JP2004526168A - 効率的位相欠陥部検出システムおよび方法 - Google Patents

効率的位相欠陥部検出システムおよび方法 Download PDF

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Abstract

複数の改変された放射収集技術に基づく光学技術を利用することにより、位相シフタ内のエラーや欠陥部に関連するフォトマスクの検査能力が大幅に向上する。特に、本発明の装置および方法により、格子線などの規則的な振幅物体の存在時にも、位相シフタ内のエラーのさらに精密な検出が可能となる。一実施形態では、同一のフォトマスク位置に対応する位相物体のわずかに焦点をずらした2つの像の強度が比較される。第2の実施形態では、2つのゼルニケ点像分布関数を持つ放射を利用してわずかに異なる位相に対して高い感度を示す2つの像が得られる。この方法を用いて収集され、解析されるデータは、従来技術の検査システムに比べて、位相物体並びに位相物体のエラーに対する高い感度を示す。実施形態には、走査形光学アーキテクチャと投影形光学アーキテクチャの双方のアーキテクチャが含まれ、試料により透過あるいは反射される放射を利用することも可能である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光学検査システムに関し、詳細には光学マスク、レチクル等に生じ得る欠陥部の検出や類別を行うための自動化されたフォトマスク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、半導体基板やウェハ上に形成される導体、半導体および絶縁体の3次元構造から構成される。集積回路の製造工程は、一般に複数の処理ステップを必要とし、この処理ステップには、フォトリソグラフィを用いてウェハ面へパターンを繰り返し転写するステップが含まれる。経済的な歩留まりで半導体機能素子を製造するために、精密かつ欠陥のない各ステップの実行がメーカーにとって必須となる。
【0003】
フォトリソグラフィを利用して、フォトレジストで被覆されたウェハを光強度パターンに露光し、フォトレジストの現像により、このパターンのウェハへの転写が行われる。光学波面を持つ入射光ビームの変更からフォトマスクやレチクルを用いてこの光強度パターンが形成される。フォトマスクには、反射、透過、吸収あるいはこれらの任意の組み合わせによって入射ビームの振幅および/または位相を変える光学特性の変動値が含まれる。次いで、光はウェハ上へ投影され、必要な強度パターンが形成される。1つのタイプのフォトマスクの特徴として、照射ビームの振幅すなわち強度を変更する振幅物体が挙げられる。透過フォトマスクの場合、金属皮膜の不透明層が振幅物体の一例として挙げられる。
【0004】
第2のタイプの特徴として、照射ビームの位相や光学波面の位相分布を変更し、それによって、ウェハ上に投影する像内に望ましい強度分布を生じる位相物体が挙げられる。透過フォトマスク上の変動する厚さからなる透明層は、位相シフト物体(すなわち、“位相シフタ”)の一例である。位相シフトマスク(PSM)は、マスク上に位相シフタのパターンを有し、このマスクは、結果として位相変動から成る照射ビームを生じる。実際には、PSMは、位相物体か、振幅と位相物体との組み合わせかのいずれかを含む場合もあれば、選択波長での位相変動と振幅変動とを同時に誘起する減衰された位相物体を含む場合もある。透過光PSMの場合、位相物体は、フォトマスク(通常、融解石英板)の厚さを変えた物体であってもよい。フォトマスクからウェハへ光が進行するにつれて、照射ビームの別様に位相シフトされた部分間で干渉が生じる。システム光学系には照射光源とフォトマスクとが含まれ、ウェハ上に明暗領域からなる干渉縞が生じる。
【0005】
半導体産業のロードマップは、半導体ウェハにおける臨界寸法(CD)の縮小を必要とする。位相シフトマスク技術によってさらに微細なCDが可能となり、照射ビームの波長の短縮や、ウェハステッパの対物レンズの開口数の増加のような他のアプローチと共にこの技術はますます利用されている。PSM上のほとんどの欠陥部は、特定の半導体素子内のすべてのウェハ上に自身をプリントする(例えば、自身を複製する)ので、PSM上の位相欠陥部の検査は高い歩留まりの達成にとってきわめて重要なものとなる。半導体産業では、現在PSMのさらに微細なCDの利用技術を開発中である。これらの技術には、フォトマスクの形成能力、並びに、フォトマスクを利用し、検査するための補助装置と技術とが含まれる。特に、市販のほとんどのフォトマスク検査装置は、例えば、Wihlらに付与された米国特許第5,572,598号(特許文献1)と第6,052,478号(特許文献2)などに記載のような、PSMの利用が広く普及する以前に設計されたものである。
【0006】
本願明細書では、位相物体を含むマスクの検査が特に関心の対象となる。位相マスクの検査は、位相エラーの検出と類別と、位相シフタの振幅エラーと、隣接特徴の振幅エラーと、コンテキストとを含むことが望ましい。フォトマスク検査機器では、波長での光学検査と、意図されたステッパの構成とは異なる光学的構成での光学検査とが行われるので、これらの検査の相違点を考慮に入れておく必要がある。
【0007】
位相物体の光学検査は、技術的に挑戦的な検査である。純粋な位相物体は、位相の変化によって入射光の電磁場を変えるものであって、強度の電磁場を変えるものではない。ほとんどの検出器が強度の変動に反応するので、位相物体を直接測定することが難しくなる場合がある。振幅物体の存在時に位相物体の検出を行うことはさらに挑戦的なことである。マスク上に含まれる多量の情報量、すなわち書き込み用の1015を越える画素と、6インチマスクの検査用の1012を越える画素とに起因して、自動化されたマスク検査システムが利用される。
【0008】
本願明細書では、欠陥部とは、フォトマスクの製造中に生じた、意図したフォトリソグラフィ・パターンに対する所望しない変更部分として、あるいは、フォトマスクの使用の結果生じた変更部分として定義される。欠陥部が発生する原因と考えられるものとして、不透明層の存在を意図していたフォトリソグラフィ・パターン領域にこの層の一部が存在していないこと、不透明層の存在を意図していなかったフォトリソグラフィ・パターン領域にこの層の一部が存在していること、フォトマスクの光透過特性の所望しない局在的変更を引き起こすフォトマスクの製造工程から出る化学薬品によるステインや残留物、ダスト、レジストフレーク(resist flake)、洗浄用残留物などの微粒子による汚染、静電放電に起因して生じるフォトリソグラフィ・パターンの侵食(erosion) 、ピット(pit) 、スクラッチ(scratch) 、筋(striation) などのフォトマスク基板内のアーティファクト、基板や不透明層内の局在する光透過エラーなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
位相シフトフォトマスク検査システムは、市販品として成功するためのいくつかの要件を満たすことが望ましい。これらの要件には次の能力が含まれる。すなわち、適正な時間内に約1012個の画素間の欠陥部を検出し、報告すること,個々の画素に対する透過と位相の双方のレンダリングをPSMのデータベース像から行うことにより、グレー・スケールアルゴリズムを用いて単一の大きなダイを検査すること,大きな(脱落シフタの)および小さな(サブ解像度の)位相欠陥部に対する感度を持つことを含む多重解像度を処理すること,可能なコンテキスト情報を処理すること,位相エラーのオフ−波長検査を考慮すること,振幅物体と位相物体間の識別を行うことなどの各能力が含まれる。半導体製造における利用以外に、生物学領域や医療領域のような他の分野でも位相結像光学系は重要である。
【0010】
上述のリストした要件の若干を処理する従来技術におけるPSMのためのいくつかの結像光学系と検出システムについて説明した。以下の解説は、マスク検査システムにおいて有益な、対象物体に関する位相情報を得るための周知の技術のうちのいくつかの技術に関する情報を提供するものである。
【0011】
差動干渉コントラスト法では、直交偏光され、横方向からオフセットされるスポットに対する干渉により位相物体の検出が行われる。位相欠陥部により、ノマルスキー顕微鏡などの場合におけるような像の強度差として検出される変更された光の偏光状態の変化が生じる。干渉法は非常に高い精度を有し、絶対位相の測定が可能である。しかし、実際には、一般に、非常に高度のアラインメントと、光学波面品質と、実施するのに禁止事項が多かったり、極端に高いコストを必要とする系の振動要件が干渉法には伴う。その他の問題点として、情報量という問題と、ノマルスキー法の場合、マスク上のクロムによりブロックされる可能性がある基準ビームを必要とするという問題がある。
【0012】
差動位相コントラスト法(詳細については、D. K. HamiltonおよびC. J. R. Sheppard, J. 著,顕微鏡法133,27(1984年)(非特許文献1))とは、スキャナの場合、スプリット検出器やカッド(quad)検出器を用いて測定可能な結像光学系の瞳面(pupil plane) における結果として得られる強度差により物体の位相勾配を確定する方法である。この方法の感度は、スプリット検出器に対する位相物体の相対的な配向に左右され、脱落した欠陥部が結果として生じる可能性がある。
【0013】
ゼルニケ位相コントラスト法では、90°のシフトされた環状/瞳面フィルタが用いられ、0次角周波数に対して1次周波数がシフトされ、弱い位相変動が強度の変動として可視となる。強い位相特徴を持つ物体の場合、位相シフトマスクにおける場合のように、各種瞳面フィルタにより、より良好な感度の形成が可能となる。これに対して、ゼルニケ様結像光学系では、位相エッジ像内にフリンジが生じるため、これらの系は、ダイからデータベースへの(D:DB)検査でデータベースレンダリング処理を行うことが困難である。
【0014】
焦点をずらす結像アプローチでは、焦点ずらし光学系を用いて像の形成が行われる。例えば、本願明細書の残り部分において、S&Wとして示されるC. J. R. Sheppard とT. Wilson 著,王立ロンドン哲学会報協会(Phil. Trans. Roy. Soc. Lond.),295,513(1980年)(非特許文献2)を参照されたい。焦点をずらすことにより、結果として位相変動を振幅変動へ変換する虚の伝達関数が生じる。位相シフトマスクの検査を行うための従来技術による焦点をずらす結像法には、恣意的な(すなわち、非反復の)位相パターンの処理能力がなく、位相エラーを確定するための基準測定値を必要とし、この結像法は結像光学系で解析可能な物体に限定される。
【0015】
航空機搭載の結像では、ステッパの結像用パラメータが欠陥部検出システムでマッチングされ、その結果、位相シフタに関する情報が得られる。この結像法は、個々の位相シフタを解析しない低解像度の手法であり、高速の結像光学系で実施するには、困難で、コストのかかる非常に高い信号対雑音比が要求される。
【0016】
マッハ・ツェンダー干渉計は、マスク内の位相遅れを外部の基準ビームの位相と比較する干渉形の位相検出アプローチである。他の干渉方法の場合と同様、マッハ・ツェンダー法には、アラインメントと、光学波面品質と、実施するのに禁止事項が多かったり、極端に高いコストを必要としたりする系の振動要件とが含まれている。
【0017】
フォトマスク上の位相欠陥部を検出する際の若干の問題点が、上述したシステムと方法とにより処理されたとはいえ、適正なコストで実現できる、効率的で、非常に敏感なフォトマスク用位相欠陥部検出システムに対する大きな要望がまだ存在する。特に、位相欠陥部の存在の(特に、振幅物体の存在時に)検出が可能で、かつ、欠陥部の類別に使用可能なフォトマスク検査システムに対する要望が存在する。
【特許文献1】
米国特許第5,572,598号
【特許文献2】
米国特許第6,052,478号
【特許文献3】
米国特許第5,144,483号
【特許文献4】
米国特許第4,995,714号
【特許文献5】
米国特許第4,338,005号
【非特許文献1】
D. K. HamiltonおよびC. J. R. Sheppard, J. 著,顕微鏡法133,27(1984年)
【非特許文献2】
C. J. R. Sheppard とT. Wilson 著,王立ロンドン哲学会報協会(Phil. Trans. Roy. Soc. Lond.),295,513(1980年)
【非特許文献3】
Margaret Farley-BornおよびEmil Wolf 著,光学の原理,第7(拡張)版,1999年,p.472
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、位相物体と振幅物体内の位相情報を光学的に測定するための新規の方法およびシステムを提供するものであり、この方法およびシステムには、従来技術の方法に優る多くの利点、特にフォトマスクや、位相物体を持つ別のアーティクルを効率的に検査できる利点が含まれている。特に、1以上の別様に相互作用する照射ビームを用いてアーティクルを検査する本願の系によって、従来技術による位相物体検出の多くの制限が克服される。本発明では、位相物体の存在に応じてビームの位相を変えるフォトマスクや別のアーティクルの同じ領域を照射するとき、反射ビームや透過ビーム、あるいは、一般に相互作用ビームや変更済みビームは2以上の異なる応答を生じる。これら2以上の応答を解析して、様々な位相情報を含む2以上の信号が出力される。これら2以上の応答は、ビームとアーティクルとの相互作用から同時にまたは逐次生成されるものであってもよい。
【0019】
また、本発明は、振幅情報から位相情報を取り出すことにより、ビームと物体との相互作用により生成される様々な位相情報を含む2以上の信号を解析することによって、位相物体を持つアーティクルの検査方法とシステムとを提供するものでもある。このような結果をもたらす本システムは、振幅物体の存在時に位相物体を非常に敏感に感知し、光学系を大幅に複雑にする必要もない。例えば、位相シフトフォトマスクには、通常振幅物体が含まれるため、本発明では、フォトマスク上の位相物体と位相欠陥部の検出が大幅に単純化されることになる。さらに、本発明の光学的構成は、従来技術の干渉方法と比較して、アラインメントの変動と、光学波面品質の変動とに対して特に寛大である。また、本発明は、半導体フォトマスクで生じる恣意的な(すなわち、非反復の)位相パターンの処理能力を備えているという点で他の技術とは区別される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一実施形態では、位相物体との照射ビームの相互作用と、位相物体に対する変更とからの結果として生じる2以上の信号を発生させることにより、位相物体を持つアーティクルが検査される。位相物体と振幅物体に対して異なる合焦ベース光学系とゼルニケベース光学系とを持つ系を含むシステム(但し、これらのシステムに限定されるものではない)を用いて2つの信号を発生させ、信号処理技術を用いて、一方の物体の存在時に他方の物体を検出することが可能となる。別の実施形態では、別様に相互作用するビームを用いて位相物体の欠陥部を類別する方法と装置とが提供される。相互作用ビームや変更済みビームを用いて得られる情報を比較することにより、検査目的に利用可能な位相物体に関する情報が提供される。この情報には、欠陥部のサイズ、位相エラーおよびコンテキストに関するフォトマスクや別のアーティクル内の欠陥部の存在と類別とが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、アーティクルに関する光学特性の変動に応じて、別様に相互作用するアーティクルへの2つの照射ビームの出力により位相物体が検査される。これらの異なる相互作用は、別様に合焦される照射ビームや、異なるゼルニケ点像分布関数を持つ照射ビームから結果として得ることができる。本発明の方法とシステムは、走査形の光学的アーキテクチャや投影形の光学的アーキテクチャを用いて実現が可能であり、逐次的、同時的あるいは多重的に2つの信号や像を取得する種々のオプションが提供される。さらに、後者の2つの取得モードでは、種々の信号チャネルや像チャネルの作成と識別のために時間的、放射的あるいは偏光的分離の利用が可能である。例えば、フォトマスクや別のアーティクル上の様々な位置の検査に用いる互いにオーバーラップしない焦点を持つ2つのビームから、2以上のビームの異なる相互作用を結果として得ることができる。位相物体の照射時に、これらのビームは互いに別様に合焦される(焦点をずらされる)。この変更された光の分離と測定とにより、測定位置に存在する物体並びにおそらく測定位置の近くに存在する物体の位相に関する感度の高い情報が与えられる。
【0022】
上述の実施形態の1つの実施構成では、合焦された単一の照射ビームが用いられ、フォトマスクや別のアーティクルに対するこの照射の相対的位置が2つの別様に合焦した位置の間で変えられ、変更済み照射ビーム強度からなる2つの信号が得られる。多重走査ビームは、ある放射源から出る単一ビームから発生されるものであってもよい。複屈折レンズと対物レンズとを用いて、複数対の別様に合焦した進行ビームの中へ走査ビームの各々を合焦するようにしてもよい。これらのビームは変更後にフォトマスクにより分離される。個々の変更済みビームは、それらの偏光ビームによる分離の場合のように、個々のビームの特徴に応じて分離される場合もある。ある代替実施例では、瞳系(system pupil)での多焦点ゾーンプレートと対物レンズとが用いられ、各入力ビームに対して複数対の別様に合焦済みのビームが発生され、この発生に後続して空間フィルタ処理が行われて、個々の変更済み照射ビームの分離が行われる。
【0023】
上述の実施形態のさらに別の特定の実施構成によれば、1以上の照射ビームが、相対的に相互に焦点をずらせた複数対の照射ビームに変換される。このような結果を生じる一対の照射ビームは、アーティクルの同じ近接領域上に合焦される。アーティクルにより変更済み照射ビームは分離されて、個々の変更済み照射ビームを表す信号を発生させ、個々の複数対の信号が比較されて位相情報が提供される。フォトマスクの両端にわたって複数対の照射ビームを走査して、照射ビームにより誘起される位相差を示すマップを作成するようにしてもよい。複数対の別様に合焦した信号の比較により、30°あるいはそれより小さな位相差の検出能力を持つ他の位相検出法に比べて振幅物体に対する感度が低い情報が提供される。さらに、別の3つの実施構成では、これとは別に次の事項が求められる。すなわち、1)単一照射ビームの使用,2)一対の照射ビームの使用,3)複数対の照射ビームの使用である。このようにして、フォトマスクや別のアーティクル上の近似的に同じ位置にビームを合焦する種々の光学系を用いながら、しかもアーティクルを貫通する異なる深さで、本発明の新規の特徴の実現が可能となる。
【0024】
本発明の別の特定の実施形態では、異なるゼルニケ点像分布関数を持つビームからの結果として得られる2以上のビームを用いてフォトマスクが検査される。したがって、例えば、相補プラスマイナス90°の点像分布関数を持つ同軸ビームは、アーティクル上の位相物体に応じてアーティクルにより変更される。例えば、対物レンズの後側焦点面におけるゼルニケ位相板により様々な点像分布関数を導入するようにしてもよい。その場合、ビームとフォトマスクとの相互作用の前後にこのような導入を行うことが可能である。このように生成されたアーティクルの2つの像は、その対応する位置に応じて分離され、これら2つの像の比較が可能となる。(ゼルニケ位相板の使用による検査のような)相補点像分布関数を利用する検査によって、従来技術によるゼルニケ法よりも優れた位相物体に対する高い感度が得られる。
【0025】
本発明の別の態様では、予想される焦点をずらせた像データのデータベースと、1つの焦点をずらした像との比較により、フォトマスク内の位相物体の欠陥部を検出するための方法と装置とを提供する。相互作用するビームをこのデータベースと比較することにより、検査目的に使用可能な、位相物体に関する情報が提供される。この情報には、フォトマスク内の欠陥部の存在と類別とが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
後続する以下の特定の実施形態についての詳細な解説から本発明のさらなる理解を得ることできる。この解説は装置、方法およびコンセプトについて言及するものである。しかし、本発明の方法は、多種多様の装置による作動も可能である。したがって、本発明は特定の実施形態についての解説により限定されるものではない。
【0027】
本願明細書に引用されるすべての出版物と特許文献は、すべての目的のためにその全体が本願明細書で参照により援用される。本発明の追加の目的、利点、態様および特徴は、以下に記載の好ましい実施形態についての説明から明らかになるものであるが、これらの目的、利点、態様および特徴は以下の簡単な説明を施した添付図面と関連して考慮することが望ましい。
【0028】
図中のいくつかの構成要素、態様、特徴を示すために参照記号が図面で用いられているが、2以上の図に共通の参照記号は同様の構成要素、態様、特徴を示すものとする。本願明細書で参照により援用されている項目で使われている参照記号と本願明細書に使用されている参照記号とを混同しないようにされたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、別様にアーティクルと相互作用するビームから位相シフト生成用アーティクルを検査するための方法とシステムとに関する。便宜上、半導体フォトマスク内の欠陥部を検出するための方法とシステムという観点から本発明の説明を行う。本発明が、別のタイプのフォトマスク上での測定、および、生物学上の材料のような別の位相を含むアーティクル上での測定にも適用可能であることは当業者には理解されるであろう。さらに、本願明細書に記載の実施形態には、種々の構成要素や構成要素の組み合わせにより実行される機能が含まれる。具体的には、本発明の方法とシステムとにより種々の光学機能、制御機能並びにデータ解析機能が提供される。別の構成要素や均等な構成要素を用いて本発明を実施できること、したがって、請求された本発明がこれらの均等な構造の組み入れを意図するものであることが当業者には明らかであろう。したがって、添付の請求項に示されているような範囲を除いて、本発明の範囲と境界を限定しないことが望ましい。
【0030】
以下の説明は、本発明の概観と、それに続くフォトマスクの光学検査についての解説、いくつかの光学的設計と、それに続くいくつかの特定の実施形態についての考察、そして最後に、本発明によるデータ解析を示すものである。
【0031】
同じフォトマスク位置と相互作用する1以上の照射ビームによってフォトマスクのようなアーティクル上の領域が照射され、フォトマスクによる変更後ビームの各々を集光し、この変更に起因して、変更済みビームの強度を表す異なる位相情報を含む少なくとも2つの信号が得られ、ビームの変更位置に対応する信号の解析が行われる。この位置におけるフォトマスク上の特徴とこの解析済みの信号とを関連づけて検査の基礎を形成することが可能となる。
【0032】
フォトマスクの位相情報を検出するための少なくとも2つの信号を出力するいくつかの光学的構成が存在する。焦面の差と、ゼルニケ点像分布関数を含む点像分布関数と、偏光と、これらの組み合わせとに基づいて上記構成の組み立てを行うことができるが、これらに限定されるものではない。2つのビームによりフォトマスクを同時に照射することにより、あるいは、単一ビームによりフォトマスクを逐次照射することにより、これら2つの信号を発生させてもよい。様々な位相情報を含む2以上の信号を発生させるために、フォトマスクを同時に照射する2以上のビームの出力により、本願明細書の実施形態について以下説明する場合、フォトマスクの逐次照射のために単一ビームを用いるという点を除いて、全ての点でこのような実施形態と類似する別の実施形態が存在するものと理解されたい。そのようなすべての変形例は本発明の範囲内に含まれるものである。使用するこのビームには、可視光線、赤外線および/または紫外線の範囲の波長の放射や光が含まれる。
【0033】
便宜上、合焦ベース系とゼルニケベース系という観点から本発明について説明する。合焦ベース系では、2つの照射ビームがフォトマスク上へ別様に合焦される。以下に示すように、光は、個々の照射ビームの焦点に応じてフォトマスクと相互に作用し、2つの変更済みビームの表示を合成することにより、従来技術による系よりも高い感度が得られる。ゼルニケベース系では、対物レンズとゼルニケ位相板とが一体に作動して、変更済み照射ビームの照射か集光のいずれかが行われ、複数対の信号が発生される。
【0034】
本発明の光学系によるフォトマスクの検査は、各検査ポイントに対する異なる位相情報を含む2つの信号を発生させる。その場合、これら2つの信号の位相情報の差は、フォトマスク上の位相物体と振幅物体とによって生じるビームの異なる変更に対応するものである。同じ位相物体と振幅物体とに対する異なる応答により、信号処理技術の利用が可能となり、振幅物体の存在時に位相物体を確定することが可能となる。特に興味深いのは、異なる応答が組み合わされたとき、異なる応答により位相物体が強調され、振幅物体の強調が解除されるという点である。
【0035】
やはり便宜上、走査光学系と投影光学系という観点から本発明を説明する。走査光学系では、コヒーレントな光源が、フォトマスクの両端にわたって走査されるスポットを生成し、検出器が透過光や反射光を集光し、この結果生じる部分的にコヒーレントな像が電子的に組み立てられる。この場合、走査光学系が大部分画質を画定するのに対して、検出光学系は“光バケツ”として、また、部分的コヒーレンスの設定用として利用される。投影光学系では、インコヒーレント領域の照射系によりフォトマスクの断面が照射され、結像光学系により、像形成領域検出器上へこの断面が結像される。
【0036】
走査光学系と投影光学系の像は名目上均等である。例えば、合焦ベース系では、走査用照射ビームの焦点をずらすことにより焦点がずらされた走査像が生成されるため、光集光系の焦点は決定的に重要なものではなくなる。フォトマスクと領域検出器との間で結像光学系の焦点をずらすことにより投影像が生成されるため、照射系の焦点は決定的に重要なものではなくなる。
【0037】
本発明の範囲は、フォトマスクの照射と、変更された光の集光とを行うための多数の光学的構成並びに強度の測定値を解析する方法もカバーするものである。以下の解説は、本発明の一般的実施形態について記述するものである。プライム記号(’)をつけた番号は、特に投影光学系で使用されたり、使用のために特別に仕立てられたりする構成要素を示すのに対して、2重プライム記号(”)をつけた番号は、走査光学系用の構成要素を示す。
【0038】
本発明のフォトマスク検査システムの実施形態の多くの特徴のいくつかが図1Aの一般的概略図に示されている。特に、図1Aは、合焦ベースすなわちゼルニケベース系、並びに、走査形アーキテクチャや投影形アーキテクチャを表すものであってもよい。図1Aに示すように、光学検査システム101は、検査用フォトマスク103を受け取るように適合される。光学検査システム101には、少なくとも1つの照射ビーム111を発生させる照射系105、透過光集光系107T、反射光集光系107R、コンピュータ制御系109、および、データ解析システム125が設けられている。データ解析システム125は、単に像処理用コンピュータであってもよい。照射ビーム111は、フォトマスク103に対する入射光であり、フォトマスク表面により変更される。具体的には、各照射ビーム111は、フォトマスク103を貫通して透過され、変更され、あるいは、透過される照射ビーム111Tとなり、フォトマスクからも反射され、反射された照射ビーム111Rとなる。透過光集光系107Tと反射光集光系107Rの双方が図1Aに示されており、これら双方の系を用いて、本願明細書に記載のような様々な位相情報を含む2つの信号を発生させることができるが、これら2つの系のうちの一方の系だけを使用してもよいこと、また、この使用が本発明の範囲内に含まれるものであることは理解されよう。本願明細書の実施形態で2つのタイプの集光系の一方だけについて説明する場合、もう一方のタイプの集光系も実施可能であり、この集光系も本発明の範囲内に含まれるものであることが理解されよう。
【0039】
照射系105と集光系107とは協働して、フォトマスク103を照射し、別様に変更される照射ビームを発生させ、変更後ビームの分離を行う。照射系105と集光系107との間での協働には、例えば、偏光により変更された、あるいは、空間的に変更されたビームの分離方法とシステム、例えば、走査形アーキテクチャや投影形アーキテクチャを用いるデータの収集方法とシステム、例えば、複数の別様に合焦したビームを用いて、または、ゼルニケ光学系を用いて別様に変更されたビームを発生させて位相物体の検出を行うようにする方法とシステムとが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
図1Bと図1Cに、走査光学系と投影光学系として実装した本発明の実施例をそれぞれ示す。図1Bの走査光学系101”の場合、照射系105”が走査ビーム111”を発生させ、このビームは、透過ビーム111T”としてフォトマスク103を貫通して透過される。照射系105”は、照射光源115”と差誘起と合焦光学系(difference-inducing optics)117”とを備え、この差誘起と合焦光学系117”は差誘起光学系117a”と対物レンズ117b”とから構成される。差誘起光学系117a”は照射ビームの差を誘起し、この位相差により集光系107Tで分離を行うための基礎が形成される。特定の実施形態には、焦点差(合焦ベース系の場合)と、ゼルニケ点像分布関数の差(ゼルニケベース系の場合)とが含まれるが、これらに限定されるものではない。集光系107”には、集光光学系117T”と、検出システム122T”とが含まれ、検出システム122T”には、分離光学系119T”と1以上の検出器121T”とが設けられる。フォトマスク103が走査されるので、一度に2以上(すなわち、N>1)の走査用スポットを設けることが好適となる場合がある。走査光学系の場合、N対のビームを用いて、N個の多ビーム116”が出力され、対物レンズ117b”を用いてN個の走査用スポットが生成される。
【0041】
多くのアプリケーションでは、垂直方向にフォトマスク103を照射することが望ましく、したがって、対の反射ビーム111R”と対の照射ビーム111”とは同軸となる。N対の反射ビーム111R”は、合焦光学系117b”により合焦され、さらに、N対の反射ビーム111R”は、ビームスプリッタ127”により、分離光学系119R”を通して、および、検出器121R”上へ分岐される。或いは、フォトマスク103と対物レンズ117b”との間にビームスプリッタを配置して、反射光集光光学系を適切に変えることも可能である。フォトマスク103の法線照度が望ましい。なぜなら、照射ビームが回転によりフォトマスクに関して左右対称となり、照射ビームの方向に対するフォトマスク上でのあるいはマスク内でのパターンやラインの相対的配向をまったく考慮する必要がないからである。法線照度によって改善された結像特徴も得られる。反射された放射を系107R”を用いて集光する場合、法線照度が望ましい。なぜなら、そのような集光系では照射光学系内の同じ対物レンズ117b”を使用できるからである。しかし、斜め照射も可能であり、この照射も本発明の範囲内に含まれるものであることが理解されよう。
【0042】
図1Bの走査光学系101”では、照射系105”は走査ビーム111”を発生させ、この走査ビーム111”は、透過ビーム111T”としてフォトマスク103を貫通して透過される。集光系107T”には、集光光学系108T”と検出システム122T”とが設けられ、検出システム122T”には分離光学系119T”と1以上の検出器121T”とが設けられる。N対の透過ビーム111T”が集光光学系117T”により集光され、分離光学系119T”により別々の変更済み照射ビームに分離され、1以上の検出器121T”へ転送される。検出器121T”はこの対の信号111s”を返送する。その場合、各信号は透過ビーム111T”の個々の強度に比例する。
【0043】
図1Cの投影光学系101’の場合、フォトマスクは、1つの照射ビームか、照射系105’から出力される1つの照射用ビーム対(N=1)111’かのいずれかのビームによって結像される。透過ビーム111T’は、1次元または2次元分離/結像用検出器131’上へ対物レンズ129’によって合焦され、検出器131’はフォトマスク103の領域にわたる光の変更に対応して信号111s’を発生させる。本発明の投影光学系の場合、複数の像が同じ近接するフォトマスク領域で取得される。走査光学系が1以上のスポットサイズの照射領域にわたって変更済みビームを集光するのに対して、投影光学系フラッド(flood) はさらに広い領域のフォトマスクを照射し、この照射領域を結像し、それによって、さらに広いフォトマスク領域にわたって情報の収集を行うことができる。
【0044】
図1Aの概略が透過光と反射光の双方の光を用いるフォトマスクの検査を示すものであるのに対して、本発明の複数の照射光学構成は、反射モードか透過モードのいずれかのモードで、有用で、有益なデータを提供するものである。したがって、反射光、透過光、あるいはこれらの光の合成光を用いて本発明の物体の検査に利用することが可能であることが理解されよう。このようにして、フォトマスクの検査はビーム111Rと111Tの一方または双方の解析結果から得られる。この特定の検査方法によれば、光集光系107Tと107Rの一方または双方の系によって個々の変更済み照射ビーム111Tと111Rの強度をそれぞれ表す信号111sが発生される。
【0045】
フォトマスク103上の様々な位置を検査するために、照射系105と光集光系107Tと107Rのアラインメントが行われる。フォトマスク103に対して1以上の照射ビーム111を相対的に動かすことにより、および/または、光学系に対してフォトマスクを相対的に動かすことにより、並進段123で行われる場合のように、フォトマスク103の表面全体が検査される。特に、この実施形態により、フォトマスク103上の様々な位置における位相物体の測定が行われ、検査装置によりフォトマスクの走査が行われ、フォトマスク上での欠陥部のサイズ、位置、振幅および種別を確定する際、有用な情報が組み立てられる。図と説明を単純化するために、段123は後述する実施形態の図と説明のいくつからは省かれている。
【0046】
反射光と透過光は、集光系107Rと107Tによってそれぞれ測定される。走査光学系の場合、N対のビームが分離されて、2N個の個々のビームになり、光は適切な検出器121T”と121R”へ転送され、そこでビームの特性が測定され、信号111s”が発生される。投影光学系の場合、集光系107T’には対物レンズ129’と分離/結像用検出器131’とが含まれている。図1A〜1Cを参照すると、コンピュータ制御系109により、フォトマスク103の検査位置の制御、測定、確定が行われる。図1Aを参照すると、位置情報と信号111sはデータ解析システム125で組み立てられ、解析されて、フォトマスク103上の位相物体に関する位置情報が形成される。
【0047】
図1Aを参照すると、自動焦点系106によりフォトマスクからの反射光がインターセプトされ、適正な対物レンズ(それぞれ図1Bと1Cの例としての117b”や129’)の焦点を制御することにより、照射系105内の焦点変更光学系へ出力する信号が発生され、フォトマスク103との適切な関係で合焦済みビーム111が維持される。このインターセプトされた光は、自動焦点系106から供給されるものであってもよいし、検査処理中フォトマスク103から反射される光であってもよい。この焦点変更光学系をいくつかの配置構成の1つとすることが可能であり、この中には移動可能な対物レンズが含まれるが、これに限定されるものではない。さらに、自動焦点系106を配置して入射照射ビーム111から出る信号をインターセプトして、これらの信号を出力することもできる。或いは、自動焦点系106の物理位置を照射系105や反射光集光系107Rの中へ組み入れることが可能である。
【0048】
フォトマスク103の自動化検査の場合、照射ビーム111によりフォトマスクの走査を行うのが有効である。走査方法には、照射ビーム111に対して相対的にフォトマスク103を移動させるステップと、フォトマスクに対して相対的に照射ビームを移動させるステップと、異なるフォトマスク位置に合焦された複数の検査ビームを同時に発生させるステップとが含まれるが、これらに限定されるものではない。したがって、コンピュータ制御系109は、X−Y並進段123を制御することにより、さらに、音響−光学装置を用いてビームの伝播方向に対して垂直な方向に沿った照射光源ビーム116”の走査を制御することにより平行方向にフォトマスクを移動させることによって、フォトマスク103上の異なる位置の検査を行うことができる。さらに、単一ビームから多ビームを発生させるために照射系105内に格子や別の装置を設けることにより多ビームを出力するようにしてもよい。これらの方法と装置を個々に採用したり、組み合わせて採用したりして、これらの方法と装置を用いてフォトマスク103の検査を行うことが可能である。
【0049】
本発明の代替の実施形態の中には、別の焦点をずらしたダイからデータベース(D:DB)への検査システムと、逓倍の(multiply)合焦による実施構成とがある。逓倍の合焦による実施構成では、複数対の別様に合焦したビーム111が、フォトマスク102の検査に利用される。特に、照射ビーム111は、フォトマスク103上の同じ近接位置上へ別様に合焦されたN対のビームとして出力される。したがって、例えば、N=1ならば、照射ビーム111は、フォトマスク上の同じスポットの近くに個々に合焦された一対のビームを生じることになる。例えば、これらの焦点はフォトマスクの表面のすぐ手前と、フォトマスクの表面をすぐ越えたところに生じる。1つの代替の実施形態では、照射系105が同時に2つのビームを出力するのに対して、別の代替の実施形態では、2つのビームが逐次出力される。この代替の実施形態では、差誘起光学系117”が取り除かれるため、ただ1つの照射ビームだけが同時に発生される。照射ビームはマスクの手前で合焦される。1以上の像がマスクの両端にわたってスワース(swath) した後、照射ビームがマスクの表面を越えて合焦される。次いで、2回のスワース(swath) すなわち走査中に得られた像信号のアラインメントが所定の位置で行われ、2以上の照射ビームを同時に用いて2以上の像が同時に得られる実施形態に関連して本願明細書で記載したように処理される。このような変形例およびその他の変形例は本発明の範囲内に含まれるものである。したがって、2以上の像が同時に得られるこの好ましい実施形態では、2以上の像のアラインメントを所定の位置で行う必要がないため、このような実施形態の方が利点がある。
【0050】
例えば、Nが3の場合、照射ビーム111は3対の照射ビームすなわち合計6つのビームとなる。各ビーム対は、フォトマスク103上の異なるスポットに合焦され、6つの変更済み照射ビームを発生させる。照射ビーム111は、フォトマスク103上の多くの位置を検査する走査ビームとして設けることが望ましい。
【0051】
D:DB系では、フォトマスク103は、ある特定量の焦点ずれを持つビームで検査される。このようなフォトマスクの検査を行う前に、予想される信号から成るデータベースを形成したり、(例えば、典型的なフォトマスクを用いて生成されるような)欠陥部がないことがわかっている信号を合成したり、この量の焦点ずれにおける検査の下で特定のフォトマスク103用の位置に対応するデータベースの提供や信号の合成を行ったりする。検査中または検査後に、フォトマスク103から出るこれらの検査済み信号111sは予想される信号から成る所定のデータベースと比較される。このようにして、ある特定量の焦点ずれにより焦点がずらされた場合の測定値や1組の測定値から欠陥部の有無が確定される。単一照射ビームの出力によりD:DB系として機能するように、後述する実施形態の多くの改変が可能であることは当業者には明らかである。
【0052】
特定の実施形態例
本発明は、光学検査のための方法とシステムとに関する。以下さらに詳細に解説する2つの一般的実施形態は、合焦ベース系とゼルニケベース系である。合焦ベース系では、複数の照射ビームがフォトマスクの近傍で別様に合焦される。ゼルニケベース系では、対物レンズと、特製のゼルニケ位相板とが一体に作動して、直交偏光される一対のビームでマスクを照射し、+/−90°の相補ゼルニケ点像分布関数を持つか、均一に照射されるフォトマスクをこのような光学素子の組み合わせによって測定する(interrogate) かのいずれかが行われる。合焦ベース系とゼルニケベース系の双方の系の場合、別の実施形態には走査形と投影形の検査用装置が設けられるが、これらに限定されるものではない。ポイント毎のデータ収集によるフォトマスクの検査に走査光学系が用いられるのに対して、投影光学系では、マルチポイントアレイ検出器を用いてラインや領域に沿ってデータを収集しながらさらに広い領域の検査を行う。集光され、変更済み照射ビームのデータ解析は、走査形アーキテクチャと投影形アーキテクチャの双方の場合と類似したものになる。追加の実施形態では、既知のフォトマスク構造から得られる予想値と1以上の測定値とを比較するデータベースレンダリングが行われる。
【0053】
当業者であれば、これら特定の構成要素およびその組み合わせは、単に例示を目的とするものであり、決して請求項の範囲の限定を意図するものではではないことを理解することができよう。したがって、単独で、および、組み合わせて使用可能な光学的、電気光学素子および機械的構成要素から成る多くの構成装置が存在し、これらの構成装置によって、フォトマスクの近傍に、合焦される光ビームを発生させ、フォトマスクにより個々のビームを変更した後、これらのビームの測定が行われる。具体的には、例えば、音響光学を用いて単一の光ビームから走査用光ビームを発生させることが可能である。回折効果に基づく複屈折レンズの場合と同様に、また、多焦点ゾーンプレートの場合と同様に、あるいは、フォトマスクに対して相対的に焦点を逐次移動させることにより、偏光効果に基づいて、単一ビームから同軸の別様に合焦したビームの発生を行うことが可能である。ビームの偏光分離や空間分離に基づいてビームの分離を行うことが可能である。さらに、データを単一ポイントで、または、結像を通じて収集することが可能である。
【0054】
本発明で使用される検出器には、照射光源の波長光に対して敏感な一次元および2次元CCDアレイ検出器、あるいは、任意の検出器が設けられるが、これらに限定されるものではない。レンズの組み合わせや、適正なミラーやレンズとミラーとの組み合わせよって特定の実施形態で示すレンズを交換してもよい。種々の光路の中へミラーを設けて装置の物理的サイズの小型化を図ったり、別の装置構成要素を避けたりしてもよい。別の偏光用素子を設けて必要な系感度を与えるようにしてもよい。また、検出器と照射走査の様々な組み合わせによりフォトマスクの検査用として得られる複数対の像を収集することができる。さらに、アレイ検出器で像を並べて投影することにより、あるいは、像をインタリーブするためにアレイ検出器を変えることにより、1焦点位置について1つの検出器を設けて複数対の像の収集を行うことができる。さらに、入射ビームや変更済みビームの中に自動焦点系などの構成要素を配置したり、状況によっては、これら構成要素を装置の外へ出しておくことが可能である。
【0055】
フォトマスクの光学検査
光学検査の詳細については、投影光学系に関連して図2にさらに詳細に示されている。この図は、レビンソン形のPSMに適用されるような検査装置の側部断面図を示すものである。図2は、フォトマスク103に入射する逓倍の合焦済みビーム111−1と111−2を示し、合焦ベースの実施形態を理解し易くするための図である。投影光学系では、結像用光学系が変更済みビームの集束を行うが、1未満の位相シフタの解像度でこの集束を行うことが望ましい。この図に描かれた構成は、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、本発明は、単一照射ビームによって照射する実施形態も含むものである。図2のフォトマスク103は、本発明の解説を進めるために便宜上示されているものであり、位相/変更特徴を含む何らかの特定の物体に対する本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0056】
図2に示すように、一対の照射ビーム111が第1のビーム111−1と第2のビーム111−2とを含み、これらのビームは伝搬路111aに沿って同軸であることが望ましい。前述したように、対の照射ビーム111の個々のビームをフォトマスク103へ逐次あるいは同時に出力するようにしてもよいことは本発明の範囲に含まれている。したがって、図2でわかるように、位置111−1と111−2に在る異なる焦点に同じビームを逐次位置してもよい。さらに、走査光学系が多重走査の対(N>1)を持つようにしてもよい。ゼルニケベース系では、2つのビーム111は、点像分布関数で異なり、ほぼ同じ焦点を有し、2つのゼルニケベースの照射ビームがほぼ重なり合うことに留意されたい。その場合、再言するが、2つのビームを同時に用いてもよいし、単一ビームを逐次用いるようにしてもよい。
【0057】
伝搬路111aは、フォトマスク103に対して近似的に垂直である。合焦ベース系の場合、照射ビーム111−1と111−2は伝搬路に沿って異なる焦点距離まで、具体的には、それぞれ、焦点111−1Fと111−2Fに合焦されるが、これに対してゼルニケベース系の場合、焦点111−1Fと111−2Fとは好ましくは近似的に一致することが望ましい。一般に、焦点は、フォトマスク上の検査対象物体の近くまたは近辺に在ることが望ましい。合焦ベース系の場合、焦点はフォトマスク103の前面上の位相物体のいずれかの側に位置する。位置111−1と111−2の照射ビームは、該ビームのフォトマスク103との相互作用により変更され、それぞれ、変更済み照射ビーム111−1Tと111−2Tとして現れる。
【0058】
フォトマスク103は、平らな表面205とパターンが施された表面207とを持つ基板201から構成されるレビンソン形のPSMである。基板201は、通常、石英などの透明な材料である。パターンが施された表面207には、2次元格子パターンの縞として施すことが可能な、通常クロムなどの金属である不透明領域209が設けられる。不透明領域209により覆われていないパターンが施された表面207の領域には、複数のクリア領域位相シフタ211と複数のエッチング済み領域位相シフタ213とが設けられる。フォトマスク103の厚さと基板201の光学特性とに基づいて、位相シフタ211と213により照射ビーム111−1と111−2で位相シフトが誘起される。フォトマスク103の1つの例として、300nm幅のストリップとして前面207に沿ってクロムを成膜し、これらストリップ間に300nm平方の位相シフタを設けるようにしてもよい。これらの位相シフタは、クリア領域位相シフタ211のような基板203と同じ厚さを持つものであってもよい。あるいは、これら位相シフタが、エッチング済み領域位相シフタ213などの基板から取り除かれた材料や、基板(図示せず)に付加された放射透過材料を持つものであってもよい。位相物体には透明なマスク厚の様々な正確な厚さと、所定の波長の小さな割合の入射光の制御された様々な減衰とが含まれるが、これらに限定されるものではない。PSMには、通常、0°と180°あるいは0°、60°、120°および180°のような指定された個別の位相分だけ入射光の位相をシフトする位相物体が含まれる。
【0059】
フォトマスク103の検査用として、特に、シフタ内での欠陥部の存在を検出するために照射ビーム111が出力される。照射ビームはパターンが施された表面207に入射し、次いで、表面207を貫通して平らな表面205まで透過される。焦点111−1Fと111−2Fは、一般的に、関心対象の位相物体すなわち位相シフタ213の近くに位置される。合焦ベース系の場合、フォトマスク103(すなわち、フォトマスクの前面に合焦する)に合焦する位置に焦点111−1Fか111−2Fのいずれかを置いてもよい。あるいは、図2に示すように、これら焦点の双方が焦点がずらされた位置になるようにしてもよい。様々な検出器の応答は位相シフタ213と、焦点111−1Fおよび111−2Fとの相対的位置関係に対応し、良好な結果が予想されるが、これらの焦点はこれらシフタのいずれかの側の焦点に限定されるものではない。ゼルニケベース系の場合、焦点111−1Fと111−2Fは、フォトマスクに合焦する位置近くに置くことが望ましい。
【0060】
別の実施形態のように、平らな表面205からウェハのプロービングを行うことによりフォトマスク103の検査が進行してもよい。これらの実施形態の場合、図2のフォトマスク103が反転され、照射ビームは前面としての平らな表面205と最初に出会うことになる。
【0061】
この透過された、したがって変更済み照射ビーム111−1Tと111−2Tは、照射ビーム11の経路内のいくつかの隣接する位相シフタの合成された位相と振幅との変動により変更される。したがって、伝搬路111aに対して垂直な平面におけるこの変更済み照射ビーム111−1Tと111−2Tの強度の変動には、不透明な材料209による回折と、位相シフタ211と213の影響とが含まれる。透過光の検査に加えて、フォトマスク103に関する有益情報も得られる。反射光(図示せず)は、伝搬路111aに沿って逆方向へ伝播して照射光源へ戻る。実施形態のうちのいくつかは反射光の集光と解析を示すものである。
【0062】
合焦ベースの実施形態
本発明のさらに特定の実施形態により、本発明の様々な進歩性のある態様と利点とについてさらに深い理解が得られる。以下の解説は、照射光の照射、並びに、照射光とレベンソン形PSMとの相互作用を示すものである。照射光学系と集光光学系はこの詳細な説明には示されていない。解説の便宜上、投影光学系が使用されているものと仮定し、さらに、変更済み照射ビームが或る解像度で結像が行われて、対物レンズの点像分布関数が位相シフトされた領域のシフタサイズの横方向の範囲よりずっと小さくなるものと仮定する。図18A〜18Cは、合焦ベースの光学系に関連する本発明の実施形態を示す。ここで、図18Aは、位相欠陥部1801を持つレベンソン形PSMすなわちフォトマスク103の断面図であり、図18Bは、2つの別様に合焦された照射ビーム111−1T(“+方向に焦点をずらした”ビーム)と111−2T(“−方向に焦点をずらした”ビーム)から変更された光強度を示すグラフである。これらの光線は、光学系の対物レンズを貫通して順方向に進み、個々の光検知素子により集光される。+と−方向に焦点をずらされたビームは、それぞれ±λ/NA2 だけ対物レンズにより焦点をずらされる。但し、λは照射波長であり、NAは対物レンズの開口数である。図18に示すように、111−1Fと111−2Fに焦点を持つ2つの照射ビーム111−1と111−2が、それぞれ、フォトマスク103を貫通して透過され、その結果、それぞれ、照射ビーム111−1Tと111−2Tとが得られる。フォトマスク103には、一連の位相物体すなわち一連の画素が設けられ、クリア領域位相シフタ211(0°位相シフタとも呼ばれる)と、エッチング済み領域位相シフタ213(180°位相シフタとも呼ばれる)とが設けられる。例示を目的として、位相欠陥部1801は位相シフタのうちの1つのシフタの底部に置かれている。フォトマスク103には、位相シフタ間に不透明領域209も設けられている。
【0063】
様々なビームに対する強度の空間分布が図18Bに示されている。個々のトレース1803〜1811は、別々に見えるように垂直方向にシフトされる。各曲線の実際の値は、X=0個の画素において近似的に0である。強度プロファイル1807は、照射ビームのそれぞれの焦点における照射ビーム111−1と111−2の強度である。本発明のこの例図を目的として、近似的に5個の画素の範囲のエアリー関数が選択された。図18Aに示すように、この照射領域には、位相シフタのうちの1つに、0°の位相シフタ211、180°の位相シフタ213、不透明領域209および位相欠陥部1801が含まれる。透過ビーム111−1Tと111−2Tの強度分布も図18Bに示されている。強度プロファイル1803と1805は、それぞれ、+方向に焦点をずらしたビーム111−1Tの実部と虚部である。強度プロファイル1809と1811は、それぞれ、−方向に焦点をずらしたビーム111−2Tの実部と虚部である。これら2つのビーム(1803と1809)の実部が近似的に同じ強度分布を持つのに対して、これら2つのビーム(1805と1811)の虚部は異なる符号を持つ。したがって、これら2つのビームの強度の合計を差引きすることにより、振幅物体による照射ビームへの変更部分を算出し、位相物体に起因して生じる変更部分を強調するのに役立つことになる。以下のデータ解析セクションで示すように、これらの信号をチェックして、フォトマスクに関する多くの有益情報、特に位相欠陥部に関する多くの有益情報の検出が可能となる。
【0064】
合焦ベース系に対する光学設計上の配慮
相補性原理に起因して、本発明の走査結像光学系は、顕微鏡などの部分的にコヒーレントな投影結像光学系と光学的に等価である。位相シフト物体に対する本発明の合焦ベース系の応答を理解する1つのアプローチとして、焦点をずらした光を持つ、部分的にコヒーレントな結像光学系の伝達関数について考慮するアプローチが挙げられる(上で参照したS&Wなどを参照されたい)。本発明の解析は、1つの空間座標と1つの空間周波数座標とに単純化される。一次元検査システムの詳細な解析については、S&Wを参照されたい。
【0065】
或る光学系内での光の進行方向に対して垂直に表面を置いた、透過率t(x)を持つ物体について考える。透過率t(x)は振幅物体を表す実数、位相物体を表す虚数あるいは位相物体と振幅物体の双方を合成する複素数となり得る。伝達関数C(m,p)を用いて、結像光学系の像面における光の強度I(x)を計算することができる。特に、伝達関数C(m,p)は光源、検出光学系および光学系の別の光学素子によって定められる。但し、mとpとは同じ1次元方向の空間周波数を示す。表面レリーフ部の影響並びにベクトルと厳密な回折効果を無視する薄膜マスクの近似値で、物体透過率のフーリエ変換と伝達関数とから、次のように像の強度を計算してもよい。
Figure 2004526168
但し、xは像面座標であり、関数の上につけられたバーは共役複素数を表す。すべての空間周波数に対して、また、物体の範囲に対して積分が行われる。T(m)は、次の式により示される物体透過率のフーリエ変換である。
Figure 2004526168
【0066】
照射ビーム111−1の場合のように、焦点が透過物体を越えたところに存在する場合には、C+ (m,p)を用いて伝達関数を示すが、これに対して、照射ビーム111−2の場合のように、点が透過率物体の手前に存在する場合には、C- (m,p)を用いて伝達関数を示すようにする。
【0067】
伝達関数は、SheppardとWilson(S&W)の数式5を用いて近似的に求めてもよい。S(x)=δ(x)により定義される点光源(但し、δ(x)はディラックδ関数)と、大型の均一な検出器D(x)=1とを仮定することにより、コヒーレントな点光源により照射される走査形の部分的にコヒーレントな結像光学系の伝達関数を計算することができる。上述の投影光学系と走査光学系の場合、瞳関数P1 は対物レンズに対応し、P2 はコンデンサに対応する。S&Wの数式(23)に基づいて焦点ずらしα2 =zによる焦点をずらした瞳関数P1 を用いて、P1 のクリアな開口を1に、クリアな開口をσに、さらに、コンデンサの焦点のずれをM=1で0に設定することにより、以下の瞳関数と伝達関数とが生成される。この場合、バーは共役複素数を示し、ξ1 とξ’1 はそれぞれS&Wの瞳面座標である。S&Wの数式5でこれらの仮定を用いて、1次元で変動する物体の単純化した伝達関数を生成することができる。
Figure 2004526168
但し、Φ(x)は、ヘビサイドステップ関数である。+zと−zの焦点ずれに対応する別様に合焦した伝達関数をそれぞれC+ (m,p)とC- (m,p)で示すことにする。
【0068】
次いで、S&Wの数式(1)に基づく対応する空間周波数分布T(m)を持つ任意の物体t(x)の像強度I+ (x)は次の式により与えられる。
Figure 2004526168
【0069】
S&Wの数式(7)と(8)にリストされる伝達関数の対称特性(実際の光源と検出器強度と中心の瞳)に加えて、
Figure 2004526168
別様に合焦した伝達関数も対称条件を満たすものである。
Figure 2004526168
【0070】
任意の位相と振幅物体T(m)の+/−焦点ずれ差分像強度DI(x)=I+ (x)−I- (x)は次のように求められる。
Figure 2004526168
【0071】
以下の一般的結果が本発明の単純化された解析についての前回の解説から生じる。透過率が実数(“振幅物体”)であれば、Tは実数であり(そしてその共役複素数に等しい)、DI(x)は0とみなされる。したがって、薄膜マスクの近似で、透過光で結像された任意のクロムパターンを持つ完全に平らな水晶板により、位置xとは独立に、0であるDI(x)が生成される。透過率が虚数(“位相物体”)であれば、Tは複素数であり、DI(x)が最大値となる。一例として、別様の実物体、すなわち透過時に結像される水晶板上の90°の位相差領域上の虚数領域が最大の差分像強度を生じることになる。
【0072】
別様に合焦した変更済み照射ビームの比較により、ある物体の複素位相と振幅分布の虚部に基づいて強度信号が選択的に発生されることになる。特に、0°(非シフト)と180°シフト領域とクロムパターンとが実物体として抑制されるため、DI信号が発生されない。0°と180°とは異なる位相特徴のみが差分像内に現れる。このようにして、本発明は光学位相欠陥部検出器として機能することができる。変更された光の検出と信号の解析とにより、不透明な物体の存在時でさえも、サンプリング領域の両端にわたる位相の変動の検出が行われる。この検出は、結像された位相物体間で生じる変動と、欠陥部に起因して生じるわずかな変動の双方の変動に対する高い感度を有する。
【0073】
上述した関係式は2次元物体に対しても適用が可能であり、同様の結果を得ることができる。表面レリーフ部を持つ物体の場合、ベクトル回折効果やその他の効果に起因してわずかな差が生じることが予想される。この解説は、別様に合焦した結像光学系の好適な特徴を強調して、非常に高い感度を有し、この強度の差に基づいて位相物体の測定ができるようにすることを意図したものである。さらに、位相物体に対する変数DI(x)の感度は、本発明に基づく解析法の範囲を限定することを意図するものではない。特に、プラスとマイナスの変更済みビームから結果として生じる信号の強度を別の算術式で合成してもよいし、1つの信号を第2の信号、あるいは、信号のある組み合わせと信号の別の組み合わせとして、ビームを表す信号をグラフによって比較してもよい。以下の特徴についての解説は、合焦ベースの光学検査システムの構成を可能とする或るガイドラインの提供を意図するものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。光強度の変調は、別のパラメータの中でも特に照射ビームの焦点ずれの量に左右される。したがって、例えば、焦点距離間の差は、4λ/NA2 未満か4λ/NA2 に近似的に等しいことが望ましい。但し、λは照射ビームの波長であり、NAは光学系の対物レンズの開口数である。焦点の位置は、位相物体の位置に近接していることが望ましい。この対の焦点は、必ずというわけではないが、位相物体のいずれかの側部に存在することが望ましい。さらに、表面でほとんど円状に偏光される照射ビームを有するため、パターン効果を小さくすることが可能となる。これは、マスクの照射に先行して瞳面に四分の一波長板を導入することにより行われる。第2の四分の一波長板を用いて、マスクにより変更された光を元の直線偏光へ変換することも可能である。
【0074】
検査システムの高い感度を達成するために、照射ビームの波長を選択して、関心対象の物体に対しては大信号を発生させ、背景物体に対しては小信号を発生させることが望ましい。具体的には、0°〜180°のレビンソン形のPSMの設計波長が照射ビームの波長と同じであれば、これらの要件は満たされる。この設計波長は、ステッパ・リソグラフィ装置により採用されている波長である。この場合、0°と180とは異なる位相シフトを発生させる領域だけが、90°で最大値を持つノンゼロ差強度を発生することになる。さらに、この場合の信号処理が単純化される。
【0075】
合焦ベース走査光学系
合焦ベース光学系は、系の対物レンズの焦点の差により複数の信号を発生させる。本発明の第1の実施形態が、合焦ベースの透過光と反射光の走査フォトマスク検査システム101”を表す図3Aと3Bに示されている。この実施形態では、N=1で、一対の照射ビーム111”が存在する。第1の実施形態では、2つの別様に合焦され、別様に偏光されたビームが発生され、フォトマスクが変更したビームから出た光が集光され、これらビームのそれぞれの偏光に応じて変更済みビームが分離され、変更済みビームの各々が検出器上へ集光される。この系により、同じ近接するフォトマスク位置に複数対の信号が発生され、次いで、照射ビームの走査とフォトマスクの移動とによりフォトマスクの検査が行われる。
【0076】
検査システム101”は、照射光源115”および差誘起と合焦光学系117”を含む照射系105”と、自動焦点系106と、透過光集光系107T”と、反射光集光系107R”とを備える。照射光源115”には、直線偏光ビーム300を発生させる光源(図示せず)と、ビーム(2重矢印により示すような)を合焦し、走査する音響光学変調器301と、ビームを視準するレンズ303とが設けらる。この光源は、レーザ、好適には(紫外光を出力するような)連続波レーザや当業者に周知の別の好適な光源であってもよい。照射光源115”の出力は、ほとんど視準された直線偏光走査ビーム116”である。差誘起と合焦光学系117”により、フォトマスク103内の異なる深さまで合焦される照射ビームが発生される。具体的には、差誘起と合焦光学系117”は、分岐/誘起光学素子、具体的には複屈折レンズ305と、四分の一波長板313と、対物レンズ315とから構成される。複屈折レンズ305は、走査ビーム116”の偏光に対して45°の角度で通常軸と異常軸とを用いて配向される。或いは、偶数と奇数のゾーンの正と負の倍率を持つ複屈折ゾーンプレートを使用してもよい。複屈折レンズ305は、異なる偏光と異なる分岐からなる2つのビームを発生させる。したがって、走査ビーム116”は複屈折レンズ305通して透過され、異なる分岐の同軸ビーム111−1”と111−2”を発生させる。四分の一波長板313は、有益な結果、具体的には左右回りの円偏光を得るように示される偏光をフォトマスク103で発生させる。これは有益である。なぜなら、ビーム116”に対するフォトマスク上での任意の特徴またはパターンの相対的な配向が測定に影響を与えないからである。対物レンズ315は、図2にさらに詳細に示すように、今や左右回りの円偏光を行うビーム111−1”と111−2”とをそれぞれ焦点111−1F”と111−2F”とに合焦する。
【0077】
分岐と合焦光学系117”に加えて、この対の照射ビーム111”も別の光学系を貫通して透過される。第1の実施形態には、偏光用ビームスプリッタ307と、別様に合焦したビームの中心をフォトマスク103上に保持する自動焦点光学系/電子装置323とから成る自動焦点系106と,偏光用ビームスプリッタ309と,光学系の倍率または検査位置を変えるリレー光学系311とが設けられる。
【0078】
第1の実施形態では、照射ビーム111−1”と111−2”とはフォトマスク103を貫通して透過され、フォトマスク103により変更され、透過された照射ビーム111−1T”と111−2T”とを発生させる。集光系107T”は、透過光を集光し、ビームの焦点位置に基づいてビームを分離し、透過ビームの各々に比例する信号を発生する。分離は、1)2つの別々に合焦されたビームの間に偏光差を再導入することにより、および、2)偏光用ビームスプリッタを貫通して光を通過させ、空間的にビームを分離することにより行われる。具体的には、透過光集光系107T”に、アナモルフィック集光レンズ317と、四分の一波長板319と、信号111s”を発生させる透過光(TL)検出システム321Tとが設けられる。TL検出システム321Tには、分離光学系119T”と検出器121T”とが設けられる。レンズ317は、変更済みビーム111T”(すなわち111−1T”と111−2T”)の双方を集光し、四分の一波長板319は、四分の一波長板313の影響を元に戻し、双方のビームを直線偏光ビームへ変換し、2つのビーム間の偏光差を再設定する。
【0079】
TL検出システムでビームを分離するためのベースとして別様に合焦されるビーム間の偏光差が利用される。TL検出システム321Tには、図3Bに示すように、開口絞り325と、偏光ビームスプリッタ327と、2対のレンズと検出器とが設けられる。この2対のレンズは、検出器331上へ合焦するためのビーム111−2T”用の第1の円柱レンズ329と、検出器335上へ合焦するためのビーム111−1T”用の第2の円柱レンズ333とから構成される。ビームスプリッタ327によりビームのそれぞれの偏光に応じて双方の変更済みビーム111T”が個々に分岐される前に、コヒーレンスを0.5に制限する瞳面を有する開口絞り325が双方の変更済みビーム111T”を透過させる。検出器331と335の双方は、それぞれ、ビーム111−2T”と111−1T”の強度に基づいて(図1Bに示すように)信号111s”を発生させる。
【0080】
透過光と反射光は異なる光学要素を貫通するが、分離方式と検出方式とは類似している。したがって、透過光は、集光レンズ317と、四分の一波長板319と、透過光(TL)検出システム321Tとの中を順次通り抜け、一方、反射光は、対物レンズ315、四分の一波長板313、偏光用ビームスプリッタ309およびRL検出システム321Rの中を順次通り抜ける。RL検出システム321RとTL検出システム321Tには、同じ構成要素が含まれている。有益な信号を得るために、これら構成要素のいくつかがわずかに異なる光学特性を持つことが望ましい場合もあることは理解されよう。さらに、別の実施形態では、均等な構成要素を設けて請求された発明の機能を実行するようにしてもよい。
【0081】
検出器331と335とを選択して、これらの検出器が感知する光の強度を示す高速信号が発生される。検出器の例として、高帯域幅用の大きさの紫外線感応型シリコンフォトダイオードがある。フォトマスク103の光学特性の有効測定値は、同じ位置で別様に合焦するビームから出る信号の結果を比較することから結果として生じる。第1の実施形態内でこのような信号を発生させる1つの方法として、検出器335の信号から検出器331の信号を減じる方法がある。この信号の減算は、検出器331と335と接続された回路構成(図示せず)を通じて、あるいは当業で周知の別の信号処理技術によってデータ解析用コンピュータ125で行うことができる。位相欠陥部の表示を発生する検出器信号の利用についてのさらに詳細な解析を以下に示すことにする。光源115”に設けた音響光学変調器(図1Bには示されていない)と、並進段123を用いるフォトマスク103の移動とを利用するビームの走査中に信号を集めることにより、フォトマスク103の位置に対応するデータの2次元の組み立てを行ってフォトマスク表面全体の検査を行うことができる。
【0082】
焦点ベースの、走査形アーキテクチャの形での本発明の第2の実施形態が図4Aと4Bに示されている。この実施形態を用いてフォトマスク上の3つのポイント(N=3)を同時に検査するようにしてもよい。第2の実施形態の動作原理は、偏光効果を持つ第1の実施形態の動作原理と類似している。この動作原理を用いて、ビームの偏光に応じて分離された合焦済みビームが発生される。第1と第2の実施形態の相違点として挙げられるのは、第2の実施形態には複数対の別様に合焦され、別様に偏光されるビームの発生が含まれるという点である。複数対のビームによって、(2重矢印により示されているように)複数の走査ポイントでフォトマスクが検査され、分離系と検出システムとによって、複数対の変更済みビームの各々に対応する信号が発生される。この構成は一般に透過光と反射光の双方の光に対して適用可能である。
【0083】
検査システム101”には、透過光を用いる検査のための第1の実施形態と同じ構成要素の多くが設けられている。追加の構成要素を用いて、複数対の照射ビーム111”の発生と、分離と、検出とが行われる。具体的には、照射光源115”に格子401が設けられ、この格子により複数のほとんど視準された走査ビーム116”が発生される。この格子401を構成して、各入力ビーム300用の3つの出力ビームを発生させるようにする。好適な格子または格子様素子には、高い+/−の1次回折効率を持つホログラムや位相格子が設けられている。一対の別様に合焦されたビームを発生させ、次いで、格子を貫通してこの一対のビームを通過させ、複数対の合焦済みビームを発生させることにより、代わりに走査ビームを発生させることができる。
【0084】
走査ビーム116”は複屈折レンズ305を貫通し、異なる分岐を持つ3対の同軸ビームを発生させ、これによって、これら3対のビームは横方向に分離されるようになる。四分の一波長板313は、フォトマスク103において照射ビーム111”の左回りと右回りの円偏光を発生させる。対物レンズ315は、対を成すビーム111a〜1,111a〜2、111b〜1,111b〜2、111c〜1,111c〜2を受け取り、図2と図4Bに示すように、それぞれ、焦点111a〜1F”と111a〜2F”、111b〜1F”と111b〜2F”および111c〜1F”と111c〜2F”にこれらの対を合焦させる。特に、焦点111a〜1F”,111b〜1F”,111c〜1F”は、111a〜2F”,111b〜2F”,111c〜2F”と同じ近接焦面で合焦される。第1の実施形態の場合のように、自動焦点系106を用いて、別様に合焦したビームをフォトマスク103上に中心が来るように保ち、次いで、リレー光学系311を用いて、設けられている光学系の倍率や検査位置を変える。
【0085】
3対の照射ビーム111”は、フォトマスク103を貫通して透過され、フォトマスク103により変更され、3対の変更済み照射ビーム111T”を発生させる。透過光集光系107T”は、6個の変更済み照射ビームの各々から信号を分離し、発生するように適合され、この透過光集光系107T”には集光レンズ317、四分の一波長板319および透過光(TL)検出システム421が設けられる。レンズ317はすべての変更済みビーム111T”を集光し、上述の場合と同様、四分の一波長板319により各対のビーム間の偏光差が再設定される。TL検出システム421には、図4Bに示すように、分離光学系119T”と検出器121T”とが設けられる。分離光学系119T”と検出器121T”は、開口絞り425、偏光ビームスプリッタ427、第1の対のレンズおよび検出器から構成される。すなわち、それぞれ、検出器431a〜c上へ合焦するためのビーム111a〜2T”,111b〜2T”,111c〜2T”用の第1のアナモルフィック円柱レンズ429と、それぞれ、検出器435a〜c上へ合焦するためのビーム111a−1T”,111b−1T”,111c−1T”用の第2のアナモルフィック円柱レンズ433とから構成される。変更済みビーム111T”が、ビームスプリッタ427によりビームのそれぞれの偏光に応じて個々に分岐される前に、コヒーレンスを0.5に制限する瞳面を持つ開口絞り425により変更済みビーム111T”の双方が透過される。検出器431と435の双方は、それぞれのビーム111T”の強度に応じて、(図1Bに示すように)信号111s”を発生させる。
【0086】
検出器431と435は、第1の実施形態の検出器331と335の場合と同様、個々の検出器のいずれかの検出器であってもよいし、アレイ検出器であってもよい。検出器の例として高帯域幅用の紫外線感応型シリコンフォトダイオードがある。或いは、透過光集光系107T”は、一般に、様々な光路を折り畳み、2次元アレイ検出器上へ個々の変更済みビーム111T”を示すための光学系を備えるものであってもよい。さらに、3未満または3以上のビームを発生させるための格子401と、変更済みビームを個々に測定するための適切な検出器とを交互に使用することにより、3未満または3以上の測定値を同時に取得することも可能である。
【0087】
本発明の走査合焦ベースの実施構成の第3の実施形態を図5A〜Cに示す。この実施形態は、干渉効果と空間フィルタ処理とを利用して、別様に合焦された一対のビーム(N=1)を発生する透過光と反射光走査検査システムを示すものである。具体的には、この実施形態は、2つの別様に合焦されたビームを発生させ、フォトマスクにより変更されたビームから出た光を集光させ、空間フィルタ上へ変更済みビームを再合焦し、これによって検査焦点位置に基づく分離を可能にし、その後、検出器上に変更済みビームの各々を集光するものである。この系によって、同じ近接するフォトマスク位置で複数対の信号が1回に付き一対発生され、照射ビームの走査とフォトマスクの移動とによりフォトマスクの検査が行われる。
【0088】
検査システム101”には、照射光源115”、差誘起と合焦光学系117”および透過光集光系107T”と反射光集光系107R”が設けられる。この実施形態では、自動焦点系は図示されていないが、フォトマスク103の前後のいずれかの位置に自動焦点系を組み入れることができる。照射光源115”には、ビーム300を発生させるための光源(図示せず)と、音響光学変調器301と、レンズ303とが設けられる。前の実施形態の場合と同じように、この光源は、当業者には周知のレーザやその他の好適な光源であってもよい。照射光源115”の出力は、1つのほとんど視準化された走査ビーム116”である。
【0089】
差誘起と合焦光学系117”には、光学素子505、瞳系508、四分の一波長板313および対物レンズ315が設けられる。異なる焦点を持つ2以上のビームを発生させる好適な光学素子505には、Cohen の米国特許第5,144,483号(特許文献3)、第4,995,714号(特許文献4)、第4,338,005号(特許文献5)に記載のような多焦点ゾーンプレートが設けられる。これらの米国特許は、その全体が本願明細書で参照により援用されている。走査ビーム116”は、多焦点ゾーンプレート505と瞳系508を貫通して透過され、異なる分岐を持つ同軸ビーム111−1”と111−2”を発生させる。四分の一波長板313は、フォトマスク103に前述の有効な偏光を発生させる。差誘起と合焦光学系117”に加えて、この対の照射ビーム111”もその他の光学系を貫通して透過される。この実施形態には、偏光用ビームスプリッタ509と、光学系の倍率や検査位置を変えるためのリレー光学系311とが含まれる。
【0090】
集光系107T”は透過光を集光し、それらの焦点位置に応じてビームを分離し、透過ビームの各々に比例して信号を発生させる。空間フィルタ上へのこの対の変更済み照射ビームの再合焦により分離が行われる。この空間フィルタは、変更済みビームを異なる検知素子へ個々に指向させる。具体的には、透過光集光系107T”には、集光レンズ317と、四分の一波長板319と、信号111s”を発生させる透過光(TL)検出システム521Tとが設けられる。TL検出システム521Tには、分離光学系119T”と検出器121T”とが設けられる。レンズ317は、変更済みビーム111T”の双方を集光し、四分の一波長板319は、2つのビーム間の偏光差を再設定する。
【0091】
TL検出システムでビームを分離するためのベースとして焦点位置の差が利用される。図5Bに示すように、TL検出システム521Tには、開口絞り525、空間フィルタ527、2つの素子531Aと531Bを備えた検出器531上へ合焦するためのビーム111−1T”と111−2T”用の円柱レンズ529が設けられる。変更済みビーム111T”が、空間フィルタ527によりビームのそれぞれの偏光に応じて個々に分岐される前に、コヒーレンスを0.5に制限する瞳面を持つ開口絞り525により変更済みビーム111T”の双方が透過される。空間フィルタ527は、ビーム111−1T”と111−2T”とを並べて偏向させ、これにより、2つの素子531aと531bを備えた単一の検出器531による2つの信号の検出が可能となる。
【0092】
図5Cに示すような空間フィルタ527は、透明プレート535から成り、石英のような材料から成り、プレートの反対側に成膜された金属などの材料であるリフレクティブスポット537を持つ。スポット537は、レンズ517とプレート535の厚さを貫通した後、透過ビーム111T”の焦点距離に応じてオフセットされる。2つのビームの焦点位置の近くで適切にアラインメントが行われた空間フィルタ537の場合、検出器531上へ円柱レンズ529により合焦するために個々の照射ビームの経路を側面からオフセットすることができる。
【0093】
RL検出システム521Rには、反射光から得られる信号を最大化するように選択された光学特性を持つ521Tの構成要素が設けられる。さらに、RL検出システム521Rは、TL検出システム521Tの信号と類似の仕方で信号を発生させる検出器を持つ。検出器531は、光の強度の有効な表示が行われるように選択され、さらに、検出器531は、2以上の検知素子を備えたアレイ検出器であってもよいし、2つの個別の検出器であってもよい。
【0094】
図6A〜Cに本発明の第4の実施形態が示されているが、この実施形態では、多重走査用スポット(N>1)が第3の実施形態に追加されている。具体的には、この実施形態では、N=3対の別様に合焦したビームが発生され、フォトマスクにより変更されたビームから出た光が集光され、変更済みビームが空間フィルタ上へ再合焦されて、検査焦点位置に基づいて分離が可能となり、次いで、各変更済みビームの各々が検出器上に集光される。この系は、同じ近接するフォトマスク位置で3対の信号を発生させ、次いで、照射ビームの走査とフォトマスクの移動とによりフォトマスクの検査を行う。この複数位置の検査能力により検査時間が大幅に短縮される。
【0095】
検査システム101”は、透過光と反射光とを用いる検査用の第3の実施形態と同じ構成要素の多くを備えている。追加の構成要素を用いて、複数対の照射ビーム111”の発生と、分離と、検出とが行われる。具体的には、複数のほとんど視準化された走査ビーム116”を発生させる格子401が照射光源115”に設けられる。各入力ビーム300用の3つの出力ビームを発生させるように格子401が構成される。3つの走査ビーム116”は、差誘起と合焦光学系117”と、瞳系508と、ビームに円偏光を行わせる四分の一波長板313と、照射ビーム111”の各々を合焦する対物レンズ315とを貫通する。この差誘起と合焦光学系117”は、多焦点ゾーンプレート505から構成され、3つの走査ビームの各々に対して関連する2つの分岐ビームを発生させる。特に、対物レンズ315は、図2と図6Aに示すように、3対のビームを受け取り、焦点111a〜1F”と111a〜2F”,111b〜1F”と111b〜2F”,111c〜1F”と111c〜2F”へこれら3対のビームをそれぞれ合焦する。焦点111a〜1F”,111b〜1F”,111c〜1F”は、111a〜2F”,111b〜2F”と111c〜2F”と同じ近接する焦面に合焦される。
【0096】
3対の照射ビーム111”は、フォトマスク103から反射され、次いで、フォトマスク103を貫通して透過されて、3対の変更済み照射ビーム111T”と111R”をそれぞれ発生させる。集光系107T”は、この透過光を集光し、3対のビームの焦点位置に応じてこれら3対のビームを分離し、透過ビームの各々に比例して信号を発生させる。空間フィルタ上へこの対の変更済み照射ビームを再合焦することにより分離が行われる。この空間フィルタは、異なる検知素子へ変更済みビームを個々に指向させる。具体的には、透過光集光系107T”には、集光レンズ317と、四分の一波長板319と、信号111s”を発生させる透過光(TL)検出システム621Tとが設けられる。TL検出システム621Tには、分離光学系119T”と検出器121T”とが設けられる。
【0097】
TL検出システムでビームを分離するためのベースとして焦点位置の差が利用される。TL検出システム621Tには、図6Bに示すように、開口絞り625と、空間フィルタ627と、6個の素子D1〜D6を備えた検出器631上へ6つのビーム111T”の各々を合焦するための円柱レンズ629とが含まれる。変更済みビーム111T”の双方が、空間フィルタ627によりビームのそれぞれの焦点位置に応じて個々に分岐される前に、コヒーレンスを0.5に制限する瞳面を有する開口絞り625を変更済みビーム111T”の双方が透過される。空間フィルタ627は、ビーム111T”の個々のビームを並べて偏向させ、これにより、6個の素子D1〜D6を備えた単一の検出器631が個々の強度を検出し、信号111s”について報告できるようにする。
【0098】
図6Cに示すような空間フィルタ627は、3個の空間フィルタ527あるいはこれと均等なフィルタから構成される。空間フィルタ637は、レンズ317により合焦されるような透過ビーム111T”の各位置に配置された反射スポット537を有する。3個の空間フィルタ527のスタッキングにより検出器D1〜D6上へ6個のビーム偏向を行うことができる。例えば、検出器D1とD4は、透過ビーム111a−1T”と111a−2T”とをそれぞれ検出する。本発明によれば、信号を解析する1つのシステムにより、焦点111a−1F”の近くで誘起される位相を表すものとして、D1とD4からの信号の差が形成される。
【0099】
検出器627は、第1の実施形態の検出器331と類似する個々の検出器のいずれかの検出器であってもよいし、アレイ検出器であってもよい。検出器の例として高帯域幅用の紫外線感応型シリコンフォトダイオードがある。さらに、4以上のビームを発生させるための格子401と、適切な検出器とを交互に使用することにより、4以上の測定値を同時に取得して変更済みビームを個々に測定することも可能である。
【0100】
合焦ベースの投影光学系
投影形合焦ベースの検査システムは、走査形合焦ベースシステムの照射態様の多くを共有している。走査光学系では、変更された光が1点ずつ集光されるのに対して、投影光学系では、照射された表面領域上で変更された光を結像する集光系が使用される。1つの違いとして、対物レンズが表面特徴を持つフォトマスクの側部を表示するので、フォトマスクの前面207に入射するように照射ビーム111”を配向するのが好ましいのに対して、投影光学系の場合、照射ビーム111’がフォトマスクの後部表面205に入射するほうが好ましいという点が挙げられる。集光系の設計時に、走査光学系では解像度が照射スポットのサイズにより制限されるのに対して、投影光学系の解像度は、主として集光系の光学的およびセンサ設計に依存するという点が重要である。投影光学系の種々の実施形態についての以下の説明では、図1Aのコンピュータ制御109とデータ解析システム125とにより検査とデータ解析処理とが制御されることが理解されよう。
【0101】
本発明の第5の実施形態が焦点ベースの投影形アーキテクチャ101’として図7に示されている。この第5の実施形態では、光学系(照射光学系や集光光学系)またはフォトマスクの移動あるいはこれら双方の移動により2つの異なる焦点位置間で光集光系の焦点を逐次切り替えることにより、変更済み照射ビームの像が集光される。具体的には、フォトマスクが照射され、第1の位置に合焦された対物レンズを用いて第1の像が集光され、それに後続して、第2の位置に合焦された対物レンズを用いて第2の像が集光される。第5の実施形態101’には、単一照射ビーム111’を発生させる光源(図示せず)と、四分の一波長板701と、フォトマスク103の領域を合焦するための合焦用レンズ703とを備えた照射系105’が設けられている。
【0102】
投影集光系107T’には、合焦光学系、具体的には、対物レンズ705と、第2の四分の一波長板707、結像レンズ711および結像検出器713を備えた分離と結像検出器とが設けられる。2つの焦点間で対物レンズ705の焦点を切り替えることにより複数の合焦された像が得られる。また、第1の投影形検査システムには自動焦点系106も設けられる。この自動焦点系106は、フォトマスクの方へ光を分岐して、内部光源(図示せず)による合焦を達成するための偏光用ビームスプリッタ709を備える。
【0103】
結像検出器713は、単一照射ビーム111’の波長に対して良好に応答する線形アレイ検出器または2次元アレイ検出器であってもよい。好ましくは、結像検出器713は、時間遅延積分(TDI)検出器であることが望ましい。TDI検出器は2次元CCD検出器であり、この検出器で、集光された信号は制御可能なシフト速度で列に沿ってシフトされる。光学系はこのシフト速度でマスクを走査するように構成され、それによって2次元像の取得が可能となる。対物レンズ705によって1つの焦点位置で像を取得した後、対物レンズの焦点が異なる焦点位置へシフトされ、この焦点位置でデータの収集が繰り返される。具体的には、自動焦点106とコンピュータ制御109とにより、対物レンズ705の焦点が、対物レンズ705の操作により、第1の焦点、例えば、図2の焦点111−1F’に調整され、次いで、結像アレイ712により透過光111T’の第1の像が集光されてデータ解析システム125の中へ入る。次いで、自動焦点106は、第2の焦点、例えば、図2の焦点111−2F’に対物レンズ705を調整し、結像アレイ712により第2の像が集光されて、データ解析システム125の中へ入る。このようにしてデータ解析システム125は双方のビームに関連する一点ずつの2次元強度データの編集が可能となる。
【0104】
本発明の第6の実施形態が合焦ベースの投影光学系として図8Aと8Bに示されている。照射系105’には、偏光変調器801、並びに、四分の一波長板701と合焦用レンズ703が設けられている。偏光変調器801とは、例えば、図1Aのコンピュータ109の制御によりTDI検出器の回線速度で切り替えを行うKDP EOクリスタルである。偏光変調器801から出る照射ビームは異なる偏光と異なる分岐とを行う。図8Aの曲線の矢印で示されているように、2つの単一照射ビーム111’が2つの偏光間でこのように電子的に切り替えられる。集光系107T’には合焦光学系129’(具体的には、複屈折対物レンズ803)が設けられ(図1C)、分離と結像検出器131’(図1C)には、以下に説明するような、四分の一波長板707と、偏光用ビームスプリッタ709と、合焦用レンズ711と、検出器804とが設けられている。ビームスプリッタ709は、2つのビームの異なる偏光によってこれら2つのビームの分離を行う。複屈折レンズ803を配置して、結像検出器713上に別様に偏光されるビーム111T’が同じ近接位置上へ生じるようにする。
【0105】
検出器804は、2つのビーム111T’を集光する結像検出器である。一般に、検出器804は、単一照射ビーム111’の波長に良好に応答するように選ばれた、線形または2次元のCCD検出器のような2つの検出器とすることができる。好ましくは、結像検出器804は、1つおきの走査列上で1つおきの焦点をずらした像を受け取るように改変された1つの時間遅延積分(TDI)検出器であることが望ましい。TDI検出器を改変して、1つおきの行をブロックすることにより、あるいは、交替する行上へ光を分岐する格子やマイクロレンズアレイのような光学装置により2つの像を取得することができ、次いで、検出器の周波数シフトが光学系とフォトマスクとの間での相対運動と同期される。
【0106】
2つの像を集光するTDIアレイの一例が図8Bに示されている。不透明なカバー807の個々のカバーによって互い違いのアレイセンサ素子805がブロックされる。TDIは、変調器801の制御と連携して図1Aのコンピュータ109が制御するシフト周波数で1つの結像センサから次の結像センサへ情報をシフトすることにより(電荷のシフトにより)信号の積分を行うCCDアレイである。センサがシフト周波数と交番する2つの像に露光されると、これら2つの像はインタリーブされた方法でアレイに記憶される。これによって、TDI検出器804の走査によって、このように変更された単一照射ビーム111’の変調を調整することにより、変調され、変更済み照射ビーム111T’の双方を単一の結像センサ上に集光することが可能となる。合焦ベースの投影形検査装置として本発明の第7の実施形態を図9に示す。照射光学系は、四分の一波長板701と合焦用レンズ703とを貫通して、(図示されていない手段により)別様に合焦され、偏光された一対の照射ビーム111’を指向させる。図9の矢印のついた線は、様々な光ビームの偏光配向を示す。例えば、第1の実施形態の複屈折レンズ305を用いて、別様に分岐し、別様に偏光されたビームを発生させることができる。集光系107T’には、合焦光学系が設けられ、この合焦光学系には、具体的には、複屈折対物レンズ803、四分の一波長板707、ウォラストンプリズム901、合焦用レンズ903および標準的TDI結像検出器713を含む分離と結像検出器が備えられている。複屈折対物レンズ803とウォラストンプリズム901とが一体に作動して、照射されたフォトマスク103の2つの像を並べて生成する。TDIシフト周波数でフォトマスク103とタイミングをとって走査することにより、双方の変更済み照射ビーム111T’の2次元像がTDI検出器713上に得られる。データ解析システム125において、あるいは、複数対の信号を比較するように構成された検出用電子機器やその他の装置内で複数対の信号の解析を行うことが可能となる。
【0107】
図10に第8の合焦ベースの投影光学系の実施形態が示されている。第7の実施形態の場合のように、一対の別様に合焦され、別様に偏光された照射ビーム111’が照射系105’から出力される。矢印は様々なビームの偏光配向を示す。集光系107T’には、合焦光学系129(具体的には、対物レンズ705)と、分離と結像検出器131とが設けられ、この分離と結像検出器131には、四分の一波長板707と、合焦用レンズ1001と、偏光用ビームスプリッタ1003と、標準的TDI結像検出器905とが含まれる。この実施形態では、合焦用レンズ1001と偏光用ビームスプリッタ1003が一体に作動してTDI結像検出器713上に別様に合焦した2つの像を並べて結像する。フォトマスク103とTDIシフト周波数との走査タイミングをとることにより、検出器713を用いて、双方の変更済み照射ビーム111T’の2次元像を集光することができる。
【0108】
図11Aに合焦ベースの投影形検査装置の第9の実施形態を示す。第5の実施形態は、一対の別様に偏光され、別様に合焦された同軸照射ビーム111’を用いる。照射系105には、四分の一波長板701と合焦用レンズ703とが設けられ、フォトマスク103上に別様に合焦した2つのスポットが生成される。矢印は、様々なビームの偏光配向を示す。集光系107T’には、複屈折対物レンズ803、四分の一波長板707、合焦用レンズ711、複屈折マイクロプリズムアレイ1101およびTDI検出器703が設けられている。複屈折対物レンズ803は、別様に偏光され、合焦された透過ビーム111T’を結像検出器713上の同じ近接位置上へ導くように配置される。
【0109】
図11Bは、図11Aの実施形態に基づいてインターレースされた像を生成する結像光学系の側面図を示す。透過された変更済みビーム111T’が走査されて、この側面図の平面の中へ入り、同じ近接する焦面に合焦されるが、異なる偏光を示す。2:1ビーム拡大プリズム1103は、センサ805と同じ近接する間隔を持つプリズムアレイを備えた複屈折マイクロプリズムアレイ1101上へ変更済みビーム111T’を指向させる。個々の複屈折プリズムを構成して、2つの異なる極性を持つ到来ビームを2つの並んだビームに分割する。このようにして、アレイ1101は、2つの別様に偏光された変更済み照射ビーム111T’を受け取り、検出器713に対して2つのインターレースされた像を生成する。前述したように、TDIシフト周波数とタイミングをとって走査を行い、双方の変更済みビーム111T’の2次元像の生成を行うことができる。また、前述したように、フォトマスクの検査を逐次行うために、任意の1時点において、多ビームの代わりに唯一のビームを発生させるようにしてもよい。
【0110】
第5から第9の実施形態が、一対の別様に合焦され、別様に偏光された照射ビームを用いて示されるのに対して、クリティカル照明やケーラー照明で合焦される単一照射ビームを用いてこれら実施形態の実現が可能であることが理解されよう。このような変形例やその他の変形例は、本発明の範囲内に含まれるものである。
【0111】
ゼルニケベース系
ゼルニケ点像分布関数を用いる本発明の実施形態では、上述した合焦ベースの光学系で使用される構成要素と大部分類似している構成要素が使用される。但し、ゼルニケベース系の場合、位相物体に対する感度が、ビーム対の異なるゼルニケ点像分布関数により導入されるのに対して、合焦ベース系の場合には、ビーム対の異なる焦点ずれポイントや合焦ポイントにより位相物体の感度が導入されるという点が異なっている。合焦ベース系の場合、異なるゼルニケ点像分布関数を持つ2対以上の横方向に分離されるビームを用いて、検査処理のスピードアップを図るようにしてもよい。その場合、フォトマスク103との相互作用の前後に異なるゼルニケ点像分布関数を導入するようにしてもよい。
【0112】
ゼルニケベース系では、ゼルニケ点像分布関数を持つ光学系を用いて、フォトマスク位相情報が振幅情報に変換され、光感度検出器を用いてこの振幅情報を容易に信号へ変換することができる。従来技術のゼルニケ系では、単一のゼルニケ点像分布関数を持つ光学系を用いて位相物体の検査が行われる。例えば、BornとWolf著,光学の原理(第7(拡張)版,Margaret Farley-BornおよびEmil Wolf ,1999年 ,p.472)(非特許文献3)を参照されたい。進歩性のある本検査システムでは、相補+/−90°位相差ゼルニケ点像分布関数を用いてフォトマスクの照射または検査が行われる。本発明では、相補点像分布関数による検査により、対応するフォトマスク位置からの2つの結果信号を合成することによって大幅な感度の上昇が得られる。1つの実施形態では、相補ゼルニケ点像分布関数が直交偏光により生成され、効率的に2つの相補像や信号に分離される。
【0113】
相補+/−90°位相差ゼルニケ点像分布関数が望ましい関数ではあるが、相補+/−α°位相差ゼルニケ点像分布関数を使用してもよいこと、また、この関数の利用が本発明の範囲内に含まれることが理解されよう。但し、αは0°と180°の間の値である。
【0114】
図14Aと14Bは、本発明の走査形ゼルニケベースの検査装置の第10の実施形態の概略図である。フォトマスク103を検査するためのこの第10の実施形態の光学検査システム101”には、照射系105”と、透過光検出システム107T”と、照射系内に配置される自動焦点系106とが設けられる。照射系105”には、ビームの合焦と走査を行うための音響光学変調器301を貫通する照射ビーム300を発生させるレーザやその他の適切な光源(図示せず)と、ビームを視準するためのレンズ303と、ゼルニケ位相板1401と、四分の一波長板313と、ゼルニケ対物レンズ1403とが設けられる。第10の実施形態の照射系105”は、異なる偏光とゼルニケ点像分布関数とを持つ2つの照射ビーム111”を発生させるが、これら2つの照射ビーム111”はほぼ同軸でかつほぼ同じ近接する焦点111−F”を持つビームである。従来の実施形態のいくつかの場合と同様、四分の一波長板313は、フォトマスク103の近くに照射ビームを生じさせ、円偏光を生じる。ビーム間の偏光差は、上述したような第2の後部フォトマスク四分の一波長板を用いて再導入される。
【0115】
音響光学変調器301は、2重矢印により示されているように、ビームを合焦し、走査する。上述した合焦ベース系の場合と同様、フォトマスクは段123により動かされる。ゼルニケ対物レンズ1403と、ゼルニケ対物レンズの後側焦点面に距離Lで配置されるゼルニケ位相板1401とを組み合わせることにより、+/−90°の相補ゼルニケ点像分布関数を持つ直交偏光されたビームが焦点111F”に生成される。ゼルニケ位相板の構造は、以下に解説するような、異なる偏光と、ゼルニケ点像分布関数との2つの同軸ビームを発生させるように特に設計されている。これらビームの各々は、フォトマスク103上の位相物体と別様に相互作用し、個々のビームの解析に基づいて検査が行われる。
【0116】
2つの合致する照射ビーム111−1”と111−2”は、フォトマスク103を貫通して透過され、フォトマスク103により変更されて、透過された照射ビーム111−1T”と111−2T”を発生させる。透過光集光系107T”は、ビームの偏光に応じて相補ゼルニケ点像分布関数を持つビームの分離を行う。透過光集光系には、集光レンズ317と、四分の一波長板319と、TL検出システム1407Tとが設けられている。集光系107T”は、透過光を集光し、ビームの偏光によってビームを分離し、透過ビームの各々に比例する信号を発生させる。分離は、1)2つの別々に合焦されたビーム間に偏光差を再導入することにより、および、2)偏光用ビームスプリッタを貫通して光を通過させ、空間的にビームを分離することにより行われる。具体的には、透過光集光系107Tには、集光レンズ317と、四分の一波長板319と、信号111s”を発生させる透過光(TL)検出システム1407Tとが設けられている。TL検出システム1407Tには、分離光学系119T”と、検出器121T”とが設けられている。レンズ317は、変更済みビーム111T”と四分の一波長板319の双方を集光し、四分の一波長板319は、2つのビーム間の偏光時における偏光差を再設定する。
【0117】
TL検出システムでのビームの分離を行うためのベースとして別様に合焦されるビーム間の偏光差が利用される。TL検出システム1407Tは、第1の実施形態の構造に関して構造が類似し、開口絞り325と、偏光用ビームスプリッタ327と、2対のレンズと検出器とを備えている。このレンズは、検出器331上へ合焦するためのビーム111−2T”用の第1の円柱レンズ329と、検出器335上へ合焦するためのビーム111−1T”用の第2の円柱レンズ333とから構成される。双方の変更済みビーム111T”が、ビームスプリッタ327によりビームのそれぞれの偏光に応じて個々に分岐される前に、コヒーレンスを0.5に制限する瞳面を持つ開口絞り325により変更済みビーム111T”の双方が透過される。検出器331と335の双方は、それぞれ、ビーム111−2T”と111−1T”の強度に基づいて信号111s”を発生させる。
【0118】
本発明によるゼルニケ位相板は、相補ゼルニケ点像分布関数を持つ直交ビームを発生させることができる。本発明の限定を意図するものではないが、考え得るゼルニケ位相板1401の例として、図15Aと図15Bに第1の実施構成例を、また、図16Aと図16Bに第2の実施構成を示す。第1の実施構成のゼルニケ位相板には、融解石英基板1501と結晶質水晶板1503とが設けられている。結晶質水晶板1503は、複屈折する性質を有し、それぞれ“e”と“o”とラベルをつけた矢印により示されるように、180°だけ異なる異常軸と通常軸とを形成する表面レリーフ部を有する。結晶質水晶板1503を用いて好ましい+/−90°ゼルニケ位相板を形成するために、この位相板は、整数のオーダーmの厚さdである。但し、m=d(ne +no )/2λ(屈折率n=(ne +no )/2=1.5であり、異常/通常屈折率については、波長λ=238nmでne −no =0.011)である。したがって、例えば、68のオーダーmでは、d=11.651μmの厚さを必要とする。上述したように、相補+/−α°位相差ゼルニケ点像分布関数を持つゼルニケ位相板を使用してもよく、これは本発明の範囲内に含まれるものである。但し、αは、約70°〜110°の間のような0°と180°の間の値である。好ましくは、ゼルニケ位相板が複屈折α波長板と、ほぼ90°だけ回転された中心領域とを備えていることが望ましい。但しαは、約70°〜110°の間のような0°と180°の間の値であり、好ましくは約90°の値を持つことが望ましい。
【0119】
第2の実施構成のゼルニケ位相板1401は、複屈折結晶質石英の四分の一波長板であり、この波長板は第1のプレート1601と第2のプレート1603とを備える。第1と第2のプレート1601と1603は、図16Bに示すように、相互に極性が反転する通常軸と異常軸とを有する。+/−90°ゼルニケ位相板の場合、その厚さは、d=λ/(4(ne −no ))=5.816μmで与えられる。
【0120】
フォトマスク103により変更された個々のゼルニケ照射ビームは、変更済み照射ビーム111−1T”と111−2T”を発生させ、これらのビームの各々は、フォトマスクにより誘起された位相量に感応する。減算や図示する方法によって2つのビーム強度の表示を組み合わせることにより、例えば、位相物体、位相物体エラーおよび/または位相物体の類別に対する高い感度の表示が行われる。
【0121】
図17は、1つのビームによってフォトマスク103を照射する本発明の投影形ゼルニケベースの検査装置の第11の実施形態の概略図であり、変更された光から出る2つの透過ビームを投影する素子を備えたゼルニケ光学系を用いて結像が行われる。具体的には、対物レンズの後側焦点面に配置された本発明のゼルニケ位相板を用いて、変更された光を集光することにより、異なるゼルニケ点像分布関数を持つ一対の相互に直交するビームが得られる。上述した合焦ベース系の場合と同様、フォトマスクは段123により動かされる。
【0122】
第11の実施形態の検査装置101’には照射系105’と透過光集光系107T’とが設けられている。照射系105’には、照射ビーム111’を発生させる光源(図示せず)と、四分の一波長板701と、合焦用レンズ703とが設けられている。照射系105’は、フォトマスク上に存在する任意の振幅物体を合焦するフォトマスク103の位置近くに、合焦された照射ビームを出力する。透過光集光系107T’には、ゼルニケ対物レンズ1403と、四分の一波長板707と、ゼルニケ対物レンズの後側焦点面に配置されたゼルニケ位相板1401と、ビームの偏光(したがって、ビームのゼルニケ点像分布関数)に応じて、透過ビーム111T’を分離するためのウォラストンプリズム901と、合焦用レンズ903と、標準的TDI結像検出器713とが設けられている。
【0123】
ゼルニケ位相板を用いる上述した実施形態は、同時検出ではなく、単一放射ビームを用いて逐次検出を行えるように改変してもよい。また、上述した実施形態は、透過された放射ではなく反射された放射を検出できるように改変して、合焦ベースの実施形態に関連して上述した実施形態と実質的に類似した実施形態となるようにしてもよい。このような変形例およびその他の変形例は本発明の範囲内に含まれるものである。図8A,8B,11A,11Bを参照して説明したような合焦ベースの実施形態は、合焦ベース系の複屈折レンズを偏光変調器と交換することにより改変してもよい。このような変形例およびその他の変形例は本発明の範囲内に含まれるものである。
【0124】
データ解析
上述した複数の系は、フォトマスクから出る変更された光を受け取るように構成されている。一般に、本発明の諸部分により、位相物体による変更の結果として別様に変更される2つの変更済み光ビームが受け取られる。具体的には、合焦ベース系には、異なる焦点を持つ光ビームが含まれ、ゼルニケベース系には異なるゼルニケ点像分布関数を持つ光ビームが含まれる。これらの系はすべて、フォトマスク上の一致ポイントから出る複数対の信号を比較することにより位相情報の抽出を行う。具体的には、2つの信号を関数で処理するような、対応する信号の数学的処理が可能である。あるいは、一方の信号と他方の信号との対比プロットで示すようなグラフによるこれら対応する信号の提示が可能である。
【0125】
フォトマスク上の位置とセンサデータとの相関関係は当業者には明らかである。したがって、例えば、図12に、フォトマスク103領域のアレイが、フォトマスク上の格子として示されている。これら実施形態のいくつかでは、2つの別様に合焦された照射ビームを用いて、アレイ1203と1205の素子として概略的に示されているように、変更済み照射ビームの2つの対応する像が生成される。或いは、アレイ1203として概略的に示されている第1の像が集光されて、アレイ1205として概略的に示されている特定のフォトマスクの予想される第1の像がデータベースから検索される。破線の矢印により示されているように、像データをフォトマスク103上の物理位置と相関づけることが重要である。
【0126】
図12には、データの減算解析1201も示されている。この場合、フォトマスク103上の対応する物理位置に基づいて、2つの信号アレイ1203と1205間の相互の差分が計算され、差分アレイ1207が形成される。減算解析1201の目的は、差分アレイ1207内のデータを位相欠陥部と関連づけるために利用できるマップすなわち像を形成することである。前述したように、別様に合焦した2つの像間の差分、すなわち、ゼルニケ点像分布関数の差分から位相情報を得るようにしてもよい。したがって、追加の結像処理ステップや異なる結像処理ステップにより、位相欠陥部の位置の検出という目的が達成できることが理解されよう。したがって、様々な線形変換や非線形変換時の様々なアレイ内の値や位置を組み合わせて、欠陥部の検出を強調することが可能となる。具体的には、これら値のスケーリングやシフトを行ってもよいし、純粋な減算以外の別の方法でこれら値の合成を行ってもよい。例えば、センサ素子の非均一性に基づいて較正を行うようにしてもよいし、合成を行う前にある倍率まで値を上げて位相欠陥部の検出を目立たせるようにしたり、フォトマスク上に施されるパターン効果を最小化したりするようにしてもよい。さらに、ニューラルネットワークなどの適応性のある技術を利用して既知の欠陥部を利用して解析システムの“トレーニング”を行い、欠陥部の認識および/または類別を行うようにしてもよい。これらの技術は、一致ポイントの利用や隣接するフォトマスク位置から得られるデータの利用を含むものであってもよい。
【0127】
図13Aは、グラフによる別のデータ解析方法1301を示す図である。2つの信号アレイ1203と1205は、散乱プロット1303の形で合成されている。散乱プロット1303は、対応する各フォトマスク位置の2つの信号を取り出し、1つの軸上の1つの信号強度と、もう一方の軸上の第2の信号強度とをプロットすることにより形成される。コンピュータシミュレーションにより、欠陥部の簡単な特定および/または類別に散乱プロットを利用できることが証明された。したがって、例えば、図13Bに示すように、1303−aと1303−bは異なるタイプの位相欠陥部を表す散乱プロットである。これらのプロットの各々は、主たる対角線分1305を示している。この対角線分は、これら2つの信号が等しい強度を示すフォトマスク位置に対応するものである。
【0128】
モデル化の結果、欠陥部の種別と位置とに応じて別の特徴が出現することが証明された。換言すれば、これら別の特徴を利用して欠陥種別を類別することが可能となる。例えば、位相物体の中心部内に在る位相変更用ディボット(divot) を通り抜ける透過光に対応する散乱プロット1303−aでは、データ1307により、対角線1305の端部近くに軸の方へ向かう非対角線部が形成される。位相物体の中心部内に在る位相変更用バンプを通り抜ける透過光に対応する散乱プロット1303−bでは、データ1309により、対角線1305の端部近くに軸から離れる方向へ向かう非対角線部が形成される。非対角線部分の位置と角の配向は、フォトマスク上の位相欠陥部の位置、サイズ、配向と相関づけることができる。したがって、散乱プロット表示を用いて欠陥種別を特徴づけるとともに欠陥種別の定量化が可能であることがわかる。一実施形態では、既知の欠陥部に対する計算や測定を利用して像の類別に使用する結像処理技術を利用して散乱プロットの解析が行われる。別の実施形態では、計算済みの欠陥部や測定された既知の欠陥部と散乱プロットとを相関づけるようにトレーニングしたニューラルネットワークを用いてこの散乱プロットの解析が行われる。
【0129】
図18を参照することにより、本発明のデータ解析態様についてのさらに深い理解が得られる。前述したように、図18は、位相欠陥部1801を持つレベンソン形PSM103を検査するための合焦ベースの光学系やフォトマスクを対象とする本発明の実施形態である。図18Bは、変更された光の強度を示すプロットであり、2つの別様に合焦した(±λ/NA2 だけ焦点をずらした)ビーム、あるいは、異なるゼルニケ点像分布関数を持つビームなどの、2つの変更されたり、相互作用を行ったりするビーム111−1Tから得られる。図18Cは、変更された光の強度を示す散乱プロットである。
【0130】
図18Bからとった2つのビームの強度の比較を図18Cのグラフ1813に示す。具体的には、グラフ1813は、フォトマスク103上の一致ポイントにおける2つのビームの強度を示す散乱プロットである。2つの照射ビーム111−1Tと111−2Tとから出た光は、位相シフタ211と213を貫通したり、不透明領域209により妨害されたりするが、近似的に等しい強度を有し、対角線1815に沿って低下する。欠陥部1801を通り抜けたり、欠陥部1801の近くを通ったりする2つの照射ビーム111−1Tと111−2Tとから出る光は別様に変更され、異なる強度を有する。その結果、欠陥部により変更されたビームの散乱プロットは、非対角線部1817の上に落ちることになる。欠陥部の位置、サイズおよび大きさは、強度散乱プロットの非対角線部1817の位置、配向および長さにより特徴づけることが可能であることが判明した。
【0131】
さらに、本光学的方法により得られるフォトマスク位相情報は、受け入れ可能な(または、許容された)および/または受け入れ不能な(または、許容されない)禁止された値、状態、あるいは値や状態との間の差と比較することも可能である。このようにして、隣接する位相シフタ間の位相差が、特定のフォトマスク設計用として予想される位相差であるかどうかの判定を行うことによりフォトマスクの検査が可能となる。実施形態は、位相シフトの差が、特定のフォトマスク用として予想される位相差であるかどうかの判定を行わうために、すべての隣接シフタの検査を含むが、これに限定されるものではない。
【0132】
以上、望ましい特定の実施形態と関連して本発明について説明してきたが、これら説明と実施例とは例示を意図するものであって、本発明の範囲の限定を意図するものではないことが理解されよう。本発明の範囲は、添付の請求項の範囲およびそれと均等の範囲により画定される。本願明細書で参照したすべての文献はその全体が参照により援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1A】本発明によるフォトマスク検査システムの主要構成要素の若干を示す概略図である。
【図1B】本発明による走査形フォトマスク検査システムの一例についての詳細を示す。
【図1C】本発明による投影形フォトマスク検査システムの一例を示す概略図である。
【図2】レベンソン形PSMの検査に適用されるような本発明の検査装置の断面図である。
【図3A】本発明の走査形合焦ベースのフォトマスク検査装置の第1の実施形態の光結線図である。
【図3B】透過光のための第1の実施形態の集光系の光結線図である。
【図4A】本発明の走査形合焦ベースのフォトマスク検査装置の第2の実施形態の光結線図である。
【図4B】透過光のための第2の実施形態の集光系の光結線図である。
【図5A】本発明の走査形合焦ベースのフォトマスク検査装置の第3の実施形態の光結線図である。
【図5B】透過光のための第3の実施形態の集光系の光結線図である。
【図5C】第3の実施形態の空間フィルタ処理の光結線図である。
【図6A】本発明の走査形合焦ベースのフォトマスク検査装置の第4の実施形態の光結線図である。
【図6B】透過光のための第4の実施形態の集光系の光結線図である。
【図6C】第4の実施形態の空間フィルタ処理の光結線図である。
【図7】本発明の投影形合焦ベースの検査装置の第5の実施形態の光結線図である。
【図8A】本発明の投影形合焦ベースの検査装置の第6の実施形態の光結線図である。
【図8B】2つの像を受け入れるように変更されたTDI検出器の概略図である。
【図9】本発明の投影形合焦ベースの検査装置の第7の実施形態の光結線図である。
【図10】本発明の投影形合焦ベースの検査装置の第8の実施形態の光結線図である。
【図11A】本発明の投影形合焦ベースの検査装置の第9の実施形態の光結線図である。
【図11B】投影形装置の第5の実施形態に基づいてアレイ上へ2つの重なり合う像を転送するためのTDI検出器とアレイの概略図である。
【図12】差分計算を利用して位相情報を得るためのフローチャートである。
【図13A】散乱プロットを利用して位相情報を得るためのフローチャートである。
【図13B】本発明の典型的散乱プロットを示す。
【図14A】本発明の走査形ゼルニケベースの検査装置の第10の実施形態の概略図である。
【図14B】走査形ゼルニケベースの検査装置の第1の実施形態の反射光検出システムの詳細を示す。
【図15A】本発明の第1の実施形態のゼルニケ位相板の側面図である。
【図15B】本発明の第1の実施形態のゼルニケ位相板の前面図である。
【図16A】本発明の第2の実施形態のゼルニケ位相板の側面図である。
【図16B】本発明の第2の実施形態のゼルニケ位相板の前面図である。
【図17】本発明の走査形ゼルニケベースの検査装置の第11の実施形態の概略図である。
【図18A】合焦ベースの光学系用の本発明のデータ解析システムの実施形態であり、位相欠陥部を持つレベンソン形PSMの断面図である。
【図18B】合焦ベースの光学系用の本発明のデータ解析システムの実施形態であり、2つの別様に合焦された照射ビームから変更された光強度のプロットである。
【図18C】合焦ベースの光学系用の本発明のデータ解析システムの実施形態であり、変更された光強度の散乱プロットである。

Claims (66)

  1. 前面を備えたアーティクルを検査し、前記アーティクルにおける光学的変動を検出するための光学検査装置において、
    光学系が、
    照射経路に沿って少なくとも1つの照射ビームを出力する照射系であって、各照射ビームは関連する領域を前記アーティクルの前面に有し、さらに、前記前面から一定の距離に在る前記光学系の焦面と各照射ビームとを関連づけるように構成される照射系と、
    前記アーティクルによる変更後、様々な位相情報を含む少なくとも2つの信号を前記少なくとも1つの照射ビームに応じて発生する集光系と、
    関連する前面領域で変更済み照射ビームの位相または振幅の前記変動を前記信号に応じて検出するアナライザと、
    を有することを特徴とする光学検査装置。
  2. 前記光学的変動が振幅物体を含み、前記光学系の焦点は、前記集光系が近似的に同じ振幅の2つの信号を発生するように為すものであることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  3. 前記焦面を前記照射系と関連づけることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  4. 前記焦面を前記集光系と関連づけることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  5. 前記少なくとも1つの照射ビームが、実質的に単色であることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  6. 前記少なくとも1つの照射ビームが、前記前面領域においてほとんど円偏光であることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  7. 前記少なくとも1つの照射ビームのうちの少なくとも1つが、前記アーティクルを貫通する透過により、または、前記アーティクルからの反射により変更されることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  8. 前記集光系が、前記少なくとも2つの信号を逐次またはほぼ同時に集光することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  9. 前記アーティクルを走査するために、前記アーティクルと前記光学系との間に相対運動を生じさせるメカニズムをさらに備え、前記アナライザが、前記相対運動中に位置により特定される信号を発生させることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  10. 前記アーティクルに対して前記焦面の位置を相対的に変化させるメカニズムをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  11. 前記照射系が少なくとも一対の照射ビームを出力し、前記アナライザが、前記少なくとも一対の変更済み照射ビームから出た信号を前記関連する前面領域に基づいて比較することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  12. 前記アナライザが、前記信号を減じることにより前記変動を検出することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  13. 前記アナライザが、前記信号をグラフ化することにより前記変動を確定することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  14. 前記アナライザが、前記信号をしきい値と比較することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  15. 前記照射系が、前記少なくとも1つの照射ビームのうちの前記少なくとも1つのビームを前記アーティクルの両端にわたって走査することを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  16. 前記光学検査装置が合焦ベースの検査装置であり、前記照射系が一対以上の照射ビームを出力し、各対の照射ビームが2つの異なる焦面と関連づけられる2つの照射ビームを含み、さらに、前記集光系が、前記アーティクルにより変更された各対の照射ビームに応じて一対以上の信号を発生させることを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  17. 前記光学系が開口数NAを有し、前記複数対の照射ビームのうちの少なくとも一対がほぼ同じ波長λを持ち、このような一対の照射ビームと関連づけられる前記焦面間の距離が4λ/NA2 以下であることを特徴とする請求項16記載の光学検査装置。
  18. 前記光学検査装置が走査形検査装置であり、前記照射系が、
    少なくとも1つの光源ビームを出力する照射光源と、
    前記少なくとも1つの光源ビームに応じて少なくとも一対の分岐照射ビームを発生させる差誘起光学系と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の光学検査装置。
  19. 前記光源ビームが直線偏光放射を含み、前記差誘起光学系が、前記照射ビームの偏光に対して近似的に45°の角度で配向される通常軸と異常軸とを持つ複屈折レンズを有し、それによって前記少なくとも一対の前記照射ビームが直交偏光を持つように為すことを特徴とする請求項18記載の光学検査装置。
  20. 前記集光系が、前記少なくとも一対の偏光され、さらに、反射または透過された照射ビームを分離する分離光学系と、
    前記分離されたビームから前記信号を発生させる1以上の検出器と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の光学検査装置。
  21. 前記分離光学系が、前記変更済み照射ビームをビームの偏光により分離する偏光ビームスプリッタを備えることを特徴とする請求項20記載の光学検査装置。
  22. 前記照射光源が、前記光源ビームを出力する光源と、互いに空間的に分離された前記少なくとも二対以上の照射ビームを前記光源ビームから生成する多ビーム生成用素子とをさらに含むことを特徴とする請求項18記載の光学検査装置。
  23. 多ビーム生成用素子が、回折格子またはフレネルゾーンプレートを備えることを特徴とする請求項22記載の光学検査装置。
  24. 前記照射系が、前記二対以上の照射ビームを異なる関連する前面領域に合焦する対物レンズをさらに有することを特徴とする請求項22記載の光学検査装置。
  25. 前記集光系が、前記アーティクルによる前記ビームの変更後、前記2以上の変更済み照射ビームを検出する2以上の対応する組の検出器を有することを特徴とする請求項24記載の光学検査装置。
  26. 前記差誘起光学系が、多焦点ゾーンプレートを有することを特徴とする請求項18記載の光学検査装置。
  27. 前記集光系が、前記変更済み照射ビームを前記焦点距離に基づいて分離するための空間フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項26記載の光学検査装置。
  28. 前記アーティクルが前記少なくとも1つの照射ビームを透過させ、反射して、前記集光系が、前記少なくとも1つの透過された照射ビームに応じて信号を発生させる第1の集光系と、前記少なくとも1つの反射された照射ビームに応じて信号を発生させる第2の集光系とを含むことを特徴とする請求項18記載の光学検査装置。
  29. 前記光学検査装置が投影形検査装置であり、前記照射系が、
    光源ビームを出力する照射光源と、
    異なる偏光を持つ一対の照射ビームを出力するために前記光源ビームの変調を行う偏光変調器と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  30. 前記集光系が、
    前記アーティクルによる変更後に前記照射ビームを集光するための対物レンズと、
    前記変更済み照射ビームを該ビームの偏光に基づいて分岐するための分離光学系と、
    前記分岐された変更済み照射ビームを集光するための結像検出器と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項29記載の光学検査装置。
  31. 前記分離光学系がウォラストンプリズムをさらに含み、前記対物レンズが複屈折レンズであり、前記結像検出器が前記分離された変更済み照射ビームを前記検出器上で並べて検出することを特徴とする請求項30記載の光学検査装置。
  32. 前記分離光学系が複屈折マイクロプリズムアレイをさらに含み、前記結像検出器が、前記分離された変更済み照射ビームを交番する検出器の列上で検出することを特徴とする請求項31記載の光学検査装置。
  33. 前記結像検出器が時間遅延積分を使用し、前記アレイが前記検出器の交番する行上へ前記ビームを分岐し、前記検出器の電荷変移が、前記光学系と前記フォトマスク間の相対運動と同期されることを特徴とする請求項32記載の光学検査装置。
  34. 前記結像検出器が回線速度で時間遅延積分を使用し、前記照射系が、ほぼ前記検出器の回線速度で前記変調器を電子的に切り替えるデバイスをさらに含むことを特徴とする請求項31記載の光学検査装置。
  35. 前記分離光学系が偏光用ビームスプリッタをさらに含み、前記結像検出器が、前記分離された変更済み照射ビームを前記検出器上で並べて検出することを特徴とする請求項30記載の光学検査装置。
  36. 前記光学検査装置がゼルニケベースの検査装置であり、前記光学検査装置が対物レンズと、前記対物レンズの後側焦点面に在るゼルニケ位相板とを含み、前記ゼルニケ位相板が、直交偏光され、相補+/−90°ゼルニケ点像分布関数を持ち、それによって前記一対の照射ビームの各々が前記焦面の近くで相補的波面変調を行うように為すことを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  37. 前記少なくとも1つの照射ビームが実質的に同一の波長λを持ち、前記ゼルニケ位相板には、非複屈折の外側部分と、厚さdで、波長λ、屈折率n、異常屈折率ne および通常屈折率no を持つ複屈折の内側部分とが含まれ、その場合、前記厚さdが、d=λ/(2(ne −no ))で与えられることを特徴とする請求項36記載の光学検査装置。
  38. 前記少なくとも1つの照射ビームが実質的に同一の波長λを持ち、前記ゼルニケ位相板には、厚さdで、波長λ、屈折率n、異常屈折率ne および通常屈折率no を持つ四分の一波長板が含まれ、その場合、前記厚さdが、d=λ/(4(ne −no ))で与えられることを特徴とする請求項36記載の光学検査装置。
  39. 前記光学検査装置が走査形検査装置であり、前記少なくとも1つの照射ビームが一対の照射ビームであり、前記照射系が、
    光源ビームを出力する照射光源と、
    前記光源ビームに応じて前記一対の照射ビームを発生させる前記ゼルニケ位相板であって、前記一対の照射ビームが近似的に同軸であり、実質的に直交偏光され、実質的に相補+/−90°ゼルニケ点像分布関数を持つ前記ゼルニケ位相板と、さらに、
    前記一対の照射ビームを受け入れ、該ビームを合焦するための前記ゼルニケ位相板の後に置かれる前記対物レンズと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項36記載の光学検査装置。
  40. 前記ゼルニケ位相板には、非複屈折基板と、前記非複屈折基板上の複屈折プレートとが含まれることを特徴とする請求項39記載の光学検査装置。
  41. 前記ゼルニケ位相板には、複屈折α波長板と近似的に90°だけ回転された中心領域とが含まれ、αが0°と180°の値の間にあることを特徴とする請求項39記載の光学検査装置。
  42. αが約70〜110°の間の値を持つことを特徴とする請求項41記載の光学検査装置。
  43. 前記少なくとも一対の変更済み照射ビームのうちの少なくとも一方が、一対の透過されたあるいは反射された照射ビームであり、前記集光系が、
    前記一対の透過されたあるいは反射された照射ビームを集光する少なくとも1つの集光レンズと、
    開口絞りと、
    ビームの偏光に応じて前記一対の透過された照射ビームの個々のビームを分岐する分離光学系と、
    前記分岐されたビームから前記信号を発生させるための1以上の検出器と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項39記載の光学検査装置。
  44. 前記少なくとも1つの照射ビームが1つの照射ビームであり、前記光学検査装置が投影形検査装置であり、前記照射系が、
    光源ビームを出力する照射光源と、
    前記光を受け入れ、前記アーティクル上へ前記照射ビームを合焦する照射光学系と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項37記載の光学検査装置。
  45. 前記集光系が、
    前記アーティクルによる変更後、前記照射ビームを集光する前記対物レンズと、
    前記焦点距離と関連する前面領域とに応じて、前記変更済み照射ビームを分岐する分離光学系と、
    前記分岐された変更済み照射ビームを集光する結像検出器と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項44記載の光学検査装置。
  46. 前記照射光学系が、
    前記一対の照射ビームが前記アーティクルに達する前に、該照射ビームの各々を円偏光する第1の四分の一波長板と、
    前記照射ビームで生成された前記偏光に応じて、前記変更済み照射ビームを偏光するための第2の四分の一波長板とをさらに含む前記集光系と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項45記載の光学検査装置。
  47. 前記分離光学系が、前記変更済み照射ビームを受け入れ、直交偏光され、前記相補+/−90°ゼルニケ点像分布関数にかけられた一対の変更済み照射ビームを発生させる前記ゼルニケ位相板と、前記ゼルニケ位相板の後に配置されたウォラストンプリズムと、前記ウォラストンプリズムの後に配置されたチューブ形レンズとをさらに含み、前記ウォラストンプリズムと前記ゼルニケ位相板とが、前記結像検出器上へ前記一対の変更済み照射ビームを空間的に分離し、該照射ビームを合焦するように一体に作動することを特徴とする請求項46記載の光学検査装置。
  48. 前記照射系が前記照射ビームを円偏光ビームに変換する第1の四分の一波長板をさらに有し、前記集光系が、
    前記少なくとも一対の変更済み照射ビームを集光する対物レンズと、
    前記対物レンズにより集光された前記少なくとも一対の変更済み照射ビームを直線偏光ビームに変換する第2の四分の一波長板と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  49. 自動焦点光学系をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の光学検査装置。
  50. 前面を備えたアーティクルを検査し、前記アーティクルにおける光学的変動を検出するための光学検査装置において、
    光学系が、
    照射経路に沿って少なくとも1つの照射ビームを出力する照射系であって、各照射ビームは関連する領域を前記アーティクルの前面に有する照射系と、
    前記アーティクルと相互作用する前記少なくとも1つの照射ビームに応じて、様々な位相情報を含む少なくとも2つの信号をほぼ同時に発生する集光系と、
    関連する前面領域で変更済み照射ビームの位相または振幅の前記変動を前記信号に応じて検出するアナライザと、
    を有することを特徴とする光学検査装置。
  51. 前記少なくとも1つの照射ビームが前記アーティクルにより透過または反射され、前記集光系が、少なくとも2つの検出器と、前記透過または反射された照射ビームを前記検出器上へ結像して前記少なくとも2つの信号をほぼ同時に発生させるように為す光学系とを含むことを特徴とする請求項50記載の光学検査装置。
  52. 各照射ビームが前記光学系の焦面と関連づけられ、前記焦面が前記前面から一定の距離に在ることを特徴とする請求項50記載の光学検査装置。
  53. 前面を備えたアーティクルにより生じる光の変更に基づいて、光学系におけるアーティクルの光学的変動を検出する方法であって、
    a)前記アーティクルによる少なくとも1つの光ビームの変更から得られる様々な位相情報を同じ近接する前面位置に含む少なくとも2つの信号を取得するステップであって、前記少なくとも1つの光ビームを前記前面からいくつかの距離のところに在る異なる焦面と関連づけるステップと、
    b)前記少なくとも2つの信号を比較して、前記アーティクル内の前記光学的変動を検出するように為すステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  54. 前記前面から離れた方向の異なる焦面に2以上のビームを合焦し、前記取得ステップが、該ビームが前記アーティクルを貫通して透過されたり、前記アーティクルにより反射されたりした後、前記2以上のビームから光を集光するステップをさらに有することを特徴とする請求項53記載の方法。
  55. 前記少なくとも1つのビームを前記アーティクルにより透過または反射し、前記少なくとも1つのビームからの透過光または反射光を、前記前面から離れた方向の2以上の異なる焦面から検出器へ集光し、合焦するステップをさらに有し、前記取得ステップが、前記集光された光と合焦された光に応じて前記信号を発生させる検出器を設けるステップを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
  56. 前記取得ステップが、ゼルニケ点像分布関数を持つプレートを通して少なくとも2つの光ビームを通過させるステップを含み、さらに、前記対応する光ビームの前記ゼルニケ点像分布関数に基づいて、前記光学的変動により前記光ビームを変更することを特徴とする請求項53記載の方法。
  57. 前記アーティクルがフォトマスクであり、前記フォトマスクが、前記マスク上の位置間の位相差により特徴づけられるエラーを含み、さらに、前記エラーが前記少なくとも2つの信号を比較するステップにより検出されることを特徴とする請求項53記載の方法。
  58. 前記比較ステップが、減算ステップを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
  59. 前記比較ステップが、グラフ化ステップを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
  60. 前記比較ステップが、禁止された光学的変動と許容された光学的変動との比較を含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
  61. 前記少なくとも1つのビームが、前記アーティクルを貫通して透過されることにより変更されることを特徴とする請求項53記載の方法。
  62. 前記少なくとも1つの光ビームが、前記アーティクルから反射されることにより変更されることを特徴とする請求項53記載の方法。
  63. 前記少なくとも2つの信号が、ほぼ同時に取得されることを特徴とする請求項53記載の方法。
  64. 前記少なくとも2つの信号が、逐次的に適時取得されることを特徴とする請求項53記載の方法。
  65. 複数の測定位置に対して、ステップa)とb)とを繰り返すことを特徴とする請求項53記載の方法。
  66. 前記少なくとも1つの光ビームから、および、前記アーティクルの個々のポイントから光を集光するステップをさらに有し、前記取得ステップが、このような各ポイントにおけるこのような光から少なくとも2つの信号を取得するステップを含み、さらに、前記方法が、前記アーティクルの異なるポイントにおいて集光された光から得られる前記少なくとも2つの信号から前記アーティクルの像を組み立てるステップをさらに有することを特徴とする請求項53記載の方法。
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