JP2002536998A - ヘモフィラス抗原 - Google Patents

ヘモフィラス抗原

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JP2002536998A
JP2002536998A JP2000601163A JP2000601163A JP2002536998A JP 2002536998 A JP2002536998 A JP 2002536998A JP 2000601163 A JP2000601163 A JP 2000601163A JP 2000601163 A JP2000601163 A JP 2000601163A JP 2002536998 A JP2002536998 A JP 2002536998A
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リュール,ジャン−ルイ
トンナール,ジョエル
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スミスクライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、BASB070ポリペプチドと、BASB070ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、組み換え技術を利用してそのようなポリペプチドを産生する方法とを提供する。本発明は、BASB070ポリペプチドを用いて抗バクテリア化合物をスクリーニングする方法をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明の分野 本発明は、ポリヌクレオチド(本明細書中、“BASB070”ポリヌクレオ
チドという)、それによりコードされたポリペプチド(本明細書中、“BASB
070”又は“BASB070ポリペプチド”という)、及び組換え材料に関す
る。他の局面においては、本発明は、上記ポリペプチド又はポリヌクレオチドの
使用方法でってバクテリア感染に対するワクチンを含むものに関する。さらなる
局面においては、本発明は、特定の病原体の感染を検出するための診断アッセイ
に関する。
【0002】 本発明の背景 ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenz
ae)は、非運動性のグラム陰性バクテリアである。ヒトはその唯一の天然宿主
である。H.influenzae単離物は、通常、それらの多糖莢膜に従って
分類される。a〜fまで指定された6つの異なる莢膜タイプが同定されている。
上記6つの血清型の中の1に対して生じた抗血清により凝集されない単離物は、
非分類として分類され、そして莢膜を発現しない。
【0003】 H.influenzae b型は、それがバクテリアの髄膜炎及び全身性疾
患の主原因である点で、他のタイプは明らかに異なる。非分類H.influe
nzae(NTHi)は、全身性疾患をもつ患者の血液からときどき単離される
だけである。
【0004】 NTHiは、肺炎、慢性気管支炎、洞炎、及び中耳炎の一般原因である。
【0005】 中耳炎は、ケース数及びその潜在的な後遺症の両者により重要な小児疾患であ
る。350万以上のケースが毎年米国内で記録されており、そして子供の80%
が3歳に達する前に少なくとも1の耳炎の症状の出現を経験していると推定され
ている(1)。治療されずに、又は慢性になると、この病気は、(中耳内の液の
蓄積の場合)一過性であり又は(聴覚神経が損傷した場合)永久性であることが
できる聴覚損失を導くことができる。幼児においては、このような聴覚損失は、
遅延した会話学習の原因となりうる。
【0006】 3つのバクテリア種:ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptoc
occus pneumoniae)、NTHi、及びM.カタラリス(M.c
atarrhalis)が、中耳炎にかかった子供の中耳から主に単離される。
これらのは、ケースの60〜90%において存在している。最近の試験の論文は
、S.pneumoniaeとNTHiはともに中耳炎の約30%を、そしてM
.catarrhalisは約15%を占めることを示している(2)。他のバ
クテリアも、中耳から単離されることができるが、(H.influenzae
B型、S.ピオゲネス(S.pyogenes)、…)かなり低い頻度である
(ケースの2%以下)。
【0007】 疫学的データは、中耳内に存在する病原体について、気管上部のコロニー形成
が耳炎の発達のための絶対条件であることを示している;しかしながら、他の要
因も、上記疾患を導くために必要とされる(3〜9)。これらは、エウスタキー
管を介して中耳内にバクテリアが移動すること、その後の炎症過程の開始を誘発
するために重要である。これらの他の要因は、今日まで知られていない。例えば
、ウイルス感染後の免疫系の一過性の異常が、気管のコロニー形成の制御可能を
引き起こすことができるのであろうと推定されている(5)。他の説明は、環境
因子への暴露がいくらかの子供のより重要なコロニー形成を許容し、その子供が
その後、中耳病原体の持続的な存在のために中耳炎の発達を受け易くなるという
ものである(2)。
【0008】 H.influenzaeのさまざまなタンパク質が、病気の発生に関係する
ことが示されており、又は動物モデルにおいてワクチン接種の間に保護を提供す
ることが示されている。
【0009】 ヒト鼻咽頭上皮細胞へのNTHiの付着が報告されている(10)。縁毛(f
imbriae)及び線毛(pili)とは別に(11〜15)、多くのアドヘ
シンがNTHi内で同定されている。これらの中で、HMW1とHMW2と命名
された2つの表面露出高分子量タンパク質が、上皮細胞へのNTHiの接着を仲
介することが示されている(16)。高分子量タンパク質の他のファミリーが、
HMW1/HMW2ファミリーに属するタンパク質を欠くNTHi株内で同定さ
れている。このNTHi 115kDa Hiaタンパク質(17)は、H.in
fluenzae b型株により発現されるHsfアドヘシン(adhesin
)(18)に酷似している。他のタンパク質、Hapタンパク質もIgA1セリ
ン・プロテアーゼに対する類似性を示し、そして接着と細胞侵入の両者に関係す
ることが示されている(19)。
【0010】 5つの主要な外膜タンパク質(OMP)が同定され、そして数字で番号を付け
られている。
【0011】 H.influenzae b型株を用いた元の試験は、P1とP2に特異的
な抗体がその後の感染から幼ラットを保護することを示した(20〜21)。P
2は、この完全OMPの表面に露出したループ構造中に存在する可変領域に対す
る、殺バクテリア性及びオプソニン作用性の抗体を誘導することができることが
判っている(22〜23)。リポプロテインP4も殺バクテリア性抗体を誘導し
うる(24)。
【0012】 P6は、外膜の1〜5%までを作る、保存されたペプチドグリカン会合リポタ
ンパク質である(25)。その後、ほぼ同モル重量のリポタンパク質が認識され
、PCP(P6交差反応性タンパク質)といわれた(26)。保存されたリポタ
ンパク質P4、P6、及びPCPの混合物は、チンチラ中耳炎モデルにおいて計
測されたとき保護を現わさなかった(27)。P6は単独で、チンチラ・モデル
において保護を誘導するようである(28)。
【0013】 P5に対してホモロジーをもつ他のフィンブリン(fimbrin)が記載さ
れており、これは、その自体、完全大腸菌(Esche richia col
i)OmpAに対する配列ホモロジーをもつ(29〜30)。このパラドックス
は、ピリン(pilin)、ピリン会合タンパク質、ピリン排出タンパク質、及
びP5の性質及び役割を明らかにするためのさらなる調査を必要とする。しかし
ながら、NTHiは、縁毛により粘液(mucus)に接着することが示されて
いる(29)。P5は、NTHiによる持続性感染の間に抗原ドリフトを経験す
るようである。(31)。
【0014】 淋菌(gonococci)及び髄膜炎菌を用いて行われた観察に沿って、N
THiは、鉄制限下で培養されるとき、TbpAとTbpBから成る2つのヒト
・トランスフェリン・レセプターを発現する。抗−TbpBは幼ラットを保護し
た(32)。ヘモグロビン/ハプトグロビン(haptoglobin)レセプ
ターも、NTHiに関して記載されてきた(32)。ヘム(Haem):ヘモペ
キシン(Hemopexin)のためのレセプターも同定されている(34)。
ラクトフェリン・レセプターもNTHi中に存在するが、未だ特徴付けされてい
ない(35)。ナイセリアのFrpB−タンパク質に似たタンパク質は、NTH
i中には記載されていない。
【0015】 80kDa OMP、D15表面抗原は、マウス感染モデルにおいてNTHiに対
する保護を提供する(36)。42kDa の外膜リポタンパク質、LPDは、Ha
emophilus influenzaeの間で保存されており、そしてバク
テリア抗体を誘導する(37)。僅かな98kDa OMP(38)が保護抗原であ
ることが発見され、このOMPは、十分に、Fe−制限誘導性のOMPの中の1
又はその後特徴付けられた高分子量のアドヘシンでありうる。H.influe
nzaeは、IgA1−プロテアーゼ活性を作り出す(39)。NTHiのIg
A1−プロテアーゼは、高度の抗原可変性を現す(40)。NTHiの他のOM
P、OMP26、26kDa タンパク質は、ラット・モデルにおいて肺クリアラン
スを高めることが示されている(41)。NTHi HtrAタンパク質も、保
護抗原であることが示されている。実際、このタンパク質は、中耳炎に対してチ
ンチラを保護し、そしてH.influenzae b型バクテリア血症に対し
て幼ラットを保護した(42)。
【0016】 参考文献
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】 NTHi感染の頻度は、過去数十年の間劇的に上昇してきた。この現象は、こ
の生物のための新規抗微生物剤、ワクチン、医薬スクリーニング法、及び診断テ
ストの満たされていない医学的要求を作り出している。本発明はこの要求を満た
すことを目的とする。特に本発明は、NTHiに対して有効なワクチンの要求を
満たすことを目的とする。
【0021】 本発明の要約 本発明は、特に治療用又は予防用ワクチン中での使用のための、BASB07
0の製造のための組換え材料及び方法、特にBASB070ポリペプチド及びB
ASB070ポリヌクレオチドに関する。他の局面においては、本発明は、とり
わけ、微生物疾患の予防及び治療を含む。上記ポリペプチド及びポリヌクレオチ
ドの使用方法に関する。さらなる局面においては、本発明は、微生物感染に関係
する疾患及び上記感染に関係する症状を検出するための診断アッセイ、例えばB
ASB070ポリヌクレオチド又はポリペプチドの発現又は活性を検出するため
のアッセイに関する。
【0022】 BASB070が、免疫系により認識されることができる表面露出分子の特徴
をもつポリペプチドをコードすることが発見されている。例えば、BASB07
0によりコードされるポリペプチドは、シグナル・ペプチドを含み、これは、そ
れがバクテリアの内膜と外膜間の周辺腔に少なくとも輸送されるということを示
している。さらに、本ポリペプチドは、他の知られた表面露出タンパク質に対し
て類似性をもち、そして他の知られた免疫原性及び免疫保護性ペプチドに対して
潜在的な類似性をもつ。
【0023】 BASB070は、817アミノ酸の重複において、セラチア・マルセセンス
(Serratia marcescens)のHasRタンパク質に同一であ
る。S.marcescens HasRはHasAヘモフォア(hemoph
ore)タンパク質のためのレセプターである。それは、TonB依存性タンパ
ク質である。それは、β−バレル3D構造をもつ完全外膜タンパク質の特徴をも
つ。この完全外膜タンパク質により形成されたβ−バレル(β−barrels
)は、逆平行の、両親媒性のβ−ストランドから成る。それらの外側ループは、
しばしば免疫優性なB−細胞エピトープを含む。BASB070は、Serra
tia marcescensのHasRタンパク質に十分に密接に関連してお
り、BASB070もβ−バレル・コンフォメーションをもつ完全外膜タンパク
質であるということができる。BASB070又はその断片は、それ故、潜在的
なワクチン抗原を提供する。
【0024】 当業者であれば、この明細書の以下の記述やそれ以外の箇所を読むことにより
、この明細書に開示された本発明の本質および範囲におけるさまざまな変更や修
正を容易に思いつくであろう。
【0025】 本発明の説明 本発明は、BASB070ポリペプチドとポリヌクレオチドに関するものであ
り、それについて以下に詳細に説明する。本発明は、Serratia mar
cescens HasRヘモフォア・レセプター・ポリペプチドに対するアミ
ノ酸配列のホモロジーにより関係付けられた、Haemophilus inf
luenzaeのBASB070のポリペプチド及びポリヌクレオチドの使用に
関する。本発明は、特に、配列番号1又は3で与えられるヌクレオチド配列と配
列番号2又は4で与えられるアミノ酸配列をそれぞれ有するBASB070の使
用に関する。
【0026】 本発明は、さらに、配列番号1又は3、及び配列番号2又は4に示す配列に対
して、少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より
好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%
の同一性又は完全同一性を有するポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用に関
する。
【0027】 本発明は、本明細書中に開示する新規NTHiポリヌクレオチド及びポリペプ
チド配列にも関する。
【0028】 ポリペプチド 本発明の一側面によれば、本明細書中“BASB070”、及び“BASB0
70ポリペプチド”というHaemophilus influenzaeのポ
リペプチドのほか、生物学的、診断上、予防上、臨床上、または治療上有効なこ
れらポリペプチドの変異体と、これらを含む組成物とが提供される。
【0029】 本発明によれば、以下のものがさらに提供される: (a)配列番号2又は4と少なくとも85%が一致、好ましくは少なくとも90
%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、最も好ましくは少なくと
も97〜99%が一致または完全に一致したアミノ酸配列を含む、単離されたポ
リペプチド; (b)配列番号1又は3それぞれの全長にわたって配列番号1又は3と少なくと
も85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なく
とも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または
完全に一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドにより
コードされたポリペプチド;又は (c)配列番号2又は4のアミノ酸配列と少なくとも85%が一致、好ましくは
少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が一致、それ以上
に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または完全に一致したポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドによって
コードされたポリペプチド。
【0030】 配列番号2又は4で与えられるBASB070ポリペプチドは、Haemop
hilus influenzae株Rd KW20及びntHi3224に由
来するBASB070ポリペプチドである。
【0031】 本発明により、BASB070ポリペプチドの免疫原性断片も提供される。す
なわち、配列番号2又は4のアミノ酸配列を含むポリペプチドと同じか実質的に
同じ免疫活性を有するBASB070ポリペプチドの連続部分が提供される。要
するに、この断片(必要であれば担体と結合したときの断片)は、BASB07
0ポリペプチドを認識する免疫応答を向上させることができる。この免疫原性断
片は、例えば、N末端のリーダー配列、および/または膜貫通領域、および/ま
たはC末端のアンカー領域を欠いたBASB070ポリペプチドを含んでいても
よい。好ましい一実施態様では、本発明によるBASB070の免疫原性断片は
、配列番号2又は4の全長にわたって配列番号2又は4と少なくとも85%が一
致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なくとも95%が
一致、最も好ましくは少なくとも97〜99%が一致したポリペプチドの細胞外
領域の実質的にすべてを含んでいる。
【0032】 断片とは、本発明の任意のポリペプチドの任意のアミノ酸配列の全部ではなく
一部と完全に一致したアミノ酸配列を有するポリペプチドのことである。BAS
B070の場合にように、断片は、“独立して”いてもよい。すなわち、より大
きなポリペプチドに含まれていてその一部または一領域を形成していてもよい。
最も好ましいのは、より大きな単一のポリペプチドの中の単一の連続領域を形成
していることである。
【0033】 好ましい断片としては、例えば、配列番号2又は4のアミノ酸配列またはその
変異体の一部を含む先の切れたポリペプチドが挙げられる。具体例としては、ア
ミノ末端および/またはカルボキシル末端のアミノ酸配列を含む連続残基列があ
る。宿主細胞によって、または宿主細胞内で産生された本発明のポリペプチドが
分解された形態も好ましい。さらに好ましいのは、構造上または機能上の特性を
有する断片、例えば、α螺旋とα螺旋形成領域、βシートとβシート形成領域、
ターンとターン形成領域、コイルとコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、
α両親媒性領域、β両親媒性領域、柔軟領域、表面形成領域、基質結合領域、抗
体高指示領域を含む断片などである。
【0034】 好ましい断片としては、さらに、配列番号2又は4のアミノ酸配列からの連続
したアミノ酸を少なくとも15、20、30、40、50、または100個有す
るアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、あるいは、配列番号2又は4の
アミノ酸配列から切断または除去した少なくとも15、20、30、40、50
、または100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離されたポ
リペプチドが挙げられる。
【0035】 特に好ましいのは、いくつかのアミノ酸、例えば5〜10個、1〜5個、1〜
3個、1〜2個、または1個のアミノ酸の置換、欠失、または付加が任意に組み
合わされた変異体である。
【0036】 本発明のポリペプチドまたは免疫原性断片は、“成熟”タンパク質の形態でも
よいし、前駆体または融合タンパク質などのより大きなタンパク質の一部でもよ
い。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、複数のヒスチジン残基など精製に
役立つ配列を含む付加アミノ酸配列、組み換え体産生の間の安定性を維持するた
めの付加配列が含まれていると望ましいことがしばしばある。さらに、最終的に
得られる分子の免疫性を向上させるため、外来性ポリペプチド、脂質テイル、ま
たはポリヌクレオチド配列を付加することも考えられる。
【0037】 一側面によれば、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断片と、さまざ
まなサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)のH鎖ま
たはL鎖の定常領域のさまざまな部分とを含む、遺伝子工学による可溶性融合タ
ンパク質に関する。免疫グロブリンとして好ましいのは、ヒトIgG、特にIg
G1のH鎖の定常部分であり、そのヒンジ領域で融合が起こる。特別な実施態様
では、血液凝固第Xa因子でもって切断することのできる切断配列を組み込むだ
けでFc部分を除去することができる。
【0038】 融合タンパク質の技術に関する例は、国際特許出願番号WO94/29458
とWO94/22914中に見ることができる。
【0039】 このタンパク質は、化学的に結合させたり組み換え融合タンパク質として発現
させたりすることにより、非融合タンパク質と比べて発現系内での発現レベルを
向上させることができる。融合パートナーは、Tヘルパー・エピトープ(免疫性
融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパー・エピトープ
を提供するのに役立ったり、もとの組み換えタンパク質よりも高い効率でタンパ
ク質を発現させる(発現エンハンサー)のに役立ったりする可能性がある。融合
パートナーは、免疫性融合パートナーであると同時に発現エンハンサー・パート
ナーにもなっていることが好ましかろう。
【0040】 融合パートナーは、インフルエンザ菌に由来するプロテインDと、インフルエ
ンザ・ウイルスに由来する非構造タンパク質NS1(ヘマグルチニン)を含んで
いる。別の融合パートナーは、LytAとして知られるタンパク質である。この
タンパク質のC末端部を用いることが好ましい。LytAは、N−アセチル−L
−アラニン・アミダーゼと、アミダーゼLytA(LytA遺伝子によってコー
ドされている(Gene、第43巻、265〜272ページ、1986年))と、ペプチドグリカ
ン骨格における所定の結合を特異的に分解するオートリシンを合成する肺炎球菌
に由来する。LytAタンパク質のC末端領域は、コリンや、DEAEなどのコ
リンのアナログに対する親和性に関与している。この特性を利用して、融合タン
パク質の発現に役立つ、大腸菌のC−LytAを発現するプラスミドが開発され
ている。C−LytA断片をアミノ末端に有するハイブリッド・タンパク質の精
製については、Biotechenology、第10巻、795〜798ページ、1992年に記載されて
いる。LytAタンパク質のC末端にあって残基番号178から始まる繰り返し
部分、例えば残基番号188〜305を用いることが可能である。
【0041】 本発明には、上記のポリペプチドの変異体も含まれる。すなわち、参照基準と
比べて保存されたアミノ酸置換だけが異なるポリペプチドも含まれる。なお保存
されたアミノ酸置換とは、1つの残基が特性の似た別の残基で置換されることで
ある。そうした置換の典型例は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン相
互の置換;セリンとトレオニンの置換;酸性残基であるアスパラギン酸とグルタ
ミン酸の置換;アスパラギンとグルタミンの置換;塩基性残基であるリジンとア
ルギニンの置換;芳香性残基であるフェニルアラニンとチロシンの置換である。
【0042】 本発明のポリペプチドは、適切な任意の方法で調製することができる。そうし
たポリペプチドとしては、単離した天然のポリペプチド、組み換えによるポリペ
プチド、合成したポリペプチド、これらの方法を組み合わせて作ったポリペプチ
ドが挙げられる。このようなポリペプチドを調製する方法は従来技術で周知であ
る。
【0043】 本発明において使用されるポリペプチドはHaemophilus infl
uenzaeから由来したものであることが最も好ましいが、分類学上同じ属の
他の生物から得られたものも好ましい。本発明のポリペプチドは、例えば、分類
学上同じ科または目の生物から得られたものでもよい。
【0044】 ポリヌクレオチド 本発明の1つの目的は、本明細書中に記載するワクチン製剤中での使用又はそ
の製造における、BASB070ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
特に本明細書でBASB070と表記するポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドのための使用を提供することである。
【0045】 本発明の特に好ましい実施態様では、このポリヌクレオチドは、完全長の遺伝
子を含んでいて配列番号1又は3で与えられる配列を有するBASB070ポリ
ペプチドをコードする領域、またはその変異体をコードする領域を含む。
【0046】 配列番号1又は3で与えられるBASB070ポリヌクレオチドは、Haem
ophilus influenzae株Rd KW20とntHi3224に
由来するBASB070ポリヌクレオチドである。
【0047】 配列番号1又は3で与えられるポリヌクレオチド配列など、この明細書の情報
を用いると、標準的なクローニング法およびスクリーニング法を利用し、次に完
全長のクローンを得ることによって、BASB070ポリペプチドをコードする
本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。例えば配列番号1又は3で与え
られるポリヌクレオチド配列などの本発明のポリヌクレオチド配列を得るために
は、大腸菌またはそれ以外の適切な宿主の中で、Haemophilus in
fluenzaeの染色体DNAのクローンのライブラリーを、部分配列から由
来し、好ましくは17マーまたはそれよりも長い放射線標識したオリゴヌクレオ
チドでプローブするのが一般的である。次に、ストリンジェント・ハイブリダイ
ゼーションを行なうと、プローブのDNAと同じDNAを有するクローンを識別
することができる。もとのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列から設
計したシークエンシング用プライマーを用いたハイブリダイゼーションを通じて
このように同定された個々のクローンをシークエンシングすることにより、ポリ
ヌクレオチド配列を両方の方向に伸長させ、完全長遺伝子の配列を決定すること
ができる。便利には、このようなシークエンシングは、例えばプラスミド・クロ
ーンから調製した変性した二本鎖DNAを用いて実施することができる。適切な
方法は、マニアティス,T、フリッチ,E.F.、サムブルック他、『分子クローニ
ング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラト
リー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)に
記載されている(特に「ハイブリダイゼーションによるスクリーニング」1.9
0と、「変性した二本鎖DNA鋳型のシークエンシング」13.70を参照のこ
と)。直接的にゲノムDNAのシークエンシングを行なって完全長遺伝子の配列
を得ることもできる。
【0048】 さらに、配列番号1又は3で与えられる各DNA配列は、配列番号2又は4で
与えられるアミノ酸残基とほぼ同数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコード
するオープン・リーディング・フレームを含んでいる。このタンパク質の推定分
子量は、当業者には周知のアミノ酸残基の分子量の値を用いて計算することがで
きる。
【0049】 配列番号1のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド番号1の開始コ
ドンとヌクレオチド番号2740から始まる終止コドンの間で、配列番号2のポ
リペプチドをコードしている。
【0050】 配列番号3のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド番号1の開始コ
ドンとヌクレオチド番号2755から始まる終止コドンの間で、配列番号4のポ
リペプチドをコードしている。
【0051】 本発明のさらに別の側面によれば、以下のものを含む単離されたポリヌクレオ
チド、または以下のものからなる単離されたポリヌクレオチドが提供される。 (a)配列番号1又は3それぞれの全長にわたって配列番号1又は3と少なくと
も85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なく
とも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または
完全に一致したポリヌクレオチド配列;または (b)配列番号2又は4それぞれの全長にわたって配列番号2又は3と少なくと
も85%が一致、好ましくは少なくとも90%が一致、さらに好ましくは少なく
とも95%が一致、それ以上に好ましくは少なくとも97〜99%が一致または
100%正確に一致したポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
【0052】 本発明において使用されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、H
aemophilus influenzae以外の種からのホモログやオーソ
ログも含め、配列番号1又は3の配列またはその断片からなる標識したプローブ
または検出可能なプローブ、あるいはこれらの配列またはその断片を含む標識し
たプローブまたは検出可能なプローブを用いてストリンジェント・ハイブリダイ
ゼーション条件(例えば、温度が45〜65℃、SDSの濃度が0.1〜1%)
のもとで適切なライブラリーをスクリーニングし、完全長遺伝子および/または
そのポリヌクレオチド配列を含むゲノム・クローンを単離するステップを含む方
法によって得ることができる。
【0053】 本発明により、配列番号1又は3の中のコード配列(オープン・リーディング
・フレーム)と全長にわたって一致するポリヌクレオチド配列が提供される。さ
らに本発明により、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはその断片のほか
、成熟ポリペプチドのためのコード配列またはリーディング・フレーム中にあっ
て別のコード配列を有する断片が提供される。別のコード配列とは、例えば、リ
ーダー配列または分泌配列、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列、プレプ
ロタンパク質配列をコードする配列である。本発明のポリヌクレオチドは、少な
くとも1つの非コード配列も含んでいてよい。例示するならば、少なくとも1つ
の非コード5’配列や3’配列、例えば転写はされるが翻訳はされない配列や、
終結シグナル(ρ依存性終結シグナルやρ非依存性終結シグナルなど)、リボソ
ーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化させる配列、イントロン、ポリ
アデニル化シグナルなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
ポリヌクレオチド配列は、付加アミノ酸をコードする付加コード配列も含んでい
てよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコー
ドすることができる。本発明のいくつかの実施態様では、マーカー配列は、pQ
Eベクター(ギアジェン社)の中に与えられるヘキサヒスチジン・ペプチド(ゲ
ンツ他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第86巻、821〜824ページ、1989年)、ま
たはHAペプチド・タグ(ウイルソン他、Cell、第37巻、767 ページ、1984年)
である。そのどちらも、融合することになるポリペプチド配列を精製するのに役
立てることができる。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子と、それにもと
もと付随していて遺伝子の発現を制御する配列とを有するポリヌクレオチドも含
んでいる。ただし、本発明のポリヌクレオチドに含まれているのがそれだけとは
限らない。
【0054】 配列番号2又は4のBASB070ポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列は、それぞれ配列番号1のヌクレオチド番号1〜2739に含まれるポリペプ
チド・コード配列と同じ、配列番号3のヌクレオチド番号1〜2754に含まれ
るポリペプチド・コード配列と同じであってよい。あるいは、遺伝暗号の冗長性
(縮重)の結果として、配列番号2又は4のポリペプチドをコードする配列であ
ってもよい。
【0055】 “ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”という表現は、この明細書で
は、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、さらに特定するならば、
配列番号2又は4で与えられるアミノ酸配列を有するHaemophilus
influenzaeのBASB070ポリペプチドをコードする配列を含むポ
リヌクレオチドのことを意味する。この表現は、ポリペプチドをコードする単一
の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、組み込まれた挿
入配列、組み込まれたベクター配列、組み込まれたトランスポゾン配列によって
中断されたポリヌクレオチド、またはRNAの編集、ゲノムDNAの再構成のた
めに中断されたポリヌクレオチド)に加え、やはりコード配列および/または非
コード配列を含んでいる可能性のある付加領域を含むポリヌクレオチドのことも
意味する。
【0056】 本発明はさらに、配列番号2又は4の推定アミノ酸配列を有するポリペプチド
の変異体をコードする、この明細書に記載したポリヌクレオチドの変異体にも関
する。本発明のポリヌクレオチドの断片は、例えば、本発明の完全長ポリヌクレ
オチドを合成するのに用いることができる。
【0057】 さらに、特に好ましい実施態様によれば、配列番号2又は4で与えられるBA
SB070ポリペプチドのアミノ酸配列のうち、いくつかのアミノ酸残基、例え
ば5〜10個、1〜5個、1〜3個、2個、1個、0個のアミノ酸残基が置換、
変更、欠失、および/または、付加された状態が任意に組み合わされたBASB
070変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。その中でも特に好ま
しいのは、BASB070ポリペプチドの特性および活性を変化させないサイレ
ントな置換、付加、欠失である。
【0058】 さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、全長にわたって少なくとも85
%が配列番号2又は4で与えられるアミノ酸配列を有するBASB070ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドと一致するポリヌクレオチドと、そのポリ
ヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドが提供される。この点に関し、全長に
わたって少なくとも90%が一致するポリヌクレオチドが特に好ましく、そうし
た特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%が一致するポリヌ
クレオチドが特に好ましい。さらに、少なくとも95%が一致するポリヌクレオ
チドの中でも少なくとも97%が一致するポリヌクレオチドがさらに好ましく、
その中でも少なくとも98%一致するもの、少なくとも99%一致するものがそ
れ以上に好ましく、少なくとも99%一致するものがより一層好ましい。
【0059】 好ましい実施態様によれば、配列番号1又は3のDNAによってコードされる
成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的な機能または活性を保持しているポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0060】 本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB070ポリヌクレオ
チド配列、例えば配列番号1又は3のポリヌクレオチドと特に厳しい条件下にお
いてハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0061】 本発明はさらに、この明細書に記載したポリヌクレオチド配列とハイブリダイ
ズするポリヌクレオチドに関する。この点に関し、本発明は、特に、この明細書
に記載したポリヌクレオチドとストリンジェント条件下においてハイブリダイズ
するポリヌクレオチドに関する。この明細書で用いる“ストリンジェント(st
ringent)条件”、“ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件”
という表現は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%が一致
した場合にのみ起こるハイブリダイゼーションのことを意味する。厳しいハイブ
リダイゼーション条件の具体例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM
のNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH
7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、20μg/mlの変性
、切断したサケ精子DNAを含む溶液中で42℃にて一晩培養し、次に、ハイブ
リダイゼーション用支持体を約65℃にて0.1×SSCの中で洗浄するという
ものである。ハイブリダイゼーションと洗浄の条件は周知であり、例えばサムブ
ルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニ
ューヨーク州、1989年)の特に第11章に記載されている。本発明のポリヌクレ
オチド配列には溶液ハイブリダイゼーションを行なうこともできる。
【0062】 BASB070遺伝子のコード領域は、配列番号1又は3で与えられるDNA
配列を用いてオリゴヌクレオチド・プローブを合成し、このプローブを用いてス
クリーニングを行なうことによって単離できる。そこで、本発明の遺伝子と相補
的な配列を有する標識したオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNA
、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメン
バーにプローブがハイブリダイズするかを確認する。
【0063】 完全長DNAを得るため、または短いDNAを伸長させるためには、当業者が
利用している周知の方法がいくつかある。例えば、cDNA末端高速増幅(RA
CE)法に基づいた方法である(例えば、フローマン他、PNAS USA、第
85巻、8998〜9002ページ、1988年を参照のこと)。最近この技術が改良されて例
えばMarathon(登録商標)法(クロンテック・ラボラトリーズ社)とな
り、従来よりも長いcDNAの探索が非常に簡単になった。このMaratho
n(登録商標)法では、cDNAは選択した組織から抽出したmRNAから調製
され、“アダプター”配列が各末端部に連結される。次に、遺伝子特異的なオリ
ゴヌクレオチド・プライマーとアダプター特異的なオリゴヌクレオチド・プライ
マーを組み合わせて核酸の増幅(PCR)を行ない、DNAの“欠けている”5
’末端を増幅する。次に、“入れ子になった”プライマー、すなわち増幅された
産物の中でアニールするよう設計されたプライマー(代表例は、アダプター配列
において3’末端をさらにアニールするアダプター特異的なプライマーや、選択
した遺伝子配列において5’末端をさらにアニールする遺伝子特異的なプライマ
ー)を用いてPCR反応を繰り返す。次に、この反応の産物をDNAシークエン
シングにより解析し、存在しているDNAに直接この産物を結合させることによ
って、あるいは5’プライマーを設計するための新しい配列情報を用いて独立し
た完全長PCRを行なうことによって完全長DNAを構成し、完全に配列を得る
ことができる。
【0064】 本発明により、成熟タンパク質に対してアミノ末端またはカルボキシル末端に
アミノ酸が付加されたポリペプチド、または成熟ポリペプチド内のアミノ酸から
なるポリペプチド(成熟した形態が例えばポリペプチド鎖を2本以上持っている
場合)をコードするポリヌクレオチドも提供される。このような配列はいろいろ
な機能を有するが、中でも、タンパク質を前駆体から成熟した形態へと処理する
際にある役割を演じていたり、タンパク質の輸送を可能にしたり、タンパク質の
半減期を長くしたり短くしたり、アッセイまたは産生のためにタンパク質の取り
扱いを容易にしたりできる可能性がある。生体内では一般的なことだが、付加さ
れたアミノ酸は細胞の酵素によって成熟タンパク質から除去される可能性がある
【0065】 前駆体タンパク質は、成熟タンパク質に1つまたはそれ以上のプロ配列が融合
した形態であるため、不活性になっている可能性がある。プロ配列を除去すると
、そうした不活性な前駆体は一般に活性化される。プロ配列のいくつかまたはす
べてを除去すると活性化させることができる。一般に、このような前駆体をプロ
タンパク質と呼ぶ。
【0066】 本発明の1つの側面によれば、本発明のポリヌクレオチドを疾病の治療または
予防、特に遺伝子免疫法に利用する方法が提供される。これを、以下より詳しく
、“ワクチン”の章で説明する。
【0067】 本発明のポリヌクレオチドを遺伝子免疫法に利用する際には、適切なデリバリ
ー方法を用いることが好ましかろう。例えば、プラスミドDNAを筋肉に直接注
射する方法(ウォルフ他、Hum. Mol. Genet.、第1巻、363 ページ、1992年;マ
ンソープ他、Hum. Gene. Ther.、第4巻、419 ページ、1983年)、特定のタンパ
ク質担体と複合体を形成したDNAのデリバリー(ウー他、J. Biol. Chem.、第
264巻、16985ページ、1989年)、DNA−リン酸カルシウム沈殿法(ベンヴェニ
スティとリシェフ、PNAS USA、第83巻、9551ページ、1986年)、さまざまな形態
のリポソーム内にDNAを包み込む方法(カネダ他、Science、第243巻、375 ペ
ージ、1989年)、粒子衝撃(タン他、Nature、第356巻、152ページ、1992年;ア
イゼンブラウン他、DNA Cell Biol.、第12巻、791 ページ、1993年)、クローニ
ングしたレトロウイルス・ベクターを用いたインビボ感染(シーガー他、PNAS U
SA、第81巻、5849ページ、1984年)といった方法がある。ベクター、宿主細胞、発現系 本発明は、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むベクターと、本
発明のベクターを用いて遺伝子改変した宿主細胞と、組み換え技術による本発明
のポリペプチドの産生とに関する。本発明のDNA構造体に由来するRNAを用
いてそのようなタンパク質を産生させるには、無細胞な翻訳系も用いることがで
きる。
【0068】 本発明の組み換えポリペプチドは、発現系を含む遺伝子改変した宿主細胞をも
とにして当業者に周知の方法で調製することができる。したがって、さらに別の
側面として、本発明は、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む発現
系と、その発現系を用いて遺伝子改変した宿主細胞と、組み換え技術による本発
明のポリペプチドの産生とに関する。
【0069】 本発明のポリペプチドを遺伝子組み換えにより産生させるには、遺伝子工学に
より宿主細胞に発現系またはその一部、あるいは本発明のポリヌクレオチドを組
み込む。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するには、標準的な実験の手引書に
記載されている方法を用いる。実験の手引書としては、例えば、デイヴィス他、
『分子生物学における基本的な方法』(1986年)、サムブルック他、『分子クロ
ーニング:実験室マニュアル』第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボ
ラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年
)がある。方法としては、例えば、リン酸カルシウム・トランスフェクション、
DEAE−デキストランを媒介としたトランスフェクション、トランスベクショ
ン、微量注入、陽イオン性脂質を媒介としたトランスフェクション、電気穿孔、
形質導入、スクレープ・ローディング、バリスティック導入、感染がある。
【0070】 適切な宿主細胞の代表例としては、細菌細胞である連鎖球菌、ブドウ球菌、腸
球菌、大腸菌、放射菌、シアノバクテリア、枯草菌、モラクセラ・カタラーリス
(Moraxella catarrhalis)、インフルエンザ菌、髄膜炎
菌の細胞;菌類の細胞である酵母、クルイヴェロミセス(Kluyveromy
ces)、サッカロミセス、担子菌、カンジダ・アルビカンス(Candida
albicans)、コウジカビの細胞;昆虫の細胞であるショウジョウバエ
S2、スポドプテラ(Spodoptera)Sf9の細胞;動物の細胞である
CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293、CV−1、バ
ウエス黒腫の細胞;植物の細胞である裸子植物、被子植物の細胞が挙げられる。
【0071】 本発明のポリペプチドを産生させるのに多彩な発現系を用いることができる。
そのようなベクターとしては、特に、染色体由来のベクター、エピソーム由来の
ベクター、ウイルス由来のベクターが挙げられる。具体的には、細菌プラスミド
由来のベクター、バクテリオファージ由来のベクター、トランスポゾン由来のベ
クター、酵母エピソーム由来のベクター、挿入要素由来のベクター、酵母染色体
要素由来のベクターや、バキュロウイルス、SV40などのパポーバウイルス、
ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ピ
コルナウイルス、レトロウイルス、アルファウイルスなどのウイルスに由来する
ベクターのほか、これらの組み合わせに由来するベクター、例えばプラスミドと
バクテリオファージの遺伝子要素であるコスミドとファージミドの組み合わせに
由来するベクターが挙げられる。発現系構造体は、発現の調節と発生を制御する
領域を含んでいてよい。一般に、宿主内でポリヌクレオチドの維持、伝播、発現
および/またはポリペプチドの発現をさせるのに適した任意の系またはベクター
を用いて発現させることができる。周知のさまざまな一般的な方法のうちの任意
の方法を用いて適切なDNA配列を発現系に挿入することができる。そうした方
法は、例えば、サムブルック他、『分子クローニング:実験室マニュアル』(前
掲)に記載されている。
【0072】 本発明のポリペプチドは、周知の方法によって組み換え細胞培養物から回収し
、精製することができる。周知の方法としては、例えば、硫酸アンモニウムまた
はエタノールによる沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフ
ィ、ホスホセルロース・クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、
アフィニティ・クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィ
、レクチン・クロマトグラフィが挙げられる。精製には高性能液体クロマトグラ
フィを利用するのが最も好ましい。ポリペプチドが細胞内合成、単離、精製の間
に変性した場合には、周知の方法を用いてタンパク質を再度折り畳み、活性な立
体配座を再現することができる。
【0073】 発現系は、ウイルスや細菌などの生きた組み換え微生物であってもよい。対象
とする遺伝子を生きた組み換えウイルスや細菌のゲノムに挿入することができる
。この生きたベクターを接種して生体に感染させると、抗原が生体内で発現し、
免疫応答が誘導されることになる。この目的で使用されるウイルスや細菌として
は、例えば、ポックスウイルス(例えばワクシニア、禽痘、カナリア痘)、アル
ファウイルス(シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ベネズエラ馬脳炎
ウイルス)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ピコルナウイルス(ポリオ
ウイルス、ライノウイルス)、ヘルペスウイルス(水痘帯状ヘルペスウイルスな
ど)、リステリア菌、サルモネラ菌、ナイセリア菌、BCGが挙げられる。これ
らのウイルスや細菌は毒性を持っている可能性があり、生ワクチンを得るために
さまざまな方法で毒性を弱めることができる。このような生ワクチンも本発明の
一部である。診断法、予後予測法、血清型分類法、突然変異検出法 本発明は、本発明のBASB070というポリヌクレオチドとポリペプチドを
診断用試験として用いることにも関する。真核生物、特に哺乳類、その中でもヒ
トにおけるBASB070ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを検出
することにより、疾病の診断、疾病の段階分類、感染した生体の薬剤に対する反
応を診断する方法が提供されることになる。真核生物、特に哺乳類、その中でも
ヒト、その中でもBASB070という遺伝子またはタンパク質を含む生物に感
染したヒト、またはその生物の感染が疑われるヒトは、周知のさまざまな方法な
らびにこの明細書に記載した方法によって、核酸またはアミノ酸レベルで検出す
ることが可能である。
【0074】 予後、診断、またはそれ以外の解析のためのポリペプチドとポリヌクレオチド
は、感染が推定される個体および/または感染した個体の体内物質から得ること
ができる。他の任意の供給源、特にDNAまたはRNAに由来するポリヌクレオ
チドは、直接検出に用いること、あるいは解析を行なう前にPCRまたはその他
の任意の方法で酵素による増幅を行なうことができる。RNA、特にmRNAや
、cDNA、ゲノムDNAも同様にして用いることができる。増幅を行なうこと
により、個人に感染した生物またはその個人の体内に住み着いている生物の種や
菌株のキャラクテリゼーションを、その生物から選択したポリヌクレオチドの血
清型を分析することにより実現できる。増幅された産物を、関連した生物、好ま
しくは同じ属の異なる種、または同じ種の異なる株から選択した参照配列の血清
型と比較した場合のサイズ変化により、欠失および挿入を検出することができる
。点突然変異は、増幅したDNAを、標識したBASB070ポリヌクレオチド
配列とハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に一致した配列、また
はかなりの割合が一致した配列は、DNAとRNAのそれぞれについてDAアー
ゼまたはRNアーゼによる消化によって、あるいは溶解温度または再生キネティ
ックスの差を検出することによって、不完全にした一致していない複製、または
かなりの割合が一致していない複製と区別することができる。ポリヌクレオチド
配列の差は、参照配列と比較した場合のゲル中におけるポリヌクレオチド断片の
電気泳動における移動度の変化としても検出することができる。その場合に変性
剤は用いても用いなくてもよい。ポリヌクレオチドの差は、DNAまたはRNA
を直接シークエンシングすることによっても検出することができる。例えば、マ
イヤーズ他、Science、第230巻、1242ページ、1985年を参照のこと。特定の位置
における配列の変化は、RNアーゼ、V1、S1保護アッセイなどのヌクレアー
ゼ保護アッセイや、化学的切断法によっても明らかにすることができる。例えば
、コットン他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第85巻、4397〜4401ページ、1985
年を参照のこと。
【0075】 別の実施態様では、BASB070ヌクレオチド配列またはその断片を含むオ
リゴヌクレオチド・プローブをアレイに構成して、例えば遺伝子突然変異、血清
型、分類、同定のスクリーニングを効果的に行なうことができる。アレイ技術は
周知で一般性があるため、遺伝子発現、遺伝子連鎖、遺伝子可変性などの分子遺
伝学のさまざまな問題に適用することができる(例えば、チー他、Science、第2
74巻、610ペーシ、1996年を参照のこと)。
【0076】 そこで別の側面として、本発明は、以下のものを含む診断キットに関する。 (a)本発明のポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1又は3のヌクレオチド
配列、またはその断片; (b)(a)の配列と相補的なヌクレオチド配列; (c)本発明のポリペプチド、好ましくは配列番号2又は4のポリペプチド、ま
たはその断片;又は (d)本発明のポリペプチドに対する抗体、好ましくは配列番号2又は4のポリ
ペプチドに対する抗体。
【0077】 このようなキット(a)、(b)、(c)又は(d)のいずれもが実質的な成
分を含んでいることが理解されよう。このようなキットは、特に、疾病の診断ま
たは疾病に対する感受性の診断に用いられる。
【0078】 本発明は、診断用試薬としての本発明のポリヌクレオチドの利用法にも関する
。本発明のポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1又は3のポリヌクレオチド
が突然変異して過少発現、過剰発現、または変化した発現を起こすと疾病や病原
性と関係してくるので、そうした突然変異を検出することは診断の手段となり、
疾病の診断、疾病の予後予測、疾病段階の決定、疾病に対する感受性の確認の参
考にしたり、そうしたことを明確にしたりすることができる。このようなポリヌ
クレオチドに突然変異を起こした生物、特にそのような状態の感染生物は、さま
ざまな方法、例えばこの明細書の別の箇所に記載した方法によってポリヌクレオ
チド・レベルで検出することができる。
【0079】 本発明のヌクレオチド配列は、生物の染色体の同定のためにも有益である。こ
の配列は、生物の染色体上の特定の位置を、特にHaemophilus in
fluenzae染色体を、特別に標的とし、そしてこれとハイブリダイズする
ことができる。本発明に従って染色体に関連配列をマッピングすることは、これ
らの配列を、ある生物の病因の潜在的及び/又は生態学的なニッチ、及び/又は
ある生物の薬剤耐性、並びにその遺伝子のその生物に対する不可欠性と相関させ
ることによって重要なステップであることができる。一旦、配列が正確な染色体
位置にマッピングされれば、その染色体上の配列の物理的な位置が、遺伝子マッ
プ・データと相関されることができる。このようなデータは、配列データベース
中にオンラインで見られることができる。遺伝子と、同一の染色体領域にマッピ
ングされている病気との間の関係を次に、知られた遺伝子方法、例えば、関連分
析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)又は接合試験、例えばコンジュゲーシ
ョンによるものを通して、同定される。
【0080】 第1の表現型を有する生物と、異なる第2の表現型を有する生物の間の、ポリ
ヌクレオチド及び/又はポリペプチド配列における差も決定することができる。
突然変異が第1の表現型を有する生物のいくつか又は全部において観察されるが
、第2の表現型を有する生物においては観察されない場合、その突然変異は、第
1の表現型の原因作用物質であろう。
【0081】 本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドに突然変異または多型
(対立遺伝子の変異)を有する生物からの細胞は、さまざまな方法によってポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルで検出し、例えば血清型を決めること
もできる。例えば、RT−PCRを利用してRNAにおける突然変異を検出する
ことができる。RT−PCRを自動化した検出システム、例えばジーンスキャン
と組み合わせることが特に好ましい。RNA、cDNA、ゲノムDNAに対して
もPCRを行なうことができる。一例として、BASB070ポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドと相補的なPCRプライマーを用いて突然変異を同定
したり解析したりすることができる。
【0082】 本発明はさらに、とりわけ、個体に由来するサンプル、例えば体を構成してい
る物質に由来するサンプルから単離したBASB070 DNAおよび/または
RNAを増幅するためのプライマーを提供する。感染した個体から単離したポリ
ヌクレオチドをこのプライマーを用いて増幅すると、次にさまざまな方法により
そのポリヌクレオチドの配列を明らかにすることができる。このようにして、ポ
リヌクレオチド配列における突然変異を検出し、その突然変異をもとにして、感
染状態またはその段階や進行状況の診断および/または予後予測、感染体の血清
型決定および/または分類を行なうことができる。
【0083】 本発明によればさらに、疾病の診断、好ましくは細菌感染の診断、さらに好ま
しくはHaemophilus influenzaeによって起こる感染を診
断する方法も提供される。この方法には、個体に由来するサンプル、例えば体を
構成している物質に由来するサンプルから、表1の配列〔配列番号1又は3〕を
有するポリヌクレオチドの発現レベルの上昇を測定する操作が含まれる。BAS
B070ポリヌクレオチドの発現の上昇または減少は、ポリヌクレオチドの定量
法として当業者には周知の方法のうちの任意の方法を用いて測定することができ
る。そうした方法としては、例えば、増幅法、PCR法、RT−PCR法、RN
アーゼ保護法、ノーザン・ブロット法、分光法、その他のハイブリダイゼーショ
ン法がある。
【0084】 さらに、対照用の正常組織サンプルと比べることによってBASB070ポリ
ペプチドの過剰発現を検出するという本発明の診断法を利用し、例えば感染の存
在を検出することができる。宿主に由来するサンプル、例えば体を構成している
物質に由来するサンプル中のBASB070ポリペプチドのレベルを測定するの
に用いることができるアッセイ法は当業者には周知である。そうしたアッセイ法
としては、放射線免疫検出法、競合結合アッセイ、ウエスタン・ブロット解析法
、抗体サンドイッチ・アッセイ、抗体検出法、ELISA法などがある。
【0085】 本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド・アレイの成分、好ましくは
高密度アレイまたはグリッドの成分として用いることができる。この高密度アレ
イは、診断および予後予測に特に有効である。例えば、それぞれが、異なる遺伝
子に加えて本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むスポットの集合を
用い、体を構成している物質から得られた、またはそうした物資に由来するプロ
ーブを用い、ハイブリダイゼーションまたは核酸増幅などを利用してプロービン
グを行ない、個体の体内に特定のポリヌクレオチド配列または関連した配列が存
在しているかどうかを決定することができる。そのようなものが存在していると
いうことは、病原体、特にHaemophilus influenzaeが存
在していることを示唆している可能性があり、疾病または疾病進行の診断および
/または予後予測を明確にするのに役立つ可能性がある。配列番号1のポリヌク
レオチド配列の多数の変異体を含むグリッドが好ましい。配列番号2のポリペプ
チド配列をコードするポリヌクレオチド配列の多数の変異体を含むグリッドも好
ましい。抗体 本発明のポリペプチドとポリヌクレオチド、またはその変異体、またはそれを
発現する細胞を免疫原として用い、そのようなポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドに対して免疫特異的な抗体を産生させることができる。
【0086】 本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、BASB070ポリペプチド
またはポリヌクレオチドに対する抗体が提供される。
【0087】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する抗体は、本発明のポリ
ペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、あるいはエピトープを有するその一
方または両方の断片、あるいはその一方または両方のアナログ、あるいはその一
方または両方の発現する細胞を、動物、好ましくはヒトでない動物に一般的なプ
ロトコルに従って投与することにより得ることができる。モノクローナル抗体を
調製するためには、連続的細胞系培養によって産生される抗体を提供する任意の
従来法を用いることができる。さまざまな方法があり、例えば、ケーラー,G、
ミルシュタイン,C.、Nature、第256巻、495〜497ページ、1975年;コズボー
他、Immunology Today、第4巻、72ページ、1983年;コール他、『モノクローナ
ル抗体とガン治療』(アラン R.リス社、1985年)の77〜96ページが挙げられ
る。
【0088】 一本鎖の抗体の産生法(アメリカ合衆国特許第4,946,778号)を利用
して本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する一本鎖の抗体を産生
させることができる。また、トランスジェニック・マウス、またはそれ以外の生
物や動物、例えば哺乳類を利用して、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドに対する免疫特異的なヒト化した抗体を発現させることができる。
【0089】 別の方法として、ファージ提示法を利用して、抗BASB070を処理するた
めにスクリーニングされたヒト由来リンパ球のPCR増幅されたv−遺伝子のレ
パートリーから、あるいは実験されたことのないライブラリーから、本発明のポ
リペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択することができる(マッ
カファーティ他、Nature、第348巻、552〜554ページ、1990年;マークス他、Bio
technology、第10巻、779〜783ページ、1992年)。これら抗体の親和性は、例え
ばチェーン・シャッフリングによって向上させることもできる(クラクソン他、
Nature、第352巻、628ページ、1991年)。
【0090】 上記の抗体を用いて本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを発現する
クローンを単離または同定し、例えばアフィニティ・クロマトグラフィによって
そのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを精製することができる。
【0091】 したがって、特にBASB070ポリペプチドまたはBASB070ポリヌク
レオチドに対する抗体を用いて感染、特に細菌感染を治療することができる。
【0092】 ポリペプチドの変異体として、抗原、エピトープ、または免疫に関して等価な
変異体は、本発明の特別な一側面を構成する。
【0093】 抗体またはその変異体を修飾して個体の中で免疫性を低下させることが好まし
い。例えば、個体がヒトである場合、抗体が“ヒト化され”ていて、ハイブリド
ーマに由来する抗体の相補性決定領域がヒトのモノクローナル抗体に移植されて
いることが最も好ましい。これについては、例えば、ジョーンズ他、Nature、第
321巻、522〜525ページ、1986年、またはテンペスト他、Biotechnology、第9巻
、266〜273ページ、1991年に記載されている。
【0094】 さらに別の側面として、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断片と、
さまざまなサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)の
H鎖またはL鎖の定常領域のさまざまな部分を含む遺伝子組み換え可溶性融合タ
ンパク質に関する。免疫グロブリンとして好ましいのは、ヒトIgG、特にIg
G1のH鎖の定常部分であり、そのヒンジ領域において融合が起こる。特別な実
施態様によると、Fc部は、血液凝固第Xa因子を用いて切断することのできる
切断配列を組み込むことによって簡単に除去することができる。本発明はさらに
、遺伝子工学によるこの融合タンパク質の調製方法と、この融合タンパク質を利
用して行なう薬剤のスクリーニング、診断、治療にも関する。本発明のさらに別
の側面は、そのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドにも関する
。融合タンパク質に関する技術の実例は、国際特許出願WO94/29458、
WO94/22914に見ることができる。ミモトープ さらに別の側面として、本発明は、本発明のポリペプチドのミモトープに関す
る。ミモトープは、天然のペプチドと(配列または構造が)非常によく似たペプ
チド配列であり、天然のペプチドを認識する抗体によって認識される。従って、
抗体結合性ミモトープに関する限り、ミモトープは、天然のペプチドを認識する
抗体により認識されることができ;又は場合により好適な担体に結合されるとき
天然のペプチドを認識する抗体を作り出すことができる。T細胞認識の場合、ミ
モトープは、天然のペプチドを認識する同一T細胞により認識されることができ
;又は天然ペプチドを認識するT細胞応答を生成することができる。
【0095】 ペプチド・ミモトープは、選択したアミノ酸を付加したり、欠失させたり、置
換したりすることによって特定の目的用に設計することができる。したがってペ
プチドは、タンパク質担体と容易に結合できるように修飾することができる。例
えば、いくつかの化学的結合法にとっては末端にシステインを含むようにするこ
とが望ましかろう。それに加え、タンパク質担体と結合したペプチドにおいて、
そのペプチドの結合した末端とは反対側に疎水性末端を含むようにして、そのペ
プチドの結合していないこの自由な末端がタンパク質担体の表面と会合したまま
になっているようにすることが望ましかろう。そうすることにより、このペプチ
ドが、もとの分子全体の文脈にあるときのペプチドの配座と非常によく似た配座
になる。例えばペプチドは、N末端のシステインとC末端の疎水性のアミド化さ
れた尾部を持つように変えることができる。また、1つまたはそれ以上のアミノ
酸についてD−立体異性体を付加または置換して、例えばペプチドの安定性を向
上させるという好ましい誘導体を作ることができる。
【0096】 ミモトープは、その配列方向が逆である点で、天然のペプチド配列のレトロ配
列であることもできる;あるいは、その配列は全体的に又は少なくとも部分的に
D−立体異性体アミノ酸から構成されることもできる(インバーソ(inver
so)配列)。また、上記ペプチド配列は、その配列方向が逆であり、かつ、そ
のアミノ酸配列がD−立体異性体形をもつ点で、記号としてレトロ−インバーソ
(retro−inverso)であることができる。レトロ、インバーソ、及
びレトロ−インバーソ・ペプチドは、WO95/24916、及びWO94/0
5311中に記載されている。
【0097】 また、ペプチド・ミモトープは、ファージ提示法などの方法を利用し、本発明
のポリペプチドと結合することのできる抗体を用いて同定することができる(E
P 0 552 267 B1)。この方法により、天然のペプチドと構造が似
ており、したがってアンチ天然のペプチド抗体に結合できるが、必ずしも天然の
ポリペプチドとは配列がそれほど似てはいない多数のペプチド配列が生まれる。ワクチン 本発明の別の側面は、個体、特に哺乳類、好ましくはヒトにおいて免疫応答を
誘起する方法に関する。この方法は、その個体を、感染、特に細菌感染、中でも
Haemophilus influenzaeの感染から保護するため、抗体
および/またはT細胞免疫応答を発生させるのに十分なBASB070ポリヌク
レオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはその断片または変異体をこの個
体に接種する操作を含んでいる。
【0098】 本発明により、そのような免疫応答によって細菌の複製速度が遅くなる方法も
提供される。
【0099】 本発明のさらに別の側面は、個体において免疫応答を誘起する別の方法に関す
る。この方法は、その個体に核酸ベクター、配列、またはリボザイムを供給して
BASB070ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、あるいはその断
片または変異体の発現を指示し、BASB070ポリヌクレオチドおよび/また
はポリペプチド、あるいはその断片または変異体を生体内で発現させて、疾病が
すでにその個体、好ましくはヒトの体内で発生しているかどうかに関係なく、そ
の個体をその疾病から保護するために、抗体および/またはT細胞(例えばサイ
トカイン産生T細胞または細胞障害性T細胞を含む)の免疫応答の発生などの免
疫応答を誘起する操作を含んでいる。遺伝子投与の一例は、その遺伝子を、粒子
のコーティングなどとして望む細胞の中に急いで入れるというものである。この
ような核酸ベクターは、DNA、RNA、リボザイム、修飾された核酸、DNA
/RNAハイブリッド、DNA−タンパク質複合体、またはRNA−タンパク質
複合体を含むことができる。
【0100】 本発明のさらに別の側面は、個体、好ましくはヒトに導入されたときにその個
体の体内で免疫応答を誘起することができて、その個体にBASB070ポリヌ
クレオチドおよび/またはそれによってコードされたポリペプチドに対する免疫
応答を誘起する免疫性組成物に関する。この免疫性組成物は、組み換えBASB
070ポリヌクレオチドおよび/またはそれによってコードされたポリペプチド
、および/または、このBASB070ポリヌクレオチド、それによってコード
されたポリペプチド、または本発明の他のポリペプチドの抗体をコードし発現す
るDNAおよび/またはRNAを含んでいる。この免疫応答を治療または予防に
利用することが可能である。また、この免疫応答は、抗体免疫の形態および/ま
たは細胞免疫の形態、例えばCTLまたはCD4+T細胞から生まれる細胞免疫
の形態を取ることができる。
【0101】 BASB070ポリペプチドまたはその断片を、補タンパク質または化合物断
片と融合させることが可能である。補タンパク質または化合物断片は、それ自体
は抗体を産生させても産生させなくてもよいが、第1のタンパク質を安定化させ
て、抗原特性および/または免疫特性、好ましくは保護特性を有する融合タンパ
ク質または修飾タンパク質を産生させることができるものである。したがって、
組み換え融合タンパク質は、例えばインフルエンザ菌、グルタチオン−S−トラ
ンスフェラーゼ(GST)、β−ガラクトシダーゼなどの抗原性補タンパク質、
またはそのタンパク質を可溶化しその産生と精製を容易にする任意の他の比較的
大きな補タンパク質からのリポタンパク質をさらに含んでいることが好ましい。
さらに、補タンパク質は、そのタンパク質を受け入れる生物の免疫系を一般的に
刺激するという意味のアジュバントとして作用することができる。補タンパク質
は、第1のタンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれにか付着す
ることができる。
【0102】 本発明のワクチン組成物では、BASB070ポリペプチドおよび/またはポ
リヌクレオチド、その断片、そのミモトープ、その変異体が、上記の生きた組み
換えベクター、例えば生きた細菌ベクターなどのベクター内に存在していてもよ
い。
【0103】 BASB070ポリペプチドにとっては、生きていないベクター、例えば細菌
の外膜小胞、すなわち“泡状突起(blebs)”も適している。OM泡状突起
はグラム陰性菌の2層膜の外膜に由来するものであり、クラミジア・トラコマテ
ィス(C.trachomatis)やオウム病クラミジア(C.psitta
ci)を始めとする多数のグラム陰性菌において記録されている(ツー,L.他
、FEMS Microbiol. Lett.、第163巻、223〜228ページ、1998年)。泡状突起を発
生させると報告されている細菌性病原体としては、ボルデテラ・ペルトゥシス(
Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(
Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・メリテンシス(Br
ucella melitensis)、ブルセラ・オヴィス(Brucell
a ovis)、大腸菌、インフルエンザ菌、レジオネラ・プヌーモフィラ(L
egionella pneumophila)、ナイセリア・ゴノロエア(N
eisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディ
ス、スードモナス・アエルギノサ(Pseudononas aerugino
sa)、イェルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia entero
colitica)などがあるが、これだけに限定されるわけではない。
【0104】 泡状突起(Blebs)は、もともとの配座において外膜タンパク質を提供で
きるという利点があり、したがってワクチンに特に有効である。泡状突起は、外
膜にある1つまたはそれ以上の分子の発現が変化するように細菌を遺伝子改変す
ることにより、ワクチン用に改良することもできる。そこで、例えば外膜の所望
の免疫タンパク質の発現、例えばBASB070ポリペプチドの発現を(例えば
プロモーターを変化させることによって)導入したり上方調節したりすることが
できる。その代わりに、あるいはそれに加えて、関係のない外膜分子(例えば、
非保護抗原、または免疫優勢であるが可変性のあるタンパク質)または、有害な
外膜分子(例えば、LPSなどの毒性分子、または自己免疫応答を誘起する可能
性のある分子)の発現を下方調節することができる。これらの方法について以下
に詳しく説明する。
【0105】 BASB070遺伝子の非コード・フランキング領域は、その遺伝子の発現に
とって重要な調節領域を含んでいる。この調節は、転写レベルと翻訳レベルの両
方で起こる。遺伝子のオープン・リーディング・フレームの上流または下流に位
置しているこれら領域の配列は、DNAシークエンシングによって得ることがで
きる。この配列情報により、潜在的な調節モチーフを決定すること、例えばさま
ざまなプロモーター要素、ターミネーター配列、誘起可能な配列要素、リプレッ
サー、相変異の原因となる要素、シャイン・ダルガルノ配列、潜在的な二次構造
を有する調節関与領域のほか、これ以外のタイプの調節モチーフや調節配列を決
定することができる。
【0106】 この配列情報により、BASB070遺伝子の自然な発現を変化させることが
できる。遺伝子発現の上方調節は、プロモーター、シャイン・ダルガルノ配列、
潜在的なリプレッサー、オペレータ要素、または関係のある他の要素を変えるこ
とによって実現できる。同様に、発現の下方調節は、似たような変更によって実
現することができる。また、相変異配列を変化させることにより、遺伝子の発現
を相変異の制御下に置いたり、この調節から独立させたりすることができる。別
の方法では、遺伝子を1つまたはそれ以上の誘起要素の制御下に置いて、発現を
制御できるようにすることができる。そうした制御の具体例としては、温度シフ
トによる誘起や、誘起性基質の付加、例えば選択した炭水化物またはその誘導体
、微少元素、ビタミン、補因子、金属イオンなどの付加が挙げられるが、これだ
けに限定されるわけではない。
【0107】 上記のような変更は、いくつかの異なったやり方で導入することができる。遺
伝子の発現に関係する配列の変更は、生体内でランダムな突然変異を起こした後
に望む表現型を選択することによって実現できる。別の方法は、興味の対象とな
る領域を分離した後、その領域をランダムに突然変異させること、または部位特
異的突然変異による置換、挿入、または欠失を起こさせることにより変化させる
ことからなる。次に、このように変化した領域を相同的組み換えによって細菌の
遺伝子に再導入して、遺伝子の発現に及ぼす効果を評価することができる。別の
方法では、対象となる領域の配列に関する知識を利用して、天然の調節配列の全
部または一部を置換または除去する。この場合、ターゲットとなる調節領域を分
離・変更して、別の遺伝子からの調節要素、さまざまな遺伝子からの調節要素の
組み合わせ、合成した調節要素、またはそれ以外の任意の調節要素が含まれるよ
うに、あるいは野生型の調節配列の特定の部分が除去されるようにする。すると
これらの変更された配列は、相同的組み換えを通じて細菌の遺伝子に再導入する
ことができる。遺伝子発現の上方調節に利用できる可能性のある好ましいプロモ
ーターとしては、ナイセリア・メニンギティディスまたはナイセリア・ゴノロエ
アに由来するプロモーターであるporA、porB、lbpB、tbpB、p
110、1st、hpuAB;ompCD、copB、lbpB、ompE、U
spA1;UspA2;モラクセラ・カタラーリス(M.Catarrhali
s)に由来するTbpB;インフルエンザ菌に由来するp1、p2、p4、p5
、p6、lpD、tbpB、D15、Hia、Hmw1、Hmw2が挙げられる
が、これだけに限定されるわけではない。
【0108】 一実施態様によれば、遺伝子の発現は、(この遺伝子の上方配列を分離し、こ
の配列をインビトロで変化させ、相同的組み換えによってゲノムを再導入する操
作を通じて)この遺伝子のプロモーターをより強力なプロモーターと交換するこ
とにより変化させることができる。上方調節された発現は、細菌内と、細菌から
選別した(細菌が作った)外膜小胞の中の両方で実現することができる。
【0109】 別の実施態様によれば、上記の方法を利用して、ワクチンへの応用特性が改善
された組み換え細菌株を生み出すことができる。そうした株としては、毒性を弱
めた株、特定の抗原の発現が増えた株、免疫応答を妨げる遺伝子がノックアウト
された(またはその遺伝子の発現が低下した)株、免疫優勢なタンパク質の発現
が調節された株、外膜小胞の選別が調節された株が挙げられるが、これだけに限
定されるわけではない。
【0110】 そこで本発明によれば、BASB070遺伝子の変化した上流領域も提供され
る。この変化した上流領域は、外膜に位置するBASB070タンパク質の発現
レベルを変化させる異種性調節要素を含んでいる。本発明のこの側面による上流
領域は、BASB070遺伝子の上流にある配列を含んでいる。上流領域は、B
ASB070遺伝子のすぐ上流から始まり、通常は、ATG開始コドンからこの
遺伝子の約1000bp上流を超えない位置まで続いている。ポリシストロン性配
列(オペロン)に位置する遺伝子の場合、上流領域は、対象となる遺伝子の直前
、またはオペロン内の最初の遺伝子の前から始まることがある。本発明のこの側
面による変化した上流領域は、ATGの500〜700bp上流の位置に異種性プ
ロモーターを含んでいることが好ましい。
【0111】 そこで本発明により、変化した細菌の泡状突起内に、BASB070ポリペプ
チドが提供される。さらに本発明によれば、膜をベースとした生きていない泡状
突起ベクターを生み出すことのできる宿主細胞が提供される。さらに本発明によ
れば、異種性調節要素を含む変化した上流領域を有するBASB070遺伝子を
含むベクターが提供される。
【0112】 さらに本発明によれば、本発明による宿主細胞と細菌の泡状突起を調製する方
法が提供される。
【0113】 ワクチン抗原は、そのタンパク質の特性に依存して、さまざまな、本分野にお
いて知られた他の形態で提供されうる。例えば、リポタンパク質は、それらのN
−末端に付加された脂質の疎水性のために、凝集し、そしてミセルを形成するこ
とができる。これらの構造の粒状性は、そのタンパク質の脂質化されていないバ
ージョンに比較して、そのリポタンパク質の免疫原性を強化することができる。
上記ミセルのサイズも、そのリポタンパク質の免疫原性に対して影響を及ぼすこ
とができ、そしてこれは、例えば、抽出手順を調整することにより修飾されるこ
とができる。
【0114】 本発明によれば、さらに、組成物、特にワクチン組成物が提供されるほか、本
発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと免疫促進性DNA配列を
含む方法が提供される。免疫促進性DNA配列についてはサトウ,Y.他、Scie
nce、第273巻、352ページ、1996年に記載されている。
【0115】 本発明によれば、さらに、Haemophilus influenzaeに
感染したモデル動物における遺伝子を使った免疫確立実験で用いられるポリヌク
レオチド構造体中において、上記のポリヌクレオチド、またはその特定の断片で
細菌細胞の表面タンパク質の非可変領域をコードすることが知られている断片を
用いる方法も提供される。このような実験は、予防または治療のための免疫応答
を起こすことのできるタンパク質エピトープを同定する上で特に役立つであろう
。この方法により、感染に対して抵抗力のある動物、あるいは感染を除去するこ
とのできる動物の必要な器官に由来する特別な価値を有するモノクローナル抗体
を、哺乳類、特にヒトにおける細菌感染、特にHaemophilus inf
luenzaeの感染の予防薬または治療方法の開発のためにまもなく調製でき
るようになると考えられている。
【0116】 本発明には、本発明の免疫性組み換えポリペプチドおよび/またはポリヌクレ
オチドと、適切な基剤、例えば薬理学的に受容可能な基剤とを含むワクチン製剤
も含まれる。ポリペプチドとポリヌクレオチドは胃で分解される可能性があるた
め、それぞれを非経口的に投与することが好ましい。例えば、皮下、筋肉内、静
脈内、皮内に投与する。非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝溶液
、細菌発育抑制化合物、製剤を個体の体液、好ましくは血液と等張にする溶質と
を含む可能性のある水性、非水性の無菌注射液や;分散剤または増粘剤を含む可
能性のある水性、非水性の無菌分散液が挙げられる。製剤は、単位用量、または
複数回用量の容器、例えば密封したアンプルやガラス瓶の形態にすることができ
る。製剤は、凍結乾燥状態にして保管し、使用する直前に無菌基剤を添加するだ
けでよいようにすることができる。
【0117】 本発明のワクチン製剤は、その製剤の免疫性を向上させるためにアジュバント
系をさらに含んでいてもよい。
【0118】 免疫応答は、大きく2つの典型的なカテゴリーに分けることができる。それは
、体液を媒介とした免疫応答と細胞を媒介とした免疫応答である(伝統的に、抗
体と、防護のための細胞エフェクター機構をそれぞれ特徴とする)。応答のこれ
らカテゴリーは、TH1タイプの応答(細胞を媒介とした応答)、TH2タイプ
の応答(体液を媒介とした応答)と呼ばれている。
【0119】 典型的なTH1タイプの免疫応答は、抗原特異的でハプロタイプが限定された
細胞毒性のあるTリンパ球と、ナチュラルキラー細胞の応答とを生み出すことが
特徴であると言えよう、マウスでは、TH1タイプの応答は、IgG2aサブタ
イプの抗体を産生することを特徴とするのに対し、ヒトでは、この応答はIgG
1タイプの抗体に対応する。TH2タイプの免疫応答は、免疫グロブリンのさま
ざまなイソタイプを産生させることを特徴とする。例えばマウスでは、IgG1
、IgA、IgMが産生される。
【0120】 これら2つのタイプの免疫応答が展開するときに裏で操っているのはサイトカ
インであると考えることができる。TH1タイプのサイトカインがハイレベルだ
と、所定の抗原に対して細胞を媒介とした免疫応答が誘起され、TH2タイプの
サイトカインがハイレベルだと、その抗原に対して体液を媒介とした免疫応答が
誘起される傾向がある。
【0121】 TH1タイプの免疫応答とTH2タイプの免疫応答の区別は厳密ではない。実
際には、個体は、TH1が優勢である、あるいはTH2が優勢であると記述され
る免疫応答を支持することになる。しかし、ネズミ類のCD4−T細胞クローン
においてモスマンとコフマンによって記述されているサイトカイン・ファミリー
を考えると便利なことがしばしばある(モスマン,T.R.とコフマン,R.L.、「
TH1細胞とTH2細胞:さまざまな機能特性へと通じるさまざまなパターンの
リンホカイン分泌」、Annual Review of Immunology、第7巻、145〜173ページ
、1989年 )。一般に、TH1タイプの応答には、Tリンパ球によるIFN−γ
とIL−2というサイトカインの産生が伴っている。TH1タイプの免疫応答の
誘起にしばしば直接関係する他のサイトカイン、例えばIL−12は、T細胞に
よって産生されない。これとは逆に、TH2タイプの応答には、IL−4、IL
−5、IL−6、IL−13の分泌が伴っている。
【0122】 ある種のワクチン・アジュバントは、TH1タイプまたはTH2タイプのサイ
トカイン応答のいずれかを刺激するのに特に適していることが知られている。一
般に、ワクチン接種後または感染後の免疫応答のTH1:TH2のバランスを示
す最良の指標としては、抗原で再度刺激した後にインビトロでTリンパ球による
TH1タイプまたはTH2タイプのサイトカイン産生を直接測定すること、およ
び/または、(ネズミ系においては)抗原特異的な抗体反応のIgG1:IgG
2aの比を測定することが挙げられる。
【0123】 したがってTH1タイプのアジュバントは、インビトロで抗体によって再度刺
激を受けたときに、分離したT細胞群を選択的に刺激してTH1タイプのサイト
カインをハイレベルに産生させ、CD8+細胞毒性Tリンパ球と、TH1タイプ
のアイソタイプに伴う抗原特異的免疫グロブリン応答の両方の展開を促進するア
ジュバントである。TH1タイプの細胞応答を選択的に刺激することのできるア
ジュバントは、国際特許出願WO94/00153、WO95/17209に記
載されている。
【0124】 3デ−0−アクリル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)は、そうしたア
ジュバントの1つである。これは、GB2220211(リビ)により公知であ
る。化学的には、これは、3デ−0−アクリル化モノホスホリル脂質Aと4、5
、または6アクリル化した鎖の混合物であり、リビ・イムノケム社、モンタナ州
が製造している。3デ−0−アクリル化モノホスホリル脂質Aの好ましい形態は
、欧州特許第0 689 454 B1号(スミスクライン・ビーチャム・バイ
オロジカルズ社)に開示されている。
【0125】 3D−MPLの粒子は十分小さくし、0.22ミクロンの膜を通過して滅菌濾
過されることが好ましい(欧州特許第0 689 454号)。
【0126】 3D−MPLは、一用量あたり10μg〜100μg、好ましくは25〜50
μg含まれることになろう。そのとき抗原は、典型例では一用量あたり2〜50
μg含まれることになろう。
【0127】 別の好ましいアジュバントとしてはQS21がある。これは、キラヤに由来す
るHplc精製された非毒性の分画である。場合によっては、これに3デ−0−
アクリル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)を混合し、さらに基剤を混合
することもできる。
【0128】 QS21の製造方法は、アメリカ合衆国特許第5,057,540号に開示さ
れている。
【0129】 QS21を含む非反応性アジュバント製剤は、過去の文献に記載されている(
WO96/33739)。QS21とコレステロールを含むそのような製剤は、
抗原と合わせて処方したときにTH1を刺激するアジュバントとしてうまくいく
ことが知られている。
【0130】 TH1タイプの細胞応答を選択的に刺激するさらに別のアジュバントとしては
、免疫調節性オリゴヌクレオチドがある。例えばメチル化されていないCpG配
列が、WO96/02555に開示されている。
【0131】 TH1を刺激する上記のようなさまざまなアジュバントの組み合わせも、TH
1タイプの細胞応答を選択的に刺激するアジュバントとして考えられる。例えば
、QS21を3D−MPLと合わせて処方することができる。QS21:3D−
MPLの比は、典型的には1:10から10:1であろうが、1:5から5:1
であることが好ましく、実質的に1:1であることもしばしばある。最適な相乗
効果が得られるQS21:3D−MPLの比の好ましい範囲は、2.5:1から
1:1である。
【0132】 本発明のワクチン組成物には担体も含まれていることが好ましい。担体は、水
中油型乳剤、またはアルミニウム塩、例えばリン酸アルミニウムや水酸化アルミ
ニウムである。
【0133】 好ましい水中油型乳剤は、スクワレン、αトコフェロール、トゥイーン80(
商標)などの代謝可能な油である。特に好ましい側面では、本発明のワクチン組
成物中の抗原は、そのような乳剤中でQS21および3D−MPLと結合してい
る。さらに、水中油型乳剤は、スパン85および/またはレシチンおよび/また
はトリカプリリンを含んでいてもよい。
【0134】 ヒトに投与する場合には、典型的には、QS21と3D−MPLがワクチン中
に、一用量あたり1μg〜200μg、例えば10〜100μg、好ましくは1
0μg〜50μg含まれることになろう。水中油型乳剤は、典型的には、2〜1
0%のスクワレン、2〜10%のαトコフェロール、0.3%〜3%のトゥイー
ン80を含むことになろう。スクワレン:αトコフェロールの比は、等しいか1
未満であることが好ましい。というのも、このようにすると乳剤がより安定にな
るからである。スパン85が1%のレベルで存在していてもよい。場合によって
は、本発明のワクチンに安定剤がさらに含まれていることが望ましい。
【0135】 非毒性の水中油型乳剤は、毒性のない油、例えばスクワランまたはスクワレン
と、乳化剤、例えばトゥイーン80とを水溶性基剤の中に含んでいることが好ま
しい。水溶性基剤は、例えばリン酸緩衝溶液にすることができる。
【0136】 水中油型乳剤中にQS21、3D−MPL、トコフェロールを含む特に強力な
アジュバント製剤は、WO95/17210に記載されている。
【0137】 本発明により、本発明のワクチン製剤に加えて他の抗原、特にガンの治療、自
己免疫疾患や関連した疾患の治療に有効な抗原を含む多価のワクチン組成物が提
供される。そのような多価のワクチン組成物には、上記のTH−1を誘起するア
ジュバントが含まれていてもよい。
【0138】 本発明を特定のBASB070ポリペプチドとポリヌクレオチドに関して記述
してきたが、本発明には、天然に存在するポリペプチドとポリヌクレオチドの断
片や、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの免疫特性に実質的に影響を与えな
い付加、欠失、または置換を伴う同様の組み換えたポリペプチドとポリヌクレオ
チドも含まれるものと理解する。組成物、キット、投与 本発明のさらに別の側面によれば、1個の細胞または多細胞生物に投与するた
めの、BASB070ポリヌクレオチドおよび/またはBASB070ポリペプ
チドを含む組成物が提供される。
【0139】 本発明は、この明細書に記載したポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチ
ド、あるいはそのアゴニストまたはアンタゴニストを含む組成物にも関する。本
発明のポリペプチドとポリヌクレオチドは、細胞、組織、または生物に対して使
用するために、無菌でない、または無菌の1つまたは複数の担体、例えば個体に
投与するのに適した薬理学的な担体と組み合わせて用いることができる。このよ
うな組成物は、例えば、媒体に添加する量、すなわち治療に効果がある量の本発
明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと、薬理学的に受容可能な担
体または賦形剤とを含んでいる。担体としては、生理的食塩水、緩衝生理的食塩
水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールのほか、これらの組み合わ
せが挙げられるが、これだけに限定されない。製剤は、投与形態に合致している
必要がある。本発明はさらに、本発明の上記組成物の1つまたはそれ以上の成分
を充填した1つまたはそれ以上の容器を備える診断用、薬理学用のパックまたは
キットにも関する。
【0140】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、その他の化合物は、単独で、ある
いは他の化合物、例えば治療用化合物と組み合わせて用いることができる。
【0141】 本発明の薬理学的組成物は、効果的かつ使いやすい任意の方法で投与すること
ができる。具体例としては、特に、局所的、経口、肛門、膣、静脈内、腹腔内、
筋肉内、皮下、鼻孔内、皮内の投与が挙げられる。
【0142】 治療において、あるいは予防として、活性な薬剤を注射可能な組成物として、
例えば無菌の好ましくは等張の水性分散液として、個体に投与することができる
【0143】 さらに別の側面では、本発明により、治療に効果的な量のポリペプチドおよび
/またはポリヌクレオチド、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌ
クレオチド、アゴニストまたはアンタゴニストのペプチド、または小分子化合物
を可溶形態にしたものを、薬理学的に受容可能な担体または賦形剤と組み合わせ
て含む薬理学的組成物が提供される。基剤としては、生理的食塩水、緩衝生理的
食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、これらの組み合わせ
が挙げられるが、これだけに限定されない。本発明はさらに、本発明の上記組成
物の1つまたはそれ以上の成分を充填した1つまたはそれ以上の容器を備える薬
理学用のパックまたはキットにも関する。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオ
チド、その他の化合物は、単独で、あるいは他の化合物、例えば治療用化合物と
組み合わせて用いることができる。
【0144】 組成物は、投与経路、例えば全身が経口かに応じて適した形態にされることに
なる。全身投与の好ましい形態としては、注射、典型的には静脈内注射が挙げら
れる。他の注射経路、例えば皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射も可能である。
全身投与の別の手段としては、胆汁塩、フシジン酸、または他の洗浄剤といった
浸透剤を用いた経粘膜投与や経皮投与が挙げられる。さらに、本発明のポリペプ
チドまたはその他の化合物を溶腸性製剤またはカプセル化製剤の形態にすること
ができる場合には、経口投与も可能である。これら化合物の投与は、軟膏、ペー
スト、ゲル、溶液、粉末などの形態で局所的および/または限局的に行なうこと
も可能である。
【0145】 哺乳類、特にヒトへの投与では、活性のある薬剤の1日の用量が0.01μg
/kg〜10μg/kg、典型的には1μg/kgとなることが予想される。いずれに
せよ、内科医が、個人にとって最適な実際の用量を決定することになる。用量は
、個々人の年齢、体重、反応によって異なる。上記の用量は、平均的な場合の例
である。もちろん、用量がより多かったりより少なかったりするほうが好ましい
場合も存在しており、それも本発明の範囲に含まれる。
【0146】 要求される用量の幅は、選択したペプチド、投与経路、製剤の性質、患者の疾
病の性質、医者の判断に応じて変化する。しかし適切な用量は、患者の体重1kg
につき0.1〜100μgである。
【0147】 ワクチン組成物は、注射可能な形態が都合がよい。従来のアジュバントを用い
て免疫応答を増大させることができる。ワクチンの適切な単位用量は、体重1kg
につき抗体が0.5〜5μgであり、このような用量を1〜3週間の間隔で1〜
3回投与することが好ましい。上記の幅の用量だと、本発明の化合物を用いた場
合に不都合な中毒効果が観察されてその化合物を投与するのに適した個体に投与
できなくなることはなかろう。
【0148】 しかし、利用可能な化合物が多彩であり、投与経路によって効果が異なること
を考えると、必要とされる用量の幅は広いことが予想される。例えば、経口投与
の場合には、静脈内注射による投与よりも用量を多くする必要があろう。用量レ
ベルの差は、従来技術で周知のように、最適化のための標準的な経験的作業によ
って調節することができる。
【0149】 配列データベース、有形媒体に記憶させた配列、アルゴリズム ポリヌクレオチドとポリペプチドの配列は、2次元構造や3次元構造を決定し
たり、似たホモロジー配列をさらに同定したりするための貴重な情報源となる。
コンピュータで読むことのできる媒体にデータを記憶させ、記憶させたデータを
既知の巨大分子構造プログラムにおいて利用したり、GCGプログラム・パッケ
ージなどの周知の探索ツールを用いて配列データベースを探索したりすることに
より、こうしたことが非常に容易になる。
【0150】 本発明により、特徴的な配列またはストリングの解析法、特に遺伝子配列また
はコードされたタンパク質配列の解析法も提供される。好ましい配列解析法とし
ては、例えば、一致解析や類似性解析などの配列ホモロジー解析法、DNA、R
NA、タンパク質の構造の解析、配列集合分岐解析、配列モチーフ解析、オープ
ン・リーディング・フレーム決定、核酸塩基コーリング、コドン利用解析、核酸
塩基トリミング、シークエンシング・クロマトグラムのピーク解析が挙げられる
【0151】 ホモロジーを同定するための、コンピュータに基づいた方法が提供される。こ
の方法は、本発明のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド配列を
コンピュータが読むことのできる媒体に与え;この第1のポリヌクレオチド配列
を少なくとも1つの第2のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較
してホモロジーを同定するステップを含んでいる。
【0152】 ホモロジーを同定するための、コンピュータに基づいた別の方法も提供される
。この方法は、本発明のポリヌクレオチド配列を含む第1のポリペプチド配列を
コンピュータが読むことのできる媒体に与え;この第1のポリペプチド配列を少
なくとも1つの第2のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較して
ホモロジーを同定するステップを含んでいる。
【0153】 この明細書で引用したあらゆる出版物や参考文献は、特許や特許出願なども含
め、個々の出版物や参考文献が十分に説明されたものとして、特別かつ個別に援
用するよう指示されているかのようにして、その全体が本明細書に援用されてい
る。この特許出願のほうに優先権があることをわれわれが主張する他のあらゆる
特許出願も、出版物や参考文献に関して上に説明したのと同様にして、その全体
が本明細書に援用されている。
【0154】 定義 従来技術で知られている“一致(identity)”は、2つまたはそれ以
上のポリペプチド配列、あるいは場合によっては2つまたはそれ以上のポリヌク
レオチド配列を比較することによって決まる関係である。従来技術では、“一致
”は、複数のポリペプチド配列あるいは場合によっては複数のポリヌクレオチド
配列の間でストリング同士の一致によって決まる配列関連度のことも意味する。
“一致”は、既知の方法を用いて容易に計算することができる。そうした方法は
、例えば以下の文献に記載されているが、これだけに限定されるわけではない。
『計算分子生物学』、レスク,A.M.編、オックスフォード大学出版、ニューヨ
ーク州、1988年;『バイオコンピューティング:情報学とゲノム計画』、スミス
,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク州、1993年;『配列データの
コンピュータ解析』、第1部、グリフィン,A.M.とグリフィン,H.G.編、ヒュ
ーマナ・プレス、ニュージャージー州、1994年;『分子生物学における配列解析
』、フォン・ハイネ,G.、アカデミック・プレス、1987年;『配列解析プライ
マー、グリブスコフ,M.とドゥヴルー,J.編、Mストックトン・プレス、ニ
ューヨーク州、1991年;カリージョ,Hとリップマン,D.、SIAM J. Applied
Math.、第48巻、1073ページ、1988年。一致を確認する方法は、テストする配列
同士の一致が最大になるように設計する。さらに、一致を確認する方法は、誰も
が利用可能なコンピュータ・プログラムにコード化されている。2つの配列の間
の一致を確認するのにコンピュータ・プログラムを用いる方法としては、GCG
プログラム・パッケージのGAPプログラム(ドゥヴルー,J.他、Nucleic Ac
ids Research、第12巻 (1)、387ページ、1984年)、BLASTP、BLAST
N(アルトシュール,S.F.他、J. Mol. Biol.、第215巻、403〜410ページ、199
0年)、FASTA(ピアーソンとリップマン、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、
第85巻、2444〜2448ページ、1988年)があるが、それだけに限定されるわけでは
ない。BLASTファミリーのプログラムは、NCBIその他のソースから誰で
も利用することができる(『BLASTマニュアル』、アルトシュール,S.他
、NCBI NLM NIHベセスダ、MD 20894;アルトシュール,S.他、J. Mol. Biol.
、第215巻、403〜410ページ、1990年)。よく知られているスミス・ウォーター
マンのアルゴリズムも一致を確認するのに用いることができる。
【0155】 ポリペプチド配列を比較するためのパラメータには以下のものがある。 アルゴリズム:ニードルマンとヴンシュ、J. Mol. Biol.、第48巻、443〜453 ペ
ージ、1970年、 比較行列:ヘニコフとヘニコフ、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、10915
〜10919ページ、1992年によるBLOSSUM62、 ギャップ・ペナルティ:8、 ギャップ長ペナルティ:2。
【0156】 これらパラメータを含む有用なプログラムは、ジェネティックス・コンピュー
タ・グループ(マディソン、ウィスコンシン州)から“ギャップ”プログラムと
して誰でも利用することができる。上記のパラメータは、ペプチドを比較するた
めのデフォルト・パラメータである(端部のギャップに対するペナルティはない
)。
【0157】 ポリヌクレオチドを比較するためのパラメータには以下のものがある。 アルゴリズム:ニードルマンとヴンシュ、J. Mol. Biol.、第48巻、443〜453ペ
ージ、1970年、 比較行列:一致=+10、不一致=0、 ギャップ・ペナルティ:50、 ギャップ長ペナルティ:3。 ジェネティックス・コンピュータ・グループ(マディソン、ウィスコンシン州)
から“ギャップ”プログラムとして利用できる。これらパラメータは、核酸を比
較するためのデフォルト・パラメータである。
【0158】 ポリヌクレオチドとポリペプチドに対する“一致”の好ましい意味は、場合に
応じて以下の(1)と(2)で与えられる。
【0159】 (1)実施態様のポリヌクレオチドがさらに、配列番号1又は3の参照配列と
少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97、または100%
一致したポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含んでいる
。このポリヌクレオチド配列は、配列番号1又は3の参照配列と一致していても
よいし、参照配列と比べて所定の数までヌクレオチドが変化していてもよい。こ
の変化は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(トランジションやトラ
ンスバージョンを含む)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照
ヌクレオチド配列の5’末端または3’末端の位置に起こってもよいし、これら
末端の間の任意の位置に起こり、参照配列のヌクレオチドの間に個別に点在する
か、または参照配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在して
いてもよい。変化するヌクレオチドの数は、配列番号1又は3のヌクレオチドの
総数に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積
を配列番号1又は3のヌクレオチドの総数から差し引くことによって決まる。す
なわち、 nn ≦xn −(xn ・y) となる。ここに、nn は変化したヌクレオチドの数であり、xn は配列番号1又
は3のヌクレオチドの総数であり、yは、50%の場合に0.50、60%の場
合に0.60、70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場
合に0.85、90%の場合に0.90、95%の場合に0.95、97%の場
合に0.97、100%の場合に1.00であり、・は、積演算の記号であり、
n とyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸
めた後にxn から差し引く。配列番号2又は4のポリペプチドをコードしている
ポリヌクレオチド配列の変化により、このコード配列中にナンセンス突然変異、
ミスセンス突然変異、またはフレームシフト突然変異が発生し、そのことによっ
て、そうした変化後のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドが変
化する可能性がある。
【0160】 例えば、本発明のポリヌクレオチド配列は、配列番号1又は3の参照配列と一
致していてもよい。すなわち、このポリヌクレオチド配列は、100%一致して
いてもよいし、参照配列と比べて所定数までの核酸変化が含まれていてパーセン
ト一致が100%よりも小さくなっていてもよい。この変化は、少なくとも1つ
のポリヌクレオチドの欠失、置換(トランジションやトランスバージョンを含む
)、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリヌクレオチド配列
の5’末端または3’末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の
位置に起こり、参照配列の核酸の間に個別に点在するか、または参照配列内の1
つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。所定のパーセ
ント一致に対する変化した核酸の数は、配列番号1又は3の核酸の総数に、パー
セント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列番号1
又は3の核酸の総数から差し引くことによって決まる。すなわち、 nn ≦xn −(xn ・y) となる。ここに、nn は変化した核酸の数であり、xn は配列番号1又は3の核
酸の総数であり、yは、例えば70%の場合に0.70、80%の場合に0.8
0、85%の場合に0.85などであり、・は、積演算の記号であり、xn とy
の積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた後に
n から差し引く。
【0161】 (2)実施態様のポリペプチドがさらに、配列番号2又は4の参照配列と少な
くとも50、60、70、80、85、90、95、97、または100%一致
したポリペプチド配列を含む単離されたポリペプチドを含んでいる。このポリペ
プチド配列は、配列番号2又は4の参照配列と一致していてもよいし、参照配列
と比べて所定の数までアミノ酸が変化していてもよい。この変化は、少なくとも
1つのアミノ酸の欠失、置換(保存された置換や保存されていない置換を含む)
、または挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリペプチド配列のアミ
ノ酸末端またはカルボキシル末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の
任意の位置に起こり、参照配列のアミノ酸の間に個別に点在するか、または参照
配列内の1つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。変
化するアミノ酸の数は、配列番号2又は4のアミノ酸の総数に、パーセント一致
を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配列ID番号2のアミ
ノ酸の総数から差し引くことによって決まる。すなわち、 na ≦xa −(xa ・y) となる。ここに、na は変化したヌクレオチドの数であり、xa は配列番号2又
は4のアミノ酸の総数であり、yは、50%の場合に0.50、60%の場合に
0.60、70%の場合に0.70、80%の場合に0.80、85%の場合に
0.85、90%の場合に0.90、95%の場合に0.95、97%の場合に
0.97、100%の場合に1.00であり、・は、積演算の記号であり、xa
とyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸めた
後にxa から差し引く。
【0162】 例えば、本発明のポリペプチド配列は、配列番号2又は4の参照配列と一致し
ていてもよい。すなわち、このポリペプチド配列は、100%一致していてもよ
いし、参照配列と比べて所定数までのアミノ酸変化が含まれていてパーセント一
致が100%よりも小さくなっていてもよい。この変化は、少なくとも1つのア
ミノ酸の欠失、置換(保存された置換や保存されていない置換を含む)、または
挿入のいずれかである。またこの変化は、参照ポリペプチド配列のアミノ末端ま
たはカルボキシル末端の位置に起こってもよいし、これら末端の間の任意の位置
に起こり、参照配列のアミノ酸の間に個別に点在するか、または参照配列内の1
つまたはそれ以上の連続的なグループの中に点在していてもよい。所定のパーセ
ント一致に対する変化するアミノ酸の数は、配列番号2又は4のアミノ酸の総数
に、パーセント一致を定義する整数を100で割った値を掛け、次にその積を配
列番号2又は4のアミノ酸の総数から引くことによって決まる。すなわち、 na ≦xa −(xa ・y) となる。ここに、na は変化したアミノ酸の数であり、xa は配列番号2又は4
のアミノ酸の総数であり、yは、例えば70%の場合に0.70、80%の場合
に0.80、85%の場合に0.85などであり、・は、積演算の記号であり、
a とyの積が非整数になった場合には、その値よりも小さな最も近い整数に丸
めた後にxa から差し引く。
【0163】 この明細書で生物に関して用いる“個体”は、多細胞真核生物のことを意味す
る。その中には後生生物、哺乳類、ヒツジ科動物、ウシ科動物、類人猿、霊長類
、ヒトが含まれるが、これだけに限定されるわけではない。
【0164】 “単離された”とは、天然の状態から“人間の手によって”変えられたことを
意味する。すなわち、そうしたことが自然界で起こるならば、もとの環境から変
化しているか、隔離されている、あるいはその両者が起こっている。例えば、生
物の体内に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは“単離されて”はい
ないが、その同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドが自然の状態で共に存在
している物質から分離されている場合には、この明細書で用いる意味で“単離さ
れて”いる。さらに、形質転換、遺伝子操作、またはそれ以外の組み換え技術に
よって生体内に導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、その生体の
中にまだ存在しているとしても、その生物が生きているか死んでいるかには関係
なく、“単離され”ている。
【0165】 “ポリヌクレオチド”とは、一般に、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリ
デオキシリボヌクレオチドのことである。それは修飾されていないRNAまたは
DNAでもよいし、修飾されたRNAまたはDNAでもよく、1本鎖の領域と2
本鎖の領域を含んでいる。
【0166】 “変異体”とは、参照用のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが
、主要な特性は維持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことである
。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド
配列が異なっている。変異体のヌクレオチド配列における変化により、参照ポリ
ヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が異なることも
あるし、異ならないこともある。ヌクレオチドの変化により、参照配列によって
コードされるポリペプチドにおいてアミノ酸の置換、付加、欠失、融合、切断が
起こることがある。これについては以下の説明する。ポリペプチドの典型的な変
異体は、参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なっている。一般に、差は、参
照ポリペプチドの配列と変異体が全体として非常に似ており、多くの領域で配列
が一致しているものに限定される。変異体と参照ポリペプチドの違いは、アミノ
酸配列において1つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、付加、欠失が任意に組み
合わさったものである可能性がある。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺
伝暗号によってコードされたアミノ酸でもよいし、遺伝暗号によってコードされ
ていないアミノ酸でもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、
対立遺伝子変異体などの自然に起こる変異体でもよいし、自然に起こることが知
られていない変異体でもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの自然には
起こらない変異体は、突然変異技術または直接的合成によって作ることができる
【0167】 “疾患”とは、細菌の感染によって起こるあらゆる疾患、または細胞感染と関
連したあらゆる疾患のことを意味し、例えば、中耳炎、急性中耳炎、再発性中耳
炎、流出性中耳炎、洞炎、結膜炎、鼻咽喉炎、喉頭炎、閉塞性喉頭炎、肺胞炎、
気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患の強化、嚢胞性線維症の合併症、心
外膜炎、心内臓炎、関節炎、尿生殖器官のコロニー形成、及び新生児感染、バク
テリア血症、敗血症、髄膜炎、などが挙げられる。
【0168】 実施例: 以下の実施例は、当業者には周知かつ当然となっている標準的な方法で実施す
る。ただし、別の方法を詳しく記載した場合は別である。実施例は単なる例示で
あって、本発明がそれだけに限定されることはない。
【0169】 実施例1:Haemophilus influenzae株Rd KW20 及び非分類(non−typeable)Haemophilus influ enzae(NTHi)株3224からのBASB070遺伝子 A:H:株Rd中のBASB070 配列番号1のBASB070遺伝子は、Haemophilus influ
enzae株Rd KW20に由来する。BASB070ポリヌクレオチド配列
の翻訳を配列番号2に示す。
【0170】 B:NTHi株3224中のBASB070 BASB070遺伝子の配列は、NTHi株3224の配列決定に由来する。
【0171】 DNASTARソフトウェア・パッケージからのMegAlignプログラム
を用いて、配列番号1と配列番号3のポリヌクレオチド配列のアラインメントを
行い、そして図1に示す;同一性の対毎の比較は、2つのBASB070ポリヌ
クレオチド遺伝子配列が90.3%同一であることを示す。同一のMegAli
gnプログラムを用いて、配列番号2と配列番号4のポリペプチド配列のアライ
ンメントを行い、そして図2に示す;同一性の対毎の比較は、2つのBASB0
70タンパク質配列が90.6%同一であることを示す。これらのデータは、2
つの株NTHi3224とHiRDの間でBASB070遺伝子が保存されてい
るが、それらの間に可変領域も存在することを示している。
【0172】 実施例2:組換えBASB070を発現させるためのプラスミドの構築 A:BASB070のクローニング NcoI、及びAsp718制限部位 CC ATG G、及びGG TAC を、それぞれ特別に設計した前進及び後退増幅プライマーに遺伝子操作し、
そして商業的に入手可能なE.coli発現プラスミドpBADgIII (A)(
Invitrogen, USA、アンピシリン耐性)内へのBASB070 PCR産物のデ
ィレクショナル・クローニングを可能にした。このプラスミドは、成熟BASB
070タンパク質がE.coliの周辺腔を標的にすることができるように、バ
クテリオファージfd pIII タンパク質からのシグナル・ペプチドを提供する
。BASB070 PCR産物を、製造者の指示に従って、Wizard PC
R prep TM(Promega)を用いて、上記増幅反応物から精製した
。クローニングのために必要な要求NcoI、及びAsp718末端を作るため
に、製造者(Boehringer Mannheim)により推奨されるよう
に、NcoI、及びAsp718制限酵素で順番に、完全に消化した。消化され
たBASB070 PCR産物とpBADをゲル精製し、そして約5倍モル過剰
の消化断片を用いて共に上記ベクターにライゲートした。本分野において周知の
方法を用いて標準的な〜20μlライゲーション反応(〜16℃、〜16時間)
を、T4 DNAリガーゼ(〜2.0ユニット/反応、Boehringer
Mannheim)を用いて行った。上記ライゲーションのアリコートを、本分
野において周知の方法に従って、エレクトロ−コンピテントなE.coli T
op10細胞を形質転換させるために使用した。〜1.0mlのLBブロス中37
℃で〜2−3時間成長させた後、形質転換された細胞を、アンピシリン(50μ
g/ml)を含むLB寒天プレート上にプレートした。個々のアンピシリン耐性コ
ロニーを選択し、そして全細胞ベースのPCRにより分析して、形質転換体がB
ASB070DNA挿入物を含んでいたかどうかを確認した。予想されたPCR
産物を生産した形質転換体を、BASB070発現構築物を含む株として同定し
た。次に発現プラスミド含有株を、組換えBASB070の誘導性発現について
分析した。
【0173】 B:PCR−陽性形質転換体の発現分析 先に同定された各PCR−陽性形質転換体について、アンピシリン(50μg
/ml)を含む〜5.0mlのLBブロスを、上記パッチ・プレートからの細胞で接
種し、そして振とうしながら(〜250rpm )37℃で一夜培養した。この一夜
種培養物のアリコート(〜1.0ml)を、〜25mlのLB AMPICILLI
NEブロスを含む125mlのエーレンマイヤー・フラスコ1内に接種し、そして
、その培養物の濁度が〜0.5のO.D.600、すなわち、対数中期(通常約
1.5〜2.0時間)に達するまで、振とうしながら(〜250rpm )37℃で
培養した。このとき、上記培養物の約半分(〜12.5ml)を、第2の125ml
フラスコに移し、そして組換えBASB070タンパク質の発現を、0.2%(
w/v)の最終濃度までのL−アラビノースの添加により誘導した。アラビノー
ス誘導培養物と非誘導培養物の両者のインキュベーションを、振とうしながら3
7℃でさらに〜4時間続けた。両誘導及び非誘導培養物のサンプル(〜1.0ml
)を、上記誘導期間の後に取り出し、そして細胞を、〜3分間の室温におけるマ
イクロ遠心分離機内での遠心分離により集めた。個々の細胞ペレットを、〜50
μlの滅菌水中に懸濁させ、次に2−メルカプトエタノールを含有する等容量の
2×Laemelli SDS−PAGEサンプル・バッファーを混合し、そし
て〜3分間沸騰水浴内に入れて、タンパク質を変性させた。等容量(〜15μl
)の両粗アラビノース誘導及び非誘導細胞溶解産物を、2連の12% Tris
/グリシン・ポリアクリルアミド・ゲル(1mm厚、Mini−ゲル、Novex
)上にロードした。誘導及び非誘導溶解産物サンプルを、標準的なSDS/Tr
is/グリシン展開バッファーを用いて慣用条件下、事前に染色された分子量マ
ーカーとともに電気泳動にかけた。電気泳動後、1つのゲルを、ワマシー・ブリ
リアント・ブルーR250(BioRad)で染色し、そして次に脱色して、新
規のBASB070アラビノース・誘導性タンパク質を可視化した。
【0174】 NTHi株 以下のHaemophilus influenzae株を、本発明のための
有用な参照として提供する。本発明に従って利用されるBASB070遺伝子は
、上記株に関しては限定されないが、それは、以下の列記する株のいずれか又は
いずれかの関連株内に存在するときのBASB070遺伝子に対応することがで
きる。この情報は、単に当業者の便宜のために提供されるものであり、寄託の規
定が実施可能性のために要求されるという自白ではない。
【0175】 株 3219C(ET7) 株 3241A(ET30) 株 840645(ET51) 株 901905U(ET60) 株 A840177(ET40) 株 A840177(ET69) 上記株の全てが、van Alphen, L., Caugant, D.A, Duim, B.A., O'Rouke, M.,
Bowler, L.D. (1997) Differences in genetic diversity of non-encasulated
H. influenzae from various diseases. Microbiology, 143 : 1423-1431 中に
記載されていた。
【0176】 HiRd株 HiRd株の例は、株名KW20をもって、R.D. Fleischmann et al., Scien
ce. Vol 269 : 496-512 (1995) 及び K.W. Wilcox et al., J. Bact. Vol 122 :
443 (1975) 中に記載されている。この株は、受託番号ATCC 51907の
下、the American Type Culture Collectionに、著者により寄託された。
【0177】 配列情報 BASB070 ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列
【0178】
【化4】
【0179】
【化5】
【0180】
【化6】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/12 C12N 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 G01N 33/53 D 5/10 N C12P 21/02 33/569 L G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA 5/00 A 33/569 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 トンナール,ジョエル ベルギー国,ベ−1330 リクサンサール, リュ ドゥ ランスティテュ 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA31 CA02 EA04 GA11 HA01 4B064 AG31 CA01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA01Y AA58X AA72X AA90X AB01 AC14 BA02 CA24 CA45 CA46 4C084 AA01 BA01 BA23 CA01 ZB33 4C085 AA03 BA55 CC08 CC32 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA11 DA75 DA86 EA52 FA72 FA73 FA74

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2又は4のアミノ酸配列に対し又はその免疫原性断
    片に対し少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、医薬と
    して許容される担体とともに、上記アミノ酸配列又はその免疫原性断片のミモト
    ープを含む、ポリペプチドの有効量を含むワクチン製剤。
  2. 【請求項2】 前記アミノ酸配列が配列番号2又は4のアミノ酸配列に対し
    又はその免疫原性断片に対し少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記
    載のワクチン製剤。
  3. 【請求項3】 配列番号1又は3のヌクレオチド配列又はその断片であって
    免疫原性ポリペプチドをコードするものに対し少なくとも85%の同一性を有す
    るヌクレオチド配列を、医薬として許容される担体とともに含むポリヌクレオチ
    ドの有効量を含むワクチン製剤。
  4. 【請求項4】 前記製剤が少なくとも1の他のヘモフィラス・インフルエン
    ザ(Haemophilus influenzae)抗原を含む、請求項1〜
    3のいずれか1項に記載のワクチン製剤。
  5. 【請求項5】 免疫原性ポリペプチドをコードする配列番号1又は3のアミ
    ノ酸配列又はその断片に対し少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配
    列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター又は生きた組換え微生
    物。
  6. 【請求項6】 配列番号2又は4のアミノ酸配列又はその免疫原性断片に対
    し少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを発
    現する、請求項5に記載の発現ベクターを含む宿主細胞又はその宿主細胞の膜。
  7. 【請求項7】 配列番号2又は4のアミノ酸配列又はその免疫原性断片に対
    し少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの製法で
    あって、上記ポリペプチドの製造のために十分な条件下で請求項6に記載の宿主
    細胞を培養し、そしてその培養基から上記ポリペプチドを回収することを含む、
    前記製法。
  8. 【請求項8】 免疫原性ポリペプチドをコードする配列番号1又は3のヌク
    レオチド配列又はその断片に対して少なくとも85%の同一性を有するヌクレオ
    チド配列を含むポリヌクレオチドの製法であって、宿主細胞を、上記ポリヌクレ
    オチドを含む発現ベクターで形質転換させ、そして上記ポリヌクレオチドの発現
    のために十分な条件下で上記宿主細胞を培養することを含む、前記製法。
  9. 【請求項9】 配列番号2又は4のポリペプチドに特異的な抗体又はその抗
    体の免疫学的に活性な断片。
  10. 【請求項10】 ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus
    influenzae)感染を診断する方法であって、その感染を疑われる動
    物からの生物学的サンプル中に存在する。配列番号2又は4のアミノ酸配列又は
    その断片に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペ
    プチド、又はそのポリペプチドに特異的な抗体を同定することを含む、前記方法
  11. 【請求項11】 哺乳動物における免疫応答の生成における使用のための薬
    物の製造における、配列番号2又は4のアミノ酸配列又はその免疫学的断片に対
    し少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は上記アミノ酸配
    列又は免疫原性断片のミモトープを含む、ポリペプチドの免疫学的有効量を含む
    組成物の使用。
  12. 【請求項12】 哺乳動物における免疫応答の生成における使用のための薬
    物の製造における、免疫原性ポリペプチドをコードする請求項1又は3のヌクレ
    オチド又はその断片に対して少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配
    列を含むポリヌクレオチドの免疫学的有効量を含む組成物の使用。
  13. 【請求項13】 配列番号2又は4のポリペプチドに対する少なくとも1の
    抗体、及び好適な医薬担体を含む、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemo
    philus influenzae)疾患にかかったヒトの治療において有用
    な治療用組成物。
  14. 【請求項14】 配列番号4のアミノ酸配列又はその断片又はミモトープを
    含む単離ポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項14のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
    を含む単離ポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 配列番号3のヌクレオチド配列又はその断片を含む、請求
    項15記載のポリヌクレオチド。
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