JP2004531902A5 - - Google Patents

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太陽電池を浅い液体の層中で用いる太陽エネルギー変換器
本発明は、太陽電池に関するものであり、特に、誘電性液体を用いた太陽エネルギー変換器に関するものである。
本出願は、2001年6月22日に出願した米国特許出願第09/887,416号「液体集光器を用いた太陽エネルギー変換器」の継続出願である。
各種の太陽エネルギー装置が、電気あるいは熱を供給する為、既に数十年に亘り使用されてきた。多種多様なエネルギー装置の設計者達はその出力および効率の改善にたゆみない努力を続けている。現行の太陽電池エネルギー変換器の一つの問題は、低価格の電力を効率よく取り出すことにある。光起電力電池(太陽電池)の変換効率とは、当該電池によって変換された出力電気エネルギーの入射太陽光エネルギーに対する割合である。太陽エネルギーを化石燃料および原子力と云うような従来のエネルギー資源と競合できる変換装置を造りだす為には、太陽電池の変換効率の改善はきわめて重要である。太陽光エネルギーの電気エネルギーへの変換効率は、光起電力装置(太陽電池)の黎明期においては全太陽光入射エネルギーの1〜2%程度であった。現今では、通常の市販の太陽電池で、7〜17%の変換効率を持っている。
先ず最初に必要なものは、太陽電池を用いて効率よくエネルギーを変換させる方法とシステムである。その為には、光エネルギーを電気エネルギーに、廉価で効率よく変換させる太陽電池の材料や構造、そしてその製造工程が重要である。更に、大きな出力を取り出すために、太陽光エネルギーを高密度に集光させる機能を持つ構造も重要である。
太陽電池を液体の中で動作させると、二つの独立した物理現象によって、見かけ上の変換効率が増大する。一つは、太陽電池が液体に接して濡れることによって起こる当該太陽電池の変換効率の増大である。他の一つは、液体を保持する容器(透明)の側面への入射光線の屈折と内部反射による集光効果が起こす太陽電池の出力の増大である。即ち、本発明は、誘電性液体が、n-p接合型太陽電池と接触することによって当該太陽電池の変換効率を増大させる事と、当該太陽電池を収納する透明容器と誘電性液体からなるシステムの構造が、集光装置の機能を持ち、当該太陽電池の出力を増大させる事を見出した。すなわち、太陽電池の誘電性液体による濡れ効果と誘電性液体を収納する透明容器の集光性を利用して、著しく高い変換効率をそなえた太陽電池パネルが可能になる。
一つまたは複数個の太陽電池を有機誘電性液体に浸すと、当該太陽電池のエネルギー変換効率が増大する。また、有機誘電性液体は集光装置の媒体として優れている。太陽電池と有機誘電性液体とを組み合わせると廉価な集光器をそなえた高変換効率のエネルギー変換器が得られる。
本発明における最も重要な点は、太陽電池の表面が誘電性液体で濡れると、当該太陽電池のエネルギー変換効率が増大することである。
本発明における第二に重要な点は、光起電力電池と有機誘電性液体を収納する外容器によって構成される太陽電池パネルでは、太陽電池あるいは光起電力電池の出力が増大する。太陽エネルギーパネルが、誘電性液体を通過した屈折光が、出力を増大させるような適当な、幾何学的構造を持っている場合、例えば、パネル側壁が集光器の機能をもつような透明ならば、集光器を通過した光は、誘電性液体の境界面で屈折し太陽電池上に集光して光電効果を高める。
さらに本発明の重要な点は、太陽電池の有機誘電性液体による濡れ効果と誘電性液体を収納するパネル外容器の集光効果とを組み合わせて太陽電池の出力を著しく増大して、太陽電池の出力電力のコストを低価格にすることである。
さらに、本発明の具体的な実験例において、太陽電池パネルの外装は低いドーム型あるいは扁平状で、上下壁と側壁からなる筒型である。パネル外装の側面壁と上面壁は集光器としての機能を持たせるために、透明な材料であることを要する。この筒型パネルの水平断面は円形、楕円形、卵形、矩形、三角形、正方形等々どのような形も可能であり、その形状は対称でも非対称でもよい。
太陽電池パネルに充填される有機誘電性液体は、有極性あるいは無極性に関わりなく使用可能である。際立って大きなエネルギー変換効率は、有極性で、かつより大きな屈折率を持つ液体で得られる。当該太陽電池パネルに用いられる誘電性液体の選択は、パネルが設置される場所の地理的季節の気候あるいは気温の変化に対応した凝固点および沸点を持つ液体であることがのぞましい。すなわち、当該太陽電池パネルが、実際に使用される場所の季節による最高及び最低気温を考慮して、高い屈折率、充分に低い凝固点、充分に高い沸点を持ち、かつ安全な有機誘電性液体を選ばねばならない。
本発明の示唆によれば、p−n接合型太陽電池の出力の増大は、太陽電池の表面に垂直なp側からn側に向く方向に、双極子を分極した状態で固体誘電体膜を堆積することによっても可能である。
図1に、エネルギー変換効率を増大させるのに適した外形をもつ太陽電池パネル100の例を概略図によって示す。太陽電池パネル100 は、パネルの下部の底面をなすパネル基盤あるいは皿102と、パネル100の全側面を囲む側壁面104から成っている。太陽電池パネル100はいかなる形でもよい。一つの適切な例は、太陽電池パネル100はパネルの底部を覆う底皿102と、筒の上端部を蓋う上蓋112を持つ扁平な筒状の形をもつ。パネルの側壁104の一部または全面及び上部蓋112は集光機能を充分に活用するために透明であることを要する。扁平筒形のパネル100の水平断面は、適当ないかなる幾何学的形状を持つことが出来る。例えば、円形、楕円形、卵形、矩形、三角形、正方形のいずれでもよく、対称、非対称も問わない。簡単な形状を持つ太陽電池パネルは概して低廉である。
太陽電池パネルの側壁104は、二つの意味で太陽電池パネルの効率を高める。第一の意味は、極めて当然の事であるが、パネル側壁104はパネル100の内部に有機誘電性液体110を保持するのに必要であり、太陽電池106はこの有機誘電性液体110で濡れるとその出力変換効率が増大する。第二の意味は、側壁104を集光器として機能させるべく透明な材料を用いる事によって太陽電池の出力を更に増大させる事ができる。パネルの側壁104は屈折性の液体を内包して、太陽電池の出力を増大させる効果をより効果的にするよう、レンズの機能を持つような幾何学的外形をもつことができる。例えば、パネル壁104は太陽電池106上に太陽エネルギーを集光するよう曲面の形状をもつことが出来る。
一般的には、太陽電池パネル100は立方体で、従って四面の側壁104を持つ。平面、曲面、あるいは平面と曲面を組み合わせた多面側壁を持つ形状も可能である。パネル壁104とパネル皿102の接合部は液体の漏洩を回避するよう密封されなければならない。
太陽電池パネル100は、太陽電池106と有機誘電性液体110とを内蔵する外装容器とで構成されている。外形は有機誘電性液体110を通して屈折光が有効に太陽電池の出力を増大せしめるような幾何学的構造を持つものとする。パネル側壁104は集光装置として機能するよう透明である事が望ましい。集光器としての側壁104に入射した光線は、有機誘電性液体110との界面で屈折して太陽電池106の光起電力効果を増大する。
パネル皿102内には一つあるいは複数個の太陽電池106が夫々の前面と裏面が誘電性液体で濡れるように配列される。すなわち、太陽電池パネル100は一般的には複数個の太陽電池106を有する。電力の取り出し線108は太陽電池106と外部負荷(図示せず)とを接続する。太陽電池106はパネル皿102内にパネル壁104に対して遠隔あるいは近接した位置に適当に配列される。
ある実施例では、外装容器は太陽電池の占める面積よりも大きなパネル皿102とパネル蓋112を有する。この事によってパネル側壁104の面積が大きくなり、より大量の太陽光を集光して、電力に変換する事が出来る。
太陽電池パネルに用いられる太陽電池106はシリコン接合型太陽電池でもよい。ガリウム砒素(GaAs)などの金属間化合物太陽電池でもよい。
パネル皿102は有機誘電性液体110を保持し、その中に一つまたは複数個の太陽電池106が浸潤されている。有機誘電性液体110は接合型太陽電池106に接触すると、太陽電池106の変換効率を増大する。更に、有機誘電性液体110は集光装置に適した性質をもつ媒体である。接合型半導体太陽電池106と有機誘電性液体110との組み合わせは低価格高効率の光発電機として動作する。
特定の有機誘電性液体110を使用上の諸条件によって選ぶことが出来る。接合型半導体太陽電池106の出力は太陽電池106の表面が電気的に高抵抗の誘電性液体例えば水で濡れる事によって増大する。濡れる事による太陽電池106の出力電力の増大は、有極性か無極性か、屈折率の大小等々、液体特有の性質に依存する。出力電力の増大は、太陽電池の一面(背面)のみが濡れても惹起される。
図2は、太陽電池パネル100に使用されるn-p接合型太陽電池106の例を図示している。接合型半導体太陽電池106はn型半導体層210とp型半導体層212からなる半導体の複合層からできている。n-p接合の半導体構造即ち太陽電池106に太陽光が照射されると電流を発生する。半導体層構造には単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン薄膜、多結晶シリコン薄膜、あるいはガリウム砒素(GaAs)、ガリウムインジウム−燐(GaInP)、ガリウムインジウム−砒素(GaInAs)等々多種類の材料が用いられる。太陽電池106は半導体のn-p層構造に加えて、その表面上のグリッド状金属電極214と裏面上の電極216から成っており、励起された電子を半導体から取り出し、電流を外部負荷に導く。完成された太陽電池106の最上面は、ガラスまたはプラスチックの透明な保護膜218で太陽電池を密閉している。太陽電池106の最上面上には太陽電池からの光222の反射を防止するために反射防止膜220がある。透明な接着層224は、透明な保護膜218を太陽電池106に固定している。
図3は、市販の二つの異なったシリコン太陽電池を4400Lx.の光強度の曇天下で動作させた場合の電流−電圧(I−V)特性を示している。同図において、I−V曲線312及びI−V曲線322は浅い広口のパネル皿(ペトリ皿)102内に設置された太陽電池A310とB320の正常動作(空気中)の光起電力効果の振る舞いを示している。本実施例に用いられた太陽電池A310は正方形状で5mmx5mmの有効表面積をもつ。太陽電池B320は矩形状で10mmx20mmの有効表面積をもつ。
前記の正常動作においては、液体はパネル皿内に注入されていない。同図3におけるI−V曲線314とI−V曲線324は、有機誘電性液体110に浸潤された太陽電池106の動作における、太陽電池A310と太陽電池B320の場合を示す。本実施例は、太陽電池A310とB320がそれぞれ太陽電池の表面よりわずかに高い準位までグリセリンを充填した場合である。太陽電池106の出力の増加はI−V曲線312と314、およびI−V曲線322と324を比較すればよい。太陽電池A310の閉回路電流Iscの増加分316は約40%であり、太陽電池B320の閉回路電流Iscの増加分326は約36%である。太陽電池B320は、グリセリンに浸潤して動作させると、出力電力は負荷抵抗200Ωで約47%増加する。
同じ照明条件の下で、太陽電池の性能は、太陽電池106を有機誘電性液体110に部分的または完全に浸潤する事によって著しく改善される。太陽電池の出力の増加は液体の成分や太陽電池に対する液体の深さ等々諸々の原因よって変化する。
図4は、市販のシリコン太陽電池A310を晴天下の空気質量AM1.5の太陽光の下で動作させた場合の光起電力効果のI−V曲線を示す。同図における曲線401は空気中における動作のI−V曲線である。曲線402はエチルアルコールに浸潤して動作させた場合のI−V曲線である。当該太陽電池の閉回路電流Isc及び開回路電圧 Voc の増加分は、夫々約38%と10%である。出力電力の増加分は負荷抵抗250Ωで約62%、また負荷抵抗1000Ωでは約23%である。
図5は、500W/5500Kの色温度の反射電球の光源を用いて、10000Lxの照度下で、有機誘電性液体110の深さを変えた場合の太陽電池のI−V曲線を示す。この例において、太陽電池106は太陽電池B320であり、有機誘電性液体110はトリクロロエチレンである。同図において、曲線500は液体の無い正常条件でのI−V曲線である。曲線501はパネル皿102の底に最も接近した太陽電池B320の面(太陽電池の裏面)がトリクロロエチレンで濡れた場合のI−V曲線である。エネルギー変換効率は太陽電池106の裏面が濡れただけでも増大する。太陽電池106を完全に液体に浸潤して、液体の深さを増すと、エネルギー変換効率も増大する。曲線502は液体の深さが太陽電池106の上表面の上 1mm の時のI−V曲線である。当該実施例において、太陽電池B320に対して最適のトリクロロエチレンの深さは、曲線503が示す如く、太陽電池の上表面の上 7 mm である。液体の深さを更に増すと、I−V曲線504及び505が示す如く太陽電池B320のエネルギー変換効率は減少する。I−V曲線504は、太陽電池B320の表面がトリクロロエチレンの表面より 10 mm の深さにある場合である。曲線505は、太陽電池B320の表面が 15 mm の深さのトリクロロエチレンで覆われた場合である。
同様の測定が、トルエン、イソプロピルアルコール、およびグリセリン等々の有機誘電性液体110に太陽電池106を浸潤して行われた。上記の有機誘電性液体110の深さが、太陽電池の表面上7±1 mm の時、電力出力の最大値が観測された。最大出力を得るための、最適深さは使用される誘電性液体110の性質、パネル皿の大きさなどの他の条件によって変わる。
有機誘電性液体110の最適深さは、パネル皿102内に設置された太陽電池106の位置での光学的理由による。
500W/5500Kの色温度の電球光源の下で、グリセリン、イソプロピルアルコール、トルエン及びトリクロロエチレンなどの有機誘電性液体110の濡れ効果による太陽電池106の最大出力の測定結果を表1に示す。表1は、太陽電池 B320 の閉回路電流の最大の変化率 (ΔIsc/Isc)max が、液体の深さDで起こる事を示す。各液体の比重ρと屈折率Nも示す。これらの有機誘電性液体のうち、グリセリンは無極性であり、他のイソプロピルアルコール、トルエン、トリクロロエチレンは有極性である。
Figure 2004531902
表1によれば、濡れ効果によって接合型半導体太陽電池の出力を増大させるのには、有極性で屈折率の大きな誘電性液体が適している。
誘電性液体を用いた時の、出力電力の増加は、液体の誘電率或いは屈折率の大きさに関係している。太陽電池を覆う誘電性液体として適切な二つの液体材料を選定した。これらの液体は、屈折率1.43以上、凝固点−40℃以下、沸点200℃以上の誘電性液体である。従って、上述の特性を持つ誘電性液体は、極地から熱帯地に至る地球上の、広い地域で用いることが出来る。選定においては、塩素、沃素、或いは臭素のような有毒元素を含む物を除外して、災害に際しての安全性を考慮した。その一つは、プロピレングリコール(N=1.434)で太陽電池を覆うと、入射角45°の太陽光で42%の出力増加が得られた。プロピレングリコールは自動車の不凍液として用いられており、本発明の実施に用いるのに安全である事が知られている。例えば、燃焼時の副産物は一酸化炭素と二酸化炭素である。
他の一つはカーギル社製の光学用誘電製液体で、入射角45°の太陽光下で太陽電池の出力を63%増加した。カーギル社の仕様書によるとこの液体はレーザー用浸漬液に分類されており、屈折率は1.535、凝固点−45℃、沸点370℃である。なお燃焼時の副産物は二酸化炭素であり、太陽光線下で10年間安定である。図8のAとBは、前述の二つの有機誘電性液体内で、太陽電池を動作させた実験に用いた容器と太陽電池を示す。容器81はセラミックスで、その内側壁に3Mスコッチテープ85を付着した。図8の上面図と側面図に示しているように、スコッチテープはセラミックス容器の内側面を覆っている(内側面からの反射を防止する為)。太陽電池82はエポキシ製の支持台84上に約 1 mm の隙間を置いて支えられている。太陽電池82は二本の電力取り出しリード線82a,82bをエポキシ支持台84にエポキシ86aと86bで固定して支えられている。例えば、屈折率1.535を持つカーギル(商標)社製浸潤液コード#1160を用いた場合、正常動作の最大出力に対する、コード#1160液に浸潤した場合の最大出力比、P(1160)/P(normal)=1.626で約63%の出力増加が観測された。この液体は、R.P.カーギル・ラボラトリーズ社(R.P.Cargille Laboratories Inc., 55 Commerce Road, Ceder Grove, New Jersey 07009)によって製造されている。その特性は、同社による材料安全データシート(material safety data sheet)に示されている。
太陽電池を電気的に高抵抗で、光学的に透明な液体内で動作させると、その出力効率が増大する。一般的に、電気的に高抵抗で、波長が3000Åから20000Åの範囲で透明な液体であればよい。有極性、無極性を問わず、有機誘電性液体は太陽電池パネルに用いられる。より大きなエネルギー変換効率は、例えばトルエンやトリクロロエチレンのような屈折率の大きな有極性有機誘電性液体で得られる。実用的には、太陽電池パネルが使用される地域の季節による気候の変化を考慮して、沸点及び凝固点の適当な有機誘電性液体を選ばなくてはならない。適切な液体は、これらに限定するものではないが、エチレングリコール、エチレンメルカプタン、o−エチルアニリンなどが挙げられる。一般的に、凝固点が低く、沸点が高い有機誘電体性液体110は厳寒下の凍結、あるいは、酷暑下で沸騰が無く、広い温度範囲で安定した液体状態を維持して、太陽電池のエネルギー変換効率の高揚を維持する事が出来る。
本発明の初期の実験例では、液体110は有機誘電性液体に限るものではなく、電気的に高抵抗で、光学的に透明な誘電性液体であれば、例えば、高純度の水でも、接合型半導体太陽電池の出力を増大させる事を観測した。
図6は、太陽電池106の出力と、その上に入射する光の入射角との関係を示す。当該実験では、太陽電池パネル100の側壁104をも考慮にいれて、パネル100の表面へ入射する太陽光の入射角の函数として、太陽電池の最大出力を測定した。測定は晴天下の自然太陽光を用いて、太陽電池106が空気中と有機誘電性液体中の場合について行われた。太陽位置の仰角の変化に従って、コントロール曲線601上の点を空気中で測定した。各仰角ごとに、曲線601上の点の測定直後に、太陽電池106が設置されている直径10cm のペトリ皿に、本実験ではエチルアルコールを太陽電池106の表面より7 mm の深さまで注入して、誘電液体中の最大出力曲線602を測定した。引き通ずき、ペトリ皿の側壁104を遮蔽板114で覆い、側壁104を通して集光する光を遮断した場合の曲線603上の点を測定した。図6において、曲線603とコントロール曲線601の差は、太陽電池106が有機誘電性液体110によって濡れたことによって誘起された出力の増加分である。同様に、曲線602と曲線603の差は、ペトリ皿の側壁を通して集光された屈折光による出力の増加分である。
当該実験は、太陽電池106を囲むエチルアルコールの存在が、太陽電池106の出力を、終日で曲線603と601の差すなわち約33%増加する事を示している。また、ペトリ皿の側壁に入射して、太陽電池106上に集光された太陽光が終日で、曲線602と603の差の分、すなわち35%の出力の増加を惹起することを示している。即ち、終日で太陽電池の出力は約68%増加する。
図7の曲線701は、図6におけるペトリ皿にエチルアルコールを充填した場合の太陽電池106の最大出力曲線602の、空気中での出力曲線601に対する比を、太陽光の入射角の函数として示している。同図の曲線702は、曲線701と同様な測定をベンゼンを用いて行った場合の最大出力比を示す。透明な蓋112、透明な側壁104、及び誘電性液体110からなり、側壁への入射光を太陽電池上に集光する構造を持つ太陽電池パネル100は太陽電池106の出力電力を著しく増大する。
上述の構造と誘電性液体をもつ太陽電池パネル100は、太陽位置の追跡装置無しでも、終日に亘って太陽電池の出力を増大する。終日中の太陽光の最小入射角を10°、最大入射角を 75°と仮定すれば、曲線701はエチルアルコールに浸潤された太陽電池では、一日に出力が約 70% 増大する事をしめす。また、曲線702は、ベンゼンに浸潤した場合には、太陽電池の出力が約 120 %増大する事を示している。
一年を通して、季節の変化に伴い、正午時における太陽の仰角は、地球上の緯度ψの地点ではψ ±23.5°の間を変動する。図6及び図7は、地球上の緯度により太陽電池パネルの側壁を有効に使用するよう設置角度を選ばねばなら無い事を示している。
太陽光の入射角が傾いた場合、パネルの側壁と誘電性液体を通しての集光が太陽電池出力を増大する。しかしながら、太陽の直射光の無い場合でも、濡れ効果によって、大きなエネルギー変換効率の増加がある。図3と同様な実験で、約4800Lxの曇天下において、エチルアルコールに浸潤された太陽電池の効率が約50%増加するのが観測された。
パネルに内包された液体に浸潤された太陽電池の構造は、太陽エネルギーの多様な付加的な抽出を可能にする。例えば、太陽電池パネルに液体の循環装置を設置すれば、温度上昇による太陽電池の変換効率低下を軽減し、加えて熱交換装置を設置すれば、太陽熱エネルギーをも利用することができる。
本発明より付加的に次の事が類推される。即ち、双極子がp−n接合を横切って生じる電界に沿って整列する様に、太陽電池の表面に固体の誘電体薄膜を堆積した場合、誘電性液体と同様な効果が期待される。
図5によれば、曲線501は太陽電池1010の裏面1014が誘電性液体1016に濡れた結果を示している。本実施例では、曲線501の曲線500に対する閉回路電流Iscの比が、例えばトリクロロエチレンで太陽電池の裏面を濡らすことによって、約11%増加することを示している。太陽電池の裏面が濡れるような太陽電池の固定台の構造は多様に考える事が出来るが、図9に太陽電池固定台1002の一例を示す。
図9のAおよびBは、太陽電池の固定台1002を含む、太陽電池パネルの外装容器1000の側面図および上面図を示す。外装容器1000は透明な上蓋1004、底皿1006および透明な側面壁1008よりなる。外装容器1000は孔1012を持つ固定台1002上に配列された太陽電池1010を内蔵する。固定台1002上の孔1012は、太陽電池1010の裏面1014の下に間隔を供するためのものである。間隔1018は、太陽電池の裏面1014が濡れるように当該裏面に接する誘電性液体1016を保持するためのものである。例えば、間隔1018は1mm以下ではない。
上記の如く、本発明は多くの具体的な実験例を用いて説明された。これら実験例は明確であり、本発明の規模はこれらの例に限られ無いことは明白である。記述された具体例には多くの変形、改造あるいは改善が可能である。例えば、ここに記述された構造や方法を実施するのには技術的には通常の手段でよいが、材料、寸法や数値などは例として記述されたものであり、望ましい構造あるいは本発明の規模以内での改善がなされる為に変更される事は理解される。ここに記述された具体例の変更及び改良は、下記の特許請求の範囲の中に記述された本発明の規模と精神から逸脱する事無く、本発明の記述に基づいて行われる。
図1は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池パネルの形状を示す分解組み立て図である。 図2は、太陽光パネルに用いる太陽電池の構造を示す概要図である。 図3は、二つの異なった市販のシリコン太陽電池を曇天下の自然光のもとで動作させた場合の電流−電圧特性を示す。 図4は、晴天下、太陽からの自然光(AM=1.5)の照射を用いて、シリコン太陽電池を動作させた場合の電流−電圧特性を示している。 図5は、シリコン太陽電池を有機誘電性液体に浸潤して、動作させた場合の電流−電圧特性の液体の深さ依存性を示す。 図6は、空気中及び有機誘電性液体中で太陽電池を動作させ、最大出力の太陽光入射角度依存性を比較する図である。 図7は、太陽電池の出力を、空気中と有機誘電性液体中で測定し、有機誘電性液体中での最大出力の空気中での最大出力に対する比の太陽光入射角依存性を示す。 図8は、AおよびBからなり、太陽電池の濡れ効果の測定に用いた液体容器と太陽電池の固定方法を示す側面図及び上面図である。 図9は、AおよびBからなり、本発明におけるパネル外装容器と太陽電池取付台の一実施例を示す側面図及び上面図である。
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