JP2004534215A - センサを較正する装置および方法 - Google Patents

Abstract

経年劣化が原因の測定値歪曲に対抗するために、本発明はセンサ全般、殊にフォースセンサおよびシートベルトフォースセンサ（５）を較正する装置および方法を提案する。これは容易にセンサの信頼できる較正を実現することができる。センサを較正する本発明の装置はこのために、センサの少なくとも１つの所定の状態を識別する手段を有している。センサが認識された所定の状態にある場合に、本発明による方法の枠内でセンサの相応の測定値設定調整が行われる。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明はセンサ全般、殊にフォースセンサおよびシートベルトフォースセンサを較正する装置および方法に関する。
【０００２】
本発明を以下で、自動車技術領域の複数のセンサに基づいてより詳細に説明する。しかし本発明はこれらのセンサに限定されるのではなく、他の使用領域のセンサと関連して実現することもできる。
【０００３】
自動車内の拘束手段のトリガは通常は種々異なるパラメータ、例えば衝突の程度並びに乗員の位置および重量に依存して行われる。この関連において、各シートベルトフォースも考慮されるのは有利である。これを以下で例に即してより詳細に説明する。
【０００４】
多段式エアバッグの点火およびシートベルトテンショナーのトリガのために、個々の乗員のプロファイルに関する情報が検出され、乗員の重量が推量されることは公知である。このために通常はフォースセンサないしはフォースセンサ装置が使用される。このセンサは座席内に構成されて、例えば圧力感応式のセンサセルを有するセンサマットの形で実現される。このようなセンサセルはマトリックス状に配置され、個々に駆動制御される。これによって座席内の圧力分布が値マトリックスの形で検出される。乗員が重ければ重いほど、座席材料は強く押しつけられ、アクティブなセンサセルの数が多くなる。さらにセンサセルによって検出される圧力値それ自体は当然ながらその時々の圧力衝撃に依存する。
【０００５】
評価時には、個々の圧力値やアクティブなセンサセルの数の他に、センサマットの個々のセンサセルによって検出された圧力データが考慮される。この評価は、同じように座席内に設けられた制御装置によって行われる。評価の結果はエアバッグ制御装置に伝達されるので、個々の座席占有状態が拘束手段のトリガ時に考慮される。このような方法は実質的に、冷たさまたは消耗のような外部条件に依存しない。しかしながらフォースセンサ装置は、重量フォースが与えられた時の一定の測定結果を保証するために規則的な時間間隔で較正されるべきである。
【０００６】
チャイルドシートは通常、その人間的でない着座プロファイルに基づいて識別される。しかしチャイルドシートが例えば１５０Ｎの強いシートベルトフォースで締められている場合、チャイルドシートは、その着座プロファイルが歪曲されて実際よりも重く思われてしまうほど強く座席に押しつけられる。
【０００７】
しかし人が締められる場合には実際、３０Ｎを越えるベルトフォースが長く持続して印加されることはない。なぜなら通常、シートベルトはゆるむからである。これに加えてこのような高いシートベルトフォースは不快であり、人によって維持されることはないであろう。従ってシートベルトフォースが所定の閾値を超えた場合には、これは非常に確実に人物ではなくチャイルドシートまたは他の物体が締められていることに由来する。すなわち加えられているシートベルトフォースの情報によって、少なくとも有る程度の範囲で既に占有状態の識別を行うことができる。
【０００８】
ベルトによって加えられているフォースを圧力データの評価時に考慮することの前提条件は、シートベルトフォースセンサの使用である。しかしこのためには長い時間ないしは自動車の寿命にわたって、シートベルトフォースが与えられるときにシートベルトフォースセンサの測定値が一定であることが保証されなければならない。実際にはこれは、殊に静止状態のベルトフォースセンサでは問題であることが判明している。なぜならそこでは測定値の時間的なドリフトが頻繁に生じるからである。
【０００９】
発明の利点
経年劣化によって引き起こされる測定値歪曲に対抗するために、本発明はセンサ全般、殊にフォースセンサおよびシートベルトフォースセンサを較正する装置および方法を提案する。これらは容易に、センサの信頼できる較正を可能にする。
【００１０】
このために本発明による装置は、センサの少なくとも１つの所定の状態を識別する手段を有している。センサを較正するための測定値修正は、本発明による方法の枠においてはセンサが所定の状態にある場合にのみ行われる。すなわちこの所定の状態に相応する、センサの測定値は公知である。
【００１１】
特に有利には、本発明の装置および本発明の方法はセンサの技術的構成に依存しないで使用される。
【００１２】
従って例えば、車両の加速度を測定すべき、ダイナミックにセンシングする加速度センサまたは高い分解能（Aufloesung）を有する低ｇ加速度センサは、車両が停止しているときに本発明と相応に０の加速度値に較正される。このような状態は容易にホイール回転数０および／またはスイッチオフされたモータによって識別される。
【００１３】
本発明による装置および本発明による方法を実現するさらなる例として、ここでヨーレートセンサの較正を挙げる。異なるセンサから送出された２つのＧＰＳ衛星ナビゲーション信号から、ヨーレートセンサの目標状態が定められる。
【００１４】
例えば自動車の搭載電源電圧の測定に用いられるような電圧計、またはタンク状態測定装置の抵抗の測定時に用いられるような電圧計も容易に本発明によって較正される。これはバンドギャップ電圧源を基準として用いることで行われる。このような基準源は非常に正確であり、ＡＳＩＣに良好に集積される。
【００１５】
フォースセンサの場合、測定値調整設定は本発明の特に有利な形態においてフォースセンサの負荷の無い状態で行われる。なぜならこのような状態は比較的容易に確実に識別されるからである。
【００１６】
フォースセンサが車両乗員の重量を検出するのに使用される場合、負荷の無い状態は容易に座席占有状態に基づいて求められる。座席が占有されていない場合、相応のフォースセンサは負荷のない状態になければならない。座席占有状態は、車両室内カメラによって容易に検出される。
【００１７】
フォースセンサがシートベルトフォースセンサである場合、負荷のない状態は容易にシートベルト留め具状態を介して識別される。なぜなら機能的なシートベルトフォースセンサは、シートベルト留め具が開放されている場合には確実に無負荷状態にあるからである。シートベルト留め具状態の監視は、例えばシートベルト留め具内に統合されたシートベルト留め具スイッチによって行われる。すなわち較正過程は、シートベルト留め具スイッチの相応する信号によって容易に初期化される。
【００１８】
本発明によって提案されたセンサ較正は、長い時間にわたって信頼できる測定結果を保証するために比較的頻繁な時間間隔で繰り返されるべきである。そのような場合にのみ、車両乗員の重量を検出するフォースセンサおよびシートベルトフォースセンサから得られた情報が、相応する拘束手段の適合したトリガに使用される。
【００１９】
図面
上述したように、本発明の理論を有利に発展構成および改善する様々な方法がある。このために一方では請求項１および７項に従属する請求項を、他方では図面に基づいた本発明の実施例の以下の説明を参照されたい。
【００２０】
唯一の図面には自動車内の、本発明による較正装置を有するシートベルトフォースセンサの可能な配置構成が示されている。
唯一の図面では車両座席１およびこれに属するシートベルト２が、ここでは図示されていない自動車内に配置されるように示されている。ここでこのシートベルトは、シートベルト保持部３およびシートベルト留め具４を有する。
【００２１】
ここで示されている実施例において車両座席１には冒頭に記載されたようなセンサマットが装備されている。しかし重量を求める他の手段を設けることもできる。センサマットによって得られる座席占有状態に関する情報を補足するために、シートベルトフォースセンサ５が設けられる。このシートベルトフォースセンサはシートベルト留め具４内に統合されている。しかしシートベルトフォースセンサを例えばシートベルト留め具の側方に、シートベルト留め具と車両内のシートベルト留め具係留部との間に配置することもできる。
【００２２】
さらにシートベルト留め具４には、シートベルト留め具スイッチ（Gurtschlossschalter）６が装備されている。このシートベルト留め具スイッチによってその時々のシートベルト留め具状態、すなわちシートベルト留め具が開放されているか否かまたは閉じられているか否かが検出される。シートベルトフォースセンサ５は、シートベルト留め具４が開放されているときには無負荷状態にあるので、このような状態はシートベルト留め具スイッチ６によって確実に識別される。
【００２３】
シートベルト留め具スイッチ６の信号は、シートベルトフォースセンサ５の信号とともに、ここでは図示されていない制御装置に供給される。この制御装置は同じように車両座席１内に配置されていてもよい。その後、２つの信号は乗員クラス分けの枠内で評価される。
【００２４】
シートベルトフォースセンサ５に調整された所定の時間間隔でシートベルトフォースセンサが較正され、例えば時間的に変化するセンサ特性曲線のオフセットによる、経年劣化が原因の測定値歪曲に対抗する。このために、シートベルトフォースセンサ５が無負荷状態にあるとき、すなわちシートベルト留め具４が開放されているとき、シートベルトフォースセンサ５の測定値が０に調整設定される。
【００２５】
このような較正過程が、シートベルト留め具４が閉じられることによって中断される場合、この較正過程は次の可能な時点のときに繰り返されなければならない。個々の較正過程間の時間間隔は、絶対に必要であるよりも短く選択されるべきである。
【００２６】
最後に、シートベルトフォースセンサの較正が必ずしも無負荷状態において０値の調整設定によって行われる必要のないことを再度述べておく。本発明に重要なのは、シートベルトフォースセンサが較正時に、ある所定の状態に存在しており、この所定の状態に相応する測定値が調整設定されることだけである。これに対する前提条件は、このような所定の状態を識別する手段である。この手段は強制的にベルト留め具スイッチの形で実現される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】自動車内の、本発明による較正装置を有するシートベルトフォースセンサの可能な配置構成を示す概略図である。

Claims (13)

1. センサ（５）の少なくとも１つの所定の状態を識別する手段を有している、
   ことを特徴とする、センサ（５）を較正する装置。
2. フォースセンサの無負荷状態を識別する手段を有している、請求項１記載のフォースセンサを較正する装置。
3. フォースセンサないしはフォースセンサ装置の無負荷状態を識別する手段は、座席占有状態を検出する手段を含む、請求項２記載の車両乗員の重量を検出するフォースセンサないしフォースセンサ装置を較正する装置。
4. 座席占有状態を検出する手段は車両室内カメラを含む、請求項３記載の装置。
5. シートベルトフォースセンサ（５）の無負荷状態を識別する手段は、シートベルト留め具状態を検出する手段を含む、請求項２記載のシートベルトフォースセンサを較正する装置。
6. シートベルト留め具状態を検出する手段は、少なくとも１つのシートベルト留め具スイッチ（６）を含む、請求項５記載の装置。
7. センサがいつ所定の状態にあるのかを適切な手段によって識別し、
   前記センサが所定の状態にあるときのみ、当該状態に相応する、センサの測定値調整設定を行う、
   ことを特徴とするセンサを較正する方法。
8. フォースセンサがいつ無負荷状態にあるのかを適切な手段によって識別する、請求項７記載のフォースセンサを較正する方法。
9. 座席占有状態を検出し、当該座席占有状態に基づいて、フォースセンサないしはフォースセンサ装置がいつ無負荷状態にあるのかを識別する、請求項８記載の車両乗員の重量を検出するフォースセンサないしはフォースセンサ装置を較正する方法。
10. 座席占有状態を室内カメラによって検出する、請求項９記載の方法。
11. シートベルト留め具（４）の状態を検出し、当該シートベルト留め具（４）の状態に基づいて、シートベルトフォースセンサ（５）がいつ無負荷状態にあるのかを識別する、請求項８記載のシートベルトフォースセンサを較正する方法。
12. 前記シートベルト留め具（４）の状態をシートベルト留め具スイッチ（６）によって検出する、請求項１１記載の方法。
13. 前記センサを繰り返して、有利には規則的な時間間隔で、較正する、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置または請求項７から１２までのいずれか１項記載の方法の使用。