JP2004535657A - 電子放出器のための集束レンズ - Google Patents
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Abstract
陰極(10)から陽極(30)までの電子を集束するために電子レンズが用いられる。そのレンズは、陰極(10)から第1の距離(48)に第1の開口部(38)を有する第1の導電層(36)を含む。第1の導電層(36)は、第1の電圧に保持される。また、そのレンズは、第1の導電層(36)から第2の距離(46)にあり、かつ陽極(30)から第3の距離(24)にある、第2の開口部(34)を有する第2の導電層(32)も含む。第2の導電層(32)は陽極(30)の電圧に概ね等しい第2の電圧に保持される。第1の開口部(38)および第2の開口部(34)は、第1の電圧と、第2の電圧と、第1の距離(48)と、第2の距離(46)と、第3の距離(24)とに基づいて選択される。その開口部は、陰極(10)から放出される電子を、陽極(30)上に、好ましくは40nm未満のスポットサイズに集束する。陰極(10)と陽極(30)との間に生成される力はレンズの構造によって最小限に抑えられる。
【選択図】図3
【選択図】図3
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子放出器(emitter:エミッタ)のためのレンズ設計に関し、特に、多くの場合に多数の電子装置に組み込まれる大容量記憶装置およびディスプレイ装置において使用される電子放出器に関する。
【0002】
発明の背景
コンピューティング技術では、容量は大きくなっているが、価格は下がり続けている。コンピューティング技術がこれらの前向きな流れを続けることができるためには、大容量記憶装置およびディスプレイ装置のような周辺装置が、進歩し続けなければならない。最新のパーソナルコンピュータにおいて見られるマイクロプロセッサの進歩の速さに遅れないようにするために、数例を挙げると、ディスクドライブ、CD−ROMおよびDVDドライブのような大容量記憶装置が不足していることについての多くの批判の声が業界紙にあがっている。たとえば、ハードディスクドライブは、この10年間に著しく記憶密度を高めることができたが、現在、さらに進歩するのを妨げる物理的な限界に直面している。いくつかのハードディスクドライブはポータブル装置とともに動作するように小型化されてきたが、高い電力要件によって依然として、より長期の電池動作が制限されている。エネルギー効率がより高く、高い記憶密度の記憶装置が必要とされている。
【0003】
LCDモニタのようなディスプレイ装置は、ほとんど欠陥がない状態でそれらを製造するという複雑性に起因して、要求を満たすのが困難になってきている。さらに、反射型LCD技術を利用する場合に、種々の周囲光条件において視認できるようにするために、バックライトを追加することが必要になっている。これらのバックライトはさらなる電力を必要とし、それにより長期の電池動作をさらに制限する。
【0004】
長年、受像(TV)管およびコンピュータモニタのような消費者製品において、電子ビーム技術が提供されている。これらの装置は、画面に誘導され、集束される電子の電子源を生成するために、熱陰極の電極として知られるものを利用する。多数の新たな技術分野において研究が行われてきたが、スピント先端放出器およびフラット放出器のような冷陰極電子放出器の分野が、多数の製造業者の注目を集めている。この冷陰極技術を製品に転用する際にいくつかの問題がある。1つのそのような問題は、大容量記憶装置およびディスプレイ装置の場合のように高密度の放出デバイスを必要とする複数の応用形態において用いることができる電子集束構造を生み出すことである。一般的に、これらの応用形態は、電子発生源(一般的に陰極と呼ばれる)と媒体または表示面(一般的に陽極と呼ばれる)との間に高い電位差を必要とする。しかしながら、コンパクトな装置を作成する場合、陽極と陰極とはごくわずかな距離しか離隔されないであろう。この短い距離によって、陰極源から陽極上に電子をむらなく厳格に集束するのを達成することが難しくなる。むらなく厳格に集束することが達成可能である場合、ビット距離が小さくなるという理由から、より高い記憶密度が可能になる。陽極および陰極は高い電位差に保持されるので、高い電位によって生成される静電力が、それらの間に引力を生成する。この引力は、特に大容量記憶装置の媒体表面のような、この力に打ち勝たなければならない可動構成要素を用いる場合に、さらなる問題を生み出す。実際には、媒体表面を制御するモータはさらなる電力を消費する必要があるので、ポータブル製品の電池寿命に影響を及ぼす。ディスプレイ装置では、この望ましくない力は、望ましくない撓みまたはねじり応力を生み出す可能性がある。この望ましくない引力が低減または除去されなければ、冷陰極電子放出技術を利用することが先延ばしされる可能性もある。したがって、陽極と陰極構造との間の引力を最小限に抑えると同時に、製造工程のばらつきに対する許容誤差も維持する新たなレンズ構造が必要とされている。
【0005】
発明の概要
陰極から陽極までの電子を集束するために電子レンズが用いられる。そのレンズは、陰極から第1の距離に第1の開口部を有する第1の導電層を含む。第1の導電層は第1の電圧に保持される。また、レンズは、第1の導電層から第2の距離にあり、かつ陽極から第3の距離にある第2の開口部を有する第2の導電層を含む。第2の導電層は、陽極の電圧に実質的に等しい第2の電圧に保持される。第1および第2の開口部は、第1の電圧、第2の電圧、第1の距離、第2の距離および第3の距離に基づいて選択される。陰極と陽極との間に生成される力は、そのレンズの構造によって最小限に抑えられる。
【0006】
以下の図面を参照することにより、本発明はいっそうよく理解される。図面の構成要素は互いに対して必ずしも一定の縮尺ではない。もっと正確に言えば、それよりむしろ、本発明を明確に示すことに重点が置かれている。さらに、いくつかの図面を通して、類似の参照番号は、必ずしも全く同じではないが、対応する類似の部品を示す。
【0007】
好適な実施形態の詳細な説明
陰極と陽極との間の引力を最小限に抑えるための1つの技術は、図1Aおよび図1Bに示される電界放出デバイスに例示されるような共面レンズおよびシールドを用いることである。図1Aは電界放出デバイスの平面図である。図1Bは、典型的な陽極30とともに、I−Iに沿って見た図1Aの電界放出デバイスの断面図である。陰極10は、電子ビームを生成するために、その上またはその中に配置された電子放出器20を有する。陰極上には誘電体層12が配置され、電気的な絶縁、および好ましくは熱的な絶縁を与えることが好ましい。誘電体層12上には、共面レンズ16と、好ましくは共面シールド14が配置される。シールド‐レンズ間隔22が共面レンズ16と共面シールド14とを分離する。共面レンズ16内には共面レンズ開口部18があり、共面レンズ開口部18は、静電界を生成するために用いられ、その静電界は、好ましくは電子放出器20から、共面レンズ16および共面シールド14からシールド‐レンズ間隔24だけ離隔された陽極30上に電子ビームを集束することにより、電子ビームに影響を及ぼす。共面シールド14は、陽極30の電位またはそれに近い電位に保持され、陽極30と陰極10の構造との間の引力を最小限に抑えるために用いられることが好ましい。この構造は陽極30と陰極10の構造との間の引力を低減するが、共面レンズ16と陽極30との間の電位差に起因する引力26はそのままである。この引力26は、陽極30と陰極10との間の間隔を制限する。陽極30が大容量記憶装置の場合のような媒体表面である場合、媒体表面を移動させるために用いられるモータは、その引力26に打ち勝つためにさらに大きな力を出さなければならないので、より多くの電力が消費され、および/またはより大きなモータが利用される。陽極30がディスプレイ表面である場合には、その引力によって、より厚みのあるディスプレイ基板またはさらに大きなスペーサ材料が必要とされ、製造コストおよび重量の双方が増加する。陽極30および電子レンズを長い距離だけ離隔しておくことにより、引力は最小限に抑えられる。しかしながら、この長い距離によって、陽極30上に集束されるスポットのサイズは、製造工程によって影響を受けるレンズおよびシールドの幾何学的形状におけるわずかなばらつきにも大きく影響されやすくなる。製造工程によって引き起こされる、予想される部品間のばらつきは、スポットサイズを、いくつかの応用形態に必要とされるサイズよりも大きなサイズに制限する。
【0008】
図2Aおよび図2Bは、電子レンズの構造および設計を示しており、その電子レンズによれば引力は小さく、好ましくは0.03N/cm2未満になり、製造工程のばらつきに対する許容誤差が大きくなる。図2Aは、本発明のレンズ構造を組み込む電界放出デバイスの平面図である。図2Bは、II−IIに沿って見た、陽極30の構造を含む図2Aに示される電界放出デバイスの断面図である。陰極10は、その上に、またはその中に配置された電子放出器20を有する。電子放出器は、シールド層32と陰極10との間に配置されたレンズ層36を用いて陽極30上に集束される電子のビームを生成する。シールド層32はレンズ層36と陽極30との間に配置される。レンズ層36はレンズ開口部38を有し、レンズ開口部38を用いて、陽極30上に電子ビームを集束する。シールド層32は、好ましくは電子ビームがシールド層32を通過して陽極30上に進めるようにするレンズ開口部38と同じ直径のシールド開口部34を有する。レンズ層36は第1の誘電体層13上に配置されることが好ましい。シールド層32は、第2の誘電体層15上に配置されることが好ましい。レンズ層36、第1の誘電体層13、第2の誘電体層15およびシールド層32は、半導体またはディスプレイ薄膜技術を用いて陰極10上に集積化され、それにより陰極構造11を形成することが好ましい。レンズ層36は第1の距離48だけ陰極10から分離される。シールド層32は、第2の距離46だけレンズ層36から分離される。シールド層32は、第3の距離24だけ陽極30から分離される。
【0009】
第2の距離46と第3の距離24との和は、第1の距離48の約1〜約2倍の距離の範囲内にあることが好ましい。たとえば、一実施形態では、第1の距離48および第2の距離46は概ね互いに等しく、陽極30を陰極構造11から離隔する第3の距離24より大きい。レンズ開口部38およびシールド開口部34の寸法は、電子放出器20から放出される電子が陽極30上にスポット像を形成するように選択され、それは40ナノメートル未満である。また、スポットサイズは、陰極10に印加される電圧に対して、レンズ層36、シールド層34および陽極30に印加される電圧によっても影響を受ける。また、種々の層に印加される電圧は引力26にも影響を及ぼすであろう。
【0010】
たとえば、図3は、図2Aおよび図2Bの電界放出デバイス上に電子レンズのために確立される典型的な電界42を例示する。陰極10、レンズ層36、シールド層32および陽極30に種々の電圧を印加することにより生成される静電力が、電界42を生成する。電界42を生成することにより、電界放出デバイス20は、集束型電子放出器130になる。電界42は、電子放出器20によって放出される電子ビームの方向を変更し、陽極30上に像スポット44を生成する集束されたビーム40を生成する。第1の誘電体層13および第2の誘電体層15の材料は、電界42への影響を最小限に抑えるように選択されることが好ましい。第1の誘電体層13および第2の誘電体層15は、同じ誘電体材料または異なる誘電体材料とすることができる。
【0011】
電子レンズおよび放出器は、半導体デバイス技術で製作されることが好ましい。本発明のデバイスは、広範な半導体デバイス技術に適用することができ、種々の半導体材料から製作され得る。以下の説明は、現時点で入手可能な半導体デバイスの大部分がシリコン基板に製作され、本発明の最も一般的に直面する応用形態がシリコン基板を含むことになるので、シリコン基板に実施されるような本発明の半導体デバイスのいくつかの現時点で好ましい実施形態を論じる。それにもかかわらず、本発明は、ガリウムヒ素、ゲルマニウムおよび他の半導体材料において有利に用いられることもできる。したがって、本発明は、シリコン半導体材料に製作されるそれらのデバイスに限定されることを意図しているわけではなく、ポリシリコン・オン・ガラス基板を用いる薄膜トランジスタ(TFT)技術のような、当業者が利用可能な半導体材料および技術のうちの1つまたは複数のものにおいて製作されるデバイスを含むであろう。
【0012】
図面が正確な縮尺でないことに留意されたい。さらに、能動素子の種々の部分は、一定の縮尺で描かれていない。本発明をより明確に図示し、本発明の理解をもたらすために、ある特定の寸法が他の寸法に対して誇張されている。
【0013】
さらに、本明細書に示される実施形態は、深さおよび幅を有する種々の領域を用いて2次元で示されるが、これらの領域は、実際には3次元構造であるデバイスの一部分のみを例示することは明確に理解されたい。したがって、実際のデバイス上に製作される場合には、これらの領域は長さ、幅および深さを含む3次元を有するであろう。さらに、本発明は能動素子を対象とする好ましい実施形態によって例示されるが、それは、これらの例示が本発明の範囲または適用可能性を限定することを意図するものではない。本発明の能動素子を、図示された物理的な構造に限定することは意図していない。これらの構造は、現時点で好ましい実施形態に対する本発明の有用性および応用形態を例示するために含められる。
【0014】
図4は、電子源としてフラット放出器21を用いる本発明の第1の実施形態の例示的な図である。フラット放出器21は、他の導電性基板を用いることもできるが、好ましくはシリコン基板である基板54から、数例を挙げるとTiOx、SiCまたはSiNのような絶縁体層56によって分離されたフラット放出器陰極58を有する。いくつかの他の絶縁体層材料も存在し、当業者には知られている。放出器電圧源62がコンタクト52を介して基板54に、およびフラット放出器陰極58に接続される。印加される電圧は一般に5〜20Vであり、この電位が絶縁体層56を横切る電子のトンネル現象を生じさせる。十分な数の突き抜けた電子は、フラット放出器陰極58を脱出して、電子放出50を生成するだけの十分なエネルギーを有する。レンズ層36は、フラット放出器陰極58から第1の距離48、たとえば約5マイクロメートルに配置される。レンズ層36は、レンズ電圧源64に接続される。レンズ層に印加される電圧は、レンズ開口部38内に電界42を生成し、フラット放出器陰極58からの電子放出50を集束するために用いられる。たとえば、レンズ層36の電圧は約0Vに設定されることが好ましい。シールド層32が、レンズ層36と、ディスプレイまたは媒体表面のような陽極30との間に第2の距離、たとえば約5マイクロメートルで配置される。陽極30は、シールド層32上に第3の距離24、たとえば約2マイクロメートルまたはそれ未満で配置される。シールド層32および陽極30は、好ましくは500ボルトより大きい、たとえば約700ボルトのような、図示されたものと同じ陽極電圧源66に接続される。必要に応じて、シールド層32および陽極30は、電気回路を形成する際にたびたび直面する電圧降下または他の損失を相殺するために、小さな電位差を有することができる。また、シールド層32と陽極30との間の電位差をわずかに調整することにより、集束を微調整することができる。シールド層32と陽極層30とを実質的に同じ電位にすることにより、陽極と陰極との間の静電引力の大きさを最小限に抑え、シールド層32に対して陽極30を第3の間隔24まで接近させることが可能になる。
【0015】
図5は本発明の第2の実施形態であり、この場合、電子放出器は、電子放出50を生じさせるための1つまたは複数のスピント先端放出器60からなるグループである。スピント先端放出器68は、当業者に知られている任意のいくつかの工程を用いて、好ましくはシリコンである基板54上に形成される。基板54は、スピント先端放出器68、レンズ層36、シールド層32および陽極30の電圧を設定するための基準点を与えるコンタクト52を有する。スピント先端放出器68は、放出器電圧62、好ましくは約5〜20Vに設定される。スピント先端部の先細り形状のため、電界が高められ、電子がその先端部に引き寄せられ、放出されて、電子放出50が生じる。レンズ層36は開口部38を有し、電子放出50はその開口部を通り抜け、集束されて、陽極30において好ましくは直径40ナノメートル未満のスポットサイズまで、さらに好ましくは10ナノメートル未満まで集束されたビームを形成する。その開口部38は、この例示的な実施形態では約7.2マイクロメートルであることが好ましい。レンズ層36はレンズ電位64、好ましくは約0Vに保持されるが、電界放出デバイスを構成するために選択された実際の寸法に応じて、他の値を用いることもできる。レンズ層36、シールド層32、陽極30およびスピント先端放出器60間の電位差に起因して、レンズ開口部38の領域に電界42が生成される。この電界42は、電子放出50を再配向して、集束する。レンズ層36は、スピント放出器68の先端部から第1の距離48に配置される。陽極層30は、陽極電位66、好ましくは500Vより大きく、より好ましくは約700Vに保持される。この陽極電位66は電子を陽極30の表面上へ引き寄せる。陽極と陰極の構成要素との間で静電引力を防ぐために、レンズ層36と陽極30との間にシールド層32が配置される。シールド層32は、好ましくはレンズ開口部38と同じ形状およびサイズのシールド開口部34を有する。シールド層32は、レンズ層から第2の距離46に、および陽極30の層から第3の距離24に間隔をおいて配置される。第1の距離は、好ましい実施形態の場合に約5マイクロメートルであることが好ましい。第2の距離は、実質的に第1の距離と同じ5マイクロメートルであることが好ましく、第3の距離は、約2マイクロメートルまたはそれ未満であることが好ましい。
【0016】
図6は、概念的なディスプレイ70における本発明の第3の代替実施形態である。そのディスプレイはピクセル72のアレイから構成され、ピクセルはさらに赤、青、緑の順に配列されることが好ましいが、単色とすることもできる。ピクセル72は画面74上に形成される。放出器基板78は、1つまたは複数の電子放出器20を有し、それらは長方形のフラット放出器として示されており、電子放出50を生じさせるために個々に制御される。電子放出50は、好ましくはアルミニウム、金または他の金属または半導体薄膜のような材料の導電性の層から形成されるレンズ層36を用いて集束される。レンズ層36は画面74と放出器基板78との間に配置される。一般に、画面74は、電子放出50を引き寄せるために、たとえば700Vのような500Vより大きな電位に保持される。レンズ層36はレンズ開口部38を有し、レンズ開口部は電子放出50を画面74上にあるピクセル72のスポットサイズ上に集束する。レンズ層36は、放出器表面に対して、−20Vのような電位に保持され、レンズ開口部38の周囲およびその中に電界を生成し、電子レンズを形成する。画面74、放出器基板78、およびレンズ層36の間の電位差は静電引力を生成し、それにより画面74がレンズ層36および放出器基板78に引き寄せられる。この引力を最小限に抑えるために、画面74とレンズ層36との間にシールド層32が配置される。シールド層32は、好ましくはレンズ開口部38と同じ形状およびサイズのシールド開口部34を有し、電子放出50がシールド層32を通って画面74まで通過できるようにする。
【0017】
図7は、集積ディスプレイ装置80の形態をとる本発明の第4の代替実施形態である。集積ディスプレイ装置80は、好ましくはシリコン基板であるが、必要に応じて別のタイプの半導体か、または代案としてガラス基板である陰極10から形成される。係る材料からなるいくつかの実現可能な基板が当業者には知られている。この例示的な設計における陰極10は、陰極10上に形成される薄膜層28のスタックを有する。薄膜層28のスタックは、好ましくはスピント先端放出器68のアレイを組み込むか、または必要に応じてフラット放出器のアレイを組み込む。スピント先端放出器68は、ここでは、ピクセル燐光体84毎に1つのスピント先端部を有するものとして示されるが、ピクセル燐光体84当たり2つ以上のスピント先端部が存在してもよい。各スピント先端部68は、薄膜層28のスタック内に具現化され、画面陽極86と陰極との間に配置されたレンズ層36で集束される電子放出50を生じさせることができる。また、薄膜層28のスタック内にはシールド層32があり、シールド層はレンズ層36と概ね同じ寸法であるが、異なる電位に、好ましくは画面陽極86の電位と同じに保持され、好ましくは薄いガラスまたは他の透明基板から形成される画面82に作用する静電引力を低減する。シールド層32はレンズ層36と画面陽極86との間に配置される。画面82は、薄膜層28のスタックからスペーサ88によって、陽極シールド間隔距離24だけ間隔をおいて配置される。スペーサ88は、当業者に知られているいくつかの任意の材料から選択されて形成される。また、スペーサ88は、気密封止も提供することが好ましいが、必要に応じて、別のシール89または接着剤が、集積ディスプレイ装置80の周辺部の周りに付着され得る。
【0018】
図8は、概念的な大容量記憶装置90において用いられる本発明の第5の実施形態である。概念的な大容量記憶装置90は、好ましくは垂直なスタックに構成された3つの基板を有するものとして例示的に示される。陰極10は、電子放出器20を含む1つの表面上に形成された薄膜層28のスタックと、レンズ層36と、シールド層32とを有する。電子放出器20およびレンズ層は、陰極10とステータ基板94との間に配置されたロータ基板92上にある媒体表面96上に、小さな、好ましくは約10ナノメートルのような40ナノメートル未満のスポットサイズを生成する集束されたビーム40を生成する。ロータ基板92上にある媒体表面96は、集束されたビーム40のエネルギーによって影響を受ける相変化材料から作成されることが好ましい。相変化材料は、高いパワーレベルの集束されたビーム40を用いて、集束されたビーム40のパワーレベルを急速に減少させることにより、結晶状態から非晶質状態93に変化することができる。相変化材料は、高いパワーレベルの集束されたビーム40を用いて、そのパワーレベルをゆっくりと減少させ、媒体表面がアニールされて結晶状態になるための時間をかけるようにすることにより、非晶質状態93から結晶状態に変化することができる。例示的な材料は、テルル化ゲルマニウム(GeTe)およびGeTeを基にした三元合金である。別の例示的な材料はセレン化インジウム(InSe)である。いくつかの他の相変化材料が当業者に知られており、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、代用され得る。ロータ基板92およびステータ基板94は、ロータ基板92が第1の方向と、好ましくは第2の方向とに移動できるようにし、単一の電子放出器20が媒体表面上の多数の場所において読出しおよび書込みを行うことができるようにするための電子回路を含む。ロータ基板92が陰極10に引き寄せられないようにするために、薄膜層のスタックは、レンズ層36とロータ基板92との間に配置されたシールド層32を含む。
【0019】
媒体表面から読出しを行うために、低エネルギーの集束されたビーム40が媒体上の媒体表面に当たり、それにより電子が媒体基板90に流れ、リーダ回路98がそれらを検出する。検出される電流の量は、集束されたビーム40が当たった媒体表面の状態、すなわち非晶質または結晶の状態によって決まる。例示的なリーダ回路98の動作が、媒体表面96に接続される第1のコンタクト91と、媒体基板92に接続される第2のコンタクトとを有するものとして示される。基板内に流れる電流は、増幅器95によって電圧に変換され、リーダ出力99が生成される。他のリーダ回路も当業者によって知られており、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、代用され得る。
【0020】
図9は、例示的な集積大容量記憶装置100によって示される本発明の第6の実施形態である。集積大容量記憶装置100は3つの基板、すなわち陰極10と、ロータ基板92と、ステータ基板94とを含む。ロータ基板92は、好ましくはステップモータタイプの動作で、静電回路104を用いて好ましくは第1および第2の方向に移動することができる基板の一部分の上に少なくとも1つの媒体表面を有する。移動可能な媒体表面96は、好ましくはロータ基板をエッチングすることにより形成されたばね102によって支持される。移動可能な媒体表面96を製作するためのいくつかの異なる微小電気機械システム(MEMS)構造が当業者には知られている。
【0021】
ステータ基板94とロータ基板92との間の電気的な接触は、コンタクト106によって実施される。好ましくは、接着シール108によってロータ基板92がステータ基板94に取り付けられることが好ましく、そのシールは内部を密封し、集積大容量記憶装置100内の真空環境を保持することが好ましい。また、ロータ基板92は、同じく気密シールであることが好ましいスペーサ88を用いて陰極10にも取り付けられる。必要に応じて、陰極10をロータ基板92に対して接着および/または封止するために、スペーサ88の代わりに、またはスペーサ88と共に別のシール89を用いることができる。
【0022】
陰極10は、従来の半導体工程を用いて付着されることが好ましい薄膜層28のスタックを含む。薄膜層28のスタックは、ここではフラット放出器として示される1組の電子放出器20を含むが、スピント先端放出器を用いることもでき、それらは電界42を生成するレンズ層36を用いて集束され、その電界によって、媒体表面96上で好ましくは40ナノメートル未満、さらに好ましくは10ナノメートル未満のスポットサイズまで集束されたビーム40が生成される。レンズ層は約7.2マイクロメートルのレンズ開口部を有することが好ましい。陰極10とロータ基板92との間の空間は、好ましくは10−3トル未満まで真空にされ、電子放出器20から放出される電子が、電子放出器20に損傷を与える可能性がある気体または他の粒子と衝突するのを防ぐことが好ましい。電子放出器20は第1の電位に保持され、好ましくはトンネル効果の技術によって電子が生成される。第1の電位は約25V未満であることが好ましい。レンズ層36はグランドに対して約0Vであることが好ましい第2の電位に保持され、電子を集束するために用いられる電界42を生成する。媒体表面96は、好ましくは500Vより大きい、たとえば約700Vである第3の電位に保持され、電子放出器20から放出される電子を引き寄せることが好ましい。媒体表面96とレンズ36との間の電位差は、ロータ基板92の移動可能な媒体表面を陰極10の方へ引っ張る傾向のある静電引力を生成する。静電モータ104はこの力に打ち勝つ必要があり、したがって、おそらく大きな構成要素が必要である。構成要素が大きくなると、消費電力が増加し、さらに製造コストも上昇する。このように電力を増加させる必要性を回避するために、レンズ層36と媒体表面96の陽極との間の薄膜層のスタック内にシールド層32を追加することにより、この静電引力が最小限に抑えられる。シールド層32は媒体表面とほぼ同じ電圧に保持されることが好ましい。シールド層は、レンズ層と同じ幾何学的形状およびサイズの開口部を有することが好ましく、集束される電子ビーム40へのシールド層の作用を最小限に、好ましくは電子放出器20当たり0.03N/cm2未満の力に抑えることが好ましい。レンズ層は電子放出器から、第1の距離、好ましくは約5マイクロメートルだけ離隔され、シールド層はレンズ層から、第2の距離、好ましくは第1の距離に等しい距離だけ離隔されることが好ましい。陰極10と、陽極上の媒体表面96との間の静電力を本質的に除去することにより、媒体表面96と陰極10の表面との間の間隔は、2マイクロメートル未満のような最小限の距離に保持され、スペーサ88が従来の薄膜スパッタリング技術を用いて堆積されることが可能になる。
【0023】
図10は、数例を挙げると、コンピュータ、テレビゲーム、インターネット機器、端末、MP3プレーヤまたは携帯情報端末のような電子装置110の例示的なブロック図である。電子装置110は、インテルのペンティアム(R)プロセッサまたは互換性のあるプロセッサのようなマイクロプロセッサ112を含むことができるが、他のプロセッサも存在し、当業者には知られている。マイクロプロセッサ112は、データおよび/または入力/出力機能を制御するためにマイクロプロセッサ112によって用いられる、コンピュータの実行可能なコマンドを保持することができるコンピュータ読取り可能メモリを含むメモリ装置114に接続される。また、メモリ114は、マイクロプロセッサ112によって処理されるデータも格納することができる。また、マイクロプロセッサ112は、記憶装置116またはディスプレイ装置118、またはその両方にも接続される。記憶装置116およびディスプレイ装置118は、本発明のレンズ構造で集束され、シールドされる電界放出デバイスを示す、前述された図面および説明において例示されるような本発明の一実施形態を含む。
【0024】
本発明から実質的に逸脱することなく、開示された実施形態に対して多くの変形および修正を実施できることが当業者には明らかであることに留意されたい。全ての係る変形および修正は、本明細書において添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】電子放出器用の集束電子レンズの平面図である。
【図1B】I−Iに沿って見た図1Aに示される集束電子レンズの断面図である。
【図2A】本発明の実施形態を含む集束電子レンズの平面図である。
【図2B】II−IIに沿って見た図2Aに示される集束電子レンズの断面図である。
【図3】動作中の図2Aに示された集束電子レンズと、典型的な等電位表面とを示す図である。
【図4】フラット放出器陰極を用いる本発明の第1の実施形態の図である。
【図5】複数のスピント先端電子放出器を用いる本発明の第2の実施形態の図である。
【図6】ディスプレイ装置において用いられる本発明の第3の実施形態の図である。
【図7】ディスプレイ装置において用いられる本発明の第4の実施形態の図である。
【図8】大容量記憶装置において用いられる本発明の第5の実施形態の図である。
【図9】大容量記憶装置において用いられる本発明の第6の実施形態の図である。
【図10】本発明の実施形態を含むデバイスを備える電子装置のブロック図である。
【0001】
本発明は、電子放出器(emitter:エミッタ)のためのレンズ設計に関し、特に、多くの場合に多数の電子装置に組み込まれる大容量記憶装置およびディスプレイ装置において使用される電子放出器に関する。
【0002】
発明の背景
コンピューティング技術では、容量は大きくなっているが、価格は下がり続けている。コンピューティング技術がこれらの前向きな流れを続けることができるためには、大容量記憶装置およびディスプレイ装置のような周辺装置が、進歩し続けなければならない。最新のパーソナルコンピュータにおいて見られるマイクロプロセッサの進歩の速さに遅れないようにするために、数例を挙げると、ディスクドライブ、CD−ROMおよびDVDドライブのような大容量記憶装置が不足していることについての多くの批判の声が業界紙にあがっている。たとえば、ハードディスクドライブは、この10年間に著しく記憶密度を高めることができたが、現在、さらに進歩するのを妨げる物理的な限界に直面している。いくつかのハードディスクドライブはポータブル装置とともに動作するように小型化されてきたが、高い電力要件によって依然として、より長期の電池動作が制限されている。エネルギー効率がより高く、高い記憶密度の記憶装置が必要とされている。
【0003】
LCDモニタのようなディスプレイ装置は、ほとんど欠陥がない状態でそれらを製造するという複雑性に起因して、要求を満たすのが困難になってきている。さらに、反射型LCD技術を利用する場合に、種々の周囲光条件において視認できるようにするために、バックライトを追加することが必要になっている。これらのバックライトはさらなる電力を必要とし、それにより長期の電池動作をさらに制限する。
【0004】
長年、受像(TV)管およびコンピュータモニタのような消費者製品において、電子ビーム技術が提供されている。これらの装置は、画面に誘導され、集束される電子の電子源を生成するために、熱陰極の電極として知られるものを利用する。多数の新たな技術分野において研究が行われてきたが、スピント先端放出器およびフラット放出器のような冷陰極電子放出器の分野が、多数の製造業者の注目を集めている。この冷陰極技術を製品に転用する際にいくつかの問題がある。1つのそのような問題は、大容量記憶装置およびディスプレイ装置の場合のように高密度の放出デバイスを必要とする複数の応用形態において用いることができる電子集束構造を生み出すことである。一般的に、これらの応用形態は、電子発生源(一般的に陰極と呼ばれる)と媒体または表示面(一般的に陽極と呼ばれる)との間に高い電位差を必要とする。しかしながら、コンパクトな装置を作成する場合、陽極と陰極とはごくわずかな距離しか離隔されないであろう。この短い距離によって、陰極源から陽極上に電子をむらなく厳格に集束するのを達成することが難しくなる。むらなく厳格に集束することが達成可能である場合、ビット距離が小さくなるという理由から、より高い記憶密度が可能になる。陽極および陰極は高い電位差に保持されるので、高い電位によって生成される静電力が、それらの間に引力を生成する。この引力は、特に大容量記憶装置の媒体表面のような、この力に打ち勝たなければならない可動構成要素を用いる場合に、さらなる問題を生み出す。実際には、媒体表面を制御するモータはさらなる電力を消費する必要があるので、ポータブル製品の電池寿命に影響を及ぼす。ディスプレイ装置では、この望ましくない力は、望ましくない撓みまたはねじり応力を生み出す可能性がある。この望ましくない引力が低減または除去されなければ、冷陰極電子放出技術を利用することが先延ばしされる可能性もある。したがって、陽極と陰極構造との間の引力を最小限に抑えると同時に、製造工程のばらつきに対する許容誤差も維持する新たなレンズ構造が必要とされている。
【0005】
発明の概要
陰極から陽極までの電子を集束するために電子レンズが用いられる。そのレンズは、陰極から第1の距離に第1の開口部を有する第1の導電層を含む。第1の導電層は第1の電圧に保持される。また、レンズは、第1の導電層から第2の距離にあり、かつ陽極から第3の距離にある第2の開口部を有する第2の導電層を含む。第2の導電層は、陽極の電圧に実質的に等しい第2の電圧に保持される。第1および第2の開口部は、第1の電圧、第2の電圧、第1の距離、第2の距離および第3の距離に基づいて選択される。陰極と陽極との間に生成される力は、そのレンズの構造によって最小限に抑えられる。
【0006】
以下の図面を参照することにより、本発明はいっそうよく理解される。図面の構成要素は互いに対して必ずしも一定の縮尺ではない。もっと正確に言えば、それよりむしろ、本発明を明確に示すことに重点が置かれている。さらに、いくつかの図面を通して、類似の参照番号は、必ずしも全く同じではないが、対応する類似の部品を示す。
【0007】
好適な実施形態の詳細な説明
陰極と陽極との間の引力を最小限に抑えるための1つの技術は、図1Aおよび図1Bに示される電界放出デバイスに例示されるような共面レンズおよびシールドを用いることである。図1Aは電界放出デバイスの平面図である。図1Bは、典型的な陽極30とともに、I−Iに沿って見た図1Aの電界放出デバイスの断面図である。陰極10は、電子ビームを生成するために、その上またはその中に配置された電子放出器20を有する。陰極上には誘電体層12が配置され、電気的な絶縁、および好ましくは熱的な絶縁を与えることが好ましい。誘電体層12上には、共面レンズ16と、好ましくは共面シールド14が配置される。シールド‐レンズ間隔22が共面レンズ16と共面シールド14とを分離する。共面レンズ16内には共面レンズ開口部18があり、共面レンズ開口部18は、静電界を生成するために用いられ、その静電界は、好ましくは電子放出器20から、共面レンズ16および共面シールド14からシールド‐レンズ間隔24だけ離隔された陽極30上に電子ビームを集束することにより、電子ビームに影響を及ぼす。共面シールド14は、陽極30の電位またはそれに近い電位に保持され、陽極30と陰極10の構造との間の引力を最小限に抑えるために用いられることが好ましい。この構造は陽極30と陰極10の構造との間の引力を低減するが、共面レンズ16と陽極30との間の電位差に起因する引力26はそのままである。この引力26は、陽極30と陰極10との間の間隔を制限する。陽極30が大容量記憶装置の場合のような媒体表面である場合、媒体表面を移動させるために用いられるモータは、その引力26に打ち勝つためにさらに大きな力を出さなければならないので、より多くの電力が消費され、および/またはより大きなモータが利用される。陽極30がディスプレイ表面である場合には、その引力によって、より厚みのあるディスプレイ基板またはさらに大きなスペーサ材料が必要とされ、製造コストおよび重量の双方が増加する。陽極30および電子レンズを長い距離だけ離隔しておくことにより、引力は最小限に抑えられる。しかしながら、この長い距離によって、陽極30上に集束されるスポットのサイズは、製造工程によって影響を受けるレンズおよびシールドの幾何学的形状におけるわずかなばらつきにも大きく影響されやすくなる。製造工程によって引き起こされる、予想される部品間のばらつきは、スポットサイズを、いくつかの応用形態に必要とされるサイズよりも大きなサイズに制限する。
【0008】
図2Aおよび図2Bは、電子レンズの構造および設計を示しており、その電子レンズによれば引力は小さく、好ましくは0.03N/cm2未満になり、製造工程のばらつきに対する許容誤差が大きくなる。図2Aは、本発明のレンズ構造を組み込む電界放出デバイスの平面図である。図2Bは、II−IIに沿って見た、陽極30の構造を含む図2Aに示される電界放出デバイスの断面図である。陰極10は、その上に、またはその中に配置された電子放出器20を有する。電子放出器は、シールド層32と陰極10との間に配置されたレンズ層36を用いて陽極30上に集束される電子のビームを生成する。シールド層32はレンズ層36と陽極30との間に配置される。レンズ層36はレンズ開口部38を有し、レンズ開口部38を用いて、陽極30上に電子ビームを集束する。シールド層32は、好ましくは電子ビームがシールド層32を通過して陽極30上に進めるようにするレンズ開口部38と同じ直径のシールド開口部34を有する。レンズ層36は第1の誘電体層13上に配置されることが好ましい。シールド層32は、第2の誘電体層15上に配置されることが好ましい。レンズ層36、第1の誘電体層13、第2の誘電体層15およびシールド層32は、半導体またはディスプレイ薄膜技術を用いて陰極10上に集積化され、それにより陰極構造11を形成することが好ましい。レンズ層36は第1の距離48だけ陰極10から分離される。シールド層32は、第2の距離46だけレンズ層36から分離される。シールド層32は、第3の距離24だけ陽極30から分離される。
【0009】
第2の距離46と第3の距離24との和は、第1の距離48の約1〜約2倍の距離の範囲内にあることが好ましい。たとえば、一実施形態では、第1の距離48および第2の距離46は概ね互いに等しく、陽極30を陰極構造11から離隔する第3の距離24より大きい。レンズ開口部38およびシールド開口部34の寸法は、電子放出器20から放出される電子が陽極30上にスポット像を形成するように選択され、それは40ナノメートル未満である。また、スポットサイズは、陰極10に印加される電圧に対して、レンズ層36、シールド層34および陽極30に印加される電圧によっても影響を受ける。また、種々の層に印加される電圧は引力26にも影響を及ぼすであろう。
【0010】
たとえば、図3は、図2Aおよび図2Bの電界放出デバイス上に電子レンズのために確立される典型的な電界42を例示する。陰極10、レンズ層36、シールド層32および陽極30に種々の電圧を印加することにより生成される静電力が、電界42を生成する。電界42を生成することにより、電界放出デバイス20は、集束型電子放出器130になる。電界42は、電子放出器20によって放出される電子ビームの方向を変更し、陽極30上に像スポット44を生成する集束されたビーム40を生成する。第1の誘電体層13および第2の誘電体層15の材料は、電界42への影響を最小限に抑えるように選択されることが好ましい。第1の誘電体層13および第2の誘電体層15は、同じ誘電体材料または異なる誘電体材料とすることができる。
【0011】
電子レンズおよび放出器は、半導体デバイス技術で製作されることが好ましい。本発明のデバイスは、広範な半導体デバイス技術に適用することができ、種々の半導体材料から製作され得る。以下の説明は、現時点で入手可能な半導体デバイスの大部分がシリコン基板に製作され、本発明の最も一般的に直面する応用形態がシリコン基板を含むことになるので、シリコン基板に実施されるような本発明の半導体デバイスのいくつかの現時点で好ましい実施形態を論じる。それにもかかわらず、本発明は、ガリウムヒ素、ゲルマニウムおよび他の半導体材料において有利に用いられることもできる。したがって、本発明は、シリコン半導体材料に製作されるそれらのデバイスに限定されることを意図しているわけではなく、ポリシリコン・オン・ガラス基板を用いる薄膜トランジスタ(TFT)技術のような、当業者が利用可能な半導体材料および技術のうちの1つまたは複数のものにおいて製作されるデバイスを含むであろう。
【0012】
図面が正確な縮尺でないことに留意されたい。さらに、能動素子の種々の部分は、一定の縮尺で描かれていない。本発明をより明確に図示し、本発明の理解をもたらすために、ある特定の寸法が他の寸法に対して誇張されている。
【0013】
さらに、本明細書に示される実施形態は、深さおよび幅を有する種々の領域を用いて2次元で示されるが、これらの領域は、実際には3次元構造であるデバイスの一部分のみを例示することは明確に理解されたい。したがって、実際のデバイス上に製作される場合には、これらの領域は長さ、幅および深さを含む3次元を有するであろう。さらに、本発明は能動素子を対象とする好ましい実施形態によって例示されるが、それは、これらの例示が本発明の範囲または適用可能性を限定することを意図するものではない。本発明の能動素子を、図示された物理的な構造に限定することは意図していない。これらの構造は、現時点で好ましい実施形態に対する本発明の有用性および応用形態を例示するために含められる。
【0014】
図4は、電子源としてフラット放出器21を用いる本発明の第1の実施形態の例示的な図である。フラット放出器21は、他の導電性基板を用いることもできるが、好ましくはシリコン基板である基板54から、数例を挙げるとTiOx、SiCまたはSiNのような絶縁体層56によって分離されたフラット放出器陰極58を有する。いくつかの他の絶縁体層材料も存在し、当業者には知られている。放出器電圧源62がコンタクト52を介して基板54に、およびフラット放出器陰極58に接続される。印加される電圧は一般に5〜20Vであり、この電位が絶縁体層56を横切る電子のトンネル現象を生じさせる。十分な数の突き抜けた電子は、フラット放出器陰極58を脱出して、電子放出50を生成するだけの十分なエネルギーを有する。レンズ層36は、フラット放出器陰極58から第1の距離48、たとえば約5マイクロメートルに配置される。レンズ層36は、レンズ電圧源64に接続される。レンズ層に印加される電圧は、レンズ開口部38内に電界42を生成し、フラット放出器陰極58からの電子放出50を集束するために用いられる。たとえば、レンズ層36の電圧は約0Vに設定されることが好ましい。シールド層32が、レンズ層36と、ディスプレイまたは媒体表面のような陽極30との間に第2の距離、たとえば約5マイクロメートルで配置される。陽極30は、シールド層32上に第3の距離24、たとえば約2マイクロメートルまたはそれ未満で配置される。シールド層32および陽極30は、好ましくは500ボルトより大きい、たとえば約700ボルトのような、図示されたものと同じ陽極電圧源66に接続される。必要に応じて、シールド層32および陽極30は、電気回路を形成する際にたびたび直面する電圧降下または他の損失を相殺するために、小さな電位差を有することができる。また、シールド層32と陽極30との間の電位差をわずかに調整することにより、集束を微調整することができる。シールド層32と陽極層30とを実質的に同じ電位にすることにより、陽極と陰極との間の静電引力の大きさを最小限に抑え、シールド層32に対して陽極30を第3の間隔24まで接近させることが可能になる。
【0015】
図5は本発明の第2の実施形態であり、この場合、電子放出器は、電子放出50を生じさせるための1つまたは複数のスピント先端放出器60からなるグループである。スピント先端放出器68は、当業者に知られている任意のいくつかの工程を用いて、好ましくはシリコンである基板54上に形成される。基板54は、スピント先端放出器68、レンズ層36、シールド層32および陽極30の電圧を設定するための基準点を与えるコンタクト52を有する。スピント先端放出器68は、放出器電圧62、好ましくは約5〜20Vに設定される。スピント先端部の先細り形状のため、電界が高められ、電子がその先端部に引き寄せられ、放出されて、電子放出50が生じる。レンズ層36は開口部38を有し、電子放出50はその開口部を通り抜け、集束されて、陽極30において好ましくは直径40ナノメートル未満のスポットサイズまで、さらに好ましくは10ナノメートル未満まで集束されたビームを形成する。その開口部38は、この例示的な実施形態では約7.2マイクロメートルであることが好ましい。レンズ層36はレンズ電位64、好ましくは約0Vに保持されるが、電界放出デバイスを構成するために選択された実際の寸法に応じて、他の値を用いることもできる。レンズ層36、シールド層32、陽極30およびスピント先端放出器60間の電位差に起因して、レンズ開口部38の領域に電界42が生成される。この電界42は、電子放出50を再配向して、集束する。レンズ層36は、スピント放出器68の先端部から第1の距離48に配置される。陽極層30は、陽極電位66、好ましくは500Vより大きく、より好ましくは約700Vに保持される。この陽極電位66は電子を陽極30の表面上へ引き寄せる。陽極と陰極の構成要素との間で静電引力を防ぐために、レンズ層36と陽極30との間にシールド層32が配置される。シールド層32は、好ましくはレンズ開口部38と同じ形状およびサイズのシールド開口部34を有する。シールド層32は、レンズ層から第2の距離46に、および陽極30の層から第3の距離24に間隔をおいて配置される。第1の距離は、好ましい実施形態の場合に約5マイクロメートルであることが好ましい。第2の距離は、実質的に第1の距離と同じ5マイクロメートルであることが好ましく、第3の距離は、約2マイクロメートルまたはそれ未満であることが好ましい。
【0016】
図6は、概念的なディスプレイ70における本発明の第3の代替実施形態である。そのディスプレイはピクセル72のアレイから構成され、ピクセルはさらに赤、青、緑の順に配列されることが好ましいが、単色とすることもできる。ピクセル72は画面74上に形成される。放出器基板78は、1つまたは複数の電子放出器20を有し、それらは長方形のフラット放出器として示されており、電子放出50を生じさせるために個々に制御される。電子放出50は、好ましくはアルミニウム、金または他の金属または半導体薄膜のような材料の導電性の層から形成されるレンズ層36を用いて集束される。レンズ層36は画面74と放出器基板78との間に配置される。一般に、画面74は、電子放出50を引き寄せるために、たとえば700Vのような500Vより大きな電位に保持される。レンズ層36はレンズ開口部38を有し、レンズ開口部は電子放出50を画面74上にあるピクセル72のスポットサイズ上に集束する。レンズ層36は、放出器表面に対して、−20Vのような電位に保持され、レンズ開口部38の周囲およびその中に電界を生成し、電子レンズを形成する。画面74、放出器基板78、およびレンズ層36の間の電位差は静電引力を生成し、それにより画面74がレンズ層36および放出器基板78に引き寄せられる。この引力を最小限に抑えるために、画面74とレンズ層36との間にシールド層32が配置される。シールド層32は、好ましくはレンズ開口部38と同じ形状およびサイズのシールド開口部34を有し、電子放出50がシールド層32を通って画面74まで通過できるようにする。
【0017】
図7は、集積ディスプレイ装置80の形態をとる本発明の第4の代替実施形態である。集積ディスプレイ装置80は、好ましくはシリコン基板であるが、必要に応じて別のタイプの半導体か、または代案としてガラス基板である陰極10から形成される。係る材料からなるいくつかの実現可能な基板が当業者には知られている。この例示的な設計における陰極10は、陰極10上に形成される薄膜層28のスタックを有する。薄膜層28のスタックは、好ましくはスピント先端放出器68のアレイを組み込むか、または必要に応じてフラット放出器のアレイを組み込む。スピント先端放出器68は、ここでは、ピクセル燐光体84毎に1つのスピント先端部を有するものとして示されるが、ピクセル燐光体84当たり2つ以上のスピント先端部が存在してもよい。各スピント先端部68は、薄膜層28のスタック内に具現化され、画面陽極86と陰極との間に配置されたレンズ層36で集束される電子放出50を生じさせることができる。また、薄膜層28のスタック内にはシールド層32があり、シールド層はレンズ層36と概ね同じ寸法であるが、異なる電位に、好ましくは画面陽極86の電位と同じに保持され、好ましくは薄いガラスまたは他の透明基板から形成される画面82に作用する静電引力を低減する。シールド層32はレンズ層36と画面陽極86との間に配置される。画面82は、薄膜層28のスタックからスペーサ88によって、陽極シールド間隔距離24だけ間隔をおいて配置される。スペーサ88は、当業者に知られているいくつかの任意の材料から選択されて形成される。また、スペーサ88は、気密封止も提供することが好ましいが、必要に応じて、別のシール89または接着剤が、集積ディスプレイ装置80の周辺部の周りに付着され得る。
【0018】
図8は、概念的な大容量記憶装置90において用いられる本発明の第5の実施形態である。概念的な大容量記憶装置90は、好ましくは垂直なスタックに構成された3つの基板を有するものとして例示的に示される。陰極10は、電子放出器20を含む1つの表面上に形成された薄膜層28のスタックと、レンズ層36と、シールド層32とを有する。電子放出器20およびレンズ層は、陰極10とステータ基板94との間に配置されたロータ基板92上にある媒体表面96上に、小さな、好ましくは約10ナノメートルのような40ナノメートル未満のスポットサイズを生成する集束されたビーム40を生成する。ロータ基板92上にある媒体表面96は、集束されたビーム40のエネルギーによって影響を受ける相変化材料から作成されることが好ましい。相変化材料は、高いパワーレベルの集束されたビーム40を用いて、集束されたビーム40のパワーレベルを急速に減少させることにより、結晶状態から非晶質状態93に変化することができる。相変化材料は、高いパワーレベルの集束されたビーム40を用いて、そのパワーレベルをゆっくりと減少させ、媒体表面がアニールされて結晶状態になるための時間をかけるようにすることにより、非晶質状態93から結晶状態に変化することができる。例示的な材料は、テルル化ゲルマニウム(GeTe)およびGeTeを基にした三元合金である。別の例示的な材料はセレン化インジウム(InSe)である。いくつかの他の相変化材料が当業者に知られており、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、代用され得る。ロータ基板92およびステータ基板94は、ロータ基板92が第1の方向と、好ましくは第2の方向とに移動できるようにし、単一の電子放出器20が媒体表面上の多数の場所において読出しおよび書込みを行うことができるようにするための電子回路を含む。ロータ基板92が陰極10に引き寄せられないようにするために、薄膜層のスタックは、レンズ層36とロータ基板92との間に配置されたシールド層32を含む。
【0019】
媒体表面から読出しを行うために、低エネルギーの集束されたビーム40が媒体上の媒体表面に当たり、それにより電子が媒体基板90に流れ、リーダ回路98がそれらを検出する。検出される電流の量は、集束されたビーム40が当たった媒体表面の状態、すなわち非晶質または結晶の状態によって決まる。例示的なリーダ回路98の動作が、媒体表面96に接続される第1のコンタクト91と、媒体基板92に接続される第2のコンタクトとを有するものとして示される。基板内に流れる電流は、増幅器95によって電圧に変換され、リーダ出力99が生成される。他のリーダ回路も当業者によって知られており、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、代用され得る。
【0020】
図9は、例示的な集積大容量記憶装置100によって示される本発明の第6の実施形態である。集積大容量記憶装置100は3つの基板、すなわち陰極10と、ロータ基板92と、ステータ基板94とを含む。ロータ基板92は、好ましくはステップモータタイプの動作で、静電回路104を用いて好ましくは第1および第2の方向に移動することができる基板の一部分の上に少なくとも1つの媒体表面を有する。移動可能な媒体表面96は、好ましくはロータ基板をエッチングすることにより形成されたばね102によって支持される。移動可能な媒体表面96を製作するためのいくつかの異なる微小電気機械システム(MEMS)構造が当業者には知られている。
【0021】
ステータ基板94とロータ基板92との間の電気的な接触は、コンタクト106によって実施される。好ましくは、接着シール108によってロータ基板92がステータ基板94に取り付けられることが好ましく、そのシールは内部を密封し、集積大容量記憶装置100内の真空環境を保持することが好ましい。また、ロータ基板92は、同じく気密シールであることが好ましいスペーサ88を用いて陰極10にも取り付けられる。必要に応じて、陰極10をロータ基板92に対して接着および/または封止するために、スペーサ88の代わりに、またはスペーサ88と共に別のシール89を用いることができる。
【0022】
陰極10は、従来の半導体工程を用いて付着されることが好ましい薄膜層28のスタックを含む。薄膜層28のスタックは、ここではフラット放出器として示される1組の電子放出器20を含むが、スピント先端放出器を用いることもでき、それらは電界42を生成するレンズ層36を用いて集束され、その電界によって、媒体表面96上で好ましくは40ナノメートル未満、さらに好ましくは10ナノメートル未満のスポットサイズまで集束されたビーム40が生成される。レンズ層は約7.2マイクロメートルのレンズ開口部を有することが好ましい。陰極10とロータ基板92との間の空間は、好ましくは10−3トル未満まで真空にされ、電子放出器20から放出される電子が、電子放出器20に損傷を与える可能性がある気体または他の粒子と衝突するのを防ぐことが好ましい。電子放出器20は第1の電位に保持され、好ましくはトンネル効果の技術によって電子が生成される。第1の電位は約25V未満であることが好ましい。レンズ層36はグランドに対して約0Vであることが好ましい第2の電位に保持され、電子を集束するために用いられる電界42を生成する。媒体表面96は、好ましくは500Vより大きい、たとえば約700Vである第3の電位に保持され、電子放出器20から放出される電子を引き寄せることが好ましい。媒体表面96とレンズ36との間の電位差は、ロータ基板92の移動可能な媒体表面を陰極10の方へ引っ張る傾向のある静電引力を生成する。静電モータ104はこの力に打ち勝つ必要があり、したがって、おそらく大きな構成要素が必要である。構成要素が大きくなると、消費電力が増加し、さらに製造コストも上昇する。このように電力を増加させる必要性を回避するために、レンズ層36と媒体表面96の陽極との間の薄膜層のスタック内にシールド層32を追加することにより、この静電引力が最小限に抑えられる。シールド層32は媒体表面とほぼ同じ電圧に保持されることが好ましい。シールド層は、レンズ層と同じ幾何学的形状およびサイズの開口部を有することが好ましく、集束される電子ビーム40へのシールド層の作用を最小限に、好ましくは電子放出器20当たり0.03N/cm2未満の力に抑えることが好ましい。レンズ層は電子放出器から、第1の距離、好ましくは約5マイクロメートルだけ離隔され、シールド層はレンズ層から、第2の距離、好ましくは第1の距離に等しい距離だけ離隔されることが好ましい。陰極10と、陽極上の媒体表面96との間の静電力を本質的に除去することにより、媒体表面96と陰極10の表面との間の間隔は、2マイクロメートル未満のような最小限の距離に保持され、スペーサ88が従来の薄膜スパッタリング技術を用いて堆積されることが可能になる。
【0023】
図10は、数例を挙げると、コンピュータ、テレビゲーム、インターネット機器、端末、MP3プレーヤまたは携帯情報端末のような電子装置110の例示的なブロック図である。電子装置110は、インテルのペンティアム(R)プロセッサまたは互換性のあるプロセッサのようなマイクロプロセッサ112を含むことができるが、他のプロセッサも存在し、当業者には知られている。マイクロプロセッサ112は、データおよび/または入力/出力機能を制御するためにマイクロプロセッサ112によって用いられる、コンピュータの実行可能なコマンドを保持することができるコンピュータ読取り可能メモリを含むメモリ装置114に接続される。また、メモリ114は、マイクロプロセッサ112によって処理されるデータも格納することができる。また、マイクロプロセッサ112は、記憶装置116またはディスプレイ装置118、またはその両方にも接続される。記憶装置116およびディスプレイ装置118は、本発明のレンズ構造で集束され、シールドされる電界放出デバイスを示す、前述された図面および説明において例示されるような本発明の一実施形態を含む。
【0024】
本発明から実質的に逸脱することなく、開示された実施形態に対して多くの変形および修正を実施できることが当業者には明らかであることに留意されたい。全ての係る変形および修正は、本明細書において添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】電子放出器用の集束電子レンズの平面図である。
【図1B】I−Iに沿って見た図1Aに示される集束電子レンズの断面図である。
【図2A】本発明の実施形態を含む集束電子レンズの平面図である。
【図2B】II−IIに沿って見た図2Aに示される集束電子レンズの断面図である。
【図3】動作中の図2Aに示された集束電子レンズと、典型的な等電位表面とを示す図である。
【図4】フラット放出器陰極を用いる本発明の第1の実施形態の図である。
【図5】複数のスピント先端電子放出器を用いる本発明の第2の実施形態の図である。
【図6】ディスプレイ装置において用いられる本発明の第3の実施形態の図である。
【図7】ディスプレイ装置において用いられる本発明の第4の実施形態の図である。
【図8】大容量記憶装置において用いられる本発明の第5の実施形態の図である。
【図9】大容量記憶装置において用いられる本発明の第6の実施形態の図である。
【図10】本発明の実施形態を含むデバイスを備える電子装置のブロック図である。
Claims (10)
- 陽極(30)上に集束される電子ビームを生成するための電界放出デバイスであって、
少なくとも1つの電子放出器(20)を有する陰極層(10)と、
集束レンズ(38)とを含み、その集束レンズが、
前記陰極層(10)上に配置されたレンズ層(36)と、および
前記レンズ層(36)と前記陽極(30)との間に配置されたシールド層(32)とを含み、前記レンズ層(36)と前記陽極(30)との間の静電引力が低減される、電界放出デバイス。 - 前記レンズ層(36)と前記シールド層(32)との間の距離と、前記シールド層(32)と前記陽極(30)との間の距離との和が、前記レンズ層(36)と前記陰極層(10)との間の距離の約1ないし約2倍である、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記陰極層から前記レンズ層までの距離、および前記レンズ層から前記シールド層までの距離が概ね等しい、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記陰極層(10)から前記レンズ層(36)までの距離が、約5マイクロメートルである、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記レンズ層(36)および前記シールド層(32)が、前記集束される電子ビームを生成するための開口部(34、38)を含み、その開口部(34、38)が概ね同じ直径を有する、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記レンズ層(36)の前記開口部(38)の直径が、約7.2マイクロメートルである、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記陰極層(10)と前記陽極(30)との間に生成される前記静電引力が、0.03N/cm2未満である、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記集束される電子ビーム(40)が、前記陽極(30)上に40ナノメートル未満の集束されたスポットサイズ(44)を生成する、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記レンズ層(36)および前記シールド層(32)が、500Vより大きい電位差を有する、請求項1に記載の電界放出デバイス。
- 前記シールド層(32)と前記陽極(30)との間の距離が、約2マイクロメートルまたはそれ未満である、請求項1に記載の電界放出デバイス。
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