JP2004535782A - アッセイ - Google Patents
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Abstract
トランスフォーミング成長因子β3(TGF−β3)のレイテンシー関連ペプチド(LAP)とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための方法であって:(a)第1成分として、LAP−β3またはそれらの機能的変異体を提供し;(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;(c)2つの成分を試験製品と、試験製品の不在下では2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および(d)試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレート可能であるかどうかを決定し、それにより試験製品がLAP−β3とインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを決定することを含む方法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫モジュレートにおいて用いるための、並びに炎症性および線維性疾患および癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収および骨粗鬆症の治療において用いるための医薬製品に関する。また、本発明は、治療において、特には、免疫モジュレートにおいて、並びに炎症性および線維性疾患および線維性疾患および癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収および骨粗鬆症の治療において有用である製品を同定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インテグリンは、細胞−細胞および細胞−マトリックス相互作用の両者に介在するヘテロ二量体膜貫通受容体の大ファミリーを含む。これらは多くのリガンドと結合し、様々な細胞性および生理学的プロセス、例えば、細胞増殖、アポトーシス、移動、分化、炎症、および組織再構築をモジュレートする。
【0003】
αvインテグリンファミリーはインテグリンαvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6およびαvβ8を含む。これらのファミリー・メンバーは様々な細胞に発現し、1以上のメンバーは事実上全ての細胞型に発現する。例えば、αvβ3は内皮細胞、平滑筋細胞、様々な単球派生細胞、腫瘍細胞、血小板、間葉線維芽細胞、Tリンパ球、および樹状細胞に発現することが示されている。αvβ6はより制限された分布を有するようであり、上皮細胞、腫瘍細胞、および、おそらくは、幾つかの炎症細胞型に存在する。
【0004】
トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)アイソフォームTGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3は多くの細胞型から発現し、事実上全ての組織に存在する。これらは多くの細胞型の細胞増殖を強力に阻害し、細胞外マトリックス合成、インテグリン発現も誘導し、かつ免疫応答をモジュレートする。これらは巨大前駆体タンパク質として合成され、ゴルジ体においてタンパク分解的に処理されて約110アミノ酸の成熟TGF−βタンパク質および約280アミノ酸のレイテンシー関連タンパク質−β(LAP−β)と呼ばれるアミノ末端タンパク質を生じる。これらの2つのタンパク質はホモ二量体化し、それら2つの二量体も相互作用して各々のタンパク質の2つの部分を含むLAP−β−TGF−β複合体を形成する。この複合体はTGF−βを不活性化し、活性化には幾らかの立体配座の変化および/またはLAP−βタンパク質のタンパク分解が必要となる。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
本発明は、インテグリンのαvファミリーがトランスフォーミング成長因子−β3(TGF−β3)のレイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)に結合するという我々の知見に基づく。これらのインテグリンとTGF−β3のLAP−β3との相互作用は、その相互作用と幾つかの生物学的に重要なプロセスとの結び付きを提供する。
【0006】
本発明によると、レイテンシー関連ペプチド−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および
(d)該試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレート可能であるかどうかを決定し、それにより該試験製品がLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを決定する、
ことを含む方法が提供される。
【0007】
本発明の方法は、TFG−β3活性のモジュレーターの同定に用いることもできる。
【0008】
本発明は以下のものも提供する:
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するためのキットであって:
(i)レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体である第1成分;および
(ii)αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体である第2成分;
を含むキット;
ヒトまたは動物体の治療方法において用いるための、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤であるモジュレーターの使用;
アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤であるモジュレーターの使用;
薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターである製品を含む医薬組成物;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤である製品を投与することを含む方法;
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤を投与することを含む方法;
本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
治療によるヒトまたは動物体の治療方法において用いるための、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターの使用;
アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターの使用;
薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを含む医薬組成物;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを投与することを含む方法;
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを投与することを含む方法;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を阻害可能であるかどうかを決定し;並びに
(e)工程(d)において同定される製品を免疫モジュレートの方法または炎症疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法;
アポトーシスの予防方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体の機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を活性化可能であるかどうかを決定し;並びに
(e)工程(d)において同定される製品をアポトーシスの予防方法において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって:
(a)免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いることができる製品の同定方法を用いることによって製品を同定し;並びに
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法;
並びに
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって:
(a)アポトーシスの予防方法において用いることができる製品の同定方法を用いることによって製品を同定し;並びに
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
我々は、驚くべきことに、αvインテグリンがトランスフォーミング成長因子−β3(TFG−β3)のレイテンシー関連ペプチド(LAP−β3)に結合することを示している。これは、レイテンシー関連ペプチド(LAP−β3)とαvインテグリンとの相互作用を以下の生物学的プロセスと結びつける:
(a)TGF−β3の活性化とそれに続く免疫モジュレートおよび/または活性TGF−β3が介在する線維症;
(b)αvインテグリンを発現する細胞のLAP−TGFβ3タンパク質に沿った移動:
(c)αvインテグリンを発現する細胞のアポトーシスからの保護。
【0010】
様々な細胞型上でのαvインテグリンの存在、および多くの細胞型に由来する多くの組織におけるTGF−β3の存在のため、これらのインテグリンのTGF−β3のLAP−β3との相互作用の複数の効果が存在し得る。したがって、1つ以上のαvインテグリンを発現する全ての細胞型はLAP−β3と相互作用する可能性を有する。これは、インテグリンへの結合現象(すなわち、インテグリンを介するシグナル伝達)またはTFGβ3の活性化(すなわち、TGFβ3受容体を介するTGF−β3シグナル伝達)による細胞の活性化/分化、および活性化TGF−β3の免疫モジュレート(Th1/Th2細胞スイッチングを含む)/線維効果をモジュレートし得る。
【0011】
本発明は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の調製因子を同定するための方法を提供する。適切な本発明の方法は:第1成分として、LAP−β3またはそれらの機能的変異体を提供し;第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および、該試験製品が第1および第2成分の間の相互作用を阻害可能であるかどうかを決定することを含む。それにより、当業者は、その試験化合物がLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを容易に決定することができる。
【0012】
in vivoで、TGF−β3は2つの遺伝子から誘導される3つのタンパク質を含んでなる複合体として分泌される。このTGF−β3遺伝子は、C末端TGF−β3配列および処理後にレイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)を形成する巨大N末端領域をコードする。成熟TGF−β3およびLAP−β3ペプチドの両者はホモ二量体を形成し、2つのホモ二量体が小潜在性複合体(SLC)と呼ばれる非共有結合複合体を形成する。LAP−β3は別のタンパク質、潜在性TGF−β3−結合タンパク質(LTBP)とジスルフィド結合することができる;そのようにして形成されるTGF−β3の潜在形態は大潜在性複合体(LLC)と呼ばれる。
【0013】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体が第1成分として提供される。LAP−β3のアミノ酸配列は配列番号1のアミノ酸21から300として示される。配列番号1の配列はSwissProtデータベース受付番号P10600に相当する。LAP−β3は単量体として用いることができるが、より典型的にはホモ二量体として用いられる。ホモ二量体が用いられる場合、その二量体を含むペプチドの一方または両者はLAP−β3の機能的変異体であってもよい。両ペプチドが機能的変異体である場合、それらはLAP−β3の異なる機能的変異体であり得る。
【0014】
LAP−β3の機能的変異体は、配列番号1のアミノ酸21から300のものに類似する配列を有し、かつαvインテグリンと結合する能力を保持するポリペプチドである。典型的には、機能的変異体のインテグリンに対する結合活性はLAP−β3のものと実質的に同じであり得る。あるいは、機能的変異体の結合活性はLAP−β3のものを上回るか、もしくは下回るものであってもよい。例えば、機能的変異体は、αvインテグリンと結合するその能力に関して、配列番号1のアミノ酸30から278として示される配列を有するLAP−β3の少なくとも90%活性、少なくとも80%活性または少なくとも70%活性を有することができる。
【0015】
機能的変異体は、典型的には、配列番号1のアミノ酸21から300として示されるものに実質的に類似する配列を含む。したがって、機能的変異体は、一般には、その配列の全長にわたる算出で、配列番号1のアミノ酸21から300として示される配列を有するLAP−β3との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。UWGCGパッケージが(例えば、そのデフォルト設定で用いて)同一性の算出に用いることができるBESTFITプログラムを提供する(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387-395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムを、Altschul S. F. (1993) J Mol Evol 36:290-300;Altschul, S, F et al (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載されるように、同一性の算出および配列の列挙に用いることができる(典型的にはそれらのデフォルト設定で)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。
【0016】
機能的変異体は天然配列、例えば、関連配列、例えば、LAP−β1であっても、またはLAP−β3の対立遺伝子変異体であってもよい。対立遺伝子変異体は、一般には、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシまたはブタ起源のものである。
【0017】
あるいは、機能的変異体は非天然配列であってもよい。非天然機能的変異体は、例えばアミノ酸置換、欠失または付加によって得られる、配列番号1のアミノ酸21から300として示される配列を有するLAP−β3の修飾変異体であり得る。例えば、1まで、5まで、10まで、50までまたは100までのアミノ酸置換または欠失があってもよい。したがって、配列番号1のアミノ酸21から300として与えられる配列の機能的変異体はその配列の断片であってもよい。典型的には、置換がなされる場合、その置換は、例えば以下の表に従う保存置換である。第2欄の同じブロック内、好ましくは、第3欄の同じ列内のアミノ酸を互いに置換することができる。欠失は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸21から300として与えられる配列の末端の一方または両者からのアミノ酸の欠失である。あるいは、欠失は、αvインテグリンの結合に関与しない領域のものである。
【表1】
好ましいポリペプチドは配列番号1のアミノ酸261から263のRGDモチーフを含み、例えば、配列番号1のアミノ酸259から269を含む断片を含む。
【0018】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体を担体ポリペプチドに融合させることができる。したがって、さらなるアミノ酸残基を、担体ポリペプチドを付与するため、例えば、LAP−β3またはそれらの機能的変異体の一端または両端に付与することができ、それによりそのポリペプチドを、例えば、標識、固体マトリックスまたは担体に固定することができる。したがって、本発明の方法において用いるための第1成分は異種配列を含む融合ポリペプチドの形態であってもよい。実際、実務においては、融合ポリペプチドを用いることがしばしば好都合であり得る。これは、融合ポリペプチドを組換え細胞株、例えば、組換え細菌または昆虫細胞株において容易かつ安価に産生できるためである。加えて、融合ポリペプチドは同定および単離が容易であり得る。典型的には、融合ポリペプチドは上述のポリペプチド配列および担体またはリンカー配列を含む。この担体またはリンカー配列は、典型的には、非ヒト、好ましくは非哺乳動物資源、例えば、細菌資源から誘導される。これは、融合ポリペプチド内の配列とインテグリンとの非特異的相互作用の発生を最小化するためである。
【0019】
ポリペプチドを、例えば、ヒスチジン残基、T7タグまたはグルタチオンS−トランスフェラーゼを付加することによって修飾し、それらの単離を補助することができる。あるいは、担体ポリペプチドが、例えば、そのポリペプチドの細胞からの分泌を促進するか、またはそのポリペプチドの発現の標的を細胞膜に定め得る。アミノ酸担体は長さが1から400アミノ酸であるか、またはより典型的には、長さが5から200残基であり得る。ポリペプチドは直接または介在リンカー配列を介して担体ポリペプチドに連結することができる。連結に用いられる典型的なアミノ酸残基は、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸またはアスパラギン酸である。
【0020】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体を含むポリペプチドは処理されたTGF−β3プロペプチドまたはそれらの機能的変異体を伴って提供されてもよい。換言すると、小潜在性複合体(SLC)を本発明において用いることができる。処理されたTGF−β3プロペプチドの機能的変異体はLAP−β3結合活性を保持し、上でLAP−β3についてもたらされる説明に従って得ることができる。
【0021】
第1成分としての使用に適するポリペプチドは化学的に修飾、例えば、翻訳後修飾されていてもよい。例えば、それらはグリコシル化されていてもよく、または修飾アミノ酸残基を含むこともできる。ポリペプチドはアミドおよびポリペプチドとの結合体を含むポリペプチド誘導体の様々な形態であり得、すなわち、LAP−β3および/またはTGF−β3および/またはLTBPまたはそれらの機能的変異体をそのように修飾することができる。
【0022】
化学的に修飾されたポリペプチドには、官能性側鎖基の反応によって化学的に誘導体化された1以上の残基を有するものも含まれる。そのような誘導体化側鎖基には、塩酸アミンを形成するように誘導体化されているもの、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基およびホルミル基が含まれる。遊離カルボキシル基は塩、メチルおよびエチルエステルもしくは他のタイプのエステルまたはヒドラジドを形成するように誘導体化することができる。遊離ヒドロキシル基はO−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成するように誘導体化することができる。ヒスタジンのイミダゾール窒素はN−im−ベンジルヒスチジンを形成するように誘導体化することができる。
【0023】
20種の標準アミノ酸の天然アミノ酸誘導体を1以上含むポリペプチドも化学的に修飾されたポリペプチドに含まれる。例えば、4−ヒドロキシプロリンをプロリンと置き換えることができ、またはホモセリンをセリンと置き換えることができる。
【0024】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体および/または第1成分の一部として用いられる他のポリペプチドは暴露性(revealing)標識を担持することができる。適切な標識には、放射性同位体、例えば、32Pもしくは35S、蛍光標識、酵素標識、または他のタンパク質標識、例えば、ビオチンが含まれる。
【0025】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体および/または第1成分の一部として用いられる他のポリペプチドは組換えDNA技術を用いて発現させることができる。例えば、適切なポリペプチドを、例えば、細菌または昆虫細胞株において発現させることができる(例えば、Munger et al., 1998, Molecular Biology of the Cell, 9, 2627-2638 を参照)。また、適切なポリペプチドをあらゆる適切な組織から生化学的に単離することもできる。
【0026】
あるいは、ポリペプチドを化学的に合成することもできる。固相Merrifield型合成のような合成技術が、純度、抗原特異性、望ましくない副生物からの解放および生成の容易さという理由で好ましい。固相ペプチド合成に適する技術は当業者に公知である(例えば、Merrifield et al., 1969, Adv. Enzymol 32, 221-96 および Fields et al., 1990, Int J. Peptide Protein Res, 35, 161-214 を参照)。一般には、固相合成法は、成長するペプチド鎖への1以上のアミノ酸残基または適切に保護されたアミノ酸残基の連続的な付加を含む。
【0027】
本発明の方法において第1成分として用いるためのポリペプチドは直鎖であっても環状であってもよい。直鎖ポリペプチドはいずれの適切な方法に従っても環化することができる(例えば、Zimmer et al., 1992, Peptides, pp.393-394, ESCOM Science Publishers, BV., 1993 および Gurrath et al., 1992, Eur. J. Biochem., 210, 911-921 を参照)。典型的には、tertブトキシカルボニル保護ポリペプチドメチルエステルをメタノールに溶解して水酸化ナトリウムを添加し、その混合物を20℃で反応させてメチルエステル保護基を加水分解的に除去する。溶媒を蒸発させた後、tertブトキシカルボニル保護基を酢酸エチルで酸性化水性溶媒から抽出する。その後、tertブトキシカルボニル保護基を、穏やかな酸性条件下、ジオキサン共溶媒中で除去する。そのようにして得られた遊離アミノ酸およびカルボキシ末端を有する非保護直鎖ペプチドを、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN−メチルモルホリンの存在下で、ジメチルホルムアミドの混合物中のその直鎖ポリペプチドの希釈溶液をジシクロヘキシルカルボジイミドと反応させることによってその対応する環状ポリペプチドに変換する。生じる環状ポリペプチドをクロマトグラフィーによって精製する。
【0028】
第2成分はαvインテグリン・ファミリーのインテグリンまたはそれらの機能的変異体を含む。αvファミリーのインテグリンはαvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6およびαvβ8インテグリンを含み、これらのいずれかまたは機能的変異体が第2成分、すなわち、本発明において用いられるインテグリンであり得る。本発明の好ましい態様において、第2成分はαvβ3もしくはαvβ6インテグリンまたはいずれかの機能的変異体である。
【0029】
これらのインテグリンのうちの1つの機能的変異体は、TGF−β3を結合するインテグリンの能力に関して、αvインテグリンのうちの1つに類似する活性を示すポリペプチドである。より具体的には、機能的変異体はTGF−β3のLAP−β3を結合することが可能である。したがって、第2成分は、例えば、LAP−β3を結合するαvインテグリンの断片、またはLAP−β3結合部位に対応するαvインテグリンの野生型配列を含み、かつ他所に非野生型配列を含むポリペプチドを含む。
【0030】
その上、適切な機能的変異体は非野生型LAP−β3結合部位を含むことができるが、依然としてLAP−β3を結合することが可能である。野生型結合部位の結合親和性と比較してLAP−β3に対する結合親和性の増加を示す非野生型結合部位を用いることが好ましいものであり得る。そのような非野生型結合部位の使用は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の強力な破壊物質である製品の同定を可能にし得る。非野生型LAP−β3結合配列は、上記第1成分について説明されるように、典型的には、例えば置換、欠失または付加によって生じる。
【0031】
第2成分ポリペプチドは、第1成分ポリペプチドについて説明されるものに類似する方法に従って生成することができる。
【0032】
二成分アッセイはいずれの適切なプロトコルに従っても行うことができる。好ましくは、このアッセイは、それを単一の反応容器内で行うことができ、より好ましくは、プラスチック・マクロタイタープレートの単一のウェル内で行うことができ、したがって、高スループット・スクリーニングに適合させることができるように適合させる。典型的には、細胞接着アッセイを行う。
【0033】
細胞接着アッセイにおいては、第1成分ポリペプチドを適切な容器のウェル、特には、プラスチック・マイクロタイタープレートのウェルにコートする。適切なアッセイ様式の1つにおいては、例えば化学的に、または組換えで生成された第2成分を単にアッセイ容器に添加する。第2成分の第1成分への結合は、標識、例えば、放射性標識または蛍光標識を担持する第2成分を用いることによって追跡することができる。
【0034】
あるいは、別の適切なアッセイ様式においては、第2成分を発現する細胞を容器に添加し、試験製品の存在下で第1成分と相互作用させる。適切な細胞は、1以上のインテグリンを発現するあらゆる細胞である。一次および形質転換の両者の多くの細胞および細胞株が1以上のαvインテグリンを発現し、アッセイにおいて用いることができる。これらには、例えば、αvβ1、αvβ3およびαvβ5についてのDx3メラノーマ細胞、αvβ5およびαvβ6についてのHT29並びにαvβ5についてのSW480が含まれる。あるいは、例えば Blystone et al (1995) Journal of Cell Biology 130: 745-754 に記載されるように、発現ベクター内のインテグリンcDNAを細胞にトランスフェクトし、アッセイにおいて用いるのに適する細胞を得ることができる。
【0035】
次に、第1成分ポリペプチドに結合する細胞の数を決定する。これは、例えば、細胞を染色した後に分光測定を行うことによって実施することができる。任意に、染料を溶出し、溶出したサンプルに対して分光測定を行うことができる。
【0036】
αvインテグリンをLAP−β3に対する結合に適する活性化状態まで高めるため、さらなる成分を反応混合物に添加することが必要になり得る。加えて、適切な対照実験を行うことができる。細胞接着アッセイを試験製品の存在なしで行うことができる。第1成分と第2成分を発現する細胞との非特異的相互作用を区別するため、インテグリンの2つのポリペプチドの一方に特異的な抗体を反応混合物に添加することができる。第2成分以外のポリペプチドを発現する対照細胞を用いて、第1および第2成分の間の特異的反応とαvインテグリンおよび第2成分を発現する細胞の他の表面タンパク質の間の非特異的反応とを区別することができる。
【0037】
本発明は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための試験キットも提供する。本発明によるキットは上述の第1成分および上述の第2成分を含む。本発明の好ましいキットにおいては、キットは、試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレートするかどうかを決定するための手段も含む。典型的には、試験キットは、上述の接着アッセイを実施するのに適する成分を提供する。したがって、第2成分は、第2成分を発現する細胞の形態で提供することができる。キットが接着アッセイキットである場合、第1成分に結合する細胞の量を定量するのに適する染料、例えば、クリスタルバイオレット染料を含むこともできる。
【0038】
本発明のキットは、任意に、適切なバッファ(1種類もしくは複数)、例えばαvインテグリン以外のインテグリンを発現する、対照細胞、または対照抗体をさらに含むことができる。本発明のキットは、適切な包装およびLAP−β3とインテグリンとの相互作用のモジュレートを同定するための方法において用いるための手引きを含むこともできる。
【0039】
本発明の方法において用いるのに適する試験製品には、コンビナトリアルライブラリ、明確な化学的部分、ペプチドおよびペプチド模倣体、オリゴヌクレオチド並びに天然製品ライブラリが含まれる。試験製品は、例えば、反応当たり10の物質の初期スクリーニングにおいて用いることができ、阻害を示すバッチの製品を個別に試験する。さらに、抗体製品(例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、CDR−グラフト抗体並びにヒト化抗体)を用いることができる。
【0040】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターは、本発明の方法においてそれら2つのタンパク質の間の相互作用の程度に測定可能な減少または増加を生じるものである。したがって、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターはその相互作用の阻害剤であっても活性化剤であってもよい。
【0041】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤は、LAP−β3とインテグリンとの相互作用の程度を、その阻害剤の不在下におけるその2つの間の相互作用の程度と比較して、低下させるか、または実質的に排除するものである。好ましい阻害剤は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用を、1μgml− 1、10μgml− 1、100μgml− 1、500μgml− 1、1mgml− 1、10mgml− 1、100mgml− 1の阻害剤の濃度で、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%阻害するものである。阻害パーセンテージは、試験物質の存在および不在下でのアッセイの比較における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の減少パーセンテージを表す。上述の阻害パーセンテージの程度および阻害剤の濃度のあらゆる組合せを本発明の阻害剤の定義に用いることができ、より低い濃度でのより高い阻害が好ましい。
【0042】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤は、LAP−β3とインテグリンとの相互作用の程度を、その活性化剤の不在下におけるその2つの間の相互作用の程度と比較して、増加させるものである。好ましい活性化剤は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用を、1μgml− 1、10μgml− 1、100μgml− 1、500μgml− 1、1mgml− 1、10mgml− 1、100mgml− 1の活性化剤の濃度で、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%または少なくとも1000%活性化するものである。活性化パーセンテージは、試験物質の存在および不在下でのアッセイの比較における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の増加パーセンテージを表す。上述の活性化パーセンテージの程度および活性化剤の濃度のあらゆる組合せを本発明の活性化剤の定義に用いることができ、より低い濃度でのより高い活性化が好ましい。
【0043】
上述のもののようなアッセイにおいて活性を示す試験製品をin vivo系、例えば、動物疾患モデルにおいて試験することができる。したがって、候補阻害剤を、マウスにおいて炎症および/または線維症を和らげるそれらの能力について試験することができた。候補活性化剤を、マウスにおいてアポトーシスを防止するそれらの能力について試験することができた。
【0044】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤または活性化剤は、LAP−β3と他のインテグリン、例えば、非αvインテグリンとの相互作用を破壊しないことが好ましい。すなわち、阻害剤または活性化剤は、一般に、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用に特異的である。
【0045】
適切な阻害剤には、αvインテグリンの機能的変異体、それらの断片、これらのインテグリンまたはこれらのインテグリンの天然リガンドのいずれかの模倣体、例えば、LAP−β3とαvインテグリンとの結合性相互作用に関与する構造領域を模倣するTGF−β3に基づくポリペプチド、インテグリンに対するLAP−β3の機能的結合ドメインに相当する配列を有するポリペプチド、およびLAP−β3またはインテグリンのいずれかと免疫反応する抗体が含まれる。
【0046】
適切な活性化剤には、LAP−β1またはLAP−β3の機能的変異体が含まれる。
【0047】
本発明のモジュレーターは実質的に純粋な形態であり得る。それらは実質的に単離された形態であり得、その場合、それらは一般に、調製品において、乾燥質量の少なくとも80重量%、例えば、90、95、97または99重量%を構成する。製品は、典型的には、他の細胞成分を実質的に含まない。製品はそのような実質的に単離され、精製され、もしくは非含有の形態で本発明において用いることができ、またはそのような形態でキット中に存在することができる。
【0048】
本発明のモジュレーターは、治療によるヒトまたは動物体の治療方法において用いることができる。
【0049】
特には、本発明の阻害剤は、免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌(固形腫瘍治療および転移性腫瘍治療を含む)、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療において用いることができる。炎症性および/または線維性成分が関与する状態の例は、慢性閉塞性肺障害、関節リウマチ、乾癬、再狭窄、アテローム性動脈硬化、肝線維症および喘息である。LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤を必要とする患者の状態は、本発明の阻害剤を投与することによって改善することができる。本発明の阻害剤の治療上有効な量を、それらを必要とする宿主に投与することができる。
【0050】
本発明の活性化剤は、アポトーシスの防止(すなわち、それに対する保護)の方法において用いることができる。LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤を必要とする患者の状態は、本発明の活性化剤を投与することによって改善することができる。本発明の活性化剤の治療上有効な量を、それらを必要とする宿主に投与することができる。
【0051】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターは様々な剤形で投与することができる。したがって、それらは、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒として、経口投与することができる。モジュレーターは、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮または輸液技術のいずれかにより、非経口投与することもできる。医師は、各々の患者に必要な投与経路を決定することができるであろう。
【0052】
上記状態のうちの1つの予防または治療において用いるためのモジュレーターの処方は、モジュレーターそのものの性質、目的とされるのが医薬用途なのか獣医学的用途なのか等の因子に依存する。モジュレーターは同時に、別々に、または連続的に用いるために処方することができる。
【0053】
モジュレーターは、典型的には、本発明における投与のため、薬学的に許容し得る担体または希釈剤と共に処方する。薬学的に許容し得る担体または希釈剤は、例えば、等張性溶液であり得る。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプンもしくはジャガイモデンプン;潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースもしくはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩もしくはデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;並びに、一般には、医薬処方において用いられる非毒性で生理学的に不活性の物質を含むことができる。そのような医薬調製品は公知の方法、例えば、混合、顆粒化、打錠、糖衣、またはフィルムコーティング・プロセスによって製造することができる。
【0054】
経口投与用の液体分散液は、シロップ、エマルジョンまたは懸濁液であり得る。シロップは、担体として、例えば、サッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを伴うサッカロースを含むことができる。
【0055】
懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含むことができる。筋肉内注射用の懸濁液または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容し得る担体、例えば、無菌の水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール、および所望であれば、適切な量の塩酸リドカインを含むことができる。
【0056】
静脈内投与または輸液用の溶液は、担体として、例えば、無菌水を含むことができ、または好ましくは、無菌の等張性生理食塩水溶液の形態であり得る。
【0057】
治療上有効な量のモジュレーターが患者に投与される。モジュレーターの用量は様々なパラメータに従って、特には、用いられる物質;治療しようとする患者の年齢、体重および状態;投与経路;並びに必要される投薬計画に従って決定することができる。この場合もやはり、医師が、あらゆる患者に必要とされる投与経路および投与量を決定することができるであろう。典型的な1日用量は、特定のモジュレーターの活性、治療しようとする被検体の年齢、体重および状態、変性のタイプおよび重篤性、並びに投与の頻度および経路に従い、体重kgあたり約0.1から50mgである。好ましくは、1日用量レベルは5mgから2gである。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は本発明を説明する:
実施例
材料および方法
他に指示されない限り、記述される技術および方法論は標準的な生化学技術である。適切な一般方法論の教科書には、Sambrook et al., Molecular Cloning (1995), John Wiley & Sons, Inc. が含まれる。
【0059】
細胞培養
K562−WT(野生型)、K562−αvβ6、K562−αvβ5およびK562−αvβ3細胞を、1:1 RPMI 1640、修飾Hepes(Gibco):Dulbecco's Minimum Essential Medium(DMEM)、L−グルタミン(Gibco)および10%ウシ胎児血清(FCS)を補足した修飾Hepes(Sigma)に維持した。加えて、K562−αvβ3、K562−αvβ5およびK562−αvβ6細胞にゲネチシン(G418、Gibco)を1mg/ml補足した。全てのトランスフェクト細胞は、lipofectamine plus(Gibco BRL)を用いて、個々のインテグリンcDNAを含むpCDNA−3構築体でK562細胞をトランスフェクトすることにより生成した。安定なG418耐性集団は、必要とされるインテグリンを発現し、かつそのインテグリンの期待される接着特性を有することが示された。
【0060】
抗体および他の試薬
用いた抗体クローンは以下の通りである。抗β1インテグリン抗体クローン4B4はCoulterから入手した。抗α5抗体クローンSAM−1、および抗αvインテグリン抗体クローン69−5−5はImmunotechから入手した。抗αvβ3インテグリン抗体クローンLM609、抗αvβ6インテグリン抗体クローン10D5、および抗αvβ5インテグリン抗体クローンP1F6はChemiconからであった。アイソタイプ対照(MOPC21)はSigmaからであった。αvβ3/αvβ5阻害剤GW372205X(別名、SB223245)は自家合成した。GW372205X/SB223245は、WO-A-96/00730(SmithKline Beecham Corp)および Keenan et al (1997) J. Med. Chem. 40, 2289-2292 に記載されている。LAP−β3はSigmaから入手し、フィブリノーゲンはCalbiochemから入手し、ビトロネクチンはヒト血漿から精製した。αvβ6阻害剤GW603365Aは自家合成したAc−RTDLDSLRT−NH2である(WO 0037487−MerckKgAAに記載される)。α4β1阻害剤BIO1211は自家合成した。BIO1211は Lin et al (1999) J. Med. Chem. 42:920-934 に記載されている。
【0061】
GST融合タンパク質は、BamHIおよびEcoRI制限部位を用いて、オリゴヌクレオチドをpGEX−2Tベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に挿入することにより作製した。
【0062】
接着アッセイ
全てのタンパク質を、4℃で一晩、Maxisorp 96ウェルプレート(Nunclon)にコートした。各々のタンパク質は指示される濃度でPBSに溶解し、ウェル当たり総容積100μlを添加した。プレートをPBSで2回洗浄した後、3%BSA/PBSを用いて37℃で1時間ブロックし、最後にPBSで2回洗浄した。細胞をペレット化してHBSS(Sigma)で1回洗浄した後、図の説明において指示通りに2mM MgCl2または0.5mM MnCl2の存在下、HBSS、25mM HEPES pH7.5中に所望の細胞濃度(K562−WT、K562−αvβ6は3×106細胞/ml、K562−αvβ5、K562−αvβ3は2×l06細胞/ml、ウェル当たり100μl)で増やした。他の添加は図の説明に詳述されている。抗体阻害については、細胞を抗体(10μg/ml)と共に氷上で5分間予備インキュベートした。その後、細胞を37℃で35分間結合させ、PBSで2回、エタノールで1回洗浄して、室温で20分間エタノール中で固定した。定量については、細胞を、0.1%クリスタルバイオレット(Sigma)で10分間染色した後、0.5%Triton X-100(Sigma)中で溶解することによって可視化し、Wallac Victorプレートリーダーにおいて570nmで光学的に読み取った。
【0063】
実施例 1 : GST − LAP −β 3 最小結合ドメインへの様々なインテグリンの接着
アミノ酸259から269(259HGRGDLGRLKK269)に相当するLAPβ3の領域をGST融合タンパク質として発現させ、K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の接着を支持する能力について試験した。GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)はK562−αvβ3およびK562−αvβ6細胞の接着をマグネシウムの存在下において支持したが、それに対してK562−αvβ5細胞はマンガン超刺激を必要とし、K562−WT細胞はいずれのカチオン条件においても接着することができなかった(図1)。
【0064】
実施例 2 : GST − LAP −β 3 最小結合ドメインに結合する K562 −α v β 3 、 K562 −α v β 5 、および K562 −α v β 6 細胞の特異性
K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞のLAPβ3への観察された接着の特異性を、特異的インテグリンブロック抗体を用いることによって確認した。K562−αvβ3細胞接着はαvβ3およびαvに対する抗体並びにαvβ3/αvβ5阻害剤SB223245によってブロックされた(図2)。K562−αvβ6細胞接着はαvβ6およびαvに対する抗体並びにαvβ6ペプチド阻害剤GW603365Aによってブロックされた(図3)。K562−αvβ5細胞接着はαvブロック抗体によって完全に阻害され、αvβ5およびβ1に対する抗体によって部分的に阻害され、SB223245によっても完全なブロックが観察された(図4)。集合的には、このデータは、LAPβ1への接着について観察されるように、K562−αvβ3細胞はαvβ3を介してLAPβ3に接着し、K562−αvβ6はαvβ6を介して接着し、およびK562−αvβ5はαvβ5およびαvβ1インテグリンの混合物を介して接着することを確証する。
【0065】
実施例 3 : RGD モチーフを介して GST − LAP −β 3 最小結合ドメインに接着する K562 −α v β 3 、 K562 −α v β 5 、および K562 −α v β 6 細胞の特異性
インテグリン結合に対するLAPβ3中のRGDモチーフの重要性を評価するため、Arg261、Gly262またはAsp263が別々にアラニンと置換されているGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)で融合タンパク質を作製した。インテグリン結合特性の分析は、これらの残基のいずれの変異もK562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の結合を消滅させることを示した(図5)。これは、αvβ1、αvβ3、αvβ5、およびαvβ6が全て、予想されるようにRGDモチーフを介してLAPβ3と相互作用することを明瞭に示す。
【0066】
配列表の説明
配列番号1(SwissPotアクセッション番号P10600)はヒトTGF−β3のアミノ酸配列を提示する。アミノ酸1から20はシグナル配列であり;アミノ酸21から300はLAP−β3配列であり;および、アミノ酸301から412は成熟TGF−β3サイトカイン配列である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、バーの下に示されるように、1mM EDTA、2mM MgCl2、または0.5mM MnCl2のいずれかの存在下における、GTSおよびLAPβ3のアミノ酸259−269の融合タンパク質0.5μgでコートしたウェルへのK562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の接着を示す。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図2】図2は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ3細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ3細胞を、2mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図3】図3は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ6細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ6細胞を、2mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図4】図4は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ5細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ5細胞を、0.5mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図5】図5は、K562−αvβ3、K562−αvβ5およびK562−αvβ6細胞結合にとってのLAPβ3RGD配列の重要性を示す。K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞を、バーの下に示されるように、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)またはArg261、Gly262、もしくはAsp263のいずれかがアラニンに変異している部位特異的変異体のいずれかでコートしたウェルに接着させた。K562−αvβ3およびK562−αvβ6細胞について2mM MgCl2の存在下で、またはK562−αvβ5細胞について0.5mM MgCl2の存在下で接着が生じた。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【0001】
本発明は、免疫モジュレートにおいて用いるための、並びに炎症性および線維性疾患および癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収および骨粗鬆症の治療において用いるための医薬製品に関する。また、本発明は、治療において、特には、免疫モジュレートにおいて、並びに炎症性および線維性疾患および線維性疾患および癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収および骨粗鬆症の治療において有用である製品を同定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インテグリンは、細胞−細胞および細胞−マトリックス相互作用の両者に介在するヘテロ二量体膜貫通受容体の大ファミリーを含む。これらは多くのリガンドと結合し、様々な細胞性および生理学的プロセス、例えば、細胞増殖、アポトーシス、移動、分化、炎症、および組織再構築をモジュレートする。
【0003】
αvインテグリンファミリーはインテグリンαvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6およびαvβ8を含む。これらのファミリー・メンバーは様々な細胞に発現し、1以上のメンバーは事実上全ての細胞型に発現する。例えば、αvβ3は内皮細胞、平滑筋細胞、様々な単球派生細胞、腫瘍細胞、血小板、間葉線維芽細胞、Tリンパ球、および樹状細胞に発現することが示されている。αvβ6はより制限された分布を有するようであり、上皮細胞、腫瘍細胞、および、おそらくは、幾つかの炎症細胞型に存在する。
【0004】
トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)アイソフォームTGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3は多くの細胞型から発現し、事実上全ての組織に存在する。これらは多くの細胞型の細胞増殖を強力に阻害し、細胞外マトリックス合成、インテグリン発現も誘導し、かつ免疫応答をモジュレートする。これらは巨大前駆体タンパク質として合成され、ゴルジ体においてタンパク分解的に処理されて約110アミノ酸の成熟TGF−βタンパク質および約280アミノ酸のレイテンシー関連タンパク質−β(LAP−β)と呼ばれるアミノ末端タンパク質を生じる。これらの2つのタンパク質はホモ二量体化し、それら2つの二量体も相互作用して各々のタンパク質の2つの部分を含むLAP−β−TGF−β複合体を形成する。この複合体はTGF−βを不活性化し、活性化には幾らかの立体配座の変化および/またはLAP−βタンパク質のタンパク分解が必要となる。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
本発明は、インテグリンのαvファミリーがトランスフォーミング成長因子−β3(TGF−β3)のレイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)に結合するという我々の知見に基づく。これらのインテグリンとTGF−β3のLAP−β3との相互作用は、その相互作用と幾つかの生物学的に重要なプロセスとの結び付きを提供する。
【0006】
本発明によると、レイテンシー関連ペプチド−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および
(d)該試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレート可能であるかどうかを決定し、それにより該試験製品がLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを決定する、
ことを含む方法が提供される。
【0007】
本発明の方法は、TFG−β3活性のモジュレーターの同定に用いることもできる。
【0008】
本発明は以下のものも提供する:
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するためのキットであって:
(i)レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体である第1成分;および
(ii)αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体である第2成分;
を含むキット;
ヒトまたは動物体の治療方法において用いるための、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤であるモジュレーターの使用;
アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤であるモジュレーターの使用;
薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターである製品を含む医薬組成物;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤である製品を投与することを含む方法;
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤を投与することを含む方法;
本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
治療によるヒトまたは動物体の治療方法において用いるための、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターの使用;
アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターの使用;
薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを含む医薬組成物;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを投与することを含む方法;
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、本発明の方法または本発明の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを投与することを含む方法;
免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を阻害可能であるかどうかを決定し;並びに
(e)工程(d)において同定される製品を免疫モジュレートの方法または炎症疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法;
アポトーシスの予防方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体の機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を活性化可能であるかどうかを決定し;並びに
(e)工程(d)において同定される製品をアポトーシスの予防方法において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法;
免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって:
(a)免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いることができる製品の同定方法を用いることによって製品を同定し;並びに
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法;
並びに
アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって:
(a)アポトーシスの予防方法において用いることができる製品の同定方法を用いることによって製品を同定し;並びに
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
我々は、驚くべきことに、αvインテグリンがトランスフォーミング成長因子−β3(TFG−β3)のレイテンシー関連ペプチド(LAP−β3)に結合することを示している。これは、レイテンシー関連ペプチド(LAP−β3)とαvインテグリンとの相互作用を以下の生物学的プロセスと結びつける:
(a)TGF−β3の活性化とそれに続く免疫モジュレートおよび/または活性TGF−β3が介在する線維症;
(b)αvインテグリンを発現する細胞のLAP−TGFβ3タンパク質に沿った移動:
(c)αvインテグリンを発現する細胞のアポトーシスからの保護。
【0010】
様々な細胞型上でのαvインテグリンの存在、および多くの細胞型に由来する多くの組織におけるTGF−β3の存在のため、これらのインテグリンのTGF−β3のLAP−β3との相互作用の複数の効果が存在し得る。したがって、1つ以上のαvインテグリンを発現する全ての細胞型はLAP−β3と相互作用する可能性を有する。これは、インテグリンへの結合現象(すなわち、インテグリンを介するシグナル伝達)またはTFGβ3の活性化(すなわち、TGFβ3受容体を介するTGF−β3シグナル伝達)による細胞の活性化/分化、および活性化TGF−β3の免疫モジュレート(Th1/Th2細胞スイッチングを含む)/線維効果をモジュレートし得る。
【0011】
本発明は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の調製因子を同定するための方法を提供する。適切な本発明の方法は:第1成分として、LAP−β3またはそれらの機能的変異体を提供し;第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および、該試験製品が第1および第2成分の間の相互作用を阻害可能であるかどうかを決定することを含む。それにより、当業者は、その試験化合物がLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを容易に決定することができる。
【0012】
in vivoで、TGF−β3は2つの遺伝子から誘導される3つのタンパク質を含んでなる複合体として分泌される。このTGF−β3遺伝子は、C末端TGF−β3配列および処理後にレイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)を形成する巨大N末端領域をコードする。成熟TGF−β3およびLAP−β3ペプチドの両者はホモ二量体を形成し、2つのホモ二量体が小潜在性複合体(SLC)と呼ばれる非共有結合複合体を形成する。LAP−β3は別のタンパク質、潜在性TGF−β3−結合タンパク質(LTBP)とジスルフィド結合することができる;そのようにして形成されるTGF−β3の潜在形態は大潜在性複合体(LLC)と呼ばれる。
【0013】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体が第1成分として提供される。LAP−β3のアミノ酸配列は配列番号1のアミノ酸21から300として示される。配列番号1の配列はSwissProtデータベース受付番号P10600に相当する。LAP−β3は単量体として用いることができるが、より典型的にはホモ二量体として用いられる。ホモ二量体が用いられる場合、その二量体を含むペプチドの一方または両者はLAP−β3の機能的変異体であってもよい。両ペプチドが機能的変異体である場合、それらはLAP−β3の異なる機能的変異体であり得る。
【0014】
LAP−β3の機能的変異体は、配列番号1のアミノ酸21から300のものに類似する配列を有し、かつαvインテグリンと結合する能力を保持するポリペプチドである。典型的には、機能的変異体のインテグリンに対する結合活性はLAP−β3のものと実質的に同じであり得る。あるいは、機能的変異体の結合活性はLAP−β3のものを上回るか、もしくは下回るものであってもよい。例えば、機能的変異体は、αvインテグリンと結合するその能力に関して、配列番号1のアミノ酸30から278として示される配列を有するLAP−β3の少なくとも90%活性、少なくとも80%活性または少なくとも70%活性を有することができる。
【0015】
機能的変異体は、典型的には、配列番号1のアミノ酸21から300として示されるものに実質的に類似する配列を含む。したがって、機能的変異体は、一般には、その配列の全長にわたる算出で、配列番号1のアミノ酸21から300として示される配列を有するLAP−β3との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。UWGCGパッケージが(例えば、そのデフォルト設定で用いて)同一性の算出に用いることができるBESTFITプログラムを提供する(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387-395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムを、Altschul S. F. (1993) J Mol Evol 36:290-300;Altschul, S, F et al (1990) J Mol Biol 215:403-10に記載されるように、同一性の算出および配列の列挙に用いることができる(典型的にはそれらのデフォルト設定で)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。
【0016】
機能的変異体は天然配列、例えば、関連配列、例えば、LAP−β1であっても、またはLAP−β3の対立遺伝子変異体であってもよい。対立遺伝子変異体は、一般には、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシまたはブタ起源のものである。
【0017】
あるいは、機能的変異体は非天然配列であってもよい。非天然機能的変異体は、例えばアミノ酸置換、欠失または付加によって得られる、配列番号1のアミノ酸21から300として示される配列を有するLAP−β3の修飾変異体であり得る。例えば、1まで、5まで、10まで、50までまたは100までのアミノ酸置換または欠失があってもよい。したがって、配列番号1のアミノ酸21から300として与えられる配列の機能的変異体はその配列の断片であってもよい。典型的には、置換がなされる場合、その置換は、例えば以下の表に従う保存置換である。第2欄の同じブロック内、好ましくは、第3欄の同じ列内のアミノ酸を互いに置換することができる。欠失は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸21から300として与えられる配列の末端の一方または両者からのアミノ酸の欠失である。あるいは、欠失は、αvインテグリンの結合に関与しない領域のものである。
【表1】
好ましいポリペプチドは配列番号1のアミノ酸261から263のRGDモチーフを含み、例えば、配列番号1のアミノ酸259から269を含む断片を含む。
【0018】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体を担体ポリペプチドに融合させることができる。したがって、さらなるアミノ酸残基を、担体ポリペプチドを付与するため、例えば、LAP−β3またはそれらの機能的変異体の一端または両端に付与することができ、それによりそのポリペプチドを、例えば、標識、固体マトリックスまたは担体に固定することができる。したがって、本発明の方法において用いるための第1成分は異種配列を含む融合ポリペプチドの形態であってもよい。実際、実務においては、融合ポリペプチドを用いることがしばしば好都合であり得る。これは、融合ポリペプチドを組換え細胞株、例えば、組換え細菌または昆虫細胞株において容易かつ安価に産生できるためである。加えて、融合ポリペプチドは同定および単離が容易であり得る。典型的には、融合ポリペプチドは上述のポリペプチド配列および担体またはリンカー配列を含む。この担体またはリンカー配列は、典型的には、非ヒト、好ましくは非哺乳動物資源、例えば、細菌資源から誘導される。これは、融合ポリペプチド内の配列とインテグリンとの非特異的相互作用の発生を最小化するためである。
【0019】
ポリペプチドを、例えば、ヒスチジン残基、T7タグまたはグルタチオンS−トランスフェラーゼを付加することによって修飾し、それらの単離を補助することができる。あるいは、担体ポリペプチドが、例えば、そのポリペプチドの細胞からの分泌を促進するか、またはそのポリペプチドの発現の標的を細胞膜に定め得る。アミノ酸担体は長さが1から400アミノ酸であるか、またはより典型的には、長さが5から200残基であり得る。ポリペプチドは直接または介在リンカー配列を介して担体ポリペプチドに連結することができる。連結に用いられる典型的なアミノ酸残基は、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸またはアスパラギン酸である。
【0020】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体を含むポリペプチドは処理されたTGF−β3プロペプチドまたはそれらの機能的変異体を伴って提供されてもよい。換言すると、小潜在性複合体(SLC)を本発明において用いることができる。処理されたTGF−β3プロペプチドの機能的変異体はLAP−β3結合活性を保持し、上でLAP−β3についてもたらされる説明に従って得ることができる。
【0021】
第1成分としての使用に適するポリペプチドは化学的に修飾、例えば、翻訳後修飾されていてもよい。例えば、それらはグリコシル化されていてもよく、または修飾アミノ酸残基を含むこともできる。ポリペプチドはアミドおよびポリペプチドとの結合体を含むポリペプチド誘導体の様々な形態であり得、すなわち、LAP−β3および/またはTGF−β3および/またはLTBPまたはそれらの機能的変異体をそのように修飾することができる。
【0022】
化学的に修飾されたポリペプチドには、官能性側鎖基の反応によって化学的に誘導体化された1以上の残基を有するものも含まれる。そのような誘導体化側鎖基には、塩酸アミンを形成するように誘導体化されているもの、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基およびホルミル基が含まれる。遊離カルボキシル基は塩、メチルおよびエチルエステルもしくは他のタイプのエステルまたはヒドラジドを形成するように誘導体化することができる。遊離ヒドロキシル基はO−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成するように誘導体化することができる。ヒスタジンのイミダゾール窒素はN−im−ベンジルヒスチジンを形成するように誘導体化することができる。
【0023】
20種の標準アミノ酸の天然アミノ酸誘導体を1以上含むポリペプチドも化学的に修飾されたポリペプチドに含まれる。例えば、4−ヒドロキシプロリンをプロリンと置き換えることができ、またはホモセリンをセリンと置き換えることができる。
【0024】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体および/または第1成分の一部として用いられる他のポリペプチドは暴露性(revealing)標識を担持することができる。適切な標識には、放射性同位体、例えば、32Pもしくは35S、蛍光標識、酵素標識、または他のタンパク質標識、例えば、ビオチンが含まれる。
【0025】
LAP−β3またはそれらの機能的変異体および/または第1成分の一部として用いられる他のポリペプチドは組換えDNA技術を用いて発現させることができる。例えば、適切なポリペプチドを、例えば、細菌または昆虫細胞株において発現させることができる(例えば、Munger et al., 1998, Molecular Biology of the Cell, 9, 2627-2638 を参照)。また、適切なポリペプチドをあらゆる適切な組織から生化学的に単離することもできる。
【0026】
あるいは、ポリペプチドを化学的に合成することもできる。固相Merrifield型合成のような合成技術が、純度、抗原特異性、望ましくない副生物からの解放および生成の容易さという理由で好ましい。固相ペプチド合成に適する技術は当業者に公知である(例えば、Merrifield et al., 1969, Adv. Enzymol 32, 221-96 および Fields et al., 1990, Int J. Peptide Protein Res, 35, 161-214 を参照)。一般には、固相合成法は、成長するペプチド鎖への1以上のアミノ酸残基または適切に保護されたアミノ酸残基の連続的な付加を含む。
【0027】
本発明の方法において第1成分として用いるためのポリペプチドは直鎖であっても環状であってもよい。直鎖ポリペプチドはいずれの適切な方法に従っても環化することができる(例えば、Zimmer et al., 1992, Peptides, pp.393-394, ESCOM Science Publishers, BV., 1993 および Gurrath et al., 1992, Eur. J. Biochem., 210, 911-921 を参照)。典型的には、tertブトキシカルボニル保護ポリペプチドメチルエステルをメタノールに溶解して水酸化ナトリウムを添加し、その混合物を20℃で反応させてメチルエステル保護基を加水分解的に除去する。溶媒を蒸発させた後、tertブトキシカルボニル保護基を酢酸エチルで酸性化水性溶媒から抽出する。その後、tertブトキシカルボニル保護基を、穏やかな酸性条件下、ジオキサン共溶媒中で除去する。そのようにして得られた遊離アミノ酸およびカルボキシ末端を有する非保護直鎖ペプチドを、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN−メチルモルホリンの存在下で、ジメチルホルムアミドの混合物中のその直鎖ポリペプチドの希釈溶液をジシクロヘキシルカルボジイミドと反応させることによってその対応する環状ポリペプチドに変換する。生じる環状ポリペプチドをクロマトグラフィーによって精製する。
【0028】
第2成分はαvインテグリン・ファミリーのインテグリンまたはそれらの機能的変異体を含む。αvファミリーのインテグリンはαvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6およびαvβ8インテグリンを含み、これらのいずれかまたは機能的変異体が第2成分、すなわち、本発明において用いられるインテグリンであり得る。本発明の好ましい態様において、第2成分はαvβ3もしくはαvβ6インテグリンまたはいずれかの機能的変異体である。
【0029】
これらのインテグリンのうちの1つの機能的変異体は、TGF−β3を結合するインテグリンの能力に関して、αvインテグリンのうちの1つに類似する活性を示すポリペプチドである。より具体的には、機能的変異体はTGF−β3のLAP−β3を結合することが可能である。したがって、第2成分は、例えば、LAP−β3を結合するαvインテグリンの断片、またはLAP−β3結合部位に対応するαvインテグリンの野生型配列を含み、かつ他所に非野生型配列を含むポリペプチドを含む。
【0030】
その上、適切な機能的変異体は非野生型LAP−β3結合部位を含むことができるが、依然としてLAP−β3を結合することが可能である。野生型結合部位の結合親和性と比較してLAP−β3に対する結合親和性の増加を示す非野生型結合部位を用いることが好ましいものであり得る。そのような非野生型結合部位の使用は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の強力な破壊物質である製品の同定を可能にし得る。非野生型LAP−β3結合配列は、上記第1成分について説明されるように、典型的には、例えば置換、欠失または付加によって生じる。
【0031】
第2成分ポリペプチドは、第1成分ポリペプチドについて説明されるものに類似する方法に従って生成することができる。
【0032】
二成分アッセイはいずれの適切なプロトコルに従っても行うことができる。好ましくは、このアッセイは、それを単一の反応容器内で行うことができ、より好ましくは、プラスチック・マクロタイタープレートの単一のウェル内で行うことができ、したがって、高スループット・スクリーニングに適合させることができるように適合させる。典型的には、細胞接着アッセイを行う。
【0033】
細胞接着アッセイにおいては、第1成分ポリペプチドを適切な容器のウェル、特には、プラスチック・マイクロタイタープレートのウェルにコートする。適切なアッセイ様式の1つにおいては、例えば化学的に、または組換えで生成された第2成分を単にアッセイ容器に添加する。第2成分の第1成分への結合は、標識、例えば、放射性標識または蛍光標識を担持する第2成分を用いることによって追跡することができる。
【0034】
あるいは、別の適切なアッセイ様式においては、第2成分を発現する細胞を容器に添加し、試験製品の存在下で第1成分と相互作用させる。適切な細胞は、1以上のインテグリンを発現するあらゆる細胞である。一次および形質転換の両者の多くの細胞および細胞株が1以上のαvインテグリンを発現し、アッセイにおいて用いることができる。これらには、例えば、αvβ1、αvβ3およびαvβ5についてのDx3メラノーマ細胞、αvβ5およびαvβ6についてのHT29並びにαvβ5についてのSW480が含まれる。あるいは、例えば Blystone et al (1995) Journal of Cell Biology 130: 745-754 に記載されるように、発現ベクター内のインテグリンcDNAを細胞にトランスフェクトし、アッセイにおいて用いるのに適する細胞を得ることができる。
【0035】
次に、第1成分ポリペプチドに結合する細胞の数を決定する。これは、例えば、細胞を染色した後に分光測定を行うことによって実施することができる。任意に、染料を溶出し、溶出したサンプルに対して分光測定を行うことができる。
【0036】
αvインテグリンをLAP−β3に対する結合に適する活性化状態まで高めるため、さらなる成分を反応混合物に添加することが必要になり得る。加えて、適切な対照実験を行うことができる。細胞接着アッセイを試験製品の存在なしで行うことができる。第1成分と第2成分を発現する細胞との非特異的相互作用を区別するため、インテグリンの2つのポリペプチドの一方に特異的な抗体を反応混合物に添加することができる。第2成分以外のポリペプチドを発現する対照細胞を用いて、第1および第2成分の間の特異的反応とαvインテグリンおよび第2成分を発現する細胞の他の表面タンパク質の間の非特異的反応とを区別することができる。
【0037】
本発明は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための試験キットも提供する。本発明によるキットは上述の第1成分および上述の第2成分を含む。本発明の好ましいキットにおいては、キットは、試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレートするかどうかを決定するための手段も含む。典型的には、試験キットは、上述の接着アッセイを実施するのに適する成分を提供する。したがって、第2成分は、第2成分を発現する細胞の形態で提供することができる。キットが接着アッセイキットである場合、第1成分に結合する細胞の量を定量するのに適する染料、例えば、クリスタルバイオレット染料を含むこともできる。
【0038】
本発明のキットは、任意に、適切なバッファ(1種類もしくは複数)、例えばαvインテグリン以外のインテグリンを発現する、対照細胞、または対照抗体をさらに含むことができる。本発明のキットは、適切な包装およびLAP−β3とインテグリンとの相互作用のモジュレートを同定するための方法において用いるための手引きを含むこともできる。
【0039】
本発明の方法において用いるのに適する試験製品には、コンビナトリアルライブラリ、明確な化学的部分、ペプチドおよびペプチド模倣体、オリゴヌクレオチド並びに天然製品ライブラリが含まれる。試験製品は、例えば、反応当たり10の物質の初期スクリーニングにおいて用いることができ、阻害を示すバッチの製品を個別に試験する。さらに、抗体製品(例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、CDR−グラフト抗体並びにヒト化抗体)を用いることができる。
【0040】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターは、本発明の方法においてそれら2つのタンパク質の間の相互作用の程度に測定可能な減少または増加を生じるものである。したがって、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターはその相互作用の阻害剤であっても活性化剤であってもよい。
【0041】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤は、LAP−β3とインテグリンとの相互作用の程度を、その阻害剤の不在下におけるその2つの間の相互作用の程度と比較して、低下させるか、または実質的に排除するものである。好ましい阻害剤は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用を、1μgml− 1、10μgml− 1、100μgml− 1、500μgml− 1、1mgml− 1、10mgml− 1、100mgml− 1の阻害剤の濃度で、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%阻害するものである。阻害パーセンテージは、試験物質の存在および不在下でのアッセイの比較における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の減少パーセンテージを表す。上述の阻害パーセンテージの程度および阻害剤の濃度のあらゆる組合せを本発明の阻害剤の定義に用いることができ、より低い濃度でのより高い阻害が好ましい。
【0042】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤は、LAP−β3とインテグリンとの相互作用の程度を、その活性化剤の不在下におけるその2つの間の相互作用の程度と比較して、増加させるものである。好ましい活性化剤は、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用を、1μgml− 1、10μgml− 1、100μgml− 1、500μgml− 1、1mgml− 1、10mgml− 1、100mgml− 1の活性化剤の濃度で、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%または少なくとも1000%活性化するものである。活性化パーセンテージは、試験物質の存在および不在下でのアッセイの比較における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の増加パーセンテージを表す。上述の活性化パーセンテージの程度および活性化剤の濃度のあらゆる組合せを本発明の活性化剤の定義に用いることができ、より低い濃度でのより高い活性化が好ましい。
【0043】
上述のもののようなアッセイにおいて活性を示す試験製品をin vivo系、例えば、動物疾患モデルにおいて試験することができる。したがって、候補阻害剤を、マウスにおいて炎症および/または線維症を和らげるそれらの能力について試験することができた。候補活性化剤を、マウスにおいてアポトーシスを防止するそれらの能力について試験することができた。
【0044】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤または活性化剤は、LAP−β3と他のインテグリン、例えば、非αvインテグリンとの相互作用を破壊しないことが好ましい。すなわち、阻害剤または活性化剤は、一般に、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用に特異的である。
【0045】
適切な阻害剤には、αvインテグリンの機能的変異体、それらの断片、これらのインテグリンまたはこれらのインテグリンの天然リガンドのいずれかの模倣体、例えば、LAP−β3とαvインテグリンとの結合性相互作用に関与する構造領域を模倣するTGF−β3に基づくポリペプチド、インテグリンに対するLAP−β3の機能的結合ドメインに相当する配列を有するポリペプチド、およびLAP−β3またはインテグリンのいずれかと免疫反応する抗体が含まれる。
【0046】
適切な活性化剤には、LAP−β1またはLAP−β3の機能的変異体が含まれる。
【0047】
本発明のモジュレーターは実質的に純粋な形態であり得る。それらは実質的に単離された形態であり得、その場合、それらは一般に、調製品において、乾燥質量の少なくとも80重量%、例えば、90、95、97または99重量%を構成する。製品は、典型的には、他の細胞成分を実質的に含まない。製品はそのような実質的に単離され、精製され、もしくは非含有の形態で本発明において用いることができ、またはそのような形態でキット中に存在することができる。
【0048】
本発明のモジュレーターは、治療によるヒトまたは動物体の治療方法において用いることができる。
【0049】
特には、本発明の阻害剤は、免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌(固形腫瘍治療および転移性腫瘍治療を含む)、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療において用いることができる。炎症性および/または線維性成分が関与する状態の例は、慢性閉塞性肺障害、関節リウマチ、乾癬、再狭窄、アテローム性動脈硬化、肝線維症および喘息である。LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤を必要とする患者の状態は、本発明の阻害剤を投与することによって改善することができる。本発明の阻害剤の治療上有効な量を、それらを必要とする宿主に投与することができる。
【0050】
本発明の活性化剤は、アポトーシスの防止(すなわち、それに対する保護)の方法において用いることができる。LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤を必要とする患者の状態は、本発明の活性化剤を投与することによって改善することができる。本発明の活性化剤の治療上有効な量を、それらを必要とする宿主に投与することができる。
【0051】
LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターは様々な剤形で投与することができる。したがって、それらは、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒として、経口投与することができる。モジュレーターは、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮または輸液技術のいずれかにより、非経口投与することもできる。医師は、各々の患者に必要な投与経路を決定することができるであろう。
【0052】
上記状態のうちの1つの予防または治療において用いるためのモジュレーターの処方は、モジュレーターそのものの性質、目的とされるのが医薬用途なのか獣医学的用途なのか等の因子に依存する。モジュレーターは同時に、別々に、または連続的に用いるために処方することができる。
【0053】
モジュレーターは、典型的には、本発明における投与のため、薬学的に許容し得る担体または希釈剤と共に処方する。薬学的に許容し得る担体または希釈剤は、例えば、等張性溶液であり得る。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプンもしくはジャガイモデンプン;潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースもしくはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩もしくはデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;並びに、一般には、医薬処方において用いられる非毒性で生理学的に不活性の物質を含むことができる。そのような医薬調製品は公知の方法、例えば、混合、顆粒化、打錠、糖衣、またはフィルムコーティング・プロセスによって製造することができる。
【0054】
経口投与用の液体分散液は、シロップ、エマルジョンまたは懸濁液であり得る。シロップは、担体として、例えば、サッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを伴うサッカロースを含むことができる。
【0055】
懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含むことができる。筋肉内注射用の懸濁液または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容し得る担体、例えば、無菌の水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール、および所望であれば、適切な量の塩酸リドカインを含むことができる。
【0056】
静脈内投与または輸液用の溶液は、担体として、例えば、無菌水を含むことができ、または好ましくは、無菌の等張性生理食塩水溶液の形態であり得る。
【0057】
治療上有効な量のモジュレーターが患者に投与される。モジュレーターの用量は様々なパラメータに従って、特には、用いられる物質;治療しようとする患者の年齢、体重および状態;投与経路;並びに必要される投薬計画に従って決定することができる。この場合もやはり、医師が、あらゆる患者に必要とされる投与経路および投与量を決定することができるであろう。典型的な1日用量は、特定のモジュレーターの活性、治療しようとする被検体の年齢、体重および状態、変性のタイプおよび重篤性、並びに投与の頻度および経路に従い、体重kgあたり約0.1から50mgである。好ましくは、1日用量レベルは5mgから2gである。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は本発明を説明する:
実施例
材料および方法
他に指示されない限り、記述される技術および方法論は標準的な生化学技術である。適切な一般方法論の教科書には、Sambrook et al., Molecular Cloning (1995), John Wiley & Sons, Inc. が含まれる。
【0059】
細胞培養
K562−WT(野生型)、K562−αvβ6、K562−αvβ5およびK562−αvβ3細胞を、1:1 RPMI 1640、修飾Hepes(Gibco):Dulbecco's Minimum Essential Medium(DMEM)、L−グルタミン(Gibco)および10%ウシ胎児血清(FCS)を補足した修飾Hepes(Sigma)に維持した。加えて、K562−αvβ3、K562−αvβ5およびK562−αvβ6細胞にゲネチシン(G418、Gibco)を1mg/ml補足した。全てのトランスフェクト細胞は、lipofectamine plus(Gibco BRL)を用いて、個々のインテグリンcDNAを含むpCDNA−3構築体でK562細胞をトランスフェクトすることにより生成した。安定なG418耐性集団は、必要とされるインテグリンを発現し、かつそのインテグリンの期待される接着特性を有することが示された。
【0060】
抗体および他の試薬
用いた抗体クローンは以下の通りである。抗β1インテグリン抗体クローン4B4はCoulterから入手した。抗α5抗体クローンSAM−1、および抗αvインテグリン抗体クローン69−5−5はImmunotechから入手した。抗αvβ3インテグリン抗体クローンLM609、抗αvβ6インテグリン抗体クローン10D5、および抗αvβ5インテグリン抗体クローンP1F6はChemiconからであった。アイソタイプ対照(MOPC21)はSigmaからであった。αvβ3/αvβ5阻害剤GW372205X(別名、SB223245)は自家合成した。GW372205X/SB223245は、WO-A-96/00730(SmithKline Beecham Corp)および Keenan et al (1997) J. Med. Chem. 40, 2289-2292 に記載されている。LAP−β3はSigmaから入手し、フィブリノーゲンはCalbiochemから入手し、ビトロネクチンはヒト血漿から精製した。αvβ6阻害剤GW603365Aは自家合成したAc−RTDLDSLRT−NH2である(WO 0037487−MerckKgAAに記載される)。α4β1阻害剤BIO1211は自家合成した。BIO1211は Lin et al (1999) J. Med. Chem. 42:920-934 に記載されている。
【0061】
GST融合タンパク質は、BamHIおよびEcoRI制限部位を用いて、オリゴヌクレオチドをpGEX−2Tベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に挿入することにより作製した。
【0062】
接着アッセイ
全てのタンパク質を、4℃で一晩、Maxisorp 96ウェルプレート(Nunclon)にコートした。各々のタンパク質は指示される濃度でPBSに溶解し、ウェル当たり総容積100μlを添加した。プレートをPBSで2回洗浄した後、3%BSA/PBSを用いて37℃で1時間ブロックし、最後にPBSで2回洗浄した。細胞をペレット化してHBSS(Sigma)で1回洗浄した後、図の説明において指示通りに2mM MgCl2または0.5mM MnCl2の存在下、HBSS、25mM HEPES pH7.5中に所望の細胞濃度(K562−WT、K562−αvβ6は3×106細胞/ml、K562−αvβ5、K562−αvβ3は2×l06細胞/ml、ウェル当たり100μl)で増やした。他の添加は図の説明に詳述されている。抗体阻害については、細胞を抗体(10μg/ml)と共に氷上で5分間予備インキュベートした。その後、細胞を37℃で35分間結合させ、PBSで2回、エタノールで1回洗浄して、室温で20分間エタノール中で固定した。定量については、細胞を、0.1%クリスタルバイオレット(Sigma)で10分間染色した後、0.5%Triton X-100(Sigma)中で溶解することによって可視化し、Wallac Victorプレートリーダーにおいて570nmで光学的に読み取った。
【0063】
実施例 1 : GST − LAP −β 3 最小結合ドメインへの様々なインテグリンの接着
アミノ酸259から269(259HGRGDLGRLKK269)に相当するLAPβ3の領域をGST融合タンパク質として発現させ、K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の接着を支持する能力について試験した。GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)はK562−αvβ3およびK562−αvβ6細胞の接着をマグネシウムの存在下において支持したが、それに対してK562−αvβ5細胞はマンガン超刺激を必要とし、K562−WT細胞はいずれのカチオン条件においても接着することができなかった(図1)。
【0064】
実施例 2 : GST − LAP −β 3 最小結合ドメインに結合する K562 −α v β 3 、 K562 −α v β 5 、および K562 −α v β 6 細胞の特異性
K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞のLAPβ3への観察された接着の特異性を、特異的インテグリンブロック抗体を用いることによって確認した。K562−αvβ3細胞接着はαvβ3およびαvに対する抗体並びにαvβ3/αvβ5阻害剤SB223245によってブロックされた(図2)。K562−αvβ6細胞接着はαvβ6およびαvに対する抗体並びにαvβ6ペプチド阻害剤GW603365Aによってブロックされた(図3)。K562−αvβ5細胞接着はαvブロック抗体によって完全に阻害され、αvβ5およびβ1に対する抗体によって部分的に阻害され、SB223245によっても完全なブロックが観察された(図4)。集合的には、このデータは、LAPβ1への接着について観察されるように、K562−αvβ3細胞はαvβ3を介してLAPβ3に接着し、K562−αvβ6はαvβ6を介して接着し、およびK562−αvβ5はαvβ5およびαvβ1インテグリンの混合物を介して接着することを確証する。
【0065】
実施例 3 : RGD モチーフを介して GST − LAP −β 3 最小結合ドメインに接着する K562 −α v β 3 、 K562 −α v β 5 、および K562 −α v β 6 細胞の特異性
インテグリン結合に対するLAPβ3中のRGDモチーフの重要性を評価するため、Arg261、Gly262またはAsp263が別々にアラニンと置換されているGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)で融合タンパク質を作製した。インテグリン結合特性の分析は、これらの残基のいずれの変異もK562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の結合を消滅させることを示した(図5)。これは、αvβ1、αvβ3、αvβ5、およびαvβ6が全て、予想されるようにRGDモチーフを介してLAPβ3と相互作用することを明瞭に示す。
【0066】
配列表の説明
配列番号1(SwissPotアクセッション番号P10600)はヒトTGF−β3のアミノ酸配列を提示する。アミノ酸1から20はシグナル配列であり;アミノ酸21から300はLAP−β3配列であり;および、アミノ酸301から412は成熟TGF−β3サイトカイン配列である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、バーの下に示されるように、1mM EDTA、2mM MgCl2、または0.5mM MnCl2のいずれかの存在下における、GTSおよびLAPβ3のアミノ酸259−269の融合タンパク質0.5μgでコートしたウェルへのK562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞の接着を示す。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図2】図2は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ3細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ3細胞を、2mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図3】図3は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ6細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ6細胞を、2mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図4】図4は、GST−LAPβ3(アミノ酸259−269)に対するK562−αvβ5細胞接着の特異性を示す。K562−αvβ5細胞を、0.5mM MgCl2の存在下で、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)でコートしたウェルに接着させた。特異的ブロック抗体(1μg/ウェル)および化合物を指示通りに添加した。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
【図5】図5は、K562−αvβ3、K562−αvβ5およびK562−αvβ6細胞結合にとってのLAPβ3RGD配列の重要性を示す。K562−αvβ3、K562−αvβ5、およびK562−αvβ6細胞を、バーの下に示されるように、0.5μgのGST−LAPβ3(アミノ酸259−269)またはArg261、Gly262、もしくはAsp263のいずれかがアラニンに変異している部位特異的変異体のいずれかでコートしたウェルに接着させた。K562−αvβ3およびK562−αvβ6細胞について2mM MgCl2の存在下で、またはK562−αvβ5細胞について0.5mM MgCl2の存在下で接着が生じた。各々のデータポイントは複式ポイントの平均±SDを表し、少なくとも3つの同一の実験を代表するものである。
Claims (37)
- トランスフォーミング成長因子−β3(TGF−β3)のレイテンシー関連ペプチドLAPとαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、それらのαvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;および
(d)該試験製品が第1および第2成分の間の相互作用をモジュレート可能であるかどうかを決定し、それにより該試験製品がLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターであるかどうかを決定する、
ことを含む方法。 - 工程(a)において、LAP−β3またはそれらの機能的変異体が単量体の形態にある請求項1に記載の方法。
- 工程(a)において、LAP−β3またはそれらの機能的変異体が二量体の形態にある請求項1に記載の方法。
- 工程(a)において、LAP−β3またはそれらの機能的変異体が小レイテンシー複合体(SLC)の一成分として提供される請求項1または3に記載の方法。
- 工程(a)において、LAP−β3またはそれらの機能的変異体が大レイテンシー複合体(LLC)の一成分として提供される請求項1または3に記載の方法。
- LAP−β3またはそれらの機能的変異体が担体ポリペプチドに融合している請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(b)において、インテグリンが、該インテグリンを発現する細胞株の形態で提供される請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- モジュレーターがLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤である請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- モジュレーターがLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤である請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターを同定するための試験キットであって:
(i)請求項1の工程(i)において定義される第1成分;および
(ii)請求項1の工程(ii)において定義される第2成分;
を含むキット。 - (iii)試験製品が第1成分と第2成分との相互作用をモジュレートするかどうかを決定するための手段、
をさらに含む、請求項10に記載のキット。 - ヒトまたは動物体の治療方法において用いるための、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター。
- LAP−β3とインテグリンとの相互作用の阻害剤である請求項12に記載のモジュレーター。
- LAP−β3とインテグリンとの相互作用の活性化剤である請求項12に記載のモジュレーター。
- 免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収または骨粗鬆症の治療方法において用いるための、請求項13に記載のモジュレーター。
- アポトーシスの予防方法において用いるための請求項14に記載のモジュレーター。
- 免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤であるモジュレーターの使用。
- アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の活性化剤であるモジュレーターの使用。
- 薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーターである製品を含む医薬組成物。
- 免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とαvインテグリンとの相互作用の阻害剤である製品を投与することを含む方法。
- アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の、LAP−β3とインテグリンαvインテグリンとの相互作用の活性化剤を投与することを含む方法。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の方法または請求項10または11のいずれか1項に記載の試験キットによって同定されるLAP−β3とαvインテグリンとの相互作用のモジュレーター。
- LAP−β3とインテグリンとの相互作用の阻害剤である請求項22に記載のモジュレーター。
- LAP−β3とインテグリンとの相互作用の活性化剤である請求項22に記載のモジュレーター。
- 治療によるヒトまたは動物体の治療方法において用いるための請求項22から24のいずれか1項に記載のモジュレーター。
- 免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための請求項23に記載のモジュレーター。
- アポトーシスの予防方法において用いるための請求項24に記載のモジュレーター。
- 免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いるための医薬の製造における請求項23に記載のモジュレーターの使用。
- アポトーシスの予防方法において用いるための医薬の製造における請求項24に記載のモジュレーターの使用。
- 薬学的に許容し得る担体または希釈剤および、活性成分として、請求項22から24のいずれか1項に記載のモジュレーターを含む医薬組成物。
- 免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の請求項23に記載のモジュレーターを投与することを含む方法。
- アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって、該宿主に有効量の請求項24に記載のモジュレーターを投与することを含む方法。
- 免疫モジュレートの方法または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはそれらの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を阻害可能であるかどうかを決定し;並びに
(f)工程(d)において同定される製品を免疫モジュレートの方法または炎症疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症の治療において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法。 - アポトーシスの予防方法において用いることができる製品の同定方法であって:
(a)第1成分として、レイテンシー関連ペプチド−β3(LAP−β3)またはそれらの機能的変異体を提供し;
(b)第2成分として、αvインテグリンまたはこれらのインテグリンのいずれかの機能的変異体を提供し;
(c)該2つの成分を試験製品と、該試験製品の不在下では該2つの成分を相互作用させる条件下で接触させ;
(d)該試験製品が、第1および第2成分の間の相互作用を活性化可能であるかどうかを決定し;並びに
(f)工程(d)において同定される製品をアポトーシスの予防方法において用いることができるかどうかを決定する;
ことを含む方法。 - 免疫モジュレートを必要とするか、または炎症性疾患、線維性疾患、癌、糖尿病性網膜症、骨再吸収もしくは骨粗鬆症を患う宿主の治療方法であって:
(a)請求項33に記載の方法を用いることによって製品を同定し;および
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法。 - アポトーシスの防止を必要とする宿主の治療方法であって:
(a)請求項34に記載の方法を用いることによって製品を同定し;および
(b)宿主に有効量の該製品を投与する;
ことを含む方法。 - αvインテグリンがαvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6またはαvβ8インテグリンである、請求項1なしい9、20、21および31なしい36のいずれか1項に記載の方法、請求項10または11に記載の試験キット、請求項12から16、22から27および30のいずれか1項に記載のモジュレーター、請求項17、18、28および29のいずれか1項に記載の使用または請求項19または30に記載の医薬組成物。
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