JP2004535549A - Ltrpc7モジュレーターのスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ここでは“LTRPC7”(長い過渡受容体電位チャンネル(Long Transient Receptor Potential Channel))と命名される新規ファミリーのATP調節カルシウム膜貫通チャンネルポリペプチドの同定及び単離に関する。このポリペプチドを含むチャンネルは、ミリモル範囲の細胞質ATPの濃度に応じて閉じ、高い細胞内レベルのカルシウム及び/又はマグネシウムによる阻害を受け、かつ細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少には応答しない。本発明は、さらに、結合にLTRPC7を利用する方法、及びLTRPC7活性を調節し、またLTRPC7透過性を測定する方法に関する。本発明は、さらに、LTRPC7の発現を調節する方法に関する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、本明細書では“LTRPC7”(長い過渡受容体電位チャンネル(Long Transient Receptor Potential Channel))と命名される新規ファミリーのATP調節カルシウム膜貫通チャンネルポリペプチドの同定及び単離に関する。このポリペプチドを含むチャンネルは、ミリモル範囲の細胞質ATPの濃度に応じて閉じ、高い細胞内レベルのカルシウム及び/又はマグネシウムによる阻害を受け、かつ細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少には応答しない。本発明は、さらに、LTRPC7をコードする組換え核酸、及びLTRPC7活性を調節するため及び多価カチオンに対するLTRPC7の透過性を測定するための候補生物活性物質を結合させるためにLTRPC7を利用する方法に関する。本発明は、さらに、LTRPC7をコードする組換え核酸の細胞性発現を調節する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
イオンチャンネルは、生細胞の細胞原形質膜内に包埋されている膜貫通多サブユニットタンパク質であり、原形質膜の細胞外側から細胞の細胞内領域に特定イオンを通過させる。特定イオン輸送は、細孔の立体配置の変化によって開閉できる中心の水性細孔によって促進される。イオンゲートが開いている時は、イオンが自由にチャンネルを通って流れる。イオンゲートが閉じている時は、イオンはチャンネルの透過が妨げられる。イオンチャンネルは、多細胞真核生物種及び無数の様々な細胞型内で見られる。イオンチャンネルは、電圧ゲート制御又はリガンドゲート制御のいずれかである。チャンネルゲート制御は、特定チャンネルを開閉するプロセスである。イオンチャンネルは、一連の異なる“オープン”又は“クローズド”状態を占有することができる。従って、ゲート制御プロセスは、チャンネルが特定レベルのゲート制御を達成する前に特定シーケンスの遷移状態又は選択的遷移状態を包含することが必要である。ゲート制御プロセスは、チャンネルが開閉する様式を何とかして変えるか或いは影響を及ぼす物質又は薬剤によって調節される。チャンネルは、神経伝達物質、内部一次若しくは二次メッセンジャー、又は他の生物活性薬剤のようなリガンドによってゲート制御されうる。リガンドは、チャンネルタンパク質上の1つ以上の結合部位に結合するか、又はチャンネルに関連する受容体に結合する。チャンネルが電圧ゲート制御される場合、膜電位の変化が、チャンネルタンパク質内の荷電要素の立体配置の変化によるチャンネルゲート制御を誘発する。チャンネルがリガンドゲート制御であろうと、電圧ゲート制御であろうと、チャンネルの一部の変化によって、異なる部分に影響が生じ、結果として透過経路の開閉となる。
【0003】
(発明の概要)
本発明は、ミリモル範囲の細胞質ATPの濃度上昇に応じて閉じ、高い細胞内レベルのカルシウム及び/又はマグネシウムによる阻害を受け、かつ細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少には応答しない、本明細書では“LTRPC7”(長い過渡受容体電位チャンネル)と命名される新規ファミリーのATP調節カルシウム膜貫通チャンネルポリペプチドの同定、単離及び使用に関する。本発明は、さらに、LTRPC7をコードする組換え核酸、及びLTRPC7活性を調節するため及び多価カチオンに対するLTRPC7の透過性を測定するための候補生物活性物質を結合させるためにLTRPC7を利用する方法に関する。本発明は、さらに、LTRPC7をコードする組換え核酸の細胞性発現を調節する方法に関する。
【0004】
本発明の一実施形態は、LTRPC7に結合する候補生物活性薬剤のスクリーニング方法を提供する。この方法では、LTRPC7、又はそのフラグメントを候補薬剤と接触させ、その候補薬剤がLTRPC7に結合するかどうかを決定する。本発明の一実施形態は、LTRPC7を2つ以上の候補薬剤のライブラリーと接触させてから、その候補薬剤の1つ以上のLTRPC7に対する結合性を決定する工程を備える。
【0005】
さらなる実施形態では、LTRPC7がイオンチャンネルを含み、LTRPC7チャンネルと結合する候補薬剤がLTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性を調節する。いくつかの実施形態では、LTRPC7と結合する候補薬剤がLTRPC7チャンネルを開く。さらに別の実施形態では、LTRPC7と結合する候補薬剤がLTRPC7チャンネルを閉じる。さらに別の実施形態では、LTRPC7を透過する多価カチオンが、Ca2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+を包含する。
【0006】
いくつかの実施形態では、LTRPC7チャンネルは、LTRPC7をコードする組換え核酸と、この組換え核酸に作動可能に連結している誘導性プロモーターと、fura−2のような多価カチオン指標とを含む組換え細胞内にある。この組換え細胞を誘導してLTRPC7を発現させてから、候補薬剤と共に多価カチオンを含む溶液に接触させる。別の実施形態では、多価カチオンと接触させる前に候補薬剤と接触させる。多価カチオンの細胞内レベルを多価カチオン指標によって検出する。本発明の一実施形態は、Ca2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+を含む多価カチオン溶液と組換え細胞を接触させる工程を備える。いくつかの実施形態では、候補薬剤がLTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性を高める。他の実施形態では、候補薬剤がLTRPC7の多価カチオン透過性を低減する。好ましい実施形態では、多価カチオン指標が蛍光分子を含む。本発明のさらに好ましい実施形態では、多価カチオン指標がfura−2を含む。代替実施形態では、候補薬剤の存在下でLTRPC7チャンネルの生成を誘導し、多価カチオン細胞内レベルを検出する。当該レベルを、候補薬剤の存在下又は非存在下、未誘導組換え細胞内で検出される多価カチオン細胞内レベルと比較する。
【0007】
本発明の他の目的は、LTRPC7チャンネルの多価イオン透過性を測定する方法を提供することである。この方法では、LTRPC7をコードする組換え核酸と、この組換え核酸に作動可能に連結している構成性又は誘導性、好ましくは誘導性プロモーターと、細胞内カチオン指標とを含む組換え細胞が提供される。この組換え細胞を、選択的に指標と相互作用してシグナルを生成する多価カチオンを含む溶液と接触させる。そして、指標シグナルを検出することによってLTRPC7が発現されたときの多価カチオンの細胞内レベルを測定する。この測定値を組換えLTRPC7が発現されていない内因性レベルと比較する。
【0008】
より広範な実施形態では、細胞を組換えLTRPC7発現細胞に限定しないが、チャンネルの活性を調節する薬剤を決定するため、何らかの組換え的に発現されるチャンネルタンパク質と共に使用可能ないずれの細胞をも含みうる。組換えチャンネルの発現は、好ましくは誘導性プロモーターの制御下である。
【0009】
好ましい実施形態では、多価カチオン指標は、fura−2のような蛍光分子を含む。本発明のさらなる実施形態では、選択的にカチオン指標と相互作用する多価カチオンは、Ca2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+である。いくつかの実施形態では、多価カチオン薬剤と共に組換え細胞を接触させる候補生物活性薬剤の活性を調節することが、LTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性を高め、他の実施形態では、透過性を低減する。さらに別の実施形態では、多価カチオン薬剤との接触前に組換え細胞を接触させる候補生物活性薬剤の活性を調節することが、LTRPC7の多価カチオン透過性を高め、他の実施形態では、透過性を低減する。
【0010】
さらに、本発明の1つの目的は、LTRPC7の発現を調節可能な候補生物活性薬剤のスクリーニング方法を提供することである。この方法では、LTRPC7、又はそのフラグメントをコードする組換え核酸を発現可能な組換え細胞が提供され、いくつかの実施形態では、普通にLTRPC7遺伝子に付随する5’及び/又は3’発現調節配列を含む。この組換え細胞を候補薬剤と接触させ、候補薬剤のLTRPC7発現に及ぼす効果を決定する。いくつかの実施形態では、候補薬剤は小分子、タンパク質、ポリペプチド、又は核酸(例えば、アンチセンス核酸)を含むことができる。本発明の別の実施形態では、候補生物活性薬剤の存在下でLTRPC7発現レベルを測定し、このレベルを内因性LTRPC7発現レベルと比較する。
【0011】
本発明の別の局面は、配列番号:1(図12)の1〜約1865のアミノ酸配列を有するか、又は配列番号:4(図15)の1〜約1863のアミノ酸配列を有する組換えLTRPC7タンパク質又はそのフラグメントであり、LTRPC7は、ミリモル範囲の細胞質ATPの濃度に応じて閉じ、高い細胞内レベルのカルシウムによる阻害を受け、かつ細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少には応答しない。
【0012】
本発明の別の局面は、配列番号:1(図12)[GenBank受入番号AAK44211]の1〜約1865のアミノ酸配列を有するか、又は配列番号:4(図15)[GenBank受入番号AAK50377]の1〜約1863のアミノ酸配列を有する組換えLTRPC7タンパク質又はそのフラグメントをコードするDNA分子に対して少なくとも80%の配列同一性を有する単離組換え核酸である。本発明の一実施形態は、配列番号:3(図14)[GenBank受入番号AYO32950]の約272〜約5869の配列を含む組換え核酸分子か、又は配列番号:6(図17)[GenBank受入番号AYO32951]の約255〜約5846の配列を含む組換え核酸分子である。
【0013】
本発明の別の局面は、1〜約7259(配列番号:3)[GenBank受入番号AYO32950]の配列を含むLTRPC7遺伝子を含む単離組換え核酸分子であり、ここで、前記組換え核酸分子は、組換えLTRPC7タンパク質又は図12(配列番号:1)の1〜約1865のアミノ酸配列を有するか、若しくは前記タンパク質配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するいずれかの好ましいそのフラグメントをコードする。
【0014】
本発明の別の局面は、1〜約7123(配列番号:6)[GenBank受入番号AYO32951]の配列を含むLTRPC7遺伝子を含む単離組換え核酸分子であり、ここで、前記組換え核酸分子は、組換えLTRPC7タンパク質又は図15(配列番号:4)の1〜約1863のアミノ酸配列を有するか、若しくは前記タンパク質配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するいずれかの好ましいそのフラグメントをコードする。
【0015】
本発明のさらなる実施形態では、LTRPC7は、配列番号:1(図12)を有する1〜約1865アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。さらなる実施形態では、LTRPC7は、配列番号:3(図14)の約272〜約5869のヌクレオチドを含むヌクレオチドの核酸配列によってコードされる。
本発明のさらなる実施形態では、LTRPC7は、配列番号:4(図15)を有する1〜約1863アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。さらなる実施形態では、LTRPC7は、配列番号:6(図17)の約255〜約5846のヌクレオチドを含むヌクレオチドの核酸配列によってコードされる。
【0016】
(図面の簡単な説明)
図1は、LTRPC7が推定イオンチャンネルのLTRPC7ファミリーの新規な偏在発現メンバーであることを示す。図1(A)は、アミノ末端独特領域1〜4(これら領域は、それらの間の配列が異なるLTRPCメンバー内で可変の長さ及び相同性レベルなので、LTRPCファミリー全体にわたって特に高い相同性によって定義される)、膜貫通ドメイン部(スパンはTmpred及び疎水性解析に基づく)、コイルドコイル領域(COILS出力グラフに基づく近似領域)、及びMHCK/EEF2αキナーゼ相同性ドメイン(BLASTアラインメントから)を有するLTRPC7の概略図である。ヒトLTRPC7の予測タンパク質配列も提示される。図1(B)は、種々のヒト組織及び細胞系内におけるLTRPC7転写発現のノーザンブロット解析である。図1(C)は、種々のヒト組織及び細胞系内におけるLTRPC7転写発現のRT−PCR解析である。+は、正確なサイズのバンドが存在したことを示し、++は、予測サイズの強いバンドが存在したことを示す。PCR分析の特異性は、腎臓、脾臓、及び白血球ライブラリーからの部分的なLTRPC7 cDNA’sのクローニングによって確認した。
【0017】
図2は、LTRPC7が細胞機能の基礎であることを示す。HEK−293細胞内における誘導性LTRPC7発現及びLTRPC7のCre/loxP−媒介誘導分裂が、ニワトリB細胞系DT−40内にある。図2(A)では、tetリプレッサータンパク質を発現するHEK−293細胞を、tet−誘導性全CMVプロモーターの制御下、FLAG−LTRPC7構成物で形質移入した。テトラサイクリン又はドキシサイクリン処理(それぞれ、中央及び右側レーン)の前(左側レーン)又は24時間後の抗−FLAG免疫応答タンパク質のSDS−PAGE解析。図2(B)は、HEK−293細胞系由来の細胞を含有する組織培養プレートの代表的な領域の対比画像であり、テトラサイクリンで処理後0若しくは4日又は処理しない場合の上記特性を示す。図2(C)は、野生型及び突然変異LTRPC7対立遺伝子の構造を示す。制限酵素部位(X,XbaI)、サザン−ブロット解析のプローブ(黒線)エキソン(白長方形)、及びloxP部位(黒三角)が示される。予測膜貫通領域(図1のマウスLTRPC7アミノ酸残基997〜1158に対応する)の一部を含む3つのエキソンを、hisD−標的対立遺伝子中のhisDカセットと置換し、neo−loxP−標的対立遺伝子中の2個のloxP配列に隣接させた。野生型及び突然変異対立遺伝子について、プローブで検出されたXbaIフラグメントが示される。図2(D)は、野生型及び突然変異DT−40細胞から調製したXbaI消化DNAのサザン−ブロット解析である。Cre/loxP−媒介組換えによる誘導性遺伝子分裂では、200nMタモキシフェンを含有する培地中で48時間培養した細胞をサザン−ブロット解析に供した(レーン4)。図2(E)は、細胞増殖に及ぼすLTRPC7不活性化の効果を示す。hisD−及びneo−loxP−標的対立遺伝子(1×10細胞/ml)を隠しているDT−40野生型及び突然変異クローン(V79−1及びV79−2)を200nMのタモキシフェンの非存在下(白丸)又は存在下(白三角)で培養した。培養2日後に細胞数を1×10細胞/mlに調整した。生細胞をトリパンブルー除去法で毎日監視した。
【0018】
図3は、LTRPC7がカチオンチャンネルであることを示す。パッチ−クランプ実験前に、24時間テトラサイクリンでHEK−293細胞を誘導して、FLAG−LTRPC7構成物を発現させた。図3(A)は、それぞれ−80と+80mVで、組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。0mMATPを含有する標準K−グルタミン酸(左側パネル、n=5+/−sem)又はCs−グルタミン酸内部溶液(中央パネル、n=7+/−sem)で潅流した細胞は、I/V関係を外向きに整流することを特徴とするイオンコンダクタンスを活性化した(図3(B)の対応パネル参照)。この電流は、K又はCsをNMDG−クロライド(右側パネル,n=3+/−sem)で置換した場合は、存在しなかった。図3(B)は、それぞれ−100mV〜+100mVの範囲の50ms持続時間の電圧ランプに応じる代表的な高分解能電流記録を示す。電流記録は、図3(A)に示されるK−ベース(左側パネル)、Cs−ベース(中央パネル)、又はNMDG−ベース(右側パネル)内部溶液による実験条件を受けた細胞から取った。NMDG−クロライド内部溶液で潅流した細胞内における200秒での電流振幅の減少に留意せよ。
【0019】
図4は、二価イオンによるLTRPC7の透過及び遮断を示す。パッチ−クランプ実験前に、H24時間テトラサイクリンでEK−293細胞を誘導して、FLAG−LTRPC7構成物を発現させた。図4(A)は、それぞれ、−80及び+80mV(n=5)で組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。Ca2+のない細胞外溶液を適用すると、わずかに外向き電流が増えた。適用時間は、黒線で示される。図4(B)は、それぞれ、−80及び+80mV(n=5)で組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。Mg2+のない細胞外溶液を適用すると、わずかに外向き電流が増えた。適用時間は、黒線で示される。図4(C)は、それぞれ−80及び+80mV(n=5)で組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。両方のCa2+の除去は、内向きと外向きの両電流を大きく増加させた。図4(D)は、それぞれ−100mV〜+100mVの範囲で50msの持続時間の電圧ランプに応じる高分解能電流記録を示す。図4(C)に示される実験条件を受けた細胞から重複痕跡を取り、二価のない適用直前(198s)及び二価の再許容(300s)直前に誘発される電流を示す。内向き電流の外向きと内向き整流の線形化に留意せよ。図4(E)は、それぞれ−80及び+80mV(n=5)で組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。等張性CaClの適用(120mM,320mOsm)は、内向き電流を増強し、かつ外向き電流を強く阻害した。適用時間は、黒線で示される。
【0020】
図5は、LTRPC7がATP欠失で活性化されることを示す。パッチ−クランプ実験前に、24時間テトラサイクリンでHEK−293細胞を誘導して、FLAG−LTRPC7構成物を発現させた。図5(A)は、それぞれ−80及び+80mV(n=5)で組換えLTRPC7によって運ばれた平均の内向き及び外向き電流を示す。細胞を種々のATP濃度を含有する内部溶液で細胞内潅流させた(0mM ATP n=7±sem;1mM ATP n=5±sem;6mM ATP n=5±sem)。図5(B)は、ピペット内ATPレベルの関数として+80mVで測定した最大外向き電流の平均的な変化を示す。全細胞確立後に得られた第1データ記録を300秒で誘発されたデータ記録から減算して電流サイズの変化を解析した。6mM ATPで、試運転後実際に電流が減少していることに留意せよ。
【0021】
図6は、ATP欠失−活性化コンダクタンスが偏在性であることを示す。ATP依存電流の存在について種々の細胞系を解析した。野生型HEK−293、RBL−2H3、及びジャーカットT−白血球を、6mM ATP(E;n=5±sem)で補充し、又はATP無しの(J;n=5±sem)標準内部溶液で潅流させた。ATPの非存在下では、全3種の細胞型が、小さい外向き整流カチオン性コンダクタンスを発生し、ATPがピペット溶液内に包含されるときは存在しなかった。電流振幅を電気容量に対して規準化して電流密度を評価かつ比較した。活性化時間経過(左パネル)及び電流のI/V特色(右パネル)は、組換えLTRPC7コンダクタンスに非常に類似していた。野生型HEK−293細胞を除き、全細胞確立直後(0秒)及び300秒後に右パネル内の重複高分解能記録を得た。HEK−293細胞は、我々の実験条件下で不活性化するのに数秒を要する電圧依存性K電流を有するので、基礎電流レベルを示すため、実験中8秒で獲得した電流記録を選んだ。
【0022】
図7は、遷移金属による10mM Ca2+の等モル置換を示す。Mg2+はなく、10mM Ca2+を含有する浴内に保たれている、LTRPC7を過剰発現するHEK−293細胞内で全細胞電流を記録し、60秒間10mM Ca2+が試験カチオンと等モル的に置換されている、他の点では同一の外部溶液にさらした。溶液を変える直前に内向き及び外向き電流振幅が1に設定されるように、−80及び+80mVで平均の内向き及び外向き電流を生じさせた。図7(A)は、10mM Zn2+(n=5)及び10mM Ni2+(n=5)への露出が、内向き電流を大きく増加させ、外向き電流を遮断することを示している。図7(B)は、10mM Co2+(n=3)、10mM Mg2+(n=5)及び10mM Mn2+(n=5)が、内向き電流を軽く適度に増加させ、外向き電流を遮断することを示している。図7(C)では、10mM Ba2+(n=6)、10mM Sr2+(n=3)及び10mM Cd2+(n=5)が、内向き電流を軽く適度に増加させ、かつ外向き電流を増加させることを示している。図7(D)では、下のパネルが、10mM Ca2+での電流振幅に対して試験カチオンを運ぶ時の内向き電流の増加パーセンテージ(±S.E.M.)に基づくLTRPC7を通る透過の順位を示す。上のパネルは、各二価カチオンについて増加又は阻害パーセント(±S.E.M.)として外向き電流に及ぼす効果をプロットしている。
【0023】
図8は、等張溶液中における二価の微量金属の透過性を示す。1mM Ca2+と2mM Mg2+を含有する標準外部溶液中でLTRPC7を過剰発現しているHEK−293細胞内の全細胞電流を記録し、引き続き試験カチオンの等張溶液に60秒間さらした。溶液を変える直前に内向き及び外向き電流振幅が1に設定されるように、−80及び+80mVで平均の内向き及び外向き電流を生じさせた。図8(A)は、等張Ca2+(n=4)への露出が、内向き電流を増加させ、外向き電流を遮断することを示している。図8(B)は、等張Mg2+(n=5)が同様の内向き電流の増加を生じさせ、外向き電流を遮断するが、回復が遅れることを示している。図8(C)及び図8(D)は、等張Co2+(n=3)及び等張Mn2+(n=3)が、内向き電流を徐々に増加させ、外向き電流を強く遮断することを示している。
【0024】
図9は、等張溶液中における毒性二価金属の透過性を示す。1mM Ca2+と2mM Mg2+を含有する標準外部溶液中でLTRPC7を過剰発現しているHEK−293細胞内の全細胞電流を記録し、引き続き試験カチオンの等張溶液に60秒間さらした。溶液を変える直前に内向き及び外向き電流振幅が1に設定されるように、−80及び+80mVで平均の内向き及び外向き電流を生じさせた。図9(A)及び図9(B)では、等張Ba2+(n=3)及び等張Sr2+(n=4)が内向き電流を適度に増加させ、外向き電流の阻害は比較的少ない。図9(C)では、等張Ni2+(n=4)が内向き電流を大きく増加させ、外向き電流を強く遮断している。
【0025】
図10は、三価金属イオンによる透過及び遮断を示している。10mM Ca2+を含有し、Mg2+のない標準外部溶液中でLTRPC7を過剰発現しているHEK−293細胞内で、それぞれ−80及び+80mVにおける平均の内向き及び外向き電流を記録した(図10(A)及び10(B))。図10(A)及び10(B)では、Cd3+又はLa3+を10mM(それぞれn=5)で適用した。Cd3+は、MagNuMの強力なブロッカーであると思われる。
【0026】
図11は、LTRPC7がCa2+とMn2+の流入経路であることを示す。LTRPC7を過剰発現しているHEK−293細胞内における[Ca2+]iのMagNuM及びfura−2測定値の同時全細胞パッチクランプ記録。図11(A)は、Mg・ATP(黒丸、n=6)の非存在下及び3mM Mg・ATP(白丸、n=6)を有するCs−グルタミン酸ベース内部溶液で潅流した細胞内で、それぞれ、−80及び+80mVにおける平均の内向き及び外向きMagNuM電流を示す。異なるY軸の尺度に留意せよ。図11(B)は、−100〜+100mVの50−ms電圧ランプに応じて得られた代表的な高分解能電流記録を示し、0Mg・ATPで透析した細胞内におけるMagNuM(+50mV以上の電位で強力な外向き整流)の特徴を示している。図11(C)は、Mg・ATPの非存在下で[Ca2+]iの安定増加を示している(A)内でパッチした細胞から記録された平均の細胞内Ca2+シグナルを示す。対照的に、LTRPC7が3mM Mg・ATPによって遮断されるか、又はチャンネルを過剰発現しない対照HEK細胞内では、[Ca2+]iは定常基底レベルのままである。図11(D)は、HEK−293細胞内での360nm励起で平均fura−2蛍光がLTRPC7(n=5)の過剰発現を誘導し、誘導されないままの細胞(n=5)を形質移入したことを示している。
【0027】
図12は、1〜約1865の配列で構成される組換えLTRPC7タンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号:1)。
図13は、LTRPC7 cDNAコード化配列の組換え核酸分子を示す(配列番号:2)。
図14は、1〜約7,259の核酸配列で構成されるLTRPC7遺伝子の組換え核酸分子を示す(配列番号:3)。
図15は、1〜約1863の配列で構成される組換えLTRPC7タンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号:4)。
図16は、LTRPC7 cDNAコード化配列の組換え核酸分子を示す(配列番号:5)。
図17は、1〜約7,123の核酸配列で構成されるLTRPC7遺伝子の組換え核酸分子を示す(配列番号:6)。
【0028】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、部分的に、LTRPC7イオンチャンネル活性を調節し、及び/又は細胞内におけるLTRPC7の発現を変える、LTRPC7と結合する分子の同定に有用な方法に関する。本明細書で述べるようなLTRPC7チャンネルは、順次LTRPC7核酸でコードされているLTRPC7ポリペプチドを含む。本明細書で述べるイオンチャンネルは、好ましくはHEK−293細胞内で形成され、本明細書で述べる独特なLTRPC7特性を1つ以上示す、1種以上の新規なLTRPC7ポリペプチドを含む。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語“LTRPC7”(長い過渡受容体電位チャンネル)は、多数の新規ファミリーのATP調節カルシウム膜貫通チャンネルポリペプチドを指す。このポリペプチドは、そのアミノ酸配列、それらをコードする核酸、及びLTRPC7の新規な特性によっても定義される。このような新規な特性としては、ミリモル範囲の細胞内ATPの濃度に応じるLTRPC7チャンネルの閉鎖、高い細胞内レベルのカルシウム及び/又はマグネシウムに応じるLTRPC7チャンネルの阻害、及び細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少に対するLTRPC7チャンネルの無応答が挙げられる。LTRPC7チャンネルのさらなる新規特性は、そのMn2+、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、及びCd2+のような二価重金属イオンに対する透過性である。6〜10ミリモル範囲の細胞内ATP濃度は、LTRPC7チャンネルを閉じさせるが、0〜4ミリモル範囲の細胞内ATP濃度は、LTRPC7チャンネルを再び開かせる。
【0030】
LTRPC7ポリペプチド及びチャンネルは、“カルシウムファミリーの特徴づけ”,WO 00/40614(その開示は参照によって明白に本明細書に取り込まれる)に開示されている“SOC”(貯蔵操作型チャンネル(Store Operated Channels))及び“CRAC”(カルシウム放出活性化チャンネル(Calcium Release Activated Channels))ポリペプチド及びチャンネルとは機能的に異なる。SOC及びCRACタンパク質チャンネルは、“細胞内カルシウム貯蔵からのCa2+の欠失に基づいて活性化され”(WO 00/40614、2ページ参照)、さらに“高レベルの細胞内カルシウムによる阻害を受ける” (WO 00/40614、10ページ参照)。本発明のLTRPC7ポリペプチドは高い細胞内レベルのカルシウムによる阻害を受けるチャンネルを形成するが、本LTRPC7チャンネルは、細胞内カルシウム貯蔵の欠失又は減少によって活性化されず、かつミリモル範囲の細胞内ATP濃度に応じて閉じる。SOC及びCRACは、この様式では制御されない。
【0031】
LTRPC7ポリペプチドは、LTRPCファミリーの新規メンバーである。本明細書で配列番号:1(図12)として開示される特定配列は、ヒト脾臓細胞から誘導し、本明細書で配列番号:4(図15)として開示される特定配列は、マウス単球細胞から誘導した。しかし、LTRPC7は、哺乳類種及び線虫(C.elegans)のような他の多細胞真核生物由来の組織中に広範に発現されると考えられる。
【0032】
LTRPC7は、天然源から誘導することができ、又は組換え修飾してLTRPC7変異体を生成することができる。用語“LTRPC7配列”は、具体的には、天然に存在する先端切断若しくは分泌型(例えば、細胞外ドメイン配列)、天然に存在する変異型(例えば、選択的スプライス型)及び天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。ヒト脾臓細胞由来のLTRPC7ポリペプチドの自然配列は、配列番号:1(図12)の1〜約1865のアミノ酸を含む全長又は成熟自然配列LTRPC7ポリペプチドである。マウス単球細胞由来のLTRPC7ポリペプチドの自然配列は、配列番号:4(図15)の1〜約1863のアミノ酸を含む全長又は成熟自然配列LTRPC7ポリペプチドである。
【0033】
本明細書で配列番号:1(図12)として開示されるLTRPC7ポリペプチドは、アミノ酸配列1〜757を含むN−末端細胞内ドメイン;配列757〜1070を含む膜貫通ドメイン;配列1142〜1300を含むコイルドコイルドメイン;配列1641〜1822を含むキナーゼドメイン;及び配列757〜855、942〜956、及び1018〜1070を含む3つの細胞外ドメインを含む。
本明細書で配列番号:4(図15)として開示されるLTRPC7ポリペプチドは、アミノ酸配列1〜691を含むN−末端細胞内ドメイン;配列757〜1095を含む膜貫通ドメイン;配列1142〜1300を含むコイルドコイルドメイン;配列1641〜1822を含むキナーゼドメイン;及び配列774〜854、942〜955、及び1018〜1070を含む3つの細胞外ドメインを含む。
【0034】
本発明のLTRPC7ポリペプチド、又はそのフラグメントは、配列番号:1又は配列番号:4のアミノ酸配列と少なくとも約80%アミノ酸配列同一性、さらに好ましくは少なくとも約85%アミノ酸配列同一性、さらになお好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列同一性、最も好ましくは少なくとも約95%配列同一性を有するポリペプチドをも包含する。このようなLTRPC7ポリペプチドとしては、例えば、配列番号:1又は配列番号:4の配列のN−又はC−末端で、及び1個以上の内部ドメイン内で、1個以上のアミン酸残基が置換及び/又は欠失されているLTRPC7ポリペプチドが挙げられる。当業者には、アミノ酸の変更が、グリコシル化部位の数若しくは位置を変えるか、又は膜固着特性を変えるように、LTRPC7ポリペプチド変異体の転写後プロセスを変えうることが判るだろう。しかし、すべてのLTRPC7タンパク質が、本明細書で定義するようなLTRPC7ポリペプチドの新規特性を1つ以上示す。
【0035】
ここで同定されるLTRPC7ポリペプチド配列について“パーセント(%)アミノ酸配列同一性”は、配列を整列させ、かつ必要ならばギャップを導入して、最大パーセントの配列同一性を達成後、配列同一性の一部として何ら保存的置換を考慮せずに、配列番号:1(図12)又は配列番号:4(図15)のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。本明細書で用いる%同一性値は、Atschulら,Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから得たWU−BLAST−2によって生成する。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメーターを使用し、その多くはデフォルト値に設定する。調整可能なパラメーターは、以下のように設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは動的な値であり、特定配列の組成及び関心のある配列を検索する特定のデータベースの組成によって決まるプログラム自体によって確立されるが、この値を調整して感度を高めることができる。%アミノ酸配列同一性値は、整列領域内の整合同一残基の数を“より長い”配列の残基の総数で除して決定する。“より長い”配列は、整列領域内で最も現実的な残基を有するものである(アラインメントスコアを最大にするため、WU−BLAST−2で導入したギャップは無視する)。
【0036】
さらなる実施形態では、本明細書で使用する%同一性値は、PILEUPアルゴリズムを用いて生成する。PILEUPは、順次対生成様式アラインメントを用いて1群の関連配列から多配列アラインメントを創造する。PILEUPは、アラインメントを創造するために使用するクラスター形成関係を示す系図をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360(1987)の順次アラインメント法の簡単にしたものを使用し、この方法は、Higger & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)によって記述されているのと同様である。有用なPILEUPパラメーターとしては、3.00のデフォルトギャップ質量、0.10のデフォルトギャップ長、及び加重末端ギャップが挙げられる。
【0037】
さらに別の実施形態では、オリゴ糖プローブ又は適切なゲノム若しくはcDNAライブラリーによる変性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列を用いて、ヒト、マウス、又は他の生物由来のLTRPC7ポリペプチドを同定かつ単離することができる。当業者には明らかなように、特に有用なプローブ及び/又はPCRプライマー配列は、配列番号:1及び/又は配列番号:4のヒト及び/又はマウスN−末端細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、及び/又はコイルドコイルドメインの全部若しくは一部をコードする配列番号:2、配列番号:3、配列番号:5、又は配列番号:6を含むヒトLTRPC7核酸配列及び/又はマウスLTRPC7核酸配列の独特な領域を包含する。本技術では一般に知られているように、好ましいPCRプライマーは、ヌクレオチド数約15〜約35、好ましくは約20〜約30の長さからで、必要に応じイノシンを含みうる。PCR反応の条件は、技術的に周知である。
【0038】
好ましい実施形態では、LTRPC7は、組換え技法を用いて、すなわち組換えLTRPC7核酸の発現を通じて生成される“組換えタンパク質”である。組換えタンパク質は、少なくとも1つ以上の特徴によって天然に存在するタンパク質と区別される。例えば、このタンパク質は、その野生型宿主中に普通に付随しているタンパク質及び化合物のいくらか又はすべてから単離又は精製することができるので、実質的に純粋である。例えば、単離タンパク質は、その天然状態で普通に付随している物質の少なくともいくらかが付随せず、好ましくは与えられた試料中の全タンパク質の少なくとも約0.5質量%、さらに好ましくは少なくとも約5質量%を構成する。実質的に純粋なタンパク質は、全タンパク質の少なくとも約75質量%、好ましくは少なくとも約80質量%、特に好ましくは少なくとも約90質量%を構成する。この定義は、異なる生物又は宿主細胞内の一生物由来のタンパク質生成を包含する。代わりに、本タンパク質は、該タンパク質が高濃度レベルで生成されるように、誘導性プロモーター又は高発現プロモーターの使用を通じ、普通に見られるより有意に高濃度で製造することができる。代わりに、本タンパク質は、後述するような、エピトープタグ又はアミノ酸置換、付加及び欠失の追加におけるように、天然では普通見られない形態でありうる。
【0039】
さらなる実施形態では、LTRPC7変異体は、ロイシンのセリンと置換、すなわち保存的アミノ酸置換のように、あるアミノ酸を同様の構造及び/又は化学的性質を有する別のアミノ酸と置換することによって、組換え的に操作することができる。
さらに別の実施形態では、置換、欠失、付加又はそのいずれかの組合せを用いてLTRPC7変異体を生成することができる。一般に、これら変更は数個のアミノ酸について行い、分子の変化を最少にする。しかし、特定の環境ではより多くの変更に耐えられる。LTRPC7ポリペプチドの特性の少ない変化が望ましい場合、置換は、通常以下に従って行われる。
Figure 2004535549
【0040】
さらなる実施形態では、機能又は免疫学的同一性の実質的な変更は、チャート1に示される置換より低い保存性の置換を選択することで行われる。例えば、変化の領域内のポリペプチド骨格構造、例えば、α−らせん若しくはβ−シート構造;標的部位における分子の電荷若しくは疎水性;又は側鎖の大きさにもっと有意に影響を及ぼす置換を行うことができる。一般に、ポリペプチドの性質に最大の変化を生じさせると考えられる置換は以下の通りであり、(a)親水性残基、例えばセリル(seryl)又はスレオニルは、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルに代えて(又はよって)置換され;(b)システイン又はプロリンは、他のいずれの残基に代えて(又はよって)も置換され;(c)陽性の側鎖を有する残基、例えばリジル、アルギニル又はヒスチジルは、陰性残基、例えばグルタミル又はアスパラチルに代えて(又はよって)置換され;或いは(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンは、側鎖を持たない残基、例えばグリシンに代えて(又はよって)置換される。この実施形態のLTRPC7変異体は、本明細書で最初に定義したLTRPC7ポリペプチドの1つ以上の特性を示す。
【0041】
さらなる実施形態では、変異体は、通常同質の生物活性を示し、天然に存在する類似体と同一の免疫応答を誘発するが、変異体を選択して、必要なようにLTRPC7変異体の特性を修飾することもある。代わりに、LTRPC7ポリペプチドの生物活性が変わるように変異体を設計することができる。例えば、グリコシル化部位を変え、又は除去することができる。この核酸変異体によってコードされるタンパク質は、本明細書で定義したLTRPC7ポリペプチドの新規な特性を少なくとも1つ示す。
核酸変異体によってコードされるタンパク質は、本明細書で定義したLTRPC7ポリペプチドの新規な特性を少なくとも1つ示す。
本明細書で使用する場合、用語“LTRPC7核酸”又は他の文法的に同等語は、前述したLTRPC7ポリペプチドの新規な特性を1つ以上示すLTRPC7ポリペプチドをコードする核酸を指す。LTRPC7核酸は、配列番号:2(図13)又は配列番号:3(図14)、及び/又は配列番号:5(図16)又は配列番号:6(図17)に対して配列相同性を示し、相同性は、配列の比較又はハイブリダイゼーション分析によって決定される。
【0042】
LTRPC7ポリペプチドをコードするLTRPC7核酸は、図13(配列番号:2)に示されるcDNA及び/又は図14(配列番号:3)に示されるゲノムDNA或いは図16(配列番号:5)に示されるcDNA及び/又は図17(配列番号:6)に示されるゲノムDNAに相同性である。このようなLTRPC7核酸は、好ましくは約75%、さらに好ましくは約80%、さらに好ましくは約85%、最も好ましくは約90%より高い相同性である。いくつかの実施形態では、相同性は約93から95若しくは98%程度の高さである。この文脈の相同性は、配列類似性又は同一性を意味し、同一性が好ましい。相同性の目的で好ましい比較は、既知のLTRPC7配列に対するコード化の相異を含む配列を比較することである。この相同性は、技術的に公知の標準的な方法によって決定し、限定するものではないが、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman,PNAS USA 85:2444(1988)の類似性検索法、これらアルゴリズムのコンピュータ処理の実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、Devereuxら,Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)によって記述されているBest Fit配列決定プログラム、好ましくはデフォルト設定を用い、若しくは検査によって決定する。
【0043】
好ましい実施形態では、本明細書で用いる%同一性値は、PILEUPアルゴリズムを用いて生成する。PILEUPは、順次対生成様式アラインメントを用いて1群の関連配列から多配列アラインメントを創造する。PILEUPは、アラインメントを創造するために使用するクラスター形成関係を示す系図をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360(1987)の順次アラインメント法の簡単にしたものを使用し、この方法は、Higger & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)によって記述されているのと同様である。有用なPILEUPパラメーターとしては、3.00のデフォルトギャップ質量、0.10のデフォルトギャップ長、及び加重末端ギャップが挙げられる。
【0044】
好ましい実施形態では、BLASTアルゴリズムを使用する。BLASTは、Altschulら,J.Mol.Biol.215:403−410,(1990)及びKarlinら,PNAS USA 90:5873−5787(1993)に記述されている。特に有用なBLASTプログラムは、Altschulら,Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから得たWU−BLAST−2である。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメーターを使用し、その多くはデフォルト値に設定する。調整可能なパラメーターは、以下のように設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは動的な値であり、特定配列の組成及び関心のある配列を検索する特定のデータベースの組成によって決まるプログラム自体によって確立されるが、この値を調整して感度を高めることができる。%アミノ酸配列同一性値は、整列領域内の整合同一残基の数を“より長い”配列の残基の総数で除して決定する。“より長い”配列は、整列領域内で最も現実的な残基を有するものである(アラインメントスコアを最大にするため、WU−BLAST−2で導入したギャップは無視する)。
【0045】
好ましい実施形態では、“パーセント(%)アミノ酸配列同一性”は、候補配列中の、配列番号:2(図13)、配列番号:3(図14)、配列番号:5(図16)及び/又は配列番号:6(図17)のヌクレオチド残基配列と同一であるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。好ましい方法は、WU−BLAST−2のBLASTNモジュールを利用し、デフォルトパラメーターに設置し、オーバーラップスパン及びオーバーラップフラクションをぞれぞれ1及び0.125に設定する。
このアラインメントは、整列させる配列内のギャップの導入を含む。さらに、配列番号:2(図13)、配列番号:3(図14)、配列番号:5(図16)及び/又は配列番号:6(図17)のヌクレオシドより多いか又は少ないヌクレオシドを含有する配列では、相同性のパーセンテージは、ヌクレオシドの総数に関する相同性ヌクレオシドの数に基づいて決定されることが分かる。従って、例えば、本明細書で同定し、かつ後述するような配列より短い配列の相同性は、より短い配列中のヌクレオシドの数を用いて決定される。
【0046】
上述したように、LTRPC7核酸は、ハイブリダイゼーション研究を通じて決定されるような相同性によっても定義することができる。ハイブリダイゼーションは、低厳密性条件下、さらに好ましくは適度な厳密性条件下、最も好ましくは高厳密性条件下で測定される。このような相同性核酸によってコードされるタンパク質は、本明細書で定義するLTRPC7ポリペプチドの新規な特性を少なくとも1つ示す。従って、例えば、高厳密性下、配列番号:2(図13)、配列番号:3(図14)、配列番号:5(図16)又は配列番号:6(図17)として示される配列を有する核酸及びその補体にハイブリダイズする核酸は、LTRPC7特性を有するタンパク質をコードするLTRPC7核酸配列とみなされる。
【0047】
ハイブリダイゼーション反応の“厳密性”は、当業者によって容易に決定可能であり、一般に、プローブ長、洗浄温度、及び塩濃度によって決まる実験に基づいた計算である。一般に、長いプローブほど妥当なアニーリングに高い温度を必要とし、プローブが短いほど低温が必要である。ハイブリダイゼーションは、通常、相補鎖がその融点未満の環境に存在すると再アニールする、変性DNAの能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間の所望相同性の度合が高いほど、使用可能な相対温度が高い。結果として、高い相対温度は、反応条件をより厳密にさせる傾向にあり、低温は低厳密性にさせる。ハイブリダイゼーション反応の厳密性のさらなる実施例については、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照せよ。
【0048】
“厳密な条件”又は“高厳密性条件”は、本明細書で定義する場合、以下の定義と同一である:(1)洗浄では低イオン強度及び高温、例えば50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを利用する;(2)ハイブリダイゼーションの際、ホルムアルデヒドのような変性剤、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを有するpH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液を有する50%(v/v)ホルムアルデヒドを42℃で利用する;又は(3)50%ホルムアルデヒド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理サケ血清DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを42℃で利用し、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)及び55℃で50%ホルムアルデヒドで洗浄後、55℃でEDTAを含有する0.1×SSCから成る高厳密性洗浄を行う。
【0049】
“適度な厳密条件”は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harabor Press,1989に記述されているのと同一であり、上述した条件より低い厳密性の洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。適度に厳密な条件の例は、20%ホルムアルデヒド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mL変性剪断サケ血清DNAを含む溶液中37℃で一晩中インキュベーション後、約37〜50℃で1×SSC中でフィルターを洗浄する。当業者は、プローブ長などのような因子を適応させるための必要性に応じた温度、イオン強度等の調整のし方を認識している。一般に、厳密条件は、所定のイオン強度pHにおける特定配列の熱的融点(Tm)より約5〜10℃低く選択される。Tmは、該標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(所定のイオン強度、pH及び核酸濃度下)である(標的配列が過剰に存在する場合、Tmで、50%のプローブが平衡状態で占有される)。厳密条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、かつ温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)では少なくとも60℃である条件である。厳密条件は、ホルミアミドのような不安定化剤の添加によっても達成することができる。
【0050】
別の実施形態では、より低厳密ハイブリダイゼーション条件を使用し、例えば、技術的に公知なように、適度又はそれより低い厳密性条件を使用しうる。ハイブリダイゼーション反応の厳密性に関するさらなる詳細については、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照せよ。
【0051】
本明細書で定義されるようなLTRPC7核酸は、特定されるように、一本鎖又は二本鎖でよく、或いは二本鎖又は一本鎖配列の両方の部分を含むことができる。当業者には明らかなように、一本鎖(“Watson”)の描写は、他の鎖(“Crick”)の配列をも定義するので、本明細書で記述する配列は、該配列の補体をも包含する。核酸は、DNA、ゲノム及びcDNAの両方、RNA又はハイブリッドでよく、核酸は、デオキシリボ−及びリボ−ヌクレオチドのいずれの組合せ、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニン等を含む塩基のいずれの組合せをも含むことができる。本明細書で使用する場合、用語“ヌクレオシド”は、ヌクレオチド及びヌクレオシドとヌクレオシド類似体、及びアミノ酸修飾ヌクレオシドのような修飾ヌクレオシドを包含する。さらに、“ヌクレオシド”は、非天然類似体構造を包含する。従って、本明細書では、例えば、それぞれ塩基を含有する、ペプチド核酸の個々の単位をヌクレオシドとして言及する。
【0052】
本明細書で定義されるようなLTRPC7核酸は、組換え核酸である。用語“組換え核酸”によって、本明細書では、もとは、一般にポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって、普通天然には見られない形態でインビトロ生成された核酸を意味する。従って、線形の単離核酸、又は普通結合されないDNA分子の連結によってインビトロ生成される発現ベクターは、両方ともこの発明の目的の組換え体とみなされる。一度組換え核酸が生成され、かつ宿主細胞若しくは生体内に再導入されると、それは、非組換え的に、すなわちインビトロ操作よりはむしろ宿主細胞のインビボ細胞機構によって複製することが分かる;しかし、このような核酸は、一度組換え的に生成されると、引き続き非組換え的に複製されるが、本発明の目的では、まだ組換え体とみなされる。この定義には、LTRPC7核酸分子の相同体及び対立遺伝子が包含される。この定義には、さらに、遺伝的に修飾したLTRPC7核酸分子が包含される。
【0053】
全長自然配列(ヒト)LTRPC7遺伝子(配列番号:3)及び/又は全長自然配列(マウス)LTRPC7(配列番号:6)、又はその一部をcDNAライブラリー用のハイブリダイゼーションプローブとして用いて、他の多細胞真核生物種由来の全長LTRPC7遺伝子を単離するか、又は特定のLTRPC7ヌクレオチドコード配列に対して所望の配列同一性を有する、さらに別の遺伝子(例えば、該LTRPC7ポリペプチド若しくは他の真核生物種由来のLTRPC7ポリペプチドの天然に存在する変異体をコードする遺伝子)を単離する。任意に、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリダイゼーションプローブは、配列番号:2のヌクレオチド配列、配列番号:3のヌクレオチド配列、配列番号:5のヌクレオチド配列、配列番号:6のヌクレオチド配列、又はLTRPC7の特定の自然ヌクレオチド配列のプロモーター、エンハンサー要素及びイントロンを含むゲノム配列から誘導することができる。例として、スクリーニング方法は、既知のDNA配列を用いてLTRPC7遺伝子のコード領域を単離して約40塩基の選択プローブを合成する工程を含む。
【0054】
ハイブリダイゼーションプローブは、32P若しくは35Sのような放射性ヌクレオチド、又はアビジン/ビオチンカップリング系を介してプローブに結合するアルカリホスファターゼのような酵素的標識を含む種々の標識によって標識することができる。本発明のLTRPC7遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識プローブを使用してヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、該ライブラリーのメンバーがハイブリダイズするプローブを決定することができる。ハイブリダイゼーションは、以下のように以前に記述されている。
【0055】
PCR法でプローブを用いて、密接に関連するLTRPC7ヌクレオチドコード配列の同定用配列のプールを生成することもできる。LTRPC7ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を使用して、当該LTRPC7をコードする遺伝子のマッピング用、及び遺伝障害を有する個体の遺伝解析用のハイブリダイゼーションプローブを構築することもできる。ここで提供されるヌクレオチド配列は、インサイツハイブリダイゼーション、既知染色体マーカーに対する連係解析、及びライブラリーによるハイブリダイゼーションスクリーニングのような公知の方法を用いて、染色体及び染色体の特定領域の地図上の位置を決めることができる。
【0056】
別の実施形態では、LTRPC7ポリペプチドをコードするDNAは、LTRPC7 mRNAを保有し、かつ検出可能レベルでそれを発現すると考えられる組織から調製したcDNAライブラリーから得ることができる。従って、ヒトLTRPC7 DNAは、ヒト組織から調製したcDNAライブラリー、又はヒト脾臓組織から調製したcDNA脾臓ライブラリーから好都合に得ることができる。LTRPC7コード遺伝子は、多細胞真核生物ゲノムライブラリーから又はオリゴヌクレオチド合成によっても得ることができる。
【0057】
関心のある遺伝子又はそれによってコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(LTRPC7 DNA若しくは少なくとも約20〜80塩基対のオリゴヌクレオチドに対する抗体のような)でライブラリーをスクリーニングすることができる。cDNA又はゲノムライブラリーの選択プローブによるスクリーニングは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harabor Laboratory Press,1989)に記述されているような標準的な手順を用いて行うことができる。LTRPC7をコードする遺伝子を単離するための代替手段は、PCR方法論を使用することである[Sambrookら,前出;Dieffenbachら,PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harabor Laboratory Press,1995)]。
【0058】
後述する実施例は、cDNAライブラリーのスクリーニング方法について述べる。プローブとして選択されるオリゴヌクレオチド配列は、偽陽性が最少であるように、十分長くかつ十分に明瞭であるべきだ。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、スクリーニングされるライブラリー内のDNAにハイブリダイズするとすぐに検出できるように標識される。標識の方法は技術的に周知であり、32P−標識ATPのような放射標識、ビオチン化若しくは酵素標識化の使用が挙げられる。適度な厳密性及び高い厳密性を含むハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら,前出に提供されており、前述した。
【0059】
このようなライブラリースクリーニング法で同定された配列は、GenBankのような公共データベース又は他の私有配列データベースに供託されかつ入手可能な他の公知配列と比較し、整列させることができる。分子の定義領域内又は全長配列を越えた配列同一性は(アミノ酸又はヌクレオチドのいずれかのレベルで)、相同性を評価するための種々のアルゴリズムを利用するALIGN、DNAstar、BLAST、BLAST2及びINHERITのようなコンピュータソフトウェアプログラムを用いた配列アラインメントを通じて決定することができる。
【0060】
本明細書で定義したようなLTRPC7ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号:2(図13)、配列番号:3(図14)、配列番号:5(図16)、又は配列番号:6(図17)のヌクレオチド配列の全部又は一部を用いて、選択cDNA若しくはゲノムライブラリーをスクリーニングすることで得ることができる。前出のSambrookらの文献に記述されているような従来のプライマー伸長手順を用いて、cDNAに逆転写されていないであろうmRNAの前駆体及びプロセシング中間体を検出する。
LTRPC7ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその相補体)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、染色体及び遺伝子マッピングにおける使用、並びにアンチセンスRNA及びDNAの生成における使用を含め、分子生物学の技術で種々の用途がある。
【0061】
別の実施形態では、本明細書で定義されるようなLTRPC7核酸は、天然に存在するLTRPC7核酸を検出する診断用途を含む種々の用途で有用であり、並びにスクリーニング用途;例えば、LTRPC7核酸配列に対する核酸プローブを含むバイオチップを製造することができる。それゆえに、最も広い意味では、本明細書の“核酸”若しくは“オリゴヌクレオチド”又は文法的に同等語は、一緒に共有結合している少なくとも2個のヌクレオチドを意味する。
【0062】
別の実施形態では、上述したような配列番号:2(図13)又は配列番号:5(図16)のLTRPC7核酸配列は、より大きい遺伝子のフラグメント、すなわち核酸セグメントである。この文脈の“遺伝子”は、コード領域、非コード領域、及びコード領域と非コード領域の混合領域を包含する。従って、当業者には明らかなように、本明細書で提供される配列を使用すれば、より長い配列又は全長配列をクローニングするための技術的に周知の方法を用いてLTRPC7遺伝子の追加配列を得ることができる;参照によって明白に本明細書に取り込まれる、前出のManiatisら、及びAusubelらの文献を参照せよ。
【0063】
上述したように、一度LTRPC7核酸が同定されると、それをクローン化し、必要ならば、その構成部分を組み換えて全体的なLTRPC7遺伝子を形成することができる。一度その天然源から単離され、例えば、プラスミド若しくは他のベクター内に含まれ、又はそこから線状核酸セグメントとして切除されると、組換えLTRPC7核酸をさらにプローブとして用いて、他の多細胞真核生物から他のLTRPC7核酸、例えば追加コード領域を同定かつ単離することができる。
【0064】
別の実施形態では、上述したように、LTRPC7ポリペプチドをコードするLTRPC7核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)を、クローニング用(該DNAの増幅)又は発現用の複製ベクター中に挿入することができる。種々のベクターを公然と入手できる。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態でよい。種々の手順によって、適切な核酸配列をベクター中に挿入することができる。一般に、技術的に公知の方法で適切な制限エンドヌクレアーゼ部位中にDNAを挿入する。ベクター成分としては、限定するものではないが、通常、1個以上のシグナル配列、複製の起点、1個以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終結配列が挙げられる。これら成分を1個以上含有する好適なベクターの構築は、当業者に公知の標準的な連結法を利用する。
【0065】
このようなベクターを含む宿主細胞も準備する。例として、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、COS細胞、及びHEK細胞を含む哺乳類細胞系でよい。宿主細胞のさらに特有な例としては、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓系(293又は懸濁液培養中成長のためにサブクローン化された293細胞、Grahamら,J.Gen Virol.,36:59(1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243−251(1980));ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2,HB 8065);及びマウス乳癌(MMT 060562,ATCC CCL51)が挙げられる。適切な宿主の選択は、本技術のスキル内であると考えられる。好ましい実施形態では、HEK−293細胞を宿主細胞として使用する。LTRPC7ポリペプチドの製造方法がさらに提供され、LTRPC7ポリペプチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養する工程及び該LTRPC7ポリペプチドを細胞培養から回収する工程を含む。
【0066】
別の実施形態では、発現及びクローン化ベクターを使用し、通常、mRNA合成に向けるためLTRPC7コード化核酸配列に作動可能に結合する構成性又は誘導性プロモーターを含む。可能性のある種々の宿主細胞によって認識されるプロモーターは周知である。哺乳類宿主細胞中のLTRPC7 DNAコード化ベクターの転写は、好ましくは誘導性プロモーター、例えば、異種哺乳類プロモーター、例えばアクチンプロモーター若しくは免疫グロブリンプロモーター、及び熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御される。本発明で実施可能な誘導性プロモーターの例としては、単一若しくは二成分系で用いられ、かつ熱ショックで誘導されるhsp 70プロモーター;銅若しくはカドミウムで誘導されるメタロチオネインプロモーター(Bonnetonら,1996,FEBS Lett.380(1−2):33−38);ショウジョウバエレチノイドによって誘導されるショウジョウバエオプシンプロモーター(Pickingら,1997,Experimental Eye Research.65(5):717−27);及びテトラサイクリン誘導性完全CNVプロモーターが挙げられる。特定した全プロモーターの中で、テトラサイクリン誘導性完全CMVプロモーターが最も好ましい。構成性プロモーターの例としては、特定プロモーター及びエンハンサー又は局所位置効果によって発現が制御されるCAL4エンハンサートラップ系(http://www.fruitfly.org.;http://www.astorg.u−strasbg.fr:7081);及び構成性であるか、又はそれが作動可能に結合するプロモーターのタイプによって誘導されうる大腸菌由来のトランス活性化因子応答プロモーターが挙げられる。
【0067】
ベクター中にエンハンサー配列を挿入することで、LTRPC7をコードするDNAの、より高等な真核生物による転写を増やすことができる。エンハンサーは、通常、約10〜300bpのDNAのシス作用性要素であり、プロモーターに作用してその転写を増やす。現在哺乳類遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、及びインスリン)。しかし、通常真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用する。例としては、複製起源の後期側のSV40エンハンサー(bp 100−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起源の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。エンハンサーは、LTRPC7コード領域に5’又は3’位で、ベクター中にスプライスすることができるが、好ましくはプロモーターから部位5’に位置する。
【0068】
本発明の方法は、LTRPC7ポリペプチド又はLTRPC7に結合する候補生物活性薬剤を同定するためのLTRPC7ポリペプチドをコードするか、LTRPC7イオンチャンネルの活性を調節するか、若しくは細胞内のLTRPC7の発現を変える核酸を利用する。
本明細書で使用する場合、用語“候補生物活性薬剤”は、LTRPC7に結合し、LTRPC7イオンチャンネルの活性を調節し、及び/又は細胞内のLTRPC7の発現を変えるいずれの分子をも示す。ここで述べるような分子は、オリゴペプチド、小有機分子、多糖、又はポリヌクレオチド等でよい。一般に、多数の分析混合物を平行して異なる薬剤濃度で実験し、種々の濃度に対する差次的な応答を得る。典型的には、これら濃度の1つは負の対照として、すなわちゼロ濃度又は検出のレベル未満で働く。
【0069】
候補薬剤は、多数の化学分類を包含するが、典型的には、有機分子、好ましくは100より多く約2,500ダルトン(D)未満の分子量を有する小有機化合物である。好ましい小分子は、2000未満、又は1500未満若しくは1000未満又は500D未満である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、通常、少なくとも1個のアミン、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシル基、好ましくは少なくとも2個の官能化学基を含む。候補薬剤は、1個以上の上記官能基で置換されている環式炭素若しくはヘテロ環式構造及び/又は芳香族若しくは多芳香族構造を含むことが多い。候補薬剤は、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、その誘導体、構造類似体又は組合せを含む生物分子の中からも見出される。
【0070】
候補薬剤は、合成又は天然化合物のライブラリーを含む種々多様な起源から得られる。例えば、ランダムオリゴヌクレオチドの発現を含む種々多様な有機化合物及び生物分子のランダム及び定方向合成に多数の手段が利用可能である。代わりに、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり、又は容易に製造される。さらに、天然の又は合成的に生成されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段によって容易に修飾される。公知の薬物を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化のような定方向又はランダム化学修飾に供して構造類似体を生成することができる。
【0071】
好ましい実施形態では、候補生物活性薬剤がタンパク質である。ここで、“タンパク質”は、少なくとも2つの共有結合したアミノ酸を意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド及びペプチドを包含する。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸とペプチド結合、又は合成ペプチド擬態構造で構成される。従って、本明細書で使用する場合、“アミノ酸”、又は“ペプチド残基”は、天然に存在するアミノ酸と合成アミノ酸の両者を意味する。例えば、ホモ−フェニルアラニン、シトルリン及びノルエロイシンは、本発明の目的でアミノ酸とみなされる。“アミノ酸”は、プロリン及びヒドロキシプロリンのようなイミノ酸残基をも包含する。側鎖は、(R)又は(S)立体配置のいずれかでよい。好ましい実施形態では、アミノ酸は(S)又はL−立体配置である。天然に存在しない側鎖を使用する場合、非アミノ酸置換基を使用して、例えば、インビボ分解を阻止又は遅延させることができる。
【0072】
好ましい実施形態では、候補生物活性薬剤は、天然に存在するタンパク質又は天然に存在するタンパク質のフラグメントである。従って、例えば、タンパク質含有細胞抽出物、又はタンパク質性細胞抽出物のランダム若しくは定方向消化物を使用することができる。このように、本発明の方法のスクリーニング用に多細胞真核生物タンパク質のライブラリーを作ることができる。この実施形態で特に好ましくは、多細胞真核生物タンパク質、及び哺乳類タンパク質のライブラリーであり、後者が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、候補生物活性薬剤は、約5〜約30個のアミノ酸、好ましくは約5〜約20個のアミノ酸、特に好ましくは約7〜15個のアミノ酸のペプチドである。ペプチドは、概要を上述したような天然に存在するタンパク質の消化物、ランダムペプチド、又は“偏りのある”ランダムペプチドでありうる。本明細書の“ランダム化”又は文法的な同等語は、各核酸及びペプチドが、それぞれ本質的にランダムなヌクレオチド及びアミノ酸から成ることを意味する。一般にこれらランダムペプチド(又は後述する核酸)は化学的に合成されるので、いずれの位置にも、いずれのヌクレオチド又はアミノ酸も組み込むことができる。合成プロセスを設計して、ランダム化タンパク質又は核酸を生成し、該配列の長さにわたる可能な組合せの全部若しくは大部分を形成し、ひいてはランダム化候補生物活性タンパク質性薬剤のライブラリーを形成することができる。
【0074】
一実施形態では、ライブラリーは完全にランダム化され、どの位置にも配列優先度又は定常性がない。好ましい実施形態では、ライブラリーが偏っている。すなわち、配列内のいくつかの位置は定常に保持され、又は限定数の可能性から選択される。例えば、好ましい実施形態では、ヌクレオチド又はアミノ酸残基は、定義された、例えば疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏った(小さいか又は大きい)残基の分類内で、核酸結合ドメインの生成に向け、システインの生成に向け、架橋のため、SH−3ドメイン用のウロリン、リン酸化部位用のセリン、スレオニン、チロシン若しくはヒスチジン等、又はプリン等にランダム化される。
【0075】
好ましい実施形態では、候補活性薬剤は核酸である。
タンパク質について一般的に上述したように、核酸候補生物活性薬剤は、天然に存在する核酸、ランダム核酸、又は“偏りのある”ランダム核酸でありうる。例えば、タンパク質について概要を述べたように、原核生物又は真核生物ゲノムの消化物を使用することができる。
好ましい実施形態では、候補生物活性薬剤は、文献で入手可能な種々多様の
有機化学成分である。
【0076】
好ましい実施形態では、アンチセンスRNA及びDNAを特定のLTRPC7遺伝子のインビボ発現を遮断するための治療薬として使用することができる。細胞膜で制限される摂取によってそれらの細胞内濃度が低いにもかかわらず、インヒビターとして作用する細胞中に短いアンチセンスオリゴヌクレオチドを移入できることは既に示されている(Zamecnikら,(1986),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4143−4146)。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えばその負に荷電しているリン酸ジエステル基を非荷電基で置換することで修飾してその摂取を促進することができる。好ましい実施形態では、LTRPC7アンチセンスRNA及びDNAを使用して、mRNAへのLTRPC7遺伝子転写を妨げ、タンパク質へのLTRPC7 mRNAの翻訳を阻害し、かつ既存のLTRPC7タンパク質の活性を遮断することができる。
【0077】
本明細書で使用する場合、多価カチオン指標は、容易に細胞膜を透過し、又は他の様式で、例えばリポソーム等を介して細胞中に運ばれやすい分子であり、細胞に入ると、多価カチオンとの接触によって促進されるか又はクエンチされる蛍光を示す。本発明で有用な多価カチオン指標の例は、Haugland,R.P.Handbook of Fluoresent Probes and Reserch Chemicals.第6版,Molecular Probes,Inc Eugene,OR,pp.504−550(1996);(http://www.probes.com/handbook/sections/2000.html)に詳述されており、参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。
【0078】
結合分析の好ましい実施形態では、例えば蛍光、化学発光、化学、若しくは放射性シグナルでLTRPC7又は候補生物活性薬剤を標識して、候補薬剤のLTRPC7に対する結合を検出する手段を与える。標識は、アルカリホスファターゼ若しくは西洋わさびペルオキシダーゼのような酵素でもよく、適宜の物質と共に与えると検出可能な産物を生成する。代わりに、標識は、酵素と結合するが、該酵素によって触媒されず或いは変わらない酵素インヒビターのような標識化合物又は小分子でよい。標識は、エピトープタグ又は特異的にストレプトアビジンに結合するビオチンのような成分又は化合物でもよい。ビオチンの例では、上述したようにストレプトアビジンを標識し、それによって、結合したLTRPC7に検出可能なシグナルを与える。技術的に公知なように、解析前に非結合標識ストレプトアビジンを除去する。代わりに、LTRPC7を表面に固定化又は共有結合させ、かつ標識候補生物活性薬剤と接触させることができる。代わりに、候補生物活性薬剤のライブラリーをバイオチップに固定化又は共有結合させ、かつ標識LTRPC7と接触させることができる。バイオチップを利用する手順は、技術的に周知である。
【0079】
好ましい実施形態では、無処置細胞内、好ましくはLTRPC7をコードする核酸と、そこに作動可能に結合された誘導性プロモーターを含むベクターで形質転換されているHEK−293細胞内でLTRPC7のイオン透過性を測定する。誘導前に細胞内イオンの内因性レベルを測定し、誘導後に測定する細胞内イオンのレベルと比較する。fura−2のような蛍光分子を用いて細胞内イオンレベルを検出することができる。この分析法で、マンガンのような重金属イオンに対するLTRPC7透過性を測定することができる。
【0080】
好ましい実施形態では、どのタイプのイオンチャンネルのイオン透過性も、無処置細胞内、好ましくはLTRPC7をコードする核酸と、そこに作動可能に結合された誘導性プロモーターを含むベクターで形質転換されているHEK−293細胞内で測定することができる。誘導前に細胞内イオンの内因性レベルを測定し、誘導後に測定する細胞内イオンのレベルと比較する。fura−2のような蛍光分子を用いて細胞内イオンレベルを検出することができる。この分析法で、マンガンのような重金属イオンに対するLTRPC7透過性を測定することができる。このシステムを用いて、LTRPC7について述べたような組換えイオンチャンネルのイオン透過性を調節する候補生物活性薬剤を同定することもできる。
【0081】
細胞内のLTRPC7の発現レベルを調節する候補生物活性薬剤をスクリーニングするための好ましい実施形態では、細胞内のLTRPC7の発現を完全に抑制し、それによって細胞の表現型を変える候補薬剤を使用することができる。さらに好ましい実施形態では、細胞内のLTRPC7の発現を促進し、それによって細胞の表現型を変える候補薬剤を使用することができる。これら候補薬剤の例としては、アンチセンスcDNA及びDNA、調節結合タンパク質及び/又は核酸、並びにLTRPC7をコードする核酸の転写又は翻訳を調節する本明細書で述べる他の候補生物活性薬剤のいずれも挙げられる。
【0082】
一実施形態では、本発明は、ヒトLTRPC7ポリペプチド上の独特なエピトープ、例えば、配列番号:1(図12)の1〜約1865のアミノ酸を含むタンパク質の独特なエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、マウスLTRPC7ポリペプチド上の独特なエピトープ、例えば、配列番号:4(図15)の1〜約1863のアミノ酸を含むタンパク質の独特なエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号:1(図12)のヌクレオチド757〜855又は942〜956又は1018〜1070を含むヒトLTRPC7細胞外ドメイン由来のエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号:4(図15)のヌクレオチド774〜854又は942〜955又は1018〜1070を含むマウスLTRPC7細胞外ドメイン由来のエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。
【0083】
抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、ポリクロナール抗体を含むことができる。ポリクロナール抗体の調製方法は、当業者には公知である。例えば、免疫化剤、及び所望によりアジュバントの1回以上の注射によって、ポリクロナール抗体を哺乳類内で産生させることができる。典型的には、複数回皮下若しくは腹腔内注射で、免疫化剤及び/又はアジュバントを哺乳類に注射する。免疫化剤は、LTRPC7ポリペプチド又はその融合タンパク質を含むことができる。免疫化する哺乳類で免疫原性であることが分かっているタンパク質に免疫化剤を複合させることが有用である。このような免疫原性タンパク質の例としては、限定するものではないが、鍵穴カサガイヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、及び大豆トリプシンインヒビターが挙げられる。利用可能なアジュバントの例としては、フロイント完全アジュバント及びMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成コリノミコール酸トレハロース)が挙げられる。当業者は、過度に実験することなく、免疫化手順を選択することができる。
【0084】
抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、さらにモノクロナール抗体を含みうる。モノクロナール抗体は、Kohler及びMilstein,Nature,256:495(1975)によって記述されているようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、通常免疫化剤でマウス、ハムスター、又は他の適宜の宿主動物を免疫化し、該免疫化剤に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生可能なリンパ球を誘発する。代わりに、リンパ球をインビトロ免疫化することができる。
【0085】
免疫化剤は、通常LTRPC7ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般に、ヒト起源の細胞が望ましい場合は末梢血リンパ球(“PBLs”)を使用し、非ヒト哺乳類起源の細胞が望ましい場合は脾臓細胞又はリンパ節細胞を使用する。そして、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて、リンパ球を不死化細胞系と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する[Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986)pp.59−103]。不死化細胞系は、通常形質転換された哺乳類細胞、特にげっ歯類、ウシ及びヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウス骨髄腫細胞系を利用する。好ましくは非融合不死化細胞の成長又は生存を阻害する1種以上の物質を含有する適切な培養液中でハイブリドーマ細胞を培養することができる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ用培養液は、通常ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(“HAT培地”)、これら物質は、HGPRT−欠乏細胞の成長を妨げる。
【0086】
好ましい不死化細胞系は、効率的に融合し、選択した抗体産生細胞によって抗体の安定した高レベル発現を支持し、かつHAT培地のような培地に感受性な細胞系である。さらに好ましい不死化細胞系は、マウス骨髄腫系であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California及びAmerican Type Culture Collection,Rockville,Marylandから得ることができる。ヒトモノクロナール抗体の生産用のヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系も記述されている[Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51−63]。
【0087】
そして、ハイブリドーマ細胞を培養する培養液をLTRPCポリペプチドに対向しているモノクロナール抗体の存在について分析することができる。好ましくは、該ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクロナール抗体の結合特異性は、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のような免疫沈降法又はインビトロ結合アッセイによって決定する。このような方法及びアッセイは技術的に公知である。例えば、モノクロナール抗体の結合親和性はMuson及びPollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード解析によって決定することができる。
【0088】
所望のハイブリドーマ細胞を同定後、限界希釈手順によってクローンをサブクローン化し、かつ標準的な方法[Goding,前出]で成長させることができる。この目的に好適な培地としては、例えばダルベッコの変性イーグル培地及びRPMI−1640培地が挙げられる。代わりに、ハイブリドーマ細胞を哺乳類の腹水としてインビボ成長させることができる。
サブクローンによって分泌されたモノクロナール抗体は、例えば、タンパク質A−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、透析法、又はアフィニティークロマトグラフィーのような通常の免疫グロブリン精製手順によって、培養液又は腹水から単離又は精製することができる。
【0089】
モノクロナール抗体は、米国特許第4,816,567号で述べられているような組換えDNA法によっても調製することができる。本発明のモノクロナール抗体をコードするDNAは、通常の手順によって(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることで)、容易に単離かつ配列決することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい起源として役立つ。一度単離すると、該DNAを発現ベクター中に配置し、そうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないシミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、この組換え宿主細胞内でモノクロナール抗体の合成を達成することができる。また、例えば、相同性マウス配列に代えてヒト重鎖及び軽鎖定常部のコード配列で置換することによって[米国特許第4,816,567号;Morrisonら,前出]又は非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべて又は一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合させることによって、DNAを修飾することもできる。このような非免疫グロブリンポリペプチドを本発明の抗体の定常部と置換し、又は本発明の抗体の一抗原結合部位の可変部と置換してキメラ二価抗体を創造することができる。
【0090】
抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、さらに一価抗体を含むことができる。一価抗体の調製方法は技術的に周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び修飾重鎖の組換え発現を含む。一般に、重鎖の架橋を阻止するように、FC領域のいずれかの位置で重鎖の先端を切取る。代わりに、関連するシステイン残基を別のアミノ酸残基と置換し、又は欠失させて架橋を阻止する。インビトロ法も一価抗体の調製に適する。抗体のフラグメント、特にFabフラグメントを生成するための抗体の消化は、技術的に公知の常用手技によって達成することができる。
【0091】
抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含むことができる。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその非ヒト免疫グロブリン由来の最少配列を含むフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)若しくは抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基で置換されている。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されたCDR若しくはフレームワーク配列にも見られない残基を含むこともできる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常2つの可変部の実質的にすべてを含み、該CDR領域のすべて又は実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、かつFR領域のすべて又は実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常部(Fc)、通常ヒト免疫グロブリンの定常部の少なくとも一部をも含む[Jonesら,前出,Nature,321:522−525(1986);Riechmannら,Nature,332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992)]。
【0092】
非ヒト抗体をヒト化する方法は技術的に周知である。通常、ヒト化抗体は、非ヒトである起源から抗体の中に導入される1つ以上のアミノ酸残基を有する。この非ヒトアミノ酸残基は、しばしば“移入”残基と呼ばれ、通常“移入”可変部から取られる。ヒト化は、Winter及び共同研究者の方法に従い [Jonesら,Nature,321:522−525(1986);Riechmannら,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら,Science,239:1534−1536(1988)]、ヒト抗体の対応配列をげっ歯類CDRs又はCDR配列で置換することによって本質的に達成することができる。従って、このような“ヒト化”抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、無処置ヒト可変部より実質的に少なく、非ヒト種由来の対応配列によって置換されている。実際に、ヒト化抗体は、通常いくつかのCDR残基及び可能ないくつかのFR残基が、げっ歯類抗体中の類似部位由来の残基で置換されているヒト抗体である。
【0093】
ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリーを含む技術的に公知の種々の方法を用いて産生させることもできる[Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら,J.Mol.Biol.,222:581(1991)]。Coleら及びBoernerらの方法もヒトモノクロナール抗体の調製に利用できる[Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)及びBoernerら,J.Immunol.,147(1);86−95(1991)]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座のトランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているマウス中への導入によって調製することができる。抗原投与すると、ヒト抗体産生が観察され、遺伝子再配列、集合、及び抗体レパートリーを含め、あらゆる点でヒトに見られる場合と酷似している。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016号、及び以下の科学出版物に記述されている:Marksら,Bio/Technology 10,779−783(1992);Lonbergら,Nature 368 856−859(1994);Morrison,Nature 368,812−13(1994);Fishwildら,Nature Biotechnology 14,845−51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996);Lonberg及びHuszar,Intern.Rev.Immunol.13 65−93(1995)。
【0094】
抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、さらにヘテロ複合抗体を含みうる。ヘテロ複合抗体は、2個の共有結合した抗体で構成される。このような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対する免疫系細胞を標的するため[米国特許第4,676,980号]、及びHIV感染の治療のため[WO 91/00360;WO 92/200373;EP 03089]に提案されている。この抗体は、架橋剤を伴う方法を含む合成タンパク質化学で公知の方法によってインビトロ調製できると考えられる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応により、又はチオエーテル結合を形成することで作製することができる。この目的に好適な試薬の例としては、イミノチオレート及びメチル−4−メルカプトブチルイミデート並びに例えば、米国特許第4,676,980号に開示されているものが挙げられる。
【0095】
さらなる実施形態では、抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は種々の用途を持ちうる。例えば、抗−LTRPC7ポリペプチド抗体は、LTRPC7ポリペプチドの診断アッセイ、例えば、その特異的細胞、組織、又は血清内での発現の検出に使用することができる。均一相又は不均一相で行われる競合結合アッセイ、直接若しくは間接サンドイッチアッセイ及び免疫沈降アッセイのような技術的に公知の種々の診断アッセイ法を使用することができる[Zola,Monoclonal Antibocies:Manual of Techniques,CRC Press,Inc.,(1987)pp.147−158]。診断アッセイで使用する抗体は、検出可能成分で標識することができる。検出可能成分は、直接又は間接的に検出可能なシグナルを生成できなければならない。例えば、検出可能な成分は、H、14C、32P、35S、又は125Iのような放射性同位体、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、若しくはルシフェリンのような蛍光若しくは化学発光化合物、又はアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ若しくは西洋わさびペルオキシダーゼのような酵素でよい。抗体を検出可能成分に複合させるため技術的に公知のいずれの方法も利用することができ、Hunterら,Nature,144:945(1962);Davidら,Biochemistry,13:1014(1974);Painら,J.Immunol.Meth.,40:219(1981);及びNygren,J.Histochem.and Cytochem.,30:407(1982)に記述されている方法が挙げられる。
さらに、本発明の方法でLTRPC7抗体を使用して、該抗体の、多価カチオンに対するLTRPC7チャンネルの透過性を調節する能力をスクリーニングすることができる。
【0096】
(実施例)
実施例で言及する商業的に入手可能な試薬は、特に指摘しない限り、製造業者の手引きに従って使用した。
実施例1:cDNAsの単離及び配列解析。ヒトLTRPC7の一部の配列をリンパ球ESTライブラリーから同定したら、対応するESTクローンを購入して配列決定した(受入れ番号AA419407を得た)。AA419407の5’又は3’末端からの部分的な配列を用いてGeneTrapperII法(Life Technologies)により白血球、脾臓、及び腎臓ライブラリーをスクリーニングし、それぞれのmRNAの5’及び3’末端に向けて元の配列を伸長させた。生成したクローンを、標準的な蛍光ジデオキシ配列決定法を用いて両方向に配列決定し、Assrmbylign(Oxford Molecular,London,UK)を用いて一部のコンティグを構築した。LTRPC7では、まず多数のより短いクローンの末端配列から得たいくつかの配列確認を有するAS8、GT2、B5、及びD2と命名された4つの重なりクローンの配列から利用可能なコード配列を構築した。我々は、同様のアプローチでマウスLTRPC7転写物をもクローン化し、MA7及びMA5と命名された2つの重なりクローンから完全配列コンティグを構築した。予測マウスLTRPC7タンパク質は、ヒト型と、〜95%のアミノ酸同一性を示した。完全なマウス及びヒトLTRPC7 cDNA配列及び予測タンパク質は、公開前にGenbankに寄託される。予測タンパク質及び疎水性解析は、Macvectorプログラム(Oxford Biotechnology)を用いて得、膜貫通スパニング領域の予測は、EMBnetENRfu12でTMpredプログラムを用いて行い、コイルドコイル解析は、ISRECコイルサーバーENRfu13を用いて行い、かつBLASTアラインメントは、NCBIアドバンストBLASTサーバーを用いて得た。
【0097】
実施例2:ノーザンブロット法。ヒト組織及び細胞系用の多組織ノーザンブロットは、Clontech(Palo Alto,CA)から得、製造業者の手順に従ってすべてのハイブリダイゼーションを行った。LTRPC7ノーザンブロットは、クローンAS8から利用可能なLTRPC7コード配列の最大の5’末端に対応する500bpフラグメントから製造したdUTP標識RNAプローブを用いて行った。このプローブは、Ambion(Austin,TX)からのT7−定方向RNAプローブ合成キットを用いて生成した。
【0098】
実施例3:RT−PCR発現解析。RT−PCR解析は、製造業者の手順に従い、指示されたヒト組織cDNAライブラリーから行った(Life Technologies,Gaithersburg,MD)。LTRPC7では、使用したオリゴは、278bpバンドを生成するためのGTCACTTGGAAACTGGAACC及びCGGTAGATGGCCTTCTACTGだった。PCRは、標準的な方法を用い、30秒間94度、30秒間55度、及び60秒間72度の30サイクルを行った。正確な大きさのバンドの臭化エチジウム染色の近似強度を、1−2+から目視評価した。この反応で使用したLTRPC7プライマーは、初期EST配列から生成されており、次のクローンから得られるLTRPC7配列の対応領域に基づくプライマーの5’末端に単一の塩基対ミスマッチを含むことに留意せよ。
【0099】
実施例4:真核生物発現構成物、形質移入。真核生物細胞内でLTRPC7を発現させる目的で、PCRを使用して、2つの重なりマウスLTRPC7クローンからエピトープ標識発現構成物を生成した。開始メチオニンを除去し、それをコザック配列、FLAGタグ及び付加配列GCGGCCGCATで置換し、かつ終止コドンの直後にSpeI部位を置くことによってLTRPC7コード配列を修飾した。この修飾の結果、以下のアミノ酸配列で開始する発現タンパク質となる:MGDYKDDDDKRPHに次いで、第2アミノ酸で開始するマウスLTRPC7コード配列。この構成物は、β−アクチンプロモーターから構成性LTRPC7発現させるpAPuroベクターから、及びCMVプロモーターからテトラサイクリン−制御発現させるpcDNA4/TOベクターから発現された。FLAG−LTRPC7/pAPuroベクターを用いていくつかの細胞系内におけるLTRPC7の発現を試みたが、過渡的な発現実験では、非常に低い発現しか観察されず、安定クローン内では、どんな時も発現が観察されなかった。エレクトロポレーションによって、tetリプレッサータンパク質を発現するHEK−293細胞中にFLAG−LTRPC7/pCDNA4/TO構成物を形質移入し、ゼオシン(zeocin)内でクローンを選択した。テトラサイクリン−誘導FLAG−LTRPC7発現の解析のためいくつかの抵抗性クローンを選択した。pApuro−媒介構成性発現ではLTRPC7を発現させられないことから予想されるように、すべてのクローンは、低く/検出できない基礎発現を有し、かつすべてのクローンがFLAG−LTRPC7タンパク質を発現し、引き続きテトラサイクリン/ドキシサイクリン誘導の数日後に成長阻止及び有意な毒性効果を示すことが分かった。次の電気生理学解析のため、最高の誘導性発現を伴うクローンを選択した。
【0100】
実施例5:免疫沈降及びSDS/PAGE−ウエスタンブロット法。抗−FLAG免疫沈降は、10個のHEK−293細胞のライセートから行った。免疫沈降タンパク質を溶解緩衝液で3回洗浄し、6%ポリアクリルアミドゲルを用いるSDS/PAGEで分離し、PVDF膜に移し、かつ抗−FLAG免疫ブロット法で解析した。全手順は、前述したENRfu14のような標準的な方法を用いた。
【0101】
実施例6:LTRPC7が誘導性欠乏しているDT−40細胞の生成。低厳密性条件下、プローブとして推定膜貫通領域を含む0.5−kbのマウスLTRPC7 cDNAフラグメントを用いてλFIXIIニワトリゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、ニワトリLTRPC7ゲノムフラグメントを得た。通常のターゲティングベクター(LTRPC7を不活性化させるpLTRPC7−hisD及びpLTRPC7−bsr)は、推定膜貫通領域の一部に対応するゲノムフラグメント含有エキソンをhisD又はbsrカセットで置換して構築した。これらカセットを、5’及び3’側のそれぞれ3.5及び5.7kbのニワトリLTRPC7ゲノム配列に隣接させた。誘導性ターゲティングベクター、pLTRPC7−neo/loxPを生成するため、HSVチミジンキナーゼ及びloxP隣接pGK−neoを有するベクターpKSTKNEOLOXP用の2つのloxP部位間にLTRPC7の推定膜貫通領域を挿入した。そして、loxP隣接領域の3.5−kbフラグメント5’上流及び2.6−kbフラグメント3’下流を挿入した。
【0102】
主文で簡単に述べたように、ltrpc7遺伝子内で遺伝的に欠乏性のDT−40細胞を生成する最初の試みでは、ターゲティング構成物、pLTRPC7−bsr及びpLTRPC7−hisDを引き続きDT−40細胞中に導入した。pLTRPC7−bsrを用いることによる最初の対立遺伝子ターゲティングは高頻度で(71%)成功したが、2つの標的対立遺伝子を隠しているクローンは、pLTRPC7−hisDによる数ラウンドの形質移入後には得られなかった。pLTRPC7−hisDによる形質移入は、最初の対立遺伝子ターゲティングにも働いたので、これら結果は、ltrpc7遺伝子の不活性化は、DT−40細胞の致死性につながることを示唆している。
【0103】
これら結果に基づき、ltrpc7遺伝子の破壊のためにCre−loxP系を利用した。タモキシフェン−調節キメラCre酵素ENRfu15をコードする発現プラスミドpANMerCreMer−hygを線状にし、野生型DT−40中に導入した。ハイグロマイシンBの存在下(2mg/ml)形質移入体を選択し、誘導性−Cre発現についてウエスタンブロット解析で抵抗性クローンをスクリーニングした。そして、この誘導性−Creを発現するクローン中にpLTRPC7−neo/loxPを形質移入し、ハイグロマイシンB(2mg/ml)とG418(2μg/ml)の両方で選択した。サザンブロット解析によるターゲティングの成功を確認後、細胞を200nMタモキシフェンの存在下培養してCre−媒介組換えの可能性を調べた。そして、pTRPC7−hisDを可能なクローン中に形質移入し、ハイグロマイシンB(2mg/ml)、G418(2mg/ml)及びヒスチジノール(0.5mg/ml)で選択した。
【0104】
実施例7:電気生理学。パッチ−クランプ実験では、カバーガラス上で成長した細胞を記録チャンバーに移し、以下の組成(mMで)の標準的な変性リンゲル液内で保持した:NaCl 145、KCl 2.8、CsCl 10、CaCl 1、MgCl 2、グルコース 10、Hepes・NaOH 10、pH7.2。公称Ca2+及び/又はMg2+のない細胞外溶液又は等張Ca2+溶液(120mM CaCl)を広い付刃ピペットから圧力放出によって加えた。細胞内ピペット充填溶液は以下を含んでいた(mMで):Cs−グルタミン酸 145、NaCl 8、MgCl 1、Cs−BAPTA 10、CsOHでpH7.2に調整。数実験では、Cs−グルタミン酸を等量のK−グルタミン酸又はN−メチル−D−グルタミン−クロライドで置換した。パッチ−クランプ実験は、21〜25℃で密封全細胞配置で行った。高分解能電流記録は、コンピュータ配備パッチ−クランプ増幅器システムで得た(EPC−9,HEKA,Lambrecht,独国)。Sylgard−コートパッチピペットは、標準的な細胞内溶液で充填後2〜4Mの抵抗を持っていた。全細胞配置の確立直後、200〜400秒の時間にわたって0.5Hzの割合で、0mVの保持電位から−100〜+100の電圧範囲に及ぶ50msの持続時間の電圧ランプを与えた。内部溶液がグルタミン酸を含む場合は、すべての電圧を内外溶液間の10mVの液界電位について補正した。電流を2.3kHzで透過し、100μs間隔でデジタル化した。容量性電流及び直列抵抗を決定し、EPC−9の自動容量補正によって各電圧ランプ前に補正した。−80mV又は+80mVの電圧で電流振幅を測定することによって、個々のランプ電流記録から、所定電位における低分解能暫時発生電流を抽出した。
【0105】
実施例8:他の二価金属イオンによる10mM Ca2+の等モル置換。LTRPC7は、負の膜電位で二価カチオン選択性であるイオンチャンネルを意味し、その活性はMg・ヌクレオチドの分子内レベルで調節される(Nadlerら,2001)。このチャンネルは、すべての二価イオンを除去すると容易に一価イオンを透過するが、生理的条件下でLTRPC7によって運ばれる内向き電流は、大部分、優性な細胞外イオン種Ca2+及びMg2+によって運ばれる。それゆえに、LTRPC7によって運ばれるイオン電流は、MagNuMと命名された(マグネシウム・ヌクレオチド−調節金属イオン電流)。LTRPC7の他の二価イオンに対する透過特性を評価するため、10mM Ca2+が10mMの他の二価カチオンで置換されている場合の置換実験でイオン電流を測定した(図7)。この実験では、LTRPC7を発現するHEK−293細胞を、10mM Ca2+を含み、Mg2+のない浴溶液内に保ち、以前に述べられているような(Nadlerら,2001)全細胞パッチ−クランプでMagNuMの発生を監視した。電流が最大振幅に達したとき、吹きピペットで加えた10mMの試験カチオンを含む細胞外溶液に、細胞を60秒間過渡的にさらした。
【0106】
図7に示されるように、10mM二価遷移金属イオンの等モル置換実験の結果、LTRPC7−媒介の内向き及び外向き電流の特徴的な変化をもたらした。発現レベルにおける変異の応答及び補正をよりよく比較するため、Ca2+置換直前の電流値を1に設定して、内向き電流の変化が10mM Ca2+の電流値に関係するように、外向き及び内向きの両電流を規準化した。一般に、すべての試験した二価金属イオンは、負の膜電位でのLTRPC7の透過において、少なくともCa2+と同程度に効率的であり、Ca2+よりかなり効率的である場合さえあった。内向き及び外向きの両電流挙動を考慮すると、二価金属イオンの効果を以下の3群におおまかに分類することができる。第1群、Zn2+及びNi2+は、内向き電流を大きく増加させると共に外向き電流を遮断した(図7A)。Zn2+及びNi2+は共に、内向き電流の増加がCa2+と比べて3倍大きく(図7D)、一方外向き電流の阻害は、Ni2+よりZn2+であまり明白でなかった。また、有意なBa2+内向き電流も観察したので(図7C及び7D)、このイオンを第1群に置いてもよいが、Ba2+は外向き電流を抑制しなかったので、代わりにこのイオンは、外向き電流の抑制に同様に効果のない他の二価体を保持する第3群に配置することを選んだ。第2群、Co2+、Mg2+、及びMn2+は、内向き電流の増加のより適度な(2倍未満)増加を特徴とするが、この場合もやはり外向き電流の遮断を伴う(図7B及び7D)。外向き電流の最高の遮断はMg2+によって起こり、部分的に、MagNuM電流の強い独立サプレッサーであることを前述した(Nadlerら,2001)[Mg2+]iの増加に起因すると考えられる。また、この効果は、初期増加後に観察されるMg2+内向き電流の進行性減衰の根底にありうる。最初の2群とは対照的に、第3群、Ba2+、Sr2+、及びCd2+は、内向き電流の増加を適度にするためにわずかに伴う外向き電流の増加によって区別される(図7C及び7D)。これより、上記観察された電流変化は、上記試験した各二価カチオンに対する透過性がCa2+又はMg2+のどちらかと同じ又はより高いLTRPC7と非常に一致していると結論することができる。
【0107】
内向き電流変化の解釈は、上記実験が、二価イオンと一緒に例えばNaイオンを共輸送させるであろう可能なイオン−イオン相互作用を除外できないので、絶対的であるはずはない。正電位における外向き電流は、二価イオンが細胞に入るための十分な推進力を経験しないので、もはや一価の外向き流動を妨げない電位における一価イオンの電流を意味する(Hille,1992)。その挙動は、(1)正の膜電位で二価イオンによって強いられる透過遮断の程度を決定する、二価イオンのネルンスト平衡電位、及び(2)チャンネルがサイトゾルにアクセスした後のチャンネルの細胞内側における関連する二価イオンの効果を含む、数因子の複雑な相関である。後者の効果は、特に、LTRPC7のゲート制御における補助因子として重要な役割を演じ、それゆえに細胞内に蓄積されればMagNuMを不活性化できるMg2+に関連する。同様に阻害は、Ca2+でも見られ、LTRPC7を透過するための第2の主要な生理的二価カチオンであるが、我々の実験条件下では、[Ca2+]iの阻害作用は、10mM BAPTAを含むことで、より制限されうる。Mg2+も他の二価イオンもこのキレート剤で有意には緩衝しないので、これら二価体のサイトゾルレベルが有意に増加し、それによって外向き方向の一価イオンの遮断を誘発できると考えられる。従って、いずれの二価イオンの外向き電流を遮断するための効力は、透過度の正味の結果及びチャンネル細孔の内口におけるその調節効果である。外向き電流の挙動の解釈に係わる複雑さにかかわらず、上記観察された電流変化は、上記試験した各二価カチオンに対する透過性がCa2+又はMg2+のどちらかと同じ又はより高いLTRPC7と非常に一致していると結論することができる。
【0108】
実施例9:等張溶液内における必須二価微量金属イオンの透過。LTRPC7を通る二価カチオン流入を探索するための等張溶液の使用は、イオン−イオン相互作用から生じる透過特性の複雑化を回避するので、内向き電流の疑いのない解釈を可能にし、維持又は増加する内向き電流は、利用可能な細胞外カチオンの透過とだけ一致しうる。120mMの各二価イオンの等張溶液は、標準浴及びピペット溶液から10mOsm以内の適切な浸透圧を与えた。この一連の実験では、1mM Ca2+及び2mM Mg2+を含有する標準的な細胞外溶液内に細胞を浸した。200秒で、MagNuMが全振幅に達したとき、各遷移金属の等張溶液を60秒間吹きピペットで加えた。
【0109】
選択した等張二価イオン溶液の適用前、中及び後の内向き及び外向き電流の発生は、図8に示される。この実験は、一般に細胞生理に必須の微量金属とみなされる二価イオンの等張溶液が、LTRPC7を通る内向き電流の増加を誘発し、同時に外向き電流を強く抑制したことを実証している。ほとんどすべての場合に、内向き電流は、等張金属溶液にさらした後、前の等張レベルに戻る。
【0110】
実施例10:等張溶液内における毒性二価金属イオンの透過。生理的に関連する微量金属イオンに加え、上記アッセイをBa2+、Sr2+及びNi2+のような毒性金属イオンに拡張した(図9)。これら金属イオンは、LTRPC7を通る有意な内向き電流を異なる程度に維持した。この系列中で最も透過性のイオン種はNi2+だった。等張溶液内で試験したすべての二価イオンの透過順序は、ピークの内向き電流に基づく。Ni2+は、最も透過性のイオンであり、次いでBa2+とSr2+である。これら二価イオンは、Ca2+及びMg2+より効率的に輸送される。全体として、この透過順序は、図7の10mM二価カチオン置換実験で観察されたことと非常によく一致している。
【0111】
次に、LTRPC7を透過しないと疑われる一連の毒性金属イオンについて試験した(図10)。実際に、La3+及びGd3+は共に10mMで有意な透過の徴候がなく、内向き電流を阻害した(図10A及び10B)。外向き電流も完全に抑制されたので、Gd3+は、より強力なインヒビターと考えられる。しかし、このことがサイトゾル側からの外向き電流の二次的な遮断を引き起こすいくらか制限されたGd3+流入に起因するかどうかを決定することが残っている。対照的に、同濃度のLa3+は、強力かつ持続的に内向き電流を阻害するが、外向き電流の抑制はずっと効率が低かった。電圧−又は貯蔵−作動型Ca2+チャンネルを正常に完全抑制するイオン濃度も調べ、10μMのGd3+又はLa3+は、LTRPC7によって運ばれる内向き又は外向き電流の抑制に無効であることが分かった(データ示さず)。
【0112】
LTRPC7を通るCa2+及びMn2+流入及びMg・ATPによる遮断。上記透過データに基づき、LTRPC7は、種々多様な微量及び毒性金属イオンの可能な流入経路とみなさなければならないと結論する。しかし、上記実験は、完全な細胞内カルシウム緩衝作用の条件下で行ったので、LTRPC7が生理的条件下でどのようにして機能するかをよく反映していない。さらに、上記実験は細胞内イオン濃度の直接測定を含まない。そこで、この問題に焦点を当てた2セットの実験を行った。第1に、細胞内Ca2+が緩衝していない状態のままで、かつLTRPC7がパッチピペット[ATP]iの操作によって活性化又は抑制されている条件下でLTRPC7のCa2+透過を分析した。この目的のため、LTRPC7を発現するHEK−293細胞を、Ca2+及びMn2+をそれぞれ2mM有する浴液内で保ち、200μM fura−2を含有するCs−グルタミン酸ベース内部溶液で潅流した。全細胞パッチ−クランプ下、0mVの保持電位から、0.5Hzの割合で50秒にわたって−100〜+100mVに及ぶ反復電圧ランプを送りながらMagNuMの同時発生を監視した。Mg・ATPがピペット内にない場合、MagNuMは、内向き及び外向きの両電流の増加(図11A)及びその特徴的な電流−電圧関係(図11B)によって立証されるように、急速に活性化された。平行して、蛍光測定は、[Ca2+]iの周期的な5秒の−80mV(n=6)への過分極の際に[Ca2+]iが過渡的に増加するので、Ca2+流入に起因する[Ca2+]iの安定した増加を明かにした(図11C)。対照的に、内部溶液が3mM Mg・ATPを含む細胞内では、LTRPC7活性の変化はほとんどなく、この条件下で[Ca2+]iは同様に安定したままだった。この条件下で観察される[Ca2+]iの過分極−作動変化の振幅が暫時減少するのは、fura−2が、その最終濃度200μMでサイトゾルと平衡化するにつれて、Ca2+緩衝化が高まることによると考えられる。ATPのない溶液で潅流したLTRPC7を過剰発現しない対照細胞は、3mM ATPで潅流した細胞と非常によく似た挙動だった(図7Cのドットトレース)。従って、細胞外Ca2+及びMg2+の生理的濃度では、MagNuMの活性化は、LTRPC7を過剰発現する細胞内の有意なCa2+流入を可能にするようである。
【0113】
第2アプローチでは、無処置細胞内におけるLTRPC7活性をfura−2蛍光のMn2+クエンチを用いて分析した(図11D)。この実験では、LTRPC7を過剰発現するHEK−293細胞をfura−2−AMと共に充填し、1mM Ca2+及び2mM Mg2+を有する標準的な外部溶液内に浸した。Ca2+−非依存性蛍光を360nmで監視し(fura−2の等吸収波長)、かつ120秒後、1mM Mn2+、1mM Ca2+、及び0Mg2+を含有する外部溶液を180秒間適用した。ベースラインのクエンチレベルを決定するため、この手順を同一のテトラサイクリン−誘導性組換えLTRPC7構成物で形質移入したが、未誘導のままであるHEK−293細胞に適用した。図11Dに明白に示されるように、1mM Mn2+の適用は、誘導されてLTRPC7を発現しているHEK−293細胞(n=5)では360nmシグナルを明白にクエンチしたが、未誘導細胞内では(n=5)、360nmシグナルのMn2+−誘導クエンチは、際だって劇的に少なかった。最初の60秒間のMn2+露出の線形回帰は、未誘導細胞に比し(2.9%/分)、誘導細胞内で10倍高率のfura−2蛍光のMn2+−誘導クエンチを生じさせた(28%/分)。この結果は、無処置細胞内における基礎的なLTRPC7活性が、Mn2+用の重要な流入経路を構成し、かつ特にMn2+は透過性二価体の順位でかなり低く位置するので、他の透過金属イオンのためにも同様に作用することを示唆している(図9参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】
LTRPC7が推定イオンチャンネルのLTRPC7ファミリーの新規な偏在発現メンバーであることを示す。
【図2】
LTRPC7が細胞機能の基礎であることを示す。
【図3】
LTRPC7がカチオンチャンネルであることを示す。
【図4】
二価イオンによるLTRPC7の透過及び遮断を示す。
【図5】
LTRPC7がATP欠失で活性化されることを示す。
【図6】
ATP欠失−活性化コンダクタンスが偏在性であることを示す。
【図7】
遷移金属による10mM Ca2+の等モル置換を示す。
【図8】
等張溶液中における二価の微量金属の透過性を示す。
【図9】
等張溶液中における毒性二価金属の透過性を示す。
【図10】
三価金属イオンによる透過及び遮断を示している。
【図11】
LTRPC7がCa2+とMn2+の流入経路であることを示す。
【図12】
1〜約1865の配列で構成される組換えLTRPC7タンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号:1)。
【図13】
LTRPC7 cDNAコード化配列の組換え核酸分子を示す(配列番号:2)。
【図14】
1〜約7,259の核酸配列で構成されるLTRPC7遺伝子の組換え核酸分子を示す(配列番号:3)。
【図15】
1〜約1863の配列で構成される組換えLTRPC7タンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号:4)。
【図16】
LTRPC7 cDNAコード化配列の組換え核酸分子を示す(配列番号:5)。
【図17】
1〜約7,123の核酸配列で構成されるLTRPC7遺伝子の組換え核酸分子を示す(配列番号:6)。

Claims (34)

  1. LTRPC7に結合可能な候補生物活性薬剤のスクリーニング方法であって、以下の工程:
    a)LTRPC7タンパク質又はそのフラグメントを、前記候補薬剤と接触させる工程;及び
    b)前記候補薬剤の前記LTRPC7タンパク質又はそのフラグメントに対する結合性を決定する工程
    を含む方法。
  2. 2種以上の前記候補薬剤のライブラリーを、前記LTRPC7タンパク質又はそのフラグメントと接触させる、請求項1の方法。
  3. 前記LTRPC7タンパク質が、配列番号:1のアミノ酸1〜1865又は配列番号:4のアミノ酸1〜1863を含む、請求項1の方法。
  4. 前記LTRPC7タンパク質が、配列番号:3の配列272〜5869又は配列番号:6の配列255〜5846を含む核酸によってコードされる、請求項1の方法。
  5. 候補生物活性薬剤のスクリーニング方法であって、以下の工程、
    a)LTRPC7チャンネルを、前記候補薬剤と接触させる工程、及び
    b)前記薬剤が、前記LTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性を調節するかどうかを検出する工程
    を含む方法。
  6. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルを開く、請求項5の方法。
  7. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルを閉じる、請求項5の方法。
  8. 前記多価カチオンが、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+から成る群より選択される、請求項5の方法。
  9. LTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性を調節可能な候補生物活性薬剤のスクリーニング方法であって、以下の工程:
    a)LTRPC7をコードする核酸を含む組換え核酸と、この組換え核酸に作動可能に連結している、前記LTRPC7を発現させることのできる誘導性プロモーターと、さらに多価カチオン指標とを含む組換え細胞を供給する工程;
    b)前記組換え細胞を誘導して、前記LTRPC7を発現させる工程;
    c)前記組換え細胞を、多価カチオン及び前記候補薬剤と接触させる工程;及びd)前記多価カチオンの細胞内レベルを、前記指標で検出する工程
    を含む方法。
  10. 前記接触が、前記候補薬剤の後に前記多価カチオンとの接触である、請求項9の方法。
  11. 前記多価カチオンが、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+から成る群より選択される、請求項9の方法。
  12. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルの前記多価カチオン透過性を高める、請求項9の方法。
  13. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルの前記多価カチオン透過性を低減する、請求項9の方法。
  14. 前記指標が、蛍光分子を含む、請求項9の方法。
  15. 前記蛍光分子が、fura−2を含む、請求項14の方法。
  16. 前記検出が、さらに、未誘導組換え細胞内における細胞内多価カチオンレベルに対する前記細胞内多価カチオンレベルを含む、請求項9の方法。
  17. LTRPC7チャンネルの多価カチオン透過性の測定方法であって、以下の工程:
    a)LTRPC7を発現する組換え核酸と、さらに多価カチオン指標とを含む組換え細胞を供給する工程;
    b)前記組換え細胞を、選択的に前記指標と相互作用してシグナルを生成する多価カチオンと接触させる工程;及び
    c)前記多価カチオンの細胞内レベルを、前記指標シグナルを検出することによって測定する工程
    を含む方法。
  18. 前記指標が、蛍光分子を含む、請求項17の方法。
  19. 前記蛍光分子が、fura−2を含む、請求項18の方法。
  20. 前記多価カチオンが、Zn2+、Ni2+、Ba2+、Sr2+、Co2+、Cd2+、及びMg2+から成る群より選択される、請求項17の方法。
  21. さらに、前記組換え細胞を、候補生物活性薬剤と接触させる工程を含む、請求項17の方法。
  22. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルの前記多価カチオン透過性を高める、請求項21の方法。
  23. 前記調節活性が、前記LTRPC7チャンネルの前記多価カチオン透過性を低減する、請求項21の方法。
  24. 前記測定工程が、さらに、前記細胞内多価カチオンレベルを、組換えLTRPC7を発現しない細胞内の細胞内多価カチオンレベルと比較する工程を含む、請求項21の方法。
  25. 前記測定工程が、さらに、前記細胞内多価カチオンレベルを、組換えLTRPC7を発現しないが、前記候補薬剤と接触している細胞内の細胞内多価カチオンレベルと比較する工程を含む、請求項21の方法。
  26. LTRPC7タンパク質又はそのフラグメントの発現を調節可能な候補生物活性薬剤のスクリーニング方法であって、以下の工程:
    a)LTRPC7タンパク質をコードする組換え核酸を発現可能な組換え細胞を供給する工程;
    b)前記細胞を、前記候補薬剤と接触させる工程;及び
    c)前記組換え核酸の発現に及ぼす前記候補薬剤の効果を決定する工程
    を含む方法。
  27. 前記決定が、前記細胞の表現型である、請求項26の方法。
  28. 前記決定工程が、前記候補薬剤の存在下でLTRPC7の発現レベルを決定する工程と、前記発現レベルを内因性LTRPC7レベルと比較する工程を含む、請求項26の方法。
  29. イオンチャンネルの多価カチオン透過性を調節可能な候補生物活性薬剤のスクリーニング方法であって、以下の工程:
    a)多価カチオン指標を含む細胞を供給する工程;
    b)前記細胞を、多価カチオン及び前記候補薬剤と接触させる工程;及び
    c)前記多価カチオンの細胞内レベルを前記指標で検出する工程
    を含む方法。
  30. 前記調節活性が、前記イオンチャンネルの前記多価カチオン透過性を低減する、請求項29の方法。
  31. 前記調節活性が、前記イオンチャンネルの前記多価カチオン透過性を高める、請求項29の方法。
  32. 前記接触が、最初に前記候補薬剤で、次に前記多価イオンとの接触である、請求項29の方法。
  33. 前記多価カチオン指標がfura−2であり、かつ前記多価カチオンがMn2+である、請求項29の方法。
  34. 前記候補薬剤が、小分子、タンパク質、ポリペプチド又は核酸を含む、請求項1、5、9、17、26、及び29のいずれか1項の方法。
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