JP2004536178A - 低いガラス転移点を持つフルオロ官能性ランダムコポリマーおよびその製法 - Google Patents
低いガラス転移点を持つフルオロ官能性ランダムコポリマーおよびその製法 Download PDFInfo
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Abstract
以下の式V1:
【化1】
(ここで、X、YおよびZは水素原子であり)で表され、また特に低いガラス転移点を持ち、特に以下の式Iの化合物:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
(ここで、RFはビニリデンフルオライドおよび/またはヘキサフルオロプロペンおよび/またはクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す)から得られる、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
このようにして得られる、架橋性のフルオロスルホン化エラストマーは、膜、電解質ポリマー、イオノマー、特に水素またはメタノールを供給する燃料電池用の膜を製造するために、気密ジョイントおよびリング付き継手、ラジエータホース、管、ポンプ本体、ダイアフラム、ピストンヘッド(航空学、石油工業、自動車工業、鉱業、原子力工業における用途が見出されている)を得るために、およびプラスチック成型加工品(使用するための補助製品)として有利に利用できる。
【化1】
(ここで、X、YおよびZは水素原子であり)で表され、また特に低いガラス転移点を持ち、特に以下の式Iの化合物:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
(ここで、RFはビニリデンフルオライドおよび/またはヘキサフルオロプロペンおよび/またはクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す)から得られる、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
このようにして得られる、架橋性のフルオロスルホン化エラストマーは、膜、電解質ポリマー、イオノマー、特に水素またはメタノールを供給する燃料電池用の膜を製造するために、気密ジョイントおよびリング付き継手、ラジエータホース、管、ポンプ本体、ダイアフラム、ピストンヘッド(航空学、石油工業、自動車工業、鉱業、原子力工業における用途が見出されている)を得るために、およびプラスチック成型加工品(使用するための補助製品)として有利に利用できる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロ官能性コポリマーおよびその製造方法に関する。優れた物性、特に低いガラス転移点を持つこれらコポリマーは、多くの工業的な応用分野、および特に所謂ハイテクの領域において使用するのに適している。
本発明は、またこれらコポリマーを調製することのできる方法、並びに該合成を可能とする方法を実施する際に利用できる、中間体にも関連する。
本発明の範囲において使用するコポリマーなる用語は、2、3、4、5、6またはそれ以上の数の、種々のモノマー単位を含む巨大分子形状の化合物を表す。高い分子量をもつこのような化合物は、1または複数のモノマーを一緒に重合した場合に得られる。3、4、5または6種の種々のモノマー単位から得られるコポリマーの例として、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマーおよびヘキサポリマーは、夫々ターポリマー化、テトラポリマー化、ペンタポリマー化およびヘキサポリマー化により得られる。
【0002】
本発明の範囲において使用するテロマーなる用語は、特に構造:X(M1)kY (ここで、XおよびYは、連鎖移動剤の基を表し、M1はモノマー単位を表し、kは一般に1〜100なる範囲内で変動する自然整数を表す)を持つ化合物を表すのに使用する。更に、本発明において見られるテロマー、テロマー化およびコ(同時)テロマー化(co-telomerisation)なる用語は、B. Ameduri & B. Boutevin, フッ素化アルケン類のテロマー化反応 (Telomerisation Reactions of Fluorinated Alkenes), R.D. Chambers編, トピックスインカレントケミストリー (Topics in Current Chemistry), スプリンガー-フェアラグ、ハイデルベルグ、Vol. 192, pp. 165-233 (1997) において明確に述べられている方法で定義される。
【背景技術】
【0003】
フッ素化エラストマーは、特性の固有の組合せ(耐熱性、耐酸化性、耐紫外線(UV)性、老化防止性、腐食性の化学試薬に対する耐性、耐燃料特性、および耐吸水性;低い表面張力、誘電率および屈折率)を示す。これら諸特性の組合せは、所謂高度な技術(ハイテク)、例えば気密ジョイント(航空、宇宙工業)、半導体(マイクロエレクトロニクス)、ラジエータホース、管、ポンプ本体およびダイアフラム(化学工業、自動車工業および石油工業)における用途を見出すことを可能とする。
フッ素化エラストマー(Polym. J. 1985, 17: 253およびKaut. Gummi Kunst. 1986, 39: 196)および特にフッ化ビニリデン(または1,1-ジフルオロエチレン;VDE)を主成分とするコポリマーは、被覆および塗装または極最近の、例えば水素またはメタノールが供給される燃料電池用の、膜または構成部品等に適用するために、選択されるポリマーである。これらポリマーは、過酷な条件、酸化または還元に対して耐性であり、並びに炭化水素、溶媒、潤滑剤に対しても耐性である(Prog. Polym. Sci. 2001, 26: 105)。
【0004】
ところで、これらエラストマーの化学的な不活性さおよび機械的特性を改善するためには、これらを架橋する必要がある。VDFを主成分とするこれらエラストマーは、様々な方法(ポリアミン、ポリアルコールおよび有機パーオキシドの存在下で化学的にまたは放射線イオン化、または電子衝撃)によって架橋することができ、その詳細は、以下の文献に記載されている:レビューProgr. Poly. Sci. 1989, 14: 251および2001, 26: 105; Rubber Chem. Technol. 1982, 55: 1004, 著作物「モダンフルオロポリマーズ (Modern Fluoropolymers)」第32章, p. 597;または文献 Angew. Makromol. Chem. 1979, 76/77: 39に記載されている。しかし、ポリアミンまたはポリアルコールによって架橋された製品は、求める最適の用途には対応しない可能性がある[自動車工業で使用するためのポンプ本体、気密ジョイントまたはラジエータホース、ダイアフラム(Casaburo, Caoutchoucs et Plastiques, 1996, 753: 69)]。しかし、ヘキサメチルジシラザンによる、スルホニル基(-SO2F)の架橋が、より有望である。しかし、文献に記載されているフルオロスルホン化ポリマーは、余り多くはない。
【0005】
例えば、デュポン(DuPont)社は、テトラフルオロエチレン(TFE)とモノマー:F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2Fとを共重合することによって得られる膜、ナフィオン(NafionTM)を市販している。同様に、旭硝子(Asahi Glass)社は、膜フレミオン(FlemionTM)を製造するために、このスルホン化モノマーを利用している。同様な官能性を持つ他のモノマー、例えばF2C=CFOCF2CF(CF3)OC3F6SO2F(旭ケミカル(Asahi Chemical)社製の膜アシプレックス(AciplexTM)の製造のため)またはF2C=CFOC2F4SO2F(米国特許第4,358,412号)あるいは更にF2C=CFO[CF2CF(CF3)O]x(CF2)yCO2CH3(xが1でありかつyが2である場合には、膜ナフィオンまたはアシプレックスを得るために、またxが0でありかつyが3である場合には、膜フレミオンを得るために)等のカルボキシレート官能性をも持つものも、使用される。これらの膜は、特に例えば水素またはメタノールが供給される、燃料電池における分離膜として使用できる。
更に、刊行物J. Fluorine Chem. 1995, 72: 203並びに米国特許第5,463,005号(1995)は、独創的なスルホンアミドモノマー:F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2N(Na)SO2R(ここで、Rは基CF3またはOC4F8SO2N(Na)SO2CF3を表す)の合成を開示しており、このモノマーは新規な膜を得るために、TFEと共重合された。
【0006】
更に、特許PCT WO 99/45048およびWO 01/49757 A1は、VDFとパーフルオロ(4-メチル-3,6-ジオキサオクト-7-エン)スルホニルフルオライド(PFSO2F)、例えばF2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2Fとの容易な共重合を記載している。更に、米国特許第3,282,875号並びにPCT WO 01/49760 A1も、PFSO2F/VDF/HFPのターポリマー化を記載している。同様に、PCT WO 01/96268 A2並びにカナダ特許第2,328,433号も、夫々VDF/PFSO2Fおよびブロム化またはニトリルモノマーを主成分とする、フルオロスルホン化、ブロム化およびフルオロスルホン化ニトリルエラストマーの製造に関連している。その上、スルホニルフルオライド末端を持つモノマーの使用は、生成した該ポリマーの、(例えば、ヘキサメチレンジシラザンによる)架橋を好ましいものとし、またその熱安定性、機械的な特性および化学試薬、石油、強酸および酸化に対する耐性を改善する。
【0007】
文献においては、フルオロスルホン化モノマーを主成分とするコポリマー合成の大部分において、テトラフルオロエチレン(TFE)を介在させていることに注目することができる。
HFPを含むフルオロスルホン化モノマーの合成に関連して、文献は、主としてスルホニルフルオライド末端を持つ、トリフルオロビニルオキシモノマーを開示している(ナフィオン膜用(米国特許第3,282,875号(1966))、フレミオン(登録商標)またはコポリマーアシプレックス(登録商標)用のPFSO2Fモノマー)。
更に、構造:F2C=CF(CF2)xOC2F4SO2N(Na)SO2CF3(ここで、xは0または1);F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2N(Na)R (ここで、Rは基SO2CF3、SO2(C2F4)nSO2N(Na)SO2CF3(ここで、n=2、4)を持つモノマーの合成法の開発が実現でき、J. Fluorine Chem. 1995, 72: 203および特許US-A-5,463,005に記載されている。にも拘らず、1または複数の構成単位VDFおよび/または単位CTFEおよび/またはHFPを含む、スルホニルフルオライド末端を持つフッ素化モノマーは、全く文献に記載されていなかった。
【0008】
しかし、モノマー:F2C=CFSO2F (米国特許第3,041,317号に記載されている)の合成を除いて、如何なる論文または特許も、この合成も、ましてやスルホニルフルオライド末端を持つトリフルオロビニルモノマーの共重合が、VDFとのエーテル架橋を含んでいないこと、並びに(本発明の目的を構成する)これら2種のモノマーとHFPとの共重合をも引用していない。
結果として、特にエラストマー特性および/または特に低いガラス転移点を持つことに起因する、良好な熱安定性を示す、新規なコポリマーに対する需要がある。
同様に、容易に合成することができ、またコポリマーの新規な合成経路において有利に使用できるモノマー等に対する需要もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、スルホニルフルオライド末端において高度にフッ素化されたモノマー(MFSO2F)の調製および該モノマーの共重合を記載し、またビニリデンフルオライド(VDF)および/またはヘキサフルオロプロペン(HFP)および/またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と、フッ化アルケンとの共重合をも包含する。この方法は、新規なコポリマー、特に極めて低いガラス転移点(Tg)、良好な酸、石油および燃料に対する耐性および良好な応用性を示す、新規な架橋性フルオロスルホン化コポリマーエラストマーの合成に導く。テトラフルオロエチレン(TFE)もシロキサン基も含まない、問題とするこれらエラストマーは、従って従来技術に係るコポリマーに匹敵する諸特性を持つと共に、これらに対して固有の特性をも示す。
本発明は、また新規なフッ素化モノマーおよびこれらフッ素化モノマーの、本発明のコポリマーの合成における使用、並びにこれらフッ素化モノマーを合成するために使用するプリカーサ(例えば、固有のテロマー)にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の目的は、以下の一般式V1によって表されるフルオロ官能性ランダムコポリマー群によって構成される:
【0011】
【化1】
【0012】
ここで、X、YおよびZは水素またはフッ素原子またはCF3基であり;n、mおよびpは夫々独立に、好ましくはnが1〜20なる範囲、mについては1〜10およびpについては5〜400なる範囲内にある自然整数であり;RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
好ましい該コポリマーのサブグループは、以下の式VIで表される、フルオロ官能性ランダムコポリマーで構成される:
【0013】
【化2】
【0014】
ここで、n、mおよびpは夫々独立に、nについては1〜20なる範囲(好ましくは、nは3〜10なる範囲で変動する)、mについては1〜10(好ましくは、mは1〜5なる範囲で変動する)およびpについては5〜400なる範囲(好ましくは、pは10〜300なる範囲で変動する)内にある自然整数であり;RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
他の好ましいサブグループのコポリマーは、ビニリデンフルオライド68〜96モル%および/または4〜32モル%の、スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化された、トリフルオロビニルモノマーを含む、本発明のフルオロ官能性コポリマーにより構成される。
更に一層好ましくは、本発明のフルオロスルホン化コポリマーにおいて、該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位は、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドまたは1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドである。
【0015】
本発明の第二の目的は、本発明による上記コポリマーの製造を可能とする方法により構成される。この方法は、以下の式Iの化合物と、以下の式Vで表される化合物とを反応させる工程を含む:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す;
XYC=CZF (V)
好ましい態様によれば、本発明の方法は、以下の式IIで表される化合物を、該出発化合物Iとして使用して実施する:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)である。
【0016】
本発明の方法を実施するのに有利な他の態様は、以下の式V'で表される化合物:
F2C=CH2 (V')
と、上で定義したような、式Iで表される化合物とを反応させる工程を含む。
本発明のコポリマーの好ましい他のサブグループは、以下の式VIIIで表される、フルオロ官能性ランダムコポリマーのサブグループによって構成される:
【0017】
【化3】
【0018】
ここでa、b、cおよびdは夫々独立に、自然整数を表し、比:a/bは1〜15なる範囲内で変動し(好ましくは、この比は2〜10なる範囲内で変動し)、比:a/cは1〜25なる範囲内で変動し(好ましくは、この比は2〜15なる範囲内で変動し)、またdは10〜400なる範囲内で変動し(好ましくは、dは25〜250なる範囲内で変動し)、またRFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
本発明の目的を実現するのに好ましい他の態様によれば、該フルオロスルホン化コポリマーは、54〜87モル%なる範囲のフッ化ビニリデンおよび/または11〜34モル%なる範囲のヘキサフルオロプロペンおよび/または2〜12モル%なる範囲のスルホニルフルオライド末端において高度にフッ素化されたトリフルオロビニリデンモノマーを含む。
【0019】
更に一層好ましくは、本発明のフルオロスルホン化コポリマーにおいて、該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマーは、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドである。
好ましい例として、本発明のフルオロスルホン化コポリマーは、以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(CH2CF 2SO2F)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2SO2F; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CH2CF2SO2F)-CH2CF2-;および-CH2CF2-CF2CF(CF3)-を有し、これら官能基は、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト:+45; -70〜-75; -83; -91; -92; -93; -95; -105; -108; -110; -112; -113; -116; -120; -121; -122; -127; -161〜-165; および-180〜-185を持つ。
【0020】
該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマーが、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドである、フルオロスルホン化コポリマーが好ましい。
本発明のフルオロスルホン化コポリマーの他の例は、以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -CF2CF(CF 3)SO2F; tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-; -CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-および-CH2 CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CF2CF(CF3)-; -CF2CF[CF 2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; および-CF2CF[CF2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-を有し、これら官能基は、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト(ppm):+45; -70〜-75; -75〜-77; -83; -91; -95; -108; -110; -113; -116; -120; -122; -125; -127; -180; -182; および-205を持つ。
【0021】
特に興味深い本発明のコポリマーのサブグループは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーおよび上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーによって構成され、これらコポリマーは、架橋性フルオロスルホン化エラストマーであることを特徴とする。
特に興味深い他のサブグループのコポリマーは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーおよび上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーであって、低いガラス転移点(Tg)を示す上記コポリマーによって構成される。好ましくは、これらフルオロスルホン化コポリマーは、0℃よりも低い、ASTM規格E-1356-98に従って測定したガラス転移温度(点)を持つ。より一層好ましくは、本発明によるこれらフルオロスルホン化コポリマーは、境界部分を含む-30〜-5℃なる範囲内のガラス転移点を示す。最も好ましくは、これらフルオロスルホン化コポリマーは、-20℃よりも低いガラス転移点を示す。
【0022】
特に興味深い更に別のサブグループのコポリマーは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーまたは上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーであって、10℃/分なる速度にて、空気中で、熱重量分析(TGA)により測定した、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する380℃までの熱安定性を示す。より一層好ましいものは、10℃/分なる速度にて、空気中で、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する315℃までの熱安定性を示すコポリマーである。
本発明のもう一つの目的は、本発明によるコポリマーの製造方法を提供することにあり、該方法は、以下の一般式V'で表される化合物と、以下の式Iで表される化合物と、以下の式VIIで表される化合物とを反応させる工程を含む:
F2C=CH2 (V');F2C=CF-RF-SO2F (I)
(ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す)および
F2C=CFCF3 (VII)
【0023】
好ましくは、本発明のこの方法は、タンク内で(「バッチ式」にて)行われる。
有利な他の態様によれば、この本発明の方法は、エマルション、ミクロエマルション、懸濁液または溶液状態で実施する。
更に、好ましくは、該共重合を、有機ラジカル重合開始剤の存在下でまたは少なくとも一種の過硫酸塩の存在下で行う。該ラジカル重合開始剤は、少なくとも一種の過酸化物および/または少なくとも一種の過酸エステルである。
一例として、本発明の共重合法は、t-ブチルパーオキシピバレートの存在下で、好ましくは70〜80℃なる範囲の温度、より好ましくは約75℃なる温度にて、あるいはt-ブチルパーオキシドの存在下で、好ましくは135〜145℃なる範囲の温度、より好ましくは約140℃なる温度にて行うことができる。
【0024】
また、本発明のフルオロ官能性コポリマーの合成は、好ましくは、式:R-COO-R'で表されるエステル、ここでRおよびR'は、水素原子または1〜5個の炭素原子を含むことができるアルキル基であるが、同様にヒドロキシル基(OH)またはエーテル基:OR”であってもよく、ここでR”は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、好ましくはR=HまたはCH3かつR'=CH3、C2H5、i-C3H7、t-C4H9であり、および
パーフルオロ-n-ヘキサン、n-C4F10、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC75)等の型のフッ素化溶媒、および
アセトン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはブチロニトリル、および
対応するこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも一種の有機溶媒の存在下で、有利に実施することができる。
【0025】
特に興味深い態様では、該有機溶媒は、パーフルオロ-n-ヘキサンまたはアセトニトリルで構成される。
有利には、該共重合が起こる該反応媒体中において、初期モル比:[重合開始剤]0/Σ[モノマー]0は、0.1〜2%なる範囲、好ましくは0.5〜1%なる範囲内にある。この式において、[重合開始剤]0なる表現は、該開始剤の初期モル濃度を表し、またΣ[モノマー]0なる表現は、全モノマーの初期濃度を表す。
本発明の更に別の目的は、以下の式Iで表されるモノマー群によって構成される:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
【0026】
好ましいサブグループは、以下の式IIで表されるモノマーによって構成される:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは、wは0〜5なる範囲内で変動し)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは、xは0または1を表し)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは、yは0または10を表す)にある。
好ましくは、これらモノマーにおいて、該ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位は、統計的に分配された、即ちブロック形状を示さないものである。
本発明のモノマーの、更に別の好ましいサブグループは、以下の式II1およびII2で表される化合物によって構成される:
F2C=CFCH2CF2SO2F (II1);F2C=CFCF2CF(CF3)SO2F (II2)
【0027】
本発明のこれらモノマーは、有利には下記式IIIのテロマーの化学的な転位(加工):
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)であり、
により製造され、該化学的転位(加工処理)は、スルフィン化、塩素化および末端基:-SO2Naのフッ素化段階の内の、少なくとも2または3段階を含む、以下の式IVで表される化合物を調製する工程であり:
ClCF2CFClRF-SO2F (IV)
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)であり、
次いで、このようにして得た上記式IVのフルオロスルホン化テロマーを、脱塩素化して、以下の式IIの化合物を得ることにより製造できる:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である)にある。
【0028】
本発明の更に別の目的は、以下の式III:
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)にある、
で表される化合物の、以下の式II:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、上記式IIIにおけるものと同一の意味を有し、
で示される化合物を得るためのプリカーサ化合物としての使用によって構成される。
本発明の別の目的は、上記式IIIで表されるテロマー群によって構成される。その例としては、好ましくは以下の式III1またはIII2で表される:
ClCF2CFClCH2CF2I (III1);ClCF2CFClCF2CF(CF3)I (III2)
式III、III1およびIII2のテロマーは、有利にはビニリデンフルオライド、および/またはヘキサフルオロプロペンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、ClCF2CFClIとのテロマー化またはこれらの段階的な同時テロマー化によって合成することができる。
【0029】
本発明のもう一つの目的は、上で定義したような、架橋性のフルオロスルホン化エラストマー群から選択される、フルオロスルホン化コポリマーのスルホニルフルオライド基を架橋する方法によって構成され、この方法は、上記ポリマーと、隣接ポリマー鎖に由来する2つのスルホニル基間の反応を可能とする架橋剤とを接触させて、これらの間に架橋結合を形成する工程を含み、またかくして得たポリマーは、該架橋結合の少なくとも一部が、帯電イオンを持つことによって特徴付けられる。
本特許出願のもう一つの目的は、膜、電解質ポリマー、イオノマー、特に水素またはメタノールを供給する燃料電池用の膜を製造するための、気密ジョイントおよびリング付き継手、ラジエータホース、管、ポンプ本体、ダイアフラム、ピストンヘッド(航空学、石油工業、自動車工業、鉱業、原子力工業における用途が見出されている)を得るための、およびプラスチック成型加工品(使用するための補助製品)として、架橋性フルオロスルホン化エラストマーの利用によって構成される。
【0030】
本発明の更なる目的は、イオン交換型および好ましくはカチオン交換型の膜を製造する方法によって構成され、この方法は、本発明による該コポリマーの様々な加工処理、当業者により一般的に利用されている種々の加工処理を含み、特に国際公開WO 99/38897号およびより詳しくはその実施例1〜11に記載されている加工処理を含む。
このような膜は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の技術に従って、加工する工程を含む方法により、容易に得られる。
電解質ポリマー等は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法に従って加工することにより、容易に得られる。
イオノマー等は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法従って加工することにより、容易に得られる。
【0031】
上記の如きリング付き継手は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法従って加工することにより、容易に得られる。
従って、本発明は、特にスルホニルフルオライド末端を持つVDF、HFPまたはCTFEを主成分とする、反応性のトリフルオロビニルモノマーの合成およびVDF、または更にVDFとHFPを主成分とするフッ素化エラストマーの製造、およびこれらの架橋、並びにこれらの応用分野に関する。これらフルオロスルホン化ポリマーの架橋は、例えばヘキサメチルジシラザンの存在下で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の幾つかの局面の詳細な説明
VDE および / または HFP および / または CTFE を主成分とする、スルホニルフルオライド末端を持つトリフルオロビニルモノマーの合成
本発明の主な目的の一つは、フルオロオレフィンとの共重合において反応性で、しかもスルホニルフルオライド末端を持つ、高度にフッ素化された新規なトリフルオロビニルモノマーを提供することにある。この目的は、以下の式Iで表される化合物によって達成される:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
より詳しくは、本発明は、以下の式IIで表される化合物を提案する:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲、xについては0〜5なる範囲およびyについては0〜5なる範囲内にある。
【0033】
構成成分VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含有する、トリフルオロビニルモノマーは、以下の式IVで表される、対応するプリカーサの脱塩素化により調製される:
ClCF2CFClRF-SO2F (IV)
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である。
上記反応中間体は、以下の式IV'で表される、対応するスルホニルクロリド末端を持つ化合物の、KFの存在下でのフッ素化により得られる:
ClCF2CFClRF-SO2Cl (IV')
ここで、RFは式IVにおけるものと同じ意味をもつ。
【0034】
上記クロロフルオロ誘導体は、以下の式IV”で表される、-SO2Na末端を持つ分子の塩素化により調製される:
ClCF2CFClRF-SO2Na (IV'')
ここで、RFは式IVにおけるものと同じ意味をもつ。
これらの(パー)ハロゲン化スルフィン酸塩は、Na2S2O4/NaHCO3の存在下で、以下の式III'で表される、ω-ヨウ素化テロマーから合成される:
ClCF2CFClRF-I (III')
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である。
【0035】
式III'で示されるこれらテロマーは、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEと、ClCF2CFCl-Iとのテロマー化または段階的なコ-テロマー化によって得られ、該最後の化合物は、CTFEにIClを付加することにより調製される。
一例として、1または複数の構成単位VDFおよび/または構成単位HFPおよび/または構成単位CTFEを含む、これらのトリフルオロビニルモノマーの合成は、特に以下の反応メカニズムによって例示でき、また纏めることができる:
【0036】
【0037】
ここで、nは境界を含む、0〜5なる範囲内の自然整数であり、RFは1または複数のフッ化ビニリデン(VDF)構成単位および/またはヘキサフルオロプロペン(HFP) 構成単位および/またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)構成単位を表す。
フルオロスルホン化エラストマーの製造
本発明によるフルオロスルホン化エラストマーの製造は、様々な型の重合、即ちエマルション重合、ミクロエマルション重合、塊状重合、懸濁重合および溶液重合を実施することにより実現できる。溶液重合が、合成の好ましい経路である。
【0038】
使用する様々なフッ素化アルケンは、多くても4個の炭素原子を有し、また構造:R1R2C=CR3R4を有し、ここで、基Ri (iは境界を含む1〜4なる範囲内の整数である) は、これらRiの少なくとも一つが、フッ素化されあるいはパーフルオロ化されているような基である。従って、これはビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオライド(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、3,3,3-トリフルオロプロペンおよび一般的なあらゆるフッ素化されあるいはパーフルオロ化されたビニル化合物を包含する。更に、パーフルオロビニルエーテルも、コモノマーの役目を果たす。これらの中で、特にアルキル基が1〜3個の炭素原子を持つ、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、例えばパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)およびパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)を挙げることができる。
【0039】
これらモノマーは、また米国特許第3,291,843号およびレビューProg. Polym. Sci. (M. Yamabe等, 1986, 12: 229; A.L. Logothetis, 1989, 14: 251およびB. Ameduri等, 2001, 26: 105)に記載されている、パーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(PAAVE)、例えばパーフルオロ-(2-n-プロポキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(2-メトキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(3-メトキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(2-メトキシ)-エチルビニルエーテル、パーフルオロ-(3,6,9-トリオキサ-5,8-ジメチル)-ドデカ-1-エン、パーフルオロ-(5-メチル-3,6-ジオキソ)-1-ノネンであっても良い。その上、カルボキシ末端およびスルホニルフルオライド末端を持つ、パーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルモノマー(例えば、パーフルオロ-(4-メチル-3,6-ジオキサオクト-7-エン)スルホニルフルオライド)も、本発明において記載するフッ素化エラストマーを合成するために利用できる。PAVEとPAAVEとの混合物を、該コポリマー中に存在させることが可能である。
【0040】
この溶液重合を実施するのに使用する溶媒は、好ましくは、以下に列挙するものである:式:R-COO-R'で表されるエステル、ここでRおよびR'は水素原子または1〜5個の炭素原子を含むことができるアルキル基であるが、同様にヒドロキシル基(OH)またはエーテル基:OR”であってもよく、ここでR”は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、より具体的には、R=HまたはCH3かつR'=CH3、C2H5、i-C3H7、t-C4H9であり;パーフルオロ-n-ヘキサン、n-C4F10、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC75)等の型のフッ素化溶媒;アセトン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはブチロニトリル;および対応するこれらの混合物。
これら溶媒は、変動する量のアセトニトリルとパーフルオロ-n-ヘキサンであることが好ましい。使用する溶媒の量は、一般的には反応器容積の約40%〜75%なる範囲内にある。更に、これら溶媒を混合物として使用する場合、これら溶媒は、好ましくは50%-50%なる割合で存在する。
【0041】
反応温度範囲は、該開始剤の分解温度によって決定され、また20〜200℃なる範囲内で変えることができる。有利に使用できる温度は、55〜80℃なる範囲内にある。
本発明の方法においては、通常のラジカル重合用開始剤の存在下で、該重合を開始することができる。このような開始剤の代表的な例は、アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル:AIBN)、ジアルキルパーオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキサンスルホニルパーオキシド、アリールまたはアルキルパーオキシド、例えばジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシド、t-アルキルパーベンゾエートおよびt-アルキルパーオキシピバレートである。しかし、好ましくは、ジアルキルパーオキシド(好ましくは、t-ブチルパーオキシド)、ジアルキルパーオキシジカーボネート、例えばジエチルおよびジ-イソプロピルパーオキシジカーボネートおよびt-アルキルパーオキシピバレート、例えばt-ブチルおよびt-アミルパーオキシピバレートであり、またより一層好ましくはt-アルキルパーオキシピバレートである。
【0042】
該エマルション重合法に対しては、我々は大量の補助溶媒を使用し、該補助溶媒は、水との混合物において、様々な割合で使用される。同様に、様々な界面活性剤を使用した。
使用する重合法の一つは、欧州特許EP 250,767号に記載されている如き、ミクロエマルション重合法、または米国特許第4,789,7171号または欧州特許196,904号、同第280,312号および同第360,292号に示されているような、分散重合法であっても良い。
反応圧力は、実験条件によれば、0.2〜12 MPa (2〜12 bar)なる範囲で変動する。
【0043】
連鎖移動剤は、得られるコポリマーの分子量を調節し、かつ主としてこの分子量を減じるために、一般に使用することができる。これらの中で、特に1〜10個の炭素原子を含み、末端臭素またはヨウ素原子をもつテロゲン、例えばRFX (ここで、RFは式:CnF2n+1 (n=1〜10、境界を含む)で示されるパーフルオロ基であり、Xは臭素またはヨウ素原子を表す)またはXRF'X (RF'=(CF2)n、但しn=1〜6、境界を含む)で示される型の化合物、またはアルコール、エーテル、エステルを挙げることができる。フッ素化モノマーのテロマー化において使用できる、種々の連鎖移動剤のリストは、レビュー「フルオロアルカンのテロマー化反応(Telomerization Reactions of Fluoroalkanes)」、B. Ameduri & B. Boutevinのトピックスインカレントケミストリー (Topics in Current Chemistry), R.D. Chambers編, Vol. 192, pp. 165-233 スプリンガー-フェアラグ, 1997 に示されている。
フッ素化コポリマーの生成に導く、使用されたフッ素化モノマーから合成可能な、種々のコポリマーの相対的な割合の全範囲を検討し、また対応する結果を、以下の表1および2に報告する。
【0044】
これら生成物を、重水素化されたアセトンまたはDMF中で、1Hおよび19FのNMRにより分析した。この分析法は、これら生成物中に組み込まれたコモノマーの割合を正確に知ることを可能とする。例えば、文献(Polymer, 1987, 28: 224; J. Fluorine Chem. 1996, 78: 145)並びに国際公開PCT WO 01/49757 A1およびWO 49760 A1において特徴付けられている微細構造に基いて、コポリマーVDF/MFSO2F(表2)およびコポリマーHFP/MFSO2F/VDF(表3および4)の19FのNMRによる特性シグナル間の関連性は、これら生成物の構図を確定することを可能とした。この分析は、ダイアド(diades) VDF/MFSO2F、VDF/HFPおよびHFP/MFSO2F並びにブロック単位VDFの頭-尾および頭-頭結合(夫々、-91および-113、-116ppm)の存在を明らかにする。
これらコポリマーVDF/HFP/MFSO2Fに導入された種々のモノマーのモル%は、以下に与えられる式1、2および3に基いて決定され、以下の表3に報告されており、そこでM1FSO2Fは1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライド、即ちCF2=CFCH2CF2SO2Fを表す。
【0045】
式1:VDF (モル%) = A/(A+B+C)
式2:HFP (モル%) = B/(A+B+C)
式3:M1FSO2F (モル%) = C/(A+B+C)
上記式において、A = I-83+I-91+I-92+I-93+I-95+I-108+I-110+I-113+I-116+I-127;B = I-120+I-121;C = I-105である。また、I-iは19FのNMRスペクトルにおける-i ppmに位置するシグナルの積分値である。
これらコポリマーVDF/HFP/M2FSO2F内の種々のモノマーの量(モル%)は、以下に示す式4、5および6に基づいて決定され、また以下の表4に報告されており、ここでM2FSO2Fは、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライド、即ちCF2=CFCF2CF(CF3)SO2Fを表す:
式4:VDF (モル%) = D/(D+E+F)
式5:HFP (モル%) = E/(D+E+F)
式6:M2FSO2F (モル%) = F/(D+E+F)
これらの式において、D = I-83+I-91+I-95+I-102+I-108+I-110+I-113+I-116+I-127;E = I-120;F = I-122である。また、I-iは19FのNMRスペクトルにおける-i ppmに位置するシグナルの積分値である。
【0046】
示差熱分析(DSC)によって、これらコポリマーが固有のガラス転移温度(Tg)を示し、また融点を示さないことを確認した(表1および2)。これらの低いTgの値は、特にフルオロスルホン化ポリマーにとっては固有である、高い弾性特性を表すものである。これらガラス転移温度(Tg)は、ASTM E-1356-98規格に従って測定される。同時に、これらのフルオロスルホン化コポリマーについて、空気中で行われた、熱重量分析(TGA)によって決定した熱安定性は、極めて満足なものである(表1および2)。
このような組成を持つこれらコポリマーは、良好なエラストマー特性、特に極めて良好な低温に対する耐性との組合せで、燃料、ガソリン、t-ブチルメチルエーテル、アルコール、エンジンオイルおよび強酸(例えば、HCl、HNO3およびH2SO4)に対する極めて良好な耐性を持つ、例えば水素またはメタノールが供給される燃料電池の部品、特にプロトン系膜の製造、並びにリング付き継手、ポンプ本体ダイアフラムの製造における用途を見出すことができる。これらのコポリマーは、また従来から使用されている試薬の存在下で、架橋できるという利点をも有する。
【0047】
本発明のエラストマーは、特にヘキサメチルジシラザンを主成分とする系を使用して、架橋することができる。これら系は周知であり、例えばスルホニル官能基の架橋については、論文:Inorg. Chem. 1983, 23: 3720に、また国際特許WO 99/05126号およびカナダ特許出願第2,283,132号に記載されている。
更に、パーフルオロポリマーが、フッ素イオンが容易に除去されるという事実およびパーフルオロ鎖の立体的な嵩張りのために、フッ素化されていないポリマーに対して利用されている従来の技術によっては、通常架橋することができないことは、周知である。しかし、特許出願PCT WO 99/38897号に記載されている一般的な技術(その内容を本発明の参考文献としてここに組み入れる)は、架橋の形成、即ち例えば以下のようなモノマー誘導体およびそのコポリマー等の、パーフルオロ骨格を持つものを包含する、隣接ポリマー鎖に結合したスルホニル基同士の結合の形成を可能とする:
【0048】
【化4】
【0049】
ここで、XはF、ClまたはCF3であり、nは0〜10なる範囲の値である(境界を含む)。
有利には、この架橋は、該ポリマーが非-イオン性ポリマープリカーサ形状にあり、かつ所定の形状に成型またはプレスした後に、行うことができる。このように、極めて高い機械的な抵抗性を持つ材料が得られる。本発明は、また該架橋されたポリマーを、膜または中空繊維(以下「膜」という)形状に成型または圧縮して、燃料電池、水の電解槽、塩素-ソーダ法、電気的合成(electrosynthese)、水の処理およびオゾンの製造において利用することにも関連する。この架橋技術によって導入されたイオン性基の、強力な分解性および該ポリマー鎖の不溶性に基く、該架橋ポリマーの、幾つかの化学反応における触媒としての使用も、本発明の一部を構成する。
安定な架橋の生成は、隣接ポリマー鎖の持つ2つの-SO2L基間の反応を介して行われる。この反応は、架橋剤により開始され、また以下の式に従って誘導体の生成を可能とする:
【0050】
【化5】
【0051】
ここで、rは0または1であり、
Mは無機または有機カチオンを含み、
YはNまたはCRを含み、ここでRはH、CN、F、SO2R3、置換または無置換のC1-20アルキル基、置換または無置換のC1-20アリール基、置換または無置換のC1-20アルケニル基を含み、該置換基は1または複数のハロゲン原子を含み、該鎖は、1または複数の置換基F、SO2R、アザ、オキサ、チアまたはジオキサチアを含み、
R3はF、置換または無置換のC1-20アルキル基、置換または無置換のC1-20アリール基、置換または無置換のC1-20アルケニル基を含み、該置換基は1または複数のハロゲン原子を含み、
Qは二価のC1-20アルキル基、C1-20オキサアルキル基、C1-20アザアルキル、C1-20チアアルキル、C1-20アリールまたはC1-20アルキルアリール基を含み、その各々は、場合により1または複数のハロゲン原子により置換されていてもよく、また該鎖は、1または複数の置換基オキサ、アザまたはチアを含み、
【0052】
AはM、Si(R')3、Ge(R')3またはSn(R')3を含み、ここでR'はC1-18アルキル基であり、
Lは不安定な基、例えばハロゲン原子(F、Cl、Br)、ヘテロ環式求電子基、N-イミダゾリル、N-トリアゾリル、R2SO3を含み、ここでR2は場合によりハロゲン化された有機基であり、および
R2はプロトン;アルキル、アルケニル、オキサアルキル、オキサアルケニル、アザアルキル、アザアルケニル、チアアルキル、チアアルケニル、ジアルキルアゾ、場合により加水分解できるシラアルキル(silaalkyles)、場合により加水分解できるシラアルケニル(silaalkenyles)、これらの基は直鎖、分岐または環式であり得、また1〜18個の炭素原子を含むことができ;場合により1または複数のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄を含有する、少なくとも一つの側鎖を含む、炭素原子数4〜26の脂肪族環式またはヘテロ環式基;場合により芳香核または置換基内に1または複数のヘテロ原子を含む、炭素原子数5〜26のアリール、アリールアルキル、アルキルアリールおよびアルケニルアリール基を含む。
【0053】
該架橋反応は、スルホニル基全体または該基の一部のみが、関与できる。これら架橋反応試薬は、当業者には周知の様々な技術に従って、添加しまたは使用することができる。有利には、該ポリマーを、該架橋処理前に、膜または中空繊維等の所定の形状に成型し、またこの材料を、このカップリング反応を助長する1または複数の溶媒中の架橋剤溶液に浸漬しまたは該溶液で被覆する。
部分的にのみこれらポリマー鎖間の架橋結合の生成が必要とされる場合、残留する-SO2L基は、通常の方法で加水分解して、アルカリ加水分解によりスルホネート形状にすることが可能である。
【0054】
本発明の方法に従って得られる該架橋されたポリマーは、例えば(CH3)3SiFまたは(CH3)3SiCl等の揮発性物質であり得る、該反応の副生成物を、容易に除去することを可能とする。あるいはまた、該架橋されたポリマーは、水または該ポリマーが不溶性である有機溶媒等の適当な溶媒により洗浄することができる。更に、当業者には周知の古典的な方法、例えばイオン交換または電気泳動法が、該架橋反応中に得られたおよび/または非-架橋性のイオン発生(ionogene)試薬に由来するカチオンM+を、最終的な用途にとって望ましいで置換するために利用できる。
【0055】
表1:モノマーM1FSO2Fを使用した、ラジカル共重合操作の条件および結果
【表1】
温度:75℃;期間:15時間;P.P.:t-ブチルパーオキシピバレート;N.C.: 計算せず;*:ボロシリケート製のカリウス管;**:ハステロイ製の反応器
【0056】
表2:モノマーM2FSO2Fを使用した、ラジカル共重合の操作条件および結果
【表2】
t-ブチルパーオキシピバレートに対しては、75℃にて、またt-ブチルパーオキシドに対しては、140℃にて6時間。P.P.: t-ブチルパーオキシピバレート;t-Bu:t-ブチルパーオキシド
【0057】
表3:コポリマーVDF/M1FSO2F/HFPの、19F NMRによる特徴付け
【表3】
【0058】
表4:コポリマーVDF/M2FSO2F/HFPの、19F NMRによる特徴付け
【表4】
【実施例】
【0059】
以下に示される実施例は、純粋に例示的なものであり、本発明を何等限定するものと理解すべきではない。
実施例1:1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンの合成
磁気撹拌子、175.5g(1.08モル)のモノクロロアイオダイド(ICl)、1.1g(0.006モル)のベンゾフェノンおよび150gの塩化メチルを含むカリウス管(内径:78mm;厚み:2.5mm;および長さ:310mm)を、液体窒素/アセトン(-80℃)混合物中で冷却する。そこで、真空/窒素サイクルを3回行った後、131g(1.12モル)のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を、該管に導入する。このカリウス管を密閉し、次いで段階的に周囲温度まで加温する。次に、この溶液を、UV照射(水銀灯、フィリップス(Philips) HPK、125W)の下で6時間撹拌する。この粗反応物は、ヨウ素結晶を含有する、濃いバラ色の溶液である。蒸留により、収率68%にて、204.9gのバラ色の液体(TEb = 99-101℃)が得られる。この得られた生成物は、2種の異性体:1-ヨード-1,2-ジクロロトリフルオロエタン(92%)および1,1-ジクロロ-2-ヨードトリフルオロエタン(8%)の混合物である。
第一異性体の19F NMRスペクトル:δ(CDCl3): 系ABX
δ(F2a)=-62.31; δ(F2b)=-65.25; δ(F1)=-72.87; J(F2a-F2b)=163.9Hz; J(F2a-F1)=14.4Hz; J(F2b-F1)=15.6Hz
第二異性体の19F NMRスペクトル:δ(CDCl3): 系A2X
δ(F1)=-55.60; δ(F2)=-67.65; J(F1-F2)=14.4Hz
【0060】
実施例2:フッ化ビニリデンと1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
マノメータ、2つの弁(ガスと塩析との間)および破壊板を備えた、300mlのハステロイ製の反応器に、123.1g(0.44モル)のClCF2CFCl-Iを導入する。この反応器を閉じ、その気密性を確かめるために、加圧下に窒素ガスで満たし、ガス抜きし、アセトン/液体窒素混合物中で-80℃に冷却し、次いで真空条件下に置く。これに、45g(0.44モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。引続き、この反応器を周囲温度まで戻し、次いで段階的に175℃まで加熱して、最大圧力を3.5 MPa (35 bar)とする。この圧力を徐々に1 MPa (10 bar)まで下がるが、これはVDFの消費に相当する。反応時間は14時間である。周囲温度まで冷却した後、この反応器を氷中で冷却し、次いで段階的にガス抜きする。この粗生成物(ヨウ素の粒子を含むバラ色の液体)のクロマトグラフィーCPVは、1,2-クロロ-1-ヨードトリフルオロエタンの、ほぼ完全な転化、即ち多量の一付加物:ClCF2CFClCH2CF2-I (87%)、二付加物:ClCF2CFCl(VDF)2-I (10%)および三付加物:ClCF2CFCl(VDF)3-I (3%)の生成を示す。全体としての収率は、85%である。蒸留後に、まず一付加物:1,2-ジクロロ-4-ヨード-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタン(ICF2CH2CFClCF2Cl)をバラ色の液体(TEb = 133-135℃)として、次いで91%のClCF2CFClCH2CF2CH2CF2-Iおよび9%のClCF2CFClCH2CF2CF2CH2-Iをバラ色の液体(TEb = 78-84℃/20 mmHg)として回収する。
【0061】
一付加物の NMR による特徴付け
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH 2, 3JHF=16.0Hz, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -68 (系AB, 2JFF=169.3Hz, 3JF1F2=9.5Hz, 3JF1bF2=9.8Hz, ClCF2, 2F); -118.5および-122.3 (系ABXのX部分, 3JFH=9.6Hz, CFCl-, 1F)
二付加物の NMR による特徴付け
この二付加物は、91%の異性体:ClCF2CFClCH2CF2CH2CF2-I (A)および9%の異性体:ClCF2CFClCH2CF2CF2CH2-I (B)を含む化合物である。
1H(CDCl3) NMR:δ=2.9 (m, AのCFClCH2CF2); 3.2 (m, BのCFClCH2); 3.4 (qi, 3JHF=16.0Hz, AのCH2CF2-I); 3.6 (tt, 3JHF=18.0Hzおよび4JHF=1.2Hz, BのCF2CH2-I)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, AのCH2CF2-I); -68 (系AB, AおよびBのClCF2); -88.7 (m, AのCF 2CH2CF2-I); -108 (m, BのCF2CH2-I); -112.8 (m, BのCF 2CF2CH2-I); -118.2および-122.6 (系ABXのX部分, AおよびBのCFCl)
【0062】
実施例3:ヘキサフルオロプロペンと1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
実施例2で使用したものと同一の、300mlの反応器内に、70.4g(0.25モル)のClCF2CFCl-Iを導入し、オートクレーブを閉じた後、冷却し、真空にし、窒素を導入し、真空にし、90g(0.63モル)のヘキサフルオロプロペンを、この反応器に導入する。この反応器を2.5日間に渡り220℃まで加熱し、圧力を、最大値の9.2 MPa (92 bar)を越えさせ、次いで段階的に3.7 MPa (37 bar)まで下げる。この反応器を冷却し、次いで過剰量のHFPをガス抜きした後、該オートクレーブを開放する。HFP(15%)、痕跡量のClCF2CFCl-I、一付加物(78%)および二付加物(6%)で構成される、この粗反応生成物(ヨウ素の結晶を含む黒ずんだ液体)を、蒸留する。該一付加物、即ち1,2-ジクロロ-4-ヨード-パーフルオロペンタンは、光によって次第に濃くなるバラ色の液体(TEb = 89-95℃/25 mmHg)であり、また2種のジアステレオマー異性体を含む。
【0063】
19F(CDCl3) NMR:δ=-69 (m, ClCF2, 2F); -74 (m, CF3, 3F); -107および-115 (m, CF 2CFI, 等価でない2つのF原子, 2F); -118および-123 (m, CFCl, 1F); -145 (m, CF, 1F)
痕跡量の異性体(対掌体)、即ち1-ヨード-3,4-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-パーフルオロブタン(ClCF2CFClCF(CF3)CF2I)の存在が観測される。
19F(CDCl3) NMR:δ=-60 (m, CF2I, 2F); -69 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -125および-132 (m, CFCl, 1F); -180 (m, CF, 1F)
【0064】
実施例4:クロロトリフルオロエチレン(CTFE)と1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
実施例2に記載のものと同一の反応器に、82.5g(0.294モル)の1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンを導入し、また冷却し、真空引きした後に、35g(0.300モル)のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を、該反応器に導入する。この反応を170℃にて16時間行うと、最大圧力は5.3 MPa (53 bar)に達し、次いで2.4 MPa (24 bar)まで低下する。収率は78%である。一付加物、即ち1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタン(95%)を蒸留(TEb = 115-119℃/24 mmHg)する。これは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-67 (m, ClCF2, 2F); -69〜-72 (系ABXのX部分, m, CFCl-I, 1F); -98〜-105 (系AA', CF 2CFCl, 2F); -120〜-126 (m, ClCF2CFCl, 1F)
少量の異性体:1,2,3-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタン(5%)も、同様に2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-49〜-53 (系AB, CF2I, 2F); -67 (m, ClCF2, 2F); -115 (X部分, CFClCF2, 1F); -118〜-123 (m, ClCF2CFCl, 1F)
【0065】
実施例5:ヘキサフルオロプロペンと4-ヨード-1,2-ジクロロ-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタンとのテロマー化
62.5g(0.182モル)の4-ヨード-1,2-ジクロロ-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタンおよび82g(0.547モル)のHFPを含む、実施例2に記載したものと同一の、300mlの反応器を、撹拌しつつ、210℃にて3日間加熱する。圧力は7.7 MPa (77 bar)から3.2 MPa (32 bar)に移行する。収率は70%である。一付加物、即ち6,7-ジクロロ-2-ヨード-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン(ClCF2CFClCH2CF2CF2CFICF3)を蒸留(TEb = 110-118℃/22 mmHg)する。また、これは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -74 (m, CF3, 3F); -110 (系AB, CH2CF 2, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F); -120 (系AB, CF 2CF, 2F); -145 (m, CF, 1F)
【0066】
実施例6:ヘキサフルオロプロペンと1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンとのテロマー化
73.5g(0.186モル)のClCF2CFClCF2CFCl-Iおよび78g(0.52モル)のHFPを含む、実施例2で使用したものと同一の反応器を、230℃にて3日間加熱する。6.5 MPa (65 bar)なる最大圧力は、2.4 MPa (24 bar)まで低下する。反応後、得られる粗生成物を蒸留し、反応しなかった移動剤を除去した後、一付加物(TEb = 48-51℃/0.1 mmHg)を収率76%で得る。この一付加物、即ち4,6,7-トリクロロ-2-ヨードパーフルオロヘプタン(ClCF2CFClCF2CFClCF2CFICF3)は、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -73 (m, CF3, 3F); -99〜-100 (m, 中央のCF2およびCF 2CF, 4F); -114〜-119 (m, 中央のCFCl, 1F); -121〜-125 (m, ClCF2CFCl, 1F); -146 (m, CF, 1F)
【0067】
実施例7:フッ化ビニリデンと1,2-ジクロロ-4-ヨードパーフルオロペンタンとのテロマー化
180.3g(0.42モル)の1,2-ジクロロ-4-ヨードパーフルオロペンタンおよび30g(0.47モル)のVDFを含む、同一の300mlの反応器を、180℃にて15時間加熱する。2.7 MPa (27 bar)なる最大圧力は、0.9 MPa (9 bar)まで低下する。反応後、得られる粗生成物を蒸留する。収率は75%である。得られた生成物(TEb = 80-86℃/20 mmHg)、即ち1,2-ジクロロ-6-ヨード-4-トリフルオロメチル-1,1,2,3,3,4,6,6-オクタフルオロヘキサンは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -69 (m, ClCF2, 2F); -73 (m, CF3, 3F); -110〜-118 (系AB, 中央のCF2, 2F); -121および-126 (m, CFCl, 1F); -182 (m, CF, 1F)
【0068】
実施例8:フッ化ビニリデンと1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンとのテロマー化
90.2g(0.23モル)の1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンおよび28g(0.43モル)のVDFを含む、同一の300mlの反応器を、180℃にて16時間加熱する。この間に、該反応器の圧力は、2.5 MPa (25 bar)から0.7 MPa (7 bar)に移行する。反応後、一付加物、即ち1,2,4-トリクロロ-6-ヨード-1,1,2,3,3,4,6,6-オクタフルオロヘキサン(ClCF2CFClCF2CFClCH2CF2I)を蒸留(TEb = 42-47℃/20 mmHg)する。収率は、79%である。これには、2種のジアステレオマー異性体が存在する。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -68 (m, ClCF2, 2F); -95〜-100 (m, CFClCF2CFCl, 2F); -114〜-117 (m, CFClCH2, 1F)
【0069】
実施例9:1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルクロリドの合成
滴下ロート、コンデンサおよび窒素導入口を供え、100.1gのNa2S2O4、82.0gのNaHCO3、250mlの水および150mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコ(tricol)を、撹拌下に40℃に加熱する。この温度にて、74.2g(0.265モル)のClCF2CFCl-Iを、窒素ガス雰囲気中で、激しく撹拌しつつ、滴添(添加期間は約45分間)する。この反応混合物を撹拌並びに40℃にて15時間加熱する。該アセトニトリルを蒸発させ、フッ素含有相をクロロホルムで抽出する。該粗生成物を120mlの、NaClで飽和した水で3回洗浄する。乾燥し、該クロロホルムを除去した後、褐色のワックスを得る。このパーハロゲン化ナトリウムスルフィネートを、250mlの水に溶解し、ガス導入口および上部端部が濃厚苛性ソーダ溶液を含む防御装置と接続され、カルボグラース(carboglace)で満たされたトラップを備えた二口フラスコに注ぐ。この反応混合物に約45分間に渡り塩素を吹き込み、次いで更に1時間この溶液を撹拌する。この粗反応生成物を、NaHCO3の水性溶液で洗浄し、次にクロロホルムで抽出し、MgSO4上で乾燥する。濾過し、該クロロホルムを蒸発させた後、パーハロゲン化スルホニルクロリド、即ち1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン-1-スルホニルクロリドを蒸留(TEb = 91-93℃/760 mmHg)する。
19F(CDCl3) NMR:δ=-70 (m, ClCF2, 2F); -115および-118 (m, CFCl, 1F)
【0070】
実施例10:3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルクロリドの合成
実施例9と同一の実験条件で、91.0g(0.265モル)のClCF2CFClCH2CF2-Iを、100.1gのNa2S2O4、82.0gのNaHCO3、250mlの水および150mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。実施例9と同様な方法並びに処理を利用し、次いで同様に、実施例9に記載したものと同一の条件下で塩素化を行う。得られたスルホニルクロリド、即ち3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルクロリドを蒸留(TEb = 41-44℃/22 mmHg)する。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (系AB, CH2, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -96 (t, 3JHF=16Hz, CH2CF2, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F)
【0071】
実施例11:4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルクロリドの合成
前と同様に、90.2g(0.210モル)のClCF2CFClCF2CFICF3を、79.2gのNa2S2O4、65.1gのNaHCO3、200mlの水および120mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。同様な処理の後、塩素化を行い、収率68%にて、液体を得る(TEb = 48-51℃/23 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110〜-114 (m, CF 2CF, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -195 (m, CF, 1F)
【0072】
実施例12:1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルクロリドの合成
前と同様にして、83.1g(0.210モル)のClCF2CFClCF2CFCl-Iを、80.2gのNa2S2O4、65.0gのNaHCO3、200mlの水および120mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応し、かつ同様な処理の後、塩素化を行い、蒸留後に、収率68%にて、液体を得る(TEb = 162-166℃/22 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -105〜-110 (m, 中央のCF2, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -132 (m, CFClSO2Cl, 1F)
【0073】
実施例13:6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドの合成
前の実施例と同様にして、47.1g(0.095モル)のClCF2CFClCH2CF2CF2CFICF3を、36.2gのNa2S2O4、30.1gのNaHCO3、90mlの水および53mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応並びに処理の後、塩素化を行い、精製および蒸留の後に、収率69%にて、液体を得る(TEb = 55-59℃/0.1 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110 (m, CF 2CH2, 2F); -118および-122 (m, CFCl, 1F); -120 (m, CF 2CF, 2F); -195 (m, CF, 1F)
【0074】
実施例14:4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドの合成
前と同様の実験装置に基いて、29.5g(0.054モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CFICF3を、20.3gのNa2S2O4、16.2gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応並びに精製の後、塩素化を行い、蒸留後に収率66%にて、液体を得る(TEb = 69-74℃/0.1 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドは、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -115 (m, 中央のCFCl, 1F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, CFClCF 2CFCl, 2F); -125 (m, CF 2CF, 2F); -195 (m, CF, 1F)
【0075】
実施例15:5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルクロリドの合成
前と同様に、26.2g(0.053モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2Iを、20.0gのNa2S2O4、16.2gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応、処理および塩素化の後、対応するスルホニルクロリド(TEb = 42-45℃/0.2 mmHg)を、蒸留後に、収率62%にて得た。この化合物、即ち5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -112 (t, 3JHF=16.2Hz, CF2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -125 (m, 中央のCF2, 2F); -182 (m, CF, 1F)
【0076】
実施例16:3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルクロリドの合成
上記実施例と同様な条件で、24.5g(0.054モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2Iを、20.0gのNa2S2O4、16.1gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応、処理および塩素化の後、2つの構成単位CTFEおよび一つの構成単位VDFを含むスルホニルクロリドが、蒸留後に収率65%にて得られる(TEb = 53-56℃/0.3 mmHg)。この生成物、即ち3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -110 (m, CFClCH2, 1F); -112 (t, 3JHF=15.9Hz, CF 2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, 中央のCF2, 2F)
【0077】
実施例17:1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドの合成
71.2g(0.285モル)のClCF2CFClSO2Clを、(アクチゲル(actigel)に対する防御装置の上に取り付けられた)冷却器および乾燥窒素ガスの取入れ口を供え、かつ250mlの新たに蒸留し、乾燥した環状スルホランおよび100.2gの活性なフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、激しく撹拌しつつ滴添する。この反応媒体を、激しく撹拌しつつ80℃にて12時間加熱し、濾過および処理の後に、粗生成物を蒸留する。かくして、表記のスルホニルフルオライド、即ち1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドを、収率83%で得る(TEb = 85-87℃/760 mmHg)。
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -72 (系AB, ClCF2, 2F); -115 (t, 3JFF=15Hz, CFCl, 1F)
【0078】
実施例18:3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例17と同様な条件にて、15.0g(0.048モル)のClCF2CFClCH2CF2SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン42ml、16.6g(0.287モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 35-37℃/32 mmHg)、収率80%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドを得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -116〜-122 (m, CFCl, 1F); -117 (t, 3JHF=16.2Hz, CF2SO2F)
【0079】
実施例19:4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例17に記載したものと同様なプロトコールを利用して、18.2g(0.045モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン40ml、15.8g(0.273モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 43-45℃/25 mmHg)、収率82%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルフルオライドを得る。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110〜-114 (m, CF 2CF, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -197 (m, CF, 1F)
【0080】
実施例20:1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様に、17.8g(0.048モル)のClCF2CFClCF2CFClSO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン42.2mlおよび16.9g(0.29モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む混合物に、徐々に添加し、80℃にて12時間、激しく撹拌しつつ加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 61-63℃/23 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルフルオライドを得る。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -105〜-110 (m, 中央のCF2, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -135 (m, CFClSO2F, 1F)CH2C2F4CF
【0081】
実施例21:6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン-2-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、16.2g(0.034モル)のClCF2CFClCH2C2F4CF(CF3)SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン30ml、12.1g(0.209モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 53-55℃/20 mmHg)、収率83%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この化合物、即ち6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン-2-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.1 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110 (m, CF2CH2, 2F); -118および-122 (m, CFCl, 1F); -120 (m, CF 2CF, 2F); -197 (m, CF, 1F)
【0082】
実施例22:4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例17におけるものと同一の実験装置に従って、13.7g(0.026モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Clを、23mlの新たに蒸留した環状スルホランと、9.2g(0.159モル)のフッ化カリウムとを含む混合物に、激しく撹拌しつつ、ゆっくりと添加し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 110-114℃/19 mmHg)、収率79%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この生成物、即ち4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルフルオライドは、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -115 (m, 中央のCFCl, 1F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, CFClCF 2CFCl, 2F); -125 (m, CF 2CF, 2F); -197 (m, CF, 1F)
【0083】
実施例23:5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様の条件にて、15.5g(0.033モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2SO2Clを、29mlの新たに蒸留した環状スルホランと、11.6g(0.200モル)の活性化されたフッ化カリウムとを含む混合物に滴添し、80℃にて14時間、激しく撹拌しつつ加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 57-60℃/21 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この化合物、即ち5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.2 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -114 (t, 3JHF=16.3Hz, CF2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -125 (m, 中央のCF2, 2F); -182 (m, CF, 1F)
【0084】
実施例24:3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、15.6g(0.036モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2SO2Clを、32mlの新たに蒸留した環状スルホランと、12.7g(0.218モル)の活性化フッ化カリウムとを含む三つ口フラスコにゆっくりと添加し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 72-74℃/21 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この生成物、即ち3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -110 (m, CFClCH2, 1F); -114 (m, CF 2SO2F, 2F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, 中央のCF2, 2F)
【0085】
実施例25:トリフルオロビニルスルホニルフルオライドの合成
蒸留装置(ビグルー(Vigreux)カラム、冷却器および氷中に配置された3個の球状フラスコ受器)、滴下ロートおよび窒素導入口を供えた、3つの管を含むフラスコに、85mlの無水DMF中の、1.40gの酢酸および1.40gの無水酢酸との混合物によって活性化させた亜鉛31.2g(0.477モル)を加える。この混合物を110℃に加熱し、この温度にて、48.6g(0.207モル)の1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドを、これに滴添する。表記のトリフルオロビニルスルホニルフルオライドは、その形成と共に順次蒸留により取り出す(TEb = 52℃/760 mmHg)。
19F(CDCl3) NMR:δ=+53 (s, SO2F, 1F); -91 (dd, 2JFaFb=49.8Hz, 3JFaFc=39.3Hz, Fa, 1F); -106.2 (dd, 2JFbFa=49.7Hz, 3JFbFc=118.3Hz, Fb, 1F); -165.3 (dd, 3JFcFa=39.4Hz, 3JFcFb=118.5Hz, Fc, 1F)
【0086】
実施例26:1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライド(M1FSO2F)の合成
冷却器および窒素取入れ口、棒磁石を備えた、三つ口フラスコに、1.0gの酢酸および1.0gの無水酢酸を含む混合物で活性化した、11.07g(0.169モル)の亜鉛、および50mlの無水DMFを導入する。この混合物を90℃に加熱した後、これに、22.0g(0.074モル)の3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドを、強く撹拌しつつ滴添する。完全に添加した後、90℃にて5時間、反応溶媒を撹拌状態に維持した。反応が完了し、冷却した後、過剰量の亜鉛を濾別し、次に50mlのクロロホルムを添加した該粗反応生成物を、3回酸性の水(HCl 20%)で洗浄し、NaHCO3で中和し、次いで水洗し、最後にNa2SO4上で乾燥する。濾過し、該クロロホルムを蒸発させた後、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドを蒸留する(TEb = 48-52℃/20 mmHg)。収率は66%である。
1H(CDCl3) NMR:δ=2.95 (ddt, 3JHF=15.3Hz, 3JHF=12.1Hz, 4JHF=3.5Hz)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -102.4 (m, CF 2SO2F, 2F); -106.5 (ddt, 2JFaFb=88.8Hz, 3JFaFc=33.3Hz, 4JFaH=2.3Hz, Fa, 1F); -125.8 (ddt, 2JFbFa=88.8Hz, 3JFbFc=113.3Hz, 4JFbH=3.7Hz, Fb, 1F); -175.2 (ddt, 3JFcFb=114.2Hz, 3JFcFa=33.1Hz, 3JFcH=22.3Hz, Fc, 1F)
【0087】
【化6】
【0088】
実施例27:1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライド(M2FSO2F)の合成
実施例26と同一の実験条件にて、25.2g(0.065モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Fを、50mlの無水DMF中に分散した、9.78g(0.149モル)の活性化された亜鉛中に、激しく撹拌しつつ滴添する。この添加が完了し、反応および処理の後に、トリフルオロビニルスルホニルフルオライドモノマーを、蒸留する(TEb = 50-53℃/23 mmHg)。この化合物、即ち1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドが、収率58%で得られる。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76.3 (m, CF3, 3F); -92.1 (ddt, 2JFaFb=49.2Hz, 3JFaFc=39.5Hz, 4JFaF=6.0Hz, Fa, 1F); -105.2 (ddt, 2JFbFa=49.5Hz, 3JFbFc=118.5Hz, 4JFbF=27.8Hz, Fb, 1F); -118.2 (m, CF2, 2F); -189.7 (ddt, 3JFcFa=39.8Hz, 3JFcFb=118.2Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F); -205.1 (m, CF, 1F)
【0089】
実施例28:1-クロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例26で使用したものと同一の装置により、16.1g(0.046モル)のClCF2CFClCF2CFClSO2Fを、40mlの無水DMFに分散させた、6.85g(0.105モル)の活性化亜鉛に、滴添する。反応および処理の後、スルホニルフルオライド末端を持つ、該クロロフルオロモノマーを蒸留する(TEb = 62-68℃/22 mmHg)。この生成物、即ち1-クロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドは、収率62%で得られる。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76〜-78 (系ABXのX部分, CFCl); -92.4 (ddt, 2JFaFb=48.8Hz, 3JFaFc=38.6Hz, 4JFaF=5.9Hz, Fa, 1F); -115〜-120 (複雑な系AB, 4JFFa=6.0Hz, 3JFFb=27.2Hz); -104.9 (ddt, 2JFbFa=49.0Hz, 3JFbFc=118.2Hz, 4JFbF=27.4Hz, Fb, 1F); -188.7 (ddt, 3JFcFa=38.7Hz, 3JFcFb=118.4Hz, 3JFcF=14.5Hz)
【0090】
実施例29:1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例26について記載したものと同一の実験条件にて、15.1g(0.033モル)のClCF2CFClCH2C2H4CF(CF3)SO2Fを、35mlの無水DMFに分散させ、激しく撹拌した、5.02g(0.077モル)の活性化亜鉛に、滴添する。反応および処理の後、スルホニルフルオライド末端を持つHFP単位およびVDF単位を含むモノマーを蒸留する(TEb = 49-53℃/21 mmHg)。このモノマー、即ち1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドは、収率61%で得られる。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.1 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -75.9 (m, CF3, 3F); -105.9 (ddt, 2JFaFb=87.9Hz, 3JFaFc=33.0Hz, 4JFaH=2.2Hz, Fa, 1F); -110.2 (m, CH2CF2, 2F); -120.6 (m, CF 2CF, 2F); -125.2 (ddt, 2JFbFa=88.2Hz, 3JFbFc=113.9Hz, 4JFbH=3.5Hz, Fb, 1F); -175.7 (ddt, 3JFcFb=114.2Hz, 3JFcFa=33.2Hz, 3JFcH=22.4Hz, Fc, 1F); -204.5 (m, CF, 1F)
【0091】
【化7】
【0092】
実施例30:4-クロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例26で使用したものと同一の実験装置により、10.0g(0.020モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Fを、3.00g(0.046モル)の活性化亜鉛および30mlの無水DMFに滴添する。反応および処理の後、CTFE単位およびHFP単位を含む、スルホニルフルオライド末端を持つモノマーを蒸留する(TEb = 66-68℃/20 mmHg)。この化合物、即ち4-クロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドを収率59%で得、またこれは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76.2 (m, CF3, 3F); -91.9 (ddt, 2JFaFb=49.3Hz, 3JFaFc=39.3Hz, 4JFaF=5.9Hz, Fa, 1F); -105.2 (ddt, 2JFbFa=49.5Hz, 3JFbFc=118.7Hz, 4JFbF=27.5Hz, Fb, 1F); -108〜-110 (複雑な系, 4JFFa=5.9Hz, 4JFFb=27.4Hz, 3JFFc=14.3Hz, CF 2CFCl, 2F); -110〜-118 (m, CF 2CF, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -190.2 (ddt, 3JFcFa=39.5Hz, 3JFcFb=118.5Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F); -205.3 (m, CF, 1F)
【0093】
実施例31:3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、12.2g(0.027モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2SO2Fを、30mlの無水DMF中の、酢酸と無水酢酸との混合物により活性化した、4.05g(0.062モル)の亜鉛に、徐々に加える。濾過し、処理した後、対応するスルホニルフルオライド末端を持つモノマーを蒸留する(TEb = 81-84℃/22 mmHg)。この生成物、即ち3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドを、収率53%で得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.2 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -73.9 (m, CF3, 3F); -89.8 (ddt, 2JFaFb=49.0Hz, 3JFaFc=39.2Hz, 4JFaF=6.1Hz, Fa, 1F); -96.8 (m, CF 2SO2F, 2F); -105.7 (ddt, 2JFbFa=49.2Hz, 3JFbFc=118.4Hz, 4JFbF=27.3Hz, Fb, 1F); -119.2 (m, CF2, 2F); -182.2 (m, CF, 1F); -189.9 (ddt, 3JFcFa=39.4Hz, 3JFcFb=118.5Hz, 3JFcF=14.3Hz, Fc, 1F)
【0094】
実施例32:3-クロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例26において記載したものと同一の実験条件にて、13.05g(0.031モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2SO2Fを、30mlの無水DMF中の、4.75g(0.072モル)の活性化された亜鉛に、滴添する。この添加後、また反応および処理の後、生成したモノマーを蒸留する(TEb = 82-86℃/22 mmHg)。この化合物、即ち3-クロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドを、収率63%にて得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (系AB, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -91.1 (ddt, 2JFaFb=48.8Hz, 3JFaFc=39.3Hz, 4JFaF=6.0Hz, Fa, 1F); -96.2 (m, CH2CF2, 2F); -106.2 (ddt, 2JFbFa=49.0Hz, 3JFbFc=118.2Hz, 4JFbF=27.2Hz, Fb, 1F); -115〜-120 (m, CF 2CFCl, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F); -190.2 (ddt, 3JFcFa=39.5Hz, 3JFcFb=118.4Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F)
【0095】
実施例33-36:VDF/F2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)およびVDF/HFP/F2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)のラジカル共重合
2つの弁、安全板およびマノメータを備えた、160mlのハステロイ製反応器に、12.8g(0.056モル)のF2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)、0.61g(0.0026モル)のt-ブチルパーオキシピバレートおよび55.0gのアセトニトリル(実施例34、表1)を導入する。この反応器を閉じ、減圧し、-80℃に冷却し、次いで13.3g(0.208モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。この反応器の温度を周囲温度に戻し、次に湯浴中で75℃にて15時間加熱する。周囲温度まで、次いで氷中で冷却した後、この反応器を脱気する。該アセトニトリルを部分的に蒸発させ、次いで得られるコポリマーを、200mlの冷ペンタン中に、激しく撹拌しつつ、ゆっくりと滴添することによって沈殿させる。このコポリマーは、三角フラスコの壁に張り付いており、またデカンテーション、分離および80℃における減圧下での、一定質量に達するまでの乾燥の後に、9.9gの極めて粘性の高いオレンジ色の生成物を得る。収率は38%である。このようにして得たコポリマーおよびターポリマーの、フッ素化された基の化学シフト(表3)は、得られたモノマーおよびポリマーから、曖昧さ無しに、決定された。その実験的な詳細および結果は、表1および実験部分に記載されている。
【0096】
インジウムおよびオクタデカンにより較正される、装置:パーキンエルマーパイリス(Perkin Elmer Pyris) 1による、約15mgのコポリマーサンプルについての示差熱分析(DSC)は、-100℃から+165℃までの加熱(40℃/分次いで20℃/分)/+165℃から-100℃までの冷却(320℃/分)で、3サイクル実施した。これらコポリマーに関する結果は、エンタルピー変化の変曲点に相当する唯一のガラス転移点(Tg)を明らかにした。第二および第三回目のサイクルは、再現性のあるTgを与えた。実施例34の場合、該コポリマーのTgは-24.2℃である。
熱重量分析(ATG)は、テキサスインスツルメント(Texas Instruments)製の装置TGA 51-133によって、空気中で加熱速度10℃/分にて行った。実施例34については、空気中での、該コポリマーの5%の損失は、294℃にて観測される。
【0097】
実施例37-39:VDF/HFP/CF2=CFCF2CF(CF3)SO2F(M2FSO2F)のラジカル共重合による、フルオロスルホン化エラストマーの合成
実施例37-39(表1)においては、160mlのハステロイ製の反応器(実施例33-36で使用したものと同一)を使用した。これに、8.2g(0.026モル)のCF2=CFCF2CF(CF3)SO2F、0.22g(0.0015モル)のt-ブチルパーオキシドおよび45.2gのアセトニトリルを導入する。この反応器を閉じ、真空引きし、-80℃に冷却し、次いで順次13.4g(0.089モル)のヘキサフルオロプロパン(HFP),次いで15.2g(0.238モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。この反応器の温度を室温に戻し、次いで18時間に渡り140℃に加熱する。その間、該反応器の圧力は、最大値3.2 MPa (32 bar)に達し、次いで1.7 MPa (17 bar)まで低下する。氷中で冷却した後、この反応器を脱気処理し、また14.5gの未反応のVDFおよびHFPを塩析した(該モノマーガスの転化率は、49%である)。この粗反応生成物の19F NMRによる特徴付けは、該スルホン化モノマーの61%が反応(-205ppmに中心を持つ特性シグナルの存在は、完全に反応しなかった、該モノマー(M2FSO2F)の存在を示す)したことを示している。
【0098】
該アセトニトリルを部分的に蒸発させ、次いで前の実施例と同様に、激しく撹拌された冷ペンタン300ml中に、ゆっくりと滴添することによって、該コポリマーを沈殿させる。デカンテーション、分離および一定質量に達するまでの、80℃における減圧乾燥の後、22.4gの極めて粘性の高いオレンジ色の生成物を得る。質量基準の収率は、55%である。19F NMRスペクトルは、曖昧さ無しに、VDF(73.5%)、M2FSO2F(4.8%)、およびHFP(21.7%)(表4)の構成単位に含まれる、種々のフッ素化された基の特性シグナルから、これら3種のコモノマーのモル百分率を知ることを可能とする。熱量測定分析(DSC)は、融合に起因するピークが存在しないことを示したが、固有のガラス転移点(Tg=-20℃)に起因するエンタルピー変化の存在を明らかにした。空気中で、10℃/分にて行われた熱重量分析(ATG)は、301℃において、このコポリマーがその質量の約5%を失うことを示した。他の実施例における実験の詳細およびその結果を、以下の表2にまとめた。様々なフッ素化された基の、種々の化学シフトを特徴付ける19F NMR分析は、以下の表4に示す。
【0099】
所見
このように、本発明は、特にVDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含む、スルホニルフルオライド末端を持つ、高度にフッ素化された新規モノマー(MFSO2F)の合成、およびこれら市販のフッ素化されたコモノマー(例えば、VDF、HFPまたはCTFE)および場合によっては他のフッ素化されたアルケンを主成分とする、フッ素化されたコポリマーエラストマーを記載する。本発明の独創性は、以下のような事実にある:
1) 市販のフッ素化アルケンまたは官能性フッ素化モノマーとの共重合用の試薬としての、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、スルホニルフルオライド末端を持つ固有のトリフルオロビニルモノマーの調製。
2) VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、スルホニルフルオライド末端を持つこれらパーフルオロビニルモノマー(MFSO2F)を主成分とし、場合により他のフッ素化アルケンを含む、フッ素化エラストマーの合成は、フッ素化エラストマーの製造において広く用いられている、テトラフルオロエチレン(TFE)の代わりに、VDFおよび/またはHFPを用いて行われる。
3) 本発明において目的とするフッ素化エラストマーの合成は、シロキサン基を持つモノマーを使用する必要はなく、この後者は、一般的に生成するエラストマーのガラス転移点(Tg)の低下に寄与する。
【0100】
4) 本発明によって得られる架橋性のフッ素化されたエラストマーは、少量の、スルホニルフルオライド末端を持ち、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、構造:F2C=CFW(C2H2F2)x(C3F6)y(C2F3Cl)zSO2F (ここで、Wは酸素原子を表すか、あるいは如何なる原子をも表さず、xは0〜10なる範囲(境界を含む)内の自然整数であり、y=0または1およびz=0または1である)を有する、トリフルオロビニルモノマーと、大量のVDFとを含む組成をもつ。
5) 本発明によって合成されたフルオロスルホン化エラストマーは、極めて低いガラス転移点(Tg)を示し、これらエラストマーは、またプラスチック成型加工(「加工助剤」または使用するための試薬)、または他の先端工業(航空宇宙学、エレクトロニクス、または自動車、石油工業、腐食性流体、酸または極低温物質、例えば液体窒素、酸素および水素の輸送)の領域で、またエネルギー部門における材料(例えば、特に水素またはメタノールが供給される燃料電池の膜)としての用途を見出すことができる。更に、高い耐熱性を持つジョイントが、これらエラストマーから製造できる。また、
6) これらフルオロスルホン化エラストマーは、ヘキサメチルジシラザンによって容易に架橋でき、この架橋は、酸化、および溶媒、炭化水素、燃料、酸、塩基および攻撃的な媒質に対する抵抗性を大幅に改善する。
【0101】
本発明に関連する利点としては、特に以下の点を上げることができる:
1) VDFまたはHFPを含み、スルホニルフルオライド末端を有する、固有のトリフルオロビニルモノマーの製造は、 (市販または合成の連鎖移動剤の、CTFE、VDFまたはHFPへの一回の添加、またはこれらフッ素化されたアルケンの(コ(同時))テロマー化による) 簡単な合成経路によって可能であり、これらフルオロスルホン化モノマーは、エーテル架橋を含まない。
2) 上記のフルオロスルホン化モノマーは共重合用の反応試薬である。
3) この共重合法は、(「バッチ」式の)槽の運転様式で行われる。
4) 本発明の目的とする方法は、溶液状態で実施され、また市販品として容易に入手できる、古典的有機溶媒を使用する。
5) 本発明の方法は、市販品として容易に入手できる、古典的な開始剤の存在下で、ラジカル重合する工程を含む。
6) 本発明では、テトラフルオロエチレン(TFE)を使用しない。
【0102】
7) 本発明で製造するフッ素化エラストマーの組成中に含まれる、フッ素化オレフィンは、フッ化ビニリデン(VDF)であり、これは極めて安価であり、TFEよりも取扱いにおける危険性は低く、得られるエラストマーに、良好な耐酸化性、化学試薬、極性溶媒および石油に対する耐性を授け、またガラス転移点(Tg)の大幅な低下をもたらす。
8) 本発明の目的とするフッ素化エラストマーは、VDFとの共重合およびVDFおよびHFPとのターポリマー化が、文献において記載された研究の目的とはされていない、上記1)で述べた固有のモノマーから調製される。更に、スルホニルフルオライド官能基を介してフッ素化されたこれらモノマーは、これらエラストマーにおいて、架橋サイト(例えば、スルホンイミド型の)を生成し得る。
9) この方法により得られるこれらエラストマーは、極めて低いガラス転移点を示し、これは有利には-20℃よりも低い。
10) これらフルオロスルホン化コポリマーは、ヘキサメチルジシラザンにより容易に架橋でき、かくしてあらゆる溶媒、炭化水素または強酸に対して安定で、不活性で、かつ不溶性の物質を生成する。
【0103】
以上、本発明を、特定の態様に従って説明してきたが、多くの変更並びに改良を、上記態様に付加することができ、また本発明は、一般的にその原理に従う、このような改良、利用または適合を包含するものであり、また本発明の属する分野において知られておりまたは公知であり、また本発明の特許請求の範囲に一致する、上記本発明の構成要素を適用できる、本明細書のあらゆる変更を含むものとする。
【0001】
本発明は、フルオロ官能性コポリマーおよびその製造方法に関する。優れた物性、特に低いガラス転移点を持つこれらコポリマーは、多くの工業的な応用分野、および特に所謂ハイテクの領域において使用するのに適している。
本発明は、またこれらコポリマーを調製することのできる方法、並びに該合成を可能とする方法を実施する際に利用できる、中間体にも関連する。
本発明の範囲において使用するコポリマーなる用語は、2、3、4、5、6またはそれ以上の数の、種々のモノマー単位を含む巨大分子形状の化合物を表す。高い分子量をもつこのような化合物は、1または複数のモノマーを一緒に重合した場合に得られる。3、4、5または6種の種々のモノマー単位から得られるコポリマーの例として、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマーおよびヘキサポリマーは、夫々ターポリマー化、テトラポリマー化、ペンタポリマー化およびヘキサポリマー化により得られる。
【0002】
本発明の範囲において使用するテロマーなる用語は、特に構造:X(M1)kY (ここで、XおよびYは、連鎖移動剤の基を表し、M1はモノマー単位を表し、kは一般に1〜100なる範囲内で変動する自然整数を表す)を持つ化合物を表すのに使用する。更に、本発明において見られるテロマー、テロマー化およびコ(同時)テロマー化(co-telomerisation)なる用語は、B. Ameduri & B. Boutevin, フッ素化アルケン類のテロマー化反応 (Telomerisation Reactions of Fluorinated Alkenes), R.D. Chambers編, トピックスインカレントケミストリー (Topics in Current Chemistry), スプリンガー-フェアラグ、ハイデルベルグ、Vol. 192, pp. 165-233 (1997) において明確に述べられている方法で定義される。
【背景技術】
【0003】
フッ素化エラストマーは、特性の固有の組合せ(耐熱性、耐酸化性、耐紫外線(UV)性、老化防止性、腐食性の化学試薬に対する耐性、耐燃料特性、および耐吸水性;低い表面張力、誘電率および屈折率)を示す。これら諸特性の組合せは、所謂高度な技術(ハイテク)、例えば気密ジョイント(航空、宇宙工業)、半導体(マイクロエレクトロニクス)、ラジエータホース、管、ポンプ本体およびダイアフラム(化学工業、自動車工業および石油工業)における用途を見出すことを可能とする。
フッ素化エラストマー(Polym. J. 1985, 17: 253およびKaut. Gummi Kunst. 1986, 39: 196)および特にフッ化ビニリデン(または1,1-ジフルオロエチレン;VDE)を主成分とするコポリマーは、被覆および塗装または極最近の、例えば水素またはメタノールが供給される燃料電池用の、膜または構成部品等に適用するために、選択されるポリマーである。これらポリマーは、過酷な条件、酸化または還元に対して耐性であり、並びに炭化水素、溶媒、潤滑剤に対しても耐性である(Prog. Polym. Sci. 2001, 26: 105)。
【0004】
ところで、これらエラストマーの化学的な不活性さおよび機械的特性を改善するためには、これらを架橋する必要がある。VDFを主成分とするこれらエラストマーは、様々な方法(ポリアミン、ポリアルコールおよび有機パーオキシドの存在下で化学的にまたは放射線イオン化、または電子衝撃)によって架橋することができ、その詳細は、以下の文献に記載されている:レビューProgr. Poly. Sci. 1989, 14: 251および2001, 26: 105; Rubber Chem. Technol. 1982, 55: 1004, 著作物「モダンフルオロポリマーズ (Modern Fluoropolymers)」第32章, p. 597;または文献 Angew. Makromol. Chem. 1979, 76/77: 39に記載されている。しかし、ポリアミンまたはポリアルコールによって架橋された製品は、求める最適の用途には対応しない可能性がある[自動車工業で使用するためのポンプ本体、気密ジョイントまたはラジエータホース、ダイアフラム(Casaburo, Caoutchoucs et Plastiques, 1996, 753: 69)]。しかし、ヘキサメチルジシラザンによる、スルホニル基(-SO2F)の架橋が、より有望である。しかし、文献に記載されているフルオロスルホン化ポリマーは、余り多くはない。
【0005】
例えば、デュポン(DuPont)社は、テトラフルオロエチレン(TFE)とモノマー:F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2Fとを共重合することによって得られる膜、ナフィオン(NafionTM)を市販している。同様に、旭硝子(Asahi Glass)社は、膜フレミオン(FlemionTM)を製造するために、このスルホン化モノマーを利用している。同様な官能性を持つ他のモノマー、例えばF2C=CFOCF2CF(CF3)OC3F6SO2F(旭ケミカル(Asahi Chemical)社製の膜アシプレックス(AciplexTM)の製造のため)またはF2C=CFOC2F4SO2F(米国特許第4,358,412号)あるいは更にF2C=CFO[CF2CF(CF3)O]x(CF2)yCO2CH3(xが1でありかつyが2である場合には、膜ナフィオンまたはアシプレックスを得るために、またxが0でありかつyが3である場合には、膜フレミオンを得るために)等のカルボキシレート官能性をも持つものも、使用される。これらの膜は、特に例えば水素またはメタノールが供給される、燃料電池における分離膜として使用できる。
更に、刊行物J. Fluorine Chem. 1995, 72: 203並びに米国特許第5,463,005号(1995)は、独創的なスルホンアミドモノマー:F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2N(Na)SO2R(ここで、Rは基CF3またはOC4F8SO2N(Na)SO2CF3を表す)の合成を開示しており、このモノマーは新規な膜を得るために、TFEと共重合された。
【0006】
更に、特許PCT WO 99/45048およびWO 01/49757 A1は、VDFとパーフルオロ(4-メチル-3,6-ジオキサオクト-7-エン)スルホニルフルオライド(PFSO2F)、例えばF2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2Fとの容易な共重合を記載している。更に、米国特許第3,282,875号並びにPCT WO 01/49760 A1も、PFSO2F/VDF/HFPのターポリマー化を記載している。同様に、PCT WO 01/96268 A2並びにカナダ特許第2,328,433号も、夫々VDF/PFSO2Fおよびブロム化またはニトリルモノマーを主成分とする、フルオロスルホン化、ブロム化およびフルオロスルホン化ニトリルエラストマーの製造に関連している。その上、スルホニルフルオライド末端を持つモノマーの使用は、生成した該ポリマーの、(例えば、ヘキサメチレンジシラザンによる)架橋を好ましいものとし、またその熱安定性、機械的な特性および化学試薬、石油、強酸および酸化に対する耐性を改善する。
【0007】
文献においては、フルオロスルホン化モノマーを主成分とするコポリマー合成の大部分において、テトラフルオロエチレン(TFE)を介在させていることに注目することができる。
HFPを含むフルオロスルホン化モノマーの合成に関連して、文献は、主としてスルホニルフルオライド末端を持つ、トリフルオロビニルオキシモノマーを開示している(ナフィオン膜用(米国特許第3,282,875号(1966))、フレミオン(登録商標)またはコポリマーアシプレックス(登録商標)用のPFSO2Fモノマー)。
更に、構造:F2C=CF(CF2)xOC2F4SO2N(Na)SO2CF3(ここで、xは0または1);F2C=CFOCF2CF(CF3)OC2F4SO2N(Na)R (ここで、Rは基SO2CF3、SO2(C2F4)nSO2N(Na)SO2CF3(ここで、n=2、4)を持つモノマーの合成法の開発が実現でき、J. Fluorine Chem. 1995, 72: 203および特許US-A-5,463,005に記載されている。にも拘らず、1または複数の構成単位VDFおよび/または単位CTFEおよび/またはHFPを含む、スルホニルフルオライド末端を持つフッ素化モノマーは、全く文献に記載されていなかった。
【0008】
しかし、モノマー:F2C=CFSO2F (米国特許第3,041,317号に記載されている)の合成を除いて、如何なる論文または特許も、この合成も、ましてやスルホニルフルオライド末端を持つトリフルオロビニルモノマーの共重合が、VDFとのエーテル架橋を含んでいないこと、並びに(本発明の目的を構成する)これら2種のモノマーとHFPとの共重合をも引用していない。
結果として、特にエラストマー特性および/または特に低いガラス転移点を持つことに起因する、良好な熱安定性を示す、新規なコポリマーに対する需要がある。
同様に、容易に合成することができ、またコポリマーの新規な合成経路において有利に使用できるモノマー等に対する需要もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、スルホニルフルオライド末端において高度にフッ素化されたモノマー(MFSO2F)の調製および該モノマーの共重合を記載し、またビニリデンフルオライド(VDF)および/またはヘキサフルオロプロペン(HFP)および/またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と、フッ化アルケンとの共重合をも包含する。この方法は、新規なコポリマー、特に極めて低いガラス転移点(Tg)、良好な酸、石油および燃料に対する耐性および良好な応用性を示す、新規な架橋性フルオロスルホン化コポリマーエラストマーの合成に導く。テトラフルオロエチレン(TFE)もシロキサン基も含まない、問題とするこれらエラストマーは、従って従来技術に係るコポリマーに匹敵する諸特性を持つと共に、これらに対して固有の特性をも示す。
本発明は、また新規なフッ素化モノマーおよびこれらフッ素化モノマーの、本発明のコポリマーの合成における使用、並びにこれらフッ素化モノマーを合成するために使用するプリカーサ(例えば、固有のテロマー)にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の目的は、以下の一般式V1によって表されるフルオロ官能性ランダムコポリマー群によって構成される:
【0011】
【化1】
【0012】
ここで、X、YおよびZは水素またはフッ素原子またはCF3基であり;n、mおよびpは夫々独立に、好ましくはnが1〜20なる範囲、mについては1〜10およびpについては5〜400なる範囲内にある自然整数であり;RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
好ましい該コポリマーのサブグループは、以下の式VIで表される、フルオロ官能性ランダムコポリマーで構成される:
【0013】
【化2】
【0014】
ここで、n、mおよびpは夫々独立に、nについては1〜20なる範囲(好ましくは、nは3〜10なる範囲で変動する)、mについては1〜10(好ましくは、mは1〜5なる範囲で変動する)およびpについては5〜400なる範囲(好ましくは、pは10〜300なる範囲で変動する)内にある自然整数であり;RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
他の好ましいサブグループのコポリマーは、ビニリデンフルオライド68〜96モル%および/または4〜32モル%の、スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化された、トリフルオロビニルモノマーを含む、本発明のフルオロ官能性コポリマーにより構成される。
更に一層好ましくは、本発明のフルオロスルホン化コポリマーにおいて、該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位は、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドまたは1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドである。
【0015】
本発明の第二の目的は、本発明による上記コポリマーの製造を可能とする方法により構成される。この方法は、以下の式Iの化合物と、以下の式Vで表される化合物とを反応させる工程を含む:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す;
XYC=CZF (V)
好ましい態様によれば、本発明の方法は、以下の式IIで表される化合物を、該出発化合物Iとして使用して実施する:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)である。
【0016】
本発明の方法を実施するのに有利な他の態様は、以下の式V'で表される化合物:
F2C=CH2 (V')
と、上で定義したような、式Iで表される化合物とを反応させる工程を含む。
本発明のコポリマーの好ましい他のサブグループは、以下の式VIIIで表される、フルオロ官能性ランダムコポリマーのサブグループによって構成される:
【0017】
【化3】
【0018】
ここでa、b、cおよびdは夫々独立に、自然整数を表し、比:a/bは1〜15なる範囲内で変動し(好ましくは、この比は2〜10なる範囲内で変動し)、比:a/cは1〜25なる範囲内で変動し(好ましくは、この比は2〜15なる範囲内で変動し)、またdは10〜400なる範囲内で変動し(好ましくは、dは25〜250なる範囲内で変動し)、またRFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
本発明の目的を実現するのに好ましい他の態様によれば、該フルオロスルホン化コポリマーは、54〜87モル%なる範囲のフッ化ビニリデンおよび/または11〜34モル%なる範囲のヘキサフルオロプロペンおよび/または2〜12モル%なる範囲のスルホニルフルオライド末端において高度にフッ素化されたトリフルオロビニリデンモノマーを含む。
【0019】
更に一層好ましくは、本発明のフルオロスルホン化コポリマーにおいて、該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマーは、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドである。
好ましい例として、本発明のフルオロスルホン化コポリマーは、以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(CH2CF 2SO2F)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2SO2F; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CH2CF2SO2F)-CH2CF2-;および-CH2CF2-CF2CF(CF3)-を有し、これら官能基は、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト:+45; -70〜-75; -83; -91; -92; -93; -95; -105; -108; -110; -112; -113; -116; -120; -121; -122; -127; -161〜-165; および-180〜-185を持つ。
【0020】
該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマーが、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドである、フルオロスルホン化コポリマーが好ましい。
本発明のフルオロスルホン化コポリマーの他の例は、以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -CF2CF(CF 3)SO2F; tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-; -CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-および-CH2 CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CF2CF(CF3)-; -CF2CF[CF 2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; および-CF2CF[CF2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-を有し、これら官能基は、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト(ppm):+45; -70〜-75; -75〜-77; -83; -91; -95; -108; -110; -113; -116; -120; -122; -125; -127; -180; -182; および-205を持つ。
【0021】
特に興味深い本発明のコポリマーのサブグループは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーおよび上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーによって構成され、これらコポリマーは、架橋性フルオロスルホン化エラストマーであることを特徴とする。
特に興味深い他のサブグループのコポリマーは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーおよび上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーであって、低いガラス転移点(Tg)を示す上記コポリマーによって構成される。好ましくは、これらフルオロスルホン化コポリマーは、0℃よりも低い、ASTM規格E-1356-98に従って測定したガラス転移温度(点)を持つ。より一層好ましくは、本発明によるこれらフルオロスルホン化コポリマーは、境界部分を含む-30〜-5℃なる範囲内のガラス転移点を示す。最も好ましくは、これらフルオロスルホン化コポリマーは、-20℃よりも低いガラス転移点を示す。
【0022】
特に興味深い更に別のサブグループのコポリマーは、前に定義したようなフルオロスルホン化コポリマーまたは上で規定したような方法により得ることのできるコポリマーであって、10℃/分なる速度にて、空気中で、熱重量分析(TGA)により測定した、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する380℃までの熱安定性を示す。より一層好ましいものは、10℃/分なる速度にて、空気中で、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する315℃までの熱安定性を示すコポリマーである。
本発明のもう一つの目的は、本発明によるコポリマーの製造方法を提供することにあり、該方法は、以下の一般式V'で表される化合物と、以下の式Iで表される化合物と、以下の式VIIで表される化合物とを反応させる工程を含む:
F2C=CH2 (V');F2C=CF-RF-SO2F (I)
(ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す)および
F2C=CFCF3 (VII)
【0023】
好ましくは、本発明のこの方法は、タンク内で(「バッチ式」にて)行われる。
有利な他の態様によれば、この本発明の方法は、エマルション、ミクロエマルション、懸濁液または溶液状態で実施する。
更に、好ましくは、該共重合を、有機ラジカル重合開始剤の存在下でまたは少なくとも一種の過硫酸塩の存在下で行う。該ラジカル重合開始剤は、少なくとも一種の過酸化物および/または少なくとも一種の過酸エステルである。
一例として、本発明の共重合法は、t-ブチルパーオキシピバレートの存在下で、好ましくは70〜80℃なる範囲の温度、より好ましくは約75℃なる温度にて、あるいはt-ブチルパーオキシドの存在下で、好ましくは135〜145℃なる範囲の温度、より好ましくは約140℃なる温度にて行うことができる。
【0024】
また、本発明のフルオロ官能性コポリマーの合成は、好ましくは、式:R-COO-R'で表されるエステル、ここでRおよびR'は、水素原子または1〜5個の炭素原子を含むことができるアルキル基であるが、同様にヒドロキシル基(OH)またはエーテル基:OR”であってもよく、ここでR”は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、好ましくはR=HまたはCH3かつR'=CH3、C2H5、i-C3H7、t-C4H9であり、および
パーフルオロ-n-ヘキサン、n-C4F10、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC75)等の型のフッ素化溶媒、および
アセトン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはブチロニトリル、および
対応するこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも一種の有機溶媒の存在下で、有利に実施することができる。
【0025】
特に興味深い態様では、該有機溶媒は、パーフルオロ-n-ヘキサンまたはアセトニトリルで構成される。
有利には、該共重合が起こる該反応媒体中において、初期モル比:[重合開始剤]0/Σ[モノマー]0は、0.1〜2%なる範囲、好ましくは0.5〜1%なる範囲内にある。この式において、[重合開始剤]0なる表現は、該開始剤の初期モル濃度を表し、またΣ[モノマー]0なる表現は、全モノマーの初期濃度を表す。
本発明の更に別の目的は、以下の式Iで表されるモノマー群によって構成される:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
【0026】
好ましいサブグループは、以下の式IIで表されるモノマーによって構成される:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは、wは0〜5なる範囲内で変動し)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは、xは0または1を表し)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは、yは0または10を表す)にある。
好ましくは、これらモノマーにおいて、該ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位は、統計的に分配された、即ちブロック形状を示さないものである。
本発明のモノマーの、更に別の好ましいサブグループは、以下の式II1およびII2で表される化合物によって構成される:
F2C=CFCH2CF2SO2F (II1);F2C=CFCF2CF(CF3)SO2F (II2)
【0027】
本発明のこれらモノマーは、有利には下記式IIIのテロマーの化学的な転位(加工):
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)であり、
により製造され、該化学的転位(加工処理)は、スルフィン化、塩素化および末端基:-SO2Naのフッ素化段階の内の、少なくとも2または3段階を含む、以下の式IVで表される化合物を調製する工程であり:
ClCF2CFClRF-SO2F (IV)
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)であり、
次いで、このようにして得た上記式IVのフルオロスルホン化テロマーを、脱塩素化して、以下の式IIの化合物を得ることにより製造できる:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である)にある。
【0028】
本発明の更に別の目的は、以下の式III:
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)にある、
で表される化合物の、以下の式II:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、上記式IIIにおけるものと同一の意味を有し、
で示される化合物を得るためのプリカーサ化合物としての使用によって構成される。
本発明の別の目的は、上記式IIIで表されるテロマー群によって構成される。その例としては、好ましくは以下の式III1またはIII2で表される:
ClCF2CFClCH2CF2I (III1);ClCF2CFClCF2CF(CF3)I (III2)
式III、III1およびIII2のテロマーは、有利にはビニリデンフルオライド、および/またはヘキサフルオロプロペンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、ClCF2CFClIとのテロマー化またはこれらの段階的な同時テロマー化によって合成することができる。
【0029】
本発明のもう一つの目的は、上で定義したような、架橋性のフルオロスルホン化エラストマー群から選択される、フルオロスルホン化コポリマーのスルホニルフルオライド基を架橋する方法によって構成され、この方法は、上記ポリマーと、隣接ポリマー鎖に由来する2つのスルホニル基間の反応を可能とする架橋剤とを接触させて、これらの間に架橋結合を形成する工程を含み、またかくして得たポリマーは、該架橋結合の少なくとも一部が、帯電イオンを持つことによって特徴付けられる。
本特許出願のもう一つの目的は、膜、電解質ポリマー、イオノマー、特に水素またはメタノールを供給する燃料電池用の膜を製造するための、気密ジョイントおよびリング付き継手、ラジエータホース、管、ポンプ本体、ダイアフラム、ピストンヘッド(航空学、石油工業、自動車工業、鉱業、原子力工業における用途が見出されている)を得るための、およびプラスチック成型加工品(使用するための補助製品)として、架橋性フルオロスルホン化エラストマーの利用によって構成される。
【0030】
本発明の更なる目的は、イオン交換型および好ましくはカチオン交換型の膜を製造する方法によって構成され、この方法は、本発明による該コポリマーの様々な加工処理、当業者により一般的に利用されている種々の加工処理を含み、特に国際公開WO 99/38897号およびより詳しくはその実施例1〜11に記載されている加工処理を含む。
このような膜は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の技術に従って、加工する工程を含む方法により、容易に得られる。
電解質ポリマー等は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法に従って加工することにより、容易に得られる。
イオノマー等は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法従って加工することにより、容易に得られる。
【0031】
上記の如きリング付き継手は、1または複数の本発明の目的とするエラストマーを、当業者には公知の方法従って加工することにより、容易に得られる。
従って、本発明は、特にスルホニルフルオライド末端を持つVDF、HFPまたはCTFEを主成分とする、反応性のトリフルオロビニルモノマーの合成およびVDF、または更にVDFとHFPを主成分とするフッ素化エラストマーの製造、およびこれらの架橋、並びにこれらの応用分野に関する。これらフルオロスルホン化ポリマーの架橋は、例えばヘキサメチルジシラザンの存在下で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の幾つかの局面の詳細な説明
VDE および / または HFP および / または CTFE を主成分とする、スルホニルフルオライド末端を持つトリフルオロビニルモノマーの合成
本発明の主な目的の一つは、フルオロオレフィンとの共重合において反応性で、しかもスルホニルフルオライド末端を持つ、高度にフッ素化された新規なトリフルオロビニルモノマーを提供することにある。この目的は、以下の式Iで表される化合物によって達成される:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。
より詳しくは、本発明は、以下の式IIで表される化合物を提案する:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲、xについては0〜5なる範囲およびyについては0〜5なる範囲内にある。
【0033】
構成成分VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含有する、トリフルオロビニルモノマーは、以下の式IVで表される、対応するプリカーサの脱塩素化により調製される:
ClCF2CFClRF-SO2F (IV)
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である。
上記反応中間体は、以下の式IV'で表される、対応するスルホニルクロリド末端を持つ化合物の、KFの存在下でのフッ素化により得られる:
ClCF2CFClRF-SO2Cl (IV')
ここで、RFは式IVにおけるものと同じ意味をもつ。
【0034】
上記クロロフルオロ誘導体は、以下の式IV”で表される、-SO2Na末端を持つ分子の塩素化により調製される:
ClCF2CFClRF-SO2Na (IV'')
ここで、RFは式IVにおけるものと同じ意味をもつ。
これらの(パー)ハロゲン化スルフィン酸塩は、Na2S2O4/NaHCO3の存在下で、以下の式III'で表される、ω-ヨウ素化テロマーから合成される:
ClCF2CFClRF-I (III')
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10なる範囲(好ましくは5以下)、xについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)およびyについては0〜5なる範囲(好ましくは1以下)である。
【0035】
式III'で示されるこれらテロマーは、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEと、ClCF2CFCl-Iとのテロマー化または段階的なコ-テロマー化によって得られ、該最後の化合物は、CTFEにIClを付加することにより調製される。
一例として、1または複数の構成単位VDFおよび/または構成単位HFPおよび/または構成単位CTFEを含む、これらのトリフルオロビニルモノマーの合成は、特に以下の反応メカニズムによって例示でき、また纏めることができる:
【0036】
【0037】
ここで、nは境界を含む、0〜5なる範囲内の自然整数であり、RFは1または複数のフッ化ビニリデン(VDF)構成単位および/またはヘキサフルオロプロペン(HFP) 構成単位および/またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)構成単位を表す。
フルオロスルホン化エラストマーの製造
本発明によるフルオロスルホン化エラストマーの製造は、様々な型の重合、即ちエマルション重合、ミクロエマルション重合、塊状重合、懸濁重合および溶液重合を実施することにより実現できる。溶液重合が、合成の好ましい経路である。
【0038】
使用する様々なフッ素化アルケンは、多くても4個の炭素原子を有し、また構造:R1R2C=CR3R4を有し、ここで、基Ri (iは境界を含む1〜4なる範囲内の整数である) は、これらRiの少なくとも一つが、フッ素化されあるいはパーフルオロ化されているような基である。従って、これはビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオライド(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、3,3,3-トリフルオロプロペンおよび一般的なあらゆるフッ素化されあるいはパーフルオロ化されたビニル化合物を包含する。更に、パーフルオロビニルエーテルも、コモノマーの役目を果たす。これらの中で、特にアルキル基が1〜3個の炭素原子を持つ、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、例えばパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)およびパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)を挙げることができる。
【0039】
これらモノマーは、また米国特許第3,291,843号およびレビューProg. Polym. Sci. (M. Yamabe等, 1986, 12: 229; A.L. Logothetis, 1989, 14: 251およびB. Ameduri等, 2001, 26: 105)に記載されている、パーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(PAAVE)、例えばパーフルオロ-(2-n-プロポキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(2-メトキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(3-メトキシ)-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-(2-メトキシ)-エチルビニルエーテル、パーフルオロ-(3,6,9-トリオキサ-5,8-ジメチル)-ドデカ-1-エン、パーフルオロ-(5-メチル-3,6-ジオキソ)-1-ノネンであっても良い。その上、カルボキシ末端およびスルホニルフルオライド末端を持つ、パーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルモノマー(例えば、パーフルオロ-(4-メチル-3,6-ジオキサオクト-7-エン)スルホニルフルオライド)も、本発明において記載するフッ素化エラストマーを合成するために利用できる。PAVEとPAAVEとの混合物を、該コポリマー中に存在させることが可能である。
【0040】
この溶液重合を実施するのに使用する溶媒は、好ましくは、以下に列挙するものである:式:R-COO-R'で表されるエステル、ここでRおよびR'は水素原子または1〜5個の炭素原子を含むことができるアルキル基であるが、同様にヒドロキシル基(OH)またはエーテル基:OR”であってもよく、ここでR”は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、より具体的には、R=HまたはCH3かつR'=CH3、C2H5、i-C3H7、t-C4H9であり;パーフルオロ-n-ヘキサン、n-C4F10、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC75)等の型のフッ素化溶媒;アセトン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはブチロニトリル;および対応するこれらの混合物。
これら溶媒は、変動する量のアセトニトリルとパーフルオロ-n-ヘキサンであることが好ましい。使用する溶媒の量は、一般的には反応器容積の約40%〜75%なる範囲内にある。更に、これら溶媒を混合物として使用する場合、これら溶媒は、好ましくは50%-50%なる割合で存在する。
【0041】
反応温度範囲は、該開始剤の分解温度によって決定され、また20〜200℃なる範囲内で変えることができる。有利に使用できる温度は、55〜80℃なる範囲内にある。
本発明の方法においては、通常のラジカル重合用開始剤の存在下で、該重合を開始することができる。このような開始剤の代表的な例は、アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル:AIBN)、ジアルキルパーオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキサンスルホニルパーオキシド、アリールまたはアルキルパーオキシド、例えばジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシド、t-アルキルパーベンゾエートおよびt-アルキルパーオキシピバレートである。しかし、好ましくは、ジアルキルパーオキシド(好ましくは、t-ブチルパーオキシド)、ジアルキルパーオキシジカーボネート、例えばジエチルおよびジ-イソプロピルパーオキシジカーボネートおよびt-アルキルパーオキシピバレート、例えばt-ブチルおよびt-アミルパーオキシピバレートであり、またより一層好ましくはt-アルキルパーオキシピバレートである。
【0042】
該エマルション重合法に対しては、我々は大量の補助溶媒を使用し、該補助溶媒は、水との混合物において、様々な割合で使用される。同様に、様々な界面活性剤を使用した。
使用する重合法の一つは、欧州特許EP 250,767号に記載されている如き、ミクロエマルション重合法、または米国特許第4,789,7171号または欧州特許196,904号、同第280,312号および同第360,292号に示されているような、分散重合法であっても良い。
反応圧力は、実験条件によれば、0.2〜12 MPa (2〜12 bar)なる範囲で変動する。
【0043】
連鎖移動剤は、得られるコポリマーの分子量を調節し、かつ主としてこの分子量を減じるために、一般に使用することができる。これらの中で、特に1〜10個の炭素原子を含み、末端臭素またはヨウ素原子をもつテロゲン、例えばRFX (ここで、RFは式:CnF2n+1 (n=1〜10、境界を含む)で示されるパーフルオロ基であり、Xは臭素またはヨウ素原子を表す)またはXRF'X (RF'=(CF2)n、但しn=1〜6、境界を含む)で示される型の化合物、またはアルコール、エーテル、エステルを挙げることができる。フッ素化モノマーのテロマー化において使用できる、種々の連鎖移動剤のリストは、レビュー「フルオロアルカンのテロマー化反応(Telomerization Reactions of Fluoroalkanes)」、B. Ameduri & B. Boutevinのトピックスインカレントケミストリー (Topics in Current Chemistry), R.D. Chambers編, Vol. 192, pp. 165-233 スプリンガー-フェアラグ, 1997 に示されている。
フッ素化コポリマーの生成に導く、使用されたフッ素化モノマーから合成可能な、種々のコポリマーの相対的な割合の全範囲を検討し、また対応する結果を、以下の表1および2に報告する。
【0044】
これら生成物を、重水素化されたアセトンまたはDMF中で、1Hおよび19FのNMRにより分析した。この分析法は、これら生成物中に組み込まれたコモノマーの割合を正確に知ることを可能とする。例えば、文献(Polymer, 1987, 28: 224; J. Fluorine Chem. 1996, 78: 145)並びに国際公開PCT WO 01/49757 A1およびWO 49760 A1において特徴付けられている微細構造に基いて、コポリマーVDF/MFSO2F(表2)およびコポリマーHFP/MFSO2F/VDF(表3および4)の19FのNMRによる特性シグナル間の関連性は、これら生成物の構図を確定することを可能とした。この分析は、ダイアド(diades) VDF/MFSO2F、VDF/HFPおよびHFP/MFSO2F並びにブロック単位VDFの頭-尾および頭-頭結合(夫々、-91および-113、-116ppm)の存在を明らかにする。
これらコポリマーVDF/HFP/MFSO2Fに導入された種々のモノマーのモル%は、以下に与えられる式1、2および3に基いて決定され、以下の表3に報告されており、そこでM1FSO2Fは1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライド、即ちCF2=CFCH2CF2SO2Fを表す。
【0045】
式1:VDF (モル%) = A/(A+B+C)
式2:HFP (モル%) = B/(A+B+C)
式3:M1FSO2F (モル%) = C/(A+B+C)
上記式において、A = I-83+I-91+I-92+I-93+I-95+I-108+I-110+I-113+I-116+I-127;B = I-120+I-121;C = I-105である。また、I-iは19FのNMRスペクトルにおける-i ppmに位置するシグナルの積分値である。
これらコポリマーVDF/HFP/M2FSO2F内の種々のモノマーの量(モル%)は、以下に示す式4、5および6に基づいて決定され、また以下の表4に報告されており、ここでM2FSO2Fは、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライド、即ちCF2=CFCF2CF(CF3)SO2Fを表す:
式4:VDF (モル%) = D/(D+E+F)
式5:HFP (モル%) = E/(D+E+F)
式6:M2FSO2F (モル%) = F/(D+E+F)
これらの式において、D = I-83+I-91+I-95+I-102+I-108+I-110+I-113+I-116+I-127;E = I-120;F = I-122である。また、I-iは19FのNMRスペクトルにおける-i ppmに位置するシグナルの積分値である。
【0046】
示差熱分析(DSC)によって、これらコポリマーが固有のガラス転移温度(Tg)を示し、また融点を示さないことを確認した(表1および2)。これらの低いTgの値は、特にフルオロスルホン化ポリマーにとっては固有である、高い弾性特性を表すものである。これらガラス転移温度(Tg)は、ASTM E-1356-98規格に従って測定される。同時に、これらのフルオロスルホン化コポリマーについて、空気中で行われた、熱重量分析(TGA)によって決定した熱安定性は、極めて満足なものである(表1および2)。
このような組成を持つこれらコポリマーは、良好なエラストマー特性、特に極めて良好な低温に対する耐性との組合せで、燃料、ガソリン、t-ブチルメチルエーテル、アルコール、エンジンオイルおよび強酸(例えば、HCl、HNO3およびH2SO4)に対する極めて良好な耐性を持つ、例えば水素またはメタノールが供給される燃料電池の部品、特にプロトン系膜の製造、並びにリング付き継手、ポンプ本体ダイアフラムの製造における用途を見出すことができる。これらのコポリマーは、また従来から使用されている試薬の存在下で、架橋できるという利点をも有する。
【0047】
本発明のエラストマーは、特にヘキサメチルジシラザンを主成分とする系を使用して、架橋することができる。これら系は周知であり、例えばスルホニル官能基の架橋については、論文:Inorg. Chem. 1983, 23: 3720に、また国際特許WO 99/05126号およびカナダ特許出願第2,283,132号に記載されている。
更に、パーフルオロポリマーが、フッ素イオンが容易に除去されるという事実およびパーフルオロ鎖の立体的な嵩張りのために、フッ素化されていないポリマーに対して利用されている従来の技術によっては、通常架橋することができないことは、周知である。しかし、特許出願PCT WO 99/38897号に記載されている一般的な技術(その内容を本発明の参考文献としてここに組み入れる)は、架橋の形成、即ち例えば以下のようなモノマー誘導体およびそのコポリマー等の、パーフルオロ骨格を持つものを包含する、隣接ポリマー鎖に結合したスルホニル基同士の結合の形成を可能とする:
【0048】
【化4】
【0049】
ここで、XはF、ClまたはCF3であり、nは0〜10なる範囲の値である(境界を含む)。
有利には、この架橋は、該ポリマーが非-イオン性ポリマープリカーサ形状にあり、かつ所定の形状に成型またはプレスした後に、行うことができる。このように、極めて高い機械的な抵抗性を持つ材料が得られる。本発明は、また該架橋されたポリマーを、膜または中空繊維(以下「膜」という)形状に成型または圧縮して、燃料電池、水の電解槽、塩素-ソーダ法、電気的合成(electrosynthese)、水の処理およびオゾンの製造において利用することにも関連する。この架橋技術によって導入されたイオン性基の、強力な分解性および該ポリマー鎖の不溶性に基く、該架橋ポリマーの、幾つかの化学反応における触媒としての使用も、本発明の一部を構成する。
安定な架橋の生成は、隣接ポリマー鎖の持つ2つの-SO2L基間の反応を介して行われる。この反応は、架橋剤により開始され、また以下の式に従って誘導体の生成を可能とする:
【0050】
【化5】
【0051】
ここで、rは0または1であり、
Mは無機または有機カチオンを含み、
YはNまたはCRを含み、ここでRはH、CN、F、SO2R3、置換または無置換のC1-20アルキル基、置換または無置換のC1-20アリール基、置換または無置換のC1-20アルケニル基を含み、該置換基は1または複数のハロゲン原子を含み、該鎖は、1または複数の置換基F、SO2R、アザ、オキサ、チアまたはジオキサチアを含み、
R3はF、置換または無置換のC1-20アルキル基、置換または無置換のC1-20アリール基、置換または無置換のC1-20アルケニル基を含み、該置換基は1または複数のハロゲン原子を含み、
Qは二価のC1-20アルキル基、C1-20オキサアルキル基、C1-20アザアルキル、C1-20チアアルキル、C1-20アリールまたはC1-20アルキルアリール基を含み、その各々は、場合により1または複数のハロゲン原子により置換されていてもよく、また該鎖は、1または複数の置換基オキサ、アザまたはチアを含み、
【0052】
AはM、Si(R')3、Ge(R')3またはSn(R')3を含み、ここでR'はC1-18アルキル基であり、
Lは不安定な基、例えばハロゲン原子(F、Cl、Br)、ヘテロ環式求電子基、N-イミダゾリル、N-トリアゾリル、R2SO3を含み、ここでR2は場合によりハロゲン化された有機基であり、および
R2はプロトン;アルキル、アルケニル、オキサアルキル、オキサアルケニル、アザアルキル、アザアルケニル、チアアルキル、チアアルケニル、ジアルキルアゾ、場合により加水分解できるシラアルキル(silaalkyles)、場合により加水分解できるシラアルケニル(silaalkenyles)、これらの基は直鎖、分岐または環式であり得、また1〜18個の炭素原子を含むことができ;場合により1または複数のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄を含有する、少なくとも一つの側鎖を含む、炭素原子数4〜26の脂肪族環式またはヘテロ環式基;場合により芳香核または置換基内に1または複数のヘテロ原子を含む、炭素原子数5〜26のアリール、アリールアルキル、アルキルアリールおよびアルケニルアリール基を含む。
【0053】
該架橋反応は、スルホニル基全体または該基の一部のみが、関与できる。これら架橋反応試薬は、当業者には周知の様々な技術に従って、添加しまたは使用することができる。有利には、該ポリマーを、該架橋処理前に、膜または中空繊維等の所定の形状に成型し、またこの材料を、このカップリング反応を助長する1または複数の溶媒中の架橋剤溶液に浸漬しまたは該溶液で被覆する。
部分的にのみこれらポリマー鎖間の架橋結合の生成が必要とされる場合、残留する-SO2L基は、通常の方法で加水分解して、アルカリ加水分解によりスルホネート形状にすることが可能である。
【0054】
本発明の方法に従って得られる該架橋されたポリマーは、例えば(CH3)3SiFまたは(CH3)3SiCl等の揮発性物質であり得る、該反応の副生成物を、容易に除去することを可能とする。あるいはまた、該架橋されたポリマーは、水または該ポリマーが不溶性である有機溶媒等の適当な溶媒により洗浄することができる。更に、当業者には周知の古典的な方法、例えばイオン交換または電気泳動法が、該架橋反応中に得られたおよび/または非-架橋性のイオン発生(ionogene)試薬に由来するカチオンM+を、最終的な用途にとって望ましいで置換するために利用できる。
【0055】
表1:モノマーM1FSO2Fを使用した、ラジカル共重合操作の条件および結果
【表1】
温度:75℃;期間:15時間;P.P.:t-ブチルパーオキシピバレート;N.C.: 計算せず;*:ボロシリケート製のカリウス管;**:ハステロイ製の反応器
【0056】
表2:モノマーM2FSO2Fを使用した、ラジカル共重合の操作条件および結果
【表2】
t-ブチルパーオキシピバレートに対しては、75℃にて、またt-ブチルパーオキシドに対しては、140℃にて6時間。P.P.: t-ブチルパーオキシピバレート;t-Bu:t-ブチルパーオキシド
【0057】
表3:コポリマーVDF/M1FSO2F/HFPの、19F NMRによる特徴付け
【表3】
【0058】
表4:コポリマーVDF/M2FSO2F/HFPの、19F NMRによる特徴付け
【表4】
【実施例】
【0059】
以下に示される実施例は、純粋に例示的なものであり、本発明を何等限定するものと理解すべきではない。
実施例1:1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンの合成
磁気撹拌子、175.5g(1.08モル)のモノクロロアイオダイド(ICl)、1.1g(0.006モル)のベンゾフェノンおよび150gの塩化メチルを含むカリウス管(内径:78mm;厚み:2.5mm;および長さ:310mm)を、液体窒素/アセトン(-80℃)混合物中で冷却する。そこで、真空/窒素サイクルを3回行った後、131g(1.12モル)のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を、該管に導入する。このカリウス管を密閉し、次いで段階的に周囲温度まで加温する。次に、この溶液を、UV照射(水銀灯、フィリップス(Philips) HPK、125W)の下で6時間撹拌する。この粗反応物は、ヨウ素結晶を含有する、濃いバラ色の溶液である。蒸留により、収率68%にて、204.9gのバラ色の液体(TEb = 99-101℃)が得られる。この得られた生成物は、2種の異性体:1-ヨード-1,2-ジクロロトリフルオロエタン(92%)および1,1-ジクロロ-2-ヨードトリフルオロエタン(8%)の混合物である。
第一異性体の19F NMRスペクトル:δ(CDCl3): 系ABX
δ(F2a)=-62.31; δ(F2b)=-65.25; δ(F1)=-72.87; J(F2a-F2b)=163.9Hz; J(F2a-F1)=14.4Hz; J(F2b-F1)=15.6Hz
第二異性体の19F NMRスペクトル:δ(CDCl3): 系A2X
δ(F1)=-55.60; δ(F2)=-67.65; J(F1-F2)=14.4Hz
【0060】
実施例2:フッ化ビニリデンと1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
マノメータ、2つの弁(ガスと塩析との間)および破壊板を備えた、300mlのハステロイ製の反応器に、123.1g(0.44モル)のClCF2CFCl-Iを導入する。この反応器を閉じ、その気密性を確かめるために、加圧下に窒素ガスで満たし、ガス抜きし、アセトン/液体窒素混合物中で-80℃に冷却し、次いで真空条件下に置く。これに、45g(0.44モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。引続き、この反応器を周囲温度まで戻し、次いで段階的に175℃まで加熱して、最大圧力を3.5 MPa (35 bar)とする。この圧力を徐々に1 MPa (10 bar)まで下がるが、これはVDFの消費に相当する。反応時間は14時間である。周囲温度まで冷却した後、この反応器を氷中で冷却し、次いで段階的にガス抜きする。この粗生成物(ヨウ素の粒子を含むバラ色の液体)のクロマトグラフィーCPVは、1,2-クロロ-1-ヨードトリフルオロエタンの、ほぼ完全な転化、即ち多量の一付加物:ClCF2CFClCH2CF2-I (87%)、二付加物:ClCF2CFCl(VDF)2-I (10%)および三付加物:ClCF2CFCl(VDF)3-I (3%)の生成を示す。全体としての収率は、85%である。蒸留後に、まず一付加物:1,2-ジクロロ-4-ヨード-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタン(ICF2CH2CFClCF2Cl)をバラ色の液体(TEb = 133-135℃)として、次いで91%のClCF2CFClCH2CF2CH2CF2-Iおよび9%のClCF2CFClCH2CF2CF2CH2-Iをバラ色の液体(TEb = 78-84℃/20 mmHg)として回収する。
【0061】
一付加物の NMR による特徴付け
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH 2, 3JHF=16.0Hz, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -68 (系AB, 2JFF=169.3Hz, 3JF1F2=9.5Hz, 3JF1bF2=9.8Hz, ClCF2, 2F); -118.5および-122.3 (系ABXのX部分, 3JFH=9.6Hz, CFCl-, 1F)
二付加物の NMR による特徴付け
この二付加物は、91%の異性体:ClCF2CFClCH2CF2CH2CF2-I (A)および9%の異性体:ClCF2CFClCH2CF2CF2CH2-I (B)を含む化合物である。
1H(CDCl3) NMR:δ=2.9 (m, AのCFClCH2CF2); 3.2 (m, BのCFClCH2); 3.4 (qi, 3JHF=16.0Hz, AのCH2CF2-I); 3.6 (tt, 3JHF=18.0Hzおよび4JHF=1.2Hz, BのCF2CH2-I)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, AのCH2CF2-I); -68 (系AB, AおよびBのClCF2); -88.7 (m, AのCF 2CH2CF2-I); -108 (m, BのCF2CH2-I); -112.8 (m, BのCF 2CF2CH2-I); -118.2および-122.6 (系ABXのX部分, AおよびBのCFCl)
【0062】
実施例3:ヘキサフルオロプロペンと1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
実施例2で使用したものと同一の、300mlの反応器内に、70.4g(0.25モル)のClCF2CFCl-Iを導入し、オートクレーブを閉じた後、冷却し、真空にし、窒素を導入し、真空にし、90g(0.63モル)のヘキサフルオロプロペンを、この反応器に導入する。この反応器を2.5日間に渡り220℃まで加熱し、圧力を、最大値の9.2 MPa (92 bar)を越えさせ、次いで段階的に3.7 MPa (37 bar)まで下げる。この反応器を冷却し、次いで過剰量のHFPをガス抜きした後、該オートクレーブを開放する。HFP(15%)、痕跡量のClCF2CFCl-I、一付加物(78%)および二付加物(6%)で構成される、この粗反応生成物(ヨウ素の結晶を含む黒ずんだ液体)を、蒸留する。該一付加物、即ち1,2-ジクロロ-4-ヨード-パーフルオロペンタンは、光によって次第に濃くなるバラ色の液体(TEb = 89-95℃/25 mmHg)であり、また2種のジアステレオマー異性体を含む。
【0063】
19F(CDCl3) NMR:δ=-69 (m, ClCF2, 2F); -74 (m, CF3, 3F); -107および-115 (m, CF 2CFI, 等価でない2つのF原子, 2F); -118および-123 (m, CFCl, 1F); -145 (m, CF, 1F)
痕跡量の異性体(対掌体)、即ち1-ヨード-3,4-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-パーフルオロブタン(ClCF2CFClCF(CF3)CF2I)の存在が観測される。
19F(CDCl3) NMR:δ=-60 (m, CF2I, 2F); -69 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -125および-132 (m, CFCl, 1F); -180 (m, CF, 1F)
【0064】
実施例4:クロロトリフルオロエチレン(CTFE)と1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンとのテロマー化
実施例2に記載のものと同一の反応器に、82.5g(0.294モル)の1,2-ジクロロ-1-ヨードトリフルオロエタンを導入し、また冷却し、真空引きした後に、35g(0.300モル)のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を、該反応器に導入する。この反応を170℃にて16時間行うと、最大圧力は5.3 MPa (53 bar)に達し、次いで2.4 MPa (24 bar)まで低下する。収率は78%である。一付加物、即ち1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタン(95%)を蒸留(TEb = 115-119℃/24 mmHg)する。これは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-67 (m, ClCF2, 2F); -69〜-72 (系ABXのX部分, m, CFCl-I, 1F); -98〜-105 (系AA', CF 2CFCl, 2F); -120〜-126 (m, ClCF2CFCl, 1F)
少量の異性体:1,2,3-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタン(5%)も、同様に2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-49〜-53 (系AB, CF2I, 2F); -67 (m, ClCF2, 2F); -115 (X部分, CFClCF2, 1F); -118〜-123 (m, ClCF2CFCl, 1F)
【0065】
実施例5:ヘキサフルオロプロペンと4-ヨード-1,2-ジクロロ-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタンとのテロマー化
62.5g(0.182モル)の4-ヨード-1,2-ジクロロ-1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタンおよび82g(0.547モル)のHFPを含む、実施例2に記載したものと同一の、300mlの反応器を、撹拌しつつ、210℃にて3日間加熱する。圧力は7.7 MPa (77 bar)から3.2 MPa (32 bar)に移行する。収率は70%である。一付加物、即ち6,7-ジクロロ-2-ヨード-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン(ClCF2CFClCH2CF2CF2CFICF3)を蒸留(TEb = 110-118℃/22 mmHg)する。また、これは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -74 (m, CF3, 3F); -110 (系AB, CH2CF 2, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F); -120 (系AB, CF 2CF, 2F); -145 (m, CF, 1F)
【0066】
実施例6:ヘキサフルオロプロペンと1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンとのテロマー化
73.5g(0.186モル)のClCF2CFClCF2CFCl-Iおよび78g(0.52モル)のHFPを含む、実施例2で使用したものと同一の反応器を、230℃にて3日間加熱する。6.5 MPa (65 bar)なる最大圧力は、2.4 MPa (24 bar)まで低下する。反応後、得られる粗生成物を蒸留し、反応しなかった移動剤を除去した後、一付加物(TEb = 48-51℃/0.1 mmHg)を収率76%で得る。この一付加物、即ち4,6,7-トリクロロ-2-ヨードパーフルオロヘプタン(ClCF2CFClCF2CFClCF2CFICF3)は、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -73 (m, CF3, 3F); -99〜-100 (m, 中央のCF2およびCF 2CF, 4F); -114〜-119 (m, 中央のCFCl, 1F); -121〜-125 (m, ClCF2CFCl, 1F); -146 (m, CF, 1F)
【0067】
実施例7:フッ化ビニリデンと1,2-ジクロロ-4-ヨードパーフルオロペンタンとのテロマー化
180.3g(0.42モル)の1,2-ジクロロ-4-ヨードパーフルオロペンタンおよび30g(0.47モル)のVDFを含む、同一の300mlの反応器を、180℃にて15時間加熱する。2.7 MPa (27 bar)なる最大圧力は、0.9 MPa (9 bar)まで低下する。反応後、得られる粗生成物を蒸留する。収率は75%である。得られた生成物(TEb = 80-86℃/20 mmHg)、即ち1,2-ジクロロ-6-ヨード-4-トリフルオロメチル-1,1,2,3,3,4,6,6-オクタフルオロヘキサンは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -69 (m, ClCF2, 2F); -73 (m, CF3, 3F); -110〜-118 (系AB, 中央のCF2, 2F); -121および-126 (m, CFCl, 1F); -182 (m, CF, 1F)
【0068】
実施例8:フッ化ビニリデンと1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンとのテロマー化
90.2g(0.23モル)の1,2,4-トリクロロ-4-ヨードパーフルオロブタンおよび28g(0.43モル)のVDFを含む、同一の300mlの反応器を、180℃にて16時間加熱する。この間に、該反応器の圧力は、2.5 MPa (25 bar)から0.7 MPa (7 bar)に移行する。反応後、一付加物、即ち1,2,4-トリクロロ-6-ヨード-1,1,2,3,3,4,6,6-オクタフルオロヘキサン(ClCF2CFClCF2CFClCH2CF2I)を蒸留(TEb = 42-47℃/20 mmHg)する。収率は、79%である。これには、2種のジアステレオマー異性体が存在する。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-38 (m, CF2I, 2F); -68 (m, ClCF2, 2F); -95〜-100 (m, CFClCF2CFCl, 2F); -114〜-117 (m, CFClCH2, 1F)
【0069】
実施例9:1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルクロリドの合成
滴下ロート、コンデンサおよび窒素導入口を供え、100.1gのNa2S2O4、82.0gのNaHCO3、250mlの水および150mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコ(tricol)を、撹拌下に40℃に加熱する。この温度にて、74.2g(0.265モル)のClCF2CFCl-Iを、窒素ガス雰囲気中で、激しく撹拌しつつ、滴添(添加期間は約45分間)する。この反応混合物を撹拌並びに40℃にて15時間加熱する。該アセトニトリルを蒸発させ、フッ素含有相をクロロホルムで抽出する。該粗生成物を120mlの、NaClで飽和した水で3回洗浄する。乾燥し、該クロロホルムを除去した後、褐色のワックスを得る。このパーハロゲン化ナトリウムスルフィネートを、250mlの水に溶解し、ガス導入口および上部端部が濃厚苛性ソーダ溶液を含む防御装置と接続され、カルボグラース(carboglace)で満たされたトラップを備えた二口フラスコに注ぐ。この反応混合物に約45分間に渡り塩素を吹き込み、次いで更に1時間この溶液を撹拌する。この粗反応生成物を、NaHCO3の水性溶液で洗浄し、次にクロロホルムで抽出し、MgSO4上で乾燥する。濾過し、該クロロホルムを蒸発させた後、パーハロゲン化スルホニルクロリド、即ち1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン-1-スルホニルクロリドを蒸留(TEb = 91-93℃/760 mmHg)する。
19F(CDCl3) NMR:δ=-70 (m, ClCF2, 2F); -115および-118 (m, CFCl, 1F)
【0070】
実施例10:3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルクロリドの合成
実施例9と同一の実験条件で、91.0g(0.265モル)のClCF2CFClCH2CF2-Iを、100.1gのNa2S2O4、82.0gのNaHCO3、250mlの水および150mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。実施例9と同様な方法並びに処理を利用し、次いで同様に、実施例9に記載したものと同一の条件下で塩素化を行う。得られたスルホニルクロリド、即ち3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルクロリドを蒸留(TEb = 41-44℃/22 mmHg)する。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (系AB, CH2, 2H)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -96 (t, 3JHF=16Hz, CH2CF2, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F)
【0071】
実施例11:4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルクロリドの合成
前と同様に、90.2g(0.210モル)のClCF2CFClCF2CFICF3を、79.2gのNa2S2O4、65.1gのNaHCO3、200mlの水および120mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。同様な処理の後、塩素化を行い、収率68%にて、液体を得る(TEb = 48-51℃/23 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110〜-114 (m, CF 2CF, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -195 (m, CF, 1F)
【0072】
実施例12:1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルクロリドの合成
前と同様にして、83.1g(0.210モル)のClCF2CFClCF2CFCl-Iを、80.2gのNa2S2O4、65.0gのNaHCO3、200mlの水および120mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応し、かつ同様な処理の後、塩素化を行い、蒸留後に、収率68%にて、液体を得る(TEb = 162-166℃/22 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -105〜-110 (m, 中央のCF2, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -132 (m, CFClSO2Cl, 1F)
【0073】
実施例13:6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドの合成
前の実施例と同様にして、47.1g(0.095モル)のClCF2CFClCH2CF2CF2CFICF3を、36.2gのNa2S2O4、30.1gのNaHCO3、90mlの水および53mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応並びに処理の後、塩素化を行い、精製および蒸留の後に、収率69%にて、液体を得る(TEb = 55-59℃/0.1 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110 (m, CF 2CH2, 2F); -118および-122 (m, CFCl, 1F); -120 (m, CF 2CF, 2F); -195 (m, CF, 1F)
【0074】
実施例14:4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドの合成
前と同様の実験装置に基いて、29.5g(0.054モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CFICF3を、20.3gのNa2S2O4、16.2gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応並びに精製の後、塩素化を行い、蒸留後に収率66%にて、液体を得る(TEb = 69-74℃/0.1 mmHg)。このスルホニルクロリド、即ち4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルクロリドは、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -115 (m, 中央のCFCl, 1F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, CFClCF 2CFCl, 2F); -125 (m, CF 2CF, 2F); -195 (m, CF, 1F)
【0075】
実施例15:5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルクロリドの合成
前と同様に、26.2g(0.053モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2Iを、20.0gのNa2S2O4、16.2gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応、処理および塩素化の後、対応するスルホニルクロリド(TEb = 42-45℃/0.2 mmHg)を、蒸留後に、収率62%にて得た。この化合物、即ち5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.3 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -112 (t, 3JHF=16.2Hz, CF2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -125 (m, 中央のCF2, 2F); -182 (m, CF, 1F)
【0076】
実施例16:3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルクロリドの合成
上記実施例と同様な条件で、24.5g(0.054モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2Iを、20.0gのNa2S2O4、16.1gのNaHCO3、50mlの水および30mlのアセトニトリルを含む、三つ口フラスコに、40℃にて滴添する。反応、処理および塩素化の後、2つの構成単位CTFEおよび一つの構成単位VDFを含むスルホニルクロリドが、蒸留後に収率65%にて得られる(TEb = 53-56℃/0.3 mmHg)。この生成物、即ち3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルクロリドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=-68 (m, ClCF2, 2F); -110 (m, CFClCH2, 1F); -112 (t, 3JHF=15.9Hz, CF 2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, 中央のCF2, 2F)
【0077】
実施例17:1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドの合成
71.2g(0.285モル)のClCF2CFClSO2Clを、(アクチゲル(actigel)に対する防御装置の上に取り付けられた)冷却器および乾燥窒素ガスの取入れ口を供え、かつ250mlの新たに蒸留し、乾燥した環状スルホランおよび100.2gの活性なフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、激しく撹拌しつつ滴添する。この反応媒体を、激しく撹拌しつつ80℃にて12時間加熱し、濾過および処理の後に、粗生成物を蒸留する。かくして、表記のスルホニルフルオライド、即ち1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドを、収率83%で得る(TEb = 85-87℃/760 mmHg)。
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -72 (系AB, ClCF2, 2F); -115 (t, 3JFF=15Hz, CFCl, 1F)
【0078】
実施例18:3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例17と同様な条件にて、15.0g(0.048モル)のClCF2CFClCH2CF2SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン42ml、16.6g(0.287モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 35-37℃/32 mmHg)、収率80%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドを得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -116〜-122 (m, CFCl, 1F); -117 (t, 3JHF=16.2Hz, CF2SO2F)
【0079】
実施例19:4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例17に記載したものと同様なプロトコールを利用して、18.2g(0.045モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン40ml、15.8g(0.273モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 43-45℃/25 mmHg)、収率82%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち4,5-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロ-ペンタン-2-スルホニルフルオライドを得る。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110〜-114 (m, CF 2CF, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -197 (m, CF, 1F)
【0080】
実施例20:1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様に、17.8g(0.048モル)のClCF2CFClCF2CFClSO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン42.2mlおよび16.9g(0.29モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む混合物に、徐々に添加し、80℃にて12時間、激しく撹拌しつつ加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 61-63℃/23 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライド、即ち1,3,4-トリクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-ブタン-1-スルホニルフルオライドを得る。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -105〜-110 (m, 中央のCF2, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -135 (m, CFClSO2F, 1F)CH2C2F4CF
【0081】
実施例21:6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン-2-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、16.2g(0.034モル)のClCF2CFClCH2C2F4CF(CF3)SO2Clを、新たに蒸留した環状スルホラン30ml、12.1g(0.209モル)の活性化されたフッ化カリウムを含む三つ口フラスコに、滴添し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 53-55℃/20 mmHg)、収率83%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この化合物、即ち6,7-ジクロロ-1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプタン-2-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.1 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -110 (m, CF2CH2, 2F); -118および-122 (m, CFCl, 1F); -120 (m, CF 2CF, 2F); -197 (m, CF, 1F)
【0082】
実施例22:4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例17におけるものと同一の実験装置に従って、13.7g(0.026モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Clを、23mlの新たに蒸留した環状スルホランと、9.2g(0.159モル)のフッ化カリウムとを含む混合物に、激しく撹拌しつつ、ゆっくりと添加し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 110-114℃/19 mmHg)、収率79%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この生成物、即ち4,6,7-トリクロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロ-ヘプタン-2-スルホニルフルオライドは、3種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -115 (m, 中央のCFCl, 1F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, CFClCF 2CFCl, 2F); -125 (m, CF 2CF, 2F); -197 (m, CF, 1F)
【0083】
実施例23:5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロ-ヘキサン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様の条件にて、15.5g(0.033モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2SO2Clを、29mlの新たに蒸留した環状スルホランと、11.6g(0.200モル)の活性化されたフッ化カリウムとを含む混合物に滴添し、80℃にて14時間、激しく撹拌しつつ加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 57-60℃/21 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この化合物、即ち5,6-ジクロロ-3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.2 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -71 (m, CF3, 3F); -114 (t, 3JHF=16.3Hz, CF2SO2Cl, 2F); -116〜-121 (m, CFCl, 1F); -125 (m, 中央のCF2, 2F); -182 (m, CF, 1F)
【0084】
実施例24:3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、15.6g(0.036モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2SO2Clを、32mlの新たに蒸留した環状スルホランと、12.7g(0.218モル)の活性化フッ化カリウムとを含む三つ口フラスコにゆっくりと添加し、80℃にて12時間加熱する。濾過および処理の後、蒸留によって(TEb = 72-74℃/21 mmHg)、収率85%で、対応するスルホニルフルオライドを得る。この生成物、即ち3,5,6-トリクロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキサン-1-スルホニルフルオライドは、2種のジアステレオマー異性体を含む。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+48 (s, SO2F, 1F); -68 (m, ClCF2, 2F); -110 (m, CFClCH2, 1F); -114 (m, CF 2SO2F, 2F); -116〜-121 (m, ClCF2CFCl, 1F); -120 (m, 中央のCF2, 2F)
【0085】
実施例25:トリフルオロビニルスルホニルフルオライドの合成
蒸留装置(ビグルー(Vigreux)カラム、冷却器および氷中に配置された3個の球状フラスコ受器)、滴下ロートおよび窒素導入口を供えた、3つの管を含むフラスコに、85mlの無水DMF中の、1.40gの酢酸および1.40gの無水酢酸との混合物によって活性化させた亜鉛31.2g(0.477モル)を加える。この混合物を110℃に加熱し、この温度にて、48.6g(0.207モル)の1,2-ジクロロトリフルオロエタン-1-スルホニルフルオライドを、これに滴添する。表記のトリフルオロビニルスルホニルフルオライドは、その形成と共に順次蒸留により取り出す(TEb = 52℃/760 mmHg)。
19F(CDCl3) NMR:δ=+53 (s, SO2F, 1F); -91 (dd, 2JFaFb=49.8Hz, 3JFaFc=39.3Hz, Fa, 1F); -106.2 (dd, 2JFbFa=49.7Hz, 3JFbFc=118.3Hz, Fb, 1F); -165.3 (dd, 3JFcFa=39.4Hz, 3JFcFb=118.5Hz, Fc, 1F)
【0086】
実施例26:1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライド(M1FSO2F)の合成
冷却器および窒素取入れ口、棒磁石を備えた、三つ口フラスコに、1.0gの酢酸および1.0gの無水酢酸を含む混合物で活性化した、11.07g(0.169モル)の亜鉛、および50mlの無水DMFを導入する。この混合物を90℃に加熱した後、これに、22.0g(0.074モル)の3,4-ジクロロ-1,1,3,4,4-ペンタフルオロブタン-1-スルホニルフルオライドを、強く撹拌しつつ滴添する。完全に添加した後、90℃にて5時間、反応溶媒を撹拌状態に維持した。反応が完了し、冷却した後、過剰量の亜鉛を濾別し、次に50mlのクロロホルムを添加した該粗反応生成物を、3回酸性の水(HCl 20%)で洗浄し、NaHCO3で中和し、次いで水洗し、最後にNa2SO4上で乾燥する。濾過し、該クロロホルムを蒸発させた後、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドを蒸留する(TEb = 48-52℃/20 mmHg)。収率は66%である。
1H(CDCl3) NMR:δ=2.95 (ddt, 3JHF=15.3Hz, 3JHF=12.1Hz, 4JHF=3.5Hz)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -102.4 (m, CF 2SO2F, 2F); -106.5 (ddt, 2JFaFb=88.8Hz, 3JFaFc=33.3Hz, 4JFaH=2.3Hz, Fa, 1F); -125.8 (ddt, 2JFbFa=88.8Hz, 3JFbFc=113.3Hz, 4JFbH=3.7Hz, Fb, 1F); -175.2 (ddt, 3JFcFb=114.2Hz, 3JFcFa=33.1Hz, 3JFcH=22.3Hz, Fc, 1F)
【0087】
【化6】
【0088】
実施例27:1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライド(M2FSO2F)の合成
実施例26と同一の実験条件にて、25.2g(0.065モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Fを、50mlの無水DMF中に分散した、9.78g(0.149モル)の活性化された亜鉛中に、激しく撹拌しつつ滴添する。この添加が完了し、反応および処理の後に、トリフルオロビニルスルホニルフルオライドモノマーを、蒸留する(TEb = 50-53℃/23 mmHg)。この化合物、即ち1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドが、収率58%で得られる。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76.3 (m, CF3, 3F); -92.1 (ddt, 2JFaFb=49.2Hz, 3JFaFc=39.5Hz, 4JFaF=6.0Hz, Fa, 1F); -105.2 (ddt, 2JFbFa=49.5Hz, 3JFbFc=118.5Hz, 4JFbF=27.8Hz, Fb, 1F); -118.2 (m, CF2, 2F); -189.7 (ddt, 3JFcFa=39.8Hz, 3JFcFb=118.2Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F); -205.1 (m, CF, 1F)
【0089】
実施例28:1-クロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例26で使用したものと同一の装置により、16.1g(0.046モル)のClCF2CFClCF2CFClSO2Fを、40mlの無水DMFに分散させた、6.85g(0.105モル)の活性化亜鉛に、滴添する。反応および処理の後、スルホニルフルオライド末端を持つ、該クロロフルオロモノマーを蒸留する(TEb = 62-68℃/22 mmHg)。この生成物、即ち1-クロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドは、収率62%で得られる。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76〜-78 (系ABXのX部分, CFCl); -92.4 (ddt, 2JFaFb=48.8Hz, 3JFaFc=38.6Hz, 4JFaF=5.9Hz, Fa, 1F); -115〜-120 (複雑な系AB, 4JFFa=6.0Hz, 3JFFb=27.2Hz); -104.9 (ddt, 2JFbFa=49.0Hz, 3JFbFc=118.2Hz, 4JFbF=27.4Hz, Fb, 1F); -188.7 (ddt, 3JFcFa=38.7Hz, 3JFcFb=118.4Hz, 3JFcF=14.5Hz)
【0090】
実施例29:1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例26について記載したものと同一の実験条件にて、15.1g(0.033モル)のClCF2CFClCH2C2H4CF(CF3)SO2Fを、35mlの無水DMFに分散させ、激しく撹拌した、5.02g(0.077モル)の活性化亜鉛に、滴添する。反応および処理の後、スルホニルフルオライド末端を持つHFP単位およびVDF単位を含むモノマーを蒸留する(TEb = 49-53℃/21 mmHg)。このモノマー、即ち1,1,1,2,3,3,4,4,6,7,7-ウンデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドは、収率61%で得られる。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.1 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -75.9 (m, CF3, 3F); -105.9 (ddt, 2JFaFb=87.9Hz, 3JFaFc=33.0Hz, 4JFaH=2.2Hz, Fa, 1F); -110.2 (m, CH2CF2, 2F); -120.6 (m, CF 2CF, 2F); -125.2 (ddt, 2JFbFa=88.2Hz, 3JFbFc=113.9Hz, 4JFbH=3.5Hz, Fb, 1F); -175.7 (ddt, 3JFcFb=114.2Hz, 3JFcFa=33.2Hz, 3JFcH=22.4Hz, Fc, 1F); -204.5 (m, CF, 1F)
【0091】
【化7】
【0092】
実施例30:4-クロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドの合成
実施例26で使用したものと同一の実験装置により、10.0g(0.020モル)のClCF2CFClCF2CFClCF2CF(CF3)SO2Fを、3.00g(0.046モル)の活性化亜鉛および30mlの無水DMFに滴添する。反応および処理の後、CTFE単位およびHFP単位を含む、スルホニルフルオライド末端を持つモノマーを蒸留する(TEb = 66-68℃/20 mmHg)。この化合物、即ち4-クロロ-1,1,1,2,3,3,4,5,5,6,7,7-ドデカフルオロヘプテ-6-エン-2-スルホニルフルオライドを収率59%で得、またこれは2種のジアステレオマー異性体を含む。
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -76.2 (m, CF3, 3F); -91.9 (ddt, 2JFaFb=49.3Hz, 3JFaFc=39.3Hz, 4JFaF=5.9Hz, Fa, 1F); -105.2 (ddt, 2JFbFa=49.5Hz, 3JFbFc=118.7Hz, 4JFbF=27.5Hz, Fb, 1F); -108〜-110 (複雑な系, 4JFFa=5.9Hz, 4JFFb=27.4Hz, 3JFFc=14.3Hz, CF 2CFCl, 2F); -110〜-118 (m, CF 2CF, 2F); -120〜-125 (m, CFCl, 1F); -190.2 (ddt, 3JFcFa=39.5Hz, 3JFcFb=118.5Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F); -205.3 (m, CF, 1F)
【0093】
実施例31:3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
前と同様な条件にて、12.2g(0.027モル)のClCF2CFClCF2CF(CF3)CH2CF2SO2Fを、30mlの無水DMF中の、酢酸と無水酢酸との混合物により活性化した、4.05g(0.062モル)の亜鉛に、徐々に加える。濾過し、処理した後、対応するスルホニルフルオライド末端を持つモノマーを蒸留する(TEb = 81-84℃/22 mmHg)。この生成物、即ち3-トリフルオロメチル-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドを、収率53%で得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.2 (m, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -73.9 (m, CF3, 3F); -89.8 (ddt, 2JFaFb=49.0Hz, 3JFaFc=39.2Hz, 4JFaF=6.1Hz, Fa, 1F); -96.8 (m, CF 2SO2F, 2F); -105.7 (ddt, 2JFbFa=49.2Hz, 3JFbFc=118.4Hz, 4JFbF=27.3Hz, Fb, 1F); -119.2 (m, CF2, 2F); -182.2 (m, CF, 1F); -189.9 (ddt, 3JFcFa=39.4Hz, 3JFcFb=118.5Hz, 3JFcF=14.3Hz, Fc, 1F)
【0094】
実施例32:3-クロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドの合成
実施例26において記載したものと同一の実験条件にて、13.05g(0.031モル)のClCF2CFClCF2CFClCH2CF2SO2Fを、30mlの無水DMF中の、4.75g(0.072モル)の活性化された亜鉛に、滴添する。この添加後、また反応および処理の後、生成したモノマーを蒸留する(TEb = 82-86℃/22 mmHg)。この化合物、即ち3-クロロ-1,1,3,4,4,5,6,6-オクタフルオロヘキセ-5-エン-1-スルホニルフルオライドを、収率63%にて得る。
1H(CDCl3) NMR:δ=3.4 (系AB, CH2)
19F(CDCl3) NMR:δ=+45 (s, SO2F, 1F); -91.1 (ddt, 2JFaFb=48.8Hz, 3JFaFc=39.3Hz, 4JFaF=6.0Hz, Fa, 1F); -96.2 (m, CH2CF2, 2F); -106.2 (ddt, 2JFbFa=49.0Hz, 3JFbFc=118.2Hz, 4JFbF=27.2Hz, Fb, 1F); -115〜-120 (m, CF 2CFCl, 2F); -118〜-122 (m, CFCl, 1F); -190.2 (ddt, 3JFcFa=39.5Hz, 3JFcFb=118.4Hz, 3JFcF=14.2Hz, Fc, 1F)
【0095】
実施例33-36:VDF/F2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)およびVDF/HFP/F2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)のラジカル共重合
2つの弁、安全板およびマノメータを備えた、160mlのハステロイ製反応器に、12.8g(0.056モル)のF2C=CFCH2CF2SO2F(M1FSO2F)、0.61g(0.0026モル)のt-ブチルパーオキシピバレートおよび55.0gのアセトニトリル(実施例34、表1)を導入する。この反応器を閉じ、減圧し、-80℃に冷却し、次いで13.3g(0.208モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。この反応器の温度を周囲温度に戻し、次に湯浴中で75℃にて15時間加熱する。周囲温度まで、次いで氷中で冷却した後、この反応器を脱気する。該アセトニトリルを部分的に蒸発させ、次いで得られるコポリマーを、200mlの冷ペンタン中に、激しく撹拌しつつ、ゆっくりと滴添することによって沈殿させる。このコポリマーは、三角フラスコの壁に張り付いており、またデカンテーション、分離および80℃における減圧下での、一定質量に達するまでの乾燥の後に、9.9gの極めて粘性の高いオレンジ色の生成物を得る。収率は38%である。このようにして得たコポリマーおよびターポリマーの、フッ素化された基の化学シフト(表3)は、得られたモノマーおよびポリマーから、曖昧さ無しに、決定された。その実験的な詳細および結果は、表1および実験部分に記載されている。
【0096】
インジウムおよびオクタデカンにより較正される、装置:パーキンエルマーパイリス(Perkin Elmer Pyris) 1による、約15mgのコポリマーサンプルについての示差熱分析(DSC)は、-100℃から+165℃までの加熱(40℃/分次いで20℃/分)/+165℃から-100℃までの冷却(320℃/分)で、3サイクル実施した。これらコポリマーに関する結果は、エンタルピー変化の変曲点に相当する唯一のガラス転移点(Tg)を明らかにした。第二および第三回目のサイクルは、再現性のあるTgを与えた。実施例34の場合、該コポリマーのTgは-24.2℃である。
熱重量分析(ATG)は、テキサスインスツルメント(Texas Instruments)製の装置TGA 51-133によって、空気中で加熱速度10℃/分にて行った。実施例34については、空気中での、該コポリマーの5%の損失は、294℃にて観測される。
【0097】
実施例37-39:VDF/HFP/CF2=CFCF2CF(CF3)SO2F(M2FSO2F)のラジカル共重合による、フルオロスルホン化エラストマーの合成
実施例37-39(表1)においては、160mlのハステロイ製の反応器(実施例33-36で使用したものと同一)を使用した。これに、8.2g(0.026モル)のCF2=CFCF2CF(CF3)SO2F、0.22g(0.0015モル)のt-ブチルパーオキシドおよび45.2gのアセトニトリルを導入する。この反応器を閉じ、真空引きし、-80℃に冷却し、次いで順次13.4g(0.089モル)のヘキサフルオロプロパン(HFP),次いで15.2g(0.238モル)のフッ化ビニリデン(VDF)を導入する。この反応器の温度を室温に戻し、次いで18時間に渡り140℃に加熱する。その間、該反応器の圧力は、最大値3.2 MPa (32 bar)に達し、次いで1.7 MPa (17 bar)まで低下する。氷中で冷却した後、この反応器を脱気処理し、また14.5gの未反応のVDFおよびHFPを塩析した(該モノマーガスの転化率は、49%である)。この粗反応生成物の19F NMRによる特徴付けは、該スルホン化モノマーの61%が反応(-205ppmに中心を持つ特性シグナルの存在は、完全に反応しなかった、該モノマー(M2FSO2F)の存在を示す)したことを示している。
【0098】
該アセトニトリルを部分的に蒸発させ、次いで前の実施例と同様に、激しく撹拌された冷ペンタン300ml中に、ゆっくりと滴添することによって、該コポリマーを沈殿させる。デカンテーション、分離および一定質量に達するまでの、80℃における減圧乾燥の後、22.4gの極めて粘性の高いオレンジ色の生成物を得る。質量基準の収率は、55%である。19F NMRスペクトルは、曖昧さ無しに、VDF(73.5%)、M2FSO2F(4.8%)、およびHFP(21.7%)(表4)の構成単位に含まれる、種々のフッ素化された基の特性シグナルから、これら3種のコモノマーのモル百分率を知ることを可能とする。熱量測定分析(DSC)は、融合に起因するピークが存在しないことを示したが、固有のガラス転移点(Tg=-20℃)に起因するエンタルピー変化の存在を明らかにした。空気中で、10℃/分にて行われた熱重量分析(ATG)は、301℃において、このコポリマーがその質量の約5%を失うことを示した。他の実施例における実験の詳細およびその結果を、以下の表2にまとめた。様々なフッ素化された基の、種々の化学シフトを特徴付ける19F NMR分析は、以下の表4に示す。
【0099】
所見
このように、本発明は、特にVDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含む、スルホニルフルオライド末端を持つ、高度にフッ素化された新規モノマー(MFSO2F)の合成、およびこれら市販のフッ素化されたコモノマー(例えば、VDF、HFPまたはCTFE)および場合によっては他のフッ素化されたアルケンを主成分とする、フッ素化されたコポリマーエラストマーを記載する。本発明の独創性は、以下のような事実にある:
1) 市販のフッ素化アルケンまたは官能性フッ素化モノマーとの共重合用の試薬としての、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、スルホニルフルオライド末端を持つ固有のトリフルオロビニルモノマーの調製。
2) VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、スルホニルフルオライド末端を持つこれらパーフルオロビニルモノマー(MFSO2F)を主成分とし、場合により他のフッ素化アルケンを含む、フッ素化エラストマーの合成は、フッ素化エラストマーの製造において広く用いられている、テトラフルオロエチレン(TFE)の代わりに、VDFおよび/またはHFPを用いて行われる。
3) 本発明において目的とするフッ素化エラストマーの合成は、シロキサン基を持つモノマーを使用する必要はなく、この後者は、一般的に生成するエラストマーのガラス転移点(Tg)の低下に寄与する。
【0100】
4) 本発明によって得られる架橋性のフッ素化されたエラストマーは、少量の、スルホニルフルオライド末端を持ち、VDFおよび/またはHFPおよび/またはCTFEを含み、構造:F2C=CFW(C2H2F2)x(C3F6)y(C2F3Cl)zSO2F (ここで、Wは酸素原子を表すか、あるいは如何なる原子をも表さず、xは0〜10なる範囲(境界を含む)内の自然整数であり、y=0または1およびz=0または1である)を有する、トリフルオロビニルモノマーと、大量のVDFとを含む組成をもつ。
5) 本発明によって合成されたフルオロスルホン化エラストマーは、極めて低いガラス転移点(Tg)を示し、これらエラストマーは、またプラスチック成型加工(「加工助剤」または使用するための試薬)、または他の先端工業(航空宇宙学、エレクトロニクス、または自動車、石油工業、腐食性流体、酸または極低温物質、例えば液体窒素、酸素および水素の輸送)の領域で、またエネルギー部門における材料(例えば、特に水素またはメタノールが供給される燃料電池の膜)としての用途を見出すことができる。更に、高い耐熱性を持つジョイントが、これらエラストマーから製造できる。また、
6) これらフルオロスルホン化エラストマーは、ヘキサメチルジシラザンによって容易に架橋でき、この架橋は、酸化、および溶媒、炭化水素、燃料、酸、塩基および攻撃的な媒質に対する抵抗性を大幅に改善する。
【0101】
本発明に関連する利点としては、特に以下の点を上げることができる:
1) VDFまたはHFPを含み、スルホニルフルオライド末端を有する、固有のトリフルオロビニルモノマーの製造は、 (市販または合成の連鎖移動剤の、CTFE、VDFまたはHFPへの一回の添加、またはこれらフッ素化されたアルケンの(コ(同時))テロマー化による) 簡単な合成経路によって可能であり、これらフルオロスルホン化モノマーは、エーテル架橋を含まない。
2) 上記のフルオロスルホン化モノマーは共重合用の反応試薬である。
3) この共重合法は、(「バッチ」式の)槽の運転様式で行われる。
4) 本発明の目的とする方法は、溶液状態で実施され、また市販品として容易に入手できる、古典的有機溶媒を使用する。
5) 本発明の方法は、市販品として容易に入手できる、古典的な開始剤の存在下で、ラジカル重合する工程を含む。
6) 本発明では、テトラフルオロエチレン(TFE)を使用しない。
【0102】
7) 本発明で製造するフッ素化エラストマーの組成中に含まれる、フッ素化オレフィンは、フッ化ビニリデン(VDF)であり、これは極めて安価であり、TFEよりも取扱いにおける危険性は低く、得られるエラストマーに、良好な耐酸化性、化学試薬、極性溶媒および石油に対する耐性を授け、またガラス転移点(Tg)の大幅な低下をもたらす。
8) 本発明の目的とするフッ素化エラストマーは、VDFとの共重合およびVDFおよびHFPとのターポリマー化が、文献において記載された研究の目的とはされていない、上記1)で述べた固有のモノマーから調製される。更に、スルホニルフルオライド官能基を介してフッ素化されたこれらモノマーは、これらエラストマーにおいて、架橋サイト(例えば、スルホンイミド型の)を生成し得る。
9) この方法により得られるこれらエラストマーは、極めて低いガラス転移点を示し、これは有利には-20℃よりも低い。
10) これらフルオロスルホン化コポリマーは、ヘキサメチルジシラザンにより容易に架橋でき、かくしてあらゆる溶媒、炭化水素または強酸に対して安定で、不活性で、かつ不溶性の物質を生成する。
【0103】
以上、本発明を、特定の態様に従って説明してきたが、多くの変更並びに改良を、上記態様に付加することができ、また本発明は、一般的にその原理に従う、このような改良、利用または適合を包含するものであり、また本発明の属する分野において知られておりまたは公知であり、また本発明の特許請求の範囲に一致する、上記本発明の構成要素を適用できる、本明細書のあらゆる変更を含むものとする。
Claims (62)
- nが3〜10なる範囲内にある、請求項1または2記載の、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
- mが1〜5なる範囲内にある、請求項1〜3の何れか1項に記載の、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
- pが、10〜300なる範囲内にある、請求項1〜4の何れか1項に記載の、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
- ビニリデンフルオライド68〜96モル%を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
- 4〜32モル%の、スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化された、トリフルオロビニルモノマーを含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の、フルオロ官能性ランダムコポリマー。
- 該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位が、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドを由来とするものである、請求項7記載のフルオロ官能性ランダムコポリマー。
- 該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位が、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドを由来とするものである、請求項7記載のフルオロ官能性ランダムコポリマー。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載のコポリマーを製造する方法であって、以下の式Iの化合物と、以下の式Vで表される化合物とを反応させる工程を含む、上記方法:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す;
XYC=CZF (V) - 該化合物Iが、以下の式IIで表されるものである、請求項10記載のコポリマーの製造方法:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)である。 - 上記請求項2記載のコポリマーの製法であって、以下の式V'で表される化合物:
F2C=CH2 (V')
と、上記請求項10または11において定義した、式Iで表される化合物とを反応させる工程を含む、上記方法。 - 該比:a/bが、2〜10なる範囲内で変動する、請求項13記載のフルオロ官能性コポリマー。
- 該比:a/cが、2〜15なる範囲内で変動する、請求項13または14記載のフルオロ官能性コポリマー。
- 該dが、25〜250なる範囲内で変動する、請求項13〜15の何れか1項に記載のフルオロ官能性コポリマー。
- 54〜87モル%なる範囲のフッ化ビニリデンを含む、請求項13〜16の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 11〜34モル%なる範囲のヘキサフルオロプロペンを含む、請求項13〜17の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 2〜12モル%なる範囲のスルホニルフルオライド末端において高度にフッ素化されたトリフルオロビニリデンモノマーを含む、請求項13〜18の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位が、1,1,3,4,4-ペンタフルオロブテ-3-エン-1-スルホニルフルオライドを由来とするものである、請求項19記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-; -CF2CF(RF)-CH2CF 2-CH2CF2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(CH2CF 2SO2F)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CF(RF)-; -CH2CF 2SO2F; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CF2CF(RFSO2F)-CF 2CF(CF3)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CH2CF2SO2F)-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(CF3)-を有し、これら官能基が、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト(ppm):+45; -70〜-75; -83; -91; -92; -93; -95; -105; -108; -110; -112; -113; -116; -120; -121; -122; -127; -161〜-165; および-180〜-185を持つ、請求項20記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 該スルホニルフルオライド末端において、高度にフッ素化されたトリフルオロビニルモノマー構成単位が、1,1,1,2,3,3,4,5,5-ノナフルオロペンテ-4-エン-2-スルホニルフルオライドを由来とする、請求項19記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 以下のような化学的官能基またはフッ素化された基:-SO2F; -CF2CF(CF 3)-; -CF2CF(CF 3)SO2F; tBuO-CF 2CH2-; -CH2CF 2-CH2CF 2-CH2CF2-; -CH2CF 2-CH2CF2-CF2CH2-; -CF2CF(RFSO2F)-CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-; -CH2CF 2-CF2CF(RFSO2F)-および-CH2 CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CH2CF 2-CF2CH2-; -CH2CF2-CF 2CH2-CH2CF2-; -CH2CF2-CF 2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF 2CF(RFSO2F)-CF2CF(CF3)-; -CF2CF[CF 2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CF 2CH2-; -CH2CF2-CF2CF(CF3)-; -CH2CF2-CF2CF(RFSO2F)-CH2CF2-; -CF2CF[CF2CF(CF3)SO2F]-CH2CF2-を有し、これら官能基が、夫々以下に示すような、19FのNMRによる化学シフト(ppm):+45; -70〜-75; -75〜-77; -83; -91; -95; -108; -110; -113; -116; -120; -122; -125; -127; -180; -182; および-205を持つ、請求項22記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 上記請求項10〜12の何れか1項に記載の方法により得られ、架橋性のフルオロスルホン化エラストマーである、請求項1〜9、および13〜23の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 上記請求項10〜12の何れか1項に記載の方法により得られ、低いガラス転移点(Tg)をもつ、請求項1〜9、および13〜24の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 0℃よりも低い、ASTM規格E-1356-98に従って測定したガラス転移点を持つ、請求項25記載の、フルオロスルホン化コポリマー。
- 該ガラス転移点が、両境界値を包含する、-30〜-5℃なる範囲内にある、請求項26記載の、フルオロスルホン化コポリマー。
- -20℃よりも低いガラス転移点を持つ、請求項27記載の、フルオロスルホン化コポリマー。
- 上記請求項10〜12の何れか1項に記載の方法により得られ、10℃/分なる速度にて、空気中で、熱重量分析(TGA)により測定した、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する、380℃までの熱安定性を示す、請求項1〜9、および13〜28の何れか1項に記載のフルオロスルホン化コポリマー。
- 10℃/分なる速度にて、空気中で、熱重量分析(TGA)により測定した、5%なる質量損失が観測される温度値に相当する315℃までの熱安定性を示す、請求項29記載の、フルオロスルホン化コポリマー。
- 請求項13〜30の何れか1項に記載のコポリマーの製造方法であって、以下の一般式V'で表される化合物と、以下の式Iで表される化合物と、以下の式VIIで表される化合物とを反応させる工程を含む、上記方法:
F2C=CH2 (V')
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す、および
F2C=CFCF3 (VII) - タンク内で、(「バッチ式」で)行われる、請求項10〜12および31の何れか1項に記載の共重合法。
- エマルション、ミクロエマルション、懸濁液または溶液状態で実施する、請求項10〜12および31および32の何れか1項に記載の共重合法。
- 少なくとも一種の有機ラジカル重合開始剤の存在下でまたは少なくとも一種の過硫酸塩の存在下で開始する、請求項10〜12および31〜33の何れか1項に記載の共重合方法。
- 該ラジカル重合開始剤が、少なくとも一種の過酸化物および/または少なくとも一種の過酸エステルである、請求項34記載の共重合法。
- t-ブチルパーオキシピバレートの存在下で、好ましくは70〜80℃なる範囲の温度、より好ましくは約75℃なる温度にて、あるいはt-ブチルパーオキシドの存在下で、好ましくは135〜145℃なる範囲の温度、より好ましくは約140℃なる温度にて行われる、請求項10〜12および31〜35の何れか1項に記載の共重合方法。
- 好ましくは、式:R-COO-R'で表されるエステル、ここでRおよびR'は、水素原子または1〜5個の炭素原子を含むことができるアルキル基であるが、同様にヒドロキシル基(OH)またはエーテル基:OR”であってもよく、ここでR”は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、好ましくはR=HまたはCH3かつR'=CH3、C2H5、i-C3H7、t-C4H9であり、および
パーフルオロ-n-ヘキサン、n-C4F10、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC75)等の型のフッ素化溶媒、および
アセトン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはブチロニトリル、および
対応するこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも一種の有機溶媒中で行われる、フルオロ官能性コポリマーを調製するための、請求項10〜12および31〜36の何れか1項に記載の方法。 - 該有機溶媒が、パーフルオロ-n-ヘキサンまたはアセトニトリルである、請求項37記載の方法。
- 初期モル比:[重合開始剤]0/Σ[モノマー]0が、0.1〜2%なる範囲、好ましくは0.5〜1%なる範囲にあり、[重合開始剤]0なる表現は、該開始剤の初期モル濃度を表し、またΣ[モノマー]0なる表現は、全モノマーの初期濃度を表す、請求項10〜12および31〜38の何れか1項に記載の方法。
- 以下の式Iで表されるモノマー:
F2C=CF-RF-SO2F (I)
ここで、RFはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位からなる群から選択される1または複数の構成単位を表す。 - 以下の式IIで表される、請求項40記載のモノマー:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10、xについては0〜5およびyについては0〜5である。 - 該ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロトリフルオロエチレン構成単位が、統計的に分配されている、即ちブロック形状を示さない、請求項41記載のモノマー。
- 該wが0〜5(境界を含む)なる範囲内にある自然整数である、請求項40〜42の何れか1項に記載のモノマー。
- 該xが0または1を表す、請求項40〜43の何れか1項に記載のモノマー。
- 該yが0または1を表す、請求項40〜44の何れか1項に記載のモノマー。
- 以下の式II1で表される、請求項40〜45の何れか1項に記載のモノマー:
F2C=CFCH2CF2SO2F (II1) - 以下の式II2で表される、請求項40〜45の何れか1項に記載のモノマー:
F2C=CFCF2CF(CF3)SO2F (II2) - 以下の式IIIで表されるテロマーの化学的な転位による、請求項40〜47の何れか1項に記載のモノマーの製造方法であって:
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)であり、
該化学的転位が、スルフィン化、塩素化および末端基:- SO2Naのフッ素化段階の内の、少なくとも2または3段階を含む、以下の式IVで表される化合物を調製する工程であり:
ClCF2CFClRF-SO2F (IV)
ここで、RFは基:(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yを表し、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)であり、
次いで、上記式IVのフルオロスルホン化テロマーを、脱塩素化して、以下の式II:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
(ここでw、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)である)で示される化合物を得ることを特徴とする、上記方法。 - 以下の式III:
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10(好ましくは5以下)、xについては0〜5(好ましくは1以下)およびyについては0〜5(好ましくは1以下)である、
で表される化合物の、以下の式II:
F2C=CF(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)ySO2F (II)
ここでw、xおよびyは、上記式IIIにおけるものと同一の意味を有し、
で示される化合物を得るためのプリカーサ化合物としての使用。 - 以下の式III:
ClCF2CFCl(CH2CF2)w[CF2CF(CF3)]x(CF2CFCl)yI (III)
(ここで、w、xおよびyは、夫々独立に変動する自然整数であり、wについては0〜10、xについては0〜5およびyについては0〜5である)で表されるテロマー。 - 該wが0〜5なる範囲内の自然整数である、請求項50記載のテロマー。
- 該xが0または1を表す、請求項50または51記載のテロマー。
- 該yが0または1を表す、請求項50〜52の何れか1項に記載テロマー。
- 以下の式III1で表される、請求項50〜53の何れか1項に記載のテロマー:
ClCF2CFClCH2CF2I (III1) - 以下の式III2で表される、請求項50〜53の何れか1項に記載のテロマー:
ClCF2CFClCF2CF(CF3)I (III2) - 請求項50〜55の何れか1項に記載の、式III、III1およびIII2のテロマーの製造方法であって、ビニリデンフルオライド、および/またはヘキサフルオロプロペンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンと、ClCF2CFClIとのテロマー化またはこれらの段階的な同時テロマー化により該テロマーを製造する工程を含む、上記方法。
- 請求項24〜30の何れか1項に記載の架橋性フルオロスルホン化エラストマー群から選択される、フルオロスルホン化コポリマーのスルホニルフルオライド基を架橋する方法であって、上記ポリマーと、隣接ポリマー鎖に由来する2つのスルホニル基間の反応を可能とする架橋剤とを接触させて、これらの間に架橋結合を形成する工程を含み、かくして得たポリマーが、該架橋結合の少なくとも一部が、帯電イオンを持つことによって特徴付けられる、上記方法。
- 膜、電解質ポリマー、イオノマー、特に水素またはメタノールを供給する燃料電池用の膜を製造するための、気密ジョイントおよびリング付き継手、ラジエータホース、管、ポンプ本体、ダイアフラム、ピストンヘッド(航空学、石油工業、自動車工業、鉱業、原子力工業における用途が見出されている)を得るための、およびプラスチック成型加工品(使用するための補助製品)としての、請求項24〜30の何れか1項に記載の架橋性フルオロスルホン化エラストマーの利用。
- イオン交換型および好ましくはカチオン交換型の膜の製法であって、当業者により一般的に利用されている種々の段階を含み、特に国際公開WO 99/38897号および殊にその実施例1〜11に記載されている工程を含むことを特徴とする、上記方法。
- 当業者には公知の方法を実施して、1または複数の、請求項1〜39の何れか1項に記載のエラストマーを転位させることを含む、電解質ポリマーの製造方法。
- 当業者には公知の方法を実施して、1または複数の、請求項1〜39の何れか1項に記載のエラストマーを転位させることを含む、イオノマーの製造方法。
- 当業者には公知の方法を実施して、1または複数の、請求項1〜39の何れか1項に記載のエラストマーを転位させることを含む、(リング付き)継手の製造方法。
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