JP2004533480A - アルコール中毒を治療するのに有用な化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、その製造方法およびそれを人間を含めた哺乳類アルコール中毒の治療のための製剤の製造に用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
“アルコール中毒の治療”という表現はアルコール飲料消費の欲望および習慣を低減すること、アルコール依存症の治療および禁酒シンドロームの治療を含む。アルコール中毒は病気、ドラッグ依存症、重大局面に対する習慣化した反応、裏にある心理学的なまたは生理学的不調の症状、またはこれらの因子の組合せとしてみなすことができる。アルコール中毒を治療するための最も多いアプローチはアルコール中毒患者に病気を認識させそして禁酒させることである。その際に治療プログラムはアルコール中毒の受け入れられた定義および原因理論に従って色々である。治療の種類は生理学的なリハビリ治療、組織化された助け合いグループ、挙動変更をベースとする嫌悪療法、ビタミンまたはホルモンの注射および禁酒維持薬の組合せの使用を含む。本発明は最後に挙げた種類の治療に関する。
【0003】
デンマークのEric Jacobsen によって1948年に開始されたアルコール中毒の投薬治療の一つは式 Et 2 N-C(=S)-S-S-C(=S)-NEt 2 のジスルフィラム( テトラエチルチウラム- ジスルフィド) を使用する。この有用な技術は数日の間タブレット状の 0.5g/ 日を投与する。即ち、その時に注意深く制御された条件のもとでおよび医学的に管理して患者をアルコール飲料の飲酒量を少なくする。飲酒者の体内にジスルフィラムが存在することが紅潮、吐き気、嘔吐、血圧の急激な低下、心臓の激しい鼓動および場合によっては切迫死の感覚の原因になる。これらの症状は一般にアセトアルデヒド- シンドロームまたはジスルフィラム様逆効果として知られており、アルコール分解の高毒性の生成物であるアセトアルデヒドの蓄積に起因する。一般にアルコールはアセトアルデヒドに転化された時に、アセトアルデヒドが次に速やかに他の無害な代謝生成物に転化されるが、──完全に人畜無害ではないが、それ自身無毒である───ジスルフィラムの存在下にアセトアルデヒドのこの代謝生成物が妨害して、結果として毒性症状を伴う。それ故に患者は、ジスルフィラム投与のもとで飲酒を試みることで劇的な危険がある。その時にジスルフィラムの毎日の投与量を更に少なく処方し、そして飲酒の結果の恐怖が薬を飲み続ける限り患者にとって飲酒を妨害する化学的障害として作用する。
【0004】
患者にとって全く不快であることの他に、ジスルフィラムでのアルコール中毒の治療は、ジスルフィラムで治療された人が少量のアルコールの摂取で誘導される非常に厳しい症状を患うので、強い危険を伴う。それ故にジスルフィラムでの治療の後に呼吸器抑圧、心臓血管虚脱、不整脈、心筋梗塞および突然死または急死の症状が発生する。
【0005】
クエン酸カルシウム−シアナミド( 1重量部のCaNCN当たり2重量部のクエン酸)はジスルフィラム様作用メカニズムを有する抗アルコール中毒剤としての別の薬である。有効期限が短いがアルコールとの反応がジスルフィラムの場合よりも穏やかなので、若干の治療専門家に好まれている。アルコールと不愉快な反応を生じ得る他の物質には獣炭、マッシルーム Coprinus atramentarius 、沢山の抗糖尿病性薬剤およびパインLycopodium selago が含まれるが、これらは非常に僅かの治療効果しかもたらさない。それ故に近年では、“ジスルフィラム様の逆効果”を有さずにアルコール中毒と戦う、即ちアルコールと不快な反応を生ずることのない他の薬剤が活発に探求されてきた。
【0006】
多くの抗アルコール中毒剤が提案されてきた。その中には以下のものがある: オピオイド拮抗薬、例えばナルトレキソン、ナロキソンおよびナルメフェン(nalmefene)( 米国特許第4,882,335 号明細書および同第5,086,058 号明細書参照);アクリル L- カルニチンγ- ヒドロキシブチラート類 (ヨーロッパ特許出願公開(A1)第616,805 号明細書参照) 、γーヒドロキシ酪酸塩( 米国特許4,983,632 号明細書参照) およびγ−ヒドロキシ酪酸アミド類(国際特許出願公開(A1)第9,806,690 号明細書参照);2−ピリミジニル−1−ピペラジン誘導体、例えばイパサピロン(米国特許第4,895,848 号明細書参照);ピロリジン誘導体( 例えば米国特許第5,935,980 号明細書参照);コリンエステラーゼ抑制剤、例えばガランタミン(galanthamine)(米国特許第5,932,238 号明細書) 、セルトニン再摂取抑制剤、例えばフルオキセチン、および後者とオピオイド拮抗薬との組合せ( 国際特許出願公開(A1)第9,609,047 号明細書参照)。
【0007】
式 CH3 -CO-NH-CH 2 -CH 2 -CH 2 -SO 3 ) 3 で表されるアカムプロサーテ(acamprosate) カルシウムは実地において使用されている1種類の抗アルコール中毒剤である。
【0008】
しかしながら、この化合物の使用は満足から遥かに離れていることおよび現時点で月並みな診療にこの物質を導入するのに十分なサポートが実証されていないことが記載されている(Moncrieff 等、“New drug treatments for alcohol problems: a critical appraisal”, Addiction 1997, 第92巻、第939-47頁、第494-64頁の考察参照) 。それ故に見たところ、提案されたアルコール中毒治療には実地において十分に満足できることを実証するものはなく、アルコール中毒に対する生理学的戦いは解消するには全く至っていない。
【発明の開示】
【0009】
本発明に従って、式(I)
【0010】
【化3】
【0011】
で表される新規化合物または生理的加水分解性で且つ許容し得るそれのアミド、該化合物(I)の立体異性体、または立体異性体または上記アミドの混合物または、またはそれの薬剤的に許容し得る塩または薬剤的に許容し得る溶媒和物を提供する。
【0012】
式(I)の生理的加水分解性で許容し得るアミドは、それのアミン基の一つまたは複数が生理学的に許容し得る酸とアミド基を形成しそしてそのアミド基が生理条件のもとで加水分解して投与すべき投与量で生理的に耐えることができる酸をもたらすことができる、化合物(I)のあらゆるアミドを意味する。それ故にこの表現は、式(I)の化合物のバイオ前駆体形である規定するアミド、即ち人に投与した時に生体内で転化されて式(I)の化合物を生ずる式(I)の化合物の薬理的に許容し得る生分解性のアミド類と理解されるべきである。かゝるバイオ前躯体の例には(I)と酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸および4−メチルベンゼンスルホン酸とのアミド類が含まれる。
【0013】
本発明の化合物は、シクロヘキサン環の1,4−置換に関して2種類の異なる立体化学形態、即ちシスおよびトランス型で存在し得る。本発明は実質的に純粋な両方の形並びにそれらの混合物に関する。
【0014】
本発明の有利な実施態様においてはこの化合物は式(I)で表されるN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン、それの薬剤的に許容し得る塩または薬剤的に許容し得る溶媒和物である。
【0015】
薬剤的に許容し得る塩とは、投与されるべき用量で1種類以上の生理的に耐えられる酸とのあらゆる付加塩を意味する。これらの酸の例には無機酸、例えばHCl、HBr、HI、NHO3 、H2 SO4 等および有機酸、例えば酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸等がある。有利な実施態様においては、薬剤的に許容し得る塩がテトラメタンスルホナートである。
【0016】
薬剤的に許容し得る溶媒和物とは、投与されるべき用量で生理的に耐えられる溶媒、例えば水とのあらゆる溶媒和物を意味する。有利な実施態様においては、本発明の化合物はN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物(これは治療活性を添付の実施例で実証する化合物であり、最初に調製した化合物である。)である。
【0017】
また、本発明は、式(I)で表されるN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンの製造方法において、式(II)
【0018】
【化4】
【0019】
で表されるN,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンを還元することを特徴とする、上記方法にもある。有利な実施態様においては、この還元はラネーニッケル触媒を用いて水素化することによって実施される。
【0020】
この製造方法の有利な実施態様においてはジニトリル(II)は1,4−シクロヘキサンジアミンとアクリロニトリル(CH2 =CH−CN)との間での反応によって製造される。後者の2種類の反応成分は市販されている。
【0021】
上記の反応は添付の実施例で実証する方法で慣用の条件のもとで実施される。1,4−シクロヘキサンジアミンが実質的に純粋の立体化学的形態(シスまたはトランス)で存在する場合には、(II)および(I)の相応する立体異性体(シスまたはトランス)が得られる。(I)の塩(例えばテトラメタンスルホナート)の製造は適当な溶媒または塩を製造するための溶剤の混合物中で相応する酸(例えばメタンスルホン酸)と反応させることによって実施される。
【0022】
本発明は、アルコール中毒で苦しむ患者を治療および/または予防処置する方法において、少なくとも1種類の本発明の化合物を薬剤的に許容し得る賦形剤または担体と一緒に投与することを特徴とする上記方法にも関する。それ故に本発明は人間を含めた哺乳類においてアルコール中毒の治療および/または予防処置のための薬剤の製造に本発明の化合物を使用することにも関する。
【0023】
人間に外挿される動物モデルを持ちいて実施した添付の実施例で実証する通り、本発明の化合物は哺乳類においてアルコール消費を著しく減少させる。この減少の程度は用量および治療期間に左右される。
【0024】
本発明の抗アルコール中毒用化合物の薬用組成物は、用途の特別な要求に従って経口投与または腸管外投与に適する製剤にすることができる。経口投与が特に有利である。当業者に熟知されている通り、製剤においての賦形剤の選択は活性物質の化学的および物理的特徴および必要とされる薬量に依存しているだけでなく、所望される組成物の種類にも左右される。更に活性物質の用量は患者の体重および患者の治療状態に従って明らかに変わる。一般的な用量は1kg当たり1〜100mg(化合物)の範囲内であり、20〜40mg/kgの範囲内が有利である。
【0025】
本発明の長所は化合物の抗アルコール中毒活性が治療期間の後の数時間の間継続することである。これは用量の低減を可能とし得るしまたは患者の総合治療をも可能とする。
【0026】
本発明の別の長所は、ジスルフィラム、カルシウムシアナミドまたは他の抗アルコール中毒剤の不快な使用と比較して、ジスルフィラム様の逆効果が実質的に零であることである。このことは恐らく、本発明の化合物の活性がジスルフィラム様の作用メカニズムに対応していないことを示している。
【0027】
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、これらによって制限されない。
【0028】
実施例:
【実施例1】
【0029】
N,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(II) の製造
5リットルの反応器中に531.5gの1,4−シクロヘキサンジアミンを導入し、この生成物が全部溶融するまで80℃に加温する。次いで675mLのアクリルニトリルを添加しそしてこの混合物を80℃で1時間加温しそして100℃で2時間加温する。次いで960mLのエタノールを添加しそして室温にまで冷却し、固体の沈殿物を発生させる。濾過、エタノールでの洗浄および乾燥の後に、952.2g(92.8%)の表記化合物を褐色の固体として得る。元素分析(%):理論値 C 65.49、 H 9.09、N 25.45; 測定値 C 65.80、 H 9.20、 N 26.16
【実施例2】
【0030】
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(I) の製造
21.2Lのメタノールに952.2gのN,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン (II) を溶解した溶液を準備し、次いでアンモニアで飽和させる。50Lの水素化反応器中でこの溶液を50℃、4barの水素圧で40時間の間、ラネーニッケル触媒を用いて水素化する。触媒を濾去しそして溶剤を蒸発させた後に、924.4g(93.7%)の表題の化合物が緑色の油として得られる。 1H−NMRスペクトル(δ、ppm,CDCl3 ):1.05(m,4H)、1.48−1.66(m,10H)、1.92(m,4H)、2.35(m,2H)、2.65−2.79(m,8H)。13C−NMRスペクトル(δ、ppm,CDCl3 ):31.8(シクロヘキサンCH2 )、33.9(CH2 )、40.1(CH2 −CH2 )、44.7(CH2 −NH)、56.6(シクロヘキサンCH)。IRスペクトル(cm-1,KBr):3272(NH2 ,NH)、2940(脂肪族CH)。
【実施例3】
【0031】
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物の製造
1345mLの酢酸エチルに350mLのメタンスルホン酸を溶解した溶液を、6880mLのメタノールに285.8gのN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(I)を溶解した溶液に添加する。2時間攪拌し、エタノールで洗浄しそして乾燥した後に、625gの未精製固体を得る。この固体を処理しそして水(1gの固体当たり5mL)および活性炭と2時間攪拌する。活性炭の濾去、減圧下での水の蒸発および一定重量までの40℃での乾燥の後に、515g(67.2%)の表題の化合物(融点261〜5℃)を得る。 1H−NMRスペクトル(δ、ppm,DMSO−d6 ):1.4(m,4H)、1.91(m,4H)、2.14(m,4H)、2.3(s,12H)、2.90および3.20(m,10H)、8(10H)。13C−NMRスペクトル(δ、ppm,DNSO6 ):22.4(シクロヘキサンCH2 )、24.6(CH2 )、34.6(CH2 −CH2 )、38.5(酸CH3 )、38.6(酸CH3 )、39.6(CH2 −NH)、52.9(シクロヘキサンCH)。IRスペクトル(cm-1,KBr):3440(H2 O)、2944、2860(脂肪族CH)、1195(SO3 )。元素分析(%):理論値 C 30.48、H 7.30、N 8.88; 測定値 C 30.79、H 7.04、N 8.88。
【実施例4】
【0032】
遺伝子アルコール中毒ラットにおける化合物(I)の抗アルコール中毒活性
人間を含めたアルコール中毒哺乳類の動物モデルとして、UChB品種に属する両性の成熟ウイスタルラットを使用した。このラットの種類はチリの大学で長期間厳選した結果物であり、これに属するラットは10%(容量/容量)の水性アルコールの自発的消費動物であることが知られている(J.Mardones and N.Segovia-Riquelme, “Thirty two years of selection of tats by ethanol preference ”: UChAおよびUChB種、Neurobehay, Toxicol, and Teratol, 1983, 第5巻、第171-178 頁)。それ故にこれらの実験で使用したラットは遺伝子的アルコール中毒とみなすことができる。
【0033】
ラットを22℃で、選択的に12時間の期間の間、明るい所および暗い所で個々のケージに入れておく。食物を無制限に入手させることの他に、水および10%(容量/容量)水性アルコールを任意に入手させた。全ての実験は二重盲検法でありそして結果を慣用の統計学的方法を用いて分析した。アルコール消費量の変化が食品および/または水の摂取の熱望度によって影響されるので、食品および水の消費量の両方を測定しそして分析した。しかしながら食品および水の両方の消費量の実験的変化は顕著ではなかった。各実験において以下の3つの期間を考慮した。
【0034】
a)治療する前の3日間よりなる対照期間。測定された消費量は比較目的のための対照値として使用した。
【0035】
b)試験した化合物の水溶液が、常に1日の同じ時間に胃内投与された3日または6日よりなる治療期間。N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物は二つの用量、即ち20mg/kg(体重)および40mg/kgで投与され、それぞれ10g/Lおよび20g/Lの濃度の試験化合物の水溶液を用いた。20mg/kgの用量は連続3日間および連続6日間の両方試験した。40g/kgの用量は連続3日間だけ試験した。
【0036】
c)治療期間の直後3日間よりなる後治療期間。この期間の間に効果の持続性および変化の可逆性を確かめるために測定した。
【0037】
20mg/kgで6日間の治療で、投与後の最初の6時間にわたって25%のアルコール消費量の顕著な低下が観察された。40mg/kgで3日間の治療では27%の顕著なアルコール消費量の低下があり、この低下は後治療期間にわたって保持された。6〜24時間の期間内のアルコール消費量の低減は僅かであり、これは血中の有効物質の濃度の減少に関係している。
【0038】
結果全体からN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物が抗アルコール中毒剤として実質的活性を有することを示している。その効果は治療期間および投与量に左右された。
【実施例5】
【0039】
延長した治療期間の間の化合物(I)の抗アルコール中毒活性
UChB種に属する両性のウイスタルラットにN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物を40mg/kgの用量で30日の治療期間の間投与した効果を、実施例4のものと同様の実験で評価した。アルコールおよび水の個々の消費量(1日当たり)を連続3日間のサイクルで1グループとし、減少データは10の平均値である。結果を治療期間の最後に71%減少に達するまでアルコール消費量が徐々に減少することを示した。水消費量は200%より多くに達するまで徐々に増加することが判った。
【実施例6】
【0040】
後治療期間の間の化合物(I)の抗アルコール中毒活性
実施例5の延長治療の後に、UChB種に属する両性のウイスタルラットにN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物を27日(3日×9サイクル)の後治療機関の間投与した効果を、同様な実験で評価した。結果はこの期間の最後に24%減少に達するまでアルコール消費量が徐々に回復することを示した。後処理期間の後で、水消費量は延長治療の結果と同様に200%より多くに達したが、最初の値の171%に減少した。それ故にN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物の効果は延長治療後長期間の間実質的に残り、アルコール/水の消費量の最初の値に戻らなかった。
【実施例7】
【0041】
ジスルフィラム様逆効果の評価
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物のジスルフィラム様逆効果を、10%(容量/容量)の水性溶液の形で2.76g/kgのアルコールを腹膜内投与した後で標準のウイスタル雄ラットのアセトアルデヒド血中濃度をガスクロマトグラフィー測定した。血液サンプルを尾から(エタノール投与後0.5時間、1.0時間および2.0時間)および肝上静脈から(エタノール投与後2.0時間後)採る。試験化合物を前もっと40mg/kgの投与量で経口投与(エタノールの投与前2、6、8および24時間)することが血液中のアルデヒド濃度を上昇させないことが判った。このことは試験した化合物がアセトアルデヒドのメタボリズムをブロックしないと結論付けられる(反対に、対照試験で判る様にジスルフィラムでは発生する)。
【0001】
本発明は、新規化合物、その製造方法およびそれを人間を含めた哺乳類アルコール中毒の治療のための製剤の製造に用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
“アルコール中毒の治療”という表現はアルコール飲料消費の欲望および習慣を低減すること、アルコール依存症の治療および禁酒シンドロームの治療を含む。アルコール中毒は病気、ドラッグ依存症、重大局面に対する習慣化した反応、裏にある心理学的なまたは生理学的不調の症状、またはこれらの因子の組合せとしてみなすことができる。アルコール中毒を治療するための最も多いアプローチはアルコール中毒患者に病気を認識させそして禁酒させることである。その際に治療プログラムはアルコール中毒の受け入れられた定義および原因理論に従って色々である。治療の種類は生理学的なリハビリ治療、組織化された助け合いグループ、挙動変更をベースとする嫌悪療法、ビタミンまたはホルモンの注射および禁酒維持薬の組合せの使用を含む。本発明は最後に挙げた種類の治療に関する。
【0003】
デンマークのEric Jacobsen によって1948年に開始されたアルコール中毒の投薬治療の一つは式 Et 2 N-C(=S)-S-S-C(=S)-NEt 2 のジスルフィラム( テトラエチルチウラム- ジスルフィド) を使用する。この有用な技術は数日の間タブレット状の 0.5g/ 日を投与する。即ち、その時に注意深く制御された条件のもとでおよび医学的に管理して患者をアルコール飲料の飲酒量を少なくする。飲酒者の体内にジスルフィラムが存在することが紅潮、吐き気、嘔吐、血圧の急激な低下、心臓の激しい鼓動および場合によっては切迫死の感覚の原因になる。これらの症状は一般にアセトアルデヒド- シンドロームまたはジスルフィラム様逆効果として知られており、アルコール分解の高毒性の生成物であるアセトアルデヒドの蓄積に起因する。一般にアルコールはアセトアルデヒドに転化された時に、アセトアルデヒドが次に速やかに他の無害な代謝生成物に転化されるが、──完全に人畜無害ではないが、それ自身無毒である───ジスルフィラムの存在下にアセトアルデヒドのこの代謝生成物が妨害して、結果として毒性症状を伴う。それ故に患者は、ジスルフィラム投与のもとで飲酒を試みることで劇的な危険がある。その時にジスルフィラムの毎日の投与量を更に少なく処方し、そして飲酒の結果の恐怖が薬を飲み続ける限り患者にとって飲酒を妨害する化学的障害として作用する。
【0004】
患者にとって全く不快であることの他に、ジスルフィラムでのアルコール中毒の治療は、ジスルフィラムで治療された人が少量のアルコールの摂取で誘導される非常に厳しい症状を患うので、強い危険を伴う。それ故にジスルフィラムでの治療の後に呼吸器抑圧、心臓血管虚脱、不整脈、心筋梗塞および突然死または急死の症状が発生する。
【0005】
クエン酸カルシウム−シアナミド( 1重量部のCaNCN当たり2重量部のクエン酸)はジスルフィラム様作用メカニズムを有する抗アルコール中毒剤としての別の薬である。有効期限が短いがアルコールとの反応がジスルフィラムの場合よりも穏やかなので、若干の治療専門家に好まれている。アルコールと不愉快な反応を生じ得る他の物質には獣炭、マッシルーム Coprinus atramentarius 、沢山の抗糖尿病性薬剤およびパインLycopodium selago が含まれるが、これらは非常に僅かの治療効果しかもたらさない。それ故に近年では、“ジスルフィラム様の逆効果”を有さずにアルコール中毒と戦う、即ちアルコールと不快な反応を生ずることのない他の薬剤が活発に探求されてきた。
【0006】
多くの抗アルコール中毒剤が提案されてきた。その中には以下のものがある: オピオイド拮抗薬、例えばナルトレキソン、ナロキソンおよびナルメフェン(nalmefene)( 米国特許第4,882,335 号明細書および同第5,086,058 号明細書参照);アクリル L- カルニチンγ- ヒドロキシブチラート類 (ヨーロッパ特許出願公開(A1)第616,805 号明細書参照) 、γーヒドロキシ酪酸塩( 米国特許4,983,632 号明細書参照) およびγ−ヒドロキシ酪酸アミド類(国際特許出願公開(A1)第9,806,690 号明細書参照);2−ピリミジニル−1−ピペラジン誘導体、例えばイパサピロン(米国特許第4,895,848 号明細書参照);ピロリジン誘導体( 例えば米国特許第5,935,980 号明細書参照);コリンエステラーゼ抑制剤、例えばガランタミン(galanthamine)(米国特許第5,932,238 号明細書) 、セルトニン再摂取抑制剤、例えばフルオキセチン、および後者とオピオイド拮抗薬との組合せ( 国際特許出願公開(A1)第9,609,047 号明細書参照)。
【0007】
式 CH3 -CO-NH-CH 2 -CH 2 -CH 2 -SO 3 ) 3 で表されるアカムプロサーテ(acamprosate) カルシウムは実地において使用されている1種類の抗アルコール中毒剤である。
【0008】
しかしながら、この化合物の使用は満足から遥かに離れていることおよび現時点で月並みな診療にこの物質を導入するのに十分なサポートが実証されていないことが記載されている(Moncrieff 等、“New drug treatments for alcohol problems: a critical appraisal”, Addiction 1997, 第92巻、第939-47頁、第494-64頁の考察参照) 。それ故に見たところ、提案されたアルコール中毒治療には実地において十分に満足できることを実証するものはなく、アルコール中毒に対する生理学的戦いは解消するには全く至っていない。
【発明の開示】
【0009】
本発明に従って、式(I)
【0010】
【化3】
【0011】
で表される新規化合物または生理的加水分解性で且つ許容し得るそれのアミド、該化合物(I)の立体異性体、または立体異性体または上記アミドの混合物または、またはそれの薬剤的に許容し得る塩または薬剤的に許容し得る溶媒和物を提供する。
【0012】
式(I)の生理的加水分解性で許容し得るアミドは、それのアミン基の一つまたは複数が生理学的に許容し得る酸とアミド基を形成しそしてそのアミド基が生理条件のもとで加水分解して投与すべき投与量で生理的に耐えることができる酸をもたらすことができる、化合物(I)のあらゆるアミドを意味する。それ故にこの表現は、式(I)の化合物のバイオ前駆体形である規定するアミド、即ち人に投与した時に生体内で転化されて式(I)の化合物を生ずる式(I)の化合物の薬理的に許容し得る生分解性のアミド類と理解されるべきである。かゝるバイオ前躯体の例には(I)と酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸および4−メチルベンゼンスルホン酸とのアミド類が含まれる。
【0013】
本発明の化合物は、シクロヘキサン環の1,4−置換に関して2種類の異なる立体化学形態、即ちシスおよびトランス型で存在し得る。本発明は実質的に純粋な両方の形並びにそれらの混合物に関する。
【0014】
本発明の有利な実施態様においてはこの化合物は式(I)で表されるN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン、それの薬剤的に許容し得る塩または薬剤的に許容し得る溶媒和物である。
【0015】
薬剤的に許容し得る塩とは、投与されるべき用量で1種類以上の生理的に耐えられる酸とのあらゆる付加塩を意味する。これらの酸の例には無機酸、例えばHCl、HBr、HI、NHO3 、H2 SO4 等および有機酸、例えば酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸等がある。有利な実施態様においては、薬剤的に許容し得る塩がテトラメタンスルホナートである。
【0016】
薬剤的に許容し得る溶媒和物とは、投与されるべき用量で生理的に耐えられる溶媒、例えば水とのあらゆる溶媒和物を意味する。有利な実施態様においては、本発明の化合物はN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物(これは治療活性を添付の実施例で実証する化合物であり、最初に調製した化合物である。)である。
【0017】
また、本発明は、式(I)で表されるN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンの製造方法において、式(II)
【0018】
【化4】
【0019】
で表されるN,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンを還元することを特徴とする、上記方法にもある。有利な実施態様においては、この還元はラネーニッケル触媒を用いて水素化することによって実施される。
【0020】
この製造方法の有利な実施態様においてはジニトリル(II)は1,4−シクロヘキサンジアミンとアクリロニトリル(CH2 =CH−CN)との間での反応によって製造される。後者の2種類の反応成分は市販されている。
【0021】
上記の反応は添付の実施例で実証する方法で慣用の条件のもとで実施される。1,4−シクロヘキサンジアミンが実質的に純粋の立体化学的形態(シスまたはトランス)で存在する場合には、(II)および(I)の相応する立体異性体(シスまたはトランス)が得られる。(I)の塩(例えばテトラメタンスルホナート)の製造は適当な溶媒または塩を製造するための溶剤の混合物中で相応する酸(例えばメタンスルホン酸)と反応させることによって実施される。
【0022】
本発明は、アルコール中毒で苦しむ患者を治療および/または予防処置する方法において、少なくとも1種類の本発明の化合物を薬剤的に許容し得る賦形剤または担体と一緒に投与することを特徴とする上記方法にも関する。それ故に本発明は人間を含めた哺乳類においてアルコール中毒の治療および/または予防処置のための薬剤の製造に本発明の化合物を使用することにも関する。
【0023】
人間に外挿される動物モデルを持ちいて実施した添付の実施例で実証する通り、本発明の化合物は哺乳類においてアルコール消費を著しく減少させる。この減少の程度は用量および治療期間に左右される。
【0024】
本発明の抗アルコール中毒用化合物の薬用組成物は、用途の特別な要求に従って経口投与または腸管外投与に適する製剤にすることができる。経口投与が特に有利である。当業者に熟知されている通り、製剤においての賦形剤の選択は活性物質の化学的および物理的特徴および必要とされる薬量に依存しているだけでなく、所望される組成物の種類にも左右される。更に活性物質の用量は患者の体重および患者の治療状態に従って明らかに変わる。一般的な用量は1kg当たり1〜100mg(化合物)の範囲内であり、20〜40mg/kgの範囲内が有利である。
【0025】
本発明の長所は化合物の抗アルコール中毒活性が治療期間の後の数時間の間継続することである。これは用量の低減を可能とし得るしまたは患者の総合治療をも可能とする。
【0026】
本発明の別の長所は、ジスルフィラム、カルシウムシアナミドまたは他の抗アルコール中毒剤の不快な使用と比較して、ジスルフィラム様の逆効果が実質的に零であることである。このことは恐らく、本発明の化合物の活性がジスルフィラム様の作用メカニズムに対応していないことを示している。
【0027】
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、これらによって制限されない。
【0028】
実施例:
【実施例1】
【0029】
N,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(II) の製造
5リットルの反応器中に531.5gの1,4−シクロヘキサンジアミンを導入し、この生成物が全部溶融するまで80℃に加温する。次いで675mLのアクリルニトリルを添加しそしてこの混合物を80℃で1時間加温しそして100℃で2時間加温する。次いで960mLのエタノールを添加しそして室温にまで冷却し、固体の沈殿物を発生させる。濾過、エタノールでの洗浄および乾燥の後に、952.2g(92.8%)の表記化合物を褐色の固体として得る。元素分析(%):理論値 C 65.49、 H 9.09、N 25.45; 測定値 C 65.80、 H 9.20、 N 26.16
【実施例2】
【0030】
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(I) の製造
21.2Lのメタノールに952.2gのN,N’−ビス(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン (II) を溶解した溶液を準備し、次いでアンモニアで飽和させる。50Lの水素化反応器中でこの溶液を50℃、4barの水素圧で40時間の間、ラネーニッケル触媒を用いて水素化する。触媒を濾去しそして溶剤を蒸発させた後に、924.4g(93.7%)の表題の化合物が緑色の油として得られる。 1H−NMRスペクトル(δ、ppm,CDCl3 ):1.05(m,4H)、1.48−1.66(m,10H)、1.92(m,4H)、2.35(m,2H)、2.65−2.79(m,8H)。13C−NMRスペクトル(δ、ppm,CDCl3 ):31.8(シクロヘキサンCH2 )、33.9(CH2 )、40.1(CH2 −CH2 )、44.7(CH2 −NH)、56.6(シクロヘキサンCH)。IRスペクトル(cm-1,KBr):3272(NH2 ,NH)、2940(脂肪族CH)。
【実施例3】
【0031】
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物の製造
1345mLの酢酸エチルに350mLのメタンスルホン酸を溶解した溶液を、6880mLのメタノールに285.8gのN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン(I)を溶解した溶液に添加する。2時間攪拌し、エタノールで洗浄しそして乾燥した後に、625gの未精製固体を得る。この固体を処理しそして水(1gの固体当たり5mL)および活性炭と2時間攪拌する。活性炭の濾去、減圧下での水の蒸発および一定重量までの40℃での乾燥の後に、515g(67.2%)の表題の化合物(融点261〜5℃)を得る。 1H−NMRスペクトル(δ、ppm,DMSO−d6 ):1.4(m,4H)、1.91(m,4H)、2.14(m,4H)、2.3(s,12H)、2.90および3.20(m,10H)、8(10H)。13C−NMRスペクトル(δ、ppm,DNSO6 ):22.4(シクロヘキサンCH2 )、24.6(CH2 )、34.6(CH2 −CH2 )、38.5(酸CH3 )、38.6(酸CH3 )、39.6(CH2 −NH)、52.9(シクロヘキサンCH)。IRスペクトル(cm-1,KBr):3440(H2 O)、2944、2860(脂肪族CH)、1195(SO3 )。元素分析(%):理論値 C 30.48、H 7.30、N 8.88; 測定値 C 30.79、H 7.04、N 8.88。
【実施例4】
【0032】
遺伝子アルコール中毒ラットにおける化合物(I)の抗アルコール中毒活性
人間を含めたアルコール中毒哺乳類の動物モデルとして、UChB品種に属する両性の成熟ウイスタルラットを使用した。このラットの種類はチリの大学で長期間厳選した結果物であり、これに属するラットは10%(容量/容量)の水性アルコールの自発的消費動物であることが知られている(J.Mardones and N.Segovia-Riquelme, “Thirty two years of selection of tats by ethanol preference ”: UChAおよびUChB種、Neurobehay, Toxicol, and Teratol, 1983, 第5巻、第171-178 頁)。それ故にこれらの実験で使用したラットは遺伝子的アルコール中毒とみなすことができる。
【0033】
ラットを22℃で、選択的に12時間の期間の間、明るい所および暗い所で個々のケージに入れておく。食物を無制限に入手させることの他に、水および10%(容量/容量)水性アルコールを任意に入手させた。全ての実験は二重盲検法でありそして結果を慣用の統計学的方法を用いて分析した。アルコール消費量の変化が食品および/または水の摂取の熱望度によって影響されるので、食品および水の消費量の両方を測定しそして分析した。しかしながら食品および水の両方の消費量の実験的変化は顕著ではなかった。各実験において以下の3つの期間を考慮した。
【0034】
a)治療する前の3日間よりなる対照期間。測定された消費量は比較目的のための対照値として使用した。
【0035】
b)試験した化合物の水溶液が、常に1日の同じ時間に胃内投与された3日または6日よりなる治療期間。N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物は二つの用量、即ち20mg/kg(体重)および40mg/kgで投与され、それぞれ10g/Lおよび20g/Lの濃度の試験化合物の水溶液を用いた。20mg/kgの用量は連続3日間および連続6日間の両方試験した。40g/kgの用量は連続3日間だけ試験した。
【0036】
c)治療期間の直後3日間よりなる後治療期間。この期間の間に効果の持続性および変化の可逆性を確かめるために測定した。
【0037】
20mg/kgで6日間の治療で、投与後の最初の6時間にわたって25%のアルコール消費量の顕著な低下が観察された。40mg/kgで3日間の治療では27%の顕著なアルコール消費量の低下があり、この低下は後治療期間にわたって保持された。6〜24時間の期間内のアルコール消費量の低減は僅かであり、これは血中の有効物質の濃度の減少に関係している。
【0038】
結果全体からN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物が抗アルコール中毒剤として実質的活性を有することを示している。その効果は治療期間および投与量に左右された。
【実施例5】
【0039】
延長した治療期間の間の化合物(I)の抗アルコール中毒活性
UChB種に属する両性のウイスタルラットにN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物を40mg/kgの用量で30日の治療期間の間投与した効果を、実施例4のものと同様の実験で評価した。アルコールおよび水の個々の消費量(1日当たり)を連続3日間のサイクルで1グループとし、減少データは10の平均値である。結果を治療期間の最後に71%減少に達するまでアルコール消費量が徐々に減少することを示した。水消費量は200%より多くに達するまで徐々に増加することが判った。
【実施例6】
【0040】
後治療期間の間の化合物(I)の抗アルコール中毒活性
実施例5の延長治療の後に、UChB種に属する両性のウイスタルラットにN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物を27日(3日×9サイクル)の後治療機関の間投与した効果を、同様な実験で評価した。結果はこの期間の最後に24%減少に達するまでアルコール消費量が徐々に回復することを示した。後処理期間の後で、水消費量は延長治療の結果と同様に200%より多くに達したが、最初の値の171%に減少した。それ故にN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物の効果は延長治療後長期間の間実質的に残り、アルコール/水の消費量の最初の値に戻らなかった。
【実施例7】
【0041】
ジスルフィラム様逆効果の評価
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート1水和物のジスルフィラム様逆効果を、10%(容量/容量)の水性溶液の形で2.76g/kgのアルコールを腹膜内投与した後で標準のウイスタル雄ラットのアセトアルデヒド血中濃度をガスクロマトグラフィー測定した。血液サンプルを尾から(エタノール投与後0.5時間、1.0時間および2.0時間)および肝上静脈から(エタノール投与後2.0時間後)採る。試験化合物を前もっと40mg/kgの投与量で経口投与(エタノールの投与前2、6、8および24時間)することが血液中のアルデヒド濃度を上昇させないことが判った。このことは試験した化合物がアセトアルデヒドのメタボリズムをブロックしないと結論付けられる(反対に、対照試験で判る様にジスルフィラムでは発生する)。
Claims (10)
- 式(I)で表されるN,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン、それの立体異性体または立体異性体の混合物、またはそれの薬剤的に許容し得る塩または薬剤的に許容し得る溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
- 薬剤的に許容し得る塩がテトラメタンスルホナートである、請求項1または2に記載の化合物。
- N,N’−ビス(3−アミノプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン−テトラメタンスルホナート一水和物。
- 還元をラネーニッケル触媒を用いて水素化することによって実施する、請求項5に記載の方法。
- 式(II)のニトリルを1,4−シクロヘキサンジアミンとアクリロニトリルとの間での反応によって製造する、請求項5または6に記載の方法。
- 医薬の有効物質としての、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
- 人間を含めた哺乳類においてアルコール中毒の治療および/または予防処置のための請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
- 人間を含めた哺乳類においてアルコール中毒の治療および/または予防処置のための医薬を製造するために、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物を用いる方法。
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