JP2004527740A - 支持されたリピドフィルム膜の製造方法およびそれらの使用 - Google Patents

支持されたリピドフィルム膜の製造方法およびそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、リピド膜構造を支持する基板表面を製造する方法において、a)基板表面を界面活性剤/リピド混合ミセルを含有する水性液体に接触させて、界面活性剤/リピド混合ミセルを基板表面に接着させる工程、およびb)接着した界面活性剤/リピド混合ミセルを有する基板表面を実質的に界面活性剤を含まない水性液体に接触させ、接着した混合ミセルから界面活性剤分子を溶出させ、残ったリピド分子を基板表面上のリピドフィルム膜構造にアッセンブルさせる工程からなる方法に関する。本発明はまた、上記方法で製造されたリピド膜構造を支持する基板表面、上記方法で製造されたリピド膜構造を支持する基板表面の分子相互作用の研究における使用、および上記方法に使用するための基板表面に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、基板表面、特にセンサー表面上にリピドフィルム膜型の構造を調製するための方法、その方法によって調製された支持液体フィルム膜、このような支持リピドフィルム膜のリピド膜相互作用の研究における使用およびその方法における使用のための基板表面に関する。
【背景技術】
【0002】
膜はすべての生存細胞の構造および機能に中心的な役割を果たしている。細胞の境界ならびに細胞内のコンパートメントを決定する膜は、障壁機能を有するのみでなく、膜を横切る物質の輸送をコントロールし、コンパートメント間の情報を仲介し、また酵素の反応部位でもある。
【0003】
膜はタンパク質および他の成分たとえばリポポリサッカライドと、リピド分子の二重層から構成される。膜リピドは、極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分を有する。膜二重層では、リピドの非極性部分が互いに二重層の中央方向に曲がり、極性リピド部分は膜の外部表面を形成する。膜を通過して延長されてもよく(膜通過タンパク質)、また膜表面の一つに繋留されていてもよい膜内タンパク質(膜通過タンパク質)は、一般に非共有結合力、たとえば疎水性力または静電気的相互作用によって膜に結合されるが、リピドに共有結合で結合しているタンパク質の例もある。
【0004】
固体上に人工的に支持された二重層リピド膜(いわゆるBLM)はタンパク質の固定化のために天然の環境を提供し、したがって様々な種類のバイオセンサーへの適用の興味が増大している。このようなBLMは、たとえば膜−水の界面におけるリガンド−受容体相互作用の研究に使用することができる。
【0005】
膜通過タンパク質に適当な条件を獲得するためには、膜と支持体の間に水の層を提供することが望ましい。たとえば、EP-A-441120には、低級リピド層を親水性スペーサーアームによって支持体に連結することが提案されている。
【0006】
固体支持体上でのBLMのアッセンブリーは様々な方法で達成される。しかしながら、基本的には、一般に3つの異なるアプローチが使用されてきた。
【0007】
第一のアプローチにおいては、固体支持体は水性溶液中に浸し、ついでリピドの単一層を空気と水のインターフェースで形成させる。支持体が溶液で収縮する場合には、リピドの単一層は支持体に付着させる。ついで、支持体を再び溶液に浸し、これによって支持体上にリピドの二重層が形成される(Suarez-Isla, B.A.ら, Biochemistry 22, 2319-2323,1983)。
【0008】
第二のアプローチにおいては、固体支持体表面をリピド小胞の水性溶液と接触させる。この場合ある条件下に、リピド小胞またはリポソームの、表面への自然融合によってリピド二重層が形成される(リポソームは容量のあるリピド二重層である)。たとえば、この方法で、薄い水の膜の上に浮遊する流体リピド二重層が親水性支持体たとえばSiO2上に形成される。同様にしてウレタン水和ポリマーフィルムまたはハイドロゲル上に静止するリピド二重層膜が製造される(たとえば、Sackman, E. Science 271, 43-48, 1996)。一方、疎水性基板と接触させたリポソームは疎水性表面上に単一層を形成する(Cooper, M.A.ら, Biochim. Biophys. Acta 1373, 101-111, 1998)。
【0009】
膜は支持体に、たとえば上述の親水性スペーサーにより、またはたとえば米国特許US-A-5,922,594に開示されているように、リピド二重層を、基板表面上をコートする長い直鎖分子の自己アッセンブリング単一層に共有結合させることによりさらに安定に連結される。後者の場合、ミセルまたは小胞リポソームの水性溶液を単一層−支持体表面と接触させ、大部分のリポソームを単一層に共有結合で結合させて、繋留された二重層リピド膜を形成させる。膜の支持体への共有結合による繋留によって、この方法はコントロールされた薄膜フローを用いるフローセルにおいて実施される。結合リピド二重層を調製する変法においてはストレプトアビジンで被覆した表面をビオチン化リポソームと接触させる。
【0010】
第三のアプローチでは、固体の基板表面を、受容器中で、界面活性剤とリピドの共分散によって形成される混合ミセルの水性溶液と接触させ、ついで、表面におけるリピド二重層の形成を、ミセル溶液の緩衝液による希釈する「ミセル希釈法」または透析のいずれかにより、界面活性剤を選択的に除去することによって行う。
【0011】
ミセルの希釈はLang, H.ら, Langmuir 10, 197-210, 1994に例示されている。チオリピド単一層を支持する金電極を、リピドと界面活性剤の混合ミセルの水性溶液と接触させることによって、支持された混合二重層を形成させ、ついで溶液を、界面活性剤の臨界的ミセル濃度(CMC)以下に電解質で段階的に希釈する。
【0012】
透析による界面活性剤の除去は、たとえばUS-A-5,204,239に開示されている。溶液中の混合ホスホリピド/界面活性剤ミセルを、末端チオール基を有する架橋アームを介して金電極表面に付着させ、ついで界面活性剤を透析によって除去すると、電極に付着した連続リピド二重層の形成を生じる。
【0013】
タンパク質またはペプチド(オリゴ−またはポリペプチド)を含有する支持されたリピド二重層膜は、タンパク質またはペプチドをリピド層およびリピド小胞に上述の第一および第二のアプローチをそれぞれ使用して包含させることにより、または混合ミセル中上述の第三のアプローチを使用して調製される。
【0014】
Heyse, S.ら, Biochem. 37, 507-522, 1998には、カルボキシル露出チオール(CTA)の領域とハイドロカーボン露出チオリピド領域で交互に構成されたパターン化有機単一層による金表面の機能化が記載されている。ロドプシン含有混合ホスホリピド/界面活性剤ミセルをパターン化単一層に適用し、緩衝液で希釈すると、ホスホリピドは上記構造の支持体上で自己アッセンブリングし、ホスホリピド二重層ドメイン(CTA上)と単一層ドメイン(チオリピド上)が交互に出現する膜が形成され。ロドプシンには二重層ドメイン中に優位に存在する。
【0015】
Bieri, C.ら, Nature Biotechnology 17, 1105-1108, 1999には、センサーチップの、ビオチン化チオールから構成される自己アッセンブリング単一層と過剰のω−ヒドロキシウンデカンチオールによる被覆が記載されている。これにはストレプトアビジンが結合した。ビオチン化タンパク質を、リピド/界面活性剤混合ミセルとともに加えて、上述のようにミセルの希釈により、支持されたリピド二重層が形成された。ビオチン化タンパク質は固定化ストレプトアビジンに結合した。
【0016】
WO96/38726には、タンパク質を含有するリピド二重層が共有結合により付着したコーティングを有する固体デバイスが記載されている。近位のホスホリピド層は、たとえば膜貫通タンパク質を含有していてもよく、最初に共有結合により固体デバイス上のリンカーに付着させた。ついで、遠位のリピド層を小胞または混合ミセル融合により沈着させた。混合ミセル融合は混合ミセル分散液を近位のホスホリピド層に沈着させ、ついで水性緩衝液で希釈して行った。
【0017】
US-A-5,765,355には、金表面をチオリピド/界面活性剤溶液と接触させ、チオリピド層を表面に共有結合させることによる二重層リピド膜センサーの製造が開示されている。界面活性剤溶液で洗浄後、膜貫通タンパク質含有ホスホリピド/界面活性剤溶液を加え、塩化カリウム溶液で段階的に希釈した。得られたリピド二重層は、チオリピドとホスホリピドの混合単一層と、膜貫通タンパク質を含有する第二のホスホリピドから構成された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
一般的には、しかしながら、固体表面上にリピドフィルムとくに二重層を調製する先行技術法は労力および時間を要し、常に所望の結果を与えるとは限らない。また、受容体−含有細胞膜を含有するプレパレーションに関しては、このようなプレパレーションにける受容体密度は通常、バイオセンサーへの有効な使用に十分なほど高くなかった。
【0019】
したがって、固体上におけるリピドフィルム膜の調製、とくに再構築されたタンパク質またはペプチドを含有するこのような膜の調製には、改良方法の必要がある。
【0020】
本発明の目的は、支持されたリピドフィルム膜構造の製造方法において、先行技術法の欠点を克服し、したがって、容易かつ迅速に使用できる方法を提供することにあり、また再構築タンパク質で高密度にパックされた基板表面の提供を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば上記目的ならびに他の目的および利点は、界面活性剤/リピド混合ミセルプレパレーションをその水性分散液から基板表面に沈着させ、ついで基板表面を実質的に界面活性剤を含まない水性液体と接触させてミセルから界面活性剤を溶出させて、残ったリピド分子で基板表面上に液体フィルムを形成させる方法によって達成されることが見出された。
【0022】
したがって、本発明の一態様は、リピドフィルム膜構造を支持する基板表面の製造方法において、
a)基板表面を界面活性剤/リピド混合ミセルを含有する水性液体に接触させて、界面活性剤/リピド混合ミセルを基板表面に接着させ、ついで
b)接着した界面活性剤/リピド混合ミセルを有する基板表面を実質的に界面活性剤を含まない水性液体に接触させ、接着した混合ミセルから界面活性剤分子を溶出させ、残ったリピド分子を基板表面上のリピドフィルム膜構造に組み込ませる、
工程からなる方法を提供する。
【0023】
他の態様においては、本発明は第一の態様で調製されたリピドフィルム膜構造を支持する基板を提供する。
【0024】
さらに他の態様においては、本発明は膜タンパク質機能を再構築するための、上記方法の使用を提供する。
【0025】
さらに他の態様においては、本発明は上記第一の態様で調製されたリピドフィルム膜構造を支持する基板の、膜会合タンパク質またはペプチドとの相互作用の研究、たとえば候補薬物分子のスクリーニングにおける使用を提供する。
【0026】
なおさらに他の態様においては、本発明はその方法に使用するための基板表面を提供する。
【0027】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下の詳細な説明および添付した図面を参照すれば明確になるであろう。
【0028】
図面の説明
図1A〜1Cは、固定化されたタンパク質を有する両親媒性バイオセンサーの感受性表面に界面活性剤/リピド混合ミセルを沈着させ、ついで界面活性剤を溶出させてリピド二重層を形成させた膜タンパク質再構築の模式的な例示である。
【0029】
図2は、SPR−バイオセンサー装置のフローセル中に注射された3種の様々な混合物におよる、応答(RU)対時間(秒)を示すセンサーグラムである。
【0030】
図3は、界面活性剤/リピド混合ミセルの水性サンプルに通過させた場合、センサー表面上のリピドの沈着レベルに対して、リピド(POPC)濃度と界面活性剤(OG)およびそのCMC濃度間の差の比をプロットしたダイアグラムである。
【0031】
図4は、SPRバイオセンサー表面上に再構築されたロドプシン受容体のシグナリングを示すダイアグラムである。POPC−再構築ロドプシン表面(1)の照射時間(秒)に対して、POPCのみの対照表面(2)におけるシグナルとの関係での相対的な応答(RU)をプロットした。
【0032】
発明の詳細な説明
上述のように、本発明は、基板表面上に支持されたリピドフィルム膜、とくに二重層膜の製造に関する。膜リピドは両親媒性分子であるか、または親水性(水溶性)部分と疎水性(水不溶性)部分からなる両親媒体である。リピドは疎水性部分が中央に向き、親水性部分が膜の2つの表面を形成し、両者で特徴的な二重層を形成する。この二重層では、生体分子たとえばタンパク質またはペプチドが部分的にまたは完全に、それに挿入されて存在してもよい。
【0033】
本発明は、タンパク質またはペプチドを用いまたは用いないで、界面活性剤とリピド混合ミセルを基板表面に付着させ、ついで界面活性剤を実質的に含まない水性液体により界面活性剤を減耗させることによりリピド膜を再構築するという考え方に基づいている。水性溶液中で界面活性剤/リピド混合ミセルを基板表面に接触させると、それらはそれに付着する。適切な界面活性剤/リピド比により、この付着は、付着した界面活性剤/リピド混合ミセルからの界面活性剤の選択的溶出を可能にするのに十分強固で、混合ミセル(および界面活性剤)含有液体の場合でも、実質的に界面活性剤を含まない水性液体たとえば液体の流れによって速やかに置換される。
【0034】
混合ミセル含有液体の実質的に界面活性剤を含まない液体による置換は、基板表面からのミセル含有液体の除去によって、静的なシステム中で実施することもできる。たとえば、ついでピペットにより界面活性剤を含まない液体を基板表面に添加する。別法として、界面活性剤/リピド混合ミセルを有する基板を、他のコンパートメントまたは受容器に移す。しかしながら基板表面からの界面活性剤の減耗は基板表面上を流れる液体によって実施するのが好ましい。
【0035】
タンパク質またはペプチドを、基板表面上に液体フィルムを形成させる前に、基板表面に付着させる場合は、付着した界面活性剤/リピド混合ミセルから界面活性剤を選択的に溶出させる時点で、タンパク質またはペプチドを再構築する。
【0036】
基板表面上に形成されるリピドフィルム膜のタイプ、すなわち単一層か二重層かは、主として、表面の特性に依存する。疎水性基板表面に実施される本発明の方法では通常リピド単一層が製造され、少なくとも現時点で好ましいリピド二重層の形成には、以下に詳細に説明するように、両親媒性の基板表面が要求される。
【0037】
支持されたリピド二重層膜の調製に適用される本発明の操作は、図1A〜1Cに模式的に例示される。界面活性剤とリピドから構成される混合ミセルは、他の場合は親水性のセンサー上の突出した(疎水性の)アルキル基、および固定化膜タンパク質(たとえば、固定化前の受容体タンパク質)の疎水性部分のような他の非極性基に付着する(図1A)。両親媒体(界面活性剤)を含まない液体のフローをセンサー表面に注射した場合、界面活性剤モノマーの濃度は移動相で維持され、混合ミセルからは迅速な界面活性剤の減耗を招来する(図1B)。リピドは表面に付着したままで、二重層構造中に組み込まれ、センサー上の膜タンパク質機能が再構築される(1C)。
【0038】
本明細書において用いられる基板、または支持体の語は、その上にリピドフィルム膜を適用することが望ましい、任意の物体または層を意味する。基板材料の例は、ゲル、ビーズ、ポリマー、静的な疎水性または両親媒性の相などである。基板または支持体の「表面」の意味には、多孔性基板、内部表面も同様に包含される。現時点で好ましい基板はセンサー表面およびクロマトグラフィー粒子である。
【0039】
上述のように基板表面は、形成すべきリピド二重層のためには、両親媒性でなければならない。「両親媒性」の語は、しかしながら、本明細書においては広く解釈される。基本的にはこの語は、部分的に疎水性から部分的に親水性までの範囲の表面を包含する広い範囲内で変動する比において、表面が親水性および疎水性化学構造(すなわち、全分子たとえば生体分子を包含する化学基または残基)でなければならないことを意味する。
【0040】
両親媒性表面の疎水性構造はリピド二重層の疎水性部分と相互作用できる化学的突出部を構成することが好ましい。たとえば、表面は、疎水性残基(たとえば、アルキル基)と混合された親水性残基の自己アッセンブリングされた層を支持する。後者は親水性残基から突出していることが好ましい。上述のように疎水性残基は混合ミセルを接着させる働きを有し、一方、親水性残基は界面活性剤の減耗時にリピド二重層の形成を助ける。
【0041】
上述のように、また以下にさらに説明するように、支持される膜二重層が膜タンパク質またはペプチド(ペプチドの語には、オリゴペプチドおよびポリペプチドを包含する)のような生体分子を含むことが、多くの場合望ましい。このようなタンパク質またはペプチドは、そうでなければ親水性である表面に、両親媒性の特性を提供する化合物種である。たとえば、疎水性タンパク質またはペプチドは、基板表面上に支持された親水性残基の自己アッセンブリングされた層に付着する。別法として、表面の両親媒性特性は疎水性化学基および膜タンパク質またはペプチドの両者によっても提供することができる。
【0042】
「親水性」および「疎水性」の語の意味は本技術分野の熟練者には周知であると考えられる。基本的には、疎水性は水を忌避すること、一方親水性は水を吸引することと定義される。また、親水性および疎水性を平坦な固体表面上における液体小滴の接触角に関して定義することも慣用されている。接触角は3相の境界線において水表面に接触する水平表面から測定される。したがって、親水性液体は親水性表面上で低い接触角を有し、一方、疎水性液体は高い接触角を有する。たとえば疎水性表面は通常40〜110°の範囲の接触角を有し、一方、親水性表面の場合、通常、水との接触角は1〜25°の範囲である。
【0043】
両親媒性基板表面において、疎水性残基に対する親水性残基の至適比は、使用された特定の残基ならびに混合ミセルに依存し、これはそれぞれ特定の場合の熟練者により容易に決定される。
【0044】
現時点で好ましい基板表面は、生物適合性の、多孔性マトリックス、好ましくはある量の疎水性の基を含有するように修飾されたハイドロゲルである。本発明の目的では、「ハイドロゲル」は、結合する分子の表面層を提示し、大分画の水を保持するそれらの化学的性質の理由により、それらの分子は優位に両親媒性で水和された状態にあり、その層の厚さは最低30Åのオーダーから、さらに高い無限の限界までである(Merrill, E. W. ら,1986, Hydrogels in Medicine and Pharmacy, Vol. III, Ed. Peppas, N. A., Chapter I, CRC Press, Inc., Boca Raton, Florida)。ポリマーハイドロゲル上に再構築された膜の形成は本質的に乱れのないリピド二重層の動態を可能にする。このような修飾ハイドロゲルの例は、カルボキシメチル−修飾デキストランポリマーハイドロゲルであり、グルコース残基の実質的な分画はアルキル基によって修飾されている。
【0045】
本発明の付加的な特徴をさらに詳細に説明する前に、ミセル、混合ミセル、リピド、および界面活性剤の語について考察する。
【0046】
「ミセル」は両親媒性分子(両媒体)の凝集体であり、凝集する界面活性剤は、水容量を包含しない。液体中の両媒体の濃度が「臨界的ミセル濃度」またはCMCと呼ばれる臨界値を越える場合に形成される。厳密な定義によれば、CMCは、両媒体の50%がミセルの形態である場合にはその濃度であるが、CMCは最初にミセルが出現した場合の濃度として用いられることが多い。ミセルは通常、球形であるが、また他の形状たとえばロッド型のミセルも、両親媒体が高濃度の場合に、形成されることがある。
【0047】
「界面活性剤」は、広い意味では、液体の表面張力を低下させることができる物質として定義されるが、さらに狭い意味では、精製目的の手段としての表面活性剤に関連する語である。上述のように、界面活性剤は両親媒性であり、ミセルを形成する。それらは陰イオン性、陽イオン性、両イオン性または非荷電である。本発明との関連では、界面活性剤はミセル形成両媒体ということができる。
【0048】
「リピド」は、一般的に長鎖カルボン酸エステルのエステルであり、脂肪、ワックスおよび細胞リピドを包含する。本発明との関連では、リピドは通常、膜リピドであり(細胞および小器官膜)、膨大な多様性を示し、多かれ少なかれ両親媒性であり、とくに以下のクラスを包含する。すなわち、ホスホリピド、リゾホスホリピド、グリコシルジアシルグリセロール、プラスマロゲン、スフィンゴミエリン、ガングリオシド、およびステロールである。細胞リピドの化学構造、および物理学的因子たとえば温度、pHおよびイオン強度に依存して、それらは水性媒体中で様々なタイプの凝集体を形成する。たとえば、リゾホスホリピドはミセルを形成し、一方、一部のホスホリピドはある条件下に二重層を形成する。
【0049】
界面活性剤(または界面活性剤混合物)が膜リピド(またはリピド膜混合物)と共分散されると、交互に二重層になりがちなリピド分子と界面活性剤分子から構成される「混合ミセル」が形成される。上述のように、界面活性剤がミセルから、実質的に界面活性剤を含まない液体の連続フローによって溶出されると、両親媒性支持体上にリピドの二重層が形成される。
【0050】
本発明の再構築の目的に適当なリピドは、本技術分野の熟練者によれば容易に選択可能であり、基本的には、(i)少なくとも15〜40℃の間のいずれかの温度で薄層の凝集体構造を形成し、(ii)或る適当な界面活性剤によって可溶化されて、濁りのないミセル懸濁液を構築することができるようなものである。これらのリピドまたはリピド混合物は、好ましくは、比較的低いCMCを有し、天然もしくは合成リピドまたはそれらの混合物から選択される。
【0051】
一般に、このようなリピドは、天然または合成リピド分子、たとえばグリセロホスホリピド、グリセログリコリピド、スフィンゴホスホリピドおよびスフィンゴグリコリピド、およびホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジル酸、ホスファチジルイノシトール、ガラクトピラノシド、グルコピラノシド、ジガラクトピラノシド、ジグルコピラノシド、セラミド−ホスファチジルコリン、セラミド−ホスファチジルエタノールアミン、セラミド−ホスファチジルセリン、セラミド−ホスファチジルグリセロール、セラミド−ホスファチジル酸、セラミド−ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン分子、グルコシルセラミド、グルコセレブロシド、ガラクトセラミド、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、モノアシルホスファチジルコリン、カルジオリピン分子(長さ3〜30炭素原子の範囲の飽和またはモノ−, ジもしくはポリ不飽和脂肪酸またはフルオロカーボンに連結していてもよく、頭部の基に付着している脂肪酸鎖は同じまたは異なる構造を有することができる)、コレステロール、ラノステロール、エルゴステロール、スティグマステロール、シストステロールおよびリピド膜に導入することができるそれらの誘導体、N,N−ジメチル−N−オクタデシル−1−オクタデカアンモニウムクロリドまたはブロミド、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[2,3−(ジヘキサデシルオキシ)プロパ−1−イル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、ボラアンフィフィル、ポリグリセロールモノアルキルエーテル、ポリエトキシモノアルキルエーテル、および両親媒性ポリマーのクラスからのリポソーム形成分子、アミノ酸、クラウンエーテル化合物およびジ(アシルオキシ)ジアルキルシラン、ならびに上述のリピドの混合物から選択される。
【0052】
このようなリピドの特定の例は、長さ14〜18炭素の範囲のアシル鎖を有するホスファチジルコリン、たとえば、ジ−1,2−ミリストイル−SN−ホスファチジルコリン、ジ−1,2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリン(POPC)および1−ステアロイル−2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリン;グリセログリコリピド、たとえば、ジ−1,2−ミリストイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−ミリストイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロールおよび1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロール;相当するアシル鎖の長さおよび上述の不飽和を有するスフィンゴミエリンである。
【0053】
同様に、本発明における使用に適当な界面活性剤または界面活性剤混合物は、本技術分野の熟練者により容易に選択される。一般に界面活性剤のCMCは比較的高いことが好ましい。すなわち、界面活性剤のCMCは通常少なくとも約1 mMでなければならない。多くの場合、CMCは、たとえば少なくとも10mMより高いことが好ましい。
【0054】
界面活性剤の例には、3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホネート(CHAPSO)、N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−デオキシクロラミド(deoxy-BIGCHAP)、タウロコール酸ナトリウム、コール酸、デオキシコール酸、n−オクチルグルコシド(OG)、n−オクチルチオグルコシド、N−デシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(Zwittergent 3-10)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート (Zwittergent 3-12), オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA-8)、デカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA-10)、6−O−(N−ヘプチルカルバモイル)−メチル−α−D−グルコピラノシド(HECAMEG)、スクロースモノラウレートがある。
【0055】
上に定義した本発明方法における工程c)に従い、混合ミセルからの界面活性剤の選択的溶出は、基本的には界面活性剤およびリピド、それぞれの臨界的ミセル濃度またはCMCの差によって駆動される。したがって一般的には、この差が大きいほどいい。このことは、一般に、移動相における高いモノマー濃度を維持しようとする比較的高い界面活性剤のCMCによるもので、かくして静止相からの界面活性剤の抽出が達成される。
【0056】
混合リピド中におけるリピドに対する界面活性剤の比は、本発明における臨界的な因子である。界面活性剤が多すぎるプレパレーションでは、表面への混合ミセルの付着は貧弱であるかまたは全く起こらない(CMC以上の十分高い界面活性剤濃度の液体は通常、フローセルにおけるセンサー表面から、沈着したリピドを完全に洗い流すために用いられることを銘記すべきすある)。一方、リピドが多すぎるプレパレーションは濁りやすく、徐々に固体支持体に付着して、異常な凝集体構造を形成する。したがって、混合ミセル中のリピド/界面活性剤の比は、固体支持体への最高の付着レベルを達成し、なお澄明で濁りのない溶液を得るために重要である。
【0057】
先行技術における時間を浪費するミセル希釈法では、機能性界面活性剤/リピド比は、希釈時に、リピド二重層の形成を提供するある点に到達する(しかし、大きすぎる希釈工程は小胞の形成を生じる)。これとは対照的に、本発明のアプローチでは、澄明な溶液を与えることが既知の、予め定められた界面活性剤/リピド比での混合ミセルを使用する。これにより、ミセルは表面に、界面活性剤を含まない溶液と接触させた場合に放出されないように十分強固に付着する。
【0058】
所望の比は、CMCを超える過剰の界面活性剤の濃度比、すなわち([界面活性剤]−CMC)/リピドを、固体支持体上に沈着したリピドの量と関係づけることによって決定することができる。至適比は選択された特定のリピドおよび界面活性剤に依存するが、以下にさらに説明するように、本技術分野の熟練者には容易に決定される。通常、上述の比は約0.1〜約100、好ましくは約0.5〜約100、さらに好ましくは約0.5〜約10の範囲である。好ましい実施態様によれば、至適比は約0.5〜約5の範囲であり、たとえば約0.5〜約3の範囲である。これはとくに、オクチルグルコシドおよびPOPCに適用できる。
【0059】
リピド(単数または複数)の濃度は通常、約0.1〜約50mM、好ましくは約0.1〜約10mMの範囲である。
【0060】
界面活性剤(単数または複数)の濃度は通常、界面活性剤約0.5×CMC〜約10×CMC、好ましくは約0.5×CMC〜約5×CMCの範囲である。
【0061】
本発明の方法は一般的に、たとえばリピド(単数または複数)が液体の薄膜相を形成するような温度、すなわちリピド(単数または複数)の主要遷移温度以上の条件で行われなければならない。多くの場合、本方法は、室温での実施が満足できる結果を生じる。
【0062】
「溶出」の語は、本発明においては、基本的に共通に認識される意味で、すなわち吸着された物質の溶媒による吸着体からの除去を意味して使用される。本発明の場合、吸着体は基板表面である。
【0063】
混合ミセルから界面活性剤を溶出させるために使用される液体は、実質的に界面活性剤を含まないものでなければならない。これは、溶出液体は界面活性剤を全く含まないか、
またはその痕跡量を含むのみであることを意味する。溶出液体の他の組成は、本発明方法の特定の適用に依存して変動させることができる。たとえば、クロマトグラフィーへの適用の場合には、溶出液体は慣用されるタイプの溶出液であり、本発明の方法を、フローセルをベースとしたバイオセンサーへの適用に使用する場合には、溶出溶液は慣用される流動緩衝液である。
【0064】
溶出液体は界面活性剤の除去のための移動相を提供することになる。本発明の傑出した特徴は、基板表面上のミセル含有液体を、界面活性剤を含まない液体によって希釈することではなく、それを完全に置換(排除)することである。溶出溶液の流れは実質的に連続していなければならない。すなわち、好ましくは停止してはならない。もし停止したとしても少なくとも長時間ではなく、空気の泡によって中断されてなならない。同様に、溶出時に、液体の流速は変動することはありうるが、流速は実質的に一定であることが好ましい。使用されたフローシステムにとくに依存して広い限界内で変動可能な至適流速は、それぞれの場合の熟練者によって容易に選択される。
【0065】
静止液体中において本発明の方法の工程a)に従って基板表面上に混合ミセルを沈着させ、工程b)のみを流動条件下に実施することもできるが、全操作を連続した液体流を用いて実施することが好ましい。
【0066】
上述のように、本発明の方法はクロマトグラフィーへの適用に使用することもできる。この目的では、リピド二重層膜は、好ましくはマイクロまたはナノ流体学的デバイスのカラムまたはチャンネルの代わりに、疎水性または両親媒性クロマトグラフィー粒子に適用される。後者のタイプのデバイスでは、リピド二重層膜はチャンネル壁に交互に適用できる。
【0067】
しかしながら、現時点では、本発明の方法はバイオセンサーに適用することが好ましい。本技術分野における熟練者には明らかなように、バイオセンサーは興味あるアナライトをもつ微量のサンプル溶液を分析するための分析用デバイスである。アナライトと感受性表面の相互作用が検出デバイスによって検出される。本発明の目的では、バイオセンサーの感受性表面(単数または複数)はフローセル(単数または複数)中に配置するのが好ましい。すなわち、液体の流れが通過する、広くはチャンネル部分(単数または複数)またはコンパートメント(単数または複数)が保持される。
【0068】
多くのクロマトグラフィーならびにバイオセンサーへの適用のために、リピド二重層は生体分子(単数または複数)、通常はタンパク質またはペプチド、好ましくは、いわゆる膜タンパク質を含有することが望ましい。上述のように、タンパク質またはペプチドは、基板表面に沈着させる混合ミセルプレパレーション中に包含させることによって、またはたとえば吸着もしくは共有結合で二重層リピド膜を形成したのち、これにタンパク質またはペプチドを付着させることによってリピド膜に適用することができる。しかしながら、多くの適用では、基板表面上に混合ミセルプレパレーションを沈着させる前に、基板表面にタンパク質またはペプチドを付着させることが好ましい。リピド二重層はその後に、タンパク質またはペプチド分子の周囲に形成させることによって、タンパク質またはペプチドを再構築する。この方法で、高いタンパク質またはペプチド密度が保証される。上述のように、タンパク質またはペプチドはついで、両親媒性表面の単独の疎水性エレメントを構築する。
【0069】
基板表面への生体分子の固定化は、本技術分野において周知の方法により実施される。たとえば、タンパク質またはペプチド上の基は基板上の活性な官能基に直接、たとえば以下の実施例に記載するように、表面カルボキシル基へのアミンカップリングによって結合させることができる。しかしながら少なくとも一部の場合には、生体分子たとえばタンパク質またはペプチドを、たとえばスペーサー、リンカーまたは他のタンパク質またはペプチドのようなカップリンルメンバーを介して基板表面に付着させるのが有利である。このようなスペーサー、リンカー等は本技術分野の熟練者には周知であって、ここでさらに詳細に論ずる必要はないものと考える。さらに特定すれば、特異的結合ペア(sbp)が生体分子を基板表面に付着させるために使用することができる。特異的結合ペアの例には、抗体−抗原、抗体−ハプテン、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)、カルボハイドレート−タンパク質、カルボハイドレート−レシチン、核酸二重鎖、オリゴヌクレオチドペア、オチゴヌクレオチド−ポリヌクレオチドペア、ポリヌクレオチドペアたとえばDNA−DNAおよびDNA−RNA、タンパク質核酸(PNA)ペア、タンパク質−RNA、相互作用ペプチドペア、およびタンパク質金属キレートが包含される。
【0070】
たとえば、G−タンパク質結合受容体(GPCR)は、それらのN−末端グリコシル化で選択的にビオチン化可能で(Bieri, C.ら, Nature Biotech. 17, 1105-1108, 1999)、ついで固定化されたストレプトアビジンにより基板表面上に捕獲される。これはついで、本発明による基板上での再構築いわゆる表面上再構築が行われる。これにより、均一な方向性を有するリピド再構築受容体が与えられ、その細胞内成分との相互作用の研究が容易になる。同様に、ヒスチジンのタグを有するタンパク質またはペプチドは、固定化された金属キレートたとえばニトリロ三酢酸(NTA)ニッケル錯体により基板表面に捕獲される。
【0071】
本明細書で用いられる「抗体」の語は、天然または部分的にまたは全体が合成によって製造された免疫グロブリンを意味し、Fab抗原結合フラグメント、1価フラグメントおよび2価フラグメントを含む活性なフラグメントが包含される。この語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同な結合ドメインを有する任意のタンパク質を包含する。このようなタンパク質は、天然のソースから誘導されるか、または部分的にもしくは全体的に合成することができる。抗体の例は、免疫グロブリンアイソタイプおよびFab、Fab'、 F(ab')2、scFv、Fv、dAb、およびFdフラグメントである。
【0072】
本明細書で用いられる「ハプテン」の語は、大きな分子もしくは細胞にカップリングした場合にのみ、または集合により、免疫応答を励起する低分子種を意味する。しかしながら、免疫後、フリーのハプテンは抗体と反応できる。
【0073】
リピド二重層に異なる(または同じ)タンパク質またはペプチドのアレーを有する基板表面は、これらのタンパク質またはペプチドを基板表面に付着させ、ついで混合ミセルプレパレーションを表面に沈着させることにより、タンパク質またはペプチドを再構築することができる。
【0074】
本発明による「表面上再構築」は、標準操作による可溶性タンパク質と同様な膜タンパク質の処理を可能にする。多かれ少なかれ安定なプロテオリポソームへの再構築を前もって準備する必要はなく、基板表面上の再構築のためにタンパク質が調製される場合には精密な界面活性剤の希釈工程は必要がない。
【0075】
タンパク質またはペプチド以外の他の生体分子を含有するリピド二重層膜が何らかの理由で望ましい場合には、このような分子は、タンパク質およびペプチドについて概述したのと同じ方法で提供することができる。
【0076】
リピド二重層の幾つかの分析的適用ではタンパク質またはペプチドを用いないでリピド二重層を使用する。たとえば、国際特許出願WO 00/79268(この全開示は引用により本明細書に加入される)には、候補薬物をとくにその吸収に関し、すなわち、固定化されたリピドを有するセンサーチップに伴うバイオセンサーのデータから吸収を評価することにより、薬物化合物のその投与部位から全身循環への取り込みに関してアッセイ方法が開示されている。とくに、固定化リポソームと候補薬物との相互作用の分析は、候補薬物が小腸で吸収されるか否かを予測するために使用することができる。本発明の方法は、候補薬物のこのような吸収のアッセイに使用するのが有利である。
【0077】
本発明の方法の大きな利点は、リピドの再構築が達成される敏速性である。すなわち、センサー表面へのリポソームの固定化はかなり時間を要するが、支持体表面上にリピド二重層を形成させる本発明の方法はきわめて短時間に実施される。これはとくに、新鮮なリピド二重層を各アッセイで形成できることを意味し、これは幾つかの理由により望ましい。たとえば偶然導入された空気の泡は、二重層の部分を開裂することがあり、吸収された小分子(候補薬物はしばしば、リガンド結合アッセイにおいて、二重層に結合したままの傾向があるリピド)を完全に洗い流すことができない、などである。以前にはきわめて労力を要し、あるいは不可能であった多くのアプローチが、現在はいずれも可能になり、実施は容易である。これは、標準化される適用要求およびスクリーニングおよびアレーアッセイのような高いスループットのために重要である。
【0078】
上述のように、本発明の方法は、少なくとも現時点では、クロマトグラフィーおよびバイオセンサーへの適用、とくにバイオセンサーへの適用に有用である。バイオセンサーは、様々な検出法に基づくものである。通常のような方法にはそれらに限定されるものではないが、質量検出法たとえば圧電気、光学、熱光学および表面音波(SAW)デバイス法、および電気化学的方法たとえば電位、電気伝導度、電流および電気容量測定法がある。光学的検出方法に関しては、代表的な方法として、質量表面濃度を検出する方法、たとえばいずれも内部および外部反射法、角度、波長または分割された相の測定を包含する反射光学法、たとえば偏光測定法および減衰波スペクトル(EWS)、(後者には表面プラズモン共鳴スペクトル(SPR)測定法、ブルースターの角反射測定法、臨界角反射測定法、フラストレート総反射(FTR)、減衰波偏光、散乱総内部反射(STIR)、光学波ガイドセンサーを含む)、減衰波ベースの画像たとえば臨界角分解画像、スルースター角分解画像、SPR角分解画像等が包含される。さらに、たとえば減衰蛍光(TIRF)およびリン光光学的測定法、ならびにウエーブガイドインターフェロメーターも使用することができる。
【0079】
以下の詳細な説明および実施例においては、本発明は例示のみのために、表面プラズモン共鳴(SPR)スペクトルに関連して説明する。SPRベースのバイオセンサーの1タイプは、Biacore AB(Uppsala, Sweden)からBIACORE(登録商標)の商品名で市販されている(以下、「BIACORE装置」と呼ぶ)。これらのバイオセンサーはSPRベースの質量感受性技術を利用し、表面結合リガンドと興味あるアナライトの間の「リアルタイム」結合相互作用分析を提供する。
【0080】
BIACORE装置には、発光ダイオード(LED)、薄い金フィルムで覆われたガラスプレートを含むセンサーチップ、センサーチップ上を流れる液体を提供するインテグレート液体カートリッジ、および光検出器を包含する。LEDからの入力光はすべてガラス/金インターフェースにおいて内部反射されて光検出器により検出される。ある入射角(「SPR角」)では、表面プラズモン波は金層内にセットアップされ、反射光における強度ロス「またはディップ」として検出される。さらに特定すれば、本技術分野の熟練者には明らかなように、BIACORE装置に関連するSPR現象は、単色光p−偏光の共鳴カップリングに依存し、薄い金属フィルムを経由して、ガラスプレートの他の側における金属フィルムに、プラズモンと呼ばれる伝導電子の振動に投射する。これらの振動は、表面から液体流中へと1波長のオーダーの距離(≒1μm)延長される減衰野を生じさせる。共鳴が起こると、光エネルギーはそこの電子の集約的な励起を通じて金属フィルムに失われ、反射光の強度は、厳密に定義された入射角、SPRで低下する。これは金属表面の近位における減衰野のリーチ内での屈折率に依存する。
【0081】
上に記載したように、SPR角は金層に接近したメジウムの屈折率に依存る。BIACORE装置では通常、金表面にデキストランがカップリングされ、アナライト−結合リガンドはデキストラン層の表面に結合する。興味あるアナライトは溶液の形態で、液体カートリットジによりセンサーの表面に注射される。金フィルムの近位置での屈折率は(i)溶液の屈折率(これは一定である)および(ii)表面に結合した物質の量に依存するので、結合したリガンドとアナライトの間の結合相互作用はSPR角の変化の関数としてモニタリングすることができる。本発明を具現する以下の実施例においては、リピド二重層膜はこのような修飾されたデキストラン層に結合する。
【0082】
BIACORE装置からの典型的な出力は、時間の関数としての応答のプロットである「センサーグラム」(「共鳴単位」または「RU」として測定)である。1,000 RUの増加ハセンサー表面上、約1ng/mm2の質量に相当する。
【0083】
BIACORE装置の技術的態様およびSPR現象の詳細な考察は米国特許5,313,264に見出される。バイオセンサーの感受性表面のマトリックスコーティングに関するさらに詳細な情報は、たとえば米国特許5,242,828および5,36,161に与えられる。BIACORE装置に接続して用いられるバイオセンサーチップの技術的な態様のより詳細な考察は、さらに、米国特許5,492,840に見出される。上述の米国特許の開示はすべて引用により本明細書に加入される。
【0084】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を、限定ではなく例示の目的で、さらに詳細に開示する。
【実施例1】
【0085】
この実施例は界面活性剤とリピドの混合ミセルの調製、センサーチップ表面への混合ミセルの沈着、および界面活性剤の溶出による表面上へのリピド二重層の形成を記述する。BIACORE 3000の装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を用いた。BIACORE装置は、金表面における表面プラズモン共鳴(SPR)検出に基づき、4つの個々に検出される(1個ずつまたは系列で)フローセルを通って通過するサンプルおよび流動緩衝液のためには微小流体工学システムを用い、必要なサンプルは小容量で、精度がきわめて高い。センサーチップにはPioneer Chip L1(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用した。これは、共有結合によって連結されたカルボキシメチル−修飾デキストランポリマーハイドロゲル(グルコース残基の実質的な分画はアルキル基で修飾されている)を有する金表面をもつ(Cooper, M. A.ら, Anal. Biochem. 277, 196-205, 2000)。流動緩衝液はHBS-N(10mM HEPES pH7.4および150mM NaCl)(Biacore AB, Uppsala, Sweden)とした。
【0086】
A.混合ミセルの調製
クロロホルム中10mMの1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)(リピド;Avanti Polar Lipids Inc., Alabaster, Alabama, U.S.A.)を、予めクロロホルムで洗浄した丸底ガラス管にピペットで加えた。溶媒を窒素ガスの気流下に蒸発させ、残った溶媒は減圧下に少なくとも2時間除去した。オクチルグルコシド(OG)(界面活性剤;Sigma, St. Louis, U.S.A.)を0.5M保存液(アリコートを凍結)からHBS-Nおよび水で所望の濃度に希釈し、9mM HEPES pH7.4および135mM NaCl(HBS-OG)を得た。HBS-OGを乾燥リピドフィルムに加え、混合物を室温で、10分ずつ、少なくとも45分間振盪した。この方法で、0.12〜10mM POPCおよび5〜50mMオクチルグルコシドの多くの組み合わせが調製された。プレパレーションは肉眼で濁りをチェックした。
【0087】
B.リピド膜の表面再構築
L1−表面を5回20mMの3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸(CHAPS)(Sigma, U.S.A.)の30秒注射によってコンディショニングしたのち、混合ミセル(上記工程Aに記載のように調製)をBIAGORE 3000に8分間(至適化時、他の場合は1分)5μL/分で注射した。フローシステムの洗浄は注射後2分遅れて実施した。リピドの沈着量データは注射終了後100秒収集した。センサー表面は20mM CHAPSまたは至適には50mMオクチルグルコシドの1分間注射を2回行って再生した。結果は図2および3に示す。
【0088】
図2にみられるように3群のサンプルが同定できた:(1)POPCの結合が全くない界面活性剤に富んだ澄明なプレパレーション;(2)リピドに富んだリポソーム捕獲曲線と類似の外観を呈する遅い会合曲線で強固に接着する濁ったサンプル(Cooper, M. A.ら, 前出;Erb E.-M.ら, Anal. Biochem. 280, 29-35, 2000);および(3)オクチルグルコシドの最初の溶出および高いPOPCの沈着を招き、きわめて急峻な会合および解離曲線を有するが、注射後有意な持続するベースラインの上昇を示し、平衡の取れた澄明なプレパレーションである。残ったシグナルの上昇は、大部分センサー表面に沈着したPOPCによって生じるものと思われる。この背後にある機構は次のように説明することができる。すなわち、適切な組成の混合ミセルは、注射時、きわめて迅速に両親媒性表面に接着する。注射が終結し、界面活性剤を含まない緩衝液がフローセルを通して流された場合、混合ミセルは両親媒性のハイドロゲルに接着したままであるが、オクチルグルコシドはモノマー濃度を保持しようとして急速に枯渇した。POPCミセルが界面活性剤を含まなくなるので、それらは融合して連続的なリピドフィルムを形成する。この種の再構築は装置の流体工学的効率に有利になる。0.1mg/mLのBSA注射は、表面が、LUV(大きな単一の薄層小胞)で飽和されているので、Pioneer Chip L1表面はBSAの結合から良好に保護された。これは、至適沈着レベル、約5000 RUが二重層の理論的レベル、4600RU(Cooper, M.A.ら,前出;Cooper M.A.ら, Biochem. Biophys. Acta 1373, 101-111, 1998;およびSevin-Landais, A.ら, Biophys. Chem. 85, 141-152, 2000)に近いという事実とともに、結果は、全センサー表面を覆う連続的な二重層であることを支持する。
【0089】
混合ミセル中のリピドに対する界面活性剤の比はサンプルが上記3群のいずれに属するかの決定に主要な因子であるように思われる。([オクチルグルコシド]− CMC)/[POPC]比が注射後に沈着したPOPCの量に関連する場合には、図3に例示されるように、混合ミセル中POPCあたり0.5〜3オクチルグルコシド分子が至適であるように思われる(ダイアグラム中には澄明なプレパレーションのみが包含される)。この式は界面活性剤のCMCおよびかなり変動できる当面のリピド混合物の溶解性に依存する(Schurholz, T. Biophys. Chem. 58, 87-96, 1996)ので、組成の細かい調整が各場合について実施されなければならない。この場合、最善の混合物は3.3mM POPCおよびオクチルグルコシドであることが見出された。界面活性剤は注射後、急速に枯渇させることもきわめて重要であるように思われる。オクチルグルコシドを様々な濃度で流動緩衝液中に包含させたが、沈着は全く起こらず、またシステムがきわめて不安定になることもなかった。
【0090】
POPC以外のリピドをそれ単独でまたはPOPCとの混合物として使用する場合は、至適 ([オクチルグルコシド]− CMC)/[POPC] 比のシフトが検出された。しかしながら、大部分の変数は、表1に示すように、純粋なPOPCにより可能な限り高いリピドの沈着レベルを仲介することができた。
【0091】
【表1】
Figure 2004527740
【実施例2】
【0092】
この実施例は、センサー表面へのロドプシンの(G−タンパク質結合受容体;GPCR)の固定化および表面上にリピド二重層の形成によるタンパク質の再構築を記述する。ロドプシンの機能はそのシグナリング能力(トランスデューシンの活性化)のアッセイにより試験した。BIACORE 3000およびBIACORE X装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用した。センサーチップにはPioneer Chip L1を使用した(上記実施例1参照)。
【0093】
A.ロドプシンの固定化
BIACORE 3000またはBIACORE X(Biacore AB, Uppsala, Sweden)にドッキング後、センサーチップPioneer Chip L1(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を最初、20mM CHAPS(Sigma, U.S.A.)を1分間2回注射して洗浄した。Pioneer Chip L1上のカルボキシメチル−修飾デキストランポリマー(部分的にアルキル基で置換)を、0.2M N−エチル−N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)および50mM N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の注射で7分間活性化した。流す緩衝液は上記実施例1と同じにした。ロドプシン(Andreas von Usedom博士,Institute for Medical Physics and Biophysics,Humboldt University, Berlinから入手)は20mM BTP、130mM NaCl、1mMMgCl2、53mMオクチルグルコシドおよび200mMα−メチルマンノピラノシド中61μMで保存し、10mMマレエートpH6.0および20mMオクチルグルコシド中0.61μMに希釈した。希釈シタロドプシンを最小14分間注射し、ついで表面を0.96Mのエタノールアミン塩酸塩pH8.5および20mMオクチルグルコシド(Sigma, St. Louis, MO, U.S.A.)で7分間ブロックした。
【0094】
固定化レベルに生じた上記ロドプシンのアミンカップリングはL1チップ上4000 RUに近く、これはロドプシンの4ng/mm2(Stenberg, Eら, J. Colloid Interface Sci. 143, 513-526)または0.1pmol/mm2に相当する。アミンカップリングは部位特異的ではなく、タンパク質上任意の遊離アミノ基を包含できる(大部分はリジン残基)ので、ロドプシンはチップ表面で均一な方向に配置されているわけではない。しかしながら、ロドプシンの大部分のリジンは、配列ベースの構造モデルによれば、C−末端側(細胞質ゾル側)に位置する(Hargrave, P. A. ら, Biophys. Struct. Mech. 9, 235-244. 1983)。したがって、C−末端側が多分、結合部位として勝っていて、好んで外側を外方向保持しているものと思われる。
【0095】
B.リピド二重層の形成によるロドプシンの再構築
上記工程Aで得られた固定化ロドプシンは直ちに、上記実施例1で調製したHBS-N中、混合ミセル、3.3mM POPCおよび25mMのオクチルグルコシドの2分間注射によって再構築した。約4500 RUのPOPCを沈着させた。非修飾Pioneer Chip L-1表面を有する対照フローセルでは約5000 RUのリピドが同時に沈着した。ロドプシンフローセルに結合したリピドの量が常に少ないことは、多分、固定化されたタンパク質によって空間が占拠されていることよるものであり、これはリピドおよびタンパク質が互いに近くに共存することを指示する。
【0096】
この方法で沈着されたリピドは、50mM オクチルグルコシド1分間の2回の連続注射により完全に除去できた。ついで、25mMオクチルグルコシド中3.3mMのPOPCを新たに1分間注射により再補充した。これは、除去および再補充の10サイクル時に達成されるきわめて安定な応答によって指示された。
【0097】
C.ロドプシン機能のアッセイ
免疫処置および上記工程AおよびBに記載のようなリピドを補充後に、ロドプシンがネイティブな機能性のコンフォーメーションを有するか否かを判定するために、そのシグナリング能力をアッセイした。ロドプシンが光によって活性化された場合、そのシグナルはトランスデューシンの活性化によって伝達される。活性化されたトランスデューシンは、GTPの消費下に膜から解離される(Heyse, S.ら, Biochemistry 37, 507-522, 1998)。
【0098】
活性化されたロドプシンによるトランスデューシンの解離は、フローセルの照射のために光ファイバーが挿入されたBIACORE X装置で実施した。装置の温度は20℃にセットした。操作はすべて安全赤色光下に行った。等容量11.6μMのトランスデューシン(Andreas von Usedom博士, Institute for Medical Physics and Biophysics, Humboldt University. Berlinから入手)および1mM GTP(いずれも20mM BTP、130mM NaClおよび1mM MgCl2中に保存)を、3容量のHBS-MDE(10mM HEPES pH7.4および150mM NaCl、1mM MgCl2、1mM DDTおよび0.2μM EDTA)と混合し、両者の5倍希釈液を得た(2.3μMトランスデューシンおよび200mM GTP)。
【0099】
この溶液を手動様式で、ロドプシンおよび対照フローセルの両者に5L/分の速度で注射した。注射時に、トランスデューシンはロドプシン−POPC表面およびPOPC対照表面の両者に容易に結合したが、注射は、表面から流動する緩衝液の移動相へのきわめて迅速な解離を終結させた。活性なトランスデューシンの解離を検出するために、注射時に最大結合で流れを停止させた。図4は、POPC対照表面のシグナルに比較したPOPC−ロドプシン再構築表面のシグナル応答を示す(曲線1)。フローは450秒間停止させた(図4)。フローの停止から数分後、902秒に(図4)、結合トランスデューシンレベルは対照およびロドプシンフローセルの両者で安定した。ついで、フローセルをOcean Optics 5Wハロゲンランプで光ファイバーを介して照射した。受容体の活性化は膜からの活性化トランスデューシンの解離によって生じる表面の質量低下として記録された。この低下は対照フローセルまたはGTPの不存在下には観察されなかったので、それが受容体のシグナリング能力を発揮させるものと結論された。シグナルの低下が有意に平行になったのち、フローを再開し、注射を終結させた(図4)。ロドプシンをセンサー表面に再負荷する場合は、HBS-MDE 10μMおよび0.7%DMSO中9−シス−レチナール(Sigma, St. Louis, MO, U.S.A)を13分間、両フローセルに注射した。膜に結合したレチナールは次ラウンドのアッセイの前に約40分間解離させた。
【0100】
ロドプシンの持続的な照射および一夜のインキュベーション後に、受容体のシグナリング能力は消失した。しかしながら、10μMの9−シス−レチナルの注射後にはシグナリング能力の回復が検出された。これはまた、ここに提示した方法により再構築した場合には、受容体のリガンド結合能力が保持されることを示した。
【0101】
これらの結果から、ミセル環境におけるロドプシンは、タンパク質の固定化に通常用いられるプロトコールによって、機能の不可逆的な喪失を生じることなく、Pioneer Chip L1チップ表面に共有結合により結合できると結論された。ロドプシンはそのリピド環境に感受性であり(Brown, M.F. Chem. Phys. Lipids 73, 159-180, 1994)、ホスホリピドでの再構築を要求する(Bubis, J. Biol. Res. 31, 59-71, 1998)から、実施例1および2に記載されたリピド沈着法は一般的に、両親媒性表面上におけるタンパク質膜の機能性再構築に使用できると結論された。この方法はまた、一般的に、フローシステムの両親媒性表面上におけるリピド二重層の構築に使用可能であり、またクロマトグラフィーカラムに適用できる。
【0102】
以上、例示の目的で、本発明をその特定の実施態様についてここに説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明には様々な修飾か可能であることは理解されるものと考える。したがって、本発明は前述の特許請求の範囲による以外には限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】A〜Cは、固定化されたタンパク質を有する両親媒性バイオセンサーの感受性表面に界面活性剤/リピド混合ミセルを沈着させ、ついで界面活性剤を溶出させてリピド二重層を形成させた膜タンパク質再構築の模式的な例示である。
【図2】SPR−バイオセンサー装置のフローセル中に注射された3種の様々な混合物におよる、応答(RU)対時間(秒)を示すセンサーグラムである。
【図3】界面活性剤/リピド混合ミセルの水性サンプルに通過させた場合、センサー表面上のリピドの沈着レベルに対して、リピド(POPC)濃度と界面活性剤(OG)およびとそのCMC濃度間の差の比をプロットしたダイアグラムである。
【図4】SPRバイオセンサー表面上に再構築されたロドプシン受容体のシグナリングを示すダイアグラムである。POPC−再構築ロドプシン表面(1)の照射時間(秒)に対して、POPCのみの対照表面(2)におけるシグナルとの関係での相対的な応答(RU)をプロットした。

Claims (47)

  1. リピド膜構造を支持する基板表面を製造する方法において、
    a)基板表面を界面活性剤/リピド混合ミセルを含有する水性液体に接触させて界面活性剤/リピド混合ミセルを基板表面に接着させる工程、および
    b)接着した界面活性剤/リピド混合ミセルを有する基板表面を実質的に界面活性剤を含まない水性液体に接触させ、接着した混合ミセルから界面活性剤分子を溶出させ、残ったリピド分子を基板表面上のリピドフィルム膜構造に組み込ませる工程
    からなる方法。
  2. 工程b)において、基板表面を水性液体の液流と接触させて界面活性剤分子を溶出させる請求項1に記載の方法。
  3. 液流は実質的に連続している請求項2に記載の方法。
  4. 上記液流の速度は、溶出の間中、実質的に一定である請求項3に記載の方法。
  5. 工程a)において、基板表面を、界面活性剤/リピド混合ミセルを含有する水性液流と接触させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 液流は実質的に連続している請求項5に記載の方法。
  7. 液流の速度は実質的に一定である請求項6に記載の方法。
  8. 基板表面はフローセル中に提供される請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 基板表面はフローセルの内部表面の部分である請求項8に記載の方法。
  10. 基板表面はクロマトグラフィーシステム中に提供される請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. クロマトグラフィーシステムはクロマトグラフィー粒子からなる請求項10に記載の方法。
  12. 基板表面はバイオセンサーの検知表面である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程a)に先立ち、基板表面はその上に固定化された生体分子、とくにタンパク質またはペプチドを有し、生体分子は工程b)において再構築される請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 異なる生体分子が基板表面のそれぞれの異なる部分に、工程b)の後に基板表面が再構築された生体分子のアレーを示すように付着される請求項13の方法。
  15. 生体分子はカップリングメンバーを介して基板表面に付着される請求項13または14に記載の方法。
  16. カップリングメンバーはスペーサー、リンカー、タンパク質およびペプチドから選択される請求項15に記載の方法。
  17. それぞれの生体分子は特異的結合ペアを介して基板表面に固定化され、特異的結合ペアの一メンバーは基板表面に付着され、特異的結合ペアの他のメンバーは生体分子の部分であるかまたはそれに付着されている請求項13または14に記載の方法。
  18. 基板表面に付着している特異的結合ペアのメンバーは、生体分子に向けられた抗体である請求項17に記載の方法。
  19. 基板表面に付着している特異的結合ペアのメンバーはアビジンまたはストレプトアビジンであり、生体分子はビオチン化されている請求項17に記載の方法。
  20. 基板表面に付着している特異的結合ペアのメンバーは金属キレートであり、生体分子は隣接ヒスチジン残基を含有する請求項17に記載の方法。
  21. 工程a)において基板表面は、工程b)において再構築される生体分子を含有する液体と接触させる請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 基板表面はハイドロゲルからなる請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. ハイドロゲルはデキストランポリマーからなる請求項22に記載の方法。
  24. 工程a)における基板表面は両親媒性である請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 両親媒性の基板表面は疎水性化学基を含有するハイドロゲルからなる請求項24に記載の方法。
  26. ハイドロゲルは、カルボキシメチル−修飾デキストランポリマーハイドロゲルからなり、修飾されたグルコース残基の分画はアルキル基で置換されている請求項25に記載の方法。
  27. 基板表面は疎水性生体分子からなり、両親媒性基板表面は上記生体分子によって両親媒性にされる他は親水性表面からなる請求項24に記載の方法。
  28. 生体分子は膜タンパク質またはペプチドである請求項27に記載の方法。
  29. 両親媒性の基板表面は共存する疎水性化学基および疎水性生体分子によって両親媒性にされる親水性表面からなる請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. リピド二重層膜構造は基板表面に形成される請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 比([界面活性剤]−CMC)/[リピド]は約0.1〜約100、好ましくは約0.5〜約100、さらに好ましくは約0.5〜約10、特に約0.5〜約5の範囲である請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. リピドはグリセロホスホリピド、グリセログリコリピド、スフィンゴホスホリピドおよびスフィンゴグリコリピド、およびホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジル酸、ホスファチジルイノシトール、ガラクトピラノシド、グルコピラノシド、ジガラクトピラノシド、ジグルコピラノシド、セラミド−ホスファチジルコリン、セラミ−ドホスファチジルエタノールアミン、セラミド−ホスファチジルセリン、セラミド−ホスファチジルグリセロール、セラミド−ホスファチジル酸、セラミド−ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン分子、グルコシルセラミド、グルコセレブロシド、ガラクトセラミド、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、モノアシルホスファチジルコリン、カルジオリピン分子(長さ3〜30炭素原子の範囲の飽和またはモノ−, ジもしくはポリ不飽和脂肪酸またはフルオロカーボンに連結していてもよく、頭部の基に付着している脂肪酸鎖は同じまたは異なる構造を有することができる)、コレステロール、ラノステロール、エルゴステロール、スティグマステロール、シストステロールおよびリピド膜に組み込むことができるそれらの誘導体、N,N−ジメチル−N−オクタデシル−1−オクタデカアンモニウムクロリドまたはブロミド、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[2,3−(ジヘキサデシルオキシ)プロパ−1−イル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、ボラアンフィフィル、ポリグリセロールモノアルキルエーテル、ポリエトキシモノアルキルエーテル、および両親媒性ポリマーのクラスからのリポソーム形成性分子、アミノ酸、クラウンエーテル化合物およびジ(アシルオキシ)ジアルキルシランである天然または合成リピド分子、ならびにそれらの混合物から選択される請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. リピドは、ジ−1,2−ミリストイル−SN−ホスファチジルコリン、ジ−1,2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリン(POPC)および1−ステアロイル−2−オレオイル−SN−ホスファチジルコリンを含む長さ14〜18炭素の範囲のアシル鎖を有するホスファチジルコリン;ジ−1,2−ミリストイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ジグルコピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−ミリストイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロール、ジ−1,2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロールおよび1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ジガラクトピラノシル−SN−グリセロールを含むグリセログルコリピド;相当するアシル鎖の長さおよび不飽和を有するスフィンゴミエリン;ならびにそれらの混合物から選択される請求項32に記載の方法。
  34. 界面活性剤は、3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホネート(CHAPSO)、N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−デオキシクロラミド(deoxy−BIGCHAP)、タウロコール酸ナトリウム、コール酸、デオキシコール酸、n−オクチルグルコシド(OG)、n−オクチルチオグルコシド、N−デシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(Zwittergent3-10)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(Zwittergent 3-12)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA-8)、デカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA-10)、6−O−(N−ヘプチルカルバモイル)−メチル−α−D−グルコピラノシド(HECAMEG)、スクロースモノラウレート、およびそれらの混合物から選択される請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 界面活性剤/リピド混合ミセル含有水性液体中におけるリピドの濃度は約0.1〜約50mM、好ましくは約0.1〜約10mMである請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 界面活性剤/リピド混合ミセル含有水性液体中における界面活性剤の濃度は、界面活性剤について約0.5×CMC〜約10×CMC、好ましくは約0.5×CMC〜約5×CMCである請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. タンパク質の機能を再構築するための請求項1〜36のいずれか1項に記載の使用。
  38. 請求項1〜36のいずれか1項に記載のように調製された液体フィルム膜構造を支持する基板表面。
  39. 請求項1〜36のいずれか1項に記載のように調製された液体フィルム膜構造を支持する基板の、それと分子の相互作用を研究するための使用。
  40. 膜会合タンパク質またはペプチドとの相互作用を研究するための請求項39記載の使用。
  41. 膜吸収の研究のための請求項39に記載の使用。
  42. 薬剤のスクリーニングのための請求項39〜41のいずれか1項に記載の使用。
  43. 親水性化合物で修飾されたハイドロゲルからなり、特異的結合ペアの一方のメンバーはハイドロゲルに固定化し、特異的結合ペアの他のメンバーは表面上に再構築されるタンパク質またはペプチドに結合するかまたはその部分である、タンパク質またはポリペプチドの表面再構築に使用するための基板表面。
  44. ハイドロゲルはリピド基、特にアルキル基で置換されたグルコース残基を有するカルボキシメチル化デキストランからなる基板表面。
  45. 固定化された特異的結合ペアのメンバーは抗体、好ましくはモノクロナール抗体である請求項43または44に記載の基板表面。
  46. 固定化された特異的結合ペアのメンバーは、アビジンまたはストレプトアビジンである請求項43または44に記載の基板表面。
  47. 固定化された特異的結合ペアのメンバーは、金属キレートである請求項43または44に記載の基板表面。
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