JP2004534597A - 体腔内部への制御された深部注入のための方法 - Google Patents
体腔内部への制御された深部注入のための方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、医学的なシステムおよび手法に関し、より詳細には生物の体腔内部表面内へ治療用薬剤を注入するためにそれらを使用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
過去何年にもわたる心臓血管系および心胸郭手術市場の拡大は、主に、心臓切開手術によるバイパス手技の増加によるものであったが、低侵襲手技に関連する製品が出現したことにより市場が新たに成長するきっかけとなっている。医師の絶え間ない受け入れに伴い、これらの技術を用いてこれまでに肯定的な成果が見られたことから、従来の心臓切開手術市場は徐々に衰退していくと考えられる。
【0003】
管理医療に関連する資金および費用削減方策のために、これらの進化を続ける技術および手法は患者に与える外傷の軽減を約束するだけでなく、従来の心臓切開手術に関連する莫大な費用を削減する。装置および使い捨て用品を含む、心胸郭手術の低侵襲的アプローチの市場は、今世紀末まで恐ろしい速度で成長することが予測される。
【0004】
ここ数年で、拍動下での冠状動脈バイパス術およびレーザー心筋内血管再建術(TMR)などの、画期的な技術の実施を始めるセンターの数が世界中で増加している。これらの発展中の手法は、心臓切開手術を受けることができない患者に実行可能な別法を提供することによって、対象としうる患者底辺サイズを拡大する可能性を提供しており、患者の外傷を著しく軽減し、当然のことであるが、より低い費用を約束することにより加速される。
【0005】
骨髄細胞および吸引液は、増殖因子として公知の血管形成ペプチド源と考えられている。また、また、最近の研究は、骨髄細胞は、血管芽細胞に分化する幹細胞を含むことが示されている。血管形成は、既存の毛細管または細静脈から発生することによる新たな血管の出生後の形成を示す。血管形成中、内皮細胞は静止状態の微小血管系(数千日というターンオーバー)から活性化されて、迅速な増殖(数日というターンオーバー)を起こす。
【0006】
現在臨床段階にある1つの技術では、試験は心臓の機能を回復させるために、心臓内に自己由来の骨髄細胞を移植することを使用している。患者の寛骨から吸引によって得られた自己由来の骨髄細胞は、心筋細胞に分化させ心筋機能を回復させるために心室内瘢痕組織へ移植される(S. Tomitaら、Circulation 100:19 Suppl II247-56, 1999)。別の技術において、自己由来の骨髄細胞は採取され、VEGFなどの血管形成増殖因子源として虚血肢または心臓組織に移植される(A. Sasameら、Jpn Heart J, Mar 40:2 165-78, 1999)。
【0007】
種々の種類の骨髄生検、吸引、ならびに移植針および針集成物が提案されており、現在使用されている。それらの多くは、骨髄の芯試料を切断するために使用することができるカニューレ、切断用先端部付きスタイレット、またはトロカールを含む。骨髄の液体試料の採取のために、吸引装置は、骨髄液を吸引するための陰圧を形成するための装置に取り付けられた中空の針を備える。
【0008】
しかし、自己由来の骨髄細胞の採取、精製、および再注入に使用される現在の手法は、3〜4時間の間患者を鎮静させておく必要があり、その間に骨髄吸引液を再注入のために調製する。また、採取される骨髄材料は通常手術室または回復室で吸引され、次いで吸引後実験室に移され、そこで吸引液から骨髄細胞を重力分離するために吸引液を遠心分離器に入れるので、現在の手法は被験者の感染という大きなリスクを伴う。多くの場合、骨髄吸引液は、重力分離用に特別に設計された遠心管に移される。次いで、分離した骨髄細胞を遠心管からシリンジに取り、患者に送達するために回復室または手術室に搬送される。一般に、処理された細胞は、再潅流がカテーテルによって必要とされている生体部位に送達される。例えば、被験者の心筋内への心臓周囲カテーテルによる骨髄細胞の送達は、側副毛細管形成により遮断された動脈にバイパスを形成する手段として血管形成を刺激するために使用することができる。しかし、従来の方法は、移動患者にとってその後の増加した感染リスクを伴う病原菌の導入という別個のリスクのため、吸入部位からの材料を別の部位での治療のため、および/または別の血管内へ移植する。
【0009】
VEGF(血管内皮増殖因子)およびbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)のような血管形成ペプチドも、冠動脈疾患を治療するための臨床試験に入っている。全身性副作用を限定するために、臨床的に関連のある送達手段の工夫および心筋などの虚血組織へのこれらのペプチドの部位特異的送達の達成に対する試みがなされている。典型的には、進行性冠動脈閉塞に罹患している被験者において心筋の側副形成を生じるために、治療用ペプチドをコードするcDNAが心筋内に直接注入されるか、またはcDNAを保有する自己複製欠損アデノウィルス内への送達用に導入される。遮断部位における血管形成ペプチドのインビボ発現のために、このようなアデノウィルスを用いて上記のように得られた自己由来の骨髄細胞をトランスフェクトすることも既知である。しかし、アデノウィルスベクターの取り扱いは、一般に、ベクターを取り扱うおよび/または骨髄細胞にベクターをトランスフェクトする医療チームメンバーに対するリスクと見なされる。このため、現在のやり方は、アデノウィルスの逸出の可能性を抑えるために「フード下で」このような作業を実施することであり、従ってトランスフェクションのために骨髄を実験室に輸送する必要があり、その後トランスフェクトした細胞の再注入のために患者の元に戻される。
【0010】
さらに、VEGFなどの外部から導入される血管形成増殖因子の、被験者によって耐用されうる量は非常に少ない。高用量では、VEGFは血圧低下を生じることが知られている。過剰用量は、少なくとも1つの臨床試験では致死的であることが証明されている。従って、送達される増殖因子の量の厳密な制御は非常に重要である。また、送達部位は、心臓周囲などの体腔内部表面に位置するので、注入針を備えた屈曲式血管内カテーテルが通常使用されるが、治療薬が1つの位置に送達されるように組織表面に実質的に直角に、または治療薬が広い領域に送達される角度で針が侵入するかどうかを確認することは困難である。従って、1つの位置に導入される治療薬の量を制御することは困難である。
【0011】
また、内臓壁に接近するようにカテーテルがたわまされ、カテーテルの有効長を長くする場合、従来のたわみ式注入カテーテルはカテーテル内へ針が撤退する傾向があり、針侵入深度の制御は複雑になる。針の撤退の補正として、カテーテルがたわまされるとき、カテーテル内への針の撤退を許容する追加の距離だけカテーテルの先端部から針を前進させることが現在のやり方である。結果として、針の侵入の正確な深度を制御することが困難となる。心筋内に治療薬を送達するためにカテーテルを心臓周囲空間に前進させる場合、過剰侵入により針が心臓壁を実際に貫通してしまい、治療薬が心筋内に導入されない場合もある。
【0012】
多数の他の治療用物質も体腔内部表面に導入される。例えば、血管形成の逆転は、再潅流手技後の再狭窄予防などの数多くの治療目的のため、または糖尿病性網膜症および癌の治療の際に実施される。抗再狭窄では、新しい血管の成長が遮断または抑制され、新たな組織の形成(例えば、増殖中の腫瘍、ステントまたは人工血管の表面の新生内膜)は、アンギオスタチン、エンドスタチン、またはアンタリン、組織内への細胞増殖を阻害する局所的に投与されるマイトトキシンなどの「逆血管形成(reverse angiogenesis)」剤の導入によって制限または排除される。
【0013】
心臓の血管または心筋などの体腔内部に血管形成剤を注入する問題に取り組むために、種々の種類の組織注入カテーテルが開発されている。例えば、米国特許第6,217,554号は、治療用物質を血管外から送達するように設計されたカテーテルを開示している。血管系を通って前進させられると、カテーテルの前進機序が作動され、横滑りできるように取り付けられた管部材に位置づけられた複数の中空の針を前進させ、針は血管系に侵入し、治療用物質を血管外から送達するために外側に曲がるようにバイアスが加えられている。PCT出願第US99/22679号(国際公開公報第01/24852号)に開示されている別の種類の薬物注入カテーテルは、カテーテル内に含まれる管系に横滑りできるように取り付けられた針を開示しており、虚血組織に血管形成剤を標的化するために、カテーテルの遠位末端部のトランスデューサおよび患者の外部のトランスデューサの追尾システムを使用している。PCT出願第US00/28301号および米国特許第5,782,824号に開示されているさらに別の種類の薬物送達カテーテルは、心筋に接合および侵入するためにカテーテルの近位末端部から作動させることができる遠位らせん状コイルを備える。
【0014】
当技術分野におけるこのような進歩にもかかわらず、血管形成を誘導または抑制するために、自己由来の骨髄を取り扱いおよび処理する際に使用する、ならびに体腔内部、特に血管系および心臓内部または心臓外部に細胞、治療用ペプチドをコードする核酸等を含有する液体を制御して送達するための、新規でより良い装置の必要性が当技術分野において存在する。特に、組織、例えば、体腔壁内へ制御された距離で侵入する注入針を備えた注入カテーテルの必要性が当技術分野において存在する。また、制御された量の治療用物質を体腔内部の規定された領域に注入する、または体腔内部から流体を吸引するように適合された新規でより良いカテーテルの必要性が存在する。本発明はこれらの必要性を満たし、追加の利点を提供する。
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本発明は、それを必要としている被験者の体腔内部表面内へ制御された距離で治療用流体を注入するための方法を提供することによって、当技術分野における多くの問題を克服する。一態様において、制御された深部注入のための翻本発明の方法は
(a)被験者の血管系を介してカテーテルを前進させることによって体腔内部にカテーテルを導入する段階であり、カテーテルは
i)近位末端部、およびその遠位端に柔軟な部分を有する遠位末端部を有し、被験者の体腔内部へ血管内経由で前進させるようなサイズおよび構成の、細長い中空のカテーテル本体、
ii)カテーテル本体全体にわたって収容されており、鋭い先端を有する遠位部分と、流体供給源と流体的に連絡している近位部分とを有し、針の鋭い先端がカテーテル本体内に配置されている後退した針位置と、針の鋭い先端がカテーテル本体の遠位末端面を超えた一定の距離に伸展する前進した針位置とをさらに有する中空の針、
iii)屈曲中に針の遠位部分を固定するが、針の近位部分はカテーテル内で自由に横滑りできるままである、針に取り付けられた針停止部材、ならびに
iv)前進した針位置までの一定距離を遠位方向に針を前進させるために針に取り付けられた前進機序
を備え、
ここで、針停止部材が、前進した針位置に針を前進させるための前進機序の前進作動前の、カテーテルの屈曲時におけるカテーテル本体内への針の遠位部分の撤退を防ぎ、それによって針の鋭い先端部の一定の長さを露出させる段階、
(b)体腔表面にカテーテルの遠位部分を接触させる段階、
(c)体腔表面内へ制御された距離で注入部材の針の鋭い遠位部分を前進させる段階、ならびに
(d)注入部材の針の鋭い先端部を介して体腔表面内へ治療量の治療用流体を導入する段階
を含む。
【0016】
別の態様において、本発明は、被験者の血管系を介して心臓の内部に本発明のカテーテルを導入し、心臓の心筋にカテーテルの遠位部分を接触させ、心筋内へ制御された距離で注入部材の針の鋭い遠位部分を前進させ、注入部材の針の鋭い先端部を介して間隔をおいた多数の位置の心筋内へ正確に制御された深さで治療量の血管形成を促進する流体を導入することによって、心臓領域の血管形成を促進する方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、外科手技中に被験者の心臓の心外膜内へ正確に制御された距離で中空の針を導入し、間隔をおいた複数の位置に中空の針を介して心外膜内へ、実質的に滅菌状態の被験者自己由来の骨髄吸引物を含む血管形成を促進する流体を注入する段階であって、治療用流体は約0.1cm〜約2cmの範囲の制御された深さに導入され、位置の各々に導入される流体の容量が、約0.1ml〜約3.0mlの範囲であるように制御されることによって、心臓領域の血管形成を促進する方法を提供する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、一般に、体腔内部、特に心臓の心筋に治療用または診断用薬剤を投与するための装置および方法に関する。本発明は、心筋に治療用または診断用薬剤を投与するのに特に有用であると記載されているが、本発明の方法および装置は、他の器官または血管の内側に治療薬または診断薬を投与するために使用することができる。
【0019】
本発明であるカテーテルは本明細書において図面1〜6を参照して本明細書に記載されており、参照番号は図面の各々の同一の装置構成要素を示す。制御された深度の侵入を有する本発明である注入カテーテル1は、近末端部、および柔軟な遠位部分4を有する遠位末端部を有する細長い中空のカテーテル本体2を含む。カテーテル本体の柔軟な遠位部分4は、血管などの狭い通路領域内にないときは、柔軟な先端が所定の形状とるように形状記憶性またはバイアスを有してもよい。または、図面3に示すように、柔軟な部分を曲線状にたわませるために、カテーテル本体内で作動しているたわみ機序16をカテーテル本体の柔軟な部分およびカテーテル本体の近位末端に結合している先端たわみ作動装置18に対して遠位側に取り付けてもよい。
【0020】
本発明であるカテーテル1は、カテーテル本体2内に横滑りできるように取り付けられ、鋭い遠位端8を有する遠位部分と流体供給源に流体的に連絡している近位部分を有する、柔軟で中空の針6をさらに備える。図面1に示すように、一態様において、流体供給源は、カテーテルの近位部分に配置されたキャニスター40内に収容されている滅菌容器38である。キャニスター40にハンドル取付け式であることが示される滅菌容器38はまた、滅菌容器38から本発明であるカテーテルの近位末端部内へ制御された量で薬剤または処理済みの細胞などの滅菌流体を排出するために、薬剤送達作動装置48に流体的および/または機械的に接続していてもよい。滅菌容器38、キャニスター40、および薬剤送達作動装置48は、2001年10月23日提出の同時係属中の米国特許出願第10/004,525号にさらに詳細に記載されている。
【0021】
図面5に示すように、本発明であるカテーテルが、ハンドル取付け式キャニスターを有さないことも、本発明の範囲内であることが意図される。この態様では、任意の流体供給源を、流体コネクタを介して中空の針6の近位末端部に接続することができる。例えば、本発明であるカテーテルを、2001年10月23日提出の同時係属中の米国特許出願第10/004,525号に詳細に記載されているような手持ち式滅菌吸引/再注入システムに取り付けることができる。
【0022】
また、流体供給源をカテーテルの近位末端部から離れた位置に配置することができるように、プラスチックまたはポリマー管系などの柔軟な管系を介して注入用の針を流体供給源に接続することが便利な場合がある。この態様では、接続用の柔軟な管系を介して滅菌容器から本発明であるカテーテルの近位末端部に滅菌流体を排出するための圧力作動装置をさらに備えてもよい、卓上装置に保持された、本発明の滅菌容器内に流体供給源が配置することができる。滅菌容器との流体的に密な接続を達成するために、この集成物では、接続用管系の近位末端に、滅菌容器の遠位開口部に配置された滅菌障壁を穿刺するのに十分な長さの中空針カニューレを備える流体コネクタが提供される。
【0023】
図面3に示すように、中空の針6は、針の鋭い遠位端8がカテーテル本体内に配置されている、カテーテル本体2に対して後退した針位置と、図面4に示すように、針の鋭い遠位端8がカテーテル本体の遠位末端面10を超えた一定の距離に伸展する前進した針位置を有する。図面3にも示すように、注入用カテーテルの位置づけに関連する屈曲中に針収容部材内に針が撤退するのを防ぐために、針6には針停止機序14が提供されている。針停止機序14は、針の外側の1つまたは複数の隆起した部分と、先端部たわみ作動装置が作動した際に隆起した部分が静止し、針の遠位部分の撤退を防止するカテーテル本体の内側の保持用ショルダー20とを備えてもよい。または、針停止機序として働くために、針の外側の連続的な縁がカテーテルの内側のショルダーまで達してもよく、例えば、カテーテル本体の内側表面に接続されてもよい。
【0024】
本明細書に記載されているように、本発明である注入カテーテルの針停止機序は、針の遠位末端部を固定するが、針の反対側の固定されていない末端はカテーテル本体内を遠位方向に横滑りして、針のたわみを補うのに必要な針の長さの任意の増加分を提供する。カテーテルのたわみは、長さ30cmのカテーテルでは約0.2cm〜約2.0cmの範囲の有効長の増加を生じる。従って、本発明であるカテーテルの中空の針は、カテーテルのたわみ時に針が近位方向に横滑りする量と少なくとも同じ量、例えば、約0.2cm〜約2.0cmのみがカテーテル本体より長いことが好ましい。針の近位末端のこの補正長30は、血管系経路を介して侵入中にカテーテルがたわむとき、近位末端に接続されている流体供給源から針がはずれないという利点を提供する。これは、ハンドル、流体供給源、またはカテーテル収納部材に取り付けることによって注入用の針が近位末端に固定されており、先端たわみ作動装置の作動時に遠位末端の鋭い遠位端を撤退させる従来技術のたわみ式注入カテーテルからの逸脱点である。
【0025】
本発明であるカテーテルは、前進した針位置の遠位方向に針を前進させるために、針に取り付けられカテーテルの近位末端から作動される前進機序をさらに備える。前進機序は、中空の針6の近位末端に取り付けられており、横滑りできるように取り付けられている針を遠位方向に一定の距離前進させることによって、後退した針位置から前進した針位置への針先端の移動距離を制御する。図面1では、前進機序は針作動装置22として示されており、シリンジと同様に機能する。図面2に詳細に示すように、針作動装置22は、押し下げ式プランジャー24、プランジャー収容部材31、プランジャー深度停止部材29、およびバネ28を備える。押し下げると、プランジャー24は、深度停止部材29に対するバネ28の押し付けによって停止されるまで、プランジャー収容部材31内を横滑りする。バネ28は、プランジャーへの圧力が解放されるとき、バネ荷重式戻し構造も提供する。従って、プランジャー深度停止部材によって移動が停止されるまで伸展した位置から押されるとき、カテーテル本体内の針の移動距離は(例えば、比例するまたは直接測定される)プランジャーの移動距離によって制御される。
【0026】
好ましくは、プランジャー収容部材31の深度停止部材29の位置は調節可能である。例えば、深度停止部材の回転が深度停止部材の位置を変更し、結果としてプランジャー収容部材31内へのプランジャーの移動を変更するように、深度停止部材は、プランジャー収容部材の外側のネジ山に回転できるように取り付けることができる。従って、針の移動は調節式プランジャー深度停止部材の任意の1つの位置では一定の距離であるが、一定の距離は、深度停止部材の異なる位置または状況において調節可能である。別の態様では、バネが押されるとき、プランジャー収容部材31内にプランジャーを固定するために、プランジャーはバネおよびプランジャー接続器に取り付けられていてもよい。この態様では、プランジャーは、プランジャーの突起部に接続するために底面に穴を備える。プランジャー接続器は、プランジャーがバネ荷重されて、解放の用意ができた位置に達するまで、プランジャーの押し下げによってバネに押し付けられる。プランジャーが解放されると、バネは素早い動きでプランジャーを戻し、針を後退した針位置に後退させる。
【0027】
好ましくは、針作動装置22(例えば、図面1および2に示すプランジャー/深度停止部材集成物)を、自由に横滑りできるカテーテルの針6の近位末端の距離補正部分30の近位末端に取り付ける。従って、カテーテルの屈曲(すなわち、曲がりおよび/またはたわみ)による位置づけ中に遭遇する有効カテーテル長の任意の変動を収容するための針の近位末端の動きと同時に針作動装置は自由に動く。針作動装置が作動されるとき、中空の針の遠位方向の動きの量「x」を制限するために、カテーテル本体の遠位端に追加の安全停止部材15を位置づけてもよい。任意の場合において、針の前進は、カテーテル本体の遠位端の末端面10を越えて約0.1cm〜約2cmを超えないところまで針の先端を伸展させる。
【0028】
使用時には、本明細書に記載するように、カテーテルが屈曲すると、針6の近位末端の距離補正部分30の全てまたは一部のカテーテル本体2内への撤退を伴うことがあるが、針6の遠位端は針停止部材14の作用によって拘束されている。針の近位末端の屈曲および横滑りは、針作動装置を作動する前に生じさせられる。カテーテルがオペレーターによってうまく位置づけられ、それ以上の屈曲を考慮しなければ、針作動装置の作動が、針の先端8を針停止部材14から一定の距離だけ前進させて、前進した針位置に針を移動させる。注入後、バネ荷重式プランジャー/深度停止部材集成物がオペレーターによって解放されて、カテーテルの遠位端の別の位置づけのため、例えば、別の注入部位への位置づけのために針を後退した位置に移動させる。
【0029】
本発明であるカテーテルは、被験者の体腔内部内へ血管内を介して前進させられるサイズおよび構成である。カテーテル本体は、柔軟なポリマーまたはプラスチックなどの、このような目的に典型的に使用される任意の材料から構成することができる。中空の注入針の近位部分も、柔軟な材料から製造されるが、鋭い遠位端はステンレス鋼、ニチノール等などの硬い金属から製造される。注入カテーテルは、一般に、患者の血管系を通過させるようにサイズが決められる。例えば、心臓に挿入するためには、カテーテルは、患者の動脈系を介する、一般に大腿動脈を介する従来のカットダウン法によって経皮的に導入するようにサイズが決められる。本発明であるカテーテル遠位端の血管系を介した通過を容易にするために、針作動機序の作動によって針が前進した針位置に前進させられるまで、(図3に示すように)後退した針位置の針の鋭い遠位端をカテーテル本体内にくぼませる。
【0030】
図3に詳細に示すように、体腔内の離れた位置に本発明であるカテーテルを位置づける際の助けとなるように設計された別の態様では、カテーテル本体の遠位端は、針作動装置が押されて、針を前進した針位置に移動させる前に、針の先端と組織との接触を判定するために使用することができる1つまたは複数のセンサー電極36を備える電導性先端部分35を備えてもよい。センサー電極は36、心電図計またはインピーダンス計に電気的に接続されている。空気、血液および心臓組織によって生じる電気的インピーダンスには違いがあるので、針が注入位置に伸展される前にカテーテルの遠位端が心筋などの内部表面と接触していることを確認するために、センサー電極に取り付けられたインピーダンス計によって測定されるインピーダンスの変化を使用することができる。または、当技術分野において既知であるように、電導性先端部分が、心電図(ECG)に接続された多数のリードを有する多数のセンサー電極36を含む場合には、組織内への針の侵入深度を判定するために、電導性先端部分を使用することができる。この構成では、心電図は全てのリードから記録される。大きい信号は、心筋内であるこれらのECGリードから出現する。本発明であるカテーテルのこの態様では、カテーテルの近位末端に取り付けられている電気的コネクタ34を介して心電図計またはインピーダンス計に取り付けるために、1つまたは複数の電気リードがカテーテルの内腔を通過することができる。
【0031】
被験者へ制御された深さで治療用薬剤を注入する目標のさらなる助けとするためには、注入針を組織表面のほぼ直角の方向から組織に侵入させることが望ましい。(直角方向に測定される)針の侵入深度および針侵入の長さは、組織内への針の先端の挿入前にこのような直角方向が達成された場合にのみ等しい。結果として、針が組織表面に対してほぼ直角に組織に侵入する場合に、針の正確な侵入深度は最も正確に制御される。カテーテルが体腔内部に到達するために通過する動脈または静脈の軸と同一平面にない体腔内部壁への接近を助けるために、本発明であるカテーテルの柔軟な遠位部分は曲線状にたわむように適合される。例えば、カテーテルの先端が血管系を通過して、心臓の内腔、注入にもっとも望ましい組織である、心筋内に侵入すると、壁にほぼ直角に到達するためにカテーテルの先端をたわませる必要がある。
【0032】
本発明であるカテーテルは、治療対象の体腔の壁の厚さに好適である、露出されている(すなわち、前進機序の作動によってカテーテルの遠位末端面を超えて露出されている)鋭い遠位針の先端の一定の長さを選択することによって任意の望ましい長さで組織に侵入するように設計することができる。例えば、露出されている針先端の長さは、カテーテルが流体の注入のために使用される予定の体内腔の壁の厚さの約40%〜60%に侵入するのに十分でなければならない。
【0033】
一態様において、カテーテルは、心臓の外側または内側(すなわち、心外膜または心筋)内に治療液を注入するようにサイズが決められる。この態様では、露出されている針の遠位端の一定の長さは、治療対象の心臓のサイズおよび状態により選択される。例えば、心筋壁は、典型的には、成人では約8〜約14mmの厚さがある。心筋への穿刺を防止し、治療用流体が心筋を通過してほぼ中間に送達されることを確かにするためには、鋭い遠位端の長さは約3mm〜約6mm侵入するだけでよい。しかし、典型的には5mm〜7mmの厚さしかない心筋の瘢痕部分への注入のためには、約2.5mm〜約3.5mmの鋭い遠位端の露出長を有する本発明であるカテーテルが選択されると思われる。一方、肥大心は20mm以上の壁厚さを有することがあるので、約8mm〜10mmまでの露出針先端を有する本発明であるカテーテルが使用されると思われる。針のゲージは、意図された目的のための任意の便利なサイズであるように選択することができる。例えば、細胞を心筋または心外膜に注入する目的のためには、27ゲージの針が都合よく使用される。1メーターの長さを有する27ゲージの針は、流体を充填すると、約1立方センチメーターのみの流体を含有する。
【0034】
本発明であるカテーテルに使用される針の遠位端は、(示すように)真直ぐであっても、または心臓の背面側(すなわち患者の脊椎にもっとも近い側の心臓)への心外膜注入を促進するために、伸ばされた針位置に前進させられる場合、針の近位部分の軸から測定して約90度までの曲線であってもよい。後者の場合には、中空の針の遠位端は、遠位端がカテーテル本体の遠位端から伸展されるまでは柔軟な針を比較的真直ぐにさせ、伸展された時点で遠位端が偏った曲線を自由にとるバイアスまたは形状記憶を有してもよい。
【0035】
図4に例示される一態様において、本発明である注入カテーテルは、真空源に接続するために、吸引ポート46を介して近位末端で流体的に密に接続している、カテーテル本体2の長さ方向に通る柔軟な吸引内腔44を備える。吸引内腔44の遠位末端の開口部46は、針6の制御された距離への前進前に、本発明であるカテーテルの遠位末端を位置付ける助けとするために使用することができる。吸引内腔および吸引ポートを介して組織表面に吸引を適用は、オペレーターが組織表面に直角に針の鋭い遠位端を方向付ける助けとなる機能を果たす。
【0036】
図面4に示すように、吸引内腔46の遠位末端の開口部46は、カテーテル本体2の遠位端の周辺部に取り付けられ、そこから吸引クッション42が遠位方向に伸展するファン折りたたみ式で押し付け可能な吸引クッション42内に開口している。後退位置および前進位置を有する前後式鞘48がカテーテル本体2の遠位末端に横滑りできるように取り付けられている。前進位置にあるとき、鞘はファン折りたたみ式吸引クッション42を覆い、折りたたまれた状態に維持する。図面3および4に示すように、鞘48が後退位置に対して近位方向に横滑りすると、吸引クッション42は抑制から自由にされ、吸引クッションを解放し、容易に押し付けられる広がった形状をとらせる。典型的には、鞘48およびカテーテル本体(またはハンドル28)の近位末端に取り付けられた後退要素は、選択的にバネ荷重され、鞘を近位方向に横滑りさせて吸引クッションの覆いを取り外すために使用される。
【0037】
広げられているまたは折りたたまれていない吸引クッションは、吸引ポートが組織表面に直接接触していたら生じたかもしれない組織表面(例えば、心筋)への損傷を回避するために、吸引開口部面46より大きい表面領域に吸引ポートを介して適用される部分的な真空を展開する任意の形状およびサイズをとることができる。例えば、折りたたまれていない吸引クッションの開放末端面50の断面積は、吸引内腔の開口部46の断面積より2〜10倍またはそれよりも大きい。一態様において、図面4に示すように、広げられている吸引クッションは、折りたたまれていない状態では外側に広がる押し付け可能な円錐の形状をとるように設計することができる。
【0038】
選択的に、中空の注入針は、カテーテル本体2内の吸引内腔44を通されてもよく、針の針停止部材14が達するショルダー20が吸引内腔の内側に配置される。結果として、この態様では、中空の針は、吸引内腔を横滑りすることによって前後される。一態様において、針の前進位置では、吸引クッションが、例えば、組織表面に押し付けられることによって押し付けられるまで、(鞘が後退されているかどうかにかかわらず)鋭い遠位端8は吸引クッション42の末端面を超えて伸展しない。
【0039】
吸引クッションは、容易に押し付けられて、中空の針の鋭い遠位端を露出することができる軟質ゴムまたはエラストマー材料などの柔軟で、容易に押し付け可能な物質から製造される。使用時には、真空源からの部分的な真空を吸引内腔44および吸引ポート46を介して吸引クッション42の開放末端面50に適用する。オペレーターにより吸引が適用され、カテーテルが操作されることによって吸引クッションが引き寄せられて組織表面に接触すると、吸引クッションは、注入針の鋭い遠位端の一定の長さを組織表面に侵入させる程度に押し付ける。同時に、吸引クッションが接触している組織表面の部分は、伸ばされた針の鋭い遠位端の一定の長さ全体の侵入を容易にするために、吸引クッション42の開放末端面50に引き込まれる(例えば、侵入する)ことができる。
【0040】
図1に示すように、本発明であるカテーテルのハンドル28は、カテーテル本体2に接続されている遠位部分と、針作動装置22および吸引ポート46が取り付けられている近位部分とを含む。中空の針の近位末端を流体供給源に取り付けるための流体供給源コネクタもハンドル28の近位部分に取り付けられている。本発明であるカテーテルが遠位端に1つまたは複数のセンサー電極36を有する態様では、心電図計またはインピーダンス計に電気リードを接続するために、電気コネクタ34がハンドル28の近位部分に取り付けられている。図1に示す態様では、流体供給源コネクタは、本発明である滅菌容器38を収容するように形作られたハンドル取付け式の円筒形のキャニスター40を備える。特に滅菌容器が透明または半透明材料から製造されている場合には、滅菌容器および/または滅菌容器の内容物の存在を容易に目視で確認できるように、キャニスターの壁にのぞき窓52を提供することができる。滅菌容器38には、その遠位末端に滅菌障壁が提供される。この集成物では、カテーテル注入針6の近位末端と滅菌容器38の遠位末端との間に、滅菌容器の開口部の滅菌障壁を貫通するための針カニューレと、カテーテルの注入針6に流体的に密に接続する滅菌容器の遠位末端に離脱可能であるように取り付けるためのルアーロックなどのロック機序を備える流体コネクタがある。この構成では、滅菌容器から送達される流体を、中空の針を介してカテーテル内に注入することができる。集成物は、滅菌容器から制御された量の流体を送達するための本発明であるモーター駆動式作動装置(すなわち薬剤送達作動装置48)をさらに備えてもよい。好ましくは、薬剤送達作動装置は、カテーテルの注入針内に流体を送達するために、滅菌容器内に収容されたプランジャーを駆動する。または、本明細書に記載するように、治療用流体を含有するシリンジなどの流体供給源を、例えば、シリンジのハブを介してカテーテルのハンドルの近位部分の流体コネクタに接続することができる。
【0041】
図1にさらに示すように、本発明であるカテーテルの柔軟な遠位部分4をたわませるように作動可能な、先端たわみ作動装置18を、カテーテル本体の近位末端に取り付けることができる。本発明である装置の先端たわみ作動装置18が作動すると、柔軟な遠位部分が曲線状に曲がる。また、曲がった構造であるとき、カテーテル本体の曲がった柔軟な先端およびカテーテル本体の残りは、概ね、実質的に1つの平面にある。しかし、別の態様では、カテーテル本体およびカテーテル本体の近位末端に結合した先端たわみ作動装置に取り付けられているたわみ機序は、先端たわみ作動装置が作動されるとき、カテーテル本体の残りに対してある角度で存在する平面内でカテーテル本体の柔軟な先端を回転させるように構成される。
【0042】
カテーテル本体の柔軟な先端4と先端たわみ作動装置18との間にある先端たわみ機序16は、柔軟な先端を例えば曲線状にたわむように移動させるために、(示すような)回転式ハンドル、クランクまたは同様の手段であってもよい先端たわみ作動装置を使用してケーブルシステムを調節する、カテーテル本体の内側を通るケーブルシステムなどの、当技術分野において公知の任意の種類であってもよい。
【0043】
一般に、カテーテル本体の柔軟な部分は、柔軟な遠位部分を接合する脊椎として作用する円周方向のスリットパターンを有する管状被覆部材などの接合部分を含む。脊椎は蝶番で動くようにしても、またはそうでなくてもよく、1つまたは複数のプルワイヤーに通される。近位先端たわみ作動装置の操作によってプルワイヤーの緊張が高まると、脊椎は特定のワイヤーに結合する側に集中し、集成物をその方向に曲げる。全体の内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,846,173号に記載されているようなたわみ性の内視鏡装置では4つもの方法の接合を実施することができる。
【0044】
例えば、一態様において、たわみ性の注入カテーテルの柔軟な遠位部分は、全体の内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,190,050号にさらに詳細に記載されているように、先端たわみ作動装置としてハンドル部分を操作することによって、3つの平坦なサンドイッチ型シムの1つを他に対して制御できるように移動することによって選択的に曲げることができる。全体の内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,358,479号にさらに詳細に記載されているような他の態様において、本発明である装置の柔軟な先端は、たわみ機序として柔軟な先端の内部に取り付けられている1つの細長い実質的に平坦なシムバネ(shim spring)によって曲げることができる。シムは、先端たわみ作動装置の作動の結果、棒状物の先端を望ましい湾曲にさせる少なくとも1つの横断方向または横方向の捻れを有する。
【0045】
図5に示す別の態様において、本発明は、注入カテーテルの中空の針515の突出している遠位末端にオペレーター指標が永久的に固定されたオペレーター制御式の調節式針停止部材500付きの内部中空針515を有する制御された深度の侵入注入カテーテル460を提供する。この態様において本発明である注入カテーテルの一部を形成する調節式針停止部材は、針の遠位端の正確に制御された1つまたは複数の増加分が、針停止部材内の一連の位置を遠位方向に針をオペレーターが前進させることによって露出され、針停止部材は、侵入のために露出された針の先端の長さの指標をオペレーターに提供するように設計される(例えば、遠位端の正確に制御された増加分のどれくらいがオペレーターによって針停止部材内から伸展されているかを示し、本明細書と同じ日に提出された、米国特許出願第 号に詳細に記載されている音響および/または触覚信号。
【0046】
図6に示す好ましい態様において、調節式針停止部材500は注入針515の遠位部分を取り囲み、実質的に円筒形の外側針ホルダー510と、針搬送体が固定して取り付けられている注入針の遠位部分515を収容するように形作られている内側を有する針搬送体520とを同軸配置で含む(断面図で示す)。好ましくは、針ホルダーの遠位末端は、針が引き込まれた位置から一連の可能な前進した位置の1つに前進させられる場合、針の遠位端が突出する実質的に平坦な遠位末端面560を有するベル形である。平坦な遠位末端面560は、注入のために組織表面に対して針を直角に配向させる助けとなる。
【0047】
針搬送体520は、針の遠位端が針ホルダーの遠位末端から突出していない十分に引き込まれた位置と、針の遠位端が遠位端の正確に制御された増加分を露出するように徐々に前進させられる一連の徐々に前進させられる位置との間を移動するために、針ホルダー510内に横滑りできるように取り付けられる。締め付けねじとして示されているロック機序525は、注入のために針を使用する際に針ホルダーに対する針搬送体の位置をロックするために提供される。
【0048】
図5に長手方向の断面図で示すように、本発明である調節式針ホルダーに感知信号を提供する機序は、針搬送体520の外側の長さ方向の外側針ホルダー510の近位末端および(正確に間隔をおいて配置される一連の円周方向の刻み目を形成する)ネジ山535に取り付けられた内側に突出している柔軟な戻り止め540を備えることができる。針の先端は2つの異なった方法で近位方向に前進させることができる。針が固定して取り付けられている針搬送体520は、針搬送体520に対して針ホルダー510を回転させることによって近位方向に前進させることができると同時に、戻り止め540はネジ山535を通る。露出される針の先端の長さの指標として、目盛り付きマークを、針搬送体の外側に、例えば、0.5ミリメーター間隔で提供することができ、それによってオペレーターは、針ホルダーの回転によって露出された針の先端の量を目視で判断することができる。
【0049】
または、ネジ山535(すなわち、正確に間隔をおいて配置される円周方向の一連の「刻み目」)が柔軟な戻り止め540のコブ530を逐次的に収容して、一連のネジ山535に沿って1つのネジ山の谷(または「刻み目」)から次のネジ山の谷(または「刻み目」)に戻り止めを移動させるようにホルダー510内で針搬送体を横滑りさせることによって、針搬送体520を近位方向に前進させることができる。上記のように針を近位方向に横滑りさせると、戻り止めがネジ山の谷からネジ山の谷に移動するごとに、指標として音響および/または触覚信号が発生される。従って、操作中は、音響および/または触覚信号を発生する機序は、クシの歯の先端に親指の爪が引っ張られるのと同様の方法で機能する。
【0050】
好ましくは、針ホルダーの近位末端の側面の弓状の切り出しフラップ540が、戻り止め540を形成する弓状のフラップの先端に内側の突出部530を有する。この態様では、針ホルダーは、好ましくは、戻り止めが取り付けられたU字型フラップが針ホルダーの本体と連続片を形成する十分な柔軟さを有するプラスチックまたはポリマーなどの材料から成型または鋳造される。針搬送体が鋳造または成型される場合には、精密研磨装置を使用して、針搬送体の外側に正確に間隔をおいて配置される一連の刻み目535を作製することができる。
【0051】
例えば、一連のネジ山の谷の第1のネジ山の谷の位置は、針が十分に引き込まれた位置にあることに対応することができ、ネジ山535間の距離は、針搬送体の前進によって生じる360°の回転の各々または音響および/または触覚信号(または「カチットいう音」)の各々が針の先端の突出の望ましい増加分の1つに対応するように、正確に制御することができる。例えば、ネジ山(または「刻み目」)が正確に0.5mm間隔で配置されている場合には、3つの信号を発生するのに十分な、十分に引き込まれた位置から前方への針搬送体の移動は、針の先端が正確に1.5mm露出されたことを示す。従って、調節式針停止部材500は、本発明であるカテーテルの針先端が注入のために組織表面に侵入する深さをオペレーターが正確且つ容易に制御し、例えば、針ホルダーを横滑りまたは回転させて針の先端を露出または後退させ、所望の数の「カチッという音」を数えることによってオペレーターが手術手技中に注入部位間で針の侵入深度を容易に調節できるように設計することができる。
【0052】
本発明は、それを必要としている被験者の体腔内部表面内へ制御された距離で治療用流体を注入する方法をさらに提供する。一態様において、本発明である方法は、被験者の血管系を介してカテーテルを体腔内部に前進させることによって体腔内部に本発明である注入カテーテルを導入する段階と、体腔表面に接触するように、カテーテルの遠位末端を体腔内に位置づける段階と、注入針の露出された鋭い遠位端を体腔表面へ一定の距離で前進させる段階であって、一定の距離が体腔の壁の厚さの40%〜60%である段階とを含む。次いで、注入針の鋭い遠位端を介して、治療量の治療用流体を体腔表面に導入することができる。
【0053】
好ましくは、鋭い遠位端は体腔表面に直角に前進させられ、制御された量の流体は本発明である方法によって体腔表面内へ一定の距離で投与される。例えば、本発明である方法により注入される流体の量は、図面1に示すモーター駆動式薬剤送達作動装置などの、カテーテル本体の近位末端に取り付けられた制御システムによって自動的に制御することができる。制御システムは、プロセッサと、データを保存するための1つまたは複数の内部データ保存要素と、データ保存要素に保存されたデータを取り出すためのデータ取り出し装置を備えたコンピュータシステムをさらに備える。コンピュータは、例えば、流体供給源から所定の量の流体を放出するために、本発明である作動装置または他の種類のシリンジ型流体供給源内のステッピングモーター駆動式ピストンの前進を制御することによって、流体供給源からカテーテル内に導入される治療用液体(例えば、血管形成剤)の量を制御するように動作可能である。現在入手可能なコンピュータシステムの任意の1つが好適であることを当業者は容易に理解することができる。
【0054】
本発明である方法の体腔内部は好ましくは心臓であり、カテーテルは経皮的に心臓内へ前進させられ、心筋に接触するように位置づけられるか、または例えば、心臓手術中に心外膜内に制御された深さの侵入注入を提供するために本発明であるカテーテルが使用される。上記により詳細に記載されている経皮的な送達のためには、注入される流体の正確な量の制御は、露出される鋭い遠位端が体腔表面とほぼ直角に接触するように本発明であるカテーテルをたわませることによって容易になる。このためには、カテーテル本端の遠位末端に取り付けられた押し付け可能な吸引クッション付きの吸引内腔をカテーテル本体に備える本発明であるカテーテルを使用することができる。この場合には、オペレーターがカテーテルの遠位部分を所定の位置へ操作するとき、吸引内腔および吸引ポートを介して吸引(すなわち、陰圧)がカテーテルの遠位末端の吸引クッションに適用される。吸引は、注入対象の体腔表面に対してほぼ直角にカテーテルの遠位部分を配向する助けとするために使用される。組織表面に適用される吸引量は、当業者によって決定されるような、瘢痕形成しないまたは組織表面に回復不可能な損傷を生じない、単位表面積あたりの量である。吸引内腔の断面積より広い面積の組織表面に吸引を適用するようにサイズが決められる吸引クッションは、組織表面を損傷するリスクを低下させるのに効果的である。本発明である方法により心筋表面に適用される吸引量は、1平方センチメートルあたり約50mmHg〜1平方センチメートル約500mmHgの範囲である。
【0055】
または、インピーダンス計の心電図に電気的に接続しているセンサー電極を遠位端に有する本発明であるカテーテルを心臓に導入することができる。このようなカテーテルを使用する場合には、センサー電極は、EKG信号の変化またはインピーダンス計のインピーダンスの変化を読むことによっていつカテーテルのたわみ性先端が心筋に接触したかを判定するために使用される。心筋との接触がこのような方法によって確認されたら、プランジャー深度停止部材付き針作動装置の作動によって、本発明であるカテーテルの針を前進した針位置まで制御された距離を前進させることができる。
【0056】
または、本発明は、経皮的送達、例えば手術手技中に露出された体腔への送達を使用せずに制御された深度の侵入で(例えば、自己由来の骨髄吸引液を含有する)治療用流体を導入する方法を提供する。この態様では、本発明である方法は、本明細書に記載されているように(図面5および6を参照されたい)、感知信号を備えるオペレーター制御式の調節式針停止部材が取り付けられている中空の針を備える組織注入カテーテルを使用することができる。
【0057】
本発明である方法のいずれにおいても、送達される治療用流体は、注入針の近位末端と流体的に連絡している滅菌容器(例えば、図面1に示すハンドル取付け式キャニスター40に収容されている滅菌容器38)に含有されうる。図面1に示すように、キャニスターは、経皮的注入中に滅菌容器の流体内容物と中空の針との間の流体的接続を容易にするように滅菌容器を固定して保持する。図面1および6に示すように、滅菌容器の近位末端に取り付けられた圧力作動装置(または薬剤送達作動装置)は、正確に制御された容量で治療流体を滅菌容器からカテーテル内に放出する。圧力作動装置はモーター駆動式であっても、または手動式であってもよい。
【0058】
本発明である方法を実施する際にこの集成物を使用する場合、標的組織内へ制御された距離で針が前進させられると、圧力作動装置が活性化される。例えば、図面1に示す態様では、送達作動装置48は、所定の量の治療流体を滅菌容器から注入針に、次いでそこから心筋組織に送達するのに十分な距離でその内部のピストンを前進させるように活性化される。同様に、図面5に示す態様では、手動式送達作動装置を使用して、1つまたは複数の所定の容量の治療流体を、滅菌容器から注入カテーテルの中空の針内へ送達する。図面5に示す態様は、心臓切開手術中の心外膜注入および治療部位が外科的に露出されている同様の状況には好ましい。
【0059】
本発明である方法により心臓の心筋または心外膜内へ血管形成流体を注入するためには、露出された針の遠位端が組織表面内に前進させられる一定の距離は、瘢痕帯の約5mm〜肥大心の約20mmの範囲でありうる、注入部位の組織の厚さに応じて、壁の厚さの約40〜50%または約2.5mm〜約10mmである。任意の部位において注入される血管形成流体の量は注射部位あたり約0.1ml〜3.0ml、例えば、0.5ml〜約2.0mlである。一般に、血管形成流体は、心筋内血管再建を促進するためには、心筋または心外膜表面の間隔をおいた複数の位置、例えば、約10〜24の異なる注入部位に注入される。
【0060】
本発明である方法により注入される治療流体は、ポリペプチド、ペプチド、化学療法剤、または治療薬をコードするポリヌクレオチド等を含むものなどの、制御された量の治療用流体を所定の深度で注入することによって促進される任意の望ましい治療目標を進展させるために熟練した担当医によって選択される。ポリヌクレオチドはDNA、cDNA、およびRNAから選択することができ、選択的に、プラスミドDNA、ウィルスベクター、リポソームなどに組み込まれるなどの任意の便利な形態で注入することができる。
【0061】
本発明である方法の好ましい態様において、心筋内血管再建に使用される治療用流体は、血管形成流体、例えば、転写因子、血管形成因子、血管形成を促進するのに適した筋形成因子または増殖因子等を1つまたは複数含有する流体製剤である。現在の好ましい血管形成促進剤には、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)および/または塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)またはVEGF、bFGFをコードするポリヌクレオチド、血小板由来内皮増殖因子(PD-ECGF)、内皮増殖因子(EGF)、組織壊死因子α(TNFα)、組織増殖因子α(TGFα)がある。または、このような薬剤をコードするポリヌクレオチドの1つまたは混合物を未処理のDNAとしてまたは自己複製欠損アデノウィルスなどの送達搬送体に組み込んで導入することができる。本発明である方法により注入するのに現在好ましい追加の血管形成促進剤には、骨髄吸引液、骨髄細胞、および血管芽細胞が挙げられる。
【0062】
本発明である方法は任意の種類の心臓手術手技に組み入れることができる。例えば、本発明であるカテーテルは、拍動下の心臓手術中に心臓の内側に導入することができる。心臓内へのカテーテルの導入を助けるためには、まず、内側に拡張装置を備える鞘を心室に導入し、心室の内部に接近しやすくするために拡張装置を作動させることができる。次いで、拡張装置を除去し、本発明であるカテーテルを、鞘を介して心室内に導入することができる。または、吻合を形成する手術、すなわちバイパス術などの開胸が実施される任意の種類の心臓手術中に血管再建流体を心外膜内に送達することができる。
【0063】
本発明である方法の被験者は、家庭用ペットまたは収益のために生育もしくは繁殖される動物などの任意の哺乳動物種であってもよいが、被験者は、好ましくはヒトである。
【0064】
本発明は、本発明の精神または中心となる特質から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されてもよい。従って、本発明の上記の説明はその例示的な態様のみを開示しているにすぎず、他の変更も本発明の範囲内であるとして意図される。従って、本発明は、本明細書に詳細に記載されている特定の態様に限定されない。むしろ、本発明の範囲および内容を示すものとしては、添付の特許請求の範囲を参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】流体供給源としてのハンドル取付け式滅菌容器およびモーター駆動式薬物送達作動装置を備えた本発明であるたわみ先端カテーテルを含む集成物の外側図を示す分解立体図である。カテーテルは、滅菌容器を収納するためのハンドル取付け式キャニスター、ならびに深度停止部材およびバネ荷重戻しを備えた針作動装置を有する。
【図2】調節式深度停止部材およびバネ荷重式戻しを備えた、図1の針作動装置の詳細を示す図面である。
【図3】後退した位置にある鋭い針の先端部、およびカテーテルの屈曲時に針の撤退を防止するための針停止部材を示す、本発明であるカテーテルの、遠位部分の中心を通る長手方向の断面図を示す。先端部の電極収容部材も示す。
【図4】周辺に取り付けられた吸引クッション内の吸引内腔開口部を示す、本発明であるカテーテルの遠位部分の中心軸を通る長手方向の断面図を示す。吸引クッションを折りたたまれた状態に維持するために吸引クッションを覆う鞘が撤退し、その結果吸引クッションが折りたたまれず、注入用針の遠位端が前進した針位置に示されている。
【図5】感知信号を発生する、近位方向に固定されたオペレーター制御式の調節式針停止部材を備えた本発明のカテーテルを示す略図である。示されている流体供給源は、本発明である滅菌容器を含む、感知信号を備えた手動式流体送達装置である。
【図6】図5に示す本発明であるオペレーター制御式の調節式針停止部材の長手方向の断面を示す略図である。
Claims (38)
- 以下の段階を含む、それを必要としている被験者の体腔内部表面内へ制御された距離で治療用流体を注入する方法:
(a)被験者の血管系を介してカテーテルを前進させることによって体腔内部にカテーテルを導入する段階であり、カテーテルは
i)近位末端部、および遠位端に柔軟な部分を有する遠位末端部を有し、被験者の体腔内部に血管内経由で前進させるようなサイズおよび構成の、細長い中空のカテーテル本体、
ii)カテーテル本体全体にわたって収容されており、鋭い先端を有する遠位部分と、流体供給源と流体的に連絡している近位部分とを有し、針の鋭い先端がカテーテル本体内に配置されている後退した針位置と、針の鋭い先端がカテーテル本体の遠位末端面を超えた一定の距離で伸展する前進した針位置とをさらに有する中空の針、
iii)屈曲中に針の遠位部分を固定するが、針の近位部分はカテーテル本体内で自由に横滑りできる、針に取り付けられた針停止部材、および
iv)前進した針位置まで、一定距離で遠位方向に針を前進させるために針に取り付けられた前進機序
を備え、
ここで、針停止部材は、前進した針位置に針を前進させるための前進機序の前進作動前の、カテーテル屈曲時におけるカテーテル本体内への針の遠位部分の撤退を防ぎ、それによって針の鋭い先端部の一定の長さを露出させる段階、
(b)体腔表面にカテーテルの遠位部分を接触させる段階、
(c)体腔表面内へ制御された距離で注入部材の針の鋭い遠位部分を前進させる段階、および
(d)注入部材の針の鋭い先端部を介して体腔表面内へ治療量の治療用流体を導入する段階。 - 制御された量の流体が投与される、請求項1記載の方法。
- 制御された量が、約0.1ml〜約3mlの範囲内である、請求項1記載の方法。
- 治療用流体が心臓の筋系に導入される、請求項1記載の方法。
- カテーテルが、被験者自己由来の細胞を含む実質的に滅菌された流体供給源に取り付けられており、体腔が被験者の心臓の内部である、請求項4記載の方法。
- 針の鋭い遠位部分が、約0.1cm〜約2.0cmの範囲の距離で表面内に前進させられる、請求項1記載の方法。
- 表面が被験者の心臓の心筋である、請求項5記載の方法。
- 心筋内血管再建を促進するために、心筋の間隔をおいた多数の位置に流体が投与されるように反復される、請求項7記載の方法。
- 注入される流体の量が、間隔をおいた位置の各々において約0.05ml〜約5mlの範囲であるように制御される、請求項8記載の方法。
- カテーテルが、心臓手術手技中に心臓の内部に導入される、請求項8記載の方法。
- カテーテルが、拍動下の心臓手術中に心臓の内部に導入される、請求項10記載の方法。
- 流体が、血管形成を刺激するのに適した1つまたは複数の増殖因子をさらに含む、請求項5記載の方法。
- 増殖因子が、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、およびHIF-1からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
- 流体が、血管形成を刺激するのに適した増殖因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有する、請求項5記載の方法。
- ポリヌクレオチドが、VEGF、bFGF、およびHIF-1からなる群より選択される増殖因子をコードする、請求項14記載の方法。
- ポリヌクレオチドが、PD-ECGF、EGF、TNFα、およびTGFαからなる群より選択される増殖因子をコードする、請求項14記載の方法。
- 流体が、実質的に滅菌された状態の自己由来の骨髄吸引物または骨髄細胞を含む、請求項1記載の方法。
- 流体が、実質的に滅菌された自己由来の骨髄細胞を含む、請求項1記載の方法。
- 骨髄細胞が血管芽細胞を含む、請求項18記載の方法。
- 導入される流体の量が、流体供給源と連絡している圧力作動装置によって正確に制御される、請求項5記載の方法。
- 被験者がヒトである、請求項1記載の方法。
- カテーテルが、遠位柔軟部分を曲線状に曲がらせて表面に対応させるために、先端部の偏向部材作動装置を介してカテーテル本体の外側から動作可能な偏向機序をさらに備える、請求項1記載の方法。
- カテーテルの前進機序が、プランジャー深度停止部材およびバネ荷重式戻しを備えた押し下げ式プランジャーを有する針作動装置を備え、プランジャーが押し下げされて、注入部材の針の鋭い遠位部分を体腔表面内へ制御された距離で前進させる、請求項1記載の方法。
- カテーテルが、カテーテル本体の近位部分の電気コネクタに電気的に接続されている電気伝導性先端部分をカテーテル本体の遠位末端部に備え、カテーテルの遠位末端部がいつ心筋表面に接触するか判定するために電気伝導性先端部を使用する段階をさらに含む、請求項5記載の方法。
- 以下の段階を含む、心臓領域の血管形成を促進する方法:
(a)被験者の血管系を介してカテーテルを前進させることによって心臓の内部にカテーテルを導入する段階であり、カテーテルは
i)近位末端部、および遠位先端部に柔軟な部分を有する遠位末端部を有し、被験者の体腔内部に血管内経由で前進させるようなサイズおよび構成の、細長い中空のカテーテル本体、
ii)カテーテル本体全体にわたって収容されており、鋭い先端を有する遠位部分と、流体供給源と流体的に連絡している近位部分とを有し、針の鋭い先端がカテーテル内に配置されている後退した針位置と、針の鋭い先端がカテーテル本体の遠位末端面を超えた一定の距離で伸展する前進した針位置とをさらに有する中空の針、
iii)屈曲中に針の遠位部分を固定するが、針の近位部分はカテーテル本体内で自由に横滑りできる、針に取り付けられた針停止部材、および
iv)前進した針位置まで、一定距離で遠位方向に針を前進させるために針に取り付けられた前進機序
を備え、
ここで、針停止部材が、前進した針位置に針を前進させるための前進機序の前進作動前の、カテーテルの屈曲時におけるカテーテル本体内への針の遠位部分の撤退を防ぎ、それによって針の鋭い先端部の一定の長さを露出させる段階、
(b)心臓の心筋にカテーテルの遠位部分を接触させる段階、および
(c)心筋内へ制御された距離で注入部材の針の鋭い遠位部分を前進させる段階、
(d)注入部材の針の鋭い先端部を介して間隔をおいた多数の位置の心筋内へ正確に制御された深さで治療量の血管形成を促進する流体を導入する段階。 - 血管形成を促進する流体が被験者自己由来の細胞を含み、実質的に滅菌状態である、請求項25記載の方法。
- 血管形成を促進する流体の量が、約0.1ml〜約3mlの範囲であるように正確に制御される、請求項26記載の方法。
- 制御された距離が、約0.1cm〜約2.0cmの範囲内である、請求項27記載の方法。
- 心筋内血管再建を促進するために、心筋の間隔をおいた多数の位置に血管形成を促進する流体が投与されるように反復される、請求項28記載の方法。
- 以下の段階を含む、心臓のある領域の血管形成を促進する方法:
(a)外科手技中に被験者の心臓の心外膜内へ正確に制御された距離で中空の針を導入する段階、および
(b)間隔をおいた複数の位置に中空の針を介して心外膜内へ、実質的に滅菌状態の被験者自己由来の骨髄吸引物を含む血管形成を促進する流体を注入する段階であって、治療用流体は約0.1cm〜約2cmの範囲の制御された深さに導入され、位置の各々に導入される流体の容量が、約0.1ml〜約2.0mlの範囲であるように制御される段階。 - 中空の針が注入カテーテル内に含まれ、針の侵入深度が、針の遠位部分に固定して取り付けられたオペレーター制御式の調節式針停止部材によって制御され、
針停止部材内の一連の位置の1つまたは複数を介して針を遠位方向に横滑りさせることによって、針の遠位端の正確に制御された1つまたは複数の増加分をオペレーターが露出する段階をさらに含み、オペレーターが針を遠位方向に横滑りさせることによって、遠位端の正確に制御された増加分のどれくらいが針停止部材内から伸展したかを示す感知信号を針停止部材がオペレーターに提供し、針の侵入深度がオペレーターによって露出された針の遠位端の長さによって制御される、請求項30記載の方法。 - 調節式針停止部材が以下を同軸配置で含む、請求項30記載の方法:
実質的に円筒形の外側針ホルダー;
注入針の遠位部分を収容するように形作られた内側を有し、針の遠位端が針ホルダーの遠位末端から突出していない引き込まれた位置と、針の遠位端が前進させられて針の遠位端の正確に制御された増加分を露出する一連の徐々に前進された位置との間を移動するために針ホルダー内に横滑りできるように固定されている針搬送体;および
針ホルダー内の針搬送体の長手方向の移動を固定するための固定機序。 - 各感知信号が、0.5mm〜約2.0mmの増加分で針先端部の前進に相当する、請求項31記載の方法。
- 感知信号が光線のフラッシュである、請求項31記載の方法。
- 感知信号が音響信号および/または触覚信号である、請求項31記載の方法。
- 針ホルダーがホルダーの近位端から伸展する柔軟な戻り止めを備え、針搬送体の外側は、針搬送体が針ホルダー内を横滑りするとき柔軟な戻り止めを逐次的に収容するように形作られ、このため戻り止めが一連の円周方向の刻み目に沿って1つの刻み目から隣接する刻み目に移動することにより音響信号および/または触覚信号を発生する、長手方向に一連となった円周方向の刻み目を備える請求項32記載の方法。
- 血管形成を促進する流体の量が、約0.1ml〜約1mlの範囲であるように正確に制御される、請求項32記載の方法。
- 制御される距離が約0.1cm〜約2.0cmの範囲内である、請求項32記載の方法。
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