることができる。本発明のいくつかの実施態様では、マーカー配列は、pQEベクター(キアジェン社)の中に与えられるヘキサヒスチジン・ペプチド(ゲンツ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第86巻、821〜824ページ、1989年)、またはHAペプチド・タグ(ウイルソン他、Cell、第37巻、767ページ、1984年)である。そのどちらも、融合することになるポリペプチド配列を精製するのに役立てることができる。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子と、それにもともと付随していて遺伝子の発現を制御する配列とを有するポリヌクレオチドも含んでいる。ただし、本発明のポリヌクレオチドに含まれているのがそれだけとは限らない。
【0069】
配列番号4のBASB054ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド番号1〜2406に含まれるポリペプチド・コード配列と同じであってよい。あるいは、遺伝暗号の冗長性(縮重)の結果として、配列番号4のポリペプチドをコードする配列であってもよい。
【0070】
“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”という表現は、この明細書では、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、さらに特定するならば、配列番号4で与えられるアミノ酸配列を有するナイセリア・メニンギティディスのBASB054ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドのことを意味する。この表現は、ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、組み込まれた挿入配列、組み込まれたベクター配列、組み込まれたトランスポゾン配列によって中断されたポリヌクレオチド、またはRNAの編集、ゲノムDNAの再構成のために中断されたポリヌクレオチド)に加え、やはりコード配列および/または非コード配列を含んでいる可能性のある付加領域を含むポリヌクレオチドのことも意味する。
【0071】
本発明はさらに、配列番号4の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする、この明細書に記載したポリヌクレオチドの変異体にも関する。本発明のポリヌクレオチドの断片は、例えば、本発明の完全長ポリヌクレオチドを合成するのに用いることができる。
【0072】
さらに、特に好ましい実施態様によれば、配列番号4で与えられるBASB054ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、いくつかのアミノ酸残基、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、2個、1個、0個のアミノ酸残基が置換、変更、欠失、および/または、付加された状態が任意に組み合わされたBASB054変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。その中でも特に好ましいのは、BASB054ポリペプチドの特性および活性を変化させないサイレントな置換、付加、欠失である。
【0073】
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、全長にわたって少なくとも85%が、配列番号4で与えられるアミノ酸配列を有するBASB054ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと一致するポリヌクレオチドと、そのポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドが提供される。この点に関し、全長にわたって少なくとも90%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましく、そうした特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましい。さらに、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドの中でも少なくとも97%が一致するポリヌクレオチドがさらに好ましく、その中でも少なくとも98%一致するもの、少なくとも99%一致するものがそれ以上に好ましく、少なくとも99%一致するものがより一層好ましい。
【0074】
好ましい実施態様によれば、配列番号3のDNAによってコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的な機能または活性を保持しているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0075】
本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB054ポリヌクレオチド配列、例えば配列番号3のポリヌクレオチドと特にストリンジェント条件下ハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0076】
本発明はさらに、この明細書に記載したポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点に関し、本発明は、特に、この明細書に記載したポリヌクレオチドと厳しい条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この明細書で用いる“厳しい条件”、“厳しいハイブリダイゼーション条件”という表現は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%が一致した場合にのみ起こるハイブリダイゼーションのことを意味する。厳しいハイブリダイゼーション条件の具体例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、20μg/mlの変性、切断したサケ精子DNAを含む溶液中で42℃にて一晩培養し、次に、ハイブリダイゼーション用支持体を約65℃にて0.1×SSCの中で洗浄するというものである。ハイブリダイゼーションと洗浄の条件は周知であり、例えばサムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)の特に第11章に記載されている。本発明のポリヌクレオチド配列には溶液ハイブリダイゼーションを行なうこともできる。
【0077】
本発明によればさらに、配列番号3で与えられるポリヌクレオチド配列にとって完全な遺伝子を含む適切なライブラリーを、配列番号3で与えられるこのポリヌクレオチド配列またはその断片を有するプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件のもとでスクリーニングし、そのポリヌクレオチド配列を単離することにより得られるポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、またはそうしたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。そのようなポリヌクレオチドを得るのに役立つ断片としては、例えば、この明細書の別の箇所に詳しく説明したプローブやプライマーが挙げられる。
【0078】
本発明のポリヌクレオチド・アッセイに関してはこの明細書の別の箇所に説明してあるが、例えば本発明のポリヌクレオチドをRNA、cDNA、ゲノムDNAのハイブリダイゼーション用プローブとして用い、BASB054をコードする完全長cDNAやゲノム・クローンを単離したり、BASB054遺伝子との一致度が高い他の遺伝子、特に配列の一致度が高いcDNAやゲノム・クローンを単離したりすることができる。このプローブは、一般に、少なくとも15のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることになろう。このプローブは、少なくとも30のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることが好ましく、少なくとも50のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいてもよい。特に好ましいプローブは、20以上かつ30未満のヌクレオチド残基または塩基対を含むことになろう。
【0079】
BASB054遺伝子のコード領域は、配列番号3で与えられるDNA配列を用いてオリゴヌクレオチド・プローブを合成し、このプローブを用いてスクリーニングを行なうことによって単離できる。そこで、本発明の遺伝子と相補的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーにプローブがハイブリダイズするかを確認する。
【0080】
本発明の1つの目的は、BASB068ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特にこの明細書でBASB068と表記するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0081】
本発明の特に好ましい実施態様では、このポリヌクレオチドは、完全長の遺伝子を含んでいて配列番号5で与えられる配列を有するBASB068ポリペプチドをコードする領域、またはその変異体をコードする領域を含んでいる。
【0082】
配列番号5で与えられるBASB068ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB068ポリヌクレオチドである。
【0083】
本発明のさらに別の側面によれば、BASB068ポリペプチドとポリヌクレオチド、特にナイセリア・メニンギティディスのBASB068ポリペプチドとポリヌクレオチドをコードおよび/または発現する、単離された核酸分子が提供される。そのような核酸分子としては、例えば、未処理のRNA、リボザイムRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、B−DNA、Z−DNAが挙げられる。本発明のさらに別の実施態様として、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なポリヌクレオチドとポリペプチド、これらの変異体、これらを含む組成物がある。
【0084】
本発明の別の側面は、配列番号6の推定アミノ酸配列を有するBASB068ポリペプチドをコードしており、少なくとも1つの完全長遺伝子を含む単離されたポリヌクレオチドと、このポリヌクレオチドと密接に関係したポリヌクレオチドと、これらの変異体に関する。
【0085】
本発明の特に好ましい実施態様では、ナイセリア・メニンギティディスに由来し、配列番号6のアミノ酸配列を含むBASB068ポリペプチド、またはそのアミノ酸配列からなるBASB068ポリペプチド、またはその変異体が提供される。
【0086】
配列番号5で与えられるポリヌクレオチド配列など、この明細書の情報を用いると、標準的なクローニング法およびスクリーニング法を利用し、次に完全長のクローンを得ることによって、BASB068ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。なお標準的なクローニング法およびスクリーニング法としては、出発材料としてナイセリア・メニンギティディス細胞を用いて細菌から染色体DNAのクローニングとシークエンシングを行なう方法がある。例えば配列番号5で与えられるポリヌクレオチド配列などの本発明のポリヌクレオチド配列を得るためには、大腸菌またはそれ以外の適切な宿主の中で、ナイセリア・メニンギティディスの染色体DNAのクローンのライブラリーを、部分配列から由来し、好ましくは17マーまたはそれよりも長い放射線標識したオリゴヌクレオチドでプローブするのが一般的である。次に、厳しい条件でのハイブリダイゼーションを行なうと、プローブのDNAと同じDNAを有するクローンを識別することができる。もとのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列から設計したシークエンシング用プライマーを用いたハイブリダイゼーションを通じてこのように同定された個々のクローンをシークエンシングすることにより、ポリヌクレオチド配列を両方の方向に伸長させ、完全長遺伝子の配列を決定することができる。都合のよいことに、このようなシークエンシングは、例えばプラスミド・クローンから調製した変性した二本鎖DNAを用いて実施することができる。適切な方法は、マニアティス, T、フリッチ, E.F.、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)に記載されている(特に「ハイブリダイゼーションによるスクリーニング」1.90と、「変性した二本鎖DNA鋳型のシークエンシング」13.70を参照のこと)。直接的にゲノムDNAのシークエンシングを行なって完全長遺伝子の配列を得ることもできる。本発明の証拠として、配列番号5で与えられる各ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディスに由来するDNAライブラリーの中で発見された。
【0087】
さらに、配列番号5で与えられる各DNA配列は、配列番号6で与えられるアミノ酸残基とほぼ同数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含んでいる。このタンパク質の推定分子量は、当業者には周知のアミノ酸残基の分子量の値を用いて計算することができる。
【0088】
配列番号5のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド番号1の開始コドンとヌクレオチド番号2014から始まる終止コドンの間で、配列番号6のポリペプチドをコードしている。
【0089】
本発明のさらに別の側面によれば、以下のものを含む単離されたポリヌクレオチド、または以下のものからなる単離されたポリヌクレオチドが提供される。
(a)配列番号5それぞれの全長にわたって配列番号5と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列、または
(b)配列番号6それぞれの全長にわたって配列番号6と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または100%正確に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
【0090】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス以外の種からのホモログやオーソログも含め、配列番号5の配列またはその断片からなる標識したプローブまたは検出可能なプローブ、あるいはこれらの配列またはその断片を含む標識したプローブまたは検出可能なプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件(例えば、温度が45〜65℃、SDSの濃度が0.1〜1%)のもとで適切なライブラリーをスクリーニングし、完全長遺伝子および/またはそのポリヌクレオチド配列を含むゲノム・クローンを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0091】
本発明により、配列番号5の中のコード配列(オープン・リーディング・フレーム)と全長にわたって一致するポリヌクレオチド配列が提供される。さらに本発明により、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはその断片のほか、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはリーディング・フレーム中にあって別のコード配列を有する断片が提供される。別のコード配列とは、例えば、リーダー配列または分泌配列、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列、プレプロタンパク質配列をコードする配列である。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの非コード配列も含んでいてよい。例示するならば、少なくとも1つの非コード5’配列や3’配列、例えば転写はされるが翻訳はされない配列や、終結シグナル(ρ依存性終結シグナルやρ非依存性終結シグナルなど)、リボソーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化させる配列、イントロン、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。ポリヌクレオチド配列は、付加アミノ酸をコードする付加コード配列も含んでいてよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコードすることができる。本発明のいくつかの実施態様では、マーカー配列は、pQEベクター(キアジェン社)の中に与えられるヘキサヒスチジン・ペプチド(ゲンツ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第86巻、821〜824ページ、1989年)、またはHAペプチド・タグ(ウイルソン他、Cell、第37巻、767ページ、1984年)である。そのどちらも、融合することになるポリペプチド配列を精製するのに役立てることができる。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子と、それにもともと付随していて遺伝子の発現を制御する配列とを有するポリヌクレオチドも含んでいる。ただし、本発明のポリヌクレオチドに含まれているのがそれだけとは限らない。
【0092】
配列番号6のBASB068ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号5のヌクレオチド番号1〜2013に含まれるポリペプチド・コード配列と同じであってよい。あるいは、遺伝暗号の冗長性(縮重)の結果として、配列番号6のポリペプチドをコードする配列であってもよい。
【0093】
“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”という表現は、この明細書では、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、さらに特定するならば、配列番号6で与えられるアミノ酸配列を有するナイセリア・メニンギティディスのBASB068ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドのことを意味する。この表現は、ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、組み込まれた挿入配列、組み込まれたベクター配列、組み込まれたトランスポゾン配列によって中断されたポリヌクレオチド、またはRNAの編集、ゲノムDNAの再構成のために中断されたポリヌクレオチド)に加え、やはりコード配列および/または非コード配列を含んでいる可能性のある付加領域を含むポリヌクレオチドのことも意味する。
【0094】
本発明はさらに、配列番号6の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする、この明細書に記載したポリヌクレオチドの変異体にも関する。本発明のポリヌクレオチドの断片は、例えば、本発明の完全長ポリヌクレオチドを合成するのに用いることができる。
【0095】
さらに、特に好ましい実施態様によれば、配列番号6で与えられるBASB068ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、いくつかのアミノ酸残基、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、2個、1個、0個のアミノ酸残基が置換、変更、欠失、および/または、付加された状態が任意に組み合わされたBASB068変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。その中でも特に好ましいのは、BASB068ポリペプチドの特性および活性を変化させないサイレントな置換、付加、欠失である。
【0096】
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、全長にわたって少なくとも85%が、配列番号6で与えられるアミノ酸配列を有するBASB068ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと一致するポリヌクレオチドと、そのポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドが提供される。この点に関し、全長にわたって少なくとも90%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましく、そうした特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましい。さらに、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドの中でも少なくとも97%が一致するポリヌクレオチドがさらに好ましく、その中でも少なくとも98%一致するもの、少なくとも99%一致するものがそれ以上に好ましく、少なくとも99%一致するものがより一層好ましい。
【0097】
好ましい実施態様によれば、配列番号5のDNAによってコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的な機能または活性を保持しているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0098】
本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB068ポリヌクレオチド配列、例えば配列番号5のポリヌクレオチドと特にストリンジェント条件下ハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0099】
本発明はさらに、この明細書に記載したポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点に関し、本発明は、特に、この明細書に記載したポリヌクレオチドと厳しい条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この明細書で用いる“厳しい条件”、“厳しいハイブリダイゼーション条件”という表現は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%が一致した場合にのみ起こるハイブリダイゼーションのことを意味する。厳しいハイブリダイゼーション条件の具体例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、20μg/mlの変性、切断したサケ精子DNAを含む溶液中で42℃にて一晩培養し、次に、ハイブリダイゼーション用支持体を約65℃にて0.1×SSCの中で洗浄するというものである。ハイブリダイゼーションと洗浄の条件は周知であり、例えばサムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)の特に第11章に記載されている。本発明のポリヌクレオチド配列には溶液ハイブリダイゼーションを行なうこともできる。
【0100】
本発明によればさらに、配列番号5で与えられるポリヌクレオチド配列にとって完全な遺伝子を含む適切なライブラリーを、配列番号5で与えられるこのポリヌクレオチド配列またはその断片を有するプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件のもとでスクリーニングし、そのポリヌクレオチド配列を単離することにより得られるポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、またはそうしたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。そのようなポリヌクレオチドを得るのに役立つ断片としては、例えば、この明細書の別の箇所に詳しく説明したプローブやプライマーが挙げられる。
【0101】
本発明のポリヌクレオチド・アッセイに関してはこの明細書の別の箇所に説明してあるが、例えば本発明のポリヌクレオチドをRNA、cDNA、ゲノムDNAのハイブリダイゼーション用プローブとして用い、BASB068をコードする完全長cDNAやゲノム・クローンを単離したり、BASB068遺伝子との一致度が高い他の遺伝子、特に配列の一致度が高いcDNAやゲノム・クローンを単離したりすることができる。このプローブは、一般に、少なくとも15のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることになろう。このプローブは、少なくとも30のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることが好ましく、少なくとも50のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいてもよい。特に好ましいプローブは、20以上かつ30未満のヌクレオチド残基または塩基対を含むことになろう。
【0102】
BASB068遺伝子のコード領域は、配列番号5で与えられるDNA配列を用いてオリゴヌクレオチド・プローブを合成し、このプローブを用いてスクリーニングを行なうことによって単離できる。そこで、本発明の遺伝子と相補的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーにプローブがハイブリダイズするかを確認する。
【0103】
本発明の1つの目的は、BASB069ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特にこの明細書でBASB069と表記するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0104】
本発明の特に好ましい実施態様では、このポリヌクレオチドは、完全長の遺伝子を含んでいて配列番号7で表わされる配列を有するBASB069ポリペプチドをコードする領域、またはその変異体をコードする領域を含んでいる。
【0105】
配列番号7で与えられるBASB069ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス菌株ATCC13090に由来するBASB069ポリヌクレオチドである。
【0106】
本発明のさらに別の側面によれば、BASB069ポリペプチドとポリヌクレオチド、特にナイセリア・メニンギティディスのBASB069ポリペプチドとポリヌクレオチドをコードおよび/または発現する、単離された核酸分子が提供される。そのような核酸分子としては、例えば、未処理のRNA、リボザイムRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、B−DNA、Z−DNAが挙げられる。本発明のさらに別の実施態様として、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なポリヌクレオチドとポリペプチド、これらの変異体、これらを含む組成物がある。
【0107】
本発明の別の側面は、配列番号8の推定アミノ酸配列を有するBASB069ポリペプチドをコードしており、少なくとも1つの完全長遺伝子を含む単離されたポリヌクレオチドと、このポリヌクレオチドと密接に関係したポリヌクレオチドと、これらの変異体に関する。
【0108】
本発明の特に好ましい実施態様では、ナイセリア・メニンギティディスに由来し、配列番号8のアミノ酸配列を含むBASB069ポリペプチド、またはそのアミノ酸配列からなるBASB069ポリペプチド、またはその変異体が提供される。
【0109】
配列番号7で与えられるポリヌクレオチド配列など、この明細書の情報を用いると、標準的なクローニング法およびスクリーニング法を利用し、次に完全長のクローンを得ることによって、BASB069ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。なお標準的なクローニング法およびスクリーニング法としては、出発材料としてナイセリア・メニンギティディス細胞を用いて細菌から染色体DNAのクローニングとシークエンシングを行なう方法がある。例えば配列番号7で与えられるポリヌクレオチド配列などの本発明のポリヌクレオチド配列を得るためには、大腸菌またはそれ以外の適切な宿主の中で、ナイセリア・メニンギティディスの染色体DNAのクローンのライブラリーを、部分配列から由来し、好ましくは17マーまたはそれよりも長い放射線標識したオリゴヌクレオチドでプローブするのが一般的である。次に、厳しい条件でのハイブリダイゼーションを行なうと、プローブのDNAと同じDNAを有するクローンを識別することができる。もとのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列から設計したシークエンシング用プライマーを用いたハイブリダイゼーションを通じてこのように同定された個々のクローンをシークエンシングすることにより、ポリヌクレオチド配列を両方の方向に伸長させ、完全長遺伝子の配列を決定することができる。都合のよいことに、このようなシークエンシングは、例えばプラスミド・クローンから調製した変性した二本鎖DNAを用いて実施することができる。適切な方法は、マニアティス, T、フリッチ, E.F.、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)に記載されている(特に「ハイブリダイゼーションによるスクリーニング」1.90と、「変性した二本鎖DNA鋳型のシークエンシング」13.70を参照のこと)。直接的にゲノムDNAのシークエンシングを行なって完全長遺伝子の配列を得ることもできる。本発明の証拠として、配列番号7で与えられる各ポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディスに由来するDNAライブラリーの中で発見された。
【0110】
さらに、配列番号7で与えられる各DNA配列は、配列番号8で与えられるアミノ酸残基とほぼ同数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含んでいる。このタンパク質の推定分子量は、当業者には周知のアミノ酸残基の分子量の値を用いて計算することができる。
【0111】
配列番号7のポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド番号1の開始コドンとヌクレオチド番号2074から始まる終止コドンの間で、配列番号8のポリペプチドをコードしている。
【0112】
本発明のさらに別の側面によれば、以下のものを含む単離されたポリヌクレオチド、または以下のものからなる単離されたポリヌクレオチドが提供される。
(a)配列番号7の全長にわたって配列番号7と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリヌクレオチド配列、または
(b)配列番号8の全長にわたって配列番号8と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または100%正確に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
【0113】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ナイセリア・メニンギティディス以外の種からのホモログやオーソログも含め、配列番号7の配列またはその断片からなる標識したプローブまたは検出可能なプローブ、あるいはこれらの配列またはその断片を含む標識したプローブまたは検出可能なプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件(例えば、温度が45〜65℃、SDSの濃度が0.1〜1%)のもとで適切なライブラリーをスクリーニングし、完全長遺伝子および/またはそのポリヌクレオチド配列を含むゲノム・クローンを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0114】
本発明により、配列番号7の中のコード配列(オープン・リーディング・フレーム)と全長にわたって一致するポリヌクレオチド配列が提供される。さらに本発明により、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはその断片のほか、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはリーディング・フレーム中にあって別のコード配列を有する断片が提供される。別のコード配列とは、例えば、リーダー配列または分泌配列、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列、プレプロタンパク質配列をコードする配列である。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの非コード配列も含んでいてよい。例示するならば、少なくとも1つの非コード5’配列や3’配列、例えば転写はされるが翻訳はされない配列や、終結シグナル(ρ依存性終結シグナルやρ非依存性終結シグナルなど)、リボソーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化させる配列、イントロン、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。ポリヌクレオチド配列は、付加アミノ酸をコードする付加コード配列も含んでいてよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコードすることができる。本発明のいくつかの実施態様では、マーカー配列は、pQEベクター(キアジェン社)の中に与えられるヘキサヒスチジン・ペプチド(ゲンツ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第86巻、821〜824ページ、1989年)、またはHAペプチド・タグ(ウイルソン他、Cell、第37巻、767ページ、1984年)である。そのどちらも、融合することになるポリペプチド配列を精製するのに役立てることができる。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子と、それにもともと付随していて遺伝子の発現を制御する配列とを有するポリヌクレオチドも含んでいる。ただし、本発明のポリヌクレオチドに含まれているのがそれだけとは限らない。
【0115】
配列番号8のBASB069ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号7のヌクレオチド番号1〜2073に含まれるポリペプチド・コード配列と同じであってよい。あるいは、遺伝暗号の冗長性(縮重)の結果として、配列番号8のポリペプチドをコードする配列であってもよい。
【0116】
“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”という表現は、この明細書では、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、さらに特定するならば、配列番号8で与えられるアミノ酸配列を有するナイセリア・メニンギティディスのBASB069ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドのことを意味する。この表現は、ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、組み込まれた挿入配列、組み込まれたベクター配列、組み込まれたトランスポゾン配列によって中断されたポリヌクレオチド、またはRNAの編集、ゲノムDNAの再構成のために中断されたポリヌクレオチド)に加え、やはりコード配列および/または非コード配列を含んでいる可能性のある付加領域を含むポリヌクレオチドのことも意味する。
【0117】
本発明はさらに、配列番号8の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする、この明細書に記載したポリヌクレオチドの変異体にも関する。本発明のポリヌクレオチドの断片は、例えば、本発明の完全長ポリヌクレオチドを合成するのに用いることができる。
【0118】
さらに、特に好ましい実施態様によれば、配列番号8で与えられるBASB069ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、いくつかのアミノ酸残基、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、2個、1個、0個のアミノ酸残基が置換、変更、欠失、および/または、付加された状態が任意に組み合わされたBASB069変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。その中でも特に好ましいのは、BASB069ポリペプチドの特性および活性を変化させないサイレントな置換、付加、欠失である。
【0119】
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、全長にわたって少なくとも85%が、配列番号8で与えられるアミノ酸配列を有するBASB069ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと一致するポリヌクレオチドと、そのポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドが提供される。この点に関し、全長にわたって少なくとも90%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましく、そうした特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましい。さらに、少なくとも95%が一致するポリヌクレオチドの中でも少なくとも97%が一致するポリヌクレオチドがさらに好ましく、その中でも少なくとも98%一致するもの、少なくとも99%一致するものがそれ以上に好ましく、少なくとも99%一致するものがより一層好ましい。
【0120】
好ましい実施態様によれば、配列番号7のDNAによってコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的な機能または活性を保持しているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0121】
本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB069ポリヌクレオチド配列、例えば配列番号7のポリヌクレオチドと特にストリンジェント条件下ハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0122】
本発明はさらに、この明細書に記載したポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点に関し、本発明は、特に、この明細書に記載したポリヌクレオチドと厳しい条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この明細書で用いる“厳しい条件”、“厳しいハイブリダイゼーション条件”という表現は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%が一致した場合にのみ起こるハイブリダイゼーションのことを意味する。厳しいハイブリダイゼーション条件の具体例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、20μg/mlの変性、切断したサケ精子DNAを含む溶液中で42℃にて一晩培養し、次に、ハイブリダイゼーション用支持体を約65℃にて0.1×SSCの中で洗浄するというものである。ハイブリダイゼーションと洗浄の条件は周知であり、例えばサムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)の特に第11章に記載されている。本発明のポリヌクレオチド配列には溶液ハイブリダイゼーションを行なうこともできる。
【0123】
本発明によればさらに、配列番号7で与えられるポリヌクレオチド配列にとって完全な遺伝子を含む適切なライブラリーを、配列番号7で与えられるこのポリヌクレオチド配列またはその断片を有するプローブを用いて厳しいハイブリダイゼーション条件のもとでスクリーニングし、そのポリヌクレオチド配列を単離することにより得られるポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、またはそうしたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。そのようなポリヌクレオチドを得るのに役立つ断片としては、例えば、この明細書の別の箇所に詳しく説明したプローブやプライマーが挙げられる。
【0124】
本発明のポリヌクレオチド・アッセイに関してはこの明細書の別の箇所に説明してあるが、例えば本発明のポリヌクレオチドをRNA、cDNA、ゲノムDNAのハイブリダイゼーション用プローブとして用い、BASB069をコードする完全長cDNAやゲノム・クローンを単離したり、BASB069遺伝子との一致度が高い他の遺伝子、特に配列の一致度が高いcDNAやゲノム・クローンを単離したりすることができる。このプローブは、一般に、少なくとも15のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることになろう。このプローブは、少なくとも30のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいることが好ましく、少なくとも50のヌクレオチド残基または塩基対を含んでいてもよい。特に好ましいプローブは、20以上かつ30未満のヌクレオチド残基または塩基対を含むことになろう。
【0125】
BASB069遺伝子のコード領域は、配列番号7で与えられるDNA配列を用いてオリゴヌクレオチド・プローブを合成し、このプローブを用いてスクリーニングを行なうことによって単離できる。そこで、本発明の遺伝子と相補的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーにプローブがハイブリダイズするかを確認する。
【0126】
完全長DNAを得るため、または短いDNAを伸長させるためには、当業者が利用している周知の方法がいくつかある。例えば、cDNA末端高速増幅(RACE)法に基づいた方法である(例えば、フローマン他、PNAS USA、第85巻、8998〜9002ページ、1988年を参照のこと)。最近この技術が改良されて例えばMarathon(登録商標)法(クロンテック・ラボラトリーズ社)となり、従来よりも長いcDNAの探索が非常に簡単になった。このMarathon(登録商標)法では、cDNAは選択した組織から抽出したmRNAから調製され、“アダプター”配列が各末端部に連結される。次に、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド・プライマーとアダプター特異的なオリゴヌクレオチド・プライマーを組み合わせて核酸の増幅(PCR)を行ない、DNAの“欠けている”5’末端を増幅する。次に、“入れ子になった”プライマー、すなわち増幅された産物の中でアニールするよう設計されたプライマー(代表例は、アダプター配列において3’末端をさらにアニールするアダプター特異的なプライマーや、選択した遺伝子配列において5’末端をさらにアニールする遺伝子特異的なプライマー)を用いてPCR反応を繰り返す。次に、この反応の産物をDNAシークエンシングにより解析し、存在しているDNAに直接この産物を結合させることによって、あるいは5’プライマーを設計するための新しい配列情報を用いて独立した完全長PCRを行なうことによって完全長DNAを構成し、完全な配列を得ることができる。
【0127】
本発明のポリヌクレオチドとポリペプチドは、例えば、疾患、中でもヒトの疾患の治療法や診断法を発見するための研究試薬、研究材料として使用することができる。これについてはこの明細書においてポリヌクレオチド・アッセイとの関連で詳しく説明する。
【0128】
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1〜8の配列から導かれたオリゴヌクレオチドである。これらポリヌクレオチドは、この明細書に記載した方法、好ましくはPCRにおいて利用して、ここで同定したポリヌクレオチドの全体または一部が、感染した組織内の細菌の中で転写されるかどうかを確かめるのに用いることができる。このような配列は、病原体の感染段階や感染タイプの診断にも利用できると考えられている。
【0129】
本発明により、成熟タンパク質に対してアミノ末端またはカルボキシル末端にアミノ酸が付加されたポリペプチド、または成熟ポリペプチド内のアミノ酸からなるポリペプチド(成熟した形態が例えばポリペプチド鎖を2本以上持っている場合)をコードするポリヌクレオチドも提供される。このような配列はいろいろな機能を有するが、中でも、タンパク質を前躯体から成熟した形態へと処理する際にある役割を演じていたり、タンパク質の輸送を可能にしたり、タンパク質の半減期を長くしたり短くしたり、アッセイまたは産生のためにタンパク質の取り扱いを容易にしたりできる可能性がある。生体内では一般的なことだが、付加されたアミノ酸は細胞の酵素によって成熟タンパク質から除去される可能性がある。
【0130】
本発明のあらゆるポリヌクレオチドのそれぞれについて、相補的なポリヌクレオチドが提供される。これら相補的なポリヌクレオチドは、対象となる各ポリヌクレオチドに対して完全に相補的であることが好ましい。
【0131】
前躯体タンパク質は、成熟タンパク質に1つまたはそれ以上のプロ配列が融合した形態であるため、不活性になっている可能性がある。プロ配列を除去すると、そうした不活性な前躯体は一般に活性化される。プロ配列のいくつかまたはすべてを除去すると活性化させることができる。一般に、このような前躯体をプロタンパク質と呼ぶ。
【0132】
本発明のいくつかのポリヌクレオチドを記述するにあたって、ヌクレオチドに対する標準的な表記であるA、G、C、T/Uに加え、“N”という表記も用いることができる。“N”は、DNAまたはRNAの4つのヌクレオチドのうちの任意のものがDNA配列またはRNA配列の中の指定された位置に現われてよいことを意味している。ただし、正しいリーディング・フレームで隣接したヌクレオチドの位置と組み合わせて読んだ場合に、Nがそのリーディング・フレーム内で早すぎる終止コドンを発生させる効果を持つような核酸ではないことが好ましい場合は除く。
【0133】
要するに、本発明のポリヌクレオチドがコードできるのは、成熟タンパク質、成熟タンパク質+リーダー配列(これをプレタンパク質と呼ぶことができよう)、プレタンパク質のリーダー配列ではないプロ配列を1つまたはそれ以上有する成熟タンパク質前躯体、またはプレプロタンパク質である。プレプロタンパク質というのはプロタンパク質の前躯体であり、リーダー配列と1つまたはそれ以上のプロ配列を含んでいる。プロ配列は、一般に、活性がある成熟した形態のポリペプチドを生み出すための処理ステップにおいて除去される。
【0134】
本発明の1つの側面によれば、本発明のポリヌクレオチドを疾病の治療または予防、特に遺伝子免疫法に利用する方法が提供される。
【0135】
本発明のポリヌクレオチドを遺伝子免疫法に利用する際には、適切なデリバリー方法を用いることが好ましかろう。例えば、プラスミドDNAを筋肉に直接注射する方法(ウォルフ他、Hum. Mol. Genet.、第1巻、363ページ、1992年;マンソープ他、Hum. Gene. Ther.、第4巻、419ページ、1983年)、特定のタンパク質担体と複合体を形成したDNAのデリバリー(ウー他、J. Biol. Chem.、第264巻、16985ページ、1989年)、DNA−リン酸カルシウム沈殿法(ベンヴェニスティとリシェフ、PNAS USA、第83巻、9551ページ、1986年)、さまざまな形態のリポソーム内にDNAを包み込む方法(カネダ他、Science、第243巻、375ページ、1989年)、粒子衝撃(タン他、Nature、第356巻、152ページ、1992年;アイゼンブラウン他、DNA Cell Biol.、第12巻、791ページ、1993年)、クローニングしたレトロウイルス・ベクターを用いたインビボ感染(シーガー他、PNAS USA、第81巻、5849ページ、1984年)といった方法がある。
ベクター、宿主細胞、発現系
本発明は、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むベクターと、本発明のベクターを用いて遺伝子改変した宿主細胞と、組み換え技術による本発明のポリペプチドの産生とに関する。本発明のDNA構造体に由来するRNAを用いてそのようなタンパク質を産生させるには、細胞フリーな翻訳系も用いることができる。
【0136】
本発明の組み換えポリペプチドは、発現系を含む遺伝子改変した宿主細胞をもとにして当業者に周知の方法で調製することができる。したがって、さらに別の側面として、本発明は、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む発現系と、その発現系を用いて遺伝子改変した宿主細胞と、組み換え技術による本発明のポリペプチドの産生とに関する。
【0137】
本発明のポリペプチドを遺伝子組み換えにより産生させるには、遺伝子工学により宿主細胞に発現系またはその一部、あるいは本発明のポリヌクレオチドを組み込む。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するには、標準的な実験の手引書に記載されている方法を用いる。実験の手引書としては、例えば、デイヴィス他、『分子生物学における基本的な方法』(1986年)、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)がある。方法としては、例えば、リン酸カルシウム・トランスフェクション、DEAE−デキストランを媒介としたトランスフェクション、トランスベクション、微量注入、陽イオン性脂質を媒介としたトランスフェクション、電気穿孔、形質導入、スクレープ・ローディング、バリスティック導入、感染がある。
【0138】
適切な宿主細胞の代表例としては、細菌細胞である連鎖球菌(streptococci)、ブドウ球菌(staphylococci)、腸球菌(enterococci)、大腸菌(E. coli)、放線菌(streptomyces)、シアノバクテリア(cyanobacteria)、枯草菌(Bacillus)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、髄膜炎菌の細胞(Neisseria meningiticis);菌類の細胞である酵母、クルイヴェロミセス(Kluyveromyces)、サッカロミセス、担子菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、コウジカビ(Aspergillus)の細胞;昆虫の細胞であるショウジョウバエS2、スポドプテラ(Spodoptera)Sf9の細胞;動物の細胞であるCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293、CV−1、バウエス黒腫の細胞;植物の細胞である裸子植物、被子植物の細胞が挙げられる。
【0139】
本発明のポリペプチドを産生させるのに多彩な発現系を用いることができる。そのようなベクターとしては、特に、染色体由来のベクター、エピソーム由来のベクター、ウイルス由来のベクターが挙げられる。具体的には、細菌プラスミド由来のベクター、バクテリオファージ由来のベクター、トランスポゾン由来のベクター、酵母エピソーム由来のベクター、挿入要素由来のベクター、酵母染色体要素由来のベクターや、バキュロウイルス、SV40などのパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ピコルナウイルス、レトロウイルス、アルファウイルスなどのウイルスに由来するベクターのほか、これらの組み合わせに由来するベクター、例えばプラスミドとバクテリオファージの遺伝子要素であるコスミドとファージミドの組み合わせに由来するベクターが挙げられる。発現系構造体は、発現の調節と発生を制御する領域を含んでいてよい。一般に、宿主内でポリヌクレオチドの維持、伝播、発現および/またはポリペプチドの発現をさせるのに適した任意の系またはベクターを用いて発現させることができる。周知のさまざまな一般的な方法のうちの任意の方法を用いて適切なDNA配列を発現系に挿入することができる。そうした方法は、例えば、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』(前掲)に記載されている。
【0140】
真核生物における組み換え発現系においては、翻訳されたタンパク質を小胞体の内腔、細胞周辺腔、または細胞外環境に分泌させるため、適切な分泌シグナルが、発現されるポリペプチドに組み込まれている可能性がある。このシグナルは、ポリペプチドにとって内在性である可能性と、異種性シグナルである可能性とがある。
【0141】
本発明のポリペプチドは、周知の方法によって組み換え細胞培養物から回収し、精製することができる。周知の方法としては、例えば、硫酸アンモニウムまたはエタノールによる沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロース・クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティ・クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィ、レクチン・クロマトグラフィが挙げられる。精製にはイオン金属アフィニティ・クロマトグラフィ(IMAC)を利用するのが最も好ましい。ポリペプチドが細胞内合成、単離、精製の間に変性した場合には、周知の方法を用いてタンパク質を再度折り畳み、活性な立体配座を再現することができる。
【0142】
発現系は、ウイルスや細菌などの生きた組み換え微生物であってもよい。対象とする遺伝子を生きた組み換えウイルスや細菌のゲノムに挿入することができる。この生きたベクターを接種して生体に感染させると、抗原が生体内で発現し、免疫応答が誘導されることになる。この目的で使用されるウイルスや細菌としては、例えば、ポックスウイルス(例えばワクシニア、禽痘、カナリア痘)、アルファウイルス(シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、ライノウイルス)、ヘルペスウイルス(水痘帯状ヘルペスウイルスなど)、リステリア菌、サルモネラ菌、ナイセリア菌、BCGが挙げられる。これらのウイルスや細菌は毒性を持っている可能性があり、生ワクチンを得るためにさまざまな方法で毒性を弱めることができる。このような生ワクチンも本発明の一部である。
診断法、予後予測法、血清型分類法、突然変異検出法
本発明は、本発明のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069というポリヌクレオチドとポリペプチドを診断用試薬として用いることにも関する。真核生物、特に哺乳類、その中でもヒトにおけるBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを検出することにより、疾病の診断、疾病の段階分類、感染した生体の薬剤に対する反応を診断する方法が提供されることになる。真核生物、特に哺乳類、その中でもヒト、その中でもBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069という遺伝子またはタンパク質を含む生物に感染したヒト、またはその生物の感染が疑われるヒトは、周知のさまざまな方法ならびにこの明細書に記載した方法によって、核酸またはアミノ酸レベルで検出することが可能である。
【0143】
予後、診断、またはそれ以外の解析のためのポリペプチドとポリヌクレオチドは、感染が推定される個体および/または感染した個体の体内物質から得ることができる。他の任意の供給源、特にDNAまたはRNAに由来するポリヌクレオチドは、直接検出に用いること、あるいは解析を行なう前にPCRまたはその他の任意の方法で酵素による増幅を行なうことができる。RNA、特にmRNAや、cDNA、ゲノムDNAも同様にして用いることができる。増幅を行なうことにより、個人に感染した生物またはその個人の体内に住み着いている生物の種や菌株のキャラクテリゼーションを、その生物から選択したポリヌクレオチドの血清型を分析することにより実現できる。増幅された産物を、関連した生物、好ましくは同じ属の異なる種、または同じ種の異なる株から選択した参照配列の血清型と比較した場合のサイズ変化により、欠失および挿入を検出することができる。点突然変異は、増幅したDNAを、標識したBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に一致した配列、またはかなりの割合が一致した配列は、DNAとRNAのそれぞれについてDAアーゼまたはRNアーゼによる消化によって、あるいは溶解温度または再生キネティックスの差を検出することによって、不完全にしか一致していない複製、またはかなりの割合が一致していない複製と区別することができる。ポリヌクレオチド配列の差は、参照配列と比較した場合のゲル中におけるポリヌクレオチド断片の電気泳動における移動度の変化としても検出することができる。その場合に変性剤は用いても用いなくてもよい。ポリヌクレオチドの差は、DNAまたはRNAを直接シークエンシングすることによっても検出することができる。例えば、マイヤーズ他、Science、第230巻、1242ページ、1985年を参照のこと。特定の位置における配列の変化は、RNアーゼ、V1、S1保護アッセイなどのヌクレアーゼ保護アッセイや、化学的切断法によっても明らかにすることができる。例えば、コットン他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第85巻、4397〜4401ページ、1985年を参照のこと。
【0144】
別の実施態様では、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ヌクレオチド配列またはその断片を含むオリゴヌクレオチド・プローブをアレイに構成して、例えば遺伝子突然変異、血清型、分類、同定のスクリーニングを効果的に行なうことができる。アレイ技術は周知で一般性があるため、遺伝子発現、遺伝子連鎖、遺伝子可変性などの分子遺伝学のさまざまな問題に適用することができる(例えば、チー他、Science、第274巻、610ページ、1996年を参照のこと)。
【0145】
そこで別の側面として、本発明は、以下のものを含む診断キットに関する。
(a)本発明のポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1、3、5、7のヌクレオチド配列、またはその断片;
(b)(a)の配列と相補的なヌクレオチド配列;
(c)本発明のポリペプチド、好ましくは配列番号2、4、6、8のポリペプチド、またはその断片;
(d)本発明のポリペプチドに対する抗体、好ましくは配列番号2、4、6、8のポリペプチドに対する抗体。
【0146】
このようなキット(a)、(b)、(c)、(d)のいずれもが実質的な成分を含んでいることが理解されよう。このようなキットは、特に、疾病の診断または疾病に対する感受性の診断に用いられる。
【0147】
本発明は、診断用試薬としての本発明のポリヌクレオチドの利用法にも関する。本発明のポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1、3、5又は7のポリヌクレオチドが突然変異して過少発現、過剰発現、または変化した発現を起こすと疾病や病原性と関係してくるので、そうした突然変異を検出することは診断の手段となり、疾病の診断、疾病の予後予測、疾病段階の決定、疾病に対する感受性の確認の参考にしたり、そうしたことを明確にしたりすることができる。このようなポリヌクレオチドに突然変異を起こした生物、特にそのような状態の感染生物は、さまざまな方法、例えばこの明細書の別の箇所に記載した方法によってポリヌクレオチド・レベルで検出することができる。
【0148】
本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドに突然変異または多型(対立遺伝子の変異)を有する生物からの細胞は、さまざまな方法によってポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルで検出し、例えば血清型を決めることもできる。例えば、RT−PCRを利用してRNAにおける突然変異を検出することができる。RT−PCRを自動化した検出システム、例えばジーンスキャンと組み合わせることが特に好ましい。RNA、cDNA、ゲノムDNAに対してもPCRを行なうことができる。一例として、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと相補的なPCRプライマーを用いて突然変異を同定したり解析したりすることができる。
【0149】
本発明によれば、1、2、3、または4個のヌクレオチドが5’末端および/または3’末端から除去されたプライマーがさらに提供される。このプライマーは、特に、個体に由来するサンプル、例えば体を構成している物質に由来するサンプルから単離したBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069のDNAおよび/またはRNAを増幅するのに用いることができる。感染した個体から単離したポリヌクレオチドをこのプライマーを用いて増幅すると、次にさまざまな方法によりそのポリヌクレオチドの配列を明らかにすることができる。このようにして、ポリヌクレオチド配列における突然変異を検出し、その突然変異をもとにして、感染状態またはその段階や進行状況の診断および/または予後予測、感染体の血清型決定および/または分類を行なうことができる。
【0150】
本発明によればさらに、疾病の診断、好ましくは細菌感染の診断、さらに好ましくはナイセリア・メニンギティディスによって起こる感染を診断する方法も提供される。この方法には、個体に由来するサンプル、例えば体を構成している物質に由来するサンプルから、配列番号1、3、5又は7の配列を有するポリヌクレオチドの発現レベルの上昇を測定する操作が含まれる。BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドの発現の上昇または減少は、ポリヌクレオチドの定量法として当業者には周知の方法のうちの任意の方法を用いて測定することができる。そうした方法としては、例えば、増幅法、PCR法、RT−PCR法、RNアーゼ保護法、ノーザン・ブロット法、分光法、その他のハイブリダイゼーション法がある。
【0151】
さらに、対照用の正常組織サンプルと比べることによってBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドの過剰発現を検出するという本発明の診断法を利用し、例えば感染の存在を検出することができる。宿主に由来するサンプル、例えば体を構成している物質に由来するサンプル中のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドのレベルを測定するのに用いることができるアッセイ法は当業者には周知である。そうしたアッセイ法としては、放射線免疫検定法、競合結合アッセイ、ウエスタン・ブロット解析法、抗体サンドイッチ・アッセイ、抗体検出法、ELISA法などがある。
【0152】
本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド・アレイの成分、好ましくは高密度アレイまたはグリッドの成分として用いることができる。この高密度アレイは、診断および予後予測に特に有効である。例えば、それぞれが、異なる遺伝子に加えて本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むスポットの集合を用い、体を構成している物質から得られた、またはそうした物質に由来するプローブを用い、ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅などを利用してプロービングを行ない、個体の体内に特定のポリヌクレオチド配列または関連した配列が存在しているかどうかを決定することができる。そのようなものが存在しているということは、病原体、特にナイセリア・メニンギティディスが存在していることを示唆している可能性があり、疾病または疾病進行の診断および/または予後予測を明確にするのに役立つ可能性がある。配列番号1、3、5、7のポリヌクレオチド配列の多数の変異体を含むグリッドが好ましい。配列番号2、4、6又は8のポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列の多数の変異体を含むグリッドも好ましい。
抗体
本発明のポリペプチドとポリヌクレオチド、またはその変異体、またはそれを発現する細胞を免疫原として用い、そのようなポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して免疫特異的な抗体を産生させることができる。
【0153】
本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する抗体が提供される。
【0154】
本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する抗体は、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、あるいはエピトープを有するその一方または両方の断片、あるいはその一方または両方のアナログ、あるいはその一方または両方を発現する細胞を、動物、好ましくはヒトでない動物に一般的なプロトコルに従って投与することにより得ることができる。モノクローナル抗体を調製するためには、連続的細胞系培養によって産生される抗体を提供する任意の従来法を用いることができる。さまざまな方法があり、例えば、ケーラー, G、ミルシュタイン, C.、Nature、第256巻、495〜497ページ、1975年;コズボー他、Immunology Today、第4巻、72ページ、1983年;コール他、『モノクローナル抗体とガン治療』(アラン R. リス社、1985年)の77〜96ページが挙げられる。
【0155】
一本鎖の抗体の産生法(アメリカ合衆国特許第4,946,778号)を利用して本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する一本鎖の抗体を産生させることができる。また、トランスジェニック・マウス、またはそれ以外の生物や動物、例えば哺乳類を利用して、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する免疫特異的なヒト化した抗体を発現させることができる。
【0156】
別の方法として、ファージ提示法を利用して、抗BASB047、抗BASB054、抗BASB068又は抗BASB069を処理するためにスクリーニングされたヒト由来リンパ球のPCR増幅されたv−遺伝子のレパートリーから、あるいは実験されたことのないライブラリーから、本発明のポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択することができる(マッカファーティ他、Nature、第348巻、552〜554ページ、1990年;マークス他、Biotechnology、第10巻、779〜783ページ、1992年)。これら抗体の親和性は、例えばチェーン・シャッフリングによって向上させることもできる(クラクソン他、Nature、第352巻、628ページ、1991年)。
【0157】
上記の抗体を用いて本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを発現するクローンを単離または同定し、例えばアフィニティ・クロマトグラフィによってそのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを精製することができる。
【0158】
したがって、特にBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドまたはBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドに対する抗体を用いて感染、特に細菌感染を治療することができる。
【0159】
ポリペプチドの変異体として、抗原、エピトープ、または免疫に関して等価な変異体は、本発明の特別な一側面を構成する。
【0160】
抗体またはその変異体を修飾して個体の中で免疫性を低下させることが好ましい。例えば、個体がヒトである場合、抗体が“ヒト化され”ていて、ハイブリドーマに由来する抗体の相補性決定領域がヒトのモノクローナル抗体に移植されていることが最も好ましい。これについては、例えば、ジョーンズ他、Nature、第321巻、522〜525ページ、1986年、またはテンペスト他、Biotechnology、第9巻、266〜273ページ、1991年に記載されている。
アンタゴニストとアゴニスト−アッセイと分子
本発明のポリペプチドとポリヌクレオチドは、例えば細胞、細胞フリーな調製物、化合物ライブラリー、天然産物の混合物の中で小さな分子からなる基質やリガンドの結合力を評価するのに用いることもできる。これら基質やリガンドは、天然の基質やリガンドでもよく、構造または機能を似せた人工物でもよい。例えば、コリガン他、『免疫学における最新のプロトコル』、第1(2)巻、第5章、1991年を参照のこと。
【0161】
スクリーニング法により、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド、そのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを有する細胞または膜、またはそのポリペプチドの融合タンパク質に対する候補化合物の結合を、その候補化合物に直接または間接に付随する標識を用いて容易に測定することが可能である。また、スクリーニング法では、標識した競合化合物との競合が起こることがある。さらに、これらスクリーニング法においてポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む細胞に対する適切な検出システムを用いることにより、候補化合物が、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性化または抑制によってシグナルを発生するかどうかをテストすることができる。活性のインヒビターは、一般に、既知のアゴニストの存在下で分析し、候補化合物が存在していることによってそのアゴニストが活性化に及ぼす効果を観測する。構成的に活性なポリペプチドおよび/または構成的に発現するポリペプチドとポリヌクレオチドを用い、アゴニストまたはインヒビターの存在下で、候補化合物がそのポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性化を抑制するかどうかをテストすることにより、逆アゴニストまたは逆インヒビターのスクリーニングができる。さらに、スクリーニング法は、候補化合物を本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む溶液と混合して混合物にし、その混合物中のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの活性を測定し、その混合物のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの活性を基準と比較する操作だけを含むようにすることが可能である。融合タンパク質、例えばFcタンパク質とBASB047、BASB054、BASB068、またはBASB069ポリペプチドとから作られる融合タンパク質は、すでに説明したように、本発明のポリペプチドのアンタゴニストや、系統発生上および/または機能上関連したポリペプチドのアンタゴニストを同定するためのハイスループット・スクリーニング・アッセイにも用いることができる(D. ベネット他、J. Mol. Recognition、第8巻、52〜58ページ、1995年;K. ヨハンソン他、J. Biol. Chem.、第270巻(16)、9459〜9471ページ、1995年を参照のこと)。
【0162】
本発明のポリペプチドと結合および/または相互作用するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体は、付加化合物が細胞内におけるmRNAおよび/またはポリペプチドの産生に及ぼす効果を検出するスクリーニング法を設計するのにも用いることができる。例えば、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体を用いてポリペプチドの分泌レベルまたは細胞付随レベルを測定するため、従来技術において標準的な方法によりELISAを構成することができる。これは、適切に処理した細胞または組織からのポリペプチドの産生を抑制または促進する可能性のある薬剤(それぞれ、アンタゴニスト、アゴニストと呼ばれる)を発見するのに利用できる。
【0163】
本発明により、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を促進(アゴニスト)または阻止(アンタゴニスト)する化合物、特に細菌発育抑制性および/または殺菌性の化合物を同定するための化合物スクリーニング法も提供される。このスクリーニング法にはハイスループット技術を含めることが可能である。例えば、アゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするため、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドと、そのポリペプチドの基質またはリガンドを標識したものとを含む合成反応用混合物、細胞の区画(例えば膜、細胞外被、細胞壁)、またはこれらのうちの任意のものの調製物を、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069のアゴニストまたはアンタゴニストの可能性がある候補化合物の不在下または存在下で培養する。候補化合物がBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドを作動させる能力または拮抗する能力は、標識したリガンドの結合の低下、またはそのような基質からの産物の産生低下となって現われる。BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドの効果を誘起することなく結合する分子は、よいアンタゴニストである可能性が最も高い。よく結合する分子や、場合によっては基質からの産物の産生率を上昇させる分子、シグナル伝達を増加させる分子、化学チャネルの活性を増大させる分子は、アゴニストである。状況に応じて起こる基質からの産物の産生、シグナル伝達、化学チャネルの活性の割合やレベルは、レポーター系を用いることによって容易に検出することができる。この点に関して役に立つ可能性のあるレポーター系としては、測色用に標識した基質が産物に変換されたもの、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの活性の変化に関与するレポーター遺伝子、従来技術で既知の結合アッセイが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0164】
BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069のアゴニストを探すアッセイの別の一例は、競合抑制アッセイにとって適切な条件下で、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069と潜在的なアゴニストとを、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069と結合する分子、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069と結合する組み換え分子、天然の基質またはリガンド、あるいは基質またはリガンドを真似たものと結合させるという競合アッセイである。BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069を放射活性物質または測色用化合物などで標識すると1つの結合分子に結合したり産物に変換されたりするBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069の数を正確に測定できるため、潜在的なアンタゴニストの効果を評価することができる。
【0165】
潜在的なアンタゴニストとしては、特に、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドと結合し、そのことによってその活性または発現が抑制されたり消えたりする小さな有機分子、ペプチド、ポリペプチド、抗体が挙げられる。潜在的なアンタゴニストとしては、結合分子の同じ部位に結合するがBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069によって誘起される活性を誘起せず、そのことによってBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドが結合するのを排除してBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの作用または発現を阻止する小さな有機分子、ペプチド、密接な関係のあるタンパク質などのポリペプチド、抗体も可能である。
【0166】
潜在的なアンタゴニストとしては、ポリペプチドの結合部位と結合してその部位を占拠し、そのことによって細胞と結合する分子の結合を阻止し、正常な生物活性を抑制する小さな分子も挙げられる。小さな分子の実例としては、小さな有機分子、ペプチド、ペプチド様分子が挙げれられるが、これだけに限定されるわけではない。これ以外の潜在的なアンタゴニストとしては、アンチセンス分子がある(この分子の説明に関しては、オカノ、J. Neurochem.、第56巻、560ページ、1991年;『遺伝子発現のアンチセンス・インヒビターとしてのオリゴデオキシヌクレオチド』、CRCプレス、ボカ・ラトン、フロリダ州、1988年を参照のこと)。好ましい潜在的なアンタゴニストとしては、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069と関係のある化合物、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069の変異体が挙げられる。
【0167】
さらに別の側面として、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断片と、さまざまなサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)のH鎖またはL鎖の定常領域のさまざまな部分を含む遺伝子組み換え可溶性融合タンパク質に関する。免疫グロブリンとして好ましいのは、ヒトIgG、特にIgG1のH鎖の定常部分であり、そのヒンジ領域において融合が起こる。特別な実施態様によると、Fc部は、血液凝固第Xa因子を用いて切断することのできる切断配列を組み込むことによって簡単に除去することができる。本発明はさらに、遺伝子工学によるこの融合タンパク質の調製方法と、この融合タンパク質を利用して行なう薬剤のスクリーニング、診断、治療にも関する。本発明のさらに別の側面は、そのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドにも関する。融合タンパク質に関する技術の実例は、国際特許出願WO94/29458、WO94/22914に見ることができる。
【0168】
この明細書に記載した各ポリヌクレオチド配列は、抗菌化合物の発見や開発に用いることができる。コードされたタンパク質は、発現すると、抗菌薬剤をスクリーニングするためのターゲットとして用いることができる。さらに、コードされたタンパク質のアミノ末端領域をコードしているポリヌクレオチド配列、シャイン・ダルガルノ配列、または個々のmRNAの翻訳を容易にする配列を用いてアンチセンス配列を構成し、対象とするコード配列の発現を制御することができる。
【0169】
本発明により、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニスト、アンタゴニストを利用して、1つまたは複数の病原体と、感染後の発病の原因である真核生物の宿主、好ましくは哺乳類の宿主との間の最初の物理的相互作用を阻止するという利用法も提供される。特に、本発明の分子は、細菌、中でもグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌が、留置器具上の真核生物、好ましくは哺乳類の細胞外マトリックス・タンパク質に、または傷の細胞外マトリックス・タンパク質に付着するのを阻止するのに用いること;真核生物、好ましくは哺乳類の細胞外マトリックス・タンパク質と、組織の損傷をもたらす細菌のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069タンパク質の間に細菌が付着するのを阻止するのに用いること、および/または;留置器具の移植その他の外科的方法とは異なる経緯により感染したことによって発病が普通に進行するのを阻止するのに用いることができる。
【0170】
本発明のさらに別の側面によれば、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069アゴニストとアンタゴニスト、好ましくは細菌発育抑制性および/または殺菌性のアゴニストとアンタゴニストが提供される。
【0171】
本発明のアゴニストとアンタゴニストは、例えば、疾病の予防、抑制、および/または、治療に用いることができる。
【0172】
さらに別の側面として、本発明は、本発明のポリペプチドのミモトープに関する。ミモトープは、天然のペプチドと(配列または構造が)非常によく似たペプチド配列であり、天然のペプチドを認識する抗体によって認識される。ミモトープはまた、適切な担体と結合した場合に、天然のペプチドを認識する抗体を強化することもできる。
【0173】
ペプチド・ミモトープは、選択したアミノ酸を付加したり、欠失させたり、置換したりすることによって特定の目的用に設計することができる。したがってペプチドは、タンパク質担体と容易に結合できるように修飾することができる。例えば、いくつかの化学的結合法にとっては末端にシステインを含むようにすることが望ましかろう。それに加え、タンパク質担体と結合したペプチドにおいて、そのペプチドの結合した末端とは反対側に疎水性末端を含むようにして、そのペプチドの結合していないこの自由な末端がタンパク質担体の表面と会合したままになっているようにすることが望ましかろう。そうすることにより、このペプチドが、もとの分子全体の文脈にあるときのペプチドの配座と非常によく似た配座になる。例えばペプチドは、N末端のシステインとC末端の疎水性のアミド化された尾部を持つように変えることができる。また、1つまたはそれ以上のアミノ酸についてD−立体異性体を付加または置換して、例えばペプチドの安定性を向上させるという好ましい誘導体を作ることができる。
【0174】
また、ペプチド・ミモトープは、ファージ提示法などの方法を利用し、本発明のポリペプチドと結合することのできる抗体を用いて同定することができる(EP 0 552 267 B1)。この方法により、天然のペプチドと構造が似ており、したがってアンチ天然のペプチド抗体に結合できるが、必ずしも天然のポリペプチドとは配列がそれほど似てはいない多数のペプチド配列が生まれる。
ワクチン
本発明の別の側面は、個体、特に哺乳類、好ましくはヒトにおいて免疫応答を誘起する方法に関する。この方法は、その個体を、感染、特に細菌感染、中でもナイセリア・メニンギティディスの感染から保護するため、抗体および/またはT細胞免疫応答を発生させるのに十分なBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはその断片または変異体をこの個体に接種する操作を含んでいる。
【0175】
本発明により、そのような免疫応答によって細菌の複製速度が遅くなる方法も提供される。本発明のさらに別の側面は、個体において免疫応答を誘起する別の方法に関する。この方法は、その個体に核酸ベクター、配列、またはリボザイムを供給してBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはその断片または変異体の発現を指示し、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはその断片または変異体を生体内で発現させて、疾病がすでにその個体、好ましくはヒトの体内で発生しているかどうかどうかに関係なく、その個体をその疾病から保護するために、抗体および/またはT細胞(例えばサイトカイン産生T細胞または細胞障害性T細胞を含む)の免疫応答の発生などの免疫応答を誘起する操作を含んでいる。遺伝子投与の一例は、その遺伝子を、粒子のコーティングなどとして望む細胞の中に急いで入れるというものである。このような核酸ベクターは、DNA、RNA、リボザイム、修飾された核酸、DNA/RNAハイブリッド、DNA−タンパク質複合体、またはRNA−タンパク質複合体を含むことができる。
【0176】
本発明のさらに別の側面は、個体、好ましくはヒトに導入されたときにその個体の体内で免疫応答を誘起することができて、その個体にBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはそれによってコードされたポリペプチドに対する免疫応答を誘起する免疫性組成物に関する。この免疫性組成物は、組み換えBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはそれによってコードされたポリペプチド、および/または、このBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチド、それによってコードされたポリペプチド、または本発明の他のポリペプチドの抗体をコードし発現するDNAおよび/またはRNAを含んでいる。この免疫応答を治療または予防に利用することが可能である。また、この免疫応答は、抗体免疫の形態および/または細胞免疫の形態、例えばCTLまたはCD4+T細胞から生まれる細胞免疫の形態を取ることができる。
【0177】
BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドまたはその断片を、補タンパク質または化合物断片と融合させることが可能である。補タンパク質または化合物断片は、それ自体は抗体を産生させても産生させなくてもよいが、第1のタンパク質を安定化させて、抗原特性および/または免疫特性、好ましくは保護特性を有する融合タンパク質または修飾タンパク質を産生させることができるものである。したがって、組み換え融合タンパク質は、例えばインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、β−ガラクトシダーゼなどの抗原性補タンパク質、またはそのタンパク質を可溶化しその産生と精製を容易にする任意の他の比較的大きな補タンパク質からのリポタンパク質をさらに含んでいることが好ましい。さらに、補タンパク質は、そのタンパク質を受け入れる生物の免疫系を一般的に刺激するという意味のアジュバントとして作用することができる。補タンパク質は、第1のタンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれかに付着することができる。
【0178】
本発明のワクチン組成物では、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、その断片、そのミモトープ、その変異体が、上記の生きた組み換えベクター、例えば生きた細菌ベクターなどのベクター内に存在していてもよい。
【0179】
BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドにとっては、生きていないベクター、例えば細菌の外膜小胞、すなわち“泡状突起”も適している。OM泡状突起はグラム陰性菌の2層膜の外膜に由来するものであり、クラミジア・トラコマティス(C. trachomatis)やオウム病クラミジア(C. psittaci)を始めとする多数のグラム陰性菌において記録されている(ツー, L.他、FEMS Microbiol. Lett.、第163巻、223〜228ページ、1998年)。泡状突起を発生させると報告されている細菌性病原体としては、ボルデテラ・ペルトゥシス(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・オヴィス(Brucella ovis)、大腸菌、インフルエンザ菌、レジオネラ・プヌーモフィラ(Legionella pneumophila)、ナイセリア・ゴノロエア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス、スードモナス・アエルギノサ(Pseudononas aeruginosa)、イェルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)などがあるが、これだけに限定されるわけではない。
【0180】
泡状突起(Blebs)は、もともとの配座において外膜タンパク質を提供できるという利点があり、したがってワクチンに特に有効である。泡状突起は、外膜にある1つまたはそれ以上の分子の発現が変化するように細菌を遺伝子改変することにより、ワクチン用に改良することもできる。そこで、例えば外膜の所望の免疫タンパク質の発現、例えばBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドの発現を(例えばプロモーターを変化させることによって)導入したり上方調節したりすることができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、関係のない外膜分子(例えば、非保護抗原、または免疫優勢であるが可変性のあるタンパク質)または、有害な外膜分子(例えば、LPSなどの毒性分子、または自己免疫応答を誘起する可能性のある分子)の発現を下方調節することができる。こられの方法について以下に詳しく説明する。
【0181】
BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子の非コード・フランキング領域は、その遺伝子の発現にとって重要な調節領域を含んでいる。この調節は、転写レベルと翻訳レベルの両方で起こる。遺伝子のオープン・リーディング・フレームの上流または下流に位置しているこれら領域の配列は、DNAシークエンシングによって得ることができる。この配列情報により、潜在的な調節モチーフを決定すること、例えばさまざまなプロモーター要素、ターミネーター配列、誘起可能な配列要素、リプレッサー、相変異の原因となる要素、シャイン・ダルガルノ配列、潜在的な二次構造を有する調節関与領域のほか、これ以外のタイプの調節モチーフや調節配列を決定することができる。
【0182】
この配列情報により、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子の自然な発現を変化させることができる。遺伝子発現の上方調節は、プロモーター、シャイン・ダルガルノ配列、潜在的なリプレッサー、オペレータ要素、または関係のある他の要素を変えることによって実現できる。同様に、発現の下方調節は、似たような変更によって実現することができる。また、相変異配列を変化させることにより、遺伝子の発現を相変異の制御下に置いたり、この調節から独立させたりすることができる。別の方法では、遺伝子を1つまたはそれ以上の誘起要素の制御下に置いて、発現を制御できるようにすることができる。そうした制御の具体例としては、温度シフトによる誘起や、誘起性基質の付加、例えば選択した炭水化物またはその誘導体、微少元素、ビタミン、補因子、金属イオンなどの付加が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0183】
上記のような変更は、いくつかの異なったやり方で導入することができる。遺伝子の発現に関係する配列の変更は、生体内でランダムな突然変異を起こした後に望む表現型を選択することによって実現できる。別の方法は、興味の対象となる領域を分離した後、その領域をランダムに突然変異させること、または部位特異的突然変異による置換、挿入、または欠失を起こさせることにより変化させることからなる。次に、このように変化した領域を相同的組み換えによって細菌の遺伝子に再導入して、遺伝子の発現に及ぼす効果を評価することができる。別の方法では、対象となる領域の配列に関する知識を利用して、天然の調節配列の全部または一部を置換または除去する。この場合、ターゲットとなる調節領域を分離・変更して、別の遺伝子からの調節要素、さまざまな遺伝子からの調節要素の組み合わせ、合成した調節要素、またはそれ以外の任意の調節要素が含まれるように、あるいは野生型の調節配列の特定の部分が除去されるようにする。するとこれらの変更された配列は、相同的組み換えを通じて細菌の遺伝子に再導入することができる。遺伝子発現の上方調節に利用できる可能性のある好ましいプロモーターとしては、ナイセリア・メニンギティディスまたはナイセリア・ゴノロエアに由来するプロモーターであるporA、porB、lbpB、tbpB、p110、1st、hpuAB;ompCD、copB、lbpB、ompE、UspA1;UspA2;モラクセラ・カタラーリス(M. Catarrhalis)に由来するTbpB;インフルエンザ菌に由来するp1、p2、p4、p5、p6、lpD、tbpB、D15、Hia、Hmwl、Hmw2が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0184】
一実施態様によれば、遺伝子の発現は、(この遺伝子の上方配列を分離し、この配列をインビトロで変化させ、相同的組み換えによってゲノムを再導入する操作を通じて)この遺伝子のプロモーターをより強力なプロモーターと交換することにより変化させることができる。上方調節された発現は、細菌内と、細菌から選別した(細菌が作った)外膜小胞の中の両方で実現することができる。
【0185】
別の実施態様によれば、上記の方法を利用して、ワクチンへの応用特性が改善された組み換え細菌株を生み出すことができる。そうした株としては、毒性を弱めた株、特定の抗原の発現が増えた株、免疫応答を妨げる遺伝子がノックアウトされた(またはその遺伝子の発現が低下した)株、免疫優勢なタンパク質の発現が調節された株、外膜小胞の選別が調節された株が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0186】
そこで本発明によれば、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子の変化した上流領域も提供される。この変化した上流領域は、外膜に位置するBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069タンパク質の発現レベルを変化させる異種性調節要素を含んでいる。本発明のこの側面による上流領域は、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子の上流にある配列を含んでいる。上流領域は、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子のすぐ上流から始まり、通常は、ATG開始コドンからこの遺伝子の約1000bp上流を超えない位置まで続いている。ポリシストロン性配列(オペロン)に位置する遺伝子の場合、上流領域は、対象となる遺伝子の直前、またはオペロン内の最初の遺伝子の前から始まることがある。本発明のこの側面による変化した上流領域は、ATGの500〜700bp上流の位置に異種性プロモーターを含んでいることが好ましい。
【0187】
そこで本発明により、変化した細菌の泡状突起内に、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドが提供される。さらに本発明によれば、膜をベースとした生きていない泡状突起ベクターを生み出すことのできる宿主細胞が提供される。さらに本発明によれば、異種性調節要素を含む変化した上流領域を有するBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069遺伝子を含む核酸が提供される。
【0188】
さらに本発明によれば、本発明による宿主細胞と細菌の泡状突起を調製する方法が提供される。
【0189】
本発明によれば、さらに、組成物、特にワクチン組成物が提供されるほか、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと免疫促進性DNA配列を含む方法が提供される。免疫促進性DNA配列についてはサトウ, Y.他、Science、第273巻、352ページ、1996年に記載されている。
【0190】
本発明によれば、さらに、ナイセリア・メニンギティディスに感染したモデル動物における遺伝子を使った免疫確立実験で用いられるポリヌクレオチド構造体中において、上記のポリヌクレオチド、またはその特定の断片で細菌細胞の表面タンパク質の非可変領域をコードすることが知られている断片を用いる方法も提供される。このような実験は、予防または治療のための免疫応答を起こすことのできるタンパク質エピトープを同定する上で特に役立つであろう。この方法により、感染に対して抵抗力のある動物、あるいは感染を除去することのできる動物の必要な器官に由来する特別な価値を有するモノクローナル抗体を、哺乳類、特にヒトにおける細菌感染、特にナイセリア・メニンギティディスの感染の予防薬または治療方法の開発のためにまもなく調製できるようになると考えられている。
【0191】
本発明には、本発明の免疫性組み換えポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと、適切な担体、例えば医薬として許容される担体とを含むワクチン製剤も含まれる。ポリペプチドとポリヌクレオチドは胃で分解される可能性があるため、それぞれを非経口的に投与することが好ましい。例えば、皮下、筋肉内、静脈内、皮内に投与する。非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝溶液、細菌発育抑制化合物、製剤を個体の体液、好ましくは血液と等張にする溶質とを含む可能性のある水性、非水性の無菌注射液や;分散剤または増粘剤を含む可能性のある水性、非水性の無菌分散液が挙げられる。製剤は、単位用量、または複数回用量の容器、例えば密封したアンプルやガラス瓶の形態にすることができる。製剤は、凍結乾燥状態にして保管し、使用する直前に無菌基剤を添加するだけでよいようにすることができる。
【0192】
本発明のワクチン製剤は、その製剤の免疫性を向上させるためにアジュバント系をさらに含んでいてもよい。アジュバント系は、TH1タイプの応答を選択的に増加させることが好ましい。
【0193】
免疫応答は、大きく2つの典型的なカテゴリーに分けることができる。それは、体液を媒介とした免疫応答と細胞を媒介とした免疫応答である(伝統的に、抗体と、防護のための細胞エフェクター機構をそれぞれ特徴とする)。応答のこれらカテゴリーは、TH1タイプの応答(細胞を媒介とした応答)、TH2タイプの応答(体液を媒介とした応答)と呼ばれている。
【0194】
典型的なTH1タイプの免疫応答は、抗原特異的でハプロタイプが限定された細胞毒性のあるTリンパ球と、ナチュラルキラー細胞の応答とを生み出すことが特徴であると言えよう。マウスでは、TH1タイプの応答は、IgG2aサブタイプの抗体を産生することを特徴とするのに対し、ヒトでは、この応答はIgG1タイプの抗体に対応する。TH2タイプの免疫応答は、免疫グロブリンのさまざまなイソタイプを産生させることを特徴とする。例えばマウスでは、IgG1、IgA、IgMが産生される。
【0195】
これら2つのタイプの免疫応答が展開するときに裏で操っているのはサイトカインであると考えることができる。TH1タイプのサイトカインがハイレベルだと、所定の抗原に対して細胞を媒介とした免疫応答が誘起され、TH2タイプのサイトカインがハイレベルだと、その抗原に対して体液を媒介とした免疫応答が誘起される傾向がある。
【0196】
TH1タイプの免疫応答とTH2タイプの免疫応答の区別は厳密ではない。実際には、個体は、TH1が優勢である、あるいはTH2が優勢であると記述される免疫応答を支持することになる。しかし、ネズミ類のCD4+veT細胞クローンにおいてモスマンとコフマンによって記述されているサイトカイン・ファミリーを考えると便利なことがしばしばある(モスマン, T.R.とコフマン, R.L.、「TH1細胞とTH2細胞:さまざまな機能特性へと通じるさまざまなパターンのリンホカイン分泌」、Annual Review of Immunology、第7巻、145〜173ページ、1989年)。一般に、TH1タイプの応答には、Tリンパ球によるIFN−γとIL−2というサイトカインの産生が伴っている。TH1タイプの免疫応答の誘起にしばしば直接関係する他のサイトカイン、例えばIL−12は、T細胞によって産生されない。これとは逆に、TH2タイプの応答には、IL−4、IL−5、IL−6、IL−13の分泌が伴っている。
【0197】
ある種のワクチン・アジュバントは、TH1タイプまたはTH2タイプのサイトカイン応答のいずれかを刺激するのに特に適していることが知られている。一般に、ワクチン接種後または感染後の免疫応答のTH1:TH2のバランスを示す最良の指標としては、抗原で再度刺激した後にインビトロでTリンパ球によるTH1タイプまたはTH2タイプのサイトカイン産生を測定すること、および/または、抗原特異的な抗体反応のIgG1:IgG2aの比を測定することが挙げられる。
【0198】
したがってTH1タイプのアジュバントは、インビトロで抗体によって再度刺激を受けたときに、分離したT細胞群を選択的に刺激してTH1タイプのサイトカインをハイレベルに産生させ、CD8+細胞毒性Tリンパ球と、TH1タイプのアイソタイプに伴う抗原特異的免疫グロブリン応答の両方の展開を促進するアジュバントである。
【0199】
TH1タイプの細胞応答を選択的に刺激することのできるアジュバントは、国際特許出願WO94/00153、WO95/17209に記載されている。
【0200】
3デ−O−アクリル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)は、そうしたアジュバントの1つである。これは、GB2220211(リビ)により公知である。化学的には、これは、3デ−O−アクリル化モノホスホリル脂質Aと4、5、または6アクリル化した鎖の混合物であり、リビ・イムノケム社、モンタナ州が製造している。3デ−O−アクリル化モノホスホリル脂質Aの好ましい形態は、欧州特許第0 689 454 B1号(スミスクライン・ビーチャム・バイオロジカルズ社)に開示されている。
【0201】
3D−MPLの粒子は十分小さくし、0.22ミクロンの膜を通過して滅菌濾過されることが好ましい(欧州特許第0 689 454号)。
【0202】
3D−MPLは、一用量あたり10μg〜100μg、好ましくは25〜50μg含まれることになろう。そのとき抗原は、典型例では一用量あたり2〜50μg含まれることになろう。
【0203】
別の好ましいアジュバントとしてはQS21がある。これは、キラヤに由来するHplc精製された非毒性の分画である。場合によっては、これに3デ−O−アクリル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)を混合し、さらに基剤を混合することもできる。
【0204】
QS21の製造方法は、アメリカ合衆国特許第5,057,540号に開示されている。
【0205】
QS21を含む非反応性アジュバント製剤は、過去の文献に記載されている(WO96/33739)。QS21とコレステロールを含むそのような製剤は、抗原と合わせて処方したときにTH1を刺激するアジュバントとしてうまくいくことが知られている。
【0206】
TH1タイプの細胞応答を選択的に刺激するさらに別のアジュバントとしては、免疫調節性オリゴヌクレオチドがある。例えばメチル化されていないCpG配列が、WO96/02555に開示されている。
【0207】
TH1を刺激する上記のようなさまざまなアジュバントの組み合わせも、TH1タイプの細胞応答を選択的に刺激するアジュバントとして考えられる。例えば、QS21を3D−MPLと合わせて処方することができる。QS21:3D−MPLの比は、典型的には1:10から10:1であろうが、1:5から5:1であることが好ましく、実質的に1:1であることもしばしばある。最適な相乗効果が得られるQS21:3D−MPLの比の好ましい範囲は、2.5:1から1:1である。
【0208】
本発明のワクチン組成物には基剤も含まれていることが好ましい。基剤は、水中油型乳剤、またはアルミニウム塩、例えばリン酸アルミニウムや水酸化アルミニウムである。
【0209】
好ましい水中油型乳剤は、スクワレン、αトコフェロール、トゥイーン80などの代謝可能な油である。特に好ましい側面では、本発明のワクチン組成物中の抗原は、そのような乳剤中でQS21および3D−MPLと結合している。さらに、水中油型乳剤は、スパン85(商標)および/またはレシチン(lecithin)および/またはトリカプリリン(tricaprylin)を含んでいてもよい。
【0210】
ヒトに投与する場合には、典型的には、QS21と3D−MPLがワクチン中に、一用量あたり1μg〜200μg、例えば10〜100μg、好ましくは10μg〜50μg含まれることになろう。水中油型乳剤は、典型的には、2〜10%のスクワレン、2〜10%のαトコフェロール、0.3〜3%のトゥイーン80を含むことになろう。スクワレン:αトコフェロールの比は、等しいか1未満であることが好ましい。というのも、このようにすると乳剤がより安定になるからである。スパン85が1%のレベルで存在していてもよい。場合によっては、本発明のワクチンに安定剤がさらに含まれていることが望ましい。
【0211】
非毒性の水中油型乳剤は、毒性のない油、例えばスクワランまたはスクワレンと、乳化剤、例えばトゥイーン80(商標)とを水溶性基剤の中に含んでいることが好ましい。水溶性基剤は、例えばリン酸緩衝溶液にすることができる。
【0212】
水中油型乳剤中にQS21、3D−MPL、トコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤は、WO95/17210に記載されている。
【0213】
本発明により、本発明のワクチン製剤に加えて他の抗原、特にガンの治療、自己免疫疾患や関連した疾患の治療に有効な抗原を含む多価のワクチン組成物が提供される。そのような多価のワクチン組成物には、上記のTH−1を誘起するアジュバントが含まれていてもよい。
【0214】
本発明を特定のBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドとポリヌクレオチドに関して記述してきたが、本発明には、天然に存在するポリペプチドとポリヌクレオチドの断片や、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの免疫特性に実質的に影響を与えない付加、欠失、または置換を伴う同様の組み換えたポリペプチドとポリヌクレオチドも含まれるものと理解する。
【0215】
抗原は、1個の細菌全体(死んだもの、または生きたもの)の形態として、または細胞以下の分画の形態として供給することもできる。その中には、もちろんナイセリア・メニンギティディスそのものを供給することも含まれる。
組成物、キット、投与
本発明のさらに別の側面によれば、1個の細胞または多細胞生物に投与するための、BASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリヌクレオチドおよび/またはBASB047、BASB054、BASB068又はBASB069ポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0216】
本発明は、この明細書に記載したポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはそのアゴニストまたはアンタゴニストを含む組成物にも関する。本発明のポリペプチドとポリヌクレオチドは、細胞、組織、または生物に対して使用するために、無菌でない、または無菌の1つまたは複数の基剤、例えば個体に投与するのに適した医薬担体と組み合わせて用いることができる。このような組成物は、例えば、媒体に添加する量、すなわち治療に効果がある量の本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと、医薬として許容される担体または賦形剤とを含んでいる。基剤としては、生理的食塩水、緩衝生理的食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールのほか、これらの組み合わせが挙げられるが、これだけに限定されない。製剤は、投与形態に合致している必要がある。本発明はさらに、本発明の上記組成物の1つまたはそれ以上の成分を充填した1つまたはそれ以上の容器を備える診断用、薬理学用のパックまたはキットにも関する。
【0217】
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、その他の化合物は、単独で、あるいは他の化合物、例えば治療用化合物と組み合わせて用いることができる。
【0218】
本発明の薬理学的組成物は、効果的かつ使いやすい任意の方法で投与することができる。具体例としては、特に、局所的、経口、肛門、膣、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻孔内、皮内の投与が挙げられる。
【0219】
治療において、あるいは予防として、活性な薬剤を注射可能な組成物として、例えば無菌の好ましくは等張の水性分散液として、個体に投与することができる。
【0220】
さらに別の側面では、本発明により、治療に効果的な量のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニストのペプチド、または小分子化合物を可溶形態にしたものを、薬理学的に受容可能な基剤または賦形剤と組み合わせて含む薬理学的組成物が提供される。基剤としては、生理的食塩水、緩衝生理的食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、これらの組み合わせが挙げられるが、これだけに限定されない。本発明はさらに、本発明の上記組成物の1つまたはそれ以上の成分を充填した1つまたはそれ以上の容器を備える薬理学用のパックまたはキットにも関する。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、その他の化合物は、単独で、あるいは他の化合物、例えば治療用化合物と組み合わせて用いることができる。
【0221】
組成物は、投与経路、例えば全身か経口かに応じて適した形態にされることになる。全身投与の好ましい形態としては、注射、典型的には静脈内注射が挙げられる。他の注射経路、例えば皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射も可能である。全身投与の別の手段としては、胆汁塩、フシジン酸(fusidic acids)、または他の洗浄剤といった浸透剤を用いた経粘膜投与や経皮投与が挙げられる。さらに、本発明のポリペプチドまたはその他の化合物を溶腸性製剤またはカプセル化製剤の形態にすることができる場合には、経口投与も可能である。これら化合物の投与は、軟膏、ペースト、ゲル、溶液、粉末などの形態で局所的および/または限局的に行なうことも可能である。
【0222】
哺乳類、特にヒトへの投与では、活性のある薬剤の1日の用量が0.01mg/kg〜10mg/kg、典型的には約1mg/kgとなることが予想される。いずれにせよ、内科医が、個人にとって最適な実際の用量を決定することになる。用量は、個々人の年齢、体重、反応によって異なる。上記の用量は、平均的な場合の例である。もちろん、用量がより多かったりより少なかったりするほうが好ましい場合も存在しており、それも本発明の範囲に含まれる。
【0223】
要求される用量の幅は、選択したペプチド、投与経路、製剤の性質、患者の疾病の性質、医者の判断に応じて変化する。しかし適切な用量は、患者の体重1kgにつき0.1〜100μgである。
【0224】
ワクチン組成物は、注射可能な形態が都合がよい。従来のアジュバントを用いて免疫応答を増大させることができる。ワクチンの適切な単位用量は、体重1kgにつき抗体が0.5〜5μgであり、このような用量を1〜3週間の間隔で1〜3回投与することが好ましい。上記の幅の用量だと、本発明の化合物を用いた場合に不都合な中毒効果が観察されてその化合物を投与するのに適した個体に投与できなくなることはなかろう。
【0225】
しかし、利用可能な化合物が多彩であり、投与経路によって効果が異なることを考えると、必要とされる用量の幅は広いことが予想される。例えば、経口投与の場合には、静脈内注射による投与よりも用量を多くする必要があろう。用量レベルの差は、従来技術で周知のように、最適化のための標準的な経験的作業によって調節することができる。
配列データベース、有形媒体に記憶させた配列、アルゴリズム
ポリヌクレオチドとポリペプチドの配列は、2次元構造や3次元構造を決定したり、似たホモロジー配列をさらに同定したりするための貴重な情報源となる。コンピュータで読むことのできる媒体にデータを記憶させ、記憶させたデータを既知の巨大分子構造プログラムにおいて利用したり、GCGプログラム・パッケージなどの周知の探索ツールを用いて配列データベースを探索したりすることにより、こうしたことが非常に容易になる。
【0226】
本発明により、特徴的な配列またはストリングの解析法、特に遺伝子配列またはコードされたタンパク質配列の解析法も提供される。好ましい配列解析法としては、例えば、一致解析や類似性解析などの配列ホモロジー解析法、DNA、RNA、タンパク質の構造の解析、配列集合分岐解析、配列モチーフ解析、オープン・リーディング・フレーム決定、核酸塩基コーリング、コドン利用解析、核酸塩基トリミング、シークエンシング・クロマトグラムのピーク解析が挙げられる。
【0227】
ホモロジーを同定するための、コンピュータに基づいた方法が提供される。この方法は、本発明のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列をコンピュータが読むことのできる媒体に与え;この第1のポリヌクレオチド配列を少なくとも1つの第2のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較してホモロジーを同定するステップを含んでいる。
【0228】
ホモロジーを同定するための、コンピュータに基づいた別の方法も提供される。この方法は、本発明のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリペプチド配列をコンピュータが読むことのできる媒体に与え;この第1のポリペプチド配列を少なくとも1つの第2のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較してホモロジーを同定するステップを含んでいる。
【0229】
この明細書で引用したあらゆる出版物や参考文献は、特許や特許出願なども含め、個々の出版物や参考文献が十分に説明されたものとして、参考のために特別かつ個別に組み込むよう指示されているかのようにして、その全体が参考としてこの明細書に組み込まれている。この特許出願のほうに優先権があることをわれわれが主張する他のあらゆる特許出願も、出版物や参考文献に関して上に説明したのと同様にして、その全体が本明細書に援用される。
定義
従来技術で知られている“一致(identity)”は、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列、あるいは場合によっては2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列を比較することによって決まる関係である。従来技術では、“一致”は、複数のポリペプチド配列あるいは場合によっては複数のポリヌクレオチド配列の間でストリング同士の一致によって決まる配列関連度のことも意味する。“一致”は、既知の方法を用いて容易に計算することができる。そうした方法は、例えば以下の文献に記載されているが、これだけに限定されるわけではない。『計算分子生物学』、レスク, A.M.編、オックスフォード大学出版、ニューヨーク州、1988年;『バイオコンピューティング:情報学とゲノム計画』、スミス, D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク州、1993年;『配列データのコンピュータ解析』、第1部、グリフィン, A.M.とグリフィン, H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー州、1994年;『分子生物学における配列解析』、フォン・ハイネ, G.、アカデミック・プレス、1987年;『配列解析プライマー』、グリブスコフ, M.とドゥヴルー, J.編、M ストックトン・プレス、ニューヨーク州、1991年;カリージョ, Hとリップマン, D.、SIAM J. Applied Math.、第48巻、1073ページ、1988年。一致を確認する方法は、テストする配列同士の一致が最大になるように設計する。さらに、一致を確認する方法は、誰もが利用可能なコンピュータ・プログラムにコード化されている。2つの配列の間の一致を確認するのにコンピュータ・プログラムを用いる方法としては、GCGプログラム・パッケージのGAPプログラム(ドゥヴルー, J.他、Nucleic Acids Research、第12巻(1)、387ページ、1984年)、BLASTP、BLASTN(アルトシュール, S.F.他、J. Mol. Biol.、第215巻、403〜410ページ、1990年)、FASTA(ピアーソンとリップマン、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第85巻、2444〜2448ページ、1988年)があるが、それだけに限定されるわけではない。BLASTファミリーのプログラムは、NCBIその他のソースから誰でも利用することができる(『BLASTマニュアル』、アルトシュール, S.他、NCBI NLM NIH ベセスダ、MD 20894;アルトシュール, S.他、J. Mol. Biol.、第215巻、403〜410ページ、1990年)。よく知られているスミス・ウォーターマンのアルゴリズムも一致を確認するのに用いることができる。
【0230】
ポリペプチド配列を比較するためのパラメータには以下のものがある。
アルゴリズム:ニードルマンとヴンシュ、J. Mol. Biol.、第48巻、443〜453ページ、1970年、
比較行列:ヘニコフとヘニコフ、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、10915〜10919ページ、1992年によるBLOSSUM62、
ギャップ・ペナルティ:8、
ギャップ長ペナルティ:2。
【0231】
これらパラメータを含む有用なプログラムは、ジェネティックス・コンピュータ・グループ(マディソン、ウィスコンシン州)から“ギャップ”プログラムとして誰でも利用することができる。上記のパラメータは、ペプチドを比較するためのデフォルト・パラメータである(端部のギャップに対するペナルティはない)。
【0232】
ポリヌクレオチドを比較するためのパラメータには以下のものがある。
アルゴリズム:ニードルマンとヴンシュ、J. Mol. Biol.、第48巻、443〜453ページ、1970年、
比較行列:一致=+10、不一致=0、
ギャップ・ペナルティ:50、
ギャップ長ペナルティ:3。
ジェネティックス・コンピュータ・グループ(マディソン、ウィスコンシン州)から“ギャップ”プログラムとして利用できる。これらパラメータは、核酸を比較するためのデフォルト・パラメータである。
【0233】
ポリヌクレオチドとポリペプチドに対する“一致”の好ましい意味は、場合に応じて以下の(1)と(2)で与えられる。
【0234】
(1)実施態様のポリヌクレオチドがさらに、配列番号1の参照配列と少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97、または100%一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含んでいる。このポリヌクレオチド配列は、配列番号1の参照配列と一致していてもよいし、参照配列と比べて所定の数までヌクレオチドが変化していてもよい。この変化は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(トランジションやトランスバージョンを含む)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ヌクレオチド配列の5’末端または3’末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の位置に起こり、参照配列のヌクレオチドの間に個別に点在するか、または参照配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。変化するヌクレオチドの数は、配列番号1のヌクレオチドの総数に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列番号1のヌクレオチドの総数から差し引くことによって決まる。すなわち、
≦x−(x・y)
となる。ここに、nは変化したヌクレオチドの数であり、xは配列番号1のヌクレオチドの総数であり、yは、50%の場合に0.50、60%の場合に0.60、70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場合に0.85、90%の場合に0.90、95%の場合に0.95、97%の場合に0.97、100%の場合に1.00であり、・は、積演算の記号であり、xとyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた後にxから差し引く。配列番号2のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列の変化により、このコード配列中にナンセンス突然変異、ミスセンス突然変異、またはフレームシフト突然変異が発生し、そのことによって、そうした変化後のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドが変化する可能性がある。
【0235】
例えば、本発明のポリヌクレオチド配列は、配列番号1の参照配列と一致していてもよい。すなわち、このポリヌクレオチド配列は、100%一致していてもよいし、参照配列と比べて所定数までの核酸変化が含まれていてパーセント一致が100%よりも小さくなっていてもよい。この変化は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(トランジションやトランスバージョンを含む)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリヌクレオチド配列の5’末端または3’末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の位置に起こり、参照配列の核酸の間に個別に点在するか、または参照配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。所定のパーセント一致に対する変化した核酸の数は、配列番号1の核酸の総数に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列番号1の核酸の総数から差し引くことによって決まる。すなわち、
≦x−(x・y)
となる。ここに、nは変化した核酸の数であり、xは配列番号1の核酸の総数であり、yは、例えば70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場合に0.85などであり、・は、積演算の記号であり、xとyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた後にxから差し引く。
【0236】
(2)実施態様のポリペプチドがさらに、配列番号2の参照配列と少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97、または100%一致したポリペプチド配列を含む単離されたポリペプチドを含んでいる。このポリペプチド配列は、配列番号2の参照配列と一致していてもよいし、参照配列と比べて所定の数までアミノ酸が変化していてもよい。この変化は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存された置換や保存されていない置換を含む)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリペプチド配列のアミノ末端またはカルボキシル末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の位置に起こり、参照配列のアミノ酸の間に個別に点在するか、または参照配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。変化するアミノ酸の数は、配列番号2のアミノ酸の総数に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列番号2のアミノ酸の総数から差し引くことによって決まる。すなわち、
≦x−(x・y)
となる。ここに、nは変化したヌクレオチドの数であり、xは配列番号2のアミノ酸の総数であり、yは、50%の場合に0.50、60%の場合に0.60、70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場合に0.85、90%の場合に0.90、95%の場合に0.95、97%の場合に0.97、100%の場合に1.00であり、・は、積演算の記号であり、xとyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた後にxから差し引く。
【0237】
例えば、本発明のポリペプチド配列は、配列番号2の参照配列と一致していてもよい。すなわち、このポリペプチド配列は、100%一致していてもよいし、参照配列と比べて所定数までのアミノ酸変化が含まれていてパーセント一致が100%よりも小さくなっていてもよい。この変化は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存された置換や保存されていない置換を含む)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリペプチド配列のアミノ末端またはカルボキシル末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の位置に起こり、参照配列のアミノ酸の間に個別に点在するか、または参照配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。所定のパーセント一致に対する変化するアミノ酸の数は、配列番号2のアミノ酸の総数に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列番号2のアミノ酸の総数から引くことによって決まる。すなわち、
≦x−(x・y)
となる。ここに、nは変化したアミノ酸の数であり、xは配列番号2のアミノ酸の総数であり、yは、例えば70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場合に0.85などであり、・は、積演算の記号であり、xとyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた後にxから差し引く。
【0238】
この明細書で生物に関して用いる“個体”は、多細胞真核生物のことを意味する。その中には後生生物、哺乳類、ヒツジ科動物、ウシ科動物、類人猿、霊長類、ヒトが含まれるが、これだけに限定されるわけではない。
【0239】
“単離された”とは、天然の状態から“人間の手によって”変えられたことを意味する。すなわち、そうしたことが自然界で起こるならば、もとの環境から変化しているか、隔離されている、あるいはその両者が起こっている。例えば、生物の体内に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは“単離されて”はいないが、その同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドが自然の状態で共に存在している物質から分離されている場合には、この明細書で用いる意味で“単離されて”いる。さらに、形質転換、遺伝子操作、またはそれ以外の組み換え技術によって生体内に導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、その生体の中にまだ存在しているとしても、その生物が生きているか死んでいるかには関係なく、“単離され”ている。
【0240】
“ポリヌクレオチド”とは、一般に、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドのことである。それは修飾されていないRNAまたはDNAでもよいし、修飾されたRNAまたはDNAでもよく、1本鎖の領域と2本鎖の領域を含んでいる。
【0241】
“変異体”とは、参照用のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、主要な特性は維持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことである。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列が異なっている。変異体のヌクレオチド配列における変化により、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が異なることもあるし、異ならないこともある。ヌクレオチドの変化により、参照配列によってコードされるポリペプチドにおいてアミノ酸の置換、付加、欠失、融合、切断が起こることがある。これについては以下に説明する。ポリペプチドの典型的な変異体は、参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なっている。一般に、差は、参照ポリペプチドの配列と変異体が全体として非常に似ており、多くの領域で配列が一致しているものに限定される。変異体と参照ポリペプチドの違いは、アミノ酸配列において1つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、付加、欠失が任意に組み合わさったものである可能性がある。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝暗号によってコードされたアミノ酸でもよいし、遺伝暗号によってコードされていないアミノ酸でもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などの自然に起こる変異体でもよいし、自然に起こることが知られていない変異体でもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの自然には起こらない変異体は、突然変異技術または直接的合成によって作ることができる。
【0242】
“疾患”とは、細菌の感染によって起こるあらゆる疾患、または細菌感染と関連したあらゆる疾患のことを意味し、例えば、上気道感染、菌血症や髄膜炎などの侵入性細菌疾患が挙げられる。
実施例
以下の実施例は、当業者には周知かつ当然となっている標準的な方法で実施する。ただし、別の方法を詳しく記載した場合は別である。実施例は単なる例示であって、本発明がそれだけに限定されることはない。
実施例
ナイセリア・メニンギティディス株 ATCC13090 における BASB047 遺伝子
ナイセリア・メニンギティディス株ATCC13090のBASB047遺伝子を配列番号1に示す。配列番号2に示すBASB047ポリヌクレオチド配列の翻訳産物は、E. coli第2鉄エアロバクチン(ferric aerobactin)レセプター前駆体(クロアシン(cloacin)レセプター)に対する有意な類似性を示す。上記BASB047ポリペプチドは、リーダー・シグナル配列の特徴をもつ配列を含む。上記シグナル配列は、配列番号2に示す配列の残基25の後で解裂されるであろう。BASB047は、イオン取り込みに関係する外膜タンパク質の特徴をもつ。
実施例
ナイセリア・メニンギティディス株 ATCC13090 における BASB054 遺伝子
ナイセリア・メニンギティディス株ATCC13090のBASB054遺伝子を配列番号3に示す。配列番号4に示すBASB054ポリヌクレオチド配列の翻訳産物は、E. coliの有機溶媒耐性タンパク質に対する有意な類似性を示す。上記BASB054ポリペプチドは、リーダー・シグナル配列の特徴をもつ配列を含む。上記シグナル配列は、配列番号4のポリペプチドの残基22の後で解裂されるであろう。
実施例
ナイセリア・メニンギティディス株 ATCC13090 における BASB068 遺伝子
ナイセリア・メニンギティディス株ATCC13090のBASB068遺伝子を配列番号5に示す。配列番号6に示すBASB068ポリヌクレオチド配列の翻訳産物は、E. coliのAIDA−Iタンパク質に対する有意な類似性を示す。上記BASB068ポリペプチドは、リーダー・シグナル配列の特徴をもつ配列を含む。上記シグナル配列は、配列番号6に示すポリペプチドの残基34の後で解裂されるであろう。BASB068は、イオン取り込みに関係する外膜タンパク質の特徴をもつ。
実施例
ナイセリア・メニンギティディス株 ATCC13090 における BASB069 遺伝子
ナイセリア・メニンギティディス株ATCC13090のBASB069遺伝子を配列番号7に示す。配列番号8に示すBASB069ポリヌクレオチド配列の翻訳産物は、E. coliのAIDA−Iタンパク質に対する有意な類似性を示す。上記BASB069ポリペプチドは、リーダー・シグナル配列の特徴をもつ配列を含む。上記シグナル配列は、配列番号8に示す配列の残基31の後で解裂されるであろう。BASB047は、イオン取り込みに関係する外膜タンパク質の特徴をもつ。
【0243】
【化1】
Figure 2004537956
【0244】
【化2】
Figure 2004537956
【0245】
【化3】
Figure 2004537956
【0246】
【化4】
Figure 2004537956
【0247】
【化5】
Figure 2004537956
【0248】
寄託した材料
ナイセリア・メニンギティディス血清型B株を含む寄託物を1997年6月22日にアメリカ基準培養コレクション(この明細書では“ATCC”と表記)に寄託し、寄託番号13090が与えられた。この寄託物はナイセリア・メニンギティディス(アルブレヒトとゴーン)と表記され、ナイセリア・メニンギティディス単離体から構成された、凍結乾燥された1.5〜2.9kbの挿入体ライブラリーである。この寄託物は、Int. Bull. Bacteriol. Nomencl. Taxon.、第8巻、1〜15ページ、1958年に記載されている。
【0249】
ナイセリア・メニンギティディス菌株寄託物は、この明細書では、“寄託された菌株”または“寄託された菌株のDNA”と呼ぶ。
【0250】
寄託された菌株は、完全長BASB047、BASB054、BASB068、及びBASB069遺伝子を含んでいる。寄託された菌株に含まれているポリヌクレオチドの配列と、それによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、この明細書における配列の記述と何らかの問題が起こったときに照合する対象となる。
【0251】
菌株の寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいてなされた。菌株は、特許発行の際に一般に対して公開されてそれが取り消されることはなく、しかもその際の制約または条件もない。寄託された菌株は当業者の便宜のために提供されるだけであり、35USC§112のもとで必要とされるように、寄託が効力発生のために必要とされることを認めるものではない。
【0252】
【表1】
Figure 2004537956

Claims (24)

  1. 配列番号2、4、6、及び8からなるグループの中から選択したアミノ酸配列と少なくとも85%が一致するアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  2. 上記アミノ酸配列が、配列番号2、4、6、及び8からなるグループの中から選択したアミノ酸配列と少なくとも95%が一致する、請求の範囲第1項に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 配列番号2、4、6、及び8からなるグループの中から選択したアミノ酸配列を含む、請求の範囲第1項に記載の単離されたポリペプチド。
  4. 配列番号2、4、6、及び8の単離されたポリペプチド。
  5. 請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載のポリペプチドの免疫原性断片であって、この免疫原性断片の免疫活性が、配列番号2、4、6、及び8のポリペプチドと実質的に同じであることを特徴とする免疫原性断片。
  6. 配列番号2、4、6又は8それぞれの全長にわたって配列番号2、4、6又は8のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド;またはこの単離されたポリヌクレオチドと相補的なヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  7. 配列番号2、4、6又は8のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とコード領域の全長にわたって少なくとも85%が一致するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド;またはこの単離されたポリヌクレオチドと相補的なヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  8. 配列番号1、3、5又は7それぞれの全長にわたって配列番号1、3、5又は7のヌクレオチド配列と少なくとも85%が一致するヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド;またはこの単離されたポリヌクレオチドと相補的なヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  9. 配列番号1、3、5又は7と少なくとも95%が一致する、請求の範囲第6〜8項のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  10. 配列番号2、4、6又は8のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  11. 配列番号1、3、5又は7のポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  12. 配列番号2、4、6又は8のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでおり、配列番号1、3、5又は7の配列またはその断片を有する標識されたプローブを用いてストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件のもとで適切なライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる、単離されたポリヌクレオチド。
  13. 請求の範囲第6〜12項のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、発現ベクターまたは生きた組み換え微生物。
  14. 請求の範囲第13項の発現ベクターを含む宿主細胞、または、配列番号2、4、6、及び8からなるグループの中から選択したアミノ酸配列と少なくとも85%が一致するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを発現する、この宿主細胞の細胞以下断片または膜。
  15. 配列番号2、4、6、及び8からなるグループの中から選択したアミノ酸配列と少なくとも85%が一致するアミノ酸配列を含むポリペプチドの産生方法であって、このポリペプチドを産生させるのに十分な条件下で請求の範囲第14項の宿主細胞を培養し、培地からこのポリペプチドを回収する操作を含む、ポリペプチドの産生方法。
  16. 請求の範囲第6〜12項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを発現させる方法であって、これらポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つを含む発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、そのポリヌクレオチドのうちの任意の1つを発現させるのに十分な条件下でこの宿主細胞を培養する操作を含む、ポリヌクレオチドの発現方法。
  17. 請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載のポリペプチドの有効量と、医薬として許容される担体とを含むワクチン組成物。
  18. 請求の範囲第6〜12項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドの有効量と、医薬として有効な担体とを含むワクチン組成物。
  19. 少なくとも1つの別のナイセリア・メニンギティディス抗原を含む、請求の範囲第17項または第18項に記載のワクチン組成物。
  20. 請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは免疫原性断片に対して免疫特異的な抗体。
  21. ナイセリア・メニンギティディスの感染を診断する方法であって、請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載のポリペプチド、またはこのポリペプチドに対して免疫特異的な抗体が、そのような感染が疑われる動物に由来する生物学的サンプルに存在するかどうかを同定することを含む診断方法。
  22. 動物に免疫応答を発生させる薬剤の製造における、請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載のポリペプチドを免疫学的に有効な量含む組成物の使用。
  23. 動物に免疫応答を発生させる薬剤の製造における、請求の範囲第6〜12項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを免疫学的に有効な量含む組成物の使用。
  24. 請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載のポリペプチドに対する少なくとも1つの抗体と、好適な医薬担体とを含む、ナイセリア・メニンギティディスに感染した病人の治療において有用な治療用組成物。
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