JP2004536623A - 第2注入セプタムを有する皮下注入セット - Google Patents
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Abstract
注入システム(200)は、ハウジング(202)、及びこのハウジング(202)に取り付けることができる接続ハブ(206)を有し、この接続ハブ(206)の内部をY字状のフローチャンネル構造にし、このフローチャンネル構造は、接続ハブの末端に至る第1フローチャンネル(290)と、接続ハブの基端に至る第2フローチャンネル(505)と、接続ハブの基端に至る第3フローチャンネル(286)を有し、これら第1、第2及び第3のフローチャンネル(290,505,286)はすべて接続ハブの内部で交差する。
Description
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
この出願は、35U.S.C、119号の下で、2001年2月22日に出願された米国特許予備出願第60/271,079号の優先権を主張し、また35U.S.C、119号の下で、2000年4月3日に出願された米国特許予備出願第60/195,702号及び2000年3月13日に出願された米国特許予備出願第60/188,624号及び2000年1月18日に出願された米国特許予備出願第60/176,538号の優先権を主張する米国特許出願第09/675,159号の一部継続出願である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、一つの送給装置から連続的又は間欠的に基礎量を供給するとともに、他の送給装置から大量注入を同時に行うことができる注入システムを提供する。従って、本発明は、薬剤(又は変化する基礎量及び大量投与する他の流体)の送給に適する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
種々の実施例において、本発明は、注入システムにおいて、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けることができるハブの内部にY字状のフローチャンネル構造を設けた接続ハブとを具えたことを特徴とする。種々の実施例において、接続ハブはカニューレハウジングに釈放自在に取り付ける。内部Y字状フローチャンネル構造は、
注入カニューレの基端側端部に接続し得る第1フローチャンネルと、
注入送給チューブの末端側端部に接続し得る第2フローチャンネルと、
セプタムによってカバーされる第3フローチャンネルとを有し、これら第1、第2及び第3のフローチャンネルのすべてが前記接続ハブ内で交差する構造とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
接続ハブはカニューレハウジングの基端側端部に取り付ける。これら実施例において、接続ハブを、1対のファスナによってハウジングの基端側端部にとけるようにし、各ファスナは、前記ハウジング及び接続ハブのうちの一方に設けたフィンガと、前記ハウジング及び接続ハブのうちの他方に設けたレバーとにより構成する。種々の実施例において、レバーは片持ちレバーにより構成する。
【0005】
本発明は、更に、単独の皮下通路を経て患者に2種類の異なる送給流れ、例えば、薬剤の流れ又はモニタ若しくは追跡要素の流れを注入する注入方法において、注入カニューレの基端側端部を前記ハウジングに支持してこの注入カニューレの末端側端部を経皮的に患者内に挿入し、内部にY字状フローチャンネル構造を有する、即ち、内部で交差する第1、第2及び第3のフローチャンネルを有する接続ハブを前記ハウジングに取り付け、送給チューブを経て前記第2フローチャンネル内に第1送給流を導入し、第2送給流をセプタムから前記第3フローチャンネル内に導入し、第2及び第3のフローチャンネルが第1フローチャンネルに交差し、第1及び第2送給流の流れが第1フローチャンネルを一緒に通過し、前記ハウジング及び注入カニューレから患者組織に流入するようにしたことを特徴とする。本発明の実施例によれば、第2送給流の流れをシリンジによってセプタムを経て注入する。この後、接続ハブを前記ハウジングから分離し、また注入カニューレの末端側端部を患者組織内に留置させたまま、プラグシステムを前記ハウジングに取り付ける。
【0006】
本発明の実施例によれば、本発明は注入留置カテーテル内に残存する容積ができるだけ少なく、従って、第2注入容積のほぼ全体がターゲット領域に送給されるようにした注入装置を提供する。
【0007】
当業者であれば、本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付図面につき説明する実施例の詳細な記載を読むことによって明らかになるであろう。
【0008】
次に、単に例示したに過ぎない添付図面につき本発明装置、方法及びシステムの実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
[図面の詳細な説明]
本発明による物品及び方法を開示及び説明する前に、本明細書で使用する用語は、単に特別な実施例を説明するためにのみ使用するものであり、これに限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される英文での不定冠詞及び定冠詞は、文脈上明示しない限り複数の指示対象を含むものとする。
【0010】
本発明は、使い捨て注入システムを提供するものであり、(所要の物質のタイプ又は量に依存して)ポンプ又はシリンジからそれぞれ独立的に注入することを可能にするものである。実施例によっては、このような送給は、注入カテーテルを分離することなく、皮下的に行うことができる。更に、本発明システムは、このことを、主リザーバから連続的又は間欠的に注入するよう選択した薬剤又は他の送給物質の無菌性を損なうことなく、行うことができる。図面において、幾つかの図面にわたる同じ参照符号は、同一又は対応の素子を示すものである。
【0011】
図1及び図2は、本発明による薬剤注入システムの平面図(図2は部分的に切除して示してある)を示す。注入システム200は、ハウジング202と、接続ハブ206を有する。ハウジング202は、患者の皮下に位置決めする柔らかい(留置)カニューレ204を保持する。
【0012】
接続ハブ206は、ハウジング202の基端部に位置決めする。所定の実施例によれば可撓性のチューブ208を接続ハブ206の基端部に固定する。このチューブ208の基端部に基端側コネクタ210を固定する。基端側コネクタ210はルエル(luer)コネクタのような主注入装置のコネクタに適合するコネクタから選択する。
【0013】
本発明によれば、接続ハブ206は、内部にY字状のフローチャンネルを有する構造とする(図10参照)。以下に詳細に説明するように、内部のY字状フローチャンネル構造は、例えば、異なる2つの供給源(例えば、カテーテル及びシリンジ)からの薬剤を同時送給することができる。所定の実施例によれば、第1物質は、主注入装置からチューブ208を経て送給し、第2薬剤はシリンジ穿刺セプタム(隔膜)500から送給する。接続ハブ206の内部Y字状フローチャンネル構造によれば、(ハウジング202)の軟質カニューレ204を経て患者に、同時皮下送給することができる。
【0014】
図1に示すように、接続ハブ206は、末端方向に突出する1対のピン216,218を有し、これらピンはハウジング202の補完的な位置及び形状の穴又はボア244,246(図3参照)に挿入し、また整合する。
【0015】
ハウジング202の他の詳細を図3〜図9に示す。
【0016】
ハウジング202は、末端側に向かって突出するほぼ截頭円錐形の部分230を有し、この部分にボア232が貫通する。実施例によっては、ボア232は末端部を拡開し、以下に詳細に説明する理由でカニューレ窪み234を形成する。ボア232の基端側は、截頭円錐形の基端部236として拡開させる。このようにして、基端部236は、基端開口238からボア232に、例えば、チューブ220のようなチューブを挿入するときの案内を行うテーパを有する。ハウジング202には、更に、接続ハブのピンを収容するブラインドボア(盲穴)を設ける。例えば、ブラインドボア244,246はピン216,218(図1参照)を収容する寸法及び位置に配置するものとする。他のピン‐ボア設計とすることも可能であり、任意の数のピン及びボアを設けることも本発明の精神及び範囲にあると理解されたい。逆に、2個以上のピン‐ボアの組み合わせとすることによりハブとハウジングとの間によりよい整合性を生ずることができるようになる。
【0017】
ハウジング202の基端部には、更に、ハウジング各側面にそれぞれ1個ずつ、1対の案内延長部242を設け、これら案内延長部242がともに、接続ハブ206の部分を収容する寸法及び形状の開放基端空間240を画定する。各案内延長部242は、互いに側方に内向きに向かい合って僅かにテーパが付いた案内面248,250を有する。案内面248,250は、接続ハブ206とハウジング202を以下に詳細に説明するように互いに合体させるとき接続ハブ206の外面の初期案内を行う。
【0018】
ハウジング202には、更に、少なくとも1個、しかし、より好適には、2個のファスナ252,254を各側面に位置決めして設ける。ファスナ252,254は、ハブ及びハウジングが適正に整合したとき(図2参照)、ハブ206をハウジング202に固定する。ファスナ252,254はハウジング202から基端側に向かって突出する釈放自在のフィンガ256,258を有する。フィンガ256,258は圧着面260を有し、この圧着面は、ハブ206の基端側に対向する(図2参照)部分に圧着するよう末端側に指向する。圧着面260に隣接して各フィンガ256,258に角度の付いたカム面262を設ける。カム面262は、接続カム206をフィンガ256,258に圧着させると、これらフィンガ256,258を側方外方に押圧し、フィンガ256,258を広げて接続ハブ206を空間240に進入させてハウジング202に対して末端側に移動させることができるようにする。
【0019】
ファスナ252,254には、更に、フィンガ256,258とは反対側の末端側にレバー264を設ける。これらレバーは片持ちレバーとする。レバー264は、ハウジング202から側方に間隔を空けて位置決めし、レバーとハウジングとの間に空間266を生じ、この空間266内にレバーが撓み込むことができるようにする。レバーの側方内方への撓みによりフィンガ256,258を側方外方に撓ませ、接続ハブ206を空間240に対して容易に出入りできるようにする。当業者には容易に理解できるであろうが、(接続ハブが空間240内に位置決めされているとき)十分大きな力で接続ハブ206を基端側に引き抜くことによりフィンガ256,258を互いに引き離し、これにより、接続ハブ206はハウジング202から、またファスナ252,254から釈放することができる。
【0020】
図4,図6及び図7に示すように、軟質カニューレ204は、ハウジング202の底面268に対して鋭角の角度βの角度をなすようにすることができる。
【0021】
図8及び図9に接続ハブ206の一部の拡大図を示す。特に、図8はファスナ254を示し、フィンガ258とハウジング202との間にチャンネル270を有する。図9はボア232を示し、このボア232には軟質カニューレを配置していない状態を示す。部分238,236で形成したカウンタボアにはシール525を保持し、このシール525はニードル220に位置決めする代わりに所定いに接着又は固定することができる。代案として、図19に示すようにセプタム(隔膜)526漏斗状の金属ガイド527によって所定位置に保持することができ、この金属ガイドは、セプタム526の中心を通過する中空チューブ220に指向性を与える。
【0022】
図10〜図12には接続ハブ206の更に詳細を示し、図10は平面図、図11は上下反転した側面図、図11aは接続ハブに使用する位置決めブロックニードルハブを示し、図12は接続ハブの前面からの立面図である。上述したように、ピン216,218及び中空チューブ220を接続ハブ206から末端方向に突出させる。接続ハブ206は、接続ハブ206を空間240内に位置決めしたときフィンガ256,258の圧着面260(図3参照)が圧着する向き及び位置をとる表面280を有する。種々の実施例によれば、カム面282を接続ハブ206の末端部に設け、上述したように、フィンガ256,258のカム面262が圧着するようにする。
【0023】
末端方向に突出する中空チューブ220は接続ハブ206から突出させ、チューブ208と流体連通する基端側部分224を有する。チューブ220の基端側部分224は、エポキシ又は溶剤接合を含む適切な方法で接続ハブ206に取り付けることができる。中空チューブ220の末端側端部を鋭利な形状にし、例えば、ニードルとし、又は代案として、末端側端部を非鋭利なものとすることができる。
【0024】
図10に示すように、接続ハブ206は内部にY字状フローチャンネル構造を有し、以下のように、2つの異なる供給源から物質を同時送給することができる。先ず、接続ハブ206の基端部分284は、チューブ208の末端側端部を取り付けることができるようにする。特に、チューブ208の末端側端部を接続ハブ206のボア286に収容する。ボア286は、接続ハブ206の末端側端部から延びるフローチャンネル290に流体連通する。フローチャンネル505(接続ハブ206の基端側部分284から延びている)は接続ハブ206の内部「Y字状」フローチャンネル構造の第2ブランチをなす。特に、チャンネル505はボア286及びフローチャンネル290の双方に連通する。このようにして、フローチャンネル286,505,290はともに本発明による内部Y字状フローチャンネルシステムを形成する。
【0025】
上述の実施例は単に例示であり、本発明は、2個以上のフローチャンネル(例えば、フローチャンネル286,505と類似のもの)を有して単一のフローチャンネル(例えば、フローチャンネル290と類似のもの)に流体連通して合流する他の随意の実施例を含むものとすることができると理解されたい。このように、本発明は、3個以上の送給源から物質を単独の通路を経て組織ターゲットに送給することができる随意の実施例を含むものである。従って、本明細書で使用する「Y字状」フローチャンネル構造は、少なくとも2個のフローチャンネルが単独のフローチャンネルに合流して組織ターゲット領域に送給する設計のすべての実施例を含むものである。即ち、本発明による「Y字状」フローチャンネル構造は、2個以上のフローチャンネルが単独のフローチャンネルに合流する「Y」を含むものである。
【0026】
本発明の随意の実施例は、接続ハブ206に収容されるフローチャンネルの双方がボア286/チューブ208の実施例に類似であるか、又は代案として、セプタム500/フローチャンネル505の実施例に類似であるものを含む。このように、本発明は、接続ハブ206における個別のフローチャンネルに収容される2個のチューブ(チューブ208に類似のもの)によって物質送給が行われる実施例を含むものである。更に、本発明は、接続ハブにおける個別のフローチャンネルに注入される(セプタム500に類似の個別のセプタムを経て通過する)2個のシリンジによって物質が送給される実施例をも含む。
【0027】
本発明の実施例においては、チューブ208の基端側端部224をボア286に収容する。チューブ208は、接続ハブ206のボア286に他の適当な永久的又は非永久的な手法によって接着又は固定する。随意にボア286に肩部292を設け、この肩部の部分でフローチャンネル290に接続するよう直径を大きく狭める。このように、この実施例では、ボア286の内径はフローチャンネル290の内径よりも大きくする。更に、フローチャンネル505の内径は小さいままとする。この実施例によれば、接続ハブ206内の最小流体容積「デッドスペース」をとることができる。例えば、好適には、フローチャンネル505の容積を極めて小さい、100マイクロリットル以下のものにする。随意にボア286の内径をチューブ208の外径よりも小さくし、チューブ208が半径方向に僅かに圧縮され、従って、収容したとき所定位置に保持されるようにする。ボア286の内径に、僅かにテーパを付けることもでき、チューブ209の半径方向圧縮を肩部292で最大となるようにする。
【0028】
本発明によれば、セプタム500はチャンネル505をカバーするように位置決めする。ユーザーは、セプタム500にシリンジを手で簡単に挿入し、物質の第2の流れを皮下的に送給することができる(このとき同時に、第1の薬剤の流れはチューブ208から連続的に送給する)。
【0029】
随意に、シール525をチューブ220の周囲に収容する。この実施例によれば、シール525は、チューブ(例えば、ニードル)220の周囲をシールする内側制限面530と、接続ハブ206をハウジング202に収容したときボア232のテーパ面236に密着するシールを形成するよう位置決めすることができる外面527とを有する。代案として、シール525はカニューレハウジング部分230内に位置決めし、セプタム(図19のセプタム526)を形成するようにすることもできる。例えば、シール525はテーパ部236又は基端側の開口238に隣接してハウジング202内に位置決めすることができる。
【0030】
図11aに示すように、随意の実施例において、位置決めブロック294をボア286の末端部分296に収容することができる。位置決めブロック294はニードルハブを有する。位置決めブロック294は、ハウジング202のボア232内に配置するよう中空チューブ220に整列する。実施例によっては、位置決めブロック294に傾斜側面300を設け、軟質カニューレ204と同一の角度βでチューブ220と整列しやすくする。図11に示すように、接続ハブ206には、随意に傾斜した決め298を設けることができる。
【0031】
図13及び図14は、患者の皮下に初期的に軟質カニューレ204を挿入する(即ち、接続ハブ206をカニューレハウジング204に取り付ける前)のに使用することができる挿入装置302の頂面からの平面図及び側面図である。挿入装置302は、挿入ハンドル306から末端方向に突出するニードル又はスタイレット304を有する。挿入ハンドル306はハブ206の形状及び寸法と類似のものとし、またピン216,218とほぼ同様に機能する1対のピン308,310を有するものとする。ニードル又はスタイレット304は、挿入ハンドル306をハウジング202に取り付けるとき(図2に示すように接続ハブ206をハウジング202に後付けするのと同様に)、鋭利な末端側端部が軟質カニューレ204の末端側端部を越えて突出する長さを有するものとする。この実施例では、ニードル又はスタイレット304の基端側端部はハンドル306内に収容する。他の実施例では、ニードル304には、ニードルの長さに沿ってスコア(溝)ライン314を設け、ニードルを破り取り、注入ニードルとして使用できるようにする。この設計において、ハンドル306は図10におけるボア286と類似のルーメンを設けることが必要になる。
【0032】
図15乃至図17には、ハウジング202の軟質カニューレ204を皮下に位置決めするとき、また接続ハブ206をハウジング202に取り付けないときチャンネル290をシールする又は栓止するプラグシステム330を示す。例えば、接続ハブ206を定期的に取り外すときに使用するとき、プラグシステム330は都合がよい。このプラグシステム330の利点は、軟質(留置)カニューレ204が皮下の所定の組織又はターゲットに留まるときに汚染を防止できる点である。このようにして、プラグシステム330は、ハウジング202のボア232をシールするのに使用でき、また、従って、以下に示すように、(接続ハブ206をハウジング202から取り外し、プラグシステム330によって交換するとき)ほこりや、病原体若しくは好ましくない汚染/干渉物が組織/ターゲットに進入するのを制限する。代案として、プラグ338はハウジング部分230内に配置してセプタムをなすようにする。例えば、プラグ338はテーパ部分236又は基端側開口238に隣接してハウジング202内に位置決めすることができる(例えば、図19のセプタム526参照)。
【0033】
図15は、プラグシステム330の頂面からの平面図であり、図16はプラグシステム330の前面からの立面図であり、図17は図16の17‐17線上の断面図である。このプラグシステム330の外側寸法及び形状は、上述の挿入ハンドル306及び接続ハブ206と同一又は類似のものとする。プラグシステム330は、上述したように、1対のピン332,334を有し、ブラインドボア244,246に整合する。プラグシステム330には、更に、円錐形、又は截頭円錐形又は他の形状の同様な先端部338を有する中心プラグ素子336を設け、この先端部338は末端方向に突出する。本発明の実施例によれば、プラグ素子336は、幾分圧縮可能な柔らかい材料で形成し、プラグ330をハウジング202に取り付けるとき(接続ハブ206及びハンドル306と同様に)、プラグ素子336がボア232の基端部分に進入してシールする。例示であってこれに限定するものではないが、素子338を医療適合品質のシリコンラバーにより形成することができる。本発明の随意の特徴によれば、プラグ素子336を、抗菌性、又は同様な化合物を配合した材料で形成し、プラグ素子自体に又はこのプラグ素子が着座する表面に微生物が成長するのを阻止する。
【0034】
プラグ素子336及びその先端部338の寸法及びテーパは、実施例のハウジング202のシールボア232を塞ぎ、またシールするよう選択する。上述の実施例において、プラグ素子336及び先端部338の寸法及びテーパは、ボア232とテーパ部236との接合部で、又はテーパ部236と基端開口238との接合部で、又は開口238自体で、又はこれら構造の任意の組み合わせ部分で、補完し合うプラグ素子336を形成することによって、ボア232をシール及び塞ぐよう選択する。
【0035】
図18は軟質カニューレ204(図3乃至図7に示すようにハウジング202から突出する)の断面図を示す。軟質カニューレ204は、長手方向に延在し、基端部352及び末端部354との間に延在するルーメン350を有する。位置決め保持ビード、リング、又は突耳356をカニューレ204の外面に形成し、ハウジング202の末端部における窪み234に嵌合する寸法とする。本発明の一つの特徴として、ビード356は窪み234に対して相対的に寸法を決め、ビード356がハウジング202ないで軟質カニューレ204を確実に保持できるようにする。本発明の他の特徴として、ビード356は、ハウジング202から所定距離の位置にカニューレ204の末端部354を位置決めする補助を行う。本発明の更に他の特徴として、カニューレ204は種々の方法でボア232ないに永久的に、又は非永久的に取り付ける。例えば、カニューレ204は、溶剤、接着剤、超音波溶接、熱接合等で、ボア232に永久的に取り付けることができる。
【0036】
本発明によれば、種々の方法がある。図1乃至図18につき説明した本発明の実施例の操作を以下に説明する。
【0037】
初期的には、ハウジング202を挿入ハンドル306に取り付け、ニードル又はスタイレット304の末端側端部を軟質カニューレ204の末端側端部から末端方向に突出させる。次に、ニードル304をターゲット領域/組織に経皮的に穿刺し、軟質カニューレ204(ニードル上に収容される)がターゲット領域/組織内に経皮的に進入させる。次に、レバー264のうちの一方又は双方を側方から内方に押し込み、挿入ハンドル306をハウジング202から釈放して挿入ハンドル306を基端方向に後退させる。
【0038】
次に、ハウジング202におけるフィンガ256,258を側方に移動することによって、チューブ208及び基端側コネクタ210を取り付けた接続ハブ206を空間240内に挿入する。このようにして、ピン216,218がボア244,246内に収容されるとともに、ハブが末端方向に移動するとき案内面248,250が接続ハブ206の外面を案内する。フィンガ256,258は表面280上にスナップ嵌合し、接続ハブ206をハウジング202に確実に保持し、中空チューブ(例えば、ニードル)220はハウジング202のボア232内に突入する。基端側コネクタ210をチューブ208に接着剤によって接続し、この接着剤は軟質チューブを接合できるエポキシ又は溶剤から選択する。
【0039】
このとき、薬剤を物質とした実施例では上述したように薬剤注入を行う。特に、第1薬剤流を投与する(チューブ208、接続ハブ206、カニューレハウジング204、及び軟質カニューレ204を順次に経て患者に通過する)。第2薬剤流も、セプタム500にシリンジを穿刺することによって投与し、チャンネル505に流入する(また接続ハブ206、カニューレハウジング204及び軟質カニューレ204を順次通過する)。このとき、第2薬剤流は第1薬剤流と同時に投与される。代案として、第1薬剤流を送給するチューブ208を取り外すことなく、第2薬剤流を単独で投与することもできる。
【0040】
この後、所要に応じて、上述したようにレバー264を押し込んでハブ206をハウジング202から釈放するとともにハブ206を基端方向に引っ張ることによって、接続ハブ206を取り外すことができる。プラグシステム330を上述したように、ハブ206の所定位置に据え付けることができる。例えば、プラグ素子338はハウジング202の基端側構造のうちの一方のシールをなす。このようにして、ハウジング202及びカニューレ204は、後の皮下注入のための組織/ターゲット領域の所定位置に都合よく放置することができるとともに、患者のこの部分の無菌性を向上及び維持することができる。
【0041】
随意の特徴によれば、薬剤を接続ハブ206に送給する装置は、「ペン」型インジェクタ、プログラム可能な薬剤ポンプ、及び1999年9月29日に出願された米国特許予備出願第60/156,535号、1999年12月13日に出願された米国特許予備出願第60/170,570号、2000年1月24日に出願された米国特許予備出願第60/177,762号、2000年9月29日に出願された米国特許非予備出願第09/762,103号(これらを参考のため列挙記載する)に記載されたような薬剤アンプル又はリザーバを収容する種々の装置のうちの任意のものとすることができる。
【0042】
好適な実施例につき本発明を説明したが、当業者には、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えることができ、等価のものを採用することもできることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明注入システムの平面図である。
【図2】本発明注入システムの一部切除して示す説明図である。
【図3】図2に示すシステムのカニューレハウジングの平面図である。
【図4】図3のハウジングの前面からの立面図である。
【図5】図3のハウジングを反転させた状態の後面からの立面図である。
【図6】図3のハウジングの左側面からの立面図である。
【図7】図3の7‐7線上の断面図である。
【図8】図3のカニューレハウジングの一部の拡大図である。
【図9】図3のカニューレハウジングの一部の拡大部分断面図である。
【図10】図1のシステムの接続ハブの平面図である。
【図11】図10の接続ハブの反転させた状態の側面図である。
【図11a】図10の装置の位置決めブロックニードルハブの側面図である。
【図12】図10の装置の正面からの立面図である。
【図13】本発明を使用する挿入装置の平面図である。
【図14】図13の挿入装置の側面図である。
【図15】本発明を使用する栓止装置の平面図である。
【図16】図15の栓止装置の正面からの立面図である。
【図17】図16の17‐17線上の断面図である。
【図18】図1の軟質注入カニューレの縦断面図である。
【図19】図1及び図2の注入システムの縦断面図である。
【0001】
[関連出願]
この出願は、35U.S.C、119号の下で、2001年2月22日に出願された米国特許予備出願第60/271,079号の優先権を主張し、また35U.S.C、119号の下で、2000年4月3日に出願された米国特許予備出願第60/195,702号及び2000年3月13日に出願された米国特許予備出願第60/188,624号及び2000年1月18日に出願された米国特許予備出願第60/176,538号の優先権を主張する米国特許出願第09/675,159号の一部継続出願である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、一つの送給装置から連続的又は間欠的に基礎量を供給するとともに、他の送給装置から大量注入を同時に行うことができる注入システムを提供する。従って、本発明は、薬剤(又は変化する基礎量及び大量投与する他の流体)の送給に適する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
種々の実施例において、本発明は、注入システムにおいて、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けることができるハブの内部にY字状のフローチャンネル構造を設けた接続ハブとを具えたことを特徴とする。種々の実施例において、接続ハブはカニューレハウジングに釈放自在に取り付ける。内部Y字状フローチャンネル構造は、
注入カニューレの基端側端部に接続し得る第1フローチャンネルと、
注入送給チューブの末端側端部に接続し得る第2フローチャンネルと、
セプタムによってカバーされる第3フローチャンネルとを有し、これら第1、第2及び第3のフローチャンネルのすべてが前記接続ハブ内で交差する構造とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
接続ハブはカニューレハウジングの基端側端部に取り付ける。これら実施例において、接続ハブを、1対のファスナによってハウジングの基端側端部にとけるようにし、各ファスナは、前記ハウジング及び接続ハブのうちの一方に設けたフィンガと、前記ハウジング及び接続ハブのうちの他方に設けたレバーとにより構成する。種々の実施例において、レバーは片持ちレバーにより構成する。
【0005】
本発明は、更に、単独の皮下通路を経て患者に2種類の異なる送給流れ、例えば、薬剤の流れ又はモニタ若しくは追跡要素の流れを注入する注入方法において、注入カニューレの基端側端部を前記ハウジングに支持してこの注入カニューレの末端側端部を経皮的に患者内に挿入し、内部にY字状フローチャンネル構造を有する、即ち、内部で交差する第1、第2及び第3のフローチャンネルを有する接続ハブを前記ハウジングに取り付け、送給チューブを経て前記第2フローチャンネル内に第1送給流を導入し、第2送給流をセプタムから前記第3フローチャンネル内に導入し、第2及び第3のフローチャンネルが第1フローチャンネルに交差し、第1及び第2送給流の流れが第1フローチャンネルを一緒に通過し、前記ハウジング及び注入カニューレから患者組織に流入するようにしたことを特徴とする。本発明の実施例によれば、第2送給流の流れをシリンジによってセプタムを経て注入する。この後、接続ハブを前記ハウジングから分離し、また注入カニューレの末端側端部を患者組織内に留置させたまま、プラグシステムを前記ハウジングに取り付ける。
【0006】
本発明の実施例によれば、本発明は注入留置カテーテル内に残存する容積ができるだけ少なく、従って、第2注入容積のほぼ全体がターゲット領域に送給されるようにした注入装置を提供する。
【0007】
当業者であれば、本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付図面につき説明する実施例の詳細な記載を読むことによって明らかになるであろう。
【0008】
次に、単に例示したに過ぎない添付図面につき本発明装置、方法及びシステムの実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
[図面の詳細な説明]
本発明による物品及び方法を開示及び説明する前に、本明細書で使用する用語は、単に特別な実施例を説明するためにのみ使用するものであり、これに限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される英文での不定冠詞及び定冠詞は、文脈上明示しない限り複数の指示対象を含むものとする。
【0010】
本発明は、使い捨て注入システムを提供するものであり、(所要の物質のタイプ又は量に依存して)ポンプ又はシリンジからそれぞれ独立的に注入することを可能にするものである。実施例によっては、このような送給は、注入カテーテルを分離することなく、皮下的に行うことができる。更に、本発明システムは、このことを、主リザーバから連続的又は間欠的に注入するよう選択した薬剤又は他の送給物質の無菌性を損なうことなく、行うことができる。図面において、幾つかの図面にわたる同じ参照符号は、同一又は対応の素子を示すものである。
【0011】
図1及び図2は、本発明による薬剤注入システムの平面図(図2は部分的に切除して示してある)を示す。注入システム200は、ハウジング202と、接続ハブ206を有する。ハウジング202は、患者の皮下に位置決めする柔らかい(留置)カニューレ204を保持する。
【0012】
接続ハブ206は、ハウジング202の基端部に位置決めする。所定の実施例によれば可撓性のチューブ208を接続ハブ206の基端部に固定する。このチューブ208の基端部に基端側コネクタ210を固定する。基端側コネクタ210はルエル(luer)コネクタのような主注入装置のコネクタに適合するコネクタから選択する。
【0013】
本発明によれば、接続ハブ206は、内部にY字状のフローチャンネルを有する構造とする(図10参照)。以下に詳細に説明するように、内部のY字状フローチャンネル構造は、例えば、異なる2つの供給源(例えば、カテーテル及びシリンジ)からの薬剤を同時送給することができる。所定の実施例によれば、第1物質は、主注入装置からチューブ208を経て送給し、第2薬剤はシリンジ穿刺セプタム(隔膜)500から送給する。接続ハブ206の内部Y字状フローチャンネル構造によれば、(ハウジング202)の軟質カニューレ204を経て患者に、同時皮下送給することができる。
【0014】
図1に示すように、接続ハブ206は、末端方向に突出する1対のピン216,218を有し、これらピンはハウジング202の補完的な位置及び形状の穴又はボア244,246(図3参照)に挿入し、また整合する。
【0015】
ハウジング202の他の詳細を図3〜図9に示す。
【0016】
ハウジング202は、末端側に向かって突出するほぼ截頭円錐形の部分230を有し、この部分にボア232が貫通する。実施例によっては、ボア232は末端部を拡開し、以下に詳細に説明する理由でカニューレ窪み234を形成する。ボア232の基端側は、截頭円錐形の基端部236として拡開させる。このようにして、基端部236は、基端開口238からボア232に、例えば、チューブ220のようなチューブを挿入するときの案内を行うテーパを有する。ハウジング202には、更に、接続ハブのピンを収容するブラインドボア(盲穴)を設ける。例えば、ブラインドボア244,246はピン216,218(図1参照)を収容する寸法及び位置に配置するものとする。他のピン‐ボア設計とすることも可能であり、任意の数のピン及びボアを設けることも本発明の精神及び範囲にあると理解されたい。逆に、2個以上のピン‐ボアの組み合わせとすることによりハブとハウジングとの間によりよい整合性を生ずることができるようになる。
【0017】
ハウジング202の基端部には、更に、ハウジング各側面にそれぞれ1個ずつ、1対の案内延長部242を設け、これら案内延長部242がともに、接続ハブ206の部分を収容する寸法及び形状の開放基端空間240を画定する。各案内延長部242は、互いに側方に内向きに向かい合って僅かにテーパが付いた案内面248,250を有する。案内面248,250は、接続ハブ206とハウジング202を以下に詳細に説明するように互いに合体させるとき接続ハブ206の外面の初期案内を行う。
【0018】
ハウジング202には、更に、少なくとも1個、しかし、より好適には、2個のファスナ252,254を各側面に位置決めして設ける。ファスナ252,254は、ハブ及びハウジングが適正に整合したとき(図2参照)、ハブ206をハウジング202に固定する。ファスナ252,254はハウジング202から基端側に向かって突出する釈放自在のフィンガ256,258を有する。フィンガ256,258は圧着面260を有し、この圧着面は、ハブ206の基端側に対向する(図2参照)部分に圧着するよう末端側に指向する。圧着面260に隣接して各フィンガ256,258に角度の付いたカム面262を設ける。カム面262は、接続カム206をフィンガ256,258に圧着させると、これらフィンガ256,258を側方外方に押圧し、フィンガ256,258を広げて接続ハブ206を空間240に進入させてハウジング202に対して末端側に移動させることができるようにする。
【0019】
ファスナ252,254には、更に、フィンガ256,258とは反対側の末端側にレバー264を設ける。これらレバーは片持ちレバーとする。レバー264は、ハウジング202から側方に間隔を空けて位置決めし、レバーとハウジングとの間に空間266を生じ、この空間266内にレバーが撓み込むことができるようにする。レバーの側方内方への撓みによりフィンガ256,258を側方外方に撓ませ、接続ハブ206を空間240に対して容易に出入りできるようにする。当業者には容易に理解できるであろうが、(接続ハブが空間240内に位置決めされているとき)十分大きな力で接続ハブ206を基端側に引き抜くことによりフィンガ256,258を互いに引き離し、これにより、接続ハブ206はハウジング202から、またファスナ252,254から釈放することができる。
【0020】
図4,図6及び図7に示すように、軟質カニューレ204は、ハウジング202の底面268に対して鋭角の角度βの角度をなすようにすることができる。
【0021】
図8及び図9に接続ハブ206の一部の拡大図を示す。特に、図8はファスナ254を示し、フィンガ258とハウジング202との間にチャンネル270を有する。図9はボア232を示し、このボア232には軟質カニューレを配置していない状態を示す。部分238,236で形成したカウンタボアにはシール525を保持し、このシール525はニードル220に位置決めする代わりに所定いに接着又は固定することができる。代案として、図19に示すようにセプタム(隔膜)526漏斗状の金属ガイド527によって所定位置に保持することができ、この金属ガイドは、セプタム526の中心を通過する中空チューブ220に指向性を与える。
【0022】
図10〜図12には接続ハブ206の更に詳細を示し、図10は平面図、図11は上下反転した側面図、図11aは接続ハブに使用する位置決めブロックニードルハブを示し、図12は接続ハブの前面からの立面図である。上述したように、ピン216,218及び中空チューブ220を接続ハブ206から末端方向に突出させる。接続ハブ206は、接続ハブ206を空間240内に位置決めしたときフィンガ256,258の圧着面260(図3参照)が圧着する向き及び位置をとる表面280を有する。種々の実施例によれば、カム面282を接続ハブ206の末端部に設け、上述したように、フィンガ256,258のカム面262が圧着するようにする。
【0023】
末端方向に突出する中空チューブ220は接続ハブ206から突出させ、チューブ208と流体連通する基端側部分224を有する。チューブ220の基端側部分224は、エポキシ又は溶剤接合を含む適切な方法で接続ハブ206に取り付けることができる。中空チューブ220の末端側端部を鋭利な形状にし、例えば、ニードルとし、又は代案として、末端側端部を非鋭利なものとすることができる。
【0024】
図10に示すように、接続ハブ206は内部にY字状フローチャンネル構造を有し、以下のように、2つの異なる供給源から物質を同時送給することができる。先ず、接続ハブ206の基端部分284は、チューブ208の末端側端部を取り付けることができるようにする。特に、チューブ208の末端側端部を接続ハブ206のボア286に収容する。ボア286は、接続ハブ206の末端側端部から延びるフローチャンネル290に流体連通する。フローチャンネル505(接続ハブ206の基端側部分284から延びている)は接続ハブ206の内部「Y字状」フローチャンネル構造の第2ブランチをなす。特に、チャンネル505はボア286及びフローチャンネル290の双方に連通する。このようにして、フローチャンネル286,505,290はともに本発明による内部Y字状フローチャンネルシステムを形成する。
【0025】
上述の実施例は単に例示であり、本発明は、2個以上のフローチャンネル(例えば、フローチャンネル286,505と類似のもの)を有して単一のフローチャンネル(例えば、フローチャンネル290と類似のもの)に流体連通して合流する他の随意の実施例を含むものとすることができると理解されたい。このように、本発明は、3個以上の送給源から物質を単独の通路を経て組織ターゲットに送給することができる随意の実施例を含むものである。従って、本明細書で使用する「Y字状」フローチャンネル構造は、少なくとも2個のフローチャンネルが単独のフローチャンネルに合流して組織ターゲット領域に送給する設計のすべての実施例を含むものである。即ち、本発明による「Y字状」フローチャンネル構造は、2個以上のフローチャンネルが単独のフローチャンネルに合流する「Y」を含むものである。
【0026】
本発明の随意の実施例は、接続ハブ206に収容されるフローチャンネルの双方がボア286/チューブ208の実施例に類似であるか、又は代案として、セプタム500/フローチャンネル505の実施例に類似であるものを含む。このように、本発明は、接続ハブ206における個別のフローチャンネルに収容される2個のチューブ(チューブ208に類似のもの)によって物質送給が行われる実施例を含むものである。更に、本発明は、接続ハブにおける個別のフローチャンネルに注入される(セプタム500に類似の個別のセプタムを経て通過する)2個のシリンジによって物質が送給される実施例をも含む。
【0027】
本発明の実施例においては、チューブ208の基端側端部224をボア286に収容する。チューブ208は、接続ハブ206のボア286に他の適当な永久的又は非永久的な手法によって接着又は固定する。随意にボア286に肩部292を設け、この肩部の部分でフローチャンネル290に接続するよう直径を大きく狭める。このように、この実施例では、ボア286の内径はフローチャンネル290の内径よりも大きくする。更に、フローチャンネル505の内径は小さいままとする。この実施例によれば、接続ハブ206内の最小流体容積「デッドスペース」をとることができる。例えば、好適には、フローチャンネル505の容積を極めて小さい、100マイクロリットル以下のものにする。随意にボア286の内径をチューブ208の外径よりも小さくし、チューブ208が半径方向に僅かに圧縮され、従って、収容したとき所定位置に保持されるようにする。ボア286の内径に、僅かにテーパを付けることもでき、チューブ209の半径方向圧縮を肩部292で最大となるようにする。
【0028】
本発明によれば、セプタム500はチャンネル505をカバーするように位置決めする。ユーザーは、セプタム500にシリンジを手で簡単に挿入し、物質の第2の流れを皮下的に送給することができる(このとき同時に、第1の薬剤の流れはチューブ208から連続的に送給する)。
【0029】
随意に、シール525をチューブ220の周囲に収容する。この実施例によれば、シール525は、チューブ(例えば、ニードル)220の周囲をシールする内側制限面530と、接続ハブ206をハウジング202に収容したときボア232のテーパ面236に密着するシールを形成するよう位置決めすることができる外面527とを有する。代案として、シール525はカニューレハウジング部分230内に位置決めし、セプタム(図19のセプタム526)を形成するようにすることもできる。例えば、シール525はテーパ部236又は基端側の開口238に隣接してハウジング202内に位置決めすることができる。
【0030】
図11aに示すように、随意の実施例において、位置決めブロック294をボア286の末端部分296に収容することができる。位置決めブロック294はニードルハブを有する。位置決めブロック294は、ハウジング202のボア232内に配置するよう中空チューブ220に整列する。実施例によっては、位置決めブロック294に傾斜側面300を設け、軟質カニューレ204と同一の角度βでチューブ220と整列しやすくする。図11に示すように、接続ハブ206には、随意に傾斜した決め298を設けることができる。
【0031】
図13及び図14は、患者の皮下に初期的に軟質カニューレ204を挿入する(即ち、接続ハブ206をカニューレハウジング204に取り付ける前)のに使用することができる挿入装置302の頂面からの平面図及び側面図である。挿入装置302は、挿入ハンドル306から末端方向に突出するニードル又はスタイレット304を有する。挿入ハンドル306はハブ206の形状及び寸法と類似のものとし、またピン216,218とほぼ同様に機能する1対のピン308,310を有するものとする。ニードル又はスタイレット304は、挿入ハンドル306をハウジング202に取り付けるとき(図2に示すように接続ハブ206をハウジング202に後付けするのと同様に)、鋭利な末端側端部が軟質カニューレ204の末端側端部を越えて突出する長さを有するものとする。この実施例では、ニードル又はスタイレット304の基端側端部はハンドル306内に収容する。他の実施例では、ニードル304には、ニードルの長さに沿ってスコア(溝)ライン314を設け、ニードルを破り取り、注入ニードルとして使用できるようにする。この設計において、ハンドル306は図10におけるボア286と類似のルーメンを設けることが必要になる。
【0032】
図15乃至図17には、ハウジング202の軟質カニューレ204を皮下に位置決めするとき、また接続ハブ206をハウジング202に取り付けないときチャンネル290をシールする又は栓止するプラグシステム330を示す。例えば、接続ハブ206を定期的に取り外すときに使用するとき、プラグシステム330は都合がよい。このプラグシステム330の利点は、軟質(留置)カニューレ204が皮下の所定の組織又はターゲットに留まるときに汚染を防止できる点である。このようにして、プラグシステム330は、ハウジング202のボア232をシールするのに使用でき、また、従って、以下に示すように、(接続ハブ206をハウジング202から取り外し、プラグシステム330によって交換するとき)ほこりや、病原体若しくは好ましくない汚染/干渉物が組織/ターゲットに進入するのを制限する。代案として、プラグ338はハウジング部分230内に配置してセプタムをなすようにする。例えば、プラグ338はテーパ部分236又は基端側開口238に隣接してハウジング202内に位置決めすることができる(例えば、図19のセプタム526参照)。
【0033】
図15は、プラグシステム330の頂面からの平面図であり、図16はプラグシステム330の前面からの立面図であり、図17は図16の17‐17線上の断面図である。このプラグシステム330の外側寸法及び形状は、上述の挿入ハンドル306及び接続ハブ206と同一又は類似のものとする。プラグシステム330は、上述したように、1対のピン332,334を有し、ブラインドボア244,246に整合する。プラグシステム330には、更に、円錐形、又は截頭円錐形又は他の形状の同様な先端部338を有する中心プラグ素子336を設け、この先端部338は末端方向に突出する。本発明の実施例によれば、プラグ素子336は、幾分圧縮可能な柔らかい材料で形成し、プラグ330をハウジング202に取り付けるとき(接続ハブ206及びハンドル306と同様に)、プラグ素子336がボア232の基端部分に進入してシールする。例示であってこれに限定するものではないが、素子338を医療適合品質のシリコンラバーにより形成することができる。本発明の随意の特徴によれば、プラグ素子336を、抗菌性、又は同様な化合物を配合した材料で形成し、プラグ素子自体に又はこのプラグ素子が着座する表面に微生物が成長するのを阻止する。
【0034】
プラグ素子336及びその先端部338の寸法及びテーパは、実施例のハウジング202のシールボア232を塞ぎ、またシールするよう選択する。上述の実施例において、プラグ素子336及び先端部338の寸法及びテーパは、ボア232とテーパ部236との接合部で、又はテーパ部236と基端開口238との接合部で、又は開口238自体で、又はこれら構造の任意の組み合わせ部分で、補完し合うプラグ素子336を形成することによって、ボア232をシール及び塞ぐよう選択する。
【0035】
図18は軟質カニューレ204(図3乃至図7に示すようにハウジング202から突出する)の断面図を示す。軟質カニューレ204は、長手方向に延在し、基端部352及び末端部354との間に延在するルーメン350を有する。位置決め保持ビード、リング、又は突耳356をカニューレ204の外面に形成し、ハウジング202の末端部における窪み234に嵌合する寸法とする。本発明の一つの特徴として、ビード356は窪み234に対して相対的に寸法を決め、ビード356がハウジング202ないで軟質カニューレ204を確実に保持できるようにする。本発明の他の特徴として、ビード356は、ハウジング202から所定距離の位置にカニューレ204の末端部354を位置決めする補助を行う。本発明の更に他の特徴として、カニューレ204は種々の方法でボア232ないに永久的に、又は非永久的に取り付ける。例えば、カニューレ204は、溶剤、接着剤、超音波溶接、熱接合等で、ボア232に永久的に取り付けることができる。
【0036】
本発明によれば、種々の方法がある。図1乃至図18につき説明した本発明の実施例の操作を以下に説明する。
【0037】
初期的には、ハウジング202を挿入ハンドル306に取り付け、ニードル又はスタイレット304の末端側端部を軟質カニューレ204の末端側端部から末端方向に突出させる。次に、ニードル304をターゲット領域/組織に経皮的に穿刺し、軟質カニューレ204(ニードル上に収容される)がターゲット領域/組織内に経皮的に進入させる。次に、レバー264のうちの一方又は双方を側方から内方に押し込み、挿入ハンドル306をハウジング202から釈放して挿入ハンドル306を基端方向に後退させる。
【0038】
次に、ハウジング202におけるフィンガ256,258を側方に移動することによって、チューブ208及び基端側コネクタ210を取り付けた接続ハブ206を空間240内に挿入する。このようにして、ピン216,218がボア244,246内に収容されるとともに、ハブが末端方向に移動するとき案内面248,250が接続ハブ206の外面を案内する。フィンガ256,258は表面280上にスナップ嵌合し、接続ハブ206をハウジング202に確実に保持し、中空チューブ(例えば、ニードル)220はハウジング202のボア232内に突入する。基端側コネクタ210をチューブ208に接着剤によって接続し、この接着剤は軟質チューブを接合できるエポキシ又は溶剤から選択する。
【0039】
このとき、薬剤を物質とした実施例では上述したように薬剤注入を行う。特に、第1薬剤流を投与する(チューブ208、接続ハブ206、カニューレハウジング204、及び軟質カニューレ204を順次に経て患者に通過する)。第2薬剤流も、セプタム500にシリンジを穿刺することによって投与し、チャンネル505に流入する(また接続ハブ206、カニューレハウジング204及び軟質カニューレ204を順次通過する)。このとき、第2薬剤流は第1薬剤流と同時に投与される。代案として、第1薬剤流を送給するチューブ208を取り外すことなく、第2薬剤流を単独で投与することもできる。
【0040】
この後、所要に応じて、上述したようにレバー264を押し込んでハブ206をハウジング202から釈放するとともにハブ206を基端方向に引っ張ることによって、接続ハブ206を取り外すことができる。プラグシステム330を上述したように、ハブ206の所定位置に据え付けることができる。例えば、プラグ素子338はハウジング202の基端側構造のうちの一方のシールをなす。このようにして、ハウジング202及びカニューレ204は、後の皮下注入のための組織/ターゲット領域の所定位置に都合よく放置することができるとともに、患者のこの部分の無菌性を向上及び維持することができる。
【0041】
随意の特徴によれば、薬剤を接続ハブ206に送給する装置は、「ペン」型インジェクタ、プログラム可能な薬剤ポンプ、及び1999年9月29日に出願された米国特許予備出願第60/156,535号、1999年12月13日に出願された米国特許予備出願第60/170,570号、2000年1月24日に出願された米国特許予備出願第60/177,762号、2000年9月29日に出願された米国特許非予備出願第09/762,103号(これらを参考のため列挙記載する)に記載されたような薬剤アンプル又はリザーバを収容する種々の装置のうちの任意のものとすることができる。
【0042】
好適な実施例につき本発明を説明したが、当業者には、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えることができ、等価のものを採用することもできることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明注入システムの平面図である。
【図2】本発明注入システムの一部切除して示す説明図である。
【図3】図2に示すシステムのカニューレハウジングの平面図である。
【図4】図3のハウジングの前面からの立面図である。
【図5】図3のハウジングを反転させた状態の後面からの立面図である。
【図6】図3のハウジングの左側面からの立面図である。
【図7】図3の7‐7線上の断面図である。
【図8】図3のカニューレハウジングの一部の拡大図である。
【図9】図3のカニューレハウジングの一部の拡大部分断面図である。
【図10】図1のシステムの接続ハブの平面図である。
【図11】図10の接続ハブの反転させた状態の側面図である。
【図11a】図10の装置の位置決めブロックニードルハブの側面図である。
【図12】図10の装置の正面からの立面図である。
【図13】本発明を使用する挿入装置の平面図である。
【図14】図13の挿入装置の側面図である。
【図15】本発明を使用する栓止装置の平面図である。
【図16】図15の栓止装置の正面からの立面図である。
【図17】図16の17‐17線上の断面図である。
【図18】図1の軟質注入カニューレの縦断面図である。
【図19】図1及び図2の注入システムの縦断面図である。
Claims (23)
- 注入システムにおいて、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けることができるハブの内部にY字状のフローチャンネル構造を設けた接続ハブとを具えたことを特徴とする注入システム。 - 内部Y字状フローチャンネル構造は、
注入カニューレの基端側端部に接続し得る第1フローチャンネルと、
注入送給チューブの末端側端部に接続し得る第2フローチャンネルと、
セプタムによってカバーされる第3フローチャンネルと
を有し、これら第1、第2及び第3のフローチャンネルのすべてが前記接続ハブ内で交差する構造とした請求項1記載の注入システム。 - 前記第1フローチャンネルを接続ハブの末端側端部から延在させた請求項2記載の注入システム。
- 前記第2フローチャンネルを接続ハブの基端側端部から延在させた請求項2記載の注入システム。
- 前記第3フローチャンネルを接続ハブの基端側端部から延在させた請求項2記載の注入システム。
- ハウジングの末端側端部に収容する注入カニューレを設けた請求項2記載の注入システム。
- 前記第2フローチャンネルを、注入送給チューブの末端側端部に収容しうるようにした請求項2記載の注入システム。
- 前記接続ハブを、前記ハウジングの基端側端部に取り付けるようにした請求項1記載の注入システム。
- 前記接続ハブを、1対のファスナによってハウジングの基端側端部にとけるようにした請求項8記載の注入システム。
- 各ファスナは、前記ハウジング及び接続ハブのうちの一方に設けたフィンガと、前記ハウジング及び接続ハブのうちの他方に設けた片持ちレバーとにより構成した請求項9記載の注入システム。
- 前記接続ハブは、更に、
前記第1フローチャンネルに収容され、接続ハブの末端側端部から突出する中空チューブであって、前記ハウジングを通過するチャンネル内に収容できる寸法の中空チューブを有するものとした請求項2記載の注入システム。 - 前記ハウジングを通過する前記チャンネルにテーパを付けた請求項11記載の注入システム。
- 前記第3フローチャンネルの容積を100マイクロリットル以下とした請求項2記載の注入システム。
- 更に、
前記接続ハブの末端側端部に設けた少なくとも1個のピン又はボアと、前記ハウジングの基端側端部に設けた少なくとも1個の他のボア又はピンとを設け、前記ハウジングを前記接続ハブの双方を接続するとき少なくとも1個のピンを少なくとも1個のボア内に収容できる構造にした請求項1記載の注入システム。 - 更に、前記第2フローチャンネルに流体連通する注入送給チューブを設けた請求項4記載の注入システム。
- 前記注入送給チューブを第2フローチャンネルに収容する構造とした請求項15記載の注入システム。
- 単独の皮下通路を経てターゲット領域/組織に2種類の薬剤流を注入する薬剤注入方法において、
注入カニューレの基端側端部を前記ハウジングに支持してこの注入カニューレの末端側端部をターゲット領域/組織内に挿入し、
内部にY字状フローチャンネル構造を有する、即ち、内部で交差する第1、第2及び第3のフローチャンネルを有する接続ハブを前記ハウジングに取り付け、
送給チューブを経て前記第2フローチャンネル内に第1物質を導入し、
第2物質をセプタムから前記第3フローチャンネル内に導入し、
第2及び第3のフローチャンネルが第1フローチャンネルに交差し、第1及び第2物質の流れが第1フローチャンネルを一緒に通過し、前記ハウジング及び注入カニューレから患者に流入するようにしたことを特徴とする薬剤注入方法。 - 前記第2物質の流れをシリンジによってセプタムを経て注入する請求項17記載の薬剤注入方法。
- 更に、
前記接続ハブを前記ハウジングから分離し、また
前記注入カニューレの末端側端部を患者内に留置させたまま、プラグシステムを前記ハウジングに取り付けるようにした請求項17記載の薬剤注入方法。 - 更に、前記ハウジング内にセプタムを位置決めした請求項1記載の注入システム。
- 更に、前記セプタムの基端側端部に漏斗状のガイドを設けた請求項20記載の注入システム。
- 内部にY字状フローチャンネル構造を有することを特徴とする接続ハブ。
- 内部Y字状フローチャンネル構造は、
注入カニューレの基端側端部に接続し得る第1フローチャンネルと、
注入送給チューブの末端側端部に接続し得る第2フローチャンネルと、
セプタムによってカバーされる第3フローチャンネルと
を有し、これら第1、第2及び第3のフローチャンネルのすべてが前記接続ハブ内で交差する構造とした請求項22記載の注入装置。
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