JP2004529726A - 極小手術器具 - Google Patents
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Abstract
例えばシリコン顕微針は、いかなる塑性変形でもこれを受ける前に壊れてしまう。このような故障により悲劇的な結果がもたらされることがある。この種類の故障は、大量投与による致命的な事態をもたらす体内への薬剤の漏洩を招くことがあるため、顕微針の用途では特に危険である。また、シリコン粒子が体内に残ることにより、非常に危険な結果を招くことがある。
本発明は、上記課題を解決できる、均一にコーティングされたポリマーで作られた極小手術器具に関する。
本発明は、上記課題を解決できる、均一にコーティングされたポリマーで作られた極小手術器具に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは手術器具に関し、より詳しくは極小手術器具(microfabricated surgical devices)および該器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ(chip)に使用するミクロ流体システムの進歩に伴い、これらのチップを外界と相互作用させる必要性が生じている。極微針(microneedles)のような極小手術器具は、試料を生体組織に導入しかつ生体組織から溶液を抽出するための一態様である。しかしながら、現在のシリコンおよびポリシリコン製の極微針は壊れ易く、従って真に有効な流体相互連結を達成するにはこれらの極微針の強度および靭性を増大させなくてはならない。
【0003】
面外単結晶シリコン極微針は非常に鋭く作ることができるが、これらの極微針を作るためのウェーハの長さ×厚さが制限され、また、流体が通り得るようにチップを中空にしなければならないため幾分脆弱でもある。面内単結晶シリコン針は、堆積膜を用いて流体チャネルを被覆するため頂壁厚さを薄くしなければならず、曲げ荷重を受けたときに壊れ易い。ポリシリコンの極微針は全構造層に堆積膜を使用するため、比較的小さい荷重でも壊れ易い。
【0004】
このような従来製造されている極微針は有効な流体相互連結が行なえることが証明されているが、強度および靭性が欠如しているため、未だ商業用器具に一体化されてはいない。また、従来の極微針の脆弱な性質は患者にとって危険でもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばシリコン極微針は、いかなる塑性変形でもこれを受ける前に壊れてしまう。このような故障により悲劇的な結果がもたらされることがある。この種類の故障は、大量投与による致命的な事態をもたらす体内への薬剤の漏洩を招くことがあるため、極微針の用途では特に危険である。また、シリコン粒子が体内に残ることにより、非常に危険な結果を招くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、均一に(conformally)コーティングされたポリマーで作られた端部および本体部分を有する極小手術器具に特徴を有する。
他の態様では、本発明は、ポリマーの均一層(conformal layer)で作られた先端部および軸を有し、軸の少なくとも一部が中空である極小手術器具に関する。
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。ポリマーはパリレンで構成できる。ポリマーはガス蒸着により堆積させることができる。ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択できる。器具の端部は金属外表面にすることができる。金属外表面は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択される材料で形成できる。器具の端部または本体部分には強化セクションを設けることができる。器具には、器具の端部とは反対側でカテーテルを結合できる。
【0007】
他の態様では、本発明は、先端部および軸を有し、これらの各々が均一ポリマー層を有している極小針に関する。
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択できる。先端部は金属外表面にすることができる。先端部または軸には強化セクションを設けることができる。チャネルには、軸の少なくとも一部を通って、チャネルの第一端部に形成された流体入口ポートおよび第二端部に形成された流体出口ポートを設けることができる。チャネルの第一端部はカテーテルに流体連通するように構成できる。軸の内側断面寸法は約10〜100μm、外側断面寸法は約50〜250μmにでき、極小針は約250μm〜5mmの長さにすることができる。
【0008】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の製造方法に関する。本発明のこの方法は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーを均一に堆積させて器具を形成する工程と、金型キャビティから器具を取出す工程とを有している。
【0009】
他の態様では、本発明は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面に犠牲リリース層を形成する工程と、第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、犠牲リリース層を除去して器具を金型キャビティから解放する工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【0010】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。第一および第二基板の各々は、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作ことができる。ポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかで形成できる。パリレンはガス蒸着により堆積できる。第一基板の表面には複数の器具の形状を形成できる。犠牲リリース層は、電気めっきフォトレジスト、ポリマー、金属、半導体材料、酸化物またはマイクロソープのいずれかで形成できる。
【0011】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の製造方法に特徴を有している。本発明のこの方法は、極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、該基板から金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、器具が中空部分を含むように金型の少なくとも一部を除去する工程とを有している。
【0012】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、基板をエッチングして金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、器具が中空部分を含むように金型をエッチングする工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【0013】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。金型は、器具が基板材料を含む中空軸および先端部を有するようにエッチングできる。或いは、金型は、器具が中空基部と、基板材料を含む軸および先端部とを有するようにエッチングできる。基板は、シリコン、金属、ガラスまたはポリマーからなる群から選択できる。均一層はパリレンのガス蒸着により形成できる。
【0014】
他の態様では、本発明は、極微針の製造方法に特徴を有する。本発明のこの方法は、第一基板の表面に極微針の形状を形成する工程と、第一基板の表面に第一犠牲層をコーティングする工程と、第一犠牲層上に金属層を形成する工程と、金属層に第二犠牲層をコーティングしかつ該第二犠牲層をパターン化する工程と、第二基板を第一基板に結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内でポリマーを均一に堆積させて極微針を形成する工程と、第一および第二犠牲層をエッチングして金型から極微針を取出す工程とを有している。
【0015】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。第一および第二基板の各々が、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作ることができる。ポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかで形成できる。ポリマーはガス蒸着により堆積できる。第一基板の表面には複数の極微針の形状を形成できる。金属層はスパッタリングにより形成できる。金属層の金属は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択できる。第一および第二犠牲層の各々は電気めっきフォトレジストで形成できる。第二犠牲層は、エッチング工程後に、極微針の先端部のみに金属層が残るようにパターン化できる。
【0016】
本発明の更に別の態様では、本発明は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面上に犠牲リリース層を形成する工程と、該犠牲リリース層上に窒化シリコン層を堆積させる工程と、第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、犠牲リリース層を除去して金型キャビティから器具を解放する工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の1つの長所は、組織の運動と共に撓むことができる充分なしなやかさを有する極小針を提供できることである。この針は、壊れることなく、非常に大きい撓み(180°より大きい曲げ)に耐えることができる。極小針は、1μm以下から100μm以上の壁厚を有する構造を提供する、均一に堆積したポリマー材料で作られる。これにより、より高い生産収量およびより少ない不良品となり、かつ輸送用のより安価な包装にすることができる。均一ポリマー層の堆積により、正確な幾何学的形状を得ることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の1つ以上の実施形態の詳細を説明する。本発明の他の特徴、目的および長所は、以下の説明、添付図面および特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
同様な構成要素は、種々の図面において同じ参照符号および参照番号で示されている。
【0019】
本発明は、極小手術器具および該器具の製造方法に関する。本発明は、極小針(microfabricated needle)または極微針(microneedle)の実施形態およびこれらの針の製造方法に関して説明する。本願で説明する方法は、神経プローブ、ランセット、生体内生物学的分析システム、微小切断ツール、または微小チューブおよび例えばチャネルおよびミキサを組込んだ器具等の他の極小手術器具の製造にも使用できる。
【0020】
図1−1(A)に示すように、極小針または極微針10(図3)のような極小手術器具の製造は、約200〜500ミクロン(μm)の厚さを有する<100>単結晶シリコンウェーハ12等の基板から出発する。
ウェーハ表面は深部反応形イオンエッチング(deep reactive ion etch:DRIE)を受けて、垂直側壁を有するトレンチ14を形成する(図1−1(B))。トレンチは、極微針の形状を表すものである。トレンチ14は、約20〜300μmの深さおよび約250μm〜5mmの長さに形成できる。
【0021】
図2に示すように、針の特徴は、針先端部10a、針軸10b、針基部10c、およびそれぞれ針入口ポート10dおよび針出口ポート10eを有することである。或いは、この製造工程では、入口ポートおよび出口ポートを省略するか、異なる幾何学的形状のパターン(模様)を付すことができる。更には、後述のように、極微針構造体が金型から取出された後に、ポートは、エキシマレーザまたは酸素プラズマレーザを用いて構造体内で選択的にエッチングすることができる。
【0022】
次に図1−1(C)に示すように、ウェーハに後面DRIEを施し、チャネルすなわち通路(後述のように、この通路を通って、ポリマー蒸気が金型キャビティ内に導入される)を形成する。DRIE以外の技術、例えばプラズマエッチングまたはウェットエッチングを用いてトレンチおよびチャネルを形成することができる。後面チャネルを省略して、図1−1(B)の工程中に形成される前面アクセスポートで置換することができる。
【0023】
次に、ウェーハの表面に、第一犠牲リリース層18が形成される(図1−1(D))。犠牲層18は、ウェーハを電気めっきフォトレジスト(elecroplated photoresist:EPRR)でコーティングすることにより形成される。犠牲層は、LPCVDポリシリコンの薄いコーティングによって形成することもできる。層18の厚さは、ウェーハおよびチャネルの全表面に亘って実質的に一定である。適当なフォトレジスト材は、Shipley Microelectronics, Inc.(Marlborough、マサチューセッツ州)を含む多くの供給業者から入手できる。この層の厚さは、約1〜10μmである。
【0024】
次の工程(図1−1(E))は、極微針の形状(features)14を含むウェーハの側面上に金属層20を形成することである。この任意工程の目的は、針10の先端部または軸に、鋭くて針の他の部分よりも剛性の大きい強化金属セクションを設けることにある(図2および図3参照)。層20は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタン、またはこれらの金属の合金をウェーハ上にスパッタ蒸着することにより形成できる。層20は、多孔質にならないように、すなわち、連続膜を形成するのに充分な厚さにしなければならない。理想的には、層20の金属は、基板材料中に拡散しないようにすべきである。アルミニウムおよび或るアルミニウム合金はシリコン中に拡散する。従ってこのような金属を使用する場合には、層20とウェーハとの間に付加バリヤ層(図示せず)が必要になるであろう。これは、製造工程を複雑化することは明白である。
【0025】
次に、金属層20上に第二犠牲リリース層22(図1−2(F))が形成される。この層22は、約1〜10μmの厚さのEPPRまたはポリシリコンで形成できる。層22の厚さも、ウェーハの全表面に亘って実質的に一定である。しかしながら、層22はチャネル16内に形成する必要はない。層22には、例えばフォトレジスト(PR)リソグラフィーを用いてパターンが付され、後述のように、堆積すべきポリマーが金属層20に付着できる領域および堆積すべきポリマーが第二犠牲層22に付着する領域を定める。
【0026】
次に、図1−2(G)に示すように、キャップウェーハすなわち基板24がウェーハ12に結合され、3次元金型キャビティ26を形成する。ウェーハ24もまた<100>単結晶シリコンで形成でき、或いはガラスまたはポリマーウェーハで構成することもできる。キャップウェーハ24は、ウェーハ12上に形成されたものと同様な金属の形状を露出している。かくして、キャップウェーハ24は犠牲層18aおよび金属層20aを有し、これらは、それぞれウェーハ12の犠牲層18および金属層20と同様である。
【0027】
両ウェーハ12、24は一体に結合でき、この結合は2工程で行なわれる。最初に予結合が行なわれ、この第一工程では、ファンデルワールス力によって両ウェーハが一時的に一体に保持できるように、両ウェーハが近接される。この予結合は、シリコンの2つの清浄な疎水性ベア・サーフェイス(bare surfaces)により行なわれる。予結合されたウェーハは、次に、約1000℃で、約1時間焼鈍され、両ウェーハ間の拡散により両ウェーハは永久的に一体結合される。両ウェーハは、熱硬化性フォトレジストの硬化により一体接合させることもできる。
【0028】
製造方法の次の工程は、均一ポリマー配置(conformal polymer disposition)を行なうことである(図1−2(H))。パリレン(Parylene)Cポリマーが、金型キャビティ内にガス堆積される。パリレンは、ポリマー・ポリ・パラ・キシレンの一般名称である。パリレンCは、芳香族酸素(aromatic hydrogens)の1つを塩素原子で置換することにより改質された同じモノマーである。パリレンCを選択した理由は、堆積中のパリレンCが均一性(conformality)および比較的高い堆積速度(約5μm/時間)を有することにある。
【0029】
パリレン法は、基板が室温に維持される均一蒸着(conformal vapor deposition)である。固体ダイマー(solid dimmer)は、約150℃で最初に気化され、次に約650℃でモノマーに分裂(cleaved)される。この気化モノマーは、次に、例えばSpecialty Coating Systems社(Indianapolis、インディアナ州)から入手できる室温堆積チャンバ内に導入され、ここで、基板上および金型キャビティ内に吸収されかつ重合される。モノマーガス分子の平均自由行程(mean free path)は約0.1cmであるので、パリレン堆積は非常に均一性がある。パリレンコーティング28は、25ナノメートル(nm)の厚さでピンホールが存在しない。
【0030】
この堆積方法の極端な均一性により、パリレンは、金型キャビティ26の内面およびウェーハ12、24の外表面の両方をコーティングできる。金型キャビティ内のパリレンコーティングは、約20〜80μmの厚さ、より一般的には約27μmの厚さにすることができる。
【0031】
パリレンCの代わりに他のパリレン、例えばN形およびD形のパリレンを使用できる。また、他のポリマー、例えばテフロン(Teflon(登録商標))またはポリスチレンを使用することもできる。重要なことは、このポリマーが均一性をもって堆積されることである。すなわち、堆積されたポリマーは、表面のトポロジーまたは幾何学的形状の如何にかかわらず、実質的に一定の厚さを有している。
【0032】
金型キャビティ内に均一性ポリマー層を形成するのに、流体充満/エアパージ法(fluid flood and air purge process)を使用できる。この方法に使用できるポリマーとして、ポリウレタン、エポキシまたはフォトレジストがある。
次に、フォトレジスト層18、18a、22が構造体から溶解除去される。フォトレジスト層は、アセトンその他の有機溶剤またはフォトレジストストリッパによりエッチング除去できる。これらの物質はフォトレジスト層を破壊するが、ポリマーまたは金属には影響を与えない。エッチング剤の浴中でウェーハが分離すると、極微針構造体が金型から解放(リリース)される。金属とポリマーとの間にフォトレジストが存在する場合には、極微針から金属が除去される。金属は、強化のため、針先端部または針軸に残留する(図1−2(I)参照)。
【0033】
図3から理解されようが、得られる極微針10は、一般に本体部分および端部を有している。より詳しくは、極微針は、金属先端部10aと、ポリマー軸10bと、基部10cとを有している。針先端部10aすなわち終端尖点は挿入エッジすなわち穿刺エッジを形成し、ここでは、針先端部の頂面10fが底面10gの突出部である。軸および基部を通るチャネルは中空であり、流体を、それぞれ入口ポート10dおよび出口ポート10eを通って例えば患者の体内に注入できる。
【0034】
基部10cは、極微針の取扱いおよび組立てを行なう機構を構成する。しかしながら、例えば針が侵襲性手術に使用するカテーテルの先端部に配置すべきものであるときは、基部を省略することができる。カテーテル先端部は、金型キャビティ内で針軸端と一列に整列でき、ポリマーが成長して針構造体を創成すると、ポリマーがカテーテル先端部を包囲して針を所定位置に固定する。
【0035】
本発明の方法は、基板12から金型構造体30を微小機械加工する工程を有している(図2参照)。前述のように、基板はシリコンで形成できる。しかしながら、基板はガラスまたはポリマー材料で構成することもできる。例えば直径4インチのウェーハで数千個の金型を製造でき、これにより器具のバッチ製造が可能になる。
【0036】
例えば図1−2(I)および図3に示すように、個々の極微針は、約250μm〜5mmの間の全長Lにすることができる。基部を有する場合には、基部の長さL1は約100〜1,000μmにすることができる。軸10bの中空内部断面寸法x1は10〜100μmにすることができ、一方、軸の外部断面寸法x2は約50〜250μmである。
【0037】
上記方法の変更形態も可能である。例えば、薄い二酸化ケイ素の薄膜(これは犠牲リリース層である)を堆積し、次に窒化ケイ素の薄膜を堆積することにより、「ガラス」封入形ポリマー極微針を作ることができる。金型の蓋をしてポリマーを堆積すると、ポリマーは窒化ケイ素に付着する。二酸化ケイ素は、フッ化水素酸(HF)エッチングにより除去される。HFエッチングはポリマーに影響を与えない。極微針構造体は、ケイ素が溶解されると金型から解放される。これにより得られる多層構造体は、ポリマーの内部および窒化ケイ素のコーティングを有している。
【0038】
窒化ケイ素の代わりに、炭化タングステン、炭化ケイ素または二酸化ケイ素等の他の材料を使用できる。このような材料には異なる組の犠牲層またはエッチング剤が必要である。窒化ケイ素およびこれらの他の材料の堆積は、化学蒸着(CVD)または低圧化学蒸着(LPCVD)を用いて行なわれる。
【0039】
このような極微針は、非常に剛性が大きくかつ尖鋭である。この種類の方法は、第一堆積材料の窒化シリコンが第二堆積材料のポリマーよりも高い堆積温度を有するので実行可能である。前述のように、ポリマー材料は室温で堆積されるのに対し、窒化ケイ素は835℃で堆積される。
【0040】
金属先端部または軸が強化された極微針の他の製造方法は、上記図1−1(A)〜図1−2(I)の方法であるが金属化工程(図1−1(E)、図1−2(F))を用いないで極微針を製造する方法である。金型から極微針を解放した後、チタンまたは上記他の金属のうちのいずれかの金属のような金属種の薄層を針先端部上にスパッタリングでき、次に電気めっき工程を行なってこの金属種の層上に金属を成長させることができる。この金属ケーシングの厚さは、電気めっき溶液および堆積電圧により調節できる。例えば、厚さは約1〜30μmにすることができる。
【0041】
この方法は、極微針の軸を金属層内に封入することにも使用できる。この金属ケーシングは、極微針の全体的強度を高めると同時に靭性のあるフレーム構造を維持できる。
選択的付着方法およびリリース方法を使用して、金属付着またはポリマーリリースを行なうこともできる。付着は、ヘキサメチルジシラヤン(HMDS)蒸気のような促進剤により補助され、一方、リリースはマイクロソープ(microsoap)の薄膜により可能になる。マイクロソープは、上記犠牲フォトレジスト層の代わりに使用できる。
【0042】
マイクロソープは液体の形態で金型に堆積され、次に熱または真空中で乾燥される。標準フォトリソグラフィーにより乾燥マイクロソープのパターン化が行なわれ、水またはマイルドケミカル中で除去が行なわれる。マイクロソープはパターン化されて、金型内の特定場所での付着またはリリースが行なわれる。ポリマーがこのマイクロソープ膜上に堆積されると、ポリマーは、水またはマイルドケミカル中で解放されるであろう。かくして、マイクロソープは選択的リリース層すなわち犠牲層を形成する。
【0043】
クロム、金またはチタン等の金属層を選択的リリース層として使用することもできる。このような金属層は、約2〜5μmの厚さまで、金型内にスパッタリング蒸着される。次に、例えばソルダボンディングによりまたは接合層としてフォトレジストを使用することにより、両ウェーハが一体接合される。ポリマーが金型キャビティ内に堆積され、次に金属層が化学エッチングにより選択的にエッチング除去され、器具構造体を解放する。
【0044】
かくして、上記のように、種々のリリース層を使用できる。リリース層として、フォトレジスト、酸化物、金属およびマイクロソープがある。器具を製造するポリマーに影響を与えることなく優先的にエッチングできる場合には、リリース層としてポリマーを使用することもできる。このようなポリマーの一例として、Shipley Microelectronics, Inc.から入手できるSU−8エポキシがある。
【0045】
或いは、選択的リリース層を使用する代わりに、機械的イジェクションにより、器具構造体を金型から取出すことができる。機械的イジェクションは、両ウェーハを物理的に分離させ、かつスプルーによりまたは一方のウェーハの孔を通るイジェクションピンを用いて器具構造体を射出することにより金型から器具構造体を引出すことにより行なわれる。
【0046】
上記極微針構造体には、DRIEにより形成された垂直側壁が形成されている(図1−1(B)参照)。しかしながら、使用されるエッチング技術および単結晶シリコンの結晶学的微小構造に基いて、側壁の他の幾何学的形状も可能である。等方性ウェット化学エッチングを用いて、ウェーハの平面内で丸められた形状(rounded features)を形成でき、異方性ウェット化学エッチングにより傾斜側壁を形成できる。これらの側壁の幾何学的形状は、異なる器具形状、例えば側方に切断できるフィルタプレートまたは手術器具を備えた極微針に有効である。
【0047】
図4(A)に示すように、犠牲基板方法は、極小手術器具の製造に使用できる。この方法は、器具の所望厚さに等しい厚さを有する<100>単結晶シリコンウェーハすなわち基板40から出発する。例えば、約200μmの厚さのウェーハを使用できる。また、ガラス、金属またはポリマー等の他の基板材料を使用することもできる。
【0048】
マスキング材料(図示せず)をウェーハ上にパターン形成して、入口ポートおよび出口ポートを作ることができる。マスキング材料として、厚いフォトレジスト層を使用できる。或いは、後述のように、マスキング材料の堆積後に、マスキング材料を全部除去して、構造体の層材料内に入口ポートおよび出口ポートをエッチング加工できる。
【0049】
次に、例えばDRIEまたはSTS深シリコンエッチングを用いて基板を貫通させ、極微針のような手術器具42の輪郭がエッチングされる(図4(B))。
次に、器具輪郭の全4面が、パリレンCのような均一ポリマー構造層44でコーティングされる(図4(C))。パリレンCポリマーは、5μm/時間の速度で均一に堆積し、これにより、比較的厚い構造層の堆積が行なえる。層44の厚さは、約1〜50μmにすることができる。
【0050】
ここで犠牲シリコンがエッチング除去され、中空軸46が残される(図4(D))。シリコンエッチングは、加熱された水酸化カリウム(KOH)浴中または二フッ化キセノンエッチング剤中で行なうことができる。二フッ化キセノンシステムは、約10μm/分の最大エッチング速度を有し、従って、軸構造体を完全にアンダーカットするには数時間を要する。KOHは1μmという非常に遅い速度でシリコンをエッチングするが、シリコンとパリレン材料との付着力が弱いため、これはパリレンをエッチングする良い方法である。この弱い付着力は、シリコンとパリレンとの間に液体KOHが侵入することを可能にし、従って犠牲シリコンを非常に高速でエッチング除去する。このエッチングを完了するには8時間を要し、0.5mm/時間のアンダーカット速度が得られる。これは二フッ化キセノンのエッチング時間より長いが、実際には、二フッ化キセノンはエッチング時間の3倍を要するパージ工程および冷却工程を有するので、全体としては非常に速いものである。また、長いエッチング時間のセットアップが容易なことから、ウェットKOHエッチングが好ましい。
【0051】
より剛性の大きいセクションが必要な場合には、エッチング工程を早期に停止することができ、これにより極微針は完全に中空にはならない。この技術は、中空ポリマー軸部分46と、基板材料(例えばシリコン)で作られた先端部48とを備えた極微針を創成できる。
図5には、図4(A)〜図4(D)の方法に従って作られた極微針50、52、54の配列が示されている。完全に中空のポリマー針を創成するため、犠牲金型の全体がエッチング除去されている。
【0052】
しかしながら、図6および図7に示す極微針60、70は、それぞれ、異なる長さの基板材料が残され、剛性が大きいすなわち強化されたセクションを創成している。針60は、中空軸60aおよび中実先端部60bを有している。針70は、大部分が中実の軸70aおよび中実先端部70bを有し、針の基部70cは中空である。剛性の大きいセクションは、針の座屈荷重を増大させ並びに鋭い先端部を形成する。かくして、極微針は、非常に強い膜を穿刺する充分な強度を有している。
【0053】
図1−1(A)〜図1−2(I)に概略的に示した方法の変更形態は、針先端部80aが挿入尖端部すなわち穿刺尖端部を形成している針80を製造するのに使用できる(図8)。挿入尖端部は、挿入エッジ極微針よりも小さい力で組織を破断できる点で優れている(図3)。
【0054】
図1−1(A)〜図1−2(I)の方法は、DRIEを用いて、垂直側壁をもつ深いトレンチを形成する方法である。このエッチングセットアップで基板を保護するのに使用されるマスクは、フォトレジストの厚い層(約10μmの層)であり、この層について、エッチングシステムは、フォトレジストよりも非常に速い速度で基板を選択的にエッチングする。しかしながら、このエッチング中にフォトレジストが腐食するという事実は、エッチングされた構造体の非垂直側壁を形成する、厚いフォトレジストの非垂直側壁を創成する方法に通じる。
【0055】
図9Aおよび図9Bに示す2つの方法は、エッチング中の腐食の利益を得るにはフォトレジストを如何にパターン化するかを示すものである。従来のマスキング方法は、一側壁上にパターン化されたクロムとのガラスプレートの接触リソグラフィーを使用している。紫外(UV)光線による血液露出はフォトレジストを破壊し、次の化学現像によりフォトレジストが除去されて、垂直側壁が残される。
【0056】
図9Aに示すように、ガラスマスクプレート90は、該プレート90の下面の「接触」開口が上面の「シャドウ」開口より大きくなるように、プレートの両面がクロム92によりパターン化される。これにより、UV光線が全ての形状、すなわち両開口は一致するが、「シャドウ」マスクのみによって覆われる開口を部分的にのみ露出させるという形状をパターン化することを可能にする。理解されようが、これにより、UV光線が「シャドウ」マスクの下を通らなくてはならないことによりUVエネルギが減少するので、丸められた側壁が形成される。
【0057】
図9Bは移動マスクシステムを示し、このシステムでは、接触マスク90がウェーハ上に静止状態に維持されて、UV光線がフォトレジストを露出できる場所を定め、「シャドウ」マスク94は開口を横切って並進され(マスクは、図9Bの紙面内でマスク90の開口を横切って移動する)、特定量のUV光線エネルギが「シャドウ」マスクで覆われない領域に到達できるようにする。理解されようが、これにより、上方マスクの並進速度および上方マスクのマスク開口により規定される幾何学的形状(ジオメトリ)をもつテーパ状側壁が形成される。
【0058】
極小針は、傷または痛みを制限して、人または動物に薬剤を注射しまたは生物学的試料を人または動物から抽出するのに使用できる。これらの極微針の大きさは、神経に届くほど深く穿刺することなく人の表皮内に挿入できる大きさである。この技術の1つの適用は、従来の針の穿刺の度に痛い思いをしかつ瘢痕が生じさせることがある、毎日の薬剤投与を必要とする糖尿病患者のインシュリン注射である。
【0059】
これらの器具はまた、カテーテルの遠位端(体内の端部)に取付けられた極微針が、微小孔を介して動脈壁を穿刺する介入的手術にも使用できる。医療的研究によれば、剥離または擦過により傷付けられた動脈内部の損傷は、患者に重大な影響を与え、動脈虚脱および血流損をもたらす血管痙攣等の劇的結果をもたらすことがある。介入手術極微針を用いる動脈壁の穿孔(breach)の問題は防止できる。
【0060】
介入手術極微針の使用はまた、体外の残留を制限することなく、薬剤の高度に局部的な注射を可能にする。血管内注射により行なわれる一般的な薬学的処置は、身体全体に亘る薬剤の不必要なフラッシングおよび腎臓、肝臓およびリンパ系を通る濾過を引起こす。これに対し、局部的注射は、組織内への薬剤のゆっくりした完全な同化を可能にし、かくして、より効率的かつ有効で、時間、費用、薬剤を節約して仕事を行なうことができる。
【0061】
或る用途の極小針先端部は、ヘパリンのような血液凝固剤でコーティングしておくことができる。これらの極微針は、チップの微小流体システムへの流体の導入および該システムからの流体の抽出にも使用できる。
以上、本発明の多くの実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更を行ない得ることは理解されよう。従って他の実施形態は本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1−1】本発明の極小針の一製造工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針の強化セクション(例えば先端部)の断面であり、B−B断面は針軸に沿う断面である。
【図1−2】本発明の極小針の一製造工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針の強化セクション(例えば先端部)の断面であり、B−B断面は針軸に沿う断面である。
【図2】極小針の製造に使用される金型を示す概略斜視図である。
【図3】金属先端部/エッジ穿刺部分を備えた極小針を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の極小針の他の製造方法の一工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針軸の断面であり、B−B断面は針の強化部分の断面である。
【図5】図4(A)〜図4(D)の方法を用いて製造できる多数の極小針を示す概略図である。
【図6】強化先端部および中空軸を備えた極小針を示す概略図である。
【図7】中空基部、強化軸および強化先端部を備えた極小針を示す概略図である。
【図8】金属先端部および尖鋭穿刺部を備えた極小針を示す概略図である。
【図9A】基板に非垂直壁を形成するマスク方法を示す概略図である。
【図9B】基板に非垂直壁を形成するマスク方法を示す概略図である。
【0001】
本発明は、広くは手術器具に関し、より詳しくは極小手術器具(microfabricated surgical devices)および該器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ(chip)に使用するミクロ流体システムの進歩に伴い、これらのチップを外界と相互作用させる必要性が生じている。極微針(microneedles)のような極小手術器具は、試料を生体組織に導入しかつ生体組織から溶液を抽出するための一態様である。しかしながら、現在のシリコンおよびポリシリコン製の極微針は壊れ易く、従って真に有効な流体相互連結を達成するにはこれらの極微針の強度および靭性を増大させなくてはならない。
【0003】
面外単結晶シリコン極微針は非常に鋭く作ることができるが、これらの極微針を作るためのウェーハの長さ×厚さが制限され、また、流体が通り得るようにチップを中空にしなければならないため幾分脆弱でもある。面内単結晶シリコン針は、堆積膜を用いて流体チャネルを被覆するため頂壁厚さを薄くしなければならず、曲げ荷重を受けたときに壊れ易い。ポリシリコンの極微針は全構造層に堆積膜を使用するため、比較的小さい荷重でも壊れ易い。
【0004】
このような従来製造されている極微針は有効な流体相互連結が行なえることが証明されているが、強度および靭性が欠如しているため、未だ商業用器具に一体化されてはいない。また、従来の極微針の脆弱な性質は患者にとって危険でもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばシリコン極微針は、いかなる塑性変形でもこれを受ける前に壊れてしまう。このような故障により悲劇的な結果がもたらされることがある。この種類の故障は、大量投与による致命的な事態をもたらす体内への薬剤の漏洩を招くことがあるため、極微針の用途では特に危険である。また、シリコン粒子が体内に残ることにより、非常に危険な結果を招くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、均一に(conformally)コーティングされたポリマーで作られた端部および本体部分を有する極小手術器具に特徴を有する。
他の態様では、本発明は、ポリマーの均一層(conformal layer)で作られた先端部および軸を有し、軸の少なくとも一部が中空である極小手術器具に関する。
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。ポリマーはパリレンで構成できる。ポリマーはガス蒸着により堆積させることができる。ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択できる。器具の端部は金属外表面にすることができる。金属外表面は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択される材料で形成できる。器具の端部または本体部分には強化セクションを設けることができる。器具には、器具の端部とは反対側でカテーテルを結合できる。
【0007】
他の態様では、本発明は、先端部および軸を有し、これらの各々が均一ポリマー層を有している極小針に関する。
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択できる。先端部は金属外表面にすることができる。先端部または軸には強化セクションを設けることができる。チャネルには、軸の少なくとも一部を通って、チャネルの第一端部に形成された流体入口ポートおよび第二端部に形成された流体出口ポートを設けることができる。チャネルの第一端部はカテーテルに流体連通するように構成できる。軸の内側断面寸法は約10〜100μm、外側断面寸法は約50〜250μmにでき、極小針は約250μm〜5mmの長さにすることができる。
【0008】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の製造方法に関する。本発明のこの方法は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーを均一に堆積させて器具を形成する工程と、金型キャビティから器具を取出す工程とを有している。
【0009】
他の態様では、本発明は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面に犠牲リリース層を形成する工程と、第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、犠牲リリース層を除去して器具を金型キャビティから解放する工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【0010】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。第一および第二基板の各々は、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作ことができる。ポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかで形成できる。パリレンはガス蒸着により堆積できる。第一基板の表面には複数の器具の形状を形成できる。犠牲リリース層は、電気めっきフォトレジスト、ポリマー、金属、半導体材料、酸化物またはマイクロソープのいずれかで形成できる。
【0011】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の製造方法に特徴を有している。本発明のこの方法は、極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、該基板から金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、器具が中空部分を含むように金型の少なくとも一部を除去する工程とを有している。
【0012】
他の態様では、本発明は、極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、基板をエッチングして金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、器具が中空部分を含むように金型をエッチングする工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【0013】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。金型は、器具が基板材料を含む中空軸および先端部を有するようにエッチングできる。或いは、金型は、器具が中空基部と、基板材料を含む軸および先端部とを有するようにエッチングできる。基板は、シリコン、金属、ガラスまたはポリマーからなる群から選択できる。均一層はパリレンのガス蒸着により形成できる。
【0014】
他の態様では、本発明は、極微針の製造方法に特徴を有する。本発明のこの方法は、第一基板の表面に極微針の形状を形成する工程と、第一基板の表面に第一犠牲層をコーティングする工程と、第一犠牲層上に金属層を形成する工程と、金属層に第二犠牲層をコーティングしかつ該第二犠牲層をパターン化する工程と、第二基板を第一基板に結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内でポリマーを均一に堆積させて極微針を形成する工程と、第一および第二犠牲層をエッチングして金型から極微針を取出す工程とを有している。
【0015】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上の下記特徴を有している。第一および第二基板の各々が、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作ることができる。ポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかで形成できる。ポリマーはガス蒸着により堆積できる。第一基板の表面には複数の極微針の形状を形成できる。金属層はスパッタリングにより形成できる。金属層の金属は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択できる。第一および第二犠牲層の各々は電気めっきフォトレジストで形成できる。第二犠牲層は、エッチング工程後に、極微針の先端部のみに金属層が残るようにパターン化できる。
【0016】
本発明の更に別の態様では、本発明は、第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、第一基板の表面上に犠牲リリース層を形成する工程と、該犠牲リリース層上に窒化シリコン層を堆積させる工程と、第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、犠牲リリース層を除去して金型キャビティから器具を解放する工程とを有する極小手術器具の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の1つの長所は、組織の運動と共に撓むことができる充分なしなやかさを有する極小針を提供できることである。この針は、壊れることなく、非常に大きい撓み(180°より大きい曲げ)に耐えることができる。極小針は、1μm以下から100μm以上の壁厚を有する構造を提供する、均一に堆積したポリマー材料で作られる。これにより、より高い生産収量およびより少ない不良品となり、かつ輸送用のより安価な包装にすることができる。均一ポリマー層の堆積により、正確な幾何学的形状を得ることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の1つ以上の実施形態の詳細を説明する。本発明の他の特徴、目的および長所は、以下の説明、添付図面および特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
同様な構成要素は、種々の図面において同じ参照符号および参照番号で示されている。
【0019】
本発明は、極小手術器具および該器具の製造方法に関する。本発明は、極小針(microfabricated needle)または極微針(microneedle)の実施形態およびこれらの針の製造方法に関して説明する。本願で説明する方法は、神経プローブ、ランセット、生体内生物学的分析システム、微小切断ツール、または微小チューブおよび例えばチャネルおよびミキサを組込んだ器具等の他の極小手術器具の製造にも使用できる。
【0020】
図1−1(A)に示すように、極小針または極微針10(図3)のような極小手術器具の製造は、約200〜500ミクロン(μm)の厚さを有する<100>単結晶シリコンウェーハ12等の基板から出発する。
ウェーハ表面は深部反応形イオンエッチング(deep reactive ion etch:DRIE)を受けて、垂直側壁を有するトレンチ14を形成する(図1−1(B))。トレンチは、極微針の形状を表すものである。トレンチ14は、約20〜300μmの深さおよび約250μm〜5mmの長さに形成できる。
【0021】
図2に示すように、針の特徴は、針先端部10a、針軸10b、針基部10c、およびそれぞれ針入口ポート10dおよび針出口ポート10eを有することである。或いは、この製造工程では、入口ポートおよび出口ポートを省略するか、異なる幾何学的形状のパターン(模様)を付すことができる。更には、後述のように、極微針構造体が金型から取出された後に、ポートは、エキシマレーザまたは酸素プラズマレーザを用いて構造体内で選択的にエッチングすることができる。
【0022】
次に図1−1(C)に示すように、ウェーハに後面DRIEを施し、チャネルすなわち通路(後述のように、この通路を通って、ポリマー蒸気が金型キャビティ内に導入される)を形成する。DRIE以外の技術、例えばプラズマエッチングまたはウェットエッチングを用いてトレンチおよびチャネルを形成することができる。後面チャネルを省略して、図1−1(B)の工程中に形成される前面アクセスポートで置換することができる。
【0023】
次に、ウェーハの表面に、第一犠牲リリース層18が形成される(図1−1(D))。犠牲層18は、ウェーハを電気めっきフォトレジスト(elecroplated photoresist:EPRR)でコーティングすることにより形成される。犠牲層は、LPCVDポリシリコンの薄いコーティングによって形成することもできる。層18の厚さは、ウェーハおよびチャネルの全表面に亘って実質的に一定である。適当なフォトレジスト材は、Shipley Microelectronics, Inc.(Marlborough、マサチューセッツ州)を含む多くの供給業者から入手できる。この層の厚さは、約1〜10μmである。
【0024】
次の工程(図1−1(E))は、極微針の形状(features)14を含むウェーハの側面上に金属層20を形成することである。この任意工程の目的は、針10の先端部または軸に、鋭くて針の他の部分よりも剛性の大きい強化金属セクションを設けることにある(図2および図3参照)。層20は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタン、またはこれらの金属の合金をウェーハ上にスパッタ蒸着することにより形成できる。層20は、多孔質にならないように、すなわち、連続膜を形成するのに充分な厚さにしなければならない。理想的には、層20の金属は、基板材料中に拡散しないようにすべきである。アルミニウムおよび或るアルミニウム合金はシリコン中に拡散する。従ってこのような金属を使用する場合には、層20とウェーハとの間に付加バリヤ層(図示せず)が必要になるであろう。これは、製造工程を複雑化することは明白である。
【0025】
次に、金属層20上に第二犠牲リリース層22(図1−2(F))が形成される。この層22は、約1〜10μmの厚さのEPPRまたはポリシリコンで形成できる。層22の厚さも、ウェーハの全表面に亘って実質的に一定である。しかしながら、層22はチャネル16内に形成する必要はない。層22には、例えばフォトレジスト(PR)リソグラフィーを用いてパターンが付され、後述のように、堆積すべきポリマーが金属層20に付着できる領域および堆積すべきポリマーが第二犠牲層22に付着する領域を定める。
【0026】
次に、図1−2(G)に示すように、キャップウェーハすなわち基板24がウェーハ12に結合され、3次元金型キャビティ26を形成する。ウェーハ24もまた<100>単結晶シリコンで形成でき、或いはガラスまたはポリマーウェーハで構成することもできる。キャップウェーハ24は、ウェーハ12上に形成されたものと同様な金属の形状を露出している。かくして、キャップウェーハ24は犠牲層18aおよび金属層20aを有し、これらは、それぞれウェーハ12の犠牲層18および金属層20と同様である。
【0027】
両ウェーハ12、24は一体に結合でき、この結合は2工程で行なわれる。最初に予結合が行なわれ、この第一工程では、ファンデルワールス力によって両ウェーハが一時的に一体に保持できるように、両ウェーハが近接される。この予結合は、シリコンの2つの清浄な疎水性ベア・サーフェイス(bare surfaces)により行なわれる。予結合されたウェーハは、次に、約1000℃で、約1時間焼鈍され、両ウェーハ間の拡散により両ウェーハは永久的に一体結合される。両ウェーハは、熱硬化性フォトレジストの硬化により一体接合させることもできる。
【0028】
製造方法の次の工程は、均一ポリマー配置(conformal polymer disposition)を行なうことである(図1−2(H))。パリレン(Parylene)Cポリマーが、金型キャビティ内にガス堆積される。パリレンは、ポリマー・ポリ・パラ・キシレンの一般名称である。パリレンCは、芳香族酸素(aromatic hydrogens)の1つを塩素原子で置換することにより改質された同じモノマーである。パリレンCを選択した理由は、堆積中のパリレンCが均一性(conformality)および比較的高い堆積速度(約5μm/時間)を有することにある。
【0029】
パリレン法は、基板が室温に維持される均一蒸着(conformal vapor deposition)である。固体ダイマー(solid dimmer)は、約150℃で最初に気化され、次に約650℃でモノマーに分裂(cleaved)される。この気化モノマーは、次に、例えばSpecialty Coating Systems社(Indianapolis、インディアナ州)から入手できる室温堆積チャンバ内に導入され、ここで、基板上および金型キャビティ内に吸収されかつ重合される。モノマーガス分子の平均自由行程(mean free path)は約0.1cmであるので、パリレン堆積は非常に均一性がある。パリレンコーティング28は、25ナノメートル(nm)の厚さでピンホールが存在しない。
【0030】
この堆積方法の極端な均一性により、パリレンは、金型キャビティ26の内面およびウェーハ12、24の外表面の両方をコーティングできる。金型キャビティ内のパリレンコーティングは、約20〜80μmの厚さ、より一般的には約27μmの厚さにすることができる。
【0031】
パリレンCの代わりに他のパリレン、例えばN形およびD形のパリレンを使用できる。また、他のポリマー、例えばテフロン(Teflon(登録商標))またはポリスチレンを使用することもできる。重要なことは、このポリマーが均一性をもって堆積されることである。すなわち、堆積されたポリマーは、表面のトポロジーまたは幾何学的形状の如何にかかわらず、実質的に一定の厚さを有している。
【0032】
金型キャビティ内に均一性ポリマー層を形成するのに、流体充満/エアパージ法(fluid flood and air purge process)を使用できる。この方法に使用できるポリマーとして、ポリウレタン、エポキシまたはフォトレジストがある。
次に、フォトレジスト層18、18a、22が構造体から溶解除去される。フォトレジスト層は、アセトンその他の有機溶剤またはフォトレジストストリッパによりエッチング除去できる。これらの物質はフォトレジスト層を破壊するが、ポリマーまたは金属には影響を与えない。エッチング剤の浴中でウェーハが分離すると、極微針構造体が金型から解放(リリース)される。金属とポリマーとの間にフォトレジストが存在する場合には、極微針から金属が除去される。金属は、強化のため、針先端部または針軸に残留する(図1−2(I)参照)。
【0033】
図3から理解されようが、得られる極微針10は、一般に本体部分および端部を有している。より詳しくは、極微針は、金属先端部10aと、ポリマー軸10bと、基部10cとを有している。針先端部10aすなわち終端尖点は挿入エッジすなわち穿刺エッジを形成し、ここでは、針先端部の頂面10fが底面10gの突出部である。軸および基部を通るチャネルは中空であり、流体を、それぞれ入口ポート10dおよび出口ポート10eを通って例えば患者の体内に注入できる。
【0034】
基部10cは、極微針の取扱いおよび組立てを行なう機構を構成する。しかしながら、例えば針が侵襲性手術に使用するカテーテルの先端部に配置すべきものであるときは、基部を省略することができる。カテーテル先端部は、金型キャビティ内で針軸端と一列に整列でき、ポリマーが成長して針構造体を創成すると、ポリマーがカテーテル先端部を包囲して針を所定位置に固定する。
【0035】
本発明の方法は、基板12から金型構造体30を微小機械加工する工程を有している(図2参照)。前述のように、基板はシリコンで形成できる。しかしながら、基板はガラスまたはポリマー材料で構成することもできる。例えば直径4インチのウェーハで数千個の金型を製造でき、これにより器具のバッチ製造が可能になる。
【0036】
例えば図1−2(I)および図3に示すように、個々の極微針は、約250μm〜5mmの間の全長Lにすることができる。基部を有する場合には、基部の長さL1は約100〜1,000μmにすることができる。軸10bの中空内部断面寸法x1は10〜100μmにすることができ、一方、軸の外部断面寸法x2は約50〜250μmである。
【0037】
上記方法の変更形態も可能である。例えば、薄い二酸化ケイ素の薄膜(これは犠牲リリース層である)を堆積し、次に窒化ケイ素の薄膜を堆積することにより、「ガラス」封入形ポリマー極微針を作ることができる。金型の蓋をしてポリマーを堆積すると、ポリマーは窒化ケイ素に付着する。二酸化ケイ素は、フッ化水素酸(HF)エッチングにより除去される。HFエッチングはポリマーに影響を与えない。極微針構造体は、ケイ素が溶解されると金型から解放される。これにより得られる多層構造体は、ポリマーの内部および窒化ケイ素のコーティングを有している。
【0038】
窒化ケイ素の代わりに、炭化タングステン、炭化ケイ素または二酸化ケイ素等の他の材料を使用できる。このような材料には異なる組の犠牲層またはエッチング剤が必要である。窒化ケイ素およびこれらの他の材料の堆積は、化学蒸着(CVD)または低圧化学蒸着(LPCVD)を用いて行なわれる。
【0039】
このような極微針は、非常に剛性が大きくかつ尖鋭である。この種類の方法は、第一堆積材料の窒化シリコンが第二堆積材料のポリマーよりも高い堆積温度を有するので実行可能である。前述のように、ポリマー材料は室温で堆積されるのに対し、窒化ケイ素は835℃で堆積される。
【0040】
金属先端部または軸が強化された極微針の他の製造方法は、上記図1−1(A)〜図1−2(I)の方法であるが金属化工程(図1−1(E)、図1−2(F))を用いないで極微針を製造する方法である。金型から極微針を解放した後、チタンまたは上記他の金属のうちのいずれかの金属のような金属種の薄層を針先端部上にスパッタリングでき、次に電気めっき工程を行なってこの金属種の層上に金属を成長させることができる。この金属ケーシングの厚さは、電気めっき溶液および堆積電圧により調節できる。例えば、厚さは約1〜30μmにすることができる。
【0041】
この方法は、極微針の軸を金属層内に封入することにも使用できる。この金属ケーシングは、極微針の全体的強度を高めると同時に靭性のあるフレーム構造を維持できる。
選択的付着方法およびリリース方法を使用して、金属付着またはポリマーリリースを行なうこともできる。付着は、ヘキサメチルジシラヤン(HMDS)蒸気のような促進剤により補助され、一方、リリースはマイクロソープ(microsoap)の薄膜により可能になる。マイクロソープは、上記犠牲フォトレジスト層の代わりに使用できる。
【0042】
マイクロソープは液体の形態で金型に堆積され、次に熱または真空中で乾燥される。標準フォトリソグラフィーにより乾燥マイクロソープのパターン化が行なわれ、水またはマイルドケミカル中で除去が行なわれる。マイクロソープはパターン化されて、金型内の特定場所での付着またはリリースが行なわれる。ポリマーがこのマイクロソープ膜上に堆積されると、ポリマーは、水またはマイルドケミカル中で解放されるであろう。かくして、マイクロソープは選択的リリース層すなわち犠牲層を形成する。
【0043】
クロム、金またはチタン等の金属層を選択的リリース層として使用することもできる。このような金属層は、約2〜5μmの厚さまで、金型内にスパッタリング蒸着される。次に、例えばソルダボンディングによりまたは接合層としてフォトレジストを使用することにより、両ウェーハが一体接合される。ポリマーが金型キャビティ内に堆積され、次に金属層が化学エッチングにより選択的にエッチング除去され、器具構造体を解放する。
【0044】
かくして、上記のように、種々のリリース層を使用できる。リリース層として、フォトレジスト、酸化物、金属およびマイクロソープがある。器具を製造するポリマーに影響を与えることなく優先的にエッチングできる場合には、リリース層としてポリマーを使用することもできる。このようなポリマーの一例として、Shipley Microelectronics, Inc.から入手できるSU−8エポキシがある。
【0045】
或いは、選択的リリース層を使用する代わりに、機械的イジェクションにより、器具構造体を金型から取出すことができる。機械的イジェクションは、両ウェーハを物理的に分離させ、かつスプルーによりまたは一方のウェーハの孔を通るイジェクションピンを用いて器具構造体を射出することにより金型から器具構造体を引出すことにより行なわれる。
【0046】
上記極微針構造体には、DRIEにより形成された垂直側壁が形成されている(図1−1(B)参照)。しかしながら、使用されるエッチング技術および単結晶シリコンの結晶学的微小構造に基いて、側壁の他の幾何学的形状も可能である。等方性ウェット化学エッチングを用いて、ウェーハの平面内で丸められた形状(rounded features)を形成でき、異方性ウェット化学エッチングにより傾斜側壁を形成できる。これらの側壁の幾何学的形状は、異なる器具形状、例えば側方に切断できるフィルタプレートまたは手術器具を備えた極微針に有効である。
【0047】
図4(A)に示すように、犠牲基板方法は、極小手術器具の製造に使用できる。この方法は、器具の所望厚さに等しい厚さを有する<100>単結晶シリコンウェーハすなわち基板40から出発する。例えば、約200μmの厚さのウェーハを使用できる。また、ガラス、金属またはポリマー等の他の基板材料を使用することもできる。
【0048】
マスキング材料(図示せず)をウェーハ上にパターン形成して、入口ポートおよび出口ポートを作ることができる。マスキング材料として、厚いフォトレジスト層を使用できる。或いは、後述のように、マスキング材料の堆積後に、マスキング材料を全部除去して、構造体の層材料内に入口ポートおよび出口ポートをエッチング加工できる。
【0049】
次に、例えばDRIEまたはSTS深シリコンエッチングを用いて基板を貫通させ、極微針のような手術器具42の輪郭がエッチングされる(図4(B))。
次に、器具輪郭の全4面が、パリレンCのような均一ポリマー構造層44でコーティングされる(図4(C))。パリレンCポリマーは、5μm/時間の速度で均一に堆積し、これにより、比較的厚い構造層の堆積が行なえる。層44の厚さは、約1〜50μmにすることができる。
【0050】
ここで犠牲シリコンがエッチング除去され、中空軸46が残される(図4(D))。シリコンエッチングは、加熱された水酸化カリウム(KOH)浴中または二フッ化キセノンエッチング剤中で行なうことができる。二フッ化キセノンシステムは、約10μm/分の最大エッチング速度を有し、従って、軸構造体を完全にアンダーカットするには数時間を要する。KOHは1μmという非常に遅い速度でシリコンをエッチングするが、シリコンとパリレン材料との付着力が弱いため、これはパリレンをエッチングする良い方法である。この弱い付着力は、シリコンとパリレンとの間に液体KOHが侵入することを可能にし、従って犠牲シリコンを非常に高速でエッチング除去する。このエッチングを完了するには8時間を要し、0.5mm/時間のアンダーカット速度が得られる。これは二フッ化キセノンのエッチング時間より長いが、実際には、二フッ化キセノンはエッチング時間の3倍を要するパージ工程および冷却工程を有するので、全体としては非常に速いものである。また、長いエッチング時間のセットアップが容易なことから、ウェットKOHエッチングが好ましい。
【0051】
より剛性の大きいセクションが必要な場合には、エッチング工程を早期に停止することができ、これにより極微針は完全に中空にはならない。この技術は、中空ポリマー軸部分46と、基板材料(例えばシリコン)で作られた先端部48とを備えた極微針を創成できる。
図5には、図4(A)〜図4(D)の方法に従って作られた極微針50、52、54の配列が示されている。完全に中空のポリマー針を創成するため、犠牲金型の全体がエッチング除去されている。
【0052】
しかしながら、図6および図7に示す極微針60、70は、それぞれ、異なる長さの基板材料が残され、剛性が大きいすなわち強化されたセクションを創成している。針60は、中空軸60aおよび中実先端部60bを有している。針70は、大部分が中実の軸70aおよび中実先端部70bを有し、針の基部70cは中空である。剛性の大きいセクションは、針の座屈荷重を増大させ並びに鋭い先端部を形成する。かくして、極微針は、非常に強い膜を穿刺する充分な強度を有している。
【0053】
図1−1(A)〜図1−2(I)に概略的に示した方法の変更形態は、針先端部80aが挿入尖端部すなわち穿刺尖端部を形成している針80を製造するのに使用できる(図8)。挿入尖端部は、挿入エッジ極微針よりも小さい力で組織を破断できる点で優れている(図3)。
【0054】
図1−1(A)〜図1−2(I)の方法は、DRIEを用いて、垂直側壁をもつ深いトレンチを形成する方法である。このエッチングセットアップで基板を保護するのに使用されるマスクは、フォトレジストの厚い層(約10μmの層)であり、この層について、エッチングシステムは、フォトレジストよりも非常に速い速度で基板を選択的にエッチングする。しかしながら、このエッチング中にフォトレジストが腐食するという事実は、エッチングされた構造体の非垂直側壁を形成する、厚いフォトレジストの非垂直側壁を創成する方法に通じる。
【0055】
図9Aおよび図9Bに示す2つの方法は、エッチング中の腐食の利益を得るにはフォトレジストを如何にパターン化するかを示すものである。従来のマスキング方法は、一側壁上にパターン化されたクロムとのガラスプレートの接触リソグラフィーを使用している。紫外(UV)光線による血液露出はフォトレジストを破壊し、次の化学現像によりフォトレジストが除去されて、垂直側壁が残される。
【0056】
図9Aに示すように、ガラスマスクプレート90は、該プレート90の下面の「接触」開口が上面の「シャドウ」開口より大きくなるように、プレートの両面がクロム92によりパターン化される。これにより、UV光線が全ての形状、すなわち両開口は一致するが、「シャドウ」マスクのみによって覆われる開口を部分的にのみ露出させるという形状をパターン化することを可能にする。理解されようが、これにより、UV光線が「シャドウ」マスクの下を通らなくてはならないことによりUVエネルギが減少するので、丸められた側壁が形成される。
【0057】
図9Bは移動マスクシステムを示し、このシステムでは、接触マスク90がウェーハ上に静止状態に維持されて、UV光線がフォトレジストを露出できる場所を定め、「シャドウ」マスク94は開口を横切って並進され(マスクは、図9Bの紙面内でマスク90の開口を横切って移動する)、特定量のUV光線エネルギが「シャドウ」マスクで覆われない領域に到達できるようにする。理解されようが、これにより、上方マスクの並進速度および上方マスクのマスク開口により規定される幾何学的形状(ジオメトリ)をもつテーパ状側壁が形成される。
【0058】
極小針は、傷または痛みを制限して、人または動物に薬剤を注射しまたは生物学的試料を人または動物から抽出するのに使用できる。これらの極微針の大きさは、神経に届くほど深く穿刺することなく人の表皮内に挿入できる大きさである。この技術の1つの適用は、従来の針の穿刺の度に痛い思いをしかつ瘢痕が生じさせることがある、毎日の薬剤投与を必要とする糖尿病患者のインシュリン注射である。
【0059】
これらの器具はまた、カテーテルの遠位端(体内の端部)に取付けられた極微針が、微小孔を介して動脈壁を穿刺する介入的手術にも使用できる。医療的研究によれば、剥離または擦過により傷付けられた動脈内部の損傷は、患者に重大な影響を与え、動脈虚脱および血流損をもたらす血管痙攣等の劇的結果をもたらすことがある。介入手術極微針を用いる動脈壁の穿孔(breach)の問題は防止できる。
【0060】
介入手術極微針の使用はまた、体外の残留を制限することなく、薬剤の高度に局部的な注射を可能にする。血管内注射により行なわれる一般的な薬学的処置は、身体全体に亘る薬剤の不必要なフラッシングおよび腎臓、肝臓およびリンパ系を通る濾過を引起こす。これに対し、局部的注射は、組織内への薬剤のゆっくりした完全な同化を可能にし、かくして、より効率的かつ有効で、時間、費用、薬剤を節約して仕事を行なうことができる。
【0061】
或る用途の極小針先端部は、ヘパリンのような血液凝固剤でコーティングしておくことができる。これらの極微針は、チップの微小流体システムへの流体の導入および該システムからの流体の抽出にも使用できる。
以上、本発明の多くの実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更を行ない得ることは理解されよう。従って他の実施形態は本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1−1】本発明の極小針の一製造工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針の強化セクション(例えば先端部)の断面であり、B−B断面は針軸に沿う断面である。
【図1−2】本発明の極小針の一製造工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針の強化セクション(例えば先端部)の断面であり、B−B断面は針軸に沿う断面である。
【図2】極小針の製造に使用される金型を示す概略斜視図である。
【図3】金属先端部/エッジ穿刺部分を備えた極小針を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の極小針の他の製造方法の一工程を示す概略断面図であり、A−A断面は針軸の断面であり、B−B断面は針の強化部分の断面である。
【図5】図4(A)〜図4(D)の方法を用いて製造できる多数の極小針を示す概略図である。
【図6】強化先端部および中空軸を備えた極小針を示す概略図である。
【図7】中空基部、強化軸および強化先端部を備えた極小針を示す概略図である。
【図8】金属先端部および尖鋭穿刺部を備えた極小針を示す概略図である。
【図9A】基板に非垂直壁を形成するマスク方法を示す概略図である。
【図9B】基板に非垂直壁を形成するマスク方法を示す概略図である。
Claims (55)
- 均一にコーティングされたポリマーで作られた端部および本体部分を有することを特徴とする極小手術器具。
- 前記ポリマーはパリレンであることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- 前記ポリマーはガス蒸着により堆積されていることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- 前記ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- 少なくとも前記端部は金属外表面を有していることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- 前記金属外表面は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択される金属で形成されることを特徴とする請求項5記載の極小手術器具。
- 前記端部は強化セクションを有していることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- 前記本体部分は強化セクションを有していることを特徴とする請求項7記載の極小手術器具。
- カテーテルが、前記端部とは反対側で器具に結合されることを特徴とする請求項1記載の極小手術器具。
- ポリマーの均一層で作られた先端部および軸を有し、軸の少なくとも一部が中空であることを特徴とする極小手術器具。
- 前記ポリマーはパリレンであることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 前記パリレンはガス蒸着により堆積されていることを特徴とする請求項11記載極小手術器具。
- 前記ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択されることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 少なくとも前記端部は金属外表面を有していることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 前記金属外表面は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択される金属で形成されることを特徴とする請求項14記載の極小手術器具。
- 前記先端部は強化セクションを有していることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 前記軸は強化セクションを有していることを特徴とする請求項16記載の極小手術器具。
- カテーテルが、前記先端部とは反対側で器具に結合されることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 前記軸の内側断面寸法は約10〜100μmであることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 前記軸の外側断面寸法は約50〜250μmであることを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 約250μm〜5mmの長さを有することを特徴とする請求項10記載の極小手術器具。
- 先端部および軸を有し、これらの各々が均一ポリマー層を有していることを特徴とする極小針。
- 前記ポリマーは、パリレンN、パリレンC、パリレンD、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))からなる群から選択されることを特徴とする請求項22記載の極小針。
- 少なくとも前記先端部は金属外表面を有していることを特徴とする請求項22記載の極小針。
- 前記先端部は強化セクションを有していることを特徴とする請求項22記載の極小針。
- 前記軸は強化セクションを有していることを特徴とする請求項25記載の極小針。
- 前記軸の少なくとも一部を通ってチャネルが形成されており、該チャネルの第一端部に形成された流体入口ポートおよび第二端部に形成された流体出口ポートを更に有していることを特徴とする請求項22記載の極小針。
- 前記チャネルの第一端部はカテーテルに流体連通されることを特徴とする請求項27記載の極小針。
- 前記軸の内側断面寸法は約10〜100μm、外側断面寸法は約50〜250μmであり、極小針は約250μm〜5mmの長さを有することを特徴とする請求項22記載の極小針。
- 第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、
第一基板の表面に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、
金型キャビティ内にポリマーを均一に堆積させて器具を形成する工程と、
金型キャビティから器具を取出す工程とを有することを特徴とする極小手術器具の製造方法。 - 前記第一および第二基板の各々が、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作られることを特徴とする請求項30記載の方法。
- 前記堆積されるポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかであることを特徴とする請求項30記載の方法。
- 前記ポリマーはガス蒸着により堆積されることを特徴とする請求項30記載の方法。
- 複数の器具の形状が第一基板の表面に形成されることを特徴とする請求項30記載の方法。
- 第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、
第一基板の表面に犠牲リリース層を形成する工程と、
第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、
金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、
犠牲リリース層を除去して器具を金型キャビティから解放する工程とを有することを特徴とする極小手術器具の製造方法。 - 前記第一および第二基板の各々が、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作られることを特徴とする請求項35記載の方法。
- 前記ポリマーはパリレンであることを特徴とする請求項35記載の方法。
- 前記パリレンはガス蒸着により堆積されることを特徴とする請求項37記載の方法。
- 前記犠牲リリース層は、電気めっきフォトレジスト、ポリマー、金属、半導体材料、酸化物またはマイクロソープのいずれかであることを特徴とする請求項35記載の方法。
- 極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、
該基板から金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、
金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、
器具が中空部分を含むように金型の少なくとも一部を除去する工程とを有することを特徴とする極小手術器具の製造方法。 - 極小手術器具の厚さにほぼ等しい厚さを有する基板を用意する工程と、
基板をエッチングして金型を形成することにより器具の形状を形成する工程と、
金型上にポリマーの均一層を形成する工程と、
器具が中空部分を含むように金型をエッチングする工程とを有することを特徴とする極小手術器具の製造方法。 - 前記金型は、器具が基板材料を含む中空軸および先端部を有するようにエッチングされることを特徴とする請求項41記載の方法。
- 前記金型は、器具が中空基部と、基板材料を含む軸および先端部とを有するようにエッチングされることを特徴とする請求項41記載の方法。
- 前記用意される基板は、シリコン、金属、ガラスまたはポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項41記載の方法。
- 前記均一層はパリレンのガス蒸着により形成されることを特徴とする請求項41記載の方法。
- 第一基板の表面に極微針の形状を形成する工程と、
第一基板の表面に第一犠牲層層をコーティングする工程と、
第一犠牲層上に金属層を形成する工程と、
金属層に第二犠牲層をコーティングしかつ該第二犠牲層をパターン化する工程と、
第二基板を第一基板に結合して金型キャビティを形成する工程と、
金型キャビティ内でポリマー層を均一に堆積させて極微針を形成する工程と、
第一および第二犠牲層をエッチングして金型から極微針を取出す工程とを有することを特徴とする極微針の製造方法。 - 前記第一および第二基板の各々が、シリコン、ガラスまたはポリマーからなる群から選択される材料で作られることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 前記ポリマーはパリレン、ポリスチレンまたはテフロン(Teflon(登録商標))のいずれかであることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 前記ポリマーはガス蒸着により堆積されることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 前記第一基板の表面に複数の極微針の形状が形成されることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 前記金属層はスパッタリングにより形成されることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 形成される前記金属層の金属は、アルミニウム、金、ニッケル、タングステン、ジルコニウム、パラジウム、プラチナ、チタンまたはこれらの合金からなる群から選択される金属で形成されることを特徴とする請求項46記載の方法。
- コーティングされる前記第一および第二犠牲層の各々は電気めっきフォトレジストであることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 前記第二犠牲層は、エッチング工程後に、極微針の先端部のみに金属層が残るようにパターン化されることを特徴とする請求項46記載の方法。
- 第一基板の表面に極小手術器具の形状を形成する工程と、
第一基板の表面上に犠牲リリース層を形成する工程と、
該犠牲リリース層上に窒化シリコン層を堆積させる工程と、
第一基板に第二基板を結合して金型キャビティを形成する工程と、
金型キャビティ内にポリマーの均一層を形成する工程と、
犠牲リリース層を除去して金型キャビティから器具を解放する工程とを有することを特徴とする極小手術器具の製造方法。
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