JP2004536226A - ジルコニウムおよびジルコニウム合金の表面酸化方法と結果として生じる生産品 - Google Patents

Abstract

ジルコニウム又はジルコニウム合金材料上の均一で制御された厚さの青黒色酸化ジルコニウムの被膜は、変化した表面粗さを有する単相結晶性材料基体を用いることによって達成される。均一で制御された厚さの酸化ジルコニウム被膜は、股関節，膝関節，肩，肘および背骨のインプラントのような、しかしこれらに限定されない人工関節に低摩擦で高耐摩耗性の表面を与えるために、ジルコニウム又はジルコニウムをベースとする合金の整形インプラントに特に有役である。人工装具上の制御された厚さの均一の厚さの酸化ジルコニウム表面は、金属人工装具のイオン化によって生じるインプラント腐食に対する防壁を提供する。この発明はまた、骨板，骨ねじなどのような非関節インプラントにも有役である。

Description

【技術分野】
【０００１】
発明の背景
この出願は、２００１年７月２０日出願の米国特許出願第０９／９０９,６１２号に対して優先権を主張する。
【０００２】
この発明は、酸化ジルコニウムの薄く、濃密で、低摩擦で、高耐摩耗性の、均一な厚さの被膜で被覆された負荷支持面を有する金属インプラントに関する。
【０００３】
この発明はまた、酸化ジルコニウムが金属人工装具と人体組織との間に防壁を与え、それによって金属イオンの放出とインプラントの腐食を防止する整形インプラントの非負荷支持面上の均一厚さの酸化ジルコニウム被膜に関する。
【０００４】
この発明はまた、酸化被膜の形成前に、単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを制御することによって、ジルコニウム又はジルコニウム合金上に均一厚さの酸化被膜を生成する方法に関する。
【０００５】
ジルコニウムのすぐれた耐腐食性は、永年にわたって知られてきた。ジルコニウムは多くの水性および非水性媒体の中ですぐれた耐腐食性を示し、この理由により、化学処理工業や医療的用途における使用の増大が見られてきた。これらの分野におけるジルコニウムの広い用途の限界は、比較的低い耐摩耗性と、摩損し易い傾向性である。この比較的低い耐摩耗性および摩損し易い傾向性は、ジルコニウム合金においても示される。
【０００６】
整形インプラント材料は、高い強度，耐腐食性および組織適合性を併用しなければならない。特に、インプラントの受容者が比較的若年である場合には、インプラントが患者の全寿命にわたって機能することが望ましいので、インプラントの寿命は最も重要である。或る金属合金は、必要な機械的強度と生物学的適合性を有するので、人工装具の製造に対して理想的な候補である。これらの合金は、３１６Ｌステンレス鋼，クロム・コバルト・モリブデン合金を含み、さらに最近では、負荷支持人工装具の製造に最適であることが証明されたチタン合金を含む。
【０００７】
負荷支持インプラントの長寿命を左右する変数の１つは、関節面の摩耗速度と、金属イオン放出の長期作用である。一般の股関節人工装具は、ステムと、大腿部ヘッドと、大腿部ヘッドが関節を形成する寛骨臼カップとからなる。関節面の一方又は両方の摩耗によって、摩耗粒子レベルが増大し、大腿部ヘッドと、それに関節でつながるカップとの間に「遊び」が生じる。摩耗くずは組織の拒絶反応が骨の再吸収につながらないように作用するので、結局、その関節は交換しなければならない。
【０００８】
摩耗速度は、多くの要因に依存し、その要因は、大腿部ヘッドと寛骨臼カップを構成する材料の相対硬度と表面仕上げ、カップとヘッドの材料間の摩擦係数、印加される負荷と関節表面に生じる応力を含む。股関節インプラントの製造に現在用いられている最も一般的な材料の組合せは、有機ポリマー又は、例えば超高分子量ポリエチレン（ＵＨＭＷＰＥ）を含むポリマーのような複合材料で裏打ちされた寛骨臼カップに対して関節でつながる、コバルト又はチタニウム合金の大腿部ヘッドと、有機ポリマー又は複合材料で裏打ちされるか、研磨アルミナで作られた寛骨臼カップに結合する研磨アルミナの大腿部ヘッドを含む。
【０００９】
従来の股関節インプラントの摩耗速度に影響を与える要因の内で、最も重要なものは、患者の体重と活動レベルである。さらに、インプラントの通常の使用における、例えば歩行における摩擦熱によって、ポリエチレンカップのクリープと摩耗が加速することが示された。さらにまた、トルク負荷をカップに伝達する摩擦モーメントと、大腿部ヘッドとそのヘッドと関節でつながる寛骨臼カップ表面との摩擦係数との間に相関がある。カップのトルクはカップのゆるみと関連してきた。従って、一般的に、与えられた負荷に対する摩擦係数が高い程、発生するトルクのレベルは高くなる。セラミックの支持面は、著しく低いレベルの摩擦トルクを生成することが示されてきた。
【００１０】
また、注目すべきことは、上述したように通常使用される３つの股関節システムの２つは、寛骨臼カップ内のＵＨＭＷＰＥの裏打ちに対して関節でつながる金属大腿部ヘッドを備える。ＵＨＭＷＰＥは重合体材料であり、加熱されるとその比較的低い溶融点により通常使用される金属合金又はセラミックスよりもクリープを受けやすく、従って、合金やセラミックスよりも摩耗し易い。
【００１１】
金属人工装具は人体において必ずしも不活性ではないということも見出された。体液は金属に作用し、それをイオン化作用によりゆっくりと腐食させ、それによって金属イオンを体内に放出する。人工装具から放出された金属イオンも負荷支持面の摩耗速度に関連する。それは、表面に形成される不動態酸化物フィルムが常に除去されるからである。その再不動態化作用がイオン化作用中に常に金属イオンを放出する。さらに、摩耗物（セメントや骨のくず）の存在がこの作用を加速し、微細な腐食金属粒子が摩耗を増加する。結果的に、寛骨臼カップ内のＵＨＭＷＰＥの裏打ちは、大腿部ヘッドに対して関節でつながれて、加速されたレベルのクリープ，摩耗およびトルクにさらされる。
【００１２】
スズキ他の米国特許第４,１４５,７６４号は、金属人工装具はすぐれた機械的強度を有するが、イオン化によって体内で腐食する傾向があることを認識している。スズキ他はまた、セラミックスと骨組織との親和性を認めたが、セラミック人工装具は耐衝撃性に劣ることも言及した。従って、スズキ他は、接着剤でプラズマスプレイされ孔の中に骨を内部成長させる多孔質セメント被膜で順に覆われた金属人工装具を提供した。この組合せは、すでに述べたが、金属の機械的強度とセラミックスの生物学的適合性の両方を提供するであろう。
【００１３】
スズキの特許は、整形インプラントの摩擦や摩耗の論点に取り組まなかったが、金属人工装具の生物学的適合性についての単一の論点に絞った。さらに、スズキ他は被膜を適用した時に生じる寸法変化や関節を形成する人工装具間の嵌め合いの絞りにおける寸法変化の影響の論点に取り組まなかった。
【００１４】
さらに、金属基体にセラミック被膜を適用することは、セラミックと下地金属基体との間の弾性率や熱膨張の差によりクラックを生じる傾向のある不均一で付着性の悪い被膜に帰着することが多い。さらに、そのような被膜は比較的厚い（５０〜３００ミクロン）傾向にあり、金属とセラミック被膜間の接着が弱いことが多く、摩損やセラミック被覆のはく離の危険性がある。
【００１５】
耐摩耗性を増大する目的で、ジルコニウム部品の上に酸化ジルコニウム被膜を生成することが、以前から試みられてきた。１つのそのような処理がワトソンの米国特許第３,６１５,８８５号に開示され、それはジルカロイ（Zircaloy）２とジルカロイ（Zircaloy）４の上に厚い（０.２３mmまでの）酸化物層を展開する手順を開示している。しかしながら、この手順は、約５mm以下の厚さを有する部品に対する著しい寸法変化に帰着し、そして、生成される酸化膜は特に高い耐摩耗性を示さない。
【００１６】
ワトソンの米国特許第２,９８７,３５２は、耐摩耗性を増大する目的で、ジルコニウム合金の部品の上に青黒色酸化被膜を生成する方法を開示している。米国特許第２,９８７,３５２号と米国特許第３,６１５,８８５号の両方は、空気酸化によりジルコニウム合金の上にジルコニウム酸化被膜を生成する。米国特許第３,６１５,８８５号は米国特許第２,９８７,３５２の青黒色被膜よりも厚いベージュ色の被膜を生成するために十分長く空気酸化を継続する。このベージュ色の被膜は青黒色被膜の耐摩耗性を有しないので、きわめて接近した２つの作動面がある多くの部品に適用できない。酸化ジルコニウム粒子が結果的に形成され酸化ジルコニウム表面の保全性が失われることにより、ベージュ色の被膜は青黒色酸化被膜よりも早く摩耗する。酸化表面の損失により、ジルコニウム金属がその環境に露出し、ジルコニウム接合面を金属表面から隣接する環境へ移動させることになる。
【００１７】
青黒色被膜の硬度はベージュ色被膜の硬度より高いが、青黒色被膜はベージュ色被膜より小さい厚さを有する。この硬い青黒色酸化被膜は人工装具のような表面にうまく役立つ。青黒色被膜は、ベージュ色被膜より耐摩耗性が高いが、比較的薄い被膜である。従って、従来技術と同じタイプの被膜を生成せずに高い摩耗性の青黒色被膜を生成することが望ましい。
【００１８】
ダビッドソンの米国特許第５,０３７,４３８号は、酸化ジルコニウム表面を有するジルコニウム合金の人工装具を製造する方法を開示している。ワトソンの米国特許第２,９８７,３５２号は、酸化ジルコニウム表面を有するジルコニウムのベアリングを製造する方法を開示している。製造された酸化被膜は厚さが必ずしも均一ではないので、その非均一性が、ジルコニウム合金と酸化層との間の接着の保全性および酸化層内の接着の保全性を減じる。米国特許第２,９８７,３５２号と米国特許第５,０３７,４３８号は引用によってここに完全に記載されたかのように組み込まれる。
【００１９】
国際公報、ＰＣＴＷＯ９８／４２３９０と、それに関連する係属米国出願０９／３８１,２１７号において、ハンター他は、均一厚さの酸化ジルコニウム被膜を得る方法を開示した。ハンターは、精製された微細構造と変化表面粗さに帰着する基体材料に呼び酸化処理技術を適用することによって、それが得られることを示した。微細構造の精製は、インゴットの精錬棒材への熱鍛造加工，閉鎖ダイ鍛造，高速凝固および粉末圧縮を含む技術によって、ＰＣＴＷＯ９８／４２３９０に示されている。変化表面粗さは、研削，バフかけ，マス仕上げ，振動仕上げなどによって達成される。米国出願第０９／３８１,２１７号は引用によってここに完全に記載されたかのように組み込まれる。
【００２０】
ジルコニウム合金の上に均一厚さの酸化被膜を生成する方法が要望されている。受容者の生涯にわたって移植されることが可能な低摩擦で高耐摩耗性の負荷支持面を有する金属合金をベースとする整形インプラントが要望されている。体液の作用によって腐食されにくく、生物学的適合性を有し、受容者の生涯にわたって安定な金属合金ベースの整形インプラントが要望されている。
【００２１】
この発明は、均一で制御された厚さの青黒色酸化ジルコニウム被膜を形成すべくジルコニウム又はジルコニウム合金を酸化する前に、単相／単一組成のジルコニウムベース基体上に変更した表面粗さを誘因し、単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金上に均一厚さの酸化被膜を形成する改良された方法を提供するものである。この発明はまた、ジルコニウム又はジルコニウム合金の人工装具の少なくとも一部分の表面粗さを変更し、ジルコニウム又は酸化ジルコニウムは、人工装具を酸化する前に、その少なくとも一部分が単相結晶構造と均一組成を含んで人工装具の表面の少なくとも一部分に均一で制御された厚さの青黒色酸化ジルコニウム被膜を形成することによって、患者に移植するためのジルコニウム又はジルコニウム合金人工装具の上に均一厚さの酸化被膜を形成する方法を提供するものである。
【００２２】
発明の要旨
以下の明細書に用いられる「１つ」は１つ以上を意味する。特許請求の範囲において「備える」に関連して用いられる場合は、「１つ」は１つ以上を意味する。以下に用いられる「他の」は、少なくとも第２又はそれ以上を意味する。
【００２３】
ここで使用する用語「単相結晶構造と均一組成」は、同質で、固溶体で、唯一の結晶相をもつ微細構造を有する合金又は純金属材料として定義される。合金の場合には、それは、全体の金属が単一の結晶相のみからなる単一で同質の固溶体を指す。
【００２４】
ここで使用する「ジルコニウム合金」は、零より大きい量のジルコニウムを含むすべての金属合金として定義される。従って、ここでは、ジルコニウムが少ない成分である合金は、「ジルコニウム合金」と考えられる。
【００２５】
次の説明は、この発明を実施するための好ましい実施態様の実例を含む。しかしながら、それらは限定する例ではない。他の例や方法が、この発明の実施において可能である。
【００２６】
酸化ジルコニウムの均一厚さの青黒色又は黒色層によって、少なくとも一部が自然酸化を介して被覆されたジルコニウム又はジルコニウム含有金属合金の人工装具又はインプラントと、前記均一被膜を形成する方法をこの発明は提供する。酸化ジルコニウムの均一被膜は、関節人工装具の関節面に用いるのに理想的に適した、薄く、濃密で、低摩耗で、耐摩耗性で、生物学的適合性を有する表面を備え、関節面が、酸化ジルコニウムで被覆された表面に対して関節でつながり、移動し、回転する人工装具を提供する。従って、均一な酸化ジルコニウム被膜は、大腿部ヘッドや、股関節インプラントの寛骨臼カップの内面や、膝関節，肩，甲関節，肘関節又は脊髄インプラントのような、しかしそれに限定されない他のタイプの人工装具の関節面に有役に用いられる。
【００２７】
１つの実施態様には、単相結晶構造と単一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変更し、次いで、前記ジルコニウム又はジルコニウム合金を酸化する工程を備える、均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの層によってジルコニウム又はジルコニウム合金を被覆する方法がある。１つの特定の実施態様では、前記表面粗さを変える工程は、約３マイクロインチから２５マイクロインチまでの範囲の表面粗さ（Ｒａ）に変えることからなる。他の実施態様では、前記表面粗さを変える工程は、約３.５マイクロインチから７マイクロインチまでの範囲の表面粗さ（Ｒａ）に変えることからなる。表面粗さを変えることは、多くの方法により達成される。表面粗さを変える実例は、研削，バフかけ，マス仕上げ，震動仕上げおよびそれらのいずれかの組合せを含むが、これらに限定されない。その方法の特定の実施態様では、ＡＳＴＭマイクロ粒度番号１０より小さい粒度を有するジルコニウム又はジルコニウム合金が用いられる。ジルコニウム又はジルコニウム合金の酸化は、多くの方法により達成される。その実例は、酸化体として空気を用いることや酸化体として酸素を用いることを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変える工程は、０.３重量％の酸素を含むジルコニウム又はジルコニウム合金上で行われる。さらに他の実施態様では、その方法は、純粋なアルファ相ジルコニウムの表面粗さを変えることを含む。ジルコニウム又はジルコニウム合金は、多くの方法で製造される。その実例は、インゴットの棒材への熱鍛造加工，閉鎖ダイ鍛造，高速凝固，および粉末圧縮を含むグループから選択される処理を含むが、これらに限定されない。
【００２８】
この発明の他の実施態様では、少なくともその一部分がジルコニウム又はジルコニウム合金から形成された外部表面を有する人工装具本体と、外部表面の前記部分の上に形成された均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウム被膜とを備え、患者に移植される人工装具がある。青黒色又は黒色酸化ジルコニウムは、前記方法のいずれか、又は均等な方法のいずれかによって形成される。
【００２９】
特定の実施態様では、人工装具は、人工装具本体が均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの部分的又は完全な被膜を備えるジルコニウム又はジルコニウム合金材料から少なくともその一部が形成された非関節医療インプラントであることを特徴とする。他の特定の実施態様では、その非関節医療インプラントは、骨板および骨ねじを含むグループから選択される。
【００３０】
他の実施態様では、支持面を有する人工装具は、人工装具本体上の少なくとも１つの関節丘と、支持面と共働するようになっている脛骨要素とを備える。青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜は、関節丘部分の支持面に直接形成され、脛骨要素の摩耗を低減する。この実施態様では、脛骨要素は有機ポリマー又はポリマーベースの複合材料から形成できる。他の実施態様では、人工装具は、人工装具本体上に支持面をさらに備え、その支持面は他の人工装具部分の第２の支持面と係合又は共働する大きさと形状を有することができる。特定の実施態様では、第２の支持面は、有機ポリマー又はポリマーベースの複合体から形成される。
【００３１】
この発明のさらに他の実施態様では、人工装具本体は、ジルコニウム又はジルコニウム合金から形成されたヘッド部を備えた大腿骨に移植するための股関節人工装具である。この実施態様では、人工装具は、人工装具本体のヘッド部上の支持面と、内面を有する寛骨臼カップとを備え、その内面はヘッド部上の支持面と共働するようになっている。青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜は、ヘッド部の支持面に直接形成され、寛骨臼カップ内面の摩耗を低減する。特定の実施態様において、寛骨臼カップの内面は有機ポリマー又はポリマーベースの複合材料から形成できる。
【００３２】
他の実施態様では、前述のいずれかの人工装具は、青黒色又は黒色酸化ジルコニウム被膜は約２０ミクロンまでか、又は約１０ミクロンまでの厚さであることを特徴とする。
【００３３】
他の実施態様では、前述のいずれかの人工装具は、人工装具本体の移植部分が、人工装具本体の一部で内部成長する組織を収容するようになっている不規則面構造をさらに備えることを特徴とする。特定の実施態様では、その不規則面構造は、人工装具本体の外面に取り付けられるジルコニウム又はジルコニウム金属ビーズから形成され、そして、ビーズの表面の少なくとも一部が酸化されて青黒色又は黒色酸化ジルコニウムになっている。また、その不規則表面構造は、人工装具本体の外面に接続されたジルコニウム又はジルコニウム合金の金網から形成され、その網の少なくとも一部が酸化されて青黒色又は黒色酸化ジルコニウムになっている。
【００３４】
他の実施態様では、前述のいずれかの人工装具は、人工装具本体が膝関節，股関節，あご，指，肩甲関節，又は脊髄に適した内部人工装具本体であることを特徴とする。
【００３５】
図面の説明
図１は、正しい位置にある股関節人工装具を示す概略図である。
【００３６】
図２は、一般的な股関節人工装具を示す概略図である。
【００３７】
図３は、正しい位置にある股関節人工装具を示す概略図である。
【００３８】
図４は、一般的な膝関節部品を示す概略図である。
【００３９】
発明の詳細な説明
この発明の１つの観点は、単相結晶構造および均一組成と修正された表面粗さとをそれぞれ有するジルコニウム又はジルコニウム合金上に均一厚さの酸化被膜を形成する方法を提供することである。この発明の他の観点は、人工装具本体の一部に組織の内部成長を受入れるようになっている関節面と不規則面との構造のような、人工装具面上の均一厚さの、低摩擦の酸化被膜を提供することである。
【００４０】
ジルコニウム又はジルコニウム合金を酸化する前に、単相結晶構造および均一組成をそれぞれ有するジルコニウム又はジルコニウム合金上に、変化した表面粗さを誘導することによって、均一厚さの酸化被膜を形成する主な方法が、種々の人工装具の部品および装置に適用できる。これらの人工装具の部品および装置は、心臓弁，総合的人工心臓インプラント，心室援助装置，脈管移植片およびステントを含む心血管インプラント；ペースメーカと神経誘導子と細動除去誘導子のような電気信号電送装置；ガイドワイヤおよびカテーテル；経皮的装置；および股関節および表面交換品，膝関節，背関節，肘，内部人工装置，脊髄セグメントおよび指を含む関節人工装置を含むが、これに限定されない。そのような関節面の実例は、図１〜４の概略図に示される。さらに、骨板や骨ねじなどのような非関節インプラント素子における適用が可能である。
【００４１】
代表的な股関節アセンブリィが図１に自然位で示される。股関節ステム２は大腿骨に嵌入され、人工装具の大腿部ヘッド６は、図１に示すように骨盤に順に固定される寛骨臼カップ１０の内層８に嵌入されて関節でつながる。多孔質金属ビーズ又は金網被膜１２は、その多孔質被膜の中へ周辺の組織が内部成長することによってインプラントを安定化させるように組込まれる。同様に、そのような多孔質金属ビーズ又は金網被膜は、寛骨臼要素に適用できる。大腿部ヘッド６は、股関節ステム２と一体の部分であってもよいし、股関節人工装具の首部４の端の円錐テーパの上に搭載された分離要素であってもよい。これによって、セラミックのような他の材料の大腿部ヘッドではなく、金属ステムと首部を有する人工装具を製作することができる。この構成方法は望ましいことが多い。それはセラミックスが、寛骨臼カップのＵＨＭＷＰＥ内層と関節でつながるとき、ほとんど摩擦トルクと摩擦を生じないことが見出されたからである。さらに、ジルコニアセラミックは、ＵＨＭＷＰＥの摩耗がアルミナよりも少ないことが見出された。しかし、その材料にかかわらず、大腿部ヘッドが寛骨臼カップの内面と関節でつながり、それによって摩耗をひき起こし、長期間経つと、これは人工装具の交換を必要とすることがある。これは、特に、大腿部ヘッドが金属で、寛骨臼カップが有機ポリマー又はその複合材料で裏打ちされる場合である。ポリマー表面は、良好な、比較的低摩擦な表面と生物学的適合性を提供するが、それらは、通常の使用時に受ける摩擦熱やトルクにより、摩耗や加速されたクリープにさらされる。
【００４２】
加熱工程によって従われる照射を通じて架橋されたＵＨＭＷＰＥは、大きい耐摩耗性を表すことが示されてきたが、それは、同じような欠点を有する。代表的な膝関節人工装具が自然位で図３に示されている。膝関節は大腿部要素２０と脛骨要素３０とを備える。大腿部要素は、大腿部要素の関節面を備える関節丘２２と、大腿骨に大腿部要素を固定するための釘２４とを備える。脛骨要素３０は、脛骨に脛骨ベースを搭載するための釘３４を有する脛骨ベース３２を備える。脛骨プラットホーム３６は、脛骨ベース３２の上に搭載され関節丘２２の形状に類似した溝３８を備える。関節丘２６の底面は脛骨プラットホームの溝３８に接触し、関節丘は脛骨プラットホームに対しこれらの溝の中で関節でつながる。関節丘は一般的に金属で作られるが、脛骨プラットホームは有機ポリマー又はポリマーベースの複合材料から作ることができる。従って、硬い金属関節丘表面２６が、比較的柔らかい有機組成物と関節でつながる。これは結果的に有機材料、つまり、脛骨プラットホームの摩耗を生じさせ、人工装具の交換を必要とする。股関節の場合のように、多孔質のビーズ又は金網被膜を膝関節の脛骨要素又は大腿部要素あるいは両方に適用することもできる。
【００４３】
この発明は、ジルコニウム又はジルコニウム含有金属合金からなり均一厚さの酸化ジルコニウムで被覆された整形インプラント又は人工装具、あるいは従来の整形インプラント材料のジルコニウム又はジルコニウム合金の薄い被膜を提供する。金属合金人工装具基体の所望の面に連続的で有役な均一厚さの酸化ジルコニウム被膜を形成するために、金属合金は約８０〜約１００重量％、好ましくは、約９４〜約１００重量％のジルコニウムを含むべきである。酸素および他の共通合金要素は、結果として得られる合金が単相のものであるならば、合金中に用いられてもよい。侵入型要素の酸素，窒素，および炭素は、特に、単相結晶性顕微鏡組織を維持する間、ジルコニウムを強化する能力を有する。低温では、ジルコニウムは、アルファ（α）相結晶である。ベータ（β）相ジルコニウムは、高温（約８６６℃以上）で安定であるが、ニオブのようなβ安定剤を加えることにより低高で安定になることができる（酸素のようなαの安定剤は転移温度を高める）。本願で有役な合金の例は、０.３重量％の酸素を含むα相ジルコニウム，α相安定剤である。他のα相安定剤は、窒素，アルミニウム，およびスズを含む。また、ニオブ，クロム，鉄およびモリブデンのような１つ以上のβ安定剤と共に合金にされたβ相ジルコニウムは、この発明において有役である。
【００４４】
ベースジルコニウム含有金属合金は、人工装具の基体を与えるために所望の形状と大きさに従来の方法によって作られる。整形されたジルコニウム又はジルコニウム合金は、単相合金材料を作るための１つ以上の他の要素とジルコニウムとを合金することによって作られる単相結晶性構造と均一組成を有する必要がある。
【００４５】
次に、基体のジルコニウム又はジルコニウム合金は、研削，バフかけ，マス仕上げおよび振動仕上げを含むがこれに限定されない表面研磨処理にかけられる。その表面研磨処理は、約３〜約２５マイクロインチの変した表面粗さを生成するために用いられる。また、表面粗さの範囲は、約３.５〜約７マイクロインチとすることができる。ジルコニウム又はジルコニウム合金がそれぞれ単相結晶性構造および均一組成と、適度な変化した表面粗さとを有して酸化処理にさらされるとき、適当な変化した表面粗さは、予め存在する表面粗さを、均一な酸化被膜を形成できる大きさの変化した表面粗さに変えることによって生成される。
【００４６】
次に、基体は、その表面に均一厚さの酸化ジルコニウムの強固に接着した拡散結合の被膜を自然に（自然位で）形成させる処理条件にさらされる。その処理条件は、例えば、空気，蒸気，水酸化又は塩浴酸化を含む。これらの処理は、薄くて、硬くて、濃密で、青黒色又は黒色の、低摩擦で、耐摩耗性で、均一厚さで、代表的に数ミクロンの範囲の厚さの酸化ジルコニウムフィルム又は被膜を、人工装具基体の表面に、理想的に提供する。この被膜の下で酸化処理により拡散した酸素は、下にある基体金属の硬度と強度を増大させる。
【００４７】
空気と水の酸化処理は、権利期間が満了したワトソンの米国特許第２,９８７,３５２号に記載され、その開示は、引用によって記載通りに取り込まれる。各々が単相結晶性構造と均一組成と適度の変化表面粗さを有するジルコニウム又はジルコニウム合金に適用される酸化処理は、高延伸単斜晶系結晶型の均一厚さの酸化ジルコニウムの強固に付着した黒色又は青黒色層を提供する。酸化が過度に継続された場合、被膜は白くなり金属基体から分離する。便宜上、金属人工装具基体は、空気のような酸素含有雰囲気を有する炉の中に設置され、代表的には、９００°〜１３００°Ｆで約６時間に至るまで加熱される。しかしながら、温度と時間の他の組合せが可能である。高い温度を用いると、酸化時間が短縮され、白色酸化物の形成を防止する。
【００４８】
金属合金人工装具へ酸化ジルコニウム被覆を適用するために用いることができる塩浴法の１つは、ヘイガースの米国特許第４,６７１,８２４号の方法であり、その特許の開示はその全記載が引用によって取り込まれる。塩浴法は、類似した、やや高い耐摩耗性の青黒色又は黒色酸化ジルコニウム被膜を提供する。この方法では、溶融塩浴中にジルコニウムを酸化することができる酸化化合物が存在することが必要となる。その溶融塩は、塩化物，硝酸塩，シアン化合物などを含む。酸化化合物，炭酸ナトリウムが、少々、約５重量％まで存在する。炭酸ナトリウムを添加することによって塩の融点が低下する。空気酸化におけるように、酸化速度は溶融塩浴の温度に比例し、‘８２４の特許は、むしろ５５０℃〜８００℃（１０２２°Ｆ〜１４７０°Ｆ）の範囲を選ぶ。しかしながら、塩浴中の低酸素レベルは、同じ時間と同じ温度で、炉による空気酸化よりも薄い被膜を生成する。１２９０°Ｆで４時間の塩浴処理によって、約７ミクロンの酸化被膜厚さが生成される。
【００４９】
酸化ジルコニウム被膜の全体的な厚さは、自然位の成長工程における種々の時間と温度によって主に制御される。この発明は、そのように生成される被膜の厚さの均一性に関する。ここに述べる方法による酸化処理中における均一な酸化被膜の生成は、適当な変化した表面粗さを有する表面と、単相結晶性構造と均一組成とに依存する。酸化被膜は、表面の凹凸から始まって成長するので、酸化開始部位が遠く離れすぎると円滑すぎる表面に均一な被膜厚さを形成する。酸化速度は、（２相ジルコニウム合金におけるアルファおよびベータ列理間のように）異なる構造と組成の列理（grain）において、異なることができる。従って酸化被膜は、粗すぎる微細構造により、均一厚さに成長しないことがある。必要な最小表面粗さと最大相均質性に対する特定の限界は、合金と用途に依存する。
【００５０】
均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、約２０ミクロンまで変化する。約１〜約１０ミクロンの厚さで変化する均一厚さの青黒色酸化ジルコニウム層が形成されることが好ましい。均一な厚さの酸化ジルコニウム層は約３ミクロン〜約７ミクロンまで変化することが最も好ましい。例えば、１１００°Ｆで３時間の炉による空気酸化は、約４マイクロインチの表面粗さ（Ｒａ）を有し９６重量％より多いジルコニウムを有するジルコニウム合金の上に、４〜５ミクロンの厚さの均一な酸化被膜を形成する。さらに長い酸化時間とさらに高い酸化温度によってこの厚さは増大するが、被膜の結合性を危うくすることがある。例えば、１３００°Ｆで１時間は、約９ミクロンの酸化被膜厚さを形成する。もちろん、薄い酸化物のみが表面に必要であるので、非常に小さい寸法変化、典型的には人工装具の厚さを越えて１０ミクロンより小さい寸法変化のみが、結果として生じる。一般的に、薄い被膜（１〜１０ミクロン）は良好な付着強度を有する。しかしながら、用途によっては、さらに厚い被膜が用いられることがある。
【００５１】
従来技術の方法のいずれかによって生成された青黒色又は黒色酸化ジルコニウム被膜は、硬度において全く類似している。例えば、精錬したジルコニウム合金人工装具基体が酸化される場合、表面の硬度は当初の金属表面の２００ヌープ硬度を越えた劇的な増加を示す。塩浴又は空気酸化処理の結果として生じる青黒色酸化ジルコニウム表面の表面硬度は、約１２００〜１７００ヌープ硬度である。
【００５２】
この発明の拡散結合され、低摩擦で、高耐摩耗性の均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、摩耗状態にさらされる人工装具の表面と、整形インプラントと、生物学的適合性表面を要求する装置に適用できる。そのような表面は、膝関節，肘および股関節の関節面を含む。前述のように、股関節の場合には、大腿部ヘッドとステムとが金属合金から一般的に作成され、寛骨臼カップはセラミックス，金属，あるいは、有機ポリマーで裏打ちされた金属又はセラミックスから作成される。
【００５３】
酸化ジルコニウム被膜が摩耗にさらされる表面に適用されるとき、摩耗を最小にするために円滑な仕上げ表面を得ることが望ましい。酸化処理後に、酸化被膜表面は、種々の従来の仕上げ技術のいずれかによって研磨されることができる。十分な酸化物の厚さは、選択された仕上げ技術に適応するように形成されなければならない。例えば、酸化前に約４マイクロインチの表面粗さ（Ｒａ）を有していた約５ミクロンの均一酸化被膜を有する表面は、酸化物の厚さで約１ミクロンを減ずることによって、約２マイクロインチの最終表面粗さ（Ｒａ）まで研磨されることができる。
【００５４】
ジルコニウム又はジルコニウム合金は、多孔質のビーズや金属網表面を提供するためにも使用されることができ、周囲の骨や他の組織がそれらと一体化して人工装具を安定化する。これらの多孔質の被膜は、金属イオン放出の排除や低減のための人工装具基体の酸化により同時に処理されることができる。さらに、ジルコニウム又はジルコニウム合金は、変化表面粗さの導入，自然酸化および均一酸化ジルコニウム被膜の形成の前に、従来のインプラント材料を覆うように適用される表面層として用いられることもできる。
【００５５】
低摩耗性を有し、かつ、米国特許第３,６１５,８８５の処理において大きい寸法変化を伴う厚膜酸化被膜の形成における問題が、この発明の処理によって回避される。全体的な被膜厚さと厚さの均一性との両方を制御することによって、きびしい公差が要求される人工装具の製造における多くの寸法制御が可能になる。この発明はまた、‘８８５特許のそれとは違って、高耐摩耗性を有する酸化膜を生成する。
【００５６】
この発明の処理は、単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金上に変化表面粗さを生成することにより、均一厚さの青黒色ジルコニウム酸化被膜を形成することになり、その厚さは酸化条件を適当に選択することにより制御できる。均一厚さの酸化被膜を形成することによって、酸化被膜と下層のジルコニウム又はジルコニウム合金間の密着の高い保全性および酸化物層内の密着の高い保全性による特に高い耐摩耗性と低い摩耗を有する可変で制御可能な厚さの酸化被膜が与えられる。「高い保全性」という用語は、光学顕微鏡で断面を見たときに目に見えるクラックや穴のない厚さの均一な酸化被膜を示す。
【００５７】
この発明は、均一厚さの酸化ジルコニウムにより自然酸化で被覆された単相結晶構造で均一組成のジルコニウム又はジルコニウム含有金属合金の人工装具を提供する。均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、関節面が対応関節面に関節でつながり、移動し、回転する関節人工装具の関節面に理想的使用される薄く，濃密で，低摩擦で，高保全性で，耐摩耗性で，生物学的に適用可能な表面を有するこの発明の人工装具を提供する。従って、均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、大腿部ヘッドや、股関節インプラントの寛骨臼カップの内面や、膝関節のような他のタイプの人工装具の関節面上に有役に用いられる。
【００５８】
均一厚さの酸化ジルコニウムで被覆された関節面が、非金属で被覆されるか又は酸化ジルコニウムでないもので被覆された表面に対して関節でつながるか回転するように用いられるとき、均一厚さの被膜の低摩擦特性および均一厚さ被膜の高い保全性によって、摩擦，摩耗および熱発生が、従来技術の人工装具に対して減少する。この減少した熱発生によって、非金属又は非酸化ジルコニウム被覆支持面がクリープおよびねじりモーメントを経験する傾向が低減され、対向面の有効寿命が増大する。ＵＨＭＷＰＥのような有機ポリマーは、内層の寿命期間に有害な影響を与える熱にさらされるとき、クリープの速度が迅速に増大する。ポリマーの摩耗くずは有害な組織反応や装具の弛みにつながる。従って、均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、それが高い保全性により適用される人工装具基体の保護の改良に役立つのみならず、それはまたその低摩擦面の結果として、それが作動的に接触するこれらの表面を保護し、結果的に人工装具の性能と寿命を増大する。
【００５９】
均一厚さの酸化ジルコニウム被覆関節面はまた、対向面が人体組織であるとき、対向面の有効寿命を増大する。関節の一要素の外科的交換は「半関節形成術」と呼ばれ、交換された関節は、１つの関節（人工装具）要素しか有していないので、その関節要素は「単極」人工装具又は「内部人工装具」と呼ばれることは多い。均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、人体組織に対して関節でつながり、移動し、回転するための低摩擦面であり、それによって、人体組織の対向面に対して、有機ポリマーの対向面に対する場合と同様の有益な結果をもたらす。
【００６０】
酸化ジルコニウム被覆人工装具の有用性は、負荷支持人工装具に限定されず、特に高速摩耗と遭遇する関節に限定されない。他の応用は、骨板や骨ねじなどのような非関節インプラント装置において可能である。均一厚さの酸化ジルコニウム被膜は、ジルコニウム合金人工装具基体に強固に接着されているので、体液とジルコニウム合金金属との間に強化された境界壁を提供し、それによって、イオン化とそれに関連する金属イオン放出の工程による合金の腐食が、非均一酸化被膜に比べて、防止される。
【００６１】
さらに、基体金属の中のジルコニウムの存在から均一厚さの酸化ジルコニウム被膜を自然形成することは、酸化被膜の下の金属基体の中に酸素を拡散させることを含む。ジルコニウムの中の合金成分である酸素は、金属基体の強度を、特に、疲労強度を増大させる。さらに、均一厚さの被膜の高い保全性は、クラックや穴を含む非均一厚さの酸化被膜に対して疲労クラック開始部位の数を減少させる。疲労負荷に対する抵抗は、股関節ステムや大腿部および脛骨膝関節要素のような多くの整形インプラントの用途においてすぐれている。従って、均一厚さの酸化ジルコニウム被膜の形成は、摩耗，摩擦および耐腐食性を改良するのみならず、強度の観点からインプラント装置の機械的保全性をも改良する。
【００６２】
この発明をその好ましい実施態様を引用して説明したが、当業者であれば、この開示を読めば、上述又は以下に請求する発明の範囲と精神から離れることなくなすことができる変更や変形を認識することができる。
【００６３】
明細書中で述べたすべての特許および文献は、この発明が関連する技術における当業者のレベルを示す。すべての特許および文献は、各文献が特に、個々に引用によって組込まれるように示されているかのように、同じ内容を引用することによりここに組込まれる。
米国特許文献
４，１４５，７６４ ３／１９７９ スズキ他
３，６１５，８８５ １０／１９７１ ワトソン
２，９８７，３５２ ６／１９６１ ワトソン
５，０３７，４２８ ８／１９９１ ダビッドソン
外国特許文献
ＰＣＴＷＯ９８／４２３９０ １０／１９９８（発行） ハンター他
他の参照文献
ASTM Manual on Zirconium and Hafnium, ジェイ．エイチ．シュメル；Special Technical Publication 639, American Society for Testing and Materials, フィラデルフィア，PA, 1977年。
Transformations in Metals, ピー．ジー．セウマン，マグロウヒル，ニューヨーク，1969年。
【００６４】
当業者であれば、目的を実行して記載された結果と効果を、本来存在するものと同様に得るようにこの発明がうまく適用されることは容易に認識する。ここに記載されたシステム，方法，手順および技術は、好ましい実施態様を現在表し、例示的なものとして意図され、その範囲を限定するものとして意図されていない。この発明の精神に含まれるか、又は特許請求の範囲によって定義される変形や他の使用は、当業者であれば思いつくことである。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】正しい位置にある股関節人工装具を示す概略図である。
【図２】一般的な股関節人工装具を示す概略図である。
【図３】正しい位置にある膝関節人工装具を示す概略図である。
【図４】一般的な膝関節部品を示す概略図である。

Claims (24)

1. 単相結晶構造と単一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変更し、次いで、前記ジルコニウム又はジルコニウム合金を酸化する工程を備える、均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの層によってジルコニウム又はジルコニウム合金を被覆する方法。
2. 表面粗さを変える工程は、約３マイクロインチから２５マイクロインチまでの範囲の表面粗さ（Ｒａ）に変えることからなることを特徴とする請求項１の方法。
3. 表面粗さを変える工程は、約３.５マイクロインチから７マイクロインチまでの範囲の表面粗さ（Ｒａ）に変えることからなることを特徴とする請求項１の方法。
4. 表面粗さを変える工程は、研削，バフかけ，マス仕上げ，震動仕上げおよびこれらのいずれかの組合せを含むグループから選択された工程を備える研磨表面作成処理からなることを特徴とする請求項１の方法。
5. ジルコニウム又はジルコニウム合金は、ＡＳＴＭマイクロ粒度番号１０より小さい粒度を有することを特徴とする請求項１の方法。
6. 酸化する工程は、酸化体としての空気を使用することを特徴とする請求項１の方法。
7. 酸化する工程は、酸化体としての酸素を使用することを特徴とする請求項１の方法。
8. 単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変える工程は、約０.３重量％の酸素を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変えることからなることを特徴とする請求項１の方法。
9. 単相結晶構造と均一組成を有するジルコニウム又はジルコニウム合金の表面粗さを変える工程は、純粋アルファ相ジルコニウムの表面粗さを変えることからなることを特徴とする請求項１の方法。
10. 棒材へのインゴットの熱鍛造加工，閉鎖ダイ鍛造，高速凝固，および粉末圧縮を含むグループから選択された処理によって、ジルコニウム又はジルコニウム合金を製造する工程をさらに備える請求項１の方法。
11. （ａ）少なくともその一部分がジルコニウム又はジルコニウム合金から形成された外部表面を有する人工装具本体と、
    （ｂ）外部表面の前記部分の上に形成された均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウム被膜と、
    を備え、青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜が請求項１〜１０のいずれか１つの方法によって形成される、患者内に移植するための人工装具。
12. （ａ）人工装具本体上に少なくとも１つの関節丘を備える支持面と、
    （ｂ）支持面と共働するように適合された脛骨要素と、
    をさらに備え、青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜が関節丘部分の支持面上に直接形成され、脛骨要素の摩耗を低減する請求項１１の人工装具。
13. 脛骨要素が有機ポリマー又はポリマーベースの複合材料から形成されたことを特徴とする請求項１２の人工装具。
14. 人工装具本体がジルコニウム又はジルコニウム合金から形成されたヘッド部を備えて大腿骨に移植される股関節人工装具本体であり、前記人工装具が、
    （ａ）人工装具本体のヘッド部上の支持面、
    （ｂ）ヘッド部上の支持面と共働するように適合される内面を有する寛骨臼カップ、
    をさらに備え、青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜がヘッド部の支持面上に直接形成され、寛骨臼カップの内面の摩耗を低減させることを特徴とする請求項１１の人工装具。
15. 寛骨臼の内面が有機ポリマー又はポリマーをベースとする複合材料から形成されることを特徴とする請求項１４の人工装具。
16. 人工装具本体上に支持面をさらに備え、その支持面は他の人工装具部分上の第２の支持面と係合又は共働する大きさと形状を有する請求項１１の人工装具。
17. 第２の支持面が有機ポリマー又はポリマーをベースとする複合材料から形成されることを特徴とする請求項１６の人工装具。
18. 青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの被膜は、約２０ミクロンまで、又は約１０ミクロンまでの厚さのものであることを特徴とする請求項１１〜１６のいずれかの人工装具。
19. 人工装具の移植部分が、人工装具本体の一部に組織の内部成長を収容するように適合される不規則表面構造をさらに備える請求項１１〜１６のいずれかの人工装具。
20. 不規則表面構造が、人工装具本体の外面に取付けられたジルコニウム又はジルコニウム合金のビーズ形成され、ビーズの表面の一部が酸化されて青黒色又は黒色酸化ジルコニウムになっていることを特徴とする請求項１９の人工装具。
21. 不規則面構造が、人工装具本体の外面に接続されるジルコニウム又はジルコニウム合金の金網から形成され、その金網の表面の一部が酸化されて青黒色又は黒色酸化ジルコニウムになっていることを特徴とする請求項１９の人工装具。
22. 人工装具本体は、膝関節，股関節，あご，指，肩，又は背骨に使用するのに適した内部人工装具本体である請求項１１，１８，１９，２０および２１のいずれかの人工装具。
23. 人工装具本体が均一厚さの青黒色又は黒色酸化ジルコニウムの部分的な又は完全な被膜を備えたジルコニウム又はジルコニウム合金材料から少なくともその一部が形成された非関節医療用インプラントである請求項１１の人工装具。
24. 骨板と骨ねじからなるグループから選択された請求項２３の医療用インプラント。