JP2004537579A - 免疫調節化合物を用いる結核の処置 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
関連出願の説明
本願は2000年12月20日出願の米国仮特許出願第60/256,478号および2001年8月3日出願の米国仮特許出願第60/309,474号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、ヒトなどの哺乳動物を含む動物の結核を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
結核は、Mycobacterium(マイコバクテリウム)属に属する結核菌の感染によって起こる慢性の感染性疾患である。この感染は、ある期間、無症候性の場合もあるが、最もよく見られる症候としては、発熱および呼吸器症状をもたらす肺の慢性炎症が挙げられる。処置せずに放置するとかなりの罹患と死が起こりうる。結核はすべての年齢層を襲うが、高齢者および免疫抑制者では特によく見られる。この疾患はヒトならびにウシ、ブタおよび家禽などの家畜を含む動物を侵しうる。Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌)はヒト結核の最も一般的な原因菌であるが、Mycobacterium bovis(ウシ型結核菌)による例も多い。工業国における動物結核は乳汁の低温殺菌によって抑制されている。結果として、このような措置により、M.bovisによる疾患の発生はウシでもヒトでも劇的に低下する。これに対して、発展途上国では一貫した抑制手段が実行されておらず、低温殺菌が実施されることも稀である。
【0004】
予防、検出、診断および処置の方法により、この疾患にかかる人口と、この疾患が原因で死亡する人口は、どちらも大きく減少している。当技術分野で知られている治療法には、イソニアジド(イソニコチン酸ヒドラジド)、リファンピシン、ピラジナミド(PZA)、カナマイシン、エタンブトール、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、アミカシンおよびサイクロセリンなどがある。イソニアジドは現在も結核に対する第一線の治療法であり、近代的な短期化学療法は三剤、すなわちイソニアジド、リファンピシンおよびPZAで開始される。結核は一般に長期抗生物質療法によって抑制することができるが、この処置は通常、結核の蔓延を予防する方法としては不十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結核の処置にはいくつかの化学療法およびワクチンプロトコールが利用できるようになったが、この疾患は、毎年、他のどの感染性疾患よりも多くの命を奪い続けている。当技術分野では、結核の予防および処置に、改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明では、治療有効量の式A:
【0007】
【化1】
【0008】
の免疫調節剤を投与することによって、哺乳動物(例えばヒト)などの動物の結核を処置する。式Aにおいて、nは1または2であり、Rは水素、アシル、アルキルまたはペプチド断片であり、Xは芳香族もしくは複素環式アミノ酸またはその誘導体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好ましい実施形態の詳細な説明
上述のように本発明は、概して、治療有効量の免疫調節剤を投与することによって、ヒトを含む哺乳動物などの動物の結核を処置する方法に関する。前記免疫調節剤は式Aで表される。
【0010】
【化2】
【0011】
式Aにおいて、nは1または2であり、Rは水素、アシル、アルキルまたはペプチド断片であり、Xは芳香族もしくは複素環式アミノ酸またはその誘導体であって、好ましくは、X=L−トリプトファンまたはD−トリプトファンである。「X」に適した芳香族または複素環式アミノ酸の誘導体は、アミド、モノ−またはジ−(C1−C6)アルキル置換アミド、アリールアミド、および(C1−C6)アルキルまたはアリールエステルである。「R」に適したアシルまたはアルキル部分は炭素数1〜約6の分岐または非分岐アルキル基、炭素原子数2〜約10のアシル基、ならびにカルボベンジルオキシおよびt−ブチルオキシカルボニルなどの保護基である。好ましくは、式Aに示すCH基の炭素は、nが2である場合には、Xの立体配置とは異なる立体配置を持つ。
【0012】
好ましい実施形態では、γ−D−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−Nin−ホルミル−L−トリプトファン、N−メチル−γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、N−アセチル−γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−D−トリプトファン、β−L−アスパルチル−L−トリプトファンおよびβ−D−アスパルチル−L−トリプトファンなどの化合物を利用する。特に好ましい実施形態では、SCV−07とも呼ばれるγ−D−グルタミル−L−トリプトファンを利用する。これらの化合物、これらの化合物を製造する方法、これらの化合物の医薬的に許容できる塩、およびその医薬製剤は、参考文献として本明細書の一部を構成する米国特許第5,916,878号に開示されている。
【0013】
式Aの化合物は約0.001〜10mgの範囲内の投与量で投与することができる。投薬は1週間に1回またはそれ以上行うことができ、好ましくは毎日、1日に1回またはそれ以上投与する。好ましい実施形態では、投薬を筋肉内注射によって行うが、他の注射および注入形式も利用することができ、他の投与形式、例えば経口もしくは経鼻吸入または経口摂取なども使用することができる。
【0014】
好ましい実施形態では、式Aの化合物を約0.01〜1mgの範囲内の投与量で、より好ましくは約0.1mgの投与量で投与する。
【0015】
投与量は1キログラムあたりのマイクログラム数で測ることもでき、投与量は1キログラムあたり約0.001〜10マイクログラムの範囲内、より好ましくは1キログラムあたり約0.01〜1マイクログラムの範囲内、最も好ましくは1キログラムあたり約0.1マイクログラムである。
【0016】
式Aの免疫調節剤を使って結核を処置する方法は、結核に対して有効な治療有効量の抗菌化合物または静菌化合物の投与を、さらに含んでもよい。適切な結核処置用の抗菌化合物または静菌化合物には、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、カナマイシン、エタンブトール、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、アミカシンおよびサイクロセリンなどが包含される。これらの化合物は、約100〜10,000mgの範囲内、好ましくは約200〜2,000mgの範囲内、より好ましくは約400〜1,000mgの範囲内の投与量で投与することができる。式Aの化合物は、1種またはそれ以上の結核処置用抗菌化合物または静菌化合物の投与と同時に、および/または逐次的に、例えば投与前に、投与中に、および/または投与後に、投与することができる。
【0017】
さらに、式Aの化合物は、結核処置用医薬の製造に使用することもできる。好ましくは、式Aの化合物は、医薬的に許容できる担体を含む組成物中に含まれる。
【0018】
限定ではなく例示を目的として以下に実施例を記載する。
【実施例1】
【0019】
左肺上葉に破壊および播種を伴う浸潤性結核を持つ1955年生まれの患者が病院に収容された。この患者は、結核の他にも、十二指腸潰瘍、慢性気管支炎および多価アレルギーを持っていた。血球算定ではリンパ球減少(18%)およびESRの上昇(25mm/h)がみられた。CD3+サブセットの減少も認められ、空洞を伴う浸潤および播種巣が、左肺の腋窩(axilar)区に観察された。静脈内600mg/日のイソニアジド、経口1500mg/日のピラジナミド、経口450mg/日のリファンピシンを含む積極的抗結核治療を行った。
【0020】
従来の治療法は不成功に終わったので、SCV−07処置を試みた。毎日0.1mgの用量で5日間にわたる1クールのSCV−07治療後に、細菌性中毒は消失し、破壊性空洞は閉じ、喀痰培養検査は陰性だった。CD3+リンパ球は増加し、他の薬剤に対する耐性が改善された。循環中の免疫複合体は正常値近くまで低下した(84Uから69Uまで低下。正常レベルは22〜66Uである)。
【実施例2】
【0021】
右肺の上葉および第6区ならびに左肺の第4〜5区が破壊期にある浸潤性結核を持つ1962年生まれの患者が病院に収容された。SCV−07治療前は、細菌性中毒、呼吸困難および損傷した肺葉にラ音が認められた。断層検査では、左葉の浸潤的背景上に複数の破壊性空洞が観察され、右肺の第6区には肉眼的病巣播種も観察された。病巣周囲炎に取り囲まれた大きな肺破壊巣が、左肺舌葉に見いだされた。さらに、血球算定では白血球増加(11.4×109/l)およびESRの上昇(36mm/h)が観察された。免疫応答測定では、CD4+およびCD8+サブセットの減少ならびにPHAおよびPPDによるリンパ球芽球化応答の低下が検出された。
【0022】
従来の治療法を2ヶ月間続けたところ、患者の状態にわずかな改善がみられた。しかし、X線像に有意な変化はなく、免疫応答は阻害されたままだった。
【0023】
従来の抗結核療法(筋肉内600mg/日のイソニアジド、経口1500mg/日のピラジナミド、経口450mg/日のリファンピシン、筋肉内1000mg/日のカナマイシン)を続けながら、SCV−07を筋肉内に0.1mgの用量で1日1回、5日間注射した。臨床的改善は有意だった。喀痰培養検査は陰性になり、空洞は閉じ、浸潤巣は消失した。免疫応答は正常に近くなった。CD3+リンパ球は1.011×109/lから1.441×109/lまでに増加し、CD8+数は12%から21%まで増加した。正常範囲は約26〜40%である。リンパ球の機能的能力も、SCV−07処置後に著しく上昇した。最後に、PHAによる芽球化応答は29%から40%まで増加した。正常レベルは約50%である。
【実施例3】
【0024】
今までに処置されたことがないか、または不十分な抗結核治療を受けた後の、破壊性肺結核を持つ患者を処置した。すべての患者に静脈内イソニアジドと4〜5種の他の薬物とからなる抗結核治療を施し、各患者の状態を毎日検査した。主な診断基準には理学的検査、胸部X線、喀痰の細菌検鏡および培養、気管支肺胞洗浄検査を含めた。また、SCV−07治療前と、その後の毎週1回、全患者で行った血球算定も含めた。血中フィブリノーゲン、β−リポタンパク質、尿素、クレアチニン、C反応性タンパク質レベル、アラニンおよびアスパラギントランスアミナーゼの活性を含む血液生化学検査を1ヶ月に1回、また必要であればそれ以上の頻度で行った。喀痰培養は治療前、SCV−07治療の1ヶ月後および3ヶ月後に行い、血清学的測定には間接赤血球凝集試験を含めた。
【0025】
11人の患者に両肺傷害がみられた。複数区域損傷が11例に観察された。他の患者は一区域および二区域に肺病巣を持っていた。どの症例でも病理過程は破壊性だった。1〜8cmの空洞が17枚のX線フィルムに観察された。未発達の空洞が3例で診断された。複数の空洞、X線マーカーおよび滲出性炎がどの患者でも顕著だった。
【0026】
患者を比較に値する二群、すなわちSCV−07で処置する患者20人と、対照群の15人とに分割した。実験群では女性がわずかに多かった(55%)。患者の年齢は20〜40歳の範囲だった。患者は全員、毒血症の症状を示し、そのうち4人は症状が重かった。実験群の患者のうち8人は湿性咳を呈した。
【0027】
典型的に、SCV−07処置前の胸部X線および断層撮影像は浸潤様陰影を上葉に示した。右肺の第6区は小さい浸潤物で囲まれていた。左肺の軸(axial)区および舌区に病巣周囲炎を伴う複数の異なる病巣がみとめられた。2ヶ月間のSCV−07治療後に、胸部X線および断層撮影像は浸潤様陰影の消失を示し、両肺に病巣が検出された。
【0028】
ヒトにおけるSCV−07処置は、実験群での抗結核治療の効力を増大させた。毒血症症状は1ヶ月以内に患者の半分で実質的に消失した。16人の患者で湿性ラ音が消失し、この場合、すべての症例で体温が低下した。3ヶ月の観察後に実験群の患者の25%に空洞閉鎖が観察されたのに対して、対照群では13.3%でしかなかった。喀痰培養検査は、1ヶ月の観察後にSCV−07処置患者では30%、対照群では13.3%が陰性であり、3ヶ月後にはそれぞれ65%および33.3%が陰性だった。
【0029】
白血球数およびESRを含む結核活動性の血液学的徴候は実験群ではほとんど減少した。6人の患者では10×109/Lを超える白血球数が観察され、7人の患者に「左方移動」がみられた。
【0030】
10症例で18%未満のリンパ球レベルが樹立され、40mm/hより高いESRが4人の患者にみられた。好酸球および単球レベルはSCV−07治療前から正常値に近く、治療中も変化しなかった。血清ビリルビン、クレアチニン、尿素、アラニンおよびアスパラギントランスアミナーゼは安定した。フィブリノゲン、β−リポタンパク質、CRPなどの血清生化学的炎症マーカーは1ヶ月で減少した。
【0031】
SCV−07治療前には、細胞免疫パラメータの低下が患者にみとめられた。検査した14人の患者のうち、CD3+リンパ球の減少は9人の患者で、CD4+産生量の低下は1人の患者で、またCD8+産生量の低下は10人の患者で検出された。
【0032】
免疫学的試験には、モノクローナル抗体を使ったCD3+、CD4+、CD8+、CD20+、CD25+およびCD95+などの末梢血リンパ球サブセットのパーセンテージの計数を含めた。CD4/CD8係数も計算した。SCV−07治療の直後に、CD3+およびCD4+細胞レベルの上昇が、14人の患者中7人で見られた。CD4+/CD8+比も上昇した。これらの変化は、対照群の患者と比較して、SCV−07処置患者では有意に改善された。
【0033】
フィトヘマグルチニン(PHA)およびツベルクリン精製タンパク質(PPD)によって誘発される芽球化反応も調べた。治療前の7人の患者に観察されたPHAに対するT細胞芽球化応答の阻害(44.1±2.4%)および調べた症例の8例中6例に見られたPPDに対する極めて低いT細胞応答と比較して、T細胞芽球化応答は、対照群との比較で、実験群では著しく増加した。
【0034】
SCV−07処置患者では、分裂促進因子PHAおよびPPDによる刺激後のIL−2産生量が、著しく増加した。
【実施例4】
【0035】
この実施例では、M.bovis 8による攻撃に先立って、200匹のマウス(Lab Animals Nursery,Rappolovo,ロシア)をSCV−07で免疫処置した場合の効果を説明する。
【0036】
SCV−07をアンプル1本につき0.1mgずつ、アンプル中で凍結乾燥し、+4℃で保存した。SCV−07を0.9%食塩水1mlで復元した。感染を誘発するために、マウスの外側尾静脈にM.bovis 8懸濁液(生理食塩水0.2ml中に0.1mg)を注射した。12日後に、接種後の肺に亜粟粒病巣を持つ動物を7つの群の一つにランダムに割り当てた。
【0037】
イソニアジド治療(10mg/kg,皮下)を開始した。複数の亜粟粒病巣を持つ動物で研究を続けた。20日目に各群の動物にSCV−07による処置を開始し、5日間毎日腹腔内(ip)注射を行った。最初の処置の2日後(26日目)に、2クール目のSCV−07処置を開始して、さらに5日間毎日注射を行った。対照群には、治療なしのマウス(接種対照)とイソニアジド治療のみのマウス(治療対照)とを含めた。
【0038】
SCV−07治療の4、10、17および24日後に試料を採取した。各群少なくとも5匹のマウスを調べた。
【0039】
肺損傷は特異性炎症病巣の数および重症度に従って肉眼検査時に計算した。単一亜粟粒病巣を0.5単位(U)、複数亜粟粒病巣(<20)を1.0U、複数亜粟粒病巣(>20)を1.5U、単一粟粒病巣を1.75U、複数集合亜粟粒および単一粟粒病巣を2.0U、粟粒病巣(<10)を2.25U、複数集合粟粒病巣を2.75U、小乾酪性病巣を3.0U、播種乾酪性病巣を4.0U、肺全体への損傷を5.0Uと見積もった。漿液による肺浸軟がある場合は、損傷の程度に応じて係数を0.25〜1.0U上げた。
【0040】
重量係数(WI)の計算は、式:
WI=[器官重量(g)/マウス体重(g)]×100
に従って行った。
【0041】
予備実験により、このM.bovis 8株はビルレンスが低いことがわかった。低ビルレンスの確認にはいくつかの要素、すなわち(1)接種後11日目まで単一肺亜粟粒病巣が出現せず、接種後19日目まで複数病巣が出現しないこと、(2)接種後34日目まで死亡例がないこと、および(3)28日目の無処置マウスにおける感染の重症度が、26日目の低進行性結核マウスと同等であること、の検討を含めた。
【0042】
SCV−07治療の使用は結核の進行に影響を及ぼす。5日間の治療の終了時から4日後(感染28日目)に測定すると、SCV−07処置はどの用量でも、肺損傷係数を低下させた。第5群、第7群、第8群および第9群(SVC−07用量1、0.1および0.01μg/kg ipならびに1μg/kg SCV−7 po)は、無処置対照(第2群)との比較で有意差を示した。有意差は第7群(0.1μg/kg ip)と第3群(イソニアジド対照群)との間にもみられた。しかし無処置マウス(第2群)とイソニアジドのみで処置したマウス(第3群)の間には有意差はなかった。
【0043】
処置終了から10日後と17日後ではどちらも、対照群と実験群との間に有意差はなかった。第7群(0.1μg/kg ip)における肺損傷係数の低下だけが、対照とはかなり異なっていた。
【0044】
SCV−07治療の最大効果は治療終了時から24日後に見られた。ここでも第7群(0.1μg/kg ip)に有利な結果が観察された。この群のマウスは、体重が有意に増加し(イソニアジド対照第3群での20.7%に対して30.8%)、肺重量係数(対照第3群における1.07±23に対して1.38±0.06)および脾重量係数(第3群における1.94±0.31に対して1.59±0.25)は減少した。この時点で、第7群マウスの脾臓から培養したM.bovisの成長に有意な減少があった(第3群の275±14.1 CFUに対して200±0 CFU)。
【0045】
SCV−07治療による処置で10回の注射を行うと(第6群)、同じ用量での5回の注射(第5群)よりも、よい応答が得られたようである。脾臓培養物におけるM.bovisの成長量は、第6群では有意に低下した(対照群での275±14.1 CFUに対して190±21.5 CFU)。しかし処置24日後の第5群にはこの傾向はなかった。
【0046】
断頭後に、血液をペトリ皿に収集し、凝血する前に、直ちにスライドを調製した。風乾したスライドを96%エタノールで10分間固定し、ギムザ染色によって染色した。各スライドでは、100〜200個の細胞を計数し、結果をパーセンテージとして表した。白血球数の場合は、10μlの血液を96穴プレート(Costar,マサチューセッツ州ケンブリッジ)で190μlの酢酸水溶液と混合し、倍率100倍の油浸法で行った。Goriaev血球計数器で数を決定した。
【0047】
結核感染は感染対照群である第2群に見られるように総血液リンパ球数の減少および好中性顆粒球数の増加を引き起こす。SCV−07治療はこれらの数の変化を誘発する。処置動物における有意な変化は治療4日後までは観察されなかったが、治療10日後には、第6群、第7群、第8群および第9群(SVC−07用量1μg/kg ip;10回注射;0.1μg/kg ip;5回注射および1μg/kg po、イソニアジド対照群である第3群との比較)に見られるように、単球レベルの低下が起こった。17日間のSCV−07治療後には、リンパ球数の増加および好中球のパーセンテージの有意な減少が第8群および第9群(0.01μg/kg ipおよび1μg/kg po)に起こった。24日後には、群間の相違はそれほど明白ではなかった。
【0048】
マウスの胸腺を無菌的に収集し、ホモジナイズし、RPMI−1640培地に懸濁し、2層の滅菌ガーゼを通して濾過した。細胞懸濁液を、2mM L−グルタミンおよび80μl/mlゲンタマイシンを含むRPMI−1640で2回洗浄した後、Goriaev血球計数器を使って計数した。
【0049】
SCV−07処置(第4〜9群)マウスと対照(第1〜3群)マウスとの間で基礎胸腺細胞増殖に有意差はなかった。これに対して、4日間の治療後は、第7群(SCV−07用量0.1μg/kg ip)におけるConA刺激胸腺細胞増殖が、第3群(イソニアジド対照)よりも有意に高かった。他の群での相違は明白でなかった。それ以降の時点ではすべての群で増殖は増加したが、SCV−07処置群では増殖が有意に高かった。17日目までに、第7群および第8群(0.1および0.01μg/kg ip)での増殖応答は、非感染マウスと基本的に同じ応答を示した。24日目までに、第6群、第7群および第8群(1μg/kg、10回注射ipならびに0.1および0.01μg/kg ip)での増殖は非感染マウスとの類似性を示し、イソシアニド対照第3群よりも多数だった。
【0050】
マウスから脾臓を無菌的に収集し、RPMI−1640培地(Biolot,ロシア)でホモジナイズし、2層の滅菌ガーゼを通して濾過した。ホモジネートを遠心分離した後、赤血球を0.83%塩化アンモニウム溶液中で溶解した。2mM L−グルタミンおよび80μl/mlゲンタマイシン(Sigma,ミズーリ州セントルイス)を含むRPMI−1640で脾細胞を2回洗浄し、Goriaev血球計数器を使って計数した。
【0051】
SCV−07治療の17日後に、リンパ球産生量の増加および好中球のパーセンテージの有意な低下が、第8群および第9群(0.01μg/kg ipおよび1μg/kg po)でみとめられた。24日間のSCV−07治療後は、群間の相違はそれほど明白ではなかった。
【0052】
脾細胞増殖データを記載する。SCV−07処置動物では、分裂促進因子(ConAおよびLPS)が誘発する応答の回復が、イソニアジド処置動物よりも早く起こる。24日間のSCV−07治療後は、第6群(1μg/kg,10回注射ip)でのLPSによる増殖応答ならびに第6群および第7群(1μg/kg,10回注射 ipおよび0.1μg/kg ip)でのConAによる増殖応答は、非感染マウスと差がなかった。一方、イソニアジド対照群である第3群では、増殖応答は低いままだった。
【0053】
ツベルクリンに対する脾細胞増殖応答は、4日間の治療後はどの群でも低いままだったが、その後、第6群(1μg/kg ip,10回注射)の増殖応答は、対照群より有意に高くなった。
【0054】
脾細胞および胸腺細胞を上述のように単離した。インビトロで、2mM L−グルタミン、80μg/mlゲンタマイシンおよび4%熱非働化ウシ胎仔血清(Sigma,ミズーリ州セントルイス)を含むRPMI−1640で、胸腺細胞を107/mlに希釈した。脾細胞は、2mM L−グルタミン、80μg/mlゲンタマイシンおよび20%非働化ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640で、3×106/mlに希釈した。0.5μg/mlコンカナバリンA(ConA,Sigma,ミズーリ州セントルイス)を使って、胸腺細胞増殖を刺激した。脾細胞増殖には、0.5μg/ml ConA、10μg/mlリポ多糖(Sigma,ミズーリ州セントルイス)および50μg/mlツベルクリン精製タンパク質(PPD)を使用した。測定は96穴プレートで行い、細胞培養物を湿潤5%CO2下に37℃で72時間(ツベルクリンを使用する場合は96時間)インキュベートした後、5μl Ci/ml 3H−チミジンを一晩(約16時間)パルスし、半自動収集装置(Titertek(商標),Flow Laboratories,ノルウェー)を使ってフィルター上に収集した。フィルターを乾燥し、液体シンチレーションカウンター(LKB 1217 Racketa,スウェーデン・ウォーレス)で試料をカウントすることにより、3H−チミジン取り込み量で増殖量を計算した。データを1分あたりのインパルスとして表した。
【0055】
食作用を調べるために、腹膜マクロファージをペトリ皿1枚あたり106細胞の濃度で播種し、マウス血清でオプソニン処理した107個のSaccharomyces cerevisiae(サッカロミセス・セレビシェ)細胞を含む培地を加えた。結果はマン−ホイットニー検定を使って評価した。食細胞に関与するマクロファージのパーセンテージを決定してから、食細胞活性を計算した。食作用係数は、1細胞あたりの貧食された酵母の平均数を計算することによって決定した。殺細胞活性は、1.5時間のインキュベーション後にマクロファージによって消化された酵母の数によって表した。最後に殺細胞係数は次のように計算した。
【0056】
KI=(1時間後の食作用係数)/(2.5時間後の食作用係数)
結核への感染は、腹膜食細胞活性、食作用係数および食作用による酵母細胞の殺滅を減少させる。感染後、28日目の食細胞活性は、非感染マウスにおける64.2%と比較して4.6%だった(p≦0.01)。食作用による殺細胞は2分の1に減少した。イソニアジド治療はこれらの食細胞活性係数を増加させたが、非感染マウスに見られるレベルには至らなかった。SCV−07治療により、4日間の処置後に、第7群(0.1μg/kg ipのSCV−07用量)では、第3群(イソニアジド対照群、p≦0.05)での19.4%と比較して、食細胞活性が38.8%まで著しく上昇した。SCV−07処置により、食作用係数も正常化し、殺細胞も増加した(対照における196.4に対して244.4、p≦0.05)。
【0057】
SCV−07治療の10日後に観察された薬物の効果は低くなっていた。これはおそらくイソニアジド治療の結果だろう。殺細胞は第5群(1μg/kg,ip)でのみ対照と比較して有意に増加した。結核の重症度に対して薬物が示す効力がごくわずかであった動物群では、摂取および殺細胞が低下する傾向があった(第8群および第9群,0.01μg/kg ipおよび1μg/kg po)。
【0058】
17日にわたるマウスのSCV−07治療後に、第3群(イソニアジド対照)では摂取および殺細胞の低下。第6群(1.0μg/kg ip,10回注射)では、SCV−07処置マウスのすべてが、より顕著な食作用係数の増加を示した。この群における食細胞活性のレベル(第3群における49.8%に対して60.4%)および食作用係数(6.88U対4.91U,p=0.05)は非感染マウスと同じままだった。殺細胞および殺細胞係数はどちらも増加し、他のSCV−07処置群での食細胞機能が増加する傾向は明白だった。
【0059】
イソニアジド処置群における食作用は、処置後24時間で、非感染マウスにみられるレベルまで戻った。しかし、食作用による殺細胞の減少は依然として存在した(非感染マウスにおける178.0に対して第3群では62.0U,p=0.05)。これはマクロファージ殺細胞の低下をもたらすイソニアジドの免疫抑制効果だったと考えられる。SCV−07処置は、第6群および第7群(1.0μg/kg ip,10回注射および0.1μg/kg ip)では特に、マクロファージ殺細胞を有意に改善した。
【0060】
10%ウシ胎仔血清および10IU/mlヘパリンを含むイーグル培地(Biolot,ロシア)からなる液体を使った腹腔洗浄によってマウス腹膜細胞を収集した。計数した細胞および細胞懸濁液を96穴プレート(100μg/ウェル)に入れた。プレートを湿潤CO2下に37℃で1時間インキュベートした後、上清を除去し、付着細胞単層を温かい(37℃)イーグル培地で3回洗浄し、乾燥し、次に固定し、30%メタノール中の0.03%クリスタルバイオレット溶液で染色した。プレートリーダーを使ってプレートを595nmで読み取れるようにし、結果を吸光係数(試料中の細胞数に関係する)として表した。
【0061】
イーグル培地中の腹膜細胞懸濁液を1200rpmで遠心分離した。培地をデカントし、細胞を0.9%食塩水で洗浄し、pH7.2の0.1%NBT HBSS溶液に再懸濁した。これらの反応は96穴プレートで行った。計数した細胞を100μlの液量でウェルに入れ、湿潤CO2下に37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後に、上清をデカントし、プレートを室温で乾燥し、細胞を70%エタノールで固定した。2M水酸化カリウムおよび140μl DMSOの溶液に、ジホルマザンを加えた。プレートリーダーを使って、プレートを640nmで読み取り、結果を吸光係数(試料中の細胞数に関係する)として表した。
【0062】
10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンおよび80μg/mlゲンタマイシンを含むRPMI−1640で脾細胞を107/mlの濃度に希釈した。100μlの細胞懸濁液を96穴培養プレートの各ウェルに加え、最終濃度2.5μg/mlのConAによってサイトカイン産生を誘導した。対照ウェルにはRPMI−1640を入れた。細胞を5%CO2の湿潤雰囲気下に37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後に、150μlの上清を各ウェルから取り出し、−70℃で保存した。
【0063】
細胞培養上清中のIL−2濃度を決定するために、CTLL−2 IL−2依存性細胞株を使用した。CTLL−IL−2細胞をRPMI−1640で2回洗浄し、Goriaev血球計数器で計数した。上清を96穴培養プレートにて1:5、1:15、1:45および1:135の希釈率で100μlの体積に希釈した。IL−2標準希釈液も調製した。10%非働化ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、80μg/mlゲンタマイシンを含むRPMI−1640で細胞を2×105/mlに希釈した。その懸濁液100μlを培養プレートの各ウェルに加え、5%CO2湿潤雰囲気下に37℃で48時間インキュベートした。インキュベーションを終了する16時間前に、10μlの5μCi/ml 3H−チミジンを各ウェルに加えた。インキュベーション後に、半自動収集装置を使って、細胞をフィルター上に収集し、液体シンチレーションカウンターで試料をカウントした。
【0064】
結核感染後にはConA刺激脾細胞におけるIL−2産生量の減少が起こった。これに対し、すべての処置群で、治療後のどの時点においても、IL−2産生量の増加が観察された。第7群および第8群(SVC−07用量0.1および0.01μg/kg ip)では、第3群と比較して、SCV−07治療の4日後には早くも、IL−2産生量が著しく増加した(それぞれ41.6±5.6U/mlおよび39.1±2.8U/ml対16.6±2.6U/ml)。SCV−07治療の24日後時点で、第6群(1μg/kg ip,10回注射)および第7群(0.1μg/kg ip)でのIL−2レベルは、非感染マウスと差がなかった。
【0065】
Quantikine(商標)ELIZAキット(R&D Systems,ミネソタ州ミネアポリス)を使用し、キットの説明書に従って、ConA刺激脾細胞上清のIL−4およびINF−γ測定も行った。プレートをIL−4またはIFN−γに対するモノクローナル抗体でコートし、ブロックした。次に、標品および試料を加えた。細胞を2時間インキュベートし、洗浄した後、比色用基質を加えた。30分後に反応を停止し、プレートリーダー(Multiscan(商標)3550,BioRad,日本)を使って450nmでプレートを読み取った。
【0066】
SCV−07治療4日後の基礎IFN−γ産生量にイソニアジド対照マウス(第3群)との差は認められなかった。しかし、SCV−07治療の10日後には、第5群、第6群および第7群(SCV−07用量1μg/kg ip,5回注射;1μg/kg ip,10回注射および0.1μg/kg ip)で、基礎IFN−γ産生量の有意な上昇が起こった。SCV−07治療の17日後には、この増加がすべてのマウスで観察された。実験の終了時には、第6群(1μg/kg ip,10回注射)にのみ、このINF−γ産生量の増加の維持が見られた。
【0067】
基礎IL−4産生量の有意な変化は起こらなかった。ConAはIFN−γおよびIL−4の産生を刺激した。注目すべきことに、IL−4産生量とIFN−γ産生量とは反対向きに変化した。SCV−07治療の10日後に、INF−γ産生は第4群、第5群、第6群および第8群(10および1μg/kg ip,5回注射;1μg/kg ip,10回注射;ならびに0.01μg/kg ip ip)で刺激を示し、IL−4産生は第5群、第6群および第7群(1μg/kg ip,5回注射;1μg/kg ip,10回注射、および0.1μg/kg ip)で有意に減少した。
【0068】
血清中のINF−γとIL−4の濃度。10日間のSCV−07治療後に、第4群、第5群、第6群および第7群(10および1μg/kg ip,5回注射;1μg/kg ip,10回注射;ならびに0.1μg/kg ip)ではIFN−γレベルが増加し、同時に、同じ群でIL−4レベルは低下した。これらの変化は17日間のSCV−07処置後にも同様にみとめられた。第4群、第5群、第6群、第7群および第8群ではIFN−γの濃度が増加し(第7群および8群では有意に増加、0.1および0.01μg/kg ip)、それと同時に第5群、第6群および第7群(1μg/kg ip,5回注射;1μg/kg ip,10回注射;および0.1μg/kg ip)ではIL−4が有意に減少した。
【0069】
マウスでは、イソニアジド結核治療中のSCV−07処置は、疾患の重症度および免疫応答の強さに、影響を及ぼす。SCV−07を0.1μg/kgの用量で5日間毎日ip注射すると、肺重量係数および肺損傷係数が有意に減少する。これらのマウスならびに1.0μg/kgの用量で10日間毎日注射を受けたマウスおよび0.01μg/kgの注射を5日間毎日受けたマウスでは、脾臓培養におけるM.bovisの成長も低下した。
【0070】
ConA刺激胸腺細胞増殖の改善はSCV−07処置の4日後には早くもみられる。SCV−07治療の10日後には、LPSまたはツベルクリンで刺激された増殖に、増大がみられる。SCV−07処置24日後では、胸腺細胞および脾細胞のどちらについても、増殖応答がほぼ非感染動物の応答まで回復する。
【0071】
マクロファージ機能のSCV−07刺激が起こるが、結核感染およびイソニアジド治療によって低下していた摂取および殺細胞能力の改善が起こる。免疫応答のもう一つの尺度であるサイトカインの産生はSCV−07の処置によって増加する。脾細胞によるIL−2の産生量は結核への感染によって低下するが、SCV−07処置の4日後には、特定の群で、低下量が有意に少なくなる。処置の24日後には、他の群におけるIL−2産生量が非感染動物レベルまで回復する。
【0072】
最後に、胸腺細胞および脾細胞による基礎および刺激INF−γ産生量はいずれも、SCV−07処置後に増加する。ある時点では、これらと同じマウスで、IL−4産生量が低下する。特定の群では、IL−4のConA刺激産生量が低下し、IL−4の血清レベルもこの変化を反映する。これらの変化、すなわちINF−γの増加およびIL−4産生量の低下から、SCV−07処置はTヘルパー細胞応答からTh1様免疫応答へのシフトをもたらしていることが示唆される。
【0073】
明解な理解が得られるように例を挙げて本発明を多少詳しく説明したが、本願特許請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲から逸脱することなく、改変および変更を加えることができる。
Claims (16)
- Rは水素、炭素原子数2〜約10のアシル、または炭素数1〜約6のアルキルであり、XはL−トリプトファンまたはD−トリプトファンであって、式Aに示すCH基の炭素は、nが2である場合には、Xの立体配置とは異なる立体配置を持つ、請求項1に記載の方法。
- XがL−トリプトファンである、請求項2に記載の方法。
- 前記免疫調節剤がγ−D−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−Nin−ホルミル−L−トリプトファン、N−メチル−γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、N−アセチル−γ−L−グルタミル−L−トリプトファン、γ−L−グルタミル−D−トリプトファン、β−L−アスパルチル−L−トリプトファン、およびβ−D−アスパルチル−L−トリプトファンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫調節剤がγ−D−グルタミル−L−トリプトファン(SCV−07)である、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫調節剤が約0.001〜10mgの範囲内の投与量で投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫調節剤が約0.01〜1mgの範囲内の投与量で投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記SCV−07が約0.01〜1mgの範囲内の投与量で投与される、請求項5に記載の方法。
- 前記投与量が約0.1mgである、請求項8に記載の方法。
- 結核に対して有効な治療有効量の抗菌化合物の投与をさらに含み、前記抗菌化合物がイソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、カナマイシン、エタンブトール、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、アミカシンおよびサイクロセリンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記治療有効量の抗菌化合物が約100〜10,000mgの範囲内の投与量である、請求項5に記載の方法。
- 前記治療有効量の抗菌剤が約200〜2,000mgの範囲内の投与量である、請求項10に記載の方法。
- 前記治療有効量の抗菌化合物が約400〜1,000mgの範囲内の投与量である、請求項10に記載の方法。
- 前記動物がヒト患者である、請求項1に記載の方法。
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