JP2004529645A - 生物学的細胞での2次代謝物の生産促進のための膜トランスポーターポンプをコードする遺伝子の使用 - Google Patents

生物学的細胞での2次代謝物の生産促進のための膜トランスポーターポンプをコードする遺伝子の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、植物および植物細胞での2次代謝物の生産の分野に関する。より特異的には、発明は、植物および植物細胞での2次代謝物の生産および/あるいは分泌を増強するためのトランスポーターそしてさらに特にABC−トランスポーターの使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、植物および植物細胞培養における2次代謝産物生産の分野にかかわる。より特異的に、本発明は、植物および植物細胞培養での2次代謝物の生産および/あるいは分泌を増強するためのトランスポーター、より特異的にはABC−トランスポーターの使用に関する。
【0002】
発明のイントロダクション
高等植物は、非常に複雑な構造をもつ非常に多数の低分子量化合物を生産できる。これら化合物は、いわゆる2次代謝産物、例えば害虫や病気に対する抵抗性、受粉媒介者の誘引、共生微生物との相互作用で役割を演じている。植物自身にとって重要であることに加えて2次代謝物は、非常に興味深い。なぜならば、それらは食品(色、味、香り)および装飾植物(花、色、におい)の質を決定するからである。植物から単離された多数の2次代謝物は、ファインケミカルとして、例えば、薬や色素、フレイバー、芳香そして農薬でさえ商業的に入手できる。加えて、抗酸化、抗転移抑制特性(例えば、ビンブラスチン、タキソール)のような2次代謝物のさまざな健康向上効果そして疾病防止活性が発見されている。およそ100.000の植物2次代謝物が既に知られているけれども、すべての植物のほんの数%でしか2次代謝物の存在が、ある程度研究されているに過ぎない。そのような代謝物への興味は、例えば新しく使用できる薬の植物供給源が発見されるといったことで増加しつづけると期待される。これら価値ある植物化合物のいくつかは、まったく高額である。なぜならば、植物中では極端に少量レベルでしか生産されないからである。植物中での2次代謝物の合成についてはほとんど知られていない。しかしながら、いくつかの最近解明された2次代謝物の合成経路は、希望する最終産物を生産するまでに多数の酵素段階を必要とし長くそして複雑である。ほとんどの場合、これら2次代謝物の生産を化学合成を通じて行うといった代替方法は、多数の不斉炭素により複雑となりそして多くのケースで化学合成は経済的に実行できない。
【0003】
価値ある2次代謝物の回収は、ほとんど輸入された、外来の、植物バイオマスの抽出そして精製(一般には低収率)を通じて成されていて、それらの再生農業や安定長期供給は、たとえ保証が不可能でないとしても、しばしば非常に困難である。天然原料から役立つ代謝物を得るといった問題は、潜在的には細胞培養によって回避されるかもしれない。植物細胞培養は、産業的興味ある複雑な植物化合物の生産のための実行可能な代替法として1960年代から探求されてきた。植物細胞培養は、幾分剪断力に対して敏感であるけれど多くの培養は、困難性なく大きなバイオリアクター中で増殖可能である。例えば、アルカロイド生産のためバイオリアクターでの大スケールの植物細胞培養の使用が、広く研究されてきた(Verpoorte et al. (1999) Biotechnol. Lett. 21, 467)。カルスのような未分化培養や細胞懸濁培養は、2次代謝物の非常に低いレベルでしか生産しないことが観察されているので、根や毛根培養のような分化植物細胞培養を使用する傾向にある。たとえば、未分化細胞ではほとんど合成されないトロパンアルカロイドは、培養根では相対的に高レベルで生産される。将来有望な特性、発展性にもかかわらず、植物細胞培養による植物由来医薬品の生産は、まだ十分に商業的に開発されていない。細胞培養手段での2次代謝物の生産に産業で示されたこの進展しない主な理由は、全植物材料の従来の抽出と比較して、遅い増殖とそのような植物細胞培養による2次代謝物の低い生産レベルにもとづく経済的なものである。重要な原因は、植物細胞へのそのような化合物の毒性と2次代謝物の異化作用の役割にある。もひとつの重要な問題は、2次代謝物が、下流のプロセスや精製を複雑化するように細胞中にほとんど保持されることである。実際、しばしば研究室の抽出計画は、興味ある特異的な2次代謝物のそれぞれにたいして開発されなければならない。
【0004】
これらの問題への解決を提供することが本発明の対象である。この発明は、第一に植物細胞培養中の2次代謝物の生産を強化するためにABC−トランスポーターをコードする遺伝子を使用することに目的がある。ABC−トランスポーターは、細胞内部から積極的に化学治療薬を追い出す腫瘍細胞膜の分子‘ポンプ’としてがん治療領域ではよく知られている。これが核内やあるいは細胞質内での薬や分子作用の毒性効果から腫瘍細胞を避けさせている。癌で化学耐性を与えることで一般に見出された2つのポンプには、P−糖たんぱく質とそしていわゆる多薬耐性関連たんぱく質(MRP)がある。加えて、ABC−トランスポーターは、選択マーカー(WO 99/10514)として、そして、ある外部より加えられた生体異物の有害効果に対する植物防御(WO 00/18886, Muhitch J.M. et al. (2000) Plant Science, 157, 201)のために植物で使用されたことがある。米国特許6,166,290では、植物中でのABC−トランスポーターの使用は、修復促進、疾病応答を強化しそして植物色素沈着を調節するために使われることが示されている。しかしながら、ABC−トランスポーターが、植物細胞培養で作られる2次代謝物レベルの増強のために使用されうることやあるいはABC−トランスポーターが植物細胞の内部から細胞外空間へ内部で合成された2次代謝物の分泌を促進するために使えることは示されていない。
【0005】
発明の目的と詳細な記述
人は、食品のための香り付け、香料、芸術や衣類のための顔料、そして精神啓蒙のための道具のため2次代謝物にいつでも興味を持っている。さらに、植物誘導薬は、薬の中でも最も古いものの範疇にある。たとえば、ナス(Solanaceae)科に属する多くの植物はそれらの活性物質:ヒヨスチアミンとスコポラミンによって何世紀にもわたって使われてきた。ロウトウ(Atropa)属、チョウセン朝顔(Datura)属、ズボイシア(Duboisia)属そしてロート(Scopolia)属に属する他のナス(Solanaceae)科植物が、これらの価値あるアルカロイドをまた生産する。薬では、それらは眼科、麻酔で、そして心臓、胃腸疾患の処置で重要な応用を見出した。末梢部での抗コリン効果に加えて、それらは中枢神経系でもまた働きパーキンソン病の症状を和らげるためにもそして有機リン殺虫剤のような抗コリンエステラーゼ薬に対する解毒薬としても使われる。中枢神経系を強力に促進する効果をもちそして局所麻酔として使われるコカインは、またトロパンアルカロイドであるがナス(Solanaceae)科の他でコカ(Erythroxylum coca)に見出される。トロパンアルカロイドの医薬効果として多くの情報は手に入るが、驚くべきことに、これらの物質を植物がどのように合成するかについてはほとんどわかっていない。そして、この合成がどのように調節されているかについてもほとんどわかっていない。植物2次産物の合成経路の解明の進捗は、良いモデルケースの欠如によってずっと妨げられてきた。過去20年、植物細胞培養は、植物2次代謝物の合成経路の研究にすこぶる有益であると信じられてきた。植物細胞と組織培養は、また先に述べたようなトロパンアルカロイドの代替生産システムを得るために広く使われてきた。主な問題は、通常は十分量のアルカロイドの欠如そして/あるいは生産の不安定性にある。多くの培養は、時間とともに生産性の減少を示す。先に述べた問題のいくつかを解決するための現在のアプローチは、(1)植物細胞培養の増殖条件の最適化(US 6,069,009)、(2)経路を誘導する調節遺伝子(たとえば、転写因子)の過剰発現による2次代謝物の代謝工学(WO 00/46383)そして(3)誘導因子の使用による2次代謝物の促進(US 5,552,307)からなる。本発明で、我々は植物および植物細胞培養における2次代謝物の生産のための重要なボトルネックを同定した。我々は、希望する2次代謝物を生産する植物あるいは植物細胞へトランスポーターをコードする遺伝子の形質転換により植物および植物細胞培養の2次代謝物の生産が増強されうることを見出した。時々見られる2次代謝物生産植物細胞の遅い増殖は、植物細胞内部で生産される代謝物の毒性による。我々は、希望する2次代謝物を生産する植物細胞へトランスポーターをコードする遺伝子の形質転換によって毒性はかなりの程度減少されうることを示した。結論として、形質転換植物細胞培養のより高い増殖率は毒性の減少による。したがって、本発明は、発現カセットであって、さらにトランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで生物学的細胞を形質転換にすることによる生物学的細胞中での少なくとも一つの2次代謝物の生産あるいは分泌を誘導あるいは強化するための方法を一つの実施態様で提供する。“少なくとも一つの2次代謝物”とは、2次代謝物の関連構造そしてその中間体又は前駆体を意味する。該生物学的細胞は、植物細胞、真菌細胞、細菌細胞、藻細胞そして/あるいは動物細胞である。“トランスポーター”は、少なくとも一つの特異的2次代謝物と相互作用できるたんぱく質であって、該代謝物を液胞膜(トノプラスト)あるいは葉緑体膜あるいは原形質膜からなる膜を横切って該代謝物を輸送できるたんぱく質である。
【0006】
本発明の“発現カセット”は、(転写方向中の5’から3’へ)プロモーター領域、転写開始領域と動作可能なようにつながったトランスポーターをコードする遺伝子、そしてRNAポリメラーゼのための停止シグナルを含む終了配列そしてポリアデニレーションシグナルを好ましくは含む一般的なDNA構造体である。これらの領域のすべては、形質転換されるために生物学的細胞中で働く能力を有すると解される。好ましくはRNAポリメラーゼ結合部位を含んでいる転写開始領域を含むプロモーター領域とポリアデニレーションシグナルは、形質転換される生物学的細胞由来でもよいしあるいは生物学的細胞中で機能する代わりの供給源から誘導されてもよい。
【0007】
この発明のトランスポーターは、たとえば、恒常的時発現あるいは制御的発現を指令するプロモーターの制御下で植物細胞で発現されてもよい。制御的発現は、時間的あるいは空間的に制御された発現および誘導的あるいは抑制的発現のすべての他の形式を含む。時間的とは、発現がある時間ポイント、たとえば、植物細胞培養のある増殖率が得られたとき(たとえば、プロモーターが、静止期あるいは発達のある段階でのみ誘導されるとか)に誘導されるということを意味する。空間的とは、プロモーターが、特異的な器官、組織、あるいは細胞(たとえば、根、葉、表皮、孔辺細胞等)でのみ働くことを意味する。制御的発現の他の例は、植物細胞に化学的あるいは物理的な刺激を加えることによって誘導あるいは抑制される活性を持つプロモーターを含む。好ましい実施態様では、トランスポーターの発現は、環境的、ホルモン的、化学的そして/あるいは発達シグナルの制御下にあり、また(1)熱、(2)光、(3)アブシジン酸やメチルジャスモン酸のようなホルモン、(4)傷つける行為、あるいは(5)サリチル酸、キトサンあるいは金属のような化学物質によって制御されるプロモーターを含む植物細胞のトランスポーターの発現の為に使われることができる。実際、2次代謝物の発現は、たとえば特異的化学物質、ジャスモン酸や誘導因子の添加によって高めることができる。2次代謝物合成の促進と組み合わせたトランスポーターの共発現は、2次代謝物の最適化そして増強生産のために有益である。別に、トランスポーターは、恒常的プロモーターの制御下に置かれることができる。恒常的プローモーターは、広い範囲の条件下で広い範囲の細胞での発現を指令する。植物細胞での異種ポリペプチドを発現するために使われる恒常的植物プロモーターの例には、単子葉植物を含むほとんどの植物組織で恒常的、高レベルの発現を与えるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、オクトピンシンターゼプロモーターがある。
【0008】
発現カセットは、細胞内でのポリヌクレオチド複製の自動ユニット(すなわちそれ自身所有の制御下で複製できる)としてか、あるいは付着セグメントの複製そして/あるいは発現をもたらすために別のポリヌクレオチドセグメントに付着し宿主細胞染色体に挿入することによって複製の能力を与えられるように振舞う、たとえばプラスミド、染色体、ウイルスといった遺伝子要素である“発現ベクター”と典型的に呼ばれるDNAあるいはRNA構造体で通常与えられる。適切なベクターは、これらに限定されるわけではないが、プラスミド、バクテリオファージ、コスミド、植物ウイルス、そして人工染色体を含む。発現カセットは、少なくともひとつの複製システムを持つDNA構成体で与えられてもよい。複製システムに加えて、少なくともひとつのマーカーが存在し得、これは、しばしばひとつあるいはそれ以上の宿主中で有効であってもよいし、あるいはそれぞれの宿主に対して別々のマーカーであってもよい。このマーカーは、a)抗生物質、毒素、重金属、ある種の糖などのような殺生剤に対する防御をコードし、b)栄養要求性宿主に原栄養性を授けることによって相補を与え、あるいは、c)植物中での新規化合物の生産を通して目に見える表現型を与え得る。用いてもよい典型的な遺伝子は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)、クロラルフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ニトリラーゼそしてゲンタマイシン耐性遺伝子を含む。植物宿主選択のための適切なマーカーの限定されない例には、インディゴ生産を与えるβグルクロニダーゼ、目に見える光発生を与えるルシフェラーゼ、グリーンフルオレセントたんぱく質そしてその誘導体、カナマイシン耐性あるいはG418耐性を与えるNPTII、ハイグロマイシン耐性を与えるHPTそしてグリホサート耐性を与える変異aroA遺伝子がある。用語“プロモーター活性”とは、プロモーター活性を測定されるプロモーターに動作可能的に結びついている遺伝子の転写の程度のことを言う。そのプロモーター活性は、生産されるRNA転写物の量をたとえばノーザンブロットによって直接測っても、あるいはレポーター遺伝子がプロモーターに結びついているときにRNA転写物にコードされている産物を間接的に測定してもよい。用語“動作可能的に結びつく”とは、意図された様態にセグメントが機能するようにDNAセグメントを別のDNAセグメントに連結させることを言う。遺伝子産物をコードするDNA配列は、直接あるいは間接的にDNA配列の転写を変調させられる様態で、たとえばプロモーターのような制御配列に連結せられたとき、動作可能的に制御配列に結び付けられる。たとえば、DNA配列が、プロモーターの転写開始部位の対して下流でプロモーターに連結されそして転写伸長がDNA配列に沿って進行するとき動作可能的にプロモーターに結び付けられている。もしポリペプチドの輸送に参加するような前駆たんぱく質として発現されるならば、シグナル配列に対するDNAが、動作可能的にポリペプチドをコードするDNAに結び付けられる。DNA配列の制御配列への連結は、典型的には、適切な制限サイトあるいは、当業者に周知の制限エンドヌクレアーゼの使用に代えて挿入されたアダプター又はリンカーでの連結によってなされる。
【0009】
用語“異種DNA”あるいは“異種RNA”とは、それの存在するゲノムあるいはDNAあるいはRNA配列の部分として自然では存在しないか、あるいは、自然で見出されるのとは違ったゲノムあるいはDNAあるいはRNA配列の位置あるいは細胞で見出されるDNAあるいはRNAのことを言う。異種DNAおよびRNA(同種DNAあるいはRNAとの対比で)は、導入される細胞には内在しないが、しかし別の細胞から得られるかあるいは合成的あるいは組換え的に生産される。たとえば、ヒト由来でないプロモーターに動作可能的に連結したヒトたんぱく質をコードするヒト遺伝子がある。他の例には、別の植物種から単離されたプロモーターに動作可能的に結び付けられたある植物種からの単離遺伝子がある。一般には、必要ではないけれども、そのようなDNAは、そのDNAが転写あるいは発現される細胞によっては通常生産されないRNAやたんぱく質をコードする。同様にたんぱく質をコードする外因性RNAは、外因性RNAが存在する細胞中では通常は発現されない。異種DNAあるいはRNAは、また外来DNAあるいはRNAとして言ってもよい。当業者が発現される細胞に異種あるいは外来として認める全てのDNAあるいはRNAも、ここでは異種DNAあるいは異種RNAの用語に含まれる。限定されないが、異種DNAの例には、たんぱく質、ポリペプチド、レセプター、リポーター遺伝子、転写および翻訳制御配列、薬剤抵抗性を与えるたんぱく質のような選択的あるいは追跡可能なマーカーたんぱく質をコードするDNA、mRNAそしてアンチセンスRNAそしてリボザイムを含むRNAを含む。
【0010】
一般的には、2つの基本的なタイプの代謝物が、細胞中で合成される。すなわち、一次代謝物としていわれるもの、そして2次代謝物としていわれるものである。一次代謝物は、細胞での一次代謝の産物あるいは中間体である。細胞の一次代謝は、すべてではないけれども、ほとんどの生細胞に共通な代謝活動の合計であり、細胞の基本的成長および維持に必要である。だから、一次代謝には、指定された一次代謝物である経路に関与する化合物とともにある糖、たんぱく質、脂質、核酸の一般的な合成および修飾のための経路を含んでいる。これと対照的に、2次代謝物は、通常成長や発達に直接は参加していないらしい。それらは、しばしば限定された分類学的な分布をもった化学的に非常に多種多様な産物のグループである。いくつかの細菌毒素はかなり長いけれども、2次代謝物は、普通1500ダルトン以下の分子量を持った密接に関連した化学ファミリーのメンバーとして通常存在する。植物2次代謝物には、たとえば、アルカロイド化合物(たとえば、テルペノイドインドールアルカロイド、トロパンアルカロイド、ステロイドアルカロイド、ポリヒイドロキシアルカロイド)、フェノール化合物(たとえば、キニーネ、リグナンそしてフラボノイド)、テルペノイド化合物(たとえば、モノテルペノイド、イリドイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイドそしてトリテルペノイド)がある。加えて、2次代謝物には、単環あるいは多環、融合あるいは架橋型であり得る置換された複素環化合物のような低分子(たとえば、分子量600ダルトン以下の)を含む。多くの植物2次代謝物は医薬品としての価値がある。植物医薬品には、たとえば、タキソール、ジゴキシン、コルヒチン、コデイン、モルフィネ、キニーネ、シコニン、アジマリシンそしてビンブラスチンがある。すでの記述されている12.000構造以上の“アルカロイド”の定義は、ペプチド、非蛋白質性アミノ酸、アミン、青酸グリコシド、グルコシノレート、コファクター、フィトホルモンあるいは一次代謝物(プリンやピリミジン塩基のような)として分類されている以外のすべて窒素を含む天然物である。“カリステギン(calystegins)”はトロパンアルカロイドクラスのユニークなサブグループを構成する(Goldmann et al. (1990) Phytochemistry, 29, 2125)。それらは、N−メチル置換の不在と高度のヒドロキシル化で特徴づけられる。トリヒドロキシル化カリステギンは、カリステギンAグループ、テトラヒドロキシル化カリステギンはカリステギンBグループとして、そしてペンタヒドロキシル化誘導体がCグループを形成する。カリステギンは、単環式ピロリドン(たとえば、ジヒドロキシメチルジヒドロキシピロリジン)ピロリンそしてピぺリジン(たとえばデオキシノジリマイシン)そして2環式ピロリジジン(たとえばオーストラリン(australine))そしてインドリジジン(たとえば、スワインソニンそしてカスタノスペルミン)のより長い既知クラスの次の潜在的なグルコシダーゼ阻害特性を有するポリヒドロキシルアルカロイドの新規構造クラスを表す。グルコシダーゼ阻害剤は、抗糖尿病、抗ウイルス、抗転移そして免疫変調薬として潜在的に有効である。
【0011】
別の実施態様では、本発明は、発現カセットであって、さらにABCトランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで生物学的細胞を形質転換することによって生物学的細胞内の少なくともひとつの2次代謝物の生産を増強するための方法を提供する。本発明を実行するために発現カセットに組み込まれて役立つ遺伝子は、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターをコードするものを含む。ABC−トランスポーターをコードする遺伝子は、微生物、植物、動物(Higgins (1992) Ann. Rev. Cell Biol. 8, 67)を含むどの種あるいは起源のものでもよいが、しかし好ましくは植物あるいは真菌起源である。ATP結合カセット(ABC)トランスポーターは、または“輸送ATPアーゼ”ともよばれ、原核細胞および真核細胞中で輸送とチャンネル機能を仲介する膜たんぱく質のスーパーファミリーを含む(Higgins, C. F. (1992) Annu. Rev. Cell Biol. 8:67-113; Theodoulou F. (2000) Biochimica et Biophysica Acta 1465, 79)。典型的には、ABCトランスポーターは、それぞれ2つの構造からなるユニットの2コピーからなる:高度に疎水的な膜貫通ドメイン(TMD)と末端に位置したATP結合ドメイン又はヌクレオチド結合ホールド(NBF)であり、これらはともに輸送を仲介するためにはしばしば十分であり必要である。TMDドメインは、基質が膜を通る経路を形成し、そしていくつかの場合、基質特異性にも貢献することが示されている。NBFは膜の細胞質側の方向に向いており、輸送のためのATP加水分解と結びついている。NBF内には、ABC特徴モチーフによって分離されたウォーカーAとBボックスからなるおおよそ200アミノ酸の保存領域がある。それがABCトランスポーターを、ウォーカー配列をまた含んでいるキナーゼのような他のNTP結合たんぱく質から区別する特徴モチーフである。全遺伝子上にわたった配列類似性は、さまざまなABCトランスポーター間では無視できるが、しかし、NBFの保存領域では、ファミリーメンバー間で典型的には30−40%である、そして、これが縮重ヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーションやPCRのようなアプローチでABC遺伝子を単離するのに有効であることがわかっている(Dudler R. et al(1998) Methods Enzymol. 292, 162)。薬や無機イオン、アミノ酸、たんぱく質、糖、そして多糖を含めた非常に多様な特異な基質が輸送たんぱく質のこのファミリーのメンバーによって輸送される。真核細胞のABCたんぱく質は:P糖たんぱく質、これはまた多剤耐性(MDR)たんぱく質として知られており、広い範囲の疎水性薬剤に対する耐性(MDR1; Gottesman, M. M. & Pastan, I. (1993) Annu. Rev. Biochem. 62:385-427)あるいはホスファチジルコリン輸送(MDR2; Ruetz, S. & Gros, P. (1994) Cell 77:1071-1081)と関連する;嚢胞性線維症膜貫通調節たんぱく質CFTR、(Welsh, M. J. & Smith, A. E. (1993) Cell 73: 1251-1254);哺乳動物細胞の抗原処理と関係するトランスポーターであるTAPたんぱく質(Androlewicz, M. J. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:12716-12720);グルタチオン、グルクロニドそして硫酸抱合物の管状腺膜を通す輸送と関係するcMOAT/cMRP1(Buchler, M. et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:15091-15098)そしてサッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)の接合フェロモンa−因子を排出するSTE6(Michaelis, S. (1993) Semin. Cell Biol. 4: 17-27)そして酵母の多剤耐性たんぱく質PDR5を含む。原核細胞のABCたんぱく質には、グラム陰性細菌でのマルトース(MalFGK)やヒスチジン(HisMPQ)の取り込みに責任のあるものなどのペリプラズム栄養素透過酵素、そして大腸菌(E. coli)からヘモリシン(HlyB)やコリシン(ColV)の排出に必要なものなどの毒素エクスポーターを含む。MRP1と他のABCトランススポーター間の配列比較は、これらたんぱく質内の2つの主要なサブグループを示す(Szczypka et ak. (1994) J. Biol. Chem. 269, 22853)。ひとつのサブグループは、MRP1、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)のカドミウム因子(YCF1)遺伝子、リーシュマニア(Leishmania)のP糖たんぱく質関連分子(Lei/PgpA)そしてCFTRsを含む。残りのサブグループは、多剤耐性たんぱく質(MDRs)、MHCトランスポーターそしてSTE6を含む。ABCトランスポーターの類似体が、植物種で同定されている。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、グルタチオン抱合トランスポーター(MRP)は、液胞膜に位置しそして中央液胞の異物の封じ込めに責任を負っている。潜在的なP糖たんぱく質類似体をコードするMDR様遺伝子(atpgp1)がまたシロイヌナズナ(A.. thaliana)で同定されている。このatpgp1遺伝子は、ヒトのMDR遺伝子と著しい配列類似性と構造機構を共有することが見出されている。他のMDR類似体が、ジャガイモや大麦で見つかっている。植物種で発現のためのプロモーターと動作可能的に連結されてもよい本発明のABC−トランスポーターをコードする遺伝子は、染色体遺伝子や合成遺伝子あるいはそれらの組み合わせから誘導されてもよい。
【0012】
本発明の実施態様で、ABC−トランスポーターをコードするDNA配列は、発現カセットであって、さらにABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む発現ベクターで植物細胞を形質転換することを含む植物細胞中で少なくともひとつの2次代謝物の生産を増強するために使われる。用語“増強された生産”とは、ひとつまたはそれ以上の代謝物のレベルが、発現カセットであって、さらにトランスポーターあるいはABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで形質転換に使われた形質転換していない植物細胞と比べて少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%あるいは少なくとも100%増強され得るということを意味する。2次代謝物の増強された生産は、植物細胞培養の細胞外培地中で2次代謝物のより高レベルの検出を生じる。あるいは、2次代謝物のより高レベルが、植物細胞内部、たとえば液胞内で検出される。
【0013】
本発明は、本発明の発現カセットで形質転換できる植物細胞そして形質転換された細胞がインビトロ(in vitro)で培養できるどの植物品種でも実行できる。懸濁培養、カルス培養、毛根培養、茎頂培養あるいは他の従来の植物培養法が使われてもよい(Drugs of Natural Origin, G. Samuelsson, 1999, ISBN 9186274813の中で記述されているように)。
【0014】
“植物細胞”については、植物から誘導されそして続いてカルス、懸濁中の植物細胞、器官化組織そして器官(たとえば、毛根)として増殖されうるすべての細胞と解される。
【0015】
興味ある植物組織から誘導された組織培養は確立できる。植物組織培養を確立しそして維持するのため方法は当技術分野で周知である(参照、たとえば、Trigiano R. N. and Gray D. J.(1999), “Plant Tissue Culture Concepts and Laboratory Exercises”, ISBN: 0-8493-2029-1; Herman E. B. (2000), “Regeneration and Micropropagation: Techniques, Systems and Media 1997-1999”, Agricell Report)。典型的には、植物材料は、培養培地に持ち込む前に表面殺菌される。塩素系漂白剤処理のような従来の滅菌技術が使われてもよい。加えて、抗菌剤が増殖培地に含まれてもよい。適当な条件下での植物組織細胞はカルス組織を形成し、固体培地上で固形組織としてあるいは液体培地中で細胞懸濁として増殖されてもよい。
【0016】
水性あるいは固体培地でのカルス誘導とそれに続く増殖のためのたくさんの適切な培養培地が知られている。模範的な培地は、標準的な成長培地を含み、その多くは、市販で手に入る(たとえば、シグマケミカルコーポレーション、セントルイス、ミズーリ州)。たとえば、当業者に周知のシェンク−ハイデブラント(Schenk-Hildebrandt, SH)培地、リンスマイヤ−スクーグ(Linsmaier-Skoog, LS)培地、ムラシゲアンドスクーグ(Murashige and Skoog, MS)培地、ガムボルグの(Gamborg's)B5培地、ニッシュ&ニッシュ(Nitsch&Nitsch)培地、ホワイトの(White's)培地そしてその他さまざまおよび補助剤を含む(参照、たとえば、Plant Cell Culture, Dixon, ed. IRL Press, Ltd. Oxford (1985) and George et al., Plant Culture Media, Vol 1, Formulations and Uses Exegetics Ltd. Wilts, UK, (1987))。針葉樹細胞の増殖のために、特に適切な培地は、1/2 MS, 1/2 L.P., DCR, ウッデイプラント(Woody Plant)培地(WPM)、ガムボルグの(Gamborg's) B5そしてその改良、DV(Durzan and Ventimiglia, In Vitro Cell Dev. Biol. 30:219-227(1994))、SHそしてホワイトの(White's)培地を含む。
【0017】
2次代謝物が、植物細胞培養システムで生産されたとき、単離された植物細胞の塊から通常抽出そして精製されなければならない、これは費用のかかる処理である。植物は、種子の内胚乳にたんぱく質を貯めるように遺伝的操作手法で作ることができ、そこからはより簡単に抽出できることが知れれている。いくつかの植物は、2次代謝物を分泌でき、そして該分泌はたとえば誘導因子の添加(Kneer et al. (1999) J. Exp. Bot. 50, 1553)や特異的な化学物質(Lee et al. (1998) Phytochemistry 49, 2342)の添加で増強されることがまた記述されている。しかしながら、植物細胞による2次代謝物の分泌が植物細胞への少なくともひとつの特異的遺伝子の形質転換によって誘導あるいは増強され得ることは決して述べられていない。本発明は、ABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットで2次代謝物を生産する植物細胞を形質転換することによってこの問題の解決を提供する。それゆえ、本発明の別の実施態様では、ABC−トランスポーターをコードするDNA配列は、発現カセットであって、さらにABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで2次代謝物を生産する該植物細胞を形質転換し、そして少なくともひとつの2次代謝物の誘導あるいは増強された分泌で形質転換植物細胞を選別することからなっていて植物細胞培養で生産される少なくともひとつの2次代謝物の分泌を誘導あるいは増強するために使われる。そのような形質転換植物細胞は、次いでここで前に述べた方法を使って増殖される。
【0018】
“少なくともひとつの2次代謝物の増強された分泌”とは、植物細胞培養の細胞外培地中の2次代謝物の検出可能な分泌がすでにありそして2次代謝物の増加が形質転換されていない植物細胞培養による基礎的な分泌と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%あるいは90%以上で測定されるということを意味する。“増強された分泌”とは、必ずしも高生産であるという意味ではなく、同じレベルの生産ではあるがしかし分泌が増強されるということをまた意味する。“少なくともひとつの2次代謝物の誘導された分泌”とは、形質転換されていない植物細胞培養の細胞外培地に2次代謝物の検出できる分泌はないが、しかし、本発明にしたがって形質転換を行うことにより検出が可能となるということを意味する。
【0019】
一般に2次代謝物は、細胞内あるいは細胞外空間で当技術分野の方法で測定されうる。そのような方法は、薄層クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、キャピラリークロマトグラフィー、(ガスクロマトグラフィー)質量分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)そしてエンザイムイムノアッセイ(ELISA)の分析法を含む。
【0020】
本発明中の用語“分泌”によって意味される事柄を明白にするために、アミノ末端シグナルペプチドによって媒介されるたんぱく質の分泌とアミノ末端リーダー配列に依存しない2次代謝物の分泌との間の明白な区別をしなければならない。ここで使われる用語として、分泌は、細胞膜を通しての2次代謝物の分泌あるいは植物の細胞膜と細胞壁の両方を通しての分泌を意味する。科学的文献中の用語“分泌”では、しばしば、すなわち細胞膜を通すが細胞壁を通さない分泌であるアポプラスティク空間(apoplastic space)への分泌を示すために使われることがある。
【0021】
本発明のひとつの概念に、増殖培地中への2次代謝物の分泌はないというのがある。そのとき、分泌はいくつかの可能性:(1)ABC−トランスポーターをコードする異種遺伝子で植物細胞を形質転換することによって、あるいは(2)発現が、植物細胞で律速である同種のABC−トランスポーターの過剰発現によって、あるいは(3)液胞局在から膜局在への異種あるいは同種ABC−トランスポーターの再局在化によって誘導される。植物では、液胞行きたんぱく質はトランス−ゴルジネットワーク、液胞たんぱく質上の正の仕分けシグナルの存在を必要とする処理で分泌行きたんぱく質から仕分けられる。仕分けシグナルの3タイプが、植物の可溶性液胞たんぱく質に対して記述されている(Matsuoka and Neuhaus (1999) J. Exp. Botany 50, 165)。いくつかのたんぱく質は仕分けシグナルとして機能する切断可能なアミノ末端のプロペプチドを、一方、他は切断可能なカルボキシル末端のプロポリペプチドを含む。最後、少量の植物たんぱく質は内部の液胞標的決定基を含む。本発明にしたがって、通常は液胞膜に局在化している同種あるいは異種のABC−トランスポーターは、その液胞局在化シグナル(カルボキシ末端あるいはアミノ末端のプロペプチド)を切り離すかあるいは内部の液胞標的決定基を欠損させることによって加工される。もし必要ならば、異種あるいは同種のアミノ末端リーダー配列は、分泌システムへの入場を与えるために同種あるいは異種のABC−トランスポーターをコードする遺伝子につなぎ合わせられる。結果として、該加工されたABC−トランスポーターは、通常は液胞局在に向う分泌経路にもはや向かず細胞外空間へとむけてそれる。しかしながら、ABC−トランスポーターに存在する疎水性膜貫通シグナルによって、ABC−トランスポーターは細胞外培地に分泌されず、植物細胞の細胞膜に潜んだままとなる。我々は、ABC−トランスポーターの新規細胞内局在性(液胞から細胞膜へ)が、植物細胞培養の培地中への生産2次代謝物の分泌を生じることを本発明で示した。
【0022】
本発明のもうひとつの概念は、植物細胞によってすでに存在するが、2次代謝物の低いレベルの分泌であり、そして、そのときその分泌が(1)ABC−トランスポーターをコードする異種遺伝子で植物細胞を形質転換することによって、あるいは(2)発現が植物細胞中で律速である同種のABC−トランスポーターの過剰発現によって、あるいは(3)正常な液胞局在から膜局在への同種あるいは異種ABC−トランスポーターの再局在化によって増強されるということである。
【0023】
本発明のさらに別の概念は、2次代謝物の生合成に関与する酵素反応ステップのネガティブフィードバック阻害を引き起こす2次代謝物の中間産物が、(1)ABC−トランスポーターをコードする異種遺伝子で植物細胞を形質転換することによって、あるいは(2)発現が植物細胞中で律速である同種のABC−トランスポーターの過剰発現によって、あるいは(3)液胞局在から膜局在への同種あるいは異種ABC−トランスポーターの再局在化によって分泌されることである。該中間産物あるいはその生産されるすべての分泌はネガティブフィードバック阻害を減らし、その結果、植物細胞中での2次代謝物の生産を増強する。該2次代謝物の増強された生産は、先に述べた方法に従ってABCトランスポーターをコードする遺伝子を含む第2の発現カセットで既形質転換植物細胞を形質転換することで植物細胞によって分泌される。この分泌の場合は、細胞外空間に向けられているので指令された2次代謝物は、周囲の培地から容易に単離される。結果的に、細胞内生産の場合には必要である細胞砕壊が省かれる。
【0024】
本発明のもうひとつの実施態様では、2次代謝物の生産は液胞への2次代謝物の移行を促進することによって増強される。植物では、液胞は貯蔵物質、解毒化産物そして防御物質のための細胞中での最も大きい貯蔵場所であるので、液胞へのたんぱく質や化合物の標的化は、特に興味深い(特に、応用への観点から)。最も重要な貯蔵は、塊茎、球根、根、茎のような植物器官の液胞で生じる。同様な配慮が、害虫や疾病の制御に使われる物質、特にそれら物質が植物自身に毒であることがわかっているときに、また適用される。実際、あるケースでは、液胞が、たとえば、植物によって合成された解毒化産物を貯蔵することで、解毒化器官としても役立っている。本発明にしたがって、2次代謝物は、(1)ABC−トランスポーターをコードする異種遺伝子で植物細胞の形質転換によって、あるいは(2)発現が植物細胞中で律速である同種のABC−トランスポーターの過剰発現によって、あるいは(3)正常には局在化された細胞膜局在から液胞局在に向けての同種あるいは異種ABCトランスポーターの再局在化によっても液胞に分泌されうる。該局在化を果たすため、一般には、アミノ末端あるいはカルボキシ末端の液胞局在化シグナルへそれを融合することで、あるいは存在している内部液胞局在化シグナルへ導入することを通じた遺伝的改良によってABC−トランスポーターをコードする遺伝子を改良することが必要である。米国特許6,054,637は、液胞局在化シグナルの付加あるいは切り出しを通じた遺伝子の遺伝的改良の詳細な情報を提供している。われわれは、生産された2次代謝物の液胞への分泌あるいは標的化が、植物細胞への毒性を減少することを観察している。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様は、(1)ABC−トランスポーターをコードする異種遺伝子で植物細胞の形質転換によって、あるいは(2)発現が植物細胞中で律速である同種のABC−トランスポーターの過剰発現によって、あるいは(3)正常な膜局在から液胞局在に向けての同種あるいは異種ABC−トランスポーターの再局在化によって、2次代謝物の中間産物(これが該2次代謝物の生合成に関与する酵素反応ステップでネガティブフィードバック阻害を引き起こす)を液胞に潜めさせる。該中間産物、あるいはその生産されるすべての液胞への取り込みは、液胞の外側で生じるネガティブフィードバック阻害を減らしそして結果として植物細胞の2次代謝物の生産を増強する。
【0026】
別の実施態様では、本発明は、(1)植物細胞培養条件の改良によって、(2)2次代謝物形成の経路に関与する遺伝子を上向きに制御できる転写因子で植物細胞を形質転換することによって、(3)植物細胞培養に特異的な誘導因子を添加することによって、そして(4)器官化の誘導等によって植物細胞培養の2次代謝物の生産そして/あるいは分泌を増強するため他の既知の方法と組み合わせることができる。
【0027】
本発明の別の実施態様には、ABC−トランスポーターをコードするDNA配列は、発現カセットであって、さらにABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで植物を形質転換することを含む植物の少なくともひとつの2次代謝物の生産を増強するために使われる。
【0028】
用語“生産を増強するため”とは、ひとつまたはそれ以上の代謝物のレベルが、発現カセットであって、さらにABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットを含む発現ベクターで形質転換に使われた形質転換していない植物細胞と比べて少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%あるいは少なくとも100%増強されるということを意味する。2次代謝物の増強された生産は、植物での、たとえば液胞での2次代謝物のより高いレベルの検出を生じる。別の実施態様では、少なくともひとつの2次代謝物の増強された生産は、増強された分泌を導く。さらに別の実施態様では、少なくともひとつの2次代謝物の同じ生産が、形質転換植物で起こるが、少なくともひとつの2次代謝物の増強された分泌は該形質転換植物によって起こる。2次代謝物は、たとえば水耕栽培的に成長した植物の根から連続的分泌によって効率的に生産される。分泌のこの方法は、‘根状分泌(rhizosecretion)’とも命名される。
【0029】
ここで使われる用語“植物”は、維管束植物をいう(たとえば、裸子植物および被子植物)。本方法は、本発明の発現カセットで植物細胞を形質転換することそしてそのような植物細胞を遺伝子導入植物に再生することからなる。そのような植物は、無性的にあるいは生殖的に増殖される。形質転換ステップは、以下で詳細に述べるようにアグロバクテリウム媒介形質転換そして非アグロバクテリウム媒介形質転換を含むいくつかの適切な手段で実行されてもよい。植物は、形質転換細胞(あるいは細胞群)から当業者に周知の技術によって再生される。当技術分野で周知のように、キメラ植物がその方法によって作られる場合、すべての細胞が形質転換される植物は、形質転換生殖細胞を持つキメラ植物から再生されてもよい。本発明の発現ベクターで植物細胞あるいは組織を形質転換するために使われる方法は、アグロバクテリウムそして非アグロバクテリウムベクターの両方を含む。アグロバクテリウム媒介遺伝子転移は植物染色体にDNA転移のためにアグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の自然の能力を活用し、そしてGheysen, G., Angenon, G. and Van Montagu, M. 1998. Agrobacterium-mediated plant transformation: a scientifically intriguing story with significant applications. In K. Lindsey (Ed.), Transgenic Plant Research. Harwood Academic Publishers, Amsterdam, pp. 1-33 及び in Stafford, H. A. (2000) Botanical Review 66: 99-118に詳細に記述されている。形質転換方法の第2グループは、非アグロバクテリウム媒介形質転換であり、そして、これらの方法は、直接遺伝子転移方法として知られている。概要は、Barcelo, P. and Lazzeri, P.A. (1998) Direct gene transfer: chemical, electrical and physical methods. In K. Lindsey (Ed.), Transgenic Plant Research, Harwood Academic Publishers, Amsterdam, pp. 35-55で示されている。毛根培養は、アグロバクテリウムリゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)の伝染性株での形質転換によって得られ、そして、それらは母植物に特徴的な高含量の2次代謝物を生産できる。毛根培養の確立のために使われるプロトコールは、アグロバクテリウムによる感染への植物種の感受性(Toivunen L. (1993) Biotechnol. Prog. 9, 12; Vanhala L. et al. (1995) Plant Cell Rep. 14, 236)と同様にさまざまである。形質転換に使われるアグロバクテリウム株は、根の形態そして毛根培養での2次代謝物の蓄積の度合いに大いな影響を持つことが知られている。高収量で、安定そして単一細胞から誘導された毛根クローンを見つけるために、たとえばプロトプラスト経るようなシステム化されたクローン選別が可能である。これは、毛根培養が非常に体細胞クローン変異を所持するが故に可能である。形質転換の別の可能性は、ウイルスベクターの使用である(Turpen TH (1999) Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 354 (1383): 665-73)。
【0030】
器官発生あるいは胚発生のどちらかで、その後クローン増殖できるいずれかの植物組織や植物細胞が、本発明のベクターで形質転換されてもよい。用語‘器官発生’とは、芽や根が分裂中央から順次発生する工程を意味する;用語‘胚発生’とは、体細胞あるいは生殖体のどちらかから芽や根が(順次でなく)一緒に協調して発生するプロセスを意味する。選ばれる特定組織は、形質転換される特定種において利用できるそして最適なクローン増殖システムに依存して変わる。典型的な組織標的は、プロトプラスト、リーフディスク(leaf disks)、花粉、胚、子葉、胚軸、大配偶体、カルス組織、既存の分裂組織(たとえば、頂端分裂組織、腋芽そして根分裂組織)、そして誘導される分裂組織(たとえば、子葉分裂組織および胚軸分裂組織)を含む。
【0031】
これらの植物は、これらに限定されないが、トマト、タバコ、オレガノ、バシリカム(basilicum)そしてミントのようなさまざまなハーブのような農業経済的に重要な作物の植物あるいは植物細胞を含む。また、価値ある化合物を生産する植物に適用されてもよい。たとえば、アジマリシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、アジマリン、ルセルピン、レシンナミン、カンプトテシン、エリプチシン、キニーネ、そしてキニジエン(quinidien)、タキソール、モルヒネ、スコポラミン、アトロピン、コカイン、サンギナリン、コデイン、ゲニステイン、ダイゼイン、ジゴキシン、コルヒチン、カリステギン(calystegins)のようなたとえば医薬品として使われ、あるいは、アントシアニン、バニリンのような食品添加物として使われる化合物クラスを含むがこれらに限定されない。そのような植物の例には、これらに限定されないが、ケシ(Papaver spp.)、ジャボク(Rauvolfia spp.)、イチイ(Taxus spp.)、キナ(Cinchona spp.)、ハナビシソウカリフォルニカ(Eschscholtzia californica)、喜樹アクミナタ(Camptotheca acuminata)、ヒヨス(Hyoscyamus spp.)、ヘビノボラズ(Berberis spp.)、オウレン(Coptis spp.)、チョウセン朝顔(Datura spp.)、ロウトウ(Atropa spp.)、カラマツソウ(Thalictrum spp.)、ペガヌム(Peganum spp.)を含む。
【0032】
別の実施態様で、本発明は、(a)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチド;(b)配列番号2のポリペプチド配列と少なくとも83%の同一性を持つポリペプチド配列からなる単離されたポリペプチド;(c)植物あるいは植物細胞で少なくともひとつの2次代謝物の生産あるいは分泌を誘導あるいは増強する(a)から(b)のポリペプチドの断片および変異体、からなるグループから選ばれた単離されたポリペプチドを提供する。
【0033】
別の実施態様で、本発明は、(a)配列番号1の配列からなるポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリヌクレオチド;(b)配列番号1と少なくとも91%の同一性を持つポリヌクレオチド配列からなる単離されたポリヌクレオチド;(c)植物あるいは植物細胞で少なくともひとつの2次代謝物の生産あるいは分泌を誘導あるいは増強する(a)から(b)のポリヌクレオチドの断片および変異体、からなるグループから選ばれた単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0034】
ここで使われる時、用語“ポリヌクレオチド”は、Salbaum et al. (1988) EMBO J. 7(9):2807によって記述されているプロモーターDNA配列を保持あるいは保持しない、Yoshikai et al.(1990) Gene 87:257によって詳述されているDNAおよびcDNA配列を意味すると解釈されてもよい。ここで使われる時、“断片”は、少なくとも9アミノ酸あるいは27塩基対、典型的には50から75、あるいはそれ以上のアミノ酸あるいは塩基対(その中にポリペプチドはアミノ酸コア配列を含む)のポリペプチドあるいはポリヌクレオチドを言う。必要に応じて、断片は、どちらかの末端で追加のアミノ酸あるいは塩基対に融合されてもよく、これは1から20、典型的には50から100、しかし250、500あるいはそれ以上の数となってもよい。機能的断片とは、植物あるいは植物細胞の少なくともひとつの2次代謝物の生産あるいは分泌を誘導あるいは増強する生物学的性質を所持するポリペプチド断片を意味する。2あるいはそれ以上の核酸あるいはポリペプチド配列という状況で用語“同一性”あるいはパーセント“同一性”は、配列比較アルゴリズムを使って、あるいは手作業の整列と目視検査で比較ウィンドウあるいは比較されるよう指定された領域全体にわたって最大一致で比較し整列したとき、同じかあるいは同じであるアミノ酸残基あるいはヌクレオチドを特定のパーセンテージ有する(すなわち、特定の領域上で70%同一)2あるいはそれ以上の配列あるいはサブ配列(subsequences)を言う。好ましくは、同一性は、長さで少なくとも約25アミノ酸あるいはヌクレオチド、あるいはより好ましくは長さで50−100アミノ酸あるいはヌクレオチドあるいはそれ以上である領域上にわたって存在する。有効なアルゴリズムの例は、PILEUP(Higgins & Sharp, CABIOS 5:151 (1989), BLAST and BLAST 2.0 (Altschul et al. J. Mol. Biol. 215: 403 (1990)。BLAST分析を実行するソフトウェアーは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公式に入手できる(http://www/ncbi.nlm.nih.gov/)。
【実施例】
【0035】
以下の実施例で適用されている組換えDNAおよび分子クローニング技術は、すべて当業技術分野の周知の標準的方法で、たとえばSambrook et al. (1989) Molecular cloning: A laboratory manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記述されている。以下の実施例で適用されている酵母の培養や操作方法は、全て当業技術分野の周知の標準的な方法で、たとえばGuthrie and Fink (1991) Guide to yeast genetics and molecular biology, academic Press, Inc., New Yorkに記述されている。以下の実施例で適用されているタバコの細胞培養や操作方法は、Nagata et al. (1992) Int. Rev. Cytol. 132, 1で述べられた方法あるいは述べられた方法から誘導される。
【0036】
実施例1:トロパン(Tas)およびニコチン−タイプアルカロイド(NAs)に特異的である酵母多剤耐性トランスポーターの同定
酵母Saccharomyces cerevisiaeで、多剤耐性に関与する複合多剤耐性(PDR)ネットワーク遺伝子は、転写調節因子Pdr1p及びPdr3pからなり、これらは他のまだ同定されていない遺伝子と同様に、ATP結合性カセット(ABC)トランスポーターコード遺伝子PDR5、SNQ2、YOR1の発現を活性化する。トロパンアルカロイド(Tas)及びニコチンアルカロイド(Nas)に対する酵母感受性を評価しそしてTAsおよびNAsに対する特異性を有する酵母ABCトランスポーターを同定するために、我々は、毒性化合物ヒヨスチアミン、スコポラミン及びニコチンへの寛容性に対してABCトランスポーターYOR1、SNQ2、PDR5、PDR10、PDR11あるいはYCF1欠損同系酵母株を選別した。US50−18Cの遺伝子型から誘導された同系酵母株は、構築されそしてDecottignies et al. (J. Biol. Chem. (1998) 273, 12612)に記述されている。BY4741遺伝子型から誘導された酵母株は、EUROSCARFコレクション(Frankfurt, Germany)から得られた。すべての株が、表1に一覧されている。
【0037】
【表1】
Figure 2004529645
【0038】
アルカロイド寛容は、さまざまな濃度のTAsあるいはNAsを含んだ栄養培地(YPD)上での増殖能力を管理することによって評価された。この目的達成のために、さまざまな株が、液体YPD中で飽和(48時間)まで増殖された。培養は、10−、100−、そして1000−倍希釈され、そして約3μl量が、毒化合物入り2%バクト寒天を含んだYPDプレート上にステンレス鋼レプリケーターで滴下された。栄養培地は、1%酵母抽出物、2%バクトペプトンそして2%グルコースを含む。ろ過滅菌されたヒヨスチアミン、スコポラミンそしてニコチンの水溶液が、加圧滅菌後に加えられた。増殖は、28℃で2日間培養後に評価された。我々は、野生タイプの酵母(すなわち、ABCトランスポーターのひとつの欠損もない)は、それぞれ50mM、100mM、15mMのレベルまでヒヨスチアミン、スコポラミンそしてニコチンに寛容できることを観察した。培地中の徐々に増加したアルカロイドのレベルは、増殖遅延を引き起こし、そして最終的には致死となる。pdr5変異株を除きすべての同系株は、同一のアルカロイド感受性を示した。先に述べたアルカロイド濃度は、PDR5遺伝子の欠損株には致死である。これは、Pdr5pがTAsおよびNAsに対する基質特異性を示し酵母細胞中のTAあるいはNA輸送と関与するたった一つの既知のABCトランスポーターであることを示している。以前に、インドールアルカロイド(たとえば、ビンブラスチンおよびビンクリスチン)、タキソールそしてフラボノイドのような他の植物2次代謝物もまた多剤輸送を媒介するPdr5pの基質であることが示されている(Kolaczkowski et al. (1996) J. Biol. Chem. 271, 31543およびKolaczkowski et al.(1998) Microb. Drug Resist. 4, 143)。
【0039】
実施例2:タバコBY−2懸濁培養細胞へのTAsおよびNAsの毒性評価
懸濁培養タバコ細胞、Nicotiana tabacum L. cv Bright Yellow 2が、1.5mM KHPO、3μM チアミン、0.55mM イノシトール、87mMスクロースおよび1μM 2,4Dを補足された改変ムラシゲ−スクーグ(Murashige-Skoog)基本培地、MSSTのロータリーシェーカー(130rpm)で26℃、暗所で増殖された。細胞は、250−mlフラスコの50ml新鮮培地に0.5ml移すことで7日ごとに継代培養された。
【0040】
タバコBY−2細胞へのTAsおよびNAsの毒性は、2つの方法で評価された。最初の方法では、さまざまな濃度のTAsあるいはNAsを含んだMSST培地での増殖能力が管理された。この目的のために、新鮮なBY−2細胞培養が開始され、そして3日間培養後、約300μl量が、0.65%バクト寒天と毒アルカロイドを含んでいるMSSTプレートに滴下された。ヒヨスチアミン及びニコチンのろ過滅菌された水溶液が加圧滅菌後に加えられた。増殖は、26℃で15日間培養後に評価された。野生タイプのBY−2細胞(すなわち、遺伝子組み換えではない)は、それぞれ30mMそして3mMのレベルで深刻な増殖問題なしでヒヨスチアミンそしてニコチンに寛容できる。培地中の徐々に増加したアルカロイドのレベルは、増殖遅延を引き起こし、そして最終的には致死となる。第2の方法では、毒性は、アルカロイドの増殖したレベルの存在下で培養後に細胞死を測定することによって評価される。細胞死は、エバンスブルー法(Turner and Novacky (1974) Phytopathol. 64, 885)によって記録される。この目的のために、新鮮BY−2細胞培養が開始されそして3日後にこの培地の5mlは、6穴プレート(ファルコン 353046)の1穴に移された。新鮮MSSTの1mlが、そしてpH5.8の0.1M リン酸カリウム緩衝液の650μl量の希望の毒化合物が加えられた。細胞は、それからロータリーシェーカー上で培養されそして1mlのサンプルが0、6そして24時間後に取られた。われわれは、細胞を6000rpmで3分間で遠沈させ、上清を除き、MSST培地に0.1%エバンスブルーの1mlを加えそして回転ホイール上で室温で15分間培養した。その後、われわれは、細胞を再び遠沈させそして青色が上清から消えるまで新鮮なMSST培地で5回洗った。死細胞に結合した色素は50℃、30分間、50%メタノール、1%SDSで放置することによって溶解された。われわれは、再度遠沈させ(今度は、3分間14000rpm)そして上清のOD600を測定することで細胞死を定量した。細胞死は、コントロール細胞に比較してエバンスブルーの増加倍数として表されている。この分析で、タバコBY−2細胞が、試験したすべての化合物に感受性であることが見出された。ヒヨスチアミンそしてニコチンは、それぞれ50mM及び20mMのレベルで24時間培養内ですべての懸濁培養タバコ細胞の死を引き起こす。これは、植物が細胞内部で生産する代謝物が自身にとって毒でそしてまたこの毒性が2次代謝物を生産する植物細胞の遅い増殖を招いていることを示している。さらに、この結果はタバコ細胞の懸濁培養で酵母、植物及び動物のようなさまざまな生物からのABCトランスポーターの活性を評価するために役立つ検査システムをわれわれに提供した。
【0041】
実施例3:タバコBY−2懸濁培養細胞でのPDR5の発現
3.1 PDR5のクローニング
PDR5遺伝子は、PfuIポリメラーゼを用いてPCR法でクローン化された。この目的のために、オリゴヌクレオチドが、ゲートウェイTMシステム(インビトロジェン)での組換えに効率的な基質であるPCR産物としてPDR5遺伝子(4536nt)の完全なオープンリーディングフレームを増幅するよう5’末端のattB配列で設計された。ゲートウェイ(インビトロジェン)技術は、複数の発現システムに配列をクローン化するための別の迅速な方法を提供する。ゲートウェイクローニングの利点は、エントリークローンとして存在する断片が短時間でさまざまな目的のベクターにサブクローニングできることにある。この技術は、アグロバクテリウム基盤植物形質転換のための多目的ベクターセットを構築するために使われた。われわれの意図は、広い範囲の植物遺伝子検査のためのベクターを開発することであった。ゲートウェイバイナリーベクターpPZP200はわれわれの骨格である(Hajdukiewicz et al. Plant Molecular Biology 25, 989-994, 1994)。バイナリーベクターは、サイズが相対的に小さく、大腸菌あるいはアグロバクテリウムの2つの複製オリジンとプラスミド選択のためのストレプトマイシンそして/あるいはスペクトマイシンを所持する。3つの植物選択マーカー遺伝子;カナマイシン、ハイグロマイシン及びバー(bar)(植物形質転換でもっとも頻繁に使われるマーカー)が、すべての構築のために使われた。すべての選択マーカーは、nos(ノパリン合成酵素)プロモーターとnosターミネーターを含むカセット中にある。これらの遺伝子は、T−DNAの左ボーダーに向けてクローン化された。すべてのゲートウェイクローンの構築のために、われわれは、rfA変換カセットを使用した。
【0042】
PDR5遺伝子クローニングのために使われたオリゴヌクレオチドは、それぞれフォワードプライマーとして5’−AAAAGCAGGCTACCATGCCCGAGGCCAAGCTTAACAATA−3’、そしてリバースプライマーとして5’−AGAAAGCTGGGTCCATCTTGGTAAGTTTCTTTTCTTAACC−3’である。鋳型として、酵母株US50−18CあるいはW303から調整されたゲノムDNAが使われた。最初に、PCR断片は、エントリークローンを作成するために、BP反応を経てドナーベクターpDONR201(インビトロジェン)に導入された。それから、PDR5遺伝子は、LR反応経てデスティニネーションベクターpK7WGD2(図1)に移された。そこでの遺伝子は、CaMV35Sプロモーター制御下にある。pK7WGD2バイナリーベクターのT−DNAは、植物形質転換のための選択マーカーとしてpnosプロモーター制御下のカナマイシン耐性遺伝子(NPTII)および遺伝子導入植物細胞株の可視選択のためのprolDプロモーター制御下のグリーンフルオレセンスたんぱく質(GFP)をコードする遺伝子をまた有する。結果として生じたバイナリープラスミドは、遺伝子が単離された酵母遺伝子型に依存してpK7WGD2−ScPDR5−US50又はpK7WGD2−ScPDR5−W303と指定された。また、GUS遺伝子が、pK7WGD2ベクターに導入されその結果できたバイナリーベクターpK7WGD2−GUSは、以下の実施例で述べる実験のコントロールとして役立った。
【0043】
3.2 タバコBY−2懸濁培養細胞の形質転換
植物形質転換は、ターナーリーベクターシステムを適用することで実行された(van der Fits et al. (2000) Plant Mol. Biol.43, 495)。プラスミドpBBR1MCS−5.virGN54Dが、ターナリーベクターとして使われた。バイナリープラスミドが、エレクトロポレーションによってターナーリープラスミドを既に有するアグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404に導入された。
【0044】
アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株は、20μg/mlリファンピシン、40μg/mlゲネチシン、100μg/mlスペクトマイシンそして300μg/mlストレプトマイシンを含む固体LC培地上で28℃で3日間増殖された。LC培地は、1%バクトトリプトン、0.5%バクト酵母抽出物および0.8%NaClを含んでいる。これらの微生物から、5mlの液体培養が48時間液体LC培地中で増殖された。タバコ(N.tabacum)BY−2細胞が、実施例2に述べられたようにMSST培地中で増殖された。形質転換のためには、3日間培養した細胞培養が使われた。共培養のために、4mlのBY−2細胞が、ペトリ皿(φ80mm)の隅に移されそしてアグロバクテリウムツメファシエンス(A. tumefaciens)の300μlが加えられた。皿は、空気透過性テープで括られそして暗所で26℃、3日間培養された。3日後に、共培養混合は、100mlフラスコの50μg/mlカナマイシン−B、500μg/mlカルベニシリンおよび250μg/mlバンコマイシンを含む新鮮MSST培地20mlに移された。そしてさらに実施例2で述べられたように培養された。1週間後、この細胞懸濁培養の4mlが、10μg/mlのカナマイシンアナログG−418(ゲネチシン)、500μg/mlカルベニシンそして250μg/mlバンコマイシンを含んだ新鮮MSST培地40mlで継体培養されそして最大密度(1週間培養、飽和と同様)に到達するまでさらに増殖された、これは形質転換事象の効率に依存して2から3週間かかる。50μg/mlカナマイシンB、500μg/mlカルベニシリンおよび250μg/mlバンコマイシンを含む培地に、追加の1mlを移すサイクルを2回後、細胞はさらに実施例2で述べられたように抗生物質なしのMSST培地で繁殖された。アグロバクテリアの除去が検証されそして効率的な導入遺伝子発現が470nmの励起と525nmの発光のためのHQ−GFPバンド通過フィルターを備えた蛍光顕微鏡でGFP蛍光を観察することによってインビボ(in vivo)で記録された。
【0045】
3.3 アルカロイド寛容へのBY−2懸濁培養細胞での異種PDR5発現の効果
PDR5発現カセット(両酵母遺伝子型)で形質転換された組換えBY−2細胞で、正確なPDR5発現が、PDR5特異的DNAプローブを使ったノーザンブロットアッセイおよびウサギのポリクローナル抗Pdr5p抗体(Decottignies et al. 1999) J. Biol. Chem. 274, 37139)を使ったウェスタンブロットアッセイで試験された。両株で、PDR5は、RNAおよびたんぱく質レベルの両方で効率的に発現されていた。フラクショネーションはPdr5たんぱく質が原形質膜に正確に標的化されていることをまた示めした。ヒヨスチアミンとニコチンへの形質転換されたBY−2懸濁培養の寛容は、実施例2で述べられた2つの試験で評価された。増殖能力試験から推測されたように、様々な酵母のPdr5トランスポーターを発現するBY−2細胞株はGUS−発現株に比較して両アルカロイドへの増加した寛容をさまざまな程度で示した。酵母遺伝子型W303からのPDR5トランスポーターを発現する株は、最も高いアルカロイド寛容を、特にヒヨスチアミンに向けて示した。細胞死実験では、ヒヨスチアミンが最終30mMの濃度で加えられた。酵母株W303からのPDR5を発現する遺伝子導入BY−2細胞は、再びこのトロパンアルカロイドへ最も高い寛容を示した(図.2)。細胞死の増加倍数値は、W303株で約35%低下したのに対し一方US50株はヒヨスチアミン誘導細胞死で15%減少であった。
【0046】
3.4 ニコチンアルカロイド生産へのBY−2懸濁培養細胞での同種PDR5発現の効果
ニコチンアルカロイド蓄積の分析のために、6日間組換えBY−2細胞培養(pK7WGD2−ScPDR5−US50又はpK7WGD2−ScPDR5−W303又はpK7WGD2−GUSで形質転換されたBY−2)が、洗浄されそして新鮮なホルモンなしMSST培地で10倍に希釈された。12時間の回復期間後、培養はメチルジャスモン酸(MeJA)で処理された。MeJAは、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解されそして終濃度50μMで培養培地に加えられた。コントロールとして、等量のDMSOで処理された細胞が含まれた。アルカロイド分析のために、20ml容量の3つの複製の振とうフラスコが処理された。ミラクロスを通した吸引ろ過後、細胞と培地はそれぞれ細胞内および細胞外アルカロイド分析のためにお互いに分けられた。ろ過された細胞隗は、試験管に移され、凍らされそして凍結乾燥された(50mbar、約48時間)。凍結乾燥細胞サンプルは、GC−MS分析にためにFuruya等(1971、Phytochemistry, 10, 1529)によって記述されている改良法によって抽出された。細胞は、重量が計測されそして25μg 5−α−コレスタンが内部標準として加えられた。サンプルはアンモニア(10%(v/v)、1ml)でアルカリにされそして水(2ml)が加えられた。アルカロイドは、2mlのジクロロメタンでボルテックスによって抽出された。30分後、サンプルは遠心(2000rpm、10分間)されそして下側の有機層は分離されそしてガラスバイアルに移された。乾燥のために蒸発後、25μlのジクロロメタンが加えられそしてサンプルは、GC−MS分析に先立って120℃、20分間、N−メチル−N−(トリメチルシル)トリフルオロアセトアミド(ピース、ロックフォード、米国)でシリル化された。培地中のアルカロイド決定のために、ろ過された培地の20mlが、pH9なるようにアンモニア(10v/v)でアルカリ化された。内部標準が加えられた(5−αコレスタンとコチニン)。続いて、この溶液は、ジクロロメタン(1:1)で2度抽出されそして乾燥のために蒸発された。カラムは1mlのジクロロメタンで2回洗われそして抽出物はガラスバイアルに移された。我々は、細胞抽出のために先に述べたようにさらに進めた。
【0047】
【表2】
Figure 2004529645
【0048】
ジャスモン酸誘出BY−2で、72時間後に検出されたアルカロイドはニコチン、アナバシン、アナタビン及びアナタリンである。DMSOで処理されたサンプルでは、細胞中、培地中のどちらからもアルカロイドは検出されなかった。ニコチンとアナタビンの結果が表2に表されている。誘出BY−2によって生産された全アルカロイドのうちアナタビンだけが培地中で見出される。アナタビンの痕跡量だけが細胞外で検出されるが、MeJA処理の72時間後のさまざまなBY−2細胞株のアナタビンレベルの比較は、明らかにPDR5遺伝子で形質転換された細胞株でのアナタビン排出の増加を示している。
【0049】
実施例4:タバコBY−2懸濁培養細胞での液胞標的化PDR5の発現
4.1 組変えPDR5の構築とクローニング
植物液胞膜へ酵母PDR5たんぱく質を標的にするために、2つの戦略に従った。最初は、甘薯からのN末端シグナルペプチドおよびプロペプチド(MKAFTLALFLALSLYLLPNPAHSRFNPIRLPTTHEPA、Matsuoka and Nakamura (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 834)がPdr5たんぱく質のN末端で融合された。第2のアプローチでは、タバコキチナーゼA(DLLGNGLLVDTM、Neuhaus et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 10362)がPdr5たんぱく質のC末端で加えられた。その結果の組換えオープンリーディングフレームが、ScPDR5CVacと指定された。両組換え遺伝子は、CaMV35Sプロモーターの制御下に置かれそして実施例3.1で記述されたようにHYGそしてGFP遺伝子を有するバイナリーベクターにクローン化された。その結果のバイナリープラスミドが、それぞれpH−ScNVacPDR5−GFP及びpH−ScPDR5CVac−GFPと指定された。
【0050】
4.2 アルカロイド寛容とニコチン生産へのBY−2懸濁培養細胞での組換えPDR5発現の効果
BY−2懸濁培養細胞は、実施例3.2で記述されたように形質転換され、そしてScNVacPDR5あるいはScPDR5CVac形質転換細胞で高発現GFPの両方である5遺伝子導入カリ(calli)が実施例3.3で記述されるように選択された。組換えPDR5の発現のコントロールは、ノーザンブロット及びウェスタンブロット分析法によって実施例3.3で記述されるように果たされた。フラクショネーションは、両タイプの遺伝子導入株(NVac又はCVac)のPdr5たんぱく質が液胞膜を標的化にしていることを示している。遺伝子導入細胞株のニコチン、ヒヨスチアミンへの寛容を評価するために、実施例3.3で記述されたのと同じ分析が、液胞標的化Pdr5pの機能性を評価すためにここで用いられた。BY−2細胞でのニコチン生産へのPDR5の液胞発現の効果が、実施例3.4に記述されるように評価された。
【0051】
実施例5:タバコBY−2懸濁培養細胞での植物PDRオルソログの発現
5.1 AtPDR1のクローニング
ABCたんぱく質スーパーファミリーは、既知の最大たんぱく質ファミリーでほとんどが膜を通過する幅広い範囲の基質の輸送で活動する膜たんぱく質である。また、シロイヌナズナ(Arabidopsis)では、このファミリーは大きくそして多種多様で(129ORFs)そして完全な目録が、Sanchez-Fernandez 等 (J. Bio. Chem. (2001), 276, 30231)によって記述されている。シロイヌナズナの完全長ABCトランスポーターのサブファミリーのひとつは、酵母PDR5が原型であるPDRs(13ORFs)からなる。シロイヌナズナのPDR5様ORFsの少なくとも8つは転写的に活性でそしてESTsとして単離されている(Sanchez-Fernandez et al. (2001), J. Biol. Chem., 276, 30231)。これらの中で最も近いシロイヌナズナPDR5オルソログのひとつが、すなわちAtPDR1遺伝子(At3g16340)である。AtPDR1遺伝子のcDNAクローンが実施例3の酵母PDR5遺伝子に対して記述されるように単離される。この目的のために、次のオリゴヌクレオチドが設計された:それぞれ、フォワードプライマーとして5’−AAAAAGCAGGCTACCATGGAGACGTTATCGAGAA−3’、そしてリバースプライマーとして5’AGAAAGCTGGGTCTATCGTTGTTGGAAGTTGAGC−3’。鋳型として、我々はシロイヌナズナの胚軸から調製されたcDNAを用いた。
【0052】
5.2 HmPDR1のクローニング
ナス科植物のヒヨスチアミンやスコポラミンのようなトロパンアルカロイドの生合成は、非常に組織特異的で根でのみ起こる。その後アルカロイドは、大気部分、特に葉に、輸送され、最終的には蓄積される。しかしながら、毛根では、この転位が生じないそして生産されたアルカロイドの一部は培地中に放出される。この放出は、培地へのミリモル量のCdClの添加で促進される(Furze et al. (1991) Plant Cell Rep. 10, 111 及び Pitta-Alvarez et al. (2000) Enzyme. Micrb. Technol. 26, 252)これは、またトロパンアルカロイドが関与するカドミウムに対する活性な解毒化機構の存在を示している。我々は、この知見をヒヨスムチカス(Hyoscyamus muticus)毛根からのアルカロイド特異的PDR様遺伝子を単離するために適用した。
【0053】
PDR様遺伝子のcDNAクローンは、ヒヨスムチカス(H. muticus)から単離されそしてHmPDR1と指定された。この目的のために、全RNAが1mM CdClで30時間処理されたヒヨスムチカス(H. muticus)KB7株(Jouhikainen et al. (1999) Planta 208, 545)の毛根から調製され、そしてスーパースクリプトRTII逆転写酵素で転写された。続いてネスト化(nested)PCRがDNA−RNAを鋳型としそして既知酵母と植物PDRたんぱく質の核酸結合ホールドの高度に保存されたアミノ酸配列から設計された2セットの縮重プライマーを使用してTaq DNAポリメラーゼで実行された(表3参照)。このPCRは、ABCたんぱく質の一般的なタンデム繰り返し構造に元来ある2つの核酸結合ホールドから由来する2つの断片を生じる。特異的プライマーとRT−PCR、5’RACEそして3’RACE技術を使って、我々は、全長cDNAクローンをクローン化し、HmPDR1と指定した。HmPDR1 cDNAクローンの核酸配列が、配列番号1で、HmPDR1たんぱく質のアミノ酸配列が配列番号2で表現されている。
【0054】
【表3】
Figure 2004529645
【0055】
ABCトランスポーター遺伝子とCdCl誘導アルカロイド放出間の仮説の関連性を確認するために、我々はCdClで処理されたヒヨス(Hyoscymus)毛根中のHmPDR1遺伝子の発現分析を行った(図.3)定量RT−PCRは明らかにHmPDR1がCdClによって上向きに制御されていることを示した。
【0056】
5.3 アルカロイド寛容への酵母細胞での異種AtPDR1発現の効果
AtPDR1遺伝子が、酵母PDR5遺伝子の5’および3’制御配列間で酵母発現ベクター(YCp50)にサブクローンされた。このプラスミドは、それから酵母AD3株に導入された(pdr5変異、実施例1参照)。この植物PDR遺伝子の基質特異性を分析するために、我々は、実施例1で記述したようにさまざまなTAsやNAsを含んだYPDプレート上で形質転換された酵母株の増殖能力を管理した。我々は、シロイヌナズナ(A. thaliana)のPDR1遺伝子がヒヨスシアミンやニコチンでのpdr5変異株の増殖を回復できることを示した。
【0057】
5.4 アルカロイド寛容へのBY−2懸濁培養細胞での異種AtPDR1発現の効果
AtPDR1遺伝子が、実施例3.1に記述されているようにバイナリーベクターpK7WGD2に形質転換された。タバコBY−2懸濁培養細胞は、実施例3.2に記述されているように形質転換された。AtPDR1の発現制御は、特異的DNAプローブを使ってノーザンブロットによって果たされた。遺伝子導入細胞株のニコチンおよびヒヨスシアミンへの寛容性を評価するために、実施例3.3で記述されたのと同じ分析が、AtPDR1pの機能を評価するためになされた。遺伝子導入BY−2細胞は、コントロールのGUS発現株に比較してアルカロイドへの増強された寛容性を示した。しかしながら、ScPDR5−W303発現株ほどはなくScPDR5−US50株で得られた寛容レベルと類似であった。
【0058】
5.5 ニコチンアルカロイド生産へのBY−2懸濁培養細胞でのAtPDR1発現の効果
ニコチンアルカロイド蓄積の分析にために6日間の組換えBY−2細胞培養物(pK7WGD2−AtPDR1 en pK7WGD2−GUS)が洗浄されそして新鮮なホルモンなしMSST培地で10倍希釈された。12時間の回復期間後、細胞はメチルジャスモン酸(MeJA)で処理された。MeJAは、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解され、50μM終濃度で培養培地に加えられる。コントロールとして、等量のDMSOで処理された細胞が含まれる。アルカロイドの分析のための同じ処置は実施例3.4のように従った。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】pK7WGD2バイナリーベクターのプラスミド地図である。
【図2】形質転換BY−2細胞のヒヨスチアミン誘導細胞死である。 3日間形質転換BY−2細胞培養物は、30mMヒヨスチアミン存在下(HYO)あるいは無し(CON)で24時間培養された。細胞死は、2つの時間ポイント(6時間そして24時間)でエバンスブルー染色により測定され、そして実験開始時の値に対する相対的なOD600での光学密度の増加倍数として示された。値は、3回の独立した実験の平均である。GUS、US50、W303そしてATは、それぞれpK7WGD2−GUS、pK7WGD2−ScPDR5−US50、pK7WGD2−ScPDR5−W303そしてpK7WGD2−AtPDR1で形質転換したBY−2細胞株を表している。
【図3】HmPDR1の発現はCdClによって誘導される。 1mM CdClあるいはコントロールとしてHOで処理されたH. muticusの毛根からの全RNA中のHmPDR1の定量的RT−PCR測定。エチジウムブロマイド染色されたrRNAが、コントロールとして使われた。時間ポイントゼロ時における値に対する相対的なrRNAの蛍光に対するHmPDR1転写物の比率の増加倍数が、パネル下で与えられている。誘導後のタイムが時間で示されている。

Claims (11)

  1. 植物細胞による少なくともひとつの2次代謝物の生産又は分泌を誘導又は増強するためのABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットの使用であって、
    − 該発現カセットを含む発現ベクターで該植物細胞を形質転換すること、
    − 少なくともひとつの2次代謝物の誘導又は増強された生産又は分泌により形質転換植物細胞を選択すること、そして
    − 選択された形質転換細胞を増殖すること、
    を含む使用。
  2. 植物細胞による少なくともひとつの2次代謝物の生産の誘導又は増強が、液胞への該代謝物の輸送を増強することから生じる請求項1記載の発現カセットの使用。
  3. 植物による2次代謝物の生産を促進するためのABC−トランスポーターをコードする遺伝子を含む発現カセットの使用であって、
    − 該発現カセットを含む発現ベクターで該植物を形質転換すること、
    − 増強された生産で形質転換植物を選択すること、そして
    − 選択された形質転換植物を増殖すること、
    を含む使用。
  4. 2次代謝物が、アルカロイドである請求項1−3のいずれか1項記載の使用。
  5. ABC−トランスポーターが、植物、真菌あるいは哺乳動物細胞から誘導される請求項1−3のいずれか1項記載の使用。
  6. 請求項1記載の発現カセットを含む発現ベクターで形質転換され、少なくともひとつの2次代謝物の増強された生産又は分泌を伴う、遺伝子導入植物細胞培養物。
  7. 請求項3記載の発現カセットを含む発現ベクターで形質転換され、少なくともひとつの2次代謝物の増強された生産又は分泌を有する遺伝子導入植物、又はその細胞、種子、若しくは子孫。
  8. (1)2次代謝物の増大した液胞局在性、又は(2)2次代謝物の分泌あるいは増加した分泌を有することによりさらに特徴付けられる請求項6記載の遺伝子導入植物細胞培養物。
  9. 2次代謝物の増大した液胞局在性を有することによりさらに特徴付けられる請求項7記載の遺伝子導入植物。
  10. a.配列番号1の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる単離ポリペプチド;
    b.配列番号2のポリペプチド配列と少なくとも83%の同一性を持つポリペプチド配列を含む単離ポリペプチド;
    c.植物又は植物細胞で少なくともひとつの2次代謝物の生産又は分泌を誘導又は増強する(a)〜(b)のポリペプチドの断片および変異体;
    からなる群から選択される単離ポリペプチド。
  11. a.配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド;
    b.配列番号1と少なくとも91%の同一性を持つポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド;
    c.植物又は植物細胞で少なくともひとつの2次代謝物の生産又は分泌を誘導又は増強する(a)〜(b)のポリヌクレオチドの断片および変異体;
    からなる群から選択される単離ポリヌクレオチド。
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