JP2004533256A - ウイルス検出方法、ウイルス検出用プライマー、及びスクリーニングキット - Google Patents

ウイルス検出方法、ウイルス検出用プライマー、及びスクリーニングキット Download PDF

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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/70Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving virus or bacteriophage

Abstract

自己プロービング型アンプリコンを用いたリアルタイムPCRに基づいた、ヒトパピローマウイルスなどのウイルスの新規な検出及び型判定方法を開示する。
本発明の方法は、(IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程(該自己プロービング型アンプリコンは、(i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、(ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有するとともに該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、(iii)ウイルスシグナリングシステムであって、前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能な信号を発生することによって前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が前記検出可能信号によって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する)と、(IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能信号が発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、(II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記ウイルスプローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程と、からなる。この方法は、迅速、簡単かつ特異的で高感度であり、細胞当たりのウイルス負荷を推定することが可能である。細胞系、生検材料、及び子宮頚部の細胞ブラシ試料について100以上のHPV型判定反応を行った結果では、現在用いられているHPVの検出及び型判定法と比較した場合のκ値は0.89である。本発明の方法はSV40などの他のウイルスに適用することも可能である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はウイルス、殊にヒトパピローマウイルスやSV40などの哺乳動物において発癌との関連が指摘されるウイルスの検出、型判定、及びキャラクタリゼーションを行うための改良法、ならびに本方法において使用するプライマー及びプローブに関するものである。本発明は更に診断キットならびに当該キットを利用したスクリーニング法に関するものである。
【0002】
発癌性との関連が指摘される各種のウイルスが存在し、このため臨床試料中のこうしたウイルスの存在を特定する必要があるが、同様に重要な点として、細胞当りのウイルス負荷や、感染生物(最も重要なものはヒトである)におけるウイルスの組み込み状態を正確に判定することがある。したがって、感染ウイルスの型、ウイルス負荷(細胞当り、すなわち細胞当りのウイルスのコピー数、またはウイルスゲノム:ヒトゲノムの比)、ならびにウイルスの組み込み状態(ウイルスDNAが細胞のサイトゾル中で「遊離」しているかホストのゲノムに組み込まれているか)を判定するための手段が与えられることが、こうした因子によって患者の診断についての重要な知見が得られることから望まれている。
【0003】
こうした点について、ヒトパピローマウイルス(HPV)及びSV40の2つのウイルスカテゴリーを例に先ず説明する。
【0004】
子宮頚癌は世界的に女性における癌死の頻度では第2位に位置するものである。子宮頚癌の発生率は子宮頚部スクリーニングプログラムによって低減したものの、侵襲性子宮頚癌の50%は従来の細胞診断法を用いてスクリーニングを行った女性で発生している。近年、ヒトパピローマウイルス(HPV)の特定のサブセットの子宮頚癌への関与が指摘されており、これらの癌の99%以上においてHPVのDNAが存在することが示されている。HPVでは現在84種類の型が知られているが、このうち約30種が生殖管に感染する。このことから、現在の細胞診断的スクリーニングレジメの補助手段または代替手段として、HPVの検出及び型判定を行う方法が検討されている。こうした手法の成否が、臨床的に応用可能な迅速、高信頼度、高感度、かつ特異的なHPVの検出法の開発にかかっていることは云うまでもない。
【0005】
現在、HPVの検出及び型判定を行う主な手法として8つの方法が知られているが、そのいずれも用途に応じた長短を有するものである。それらを表1にまとめたが、いずれも臨床及び研究の両側面において最適な方法とはいいがたいことが理解される。こうした技術の背景として、臨床試料中のHPV DNAの検出法では最も高感度なものとしてPCR法が導入された。しかしながら、遺伝子型の異なるHPV間ではヌクレオチドレベルでの相違が顕著であることから、HPVのすべての遺伝子型を検出することが可能な簡単かつ汎用性の高いPCRテストの開発は困難であった。こうした状況にも関わらず、各種のHPV PCR法が開発され、主として粘膜型のHPV遺伝子型を広範に検出することが可能となった。
【0006】
【表1】
Figure 2004533256
【0007】
HPVの遺伝子は早期(E)と晩期(L)遺伝子からなり、機能的に幾つかのオープンリーディングフレーム(ORF)に区分される。すなわち早期遺伝子として、ウイルス複製に係るもの(E1)、転写の調節に係るもの(E2)、細胞質タンパク質をコードするもの(E4)、及び悪性形質転換に係るもの(E5、E6、E7)、また晩期遺伝子としてカプシドタンパク質をコードするもの(L1、L2)である。
【0008】
共通配列プライマーであるGP5とGP6の組合わせは、もともとHPV−6、−11、−16、−18、−31、及び−33からの配列情報に基づいてHPV L1領域から選択されたものであるが、ミスマッチを許容する条件下で少なくとも27種類の粘膜型HPV遺伝子型の標的DNAを増幅することが知られている。共通配列プライマーGP5(5’−TTT GTT ACT GTG GTA GAT AC−3’)及びGP6(3’−ACT AAA TGT CAA ATA AAA AG−5’)(Snijders et al., J. Gen. Virol. 71 173-181 (1990))は、広範囲のHPV遺伝子型でL1オープンリーディングフレームの140〜150bpの領域にわたる部分であり、共通配列プライマー介在型PCRで使用されてきた。この方法(GP−PCR)の強みは、オランダにおいて細胞形態学的にPapIV(上皮内癌)及びPapV(癌)として分類される頚管擦過細胞の100%にHPV DNAが検出されたことで更に実証されている。このことは、オランダではすべての生殖管高危険型HPVをこのアッセイで検出可能なことを示唆するものである。
【0009】
しかしながら、日常的な診断にGP−PCRを用いる場合、臨床試料の数が少ない場合には、結果が不明瞭となることが示された。これは低強度のGP−PCRシグナルに同時に増幅された細胞DNAの比較的高強度のバックグラウンドが重なるためである。その後、プライマーの長さを大きくすることによってより効率的な増幅が行われることが示されたことから、GP5及びGP6プライマーを3’末端を高度に保存された配列として延長することが行われた。こうしたGP5+及びGP6+プライマーのPCRにおける使用を、異なるHPVウイルス型の長いクローンDNAについてもともとのGP5及びGP6を用いてPCRを行った場合と比較を行った結果、これらの延長された共通配列プライマーの感度は大幅に向上していることが分かった。
【0010】
PCRに基づくHPV検出及び型判定を容易にするため、比色分析型マイクロタイタープレートを用いたハイブリダイゼーションアッセイが開発された。この方法はGP−PCRにおいて1種類のビオチン化プライマー(bio−GP6+)を使用するものである。ビオチン化されたPCR産物をストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレート上に固定、変性した後、ジゴキシゲニン標識(DIG−)したHPV特異的内部オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせる。DIG標識されたハイブリッドは酵素免疫法(EIA)によって検出する。この方法の発展形として、DIG標識したHPV型特異的オリゴヌクレオチドプローブの2種類のカクテルとEIAを用いることによって、共通配列プライマーGP5+/bioGP6+によるPCRを行った後に14種の高危険型(16、18、31、35、39、45、51、52、56、58、59、66及び68型)及び6種の低危険型(6、11、40、42、43及び44型)HPVを群特異的に検出する方法を開発する試みがなされてきた。以下この方法をPCR−EIAと称することとする。このような高危険/低危険(HR/LR)HPV PCR−EIAの感度は、HPVの型に応じてHPVコピー数で10〜200コピーの範囲である。
【0011】
HPV DNAに対する蛍光プローブアッセイには、増幅されたDNAに結合する遺伝子型特異的プローブを用いて、HPV−16、−18、−31、−33及び−35型のDNAのL1オープンリーディングフレームの一部をPCR増幅することに基づいたものがある。TaqManアッセイでは、各プローブを3’末端でブロックすることでポリメラーゼによる伸長を阻止する。プライマー伸長反応においてTaqポリメラーゼが結合プローブと接触すると、ポリメラーゼの5’→3’方向のエキソヌクレアーゼ活性によってプローブが分解され、3’末端側のクエンチャーから5’末端側のフルオロフォアが遊離する。これによりレポーターが発する蛍光量が増大するが、この蛍光量は過剰量のプローブの存在下で、増幅前に試料中に存在するHPV DNAの量に直接関係している。「分子ビーコン」はヘアピンループ構造を有するプローブであり、このヘアピンループ構造はフルオロフォアとクエンチャーを近接状態で保持しているが、プローブが標的に特異的に結合するとヘアピンループが開いて蛍光信号が発生する。
【0012】
一般に、HPV DNAは子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)病変ではエピソーム型として存在し、侵襲性癌ではウイルスDNAは主としてホストゲノムに組み込まれている。子宮頚癌の多くではHPVゲノムはホスト細胞の染色体に組み込まれ、ウイルスの配列と細胞の配列を含んだmRNAに転写される。これに対し、早期の前癌病変ではHPVゲノムはエピソームの状態のままであり、これから生ずる転写産物はウイルスの配列のみを有している。したがって、組み込まれた状態のHPVゲノムから生じたHPV転写産物が検出されることによって、憎悪の危険性が高いCIN病変ならびに侵襲性癌が具体的に示されるものと考えられる。
【0013】
HPV DNAが細胞の染色体に組み込まれる際、通常E2のORFの一部が失われ、E6及びE7のmRNAの発現の抑制が解除される。生じたE6及びE7タンパク質によって一部の癌遺伝子が活性化され、かつ/または、ホストの腫瘍抑制遺伝子産物(p53、pRB)が不活性化されることによって細胞増殖が制御不能となり悪性形質転換が起きる。
【0014】
したがってHPV DNAの組み込みは子宮頚癌の発癌過程における重要な遺伝子変化と考えられ、組み込みのレベルが決定可能であることは診断上重要な意味を持つと考えられる。このため一部の検出方法では、早期遺伝子、特にE1/E2及びE6/E7の阻害の特定、定量化に主眼をおいている。これらの方法は、マルチプレックスPCR(各配列に対するプライマーが同じ反応に含まれる)や組み込まれた状態のウイルスゲノム及びエピソームとして存在するウイルスゲノムから生じるHPVのmRNAの区別を可能とするRT−PCRなどの方法を用いて行われてきた。
【0015】
したがって従来知られていた方法では複数の技術及び/またはプローブを用いてHPV型及び組み込み状態を検出する必要があったが、これは時間がかかり、遅く、一般に臨床用途には不向きである。更に、これらの方法のいずれも、細胞当りのウイルスのコピー数を与えるものではないことから、ウイルス負荷の決定において充分といえるものではない。これらのシステムではウイルスのコピー数と細胞のコピー数を定量化するのに異なる方法が用いられており、したがって2つのものは厳密には同等ではない。β−グロブリンやゲノムDNAの他のハウスキーピング遺伝子についてのアッセイを行う従来の方法は、細胞当りではなく、1マイクログラムの細胞DNA当りのウイルスDNAコピー数の範囲を与えるものでしかない。ハウスキーピング遺伝子の他の用途はPCRのコントロールとしてか、またはPCRの検出限界を決定するためのものであり、ウイルス負荷に関する情報を与えるためのものではなかった。
【0016】
HPVによって引き起こされる別の疾患として再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)がある。この疾患は喉頭では最も普通に見られる良性腫瘍であり、充分な治療法の確立されていない深刻な病態であって約2〜7%が悪性形質転換する。RRPはHPV−6及びHPV−11の2種類のHPウイルスによって引き起こされるが、これらのウイルスは正常な学齢児童の50%以上において中咽頭に検出されることからホスト側の因子の重要性は明らかである。
【0017】
HPVの感染は若年発症型RRPでは産道の通過時に、成年発症型RRPでは口−性器の接触によって媒介されると考えられている。この疾患を有する患者では明らかな免疫不全は見られない。
【0018】
癌、特に中皮腫(胸部及び肺内層の中皮細胞の癌)に関連があるとされているウイルスの別の例として、Simian猿で最初に発見されたことに因んで命名されたサル空胞ウイルス40(SV40)がある。このウイルスは初期のポリオワクチンの夾雑物として発見され、かつては人体には無害であると考えられていたが、実験動物で腫瘍を引き起こすことが確認され、以来、骨肉腫、脳下垂体、甲状腺、脳及び神経系の腫瘍(例、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、脳室上衣腫、及び脈絡叢乳頭腫)との関連が指摘されている。細胞当り1コピーのSV40によって細胞がトランスフォームしうると考えられることから、現在ではSV40はHPVよりも腫瘍形成性が高いと考えられている。それにもかかわらず、SV40が関与する中皮腫は成長に20〜40年を要するが、その悪性度は極めて高く、患者は約18ヶ月で死に至り、米国のみで毎年約3000人が生命を落としている。
【0019】
SV40の高い腫瘍形成性は、このウイルスが極少量の「ラージT抗原」を産生し、これがp53及びRb調節経路の双方を同時に遮断することによるものとされている。これに対し、HPVでは両経路を遮断するのに2種類の物質(E6及びE7)を産生しなければならない。SV40はまたDNAの再編成によって染色体を傷害する。したがってSV40についてもこれを正確に検出、型判定、定量化(細胞当りのウイルス負荷、及び組み込み状態)することが可能な方法が求められている。
【0020】
脳室上衣腫、及び脈絡叢乳頭腫におけるSV40様配列の検出にもともと用いられていたPCR法が、現在ではヒト胸膜中皮腫におけるSV40の存在を確認するための重要な方法として当該分野の大多数の研究者によって用いられている。この方法では、腫瘍試料からDNAを抽出し、抽出されたDNAの質とその中に何らかのSV40 DNA様配列が存在するかを確認するように設計されたプライマーによってこのDNAをPCR増幅することを行う。
【0021】
最も頻繁に用いられるプライマー(SV=順方向、3/SV=逆方向)は、ラージT抗原のRb、p107、及びRb2/p130結合ドメインをコードする配列を増幅するように設計されたものである。異なる研究者によるこの方法を用いたSV40の検出率は、0%〜100%の範囲で異なるが(Jasani et al., Fron in Biosci 6 e12-22(2001))、これはDNA抽出、PCR増幅、及び生成物の検出方法の効率が異なることに少なくとも一部よるものである。
【0022】
ウイルス負荷の検出についても、PCR反応1回当りのSV40ゲノムのコピー数は1〜100コピーの範囲で異なる結果が得られ、この範囲の下限が、すべての場合において、PCR反応1回当りではなく、細胞当りのウイルスコピー数を含んでいるか否かは不明である。SV40のT抗原配列を標的としたプローブに基づいたサザンブロットを行うことによって感度が向上することが示された。また複数の研究者により、複数のプライマーのセットを用いてゲノムの異なる部分のゲノム配列ならびに配列に固有な変異が特定された。こうした研究にもかかわらず、ヒト組織で検出されたSV40DNAが真にSV40に由来するものであるかについては疑義が残り、米国食品医薬品局(FDA)の援助を受けた9つの研究機関が関わった共同研究を組織する必要が生じた。
【0023】
こうした事情を鑑み、本発明は以下「自己プロービング型アンプリコンを用いたウイルス評価法」("Viral Evaluation using Self-Probing Amplicons"(VESPA))と称するウイルス型判定のための新規な方法を提供するものである。VESPAは自己プロービング型のアンプリコンプライマーを用いたリアルタイムPCRに基づく方法である。自己プロービング型のアンプリコンプライマーについてはウィトコム等によって述べられている(Whitcombe et al, Nat Biotechnol 17 804-7 (1999))。
【0024】
自己プロービング型アンプリコンプライマーは特異的プローブ配列であり、プローブの5’末端及び3’末端部分に存在する相補的なステム配列によってヘアピンループ形状に保持されたプローブ配列である。ループの5’末端に結合させられたフルオロフォア(6−カルボキシフルオレセインなど)が3’末端に結合した部分(メチルレッドなど)によって消光される。このヘアピンループはPCRストッパーまたはブロッカーを介してプライマーの5’末端に結合される。PCR増幅反応でプライマーが伸長されると、特異的なプローブ配列は同じDNA鎖上の相補的部分と結合することが可能となる。このハイブリダイゼーションによってヘアピンループが開環するために、蛍光が消光されなくなってシグナルが増大する。プライマー上のPCRストッパーによってプローブまでの読み取りは防止されるので、ヘアピンループは特異的な標的配列の非存在下でも開環する。プローブまでの読み取りが起こった場合には、プライマー二量体やミスプライミングなどによる非特異的PCR産物が検出されることになる。
【0025】
すなわち、本明細書で用いる「自己プロービング型アンプリコン」なる用語は、上記の記載またはウィトコム(Whitcombe (1999)前出)に述べられるように、プライマー要素、プローブ要素、及びシグナリング要素(上述のフルオロフォア/クエンチャーシステムか別のシステムが用いられる)からなる分子を指すものである。すなわち、従来使用されてきた「分子ビーコン」やTaqManプローブと異なり、自己プロービング型アンプリコンシステムでは別個のプローブを必要としない。自己プロービング型アンプリコンは一分子的に動作し、「分子ビーコン」及びTaqManによる二分子プロービングと比較して単純性及び信号対雑音比の両面から見て利点を有する。更にこうした自己プロービング型アンプリコンを、プローブがミスマッチを有する標的とは解離しているが、相補的な標的とは結合したままとなっている温度における蛍光をモニタリングすることによって突然変異または対立遺伝子の区別を可能とするように改変することが可能である。これは、ウィトコム(Whitcombe)等によって述べられる自己プロービング型アンプリコンによる対立遺伝子の区別とは異なっているが、これはウィトコム等はARMSシステムを採用しており、これによって部位が特定されるのは多型部位上のプライマーの部位であってプローブではないためである。
【0026】
VESPA法は、迅速、高特異的、高感度、再現可能な検出を簡単に行え、ウイルス負荷を測定できる可能性を有することからウイルス検出に適している。本発明の方法については既に試験が行われており、異なる細胞系、子宮頚管擦過細胞試料、及び腫瘍生検試料を含む108検体の試料について型判定の結果を得るとともに、16検体の臨床的に定義される試料について細胞当りのウイルス負荷の予備データを得ている。これに関しては実施例において後述する。
【0027】
更に、従来の最先端のウイルス検出法及び型判定法であるHybrid Capture II(商標)及びPCR−EIAの双方と比較して、VESPAはともなう労力が小さく、かつより迅速に結果が得られるようである。細胞系におけるVESPAの感度は、食品医薬品局(米国FDA)によってHPVのスクリーニングにおける使用が認可されているHybrid Capture II(商標)(ダイジーン・コーポレーション(Digene Corporation)メリーランド州、シルバースプリング所在)に関してダイジーン社によって報告されている結果(5000コピー)と比較して最低でも2桁高い。VESPAは、ゲノムDNAの低バックグラウンドノイズに対して濃縮コントロールターゲットを用いて検出限界を算出するPCR−EIA(ウイルスコピー数が1〜100の範囲)などのこれまでに開示されている他のHPV検出法と同等の感度を有する。発癌の直接的リスクとなる正確なウイルスコピー数の閾値については議論の余地があるところであるが(またHPVの型や患者によっても異なりうるが)、VESPAによる検出下限よりもはるかに高い値であると考えられる。
【0028】
子宮頚管試料において効率的なDNA増幅を阻害する阻害物質(例、ヘモグロビン)の存在が以前から報告されている。発明者等は標準的なクロロフォルム抽出法に基づいたDNA精製法を用い、VESPAによって生ずるシグナルを増大させることによって、通常PCR−EIAとともに用いられる凍結融解法によって精製した場合には弱陽性しか示さない子宮頚部スミア試料中のHPVの検出が可能であることを実証した。VESPAは型特異的な方法であり、試料を単に「低危険」及び「高危険」HPV型に分類するだけのHybrid Capture(商標)と比較して好ましい。発明者等の研究によれば、VESPAを用いて可能なHPVの型判定は、最も確立されたHPVの型判定法であるPCR−EIA(κ=0.89)を用いて得られたデータとの相関性が高い。
【0029】
SV40の場合に見られるような、nested PCRでしばしば生ずる偽陽性を防止するため、極めて低いウイルスコピー数の検出を目的とした高感度の第1回目の増幅と特異性の高い第2回目の増幅を行うアッセイを行うことが可能である。この第1回目の増幅で用いるプライマー部位は公知の既に確立されたプライマー部位に基づいたものでよい。SV40では、各アッセイが同等となるようにプライマー及びプローブはいずれも各ウイルスのラージT抗原部位を標的としたものであることが好ましい。第2段階では自己プロービング型アンプリコンプライマーとリアルタイムPCRを用いることによって増幅と検出を同時に行う。
【0030】
検出や型判定に加え、VESPAではウイルス負荷を推定することが可能である(存在するウイルスの全体量ではなく、細胞当りの)。細胞当りのウイルス負荷は患者の診断において重要な決定因子であることの証左が多く示されている。実際、例えばいわゆる「高危険」型が高危険度であるのは、その悪性転換タンパク質の発癌性が高いためではなく、単にこれらのウイルスの増殖がより効率的であり、免疫応答を凌駕することによるものである可能性がある。
【0031】
ウイルスのスクリーニングにおけるVESPAの使用の可能性を広げるため、本発明ではテール付加した共通配列プライマーと組み合わせて使用するための変性した(degenerate)ウイルス自己プロービング型アンプリコンの混合物を更に提供する。テール付加プライマーの使用により、1種類の自己プロービング型アンプリコンによって多くの異なるウイルス増幅産物を認識することを可能とするコンセンサス部位を導入することが可能である。理論的にはこのプライマーの組合わせによって40以上の異なるHPVの型を検出することが可能である。
【0032】
ジャコブ等(Jacobs et al., J Clin Microbiol 35, 791-5 (1997))によって述べられるPCR−EIA法では、ウイルスDNAを従来技術であるコンセンサスプライマー(GP5+/GP6+)を用いて増幅した後、電気泳動を行ったアガロースゲルをエチジウムブロマイド染色によって分析する。増幅産物が観察されれば、型特異的プローブを用いたELISAによって型判定する。しかし実際には、アガロースゲル電気泳動の感度は増幅が不十分なDNAを検出できるほどには充分に高くないため、すべての試料はELISAによって型判定が行われる。VESPAによれば予備的な型判定段階での感度が高くなることによってこの問題を回避することができる。テール付加プライマーの考え方は公知のものであるが、テールをプライマー部位として、またこのプライマーを自己プロービング型アンプリコンのプローブ結合部位として利用するという考え方は新規なものである。
【0033】
したがってヒトパピローマウイルスやSV40の感染などのウイルスのキャラクタリゼーションを行うための本発明の方法は、現時点で利用可能な方法と比較した場合に、より迅速(<1時間)、より特異的(塩基1個での区別が可能)、かつより少ない手間(一段階)で行うことが可能であり、また多くの方法と異なり、細胞当りのウイルス負荷の推定が可能である。本方法はまたウイルスの組み込み状態を調べるために使用することも可能である。特に重要な点としては、本発明の方法ではテール付加プライマーを用いることにより複数のウイルス型の決定が可能な点である。
【0034】
本発明を図面を参照しながら以下に説明する。
【0035】
したがって本発明は、1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる哺乳動物などの動物から得られる試料中の哺乳動物ウイルスを含む動物ウイルスの、
(a)検出、
(b)型判定、
(c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
(d)組み込み状態の決定
の1以上を行うための方法であって、
(IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
(i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
(ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有するとともに該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
(iii)ウイルスシグナリングシステムであって、前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能な信号を発生することによって前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が前記検出可能信号によって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
(IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能信号が発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
(II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記ウイルスプローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程と、からなる方法を提供するものである。(この方法は図8及び9に概略的に示されている。)
本発明においては、核酸配列がDNA配列であるような方法が特に好ましい。
【0036】
細胞当たりのウイルス負荷を求めるうえで特に有効であるよう、本方法は細胞のハウスキーピング遺伝子のDNAを検出するように設計された自己プロービング型アンプリコンを用いて行われることが好ましい。本発明で用いる「細胞ハウスキーピング」または「ハウスキーピング」遺伝子とは、細胞中に安定的に存在することから試料中における細胞の存在を示すベースラインの指標とするのに適当な遺伝子のことである。
【0037】
したがって本発明は更に、1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる試料中のウイルスの、
(a)検出、
(b)型判定、
(c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
(d)組み込み状態の決定
の1以上を行うための方法であって、
(IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
(i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
(ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
(iii)前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が該検出可能シグナルによって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
(IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
(II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記プローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程と、
(IIIA)前記試料から得られたハウスキーピング核酸配列を自己プロービング型アンプリコン(「ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
(i)前記ハウスキーピング核酸配列とハイブリダイズ可能なハウスキーピングプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてハウスキーピングプライマー伸長産物を生成するハウスキーピングプライマーと、
(ii)ハウスキーピングプローブであって、前記プローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ハウスキーピングプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なハウスキーピングプローブと、
(iii)前記ハウスキーピングプローブ配列が前記ハウスキーピングプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ハウスキーピング核酸配列の有無が前記検出可能シグナルによって示されるハウスキーピングシグナリングシステムと、を有する;と
(IIIB)前記プライマー増幅条件下で、(IV)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IIIA)工程の産物を増幅する工程と、
(IV)前記ハウスキーピング核酸配列から前記ハウスキーピングプライマー伸長産物を分離し、前記ハウスキーピングプローブをハウスキーピングプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記ハウスキーピングシグナリングシステムを監視する工程と、からなる方法を提供するものである。
【0038】
ハウスキーピング遺伝子として適当なものとしては、β−グロブリン、アクチン、トロポミオシン、及びグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)が挙げられる。好ましくはハウスキーピング遺伝子はβ−グロブリンである。β−グロブリンは本発明による細胞当たりのウイルス負荷分析におけるヒトゲノムDNAの参照遺伝子として特に好適である。
【0039】
好ましくは、細胞当たりのウイルス負荷は、「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」がハイブリダイズする際に発生するシグナルと、「ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコン」がハイブリダイズする際に発生するシグナルを比較することによって求めることが可能である。例えば、細胞当たりのウイルス負荷は単に2つのシグナルの比として定量化することが可能である(図4及び5を参照)。
【0040】
同じ実験でウイルスの型と細胞当たりのウイルス負荷の両方を都合よく求めるため、複数のシグナリングシステムを用いることで、ウイルスの型及びハウスキーピング遺伝子の存在をこれらのシグナルによって区別して識別することが可能である。また、(I)及び(II)並びに(III)及び(IV)工程を別個の実験でそれぞれ行うことも可能である。
【0041】
本発明の方法において好適なシグナリングシステムとしては、自己プロービング型アンプリコンが更に6−カルボキシフルオレセイン/メチルレッドなどのフルオロフォア/クエンチャーの組合わせからなる場合のように、蛍光に基づいたシステムが挙げられるが、他のシグナリングシステムを用いることも可能である。
【0042】
増幅工程はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて行うことが好ましいが、本方法は別の増幅法が使用できるように適宜改変することが可能である。より好ましくはPCRは「リアルタイム」にて行われる。したがって、アンプリコンの検出はリアルタイムPCR装置、特にiサイクラー(バイオ・ラド・ラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)、英国)を用いて行われることが好ましい。
【0043】
自己プロービング型アンプリコンは当該技術分野では公知の任意の適当な方法によって、プローブがプライマー増幅条件下で増幅されないように改変することが可能である。例えば、自己プロービング型アンプリコンのプローブ要素までの読み取りを防止するため、プライマー要素はヘキセチルグリコール(HEG)などの増幅ブロッカーまたはストッパーを更に含むことが好ましい。
【0044】
標的核酸配列からのプライマー伸長産物の分離は当該技術分野における標準的方法によって行うことが可能である。好ましくは分離工程(II)及び/または(IV)は熱変性によって行われる。
【0045】
標的ウイルス核酸配列は動物、特に哺乳動物、特にヒトにおける疾患や臨床的状態と関連するウイルスの存在を示すことができるものであることが好ましい。特にウイルスがヒトHPVである場合が好ましい。好ましくはウイルスはHPVの6、11、16、18、31、33、39、40、42、43、44、45、51、52、56、58、59、66及び68型の1以上から選択される。
【0046】
こうした場合、自己プロービング型アンプリコンはそれぞれSc6、11、16、18、31、33、39、51、及びSc56と名付けられた自己プロービング型ウイルスアンプリコンに対応した、配列番号1〜9より選択される配列を有するものであることが好ましい。ここでScXとは、自己プロービングHPVのx型という意味である(後述の実施例1の表2を参照)。特に好ましいのは、プローブが上記に述べた配列、すなわち配列番号21〜29より選択される配列を有するプローブ要素である場合である(図1及び3を参照)。
21 ATAAAGAGTACATGCGT
22 CAGATTATAAGGAATACATGC
23 AGTACCTACGACATGGG
24 AGCAGTATAGCAGACATG
25 GAGTATTTAAGACATGGTG
26 CTTTATGCACACAAGAAC
27 AATATACCAGGCACGTG
28 GCAATATATTAGGCATGGG
29 TCAGTACCTTAGACATGTG
プライマーは上記に述べた配列、すなわちGP6+及び配列番号32〜40から選択される配列を有するプライマー要素であることが好ましい。
【0047】
配列番号32 GAAAAATAAATTGTAAATCATACTC
配列番号33 GAAAAATAAACTGTAAATCAAACTC
配列番号34 GAAAAATAAACTGTAAATCATATTC
配列番号35 GAAAAATAAACTGCAAATCATATTC
配列番号36 GAAATATAAATTGTAAATCAAATTC
配列番号37 GAAAAACAAACTGTAGATCATATTC
配列番号38 GAAATATAAATTGTAAATCATACTC
配列番号39 AAAAATAAATTGCAATTCATACTC
配列番号40 GAAAAACAAATTGTAACCCATATTC
好ましくはウイルスはSV40または一般的で相同性の高いJC及びBKウイルスである。その場合、自己プロービング型アンプリコンは後述の実施例6の表8に列記したものから選択される配列を有するものであることが好ましい。表中、Scxは自己プロービング型のSV40、JCまたはBKウイルス(x)のアンプリコンを表す。これらの配列は、ポリオーマウイルスを高信頼度で検出することが可能な、当該技術分野における他の方法によって得られる結果と直接比較が可能であることが知られている部位を特異的に標的とするものである。好ましい順方向プライマーは表8に示したようなP1プライマーである。
【0048】
特にHPV(VESPA−HPV)に適用される本発明の方法では、PCR増幅反応は明細書中で定義されるGP5+リバースプライマーを用いて行うことが好ましい。GP5+はHPVの20種の最も一般的な型を増幅することが可能な既知の変性(degenerate)プライマーであるが、他の変性(degenerate)プライマーを代わりに使用することも可能である。VESPA−SV40を行ううえで特に好ましいのは、表8に詳しく示すような、P2またはP3プライマーの逆方向プライマーとしての使用である。こうした方法として好ましいものとして、1以上の増幅工程がネスト(nested)PCRを用いて行われる方法がある。
【0049】
ウイルス負荷(細胞当たりの)の判定に使用するうえで好ましい自己プロービング型アンプリコンが、後述の実施例2の表3にScBG(配列番号11)として示されている。特に好ましいのはこうした自己プロービング型アンプリコンのプローブ要素が配列番号31である場合である。
31 ATGGTGTCTGTTTGAG
更により好ましくは、「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」には、試料細胞のゲノム中のウイルスゲノムの組み込み状態を判定するためにHPVのE1、E2、E6及び/またはE7遺伝子の変化の検出を可能とするものが挙げられる。組み込み状態は2つの異なる評価方法を用いて測定することが可能である。
【0050】
(i)線形のウイルスDNAに対する環状ウイルスDNAの比、及び、
(ii)細胞形質転換タンパク質に対する細胞周期を調節するウイルスタンパク質の比。
【0051】
これらの方法のうち第1の方法(i)を図11に示した(パーク等(Park et al., Gynecol Oncol 65(1) 121-9 (1997)))。本発明の方法を用いて、環状のウイルスDNAの量について各試料を評価する。この評価は、ウイルスDNAの予測される開裂点の手前(E1タンパク質の中央)でウイルスDNAと結合するように設計された自己プロービング型アンプリコンと、予測されるウイルス開裂点の後(E6または好ましくはE7タンパク質の内部)でウイルスDNAと結合するように設計された逆方向プライマーを使用することで行うことが可能である。この評価は環状のウイルスDNAの量を反映したものである。この結果を上述の本発明の方法によって求めた全ウイルスDNA量と比較して環状のウイルスDNAのパーセンテージを求めることが可能である。
【0052】
これらの方法のうちの第2の方法(ii)は、ウイルスDNAのホストゲノムへの組み込みの際、ウイルスDNAの複製及びタンパク質への翻訳の調節に因るウイルスDNAの部分が切り出されることを利用したものである。これによって発癌の原因となることが知られるタンパク質が制御不能状態で複製されることとなる。したがって、形質転換タンパク質(E6及びE7)に対する調節タンパク質(E1及びE2)の比を定量的に測定することによって、その試料が悪性形質転換を起こそうとしている患者から得られたものである確率の評価を行うことが可能となる。
【0053】
したがって本発明は更に、1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる試料中のウイルスの、
(a)検出、
(b)型判定、
(c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
(d)組み込み状態の決定
の1以上を行うための方法であって、
(IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
(i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
(ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
(iii)前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が該検出可能シグナルによって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
(IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
(II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記ウイルスプローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程とからなる方法において、
「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」がHPVのE1、E2、E6、及び/またはE7遺伝子の検出、定量、または評価を可能とするように構成されていることを特徴とする方法を提供するものである。
【0054】
したがって本発明は更に、後述の実施例4の表6中で定義されるこうした「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」すなわち、Sc16−E1mid、Sc16−E2、Sc16−E6、Sc18−E1mid、Sc18−E2及びSc18−E6(それぞれ配列番号11〜17)を提供するものである。本発明は更に、それぞれ配列番号41〜46及び47〜52に相当する、これらの配列のそれぞれのプローブ部分とこれらの配列の新規なプライマー部分とを有する配列を提供するものである。
配列番号41 GCAAAGAGTAATCATTA Sc16-E1midプローブ
配列番号42 TTGTCATATAGACATATCATTTTCAT Sc16-E2プローブ
配列番号43 CGAATGTCTACATATCATGGC Sc16 E6プローブ
配列番号44 TCGGTGTCTCCATGTTG Sc18 E1midプローブ
配列番号45 TACATTGTCATGGTCTATGAT Sc18-E2プローブ
配列番号46 CTGGAATGCTATATCATG Sc18-E6プローブ
配列番号47 CAGAATGGATACAAAGACAAACAGT Sc16-E1midプライマー
配列番号48 CAACGTTTAAATGTGTGTCAGGA Sc16-E2プライマー
配列番号49 AAGTTACCACAGTTATGCACAGAGC Sc16 E6プライマー
配列番号50 AGTAATGGGAGACACACCTGAGT Sc18 E1midプライマー
配列番号51 GCAGACACCGAAGGAAACCC Sc18-E2プライマー
配列番号52 ACCCAGAAAGTTACCACAGTTAT Sc18-E6プライマー
本発明の方法では、標的が1以上のウイルスから得られた1以上の核酸配列からなるか、かつ/または、ウイルスプライマー要素が標的に対してある程度の変性(degeneracy)を示すことによりウイルスプライマーが標的の核酸配列のそれぞれと完全に相補的とはなっておらず、多くの異なる「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」を用いて試料を多数回テストする必要が避けられるので都合がよい。
【0055】
しかしながら、スクリーニングを目的とした場合、予備的なアッセイを行って試料中にいずれかのウイルスまたはウイルスのカテゴリーが存在するか否かを最初に確定させておくことがより好都合な場合もある。このアッセイの結果がポジティブであった場合には、本発明の方法によって可能となる特定の型の判定及び定量化アッセイを行う。こうした予備アッセイでは、上記に述べたものなど、ウイルス検出のための従来知られているいずれの方法を用いることも可能であるが、予備アッセイは、ウイルスのプライマー伸長産物にテール付加プライマーを最初に組み込む本発明の方法を用いることが好ましい。テールは例えばPCR条件下で複数のウイルスやHPVなどのウイルス型のウイルス核酸配列を増幅することが可能な核酸配列を有する。これは自己プロービング型アンプリコンにテール付加プライマーの概念が適用された最初の例であると考えられている。
【0056】
したがって本発明は、以下の工程:
(0)(A)前記試料から得た標的ウイルス核酸配列を「テール付加プライマー」と接触させる工程;該テール付加プライマーは、
(i)前記ウイルス核酸配列のコンセンサス配列に相補的な核酸配列(「コンセンサスプライマー配列」)を有するプライマー領域であって、該コンセンサス配列にハイブリダイズ可能であるとともにプライマー増幅条件下で該コンセンサス配列を増幅してテール付加プライマー伸長産物を生成するプライマー領域と、
(ii)本方法(「デザイナー」配列)のいずれの成分中にも存在せず、またいずれの成分によっても調製されない固有の配列を有するテール領域とからなる;と、
(0)(B)前記「デザイナー」配列が前記プライマー伸長産物に組み込まれるように前記プライマー増幅条件下で少なくとも2回の増幅反応を行う工程と、を更に含む方法であって、
「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」のプライマー要素は「デザイナー」配列に結合可能であり、ウイルス自己プロービング型アンプリコンのプローブ要素は前記コンセンサスプライマー配列に対して相補的であることを特徴とする方法を提供するものである。
【0057】
したがって本発明の好適な一方法では、1回の反応ですべての型のHPVについて試験を行うために、固有の自己プロービング型アンプリコンの標的部位を増幅(プライマー伸長)産物に導入する。従来のコンセンサスプライマー(例えば一般的なHPVの20種類の型すべてを増幅できるもの)に固有の「デザイナーテール」を付加することによってこの目的を達成することができる。本発明における使用に好適なテール付加プライマーの一例を実施例5の表7に示した(配列番号18)。また本発明における使用に適当な変性(degenerate)自己プロービング型アンプリコンを2例、実施例5の表7に示した(配列番号19及び20)。これらの配列は更に適当なプライマー及びプローブ要素を含んでいる(図6及び7参照)。
【0058】
したがって本発明は更に、これらの配列の新規なテール部分(配列番号10)を提供するものである。これらの配列のプローブ部分は既知のGP6+配列に結合するように設計されている。
配列番号10:ATGTGGAAACATGCATGG 配列番号18のGP6+テール
特に好ましいのは本発明の方法をスクリーニングプログラムの一部として使用し、本発明の自己プロービング型アンプリコンがこうしたスクリーニングプログラムでの使用を目的として構成される場合である。
【0059】
したがって本発明は更に:
(a)ウイルス感染が疑われる患者のスクリーニングを行うためのスクリーニング法であって、
(i)前記患者から核酸配列の試料を得る工程と、
(ii)上記に記載の本発明の方法を前記試料に行う工程とを含み、これにより前記ウイルスシグナリングシステムからの検出可能シグナルが検出されればウイルス感染があったことが示され、ウイルスシグナリングシステムからの検出可能シグナルが検出されなければウイルス感染がなかったことが示される方法と、
(b)更に特定のウイルス型の有無が示されることを特徴とする(a)に記載のスクリーニング法と、
(c)ウイルスが存在する場合、更に細胞当たりのウイルス負荷(ウイルスが存在しない場合にはゼロ)が示されることを特徴とする(a)または(b)に記載のスクリーニング法と、
(d)ウイルスが存在する場合、ウイルスの組み込み状態が更に示されることを特徴とする(a)〜(c)のいずれかに記載のスクリーニング法と、
(e)子宮頚癌、再発性呼吸器乳頭腫症やヒトパピローマウイルス(HPV)の患者における存在に関連した別の状態に関してスクリーニングを行うように適合されていることを特徴とする(a)〜(d)のいずれかに記載のスクリーニング法と、
(f)胸部及び肺の癌を含む中皮腫;骨肉腫、脳下垂体、甲状腺、脳及び神経系の腫瘍(例、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、脳室上衣腫、及び脈絡叢乳頭腫)、SV40、JK及び/またはBKウイルスに関連した他の状態の1以上のスクリーニングを行うように適合されていることを特徴とする(a)〜(e)のいずれかに記載のスクリーニング法とを提供するものである。
【0060】
本発明の方法はDNAに対して行われることが好ましいが、当業者には周知の方法によってRNAに対して行われるように改変することも可能である。その場合、市販の逆転写酵素の任意のものを用いて先ずRNAをDNAに転写してから上記に述べた方法を行う。
【0061】
本発明はまた、本発明の方法で使用するための診断キットであって、本発明のウイルス自己プロービング型アンプリコン、ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコン、またはテール付加プライマーの1以上を含むキットを提供するものである。特に好ましいのは、細胞当たりのウイルス負荷を決定するための本発明の方法での使用に適当なキットであって、少なくとも1種類のハウスキーピング自己プロービング型アンプリコンと場合に応じてテール付加プライマーを含む、少なくとも2種類、好ましくは4種類以上の自己プロービング型アンプリコンからなるものである。やはり好ましいものとして、HPVのE1、E2、E6及びE7遺伝子の少なくとも1つを標的とした少なくとも1種類の自己プロービング型アンプリコンからなるキットがある。
【0062】
これらの自己プロービング型アンプリコンの多くはそれ自体新規かつ進歩的なものである。したがって本発明は更に、
(a)(i)配列番号1〜9(Sc6、11、16、18、31、33、39、51及び56)と、
(ii)配列番号11(ScBG)と、
(iii)配列番号12〜17(Sc16−E1mid、Sc16−E2、Sc16E6、Sc18E1mid、Sc18−E2,Sc18−E6)と、
(iv)配列番号18〜20(テール付加プライマー)と、
(v)下記表8に示される配列(SV40、JC、またはBKの判定に用いられる自己プロービング型アンプリコン)とを含む、本明細書中に記載の新規な自己プロービング型アンプリコンと、
(b)(i)配列番号21〜29((Sc6、11、16、18、31、33、39、51及び56)のプローブ要素)と、
(ii)配列番号31(ScBGのプローブ要素)と、
(iii)配列番号41〜46:
配列番号41 GCAAAGAGTAATCATTA Sc16-E1midプローブ
配列番号42 TTGTCATATAGACATATCATTTTCAT Sc16-E2プローブ
配列番号43 CGAATGTCTACATATCATGGC Sc16 E6プローブ
配列番号44 TCGGTGTCTCCATGTTG Sc18 E1midプローブ
配列番号45 TACATTGTCATGGTCTATGAT Sc18-E2プローブ
配列番号46 CTGGAATGCTATATCATG Sc18-E6プローブ
と、
(iv)配列番号19及び20(テール付加プライマー)のプローブ要素である配列番号59及び60:
配列番号59 GAAGAATATGATTTACA
配列番号60 GAGGAATATGATTTACA
と、
(v)表8に列記した配列(SV40、BK及びJCの自己プロービング型アンプリコン)のプローブ要素である配列番号53〜55:
配列番号53 ACCCCAAGGACTTTCCT
配列番号54 CCTATGGAACAGATGAATG
配列番号55 ACCCTAAAGACTTTCCC
と、を含む(a)の新規なプローブ要素と、
(c)(i)配列番号32〜40(それぞれSc6、11、18、31、33、39、51、及び56のプライマー要素):
配列番号32 GAAAAATAAATTGTAAATCATACTC
配列番号33 GAAAAATAAACTGTAAATCAAACTC
配列番号34 GAAAAATAAACTGTAAATCATATTC
配列番号35 GAAAAATAAACTGCAAATCATATTC
配列番号36 GAAATATAAATTGTAAATCAAATTC
配列番号37 GAAAAACAAACTGTAGATCATATTC
配列番号38 GAAATATAAATTGTAAATCATACTC
配列番号39 AAAAATAAATTGCAATTCATACTC
配列番号40 GAAAAACAAATTGTAACCCATATTC
と、
(iii)配列番号47〜52、特にE1 midプライマー配列(配列番号47〜50):
配列番号47 CAGAATGGATACAAAGACAAACAGT Sc16-E1midプライマー
配列番号48 CAACGTTTAAATGTGTGTCAGGA Sc16-E2プライマー
配列番号49 AAGTTACCACAGTTATGCACAGAGC Sc16 E6プライマー
配列番号50 AGTAATGGGAGACACACCTGAGT Sc18E1midプライマー
配列番号51 GCAGACACCGAAGGAAACCC Sc18-E2プライマー
配列番号52 ACCCAGAAAGTTACCACAGTTAT Sc18-E6プライマー
と、
(iv)配列番号19及び20(テール付加プライマー)のプライマー要素である配列番号61:
配列番号61 GTGGAAACATGCATGGCGAC
と、
(v)表8に列記した配列(SV40、BK及びJCの自己プロービング型アンプリコン)のプライマー要素である配列番号56〜58:
配列番号56 AGCATGACTCAAAAAACTTAGCAATTCT
配列番号57 TTCTCATTAAATGTATTCCACCAGGATT
配列番号58 AGCTTGACTAAGAAACTGGTGTAGATCA
と、を含む(a)の新規なプライマー要素と、
(d)配列番号10:ATGTGGAAACATGCATGG GP6+テールプライマーのテール配列
とを提供するものである。
【0063】
更に本発明は、上記に述べた方法またはキットの調製における、プローブやプライマー要素を含むこうした自己プロービング型アンプリコンの使用法を提供するものである。
【0064】
次に本発明を以下の実施例によって説明する。
実施例1 VESPAを用いたウイルス検出法
一般的材料及び方法
細胞系
HeLa、Caski、及びSiHa細胞系はスティーブ・マン博士(Dr. Steve Man, ユニバーシティ・オブ・ウェールズ、カレッジ・オブ・メディシン、カーディフ、英国)から提供されたものを使用した。これらはATCCから入手可能である(American Type Culture Collection, http://www.atcc.org/)。
臨床試料
患者は、ランダウ病院(Llandough Hospital, カーディフ、英国)における通常の膣鏡検査から、または西アフリカでのMRC野外調査の一部として見出されたものである。すべての患者からインフォームドコンセントによりHPVについてスミアを分析する同意を得たが、その方法は秘した。円錐状の細胞ブラシを用いて子宮頚部の試料を採取し、0.5mlのダイジーン製輸送用培地に入れて輸送した(ダイジーン社(Digene)、米国メリーランド州、シルバースプリング所在)。英国内で採取された試料は処理を行う前に最大24時間、4℃で保存した。ガンビアで採取された試料は液体窒素中に凍結保存し、1ヶ月以内に処理を行った。ユニバーシティ・ホスピタル・オブ・ウェールズ(The University Hospital of Wales、カーディフ、英国)及びランダウ病院(Llandough Hospital, ペナース、英国)において、インフォームドコンセントにより、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)及び子宮頚癌に対する治療を行っている患者から生検試料を採取した。
DNA精製
640μlの細胞核溶解バッファ(10mM TrisHCl、0.4M NaCl、2mM エチレンジアミンテトラアセテート pH8.0、10%ドデシル硫酸ナトリウム)、100μlの6M NaCl、及び740μlのクロロフォルム中に細胞を再懸濁して細胞系からDNAを精製した。この溶液をよく混合し、遠心して上層を抽出した。
1mlの95%エタノールを加えてDNAを沈降させ、遠心してペレットを得た。このペレットを70%エタノールで2回洗浄し、ロータリーエバポレータで乾燥し、500μlの脱イオン水に再懸濁した。ジャコブ等(Jacobs et al., J Clin Microbiol 35, 791-5 (1997))によって述べられる凍結融解法の簡単な改良(試験管の壁に細胞ブラシを押しつけ、凍結時間を2時間から24時間と長くした)によって、子宮頚部から細胞ブラシで得た試料よりDNAを抽出した。細胞ブラシ試料から得た上皮細胞を遠心してペレットとし、1mlの10mM Tris(pH7.4)に再懸濁し、−70℃で24時間凍結した。100μlを融解し、10分間沸騰させ、氷冷し、微量遠心機で3分間13,000rpmで遠心し、上清を捨て、保存した。上記方法の改良法を用いて生検試料からDNAを抽出した。改良法では、沸騰に先立って、10mg/mlプロテイナーゼK(シグマ社、英国)を含む1mlの10mM TrisHCl(pH7.4)中で1時間、56℃で試料をインキュベートした。
【0065】
PCR−EIA−比較方法
ジャコブ等(前出)によって述べられる方法にしたがってPCR−EIAを行った。
VESPA法
プライマーの設計
表2にこの研究で用いた10種の自己プロービング型アンプリコンプライマーの配列を示した。プライマーはすべてオズウェル・リサーチ・プロダクツ(Oswel Research Products, サザンプトン SO16 7PX、英国)によって合成されたものである。
【0066】
自己プロービング型アンプリコンプライマーはすべて2重HPLCによって精製した。スタンダードプライマーはゲル濾過により精製した。これらのプライマーはHPV L1遺伝子を検出するように設計されたものである。プライマーの位置はウイルスの型間で異なったが、約6600〜6750bpの間に位置していた。
【0067】
各自己プロービング型アンプリコンの順方向プライマー配列は型特異的であり、ジャコブ等(前出)によって述べられるGP6プライマーと同じ配列位置に位置するものである。自己プロービング型アンプリコンプローブ配列は20種の一般的なHPVの型(HPV−6,11,16,18,31,33,39,40,42,43,44,45,51,52,56,58,59,66及び68)(http://hpv-web.lanl.gov)のL1オープンリーディングフレーム(ORF)を並べることによって設計した。ジャコブ等(前出)のGP6プライマー結合部位の隣接領域で最も配列の変化が大きい領域をプローブの標的結合部位として選択した。これらのプライマーのプローブ配列を70種の一般的なパピローマウイルス配列に対して確認を行ったが大きな相同性は認められなかった。SC16プライマー要素は既知のGP6+配列からなる。逆方向のプライマー標的配列はジャコブ等(前出)のGP5配列である。
【0068】
【表2】
Figure 2004533256
【0069】
プライマーの確認−参照細胞系でのVESPA
HPV DNAを組み込まれた状態で有する参照細胞系を用いてHPV16及び18プライマーを特異性について調べた。Caski細胞系は細胞当り60〜600コピーのHPV−16のORFを含み、HeLa細胞系は10〜50コピーのHPV−18のL1ORFを含んでいた。
【0070】
図1aは、Sc16自己プロービング型アンプリコンプライマー(HPV−16DNAの検出用に設計されたもの)と、HPV−16ポジティブであるCaski細胞系から抽出されたDNA、HPV−18ポジティブであるHeLa細胞系から抽出されたDNA、及びネガティブコントロール(DNAを含まない)を用いて行ったPCR反応の結果を示したものである。Caski DNAを含むHPV−16でのみ有意な蛍光の増大が検出された。
【0071】
図1bは、Sc16の代わりにSc18自己プロービング型アンプリコンプライマーを用いて同様な実験を行った結果である。HPV−18ポジティブであるHeLa細胞系においてのみ著明な蛍光が検出された。次にこれらのプライマーを用いて、予めPCR−EIAによって型判定を行った臨床試料中のHPV−16及び−18の検出を行った(図2c及び図2d 下記参照)。
【0072】
VESPAによるHPVの検出
0.5μMの自己プロービング型アンプリコンプライマー、及び0.5μMのジャコブ等(前出)によって述べられるGP5逆方向プライマーを用いて1μlのDNA溶液のPCR増幅を行った。全反応容量は10μlであった。反応はライトサイクラー(Light Cycler, バイオ/ジーン社(Bio/Gene)、キンボルトン、ケンブリッジシャー州、PE18 0NJ、またはロシュ・ダイアグノスティクス社(Roche Diagnostics Ltd)、ベルレーン、ルイス、イーストサセックス州、BN7 1LG)を用いて行い次のサイクルパラメータで100サイクル行った:96℃−1秒、40℃−5秒、72℃−1秒。反応条件は以下のとおり。200μM dNTPs、4mM MgCl、50mM TrisHCl(pH8.9)、10mM 硫酸アンモニウム、0.1% Tween(商標)20、ウシ血清アルブミン 250ng/μl、及び0.5U/μl Taqポリメラーゼ(アドバンスド・バイオテクノロジーズ社(Advanced Biotechnologies)、エプソム、サリー州、英国)。蛍光は40℃で第1チャンネル(530nm)で検出した。
【0073】
コントロールPCR反応は、1μlのSYBR Gold(バイオ/ジーン社(Bio/Gene)、キンボルトン、ケンブリッジシャー州、PE18 0NJ)を加えた以外は上記と同様にして行った。自己プロービング型アンプリコンのコントロール反応(ネガティブコントロール)にはDNAの代わりに1μl HOを加えたものを用いた。
【0074】
次いでHPV−6、−11、−31、−33、−39、−51、及び−56型の検出を可能とすべくVESPA法の拡張を行った。これらのHPV型を含んだ細胞系は市販されていないため、実施例3に関して下記表5に示されるように、PCR−EIAを用いて予めテストした臨床試料を用いてプライマーの特異性を確認した。図2(a〜h)は、HPV−6、−11、−16、−18、−31、−33、−39、及び−51の型判定反応のポジティブな結果をそれぞれ示したものである。
【0075】
実施例2−VESPAを用いたウイルス負荷の決定
自己プロービング型アンプリコンによるPCRの理論上の利点として、ウイルス負荷が決定できる点がある。図3は、SiHa細胞系の連続希釈液を用いて行ったSc16の型判定反応の結果である(細胞当り1〜2コピーのHPV−16)。細胞当りのHPVコピー数が50,000〜500である連続希釈液は明確に区別が可能であり、HPV−16のDNAを1コピーだけ含む試料でもHPV−16のシグナルはポジティブであった。
【0076】
細胞当りのウイルス負荷を決定することが可能な方法の確立を検討すべく、(ヒト)β−グロブリンDNA(ScBG、表3中の配列番号:11)を検出するプライマーを設計した。
【0077】
【表3】
Figure 2004533256
【0078】
図4は、HPV−16について上記で用いたものと同様のSiHa細胞の連続希釈液に対して、ヒトβ−グロブリン遺伝子を検出するように設計された自己プロービング型アンプリコンを用いて行った実験結果を示したものである。ここでもやはりシグナルは1個の細胞までポジティブを示し、細胞当りコピー数が50以上であれば定量的な検出が可能である。図5は、Sc16及びScBGによって発生する蛍光比を標的DNAの細胞当りのウイルスコピー数の対数に対してプロットしたものである。細胞当たりコピー数を、2つの異なる希釈度間の比を計算することにより、一定のコピー数を含む細胞系から計算することが可能である。例えば、細胞5000個に対するSc16のFmax値を細胞100個に対するScBGのFmax値で割ることによって細胞当たりのコピー数が50である概念上の細胞系に対する値(5000/100)を求めることが可能である。
【0079】
病気のグレードを細胞学によって判定した。Sc16のFmaxをScBGのFmaxで割ることによってVL比(ウイルス負荷)をRSU(相対自己プロービング型アンプリコン単位)で求めた。図5に示したスタンダード曲線を用いて細胞当たりのウイルスコピー数を推定した。
【0080】
【表4】
Figure 2004533256
【0081】
表4は、このウイルス負荷判定法を、PCR−EIAによって予めHPV−16ポジティブであると判定された(ジャコブ等(前出)による)16検体の臨床試料に対して適用した結果を示したものである。これらの実験から得られる最も注目すべき知見は、細胞学的所見が正常である4検体の子宮頚部スミアでは、VESPAを用いた場合にウイルス負荷が低く、ウイルス負荷が低かった唯一の他の試料(ただし顕著な異形成が見られた)はHPV−6とHPV−39に同時感染している点である。表4に示したウイルス負荷の予備データによれば、子宮頚管部の異形成の存在はウイルス負荷と相関している可能性が示唆される。
【0082】
実施例3−VESPAとPCR−EIAとの比較
臨床での子宮頚部スメアからのHPV型判定におけるVESPAの有用性について試験を行うため、自己プロービング型アンプリコンプライマーを用いて、予めPCR−EIAによってHPV型判定された(ジャコブ等(前出)による)108検体の試料をテストした。2方法を直接比較するため、ジャコブ等(前出)によって述べられる凍結融解法を用いてDNA抽出を行った。この方法は自己プロービング型アンプリコンプライマーを用いたPCR増幅に用いるには最適ではない。この研究で効率のよくない凍結融解によるDNA抽出法を用いたのは、この方法がPCR−EIAに適したものであり、同じDNA試料を用いてPCR−EIAとVESPAの比較を行うことを望んだためである。これらの実験結果を表5に示す。
【0083】
選択されたポジティブな試料の型は後で直接配列を決定して確認を行った(データは示さず)。VESPAとPCR−EIAの全体の一致度は94%であり、κ値は0.89と両者の良好な一致を示した。実際、ジャコブ等(前出)により述べられるように、異なる参照検査室によって同一の試料にPCR−EIAを行った場合、同様な一致度が見られた。108検体の試料のうち、HPV−16の5例、HPV−18の1例がVESPAによって検出されなかった。偽陽性は見られなかった。
【0084】
VESPAとPCR−EIAとの間で見られた小数の残りの不一致例については幾つかの説明が考えられる。第1に、PCR−EIAによる結果が偽陽性である可能性である。複数の異なる検査室でPCR−EIAの比較を行った研究から、この方法ではしばしば偽陽性を生じやすいことが示されている。結果が不一致であった6検体の試料のうち4検体が細胞学的所見は正常であったことはこのことを支持するものである。残りの2検体のうち、一方はグレードの低い病変であり、他方は臨床データのないものであった。第2に、試料がHPVについてポジティブであるがプローブ結合部位内に多型を有するHPVの同型変異体を含んでいる可能性である。自己プロービング型アンプリコンプローブが1個の塩基変化に基づいて配列を区別するのに対して、PCR−EIAプローブは配列の変化に対する許容度が高い。このことは6検体の不一致試料のうち5検体がプローブ結合部位内の変異がより大きいと考えられる西アフリカの検体から得られたことと関連しているかもしれない。
【0085】
【表5】
Figure 2004533256
κ値はアーミテージ等による記載(Armitage et al., Statistical Methods in Medical Research, Third Edition (Oxford; Blackwell Scientific Publications))に基づいて計算した。
実施例4−組み込み状態を検出するためのVESPA−E6/E7:E1/E2
HPV組み込み状態の評価を行うために設計された自己プロービング型アンプリコンの配列を表6に示した。これらの配列は上記の実施例に述べられた方法に基づいて使用した。組み込み状態は上記に述べた方法で測定した。
【0086】
【表6】
Figure 2004533256
【0087】
実施例5−変性(degenerate)HPV検出のためのテール付加プライマーを用いたVESPA
好適な一方法として図6に示されるような、下記の工程からなる方法が挙げられる。
1.「デザイナーテール」を有するプライマーを用いてウイルスDNA(存在する場合)を増幅する。標準的な逆方向プライマーも使用する。
2.標準的反応におけるのと同様に増幅が進行する。
3.第1回目の増幅の後、「デザイナー」配列は相補的配列を有さない。
4.第2回目の増幅の後、「デザイナー」配列を組み込み、各ラウンドで増幅する。
5.別の反応で、「デザイナー」配列を標的としたプライマーとコンセンサスプライマーを検出するためのプローブとからなる自己プロービング型アンプリコンを用いてこの増幅を検出することが可能である。プライマー二量体による許容し得ないバックグラウンド蛍光の発生を防止するため、ウイルスDNAと若干の重複部分を有する2種類の自己プロービング型アンプリコンの使用が必要な場合もある。
【0088】
前述の実施例で述べた方法と類似の方法によって、次のテール付加プライマーを用いて変性(degenerate)HPVを検出した(表7)。
【0089】
【表7】
Figure 2004533256
【0090】
表7によれば、変性(degenerate)自己プロービング型アンプリコン混合物によってHPV−6、−16及び−18型が検出されることが分かる。ジャコブ等(前出)によって述べられる条件下で予め増幅した試料を用いて比較を行うことも可能である。興味深い点としてこれらの試料のうち2つのものはアガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色後にほとんど視認できなかったが、このことはVESPA法によって予想通りの感度の向上が実現されることを示すものである。
【0091】
実施例6−SV40へのVESPAの適用
DNAの抽出
ブロック間のコンタミネーションが生じないように留意しながら中皮腫のパラフィン包埋生検試料の5μMの連続切片を10枚切り出した。これら10枚の切片を微量遠心機のチューブに入れ、キシレンで10分間処理してパラフィンを除去した後、エタノールで2回洗浄してから乾燥した。200μg/mlのプロテイナーゼKを含む400μlの消化緩衝液を添加して55℃にて一晩検体を消化した。この後、95℃に10分間加熱してプロテイナーゼKを失活させた。得られた消化物をフェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコールを用いてDNA抽出用に更に処理した。DNAをエタノールで沈澱させ、遠心、風乾した。Centricon30フィルター(ミリポア社(Millipore)、米国マサチューセッツ州、ベッドフォード)を用いてDNAの脱塩、濃縮を行った。得られた精製DNAを分光法により定量した。すべての試料がβ−グロブリン増幅についてポジティブの試験結果を示し(マグルトン−ハリス等(Muggleton-Harris et al.) Hum Reprod 10 183-92 (1995))、PCRの有効性が示された。
【0092】
プライマーの設計
各ウイルスの配列を並べることによってプライマーを設計した(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/)。SV40 アクセッション番号J02400;JC アクセッション番号J02226/7;BK アクセッション番号NC001538。第1回目で増幅するため、従来から知られる確立されたプライマー部位を利用してラージT抗原遺伝子の全体を通じて複数のプライマーを設計した(表1参照)。第1回目の増幅段階では、多くの試料でかなりのDNAの分解が見られることから、近接した標的部位を有する短いDNAフラグメントを標的としたプライマーを使用することが好ましい。これらのプライマー部位間で最もホモロジーの小さい領域を標的として自己プロービング型アンプリコン及びプローブ結合部位を設計した。
【0093】
【表8A】
Figure 2004533256
【0094】
【表8B】
Figure 2004533256
【0095】
アッセイ条件
増幅反応はすべて、熟練した実験手腕にて、良好なフィルター端を用い、ポリオーマウイルスに曝露されたことのない実験室で行った。
【0096】
第1回目の増幅反応(予備増幅)
SV40、JC、及びBKについて試験を行うため、適当なプライマーの組を用いて各反応を3回セットアップした。
【0097】
各反応で5μlの各試料を次の条件下で予備増幅した;0.5μMのP1及びP3(表8参照)、2.5mMのMgCl、200μMのdNTPs、1.25UのTaqポリメラーゼ(アドバンスド・バイオテクノロジーズ社(Advanced Biotechnologies)、エプソム、サリー州、英国)、及び5μlの10x反応緩衝液(バーキンエルマーゴールド社(Perkin-Elmer Gold))にて全反応容量50μlとした。
【0098】
各試料は上記の条件下でP1−P2のプライマーの組を用いて(表8)SV40の型判定を行った。
【0099】
第2回目の増幅反応(アンプリコン検出)
第1回目の増幅反応に用いた実験室と物理的に隔離された(100m)実験室でアッセイをセットアップした。
【0100】
2基の異なるリアルタイムPCR装置でアンプリコンの検出を行った。
【0101】
(i)ライトサイクラー(Light Cycler, ロシュ・ダイアグノスティクス社(Roche Diagnostics Ltd)、ベルレーン、ルイス、イーストサセックス州、BN7 1LG)
(ii)iサイクラー(iCycler, バイオ−ラド・ラボラトリーズ社(Bio-Rad Laboratories)、バイオ−ラドハウス、メイランズアベニュー、ヘメル・ヘンプステッド、ハーフォードシャー州、HP2 7TD);
及び若干異なる条件下。
【0102】
DNA(2μl iサイクラー)溶液の1μl量を0.5μMのスコーピオンプライマー(表1参照)と0.5μMのリバースプライマーを用いて10μl(20μl iサイクラー)の全反応容量中でPCR増幅した。反応条件は次のとおり:200μMのdNTPs、4mMのMgCl、50mMのTrisHCl(pH8.9)、10mM 硫酸アンモニウム、0.1%Tween20、ウシ血清アルブミン250ng/μl、及び0.5U/μlのTaqポリメラーゼ(アドバンスド・バイオテクノロジーズ社(Advanced Biotechnologies)、エプソム、サリー州、英国)。チャンネル1/530nm(フィルターセット4、iサイクラー)にて40℃(45℃、iサイクラー)で蛍光を検出した。自己プロービング型アンプリコンのコントロール反応(ネガティブコントロール)として、DNAの代わりにHOを含むものを用いた。プライマーはすべてオズウェル・リサーチ・プロダクツ(Oswel Research Products, サザンプトン SO16 7PX、英国)によって合成されたものである。
サイクリングパラメータ
【0103】
予備増幅
94℃−180秒の後、94℃−60秒、52℃−60秒、及び72℃−60秒を30サイクル、最後に72℃−300秒。
【0104】
アンプリコンの検出
(i)ライトサイクラー。96℃−1秒、40℃−5秒、72℃−1秒を100サイクル。
(ii)iサイクラー。95℃−180秒の後、95℃−30秒、45℃−30秒、72℃−15秒を40サイクル。
【0105】
結果
図10a〜10cは、SV40(ScSV40)の検出用に設計された自己プロービング型アンプリコン、JCウイルス(ScJC)の検出用に設計された自己プロービング型アンプリコン、及びBKウイルス(ScBK)の検出用に設計された自己プロービング型アンプリコンを、予め増幅した細胞系DNA、中皮腫由来DNA、及び水により、ライトサイクラーリアルタイム蛍光計中でチャレンジした結果を示したものである。特定の自己プロービング型アンプリコンが同種のウイルスと接触した場合にのみ蛍光の大幅な増大が見られる。非同種ウイルスによる蛍光のバックグラウンドレベルはJCウイルスによるチャレンジを行った場合にScBKを除いたすべてのケースで低値に維持されている。
【0106】
図10d〜10fは、iサイクラーリアルタイム蛍光計を用いて分析した同様の反応プロファイルを示したものである。図10e及び10fでは試料によって生ずる反応プロファイルが見られない。蛍光は特定の自己プロービング型アンプリコンに同種のウイルスが提示された場合に強く、非同種のウイルスでは弱いが、この一連の実験では非同種ウイルスによるバックグラウンド蛍光は増大している。3種の自己プロービング型アンプリコンのすべて、及び2種のScSV40標的アンプリコンを用い、2つの異なるアンプリコンの分析モードを用いて行った中皮腫ウイルスの型判定の結果を表9に示す。
【0107】
【表9A】
Figure 2004533256
【0108】
【表9B】
Figure 2004533256
【0109】
【表9C】
Figure 2004533256
【0110】
これらは、パラフィン包埋ブロックから得たアーカイブ化された76検体の中皮腫のDNA試料について型判定を行った結果である。いくつか興味深い観察点が挙げられる。第1に、P1とP2(表8参照)の間の650bpのアンプリコンを標的とした分析ではポジティブが1検体であるのに対し、P1とP3の間の230bpのアンプリコンを標的とした分析ではポジティブは44検体である。この観察結果は、パラフィン包埋ブロックからはしばしば短いDNA部分しか回収されないことに起因している可能性もあるが、これらの試料ではSV40のホストゲノムへの組み込みにともなってDNAが欠失することを反映したものかもしれない。
【0111】
第2に、SV40−VESPAと確立された方法との比較によれば、観察されたポジティブの数が増加しており、感度の向上が示された点である。この比較結果は蛍光測定のモードに依存している。アンプリコンP1−P2(650bp)の分析ではSV40の検出率は1.3%であり、ライトサイクラーを使用してアンプリコンP1−P3(230bp)を分析した場合には59%であり、iサイクラーを使用してアンプリコンP1−P3を分析した場合には70%であった。すなわちiサイクラーを用いて得られたデータはライトサイクラーによって得られるデータよりも20%程度ポジティブが多い結果となっているが、iサイクラーを用いるとバックグラウンドの蛍光が増大する。iサイクラーの観察される感度の増加は長い反応時間(2時間と1時間)または大きな試料容量(2μlと1μl)によるものである可能性がある。iサイクラーはスループットに関しても利点を有する(96と32)。iサイクラーを用いた場合にポジティブの試料は報告されず、ライトサイクラーを用いた場合ではネガティブは報告されなかった。これらの結果は、ライトサイクラーが特異的分析に適しているのに対して、iサイクラーは高感度の分析により適していることを示すものである。
【0112】
第3に、ScJCでは偽陽性が1検体で認められ、これがコントロールのネガティブブランク反応で見られたことである。この観察はアッセイ感度の重要性を強調するものであり、またこの種のウイルス分析を解釈する際の厳正なアッセイ法及び注意の必要を強調するものである。この問題は英国製ポリオワクチンの検査を行っている検査機関で以前から見られた問題であり、コンタミネーションの原因については確証のある説明はなされていない。この偽陽性が5つの他のブランクを含む実験で見られ、それらのすべてが予想されたネガティブな結果を生じたことからこの偽陽性は例外的なケースと見られる。また、使用した実験室が以前にポリオーマウイルスに曝されていないことは、このブランクが2個のポジティブコントロールに接して配置された結果としてポジティブを示したことを示唆するものである。したがって試料のキャリーオーバーが原因である可能性がある。
【0113】
SV40の検出率は最高で70%であり、これまでに報告されている値の範囲内であるが上限に近い値となっている。JC及びBKウイルスは小児人口の60%に見られ、成人の70%以上がJC及びBK抗体を有していることが推定される。中枢神経系の腫瘍では33%にJCウイルスが見られることが報告されている。JC及びBKの検出率はそれぞれ19%及び1.4%であった。
【0114】
これらの試料におけるウイルス負荷の推定は、第1回目の増幅で反応が「律速条件」に達する場合があるネスト(nested)PCRの使用によって困難となっている。SV40−VESPAは1回の増幅で細胞系のDNAの型判定を行うことが可能である(データは示さず)。このため、ネスト(nested)PCRによるスクリーニングで強いポジティブを示した試料をヒトゲノムDNA用の内部標準を用いた1回のPCRでウイルス負荷について再分析することが可能である。データにはScSV40の蛍光が1.4〜26.5の範囲であるDNA試料が示されており、ウイルスが由来する中皮生検試料中で広範囲のウイルス負荷が見られることと符合する。
【0115】
結論
図10a〜10fは、本発明によれば同種のウイルスに反応して強いシグナルを発生し、高濃度の相同性の高い非同種ウイルスから同種ウイルスを選別することが可能なアッセイが与えられることを示したものである。この記載の可能な例外は、ScBKを予め増幅したJCウイルスでチャレンジした場合には顕著なバックグラウンド蛍光が観察される点である。ポジティブコントロールの値の約10%程度であれば許容範囲ではあるが、JCウイルスが偽陽性のBKウイルスとして判定される可能性がある。この観察結果は、すべての試料をJCウイルスについて型判定したところ、BKについてポジティブであった1検体の試料はJCネガティブであったことから、現在の研究に影響するものではない。しかしながら、この方法を用いて得られたすべてのBKポジティブは解釈に注意を要し、JCウイルスについて型判定することが望ましい。しかしながら、ScBKのバックグラウンド蛍光は高濃度の予備増幅したJC DNAの存在下でのみ観察される点は再び強調しておく価値があろう。
【0116】
したがってこの実験で得られる中心的な知見は以下の点である。
(i)SV40の検出率はプローブするアンプリコンの大きさに依存する。
(ii)SV40の検出率はアンプリコン分析のモードに依存する。
(iii)アーカイブ化された中皮腫組織のSV40感染率は58%〜70%の範囲である。
【0117】
実施例7−RRP関連HPVにおけるVESPA
臨床試料
ウェールズ全体のすべての耳鼻咽喉科医及びイングランドで再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)の調査に積極的に携わっているすべての耳鼻咽喉科医に接触して患者を集めた。すべてのRRPの症例は、生検試料における特徴的な組織学的変化及び/または2回よりも多い外科的介入を必要とする組織学的変化により確認することによって同定した。すべての患者からインフォームドコンセントを得た。ユニバーシティ・ホスピタルズ・オブ・ウェールズ・カーディフ・アンド・シェフィールド(University Hospitals of Wales, Cardiff and Sheffield)において再発性呼吸器乳頭腫症の治療を行っている患者からインフォームドコンセントを得たうえで生検試料を採取した。
【0118】
疾患の重篤度
ダーケイ等(Derkay et al., Laryngoscope 108(6) 935-7 (1998))によって概括されるパラメータを用いて臨床疾患のグレード付けを行った。この式は手術の数及び手術間の時間間隔の両者を説明するものである。
【0119】
DNAの精製
0.5mg/mlのプロテイナーゼK(シグマ社(Sigma)、英国)を含む1mlの10mM TrisHCl(pH7.4)中で約1mmの生検材料を、1時間、56℃でインキュベートして生検試料からDNAを抽出した。次いで100μlの等分量を取り、10分間沸騰させ、5分間氷冷し、13,000rpmで3分間遠心し(粒子状物質を除去するため)、新鮮な試験管に注いだ。
【0120】
PCR EIA
HPVの型を確認するため、実施例3に述べられるようにジャコブ等(前出)によるPCR−EIA用の参照方法をすべての試料に行った。
【0121】
結果
表10に示されるウイルス負荷は実施例2で述べたように計算した。概略述べると、同種のHPV−自己プロービング型アンプリコンを用いて発生する蛍光シグナルと、ヒトゲノムのβグロブリンハウスキーピング遺伝子の検出用に設計された自己プロービング型アンプリコンの蛍光シグナルとの比を計算した。
【0122】
高ウイルス負荷かつ穏和な症状(NL)及びその逆(DN)の患者の例が明らかに見られたものの、寛解状態の患者でウイルス負荷は最も低く、最も重篤な患者でウイルス負荷は最も高かった。この研究は、RRPにおける最も重要な診断マーカーはHPVの型であることを示すものである。すなわち、HPV−6は穏和な、HPV−11は進行性の疾患につながるものである。
【0123】
【表10】
Figure 2004533256

【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の方法によるHPV−16の検出に関する図。(図1a)HPV−16(Sc16)に対して特異的な自己プロービング型アンプリコンプライマー、ポジティブコントロール(HPV−18に対するHeLa)、ネガティブコントロール(DNAなし)、及びHPV−16に特異的な細胞系(Caski)から抽出されたDNAを用いたHPVの型判定反応の結果を示す図。(図1b)HPV−18(Sc18)に対して特異的な自己プロービング型アンプリコンプライマー、ポジティブコントロール(HPV−16に対するCaski)、ネガティブコントロール(DNAなし)、及びHPV−18に感染した細胞系(HeLa)から抽出されたDNAを用いたHPVの型判定反応の結果を示す図。
【図2】VESPAによって得られるポジティブなトレースの例に関する図であって、PCR−EIAによって予め型判定した臨床試料を用いたHPV型判定実験の結果を示す図。HPV−6(Sc6)に対して特異的なプライマーを図2aに、HPV−11(Sc11)に対して特異的なプライマーを図2bに、HPV−16(Sc16)に対して特異的なプライマーを図2cに、HPV−18(Sc18)に対して特異的なプライマーを図2dに、HPV−31(Sc31)に対して特異的なプライマーを図2eに、HPV−33(Sc33)に対して特異的なプライマーを図2fに、HPV−39(Sc39)に対して特異的なプライマーを図2gに、HPV−51(Sc51)に対して特異的なプライマーを図2hに示した。
【図3】HPV−16に対するVESPAの定量的な性質を実証する図。Sc16を用いたHPV−16の連続希釈液が示されている。SiHa細胞の連続希釈液は反応当たり細胞50000個〜反応当たり細胞1個までを調製した。
【図4】ScBGを用いたヒトβ−グロブリンに対するVESPAの定量的な性質を実証する図であって、図3と同様の連続希釈液が示されている。
【図5】VESPAを用いたウイルス負荷の推定を示すグラフ。
【図6】VESPAを用いたdegenerateなHPVなどのウイルス検出法を示す模式図。
【図7】degenerateな自己プロービング型アンプリコンの混合物がHPV−6、−16、及び−18型を検出する能力を実証する図。
【図8】自己プロービング型アンプリコンを用いたHPVなどのウイルスの型判定法を示す概略図であって自己プロービング型アンプリコンを示した図。
【図9】自己プロービング型アンプリコンを用いたHPVなどのウイルスの型判定法を示す概略図であって、ウイルスDNAに対する自己プロービング型アンプリコンの伸長及び結合段階を示した図。
【図10】SV40にVESPA法を適用して得られた結果に関する図。図10a〜cはそれぞれScSV40,ScJC、及びScBKによって得られたライトサイクラー蛍光プロファイルである。各自己プロービング型アンプリコンを、予備増幅したOri−3(SV40)、Mad1(JC)、X(BK)、及び試料DNAでチャレンジした結果を示してある。図10d〜fは同じ条件下で得られたiサイクラー蛍光プロファイルである。
【図11】本発明の方法を用いてウイルスの組み込み状態を判定するための方法を示した概略図。

Claims (55)

  1. 1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる哺乳動物などの動物から得られる試料中の哺乳動物ウイルスを含む動物ウイルスの、
    (a)検出、
    (b)型判定、
    (c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
    (d)組み込み状態の決定
    の1以上を行うための方法であって、
    (IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
    (i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
    (ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有するとともに該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
    (iii)ウイルスシグナリングシステムであって、前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能な信号を発生することによって前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が前記検出可能信号によって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
    (IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能信号が発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
    (II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記ウイルスプローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程と、からなる方法。
  2. 1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる試料中のウイルスの、
    (a)検出、
    (b)型判定、
    (c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
    (d)組み込み状態の決定
    の1以上を行うための方法であって、
    (IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
    (i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
    (ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
    (iii)前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が該検出可能シグナルによって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
    (IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
    (II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記プローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程と、
    (IIIA)前記試料から得られたハウスキーピング核酸配列を自己プロービング型アンプリコン(「ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
    (i)前記ハウスキーピング核酸配列とハイブリダイズ可能なハウスキーピングプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてハウスキーピングプライマー伸長産物を生成するハウスキーピングプライマーと、
    (ii)ハウスキーピングプローブであって、前記プローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ハウスキーピングプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なハウスキーピングプローブと、
    (iii)前記ハウスキーピングプローブ配列が前記ハウスキーピングプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ハウスキーピング核酸配列の有無が前記検出可能シグナルによって示されるハウスキーピングシグナリングシステムと、を有する;と
    (IIIB)前記プライマー増幅条件下で、(IV)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IIIA)工程の産物を増幅する工程と、
    (IV)前記ハウスキーピング核酸配列から前記ハウスキーピングプライマー伸長産物を分離し、前記ハウスキーピングプローブをハウスキーピングプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記ハウスキーピングシグナリングシステムを監視する工程と、からなる方法。
  3. 前記ウイルス自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルと、前記ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルを比較する工程を更に含む、請求項2に記載の細胞当たりのウイルス負荷を決定する方法。
  4. 前記(I)工程と前記(III)工程のシグナリングシステムが異なっていることにより、前記標的ウイルス核酸配列と前記標的ハウスキーピング核酸配列を独立かつ同時に検出することが可能である請求項2または3に記載の方法。
  5. 1以上の標的ウイルス核酸配列を有することが疑われる試料中のウイルスの、
    (a)検出、
    (b)型判定、
    (c)細胞当たりのウイルス負荷の決定、及び/または
    (d)組み込み状態の決定
    の1以上を行うための方法であって、
    (IA)前記試料を自己プロービング型アンプリコン(「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」)と接触させる工程;該自己プロービング型アンプリコンは、
    (i)少なくとも1個の標的ウイルス核酸配列にハイブリダイズ可能なウイルスプライマーであって、プライマー増幅条件下で増幅されてウイルスプライマー伸長産物を生成するウイルスプライマーと、
    (ii)ウイルスプローブであって、前記ウイルスプローブが前記プライマー増幅条件下で増幅しないように前記自己プロービング型アンプリコンが構成されているものとして、前記ウイルスプライマー伸長産物の標的配列に対して相補的な核酸配列を有して該標的配列にハイブリダイズ可能なウイルスプローブと、
    (iii)前記ウイルスプローブ配列が前記ウイルスプライマー伸長産物にハイブリダイズする際に検出可能なシグナルを発生し、これにより前記試料中の標的ウイルス核酸配列の有無が該検出可能シグナルによって示されるウイルスシグナリングシステムと、を有する;と、
    (IB)前記プライマー増幅条件下で、(II)工程の後に前記検出可能シグナルが発生する程度に前記(IA)工程の産物を増幅する工程と、
    (II)前記標的ウイルス核酸配列から前記ウイルスプライマー伸長産物を分離し、前記ウイルスプローブを前記ウイルスプライマー伸長産物の前記標的配列にハイブリダイズさせ、前記シグナリングシステムを監視する工程とからなる方法において、
    前記ウイルス自己プロービング型アンプリコンがHPVのE1、E2、E6、及び/またはE7遺伝子の検出、定量、または評価を可能とするように構成されていることを特徴とする方法。
  6. 線形のウイルスDNAを決定するためのウイルス自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルと、環状のウイルスDNAを決定するためのウイルス自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルを比較する工程を更に含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のウイルスの組み込み状態を決定する方法。
  7. ウイルスのE1及び/またはE2 DNAを決定するためのウイルス自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルと、ウイルスのE6及び/またはE7 DNAを決定するためのウイルス自己プロービング型アンプリコンがハイブリダイズする際に発生するシグナルを比較する工程を更に含む、請求項1乃至6のいずれかに記載のウイルスの組み込み状態を決定する方法。
  8. 前記標的ウイルス核酸配列は、1よりも多いウイルスまたはウイルスの型にそれぞれ固有の、1よりも多い核酸配列を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記ウイルスプライマー要素は、前記標的に対してある程度の変性(degeneracy)を示すことにより、該ウイルスプライマーは標的の核酸の各配列に対して完全に相補的ではないことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記ウイルスはヒトパピローマウイルスであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記ウイルスはHPV6、11、16、18、31、33、39、40、42、43、44、45、51、52、56、58、59、66及び68型の1以上から選択される請求項10に記載の方法。
  12. 前記自己プロービング型アンプリコンはSc6、11、16、18、31、33、39、51及びSc56と名付けられた自己プロービング型アンプリコンにそれぞれ対応した配列番号1〜9から選択される核酸配列からなることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記ウイルスプローブ要素は配列番号21〜29:
    配列番号21 ATAAAGAGTACATGCGT
    配列番号22 CAGATTATAAGGAATACATGC
    配列番号23 AGTACCTACGACATGGG
    配列番号24 AGCAGTATAGCAGACATG
    配列番号25 GAGTATTTAAGACATGGTG
    配列番号26 CTTTATGCACACAAGAAC
    配列番号27 AATATACCAGGCACGTG
    配列番号28 GCAATATATTAGGCATGGG
    配列番号29 TCAGTACCTTAGACATGTG
    から選択される配列からなることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記ウイルスプライマー要素はGP6+プライマー(Sc16プライマー)及び配列番号32〜40:
    配列番号32 GAAAAATAAATTGTAAATCATACTC
    配列番号33 GAAAAATAAACTGTAAATCAAACTC
    配列番号34 GAAAAATAAACTGTAAATCATATTC
    配列番号35 GAAAAATAAACTGCAAATCATATTC
    配列番号36 GAAATATAAATTGTAAATCAAATTC
    配列番号37 GAAAAACAAACTGTAGATCATATTC
    配列番号38 GAAATATAAATTGTAAATCATACTC
    配列番号39 AAAAATAAATTGCAATTCATACTC
    配列番号40 GAAAAACAAATTGTAACCCATATTC
    から選択される配列からなることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記ウイルスは、サル空胞ウイルス40(SV40)、またはこれに類するJC及びBKウイルスなどのウイルスであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  16. 前記自己プロービング型アンプリコンはそれぞれScSV40、ScJC及びScBKと名付けられたものに対応する自己プロービング型アンプリコンから選択される核酸配列であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 少なくとも1つの自己プロービング型アンプリコンが細胞のハウスキーピング遺伝子のDNAを検出可能であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記ハウスキーピング遺伝子は、β−グロブリン、アクチン、トロポミオシン、及びグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)から選択されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記ハウスキーピング遺伝子はβ−グロブリンであることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記自己プロービング型アンプリコンはScBG(配列番号11)からなることを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記自己プロービング型アンプリコンのプローブ要素は配列番号31:
    配列番号31 ATGGTGTCTGTTTGAG
    からなることを特徴とする請求項17乃至20のいずれかに記載の方法。
  22. 少なくとも1つのウイルス自己プロービング型アンプリコンが、HPVのE1、E2、E6、及び/またはE7遺伝子の少なくとも1つの検出、定量、または評価を可能とするように構成されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の方法。
  23. 少なくとも1つのウイルス自己プロービング型アンプリコンが、Sc16−E1mid、Sc16−E2、Sc16−E6、Sc18−E1mid、Sc18−E2及びSc18−E6(それぞれ配列番号12〜17)から選択されることを特徴とする請求項1乃至22に記載の方法。
  24. 前記プローブ要素が配列番号41〜46:
    配列番号41 GCAAAGAGTAATCATTA Sc16-E1midプローブ
    配列番号42 TTGTCATATAGACATATCATTTTCAT Sc16-E2プローブ
    配列番号43 CGAATGTCTACATATCATGGC Sc16 E6プローブ
    配列番号44 TCGGTGTCTCCATGTTG Sc18 E1midプローブ
    配列番号45 TACATTGTCATGGTCTATGAT Sc18-E2プローブ
    配列番号46 CTGGAATGCTATATCATG Sc18-E6プローブ
    から選択されることを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
  25. 前記プライマー要素は配列番号47〜52:
    配列番号47 CAGAATGGATACAAAGACAAACAGT Sc16-E1midプライマー
    配列番号48 CAACGTTTAAATGTGTGTCAGGA Sc16-E2プライマー
    配列番号49 AAGTTACCACAGTTATGCACAGAGC Sc16 E6プライマー
    配列番号50 AGTAATGGGAGACACACCTGAGT Sc18 E1midプライマー
    配列番号51 GCAGACACCGAAGGAAACCC Sc18-E2プライマー
    配列番号52 ACCCAGAAAGTTACCACAGTTAT Sc18-E6プライマー
    から選択されることを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載の方法。
  26. 前記プライマー要素は配列番号47及び50:
    CAGAATGGATACAAAGACAAACAGT Sc16-E1midプライマー
    AGTAATGGGAGACACACCTGAGT Sc18 E1midプライマー
    から選択されることを特徴とする請求項22乃至25のいずれかに記載の方法。
  27. 増幅工程で使用されるリバースプライマーはE6及び/またはE7を標的とするように構成されていることを特徴とする請求項22乃至26のいずれかに記載の方法。
  28. 前記ウイルスプライマー伸長産物は、HPVを含む複数の型のウイルスのウイルス核酸配列を前記プライマー増幅条件下で増幅することが可能な核酸配列を有するテール付加プライマーから得られた「デザイナー配列」からなることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の方法。
  29. 以下の工程:
    (0)(A)前記試料から得た標的ウイルス核酸配列を「テール付加プライマー」と接触させる工程;該テール付加プライマーは、
    (i)前記ウイルス核酸配列のコンセンサス配列に相補的な核酸配列(「コンセンサスプライマー配列」)を有するプライマー領域であって、該コンセンサス配列にハイブリダイズ可能であるとともにプライマー増幅条件下で該コンセンサス配列を増幅してテール付加プライマー伸長産物を生成するプライマー領域と、
    (ii)本方法(「デザイナー」配列)のいずれの成分中にも存在せず、またいずれの成分によっても調製されない固有の配列を有するテール領域とからなる;と、
    (0)(B)前記「デザイナー」配列が前記プライマー伸長産物に組み込まれるように前記プライマー増幅条件下で少なくとも2回の増幅反応を行う工程と、を先に行うなどして更に含む方法であって、
    前記「ウイルス自己プロービング型アンプリコン」のプライマー要素は「デザイナー」配列に結合可能であり、ウイルス自己プロービング型アンプリコンのプローブ要素は前記コンセンサスプライマー配列に対して相補的であることを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記テール付加プライマーは配列番号18からなることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. 前記自己プロービング型アンプリコンは配列番号19及び20から選択されることを特徴とする請求項29または30に記載の方法。
  32. 前記デザイナーテール配列は配列番号10:
    配列番号10:ATGTGGAAACATGCATGG
    からなることを特徴とする請求項29乃至31のいずれかに記載の方法。
  33. 前記増幅工程の1以上が「リアルタイム」PCRを用いて行われることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の方法。
  34. 前記増幅工程の1以上がネスト(nested)PCRを用いて行われることを特徴とする請求項1乃至33のいずれかに記載の方法。
  35. 増幅反応が上記に定義したようなGP5+リバースプライマーを用いて行われることを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の方法。
  36. 少なくとも1つのシグナリングシステムが蛍光に基づいたシステムであることを特徴とする請求項1乃至35のいずれかに記載の方法。
  37. 少なくとも1つのシグナリングシステムが、6−カルボキシフロオレセイン/メチルレッドなどのフルオロフォア/クエンチャーの組合わせからなることを特徴とする請求項1乃至36のいずれかに記載の方法。
  38. ウイルス感染が疑われる患者のスクリーニングを行うためのスクリーニング法であって、
    (a)前記患者から核酸配列の試料を得る工程と、
    (b)請求項1乃至37のいずれかに記載の方法を前記試料に行う工程とを含み、これにより前記ウイルスシグナリングシステムからの検出可能シグナルが検出されればウイルス感染があったことが示され、ウイルスシグナリングシステムからの検出可能シグナルが検出されなければウイルス感染がなかったことが示される方法。
  39. 更に特定のウイルス型の有無が示されることを特徴とする請求項38に記載のスクリーニング法。
  40. 更に細胞当たりのウイルス負荷が示されることを特徴とする請求項38または39に記載のスクリーニング法。
  41. ウイルスが存在する場合、ウイルスの組み込み状態が更に示されることを特徴とする請求項38乃至40のいずれかに記載のスクリーニング法。
  42. 子宮頚癌、再発性呼吸器乳頭腫症やヒトパピローマウイルス(HPV)の患者における存在に関連した別の状態に関してスクリーニングを行うように適合されていることを特徴とする請求項38乃至41のいずれかに記載のスクリーニング法。
  43. 胸部及び肺の癌を含む中皮腫;骨肉腫;グリア芽細胞腫、星状細胞腫、脳室上衣腫、及び脈絡叢乳頭腫を含む、脳下垂体、甲状腺、脳、及び神経学的腫瘍や、SV40、JK及び/またはBKウイルスに関連した他の状態の1以上のスクリーニングを行うように適合されていることを特徴とする請求項38乃至41のいずれかに記載のスクリーニング法。
  44. 複数のウイルス型及びこれに関連した状態を検出/スクリーニングするための請求項1乃至43のいずれかに記載の方法。
  45. 前記核酸配列はDNA配列であることを特徴とする請求項1乃至44のいずれかに記載の方法。
  46. 請求項1乃至45のいずれかに記載の方法で使用するための診断キットであって、
    (a)これらの方法で用いるための、(a)ウイルス自己プロービング型アンプリコン、ハウスキーピング自己プロービング型アンプリコン、またはテール付加プライマーの1以上と、
    (b)該方法を実行するためのインストラクションとからなる診断キット。
  47. 少なくとも2種類の自己プロービング型アンプリコンを含む、細胞当たりのウイルス負荷を推定するための請求項46に記載のキット。
  48. 少なくとも1種類のハウスキーピング自己プロービング型アンプリコンを含む請求項46または47に記載のキット。
  49. ウイルスが存在する場合にその組み込み状態の判定を可能とする少なくとも1種類の自己プロービング型アンプリコンを含む請求項46乃至48のいずれかに記載のキット。
  50. (a)プライマー要素と、(b)プローブ要素とを含む核酸配列を有する自己プロービング型アンプリコンであって、プライマー要素は、
    (a)配列番号32〜40(Sc6、11、18、31、33、39、51、及び56のプライマー要素):
    配列番号32 GAAAAATAAATTGTAAATCATACTC
    配列番号33 GAAAAATAAACTGTAAATCAAACTC
    配列番号34 GAAAAATAAACTGTAAATCATATTC
    配列番号35 GAAAAATAAACTGCAAATCATATTC
    配列番号36 GAAATATAAATTGTAAATCAAATTC
    配列番号37 GAAAAACAAACTGTAGATCATATTC
    配列番号38 GAAATATAAATTGTAAATCATACTC
    配列番号39 AAAAATAAATTGCAATTCATACTC
    配列番号40 GAAAAACAAATTGTAACCCATATTC
    (b)配列番号47〜52:
    配列番号47 CAGAATGGATACAAAGACAAACAGT Sc16-E1midプライマー
    配列番号48 CAACGTTTAAATGTGTGTCAGGA Sc16-E2プライマー
    配列番号49 AAGTTACCACAGTTATGCACAGAGC Sc16 E6プライマー
    配列番号50 AGTAATGGGAGACACACCTGAGT Sc18E1midプライマー
    配列番号51 GCAGACACCGAAGGAAACCC Sc18-E2プライマー
    配列番号52 ACCCAGAAAGTTACCACAGTTAT Sc18-E6プライマー
    (iv)配列番号19及び20(テール付加プライマー)のプライマー要素である配列番号61:
    配列番号61 GTGGAAACATGCATGGCGAC
    から選択された配列を有することを特徴とする自己プロービング型アンプリコン。
  51. (a)プライマー要素と、(b)プローブ要素とを含む核酸配列を有する自己プロービング型アンプリコンであって、プローブ要素は、
    (i)配列番号21〜29(プライマー要素Sc6、11、18、31、33、39、51、及び56のプローブ要素)、
    (ii)配列番号31(ScBGのプローブ要素)、
    (iii)配列番号41〜46:
    配列番号41 GCAAAGAGTAATCATTA Sc16-E1midプローブ
    配列番号42 TTGTCATATAGACATATCATTTTCAT Sc16-E2プローブ
    配列番号43 CGAATGTCTACATATCATGGC Sc16 E6プローブ
    配列番号44 TCGGTGTCTCCATGTTG Sc18 E1midプローブ
    配列番号45 TACATTGTCATGGTCTATGAT Sc18-E2プローブ
    配列番号46 CTGGAATGCTATATCATG Sc18-E6プローブ
    (iv)配列番号19及び20(テール付加プライマー)のプローブ要素である配列番号59及び60:
    配列番号59 GAAGAATATGATTTACA
    配列番号60 GAGGAATATGATTTACA
    から選択される配列を有することを特徴とする自己プロービング型アンプリコン。
  52. (i)配列番号1〜9(Sc6、11、16、18、31、33、39、51及び56);
    (ii)配列番号11(ScBG);
    (iii)配列番号12〜17(Sc16−E1mid、Sc16−E2、Sc16E6、Sc18E1mid、Sc18−E2,Sc18−E6);
    (iv)配列番号18〜20(テール付加プライマー)、及び
    (v)下記表8に示される配列(SV40、JC、またはBKの判定に用いられる自己プロービング型アンプリコン)から選択される核酸配列を有する自己プロービング型アンプリコン。
  53. (a)プライマー部位を含むテール領域と、(b)プローブ結合部位を含むプライマー領域とを有するdegenerateな自己プロービング型アンプリコン。
  54. テール領域が配列番号10: ATGTGGAAACATGCATGG (GP6+テール付加プライマーのテール配列)を有することを特徴とする請求項42に記載の配列。
  55. 前記プローブ要素が前記GP6+配列に結合するように構成されている請求項42または43に記載の配列。
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