JP2004535760A - ヒトerg2カリウムチャンネル - Google Patents
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Abstract
本発明は、h−erg2タンパク質をコード化する新規なヒトDNA配列、このDNA配列によってコードされるタンパク質、このDNA配列を含むベクター、このベクターを含む宿主細胞、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤および活性化剤を特定する方法に関する。
Description
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は米国仮特許出願第60/249,981号(2000年11月20日出願)の利益を主張し、その内容はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府補助金による研究開発に関する言及)
該当補助金なし
(マイクロフィッシュ添付に対する参照)
該当物なし
【0003】
(発明の分野)
本発明は、カリウムチャンネルサブユニットをコード化する新規なヒトDNA配列、このDNA配列によってコードされるタンパク質、このタンパク質を組換え細胞において発現させる方法、このサブユニットを含むカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定する方法に関する。
【0004】
(発明の背景)
カリウムチャンネルは、カリウムイオンが膜を通過することを選択的に許す膜貫通孔が形成されるイオンチャンネルであり、ほぼすべての細胞において見出されるイオンチャンネルである。カリウムチャンネルは、その分子構造、その生物物理的性質および薬理学的性質、およびカリウムチャンネルが発揮する機能に基づいて、様々なタイプに分類することができる。
【0005】
種々のタイプのカリウムチャンネルは、内向きまたは外向きのいずれかの方向でカリウム電流を優先的に伝えることができ、およびこれらの異なるタイプのチャンネルは、カリウムチャンネルを発現する細胞および組織において異なる機能を発揮する。例えば、古典的な内向きの整流カリウムチャンネルは、カリウム平衡電位(EK)に対して負側の電圧でカリウム電流を細胞内に優先的に伝え、それにより主として、細胞膜電位をカリウムイオンの平衡電位の近くで安定化させるように機能する。対照的に、遅延型整流カリウムチャンネルは、典型的には、膜がチャンネルの活性化閾値に脱分極するまで閉じており、その後、遅延型整流が、これらの脱分極した電位において細胞からのカリウム電流を優先的に伝える。遅延型整流は、細胞が興奮した後の膜の再分極に寄与する。両方のクラスは、ある種の心臓血管系および神経学的な細胞および組織の興奮性を調節することにおいて重要である。
【0006】
ether−a−go−go(eag)ファミリーのカリウムチャンネルは、最初に発見されたメンバー(eag)が、その変異型の脚震え表現型によりショウジョウバエ(Drosophila)で特定されたカリウムチャンネルの一群である(Kaplan&Trout、1969、Genetics、61:399)。クローン化されたとき、eagは、遅延型整流カリウムチャンネルの特徴的な構造的特徴を有することが見出され、アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞における発現研究により、eagが機能的なカリウムチャンネルであり、実際に遅延型整流を産生することが見いだされた(Warmke他、1991、Science、252:1560〜1562;Robertson他、1993、Biophys.J.Abstr.64:A340;Bruggerman他、1993、Nature、365:445〜448;Ludwig他、1994、EMBO J.13:4451〜4458)。eagファミリーのメンバーは、それらの中心部の疎水性コアにおいて約47%のアミノ酸配列同一性をともに有し、環状ヌクレオチド結合ドメインに対して相同的なセグメントを含有する。eagファミリーの各メンバーの中心部の疎水性コアは、推定膜貫通ドメインに対応する6個の疎水性ドメイン(S1〜S6)、ならびに電位依存性イオンチャンネルの多くの他のファミリーに見出される典型的な細孔(P)領域を含有する(Drysdale他、1991、Genetics、127:497〜505;Warmke他、1991、Science、252:1560〜1562;Guy他、1991、Science、254:730)。
【0007】
eagファミリーは少なくとも2つの他の関連するサブファミリーの遺伝子を含むことがまもなく明らかになった:elk(eag様K+チャンネル)サブファミリーおよびerg(eag関連遺伝子)サブファミリー(Warmke&Ganetzky、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:3438)。このファミリーのeagメンバーおよびelkメンバーは機能的には典型的な遅延型整流チャンネルであるが、発見されたergサブファミリーの最初のメンバー(erg1)は、少し異なる生物物理的性質を有することが見出された。例えば、erg1は、実際には、その活性化閾値よりも正側の電圧において外向きの電流を伝える遅延型整流であるが、その電流はまた、ある程度、内向きに整流される(すなわち、電圧が増大するに従い、外向きの電流を伝えるチャンネルの能力が減少する)(Trudeau他、1995、Science、269:92〜95)。ヒトerg1(h−erg1)は、罹患者を心臓心室性不整脈による突然死の危険性にさらす、心電図における長くなったQT間隔を特徴とする遺伝型障害であるLQT2型の長QT症候群に対する遺伝子座である(Curran他、1995、Cell、80:795)。
【0008】
ergサブファミリーの他のメンバーが特定されている。Shi他(1997、J.Neurosci.17:9423〜9432)は、erg1と非常に類似する、ラットの神経系でもっぱら発現する2つのラット遺伝子(erg2およびerg3)を特定した。
【0009】
できる限り広範囲の様々な新規なカリウムチャンネルサブユニット、特に、ヒトに由来する新規なカリウムチャンネルサブユニット、および制限された組織発現を示す新規なカリウムチャンネルサブユニットを発見することは望ましい。そのような新規なサブユニットは、様々な他の薬物標的に対する逆スクリーニングにおいて有用な、薬物発見に対する注目される標的であり、イオンチャンネルの生物学についてより多くを理解するための有益な研究道具である。
【0010】
(発明の概要)
本発明は、カリウムチャンネルサブユニットのヒトerg2(h−erg2)をコード化する新規なヒトDNA配列に関する。本発明には、h−erg2のいくつかのスプライス変化体および多型変化体が包含される。本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7として示されるヌクレオチド配列を含むDNA、ならびに配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7のコード領域を含むDNAが包含される。また、本発明の新規なDNA配列によってコードされる推定タンパク質配列も提供される。本発明のヒトerg2タンパク質は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8として示されるアミノ酸配列、ならびにそのフラグメントを含む。新規なh−erg2カリウムチャンネルサブユニットタンパク質を組換えシステムにおいて発現させる方法が提供される。また、h−erg2サブユニットを含むカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定することによって薬物標的としてh−erg2を使用する方法もまた提供される。また、他の薬物標的の活性化剤および阻害剤を特定するために設計されたアッセイに対する逆スクリーニングにおいて、新規なh−erg2サブユニットおよびこれらのサブユニットをコード化するDNAを使用する方法も提供される。
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1Aは、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。図1Bは、対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。図1Aにおける開始ATGコドンは57位〜59位に存在し、停止コドンは2931位〜2933位に存在する。
【0012】
図2Aは、配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。配列番号3における2722位は、配列番号1におけるようなTではなく、Cである。図2Bは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。配列番号4は、889位において、Mではなく、Tを有することにおいて配列番号2と異なる。
【0013】
図3Aは、配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。挿入部には下線が付される。図3Bは、配列番号5によってコードされるアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【0014】
図4Aは、配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。図4Bは、配列番号7によってコードされるアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【0015】
図5A〜図5Bは、h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。コンセンサス配列が配列番号23である。
【0016】
図6は、h−erg2が腎臓および前立腺において特異的に発現することを明らかにする多組織ノーザンブロットの結果を示す。レーンは下記の通りであった:1=心臓;2=脳;3=胎盤;4=肺;5=肝臓;6=骨格筋;7=腎臓;8=膵臓;9=脾臓;10=胸腺;11=前立腺;12=精巣;13=子宮;14=小腸;15=結腸;16=末梢血白血球。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明の趣旨により、
「他のタンパク質を実質的に含まない」は、他のタンパク質を少なくとも90%(好ましくは95%、より好ましくは99%、さらにより好ましくは99.9%)含まないことを意味する。従って、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質調製物は、その全タンパク質の百分率として、h−erg2タンパク質でないタンパク質を多くても10%(好ましくは多くても5%、より好ましくは多くても1%、さらにより好ましくは多くても0.1%)含む。所与のh−erg2タンパク質調製物が他のタンパク質を実質的に含まないかどうかは、タンパク質の純度を評価する従来の技術によって、例えば、適切な検出法(例えば、銀染色または免疫ブロッティング)と組み合わせたドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)などによって明らかにすることができる。
【0018】
「他の核酸を実質的に含まない」は、他の核酸を少なくとも90%(好ましくは95%、より好ましくは99%、さらにより好ましくは99.9%)含まないことを意味する。従って、他の核酸を実質的に含まないh−erg2DNA調製物は、その全核酸の百分率として、ヒトh−erg2の核酸でない核酸を多くても10%(好ましくは多くても5%、より好ましくは多くても1%、さらにより好ましくは多くても0.1%)含む。所与のh−erg2DNA調製物が他の核酸を実質的に含まないかどうかは、核酸の純度を評価する従来の技術によって、例えば、適切な検出法(例えば、臭化エチジウム染色)と組み合わせたアガロースゲル電気泳動などによって明らかにすることができる。
【0019】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が別の化学的に類似するアミノ酸残基により置換されることを示す。そのような保存的置換の例には、疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリンまたはメチオニン)相互の置換;同じ荷電の極性残基相互の置換(例えば、リシンのアルギニンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換);芳香族アミノ酸(トリプトファン、チロシンまたはフェニルアラニン)相互の置換がある。
【0020】
ポリペプチドは、そのポリペプチドが、h−erg2チャンネルの性質と類似する性質を有する機能的なカリウムチャンネルを、単独で、すなわち、ホモ多量体として形成し得る場合、または機能的なカリウムチャンネルを構成する複合体が形成されるように、少なくとも1つの他のカリウムチャンネルサブユニットと組み合わせられ得る場合、「h−erg2と実質的に同じ生物学的活性」を有する。この場合、このポリペプチドは、(そのような他のサブユニット単独と比較したとき)、配列番号2を有するh−erg2タンパク質がそのような他のサブユニットにもたらす電気生理学的性質または薬理学的性質と類似する変化した電気生理学的性質または薬理学的性質を複合体にもたらす。このポリペプチドは、BLASTまたはFASTAのような標準的なプログラムにより測定されたとき、配列番号2に対する同一性が少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約95%)であるアミノ酸配列を有する。配列比較プログラムの例については、例えば、Gish&States、1993、Nature Genetics、3:266〜272;Altschul他、1990、J.Mol.Biol.215:403〜410を参照のこと。
【0021】
本発明は、ヒトerg2(h−erg2)タンパク質をコード化するDNAの特定およびクローニングに関する。ラットerg2をコード化するcDNAが単離されている(Shi他、1997、J.Neurosci.17:9423〜9432;GenBankアクセション番号AF016192)が、完全な正しいerg2(h−erg2)をコード化するDNAは以前には報告されていない。h−erg2の一部を表し得るESTがGenBankにアクセション番号H96170で寄託されていた。別の配列X56415(geneseqnデータベース)は、h−erg2に関連する遺伝子の部分配列であり得る。
【0022】
本発明は、配列番号1を有するh−erg2をコード化するcDNAを提供する。配列番号1は、配列番号2を有するh−erg2タンパク質をコード化する。h−erg2の他の配列変化体もまた特定されている:
1.単一ヌクレオチド多型(TまたはC)が配列番号1において2722位に特定された。この多型に対応するcDNA配列が配列番号3であり、これは、配列番号4を有するタンパク質をコード化する。Tを2772位に有する2つのクローンが特定され、Cを2772位に有する2つのクローンが特定された。これらは、推定アミノ酸配列のアミノ酸位置889においてメチオニン(配列番号2)またはトレオニン(配列番号4)のいずれかをもたらす。
【0023】
【化1】
【0024】
2.挿入を有する変化体(おそらくは、スプライス変化体)もまた単離された(配列番号5)。配列番号1と比較したとき、配列番号5は、下記に示される108塩基対の挿入を2289位に含有する。
【0025】
挿入cDNAのDNA配列は、下記のとおりである。
【0026】
【化2】
【0027】
この配列の挿入により、配列番号2と比較したとき、下記の36アミノ酸の挿入を745位に有するタンパク質(配列番号6)が産生する。
【0028】
【化3】
【0029】
3.配列番号1と比較したとき、欠失を含む別の変化体が特定された(これもまた、おそらくはスプライス変化体である)。この変化体は、配列番号1のヌクレオチド位置2637から始まる237塩基対の欠失を含有した。この変化体のDNA配列が配列番号7に示され、この変化体のアミノ酸配列が配列番号8に示される。配列番号1の欠失した配列が下記に太字で示され、下線が付される。
【0030】
【化4】
これにより、配列番号2のアミノ酸861から始まる、推定アミノ酸配列の79アミノ酸の欠失が生じる。配列番号2の欠失したアミノ酸配列が下記に太字で示され、下線が付される。
【0031】
【化5】
【0032】
ノーザンブロット分析により、腎臓および前立腺におけるh−erg2の強い発現が明らかにされた。本明細書中に開示されるh−erg2変化体のすべてが腎臓から単離された。この発現パターンから、h−erg2カリウムチャンネルサブユニットは、低血圧症および高血圧症、腎不全、良性前立腺肥大、前立腺ガンおよび不妊症に対する治療的関連性を有し得ることが示唆される。
【0033】
本発明は、他の核酸を実質的に含まない、h−erg2サブユニットをコード化する核酸を提供する。核酸はDNAまたはRNAであり得る。本発明はまた、h−erg2サブユニットをコード化する単離されたDNA分子および/または組換えDNA分子を提供する。本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含む、他の核酸を実質的に含まないDNA分子ならびに単離されたDNA分子および/または組換えDNA分子を提供する。
【0034】
本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のコード領域を含む単離されたDNA分子、ならびに配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のコード領域を含む、他の核酸を実質的に含まないDNA分子が包含される。従って、本発明には、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む配列を有する単離されたDNA分子、および配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む配列を有する、他の核酸を実質的に含まないDNA分子が包含される。
【0035】
また、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含むヌクレオチド配列を有する組換えDNA分子も包含される。h−erg2タンパク質をコード化する本発明の新規なDNA配列は、全体または一部を他のDNA配列(すなわち、h−erg2タンパク質をコード化するDNAが自然の状態では連結されていないDNA配列)と連結させて、h−erg2タンパク質をコード化する「組換えDNA分子」を形成させることができる。そのような他の配列には、転写または翻訳を制御する様々なDNA配列、例えば、翻訳開始配列、内部リボソーム進入部位、RNAポリメラーゼIIに対するプロモーター、転写終結配列もしくは翻訳終結配列、エンハンサー配列、微生物における複製を制御する配列、抗生物質抵抗性を付与する配列、またはポリペプチド「標識」(例えば、ポリヒスチジン領域、FLAGエピトープもしくはmycエピトープなど)をコード化する配列などを挙げることができる。本発明の新規なDNA配列は、プラスミド、コスミド、ウイルスベクター、P1人工染色体または酵母人工染色体などのベクターに挿入することができる。
【0036】
本発明には、高ストリンジェントな条件下で配列番号1にハイブリダイゼーションするDNA配列が含まれる。例として(限定ではなく)、高ストリンジェントな条件を使用する手法は下記の通りである:DNAを含有するフィルターの予備ハイブリダイゼーションが、6XSSC、5Xデンハルト溶液および100μg/mlの変性サケ精子DNAからなる緩衝液において65℃で2時間から一晩行われる。フィルターは、100μg/mlの変性サケ精子DNAおよび5〜20X106cpmの32P標識プローブを含有する予備ハイブリダイゼーション混合物において65℃で12時間から48時間ハイブリダイゼーションされる。フィルターの洗浄が、2XSSC、0.1%SDSを含有する溶液において37℃で1時間行われる。この後、0.1XSSC、0.1%SDSにおける洗浄が50℃で45分間行われ、その後、オートラジオグラフィーが行われる。
【0037】
高ストリンジェントな条件を使用する他の手法には、5XSSC、5Xデンハルト溶液、50%ホルムアミドにおいて42℃で12時間から48時間行われるハイブリダイゼーション、または0.2XSSPE、0.2%SDSにおいて65℃で30分間から60分間行われる洗浄工程のいずれかが含まれる。
【0038】
高ストリンジェントなハイブリダイゼーションを行うための前記手法において述べられた試薬は、当該技術では十分に知られている。これらの試薬の組成の細部は、例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に見出すことができる。前記に加えて、使用され得る高ストリンジェントな他の様々な条件が、当該技術では十分に知られている。
【0039】
遺伝暗号の縮重により、2つのアミノ酸を除くすべてについて、2つ以上のコードが1つの特定のアミノ酸をコード化するようになる。これにより、h−erg2タンパク質をコード化する合成DNAで、合成DNAのヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のヌクレオチド配列と著しく異なるh−erg2タンパク質をコード化し、しかし依然として、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7と同じh−erg2タンパク質をコード化する合成DNAの構築が可能になる。そのような合成DNAは本発明の範囲に含まれるものとする。
【0040】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の変異型形態は発明の範囲に含まれるものとする。特に、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7によりコードされるタンパク質によって形成されるカリウムチャンネルと比較したとき、変化した電圧感受性、電流搬送性質または他の性質を有するカリウムチャンネルを形成するタンパク質をコード化する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の変異型形態が本発明の範囲に含まれる。そのような変異型形態は、ヌクレオチドの欠失、置換または付加を有することにより、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7と異なり得る。
【0041】
また、本発明の範囲内には、配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7に対応する配列、または配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7のコード領域に対応する配列を有するRNA分子が含まれるものとする。RNA分子は、他の核酸を実質的に含まなくてもよく、あるいは単離されたRNA分子および/または組換えRNA分子であり得る。配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7の逆相補体であるアンチセンスヌクレオチド(DNAもしくはRNA)またはその一部分もまた本発明の範囲に含まれる。さらに、少数の位置が非天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド(イノシン、メチル−シトシンまたはデアザ−グアノシンなど)で置換されている、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくポリヌクレオチドは本発明の範囲に含まれるものとする。本発明のポリヌクレオチドはまた、非天然型の結合がヌクレオチド間に存在する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づく配列を含むことができる。そのような非天然型の結合には、例えば、メチルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオナート、ホスホロアミダイトおよびリン酸エステルを挙げることができる。本発明のポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド間の架橋としてデホスホ結合(例えば、シロキサン架橋、カーボナート架橋、カルボキシメチルエステル架橋、アセトアミダート架橋、カルバマート架橋およびチオエーテル架橋)を有する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づく配列を含むことができる。存在し得る他のヌクレオチド間の結合には、N−ビニル結合、メタクリルオキシエチル結合、メタクリルアミド結合またはエチレンイミン結合が含まれる。配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくペプチド核酸もまた本発明に含まれる。一般に、非天然型ヌクレオチドもしくは修飾ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド間の非天然型の結合、ならびにペプチド核酸を含むそのようなポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7によってコードされるのと同じタンパク質または非常に類似するタンパク質をコード化する。
【0042】
本発明の別の局面には、h−erg2タンパク質をコード化するDNA配列を含有し、かつ/または発現するように操作された宿主細胞が含まれる。そのような組換え宿主細胞は、h−erg2タンパク質を産生させるために好適な条件のもとで培養することができる。h−erg2タンパク質をコード化するDNAを含有する発現ベクターを、組換え宿主細胞におけるh−erg2タンパク質の発現のために使用することができる。組換え宿主細胞は原核生物性または真核生物性であり得るが、これらには、大腸菌などの細菌、酵母などの菌類、哺乳動物細胞(ヒト起源、ウシ起源、ブタ起源、サル起源および齧歯類起源の細胞株を含むが、これらに限定されない)、アフリカツメガエル卵母細胞などの両生類細胞、および昆虫細胞(ショウジョウバエおよびカイコに由来する細胞株を含むが、これらに限定されない)(例えば、Spodoptera frugiperda)が含まれるが、これらに限定されない。h−erg2タンパク質の組換え発現に好適であり、一般に入手可能な細胞および細胞株には、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)、CPAE(ATCC CCL209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2309)、アフリカツメガエル黒色素胞およびアフリカツメガエル卵母細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
様々な哺乳動物発現ベクターを、組換えh−erg2タンパク質を哺乳動物細胞において発現させるために使用することができる。好適である市販の哺乳動物発現ベクターには、pMC1neo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、pcDNAIおよびpcDNAIamp、pcDNA3、pcDNA3.1、pCR3.1(Invitogen)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pIZD35(ATCC37565)ならびにpSV2−dhfr(ATCC37146)が含まれるが、これらに限定されない。別の好適なベクターには、PT7TS卵母細胞発現ベクターがある。
【0044】
組換え細胞における発現の後、h−erg2タンパク質は、他のタンパク質を実質的に含まないレベルに、従来の技術によって精製することができる。使用され得る技術には、硫酸アンモニウム沈殿、疎水性相互作用または親水性相互作用のクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、調製用ゲル電気泳動およびアルコール沈殿が含まれる。場合により、タンパク質の変性工程および/またはリフォールディング工程をそのような技術に加えて用いることは好都合であり得る。
【0045】
ある種のカリウムチャンネルサブユニットは、高レベルで適正に発現し、かつ膜に挿入されるためには、他のカリウムチャンネルサブユニットの発現を必要とすることが見出されている。例えば、いくつかの電位依存性カリウムチャンネルKvαサブユニットは、機能的なチャンネルを形成するために、他の関連するαサブユニットまたはKvβサブユニットを必要とする(Shi他、1995、Neuron、16:843〜852)。1つの具体的な例として、KCNQ3の同時発現は、アフリカツメガエル卵母細胞におけるKCNQ2の発現を高めるようである(Wang他、1998、Science、282:1890〜1893)。従って、h−erg2タンパク質の組換え発現は、ある種の状況下では、他のカリウムチャンネルタンパク質の同時発現から利益を受けることができ、そのような同時発現は本発明の範囲に含まれるものとする。そのような同時発現は、h−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターを、別のカリウムチャンネルタンパク質を自然の状態で発現する細胞にトランスフェクションすることによって達成することができる。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターを、別のカリウムチャンネルタンパク質をコード化する発現ベクターが同様にトランスフェクションされている細胞にトランスフェクションすることができる。好ましくは、そのような細胞は、h−erg2サブユニットタンパク質またはそのような他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質を自然の状態で発現しない。
【0046】
本発明には、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質が包含される。全長のh−erg2サブユニットタンパク質の推定アミノ酸配列が、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8に示される。従って、本発明には、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質が包含される。本発明にはまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたh−erg2タンパク質が包含される。
【0047】
h−erg2タンパク質の変異型形態は本発明の範囲に含まれるものとする。特に、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8によって形成されるカリウムチャンネルと比較したとき、変化した電気生理学的性質または薬理学的性質を有するカリウムチャンネルを形成する、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8の変異型形態が本発明の範囲に含まれる。
【0048】
多くのタンパク質と同様に、h−erg2タンパク質のアミノ酸の多くを修飾し、元のタンパク質の場合と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持させることが可能である。従って、本発明には、アミノ酸の欠失、付加または置換を有するが、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持する修飾されたh−erg2タンパク質が包含される。一アミノ酸の置換は、通常、タンパク質の生物学的活性を変化させないことが一般には受け入れられている(例えば、Molecular Biology of the Gene(Watson他、1987、第4版、The Benjamin/Cummings Publishing Co.,Inc.)、226頁;Cunnigham&Wells、1989、Science、244:1081〜1085を参照のこと)。従って、本発明には、1個のアミノ酸置換が、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8において行われているポリペプチドで、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持するポリペプチドが包含される。本発明にはまた、2つ以上のアミノ酸置換が、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8において行われているポリペプチドで、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持するポリペプチドが包含される。特に、本発明には、上記に記載された置換が保存的置換である実施形態が包含される。特に、本発明には、上記に記載された置換が、保存された位置に存在しない実施形態が包含される。保存された位置は、配列番号2を有するh−erg2タンパク質、herg1タンパク質(配列番号9)およびラットerg2タンパク質(配列番号10)がともに同じアミノ酸を有するそのような位置である(図5を参照のこと)。
【0049】
本発明のh−erg2タンパク質は、様々な翻訳後修飾、例えば、共有結合した炭水化物、リン酸化、ミリストイル化、パルミトイル化などを含むことができる。
【0050】
本発明にはまた、キメラなh−erg2タンパク質が包含される。キメラなh−erg2タンパク質は、h−erg2タンパク質に由来しないポリペプチド配列に融合されたh−erg2タンパク質の少なくとも一部分の連続したポリペプチド配列からなる。h−erg2タンパク質の一部分は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8に由来する少なくとも10個(好ましくは少なくとも25個、最も好ましくは少なくとも50個)の連続したアミノ酸を含まなければならない。
【0051】
本発明にはまた、単離されたh−erg2タンパク質およびh−erg2タンパク質をコード化する単離されたDNAが包含される。用語「単離された」の使用は、h−erg2タンパク質またはDNAがその通常の細胞環境から取り出されていることを示す。従って、単離されたh−erg2タンパク質は無細胞溶液の状態であってもよく、またはh−erg2タンパク質は自然の状態で存在する環境とは異なる細胞環境に置かれていてもよい。単離されたの用語は、単離されたh−erg2タンパク質が、(単離されたの意味の1つではあるが)存在する唯一のタンパク質または優勢なタンパク質であることを示すのではなく、むしろ、単離されたh−erg2タンパク質が、h−erg2タンパク質と自然の状態で会合する非アミノ酸物質(例えば、核酸、脂質、炭水化物)を少なくとも95%含まないことを意味する。
【0052】
いくつかのカリウムチャンネルサブユニットは相互作用して、機能的なカリウムチャンネルをもたらすヘテロマー複合体を形成し得ることが知られている。例えば、KCNQ2およびKCNQ3は組み合わさって、ヘテロマーの機能的なカリウムチャンネルを形成することができる(Wang他、1998、Science、282:1890〜1893)。従って、本発明のh−erg2タンパク質もまた、機能的なカリウムチャンネルを形成する、他のタンパク質とのヘテロマー構造を形成し得ることが考えられる。従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含むそのようなヘテロマーが包含される。
【0053】
h−erg2タンパク質をコード化するDNAは、当該分野で十分に知られている方法によって得ることができる。例えば、全長のh−erg2タンパク質をコード化するcDNAフラグメントを、好適なプライマー対を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによってヒトの腎臓cDNAまたは前立腺cDNAから単離することができる。そのようなプライマー対は、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7として図1〜図4に示される、h−erg2タンパク質をコード化するDNA配列に基づいて選択することができる。好適なプライマーは、例えば、以下のものである。
【0054】
【化6】
【0055】
上記のプライマーは単なる例示であることが意味される。当業者は、他の好適なプライマーを配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7に基づいて容易に設計することができる。そのようなプライマーは、当該分野で十分に知られているオリゴヌクレオチド合成法によって作製することができる。
【0056】
PCR反応は、AmpliTaq、AmpliTaq GoldまたはVentポリメラーゼ(これらに限定されない)を含む様々な熱安定性酵素を用いて行うことができる。AmpliTaqの場合、反応は、10mMのTris−HCl(pH8.3)、2.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、50mMのKCl、0.2μMの各プライマー、10ngのDNAテンプレート、0.05ユニット/μlのAmpliTaqにおいて行うことができる。反応物は95℃で3分間加熱され、その後、95℃で20秒間、62℃で20秒間、72℃で3分間のサイクル処理パラメーターを使用して35回のサイクル処理が行われる。これらの条件に加えて、様々な好適なPCRプロトコルを、PCR Primer,A Laboratory Manual(編者:C.W.DieffenbachおよびG.S.Dveksler、1995、Cold Spring Harbor Laboratory Press)またはPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Michael他編、1990、Academic Press)に見出すことができる。
【0057】
本発明のh−erg2タンパク質は他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質に対して非常に相同的であるので、所望するh−erg2タンパク質が実際に得られたことを確認するために、本明細書中に記載される方法により得られたクローンを配列決定することが望ましい。配列決定はまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7の中から所望するcDNAを確実に得るために適切である。
【0058】
これらの方法によって、h−erg2タンパク質をコード化するcDNAクローンを得ることができる。これらのcDNAクローンは、好適なクローニングベクターまたは発現ベクター(例えば、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen、San Diego、CA))にクローン化することができる。その後、h−erg2またはその一部をコード化する発現ベクターを好適な宿主細胞にトランスフェクションして、宿主細胞を好適な条件下で生育させることによって、h−erg2タンパク質を産生させることができる。その後、h−erg2タンパク質を、当該分野で十分に知られている方法によって単離することができる。
【0059】
上記に記載されたPCR法の代わりとして、h−erg2タンパク質をコード化するcDNAクローンを、プローブとしてh−erg2に特異的なオリゴヌクレオチドを使用し、オリゴヌクレオチドプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることに関して当該分野で十分に知られている方法を使用してcDNAライブラリーから単離することができる。そのような方法は、例えば、Sambrook他、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York)、Glover,D.M.他(編)、1985、DNA Cloning:A Practical Approarch(MRL Press,Ltd.、Oxford、U.K.、第I巻、第II巻)に記載される。h−erg2タンパク質に特異的であり、かつcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用され得るオリゴヌクレオチドは、図1〜図4に示されるDNA配列(すなわち、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7)に基づいて容易に設計することができ、当該分野で十分に知られている方法によって合成することができる。
【0060】
h−erg2の遺伝子を含有するゲノムクローンを、Research Genetics(Huntsville、AL)から得られる市販のヒトPACライブラリーまたはヒトBACライブラリーから得ることができる。あるいは、ゲノムライブラリーを、例えば、P1人工染色体ベクターにおいて調製することができ、そのようなゲノムライブラリーから、h−erg2の遺伝子を含有するゲノムクローンを、本明細書中に開示されるh−erg2のDNA配列に基づくプローブを使用して単離することができる。そのようなライブラリーの調製方法は当該技術では知られている(例えば、Ioannou他、1994、Nature Genet.6:84〜89を参照のこと)。
【0061】
本発明の新規なDNA配列は様々な診断方法において使用することができる。本発明は、患者がh−erg2の遺伝子に変異を有するかどうかを明らかにするための診断方法を提供する。広い意味で、そのような方法は、患者に由来するh−erg2の遺伝子内または遺伝子付近の領域のDNA配列を決定すること、およびその配列を、非罹患者(すなわち、診断されている状態を有しない人)に由来するh−erg2の遺伝子の対応する領域から得られる配列と比較することを含む。この場合、患者由来の遺伝子のDNA配列と非罹患者由来の遺伝子のDNA配列との配列の違いにより、h−erg2の遺伝子における変異を患者が有することが示される。
【0062】
本発明はまた、h−erg2遺伝子の変異型形態を有する患者を特定するために、またはh−erg2をコード化するRNAの発現レベルを明らかにするために、またはh−erg2に相同的な遺伝子を他の種から単離するために、診断方法において使用することができる、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくオリゴヌクレオチドプローブを提供する。特に、本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の少なくとも約10個または15個または18個の連続したヌクレオチドを含むDNAオリゴヌクレオチドが包含される。この場合、オリゴヌクレオチドプローブは、前記の少なくとも約10個または15個または18個の連続したヌクレオチド以外に、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に由来する5個を越える連続したヌクレオチドの領域を含まない。オリゴヌクレオチドは他の核酸を実質的に含まない。また、本発明により、対応するRNAオリゴヌクレオチドも提供される。DNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドはキットに含めることができる。
【0063】
本発明は、様々な細胞タイプにおけるh−erg2タンパク質の組換え発現を可能にする。そのような組換え発現により、このタンパク質の研究が可能になり、その結果、腎不全、低カリウム血症、高血圧症、低血圧症、良性前立腺肥大、不妊症および前立腺ガンなどの様々な疾患におけるその生化学的活性およびその役割が解明され得るようになる。
【0064】
本発明はまた、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの生物学的活性を測定するアッセイの開発を可能にする。組換え発現されたh−erg2タンパク質を使用するアッセイが特に注目される。そのようなアッセイは、化合物のライブラリーまたは化合物の他の供給源をスクリーニングして、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性の活性化剤または阻害剤である化合物を特定するために使用することができる。そのような特定された化合物は、カリウムチャンネルの活性を増強または抑制することが有益である疾患を有する患者を処置するために使用され得る医薬品を開発するための「リード化合物」として役立ち得る。
【0065】
上記に記載されるアッセイの様々な様式において、変異型のh−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが使用され、変異型カリウムチャンネルの活性の阻害剤または活性化剤が特定される。
【0066】
h−erg2タンパク質を組換え発現するための好適な細胞株は、内因性のカリウムチャンネルを発現しない細胞株である(例えば、CV−1、NIH−3T3、CHO−K1、COS−7)。そのような細胞株は、カリウムチャンネルを通過し得るイオン、86Rbにさらすことができる。そのような細胞への86Rbの流入を、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物、医薬化学によって作製されたリード化合物のアナログ)、またはそのようなコレクションのメンバー、およびそれにより確認された86Rbの流入を変化させることができるそのような物質の存在下および非存在下でアッセイすることができる。そのような物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であると考えられる。同様に、細胞に86Rbを前もって負荷させることができ、カリウムチャンネルを開かせることによって、例えば、カリウムによる細胞の脱分極によって、イオンの流入を開始させることができる。そのような細胞からの86Rbの流出を、その後、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物、医薬化学によって作製されたリード化合物のアナログ)、またはそのようなコレクションのメンバー、およびそれにより確認された86Rbの流出を変化させることができるそのような物質の存在下および非存在下でアッセイすることができる。そのような物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であると考えられる。
【0067】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合し得る物質であると考えられる。従って、1つのタイプのアッセイにより、物質コレクションの1つ以上がそのような結合を可能にするかどうかが明らかにされる。
【0068】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する物質を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質に細胞をさらすこと、
(c)細胞に対する物質の結合量を測定すること、
(d)工程(c)における結合量をコントロール細胞に対する物質の結合量と比較すること(この場合、コントロール細胞は、コントロール細胞がh−erg2タンパク質を発現しないことを除いて、工程(a)の細胞と実質的に同一である)、を含む;
この場合、工程(c)における結合量が、コントロール細胞に対する物質の結合量よりも大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する。
【0069】
工程(a)の細胞と実質的に同一であるコントロール細胞の例には、工程(a)のh−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を作製するためにh−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターでトランスフェクションされる元の細胞株がある。
【0070】
このアッセイの別の型では、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが既知の化合物が使用される。新しい結合物質である物質が、これらの既知の化合物が結合することを増強または阻止するその能力によって特定される。これは、既知の化合物が、飽和よりもはるかに低い濃度で使用される場合に行うことができる。そのような場合、新しい結合物質である物質は、既知の化合物が結合することを増強または阻止することができると考えられる。このような能力を有する物質はそれ自体、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる。
【0071】
従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合する物質、従って、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる物質を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下で、細胞を、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが既知の化合物にさらすこと、
(c)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下における細胞に対する化合物の結合量を測定すること、を含む;
この場合、物質の存在下における化合物の結合量が、物質の非存在下における結合量と異なる場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合し、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる。
【0072】
一般に、そのような既知の化合物は、カリウムチャンネルに対するその結合の測定を容易にするために、(例えば、放射能により、酵素的に、蛍光的に)標識される。
【0073】
物質が上記の方法によって特定されると、その物質は、それが阻害剤または活性化剤であるかどうかを明らかにするために、本明細書中に記載される方法などの機能的な試験でアッセイすることができる。
【0074】
特定の実施形態において、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合することが既知の化合物は、MK−499、ドフェチリド、アステミゾール、テルフェナジン、E−403およびErgTxからなる群から選択される(Gurrola他、1999、FASEB J.13:953〜962)。
【0075】
本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)組換え発現したh−erg2タンパク質が単独でカリウムチャンネルを形成するように、または他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質とのヘテロマーを形成することよってカリウムチャンネルを形成するように宿主細胞においてh−erg2タンパク質を組換え発現させること、
(b)工程(a)において形成されたカリウムチャンネルの生物学的活性を、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが疑われる物質の存在下および非存在下で測定すること、を含み、
この場合、物質の非存在下と比較したとき、物質の存在下における、工程(a)において形成されるカリウムチャンネルの生物学的活性の変化により、その物質が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが示される。
【0076】
本明細書中に記載される方法の特定の実施形態において、生物学的活性は、カリウム電流の産生、86Rbの流入、86Rbの流出、NH3の流入もしくは流出、またはh−erg2含有チャンネルの開放または閉鎖により引き起こされる膜電位の変化である。
【0077】
特定の実施形態において、カリウムチャンネルのそれ以外のサブユニットを組換え発現することは好都合であり得る。あるいは、そのような他のサブユニットを内因的に発現する宿主細胞を使用することは好都合であり得る。
【0078】
特定の実施形態において、h−erg2タンパク質をコード化するベクターが、h−erg2タンパク質の発現を卵母細胞において生じさせるために、アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞に移される。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化するRNAをインビトロで調製して、卵母細胞内に注入することができ、これによってもまた、卵母細胞におけるh−erg2タンパク質の発現がもたらされる。h−erg2タンパク質を卵母細胞において発現させ、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを形成させた後、膜電流が、トランスメンブラン電圧を段階的に変化させた後に測定される。膜電流の変化は、カリウムチャンネルが開くか、または閉じ、これにより、カリウムイオンの流れが調節されたときに観測される。類似する研究が、KCNQ2およびKCNQ3のカリウムチャンネルについて、Wang他、1998、Science、282:1890〜1893に報告され、minKチャンネルについて、Goldstein&Miller、1991、Neuron、7:403〜408によって報告された。これらの参考文献およびそれらに引用される参考文献は、そのような研究を行う方法に関して参考のために考慮することができる。そのような研究では、h−erg2に加えて、他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質を卵母細胞において同時に発現させることは好都合であり得る。類似する研究を様々な異なる細胞タイプにおいて行うことができる。
【0079】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤は、個々の物質または物質のコレクションに卵母細胞をさらし、物質の非存在下で観測された膜電流を物質が遮断/減少または増強させ得るかどうかを明らかにすることによって特定することができる。
【0080】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが形成されるようにh−erg2タンパク質を発現させること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であることが疑われる物質の存在下および非存在下において細胞のトランスメンブランポテンシャルを変化させること、
(c)工程(b)の後の膜カリウム電流を測定すること、を含み、
この場合、工程(c)で測定されるカリウム膜電流が、物質の存在下よりも、物質の非存在下で大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり、
工程(c)で測定されるカリウム膜電流が、物質の非存在下よりも、物質の存在下で大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤である。
【0081】
本発明にはまた、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定するためのアッセイで、第1の蛍光色素と第2の蛍光色素との間における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づくアッセイが包含される。この場合、第1の色素は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞の形質膜の一方の側に結合し、第2の色素は、膜電位の変化に応答して膜の一方の面から反対側の面に自由に行き来する。いくつかの実施形態において、第1の色素は細胞の形質膜に対して不透過性であり、形質膜の細胞外表面に主に結合する。第2の色素は形質膜内に捕捉されるが、膜内を自由に拡散する。膜の正常(すなわち、負)の静止電位において、第2の色素は形質膜の細胞外面の内側表面に主に結合し、従って、第2の色素は第1の色素の非常に近いところに置かれる。このように近くに接近することにより、2つの色素間に大きい量のFRETの発生が可能になる。膜が脱分極した後、第2の色素は、膜の細胞外面から細胞内面に移動し、従って、色素間の距離が大きくなる。この増大した距離は、第1の色素に由来する蛍光放射の対応する増大、および第2の色素に由来する蛍光放射の対応する減少を伴うFRETの減少をもたらす。このようにして、2つの色素間のFRET量を使用して、膜の脱分極状態を測定することができる。この技術の説明については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。Gonzalez&Tsien、1995、Biophys.J.69:1272〜1280、および米国特許第5,661,035号もまた参照のこと。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の色素は、蛍光ドナーとして作用する蛍光性レクチンまたは蛍光性リン脂質である。そのような第1の色素の例には、クマリン標識されたホスファチジルエタノールアミン(例えば、N−(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンまたはN−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル−4−イル)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン);蛍光標識されたレクチン(例えば、蛍光標識されたコムギ胚芽凝集素)がある。いくつかの実施形態において、第2の色素は、蛍光アクセプターとして作用するオキソノールである。そのような第2の色素の例には、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール)またはペンタメチンオキソノールアナログ(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノールもしくはビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール)がある。本発明における使用に好適な様々な色素を合成する方法については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。いくつかの実施形態において、アッセイは、一重項酸素による光力学的損傷を軽減するために、天然カロテノイド(例えば、アスタキサンチン)を含むことができる。
【0083】
上記に記載されたアッセイは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を発見するために利用することができる。そのようなアッセイでは、一般に、例えば、h−erg2タンパク質および場合により他のカリウムチャンネルサブユニットをコード化する発現ベクターを用いたトランスフェクションによって、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞が用いられる。
【0084】
細胞の膜電位は、様々なイオンポンプおよびイオンチャンネルによる内向き(脱分極)イオン流束と外向き(再分極)イオン流束とのバランスによって決定される。h−erg2などのカリウムチャンネルは、典型的にはK+に対して非常に選択的であり、従って、カリウム平衡電位(EK)に近い逆の電位を示す。従って、そのようなカリウムチャンネルは、EKの近くに細胞の静止膜電位を維持するように機能する。h−erg2を含有するカリウムチャンネルの阻害剤の存在は、この分極した(すなわち、負の)膜電位を維持するこのチャンネルの能力を妨げるか、または減少させ、従って、細胞は脱分極する。従って、膜電位は、h−erg2阻害剤の存在下では、より正側になることになる。h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤により引き起こされる膜電位の変化を、上記に記載されたFRETを使用するアッセイによってモニターすることができる。
【0085】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが細胞内で形成されるように細胞におけるh−erg2タンパク質の発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも小さい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤である。
【0086】
細胞の静止膜電位は、その細胞において活性である内向き電流と外向き電流のバランスに依存する。従って、例えば、h−erg2によりもたらされるK+電流が唯一または優勢な電流である場合、その静止膜電位はEKに近い。しかし、中和する脱分極電流もまた細胞において見出される場合、静止膜電位はより大きく脱分極し、その正確な値は、脱分極電流と過分極電流との相対的な大きさに依存する。従って、カリウムチャンネル(例えば、h−erg2)を発現し、かつ同じ細胞における脱分極電流の同時発現によってEKよりも正側の静止膜電子を示す細胞株を構築することができる。そのような脱分極電流の例は、Na+、Ca++またはCl−のチャンネル、イオノホアまたはそれらの組合せによって運ばれる電流であり得る。これらの細胞において、カリウムチャンネルの活性化剤は、内向きの脱分極電流と比較して、外向きのカリウム電流の相対的な寄与を増大させ、そうすることで膜電位をより負側にする(すなわち、膜電位をEKに一層近づける)。h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤によってそのような細胞において引き起こされる膜電位の変化は、上記に記載されるFRETを使用するアッセイによってモニターすることができる。
【0087】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルおよび脱分極チャンネルがともに同じ細胞内で発現するように細胞におけるh−erg2タンパク質および脱分極チャンネルの発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下で細胞における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤である。
【0088】
上記に記載される方法によって特定される物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤であり得るか、または脱分極電流(1つまたは複数)の阻害剤であり得る。これらの2つの可能性は、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって、すなわち、別の細胞株において、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを伴うことなく、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって区別することができる。その後、物質は、脱分極電流を単独で含有する細胞に対して試験することができ、それにより、物質が脱分極電流を阻害し得るどうかを明らかにすることができる。あるいは、これらの物質は、物質がそのようなチャンネルの活性化剤であるかどうかを明らかにするための電圧クランプ実験で、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルについて直接的に試験することができる。
【0089】
上記に記載される方法は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤を特定するために同様に使用することができる。これは、阻害剤の存在により、h−erg2チャンネルを介する電流の移動が阻止されるか、または減少し、従って、脱分極チャンネルの作用を中和するh−erg2チャンネルの能力を妨げるか、または小さくするからである。従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり得る物質を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルおよび脱分極チャンネルがともに同じ細胞内で発現するように細胞におけるh−erg2タンパク質および脱分極チャンネルの発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下で細胞における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも小さい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤である。
【0090】
上記に記載される方法によって特定された物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり得るか、または脱分極電流(1つまたは複数)の活性化剤であり得る。これらの2つの可能性は、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって、すなわち、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを伴うことなく、別の細胞株において脱分極チャンネルを単独で発現させることによって区別することができる。その後、物質は、脱分極電流を単独で含有する細胞に対して試験することができ、それにより、物質が脱分極電流を活性化し得るどうかを明らかにすることができる。あるいは、これらの物質は、物質がh−erg2チャンネルの阻害剤であるかどうかを明らかにするための電圧クランプ実験で、h−erg2を含有するカリウムチャンネルについて直接的に試験することができる。
【0091】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、脱分極チャンネルは、ナトリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、非特異的なカチオンチャンネルもしくは塩化物チャンネル、またはイオノホアである。
【0092】
上記に記載されるアッセイにおける物質の作用が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルにおけるその作用により生じていることを確実にするために、細胞が、h−erg2タンパク質の発現を行わせる発現ベクターを含有しないことを除いて、上記の通りであるコントロール実験を行うことができる。
【0093】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、発現ベクターは試験細胞にトランスフェクションされる。
【0094】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、h−erg2タンパク質は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。上記に記載される方法の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む。
【0095】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、第1の蛍光色素は、蛍光性レクチン;蛍光性リン脂質;クマリン標識されたホスファチジルエタノールアミン;N−(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン;N−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル−4−イル)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン;および蛍光標識されたコムギ胚芽凝集素からなる群から選択される。
【0096】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、第2の蛍光色素は、蛍光アクセプターとして作用するオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール;ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)クアトラメチンオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;ビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;およびビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)ヘキサメチンオキソノールからなる群から選択される。
【0097】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、細胞は真核生物細胞である。別の実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。他の実施形態において、細胞は、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)である。
【0098】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定するアッセイにおいて、h−erg2に加えて別のカリウムチャンネルサブユニットを同時に発現させることは好都合であり得る。特に、erg1またはerg3などの関連するカリウムチャンネルサブユニットを同時に発現させることが好都合であり得る。好ましくは、これは、そのような他のサブユニットをコード化する発現ベクターを細胞に同時トランスフェクションすることによって行われる。
【0099】
上記に記載される方法は、「1つの」物質が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であるかどうかを試験することに明確に関しているが、そのような方法は、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物のコレクション)を試験して、そのようなコレクションのメンバーの複数が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であるかどうかを明らかにするために適合化され得ることは当業者には明かである。従って、物質のコレクション、またはそのようなコレクションの個々のメンバーもしくはそのようなメンバーの部分集団を、上記に記載される方法における物質として使用することは、本発明の範囲内である。特に、カリウムイオンチャンネルの調節に関係することが知られている化学構造を取り込むために設計されたライブラリー、例えば、カリウムチャンネルの活性化剤に関するジヒドロベンゾピランライブラリー(国際特許出願公開WO95/30642)またはカリウムチャンネルの阻害剤に関するビフェニル誘導体ライブラリー(国際特許出願公開WO95/04277)は特に注目されることが予想される。
【0100】
本発明には、本明細書中に記載される方法によって特定された、h−erg2タンパク質を含むカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を含む医薬組成物が包含される。活性化剤または阻害剤は、一般には、医薬組成物を得るために、医薬適合性のキャリアと一緒にされる。そのようなキャリアの様々な例、活性化剤または阻害剤およびキャリアを含有する医薬組成物の配合方法の様々な例を、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版、1990、Mack Publishing Co.、Easton、PA)に見出すことができる。効果的な投与に好適な医薬適合性の組成物を得るために、そのような組成物は、治療効果的な量の活性化剤または阻害剤を含有する。
【0101】
治療用または予防用の組成物は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性が異常である状態を処置または防止するために十分な量で個体に投与される。効果的な量は、個体の状態、体重、性別および年齢などの様々な要因に従って変化し得る。他の要因には、投与様式が含まれる。適切な量は通常の医師によって決定され得る。一般に、効果的な量は、成人1日あたり約0.01mgから約1,000mgであり、好ましくは約0.1mgから約250mgであり、さらにより好ましくは約1mgから約50mgである。
【0102】
組成物は、適切な投薬量で単独で使用することができる。あるいは、他の薬剤との同時投与または連続投与が望ましいことがある。
【0103】
組成物は、従来の投与用ビヒクルにおける非常に様々な治療投薬形態物で投与することができる。例えば、組成物は、錠剤、カプセル(それぞれが徐放性および持続放出性の配合物を含む)、ピル、粉末剤、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、溶液剤、懸濁剤、シロップおよびエマルションのような経口投薬形態物で、または注射によって投与することができる。同様に、組成物はまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、閉塞を伴う局所的もしくは閉塞を伴わない局所的、または筋肉内の形態物で投与することができる。これらはすべて、製薬分野の当業者には十分に知られている形態物が使用される。
【0104】
組成物は単回日用量で投与することができ、または1日投薬量の総量を、1日あたり2回、3回、4回もしくはそれ以上の分割された用量で投与することができる。さらに、組成物は、好適な鼻腔内ビヒクルの局所的使用によって鼻腔内形態物で投与することができ、または当業者に十分に知られている経皮パッチのそのような形態物を使用して経皮経路によって投与することができる。経皮送達システムの形態で投与されるためには、投薬は、当然のことではあるが、投薬期間中を通して、断続的ではなく、連続している。
【0105】
本発明の組成物を利用する投薬法は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される状態の重篤度;投与経路;患者の腎機能、肝機能および心臓血管機能;ならびに用いられるその特定の化合物を含む様々な要因に従って選択される。通常の医師は、状態の進行を妨げるか、または打ち消すか、または停止させるために必要とされる組成物の効果的な量を容易に決定し、処方することができる。毒性を伴うことなく効き目をもたらす範囲に含まれる組成物濃度を達成することにおける最適な精度は、標的部位に対する組成物の利用性の速度論に基づく投薬法を必要とする。これには、組成物の分布、平衡および排出を検討することが含まれる。
【0106】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤および活性化剤は、過度または不十分なカリウムチャンネル活性を伴う様々な疾患を処置するために有用である。
【0107】
ヒト腎臓におけるh−erg2の発現がノーザンブロット分析によって認められた。腎臓は、塩、水分およびpHバランスの調節に関与しており、多くの輸送体およびチャンネルの存在場所であり、その多くが現在利用できる利尿剤および他の抗高血圧剤に対する標的である(Puschett、1994、Cardiology、84、増刊2:4〜13)。h−erg2の発現はまた前立腺でも認められた。h−erg2の発現パターンは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤および活性化剤が、低血圧症および高血圧症、腎不全、良性前立腺肥大、前立腺ガン、および不妊症を処置するために有用であり得ることを示唆している。
【0108】
本発明のh−erg2核酸およびh−erg2タンパク質は、他のイオンチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定するために設計されたスクリーニングとの組合せにおいて有用である。標的のイオンチャンネルと特異的に相互作用する潜在的な医薬品を特定するために化合物をスクリーニングするとき、特定される化合物は標的のイオンチャンネルに対してできる限り特異的であることを確保することが必要がある。このためには、標的のイオンチャンネルに類似するイオンチャンネルのできる限り多数に対して化合物をスクリーニングすることが必要である。従って、イオンチャンネルAと相互作用する潜在的な医薬品である化合物を見つけるためには、化合物がイオンチャンネルA(「プラス標的」)と相互作用し、イオンチャンネルAを介して所望する薬理学的作用をもたらすことを確保することは十分ではない。化合物がイオンチャンネルB、C、Dなど(「マイナス標的」)と相互作用しないことを明らかにすることもまた必要である。薬物候補物である化合物がマイナス標的と相互作用しないことを明らかにするために使用される方法は、多くの場合、「逆スクリーニング」と呼ばれる。一般に、スクリーニングプログラムの一部として、できる限り多くのマイナス標的を逆スクリーニングにおいて使用することは重要である(Hodgson、1992、Bio/Technology、10:973〜980(980において)を参照のこと)。h−erg2タンパク質、h−erg2タンパク質をコード化するDNA、およびh−erg2タンパク質を発現するように操作されている組換え細胞は、それらが、他のイオンチャンネルと特異的に相互作用する化合物を特定するために設計されたスクリーニングにおける「マイナス標的」として使用され得るという点で有用である。例えば、Wang他(1998、Science、282:1890〜1893)は、KCNQ2およびKCNQ3が、「Mチャンネル」として知られているヘテロマーのカリウムイオンチャンネルを形成することを示している。Mチャンネルは、薬物開発に対する重要な標的である。これは、KCNQ2およびKCNQ3における変異が、癲癇を生じさせることに関わっているからである(Biervert他、1998、Science、279:403〜406;Singh他、1998、Nature Genet.18:25〜29;Schroeder他、Nature、1998、396:687〜690)。Mチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定するために設計されたスクリーニングプログラムは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルをマイナス標的として使用することによって大きな利益を受ける。
【0109】
従って、本発明には、イオンチャンネルを調節する薬物候補物を特定するための方法であって、逆スクリーニングにおいてh−erg2を使用することを含む方法が包含される。そのような方法は、
(a)化合物が、h−erg2でないイオンチャンネルの活性化剤または阻害剤であることを明らかにすること;および
(b)化合物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにすること
を含む。
【0110】
当然のことではあるが、h−erg2はまた、一次薬物標的がイオンチャンネルでない逆スクリーニングにおいても有益であり得る。従って、本発明には、薬物候補物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにするための方法が包含される。この方法は、
(a)h−erg2でない薬物標的を選択すること、
(b)薬物標的の活性化剤または阻害剤である化合物を特定するために化合物のコレクションをスクリーニングすること、および
(c)工程(b)で特定された化合物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにすること、を含む。
【0111】
本発明にはまた、h−erg2タンパク質に対する抗体が包含される。そのような抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。本発明の抗体は、当該分野で十分に知られている方法によって、全長のh−erg2タンパク質に対して、または好適なキャリア(例えば、血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合された好適な抗原性フラグメントに対して惹起させることができる。タンパク質の好適な抗原性フラグメントを特定する様々な方法が当該技術では知られている。例えば、Hopp&Woods、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:3824〜3828;Jameson&Wolf、1988、CABIOS(Computer Applications in the Biosciences)、4:181〜186を参照のこと。
【0112】
ポリクローナル抗体を作製する場合、h−erg2タンパク質または抗原性フラグメントが、好適なキャリアに結合されて、例えば、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウスなどの適切な非ヒト宿主動物に定期的に注射される。動物は定期的に採血され、得られた血清が、注射されたサブユニットまたは抗原性フラグメントに対する抗体の存在について試験される。注射は、筋肉内、腹腔内、皮下などに行うことができ、アジュバントを伴い得る。
【0113】
モノクローナル抗体を作製する場合、h−erg2タンパク質または抗原性フラグメントが、好適なキャリアに結合されて、ポリクローナル抗体を作製するための上記のような適切な非ヒト宿主動物に注射される。モノクローナル抗体の場合、動物は、一般にはマウスである。動物の脾臓細胞が、その後、Kohler&Milstein、1975、Nature、256:495〜497に記載されるように、多くの場合にはミエローマ細胞との融合によって不死化される。モノクローナル抗体の作製のより詳しい説明については、Antibodies:A Laboratory Manual(編者:Harlow&Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988)を参照のこと。
【0114】
遺伝子治療を、h−erg2タンパク質を標的器官の細胞に導入するために使用することができる。h−erg2タンパク質をコード化するヌクレオチドは、受容細胞の感染によるヌクレオチドの移入を媒介するウイルスベクターに連結することができる。好適なウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルスおよびポリオウイルスに基づくベクターが含まれる。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化するヌクレオチドは、リガンド−ヌクレオチド結合体を使用する受容体媒介による標的化移入、リポフェクション、膜融合または直接的な顕微注入を含む非ウイルス技術によって遺伝子治療のために細胞に移すことができる。これらの手法およびその変法は、エクスビボ遺伝子治療ならびにインビボ遺伝子治療のために好適である。野生型h−erg2タンパク質を用いた遺伝子治療は、h−erg2カリウムチャンネルの活性を上昇させることが有益である疾患を処置するために特に有用である。h−erg2タンパク質の優性ネガティブ変異型を用いた遺伝子治療は、h−ergカリウムチャンネルの活性を低下させることが有益である疾患を処置するために特に有用である。
【0115】
下記の非限定的な実施例は、本発明をよりよく例示するために示される。
【0116】
実施例1
h−erg2cDNAの特定およびクローニング
全長のh−erg2cDNAを、PCRによって、下記の重複する3つの分離フラグメントとしてクローン化した:1)アミノ末端から膜貫通領域S1までのフラグメント、2)S1における重複領域から、環状ヌクレオチド結合ドメイン(CNBD)の下流(3’)で、H96170のEST配列内の領域までのフラグメント、および3)EST内の領域から3’非コード領域の一部までのフラグメント。PCRプライマーは、ゲノムDNAデータベース検索から得られた配列から設計された。アミノ末端配列をコード化する2つの同一のcDNAが、下記のプライマー対を使用する標準的なPCR技術によって得られた:
【0117】
【化7】
【0118】
S1〜CNBD領域が、下記のプライマー対を用いたPCRによって同様にクローン化された:
【0119】
【化8】
【0120】
C末端のcDNA(CNBD後〜3’非翻訳部)が、下記のプライマー対を用いたPCRによってクローン化された:
【0121】
【化9】
【0122】
3つのクローンを配列決定した。1つが、配列番号5に示される108塩基対の挿入を有していた。1つのクローンが、配列番号7に示される237塩基対の欠失を有していた。2722位における一ヌクレオチド多型もまた、これらのcDNAおよび対応するゲノムDNAの配列を比較することによって特定された。全長のORFをコード化するcDNAを、その後、標準的な分子生物学的技術によって3つの部分cDNAから構築した。
【0123】
実施例2
h−erg2の発現の分析
ノーザンブロット分析:
ヒトの心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸および末梢血白血球から単離されたポリ(A+)RNAのノーザンブロットをClontech(Palo Alto、CA)から購入し、EST H96170に由来する32P標識プローブでプローブした。このプローブは、下記のプライマーを使用する標準的なPCR技術によって構築された:
【0124】
【化10】
【0125】
このPCRフラグメントを精製し、ランダムプライミンングによって、109cpm/μgDNAを越える比活性に[32P]dCTPで標識した。ハイブリダイゼーションは、5XSSPE、10Xデンハルト溶液、50%ホルムアミド、100μg/mlのサケ精子DNA、2%SDS、および5x107cpmの32P標識プローブを含有する溶液において、42℃で一晩行われた。ブロットは、2XSSC、0.05%SDSにおいて、42℃で15分間〜20分間、3回、その後、1XSSC、0.05%SDSにおいて、50℃で15分間〜20分間、3回行われた。ハイブリダイゼーションは、ブロットをKodak社のX線フィルムに感光させることによって検出された。
【0126】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書中に記載される改変に加えて、本発明の様々な改変が、前記の記載から当業者には明らかになる。そのような改変は、添付された請求項の範囲に含まれるものとする。
【0127】
様々な刊行物が本明細書中に引用されているが、それらの開示はその全体が参考として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1A−1】
h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1A−2】
h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1B】
図1AのcDNAに対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図2A−1】
配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図2A−2】
配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図2B】
配列番号3によってコードされるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図3A−1】
配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。
【図3A−2】
配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。
【図3B】
配列番号5によってコードされるアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【図4A−1】
配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。
【図4A−2】
配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。
【図4B】
図4Bは、配列番号7によってコードされるアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【図5A−1】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5A−2】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5B】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図6】
h−erg2が腎臓および前立腺において特異的に発現することを明らかにする多組織ノーザンブロットの結果を示す。
(関連出願に対する相互参照)
本出願は米国仮特許出願第60/249,981号(2000年11月20日出願)の利益を主張し、その内容はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府補助金による研究開発に関する言及)
該当補助金なし
(マイクロフィッシュ添付に対する参照)
該当物なし
【0003】
(発明の分野)
本発明は、カリウムチャンネルサブユニットをコード化する新規なヒトDNA配列、このDNA配列によってコードされるタンパク質、このタンパク質を組換え細胞において発現させる方法、このサブユニットを含むカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定する方法に関する。
【0004】
(発明の背景)
カリウムチャンネルは、カリウムイオンが膜を通過することを選択的に許す膜貫通孔が形成されるイオンチャンネルであり、ほぼすべての細胞において見出されるイオンチャンネルである。カリウムチャンネルは、その分子構造、その生物物理的性質および薬理学的性質、およびカリウムチャンネルが発揮する機能に基づいて、様々なタイプに分類することができる。
【0005】
種々のタイプのカリウムチャンネルは、内向きまたは外向きのいずれかの方向でカリウム電流を優先的に伝えることができ、およびこれらの異なるタイプのチャンネルは、カリウムチャンネルを発現する細胞および組織において異なる機能を発揮する。例えば、古典的な内向きの整流カリウムチャンネルは、カリウム平衡電位(EK)に対して負側の電圧でカリウム電流を細胞内に優先的に伝え、それにより主として、細胞膜電位をカリウムイオンの平衡電位の近くで安定化させるように機能する。対照的に、遅延型整流カリウムチャンネルは、典型的には、膜がチャンネルの活性化閾値に脱分極するまで閉じており、その後、遅延型整流が、これらの脱分極した電位において細胞からのカリウム電流を優先的に伝える。遅延型整流は、細胞が興奮した後の膜の再分極に寄与する。両方のクラスは、ある種の心臓血管系および神経学的な細胞および組織の興奮性を調節することにおいて重要である。
【0006】
ether−a−go−go(eag)ファミリーのカリウムチャンネルは、最初に発見されたメンバー(eag)が、その変異型の脚震え表現型によりショウジョウバエ(Drosophila)で特定されたカリウムチャンネルの一群である(Kaplan&Trout、1969、Genetics、61:399)。クローン化されたとき、eagは、遅延型整流カリウムチャンネルの特徴的な構造的特徴を有することが見出され、アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞における発現研究により、eagが機能的なカリウムチャンネルであり、実際に遅延型整流を産生することが見いだされた(Warmke他、1991、Science、252:1560〜1562;Robertson他、1993、Biophys.J.Abstr.64:A340;Bruggerman他、1993、Nature、365:445〜448;Ludwig他、1994、EMBO J.13:4451〜4458)。eagファミリーのメンバーは、それらの中心部の疎水性コアにおいて約47%のアミノ酸配列同一性をともに有し、環状ヌクレオチド結合ドメインに対して相同的なセグメントを含有する。eagファミリーの各メンバーの中心部の疎水性コアは、推定膜貫通ドメインに対応する6個の疎水性ドメイン(S1〜S6)、ならびに電位依存性イオンチャンネルの多くの他のファミリーに見出される典型的な細孔(P)領域を含有する(Drysdale他、1991、Genetics、127:497〜505;Warmke他、1991、Science、252:1560〜1562;Guy他、1991、Science、254:730)。
【0007】
eagファミリーは少なくとも2つの他の関連するサブファミリーの遺伝子を含むことがまもなく明らかになった:elk(eag様K+チャンネル)サブファミリーおよびerg(eag関連遺伝子)サブファミリー(Warmke&Ganetzky、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:3438)。このファミリーのeagメンバーおよびelkメンバーは機能的には典型的な遅延型整流チャンネルであるが、発見されたergサブファミリーの最初のメンバー(erg1)は、少し異なる生物物理的性質を有することが見出された。例えば、erg1は、実際には、その活性化閾値よりも正側の電圧において外向きの電流を伝える遅延型整流であるが、その電流はまた、ある程度、内向きに整流される(すなわち、電圧が増大するに従い、外向きの電流を伝えるチャンネルの能力が減少する)(Trudeau他、1995、Science、269:92〜95)。ヒトerg1(h−erg1)は、罹患者を心臓心室性不整脈による突然死の危険性にさらす、心電図における長くなったQT間隔を特徴とする遺伝型障害であるLQT2型の長QT症候群に対する遺伝子座である(Curran他、1995、Cell、80:795)。
【0008】
ergサブファミリーの他のメンバーが特定されている。Shi他(1997、J.Neurosci.17:9423〜9432)は、erg1と非常に類似する、ラットの神経系でもっぱら発現する2つのラット遺伝子(erg2およびerg3)を特定した。
【0009】
できる限り広範囲の様々な新規なカリウムチャンネルサブユニット、特に、ヒトに由来する新規なカリウムチャンネルサブユニット、および制限された組織発現を示す新規なカリウムチャンネルサブユニットを発見することは望ましい。そのような新規なサブユニットは、様々な他の薬物標的に対する逆スクリーニングにおいて有用な、薬物発見に対する注目される標的であり、イオンチャンネルの生物学についてより多くを理解するための有益な研究道具である。
【0010】
(発明の概要)
本発明は、カリウムチャンネルサブユニットのヒトerg2(h−erg2)をコード化する新規なヒトDNA配列に関する。本発明には、h−erg2のいくつかのスプライス変化体および多型変化体が包含される。本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7として示されるヌクレオチド配列を含むDNA、ならびに配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7のコード領域を含むDNAが包含される。また、本発明の新規なDNA配列によってコードされる推定タンパク質配列も提供される。本発明のヒトerg2タンパク質は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8として示されるアミノ酸配列、ならびにそのフラグメントを含む。新規なh−erg2カリウムチャンネルサブユニットタンパク質を組換えシステムにおいて発現させる方法が提供される。また、h−erg2サブユニットを含むカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定することによって薬物標的としてh−erg2を使用する方法もまた提供される。また、他の薬物標的の活性化剤および阻害剤を特定するために設計されたアッセイに対する逆スクリーニングにおいて、新規なh−erg2サブユニットおよびこれらのサブユニットをコード化するDNAを使用する方法も提供される。
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1Aは、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。図1Bは、対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。図1Aにおける開始ATGコドンは57位〜59位に存在し、停止コドンは2931位〜2933位に存在する。
【0012】
図2Aは、配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。配列番号3における2722位は、配列番号1におけるようなTではなく、Cである。図2Bは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。配列番号4は、889位において、Mではなく、Tを有することにおいて配列番号2と異なる。
【0013】
図3Aは、配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。挿入部には下線が付される。図3Bは、配列番号5によってコードされるアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【0014】
図4Aは、配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。図4Bは、配列番号7によってコードされるアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【0015】
図5A〜図5Bは、h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。コンセンサス配列が配列番号23である。
【0016】
図6は、h−erg2が腎臓および前立腺において特異的に発現することを明らかにする多組織ノーザンブロットの結果を示す。レーンは下記の通りであった:1=心臓;2=脳;3=胎盤;4=肺;5=肝臓;6=骨格筋;7=腎臓;8=膵臓;9=脾臓;10=胸腺;11=前立腺;12=精巣;13=子宮;14=小腸;15=結腸;16=末梢血白血球。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明の趣旨により、
「他のタンパク質を実質的に含まない」は、他のタンパク質を少なくとも90%(好ましくは95%、より好ましくは99%、さらにより好ましくは99.9%)含まないことを意味する。従って、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質調製物は、その全タンパク質の百分率として、h−erg2タンパク質でないタンパク質を多くても10%(好ましくは多くても5%、より好ましくは多くても1%、さらにより好ましくは多くても0.1%)含む。所与のh−erg2タンパク質調製物が他のタンパク質を実質的に含まないかどうかは、タンパク質の純度を評価する従来の技術によって、例えば、適切な検出法(例えば、銀染色または免疫ブロッティング)と組み合わせたドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)などによって明らかにすることができる。
【0018】
「他の核酸を実質的に含まない」は、他の核酸を少なくとも90%(好ましくは95%、より好ましくは99%、さらにより好ましくは99.9%)含まないことを意味する。従って、他の核酸を実質的に含まないh−erg2DNA調製物は、その全核酸の百分率として、ヒトh−erg2の核酸でない核酸を多くても10%(好ましくは多くても5%、より好ましくは多くても1%、さらにより好ましくは多くても0.1%)含む。所与のh−erg2DNA調製物が他の核酸を実質的に含まないかどうかは、核酸の純度を評価する従来の技術によって、例えば、適切な検出法(例えば、臭化エチジウム染色)と組み合わせたアガロースゲル電気泳動などによって明らかにすることができる。
【0019】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が別の化学的に類似するアミノ酸残基により置換されることを示す。そのような保存的置換の例には、疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリンまたはメチオニン)相互の置換;同じ荷電の極性残基相互の置換(例えば、リシンのアルギニンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換);芳香族アミノ酸(トリプトファン、チロシンまたはフェニルアラニン)相互の置換がある。
【0020】
ポリペプチドは、そのポリペプチドが、h−erg2チャンネルの性質と類似する性質を有する機能的なカリウムチャンネルを、単独で、すなわち、ホモ多量体として形成し得る場合、または機能的なカリウムチャンネルを構成する複合体が形成されるように、少なくとも1つの他のカリウムチャンネルサブユニットと組み合わせられ得る場合、「h−erg2と実質的に同じ生物学的活性」を有する。この場合、このポリペプチドは、(そのような他のサブユニット単独と比較したとき)、配列番号2を有するh−erg2タンパク質がそのような他のサブユニットにもたらす電気生理学的性質または薬理学的性質と類似する変化した電気生理学的性質または薬理学的性質を複合体にもたらす。このポリペプチドは、BLASTまたはFASTAのような標準的なプログラムにより測定されたとき、配列番号2に対する同一性が少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約95%)であるアミノ酸配列を有する。配列比較プログラムの例については、例えば、Gish&States、1993、Nature Genetics、3:266〜272;Altschul他、1990、J.Mol.Biol.215:403〜410を参照のこと。
【0021】
本発明は、ヒトerg2(h−erg2)タンパク質をコード化するDNAの特定およびクローニングに関する。ラットerg2をコード化するcDNAが単離されている(Shi他、1997、J.Neurosci.17:9423〜9432;GenBankアクセション番号AF016192)が、完全な正しいerg2(h−erg2)をコード化するDNAは以前には報告されていない。h−erg2の一部を表し得るESTがGenBankにアクセション番号H96170で寄託されていた。別の配列X56415(geneseqnデータベース)は、h−erg2に関連する遺伝子の部分配列であり得る。
【0022】
本発明は、配列番号1を有するh−erg2をコード化するcDNAを提供する。配列番号1は、配列番号2を有するh−erg2タンパク質をコード化する。h−erg2の他の配列変化体もまた特定されている:
1.単一ヌクレオチド多型(TまたはC)が配列番号1において2722位に特定された。この多型に対応するcDNA配列が配列番号3であり、これは、配列番号4を有するタンパク質をコード化する。Tを2772位に有する2つのクローンが特定され、Cを2772位に有する2つのクローンが特定された。これらは、推定アミノ酸配列のアミノ酸位置889においてメチオニン(配列番号2)またはトレオニン(配列番号4)のいずれかをもたらす。
【0023】
【化1】
【0024】
2.挿入を有する変化体(おそらくは、スプライス変化体)もまた単離された(配列番号5)。配列番号1と比較したとき、配列番号5は、下記に示される108塩基対の挿入を2289位に含有する。
【0025】
挿入cDNAのDNA配列は、下記のとおりである。
【0026】
【化2】
【0027】
この配列の挿入により、配列番号2と比較したとき、下記の36アミノ酸の挿入を745位に有するタンパク質(配列番号6)が産生する。
【0028】
【化3】
【0029】
3.配列番号1と比較したとき、欠失を含む別の変化体が特定された(これもまた、おそらくはスプライス変化体である)。この変化体は、配列番号1のヌクレオチド位置2637から始まる237塩基対の欠失を含有した。この変化体のDNA配列が配列番号7に示され、この変化体のアミノ酸配列が配列番号8に示される。配列番号1の欠失した配列が下記に太字で示され、下線が付される。
【0030】
【化4】
これにより、配列番号2のアミノ酸861から始まる、推定アミノ酸配列の79アミノ酸の欠失が生じる。配列番号2の欠失したアミノ酸配列が下記に太字で示され、下線が付される。
【0031】
【化5】
【0032】
ノーザンブロット分析により、腎臓および前立腺におけるh−erg2の強い発現が明らかにされた。本明細書中に開示されるh−erg2変化体のすべてが腎臓から単離された。この発現パターンから、h−erg2カリウムチャンネルサブユニットは、低血圧症および高血圧症、腎不全、良性前立腺肥大、前立腺ガンおよび不妊症に対する治療的関連性を有し得ることが示唆される。
【0033】
本発明は、他の核酸を実質的に含まない、h−erg2サブユニットをコード化する核酸を提供する。核酸はDNAまたはRNAであり得る。本発明はまた、h−erg2サブユニットをコード化する単離されたDNA分子および/または組換えDNA分子を提供する。本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含む、他の核酸を実質的に含まないDNA分子ならびに単離されたDNA分子および/または組換えDNA分子を提供する。
【0034】
本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のコード領域を含む単離されたDNA分子、ならびに配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のコード領域を含む、他の核酸を実質的に含まないDNA分子が包含される。従って、本発明には、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む配列を有する単離されたDNA分子、および配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む配列を有する、他の核酸を実質的に含まないDNA分子が包含される。
【0035】
また、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含むヌクレオチド配列を有する組換えDNA分子も包含される。h−erg2タンパク質をコード化する本発明の新規なDNA配列は、全体または一部を他のDNA配列(すなわち、h−erg2タンパク質をコード化するDNAが自然の状態では連結されていないDNA配列)と連結させて、h−erg2タンパク質をコード化する「組換えDNA分子」を形成させることができる。そのような他の配列には、転写または翻訳を制御する様々なDNA配列、例えば、翻訳開始配列、内部リボソーム進入部位、RNAポリメラーゼIIに対するプロモーター、転写終結配列もしくは翻訳終結配列、エンハンサー配列、微生物における複製を制御する配列、抗生物質抵抗性を付与する配列、またはポリペプチド「標識」(例えば、ポリヒスチジン領域、FLAGエピトープもしくはmycエピトープなど)をコード化する配列などを挙げることができる。本発明の新規なDNA配列は、プラスミド、コスミド、ウイルスベクター、P1人工染色体または酵母人工染色体などのベクターに挿入することができる。
【0036】
本発明には、高ストリンジェントな条件下で配列番号1にハイブリダイゼーションするDNA配列が含まれる。例として(限定ではなく)、高ストリンジェントな条件を使用する手法は下記の通りである:DNAを含有するフィルターの予備ハイブリダイゼーションが、6XSSC、5Xデンハルト溶液および100μg/mlの変性サケ精子DNAからなる緩衝液において65℃で2時間から一晩行われる。フィルターは、100μg/mlの変性サケ精子DNAおよび5〜20X106cpmの32P標識プローブを含有する予備ハイブリダイゼーション混合物において65℃で12時間から48時間ハイブリダイゼーションされる。フィルターの洗浄が、2XSSC、0.1%SDSを含有する溶液において37℃で1時間行われる。この後、0.1XSSC、0.1%SDSにおける洗浄が50℃で45分間行われ、その後、オートラジオグラフィーが行われる。
【0037】
高ストリンジェントな条件を使用する他の手法には、5XSSC、5Xデンハルト溶液、50%ホルムアミドにおいて42℃で12時間から48時間行われるハイブリダイゼーション、または0.2XSSPE、0.2%SDSにおいて65℃で30分間から60分間行われる洗浄工程のいずれかが含まれる。
【0038】
高ストリンジェントなハイブリダイゼーションを行うための前記手法において述べられた試薬は、当該技術では十分に知られている。これらの試薬の組成の細部は、例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に見出すことができる。前記に加えて、使用され得る高ストリンジェントな他の様々な条件が、当該技術では十分に知られている。
【0039】
遺伝暗号の縮重により、2つのアミノ酸を除くすべてについて、2つ以上のコードが1つの特定のアミノ酸をコード化するようになる。これにより、h−erg2タンパク質をコード化する合成DNAで、合成DNAのヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のヌクレオチド配列と著しく異なるh−erg2タンパク質をコード化し、しかし依然として、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7と同じh−erg2タンパク質をコード化する合成DNAの構築が可能になる。そのような合成DNAは本発明の範囲に含まれるものとする。
【0040】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の変異型形態は発明の範囲に含まれるものとする。特に、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7によりコードされるタンパク質によって形成されるカリウムチャンネルと比較したとき、変化した電圧感受性、電流搬送性質または他の性質を有するカリウムチャンネルを形成するタンパク質をコード化する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の変異型形態が本発明の範囲に含まれる。そのような変異型形態は、ヌクレオチドの欠失、置換または付加を有することにより、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7と異なり得る。
【0041】
また、本発明の範囲内には、配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7に対応する配列、または配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7のコード領域に対応する配列を有するRNA分子が含まれるものとする。RNA分子は、他の核酸を実質的に含まなくてもよく、あるいは単離されたRNA分子および/または組換えRNA分子であり得る。配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号7の逆相補体であるアンチセンスヌクレオチド(DNAもしくはRNA)またはその一部分もまた本発明の範囲に含まれる。さらに、少数の位置が非天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド(イノシン、メチル−シトシンまたはデアザ−グアノシンなど)で置換されている、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくポリヌクレオチドは本発明の範囲に含まれるものとする。本発明のポリヌクレオチドはまた、非天然型の結合がヌクレオチド間に存在する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づく配列を含むことができる。そのような非天然型の結合には、例えば、メチルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオナート、ホスホロアミダイトおよびリン酸エステルを挙げることができる。本発明のポリヌクレオチドはまた、ヌクレオチド間の架橋としてデホスホ結合(例えば、シロキサン架橋、カーボナート架橋、カルボキシメチルエステル架橋、アセトアミダート架橋、カルバマート架橋およびチオエーテル架橋)を有する、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づく配列を含むことができる。存在し得る他のヌクレオチド間の結合には、N−ビニル結合、メタクリルオキシエチル結合、メタクリルアミド結合またはエチレンイミン結合が含まれる。配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくペプチド核酸もまた本発明に含まれる。一般に、非天然型ヌクレオチドもしくは修飾ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド間の非天然型の結合、ならびにペプチド核酸を含むそのようなポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7によってコードされるのと同じタンパク質または非常に類似するタンパク質をコード化する。
【0042】
本発明の別の局面には、h−erg2タンパク質をコード化するDNA配列を含有し、かつ/または発現するように操作された宿主細胞が含まれる。そのような組換え宿主細胞は、h−erg2タンパク質を産生させるために好適な条件のもとで培養することができる。h−erg2タンパク質をコード化するDNAを含有する発現ベクターを、組換え宿主細胞におけるh−erg2タンパク質の発現のために使用することができる。組換え宿主細胞は原核生物性または真核生物性であり得るが、これらには、大腸菌などの細菌、酵母などの菌類、哺乳動物細胞(ヒト起源、ウシ起源、ブタ起源、サル起源および齧歯類起源の細胞株を含むが、これらに限定されない)、アフリカツメガエル卵母細胞などの両生類細胞、および昆虫細胞(ショウジョウバエおよびカイコに由来する細胞株を含むが、これらに限定されない)(例えば、Spodoptera frugiperda)が含まれるが、これらに限定されない。h−erg2タンパク質の組換え発現に好適であり、一般に入手可能な細胞および細胞株には、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)、CPAE(ATCC CCL209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2309)、アフリカツメガエル黒色素胞およびアフリカツメガエル卵母細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
様々な哺乳動物発現ベクターを、組換えh−erg2タンパク質を哺乳動物細胞において発現させるために使用することができる。好適である市販の哺乳動物発現ベクターには、pMC1neo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、pcDNAIおよびpcDNAIamp、pcDNA3、pcDNA3.1、pCR3.1(Invitogen)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pIZD35(ATCC37565)ならびにpSV2−dhfr(ATCC37146)が含まれるが、これらに限定されない。別の好適なベクターには、PT7TS卵母細胞発現ベクターがある。
【0044】
組換え細胞における発現の後、h−erg2タンパク質は、他のタンパク質を実質的に含まないレベルに、従来の技術によって精製することができる。使用され得る技術には、硫酸アンモニウム沈殿、疎水性相互作用または親水性相互作用のクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、調製用ゲル電気泳動およびアルコール沈殿が含まれる。場合により、タンパク質の変性工程および/またはリフォールディング工程をそのような技術に加えて用いることは好都合であり得る。
【0045】
ある種のカリウムチャンネルサブユニットは、高レベルで適正に発現し、かつ膜に挿入されるためには、他のカリウムチャンネルサブユニットの発現を必要とすることが見出されている。例えば、いくつかの電位依存性カリウムチャンネルKvαサブユニットは、機能的なチャンネルを形成するために、他の関連するαサブユニットまたはKvβサブユニットを必要とする(Shi他、1995、Neuron、16:843〜852)。1つの具体的な例として、KCNQ3の同時発現は、アフリカツメガエル卵母細胞におけるKCNQ2の発現を高めるようである(Wang他、1998、Science、282:1890〜1893)。従って、h−erg2タンパク質の組換え発現は、ある種の状況下では、他のカリウムチャンネルタンパク質の同時発現から利益を受けることができ、そのような同時発現は本発明の範囲に含まれるものとする。そのような同時発現は、h−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターを、別のカリウムチャンネルタンパク質を自然の状態で発現する細胞にトランスフェクションすることによって達成することができる。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターを、別のカリウムチャンネルタンパク質をコード化する発現ベクターが同様にトランスフェクションされている細胞にトランスフェクションすることができる。好ましくは、そのような細胞は、h−erg2サブユニットタンパク質またはそのような他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質を自然の状態で発現しない。
【0046】
本発明には、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質が包含される。全長のh−erg2サブユニットタンパク質の推定アミノ酸配列が、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8に示される。従って、本発明には、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、他のタンパク質を実質的に含まないh−erg2タンパク質が包含される。本発明にはまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたh−erg2タンパク質が包含される。
【0047】
h−erg2タンパク質の変異型形態は本発明の範囲に含まれるものとする。特に、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8によって形成されるカリウムチャンネルと比較したとき、変化した電気生理学的性質または薬理学的性質を有するカリウムチャンネルを形成する、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8の変異型形態が本発明の範囲に含まれる。
【0048】
多くのタンパク質と同様に、h−erg2タンパク質のアミノ酸の多くを修飾し、元のタンパク質の場合と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持させることが可能である。従って、本発明には、アミノ酸の欠失、付加または置換を有するが、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持する修飾されたh−erg2タンパク質が包含される。一アミノ酸の置換は、通常、タンパク質の生物学的活性を変化させないことが一般には受け入れられている(例えば、Molecular Biology of the Gene(Watson他、1987、第4版、The Benjamin/Cummings Publishing Co.,Inc.)、226頁;Cunnigham&Wells、1989、Science、244:1081〜1085を参照のこと)。従って、本発明には、1個のアミノ酸置換が、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8において行われているポリペプチドで、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持するポリペプチドが包含される。本発明にはまた、2つ以上のアミノ酸置換が、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8において行われているポリペプチドで、天然に存在するh−erg2タンパク質と実質的に同じ生物学的活性を依然として保持するポリペプチドが包含される。特に、本発明には、上記に記載された置換が保存的置換である実施形態が包含される。特に、本発明には、上記に記載された置換が、保存された位置に存在しない実施形態が包含される。保存された位置は、配列番号2を有するh−erg2タンパク質、herg1タンパク質(配列番号9)およびラットerg2タンパク質(配列番号10)がともに同じアミノ酸を有するそのような位置である(図5を参照のこと)。
【0049】
本発明のh−erg2タンパク質は、様々な翻訳後修飾、例えば、共有結合した炭水化物、リン酸化、ミリストイル化、パルミトイル化などを含むことができる。
【0050】
本発明にはまた、キメラなh−erg2タンパク質が包含される。キメラなh−erg2タンパク質は、h−erg2タンパク質に由来しないポリペプチド配列に融合されたh−erg2タンパク質の少なくとも一部分の連続したポリペプチド配列からなる。h−erg2タンパク質の一部分は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8に由来する少なくとも10個(好ましくは少なくとも25個、最も好ましくは少なくとも50個)の連続したアミノ酸を含まなければならない。
【0051】
本発明にはまた、単離されたh−erg2タンパク質およびh−erg2タンパク質をコード化する単離されたDNAが包含される。用語「単離された」の使用は、h−erg2タンパク質またはDNAがその通常の細胞環境から取り出されていることを示す。従って、単離されたh−erg2タンパク質は無細胞溶液の状態であってもよく、またはh−erg2タンパク質は自然の状態で存在する環境とは異なる細胞環境に置かれていてもよい。単離されたの用語は、単離されたh−erg2タンパク質が、(単離されたの意味の1つではあるが)存在する唯一のタンパク質または優勢なタンパク質であることを示すのではなく、むしろ、単離されたh−erg2タンパク質が、h−erg2タンパク質と自然の状態で会合する非アミノ酸物質(例えば、核酸、脂質、炭水化物)を少なくとも95%含まないことを意味する。
【0052】
いくつかのカリウムチャンネルサブユニットは相互作用して、機能的なカリウムチャンネルをもたらすヘテロマー複合体を形成し得ることが知られている。例えば、KCNQ2およびKCNQ3は組み合わさって、ヘテロマーの機能的なカリウムチャンネルを形成することができる(Wang他、1998、Science、282:1890〜1893)。従って、本発明のh−erg2タンパク質もまた、機能的なカリウムチャンネルを形成する、他のタンパク質とのヘテロマー構造を形成し得ることが考えられる。従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含むそのようなヘテロマーが包含される。
【0053】
h−erg2タンパク質をコード化するDNAは、当該分野で十分に知られている方法によって得ることができる。例えば、全長のh−erg2タンパク質をコード化するcDNAフラグメントを、好適なプライマー対を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによってヒトの腎臓cDNAまたは前立腺cDNAから単離することができる。そのようなプライマー対は、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7として図1〜図4に示される、h−erg2タンパク質をコード化するDNA配列に基づいて選択することができる。好適なプライマーは、例えば、以下のものである。
【0054】
【化6】
【0055】
上記のプライマーは単なる例示であることが意味される。当業者は、他の好適なプライマーを配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7に基づいて容易に設計することができる。そのようなプライマーは、当該分野で十分に知られているオリゴヌクレオチド合成法によって作製することができる。
【0056】
PCR反応は、AmpliTaq、AmpliTaq GoldまたはVentポリメラーゼ(これらに限定されない)を含む様々な熱安定性酵素を用いて行うことができる。AmpliTaqの場合、反応は、10mMのTris−HCl(pH8.3)、2.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、50mMのKCl、0.2μMの各プライマー、10ngのDNAテンプレート、0.05ユニット/μlのAmpliTaqにおいて行うことができる。反応物は95℃で3分間加熱され、その後、95℃で20秒間、62℃で20秒間、72℃で3分間のサイクル処理パラメーターを使用して35回のサイクル処理が行われる。これらの条件に加えて、様々な好適なPCRプロトコルを、PCR Primer,A Laboratory Manual(編者:C.W.DieffenbachおよびG.S.Dveksler、1995、Cold Spring Harbor Laboratory Press)またはPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Michael他編、1990、Academic Press)に見出すことができる。
【0057】
本発明のh−erg2タンパク質は他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質に対して非常に相同的であるので、所望するh−erg2タンパク質が実際に得られたことを確認するために、本明細書中に記載される方法により得られたクローンを配列決定することが望ましい。配列決定はまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7の中から所望するcDNAを確実に得るために適切である。
【0058】
これらの方法によって、h−erg2タンパク質をコード化するcDNAクローンを得ることができる。これらのcDNAクローンは、好適なクローニングベクターまたは発現ベクター(例えば、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen、San Diego、CA))にクローン化することができる。その後、h−erg2またはその一部をコード化する発現ベクターを好適な宿主細胞にトランスフェクションして、宿主細胞を好適な条件下で生育させることによって、h−erg2タンパク質を産生させることができる。その後、h−erg2タンパク質を、当該分野で十分に知られている方法によって単離することができる。
【0059】
上記に記載されたPCR法の代わりとして、h−erg2タンパク質をコード化するcDNAクローンを、プローブとしてh−erg2に特異的なオリゴヌクレオチドを使用し、オリゴヌクレオチドプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることに関して当該分野で十分に知られている方法を使用してcDNAライブラリーから単離することができる。そのような方法は、例えば、Sambrook他、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York)、Glover,D.M.他(編)、1985、DNA Cloning:A Practical Approarch(MRL Press,Ltd.、Oxford、U.K.、第I巻、第II巻)に記載される。h−erg2タンパク質に特異的であり、かつcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用され得るオリゴヌクレオチドは、図1〜図4に示されるDNA配列(すなわち、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7)に基づいて容易に設計することができ、当該分野で十分に知られている方法によって合成することができる。
【0060】
h−erg2の遺伝子を含有するゲノムクローンを、Research Genetics(Huntsville、AL)から得られる市販のヒトPACライブラリーまたはヒトBACライブラリーから得ることができる。あるいは、ゲノムライブラリーを、例えば、P1人工染色体ベクターにおいて調製することができ、そのようなゲノムライブラリーから、h−erg2の遺伝子を含有するゲノムクローンを、本明細書中に開示されるh−erg2のDNA配列に基づくプローブを使用して単離することができる。そのようなライブラリーの調製方法は当該技術では知られている(例えば、Ioannou他、1994、Nature Genet.6:84〜89を参照のこと)。
【0061】
本発明の新規なDNA配列は様々な診断方法において使用することができる。本発明は、患者がh−erg2の遺伝子に変異を有するかどうかを明らかにするための診断方法を提供する。広い意味で、そのような方法は、患者に由来するh−erg2の遺伝子内または遺伝子付近の領域のDNA配列を決定すること、およびその配列を、非罹患者(すなわち、診断されている状態を有しない人)に由来するh−erg2の遺伝子の対応する領域から得られる配列と比較することを含む。この場合、患者由来の遺伝子のDNA配列と非罹患者由来の遺伝子のDNA配列との配列の違いにより、h−erg2の遺伝子における変異を患者が有することが示される。
【0062】
本発明はまた、h−erg2遺伝子の変異型形態を有する患者を特定するために、またはh−erg2をコード化するRNAの発現レベルを明らかにするために、またはh−erg2に相同的な遺伝子を他の種から単離するために、診断方法において使用することができる、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に基づくオリゴヌクレオチドプローブを提供する。特に、本発明には、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の少なくとも約10個または15個または18個の連続したヌクレオチドを含むDNAオリゴヌクレオチドが包含される。この場合、オリゴヌクレオチドプローブは、前記の少なくとも約10個または15個または18個の連続したヌクレオチド以外に、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に由来する5個を越える連続したヌクレオチドの領域を含まない。オリゴヌクレオチドは他の核酸を実質的に含まない。また、本発明により、対応するRNAオリゴヌクレオチドも提供される。DNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドはキットに含めることができる。
【0063】
本発明は、様々な細胞タイプにおけるh−erg2タンパク質の組換え発現を可能にする。そのような組換え発現により、このタンパク質の研究が可能になり、その結果、腎不全、低カリウム血症、高血圧症、低血圧症、良性前立腺肥大、不妊症および前立腺ガンなどの様々な疾患におけるその生化学的活性およびその役割が解明され得るようになる。
【0064】
本発明はまた、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの生物学的活性を測定するアッセイの開発を可能にする。組換え発現されたh−erg2タンパク質を使用するアッセイが特に注目される。そのようなアッセイは、化合物のライブラリーまたは化合物の他の供給源をスクリーニングして、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性の活性化剤または阻害剤である化合物を特定するために使用することができる。そのような特定された化合物は、カリウムチャンネルの活性を増強または抑制することが有益である疾患を有する患者を処置するために使用され得る医薬品を開発するための「リード化合物」として役立ち得る。
【0065】
上記に記載されるアッセイの様々な様式において、変異型のh−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが使用され、変異型カリウムチャンネルの活性の阻害剤または活性化剤が特定される。
【0066】
h−erg2タンパク質を組換え発現するための好適な細胞株は、内因性のカリウムチャンネルを発現しない細胞株である(例えば、CV−1、NIH−3T3、CHO−K1、COS−7)。そのような細胞株は、カリウムチャンネルを通過し得るイオン、86Rbにさらすことができる。そのような細胞への86Rbの流入を、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物、医薬化学によって作製されたリード化合物のアナログ)、またはそのようなコレクションのメンバー、およびそれにより確認された86Rbの流入を変化させることができるそのような物質の存在下および非存在下でアッセイすることができる。そのような物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であると考えられる。同様に、細胞に86Rbを前もって負荷させることができ、カリウムチャンネルを開かせることによって、例えば、カリウムによる細胞の脱分極によって、イオンの流入を開始させることができる。そのような細胞からの86Rbの流出を、その後、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物、医薬化学によって作製されたリード化合物のアナログ)、またはそのようなコレクションのメンバー、およびそれにより確認された86Rbの流出を変化させることができるそのような物質の存在下および非存在下でアッセイすることができる。そのような物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であると考えられる。
【0067】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合し得る物質であると考えられる。従って、1つのタイプのアッセイにより、物質コレクションの1つ以上がそのような結合を可能にするかどうかが明らかにされる。
【0068】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する物質を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質に細胞をさらすこと、
(c)細胞に対する物質の結合量を測定すること、
(d)工程(c)における結合量をコントロール細胞に対する物質の結合量と比較すること(この場合、コントロール細胞は、コントロール細胞がh−erg2タンパク質を発現しないことを除いて、工程(a)の細胞と実質的に同一である)、を含む;
この場合、工程(c)における結合量が、コントロール細胞に対する物質の結合量よりも大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する。
【0069】
工程(a)の細胞と実質的に同一であるコントロール細胞の例には、工程(a)のh−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を作製するためにh−erg2タンパク質をコード化する発現ベクターでトランスフェクションされる元の細胞株がある。
【0070】
このアッセイの別の型では、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが既知の化合物が使用される。新しい結合物質である物質が、これらの既知の化合物が結合することを増強または阻止するその能力によって特定される。これは、既知の化合物が、飽和よりもはるかに低い濃度で使用される場合に行うことができる。そのような場合、新しい結合物質である物質は、既知の化合物が結合することを増強または阻止することができると考えられる。このような能力を有する物質はそれ自体、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる。
【0071】
従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合する物質、従って、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる物質を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下で、細胞を、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが既知の化合物にさらすこと、
(c)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下における細胞に対する化合物の結合量を測定すること、を含む;
この場合、物質の存在下における化合物の結合量が、物質の非存在下における結合量と異なる場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合し、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であると考えられる。
【0072】
一般に、そのような既知の化合物は、カリウムチャンネルに対するその結合の測定を容易にするために、(例えば、放射能により、酵素的に、蛍光的に)標識される。
【0073】
物質が上記の方法によって特定されると、その物質は、それが阻害剤または活性化剤であるかどうかを明らかにするために、本明細書中に記載される方法などの機能的な試験でアッセイすることができる。
【0074】
特定の実施形態において、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合することが既知の化合物は、MK−499、ドフェチリド、アステミゾール、テルフェナジン、E−403およびErgTxからなる群から選択される(Gurrola他、1999、FASEB J.13:953〜962)。
【0075】
本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)組換え発現したh−erg2タンパク質が単独でカリウムチャンネルを形成するように、または他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質とのヘテロマーを形成することよってカリウムチャンネルを形成するように宿主細胞においてh−erg2タンパク質を組換え発現させること、
(b)工程(a)において形成されたカリウムチャンネルの生物学的活性を、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが疑われる物質の存在下および非存在下で測定すること、を含み、
この場合、物質の非存在下と比較したとき、物質の存在下における、工程(a)において形成されるカリウムチャンネルの生物学的活性の変化により、その物質が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが示される。
【0076】
本明細書中に記載される方法の特定の実施形態において、生物学的活性は、カリウム電流の産生、86Rbの流入、86Rbの流出、NH3の流入もしくは流出、またはh−erg2含有チャンネルの開放または閉鎖により引き起こされる膜電位の変化である。
【0077】
特定の実施形態において、カリウムチャンネルのそれ以外のサブユニットを組換え発現することは好都合であり得る。あるいは、そのような他のサブユニットを内因的に発現する宿主細胞を使用することは好都合であり得る。
【0078】
特定の実施形態において、h−erg2タンパク質をコード化するベクターが、h−erg2タンパク質の発現を卵母細胞において生じさせるために、アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞に移される。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化するRNAをインビトロで調製して、卵母細胞内に注入することができ、これによってもまた、卵母細胞におけるh−erg2タンパク質の発現がもたらされる。h−erg2タンパク質を卵母細胞において発現させ、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを形成させた後、膜電流が、トランスメンブラン電圧を段階的に変化させた後に測定される。膜電流の変化は、カリウムチャンネルが開くか、または閉じ、これにより、カリウムイオンの流れが調節されたときに観測される。類似する研究が、KCNQ2およびKCNQ3のカリウムチャンネルについて、Wang他、1998、Science、282:1890〜1893に報告され、minKチャンネルについて、Goldstein&Miller、1991、Neuron、7:403〜408によって報告された。これらの参考文献およびそれらに引用される参考文献は、そのような研究を行う方法に関して参考のために考慮することができる。そのような研究では、h−erg2に加えて、他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質を卵母細胞において同時に発現させることは好都合であり得る。類似する研究を様々な異なる細胞タイプにおいて行うことができる。
【0079】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤は、個々の物質または物質のコレクションに卵母細胞をさらし、物質の非存在下で観測された膜電流を物質が遮断/減少または増強させ得るかどうかを明らかにすることによって特定することができる。
【0080】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが形成されるようにh−erg2タンパク質を発現させること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤または活性化剤であることが疑われる物質の存在下および非存在下において細胞のトランスメンブランポテンシャルを変化させること、
(c)工程(b)の後の膜カリウム電流を測定すること、を含み、
この場合、工程(c)で測定されるカリウム膜電流が、物質の存在下よりも、物質の非存在下で大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり、
工程(c)で測定されるカリウム膜電流が、物質の非存在下よりも、物質の存在下で大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤である。
【0081】
本発明にはまた、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定するためのアッセイで、第1の蛍光色素と第2の蛍光色素との間における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づくアッセイが包含される。この場合、第1の色素は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞の形質膜の一方の側に結合し、第2の色素は、膜電位の変化に応答して膜の一方の面から反対側の面に自由に行き来する。いくつかの実施形態において、第1の色素は細胞の形質膜に対して不透過性であり、形質膜の細胞外表面に主に結合する。第2の色素は形質膜内に捕捉されるが、膜内を自由に拡散する。膜の正常(すなわち、負)の静止電位において、第2の色素は形質膜の細胞外面の内側表面に主に結合し、従って、第2の色素は第1の色素の非常に近いところに置かれる。このように近くに接近することにより、2つの色素間に大きい量のFRETの発生が可能になる。膜が脱分極した後、第2の色素は、膜の細胞外面から細胞内面に移動し、従って、色素間の距離が大きくなる。この増大した距離は、第1の色素に由来する蛍光放射の対応する増大、および第2の色素に由来する蛍光放射の対応する減少を伴うFRETの減少をもたらす。このようにして、2つの色素間のFRET量を使用して、膜の脱分極状態を測定することができる。この技術の説明については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。Gonzalez&Tsien、1995、Biophys.J.69:1272〜1280、および米国特許第5,661,035号もまた参照のこと。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の色素は、蛍光ドナーとして作用する蛍光性レクチンまたは蛍光性リン脂質である。そのような第1の色素の例には、クマリン標識されたホスファチジルエタノールアミン(例えば、N−(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンまたはN−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル−4−イル)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン);蛍光標識されたレクチン(例えば、蛍光標識されたコムギ胚芽凝集素)がある。いくつかの実施形態において、第2の色素は、蛍光アクセプターとして作用するオキソノールである。そのような第2の色素の例には、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール)またはペンタメチンオキソノールアナログ(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノールもしくはビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール)がある。本発明における使用に好適な様々な色素を合成する方法については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。いくつかの実施形態において、アッセイは、一重項酸素による光力学的損傷を軽減するために、天然カロテノイド(例えば、アスタキサンチン)を含むことができる。
【0083】
上記に記載されたアッセイは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤および阻害剤を発見するために利用することができる。そのようなアッセイでは、一般に、例えば、h−erg2タンパク質および場合により他のカリウムチャンネルサブユニットをコード化する発現ベクターを用いたトランスフェクションによって、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞が用いられる。
【0084】
細胞の膜電位は、様々なイオンポンプおよびイオンチャンネルによる内向き(脱分極)イオン流束と外向き(再分極)イオン流束とのバランスによって決定される。h−erg2などのカリウムチャンネルは、典型的にはK+に対して非常に選択的であり、従って、カリウム平衡電位(EK)に近い逆の電位を示す。従って、そのようなカリウムチャンネルは、EKの近くに細胞の静止膜電位を維持するように機能する。h−erg2を含有するカリウムチャンネルの阻害剤の存在は、この分極した(すなわち、負の)膜電位を維持するこのチャンネルの能力を妨げるか、または減少させ、従って、細胞は脱分極する。従って、膜電位は、h−erg2阻害剤の存在下では、より正側になることになる。h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤により引き起こされる膜電位の変化を、上記に記載されたFRETを使用するアッセイによってモニターすることができる。
【0085】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルが細胞内で形成されるように細胞におけるh−erg2タンパク質の発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも小さい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤である。
【0086】
細胞の静止膜電位は、その細胞において活性である内向き電流と外向き電流のバランスに依存する。従って、例えば、h−erg2によりもたらされるK+電流が唯一または優勢な電流である場合、その静止膜電位はEKに近い。しかし、中和する脱分極電流もまた細胞において見出される場合、静止膜電位はより大きく脱分極し、その正確な値は、脱分極電流と過分極電流との相対的な大きさに依存する。従って、カリウムチャンネル(例えば、h−erg2)を発現し、かつ同じ細胞における脱分極電流の同時発現によってEKよりも正側の静止膜電子を示す細胞株を構築することができる。そのような脱分極電流の例は、Na+、Ca++またはCl−のチャンネル、イオノホアまたはそれらの組合せによって運ばれる電流であり得る。これらの細胞において、カリウムチャンネルの活性化剤は、内向きの脱分極電流と比較して、外向きのカリウム電流の相対的な寄与を増大させ、そうすることで膜電位をより負側にする(すなわち、膜電位をEKに一層近づける)。h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤によってそのような細胞において引き起こされる膜電位の変化は、上記に記載されるFRETを使用するアッセイによってモニターすることができる。
【0087】
従って、本発明により、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化を特定する方法が提供される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルおよび脱分極チャンネルがともに同じ細胞内で発現するように細胞におけるh−erg2タンパク質および脱分極チャンネルの発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下で細胞における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤である。
【0088】
上記に記載される方法によって特定される物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤であり得るか、または脱分極電流(1つまたは複数)の阻害剤であり得る。これらの2つの可能性は、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって、すなわち、別の細胞株において、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを伴うことなく、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって区別することができる。その後、物質は、脱分極電流を単独で含有する細胞に対して試験することができ、それにより、物質が脱分極電流を阻害し得るどうかを明らかにすることができる。あるいは、これらの物質は、物質がそのようなチャンネルの活性化剤であるかどうかを明らかにするための電圧クランプ実験で、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルについて直接的に試験することができる。
【0089】
上記に記載される方法は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤を特定するために同様に使用することができる。これは、阻害剤の存在により、h−erg2チャンネルを介する電流の移動が阻止されるか、または減少し、従って、脱分極チャンネルの作用を中和するh−erg2チャンネルの能力を妨げるか、または小さくするからである。従って、本発明には、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり得る物質を特定する方法が包含される。この方法は、
(a)下記:
(1)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルおよび脱分極チャンネルがともに同じ細胞内で発現するように細胞におけるh−erg2タンパク質および脱分極チャンネルの発現を行わせる発現ベクター、
(2)細胞の形質膜の一方の側に結合する第1の蛍光色素、および
(3)膜電位の変化に応答して細胞の形質膜の一方の面から反対側の面に自由に分布する第2の蛍光色素、を含む細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であることが疑われる物質に細胞をさらすこと、
(c)物質の存在下および非存在下で細胞における蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)量を測定すること、
(d)物質の存在下および非存在下における細胞により示されるFRET量を比較すること、を含み、
この場合、物質の存在下における細胞により示されるFRET量が、物質の非存在下における細胞により示されるFRET量よりも小さい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤である。
【0090】
上記に記載される方法によって特定された物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤であり得るか、または脱分極電流(1つまたは複数)の活性化剤であり得る。これらの2つの可能性は、脱分極チャンネルを単独で発現させることによって、すなわち、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを伴うことなく、別の細胞株において脱分極チャンネルを単独で発現させることによって区別することができる。その後、物質は、脱分極電流を単独で含有する細胞に対して試験することができ、それにより、物質が脱分極電流を活性化し得るどうかを明らかにすることができる。あるいは、これらの物質は、物質がh−erg2チャンネルの阻害剤であるかどうかを明らかにするための電圧クランプ実験で、h−erg2を含有するカリウムチャンネルについて直接的に試験することができる。
【0091】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、脱分極チャンネルは、ナトリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、非特異的なカチオンチャンネルもしくは塩化物チャンネル、またはイオノホアである。
【0092】
上記に記載されるアッセイにおける物質の作用が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルにおけるその作用により生じていることを確実にするために、細胞が、h−erg2タンパク質の発現を行わせる発現ベクターを含有しないことを除いて、上記の通りであるコントロール実験を行うことができる。
【0093】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、発現ベクターは試験細胞にトランスフェクションされる。
【0094】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、h−erg2タンパク質は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。上記に記載される方法の特定の実施形態において、発現ベクターは、配列番号1の57位〜2930位、配列番号3の57位〜2930位、配列番号5の57位〜3038位または配列番号7の57位〜2693位を含む。
【0095】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、第1の蛍光色素は、蛍光性レクチン;蛍光性リン脂質;クマリン標識されたホスファチジルエタノールアミン;N−(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン;N−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル−4−イル)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン;および蛍光標識されたコムギ胚芽凝集素からなる群から選択される。
【0096】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、第2の蛍光色素は、蛍光アクセプターとして作用するオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール;ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)クアトラメチンオキソノール;ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;ビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;およびビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)ヘキサメチンオキソノールからなる群から選択される。
【0097】
上記に記載される方法の特定の実施形態において、細胞は真核生物細胞である。別の実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。他の実施形態において、細胞は、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)である。
【0098】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定するアッセイにおいて、h−erg2に加えて別のカリウムチャンネルサブユニットを同時に発現させることは好都合であり得る。特に、erg1またはerg3などの関連するカリウムチャンネルサブユニットを同時に発現させることが好都合であり得る。好ましくは、これは、そのような他のサブユニットをコード化する発現ベクターを細胞に同時トランスフェクションすることによって行われる。
【0099】
上記に記載される方法は、「1つの」物質が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であるかどうかを試験することに明確に関しているが、そのような方法は、物質のコレクション(例えば、コンビナトリアルライブラリー、天然産物のコレクション)を試験して、そのようなコレクションのメンバーの複数が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であるかどうかを明らかにするために適合化され得ることは当業者には明かである。従って、物質のコレクション、またはそのようなコレクションの個々のメンバーもしくはそのようなメンバーの部分集団を、上記に記載される方法における物質として使用することは、本発明の範囲内である。特に、カリウムイオンチャンネルの調節に関係することが知られている化学構造を取り込むために設計されたライブラリー、例えば、カリウムチャンネルの活性化剤に関するジヒドロベンゾピランライブラリー(国際特許出願公開WO95/30642)またはカリウムチャンネルの阻害剤に関するビフェニル誘導体ライブラリー(国際特許出願公開WO95/04277)は特に注目されることが予想される。
【0100】
本発明には、本明細書中に記載される方法によって特定された、h−erg2タンパク質を含むカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を含む医薬組成物が包含される。活性化剤または阻害剤は、一般には、医薬組成物を得るために、医薬適合性のキャリアと一緒にされる。そのようなキャリアの様々な例、活性化剤または阻害剤およびキャリアを含有する医薬組成物の配合方法の様々な例を、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版、1990、Mack Publishing Co.、Easton、PA)に見出すことができる。効果的な投与に好適な医薬適合性の組成物を得るために、そのような組成物は、治療効果的な量の活性化剤または阻害剤を含有する。
【0101】
治療用または予防用の組成物は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性が異常である状態を処置または防止するために十分な量で個体に投与される。効果的な量は、個体の状態、体重、性別および年齢などの様々な要因に従って変化し得る。他の要因には、投与様式が含まれる。適切な量は通常の医師によって決定され得る。一般に、効果的な量は、成人1日あたり約0.01mgから約1,000mgであり、好ましくは約0.1mgから約250mgであり、さらにより好ましくは約1mgから約50mgである。
【0102】
組成物は、適切な投薬量で単独で使用することができる。あるいは、他の薬剤との同時投与または連続投与が望ましいことがある。
【0103】
組成物は、従来の投与用ビヒクルにおける非常に様々な治療投薬形態物で投与することができる。例えば、組成物は、錠剤、カプセル(それぞれが徐放性および持続放出性の配合物を含む)、ピル、粉末剤、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、溶液剤、懸濁剤、シロップおよびエマルションのような経口投薬形態物で、または注射によって投与することができる。同様に、組成物はまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、閉塞を伴う局所的もしくは閉塞を伴わない局所的、または筋肉内の形態物で投与することができる。これらはすべて、製薬分野の当業者には十分に知られている形態物が使用される。
【0104】
組成物は単回日用量で投与することができ、または1日投薬量の総量を、1日あたり2回、3回、4回もしくはそれ以上の分割された用量で投与することができる。さらに、組成物は、好適な鼻腔内ビヒクルの局所的使用によって鼻腔内形態物で投与することができ、または当業者に十分に知られている経皮パッチのそのような形態物を使用して経皮経路によって投与することができる。経皮送達システムの形態で投与されるためには、投薬は、当然のことではあるが、投薬期間中を通して、断続的ではなく、連続している。
【0105】
本発明の組成物を利用する投薬法は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される状態の重篤度;投与経路;患者の腎機能、肝機能および心臓血管機能;ならびに用いられるその特定の化合物を含む様々な要因に従って選択される。通常の医師は、状態の進行を妨げるか、または打ち消すか、または停止させるために必要とされる組成物の効果的な量を容易に決定し、処方することができる。毒性を伴うことなく効き目をもたらす範囲に含まれる組成物濃度を達成することにおける最適な精度は、標的部位に対する組成物の利用性の速度論に基づく投薬法を必要とする。これには、組成物の分布、平衡および排出を検討することが含まれる。
【0106】
h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤および活性化剤は、過度または不十分なカリウムチャンネル活性を伴う様々な疾患を処置するために有用である。
【0107】
ヒト腎臓におけるh−erg2の発現がノーザンブロット分析によって認められた。腎臓は、塩、水分およびpHバランスの調節に関与しており、多くの輸送体およびチャンネルの存在場所であり、その多くが現在利用できる利尿剤および他の抗高血圧剤に対する標的である(Puschett、1994、Cardiology、84、増刊2:4〜13)。h−erg2の発現はまた前立腺でも認められた。h−erg2の発現パターンは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの阻害剤および活性化剤が、低血圧症および高血圧症、腎不全、良性前立腺肥大、前立腺ガン、および不妊症を処置するために有用であり得ることを示唆している。
【0108】
本発明のh−erg2核酸およびh−erg2タンパク質は、他のイオンチャンネルの活性化剤および阻害剤を特定するために設計されたスクリーニングとの組合せにおいて有用である。標的のイオンチャンネルと特異的に相互作用する潜在的な医薬品を特定するために化合物をスクリーニングするとき、特定される化合物は標的のイオンチャンネルに対してできる限り特異的であることを確保することが必要がある。このためには、標的のイオンチャンネルに類似するイオンチャンネルのできる限り多数に対して化合物をスクリーニングすることが必要である。従って、イオンチャンネルAと相互作用する潜在的な医薬品である化合物を見つけるためには、化合物がイオンチャンネルA(「プラス標的」)と相互作用し、イオンチャンネルAを介して所望する薬理学的作用をもたらすことを確保することは十分ではない。化合物がイオンチャンネルB、C、Dなど(「マイナス標的」)と相互作用しないことを明らかにすることもまた必要である。薬物候補物である化合物がマイナス標的と相互作用しないことを明らかにするために使用される方法は、多くの場合、「逆スクリーニング」と呼ばれる。一般に、スクリーニングプログラムの一部として、できる限り多くのマイナス標的を逆スクリーニングにおいて使用することは重要である(Hodgson、1992、Bio/Technology、10:973〜980(980において)を参照のこと)。h−erg2タンパク質、h−erg2タンパク質をコード化するDNA、およびh−erg2タンパク質を発現するように操作されている組換え細胞は、それらが、他のイオンチャンネルと特異的に相互作用する化合物を特定するために設計されたスクリーニングにおける「マイナス標的」として使用され得るという点で有用である。例えば、Wang他(1998、Science、282:1890〜1893)は、KCNQ2およびKCNQ3が、「Mチャンネル」として知られているヘテロマーのカリウムイオンチャンネルを形成することを示している。Mチャンネルは、薬物開発に対する重要な標的である。これは、KCNQ2およびKCNQ3における変異が、癲癇を生じさせることに関わっているからである(Biervert他、1998、Science、279:403〜406;Singh他、1998、Nature Genet.18:25〜29;Schroeder他、Nature、1998、396:687〜690)。Mチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定するために設計されたスクリーニングプログラムは、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルをマイナス標的として使用することによって大きな利益を受ける。
【0109】
従って、本発明には、イオンチャンネルを調節する薬物候補物を特定するための方法であって、逆スクリーニングにおいてh−erg2を使用することを含む方法が包含される。そのような方法は、
(a)化合物が、h−erg2でないイオンチャンネルの活性化剤または阻害剤であることを明らかにすること;および
(b)化合物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにすること
を含む。
【0110】
当然のことではあるが、h−erg2はまた、一次薬物標的がイオンチャンネルでない逆スクリーニングにおいても有益であり得る。従って、本発明には、薬物候補物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにするための方法が包含される。この方法は、
(a)h−erg2でない薬物標的を選択すること、
(b)薬物標的の活性化剤または阻害剤である化合物を特定するために化合物のコレクションをスクリーニングすること、および
(c)工程(b)で特定された化合物がh−erg2の活性化剤または阻害剤でないことを明らかにすること、を含む。
【0111】
本発明にはまた、h−erg2タンパク質に対する抗体が包含される。そのような抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。本発明の抗体は、当該分野で十分に知られている方法によって、全長のh−erg2タンパク質に対して、または好適なキャリア(例えば、血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に結合された好適な抗原性フラグメントに対して惹起させることができる。タンパク質の好適な抗原性フラグメントを特定する様々な方法が当該技術では知られている。例えば、Hopp&Woods、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:3824〜3828;Jameson&Wolf、1988、CABIOS(Computer Applications in the Biosciences)、4:181〜186を参照のこと。
【0112】
ポリクローナル抗体を作製する場合、h−erg2タンパク質または抗原性フラグメントが、好適なキャリアに結合されて、例えば、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウスなどの適切な非ヒト宿主動物に定期的に注射される。動物は定期的に採血され、得られた血清が、注射されたサブユニットまたは抗原性フラグメントに対する抗体の存在について試験される。注射は、筋肉内、腹腔内、皮下などに行うことができ、アジュバントを伴い得る。
【0113】
モノクローナル抗体を作製する場合、h−erg2タンパク質または抗原性フラグメントが、好適なキャリアに結合されて、ポリクローナル抗体を作製するための上記のような適切な非ヒト宿主動物に注射される。モノクローナル抗体の場合、動物は、一般にはマウスである。動物の脾臓細胞が、その後、Kohler&Milstein、1975、Nature、256:495〜497に記載されるように、多くの場合にはミエローマ細胞との融合によって不死化される。モノクローナル抗体の作製のより詳しい説明については、Antibodies:A Laboratory Manual(編者:Harlow&Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988)を参照のこと。
【0114】
遺伝子治療を、h−erg2タンパク質を標的器官の細胞に導入するために使用することができる。h−erg2タンパク質をコード化するヌクレオチドは、受容細胞の感染によるヌクレオチドの移入を媒介するウイルスベクターに連結することができる。好適なウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルスおよびポリオウイルスに基づくベクターが含まれる。あるいは、h−erg2タンパク質をコード化するヌクレオチドは、リガンド−ヌクレオチド結合体を使用する受容体媒介による標的化移入、リポフェクション、膜融合または直接的な顕微注入を含む非ウイルス技術によって遺伝子治療のために細胞に移すことができる。これらの手法およびその変法は、エクスビボ遺伝子治療ならびにインビボ遺伝子治療のために好適である。野生型h−erg2タンパク質を用いた遺伝子治療は、h−erg2カリウムチャンネルの活性を上昇させることが有益である疾患を処置するために特に有用である。h−erg2タンパク質の優性ネガティブ変異型を用いた遺伝子治療は、h−ergカリウムチャンネルの活性を低下させることが有益である疾患を処置するために特に有用である。
【0115】
下記の非限定的な実施例は、本発明をよりよく例示するために示される。
【0116】
実施例1
h−erg2cDNAの特定およびクローニング
全長のh−erg2cDNAを、PCRによって、下記の重複する3つの分離フラグメントとしてクローン化した:1)アミノ末端から膜貫通領域S1までのフラグメント、2)S1における重複領域から、環状ヌクレオチド結合ドメイン(CNBD)の下流(3’)で、H96170のEST配列内の領域までのフラグメント、および3)EST内の領域から3’非コード領域の一部までのフラグメント。PCRプライマーは、ゲノムDNAデータベース検索から得られた配列から設計された。アミノ末端配列をコード化する2つの同一のcDNAが、下記のプライマー対を使用する標準的なPCR技術によって得られた:
【0117】
【化7】
【0118】
S1〜CNBD領域が、下記のプライマー対を用いたPCRによって同様にクローン化された:
【0119】
【化8】
【0120】
C末端のcDNA(CNBD後〜3’非翻訳部)が、下記のプライマー対を用いたPCRによってクローン化された:
【0121】
【化9】
【0122】
3つのクローンを配列決定した。1つが、配列番号5に示される108塩基対の挿入を有していた。1つのクローンが、配列番号7に示される237塩基対の欠失を有していた。2722位における一ヌクレオチド多型もまた、これらのcDNAおよび対応するゲノムDNAの配列を比較することによって特定された。全長のORFをコード化するcDNAを、その後、標準的な分子生物学的技術によって3つの部分cDNAから構築した。
【0123】
実施例2
h−erg2の発現の分析
ノーザンブロット分析:
ヒトの心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸および末梢血白血球から単離されたポリ(A+)RNAのノーザンブロットをClontech(Palo Alto、CA)から購入し、EST H96170に由来する32P標識プローブでプローブした。このプローブは、下記のプライマーを使用する標準的なPCR技術によって構築された:
【0124】
【化10】
【0125】
このPCRフラグメントを精製し、ランダムプライミンングによって、109cpm/μgDNAを越える比活性に[32P]dCTPで標識した。ハイブリダイゼーションは、5XSSPE、10Xデンハルト溶液、50%ホルムアミド、100μg/mlのサケ精子DNA、2%SDS、および5x107cpmの32P標識プローブを含有する溶液において、42℃で一晩行われた。ブロットは、2XSSC、0.05%SDSにおいて、42℃で15分間〜20分間、3回、その後、1XSSC、0.05%SDSにおいて、50℃で15分間〜20分間、3回行われた。ハイブリダイゼーションは、ブロットをKodak社のX線フィルムに感光させることによって検出された。
【0126】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書中に記載される改変に加えて、本発明の様々な改変が、前記の記載から当業者には明らかになる。そのような改変は、添付された請求項の範囲に含まれるものとする。
【0127】
様々な刊行物が本明細書中に引用されているが、それらの開示はその全体が参考として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1A−1】
h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1A−2】
h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1B】
図1AのcDNAに対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図2A−1】
配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図2A−2】
配列番号1と比較して、単一ヌクレオチド多型を有する、h−erg2をコード化するcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図2B】
配列番号3によってコードされるアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図3A−1】
配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。
【図3A−2】
配列番号1と比較して、2289位に108塩基対の挿入を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号5)を示す。
【図3B】
配列番号5によってコードされるアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【図4A−1】
配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。
【図4A−2】
配列番号1と比較して、2637位から始まる237塩基対の欠失を有するh−erg2の推定スプライス変化体をコード化するcDNA配列(配列番号7)を示す。
【図4B】
図4Bは、配列番号7によってコードされるアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【図5A−1】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5A−2】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5B】
h−erg2(配列番号2)、ヒトerg1(h−erg1)(配列番号9;GenBankアクセション番号U04270)およびラットerg2(配列番号10;GenBankアクセション番号AF016192)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図6】
h−erg2が腎臓および前立腺において特異的に発現することを明らかにする多組織ノーザンブロットの結果を示す。
Claims (15)
- h−erg2をコード化するヌクレオチドを含む単離されたDNA。
- 配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード化するヌクレオチドを含む、請求項1に記載のDNA。
- 配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号1の57位から2930位、配列番号3の57位から2930位、配列番号5の57位から3038位および配列番号7の57位から2693位からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のDNA。
- 請求項3に記載されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションし、かつh−erg2と実質的に同じ生物学的活性を有するタンパク質をコード化する単離されたDNA。
- 請求項3に記載されるDNAを含む発現ベクター。
- 請求項3に記載されるDNAを含む組換え宿主細胞。
- 単離されたh−erg2タンパク質。
- 配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項7に記載のタンパク質。
- 一アミノ酸の置換を含む、請求項8に記載のタンパク質。
- 2つ以上のアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換が保存位置に存在しない、請求項8に記載のタンパク質。
- h−erg2タンパク質に特異的に結合する抗体。
- 配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7に由来する少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含むDNAオリゴヌクレオチドプローブまたはRNAオリゴヌクレオチドプローブ。
- (a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合することが知られていない物質に細胞をさらすこと、
(c)細胞に対する物質の結合量を測定すること、
(d)工程(c)における結合量をコントロール細胞に対する物質の結合量と比較すること(この場合、コントロール細胞は、コントロール細胞がh−erg2タンパク質を発現しないことを除いて、工程(a)の細胞と実質的に同一である)、を含み、
工程(c)における結合量が、コントロール細胞に対する物質の結合量よりも大きい場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合する物質を特定する方法。 - (a)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルを発現する細胞を提供すること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下で、細胞を、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが既知の化合物にさらすこと、
(c)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルに結合することが知られていない物質の存在下および非存在下における細胞に対する化合物の結合量を測定すること、を含み、
物質の存在下における化合物の結合量が、物質の非存在下における結合量と異なる場合、その物質は、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合する、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルと結合する物質を特定する方法。 - (a)組換え発現したh−erg2タンパク質が単独でカリウムチャンネルを形成するように、または他のカリウムチャンネルサブユニットタンパク質とのヘテロマーを形成することによってカリウムチャンネルを形成するように宿主細胞においてh−erg2タンパク質を組換え発現させること、
(b)h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが疑われる物質の存在下および非存在下において、工程(a)で形成されたカリウムチャンネルの生物学的活性を測定すること
を含み、
物質の非存在下と比較したとき、物質の存在下における工程(a)で形成されたカリウムチャンネルの生物学的活性の変化により、その物質が、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤であることが示される、h−erg2タンパク質を含有するカリウムチャンネルの活性化剤または阻害剤を特定する方法。
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