JP2004525610A - カリウムチャネル相互作用因子及びその利用方法 - Google Patents

カリウムチャネル相互作用因子及びその利用方法 Download PDF

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マリア ベティー,
ファイ−ピン リン,
ウェンチェン アン,
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Abstract

本発明は、カリウムチャンネルに結合して、カリウムチャンネルが媒介する活性を変調させる、PCIP核酸分子と呼ばれる単離された核酸分子を提供する。本発明は、アンチセンス核酸分子、PCIP核酸分子を有する組換え発現ベクター、前記発現ベクターが導入された宿主細胞及びPCIP遺伝子が導入又は破壊されたヒト以外のトランスジェニック動物も提供する。本発明は、単離されたPCIPタンパク質、融合タンパク質、抗原ペプチド及び抗PCIP抗体も更に提供する。本発明の組成物を利用した診断方法も提供される。

Description

【0001】
関連出願
本出願は、それらの内容全体が引用をもってここに援用された、1998年11月25日出願の米国特許仮出願第60/110,033号、1998年11月20日出願の米国特許仮出願第60/109,333号、1998年11月30日出願の米国特許仮出願第60/110,277号、1999年4月23日出願の米国特許出願第09/298,731号、1999年7月9日出願の米国特許出願第09/350,614号、1999年7月9日出願の米国特許出願第09/350,874,号、1999年9月21日出願の米国特許出願第09/399,913号、1999年9月21日出願の米国特許出願第09/400,492号、1999年11月19日出願のPCT出願PCT/US99/27428号、2000年9月27日出願の米国特許出願第09/670,756,号及び2000年10月31日出願の米国特許出願第09/703,094号に基づいて優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
哺乳類の細胞膜は、多くの細胞及び組織の構造上の完全性及び活性にとって重要である。膜に関する生理学の中でも特に注目されるのが、様々な薬理学的、生理学的及び細胞学的機序を直接に制御する作用を持つ膜透過イオンチャネルに関する研究である。カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル及びカリウムチャネルを含めた数多くのイオンチャネルが同定されており、これらのそれぞれが脊椎動物及び昆虫細胞内で果たす役割を解明するための研究が行われてきた。
【0003】
カリウムチャネルが細胞の正常なホメオスタシスの維持に関与していることから、カリウムチャネルに関する多くの研究がなされてきた。これらのカリウムチャネルのうちの多くは、細胞膜電位の変化に応答して開く。多くの電位依存性カリウムチャネルは、その電気生理学的及び薬理学的特性によって特定及び特徴付けられる。カリウム電流は、ナトリウム電流又はカルシウム電流よりも多様であり、細胞の外部刺激に対する反応の決定にも更に関与している。カリウムチャネルは、その多様性と生理学的役割の重要性とによって、様々な疾患に対する治療薬を開発する上での標的となりうるきわだって高い可能性を持っている。
【0004】
種々のカリウムチャネルの中でもその特性が最もよく分かっている種類の一つが、電位依存性カリウムチャネルである。この種のカリウムチャネルの原型となるメンバーが、キイロショウジョウバエのShaker遺伝子によってコードされるタンパク質である。Shal又はKv4ファミリーのタンパク質は、複数の異なる一次細胞から記録された天然のA型電流の多くの基本形となる電位依存性カルシウムチャネルの一種である。Kv4チャネルは、心臓の活動電位の再分極で重要な役割を果たす。ニューロンにおいては、Kv4チャネル及びこれらの持ちうるA電流が、発火率の変動、活動電位の発生及びシナプス入力への樹状突起の応答において重要な役割を果たす。
【0005】
ニューロンの基本的な機能は、シグナルの受信、伝達及び送信である。伝達されるシグナルの目的は、ニューロンの種類によって様々に異なるが、シグナルは常に、ニューロンの原形質膜内外の電位の変化という同じ形をとる。1つのニューロンの原形質膜は、複数の電位依存性のカチオンチャネルを有し、これらが要因となって、この原形質膜内外の電位(活動電位又は神経インパルスとも呼ぶ)の伝搬が起こる。
【0006】
Kvファミリーのチャネルには、(1)活動電位の発生の度に膜を再分極させて、細胞の再発火に備える、遅延整流カリウムチャネルと、(2)主に閾下電圧で活性であり、興奮性細胞が発火閾点に達する率を減少させるべく作用する、急速失活(A型)カリウムチャネルと、が含まれる。Kvチャネルは、活動電位の伝達に不可欠であることに加えて、例えばシナプス入力などの脱分極性の入力に対する応答を制御すると共に、神経伝達物質の放出において関与する。電位依存性カリウムチャネルは、これらの活性を持つことから、神経の興奮作用を調節する上で重要である(Hille B.,Ionic Channels of Excitable Membranes,第2版,マサチューセッツ州サンダーランド:Sinauer,(1992))。
【0007】
Kvカリウムチャネルのスーパーファミリーは、非常に広範な構造上及び機能上の多様性を有する。この多様性は、マルチプル遺伝子の存在と、同じ遺伝子から作製されたRNA転写産物の選択的スプライシングとの双方によって生じる。それでもなお、これらの既知のKvカリウムチャネルのアミノ酸配列は、非常に類似している。これらのアミノ酸配列は全て、4つの小孔形成α−サブユニットからなり、そのうちいくつかは、4つの細胞質(β−サブユニット)ポリペプチドを有する(Jan L.Y.他(1990) Trends Neurosci 13:415−419,及び Pongs,O.他(1995) Sem Neurosci.7:137−146)。これらの既知のKvチャネル(α−サブユニット)は、ショウジョウバエから最初に単離されたチャネルと相同であることに因んで名付けられた4つのサブファミリー:Kv1又はShaker関連サブファミリー;Kv2又はShab関連サブファミリー;Kv3又はShaw関連サブファミリー;及びKv4又はShal関連サブファミリーに分類される。
【0008】
Kv4.2及びKv4.3は、Shal関連サブファミリーのKvチャネル(α−サブユニット)の例である。Kv4.3は、そのmRNAが脳幹のモノアミン作動性ニューロン及び前脳のコリン作動性ニューロン中に高度に発現されているという点で独自の神経解剖学的分布を呈し、そこにおいて、神経伝達物質であるドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン及びアセチルコリンの放出に関与している。
【0009】
このチャネルはまた、皮質錐体細胞及び介在ニューロン中にも高度に発現されている(Serdio P.他(1996)J. Neurophys 75:2174−2179)。興味深いことに、Kv4.3ポリペプチドは、対応するmRNAを発現しているニューロン中で高度に発現される。Kv4.3ポリペプチドは、これらの細胞の細胞体樹状突起膜中に発現され、このことによって、前記急速失活カリウムチャネルの伝導性に貢献すると考えられる。Kv4.2mRNAは脳内で広く発現され、またこれに対応するポリペプチドも細胞体樹状突起膜内に集中しており、このことも、前記急速失活カリウムチャネルの伝導性に貢献している(Sheng他(1992) Neuron 9:271−84)。Kv4.2及びKv4.3などのこれらの細胞体樹状突起A型Kvチャネルは、閾下シナプス応答の統合及び逆伝搬活動電位の伝導といった、学習及び記憶の基本となるプロセスに関与していると考えられる(Hoffman D.A.他(1997)Nature 387:869−875)。
【0010】
このように、例えばKv4.2又はKv4.3サブユニットを有するカリウムチャネルなどのカリウムチャネルタンパク質と相互作用してその活性を調節するタンパク質は、これらのチャネルを発現している細胞における、例えば活動電位の伝導性、体性樹状突起の興奮性及び神経伝達物質の放出などの神経又は心臓の興奮性を調節するための新規な分子標的となる。加えて、これらのタンパク質をコードしている遺伝子の遺伝的損傷を検出することで、てんかん、脊髄小脳失調、不安、うつ病、加齢に伴う記憶喪失、偏頭痛、肥満、パーキンソン病又はアルツハイマー病などの中枢神経系の障害或いは心不全、高血圧、心房細動、拡張型心筋症、特発性心筋症又は狭心症などの心臓血管障害を診断及び治療することが可能である。
【0011】
発明の概要
本発明は、少なくとも部分的には、カリウムチャネルタンパク質と相互作用する、又はカリウムチャネルタンパク質と相互作用する本発明の遺伝子産物と実質的に相同な(パラログ)遺伝子産物をコードする、新規な核酸分子の発見に基づく。カリウムチャネルタンパク質は、例えば、Kv4.2又はKv4.3サブユニットを有するカリウムチャネルである。本発明の核酸分子及びこれらの遺伝子産物を、ここで「カリウムチャネル相互作用タンパク質」、「PCIP」又は「KChIP」核酸及びタンパク質分子と呼ぶ。本発明のPCIPタンパク質は、カリウムチャネルタンパク質と、例えば結合するなどの相互作用を行い、カリウムチャネルタンパク質の活性を調節し、及び/又は、例えば神経細胞又は心細胞などの細胞における、カリウムチャネルが媒介する活性を調節する。本発明のPCIP分子は、例えば神経細胞又は心細胞プロセスなどの様々な細胞プロセスを調節する調節物質として有用である。従って、一局面においては、本発明は、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分をコードする、単離された核酸分子を提供すると共に、PCIPをコードする核酸を検出するためのプライマ又はハイブリダイゼーションプローブとして好適な核酸断片を提供する。
【0012】
一実施態様においては、本発明のPCIP核酸分子は、配列番号:1、配列番号:3 配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列(の例えば全長ヌクレオチド配列など)或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはその相補配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上相同である。
【0013】
別の好適な一実施態様においては、前記単離された核酸分子に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはその相補配列が含まれる。別の好適な一実施態様においては、前記核酸分子に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列の、少なくとも300個、350個、400個、426個、471個又は583個のヌクレオチドからなる断片或いはその相補配列が含まれる。
【0014】
別の一実施態様においては、PCIP核酸分子に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートでコードされるアミノ酸配列と十分に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列が含まれる。好適な一実施態様においては、PCIP核酸分子に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートでコードされるアミノ酸配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上相同なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列が含まれる。
【0015】
別の好適な一実施態様においては、単離された核酸分子が、1v、9q、p19、W28559、KChIP4a、KChIP4b、33b07、1p及びラット7sタンパク質のアミノ酸配列をコードする。更に別の好適な一実施態様においては、前記核酸分子に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートでコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列が含まれる。更に別の好適な一実施態様においては、前記核酸分子が、少なくとも426、471又は583ヌクレオチド長であり、(本願中に記載の)PCIP活性を有するタンパク質をコードする。
【0016】
本発明の別の一実施態様は、非PCIPタンパク質をコードする核酸分子に比較してPCIP核酸分子を特異的に検出する、好適にはPCIP核酸分子である核酸分子を提供する。例えば、一実施態様においては、そのような核酸分子は、少なくとも426、400乃至450、471、450乃至500、500乃至550、583、550乃至600、600乃至650、650乃至700、700乃至750、750乃至800又はそれ以上のヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列、ATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列を有する核酸分子或いはその相補配列とハイブリダイズする。複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子は少なくとも(例えば連続する)15ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:7のヌクレオチド93乃至126、360乃至462、732乃至825、1028乃至1054又は1517乃至1534とハイブリダイズする。別の複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子は、配列番号:7のヌクレオチド93乃至126、360乃至462、732乃至825、1028乃至1054又は1517乃至1534を有する。
【0017】
別の複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子は少なくとも(例えば連続する)15ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:13のヌクレオチド1乃至14、49乃至116、137乃至311、345乃至410、430乃至482、503乃至518、662乃至693、1406乃至1421、1441乃至1457、1478乃至1494又は1882乃至1959とハイブリダイズする。別の複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子が、配列番号:13のヌクレオチド1乃至14、49乃至116、137乃至311、345乃至410、430乃至482、503乃至518、662乃至693、1406乃至1421、1441乃至1457、1478乃至1494又は1882乃至1959を有する。
【0018】
複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子は少なくとも(例えば連続する)15ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:35のヌクレオチド932乃至1527、1548乃至1765、1786乃至1871、1908乃至2091、2259乃至2265又は2630乃至2654とハイブリダイズする。別の複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子が、配列番号:35のヌクレオチド932乃至1527、1548乃至1765、1786乃至1871、1908乃至2091、2259乃至2265又は2630乃至2654を有する。
【0019】
別の複数の好適な実施態様においては、前記核酸分子が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートでコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントをコードし、ここで、前記核酸分子は、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102を有する核酸分子とハイブリダイズする。
【0020】
本発明の別の一実施態様は、PCIP核酸分子のアンチセンスである、例えばPCIP核酸分子のコード鎖などの単離された核酸分子を提供する。
【0021】
本発明の別の一局面は、PCIP核酸分子を有するベクターを提供する。複数の実施態様においては、前記ベクターは組換え発現ベクターである。別の一実施態様においては、本発明は、本発明のベクターを含有する宿主細胞を提供する。本発明はまた、好適にはPCIPタンパク質であるタンパク質を、組換え発現ベクターを含有する、非ヒト哺乳類細胞などの哺乳類宿主細胞を一例とする本発明の宿主細胞を、前記タンパク質が作製されるような仕方で好適な培地中で培養することによって、作製する方法を提供する。
【0022】
本発明の別の一局面は、単離された又は組換え型のPCIPタンパク質及びポリペプチドを提供する。一実施態様においては、前記単離されたタンパク質は、好適にはPCIPタンパク質であり、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有する。好適な一実施態様においては、前記タンパク質は、好適にはPCIPタンパク質であり、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有し、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列と少なくともおよそ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上相同なアミノ酸配列を有する。別の好適な一実施態様においては、前記タンパク質は、好適にはPCIPタンパク質であり、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有し、カリウムチャネルが媒介する活性を調節する。更に別の好適な一実施態様においては、前記タンパク質は、好適にはPCIPタンパク質であり、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有し、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102のヌクレオチド配列を有する核酸分子とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされる。
【0023】
別の一実施態様においては、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列を有するタンパク質の断片を提供し、ここで、前記断片は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列の(例えば連続する複数のアミノ酸などの)少なくとも15個のアミノ酸を有する。別の一実施態様においては、前記タンパク質は、好適にはPCIPタンパク質であり、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列を有する。
【0024】
別の一実施態様においては、本発明は、好適にはPCIPタンパク質である単離されたタンパク質を提供し、このタンパク質は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102のヌクレオチド配列と少なくともおよそ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上相同なヌクレオチド配列を有する核酸分子又はその相補配列によってコードされる。
【0025】
本発明のタンパク質又はその生物学的活性部分を、(例えば非相同なアミノ酸配列などの)非PCIPポリペプチドに作動的に連結させて、融合タンパク質を形成してもよい。本発明は更に、モノクローナル又はポリクローナル抗体などの、好適にはPCIPタンパク質である本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体を提供する。加えて、前記PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を、薬学上許容可能な担体を任意に含む薬剤組成物中に組み込んでもよい。
【0026】
別の一局面においては、本発明は、生体試料中のPCIP核酸分子、タンパク質又はポリペプチドの存在を、前記生体試料中のPCIP核酸分子、タンパク質又はポリペプチドの存在が検出されるような仕方で、PCIP核酸分子、タンパク質又はポリペプチドを検出することの可能な物質と前記生体試料とを接触させることにより検出する方法を提供する。
【0027】
別の一局面においては、本発明は、生体試料中のPCIP活性の存在を、前記生体試料中のPCIP活性の存在が検出されるような仕方で、PCIP活性のインジケータを検出することの可能な物質と前記生体試料とを接触させることにより検出する方法を提供する。
【0028】
別の一局面においては、本発明は、PCIPを発現することの可能な細胞を、前記細胞中のPCIP活性が調節されるようにPCIP活性を調節する物質と接触させることが含まれる、PCIP活性の調節方法を提供する。一実施態様においては、前記物質はPCIP活性を阻害する。別の一実施態様においては、前記物質はPCIP活性を刺激する。一実施態様においては、前記物質は、PCIPタンパク質に特異的に結合する抗体である。別の一実施態様においては、前記物質は、PCIP遺伝子の転写又はPCIP mRNAの翻訳を調節することで、PCIPの発現を調節する。更に別の一実施態様においては、前記物質は、PCIP mRNA又はPCIP遺伝子のコード鎖のアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。
【0029】
一実施態様においては、本発明の方法を、異常なPCIPタンパク質又は核酸の発現又は活性を特徴とする障害を有する対象を、前記対象に対するPCIPモジュレータである物質を投与することによる治療に使用する。一実施態様においては、前記PCIPモジュレータはPCIPタンパク質である。別の一実施態様においては、前記PCIPモジュレータは、PCIP核酸分子である。更に別の一実施態様においては、前記PCIPモジュレータは、ペプチド、ペプチドミメティック又はその他の小分子である。好適な一実施態様においては、異常なPCIPタンパク質又は核酸の発現を特徴とする前記障害は、中枢神経系障害又は心臓血管障害である。
【0030】
本発明はまた、(i)PCIPタンパク質をコードする遺伝子の異常な修飾又は変異;(ii)前記遺伝子の調節不全;及び(iii)PCIPタンパク質の異常な翻訳後修飾のうちの少なくとも1つを特徴とし、前記遺伝子の野生型がPCIP活性を有するタンパク質をコードする、遺伝子の変化の有無を調べるための診断アッセイを提供する。
【0031】
別の一局面においては、本発明は、PCIPタンパク質に結合するか又はその活性を調節する化合物を、PCIP活性を有するPCIPタンパク質を含有するインジケータ組成物を提供し、前記インジケータ組成物を試験化合物と接触させ、前記試験化合物が前記インジケータ組成物のPCIP活性に及ぼす影響を調べることにより同定する方法を提供する。
【0032】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び請求項から明らかとなろう。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも部分的には、カリウムチャネルタンパク質と相互作用する新規な核酸分子又はカリウムチャネルタンパク質と相互作用する本発明の遺伝子産物と実質的に相同な(パラログ)新規な核酸分子の発見に基づく。カリウムチャネルタンパク質は、例えば、Kv4.2又はKv4.3サブユニットを有するカリウムチャネルである。本発明の核酸分子及びその遺伝子産物を、ここで「カリウムチャネル相互作用タンパク質」、「PCIP」又は「KChIP」核酸及びタンパク質分子と呼ぶ。好適には、本発明のPCIPタンパク質は、カリウムチャネルタンパク質と、例えば結合するなどの相互作用を行い、カリウムチャネルタンパク質の活性を調節し、及び/又は、例えば神経細胞又は心細胞などの細胞中のカリウムチャネルが媒介する活性を調節する。
【0034】
ここで使用する「PCIPファミリー」という用語は、本発明のタンパク質及び核酸分子を言及する場合には、本願中で定義するPCIP活性を有する2つまたはそれ以上のタンパク質又は核酸分子を指すことを意図されている。そのようなPCIPファミリーメンバーは、天然にも非天然にも発生し、同じ種からも異なる種からも発生しうる。例えば、あるPCIPファミリーは、ヒトに由来する第1のタンパク質と共に、ヒトに由来する別のタンパク質を含む場合もあるし、又は、ヒト以外に由来する相同体を含む場合もある。
【0035】
ここで交換可能に使用される「PCIP活性」、「PCIPの生物学的活性」又は「PCIPの機能活性」という用語は、PCIPタンパク質、ポリペプチド又は核酸分子が、PCIP応答性細胞又はPCIPタンパク質の基質に対して発揮する活性を、標準的な技術に基づいてin vivo又はin vitroで調べたものを呼ぶ。一実施態様においては、PCIP活性は、PCIP標的分子との結合などの直接的な活性である。ここで使用される「標的分子」又は「結合相手」という用語は、PCIPが媒介する機能が達成されるようにPCIPタンパク質が天然に結合するか又は相互作用する分子を指す。PCIP標的分子は、本発明の非PCIP分子であっても、PCIP分子であっても、ポリペプチドであってもよい。一実施態様においては、PCIP標的分子はPCIPリガンドである。又は、PCIP活性は、PCIPタンパク質とPCIPリガンドとの相互作用によって媒介される細胞シグナリング活性などの間接的な活性である。PCIPの生物学的活性について、以下に記載する。
【0036】
例えば、本発明のPCIPタンパク質は、以下の活性のうちの1つ又はそれ以上を有してもよい:(1)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と(例えば結合するなどの)相互作用可能である;(2)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分のリン酸化状態を調節可能である;(3)カルシウムと(例えば結合するなど)結び付くことが可能であると共に、例えばカリウムチャネル又はGタンパク質結合レセプタをカルシウム依存的にリン酸化するカルシウム依存性キナーゼとして作用可能である;(4)カルシウムと(例えば結合するなど)結び付くことが可能であると共に、例えばカルシウム依存性の転写因子として作用するなど、細胞プロセスにおいてカルシウム依存的に作用することが可能である;(5)(例えば知覚ニューロン細胞又は運動ニューロン細胞などの神経細胞或いは心細胞などの)細胞における、カルシウムチャネルによって媒介される活性を調節して、例えば前記細胞に有益な作用を及ぼすことが可能である;(6)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるクロマチン形成を調節することが可能である;(7)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞における小胞輸送及びタンパク質輸送を調節することが可能である;(8)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるサイトカインシグナリングを調節することが可能である;(9)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と細胞骨格との結び付きを調節可能である;(10)細胞増殖を調節することが可能である;(11)神経伝達物質の放出を調節することが可能である;(12)膜興奮性を調節することが可能である;(13)膜の静止電位に影響を及ぼすことが可能である;(14)活動電位の波形及び周波数を調節することが可能である;(15)興奮現象のしきい値を調節することが可能である。
【0037】
ここで使用される「カリウムチャネル」という用語には、興奮性の細胞におけるシグナルの受信、伝達及び送信に関与するタンパク質又はポリペプチドが包含される。カリウムチャネルは、典型的には、例えば神経細胞、心細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、腎細胞、内分泌細胞及び卵細胞などの電気興奮性の細胞中で発現され、例えば小孔形成サブユニットと細胞質サブユニットとからなるヘテロ多重結合構造を形成可能である。カリウムチャネルの例には:(1)電位依存性カリウムチャネル、(2)リガンド依存性カリウムチャネル、及び(3)機械刺激受容カリウムチャネルが含まれる。カリウムチャネルの詳細な説明については、その内容が引用をもってここに援用された、Kandel E.R.他、Principles of Neural Science第2版(エルゼビア・サイエンス・パブリッシング社、ニューヨーク(1985))を参照のこと。本発明のPCIPタンパク質は、例えばKv4.3サブユニット又はKv4.2サブユニットを有するカリウムチャネルと相互作用することが示されている。
【0038】
ここで使用される「カリウムチャネルが媒介する活性」という用語には、例えば神経細胞又は心細胞におけるカリウムチャネルなどのカリウムチャネルが、例えば神経系又は心臓においてシグナルを受信、伝達及び送信することに関する活性が含まれる。カリウムチャネルが媒介する活性には、例えばドーパミン又はノルエピネフリンなどの神経伝達物質を、例えば神経細胞又は心細胞などの細胞から放出させることと;膜の静止電位、活動電位の波形及び周波数並びに興奮現象のしきい値を調節することと;閾下シナプス応答の統合及び、例えば神経細胞又は心細胞における逆伝搬活動電位の伝達などのプロセスを調節すること、が含まれる。
【0039】
本発明のPCIPタンパク質は、カリウムチャネルが媒介する活性を調節することから、カリウムチャネルに関連した障害及び/又は神経系関連障害の新規な診断及び治療物質として有用であろう。更に、本発明のPCIPタンパク質が、例えばKv4.2又はKv4.3サブユニットを有するカリウムチャネルなどのKv4カリウムチャネルを調節することが原因となって、哺乳類の心臓における、Ito(一過性外向き電流)として知られている電位依存性K+電流が起こる(Kaab S.他(1998) Circulation 98(14):1383−93; Dixon J.E.他(1996) Circulation Research 79(4):659−68; Nerbonne JM (1998) Journal of Neurobiology 37(1):37−59; Barry D.M.他(1998) Circulation Research 83(5):560−7; Barry D.M.他(1996) Annual Review of Physiology 58:363−94)。この電流が原因となって、心筋細胞の活動電位の急速な再分極が起こる。この電流はまた、心筋細胞が次の活動電位の発火しきい点に達する発火率を制御することによって、心拍間隔にも関与している。
【0040】
この電流はまた、心肥大症患者において下方調節され、この結果心臓の活動電位の遅延を引き起こすことが知られている。これらの患者の場合、活動電位の遅延が心筋のカルシウム負荷とカルシウム動態との変化を引き起こし、これが一因となって、心肥大症から心不全へと至る心疾患が進行すると考えられている(Wickenden他(1998) Cardiovascular Research 37:312)。興味深いことに、本発明の幾つかのPCIP(例えば配列番号:13、15、17、19、21、23及び25で表される9ql、9qm、9qs)は、Kv4.2及びKv4.3サブユニットを有するカリウムチャネルに結合してこれを調節し、カルシウム結合EF−handドメインを有する。これらのPCIP遺伝子に突然変異があったり、これらのカルシウム結合PCIPタンパク質自体の発現或いはこれらのPCIPとKv4.2又はKv4.3チャネルとの間の相互作用に異常があったりすると、心筋におけるKv4.3又はKv4.3(Im)電流が減少すると予想されることから、PCIPの発現を変化させるか或いはこれらのPCIPとKv4.2又はKv4.3との間の相互作用を調節する薬剤は、疾患の心肥大症から心不全への進行を遅延させるか又は防止する上で非常に有効であろう。
【0041】
ここで使用される「カリウムチャネル関連障害」という用語には、カリウムチャネルが媒介する活性の調節不全を特徴とする障害、疾患又は状態が含まれる。カリウムチャネル関連障害は、知覚インパルスの末梢から脳への伝達及び/又は運動インパルスの脳から末梢への伝達;反射統合;知覚インパルスの解釈;及び情緒、(例えば学習及び記憶などの)知能又は運動プロセスに有害な影響を及ぼしうる。カリウムチャネル関連障害は、心筋線維を刺激して収縮させる電気インパルスにも有害な影響を及ぼしうる。カリウムチャネル関連障害の例には、神経系関連障害及び心臓血管障害が含まれる。
【0042】
ここで使用される「神経系関連障害」という用語には、神経系に影響を及ぼす障害、疾患又は状態が含まれる。カリウムチャネル関連障害及び神経系関連障害の例には、例えば健忘症、失行、失認、健忘性失名詞症、健忘性空間識障害、クリューバー・ビューシー症候群、アルツハイマー病に伴う記憶喪失(Eglen R.M.(1996)Pharmacol.and Toxicol.78(2):59−68;Perry E.K.(1995)Brain and Cognition 28(3):240−58)及び学習不能といった記憶及び学習障害などの認知障害;例えば幻視、知覚障害又はレーヴィ体痴呆に伴うせん妄などの意識障害;分裂情動性障害(Dean B.(1996)Mol.Psychiatry 1(1):54−8)、気分変動を伴う統合失調症(Bymaster F.P.(1997)J.Clin.Psychiatry 58(付録10):28−36;Yeomans J.S.(1995) Neuropharmacol.12(1):3−16; Reimann D.(1994)J.Psychiatric Res.28(3):195−210)、(一次性又は二次性の)抑うつ性疾患;感情障害(Janowsky D.S.(1994)Am.J.Med.Genetics 54(4):335−44);例えばうつ病(Riemann D.(1994)J.Psychosomatic Res.38 付録1:15−25;Bourgin P.(1995)Neuroreport 6(3):532−6)、逆説睡眠異常(Sakai K.(1997)Eur.J.Neuroscience 9(3):415−23)、睡眠覚醒及び睡眠中の体温又は呼吸抑制異常(Shuman S.L.(1995)Am.J.Physiol.269(2 Pt 2):R308−17;Mallick B.N.(1997)Brain Res.750(1−2):311−7)の患者におけるREM睡眠異常などの睡眠障害(Kimura F.(1997)J.Neurophysiol.77(2):709−16)が含まれる。神経系関連障害のその他の例には、例えば過敏性腸症候群に伴う痛み(Mitch C.H.(1997)J.Med.Chem.40(4):538−46;Shannon H.E.(1997)J.Pharmac.and Exp.Therapeutics 281(2):884−94;Bouaziz H.(1995)Anesthesia and Analgesia 80(6):1140−4;又はGuimaraes A.P.(1994)Brain Res.647(2):220−30)又は胸痛などの、痛覚発生機序障害;例えばパーキンソン病に伴う運動障害(Finn M.(1997)Pharmacol.Biochem.& Behavior 57(1−2):243−9;Mayorga A.J.(1997)Pharmacol.Biochem.& Behavior 56(2):273−9)などの運動障害(Monassi C.R.(1997)Physiol.and Behav.62(1):53−9);例えばインシュリン分泌過多に伴う肥満症(Maccario M.(1997)J.Endocrinol.Invest.20(1):8−12;Premawardhana L.D.(1994)Clin.Endocrinol.40(5):617−21)などの摂食障害;例えば糖尿病性の多渇症(Murzi E.(1997)Brain Res.752(1−2):184−8;Yang X.(1994)Pharmacol.Biochem.& Behavior 49(1):1−6)などの飲水障害;例えばアルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん、脊髄小脳失調、てんかん性症候群及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、双極性感情病又は恐怖症などの精神障害;例えば偏頭痛、脊髄損傷、脳卒中及び頭部外傷などの神経障害が含まれる。
【0043】
ここで使用される「てんかん」という用語には、脳の正常な電気的機能の障害によって起こる周知の神経障害が含まれる。正常な脳機能では、何百万もの微小な電荷が、脳内の神経細胞から身体のあらゆる部分へと伝達される。てんかん患者の場合、この正常なパターンが、異常に強い電荷の突発によって中断され、このために、患者の意識、身体運動又は感覚が一時的に影響を受けることがある。これらの身体的変化は、てんかん性発作と呼ばれる。発作は2つのカテゴリー、即ち脳の一領域で発生する部分発作と、脳全体にわたって神経細胞に影響を及ぼす全般発作と、に分類される。てんかんは、出産前、出産中又は出産後の脳損傷;頭部外傷;栄養不足;感染症;脳腫瘍;及び幾つかの毒物に起因する場合がある。しかし、多くの場合、その原因は不明である。てんかんの発作の前に、前兆と呼ばれる不安感や不快感が起こることがあり、これが発作が始まる徴候となる。てんかんの発作が差し迫っていることを示す徴候は、患者によって様々であるが、その一つに光の点滅即ち「閃光」などの視覚的現象がある。最近、10番染色体長腕(10q)上のマーカD10S192の近くの10q22−q24に、てんかんに関与する遺伝子連鎖が発見された(Ottman他(1995)Nature Genetics 10:56−60)。てんかんには多くの型があり、その中には、大発作、ジャクソンてんかん、進行性家族性ミオクローヌスてんかん、小発作、レノックス−ゲシュタウト症候群、熱性けいれん、精神運動性てんかん、側頭葉てんかんが含まれる。本願中に記載する研究結果は、一部のてんかんの治療方法を明らかにする上でとりわけ有用である。
【0044】
ここで使用される「運動失調」という用語には、脳内の正常な電気的機能が阻害されるために起こる周知の神経障害が含まれる。脊髄小脳失調1型(SCA1)は、その遺伝子が6番染色体短腕に連鎖する常染色体優性型障害であり、ヒト主要組織適合抗原複合体(HLA)に連鎖している。例えば、H.Yakura他(1974)N.Engl.J.Med.,291,154−155;及びJ.F.Jackson他(1977)N.Engl.J.Med 296,1138−1141を参照のこと。SCA1は、6番染色体短腕上のマーカD6S89(HLAのテロメア側にある)に強く連鎖することが示されている。例えば、L.P.W.Ranum他,Am.J.Hum.Genet.,49,31−41(1991);及びH.Y.Zoghbi他,Am.J.Hum.Genet.,49,23−30(1991)を参照のこと。本願中に記載する研究結果は、乳児期に発病する脊髄小脳失調(IOSCA)の治療方法を明らかにする上でとりわけ有用である。
【0045】
ここで使用される「心臓血管障害」という用語には、例えば心臓などの心臓血管系に影響を及ぼす障害が含まれる。心臓血管障害の例には、動脈硬化、虚血性再潅流損傷、再狭窄、動脈炎症、血管壁の肥厚、心室肥厚、心室高頻度ペーシング、冠状動脈微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、血管性心疾患、心房細動、遺伝性QT延長性症候群、うっ血性心不全、洞結節機能不全、狭心症、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、拡張型心筋症、特発性心筋症、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣又は不整脈が含まれる。好適な一実施態様においては、心臓血管障害が異常なIto電流と関連している。
【0046】
PCIPファミリーのいくつかのメンバーは、ここに定義した共通の構造ドメイン又はモチーフを有するか或いはアミノ酸又はヌクレオチド配列の相同性が十分に高いなどの共通の構造上の特徴を有してもよい。PCIPファミリーのそのようないくつかのメンバーは、天然にも非天然にも発生し、同じ種からも異なる種からも発生しうる。例えば、あるPCIPファミリーは、ヒトに由来する第1のタンパク質と共に、ヒトに由来する別のタンパク質を保有する場合もあるし、又は、ヒト以外に由来する相同体を保有する場合もある。
【0047】
例えば、共通の構造上の特徴を有するあるPCIPファミリーの複数のメンバーが、少なくとも1つの「カルシウム結合ドメイン」を有してもよい。ここで使用される「カルシウム結合ドメイン」という用語には、例えばカルシウム結合に関与するEF−hand(Baimbridge K.G.他(1992)TINS 15(8):303−308)などのアミノ酸ドメインが含まれる。好適には、カルシウム結合ドメインは、コンセンサス配列:
EO・・OO・・OKDGD・・・F・・O.(配列番号:41)
と実質的に相同な配列を有する。ここでOはI、L、V又はMであってもよく、「・」は必須ではない残基の位置を示す。これらの各残基は配列中25%以上を占め、下線で示した要素は配列中80%以上を占める。ヒト1vタンパク質のアミノ酸残基126−154及び174−202、ラット1vタンパク質のアミノ酸残基126−154及び174−202、ラット1vlタンパク質のアミノ酸残基137−165及び185−213、ラット1vnタンパク質のアミノ酸残基142−170、マウス1vタンパク質のアミノ酸残基126−154及び174−202、マウス1vlタンパク質のアミノ酸残基137−165及び185−213、ヒト9q1タンパク質のアミノ酸残基144−172、180−208及び228−256、ヒト9qmタンパク質のアミノ酸残基126−154、162−190及び210−238、ヒト9qsタンパク質のアミノ酸残基94−122、130−158及び178−206、ラット9qmタンパク質のアミノ酸残基126−154、162−190及び210−238、ラット9qlタンパク質のアミノ酸残基131−159、167−195及び215−243、ラット9qcタンパク質のアミノ酸残基126−154、162−190及び210−238、ラット8tタンパク質のアミノ酸残基99−127、135−163及び183−211、マウス9qlタンパク質のアミノ酸残基144−172、180−208及び228−256、サル9qsタンパク質のアミノ酸残基94−122、130−158及び178−206、ヒトp19タンパク質のアミノ酸残基94−122、130−158及び178−206、ラットp19タンパク質のアミノ酸残基19−47及び67−95並びにマウスp19タンパク質のアミノ酸残基130−158、166−194及び214−242は、カルシウム結合ドメイン(EF−hand)を有する(図21参照)。サルKChIP4a及びKChIP4bタンパク質のアミノ酸残基116−127及び152−163は、カルシウム結合ドメインを有する。
【0048】
別の一実施態様においては、本発明の単離されたPCIPタンパク質は、およそ100乃至200アミノ酸残基長、好適には150乃至200アミノ酸残基長、より好適には185アミノ酸残基長のアミノ酸配列と3つのEF−handとを有する、少なくとも1つの保存されたカルボキシル末端ドメインの存在に基づいて特定される。本発明のPCIPタンパク質は、好適には、ラット1v、ラット9q又はマウスp19の前記カルボキシル末端の185個のアミノ酸残基と、少なくとも約70%、71%、74%、75%、76%、80%又はそれ以上相同なカルボキシル末端ドメインを有する(図21、25及び41を参照のこと)。
【0049】
共通の構造上の特徴を有する複数のPCIPファミリーメンバーを、表Iに列挙する。例えば共通の構造上の特徴を持たないなどのPCIPファミリーのその他のメンバーを表IIに列挙し、また以下に記載する。本発明は全長ヒト及び部分長ラット33b07クローン並びにこれらのcDNAによってコードされるタンパク質を提供する。本発明は更に、部分長ラット1pクローン及びこのcDNAによってコードされるタンパク質を提供する。加えて、本発明は、部分長ラット7sクローン及びこのcDNAによってコードされるタンパク質を提供する。
【0050】
本発明は、既に同定されているcDNA(29x、25r、5p、7q及び19r)を表す複数のPCIPファミリーメンバーを更に提供する。これらの既に同定されているcDNAを、ここでPCIPファミリーメンバー即ち本願中に記載のPCIP活性を有する分子とする。従って、本発明は、例えばこれらのcDNAをここに記載のスクリーニングアッセイ、診断アッセイ、予測アッセイ及び治療に使用する方法などの、これらの既に同定されているcDNAの使用方法を提供する。
【0051】
本発明のPCIPタンパク質分子を、最初に、これらがラットKv4.3サブユニットのアミノ末端の180個のアミノ酸と相互作用する能力に基づき、酵母2ハイブリッドアッセイ(例1に詳述する)にて同定した。その他のカリウムサブユニットについても結合実験を行って、PCIPのKv4.3及びKv4.2に対する特異性を立証した。次に、in situでの局在化実験、免疫組織化学的方法、共免疫沈降法及びパッチクランプ法によって、本発明のPCIPが、カリウムチャネル、とりわけ4.3又は4.2サブユニットを有するカリウムチャネルと相互作用してその活性を調節することが明確に立証された。
【0052】
幾つかの新規なヒト、マウス、サル及びラットのPCIPファミリーメンバーが同定されており、ここで1v、9q、p19、W28559、KChIP4、33b07、1p及びラット7sタンパク質及び核酸分子として言及する。1vポリペプチドをコードするヒト、ラット及びマウスcDNAは、配列番号:1、3及び5で表され、それぞれを図1、2及び3に示す。脳内では、1v mRNAが、新皮質及び海馬の介在ニューロン、視床網様体核及び手綱内側、基底前脳及び線条体コリン作動性ニューロン、上丘並びに小脳顆粒細胞において高度に発現される。1vポリペプチドは、1v mRNAを発現している細胞の細胞体、樹状突起、軸索及び軸索終末において高度に発現される。1v遺伝子のスプライスバリアントがラット及びマウスで同定されており、配列番号.7、9及び11で表され、それぞれを図4、5及び6に示す。1vポリペプチドは、Kv4.3またはKv4.2サブユニットを有するカリウムチャネルと相互作用するが、Kv1.1サブユニットを有するカリウムチャネルとは相互作用しない。ノーザンブロット法で調べた結果、1v転写産物(mRNA)は主に脳内で発現される。
【0053】
8t cDNA(配列番号:29)は、配列番号:30で表される分子量約26kDのポリペプチドをコードする(図15参照)。この8tポリペプチドは、Kv4.3またはKv4.2サブユニットを有するカリウムチャネルと相互作用するが、Kv1.1サブユニットを有するカリウムチャネルとは相互作用しない。ノーザンブロット法で調べた結果及びin situデータから、8t mRNAは主に心臓及び脳で発現される。8t cDNAは、9qのスプライスバリアントである。
【0054】
ヒト、ラット、サル及びマウスの9q cDNAの単離も行った。スプライスバリアントには、ヒト9ql(配列番号:13;図7)ラット9ql(配列番号:15;図8)、マウス9ql(配列番号:17;図9)、ヒト9qm(配列番号:19;図10)、ラット9qm(配列番号:21;図11)、ヒト9qs(配列番号:23;図12)、サル9qs(配列番号:25;図13)及びラット9qc(配列番号:27;図14)が含まれる。9qのゲノムDNA配列も調べた。エキソン1及びそのフランキングイントロン配列(配列番号:46)を図22Aに示す。エキソン2−11及びそのフランキングイントロン配列(配列番号:47)を図22Bに示す。9qポリペプチドは、Kv4.3またはKv4.2サブユニットを有するカリウムチャネルと相互作用するが、Kv1.1サブユニットを有するカリウムチャネルとは相互作用しない。ノーザンブロット法で調べた結果及びin situデータから、9qタンパク質は主に心臓及び脳で発現される。脳内では、9q mRNAは、新線条体、海馬構成体、新皮質の錐体細胞及び介在ニューロン、視床、上丘及び小脳で高度に発現される。
【0055】
ヒト、ラット及びマウスp19 cDNAの単離も行った。ヒトp19を配列番号:31及び図16並びに配列番号:39及び図20(3’配列)に示す。ラットP19を配列番号:33及び図17に、マウスP19を配列番号:35及び図18に示す。P19ポリペプチドは、Kv4.3又はKv4.2サブユニットを有するカリウムチャネルとは相互作用するが、Kv1.1サブユニットを有するカリウムチャネルとは相互作用しない。ノーザンブロット分析で調べた結果、P19転写産物(mRNA)は主に脳内で発現される。
【0056】
PCIP分子の部分ヒトパラログの同定も行った。このパラログを、ここでW28559として言及し、配列番号:37及び図19に示す。
【0057】
サルKChIP4a及びそのスプライスバリアントKChIP4b、KChIP4c及びKChIP4dの同定も行った。サルKChIP4aを配列番号:48及び図23に示す。サルKChIP4bを配列番号:50及び図24に示す。サルKChIP4cを配列番号:69及び図35に示す。サルKChIP4dを配列番号:71及び図36に示す。
【0058】
全長ラット33b07 cDNAのヌクレオチド配列及びラット33b07ポリペプチドの推定アミノ酸配列を図26並びに配列番号:52及び53にそれぞれ示す。ラット33b07 cDNAは、分子量約44.7kD、407アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。ラット33b07は、酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nに結合するが、rKv4.2Nへの結合が僅かに多い。
【0059】
全長ヒト33b07 cDNAのヌクレオチド配列及びヒト33b07ポリペプチドの推定アミノ酸配列を、図27並びに配列番号:54及び55にそれぞれ示す。
【0060】
部分長ラット1p cDNAのヌクレオチド配列及びラット1pポリペプチドの推定アミノ酸配列を、図28並びに配列番号:56及び57にそれぞれ示す。ラット1p cDNAは、分子量約28.6kD、267アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。ラット1pは酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nに結合するが、rKv4.3Nへの結合が僅かに多い。
【0061】
部分長ラット7s cDNAのヌクレオチド配列及びラット7sポリペプチドの推定アミノ酸配列を、図29並びに配列番号:58及び59にそれぞれ示す。ラット7s cDNAは、分子量約28.6kD、270アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。ラット7sは酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nに結合するが、rKv4.3Nへの結合が僅かに多い。
【0062】
本発明の配列を、以下の表I及び表IIに要約する。
【0063】
表I
Figure 2004525610
Figure 2004525610
Figure 2004525610
Figure 2004525610
Figure 2004525610
【0064】
表II
Figure 2004525610
【0065】
ヒト、ラット及びサルPCIPをコードするヌクレオチド配列を有するプラスミドを、20110−2209、バージニア州マナッサス、ユニバーシティ・ブルヴァード10801のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に、1998年11月17日に上述の登録番号にて寄託した。これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項に基づいて保管される。これらの寄託は、当業者の便宜を図るために行われたものであり、米国特許法第112条に基づいて寄託が必要であることを示すものではない。
【0066】
ヒトp19(クローンEphP19)及びヒト33b07(クローンEph33b07)をコードするcDNA分子を持つクローンは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(バージニア州マナッサス)に、それぞれが特定のcDNAクローンを持つ1つの組換えプラスミドを有する2つの菌株の組合せを表す複合寄託の一部として、1998年7月8日に登録番号PTA−316にて寄託された。(hP19とh33b07との組合せについてのATCC菌株表示は、EphP19h33b07mixである)。
【0067】
複数の菌株を区別して、特定のcDNAクローンを保有する菌株を単離するために、この組合せのアリコートを、100ug/mlのアンピシリンを入れたLBプレート上の複数の単独のコロニにストリークし、これらの単独コロニの成長後、標準的なミニプレパレーション法にてプラスミドDNAを抽出してもよい。次に、このDNAミニプレパレーションの試料をNotIで消化し、その結果得られた産物を、標準的なDNA電気泳動条件下で0.8%アガロースゲル上で解析してもよい。この消化物は以下のバンドパターンを示す:EphP19:7kb 9(単一バンド)、Eph33b07:5.8kb(単一バンド)。
【0068】
本発明の様々な局面を、以下のサブセクションに更に詳細に記載する:
【0069】
I.単離された核酸分子
本発明の一局面は、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分をコードする単離された核酸分子並びに、(例えばPCIPmRNAなどの)PCIPをコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用可能な核酸断片及びPCIP核酸分子を増幅又は変異させるためのPCRプライマとして使用する断片に関する。ここで使用される「核酸分子」という用語は、(例えばcDNA又はゲノムDNAなどの)DNA分子及び(例えばmRNAなどの)RNA分子及びヌクレオチド類似体を使用して作製した前記DNA又はRNAの類似体を包含するものとして意図されている。核酸分子は、一本鎖であっても二本鎖であってもよいが、二本鎖DNAであることが望ましい。
【0070】
「単離された」核酸分子は、天然に存在する別の核酸分子から分離された核酸分子である。好適には、「単離された」核酸分子は、その核酸が由来する生物のゲノムDNA中の核酸を天然にフランキングする2つの配列(即ちその核酸の5’末端及び3’末端に位置する配列)を持たない。例えば、様々な実施態様において、単離されたPCIP核酸分子は、その核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸を天然にフランキングする、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb又は0.1kb未満の2つのヌクレオチド配列を保有してもよい。更に、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術を用いて作製した場合の別の細胞材料又は培地を実質的に含有しないか、或いは化学合成した場合の化学的前駆物質又はその他の化学物質を実質的に含有しなくてもよい。
【0071】
例えば配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102のヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはその一部分を有する核酸分子などの本発明の核酸分子を、標準的な生物学的手法及びここに記載の配列情報を用いて単離してもよい。配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102の核酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の全て又は一部分をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、PCIP核酸分子を、(例えばSambrook,J.,Fritsh,E.F.及びManiatis,T.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1989に記載の)標準的なハイブリダイゼーション及びクローニング技術によって単離してもよい。
【0072】
更に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の全て又は一部分を持つ核酸分子を、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102の配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列に基づいてデザインされた合成オリゴヌクレオチドプライマを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)にて単離してもよい。
【0073】
本発明の核酸分子を、cDNA、mRNA又はゲノムDNAを鋳型及び適切なオリゴヌクレオチドプライマとして用いて、標準的なPCR増幅方法にて増幅させてもよい。このように増幅した核酸分子を、適切なベクター中にクローニングして、DNA配列分析によってその特性を解析してもよい。更に、PCIPヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを、例えば自動化されたDNAシンセサイザなどを用いた標準的な合成技術によって作製してもよい。
【0074】
好適な一実施態様においては、本発明の単離された核酸分子が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはこれらのヌクレオチド配列のいずれか一部分を有する。
【0075】
別の好適な一実施態様においては、本発明の単離された核酸分子が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部分と相補な核酸分子を有する。配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列と相補な核酸分子は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列とハイブリダイズして安定な二本鎖を形成できる程度に十分に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:9で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列と相補な核酸分子である。
【0076】
更に別の好適な一実施態様においては、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列の全長或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の全長或いはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部分と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又はそれ以上相同なヌクレオチド配列を有する。
【0077】
更に、本発明の核酸分子が、例えばプローブ又はプライマとして使用可能な断片或いはPCIPタンパク質の生物学的活性部分をコードする断片などの、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102の核酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の一部分のみを有してもよい。PCIP遺伝子のクローニングによって調べたヌクレオチド配列を用いて、他のPCIPファミリーメンバー及び他の種からのPCIP相同体の同定及び/又はクローニングに使用すべくデザインされたプローブ及びプライマを作製することが可能である。
【0078】
プローブ/プライマは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを有する。このオリゴヌクレオチドは、典型的には、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100もしくは配列番号:102又はATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993もしくは98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列のセンス配列或いは配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100もしくは配列番号:102又はATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993もしくは98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列のアンチセンス配列或いは配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100もしくは配列番号:102又はATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993もしくは98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子バリアント又はミュータントの、少なくとも約12個又は15個、好適には約20個又は25個、より好適には約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個又は75個の連続したヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の一領域を有する。一実施態様においては、本発明の核酸分子は、ヌクレオチド長350乃至400、400乃至450、450乃至500、500乃至550、550乃至600、600乃至650、650乃至700、700乃至750、750乃至800、800乃至850、850乃至900、949、950乃至1000又はそれ以上であり、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の核酸分子とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する。
【0079】
PCIPヌクレオチド配列に基づくプローブを、同じ又は相同なタンパク質をコードする転写産物又はゲノム配列の検出に用いてもよい。好適な複数の実施態様においては、前記プローブに、例えば放射性同位元素、蛍光性化合物、酵素又は酵素補助因子などであってもよい標識群が更に付加されていてもよい。対象からの細胞試料におけるPCIPをコードする核酸のレベルを、例えばPCIP mRNAのレベルを検出するか又はゲノムPCIP遺伝子が突然変異又は欠失しているか否かを調べることなどによって、PCIPタンパク質を誤って発現している細胞又は組織を特定するための診断テストキットの一部として、前記のようなプローブを使用してもよい。
【0080】
「PCIPタンパク質の生物学的活性部分」をコードする核酸断片を、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102のヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列のうちの、PCIP生物学的活性(PCIPタンパク質の生物学的活性については本願中に記載されている)を有するポリペプチドをコードする一部分を単離し、前記PCIPタンパク質の前記コードされた部分を(例えばin vitro組換え発現などにより)発現させ、前記PCIPタンパク質の前記コードされた部分の前記活性を評価することによって、作製してもよい。
【0081】
本発明には、遺伝コードの縮重のために、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列とは異なり、従って配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列によってコードされるPCIPタンパク質と同じPCIPタンパク質をコードする核酸分子が更に包含される。別の一実施態様においては、本発明の単離された核酸分子が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0082】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるPCIPヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列に加えて、PCIPタンパク質のアミノ酸配列の変化を引き起こすDNA配列の多型が、(例えばヒト集団などの)集団中に存在してもよいことが、当業者に理解されよう。ある集団中の個体間におけるPCIP遺伝子のそのような多型は、対立遺伝子が天然に多様であることによって存在しうる。ここで使用される「遺伝子」及び「組換え遺伝子」という用語は、好適には哺乳類のPCIPタンパク質であるPCIPタンパク質をコードする読み枠を持ち、非コード調節配列及びイントロンを更に有してもよい核酸分子を指す。
【0083】
ヒトPCIPの対立遺伝子バリアントには、機能的PCIPタンパク質と非機能的PCIPタンパク質との双方が含まれる。機能的対立遺伝子バリアントは、PCIPリガンドに結合する能力及び/又はここに記載するPCIP活性のいずれかを調節する能力を有するヒトPCIPタンパク質の、天然に存在するアミノ酸配列バリアントである。機能的対立遺伝子バリアントは、典型的には、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸のうちの1つ又は複数の保存的置換或いはこのタンパク質の重要でない領域の重要でない残基の置換、欠失又は挿入のみを有する。
【0084】
非機能的対立遺伝子バリアントは、PCIPリガンドに結合する能力及び/又はここに記載のPCIP活性のいずれかを調節する能力を持たないヒトPCIPタンパク質の、天然に存在するアミノ酸配列バリアントである。非機能的対立遺伝子バリアントは、典型的には、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列の非保存的置換、欠失又は挿入又は成熟前切断或いは重要な残基又は重要な領域における置換、挿入又は欠失を有する。
【0085】
本発明は、ヒトPCIPタンパク質の非ヒトオルソログを更に提供する。ヒトPCIPタンパク質のオルソログは、非ヒト生物から単離されたタンパク質であり、ヒトPCIPタンパク質と同じPCIPリガンド結合及び/又はカリウムチャネルによって媒介される活性の調節能力を有する。ヒトPCIPタンパク質のオルソログは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109と実質的に相同なアミノ酸配列を持つことから、容易に同定可能である。
【0086】
更に、その他のPCIPファミリーメンバーをコードし、従って、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるPCIP配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子も、本発明の範囲に含まれるものとして意図される。例えば、別のPCIP cDNAを、ヒトPCIPのヌクレオチド配列に基づいて同定してもよい。更に、異なる種からのPCIPタンパク質をコードし、従って配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるPCIP配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子も、本発明の範囲に含まれるものとして意図される。例えば、マウスのPCIP cDNAを、ヒトPCIPのヌクレオチド配列に基づき同定してもよい。
【0087】
本発明のPCIP cDNAの天然の対立遺伝子バリアント及び相同体に対応する核酸分子を、ここに開示したPCIP核酸へのこれらの相同性に基づいて、ここに開示したcDNA又はその一部分をハイブリダイゼーションプローブとして使用して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での標準的なハイブリダイゼーション法にて単離してもよい。
【0088】
従って、別の一実施態様においては、本発明の単離された核酸分子は、ヌクレオチド長が少なくとも15、20、25、30又はそれ以上であり、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズする。別の実施態様においては、前記核酸のヌクレオチド長は、少なくとも30、50、100、150、200、250、300、307、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、949又は950である。ここで使用される「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持するハイブリダイゼーション及び洗浄条件を表すものとして意図されている。好適には、前記条件は、互いに少なくとも約70%、より好適には約80%、更に好適には約85%又は90%相同なヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持する条件である。
【0089】
そのようなストリンジェントな条件は、当業者に周知であり、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel他編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(1995)セクション2、4及び6に記載されている。更なるストリンジェントな条件が、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Sambrook他、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、(1989)第7、9及び11章に記載されている。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好適な非限定的な一例には、塩化ナトリウム又はクエン酸ナトリウム(SSC)4倍液中で約65乃至70℃でハイブリダイズ(又はSSC4倍液プラス50%ホルムアミド中で約42乃至50℃でハイブリダイズ)した後に、SSC1倍液中で約65乃至70℃で1回又は複数回洗浄することが含まれる。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好適な非限定的な一例には、SSC1倍液中で約65乃至70℃でハイブリダイズ(又はSSC1倍液プラス50%ホルムアミド中で約42乃至50℃でハイブリダイズ)した後に、SSC0.3倍液中で約65乃至70℃で1回又は複数回洗浄することが含まれる。軽度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好適な非限定的な一例には、SSC4倍液中で約50乃至60℃でハイブリダイズ(又はSSC6倍液プラス50%ホルムアミド中で約40乃至45℃でハイブリダイズ)した後に、SSC2倍液中で約50乃至60℃で1回又は複数回洗浄することが含まれる。例えば65乃至70℃又は42乃至50℃などの上述の複数の値の間の範囲も本発明に包含されるものとして意図されている。ハイブリダイゼーション及び洗浄緩衝液で、SSPE(SSPE1倍液は、0.15MのNaCl、10mMのNaH2PO4及び1.25mMのEDTA、pH7.4である)の代わりにSSC(SSC1倍液は、0.15MのNaCl及び15mMのクエン酸ナトリウムである)を用いてもよい;ハイブリダイゼーション完了毎に、洗浄を15分間行う。ハイブリッドが50塩基対よりも短いと予想される場合のハイブリダイゼーション温度は、このハイブリッドの融解温度(Tm)よりも5乃至10℃低い温度であるべきだが、ここでTmは以下の式によって決定される。18塩基対よりも短いハイブリッドの場合、Tm(℃)=2(A+T塩基数)+4(G+C塩基数)。18乃至49塩基対のハイブリッドの場合、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)、式中、Nはこのハイブリッド中の塩基の数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオンの濃度である(SSC1倍液の[Na+]=0.165M)。(例えばBSA或いはサケ又はニシン精子の担体DNAなどの)阻害物質、(例えばSDSなどの)界面活性剤、(例えばEDTAなどの)キレート化剤、フィコール、PVPなどが含まれるがこれらに限定されることはない更なる試薬をハイブリダイゼーション及び/又は洗浄緩衝液に加えて、核酸分子の例えばニトロセルロース又はナイロン製の膜などの膜との非特異的なハイブリダイゼーションを減少させてもよいことも、当業者に理解されよう。とりわけ、ナイロン製の膜を使用する場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の更なる好適な非限定的な一例においては、SDSを7%含有する0.25−0.5MのNaH2PO4中で約65℃でハイブリダイゼーションを行った後に、SDSを1%含有する0.02MのNaH2PO4中で65℃で(例えばChurch及びGilbert(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1991−1995を参照のこと)、又はSDSを1%含有するSSC0.2倍液中で、1回又は複数回の洗浄を行う。
【0090】
好適には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1の配列とハイブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応している。ここで使用される「天然に存在する」核酸分子は、(例えば天然のタンパク質をコードするなどの)天然に存在するヌクレオチド配列を有するRNA又はDNA分子を指す。
【0091】
前記集団中に存在しうるPCIP配列の天然に存在する対立遺伝子バリアントに加えて、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列が突然変異によって変化し、この結果、前記コードされたPCIPタンパク質の機能的能力の変化を伴わずに前記PCIPタンパク質のアミノ酸配列が変化しうることが、当業者に更に理解されよう。例えば、「必須ではない」アミノ酸残基におけるアミノ酸の置換を引き起こすヌクレオチドの置換が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表される配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列中で起こってもよい。「必須ではない」アミノ酸残基は、「必須な」アミノ酸残基が生物学的活性に必要であるのに対して、(例えば配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表される配列などの)PCIPの野生型配列から、生物学的活性の変化を伴わずに変化しうる残基である。例えば、本発明の複数のPCIPタンパク質に共通に保存されているアミノ酸残基は、特に変化しにくいと予想される。更に、本発明の複数のPCIPタンパク質と、PCIPファミリータンパク質のその他のメンバーに共通に保存されているアミノ酸残基も、変化を受けにくいと考えられる。
【0092】
従って、本発明の別の一局面は、活性に必須ではないアミノ酸残基が変化したPCIPタンパク質をコードする核酸分子に関する。そのようなタンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109とはアミノ酸配列が異なるが、生物学的活性を維持している。一実施態様においては、前記単離された核酸分子は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上相同なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0093】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるタンパク質と相同なPCIPタンパク質をコードする単離された核酸分子を、1つ又は複数のアミノ酸の置換、付加又は欠失が前記コードされたタンパク質に導入されるような具合に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列中に1つ又は複数のヌクレオチドの置換、付加又は欠失を導入することで作製してもよい。突然変異を、配列番号:1、配列番号:3 配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列中に、部位特異的変異導入法及びPCRを利用した変異導入法などの標準的な技術を用いて導入してもよい。好適には、アミノ酸配列の保存的置換が、1つ又は複数の予測された必須ではないアミノ酸残基で起こる。「アミノ酸の保存的置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基の複数のファミリーが、当業で明らかにされている。これらのファミリーには、(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジンなどの)塩基性側鎖、(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などの)酸性側鎖、(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システインなどの)非荷電極性側鎖、(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンなどの)非極性側鎖、(例えばトレオニン、バリン、イソロイシンなどの)β−分枝側鎖及び(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンなどの)芳香族側鎖を有するアミノ酸が含まれる。従って、PCIPタンパク質中の予想される必須ではないアミノ酸残基は、好適には、同じ側鎖ファミリーからの別の一アミノ酸残基と置換される。又は、別の一実施態様においては、PCIPコード配列の全て又は一部分にわたって、例えば飽和突然変異誘発などによって突然変異をランダムに導入し、その結果得られたミュータントをPCIP生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保持しているミュータントを特定してもよい。配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列の突然変異誘発を行った後に、前記コードされたタンパク質を組換え発現させて、前記タンパク質の活性を調べてもよい。
【0094】
好適な一実施態様においては、ミュータントPCIPタンパク質が、(1)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と(例えば結合するなどの)相互作用を行う能力;(2)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分のリン酸化状態を調節する能力;(3)カルシウムと(例えば結合するなど)結びつき、例えばカルシウムチャネルをカルシウム依存的にリン酸化するなど、カルシウム依存性キナーゼとして作用する能力;(4)カルシウムと(例えば結合するなど)結びつき、例えばカルシウム依存性転写因子として作用する能力;(5)(例えば神経細胞又は心細胞などの)細胞内の、カリウムチャネルが媒介する活性を調節し、例えば前記細胞に有益な影響を与える能力;(6)神経伝達物質の放出を調節する能力;(7)膜興奮性を調節する能力;(8)膜の静止電位に影響を与える能力;(9)活動電位の波形及び周波数を調節する能力;及び(10)興奮現象のしきい値を調節する能力を分析するアッセイを行ってもよい。
【0095】
本発明の別の一局面は、PCIPタンパク質をコードする上述の核酸分子に加えて、これらのアンチセンスである単離された核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸分子は、例えば二本鎖cDNA分子と相補であるか又はmRNA配列と相補であるなどの、タンパク質をコードする「センス」核酸と相補的なヌクレオチド配列を有する。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合可能である。前記アンチセンス核酸は、PCIPコード鎖全体と相補的であってもよいし、又は、その一部分のみと相補的であってもよい。一実施態様においては、アンチセンス核酸分子は、PCIPをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」とアンチセンスである。「コード領域」という用語は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを有するヌクレオチド配列領域を指す。別の一実施態様においては、前記アンチセンス核酸分子は、PCIPをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」とアンチセンスである。「非コード領域」という用語は、コード領域をフランキングする、アミノ酸に翻訳されない5’側配列及び3’側配列を指す(5’側非翻訳領域及び3’側非翻訳領域とも呼ぶ)。
【0096】
ここに開示するPCIPをコードするコード鎖配列の場合、本発明のアンチセンス核酸を、ワトソン−クリック型塩基対合の法則に基づいてデザインしてもよい。このアンチセンス核酸分子は、PCIP mRNAのコード領域全体と相補的であってもよいが、より好適には、PCIP mRNAのコード領域又は非コード領域の一部分のみとアンチセンスなオリゴヌクレオチドである。例えば、前記アンチセンスなオリゴヌクレオチドが、PCIP mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域と相補的であってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオチド長が、例えばおよそ5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50であってもよい。本発明のアンチセンス核酸を、化学合成反応及び酵素ライゲーション反応によって、当業で公知の方法で作製してもよい。例えば、(アンチセンスオリゴヌクレオチドなどの)アンチセンス核酸を、天然に存在するヌクレオチド或いは前記分子の生物学的安定性を高めるべくデザインされた、又は前記アンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成された二本鎖の物理的安定性を高めるべくデザインされた、例えばホスホチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチドなどの様々に変化したヌクレオチドを用いて化学合成してもよい。前記アンチセンス核酸の生成に使用可能な変化したヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキュェオシン、イノシン、N6−イソペンチルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキュェオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンチルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キュェオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6−ジアミノプリンが含まれる。又は、前記アンチセンス核酸を、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされた発現ベクターを用いて生物学的に作製してもよい(即ち、前記挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向となる。詳細については以下のサブセクションにて説明する)。
【0097】
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、PCIPタンパク質をコードする細胞mRNA及び/又はゲノムDNAとハイブリダイズするか又は結合して、前記タンパク質の発現を、例えば転写及び/又は翻訳を阻害することなどにより阻害するように、対象に投与されるか、又はin situで作製される。前記ハイブリダイゼーションを、安定な二本鎖を形成する通常のヌクレオチドの相補性を利用して行ってもよいし、又は、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの主溝における特異的な相互作用を利用して行ってもよい。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例には、組織部位への直接の注射が含まれる。又は、アンチセンス核酸分子を、選択された細胞を標的とすべく変化させた後に、全身投与してもよい。例えば、全身投与の場合、アンチセンス分子を、例えば細胞表面受容体又は抗原に結合するペプチド又は抗体に前記アンチセンス核酸分子を結合させるなどの方法で、選択された細胞の表面に発現されている受容体又は抗原に特異的に結合するような具合に変化させてもよい。アンチセンス核酸分子を、ここに記載のベクターを用いて細胞に送達させてもよい。前記アンチセンス分子の細胞内濃度を十分とするためには、前記アンチセンス核酸分子が強力なpolII又はpolIIIプロモータによって制御されるベクターコンストラクトを用いることが望ましい。
【0098】
更に別の一実施態様においては、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成するが、これらの鎖は、通常のβ−ユニットとは異なり、互いに平行に延伸する (Gaultier他(1987)Nucleic Acids.Res.15:6625−6641)。前記アンチセンス核酸分子が、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue他(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)又はキメラRNA−DNA類似体(Inoue他(1987)FEBS Lett.215:327−330)を有してもよい。
【0099】
更に別の一実施態様においては、本発明のアンチセンス核酸分子は、リボザイムである。リボザイムは、それと相補な領域を有する、例えばmRNAなどの一本鎖核酸を開裂させることの可能な、リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。従って、(例えばハンマーヘッドリボザイム(Haselhoff及びGerlach(1988)Nature334:585−591に記載)などの)リボザイムを用いて、PCIP mRNA転写産物を触媒作用によって開裂させることにより、PCIP mRNAの翻訳を阻害してもよい。PCIPをコードする核酸への特異性を有するリボザイムを、ここに記載のPCIP cDNAのヌクレオチド配列(即ち、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列)に基づいてデザインしてもよい。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、PCIPをコードするmRNAの前記開裂されるヌクレオチド配列と相補な、テトラヒメナのL−19 IVS RNAの誘導体を構成してもよい。例えばCech他による米国特許第4,987,071号;及びCech他による米国特許第5,116,742号を参照のこと。又は、PCIP mRNAを用いて、特定のリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを、RNA分子プールから選択してもよい。例えば、Bartel,D.及びSzostak,J.W.(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと。
【0100】
又は、PCIP遺伝子の発現を、前記PCIPの調節領域と相補的な(例えばPCIPプロモータ及び/又はエンハンサなどの)ヌクレオチド配列を標的として、標的細胞における前記PCIP遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成することで阻害してもよい。概略は、Helene,C.(1991)Anticancer Drug Des.6(6):569−84;Helene,C.他(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;及びMaher,L.J.(1992)Bioassays14(12):807−15を参照のこと。
【0101】
更に別の一実施態様においては、本発明のPCIP核酸分子の塩基成分、糖成分又はリン酸バックボーンを変化させて、前記分子の例えば安定性、ハイブリダイゼーション又は溶解度を向上させてもよい。例えば、前記核酸分子のデオキシリボースリン酸バックボーンを変化させて、ペプチド核酸を生成させてもよい(Hyrup B.他(1996)Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5−23を参照のこと)。ここで使用される「ペプチド核酸」又は「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸バックボーンが擬似ペプチドバックボーンと置き換えられ、4つの天然の核酸塩基のみが残された、例えば擬似DNAなどの擬似核酸を指す。PNAはバックボーンが中性であるため、低いイオン強度条件下でDNA及びRNAと特異的にハイブリダイズすることが示されている。PNAオリゴマーの合成を、Hyrup B.他(1996)同上;Perry−O’Keefe他 Proc.Natl.Acad.Sci.93:14670−675に記載の標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いて行ってもよい。
【0102】
PCIP核酸分子のPNAを、治療及び診断に用いてもよい。例えば、PNAを、転写又は翻訳を停止させること或いは複製を阻害することなどによる遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンス又はアンチジーン物質として使用してもよい。PCIP核酸分子のPNAを、(例えばPNAを利用したPCRクランピングなどの)遺伝子中の一塩基対突然変異の分析において、(例えばS1ヌクレアーゼ(Hyrup B.(1996)同上)などの)他の酵素と組み合わせて使用した場合の人工的な制限酵素として;或いはDNA塩基配列決定又はハイブリダイゼーションのプローブ又はプライマ(Hyrup B.他(1996)同上;Perry−O’Keefe 同上)として使用してもよい。
【0103】
別の一実施態様においては、PCIPのPNAを、(例えばその安定性又は細胞内への取り込みを促進させるべく)親油基又はその他の補助的な基をPNAに結合させることにより、PNA−DNAキメラを形成することにより、或いはリポゾーム又はその他の当業で公知の薬剤送達技術を用いることにより、変化させてもよい。例えば、PNA及びDNAの利点を併せ持つ、PCIP核酸分子のPNA−DNAキメラを作製してもよい。そのようなキメラでは、(例えばリボヌクレアーゼH及びDNAポリメラーゼなどの)DNA認識酵素が前記DNA部分と相互作用可能である一方で、前記PNA部分が高い結合親和性及び特異性を付与する。PNA−DNAキメラを、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合の数及び配向に基づいて選択された適切な長さのリンカを用いて連結させてもよい(Hyrup B.(1996)同上)。PNA−DNAキメラの合成を、Hyrup B.(1996)同上及びFinn P.J.他(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63に記載の方法で行ってもよい。例えば、DNA鎖を、標準的なホスホロアミダイト化学合成法を用いて固相合成してもよく、例えば5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホロアミダイトなどの変化したヌクレオシド類似体を、PNAと、DNA5’末端との間に使用してもよい(Mag,M.他(1989)Nucleic Acid Res.17:5973−88)。次に、複数のPNA単量体を順次結合させて、5’PNAセグメント及び3’DNAセグメントを有する一キメラ分子を作製する(Finn P.J.他(1996)同上)。又は、5’DNAセグメント及び3’PNAセグメントを有する複数のキメラ分子を合成してもよい(Peterser,K.H.他(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。
【0104】
別の複数の実施態様においては、前記オリゴヌクレオチドに、(例えば宿主細胞受容体をin vivoで標的とするための)ペプチドなどの別の基が付加されていてもよいし、或いは細胞膜を介した輸送(例えばLetsinger他(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.US.86:6553−6556;Lemaitre他(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公報No.W088/09810を参照のこと)又は血液脳関門を介した輸送(例えばPCT公報No.W089/10134を参照のこと)を容易にするための物質が付加されていてもよい。更に、オリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーションによって誘発される開裂物質(例えばKrol他(1988)Bio−Techniques 6:958−976を参照のこと)又は介在物質(例えばZon(1988)Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を用いて変化させてもよい。このために、前記オリゴヌクレオチドが、(例えばペプチド、ハイブリダイゼーションによって誘発される交差結合物質、輸送物質又はハイブリダイゼーションによって誘発される開裂物質などの)別の一分子と結合可能であってもよい。
【0105】
II.単離されたPCIPタンパク質及び抗PCIP抗体
本発明の一局面は、抗PCIP抗体を産生させるための免疫原としての使用に好適な、単離されたPCIPタンパク質、その生物学的活性部分及びポリペプチド断片に関する。一実施態様においては、天然のPCIPタンパク質を、標準的なタンパク質精製技術を用いた適切な精製方式によって、細胞又は組織から単離してもよい。別の一実施態様においては、PCIPタンパク質を、組換えDNA技術によって作製する。組換え発現の代わりに、PCIPタンパク質又はポリペプチドを、標準的なペプチド合成技術を用いて化学合成してもよい。
【0106】
「単離された」又は「精製された」タンパク質又はその生物学的活性部分は、前記PCIPタンパク質が由来する細胞又は組織からの細胞材料又はその他の夾雑タンパク質を実質的に含有しないか、或いは化学合成を行った場合の化学的前駆物質又はその他の化学物質を実質的に含有しない。「細胞材料を実質的に含有しない」という用語には、PCIPタンパク質調製品のタンパク質が、その単離又は組換えによる作製元である細胞の細胞成分から分離されていることが包含される。一実施態様においては、「細胞材料を実質的に含有しない」という用語には、PCIPタンパク質調製品が(乾燥重量で)約30%未満の非PCIPタンパク質(ここでは「夾雑タンパク質とも呼ぶ」)、より好適には約20%未満の非PCIPタンパク質、更に好適には約10%未満の非PCIPタンパク質、最も好適には約5%未満の非PCIPタンパク質を含有することが包含される。PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を組換えによって作製する場合にも、前記PCIPタンパク質が培地を実質的に含有しないことが望ましく、即ち、前記タンパク質調製品の体積中、培地が約20%未満、より好適には約10%未満、最も好適には約5%未満であることが望ましい。
【0107】
「化学的前駆物質又はその他の化学物質を実質的に含有しない」という用語には、PCIPタンパク質調製品のタンパク質が、前記タンパク質の合成に関与する化学的前駆物質又はその他の化学物質から分離されていることが包含される。一実施態様においては、「化学的前駆物質又はその他の化学物質を実質的に含有しない」という用語には、PCIPタンパク質調製品が(乾燥重量で)約30%未満の化学的前駆物質又は非PCIP化学物質、より好適には約20%未満の化学的前駆物質非PCIP化学物質、更に好適には約10%未満の化学的前駆物質又は非PCIP化学物質、最も好適には約5%未満の化学的前駆物質又は非PCIP化学物質を含有することが包含される。
【0108】
ここで使用されるPCIPタンパク質の「生物学的活性部分」という用語には、PCIP分子と非PCIP分子との間の相互作用に関与するPCIPタンパク質の断片が含まれる。PCIPタンパク質の生物学的活性部分には、例えば配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列などの、前記PCIPタンパク質のアミノ酸配列と十分に相同な、又はこれから誘導されたアミノ酸配列を有するペプチドが包含されるが、これらのペプチドは、全長PCIPタンパク質よりも少ないアミノ酸を持ち、PCIPタンパク質の少なくとも1つの活性を発揮する。典型的には、生物学的活性部分は、例えばカリウムチャネルサブユニットの結合などの、PCIPタンパク質の少なくとも一活性を有するドメイン又はモチーフを有する。PCIPタンパク質の生物学的活性部分は、アミノ酸長が例えば10、25、50、100、200又はそれ以上のポリペプチドであってもよい。PCIPタンパク質の生物学的活性部分を、カリウムチャネルが媒介する活性を調節する物質を開発するための標的として使用してもよい。
【0109】
一実施態様においては、PCIPタンパク質の生物学的活性部分は、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有する。
【0110】
本発明の好適なPCIPタンパク質の生物学的活性部分が上述の構造ドメインの少なくとも1つを有してもよいことが理解されるべきである。PCIPタンパク質のより好適な生物学的活性部分は、上述の構造ドメインのうちの少なくとも2つを有してもよい。更に、前記タンパク質のその他の領域が欠失したその他の生物学的活性部分を、組換え技術によって作製し、天然のPCIPタンパク質の機能活性の1つ又は複数について評価してもよい。
【0111】
好適な一実施態様においては、PCIPタンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列を有する。別の複数の実施態様においては、前記PCIPタンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109と実質的に相同であり、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のタンパク質の機能活性を保持しているが、上述のサブセクションIで詳細に述べたような、天然の対立遺伝子変異又は変異導入法によってアミノ酸配列が異なる。従って、別の一実施態様においては、前記PCIPタンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109と少なくともおよそ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又はそれ以上相同なアミノ酸配列を有するタンパク質である。
【0112】
好適には1v、9q、p19、W28559、KChIP4a、KChIP4b、33b07、1p又は7sタンパク質である本発明の単離されたタンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で表されるアミノ酸配列と十分に相同なアミノ酸配列を有するか、或いは配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102と十分に相同なヌクレオチド配列によってコードされる。ここで使用される「十分に相同な」という用語は、第1のアミノ酸又はヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列に対して、十分な数の又は最小数の(例えば類似の側鎖を有するアミノ酸残基などの)アミノ酸残基又はヌクレオチドを持つことにより、前記第1及び第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列が共通の構造ドメインもしくはモチーフ及び/又は共通の機能活性を有することを指す。例えば、共通の構造ドメインのアミノ酸配列が少なくとも30%、40%又は50%、好適には60%、より好適には70乃至80%、更に好適には90乃至95%相同であり、かつ構造ドメイン又はモチーフを少なくとも1つ、好適には2つ持つ複数のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、ここで十分に相同であるとして定義される。更に、少なくとも30%、40%又は50%、好適には60%、より好適には70乃至80%又は90乃至95%相同であり、かつ共通の機能活性を有する複数のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、ここで十分に相同であるとして定義される。
【0113】
好適なタンパク質は、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインと、好適にはPCIP活性とを有するPCIPタンパク質である。その他の好適なタンパク質は、少なくとも1つのカルシウム結合ドメインを有し、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされるPCIPタンパク質である。
【0114】
2つのアミノ酸配列間の又は2つの核酸配列間の同一性パーセントを調べるために、これらの配列の最適な比較のためのアライメントを行う(例えば第1及び第2のアミノ酸配列又は核酸配列の一方又は双方にギャップを導入し、非相同な配列を比較の対象から外してもよい)。好適な一実施態様においては、比較のためにアライメントされる基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、好適には少なくとも40%、より好適には少なくとも50%、更に好適には少なくとも60%、更により好適には少なくとも70%、80%又は90%である(例えば、第2の配列と、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109 で表される、アミノ酸残基177個を有するPCIPアミノ酸配列とのアライメントを行う場合、少なくとも80個、好適には少なくとも100個、より好適には少なくとも120個、更に好適には少なくとも140個、更により好適には150個、160個又は170個のアミノ酸残基がアライメントされる)。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められている場合、その位置における分子は同一である(ここで使用されるアミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と同義である)。これら2つの配列間の同一性パーセントは、これら2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れた、これら2つの配列が共通に持つ同一な位置の数の関数である。
【0115】
数学的アルゴリズムを用いて配列を比較し、2つの配列間の同一性パーセントを求めてもよい。好適な一実施態様においては、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、NeedlemanとWunschのアルゴリスム(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))を利用して求める。このアルゴリズムは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可能)のGAPプログラム中に組み込まれており、Blosum62マトリックス又はPAM250マトリックスを使用し、ギャップ重みは16、14、12、10、8、6又は4、ギャップ長重みは1、2、3、4、5又は6である。更に別の好適な一実施態様においては、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可能)のGAPプログラムを用いて、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用して、ギャップ重み40、50、60、70又は80、ギャップ長重み1、2、3、4、5又は6で求めてもよい。別の一実施態様においては、2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、E.Meyers及びW.Millerのアルゴリズム(CABIOS,4:11−17(1989))を利用して求める。このアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0又は2.0U)に組み込まれており、PAM120重み残基テーブルを利用し、ギャップ長ペナルティが12、ギャップペナルティが4である。
【0116】
本発明の核酸及びタンパク質配列を、「照会配列」として使用して、公共のデータベースの検索を行い、例えば他のファミリーメンバー又は関連する配列を同定することも可能である。そのような検索を、Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行ってもよい。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムで、スコア=100、ワード長=12で行って、本発明のPCIP核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得てもよい。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラムで、スコア=50、ワード長=3で行って、本発明のPCIPタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得てもよい。Altschul他(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402に記載の方法でGapped BLASTを利用して、比較のためのギャップ付きアライメントを行ってもよい。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、(例えばXBLAST及びNBLASTなどの)各プログラムのデフォルトパラメータを用いてもよい。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
【0117】
本発明は、PCIPキメラ又は融合タンパク質も提供する。ここで使用されるPCIP「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、非PCIPポリペプチドに作動的に連結したPCIPポリペプチドを有する。「PCIPポリペプチド」は、PCIPに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、一方、「非PCIPポリペプチド」は、例えば、同じ生物に由来するか又は異なる生物に由来する、PCIPタンパク質とは異なるタンパク質などの、PCIPタンパク質と実質的に相同ではないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。PCIP融合タンパク質においては、PCIPポリペプチドは、PCIPタンパク質の全て又は一部分に対応しうる。好適な一実施態様においては、PCIP融合タンパク質は、PCIPタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性部分を有する。別の好適な一実施態様においては、PCIP融合タンパク質は、PCIPタンパク質の少なくとも2つの生物学的活性部分を有する。融合タンパク質においては、「作動的に連結した」という用語は、PCIPポリペプチドと非PCIPポリペプチドとがインフレームで互いに融合していることを示すことを意図されている。非PCIPポリペプチドは、前記PCIPポリペプチドのN末端に融合してもC末端に融合してもよい。
【0118】
例えば、一実施態様においては、前記融合タンパク質は、PCIP配列がGST配列のC末端に融合した、GST−PCIP融合タンパク質である。そのような融合タンパク質によって、組換え型PCIPの精製が容易となる。
【0119】
別の一実施態様においては、前記融合タンパク質は、N末端に非相同なシグナル配列を有するPCIPタンパク質である。(例えば哺乳類宿主細胞などの)幾つかの宿主細胞においては、PCIPの発現及び/又は分泌を、非相同なシグナル配列を用いて増加させてもよい。
【0120】
本発明のPCIP融合タンパク質を、薬学的組成物中に組み込んで、in vivoで対象に投与してもよい。前記PCIP融合タンパク質を、PCIP基質の生物学的利用能に影響を与えるべく使用してもよい。本発明のPCIP融合タンパク質は、例えばアルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん、脊髄小脳失調及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害又は恐怖症などの精神障害;例えば健忘症又は加齢に伴う記憶喪失などの学習又は記憶障害;及び例えば偏頭痛などの神経障害などの中枢神経系などのカリウムチャネル関連障害の治療に有用であろう。PCIP融合タンパク質はまた、動脈硬化、虚血性再潅流損傷、再狭窄、動脈炎症、血管壁の肥厚、心室肥厚、心室高頻度ペーシング、冠状動脈微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、血管性心疾患、心房細動又はうっ血性心不全などの心臓血管障害などのカリウムチャネル関連障害の治療にも有用であろう。
【0121】
更に、本発明のPCIP融合タンパク質を、対象中で抗PCIP抗体を産生させるための免疫原として使用してもよいし、PCIPリガンドの精製に用いてもよいし、またスクリーニングアッセイにおいて、PCIPとPCIP基質との相互作用を阻害する分子を同定するために使用してもよい。
【0122】
好適には、本発明のPCIPキメラタンパク質又は融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードする複数のDNA断片を、例えば平滑末端又は付着末端を用いたライゲーション、制限酵素の消化による適切な末端の形成、適切なアルカリホスファターゼ処理で付着末端を埋めることによる不必要な結合の防止及び酵素を利用したライゲーションなどの従来の技術でインフレームで互いに連結させてもよい。別の一実施態様においては、前記融合遺伝子を、DNA自動合成装置を含めた従来の技術によって合成してもよい。又は、2つの連続する遺伝子断片間の相補な突出を増加させるアンカープライマを用いて遺伝子断片のPCR増幅を行った後に、これらをアニーリングして再増幅させ、キメラ遺伝子配列を作製してもよい(例えばCurrent Protocols in Molecular BiologyAusubel他編、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。更に、(例えばGSTポリペプチドなどの)融合成分を既にコードしている多くの発現ベクターが市販されている。PCIPをコードする核酸をそのような発現ベクター中にクローニングして、前記融合成分をインフレームで前記PCIPタンパク質に結合させてもよい。
【0123】
本発明は、PCIPアゴニスト(ミメティック)又はPCIPアンタゴニストのいずれかとして機能するPCIPタンパク質のバリアントに関する。PCIPタンパク質のバリアントを、例えばPCIPタンパク質の不連続な点変異又は切断などの変異導入法によって作製してもよい。PCIPタンパク質のアゴニストは、天然に存在するPCIPタンパク質の生物学的活性と同じ生物学的活性を有するか又はその部分集合を有してもよい。PCIPタンパク質のアンタゴニストは、天然に存在するPCIPタンパク質の生物学的活性の1つ又は複数を、例えばPCIPタンパク質のカリウムチャネルが媒介する活性を競合的に調節することで阻害してもよい。従って、限定された機能を持つバリアントで治療することで、特定の生物学的作用を引き出すことが可能である。一実施態様においては、天然に存在する前記タンパク質の生物学的活性の部分集合を持つバリアントで対象を治療すると、天然に存在する前記PCIPタンパク質で対象を治療した場合と比較して副作用が少ない。
【0124】
一実施態様においては、PCIPアゴニスト(ミメティック)又はPCIPアンタゴニストのいずれかとして機能するPCIPタンパク質のバリアントを、PCIPタンパク質の例えば切断ミュータントなどのミュータントのコンビナトリアルライブラリを、PCIPタンパク質アゴニスト又はアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることによって、同定してもよい。一実施態様においては、PCIPバリアントの混合(原語variegated)ライブラリを核酸レベルのコンビナトリアル変異導入法によって作製し、混合(原語variegated)遺伝子ライブラリでコードする。PCIPバリアントの混合(原語variegated)ライブラリを、例えば複数の推定されるPCIPタンパク質配列を変性させた一集合が、個々のプリペプチドとして、又は前記複数のPCIP配列を持つ(例えばファージディスプレイ用の)より大きな複数の融合タンパク質からなる一集合として発現可能であるような具合に、複数の合成オリゴヌクレオチドの混合物を複数の遺伝子配列中に酵素によってライゲーションすることで作製してもよい。潜在的PCIPバリアントのライブラリを変性オリゴヌクレオチド配列から作製する様々な方法がある。変性遺伝子配列をDNA自動合成装置で化学合成して、合成した遺伝子を適切な発現ベクター中にライゲーションしてもよい。変性遺伝子の集合を用いることで、複数の潜在的PCIP配列からなる前記所望の集合をコードする配列の全てを一混合物中に提供することが可能である。変性オリゴヌクレオチドの合成方法は当業で周知である(例えばNarang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura他(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura他(1984)Science 198:1056;Ike他(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。
【0125】
加えて、PCIPタンパク質をコードする配列の複数の断片からなるライブラリを用いて、PCIPタンパク質のバリアントのスクリーニング及び選択のための複数のPCIP断片からなる混合(原語variegated)ライブラリを作製してもよい。一実施態様においては、PCIPコード配列の二本鎖PCR断片を、ニッキングが分子毎におよそ1回しか起こらない条件下でヌクレアーゼで処理し、前記二本鎖DNAを変性させ、前記DNAを復元させて、別々のニッキング産物からのセンス/アンチセンス対が含まれてもよい二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼ処理により復元した二本鎖から一本鎖部分を除去し、得られた断片ライブラリを発現ベクター中にライゲーションすることにより、複数のコード配列断片からなるライブラリを作製してもよい。この方法で、PCIPタンパク質の様々なサイズのN末端、C末端及び内部断片をコードする発現ライブラリを作製することができる。
【0126】
点変異又は切断によって作製された遺伝子産物のコンビナトリアルライブラリ及びcDNAライブラリを、選択された特性を有する遺伝子産物についてスクリーニングするための幾つかの方法が、当業で知られている。そのような技術を、PCIPタンパク質のコンビナトリアル変異導入法によって作製した遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに応用可能である。ハイスループットの分析に使用可能な、最も広範に用いられている大規模遺伝子ライブラリのスクリーニング技術には、典型的には、複製可能な発現ベクター中に前記遺伝子ライブラリをクローニングすることと、得られたベクターのライブラリで適切な細胞を形質転換させることと、ある所望の活性の検出によって、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が容易になるような条件下で前記コンビナトリアル遺伝子を発現させることと、が含まれる。リカーシブアンサンブル(原語:recursive ensemble)変異導入法(REM)は、前記ライブラリ中の機能ミュータントの頻度を増加させる新しい技術であるが、これをスクリーニングアッセイと組み合わせて用いて、PCIPバリアントを同定してもよい(Arkin及びYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgrave他(1993)Protein Engineering 6(3):327−331)。
【0127】
一実施態様においては、細胞ベースのアッセイで混合(原語variegated)PCIPライブラリの分析を行ってもよい。例えば、複数の発現ベクターからなるライブラリを、カリウムチャネルが媒介する活性を通常に有する細胞系統中にトランスフェクトしてもよい。前記PCIPミュータントが前記カリウムチャネルが媒介する活性に及ぼす影響を、例えば数多くの酵素アッセイのうちのいずれかによって、又は神経伝達物質の放出を検出することによって、検出してもよい。次に、前記カリウムチャネルが媒介する活性の阻害又は増強が記録された細胞からプラスミドDNAを回収し、個々のクローンの特性を更に分析してもよい。
【0128】
単離されたPCIPタンパク質又はその一部分もしくは断片を免疫原として、PCIPに結合する抗体を、標準的なポリクローナル及びモノクローナル抗体作製技術を用いて作製してもよい。全長PCIPタンパク質を使用してもよいが、本発明は、免疫原として用いるPCIPの抗原ペプチド断片を提供する。前記PCIPの抗原ペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109で示されるアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を有し、前記ペプチドに対して産生された抗体がPCIPと特異的な免疫複合体を形成するように、PCIPのエピトープを有する。好適には、前記抗原ペプチドは、少なくとも10個、より好適には少なくとも15個、更に好適には少なくとも20個、最も好適には少なくとも30個のアミノ酸残基を有する。
【0129】
前記抗原ペプチドが有する好適なエピトープは、PCIPタンパク質の表面上の、例えば親水性の領域及び抗原性の高い領域などの領域である。
【0130】
PCIP免疫原は、典型的には、(例えばウサギ、ヤギ、マウス又はその他の哺乳類などの)適切な対象を前記免疫原で免疫化することで抗体を作製するために使用される。好適な免疫原調製品に、例えば組換え発現されたPCIPタンパク質又は化学合成されたPCIPポリペプチドが含まれてもよい。前記調製品が更に、例えばフロイント完全アジュバント又はフロイント不完全アジュバントなどのアジュバント或いは同様の免疫刺激物質を含有してもよい。適切な対象を免疫原PCIP製剤で免疫化することにより、ポリクローナル抗PCIP抗体応答が誘発される。
【0131】
従って、本発明の別の一局面は、ポリクローナル抗PCIP抗体応答に関する。ここで使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性部分、即ち、PCIPなどの抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を有する分子を指す。免疫グロブリン分子の免疫活性部分の例には、抗体をペプシンなどの酵素で処理することで作製可能なF(ab)及びF(ab’)2断片が含まれる。本発明は、PCIPに結合するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を提供する。ここで使用される「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、PCIPの特定のエピトープと免疫反応することの可能な抗原結合部位を1種類だけ持つ複数の抗体分子からなる一集団を指す。モノクローナル抗体組成物は、従って、典型的には、自身が免疫反応を行う特定のPCIPタンパク質に対して、単一の結合親和性を呈する。
【0132】
ポリクローナル抗PCIP抗体を、上述のように、適切な対象をPCIP免疫原で免疫化することで作製してもよい。免疫化した前記対象における抗PCIP抗体価を、固定化したPCIPを用いた酵素結合免疫吸着アッセイ(ELIZA)などの標準的な技術によって、長期にわたって観察してもよい。所望の場合には、PCIPに対抗する前記抗体分子を、前記哺乳類から(例えば血液などから)単離し、更に、タンパク質Aクロマトグラフィーなどの周知の技術で精製して、IgG断片を得てもよい。免疫化後の、例えば前記抗PCIP抗体価が最も高い時点などの適切な時点で、抗体産生細胞を前記対象から採取し、Kohler及びMilsteinによって最初に発表されたハイブリドーマ法((1975)Nature 256:495−497)(Brown他(1981)J.Immunol.127:539−46;Brown他(1980)J.Biol.Chem .255:4980−83;Yeh他(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927−31;及びYeh他(1982)Int.J.Cancer 29:269−75も参照のこと)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor他(1983)Immunol Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ法(Cole他(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss,Inc.,pp.77−96)又はトリオーマ法などの標準的な技術によるモノクローナル抗体の作製に使用してもよい。モノクローナル抗体ハイブリドーマの作製方法は、周知である(概略はMonoclonal Antibodies中のR.H.Kenneth:A New Dimension In Biological Analyses、プレナム・パブリッシング社、ニューヨーク州ニューヨーク(1980);E.A.Lerner (1981)Yale J.Biol.Med.,54:387−402;M.L.Gefter他(1977)Somatic Cell Genet.3:231−36を参照のこと)。簡単に言うと、(典型的には骨髄腫である)不死化細胞系統を、PCIP免疫原で上述のように免疫化した哺乳類からの(典型的には脾細胞である)リンパ球に融合させ、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、PCIPに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを特定する。
【0133】
リンパ球と不死化細胞系統との融合に用いる周知の数多くのプロトコルのいずれも、抗PCIPモノクローナル抗体の作製に適用可能である(例えばG.Galfre他(1977)Nature 266:550−52;Gefter他 Somatic Cell Genet.同上;Lerner、Yale J.Biol.Med.同上;Kenneth、Monoclonal Antibodies 同上を参照のこと)。更に、これらの方法を変化させた数多くの方法もまた有用であろうことが、当業者に理解されよう。典型的には、(例えば骨髄腫細胞系統などの)不死化細胞系統は、リンパ球と同じ哺乳類種に由来する。例えば、マウスのハイブリドーマを、本発明の免疫原調製品で免疫化したマウスからのリンパ球と不死化マウス細胞系統とを融合させることで作製してもよい。好適な不死化細胞系統は、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有する培地(HAT培地)に感受性の、マウスの骨髄腫細胞系統である。例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653又はSp2/O−Ag14骨髄腫系統などの数多くの骨髄腫細胞系統のいずれも、標準的な技術で融合相手として使用可能である。これらの骨髄腫系統はATCCから入手可能である。典型的には、HAT感受性のマウス骨髄腫細胞を、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてマウス脾細胞に融合させる。この融合によって生じたハイブリドーマ細胞を、未融合の及び非生産的に融合した骨髄細胞(未融合の脾細胞は、形質転換されていないために数日後に死ぬ)を死滅させるHAT培地を用いて選別する。前記ハイブリドーマ培養上清を、例えば標準的なELISAアッセイなどによって、PCIPに結合する抗体についてスクリーニングすることで、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を検出する。
【0134】
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する代わりに、(例えば抗体ファージディスプレイライブラリなどの)組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリをPCIPでスクリーニングし、PCIPに結合する免疫グロブリンライブラリのメンバーを単離することで、モノクローナル抗PCIP抗体を同定及び単離してもよい。ファージディスプレイライブラリの作製及びスクリーニングキット(例えばファーマシア社のRecombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01;及びストラタジーン社のSurfZAP(登録商標)Phage Display Kit、カタログ番号240612など)が市販されている。更に、抗体のディスプレイライブラリの作製及びスクリーニングへの使用に特に適した方法及び試薬の例が、例えばLadner他 米国特許No.5,223,409;Kang他 PCT国際公開公報No.WO92/18619;Dower他 PCT国際公開公報No.WO91/17271;Winter他 PCT国際公開公報WO92/20791;Markland他 PCT国際公開公報No.WO92/15679;Breitling他 PCT国際公開公報WO93/01288;McCafferty他 PCT国際公開公報No.WO92/01047;Garrard他 PCT国際公開公報No.WO92/09690;Ladner他 PCT国際公開公報No.WO90/02809;Fuchs他(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hay他(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huse他(1989)Science 246:1275−1281;Griffiths他(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkins他(1992)J.Mol.Biol.226:889−896;Clarkson他(1991)Nature 352:624−628;Gram他(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3576−3580;Garrad他(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Hoogenboom他(1991)Nuc.Acid Res.19:4133−4137;Barbas他(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978−7982;及びMcCafferty他 Nature(1990)348:552−554に示されている。
【0135】
加えて、キメラモノクローナル抗体及びヒト化モノクローナル抗体などの、ヒトの及び非ヒト部分の双方を持つ組換え抗PCIP抗体は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製可能であり、本発明の範囲に包含される。そのようなキメラモノクローナル抗体及びヒト化モノクローナル抗体を、例えばRobinson他 PCT国際出願 No.PCT/US86/02269;Akira他 欧州特許出願 184,187;Taniguchi,M. 欧州特許出願 171,496;Morrison他 欧州特許出願 173,494;Neuberger他 PCT国際公開公報No.WO86/01533;Cabilly他 米国特許No.4,816,567;Cabilly他 欧州特許出願 125,023;Better他(1988)Science 240:1041−1043;Liu他(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liu他(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sun他(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimura他(1987)Canc.Res.47:999−1005;Wood他(1985)Nature 314:446−449;及びShaw他(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559);Morrison,S.L.(1985)Science 229:1202−1207;Oi他(1986)BioTechniques 4:214;Winter 米国特許 5,225,539;Jones他(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyan他(1988)Science 239:1534;及びBeidler他(1988)J.Immunol.141:4053−4060に述べられている方法などの当業で周知の組換えDNA技術を用いて作製してもよい。
【0136】
(例えばモノクローナル抗体などの)抗PCIP抗体を、アフィニティクロマトグラフィ又は免疫沈降法などの標準的な技術を用いたPCIPの単離に使用してもよい。抗PCIP抗体は、細胞からの天然のPCIPの精製及び宿主細胞中で発現される組換え作製されたPCIPの精製を容易にする。更に、抗PCIP抗体を用いて(例えば細胞溶解物又は細胞上清中で)PCIPタンパク質を検出し、前記PCIPタンパク質の発現の発生量及びパターンを評価してもよい。抗PCIP抗体を臨床検査法の一環として診断的に使用して、組織中のタンパク質レベルをモニタし、例えば所定の治療方針の有効性を調べてもよい。前記抗体を検出可能な物質と結び付ける(即ち物理的に連結させる)ことによって、検出を容易にしてもよい。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質及び放射性物質が含まれる。好適な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼが含まれる;好適な補欠分子団複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれる;好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、又はフィコエリトリンが含まれる;発光物質の例には、ルミノールが含まれる;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが含まれる;好適な放射性物質の例には、125I、131I、35S又はHが含まれる。
【0137】
III.組換え発現ベクター及び宿主細胞
本発明の別の一局面は、PCIPタンパク質(又はその一部分)をコードする核酸を有する、好適には発現ベクターであるベクターに関する。ここで使用する「ベクター」という用語は、自身が連結した別の核酸を輸送することの可能な核酸分子を指す。ベクターの一種が「プラスミド」であるが、これは、更なるDNA部分をその中にライゲーションすることの可能な環状の二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の一種はウィルスベクターであり、この場合、更なるDNA部分が前記ウィルスのゲノム中にライゲーションされる。(例えば複製の起源が細菌である細菌ベクター及びエピゾーム型の哺乳類ベクターなどの)幾つかのベクターは、導入された宿主細胞内で自律複製可能である。(例えば非エピソーム型の哺乳類ベクターなどの)その他のベクターは、宿主細胞中に導入されると前記宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、前記宿主のゲノムと一緒に複製される。更に、幾つかのベクターは、自身が作動的に連結している遺伝子の発現を命令することが可能である。そのようなベクターを、ここで「発現ベクター」と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術で用いられる発現ベクターは、プラスミドの形をとっている場合が多い。プラスミドはベクターの最もよく用いられる形であることから、本明細書においては、「プラスミド」と「ベクター」を交換可能に使用してもよい。但し、本発明は、同等の機能を果たす(例えば複製能のないレトロウィルス、アデノウィルス及びアデノ随伴ウィルスなどの)ウィルスベクターなどの、発現ベクターの他の形をも包含することを意図されている。
【0138】
本発明の組換え発現ベクターは、本発明の核酸を、宿主細胞中での前記核酸の発現に適した形で有するが、このことは、前記組換え発現ベクターに、発現に使用する前記宿主細胞に基づいて選択された、発現対象の前記核酸の配列に作動的に連結した1つ又は複数の調節配列が含まれることを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作動的に連結した」という用語は、目的の前記ヌクレオチド配列が、前記ヌクレオチド配列の発現が可能となるように(例えばin vitro転写/翻訳系中で又は前記ベクターが宿主細胞中に導入される場合には前記宿主細胞中で)前記調節配列に連結していることを意味することを意図されている。「調節配列」という用語は、プロモータ、エンハンサ及びその他の(例えばポリアデニル化シグナルなどの)発現制御因子を包含することを意図されている。そのような調節配列は、例えばGoeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミックプレス社、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)に述べられている。調節配列には、様々な種類の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を命令するものと、(例えば組織特異的調節配列などの)限定された宿主細胞のみににおけるヌクレオチド配列の発現を命令するものとがある。発現ベクターのデザインが、これらのような、形質転換する宿主細胞の選択や所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に左右されうることが当業者に理解されよう。本発明の発現ベクターを宿主細胞中に導入して、(例えばPCIPタンパク質、PCIPタンパク質の突然変異型、融合タンパク質などの)本願中に記載の核酸によってコードされる融合タンパク質又はペプチドを含めたタンパク質又はペプチドを作製してもよい。
【0139】
本発明の組換え発現ベクターを、原核細胞又は真核細胞におけるPCIPタンパク質の発現用にデザインしてもよい。例えば、PCIPタンパク質を、大腸菌などの細菌の細胞、昆虫の細胞(バキュロウィルス発現ベクターを使用)、酵母細胞又は哺乳類の細胞中で発現させてもよい。好適な宿主細胞について、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミックプレス社、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)に更に述べられている。又は、前記組換え発現ベクターを、例えばT7プロモータ調節配列及びT7ポリメラーゼを用いてin vitroで転写及び翻訳してもよい。
【0140】
原核生物におけるタンパク質の発現は、大腸菌中で、融合タンパク質又は非融合タンパク質のいずれかの発現を命令する構成性の又は誘導性のプロモータを持つベクターを用いて行われる場合が最も多い。融合ベクターは、その中でコードされるタンパク質の、通常は前記組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは、典型的には、1)組換えタンパク質の発現を増加させる;2)前記組換えタンパク質の溶解度を向上させる;及び3)アフィニティ精製のリガンドとして作用することで、前記組換えタンパク質の精製の一助となる、という3つの目的を果たす。多くの場合、融合発現ベクターでは、融合成分と組換えタンパク質との連結部にタンパク分解性の開裂部位が導入されることで、前記融合タンパク質の精製後の前記組換えタンパク質の前記融合成分からの分離が可能となる。そのような酵素及びこれらと同様の性質を持つ配列には、Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼが含まれる。典型的な融合発現ベクターには、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質又はプロテインAを標的組換えタンパク質に融合させる、pGEX(ファーマシアバイオテック社;Smith,D.B.及びJohnson,K.S.(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(ニューイングランドバイオラブズ社、マサチューセッツ州ベヴァリー)及びpRIT5(ファーマシア社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)が含まれる。
【0141】
精製された融合タンパク質を、(例えば以下に詳述する直接アッセイ又は競合アッセイなどの)PCIP活性アッセイに使用してもよいし、或いは、例えばPCIPタンパク質に特異的な抗体の産生に使用してもよい。好適な一実施態様においては、本発明のレトロウィルス発現ベクター中で発現されているPCIP融合タンパク質を用いて骨髄細胞を感染させ、次にこれらの骨髄細胞を放射線照射を受けたレシピエントに移植してもよい。次に、前記レシピエントの病状を、(例えば6週間などの)十分な時間が経過した後に調べてもよい。
【0142】
適切な誘導性の非融合大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amann他(1988)Gene 69:301−315)及びpET 11d(Studier他、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185アカデミックプレス社、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)60−89)が含まれる。pTrcベクターからの標的遺伝子の発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモータからの宿主RNAポリメラーゼの転写に左右される。pET 11dベクターからの標的遺伝子の発現は、同時に発現されているウィルスのRNAポリメラーゼ(T7 gn1)が媒介するT7 gn10−lac融合プロモータからの転写に左右される。このウィルスのポリメラーゼは、宿主菌株BL21(DE3)又はHMS174(DE3)によって、宿主に組み込まれたT7 gn1遺伝子を持つプロファージから、lacUV5プロモータによる転写制御の下で供給される。
【0143】
大腸菌において組換えタンパク質を最大に発現させる一つの方法に、宿主菌における前記タンパク質の発現の際の、前記組換えタンパク質のタンパク質分解による開裂能力を低下させる方法がある(Gottesman,S.,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミックプレス社、カリフオルニア州サンディエゴ(1990)119−128)。別の一方法としては、発現ベクター中に挿入する核酸の核酸配列を、各アミノ酸の個々のコドンが大腸菌において選択的に利用されるコドンとなるように変化させる(Wada他(1992)Nucleic Acids Res.20:2111−2118)。本発明の核酸配列のそのような変更を、標準的なDNA合成技術によって行ってもよい。
【0144】
別の一実施態様においては、PCIP発現ベクターが酵母発現ベクターである。酵母S.セレビジエにおける発現ベクターの例には、pYepSec1(Baldari他(1987)Embo J.6:229−234、pMFa(Kurjan及びHerskowitz(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz他(1987)Gene 54:113−123)、pYES2(インビトロジェン社、カリフォルニア州サンディエゴ)及びpicZ(インビトロジェン社、カリフォルニア州サンディエゴ)が含まれる。
【0145】
又は、PCIPタンパク質を、昆虫の細胞中で、バキュロウィルス発現ベクターを用いて発現させてもよい。(例えばSf9細胞などの)培養された昆虫細胞におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウィルスには、pAc系(Smith他(1983)Mol.Cell Biol.3:2156−2165)及びpVL系(Lucklow及びSummers(1989)Virology 170:31−39)が含まれる。
【0146】
更に別の一実施態様においては、本発明の核酸を、哺乳類の細胞中で、哺乳類発現ベクターを用いて発現させる。哺乳類発現ベクターの例には、pCDM8(Seed,B.(1987)Nature 329:840)及びpMT2PC Kaufman他(1987)EMBO J.6:187−195)が含まれる。哺乳類細胞中で使用する場合、前記発現ベクターの制御機能は、ウィルスの調節因子によって付与されることが多い。例えば、広く使用されているプロモータは、ポリオーマ、アデノウィルス2、サイトメガロウィルス及びシミアンウィルス40に由来する。原核細胞及び真核細胞の双方についてのその他の好適な発現系は、Sambrook、J.,Fritsh,E.F.及びManiatis,T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1989の第16章及び第17章を参照のこと。
【0147】
別の一実施態様においては、前記哺乳類の組換え発現ベクターが、特定の細胞種において選択的に核酸の発現を命令することが可能である(例えば組織特異的調節因子が前記核酸の発現に使用される)。組織特異的調節因子は、当業で知られている。好適な組織特異的プロモータの例には、アルブミンプロモータ(肝臓特異的;Pinkert他(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ球特異的プロモータ(Calame及びEaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、特にT細胞受容体のプロモータ(Winoto及びBaltimore(1989)EMBO J.8:729−733)及び免疫グロブリンのプロモータ(Banerji他(1983)Cell 33:729−740;Queen及びBaltimore(1983)Cell 33:741−748)、(例えば神経フィラメントプロモータ;Byrne及びRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477などの)神経細胞特異的プロモータ、脾臓特異的プロモータ(Edlund他(1985)Science 230:912−916)及び(例えばミルクホエープロモータ;米国特許No.4,873,316及び欧州特許出願公開公報No.264,166などの)乳腺特異的プロモータが含まれるが、これらに限定されることはない。例えばネズミのhoxプロモータ(Kessel及びGruss(1990)Science 249:374−379)及びα−フェトプロテインプロモータ(Campes及びTilghman(1989)Genes Dev.3:537−546)などの発生段階特異的プロモータも包含される。
【0148】
本発明は、アンチセンス方向にクローニングされた本発明のDNA分子を有する組換え発現ベクターを更に提供する。即ち、前記DNA分子は、ある調節配列に、PCIP mRNAのアンチセンスであるRNA分子の発現が(前記DNA分子の転写によって)可能となるように作動的に連結されている。アンチセンス方向にクローニングされた核酸に作動的に連結する調節配列としては、例えばウィルスプロモータ及び/又はエンハンサなどの、様々な細胞種において前記アンチセンスRNA分子の継続的な発現を命令する調節配列を選択してもよいし、或いは、アンチセンスRNAの組織特異的な又は細胞種特異的な構成性発現を命令する調節配列を選択してもよい。前記アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率の調節領域の制御下で作製され、前記ベクターが導入された細胞種によってその活性が決定される、組換えプラスミド、ファージミド又は弱毒化ウィルスの形であってもよい。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節については、Weintraub,H.他、Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis、Reviews−Trends in Genetics,Vol.1(1)1986を参照のこと。
【0149】
本発明の別の一局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」という用語を、ここで交換可能に用いる。これらの用語は、当然のことながら、特定の対象細胞のみならず、そのような細胞の後代又は潜在的後代をも指す。突然変異又は環境的な影響要因のいずれかによって、後続の世代に何らかの変化が起こりうることから、そのような後代は、実際には、親細胞と同一でなくてもよいが、そのような場合でも、ここで使用される用語の範囲内に包含される。
【0150】
宿主細胞は、いかなる原核細胞又は真核細胞であってもよい。例えば、PCIPタンパク質を、大腸菌などの細菌細胞、昆虫の細胞、酵母又は(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はCOS細胞などの)哺乳類の細胞中で発現させてもよい。その他の好適な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0151】
ベクターDNAを、原核細胞又は真核細胞中に、通常の形質転換又はトランスフェクション技術によって導入してもよい。ここで使用する「形質転換」及び「トランスフェクション」という用語は、(例えばDNAなどの)外来の核酸を宿主細胞中に導入するための、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAEデキストランが媒介するトランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーションを含めた様々な当業で公知の技術を指す。宿主細胞の好適な形質転換又はトランスフェクション方法は、Sambrook他(Molecular Cloning: A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1989)及びその他の実験用マニュアルに見受けられる。
【0152】
哺乳類細胞の安定なトランスフェクションを行う上で、使用する発現ベクター及びトランスフェクション技術の種類にもよるが、細胞のわずかな画分のみのゲノム中に外来のDNAを組み込んでもよいことが知られている。前記組み込まれたDNAを同定及び選別するために、一般には(例えば抗生物質耐性であるなどの)選別可能なマーカをコードする遺伝子を、目的の遺伝子と一緒に宿主細胞中に導入する。好適な選別可能なマーカには、G418、ハイグロマイシン及びメトトレキセートなどの薬剤への耐性を付与するマーカが包含される。選別可能なマーカをコードする核酸を、PCIPタンパク質をコードするベクターと同じベクターを用いて宿主細胞中に導入してもよいし、又は、別のベクターを用いて導入してもよい。導入された前記核酸によって安定にトランスフェクトされた細胞を、薬剤による選別によって特定してもよい(例えば、前記選別可能なマーカ遺伝子を組み込んだ細胞は生き残るが、その他の細胞は死ぬ)。
【0153】
培地中の原核宿主細胞又は真核宿主細胞などの本発明の宿主細胞を、PCIPタンパク質の作製(即ち発現)に用いてもよい。従って、本発明は、本発明の宿主細胞を用いたPCIPタンパク質の作製方法を更に提供する。一実施態様においては、前記方法には、(PCIPタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を、PCIPタンパク質が作製されるのに適切な培地中で培養することが含まれる。別の一実施態様においては、前記方法に、PCIPタンパク質を前記培地又は前記宿主細胞から単離することが更に含まれる。
【0154】
本発明の宿主細胞を、非ヒトトランスジェニック動物の作製に使用してもよい。例えば、一実施態様においては、本発明の宿主細胞は、PCIPをコードする配列が導入された、受精した卵母細胞又は胚の幹細胞である。そのような宿主細胞を用いて、外来性のPCIP配列がゲノム中に導入された非ヒトトランスジェニック動物又は内在性のPCIP配列が変化した相同組換え動物を作製してもよい。そのような動物は、PCIPの機能及び/又は活性の研究並びにPCIP活性モジュレータの特定及び/又は評価に有用である。ここで使用する「トランスジェニック動物」という用語は、その動物の1つ又は複数の細胞が導入遺伝子を持つ、非ヒト動物、好適には哺乳類、より好適にはラット又はマウスなどの齧歯類を指す。トランスジェニック動物のその他の例には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、雌牛、ヤギ、ニワトリ、両生類などが含まれる。導入遺伝子は、トランスジェニック動物の発生源である細胞のゲノム中に組み込まれた外来性のDNAであり、成熟した前記動物のゲノム中に留まることによって、前記トランスジェニック動物の1つ又は複数の細胞種又は組織において、コードされた遺伝子産物の発現を命令する。ここで使用する「相同組換え動物」という用語は、内在性のPCIP遺伝子が、前記内在性の遺伝子と、前記動物の、例えば胚細胞などの細胞中にその動物の発生前に導入されたDNA分子との間の相同的な組換えによって変化した、非ヒト動物、好適には哺乳類、より好適にはマウスを指す。
【0155】
PCIPをコードする核酸を、例えばマイクロインジェクション、レトロウィルス感染などによって、受精した卵母細胞の雄前核中に導入し、前記卵母細胞を偽妊娠した雌の里親動物中で発育させることによって、本発明のトランスジェニック動物を作製してもよい。配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表されるPCIPのcDNA配列を、導入遺伝子として非ヒト動物のゲノム中に導入してもよい。或いは、マウス又はラットのPCIP遺伝子などの、ヒトPCIP遺伝子の非ヒト相同体を、導入遺伝子として用いてもよい。或いは、別のPCIPファミリーメンバーなどのPCIP遺伝子相同体を、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100もしくは配列番号:102で表されるPCIPのcDNA配列又はATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993もしくは98994で寄託されたプラスミドのDNAインサート(先のサブセクションIにて詳述した)とのハイブリダイゼーションによって単離し、導入遺伝子として用いてもよい。前記導入遺伝子の発現効率を高めるイントロン配列及びポリアデニレーションシグナルが前記導入遺伝子中に含まれていてもよい。PCIPタンパク質を特定の細胞で発現させる組織特異的調節配列が、PCIP導入遺伝子に作動的に連結していてもよい。トランスジェニック動物、とりわけマウスなどの動物を胚の操作及びマイクロインジェクションによって作製する方法は、当業で知られており、例えばLeder他による米国特許No.4,736,866及びNo.4,870,009、Wagner他による米国特許No.4,873,191並びに、Hogan,B.、Manipulating the Mouse Embryo(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1986)に記載されている。同様の方法を、その他のトランスジェニック動物の作製にも使用する。初代トランスジェニック動物を、そのゲノム中のPCIP導入遺伝子の存在及び/又はその動物の組織又は細胞中のPCIP mRNAの発現に基づいて特定してもよい。初代トランスジェニック動物を、次に、前記導入遺伝子を持つ更なる動物の育種に用いてもよい。更に、PCIPタンパク質をコードする導入遺伝子を持つトランスジェニック動物を、別の導入遺伝子を持つ別のトランスジェニック動物と更に交配させてもよい。
【0156】
相同組換え動物を作製するために、PCIP遺伝子の少なくとも一部分を有し、このPCIP遺伝子中に欠失、付加又は置換が導入されているために、前記PCIP遺伝子が、例えば機能の破壊などの変化を受けているベクターを作製してもよい。前記PCIP遺伝子は、(例えば配列番号.1のcDNAなどの)ヒト遺伝子であってもよいが、より好適には、(例えば配列番号.3又は5のcDNAなどの)ヒトPCIP遺伝子の非ヒト相同体である。例えば、マウスのPCIP遺伝子を用いて、前記マウスのゲノム中の内在性PCIP遺伝子を変化させるのに適した相同組換えベクターを構成してもよい。好適な一実施態様においては、前記ベクターは、相同組換えによって前記内在性PCIP遺伝子の機能が破壊される(即ち、機能タンパク質をコードしなくなる;「ノックアウトベクター」とも呼ぶ)ような具合にデザインされる。又は、前記ベクターを、相同組換えによって、前記内在性PCIP遺伝子が突然変異もしくは変化するが、機能タンパク質はコードする(例えば、上流側の調節配列を変化させて、前記内在性PCIPタンパク質の発現を変化させる)ようにデザインしてもよい。前記相同組換えベクターにおいては、前記PCIP遺伝子の前記変化した部分は、前記ベクターによってもたらされた前記外来性PCIP遺伝子と胚の幹細胞の内在性PCIP遺伝子との間での相同組換えを可能とすべく、その5’末端及び3’末端が前記PCIP遺伝子の更なる核酸配列によってフランキングされている。前記更なるフランキングPCIP核酸配列の長さは、前記内在性遺伝子との相同組換えを成功させるのに十分な長さである。典型的には、数キロベースのフランキングDNA(5’末端及び3’末端の双方において)が前記ベクター中に含まれている(相同組換えベクターの説明については、例えばThomas,K.R.及びCapecchi,M.R.(1987)Cell 51:503を参照のこと)。前記ベクターを、胚の幹細胞系統中に(例えばエレクトロポレーションによって)導入し、前記導入されたPCIP遺伝子が前記内在性のPCIP遺伝子と相同組換えした細胞を選別する(例えばLi,E.他(1992)Cell 69:915を参照のこと)。前記選別された細胞を次に(例えばマウスなどの)動物の胚盤胞中に注入して、集合キメラを形成してもよい(例えばBradley,A. Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson編(IRL、オックスフォード、1987)pp.113−152を参照のこと)。次に、キメラ胚を好適な偽妊娠した雌の里親動物中に移植して、前記胚を出産させる。前記相同組換えしたDNAを生殖細胞中に持つ後代を用いて、前記導入遺伝子の生殖細胞系列による伝達によって前記相同組換えしたDNAを全ての細胞中に持つ動物を育種してもよい。相同組換えベクター及び相同組換え動物の作製方法は、Bradley,A.(1991)Current Opinion in Biotechnology 2:823−829及びPCT国際公開公報No.:Le MouellecによるWO 90/11354;Smithies他によるWO 91/01140;Zijlstra他によるWO 92/0968;及びBerns他によるWO 93/04169に更に記載されている。
【0157】
別の一実施態様においては、前記導入遺伝子の発現の調節を可能にする選択された系を有する、非ヒトトランスジェニック動物を作製してもよい。そのような系の一例に、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系がある。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えばLakso他(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の一例には、サッカロミセス‐セレビジエのFLPリコンビナーゼ系(O’Gorman他(1991)Science 251:1351−1355)がある。cre/loxPリコンビナーゼ系を用いて導入遺伝子の発現を調節する場合には、Creリコンビナーゼと選択されたタンパク質との双方をコードする導入遺伝子を持つ動物が必要となる。そのような動物を、例えば一方は選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を、他方はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を持つ2つのトランスジェニック動物を交配させることなどによって「二重」トランスジェニック動物を作製することで提供してもよい。
【0158】
ここに記載の非ヒトトランスジェニック動物のクローンを、Wilmut,I.他(1997)Nature 385:810−813及びPCT国際公開公報No.WO 97/07668及びWO 97/07669に記載の方法に従って作製してもよい。簡単に言うと、トランスジェニック動物からの、例えば体細胞などの細胞を単離し、生長周期を脱してG0期に入るように誘導する。次に、静止状態の前記細胞を、例えば電気パルスを用いて、前記静止状態の細胞の単離元である動物と同種の動物の除核卵母細胞と融合させる。次に、前記再構成した卵母細胞を培養して、桑実胚又は未分化胚芽細胞にまで成長させた後に、偽妊娠した雌の里親動物中に移入させる。この雌の里親動物から生まれた子孫は、例えば体細胞などの前記細胞の単離元である前記動物のクローンとなる。
【0159】
IV.薬学的組成物
本発明のPCIP核酸分子、PCIPタンパク質の断片及び抗PCIP抗体(ここで「活性化合物」とも呼ぶ)を、投与に適した薬学的組成物中に組み込んでもよい。そのような組成物には、典型的には、前記核酸分子、タンパク質又は抗体と、薬学上許容可能な担体とが含有される。ここで使用する「薬学上許容可能な担体」という用語は、薬剤投与に適した任意の及び全ての溶剤、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを包含するものとして意図されている。これらのような媒質及び薬剤を薬学上活性な物質に使用することは、当業で周知である。従来の媒質又は薬剤のいずれもが前記活性化合物と適合しない場合を除いては、前記組成物中にこれらの媒質又は薬剤を使用することが企図されている。補助的な活性化合物を前記組成物中に組み込んでもよい。
【0160】
本発明の薬剤組成物は、その意図された投与経路に適合すべく製剤される。投与経路の例には、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与、(例えば吸入などの)経口投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与及び直腸内投与が含まれる。非経口、皮内又は皮下に用いる溶剤又は懸濁剤には、以下の成分が含まれてもよい:注射用の水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶剤などの滅菌希釈液;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸又は硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸又はリン酸などの緩衝剤及び、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張度調整剤。塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用いてpHを調整してもよい。非経口製剤が、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、ディスポーザブル注射筒又は多人数用バイアルに封入されていてもよい。
【0161】
注射に適した薬剤組成物には、(水溶性の場合の)滅菌水溶剤又は分散剤及び滅菌注射用溶剤又は分散剤の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。静脈内投与に適した担体には、生理的食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF社、ニュージャージー州パーシッパニー)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合において、前記組成物は無菌でなければならず、また注射が容易である程度に流動性であるべきである。前記組成物は、製造及び保管条件下で安定でなければならず、また細菌及び真菌などの微生物の汚染活動から保護されなければならない。前記担体は、例えば水、エタノール、(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなどの)ポリオール類及びこれらの好適な混合物などを含有する溶液又は分散媒であってもよい。適切な流動性を、例えばレシチンなどのコーティングを使用することにより、分散剤の場合には必要な粒度を維持することにより、及び表面活性剤を使用することにより、維持してもよい。微生物の活動を、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗細菌剤及び抗真菌剤を用いて防止してもよい。多くの場合、例えば糖類、マンニトールなどの多価アルコール類、ソルビトール、塩化ナトリウムなどの等張剤が前記組成物中に含有されることが望ましいであろう。前記組成物に、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅延させる物質を含有させることで、前記注射用組成物を持続的に吸収させてもよい。
【0162】
(例えばPCIPタンパク質の断片又は抗PCIP抗体などの)前記活性化合物を、必要に応じて上述の成分のうちの1つ又は複数の組合せと共に適切な溶液中に必要量含有させた後に、濾過除菌することにより、滅菌注射用溶剤を調製してもよい。一般に、分散剤を調製するには、前記活性化合物を、塩基性の分散媒と上述の成分のうちの必要なその他の成分とを含有する無菌の送達剤中に組み込む。滅菌注射用溶剤を調製するための滅菌粉末を調製する好適な方法は、予め濾過滅菌した前記活性成分と任意の更なる望ましい成分との溶液から粉末を生じさせる真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0163】
経口組成物には、一般に、不活性の希釈剤又は食用の担体が含有される。これらをゼラチンカプセルに封入してもよいし、又は圧縮して錠剤としてもよい。経口の治療的投与の目的で、前記活性化合物を賦形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ剤又はカプセル剤の形で使用してもよい。経口組成物を、含嗽剤として使用するために流動性の担体を用いて調製しても良く、この場合、前記流動性の担体中の前記化合物は、口内に含まれ、うがい後に吐出又は嚥下される。製薬に適した結合剤及び/又はアジュバント材料を、前記組成物の一部として含有させてもよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などに、以下の成分又は同様の性質を持つ化合物が含有されてもよい:微結晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又はラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、Primogel又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotesなどの潤滑剤;コロイド状2酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味料;或いはペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの着香料。
【0164】
吸入による投与の場合には、前記化合物は、例えば二酸化炭素などのガスなどの好適な噴射剤を入れた加圧容器又はディスペンサ或いはネブライザから、エアロゾールスプレイの形で送達される。
【0165】
経粘膜的又は経皮的手段を用いて全身投与を行ってもよい。経粘膜又は経皮投与の場合には、製剤中に、浸透対象の障壁に適した浸透剤が用いられる。そのような浸透剤は、当業で周知であり、例えば経粘膜投与の場合には、界面活性剤、胆汁酸塩類及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与を、鼻スプレー又は座剤を用いて行ってもよい。経皮投与の場合には、前記活性化合物は、当業で周知の軟膏剤、眼軟膏剤、ゲル剤又はクリーム剤に製剤される。
【0166】
前記組成物を、直腸内送達のための(例えばカカオバター及びその他のグリセリド類などの通常の座剤基剤などを含有した)座剤又は停留性の浣腸剤の形で調製してもよい。
【0167】
一実施態様においては、前記活性化合物を、例えば制御放出製剤などのための、前記化合物の体内からの急速な排出を防止する、インプラント及びマイクロカプセルに封入した送達系を含めた担体と一緒に調製する。例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーを使用してもよい。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。これらの材料を、アルザ社及びノバ・ファーマシューティカル社から購入してもよい。(ウィルス抗原に対抗するモノクローナル抗体を封入した、導入遺伝子を標的とするリポゾームを含有する)リポゾーム懸濁液を、薬学上許容可能な担体として使用してもよい。これらを、当業で周知の、例えば米国特許No.4,522,811に記載の方法で調製してもよい。
【0168】
投与を容易にするため及び投与量の均一化を図るために、経口又は非経口組成物を一回服用単位に製剤すると特に有利である。ここで使用する一回服用単位という用語は、治療対象への単位投与に適した物理的に個別の単位を指す;各単位には、前記必要な薬学的担体と組み合わせて前記所望の治療効果を上げるべく計算された所定量の活性化合物が含まれる。本発明の一回服用単位の詳細は、前記活性化合物の独自の特性、達成すべき特定の治療効果及び、個人を治療するためのそのような活性化合物の調剤技術に固有の制約によって左右され、及びこれらに直接に依存する。
【0169】
これらのような化合物の毒性及び治療効果を、培養細胞又は実験動物を用いて、例えばLD50(集団の50%にとって致死的な投与量)及びED50(集団の50%に治療上有効な投与量)を調べるなどの標準的な薬学的手法で調べてもよい。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療係数であり、比LD50/ED50で表すことができる。高い治療係数を発揮する化合物が望ましい。毒性の副作用を発揮する化合物を用いてもよいが、罹患していない細胞が受けると予想される損傷を最小限に抑えて副作用を減じるために、そのような化合物を罹患組織部位へと送達させる送達系のデザインに当たっては注意が必要である。
【0170】
細胞培養アッセイ及び動物を用いた研究から得られたデータを用いて、ヒトに使用する容量範囲を定めてもよい。そのような化合物の用量は、毒性が殆ど又は全く伴わないED50を含めた循環血中濃度の範囲内であることが望ましい。前記用量が、使用する剤形及び投与経路によって、この範囲内で変動してもよい。本発明の方法で使用するいかなる化合物についても、前記治療上有効量を最初に細胞培養アッセイから推測することが可能である。IC50(即ち、症状を最大の50%阻害する試験化合物濃度)を含めた循環血漿中濃度の範囲を定めるために、細胞培養で調べたように、動物モデルで用量を定めてもよい。そのような情報を利用して、ヒトに使用できる用量をより正確に調べてもよい。血漿中のレベルを、例えば高性能の液体クロマトグラフ法で測定してもよい。
【0171】
ここで定義するタンパク質又はポリペプチドの治療上有効量(即ち有効投与量)の範囲は、およそ0.001乃至30mg/kg体重、好適にはおよそ0.01乃至25mg/kg体重、より好適にはおよそ0.1乃至20mg/kg体重、更により好適にはおよそ1乃至10mg/kg、2乃至9mg/kg、3乃至8mg/kg、4乃至7mg/kg、又は5乃至6mg/kg体重である。疾患又は障害の重度、治療歴、全身の健康状態及び/又は対象の年齢並びに他の疾患の存在が含まれるがこれらに限定されることはない幾つかの要因が、対象の有効な治療に要する前記用量に影響を与えうることは、当業者に理解されるであろう。更に、対象を治療上有効量のタンパク質、ポリペプチド又は抗体で治療することに、1回のみの治療が含まれてもよいが、好適には一連の複数回の治療が含まれてもよい。
【0172】
好適な一例においては、対象を、およそ0.1乃至20mg/kg体重の範囲内の抗体、タンパク質又はポリペプチドで、週1回、およそ1乃至10週間、好適には2乃至8週間、より好適にはおよそ3乃至7週間、更により好適にはおよそ4、5又は6週間にわたって治療する。治療に使用する抗体、タンパク質又はポリペプチドの有効投与量が、特定の治療の過程で増加又は減少しうることも、理解されるであろう。用量の変更は、ここに記載の診断アッセイの結果実施され、またそのような結果から理解されよう。
【0173】
本発明は、発現又は活性を調節する薬剤を包含する。薬剤が、例えば小分子であってもよい。例えば、そのような小分子には、ペプチド、ペプチドミメティック、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、分子量約10,000グラム毎モル未満の有機又は無機化合物(即ち、ヘテロ有機化合物及び有機金属化合物を含む)、分子量約5,000グラム毎モル未満の有機又は無機化合物、分子量約1,000グラム毎モル未満の有機又は無機化合物、分子量約500グラム毎モル未満の有機又は無機化合物並びにこれらの化合物の塩類、エステル類及びその他の薬学上許容可能な形が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0174】
当然のことながら、小分子薬剤の適切な用量は、通常の熟練した医師、獣医又は研究者の知識の範囲内の様々な要因に左右される。前記小分子の用量は、例えば治療する対象又は試料の種類、大きさ及び状態によって異なるであろうし、更に、前記組成物の適切な投与経路及び、医師が前記小分子に期待する本発明の核酸又はポリペプチドに及ぼす作用にも左右されるであろう。
【0175】
用量の例には、対象又は試料の重量キログラム当たり、ミリグラム又はマイクログラム量の小分子(例えばキログラム当たり約1マイクログラム乃至キログラム当たり約500ミリグラム、キログラム当たり約100マイクログラム乃至キログラム当たり約5ミリグラム、又はキログラム当たり約1マイクログラム乃至キログラム当たり約50マイクログラム)が含まれる。更に、小分子の適切な用量が、調節すべき発現又は活性に対する前記小分子の効力に左右されることも当然である。そのような適切な用量を、ここに記載のアッセイで決定してもよい。本発明のポリペプチド又は核酸の発現又は活性を調節するためにこれらの小分子の1つ又は複数を(例えばヒトなどの)動物に投与する場合には、医師、獣医又は研究者は、例えば最初に比較的低用量を処方し、その後次第に、適切な応答が得られるまで用量を増やしてもよい。更に、任意の特定の動物対象に対する特定の用量レベルが、使用する特定の化合物の活性、前記対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路、排出率、配合する薬、及び調節すべき発現又は活性の程度を含めた様々な要因に左右されるであろうことも当然である。
【0176】
更に、抗体(又はその断片)を、細胞毒素、治療薬又は放射性金属イオンなどの治療成分と結合させてもよい。細胞毒素又は細胞毒性の薬剤には、細胞に有害なあらゆる薬剤が含まれる。その例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(原語dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン並びにこれらの類似体又は同族体が含まれる。治療薬には、(例えばメトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル ダカルバジンなどの)代謝拮抗物質、(例えばメクロレタミン、チオテパ クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロフォスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC及びシス−ジクロロジアミン(原語dichlorodiamine)白金(II)(DDP)シスプラチンなどの)アルキル化剤、(例えばダウノルビシン(旧ダウノマイシン)及びドキソルビシンなどの)アントラサイクリン、(例えばダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン及びアンスラマイシン(原語anthramycin(AMC)などの)抗生物質並びに(例えばビンクリスチン及びビンビラスチンなどの)抗有糸分裂剤が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0177】
本発明の結合体を用いて任意の生体応答を調節してもよいが、その薬剤成分は、典型的な化学治療薬に限定されるとは解釈されない。例えば、前記薬剤成分が、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質に、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌体外毒素又はジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、αインターフェロン、βインターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子などのタンパク質;又は、例えばリンフォカイン、インターロイキン1(「IL−1」)、インターロイキン2(「IL−2」)、インターロイキン6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)又はその他の成長因子などの生体応答調節物質が含まれてもよい。
【0178】
これらのような治療成分を抗体と結合させる技術は周知であり、例えばMonoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeld他(編),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985)に記載のArnon他による”Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”;Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinson他(編)、pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987)に記載のHellstrom他による”Antibodies For Drug Delivery”;Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications、Pinchera他(編)、pp.475−506(1985)に記載のThorpeによる”Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”; Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwin他(編)、pp.303−16(Academic Press 1985)に記載の”Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”及びThorpe他、”The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates”、Immunol. Rev.,62:119−58(1982)を参照のこと。又は、ある抗体を第2の抗体に結合させて、Segalによる米国特許4,676,980に記載されているように、ヘテロ結合抗体(原語an antibody heteroconjugate)を形成してもよい。
【0179】
本発明の核酸分子をベクター中に挿入して、遺伝子治療ベクターとして使用してもよい。遺伝子治療ベクターを、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許5,328,470を参照のこと)又は定位注射(原語stereotactic injection)(例えばChen他(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって対象に送達してもよい。遺伝子治療ベクター製剤に、許容可能な希釈剤に希釈した前記遺伝子治療ベクターが含まれてもよいし、又は、遺伝子送達剤が埋め込まれた徐放性のマトリックスが含まれてもよい。又は、例えばレトロウィルスベクターなどの組換え細胞を使用せずに完全な遺伝子送達ベクターを作製可能である場合には、前記製剤に、遺伝子送達系を形成する1つ又は複数の細胞が含まれてもよい。
【0180】
前記薬剤組成物が、投与説明書と共に容器、包装又はディスペンサ中に封入されていてもよい。
【0181】
V.本発明の用途及び方法
ここに記載する核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体及び抗体を、次の方法のうちの1つ又は複数に用いてもよい:a)スクリーニングアッセイ;b)(例えば診断アッセイ、予後判定アッセイ、臨床検査のモニタ及び薬理遺伝学的医療などの)予測的医療;及びc)(例えば治療的及び予防的処置などの)処置方法。ここに記載する本発明のPCIPタンパク質は、以下の活性のうちの1つ又は複数を有する:(1)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と(例えば結合するなどの)相互作用を行う;(2)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分のリン酸化状態を調節する;(3)カルシウムと(例えば結合するなど)結び付くと共に、例えばカリウムチャネル又はGタンパク質結合レセプタをカルシウムに依存的にリン酸化するカルシウム依存性キナーゼとして作用することが可能である;(4)カルシウムと(例えば結合するなど)結び付くと共に、例えばカルシウム依存性の転写因子として作用することが可能である;(5)(例えば神経細胞又は心細胞などの)細胞における、カルシウムチャネルによって媒介される活性を調節して、例えば前記細胞に有益な作用を及ぼす;(6)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるクロマチン形成を調節する;(7)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞における小胞輸送及びタンパク質輸送を調節する;(8)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるサイトカインシグナリングを調節する;(9)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と細胞骨格との結び付きを調節する;(10)細胞増殖を調節する;(11)神経伝達物質の放出を調節する;(12)膜興奮性を調節する;(13)膜の静止電位に影響を及ぼす;(14)活動電位の波形及び周波数を調節する;(15)興奮現象のしきい値を調節する。従って、ここに記載する本発明のPCIPタンパク質を、例えば、(1)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分の活性を調節する;(2)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分のリン酸化状態を調節する;(3)カリウムチャネル又はGタンパク質結合レセプタのリン酸化状態をカルシウム依存的に調節する;(4)カルシウムと(例えば結合するなど)結び付くと共に、カルシウム依存性の転写因子として作用する;(5)(例えば神経細胞又は心細胞などの)細胞における、カルシウムチャネルによって媒介される活性を調節して、例えば前記細胞に有益な作用を及ぼす;(6)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるクロマチン形成を調節する;(7)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞における小胞輸送及びタンパク質輸送を調節する;(8)例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるサイトカインシグナリングを調節する;(9)カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と細胞骨格との結び付きを調節する;(10)細胞増殖を調節する;(11)神経伝達物質の放出を調節する;(12)膜興奮性を調節する;(13)膜の静止電位に影響を及ぼす;(14)活動電位の波形及び周波数を調節する;(15)興奮現象のしきい値を調節することなどに使用してもよい。
【0182】
本発明の単離された核酸分子を、例えば、(遺伝子治療に適用した場合の宿主細胞中の組換え発現ベクターなどによる)PCIPタンパク質の発現、(例えば生体試料中の)PCIP mRNA又はPCIP遺伝子中の遺伝子変化の検出及び、以下に更に詳述するようなPCIP活性の調節に用いてもよい。PCIPタンパク質を、PCIP基質の不十分な又は過剰な生成或いはPCIP阻害物質の生成を特徴とする障害の治療に用いてもよい。加えて、PCIPタンパク質を、天然に存在するPCIP基質を選別するスクリーニング、PCIP活性を調節する薬剤又は化合物を選別するスクリーニング及び、PCIPタンパク質の不十分な又は過剰な生成或いはPCIP野生型タンパク質と比較して低い又は異常な活性を有するPCIPタンパク質の生成を特徴とする障害(例えばアルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん、脊髄小脳失調及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、双極性感情病又は恐怖症などの精神障害;例えば健忘症又は加齢に伴う記憶喪失などの学習又は記憶障害;例えば偏頭痛などの神経障害;例えば痛覚過敏又は筋骨格障害に伴う痛みなどの痛覚障害;脊髄損傷;卒中;及び頭部外傷などの中枢神経系障害或いは洞結節機能不全、狭心症、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、拡張型心筋症、特発性心筋症、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣又は不整脈などの心臓血管障害)の治療に用いてもよい。更に、本発明の抗PCIP抗体を、PCIPタンパク質の検出及び単離、PCIPタンパク質の生物学的利用能の調節及びPCIP活性の調節に用いてもよい。
【0183】
A.スクリーニングアッセイ:
本発明は、モジュレータ、即ちPCIPタンパク質に結合する、例えばPCIP発現又はPCIP活性に対して刺激作用又は阻害作用を持つ、或いは、例えばPCIP基質の発現又は活性に対して刺激作用又は阻害作用を持つ、(例えばペプチド、ペプチドミメティック、小分子又はその他の薬剤などの)候補物質又は試験化合物又は薬剤を特定する方法(ここで「スクリーニングアッセイ」とも呼ぶ)を提供する。
【0184】
一実施態様においては、本発明は、PCIPタンパク質又はポリペプチド又はその生物学的活性部分の基質である候補物質又は試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の一実施態様においては、本発明は、PCIPタンパク質又はポリペプチド又はその生物学的活性部分に結合するか又はその活性を調節する候補物質又は試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の前記試験化合物を、生物学的ライブラリ;空間的処理の可能な並列固相又は液相ライブラリ;デコンボリューションを要する合成ライブラリ法;「1ビード1化合物」ライブラリ法;及びアフィニティクロマトグラフィによる選別を利用した合成ライブラリ法を含めた当業で周知のコンビナトリアルアリブラリ技術の分野における数多くの手法を用いて得てもよい。前記生物学的ライブラリ法はペプチドライブラリに限定されるが、その他の4つの手法は、化合物のペプチドライブラリ、非ペプチドオリゴマーライブラリ又は小分子ライブラリに適用可能である(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
【0185】
分子ライブラリの合成方法は、当業において、例えばDeWitt他(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erb他(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermann他(1994)J.Med.Chem.37:2678;Cho他(1993)Science 261:1303;Carrell他(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carell他(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;及びGallop他(1994)J.Med.Chem.37:1233などに述べられている。
【0186】
化合物のライブラリを、溶液中(例えばHoughten(1992)Biotechniques 13:412−421)に構築してもよいし、或いは、ビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82−84、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555−556)、細菌上(Ladnerによる米国特許5,223,409)、胞子上(Ladnerによる米国特許5,223,409)、プラスミド上(Cull他(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)又はファージ上(Scott及びSmith(1990)Science 249:386−390);(Devlin(1990)Science 249:404−406);(Cwirla他(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382);(Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301−310);(Ladner 同上)に構築してもよい。
【0187】
一実施態様においては、アッセイが、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を発現している細胞を試験化合物と接触させ、前記試験化合物の、例えばカリウムチャネル又はその一部分と結合するなどのPCIP活性を調節する能力を調べる細胞ベースのアッセイである。前記試験化合物がPCIP活性を調節する能力を、PCIPを発現している例えば黒質細胞などの神経細胞又は心細胞などの細胞からの、例えばドーパミンなどの神経伝達物質の放出をモニタすることで調べてもよい。更に、前記試験化合物がPCIP活性を調節する能力を、例えばPCIPを発現している心細胞などの細胞からのIto電流又は神経伝達物質の放出をモニタすることで調べてもよい。細胞中の例えばIto電流などの電流を、例のセクションで述べるパッチクランプ法で、例えばHamill他 1981.Pfluegers Arch.391:85−100に記載の技術を用いて測定してもよい。前記細胞が、例えば哺乳類由来細胞であってもよい。前記試験化合物がPCIPの基質結合能力を調節する能力を、例えば前記PCIP基質のPCIPへの結合を、複合体中の標識した前記PCIP基質を検出することで調べられるように、前記PCIP基質を放射性標識又は酵素標識と結合させることによって調べてもよい。例えば、(PCIP基質などの)化合物を、直接又は間接に125I、35S、14C又はHで標識し、放射線放出の直接計数又はシンチレーション計数によって放射性同位体を検出してもよい。或いは、化合物を、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はルシフェラーゼなどで酵素標識した後に、適切な基質からの産物の生成を調べることで、前記酵素標識を検出してもよい。
【0188】
(例えばPCIP基質などの)化合物がPCIPと相互作用する能力を上記反応体のいずれをも標識することなく調べることも、本発明の範囲に含まれる。例えば、マイクロフィジオメータを用いて、ある化合物がPCIPと相互作用する能力を、前記化合物又は前記PCIPのいずれをも標識することなく検出してもよい。McConnell,H.M.他(1992)Science 257:1906−1912。ここで使用する(例えばCytosensor(登録商標)などの)「マイクロフィジオメータ」は、ある細胞がその環境を酸性化させる速度を、光アドレス可能電位計測計(LAPS)を用いて測定する分析機器である。この酸化速度の変化を、ある化合物とPCIPとの間の相互作用の指標として使用してもよい。
【0189】
一実施態様においては、アッセイが、(例えばカリウムチャネル又はその断片などの)PCIP標的分子を発現している細胞を試験化合物と接触させ、前記試験化合物が前記PCIP標的分子の活性を(例えば刺激又は阻害するなど)調節する能力を調べることが含まれる、細胞ベースのアッセイである。前記試験化合物がPCIP標的分子の活性を調節する能力を、例えば前記PCIPタンパク質がカリウムチャネル又はその断片などのPCIP標的分子と結合するか又は相互作用する能力を調べることによって決定してもよい。
【0190】
前記PCIPタンパク質又はその生物学的活性断片がPCIP標的分子と結合するか又は相互作用する能力を、直接結合を調べるための上述の複数の方法のうちの1つによって調べてもよい。好適な一実施態様においては、PCIPタンパク質がPCIP標的分子と結合するか又は相互作用する能力を、前記標的分子の活性を調べることによって調べてもよい。例えば、前記標的分子の前記活性を、前記標的の細胞内セカンドメッセンジャー(即ち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IPなど)の導入を検出することにより、前記標的の適切な基質に対する触媒/酵素活性を検出することにより、(例えばルシフェラーゼなどの検出可能なマーカをコードする核酸に作動的に連結した標的応答性の調節要素を持つ)レポータ遺伝子の導入を検出することにより、又は標的により調節される、例えば神経伝達物質の放出などの細胞応答を検出することにより、調べてもよい。
【0191】
更に別の一実施態様においては、本発明のアッセイが、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を試験化合物と接触させて、前記試験化合物が前記PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分と結合する能力を調べる無細胞アッセイである。本発明のアッセイで使用する前記PCIPタンパク質の好適な生物学的活性部分には、例えばカリウムチャネル又はその断片或いは表面に存在する確率の高い断片などの、非PCIP分子との相互作用に参加する断片が含まれる。前記試験化合物の前記PCIPタンパク質への結合を、上述の方法で直接に又は間接に調べてもよい。好適な一実施態様においては、前記アッセイに、前記PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を、PCIPと結合してアッセイ混合物を形成する既知の化合物に接触させることと、前記アッセイ混合物を試験化合物に接触させることと、前記試験化合物がPCIPタンパク質と相互作用する能力を調べることと、が含まれ、ここで、前記試験化合物がPCIPタンパク質と相互作用する能力を調べることに、前記試験化合物が、PCIP又はその生物学的活性部分に、前記既知の化合物と比較して優先的に結合する能力を調べることが含まれる。
【0192】
別の一実施態様においては、前記アッセイが、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を試験化合物と接触させ、前記試験化合物が前記PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分の活性を(例えば刺激するか又は阻害するなど)調節する能力を調べる無細胞アッセイである。前記試験化合物が前記PCIPタンパク質の活性を調節する能力を、例えば、前記PCIPタンパク質がPCIP標的分子と結合する能力を、直接結合を調べるための上述の複数の方法のうちの1つを用いて調べることによって調べてもよい。また、前記PCIPタンパク質がPCIP標的分子と結合する能力を、リアルタイム生体分子間相互作用解析(BIA)などの技術を用いて調べてもよい。Sjolander,S.及びUrbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338−2345並びにSzabo他(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705。ここで使用する「BIA」は、反応体のいずれをも標識することなく生体特異的相互作用をリアルタイムで観察するための、(例えばBIAcoreなどの)技術である。表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象の変化を、生体分子間のリアルタイム反応の指標として用いてもよい。
【0193】
別の一実施態様においては、試験化合物がPCIPタンパク質の活性を調節する能力を、前記PCIPタンパク質がPCIP標的分子の下流エフェクタの活性を更に調節する能力を調べることで調べてもよい。例えば、先に述べたように、前記エフェクタ分子の適切な標的に対する活性を調べてもよいし、又は、前記エフェクタの適切な標的への結合を調べてもよい。
【0194】
更に別の一実施態様においては、前記無細胞アッセイに、PCIPタンパク質又はその生物学的活性部分を、前記PCIPタンパク質と結合してアッセイ混合物を形成する既知の化合物と接触させることと、前記アッセイ混合物を試験化合物と接触させることと、前記試験化合物が前記PCIPタンパク質と相互作用する能力を調べることと、が含まれ、ここで、前記試験化合物が前記PCIPタンパク質と相互作用する能力を調べることに、前記PCIPタンパク質がPCIP標的分子と優先的に結合するか又はその活性を調節する能力を調べることが含まれる。
【0195】
本発明の無細胞アッセイでは、単離されたタンパク質の溶解可能な形及び/又は膜結合した形の双方を使用可能である。(例えばカリウムチャネルなどの)膜結合した形の単離されたタンパク質を使用する無細胞アッセイの場合は、前記単離されたタンパク質の膜結合した形が溶液中で維持されるような具合に可溶化剤を利用することが望ましいであろう。そのような可溶化剤の例には、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、 n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシポリ(原語Isotridecypoly)(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CHAPSO)又はN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホン酸などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0196】
本発明の上述のアッセイ方法のうちの複数の実施態様においては、PCIP又はその標的分子を固定して、前記2つのタンパク質の一方又は双方の、複合体を形成している形から複合体を形成していない形への分離を容易にすると共に、アッセイの自動化を図ることが望ましいであろう。試験化合物のPCIPタンパク質への結合又は候補化合物の存在下及び非存在下におけるPCIPタンパク質の標的分子との相互作用を、これらの反応物を入れるのに適したいかなる容器中で実施してもよい。そのような容器の例には、マイクロタイタプレート、試験管及び微量遠心分離管が含まれる。一実施態様においては、これらのタンパク質の一方又は双方を基質に結合可能にするドメインを付加する融合タンパク質を提供してもよい。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/PCIP融合タンパク質又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(モンタナ州セントルイス、シグマケミカル社)又はグルタチオンで誘導体化した複数のマイクロタイタプレート上に吸着させ、次にこれらを、前記試験化合物と混合させるか、或いは前記試験化合物及び吸着されていない前記標的タンパク質又はPCIPタンパク質と混合させ、この混合物を(例えば生理的な食塩及びpH条件などの)複合体を形成可能な条件下でインキュベートしてもよい。インキュベーション後に、前記複数のビーズ又はマイクロタイタプレートを洗浄して未結合成分を全て除去し、ビーズの場合には前記マトリックスを固定し、複合体を、例えば上述のように直接又は間接に調べる。又は、前記複合体を前記マトリックスから解離させ、PCIP結合又は活性のレベルを標準的な技術を用いて測定してもよい。
【0197】
タンパク質をマトリックス上に固定するためのその他の技術も、本発明のスクリーニングアッセイで使用可能である。例えば、PCIPタンパク質又はPCIP標的分子のいずれかを、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を利用して固定してもよい。ビオチン標識したPCIPタンパク質又は標的分子を、(例えばビオチン標識キット、イリノイ州ロックフォード、ピアースケミカル社などの)当業で周知の技術を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から作製し、ストレプトアビジンでコートした96ウェルプレートのウェル中に固定してもよい。又は、PCIPタンパク質又は標的分子と反応するが前記PCIPタンパク質とその標的分子との結合は妨害しない抗体を、前記プレートの前記ウェル中で誘導体化させ、未結合の標的又はPCIPタンパク質を、抗体結合によって前記ウェル中に捕捉してもよい。そのような複合体を検出する方法には、GST固定複合体について上述した方法に加えて、前記PCIPタンパク質又は標的分子と反応する抗体を用いた複合体の免疫検出法や、前記PCIPタンパク質又は標的分子に関連した酵素活性の検出に依存した酵素結合アッセイが含まれる。
【0198】
好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の、例えば神経細胞又は心細胞などの細胞内の小胞輸送及びタンパク質輸送調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばその内容が引用をもってここに援用された、Komada M.他(1999)Genes Dev.13(11):1475−85及びRoth M.G.他(1999)Chem.Phys.Lipids.98(1−2):141−52に記載のアッセイを用いて検査する。
【0199】
別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子のカリウムチャネルタンパク質又はその一部分のリン酸化状態調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばin vitroのキナーゼアッセイを利用して検査する。簡単に説明すると、そのような分子を発現している細胞系統からの免疫沈降させたカリウムチャネルなどのPCIP標的分子を、例えば10mMのMgCl及び5mMのMnClなどのMgCl及びMnClを含有する緩衝液中で、前記PCIPタンパク質と、例えば[γ−32P]ATPなどの放射性ATPと共にインキュベートしてもよい。前記インキュベーション後に、前記免疫沈降させた、例えばカリウムチャネルなどのPCIP標的分子を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法にて還元条件下で分離し、例えばPVDF膜なとの膜に転写し、オートラジオグラフ検出を行ってもよい。オートラジオグラフ上に現れた検出可能なバンドが、例えばカリウムチャネルなどの前記PCIP基質がリン酸化されたことを示す。前記リン酸化された基質のホスホアミノ酸分析を行って、前記PCIP基質上のどの残基がリン酸化されたのかを調べてもよい。簡単に説明すると、放射線によりリン酸化された前記タンパク質のバンドを前記SDSゲルから切り離し、部分的酸加水分解を行ってもよい。次に生成物を一次元電気泳動法にて分離し、例えばホスホイメージャ(原語phosphoimager)を用いて分析して、ニンヒドリン染色ホスホアミノ酸基準と比較してもよい。例えば、その内容が引用をもってここに援用されたTamaskovic R.他(1999)Biol.Chem.380(5):569−78に記載のアッセイを行ってもよい。
【0200】
別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子のカルシウムと(例えば結合するなど)結び付く能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えば、その内容が引用をもってここに援用されたLiu L.(1999)Cell Signal.11(5):317−24及びKawai T.他(1999)Oncogene 18(23):3471−80に記載のアッセイによって検査する。
【0201】
別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の細胞内クロマチン形成調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えば、その内容が引用をもってここに援用されたOkuwaki M.他(1998)J.Biol.Chem.273(51):34511−8及びMiyaji−Yamaguchi M.(1999)J.Mol.Biol.290(2):547−557に記載のアッセイによって検査する。
【0202】
更に別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の細胞増殖調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばその内容が引用をもってここに援用されたBaker F.L.他(1995)Cell Prolif.28(1):1−15、Cheviron N.他(1996)Cell Prolif.29(8):437−46、Hu Z.W.他(1999)J.Pharmacol.Exp.Ther.290(1):28−37及びElliott K.他(1999)Oncogene 18(24):3564−73に記載のアッセイによって検査する。
【0203】
好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の、カリウムチャネルタンパク質又はその一部分と細胞骨格との結合調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばその内容が引用をもってここに援用されたGonzalez C.他(1998)Cell Mol.Biol.44(7):1117−27及びChia C.P.他(1998)Exp.Cell Res.244(1):340−8に記載のアッセイによって検査する。
【0204】
別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の膜興奮性調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばその内容が引用をもってここに援用されたBar−Sagi D.他(1985)J.Biol.Chem.260(8):4740−4及びBarker J.L.他(1984)Neurosci.Lett.47(3):313−8に記載のアッセイによって検査する。
【0205】
別の好適な一実施態様においては、候補又は試験化合物又は物質を、これらがPCIP分子の、例えば神経細胞又は心細胞などの細胞におけるサイトカインシグナリング調節能力を阻害するか又は刺激する能力について、例えばその内容が引用をもってここに援用されたNakashima Y.他(1999)J.Bone Joint Surg.Am.81(5):603−15に記載のアッセイによって検査する。
【0206】
別の一実施態様においては、PCIP発現のモジュレータを、細胞を候補化合物と接触させ、前記細胞中のPCIP mRNA又はタンパク質の発現を調べる方法によって特定する。前記候補化合物の存在下でのPCIP mRNA又はタンパク質の発現レベルを、前記候補化合物の非存在下でのPCIP mRNA又はタンパク質の発現レベルと比較する。この比較に基づき、前記候補化合物がPCIP発現のモジュレータであることを確認する。例えば、PCIP mRNA又はタンパク質の発現が、前記候補化合物の非存在下におけるよりも前記候補化合物の存在下における方が多い(統計学上有意に多い)場合には、前記候補化合物がPCIP mRNA又はタンパク質の刺激物質であることが確認される。又は、PCIP mRNA又はタンパク質の発現が、前記候補化合物の非存在下におけるよりも前記候補化合物の存在下における方が少ない(統計学上有意に少ない)場合には、前記候補化合物がPCIP mRNA又はタンパク質の阻害物質であることが確認される。細胞内のPCIP mRMA又はタンパク質の発現レベルを、ここに記載のPCIP mRNA又はタンパク質検出方法を用いて調べてもよい。
【0207】
本発明の更に別の一局面においては、前記PCIPタンパク質を、2ハイブリッドアッセイ又は3ハイブリッドアッセイにおける「おとりタンパク質」として使用して(例えば、米国特許No.5,283,317;Zervos他(1993)Cell 72:223−232;Madura他(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartel他(1993)Biotechniques 14:920−924;Iwabuchi他(1993)Oncogene 8:1693−1696;及びBrent WO94/10300を参照のこと)、PCIPと結合するか又は相互作用してPCIP活性に関与する(詳細は後述の例のセクションに記載)その他のタンパク質(「PCIP結合タンパク質」又は「PCIP−bp」)を特定してもよい。これらのようなPCIP結合タンパク質は、PCIPが媒介するシグナリング経路の下流要素として、前記PCIPタンパク質又はPCIP標的によるシグナル伝達にも関与する可能性がある。又は、これらのようなPCIP結合タンパク質は、PCIP阻害物質である可能性がある。
【0208】
前記2ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインとDNA活性化ドメインとから構成される大多数の転写因子のモジュール的特性に基づいている。簡単に説明すると、このアッセイは、2つの異なるDNAコンストラクトを利用する。一方のコンストラクトにおいては、あるPCIPタンパク質をコードする遺伝子が、(例えばGAL−4などの)既知の転写因子のDNA結合ドメインをコードする遺伝子と融合している。他方のコンストラクトにおいては、DNA配列のライブラリから得た、ある不特定のタンパク質(「餌食」又は「試料」)をコードするあるDNA配列が、前記既知の転写因子の前記活性化ドメインをコードする遺伝子と融合している。前記「おとり」タンパク質と前記「餌食」タンパク質とがin vivoで相互作用してPCIP依存性の複合体を形成可能である場合には、前記転写因子の前記DNA結合ドメインと前記DNA活性化ドメインとはきわめて近接している。これらが近接していることにより、(例えばLacZなどの)転写調節部位に作動的に連結したレポータ遺伝子の前記転写因子に応えた転写が可能となる。前記レポータ遺伝子の発現を検出して、前記機能的転写因子を含有した細胞コロニを単離し、前記PCIPタンパク質と相互作用する前記タンパク質をコードするクローン化遺伝子の作製に使用してもよい。
【0209】
本発明は、上述のスクリーニングアッセイで確認された新規な物質に更に関する。従って、ここに記載の方法で確認された物質を適切な動物モデル中で更に使用することも、本発明の範囲に含まれる。例えば、ここに記載の方法で確認された(例えばPCIP調節物質、アンチセンスPCIP核酸分子、PCIP特異的抗体又はPCIP結合相手などの)物質を動物モデル中で使用して、そのような物質を用いた治療の有効性、毒性又は副作用を調べてもよい。又は、ここに記載の方法で確認された物質を動物モデル中で使用して、そのような物質の作用機序を調べてもよい。更に、本発明は、上述のスクリーニングアッセイで確認された新規な物質を、例えばここに記載の中枢神経系障害又は心臓血管障害の治療などの治療に使用することに関する。
【0210】
B.検出アッセイ
ここで同定されたcDNA配列(及び対応する完全な遺伝子配列)の部分又は断片を、様々な方法でポリヌクレオチド試薬として使用可能である。例えば、これらの配列を、(i)各遺伝子の染色体マッピングによる、遺伝子疾患に関連する遺伝子領域の特定;(ii)微小な生体試料からの個体識別(組織タイピング);及び(iii)生体試料の法医学的識別の補助に使用してもよい。これらの用途について、以下のサブセクションで説明する。
【0211】
1.染色体マッピング
ある遺伝子の配列(又は前記配列の一部分)を単離すると、この配列を染色体上の前記遺伝子の位置決定に使用することができる。この過程は、染色体マッピングと呼ばれる。従って、ここに記載のPCIPヌクレオチド配列の部分又は断片を、前記PCIP遺伝子の染色体上の位置決定に使用することが可能である。PCIP配列の染色体マッピングは、これらの配列を疾患関連遺伝子と相関させる上で重要な最初のステップである。
【0212】
簡単に説明すると、PCIP遺伝子を、これらのPCIPヌクレオチド配列から(好適には15乃至25塩基長の)PCRプライマを作製することにより、染色体上にマッピングすることが可能である。これらのPCIP配列のコンピュータ分析によって、前記ゲノムDNA中で1エキソンを超えない長さのプライマを予測することにより、増幅プロセスを複雑化させてもよい。次にこれらのプライマを、ヒト個体の染色体を持つ体細胞雑種のPCRスクリーニングに使用してもよい。前記PCIP遺伝子配列に対応する前記ヒト遺伝子を持つこれらの雑種のみから、増幅された断片が産生される。
【0213】
体細胞雑種は、(例えばヒト細胞とマウス細胞などの)異なる複数の哺乳類からの体細胞を融合させることで作製される。ヒト及びマウス細胞の雑種は、成長し分化するにつれて、次第にヒト染色体をランダムな順序で失っていくが、マウスの染色体は維持し続ける。マウス細胞はある特定の酵素を持たないためにその中では成長できないがヒト細胞はその中で成長可能な培地を用いると、この必要な酵素をコードする遺伝子を持つヒトの一染色体が残る。様々な培地を用いることで、複数の雑種細胞株からなるパネルを樹立することが可能である。一パネル中の各細胞株には、単一のヒト染色体又は少数のヒト染色体のいずれかと、マウス染色体の完全な一組とが含まれるので、各遺伝子を特定のヒト染色体に容易にマッピング可能である(D’Eustachio P.他(1983)Science 220:919−924)。ヒト染色体の断片のみを持つ体細胞雑種もまた、転座及び欠失を有するヒト染色体を用いて作製可能である。
【0214】
体細胞雑種のPCRマッピングは、特定の配列を特定の染色体に割り当てる迅速な一方法である。一台のサーマルサイクラーを用いて、一日当たり3つ又はそれ以上の配列を割り当てることが可能である。PCIPヌクレオチド配列を用いてオリゴヌクレオチドプライマをデザインすることで、特定の複数の染色体からの断片からなるパネルのサブローカライザーション(原語sublocalization)を行ってもよい。PCIP配列をその染色体にマッピングするために同様に使用可能なその他のマッピング方法には、in situハイブリダイゼーション(Fan,Y.他(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6223−27に記載)、標識されたフローソーティングした染色体を用いたプレスクリーニング、及び染色体特異的なcDNAライブラリとのハイブリダイゼーションによるプリセレクション(原語pre−selection)が含まれる。
【0215】
DNA配列の分裂中期染色体スプレッドへの蛍光in situハイブイダリゼーションにより、正確な染色体位置決定を一ステップで行ってもよい。染色体スプレッドは、有糸分裂紡錘体を破壊する、例えばコルセミドなどの化学薬品によって分裂中期で分化が停止した細胞を用いて作製可能である。これらの染色体をトリプシンで短時間処理した後に、ギームザで染色してもよい。各染色体上に明暗の帯のパターンが現れるので、これらの染色体を個々に識別することができる。500又は600塩基長程度のDNA配列の場合は、FISH法を用いてもよい。しかし、1000塩基長を超えるクローンの場合は、十分な信号強度で独自の染色体位置に結合する可能性がより高いので、検出が容易である。好適には1000塩基長、より好適には2000塩基長であれば、相当な時間で良い結果を得るのに充分であろう。この方法については、Verma他、Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniques(パーガモンプレス社、ニューヨーク 1988)を参照のこと。
【0216】
染色体マッピング用の試薬を個々に用いて、単一の染色体又はその染色体上の単一の部位を標識してもよいし、或いは、複数の試薬からなるパネルを用いて、複数の部位及び/又は複数の染色体を標識してもよい。遺伝子の非コード領域に対応する試薬が、実際にはマッピング用として好適である。コード配列は、複数の遺伝子ファミリーで保存されている可能性がより高いので、染色体マッピングの際にクロスハイブリダイゼーションを起こす確率が高い。
【0217】
ある配列をある正確な染色体位置にマッピングすると、その配列の前記染色体上の前記物理的位置を、遺伝子マップデータと相関させることができる。(そのようなデータは、例えばジョンズ・ホプキンズ大学ウェルチ・メディカル・ライブラリからオンラインで入手可能な、V.McKusick,Mendelian Inheritance in Manに見受けられる)。こうすることで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関連性を、例えばEgeland,J.他(1987)Nature,325:783−787に記載されたリンケージ解析(物理的に隣り合った遺伝子が同時に遺伝すること)によって確認することが可能である。
【0218】
更に、PCIP遺伝子に関連したある疾患に罹患している個体と罹患していない個体とのDNA配列間の相違を調べることもできる。ある突然変異が前記罹患している個体の一部又は全てに観察され、罹患していない個体には全く観察されない場合には、この突然変異は、前記特定の疾患の原因因子である可能性がある。一般に、罹患している個体と罹患していない個体との比較においては、最初に、欠失又は転座などの、染色体スプレッドで見分けられるか又はそのDNA配列に基づくPCRによって検出可能な、染色体の構造上の変化を調べる。最終的には、複数の個体からの遺伝子の完全な配列決定を行って、突然変異の存在を確認し、多型による変異と区別してもよい。
【0219】
2.組織タイピング
本発明のPCIP配列は、微小な生体試料からの個体の識別にも使用可能である。例えば、米国陸軍は、その職員らの識別に、制限断片長多型(RFLP)の使用を検討している。この方法では、個人のゲノムDNAを1つ又は複数の制限酵素で消化し、サザンブロット法にて標識して生じた固有のバンドを識別に使用する。この方法は、現在使用されている「認識票」の、紛失、変造又は盗難のおそれがあるために確実な識別が困難であるという制約を受けない。本発明の配列は、RFLP用の更なるDNAマーカとして有用である(米国特許5,272,057に記載)。
【0220】
更に、本発明の配列は、ある個体のゲノムの選択された部分の実際の塩基毎のDNA配列を調べる代替的な方法に使用可能である。従って、ここに記載のPCIPヌクレオチド配列を用いて、これらの配列の5’末端及び3’末端から2つのPCRプライマを作製可能である。これらのプライマを次に、ある個体のDNAの増幅及び配列決定に使用してもよい。
【0221】
この方法で作製した、複数の個体からの対応するDNA配列からなるパネルを用いると、各個体が対立遺伝子の相違のために固有のそのようなDNA配列の一組を持つことから、特定の個体を識別することが可能である。本発明の配列を用いて、そのような識別配列を、個体及び組織から得てもよい。本発明のPCIPヌクレオチド配列は、ヒトゲノムの部分を固有に表している。対立遺伝子による変異は、これらの配列のコード領域にある程度の割合で起こり、非コード領域にはより高い割合で起こる。ヒト個体間の対立遺伝子変異は、500塩基毎に1つの割合で起こると推定される。ここに記載の配列はそれぞれ、ある程度まで、ある個体からのDNAを識別のために比較する基準として使用可能である。非コード領域ではより多数の多型が起こるので、個体の識別に要する配列がより少なくて済む。非コード配列の場合は、それぞれが100塩基の非コード増幅配列を生成する10乃至1000個程度のプライマからなるパネルを用いて、十分に確実な個体識別が可能である。推定コード配列を使用する場合には、確実な個体識別に適したプライマの数は、500乃至2000であろう。
【0222】
ここに記載のPCIPヌクレオチド配列からの試薬のパネルを使用して、ある個体の固有の識別データベースを作成する場合には、後にこれらと同じ試薬を、その個体からの組織の識別に使用することができる。この固有の識別データベースを使用すると、生存しているか又は死亡した前記個体の確実な識別を、非常に小さな組織試料からでも行うことが可能である。
【0223】
3.法医生物学における部分PCIP配列の使用
DNAに基づく識別技術を、法医生物学で使用してもよい。法医生物学は、犯罪現場で発見された生物学的証拠の遺伝子タイピングを、例えば実行犯の確実な識別のための手段として利用する学問分野である。そのような識別を実施するために、PCR法により、犯罪現場で発見された、例えば毛髪又は皮膚などの組織或いは血液、唾液又は精液などの体液などの非常に微小な生体試料から採取したDNA配列を増幅してもよい。この増幅した配列を、次に、基準と比較して、前記生体試料の出所を識別してもよい。
【0224】
本発明の配列を、ヒトゲノム中の特定の遺伝子座を標的とする、例えばPCRプライマなどのポリヌクレオチド試薬の作製に使用して、例えばもう一つの「識別マーカ」(即ち、特定の個体に固有の別の一DNA配列)を作製することにより、DNAに基づく法医学的識別の信頼度を高めてもよい。上述したように、実際の塩基配列情報を、制限酵素によって生じた断片によって形成されるパターンに正確に代わるものとして、識別に使用してもよい。非コード領域を標的とする配列は、非コード領域ではより多くの多型が起こり、この方法を用いた個体の区別が容易であることから、この用途にとりわけ適している。ポリヌクレオチド試薬の例には、少なくとも20塩基長、好適には少なくとも30塩基長のPCIPヌクレオチド配列又はその部分が含まれる。
【0225】
ここに記載のPCIPヌクレオチド配列を、例えばin situハイブリダイゼーション法で使用可能な、例えば標識された又は標識可能なプローブなどのポリヌクレオチド試薬の作製に更に使用して、例えば脳組織などの特定の組織を識別してもよい。この用法は、法医病理学者に提示された組織の出所が不明である事例において、特に有用であろう。複数のそのようなPCIPプローブからなるパネルを、組織の種別の及び/又は器官別の識別に用いてもよい。
【0226】
同様の方法で、例えばPCIPプライマ又はプローブなどのこれらの試薬を、組織培地のコンタミネーション検査(即ち、培地中に異なる種類の細胞が混入しているか否かを調べる検査)に用いてもよい。
【0227】
C.予測薬
本発明は、診断アッセイ、予測アッセイ及び臨床検査のモニタを予後診断(予測)の目的で行って個体を予防的に治療する、予測薬の分野にも関する。従って、本発明の一局面は、(例えば血液、血清、細胞、組織などの)生体試料におけるPCIPタンパク質及び/又は核酸の発現並びにPCIP活性を調べることにより、ある個体がある疾患又は障害に罹患しているか否か、或いは異常なPCIP発現又は活性に関連した障害を発生するおそれがあるか否かを調べるための診断アッセイに関する。本発明はまた、ある個体がPCIPタンパク質、核酸の発現又は活性に関連する障害を発生するおそれがあるか否かを調べるための予後診断(又は予測)アッセイも提供する。例えば、あるPCIP遺伝子の突然変異を生体試料でアッセイしてもよい。そのようなアッセイを予後診断又は予測の目的で行って、PCIPタンパク質、核酸の発現又は活性を特徴とする、或いはこれらに関連した障害をある個体が発生する前に、前記個体を予防的に治療してもよい。
【0228】
本発明の別の一局面は、臨床検査においてPCIPの発現又は活性に(例えば薬剤、化合物などの)物質が及ぼす影響をモニタすることに関する。
【0229】
これらの及びその他の物質について、次のサブセクションでより詳細に説明する。
【0230】
1.診断アッセイ
生体試料中のPCIPタンパク質又は核酸の有無を検出する方法の一例は、対象から生体試料を採取し、前記生体試料中でPCIPタンパク質又は核酸の存在が検出できるような方法で、前記生体試料を、PCIPタンパク質をコードする(例えばmRNA、ゲノムDNAなどの)PCIPタンパク質又は核酸を検出することの可能な化合物又は物質と接触させることに関する。PCIP mRNA又はゲノムDNAを検出するための好適な物質は、PCIP mRNA又はゲノムDNAとハイブリダイズすることの可能な標識された核酸プローブである。前記核酸プローブは、例えば、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102で表される核酸などの全長PCIP核酸、ATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993又は98994で寄託されたプラスミドのDNAインサート、或いは、例えばストリンジェントな条件下でPCIP mRNA又はゲノムDNAと特異的にハイブリダイズするのに十分な、少なくとも15、30、50、100、250又は500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドなどの、その一部分であってもよい。本発明の診断アッセイに使用するその他の好適なプローブは、本願中に記載されている。
【0231】
PCIPタンパク質を検出するための好適な一物質は、PCIPタンパク質と結合可能な抗体であり、好適には検出可能に標識された抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいが、より好適にはモノクローナル抗体である。完全な抗体又はその(例えばFab又はF(ab’)2などの)断片を使用してもよい。プローブ又は抗体に関して使用される「標識された」という用語は、前記プローブ又は抗体に検出可能な物質を結合させる(即ち物理的に連結させる)ことによって前記プローブ又は抗体を直接に標識することと、前記プローブ又は抗体を、直接に標識された別の一試薬との反応性によって間接に標識することと、を包含するものとして意図されている。間接標識の例には、蛍光標識された二次抗体を用いて一次抗体を検出することと、DNAプローブを、蛍光標識したストレプトアビジンで検出可能であるような方法で、ビオチンで末端標識することと、が含まれる。「生体試料」という用語は、対象から単離された組織、細胞及び体液と、対象内に存在する組織、細胞及び体液と、を包含するものとして意図されている。即ち、本発明の前記検出方法は、生体試料中のPCIP mRNA、タンパク質又はゲノムDNAのin vitro検出とin vivo検出との双方に使用可能である。例えば、PCIP mRNAのin vitro検出方法には、ノーザンハイブリダイゼーション及びin situハイブリダイゼーションが含まれる。PCIPタンパク質のin vitro検出方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELIZA)、ウェスタンブロット法、免疫沈降法及び免疫蛍光法が含まれる。PCIPゲノムDNAのin vitro検出方法には、サザンハイブリダイゼーションが含まれる。更に、PCIPタンパク質のin vivo検出方法には、対象中に標識された抗PCIP抗体を導入することが含まれる。例えば、前記抗体を、対象中におけるその存在と位置とを標準的な撮像方法で検出可能な放射性マーカで標識してもよい。
【0232】
一実施態様においては、前記生体試料が、前記検査対象からのタンパク質分子を含有する。又は、前記生体試料が、前記検査対象からのmRNA分子又は前記検査対象からのゲノムDNA分子を含有してもよい。好適な一生体試料は、対象から常法で単離された血清試料又は髄液である。
【0233】
別の一実施態様においては、前記複数の方法が、コントロール対象からコントロール生体試料を採取し、前記コントロール試料を、PCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAが前記生体試料中で検出されるような方法で、PCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAを検出することの可能な化合物又は物質と接触させ、前記コントロール試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの存在を、前記検査試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの存在と比較することに更に関する。
【0234】
本発明は、生体試料中のPCIPの存在を検出するためのキットも包含する。例えば、前記キットに、生体試料中のPCIPタンパク質又はmRNAを検出することの可能な標識された化合物又は物質と、前記試料中のPCIPの量を測定するための手段と、前記試料中の前記PCIP量を基準と比較するための手段と、が含まれてもよい。前記化合物又は物質が適切な容器中に封入されていてもよい。前記キットに、前記キットをPCIPタンパク質又は核酸の検出に使用するための使用説明書が更に含まれてもよい。
【0235】
2.予測アッセイ
ここに記載の診断方法を、更に、異常なPCIP発現又は活性に関連した疾患又は障害を有するか又は発生するおそれのある対象を特定するために利用してもよい。例えば、前述の診断アッセイ又は後述のアッセイなどの、ここに記載するアッセイを、例えばアルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん、脊髄小脳失調及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、双極性感情病又は恐怖症などの精神障害;例えば健忘症又は加齢に伴う記憶喪失などの学習又は記憶障害;例えば偏頭痛などの神経障害;例えば痛覚過敏又は筋骨格障害に伴う痛みなどの痛覚障害;脊髄損傷;卒中;及び頭部外傷或いは洞結節機能不全、狭心症、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、拡張型心筋症、特発性心筋症、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣又は不整脈などの心臓血管障害などの、PCIPタンパク質活性又は核酸発現の調節不全に関連した障害を有するか又は発生するおそれのある対象を特定するために使用してもよい。
【0236】
又は、前記予測アッセイを、カリウムチャネル関連障害などの、PCIPタンパク質活性又は核酸発現の調節不全に関連した障害を有するか又は発生するおそれのある対象を特定するために利用してもよい。このように、本発明は、異常なPCIP発現又は活性に関連した疾患又は障害を特定するための、検査試料を対象から採取し、PCIPタンパク質又は(例えばmRNA又はゲノムDNAなどの)核酸を検出し、PCIPタンパク質又は核酸の存在によって、異常なPCIP発現又は活性に関連した疾患又は障害を有するか又は発生するおそれのある対象が診断される方法を提供する。ここで使用する「検査試料」は、目的の対象から採取した生体試料を指す。例えば、ある検査試料が、(例えば血清などの)体液、細胞試料又は組織であってもよい。
【0237】
更に、ここに記載の予測アッセイを、異常なPCIP発現又は活性に関連した疾患又は障害を治療するために、対象に(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子又はその他の薬剤候補などの)物質を投与してもよいか否かを調べるために用いてもよい。例えば、そのような方法を用いて、ある対象の中枢神経系障害又は心臓血管障害をある物質で有効に治療できるか否かを調べてもよい。このように、本発明は、ある対象の異常なPCIP発現又は活性に関連した障害をある物質で有効に治療できるか否かを調べるための、検査試料を採取してPCIPタンパク質又は核酸の発現又は活性を検出する方法(例えば、PCIPタンパク質又は核酸の発現又は活性が高度であれば、異常なPCIP発現又は活性に関連した障害を治療するために対象に前記物質を投与可能であると診断される)を提供する。
【0238】
本発明の方法を、PCIP遺伝子における遺伝子の変化の検出に用いて、前記変化した遺伝子を持つ対象が、PCIPタンパク質の活性又は核酸の発現の調節不全を特徴とする中枢神経系障害又は心臓血管障害などの障害に罹患するおそれがあるか否かを調べてもよい。好適な複数の実施態様においては、前記方法に、前記対象からの細胞試料における、PCIPタンパク質をコードする遺伝子の完全性を損なう変化又は前記PCIP遺伝子の誤った発現の少なくとも一方を特徴とする遺伝子の変化の有無を検出することが含まれる。例えば、そのような遺伝子の変化を、1)PCIP遺伝子からの1つ又は複数のヌクレオチドの欠失;2)PCIP遺伝子への1つ又は複数のヌクレオチドの付加;3)PCIP遺伝子の1つ又は複数のヌクレオチドの置換;4)PCIP遺伝子の染色体再構成;5)PCIP遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物レベルでの変化;6)ゲノムDNAのメチル化パターンなどの、PCIP遺伝子の異常な修飾;7)PCIP遺伝子のメッセンジャーRNA転写産物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)PCIPタンパク質の非野生型レベル;9)PCIP遺伝子の対立遺伝子欠失及び、10)PCIPタンパク質の不適切な翻訳後修飾のうちの少なくとも1つの存在を確認することで検出してもよい。ここに記載するように、PCIP遺伝子の変化の検出に使用可能なアッセイは、当業で数多く知られている。好適な生体試料は、常法で対象から単離された組織又は血清試料である。
【0239】
複数の実施態様においては、前記変化の検出の際に、アンカーPCR又はRACE PCRなどのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許No.4,683,195及び4,683,202を参照のこと)において、或いは、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran他(1988)Science 241:1077−1080;及びNakazawa他(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360−364を参照のこと)においてプローブ/プライマを使用する。後者の方法はとりわけ、PCIP遺伝子中の点突然変異の検出に有用であろう(Abravaya他(1995)Nucleic Acids Res.23:675−682を参照のこと)。この方法に、対象から細胞試料を採取するステップと、前記細胞試料から(例えばゲノムRNA、mRNA又はこれらの双方などの)核酸を単離するステップと、前記核酸試料を、PCIP遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ又は複数のプライマと、前記PCIP遺伝子(存在する場合には)のハイブリダイゼーション及び増幅が起こるような条件下で接触させるステップと、前記増幅産物の有無を検出するステップ又は前記増幅産物の大きさを検出して、その長さをコントロール試料と比較するステップと、が含まれてもよい。PCR及び/又はLCRは、ここに記載の突然変異検出方法のいずれかと組み合わせた予備的な増幅ステップとして用いることが望ましいであろう。
【0240】
その他の増幅方法には:3SR法(Guatelli,J.C.他(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh,D.Y.他(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi,P.M.他(1988)Bio−Technology 6:1197)又は任意のその他の核酸増幅方法と、これに続いて、前記増幅した分子を当業で周知の方法を用いて検出することと、が含まれる。これらの検出方法は、存在する数の非常に少ない核酸分子を検出する場合に、特に有用であろう。
【0241】
別の一実施態様においては、試料細胞からのPCIP遺伝子における突然変異を、制限酵素の開裂パターンの変化によって識別してもよい。例えば、試料DNAとコントロールDNAとを単離し、(任意に)増幅し、1つ又は複数の制限エンドヌクレアーゼで消化し、断片長サイズをゲル電気泳動法にて測定して比較する。試料DNAとコントロールDNAとの断片長サイズが異なる場合は、試料DNAに突然変異があることが示される。更に、配列特異的リボザイム(例えば米国特許No.5,498,531を参照のこと)を用いて、リボザイムによる開裂部位の発生又は消失によって、特定の突然変異の存在を判定してもよい。
【0242】
別の複数の実施態様においては、PCIPにおける遺伝子の突然変異を、試料と、例えばDNA又はRNAなどの複数のコントロール核酸とをハイブリダイズさせて、数百個又は数千個のオリゴヌクレオチドプローブを有する複数の高密度アレイを作製することで、確認してもよい(Cronin,M.T.他(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozal M.J.他(1996)Nature Medicine 2:753−759)。例えば、PCIPにおける遺伝子の突然変異を、Cronin,M.T.他、同上に記載の光学的に生成されたDNAプローブが含まれる二次元アレイで確認してもよい。簡単に説明すると、第1のプローブのハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料及びコントロールの長いDNA鎖をスキャンし、配列が重複しているプローブの直線状のアレイを作製することで、これら2つの配列間の塩基の相違を調べることが可能である。このステップで、点突然変異を確認できる。次に、第2のハイブリダイゼーションアレイのステップで、検出された全てのバリアント又は突然変異と相補的な、より小さな特化した複数のプローブアレイを用いて、特定の突然変異の特徴を明らかにする。各突然変異アレイは、一方が前記野生型遺伝子と相補的であり他方が前記突然変異遺伝子と相補的な、互いに対応するプローブ対から構成される。
【0243】
更に別の一実施態様においては、当業で周知の様々なシーケンシング反応のうちの任意の反応により、PCIP遺伝子を直接に配列決定し、試料PCIPの配列を対応する野生型(コントロール)配列と比較することにより、突然変異を検出してもよい。シーケンシング反応の例には、Maxam及びGilbert((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)又はSanger((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)によって開発された技術に基づく反応がある。また、診断アッセイ((1995)Biotechniques 19:448)を実施する場合に、質量分析法によるシーケンシング(例えばPCT国際公開公報No.WO94/16101;Cohen他(1996)Adv.Chromatogr.36:127−162;及びGriffin他(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147−159を参照のこと)を含めた様々な自動化シーケンシング法のうちの任意の方法を利用してもよいことも企図されている。
【0244】
PCIP遺伝子における突然変異のその他の検出方法には、開裂剤からの保護作用によって、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二本鎖におけるミス対合した塩基を検出する方法が含まれる(Myers他(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミス対合開裂」方法では、最初に、野生型PCIP配列を持つ(標識された)RNAまたはDNAを、組織試料から採取した、突然変異している可能性のあるRNAまたはDNAとハイブリダイズさせることにより、ヘテロ二本鎖を作製する。この二本鎖を、前記二本鎖の、例えばコントロール鎖と試料鎖との間の塩基対のミス対合によって存在する一本鎖部分を開裂させる物質で処理する。例えば、RNA/DNA二本鎖をリボヌクレアーゼで処理し、DNA/DNAハイブリッドをS1ヌクレアーゼで処理して、ミス対合している領域を酵素で消化してもよい。別の複数の実施態様においては、DNA/DNA二本鎖またはRNA/DNA二本鎖のいずれかをヒドロキシルアミン又は四酸化オスミウムとピペリジンとで処理して、ミス対合した領域を消化してもよい。前記ミス対合領域の消化後、産物を変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズ別に分離させ、突然変異部位を調べる。例えば、Cotton他(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;Saleeba他(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好適な一実施態様においては、前記コントロールDNA又はRNAが検出用に標識されていてもよい。
【0245】
更に別の一実施態様においては、前記ミス対合開裂反応で、細胞試料から採取したPCIP cDNA中の点突然変異の検出及びマッピングのための既知のシステムにおいて、二本鎖DNA中のミス対合した塩基対を認識する1つ又は複数のタンパク質(いわゆる「DNAミス対合修復」酵素)を利用する。例えば、大腸菌のmutY酵素は、G/Aミス対合におけるAを開裂し、HeLa細胞からのチミジンDNAグリコシラーゼは、G/Tミス対合におけるTを開裂する(Hsu他(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。一実施態様によれば、例えば野生型PCIP配列配列などのPCIP配列に基づくプローブを、検査細胞からのcDNA又はその他のDNA産物とハイブリダイズさせる。前記二本鎖をDNAミス対合修復酵素で処理し、開裂産物がある場合には、これを電気泳動法などによって検出してもよい。例えば米国特許No.5,459,039を参照のこと。
【0246】
別の複数の実施態様においては、電気泳動移動度の相違を利用して、PCIP遺伝子における突然変異を確認する。例えば、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)によって、突然変異核酸と野生型核酸との間の電気泳動移動度の相違を検出してもよい(Orita他(1989)Proc Natl.Acad.Sci USA:86:2766;Cotton(1993)Mutat.Res.285:125−144;及びHayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79を参照のこと)。試料PCIP核酸及びコントロールPCIP核酸の一本鎖DNA断片を変性させ、復元させる。一本鎖核酸の二次構造が配列によって異なるために生じる電気泳動移動度の相違によって、一塩基の変化でも検出可能である。DNA断片を標識してもよいし、又は標識したプローブで検出してもよい。アッセイの感度を、(DNAの代わりに)RNAを用いることで向上させてもよい。この場合、前記二次構造は、配列変化に対する感受性がより高くなる。好適な一実施態様においては、本方法でヘテロ二本鎖分析を利用して、電気泳動移動度の相違に基づいてヘテロ二本鎖分子を分離させる(Keen他(1991)Trends Genet 7:5)。
【0247】
更に別の一実施態様においては、変性剤の勾配を有するポリアクリルアミドゲル中の突然変異断片又は野生型断片の移動を、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)にてアッセイする(Myers他(1985)Nature 313:495)。DGGEを分析方法として用いる場合には、例えばおよそ40塩基対の高融点のGCリッチなDNAからなるGCクランプをPCRにて付加することにより、DNAを完全には変性しないような具合に変化させる。更なる一実施態様においては、変性勾配の代わりに温度勾配を利用して、コントロールDNAと試料DNAとの間の移動度の相違を調べる(Rosenbaum及びReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
【0248】
点突然変異のその他の検出方法には、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅法又は選択的プライマ伸長法が含まれるが、これらに限定されることはない。例えば、既知の突然変異が中央部に位置するオリゴヌクレオチドプライマを作製し、これを、完全な対合が見つかった場合にのみハイブリダイゼーションが起こるような条件下で標的DNAとハイブリダイズさせてもよい(Saiki他(1986)Nature 324:163);Saiki他(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。前記対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、これらのオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーション膜に付着させて、標識された標的DNAとハイブリダイズさせると、PCR増幅された標的DNAとハイブリダイズするか、又は多数の異なる突然変異体とハイブリダイズする。
【0249】
又は、選択的PCR増幅に依存した対立遺伝子特異的増幅法を本発明と組み合わせて用いてもよい。特異的増幅法用のプライマとして使用されるオリゴヌクレオチドによって、目的の突然変異が前記分子の中央部に位置してもよいし(この結果、増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbs他(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、或いは、適切な条件下ではミス対合を防止することができるか又はポリメラーゼ伸長が軽減される、プライマの3’末端に位置してもよい(Prossner(1993)Tibtech 11:238)。前記突然変異領域に新規な制限部位を導入して、開裂に基づく検出を可能にすることが望ましいであろう(Gasparini他(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。複数の実施態様においては、増幅用のTaqリガーゼを用いて増幅を行ってもよいと考えられている(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189)。このような場合、5’配列の3’末端に完全な対合がある場合にのみライゲーションが起こるので、増幅の有無を調べることで、ある特定の部位における既知の突然変異の存在を検出することが可能である。
【0250】
ここに記載の方法を、例えばここに記載の少なくとも1つのプローブ核酸又は抗体試薬が含まれる予めパッケージされた診断キットを利用して実施してもよい。そのようなキットは、例えばPCIP遺伝子が関与する疾患又は疾病の症状又は家族病歴を持つ患者を診断する臨床事例において有用であろう。
【0251】
更に、PCIPが発現されているいかなる細胞種又は組織でも、ここに記載の予測アッセイに利用可能である。
【0252】
3.臨床検査における効果のモニタ
(例えば膜興奮性又は静止電位などの)PCIPタンパク質の発現又は活性に対する(例えば薬剤などの)物質の影響のモニタを、基本的な薬剤スクリーニングだけではなく、臨床検査において行ってもよい。例えば、ここに記載のスクリーニングアッセイでPCIP遺伝子発現及びタンパク質レベルを増加させるか又はPCIP活性を上方調節することが判明した薬剤の有効性を、PCIP遺伝子発現及びタンパク質レベルの減少又はPCIP活性の下方調節が観察される対象の臨床検査でモニタしてもよい。又は、スクリーニングアッセイでPCIP遺伝子発現及びタンパク質レベルを減少させるか又はPCIP活性を下方調節することが判明した薬剤の有効性を、PCIP遺伝子発現及びタンパク質レベルの増加又はPCIP活性の上方調節が観察される対象の臨床検査でモニタしてもよい。これらのような臨床検査においては、例えばカリウムチャネル関連障害に関与しているPCIP遺伝子及び好適にはその他の遺伝子の発現又は活性を、特定の細胞の表現型の「読み出し」又はマーカとして使用してもよい。
【0253】
例えば、限定する訳ではないが、(例えばここに記載のスクリーニングアッセイで確認された)PCIP活性を調節する(例えば化合物、薬剤又は小分子などの)物質での処理によって細胞内で調節される、PCIPを含めた遺伝子を確認してもよい。従って、例えば臨床検査において薬剤のカリウムチャネル関連障害に対する作用を調べるために、細胞を単離してRNAを作製し、前記カリウムチャネル関連障害に関与するPCIP及びその他の遺伝子の発現レベルをそれぞれ分析してもよい。(例えば遺伝子発現パターンなどの)遺伝子発現レベルを、ここに記載のノーザンブロット法又はRT−PCRで、或いはここに記載の方法の何れかを用いてタンパク質の産生量を測定することで、或いはPCIP又はその他の遺伝子のレベルを測定することで、定量してもよい。このように、遺伝子発現パターンは、前記細胞の前記薬剤に対する物理的反応を示すマーカとして機能しうる。従って、この反応状況を、前記個体の前記薬剤による治療の前及びその途中の様々な時点で調べてもよい。
【0254】
好適な一実施態様においては、本発明は、対象の(例えば、ここに記載のスクリーニングアッセイで確認されたアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子又はその他の薬剤候補などの)物質による治療の有効性をモニタするための、(i)前記物質の投与前に、対象から投与前試料を採取するステップと;(ii)前記投与前試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの発現レベルを検出するステップと;(iii)前記対象から1つ又は複数の投与後試料を採取するステップと;(iv)前記投与後試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの発現レベルを検出するステップと;(v)前記投与前試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの発現レベルを、前記1つ又は複数の投与後試料中のPCIPタンパク質、mRNA又はゲノムDNAの発現レベルと比較するステップと;(vi)これに応じて前記薬剤の前記対象への投与を変更するステップと、が含まれる方法を提供する。例えば、PCIPの発現又は活性を、検出されたレベルよりも向上させる、即ち前記物質の有効性を増加させるべく、前記物質の投与を増加させることが望ましい場合がある。又は、PCIPの発現又は活性を、検出したレベルよりも減少させる、即ち前記物質の有効性を減少させるべく、前記物質の投与を減少させることが望ましい場合もある。そのような実施態様においては、PCIPの発現又は活性を、観察可能な表現型反応が存在しない場合でも、ある薬剤の有効性の指標として使用してもよい。
【0255】
D.治療方法
本発明は、異常なPCIP発現又は活性を伴う疾患に罹患するおそれのある(又は易罹患性の)或いはそのような疾患に罹患している対象を治療するための予防的方法及び治療的方法の双方を提供する。予防的療法及び治療的療法の双方ともに、ゲノム薬理学の分野から得た知識に基づき、特定の調整又は変更を加えてもよい。ここで使用する「ゲノム薬理学」という用語は、遺伝子シーケンシング、統計遺伝学及び遺伝子発現分析などのゲノム技術を、臨床開発段階の及び市場に流通している薬剤に応用することを指す。より詳細には、この用語は、(例えばある患者の「薬剤反応表現型」又は「薬剤反応遺伝子型」などの)ある患者の遺伝子がある薬剤に対するその患者の反応の仕方を如何にして決定するのかについての研究を指す。従って、本発明の別の一局面は、個体の予防的療法又は治療的療法を、本発明のPCIP分子又はPCIPモジュレータを用いて、その個体の薬物反応遺伝子型に基づいて調整する方法を提供する。ゲノム薬理学によって、臨床医又は医師が、予防的療法又は治療的療法を、前記療法が最も有益であろう患者に限定して実施し、毒性の薬物関連副作用を生じるであろう患者の治療を回避することが可能である。
【0256】
1.予防的方法
一局面においては、本発明は、対象における異常なPCIP発現又は活性を伴う疾患又は障害を、前記対象にPCIP発現又は少なくとも1つのPCIP活性を調節するPCIP又は物質を投与することで予防する方法を提供する。異常なPCIP発現又は活性に起因するか又はこれを一因とする疾患に罹患するおそれのある対象を、例えば、ここに記載の診断アッセイ又は予測アッセイのいずれか又はこれらの組合せによって特定してもよい。予防物質の投与を、疾患又は障害が予防されるような方法で、PCIP異常を特徴とする症状が発生する前に行ってもよいし、又は、その進行中に遅延的に行ってもよい。PCIP異常の種類により、例えばPCIP、PCIPアゴニスト又はPCIPアンタゴニスト物質を前記対象の治療に用いてもよい。適切な物質を、ここに記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定してもよい。
【0257】
2.治療的方法
本発明の別の一局面は、PCIP発現又は活性を治療の目的で調節する方法に関する。従って、一実施態様においては、本発明の前記調節方法には、ある細胞を、前記細胞に関連したPCIPタンパク質活性の1つ又は複数の調節するPCIP又は物質と接触させることが含まれる。PCIPタンパク質活性を調節する物質が、例えば核酸又はタンパク質、PCIPタンパク質の(例えばPCIP基質などの)天然に存在する標的分子、PCIP抗体、PCIPアゴニスト又はアンタゴニスト、PCIPアゴニスト又はアンタゴニストのペプチドミメティック或いはその他の小分子などの、ここに記載の物質であってもよい。一実施態様においては、前記物質は、1つ又は複数のPCIP活性を刺激する。そのような刺激物質の例には、前記細胞中に導入されたPCIPをコードする活性なPCIPタンパク質及び核酸分子が含まれる。別の一実施態様においては、前記物質がPCIP活性の1つ又は複数を阻害する。そのような阻害物質の例には、アンチセンスPCIP核酸分子、抗PCIP抗体及びPCIP阻害剤が含まれる。これらの調節方法を、(例えば前記細胞を前記物質で培養するなど)in vitroで行ってもよいし、又は(例えば前記物質を対象に投与するなど)in vivoで行ってもよい。このように、本発明は、PCIPタンパク質又は核酸分子の異常な発現又は活性を特徴とする疾患又は障害に罹患した個体の治療方法を提供する。そのような障害の例には、アルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、双極性感情病又は恐怖症などの精神障害;例えば健忘症又は加齢に伴う記憶喪失などの学習又は記憶障害;例えば偏頭痛などの神経障害;例えば痛覚過敏又は筋骨格障害に伴う痛みなどの痛覚障害;脊髄損傷;卒中;及び頭部外傷などの中枢神経系障害或いは動脈硬化、虚血性再潅流損傷、再狭窄、動脈炎症、血管壁の肥厚、心室肥厚、心室高頻度ペーシング、冠状動脈微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、血管性心疾患、心房細動、遺伝性QT延長性症候群、うっ血性心不全、洞結節機能不全、狭心症、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、拡張型心筋症、特発性心筋症、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣又は不整脈などの心臓血管障害が含まれる。一実施態様においては、前記方法に、PCIP発現又は活性を(例えば上方調節又は下方調節するなど)調節する、(例えばここに記載のスクリーニングアッセイで特定された物質などの)単一の物質又は複数の物質の組合せを投与することが含まれる。別の一実施態様においては、前記方法に、PCIPタンパク質又は核酸分子を、過少な又は異常なPCIP発現又は活性を補正する療法として投与することが含まれる。
【0258】
本発明の好適な一実施態様は、PCIP関連疾患又は障害を治療するための、治療上有効量のPCIP抗体を対象に投与するステップが含まれる方法に関する。ここに記載する抗体の治療上有効量(即ち有効投与量)の範囲は、およそ0.001乃至30mg/kg体重、好適にはおよそ0.01乃至25mg/kg体重、より好適にはおよそ0.1乃至20mg/kg体重、更により好適にはおよそ1乃至10mg/kg、2乃至9mg/kg、3乃至8mg/kg、4乃至7mg/kg又は5乃至6mg/kg体重である。疾患又は障害の重度、治療歴、全身の健康状態及び/又は対象の年齢並びに他の疾患の存在が含まれるがこれらに限定されることはない幾つかの要因が、前記対象の有効な治療に要する用量を左右しうることは、当業者に理解されるであろう。更に、対象を治療上有効量の抗体で治療することに、1回のみの治療が含まれてもよいし、或いは、好適には一連の複数回の治療が含まれてもよい。好適な一例においては、対象を、およそ0.1乃至20mg/kg体重の範囲内の抗体で、週1回、およそ1乃至10週間、好適には2乃至8週間、より好適にはおよそ3乃至7週間、更により好適にはおよそ4、5又は6週間にわたって治療する。治療に使用する抗体の有効投与量が、特定の治療の過程で増加又は減少しうることも、理解されるであろう。用量の変更は、ここに記載の診断アッセイの結果実施されよう。
【0259】
PCIP活性の刺激は、PCIPが異常に下方調節されている場合及び/又はPCIP活性の増加が有益な効果をもたらすと考えられる場合に望ましい。例えば、あるPCIPが下方調節されている場合及び/又はPCIP活性の増加が有益な効果をもたらすと考えられる場合には、PCIP活性を刺激することが望ましい。同様に、PCIPが異常に上方調節されている場合及び/又はPCIP活性の減少が有益な効果をもたらすと考えられる場合には、PCIP活性を阻害することが望ましい。
【0260】
3.ゲノム薬理学
ここに記載のスクリーニングアッセイで、(例えばPCIP遺伝子発現などの)PCIP活性に刺激作用又は阻害作用を及ぼすことが確認される本発明のPCIP分子、物質又はモジュレータを、(例えばアルツハイマー病、アルツハイマー病に伴う(ピック病などの)痴呆、パーキンソン病及びその他のレーヴィ体びまん性疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、てんかん及びヤコブ−クロイツフェルト病などの神経変性障害;例えばうつ病、分裂病性障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、双極性感情病又は恐怖症などの精神障害;例えば健忘症又は加齢に伴う記憶喪失などの学習又は記憶障害;例えば偏頭痛などの神経障害;例えば痛覚過敏又は筋骨格障害に伴う痛みなどの痛覚障害;脊髄損傷;卒中;及び頭部外傷などの中枢神経系障害或いは動脈硬化、虚血性再潅流損傷、再狭窄、動脈炎症、血管壁の肥厚、心室肥厚、心室高頻度ペーシング、冠状動脈微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、血管性心疾患、心房細動、遺伝性QT延長性症候群、うっ血性心不全、洞結節機能不全、狭心症、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、拡張型心筋症、特発性心筋症、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣又は不整脈などの心臓血管障害などの)異常なPCIP活性を伴うカリウムチャネル関連障害を(予防的に又は治療的に)治療するために、個体に投与してもよい。そのような治療と組み合わせて、ゲノム薬理学(即ち、個体の遺伝子型と、その個体の外来の化合物又は薬物に対する反応との関係についての研究)を考慮してもよい。活性の薬理作用を持つ前記薬物の用量と血中濃度との関係を変化させることで生じる治療薬の代謝の違いが、重大な毒性又は治療過誤を招くことがありうる。従って、医師又は臨床医が、PCIP分子又はPCIPモジュレータを投与するか否かの決定、或いはPCIP分子又はPCIPモジュレータを用いた治療の用量及び/又は方針の調整の際に、関連するゲノム薬理研究において得た知識を応用することを考慮してもよい。
【0261】
ゲノム薬理学は、患者の異常な薬物動態及び異常な機能のために起こる、薬物に対する応答の臨床上重大な遺伝性の異常を扱う。例えば、Eichelbaum,M.他(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23(10−11):983−985及びLinder,M.W.他(1997)Clin.Chem.43(2):254−266を参照のこと。一般に、薬理遺伝的状態は、薬物が身体に作用する仕方を変化させる単一の因子として伝達される遺伝状態(異常な薬物作用)と、身体が薬物に作用する仕方を変化させる単一の因子として伝達される遺伝状態(異常な薬物代謝)との2種類に分類される。これらの薬理遺伝的状態は、稀に発生する遺伝的欠陥としても、又は天然に発生する多型現象としても起こりうる。例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素欠乏症(G6PD)は、よく知られた遺伝性の酵素病であり、その主な臨床症状は、酸化剤(抗マラリア薬、サルファ剤、鎮痛剤、ニトロフラン)の注射及びソラマメの摂食後に起こる溶血である。
【0262】
薬物応答性を予測する遺伝子を特定するためのゲノム薬理学的方法の一つは、「ゲノムワイド関連性解析」として知られており、主として(例えばそれぞれが2つのバリアントを持つヒトゲノム上の60,000乃至100,000個の多型又は変異部位からなる「二対立遺伝子」遺伝子マーカマップなどの)既知の複数の遺伝子関連マーカからなるヒトゲノムの高分解能マップを利用する。そのような高分解能遺伝子マップを、第2相/第3相薬物試験に参加した統計学上有意に多数の患者のそれぞれのゲノムのマップと比較して、観察された特定の薬物応答性又は副作用に関連するマーカを特定してもよい。又は、そのような高分解能マップを、ヒトゲノム中の数百万個の既知の一塩基多型(SNP)の組合せから作製してもよい。ここで使用する「SNP」という用語は、一本のDNA中の一ヌクレオチド塩基に頻繁に発生する変化を指す。例えば、あるSNPは、DNAの1000塩基毎に1つの割合で発生しうる。あるSNPが疾患過程に関与していることもあるが、大多数のSNPは疾患とは無関係である。そのようなSNPの発生に基づく遺伝子マップを用いることで、複数の個体を、その個々のゲノム中の特定のSNPパターンに基づいて複数の遺伝的カテゴリーに分類することが可能である。このような方法で、遺伝的に類似した個体群に適した治療方針を、そのような遺伝的に類似した個体群に共通な特性を考慮して調整することが可能である。
【0263】
又は、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる手法を利用して、薬物応答性を予測する遺伝子を特定してもよい。この方法では、ある薬物の標的をコードする(例えば本発明のPCIPタンパク質などの)遺伝子が判明している場合に、前記個体群に共通するそのような遺伝子の全バリアントをきわめて容易に確認可能であり、そのような遺伝子が別の一個体と比べて一つだけ異なっていることが特定の薬物応答性に関連するか否かを調べることが可能である。
【0264】
一実施態様においては、薬物代謝酵素の活性が、薬物作用の強度及び持続性の双方の主要な決定因子となっている。(例えばN−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)及びチトクロームP450酵素であるCYP2D6及びCYP2C19などの)薬物代謝酵素の遺伝子多型の発見により、一部の患者が、ある薬物を標準的で安全な用量投与された後に、予想される薬物効果を示さないか又は過剰な薬物効果及び重篤な毒性応答を示す理由が明らかになった。これらの多型は、前記個体群中の高代謝能群(EM)と低代謝能群(PM)の2つの表現型に発現される。PMの有病率は、個体群によって異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は、多型性が高く、PM中で複数の突然変異が確認されているが、これらの突然変異は全て、機能性CYP2D6の欠損を引き起こす。CYP2D6及びCYP2C19の低代謝能群は、標準用量を投与されると、非常に高い頻度で過剰な薬物応答及び副作用を示す。CYP2D6による代謝の産物であるモルヒネを中間体とするコデインの鎮痛効果に例証されるように、ある代謝産物が活性な治療的成分である場合、PMは治療的応答を全く示さない。これとは逆に、いわゆる超高代謝能群は、標準的な用量に全く応答しない。最近になって、超高代謝性の分子レベルの素因がCYP2D6の遺伝子増幅であることが確認された。
【0265】
又は、「遺伝子発現プロファイリング」と呼ばれる手法を利用して、薬剤応答性を予測する遺伝子を特定してもよい。例えば、(本発明のPCIP分子又はPCIPモジュレータなどの)ある薬剤を投与されたある動物の遺伝子発現を、毒性に関連する遺伝経路の有無を示す指標としてもよい。
【0266】
以上のゲノム薬理学的手法のうちの複数から得た情報を用いて、ある個体の予防的又は治療的療法のための適切な用量及び治療方針を決定してもよい。この知識を投薬又は薬物の選択に適用することで、対象を、例えばここに記載のスクリーニングアッセイの一例で確認されたモジュレータなどのPCIP分子又はPCIPモジュレータで治療する際の副作用又は治療過誤を防止し、治療又は予防効果を向上させることが可能である。
【0267】
4.代用マーカとしてのPCIP分子の使用
本発明のPCIP分子は、対象の障害又は疾患状態のマーカとして、疾患状態の前兆のマーカとして、疾患状態の素質のマーカとして、薬物活性のマーカとして、又はゲノム薬理学的特性のマーカとしても有用である。ここに記載の方法を用いて、本発明のPCIP分子の存在、非存在及び/又は量をin vivoで検出し、1つ又は複数の生物学的状態と相関させてもよい。例えば、本発明のPCIP分子を、1つ又は複数の障害又は疾患状態或いは疾患状態を誘発する条件の代用マーカとして使用してもよい。
【0268】
ここで使用する「代用マーカ」という用語は、ある疾患又は障害の有無、或いはある疾患又は障害の(例えば腫瘍の有無などの)進行の有無と相関した客観的な生化学的マーカを指す。そのようなマーカの存在又は量は、前記疾患の原因とは無関係である。従って、そのようなマーカを、特定の治療方法がある疾患状態又は障害の軽減に有効であるか否かの指標とすることが可能である。代用マーカは、(例えば初期段階の腫瘍などの)ある疾患状態又は障害の存在又は程度の診断が、標準的な手法では困難である場合や、危険が予想される臨床上のエンドポイントに達する以前に疾患の進行を診断することが望ましい場合に、特に有用である(例えば、心臓血管疾患の診断を、コレステロールレベルを代用マーカとして、また、HIV感染の分析を、HIV RNAレベルを代用マーカとして、心筋梗塞又はAIDSの全面的な発症といった望ましくない臨床上の結果に至るよりも十分に先立って行ってもよい)。当業における代用マーカの使用例には:Koomen他(2000)J.Mass.Spectrom.35:258−264;及びJames(1994)AIDS Treatment News Archive 209が含まれる。
【0269】
本発明のPCIP分子は、薬力学的マーカとしても有用である。ここで使用する「薬力学的マーカ」という用語は、薬物作用と特異的に相関した客観的な生化学的マーカを指す。ある薬力学的マーカの存在又は量は、前記薬物の投与対象である疾患状態又は障害とは無関係である;従って、前記マーカの存在又は量が、対象中の前記薬物の存在又は活性の指標となる。例えば、ある薬力学的マーカが、そのマーカのある生体組織における発現又は転写の有無と前記薬物のレベルとの関係を調べることによって、前記生体組織中の前記薬物の濃度を示す指標となってもよい。この方法で、前記薬物の分布又は摂取を、薬力学的マーカを利用してモニタ可能である。同様に、前記薬力学的マーカの存在又は量を、前記マーカの存在又は量がある薬物のin vivoでの分解の相対的な速度を表す指標となるような仕方で、前記薬物の代謝産物の存在又は量と相関させてもよい。薬力学的マーカは、特にある薬物を低用量で投与する場合に、薬物効果の検出感度を高める上で特に有用である。ある薬物を少量用いるだけで、(例えばPCIPマーカなどの)マーカを多数回転写又は発現させられる場合でも、前記増幅させたマーカの量は、前記薬物自体よりも遙かに容易に検出できる量であろう。また、前記マーカが、前記マーカ自体の特性のために、より検出が容易な場合もある;例えば、ここに記載の方法で、抗PCIP抗体をPCIPタンパク質マーカの免疫利用検出システムに用いてもよいし、又は、PCIP特異的放射線標識プローブを用いて、PCIP mRNAマーカを検出してもよい。更に、薬力学的マーカを用いることで、薬物治療に伴うリスクを、直接に観察することの可能な範囲を超えて、機序に基づいて予測することが可能であろう。当業における薬力学的マーカの使用例には:Matsuda他による米国特許6,033,862;Hattis他(1991)Env.Health Perspect.90:229−238;Schentag(1999)Am.J.Health−Syst.Pharm.56 Suppl.3:S21−S24;及びNicolau(1999)Am.J.Health−Syst.Pharm.56 Suppl.3:S16−S20が含まれる。
【0270】
本発明のPCIP分子は、ゲノム薬理学的マーカとしても有用である。ここで使用する「ゲノム薬理学的マーカ」という用語は、対象における特定の臨床的薬物応答又は感受性と相関した客観的な生化学的マーカを指す(例えば、McLeod他(1999)Eur.J.Cancer 35(12):1650−1652を参照のこと)。ゲノム薬理学的マーカの存在又は量は、特定の薬物又は薬物種に対する、前記薬物の投与前に予想される対象の応答と相関している。ある対象中の1つ又は複数のゲノム薬理学的マーカの存在又は量を評価することで、前記対象に最適な、又は成功率のより高い薬物療法を選択することが可能である。例えば、ある対象中の特定の腫瘍マーカに対応する(例えばPCIPタンパク質又はRNAなどの)RNA又はタンパク質の存在又は量に基づき、前記対象中に存在する可能性のある特定の腫瘍の治療に向けて最適化された薬物又は治療方法を選択してもよい。同様に、PCIP DNA中の特定の配列変異の有無を、PCIP薬物応答性と相関させてもよい。このように、ゲノム薬理学的マーカを用いることで、各対象に最適な治療方法を、その療法を実際に実施することなく決定することが可能である。
【0271】
本発明について更に説明する以下の例は、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。本願全体を通じて引用された参考文献、登録特許及び公開特許出願並びに図面及び配列表の内容はすべて、引用をもってここに援用されたものである。
【0272】
実施例
以下の材料及び方法を実施例で使用した。
【0273】
菌株、プラスミド、おとりcDNA及び一般的な微生物学的方法
この作業で使用する基本酵母菌株(HF7c、Y187)、おとり(pGBT9)及び餌食(pACT2)のプラスミドを、クロンテック社(カリフオルニア州パロアルト)から購入した。ラットKv4.3、Kv4.2及びKv1.1をコードするcDNAを、ワイエス・アイエルスト・リサーチ社(ニュージャージー州08852、マンモスジャンクション、リッジロード865)から入手した。L−ロイシン、L−トリプトファン及びL−ヒスチジンを含有しない合成完全培地を含めた複数の標準的な酵母培地を作製し、酵母の遺伝子操作をSherman(1991)Meth.Enzymol.194:3−21に記載の方法で実施した。標準的なプロトコルを用いて酵母を形質転換させた(Gietz他(1992)Nucleic Acids Res.20:1425;Ito他(1983)J.Bacteriol.153:163−168)。プラスミドDNAを、標準的な方法で酵母菌株から単離した(Hoffman及びWinston(1987)Gene 57:267−272)。
【0274】
おとり及び酵母菌株の構築
rKv4.3の最初の180個のアミノ酸(Serdio P.他(1996)J.Neurophys 75:2174−2179に記載)をPCRにて増幅し、インフレームでpGBT9にクローニングして、プラスミドpFWA2(以降「おとり」と呼ぶ)を得た。このおとりを、2ハイブリッドスクリーニング菌株HF7c中に形質転換させ、発現及び自己活性化について検査した。前記おとりの発現をウェスタンブロット法にて確認した。rKv4.3おとりは、10mMの3−アミノ−1,2,3−トリアゾール(3−AT)の存在下では自己活性化しなかった。
【0275】
ライブラリの構築
ラットの中脳組織を、ワイエス・アイエルスト・リサーチ社(ニュージャージー州マンモスジャンクション)から入手した。標準的な技術を用いて、前記組織から全細胞RNAを抽出した(Sambrook,J.,Fritsh,E.F.及びManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(1989))。ニュー・イングランド・バイオラブズ社(マサチューセッツ州ベヴァリー)から入手したPoly−A−Spin mRNA単離キットを用いて、mRNAを作製した。このmRNA試料からのcDNAを、ストラタジーン社(カリフォルニア州ラホーヤ)から入手したcDNA合成キットを用いて合成し、pACT2のEcoRI及びXhoI部位に連結させて、2ハイブリッドライブラリを構築した。
【0276】
2ハイブリッドスクリーニング
2ハイブリッドスクリーニングを、Bartel,P.他(1993)”Using the Two−Hybrid System to Detect Polypeptide−Polypeptide Interactions” in Cellular Interactions in Development: A Practical Approach, Hartley, D.A.編、オックスフォード・ユニバーシティ・プレス、オックスフォード、pp.153−179に記載の方法に概ね基づき、rkv4.3おとり−ラット中脳ライブラリのおとり−ライブラリ対を用いて実施した。フィルタディスクベータガラクトシダーゼ(beta−gal)アッセイを、前述の方法に概ね基づき実施した(Brill他(1994)Mol.Biol.Cell.5:297−312)。双方のレポータ遺伝子活性(His及びベータガラクトシダーゼ)が陽性であったクローンの値を記録し、餌食プラスミドを酵母から単離し、大腸菌株KC8中に形質転換させ、DNAプラスミドを精製して、得られたプラスミドを従来の方法で配列決定した(Sanger F.他(1977)PNAS,74:5463−67)。
【0277】
特異性テスト
陽性の相互作用因子クローンについて、これらを前述の相互作用方式で、関連性があるおとり及び無関連のおとりからなるパネルに曝露する結合特異性テストを実施した(Finley R.L.Jr.他(1994)PNAS,91(26):12980−12984)。簡単に説明すると、陽性の餌食プラスミドをY187中に形質転換させ、おとりのパネルをHF7c中に形質転換させた。形質転換した餌食細胞及びおとり細胞を、選択培地プレート上にストリークし、YPADプレート上で相互作用させ、レポータ遺伝子活性についてテストした。
【0278】
分析
PCIPヌクレオチドを、核酸のヒットについて、BLASTN 1.4.8MPプログラム(Altschul他(1990) Basic Local Alignment Search Tool. J.Mol.Biol.215:403−410)で分析した。PCIPタンパク質を、ポリペプチドのヒットについて、BLASTN 1.4.9MPプログラムで分析した。
【0279】
電気生理学的方法
哺乳類のin vitro研究
HEK293細胞及びCHO細胞を使用して、一過性トランスフェクションの1乃至3日後に記録を取った。緑色蛍光で表される、GFPを発現している細胞から、全細胞電流が記録された。フィラメント状のホウケイ酸ガラス(サッター・インストルメント社、カリフォルニア州ノヴァト)から導出した電極の初期抵抗は3乃至5Mオームであった。ギガシール及び全細胞破裂コンフィギュレーションアクセス後に、抵抗は10Mオーム未満となった。全細胞バス液を10倍のハンクス液(ギブコBRL社)から、以下の最終濃度(mM)にて作製した:138NaCl、5.4KCl、1.3MgCl、1.3CaCl、5.5D−Glukos及び10HEPES、pH7.4。細胞内電極液の成分(mM)は、140KCl、10HEPES、10EGTA、0.5MgCl、pH7.3であった。化学薬品は全て、シグマ社(モンタナ州セントルイス)又はフィッシャー・サイエンティフィック社(テキサス州ヒューストン)から入手した。膜電流を、EPC9パッチクランプ増幅器(HEKA社、ドイツ)を用いて記録した。データをMatlab(ナティック社、マサチューセッツ州)を用いて分析し、必要に応じてリーク減算を行った。実験は全て、室温にて実施した。
【0280】
アフリカツメガエル卵母細胞の研究
カエル1匹当たり2回未満の手術を、確立した技術を用いて実施した。カエルを氷冷麻酔した。前日に採取したステージ4の複数のアフリカツメガエル卵母細胞中に、全cRNA(1乃至10ng)を注入した。前記複数のアフリカツメガエル卵母細胞を、以下の成分(mM):96NaCl、2KCl、1.8CaCl、1MgCl、5HEPESを含有するpH7.6のND96にゲンタマイシン50μg/mlを加えた中で、18℃で培養した。アフリカツメガエル卵母細胞を、注入後3乃至7日間観察した。二電極電圧クランプによる記録を、ND96溶液中で、TURBO TEC 03クランプ増幅器(ALAサイエンティフィック・インストルメント社、ニューヨーク州ウェストベリー)を用いて行った。双方の電極は3MのKClで満たされ、電極抵抗は0.2乃至1Mオームであった。電流信号を1000Hzでフィルタリングした後に、PULSEソフトウェア(HEKA社、ドイツ)を用いてPC(ゲートウェイ社、カリフォルニア州)上に伝送した。
【0281】
例1:ラットPCIP cDNAの同定
Kv4.3遺伝子のコード配列(最初のアミノ酸180個をコードする)をPCRにて増幅し、pGBT9中にクローニングして、GAL4 DNA−結合ドメイン−Kv4.3(1−180)遺伝子融合体(プラスミドpFWA2)を形成した。このコンストラクトでHF7cを形質転換させた。この結果得られた細胞株は、10mMの3−ATの存在下で、L−トリプトファンを含有しない合成完全培地上では成長したが、L−トリプトファン及びL−ヒスチジンを含有しない合成完全培地上では成長しなかった。このことは、{GAL4 DNA−結合ドメイン}−{vKv4.3(1−180)}遺伝子融合体が持つ転写活性化活性が、10mMの3−ATが許容するしきい値以下であることを示している。
【0282】
この例で、{GAL4 DNA−結合ドメイン}−{vKv4.3(1−180)}遺伝子融合体を持つプラスミドを、上述の酵母2ハイブリッドスクリーニング株HF7c中に導入する酵母2ハイブリッドアッセイを行った。次に、HF7cをラット中脳2ハイブリッドライブラリで形質転換させた。およそ600万個の形質転換株が得られ、これらを選択培地中で培養した。前記選択培地中で成長し、ベータ−ガラクトシダーゼレポータ遺伝子を発現したコロニの特性を更に解析し、再形質転換アッセイ及び特異性アッセイを行った。前記再形質転換アッセイ及び特異性アッセイで、前記Kv4.3ポリペプチドと結合可能な3つのPCIPクローン(ラット1v、8t及び9qm)が生じた。
【0283】
前記ラット1v遺伝子の全長配列並びに8t及び9q遺伝子の部分配列を、以下の方法で得た。前記部分ラットPCIP配列を用いてプローブを作製し、これらのプローブを用いて、例えばラットの中脳cDNAライブラリのスクリーニングを行った。陽性のクローンを同定し、標準的な方法で増幅及び配列決定して、全長配列を得た。更に、既存のラットPCIP cDNA末端(例えばギブコBRL社から入手した5’RACEを使用)の高速増幅により、前記転写産物の5’末端を終結させた。
【0284】
例2:ヒト1v cDNAの同定
ヒト1v核酸分子を得るために、ヒト海馬(クロンテック社、カリフォルニア州パロアルト)から得たcDNAライブラリを、低ストリンジェントな条件下で以下のようにスクリーニングした:Clontech Express Hyb溶液中で、42℃で4時間プレハイブリダイゼーションした後に、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。使用したプローブは、PCRで生成した断片であり、32pのdCTPで標識した前記ラット配列のヌクレオチド49乃至711を含有した。フィルタを、2倍のSSC/0.1%のSDS中で、55℃で6回洗浄した。陽性の分離株の二次スクリーニングについても同じ条件を使用した。このようにして得られたクローンを、ABI自動化DNAシーケンシングシステムを用いて配列決定し、配列番号:3で表される前記ラット配列と比較すると共に、GenBankデータベースからの既知の複数の配列とも比較した。次に、前記ライブラリスクリーニングの結果最大であったクローンを、pBS−KS+(ストラタジーン社、カリフォルニア州ラホーヤ)中にサブクローニングして、配列を照合した。515塩基対のクローンが、5’UTRの211塩基対と、304塩基対からなるコード領域とを含有し、前記1v遺伝子のヒト相同体を表すことが判明した。全長cDNAを作製するために、製造者の使用説明書(Clontech Advantage PCRキット)に基づいて3’RACEを使用した。
【0285】
例3:1Vスプライスバリアントの単離及び特性の解析
配列番号:5で表されるマウス1v及び配列番号:7で表されるラット1vlスプライスバリアントを、例1で述べた2ハイブリッドアッセイ法により単離した。配列番号:7で表されるマウス1vlスプライスバリアントを、マウスの脳cDNAライブラリのスクリーニングにより単離し、配列番号:11で表されるラット1vnスプライスバリアントを、BLAST検索により単離した。
【0286】
例4:9Q及びその他のPCIPの単離及び配列決定
ラット9ql(配列番号:15)を、データベースマイニングにより単離し、ラット9qm(配列番号:21)を、2ハイブリッドアッセイ法により単離し、ラット9qc(配列番号:27)を、データベースマイニングにより同定した。ヒト9ql(配列番号:13)及びヒト9qs(配列番号:23)を、例2で述べた方法で同定した。マウス9ql(配列番号:17)、サル9qs(配列番号:25)、ヒトp193(配列番号:39)、ラットp19(配列番号:33)及びマウスp19(配列番号:35)を、データベースマイニングにより同定した。ラット8t(配列番号:29)を、2ハイブリッドアッセイ法を用いて同定した。W28559(配列番号:37)の配列を、データベースマイニング及び前記同定されたESTのGenbank登録番号AI352454による配列決定によって同定した。前記タンパク質配列は、1v、9ql及びp19との相同性の高い、41個のアミノ酸からなる領域を含有することが判明した(図25のアライメントを参照のこと)。しかし、この相同な領域の下流側では、前記配列は前記PCIPファミリーとは異なっている。この配列で、前記PCIPファミリーメンバー中に見受けられる同様なドメインと相同な41個のアミノ酸を持つ遺伝子を表すことが可能であろう。
【0287】
ヒトゲノム9q配列(配列番号:46及び47)を、ヒト9qm cDNAの配列に基づいてデザインされたプライマを用いたBACゲノムライブラリ(リサーチジェネティック社)のスクリーニングによって単離した。2つの陽性クローンが確認され(448O2及び721I17)、これらを配列決定した。
【0288】
例5:ラット組織における1V、8T及び9Q mRNAの発現
ラット及びマウスのマルチプルティシューノーザンブロット(クロンテック社)に、ラット1v配列の5’非翻訳領域及び5’コード領域(ヌクレオチド35乃至124;配列番号:3)(このプローブはラット1v及びラット1vlに特異的である)、8t配列の5’コード領域(ヌクレオチド1乃至88;配列番号:29)又はラット9qm配列の5’末端(ヌクレオチド1乃至195;配列番号:21)(このプローブは、8tを除く全ての9qイソフォームに特異的である)を標的とする[32P]−標識cDNAプローブをハイブリダイズさせた。ブロットのハイブリダイゼーションを標準的な方法で実施した。ラット1vプローブでハイブリダイズされたノーザンブロットでは、脳RNAを含有するレーンにおいてのみ2.3kbのシングルバンドが認められ、1vの発現が脳に特異的であることが示唆された。ラット8tプローブでハイブリダイズされたノーザンブロットでは、2.4kbの太いバンドが認められた。ラット8tの前記バンドは、心臓RNAを含有するレーンで最も強かったが、脳RNAを含有するレーンでも、これよりも弱いバンドが確認された。9q cDNAプローブでハイブリダイズされたノーザンブロットでは、2.5kbの太いバンドと4kbを超える細いバンドとが認められ、主に脳及び心臓における発現を示した。前記細いバンドは、9q RNAが不完全にスプライス又は処理されていることを表すと考えられる。前記ノーザンブロットの結果、p19が主に心臓で発現されることが更に示された。
【0289】
例6:脳における1V、8T及び9Qの発現
ラットの脳における1v及び8t/9q遺伝子の発現を、in situハイブリダイゼーション組織化学法(ISHH)にて、[35S]−標識cRNAプローブ及びRhodes他(1996)J.Neurosci.,16:4846−4860に述べられた方法と同じハイブリダイゼーション方法を用いて調べた。前記cRNAプローブの作製のための鋳型を、標準的なPCR方法で作製した。簡単に説明すると、オリゴヌクレオチドプライマを、前記標的cDNAの3’−又は5’−非翻訳領域の断片を増幅させ、更にT7及びT3ポリメラーゼのプロモータ認識配列を付加すべくデザインした。従って、前記1v mRNAの3’−非翻訳領域を標的とする300個のヌクレオチドからなるプローブを作製するために、以下のプライマを使用した:
5−TAATACGACTCACTATAGGGACTGGCCATCCTGCTCTCAG−3(T7、正方向、センス;配列番号:42)
5−ATTAACCCTCACTAAAGGGACACTACTGTTTAAGCTCAAG−3(T3、逆方向、アンチセンス;配列番号:43)。下線を付けた塩基は、T7及びT3プロモータ配列に対応する。8t及び9q mRNAに共通する3’−非翻訳配列の325塩基対領域を標的とするプローブを作製するために、以下のプライマを使用した:
5−TAATACGACTCACTATAGGGCACCTCCCCTCCGGCTGTTC−3(T7、正方向、センス;配列番号:44)
5−ATTAACCCTCACTAAAGGGAGAGCAGCAGCATGGCAGGGT−3(T3、逆方向、アンチセンス;配列番号:45)。
【0290】
1v又は8t/9q mRNA発現のISHH局在化用に処理されたラットの脳組織切片のオートラジオグラムで、1v mRNAが脳内で広く発現され、そのパターンが、神経細胞を標識した場合とは一致するが、グリア細胞又は内皮細胞を標識した場合とは一致しないことが判明した。1v mRNAは、皮質、海馬及び線条体の介在ニューロン、視床網様体核、手綱内側、小脳顆粒細胞において高度に発現される。1v mRNAは、黒質及び上丘を含めた中脳核、幾つかのその他の視床核並びに基底前脳の内側中隔核及び対角帯核において中程度に発現される。
【0291】
8t及び9qの発現の分析に用いたプローブが、8t mRNAと9q mRNAとで一致する3’−非翻訳領域中の一領域にハイブリダイズするために、このプローブが生じる合成像は、8t/9q mRNAが脳内で広く発現され、そのパターンが、上述の1vの発現パターンと部分的に重複することを示す。しかし、8t/9q mRNAは、線条体、海馬構成体、小脳顆粒細胞及び新皮質で高度に発現される。8t/9q mRNAは、中脳、視床及び脳幹では中程度に発現される。これらの領域の多くでは、8t/9q mRNAは、主細胞に加えて介在ニューロンにも集中しており、また、全ての領域において、8t/9q発現は神経細胞には集中しているがグリア細胞には集中していないと考えられる。
【0292】
単一標識及び二重標識免疫組織化学法によって、PCIPポリペプチドとKv4ポリペプチドとが、PCIP mRNA及びKv4 mRNAが同時に発現されている細胞種及び脳領域の多くで正確に共局在することが判明した。例えば、9qmとKv4.2とは、海馬の顆粒細胞及び錐体細胞の細胞体及び樹状突起、手綱内側核内の神経細胞及び小脳籠細胞において共局在し、一方、1vとKv4.3とは、後部帯状回皮質の第2層神経細胞、海馬の介在ニューロン及び小脳顆粒細胞の一サブセットにおいて共局在した。免疫沈降分析によって、1v及び9qmがラットの脳膜において共にKv4 α−サブユニットと結び付いていることが示された。
【0293】
例7:COS細胞及びCHO細胞における複数のPCIPチャネルとKv4チャネルとの結び付き
COS1細胞及びCHO細胞を、リポフェクトアミンプラス法にて、製造者(ベーリンガー・マンハイム社)の記載した方法に概ね従い、個々のPCIP(KChIP1、KChIP2、KChIP3)のみを単独で用いて、或いはKv4.2又はKv4.3を併用して一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、細胞を洗浄し、固定し、前述の免疫蛍光法による視覚化のための処理を行った(Bekele−Arcuri他(1996)Neuropharmacology,35:851−865)。前記Kv4チャネル又は前記PCIPタンパク質に対するアフィニティ精製されたウサギのポリクローナル抗体又はマウスのモノクローナル抗体を、前記標的タンパク質の免疫蛍光検出に用いた。
【0294】
前記PCIPは、単独に発現された場合には、COS−1細胞及びCHO細胞の細胞質全体に分散して存在したが、細胞質タンパク質でも同様であると予想される。これに対し、Kv4.2及びKv4.3ポリペプチドは、単独に発現された場合には、核周囲のER及びゴルジ区画に集中し、一部の免疫反応が前記細胞の外縁部に集中した。前記PCIPがKv4 α−サブユニットと同時に発現された場合には、前記PCIPの分散特性は大きく異なり、前記PCIPは前記Kv4 α−サブユニットと正確に共局在した。前記PCIPのこの再分布は、Kv1.4 α−サブユニットと同時に発現された場合には起こらなかった。このことは、異常なPCIP局在は過剰な発現の結果として起こるのではなく、これらのPCIPはKv4−ファミリーのα−サブユニットと特異的に結び付くことを示している。
【0295】
PCIPポリペプチドとKv4ポリペプチドとが、同時にトランスフェクトされた細胞内で単に共局在しているだけではなく、緊密に結び付いていることを立証するために、上述のPCIP及びチャネル特異的抗体を用いたレシプロカル(原語reciprocal)免疫沈降分析を実施した。抗Kv4.2抗体及び抗Kv4.3抗体が、同時にトランスフェクトされた細胞から作製した溶解産物からKChIP1、KChIP2及びKChIP3タンパク質を免疫沈降させる能力を有すること及び、抗PCIP抗体が、これらと同じ溶解産物からKv4.2及びKv4.3 α−サブユニットを免疫沈降させる能力を有することから、3つのPCIPポリペプチドが全て、同時にトランスフェクトされた細胞中でKv4 α−サブユニットと結び付いていることが立証された。これらの細胞を、界面活性剤及びプロテアーゼ阻害物質を含有する緩衝液中で溶解させ、前述の方法(Nakahira他(1996)J.Biol.Chem.,271:7084−7089)に概ね従って免疫沈降反応用に調製した。免疫沈降を、Nakahira他(1996)J.Biol.Chem.,271:7084−7089並びにHarlow E.及びLane,D.,Antibodies:A Laboratory Manual,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、c1988に記載の方法で実施した。前記免疫沈降の産物を、SDS−PAGE法にてサイズ分画し、標準的な方法でニトロセルロースフィルタに転写した。
【0296】
Kv4チャネルの細胞質内のN末端が、前記PCIPとの相互作用に充分であるか否かを確認するために、KChIP1又はKChIP2を、219個のアミノ酸からなる細胞内C末端全体を欠くKv4.3ミュータント(Kv4.3ΔC)と同時に発現させた。一過性にトランスフェクトされたCOS−1細胞では、前記Kv4.3ΔCミュータントは核周囲のER及びゴルジ体内に集中して存在し、前記細胞の外縁部では、殆ど又は全く観察されなかった。それにもかかわらず、KChIP1及びKChIP2は、同時にトランスフェクトされた細胞でKv4.3ΔCと正確に共局在し、更に、Kv4.3ΔCはPCIP抗体によって効率的に共免疫沈降された。このことは、これらのPCIPとKv4 α−サブユニットとの相互作用が前記チャネルの細胞内C末端を必要としないことを示している。
【0297】
例8:天然の組織における複数のPCIPチャネルと複数のKv4チャネルとの結び付き
天然の組織において複数のPCIPが複数のKv4サブユニットと共局在及び結合するか否かを調べるために、複数のKv4特異的抗体及び複数のPCIP特異的抗体を用いて、ラットの脳膜の単一標識及び二重標識免疫組織化学分析並びにレシプロカル(原語reciprocal)共免疫沈降分析を行った。ラットの脳切片の免疫組織化学染色によって、KChIP1及びKChIP2が、領域特異的及び細胞種特異的にKv4.2及びKv4.3と共局在することが示された。例えば、KChIP1は、海馬の介在ニューロン、小脳顆粒細胞、小脳糸球体、小脳の籠細胞及びゴルジ細胞の樹状突起と苔状線維終末と間の特定のシナプス配列において、Kv4.3と共局在した。KChIP2は、歯状回の顆粒細胞の樹状突起、海馬及び新皮質の錐体細胞の先端樹状突起及び基底樹状突起、線条体及び上丘を含めた複数の皮質下構造において、Kv4.3及びKv4.2と共局在した。ラットの脳全体から作製したシナプス膜を用いて実施した共免疫沈降分析の結果、前記PCIP(KChIP1、2及び3)が、脳のK+チャネル複合体中でKv4.2及びKv4.3と緊密に結び付いていることが判明した。抗PCIP抗体は、脳膜からのKv4.2及びKv4.3を免疫沈降させ、抗Kv4.2及びKv4.3抗体は、前記PCIPを免疫沈降させた。前記PCIPポリペプチドのいずれも、抗Kv2.1抗体によっては免疫沈降されなかったが、このことは、これらのPCIPと脳Kvチャネルとの結び付きがKv4 α−サブユニットに特異的である可能性があることを示している。以上を併せて考慮すると、これらの解剖学的及び生化学的分析は、これらのPCIPが天然のKv4チャネル複合体の必須の構成要素であることを示している。
【0298】
例9:PCIPはカルシウム結合タンパク質である
KChIP1、2及び3がCa2+と結合するか否かを調べるために、GST−融合タンパク質を各PCIPについて作製し、前記GST−融合タンパク質及びGSTから酵素開裂された組換えPCIPポリペプチドが45Ca2+と結合する能力を、フィルタ重層アッセイ(例えばKobayashi他(1993)Biochem.Biophys.Res.Commun.189(1):511−7に記載)にて検査した。このアッセイで、3つのPCIPポリペプチドは全て、45Ca2+との強い結合を示したが、無関係なGST−融合タンパク質は前記結合を示さなかった。更に、3つのPCIPポリペプチドは全て、SDS−PAGEでCa2+に依存した移動度の変化を示したが、このことは、このファミリーの他のメンバーと同様に、KChIP1、2及び3が実際にはCa2+結合タンパク質であることを示している(Kobuyashi他(1993)同上;Buxbaum他 Nef(1996).Neuron−specific calcium sensors(the NCS−1 subfamily).In:Celio MR(編)Guidebook to the calcium−binding proteins.ニューヨーク州オックスフォード・ユニバーシティ・プレス社、pp94−98;Buxbaum J.D.,他(1998)Nature Med.4(10):1177−81)。
【0299】
例10:PCIPの電気生理学的特性の解析
例えばKChIP1(1v)、KChIP2(9ql)及びKChIP3(p19)などのPCIPが、脳内でKv4 α−サブユニットと共局在及び結合していることから、これらのPCIPがKc4チャネルの伝達特性を変化させるのか否かを調べることが別の重要な課題であった。この問題に対処するために、Kv4.2及びKv4.3を、単独で及び各PCIPと組み合わせて発現させた。CHO細胞を、DOTAPリポフェクション法を用いて、製造者(ベーリンガー・マンハイム社)が記載する方法で、cDNAにより一過性にトランスフェクトさせた。強化型GFPと目的の遺伝子とを同時にトランスフェクトさせた後に、前記細胞が緑色GFP蛍光を発するか否かを調べることにより、トランスフェクトされた細胞を特定した。CHO細胞内の電流を、パッチクランプ法にて測定した(Hamill他 1981.Pfluegers Arch.391:85−100)。
【0300】
CHO細胞におけるラットKv4.2 α−サブユニットの一過性トランスフェクションの結果、典型的なA型K+伝達が発現された。Kv4.2とKChIP1とが同時に発現されることで、KChIP1が前記チャネルに対して及ぼす幾つかの顕著な効果が明らかになった(図41及び表1)。第一に、Kv4.2の電流振幅は、KChIP1の存在下でおよそ7.5倍に増加した(Kv4.2のみの振幅=0.60+/−0.096nA/細胞;Kv4.2+KChIP1=4.5+/−0.55nA/細胞)。細胞表面膜面積の一尺度である細胞の静電容量を補正することによって電流密度に換算すると、Kv4.2の電流密度は、KChIP1との同時発現によって12倍に増加し(Kv4.2のみ=25.5+/−3.2pA/pF;Kv4.2+KChIP1=306.9+/−57.9pA/pF)、KChIP1がKv4.2の表面での発現を促進及び/又は安定化させることが示された。この電流密度の増加に加えて、Kv4.2及びKChIP1を発現している細胞において、Kv4.2電流を活性化させるためのしきい値が大幅に左側に変動した(Kv4.2のみの活性化V1/2=20.8+/−7.0mV、Kv4.2+KChIP1=−12.1+/−1.4mV)。最後に、Kv4.2の失活反応速度は、Kv4.2がKChIP1と同時に発現された場合には、大幅に遅くなった(Kv4.2のみの失活時定数=28.2+/−2.6ms;Kv4.2+KChIP1=104.1+/−10.4ms)が、一方、Kv4.2とKChIP1との双方を発現している細胞(回復タウ=53.6+/−7.6ms)においては、チャネルは、Kv4.2のみを発現している細胞(回復タウ=272.2+/−26.1ms)よりも迅速に失活から回復した。
【0301】
KChIP1、2及び3は、N末端がそれぞれ異なるが、C末端「コア」ドメイン内のアミノ酸の種類はかなり一致する。N末端の相違にもかかわらず、KChIP2及びKChIP3がKv4.2電流密度及び反応速度に与える作用は、KChIP1が及ぼす前記作用と酷似している(表1)。従って、3つのEFハンド全てを持つ前記保存されているC末端コアドメインがKv4電流密度及び反応速度を調節するのに十分であることを確認するために、KChIP1及びKChIP2のN末端切断ミュータントを作製した。KChIP1ΔN2−31及びKChIP2ΔN2−67ミュータントはそれぞれ、KChIP1及びKChIP2を切断してC末端の185個のアミノ酸コア配列としたものである。CHO細胞においてKChIP1ΔN2−31又はKChIP2ΔN2−67をKv4.2と同時に発現させることにより、Kv4.2の電流密度及び反応速度が変化したが、これらの変化は、全長KChIP1又はKChIP2によってもたらされる変化と殆ど同じであった(表1)。
【0302】
これらのKChIPによる調節作用がKv4チャネルに特異的であるのか否かを調べるために、KChIP1をアフリカツメガエルの卵母細胞中でKv1.4及びKv2.1と同時に発現させた。アフリカツメガエルの卵母細胞に、標準的なin vitro転写技術(Sambrook他 1989.Molecular Cloning:a laboratory manual、コールド・スプリング・ハーバー・プレス社)を用いて作製した1乃至3ng/卵母細胞のcRNAを注入した。アフリカツメガエルの卵母細胞内の電流を、二電極電圧クランプにて測定した。KChIP1は、Kv1.4及びKv2.1に対してはいかなる作用も及ぼさない(表2)と思われ、このことは、これらの機能作用がKv4チャネルに特異的である可能性があることを示している。KChIP作用に対する最終的なコントロールとして、及びKChIPがKv4電流に及ぼす作用が発現系とは無関係であることを立証するために、アフリカツメガエルの卵母細胞においてKv4.3及びKChIP mRNAを発現させた後に、上述の反応速度アッセイを繰り返した。アフリカツメガエルの卵母細胞系においてKChIP1がKv4.3に及ぼす作用は、CHO細胞においてKv4.2に及ぼされる前記作用と酷似していた(表1)。
【0303】
これらのKChIPがCa+に結合することから、KChIP1がKv4.2電流に及ぼす作用がCa+に依存するのか否かを調べることも重要な課題である。この課題に間接的に対処するために、KChIP1のEFハンドドメインのそれぞれに点変異を導入した:一方のミュータントは、最初の2つのEFハンドに点変異を有し(D199からA、G104からA、D135からA及びG140からA)、他方のミュータントは、3つのEFハンド全てに点変異を有した(D199からA、G104からA、D135からA、G140からA、D183からA及びG188からA)。これらの変異は、前記EFハンドコンセンサス中の最も高度に保存されたアミノ酸をアラニンに置換するものであった(図25;Linse,S.及びForsen,S.(1995) Determinants that govern high−affinity Calcium binding.In Means,S.(編)Advances in second messenger and phosphoprotein research.ニューヨーク、レーヴンズプレス社、30:89−150)。このKchIP1の3つのEFハンドミュータントとKv4.2又はKv4.3とのCOS細胞における同時発現は、このミュータントが、COS−1細胞においてKv4 α−サブユニットと共局在および効率的に共免疫沈降することを示した。しかし、これらのEFハンド点変異は、KChIP1がKv4.2の反応速度に及ぼす作用を完全に打ち消した(表1)。併せて考慮すると、これらの結果は、KChIP1とKv4.2との相互作用はCa+とは無関係であるが、Kv4.2の反応速度のKChIP1による調節は、Ca2+依存性であるか又は前記EFハンドドメイン内の点変異により引き起こされる構造上の変化に感応性であることを示している。
【0304】
(表1)
Figure 2004525610
【0305】
(表2)
Figure 2004525610
【0306】
例11:KChIP1がCOS−1細胞表面におけるKV4−αサブユニットの発現に及ぼす影響
KChIP1がKv4チャネルの表面発現を促進する能力を調べるために、KChIP1がKv4チャネルとPSD−95とをKv4チャネルの表面上に一緒に集中的に形成させる能力をモニタした。PSD−95を、前記複合体の視覚化のために使用した。
【0307】
Kv4.3とPSD−95との相互作用を容易にするために、rKv1.4(SNAKAVETDV、配列番号:73)からのC末端の10個のアミノ酸がKv4.3のC末端に付加されたキメラKv4.3サブユニット(Kv4.3ch)を作製した。前記rKv1.4からのC末端の10個のアミノ酸は、PSD−95と結合し、かつ前記Kv4.3のC末端と融合すると、前記Kv4.3タンパク質にPSD−95との結合能力を付与するという理由で使用した。COS−1細胞におけるKc4.3chの発現は、前記細胞の外縁部で検出されたKv4.3chの免疫活性がわずかであったことから、前記Kv4.3chポリペプチドが核周囲の細胞質中に捕捉されたことを示した。Kv4.3chがPSD−95と同時に発現された場合には、PSD−95は核周囲の細胞質中に捕捉され、Kv4.3chと共局在した。しかし、KChIP1がKv4.3ch及びPSD−95と同時に発現された場合には、Kv4.3ch、KChIP1及びPSD−95の大きな斑状の集合が表面上に観察された。三重標識免疫蛍光検査によって、これらの表面集合に3つのポリペプチド全てが含まれることが確認され、また、レシプロカルな(原語reciprocal)共免疫沈降分析によって、これら3つのポリペプチドがこれらの表面集合中で互いに結び付いていることが示された。コントロール実験で、KChIP1はPSD−95のみとは相互作用せず、また表面集合中でKv1.4及びPSD−95とは共局在しないことが示された。併せて考慮すると、これらのデータは、KChIP1がKv4.3サブユニットの細胞表面への移行を促す可能性があることを示している。
【0308】
例12:PCIPタンパク質の特性の解析
この例では、PCIPタンパク質のアミノ酸配列を既知のタンパク質のアミノ酸配列と比較し、様々なモチーフを同定した。
【0309】
配列番号:3で表されるアミノ酸配列を持つ1vポリペプチドは、アミノ酸残基216個を持つ新規なポリペプチドである。カルシウム結合に関与すると推定されるドメイン(Linse,S.及びForsen,S.(1995)Advances in Second Messenger and Phosphoprotein Research 30、チャプター3、p89−151、Means,AR.編、レーヴンプレス社、ニューヨーク)を、配列アライメント(図21を参照のこと)によって同定した。
【0310】
配列番号:30で表されるアミノ酸配列を持つ8tポリペプチドは、アミノ酸残基225個を持つ新規なポリペプチドである。カルシウム結合に関与すると推定されるドメイン(Linse,S.及びForsen,S.(1995)Advances in Second Messenger and Phosphoprotein Research 30、チャプター3、p89−151、Means,AR.編、レーヴンプレス社、ニューヨーク)を、配列アライメント(図21を参照のこと)によって同定した。
【0311】
9qポリペプチドは、カルシウム結合に関与すると推定されるドメイン(Linse,S.及びForsen,S.(1995)Advances in Second Messenger and Phosphoprotein Research 30、チャプター3、p89−151、Means,AR.編、レーヴンプレス社、ニューヨーク)を持つ新規なポリペプチドである(図21を参照のこと)。
【0312】
p19ポリペプチドは、カルシウム結合に関与すると推定されるドメイン(Linse,S.及びForsen,S.(1995)Advances in Second Messenger and Phosphoprotein Research 30、チャプター3、p89−151、Means,AR.編、レーヴンプレス社、ニューヨーク)が含まれる新規なポリペプチドである(図21を参照のこと)。
【0313】
ラット1vlのヌクレオチド配列のBLASTN 2.0.7検索(Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403)によって、ラット1vlがラットcDNAクローンRMUAH89(登録番号AA849706)と類似していることが判明した。ラット1vl核酸分子は、ヌクレオチド1063乃至1488の98%が、ラットcDNAクローンRMUAH89(登録番号AA849706)と相同である。
【0314】
ヒト9qlのヌクレオチド配列のBLASTN 2.0.7検索(Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403)によって、ヒト9qlがヒトcDNAクローン1309405(登録番号AA757119)と類似していることが判明した。ヒト9ql核酸分子は、ヌクレオチド937乃至1405の98%が、ヒトcDNAクローン1309405(登録番号AA757119)と相同である。
【0315】
マウスP19のヌクレオチド配列のBLASTN 2.0.7検索(Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403)によって、マウスP19がハツカネズミcDNAクローンMNCb−7005(登録番号AU035979)と類似していることが判明した。マウスP19核酸分子は、ヌクレオチド1乃至583の98%が、ハツカネズミcDNAクローンMNCb−7005(登録番号AU035979)と相同である。
【0316】
例13:細菌細胞における組換えPCIPタンパク質の発現
この例では、PCIPは大腸菌中で組換えグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合ポリペプチドとして発現され、この融合ポリペプチドを単離してその特性を解析する。具体的には、PCIPをGSTと融合させ、この融合ポリペプチドを、例えばBI21株などの大腸菌中で発現させる。前記GST−PCIP融合タンパク質のBI21中での発現を、IPTGにて誘導する。この組換え融合ポリペプチドを、前記誘導後のBI21株の溶菌液から、グルタチオンビーズ上でのアフィニティクロマトグラフィによって精製する。前記溶菌液から精製したポリペプチドのポリアクリルアミドゲル電気泳動分析により、前記得られた融合ポリペプチドの分子量を測定する。
【0317】
ラット1v及び9qlを、pGEX−6p−2(ファーマシア社)中にクローニングした。得られた組換え融合タンパク質を、大腸菌細胞中で発現させ、当業で公知の方法(例えばCurrent Protocols in Molecular BiologyAusubel他編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社:1992に記載)に従って精製した。前記精製したタンパク質の種類を、ラット1v及び9qlのペプチドエピトープに対抗する抗体を用いたウェスタンブロット法にて確認した。
【0318】
例14:COS細胞における組換えPCIPタンパク質の発現
COS細胞におけるPCIP遺伝子の発現に、インビトロジェン社(カリフォルニア州サンディエゴ)のpcDNA/Ampベクターを使用する。このベクターは、SV40複製起点と、アンピシリン耐性遺伝子と、大腸菌複製起点と、ポリリンカ領域がその後に続くCMVプロモータと、SV40イントロン及びポリアデニレーション部位と、を有する。前記PCIPタンパク質全体をコードする断片及び前記断片の3’末端にインフレームで融合したHA標識(Wilson他(1984)Cell 37:767)又はFLAG標識を、前記ベクターの前記ポリリンカ領域内にクローニングすることにより、前記組換えタンパク質を前記CMVプロモータの制御下で発現させる。
【0319】
プラスミド作製のために、前記PCIP DNA配列を、2つのプライマを用いたPCRで増幅させる。5’プライマには、目的の制限部位が含まれ、その後に、開始コドンから始まる前記PCIPのコード配列の約20個のヌクレオチドが続く;3’末端配列には、もう一方の目的の制限部位の相補的配列と、翻訳終了コドンと、前記HA標識又はFLAG標識と、前記PCIPコード配列の最後の20個のヌクレオチドとが含まれる。PCR増幅した前記断片と前記pcDNA/Ampベクターとを、適切な制限酵素で消化し、前記ベクターをCIAP酵素(ニューイングランドバイオラブズ社、マサチューセッツ州ベヴァリー)を用いて脱リン酸化させる。前記PCIP遺伝子が正しい方向に挿入されるように、前記選択した2つの制限部位は互いに異なることが望ましい。前記ライゲーション混合物を大腸菌細胞(カリフォルニア州ラホーヤ、ストラタジーンクローニングシステムズ社から入手可能なHB101、DH5a、SURE株を使用可能)中に形質転換させ、前記形質転換した培養株をアンピシリン培地プレート上で培養し、耐性のコロニを選択する。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、正しい断片の有無を制限分析で調べる。
【0320】
次に、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈法、DEAE−デキストランを用いたトランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーションにより、COS細胞をPCIP−pcDNA/AmpプラスミドDNAでトランスフェクトさせる。宿主細胞をトランスフェクトさせるためのその他の好適な方法は、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.及びManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1989に記載されている。前記PCIPポリペプチドの発現を、放射線標識法(NEN社、マサチューセッツ州ボストンから入手可能な35S−メチオニン又は35S−システインを使用可能)及び免疫沈降法(Harlow,E.及びLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、1988)により、HA特異的モノクローナル抗体を用いて検出する。簡単に説明すると、前記細胞を35S−メチオニン(又は35S−システイン)で8時間標識する。次に、培地を回収し、界面活性剤(RIPA緩衝液、150mMのNaCl、1%のNP−40、0.1%のSDS、0.5%のDOC、50mMのトリス、pH7.5)を用いて細胞を溶解させる。前記細胞溶解産物及び前記培地の双方を、HA特異的モノクローナル抗体で沈降させる。次に、沈降したポリペプチドをSDS−PAGE法にて分析する。
【0321】
又は、前記PCIPコード配列を有するDNAを、適切な制限部位を用いて前記pcDNA/Ampベクター中に直接にクローニングする。得られたプラスミドを上述の方法でCOS細胞中にトランスフェクトさせ、PCIPポリペプチドの発現を、放射線標識及びPCIP特異的モノクローナル抗体を用いた免疫沈降法にて検出する。
【0322】
ラット1vを哺乳類の発現ベクターpRBG4中にクローニングした。LipofectAmine Plus(ギブコBRL社)を用いて、製造者の使用説明書に従い、COS細胞へのトランスフェクションを行った。発現した1vタンパク質を、ウサギ又はマウス中で1vに対抗して産生された抗体を用いて、免疫細胞化学反応及び/又はウェスタンブロット分析で検出した。
【0323】
例15:ヒト全長P19の同定及び特性の解析
ヒト全長p19配列を、RACE PCR法にて同定した。p19(KChIP3とも呼ぶ)の配列を図16に示す。ヒトp19のアミノ酸配列は、マウスp19遺伝子(配列番号:35)と92%相同である。
【0324】
ヒトp19のタンパク質配列を用いたTBLASTN検索により、ヒトp19が、2つの配列、カルセニリン((1998)Nature Medicine 4:1177−1181に記載)並びに、プロジノルフィン(原語prodynorphin)及びc−fos転写のCa2+依存性の調節因子であるDREAM(Carrion他(1999)Nature 398:80−84に記載)と相同であることが判明した。ヒトp19は、ヌクレオチドレベルでカルセニリンと100%相同であり(但し、発表されている配列の3’側に伸びている)、またヌクレオチドレベルでDREAMと99%相同である。
【0325】
p19(及びその他のPCIPファミリーメンバー)がプレセニリンと共局在して転写因子として作用する能力を、ノーザンブロット法、in situハイブリダイゼーション、β−galアッセイ、DNA移動度アッセイ(例えばCarrion他(1999)Nature 398:80に記載)及びDNA移動度スーパーシフトアッセイなどの当業で周知の方法により、KChIPに特異的な抗体を用いて調べる。
【0326】
PCIPファミリーメンバーとプレセニリンとの結び付きを調べるためのその他の好適なアッセイは、共免疫沈降法(例えばBuxbaum他(1998)Nature Medicine 4:1177に記載)である。
【0327】
例16:サルKChIP4の同定及び特性の解析
この例では、サルKChIP4a(jlkbd352e01t1)及び選択的にスプライスされたサルKChIP4b(jlkbb231c04t1)、KChIP4c(jlkxa053c02)及びKChIP4d(jlkx015b10)をコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。プロプライエタリなデータベースを既知のPCIPファミリーメンバーの配列でTBLASTN検索した結果、4つのクローンjlkbb231c04t1、jlkbd352e01t1、jlkxa053c02及びjlkx015b10が同定された。前記4つのサルクローンを取得して配列決定した。
【0328】
プロプライエタリなサルクローンjlkbb231c04t1及びjlkbd352e01t1は、ここでKChIP4と呼ぶ更なる一PCIPファミリーメンバーの選択的にスプライスされたバリアントに対応することが判明した。クローンjlkbb231c04t1は、jlkbd352e01t1と比較して822塩基対の(エキソンのスプライスアウトによると推定される)欠失を有し、このために、最後のEFハンドドメインが欠落している。クローンjlkbd352e01t1では、前記最後のEFハンドドメインは保存されており、そのC末端はPCIPファミリーメンバー1v、9ql及びp19のC末端と高度に相同である。KChIP4、1v、9ql及びp19の互いに相同なC末端の全体的な相同度は、アミノ酸レベルで71%乃至80%であった(CLUSTALWを用いたアライメントを実施した)。
【0329】
サルKChIP4c及びKChIP4dは、サルKChIP4aを検索キーワードとしたプロプライエタリなデータベースのBLASTN検索によって発見された。
【0330】
サルKChIP4a cDNAのヌクレオチド配列及び前記KChIP4aポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図23並びに配列番号:48及び49にそれぞれ示される。
【0331】
サルKChIP4b cDNAのヌクレオチド配列及び前記KChIP4bポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図24並びに配列番号:50及び51にそれぞれ示される。
【0332】
サルKChIP4c cDNAのヌクレオチド配列及び前記KChIP4cポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図35並びに配列番号:69及び70にそれぞれ示される。
【0333】
サルKChIP4d cDNAのヌクレオチド配列及び前記KChIP4dポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図36並びに配列番号:71及び72にそれぞれ示される。
【0334】
図37は、タンパク質配列KChIP4a、KChIP4b、KChIP4c及びKChIP4dのアライメントを図示したものである。
【0335】
ラットKChIP4は、主に脳内で発現され、腎臓でも若干発現されるが、心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋又は精巣では発現されないことが、クロンテック社から購入したノーザンブロットをラットKChIP4の3’側非翻訳領域からのDNA断片で標識したノーザンブロット実験によって示された。
【0336】
例17:ヒト及びラット33b07の同定及び特性の解析
この例では、ラット及びヒト33b07をコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。部分長ラット33b07(クローン名9o)を、rKv4.3Nをおとりとした上述の2ハイブリッドスクリーニングから陽性クローンとして単離した。全長ラット33b07クローンを、プロプライエタリなデータベースのマイニングによって同定した。
【0337】
全長ラット33b07 cDNAのヌクレオチド配列及び前記ラット33b07ポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図26及び配列番号:52及び53にそれぞれ示される。前記ラット33b07 cDNAは、分子量約44.7kD、407アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0338】
ラット33b07は、酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nと結合するが、rKv4.2Nに対して僅かに選択性を示す。一方、ラット33b07はrKv1.1Nとは結合しない。このことは、ラット33b07−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0339】
ラット33b07は、主に脳内で発現されることがノーザンブロット分析で示されている。
【0340】
ヒト33b07オルソログ(クローン106d5)も、プロプライエタリなデータベースのマイニングによって同定した。全長ヒト33b07 cDNAのヌクレオチド配列及び前記ヒト33b07の推定アミノ酸配列は、図27及び配列番号:54及び55にそれぞれ示される。前記ヒト33b07 cDNAは、分子量約45.1kD、414アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0341】
ヒト33b07は、ヒトKIAA0721タンパク質(GenBank登録番号:AB018264)と、アミノ酸レベルで99%相同である。但し、GenBank登録番号:AB018264には機能アノテーションがない。ヒト33b07は、精巣特異的(Y−コード化された)タンパク質(TSP(Y))、SET及びヌクレオソーム構成タンパク質(NAP)とも相同である。ヒト33b07は、ヒトSETタンパク質(GenBank登録番号Q01105=U51924)と、アミノ酸204乃至337で38%相同であり、アミノ酸334乃至387で46%相同である。
【0342】
ヒトSETは、HLA−DR関連タンパク質II(PHAPII)(Hoppe−Seyler(1994)Biol.Chem.375:113−126)とも呼ばれ、SET−CAN融合遺伝子を形成させる転座事象の結果として起こる急性未分化型白血病(AUL)に関与する場合がある(Von Lindern M.他(1992)Mol.Cell.Biol.12:3346−3355)。SETの別の一スプライス形は、鋳型活性化因子−Iアルファ(TAF)と呼ばれる。TAFは、骨髄性白血病の発生に関与することが判明している(Nagata K.他(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92 (10),4279−4283)。ヒトSETも、ホスファターゼ2Aのタンパク質阻害物質となりうる(Adachi Y.他(1994)J.Biol.Chem.269:2258−2262)。NAPは、クロマチン形成の調節に関与し、細胞増殖の調節に寄与する可能性がある(Simon H.U.他(1994)Biochem.J.297,389−397)。
【0343】
このように、33b07は、上述のタンパク質との相同性から、ホスファターゼのタンパク質阻害物質、腫瘍遺伝子及び/又はクロマチンモジュレータとして機能する可能性がある。特に注目すべきは、タンパク質ホスファターゼ阻害物質であるSETとの33b07の相同性である。多くのチャネル、とりわけKv4チャネル(33b07がこれに関与している)は、PKC及びPKAによるリン酸化によって調節されることが知られている((1998)J.Neuroscience 18(10):3521−3528;Am J Physiol 273:H1775−86(1997)。従って、33b07は、カリウムチャネルのリン酸化状態を調節することによってKv4活性を調節する可能性がある。
【0344】
例18:ラット1pの同定及び特性の解析
この例では、ラット1pをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。部分長ラット1pを、rKv4.3Nをおとりとして使用した上述の酵母2ハイブリッドスクリーニングから陽性クローンとして単離した。
【0345】
部分長ラット1p cDNAのヌクレオチド配列及びラット1pポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図28並びに配列番号:56及び57にそれぞれ示される。前記ラット1p cDNAは、分子量約28.6kD、267アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0346】
ラット1pは、酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nと結合するが、rKv4.3Nに対して僅かに選択性を示す。一方、1pはrKv1.1Nとは結合しない。このことは、1p−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0347】
ラット1pは、主に脳内で発現されることがノーザンブロット分析で示されている。
【0348】
スコア100、ワード長3で行ったラット1pのアミノ酸配列のBLASTP1.4検索(Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403)で、ラット1pがヒトRestin(GenBank登録番号P30622;細胞質リンカタンパク質−170 アルファ−2(CLIP−170)、M97501とも呼ばれる)と類似していることが判明した。このラット1pタンパク質は、ヒトRestinとアミノ酸残基105乃至182で58%相同であり、ヒトRestinとアミノ酸残基115乃至186で55%相同であり、ヒトRestinとアミノ酸残基173乃至246で22%相同であり、ヒトRestinとアミノ酸残基169乃至218で22%相同であり、ヒトRestinとアミノ酸残基217乃至228で58%相同である。
【0349】
Restinは、Reed−Sternberg中間径フィラメント関連タンパク質とも呼ばれる。Reed−Sternberg細胞は、ホジキン病に特徴的な腫瘍性の細胞である。Restinの過剰な発現は、ホジキン病の進行に寄与する一要因である可能性があることが示唆されており(Altschul他(1990)J.Mol.Biol.215:403)、またRestinは、細胞内小胞を微小管に繋げる中間径フィラメント関連タンパク質であると思われる(Pierre P,他(1992)Cell 70(6),887−900)。
【0350】
細胞骨格は、カリウムチャネルの活性を調節する(例えば、Honore E他(1992)EMBO J.11:2465−2471及びLevin G他(1996)J.Biol.Chem.271:29321−29328)と共に、例えばCa++チャネル(Johnson B.D.他(1993)Neuron 10:797−804)又はNa+チャネル(Fukuda J.他(1981)Nature 294:82−85)などの他のチャネルの活性も調節する。
【0351】
従って、ラット1pタンパク質は、前記Restinタンパク質との相同性から、細胞骨格と結び付いている可能性があり、また、前記細胞骨格との結び付きを介して、例えばKv4などのカリウムチャネルの活性を調節する可能性がある。
【0352】
例19:ラット7sの同定及び特性の解析
この例では、ラット7sをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。部分長ラット7sを、rKv4.3Nをおとりとして使用した上述の酵母2ハイブリッドスクリーニングから、陽性クローンとして単離した。ラット7sは、ヒト空胞H(+)−ATPアーゼ触媒サブユニットA(登録番号P38606及びB46091)のラットオルソログであり、例えばvan Hille B.他(1993)J.Biol.Chem.268(10),7075−7080に記載されている。
【0353】
部分長ラット7s cDNAのヌクレオチド配列及びラット7sポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図29並びに配列番号:58及び59にそれぞれ示される。前記ラット7s cDNAは、分子量約28.6kD、270アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0354】
ラット7sは、酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nと結合するが、rKv4.3Nに対して選択性を示す。一方、7sはrKv1.1Nとは結合しない。このことは、7s−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0355】
ラット7sは、胚、肝臓、心臓、精巣及び骨格筋におけるよりも、脳及び腎臓において有意に高いレベルで発現されることが、ノーザンブロット分析で示されている。
【0356】
例20:ラット29x及び25rの同定及び特性の解析
この例では、ラット29xをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。ラット29xを、rKv4.3Nをおとりとして使用した上述の酵母2ハイブリッドアッセイから、陽性クローンとして単離した。ラット25rは、29xのスプライスバリアントである。これら2つは5’側非翻訳領域が異なるが、コード領域及びアミノ酸レベルでは相同である。
【0357】
ラット29x cDNAのヌクレオチド配列及びラット29xポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図30並びに配列番号:60及び61にそれぞれ示される。前記ラット29x cDNAは、分子量約40.4kD、351アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0358】
ラット25r cDNAのヌクレオチド配列は、図31及び配列番号:62にそれぞれ示される。前記ラット25r cDNAは、分子量約40.4kD、351アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0359】
ラット29xは、脾臓、肺、腎臓、心臓、脳、精巣、骨格筋及び肝臓において発現されるが、このうち脾臓において最も高いレベルで、肺において最も低いレベルで発現される。
【0360】
ラット29xは、酵母2ハイブリッドアッセイでrKv4.3N及びrKv4.2Nと結合するが、rKv4.3Nに対して僅かに選択性を示す。一方、29xはrKv1.1Nとは結合しない、このことは、29x−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0361】
ラット29xは、Starr R.他(1997)Nature 387:917−921に記載のラットSOCS−1(サイトカインシグナリングの抑圧遺伝子);Endo T.A.他(1997)Nature 387:921−924に記載のJAB;及びNaka T.他(1997)Nature 387:924−928に記載のSOCS−1(STAT誘導性STAT阻害物質−1)とアミノ酸レベルで相同である。これらのタンパク質は、SH2ドメインを有し、JAKキナーゼに結合してこれを阻害し、この結果サイトカインシグナリングを調節することを特徴とする。
【0362】
ここで使用する「SH2ドメイン」という用語は、Src相同2ドメインとも呼ばれるが、例えば他のタンパク質のホスホチロシン残基などのホスホチロシン残基の結合に関与する、約100アミノ酸長のタンパク質ドメインを持つ。この標的部位は、SH2結合部位と呼ばれる。前記SH2ドメインは、2つのアルファヘリックス及び6つ乃至7つのベータ鎖からなる保存された三次元構造を有する。前記SH2ドメインのコアは、2つの互いに接続されたベータシートからなる連続的なベータメアンダ(原語beta meander)によって形成される(Kuriyan J.他(1997)Curr.Opin.Struct.Biol.3:828−837)。SH2ドメインは、ホスホチロシンを含有する標的ペプチドと高い親和度で配列特異的かつ完全にリン酸化依存的な仕方で相互作用することにより、細胞内シグナリングカスケードの調節モジュールとして機能する(Pawson T.(1995)Nature 373:573−580)。幾つかのタンパク質は、リンタンパク質との結合親和性を高めるか又は複数の異なるリンタンパク質への結合能力を付与する複数のSH2ドメインを有する。ラット29xは、配列番号:61のアミノ酸残基219乃至308にSH2ドメインを有する。
【0363】
チロシンリン酸化は、カリウムチャネル活性を調節する(Prevarskaya N.B.他(1995)J.Biol.Chem.270:24292−24299)。JAKキナーゼは、タンパク質をチロシンでリン酸化させ、チャネル活性の調節に関与している(Prevarskaya N.B.他、同上)。従って、SOCS−1、JAB及びSSI−1との相同性に基づき、ラット29xは、例えばKv4などのカリウムチャネルの活性を、JAKキナーゼ活性を調節することによって調節する可能性がある。
【0364】
例21:ラット5pの同定及び特性の解析
この例では、ラット5pをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。ラット5pを、rKv4.3Nをおとりとして使用した上述の酵母2ハイブリッドスクリーニングから陽性クローンとして単離した。
【0365】
ラット5p cDNAのヌクレオチド配列及びラット5pポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図32並びに配列番号:63及び64にそれぞれ示される。前記ラット5p cDNAは、分子量約11.1kD、95アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0366】
ラット5pは、酵母2ハイブリッドアッセイで、rKv4.3N及びrKv4.2Nと同程度の強度で結合する。一方、5pはrKv1.1Nとは結合しない。このことは、5p−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0367】
ラット5pは、脾臓、肺、骨格筋、心臓、腎臓、脳、肝臓及び精巣において発現されることが、ノーザンブロット分析で示されている。
【0368】
ラット5pは、ラットCalpactin I軽鎖又はP10(登録番号P05943)と相同である。P10は、アネキシンII(p36)と結合し、その二量体化を誘導する。P10は、p36単量体がチロシン特異的キナーゼの好適な標的である(Masiakowski P.他(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85(4):1277−1281)ことから、タンパク質リン酸化の調節物質として機能する可能性がある。
【0369】
チロシンリン酸化は、カリウムチャネル活性を調節する(Prevarskaya N.B.他、同上)。従って、P10との相同性に基づき、ラット5pは、例えばKv4などのカリウムチャネルの活性を、チロシン特異的キナーゼの活性を調節することによって調節する可能性がある。
【0370】
例22:ラット7qの同定及び特性の解析
この例では、ラット7qをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。ラット7qを、rKv4.3Nをおとりとして使用した上述の酵母2ハイブリッドスクリーニングから陽性クローンとして単離した。全長ラット7qを、RACE PCRで作製した。
【0371】
ラット7q cDNAのヌクレオチド配列及びラット7qポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図33並びに配列番号:65及び66にそれぞれ示される。前記ラット7q cDNAは、分子量約23.5kD、212アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0372】
ラット7qは、酵母2ハイブリッドアッセイで、rKv4.3N及びrKv4.2Nと同程度の強度で結合する。一方、7qはrKv1.1Nとは結合しない。このことは、7q−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0373】
ラット7qは、心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓及び精巣において発現されることが、ノーザンブロット分析で示されている。
【0374】
ラット7qは、アミノ酸レベルでRAB2(ラットRAS関連タンパク質、登録番号P05712)と相同である。RAB2は、小胞輸送及びタンパク質輸送に関与すると思われる(Touchot N.他(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84(23):8210−8214)。従って、ラット7qは、RABとの相同性に基づき、例えばKv4などのカリウムチャネル輸送に関与している可能性がある。
【0375】
例23:ラット19rの同定及び特性の解析
この例では、ラット19rをコードする遺伝子の同定及び特性の解析について述べる。部分長ラット19rを、rKv4.3Nをおとりとして用いた上述の酵母2ハイブリッドスクリーニングから、陽性クローンとして単離した。全長ラット19rをRACE PCRで作製した。
【0376】
ラット19r cDNAのヌクレオチド配列及びラット19rポリペプチドの推定アミノ酸配列は、図34並びに配列番号:67及び68にそれぞれ示される。前記ラット19r cDNAは、分子量約31.9kD、271アミノ酸残基長のタンパク質をコードする。
【0377】
ラット19rは、心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓及び精巣において発現されることが、ノーザンブロット分析で示されている。
【0378】
ラット19rは、酵母2ハイブリッドアッセイで、rKv4.3N及びrKv4.2Nと結合するが、rKv4.3Nに僅かに選択性を示す。一方、19rはrKv1.1Nとは結合しない。このことは、19r−Kv4N相互作用が特異的であることを示す。
【0379】
ラット19rは、Dickeson S.K.他(1989)J.Biol.Chem.264:16557−16564に記載のラットホスファチジルイノシトール(PTDINS)輸送タンパク質アルファ(PTDINSTP、登録番号M25758又はP16446)と相同である。PTDINSTPは、ホスホリパーゼC−ベータ(PLC−ベータ)シグナリング、ホスファチジルイノシトール輸送タンパク質(PtdIns−TP)合成、分泌小胞の形成及びホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PtdIns3−キナーゼ)活性の促進(Cunningham E.他(1995)Curr.Biol.5(7):775−783;(1995)Nature 377(6549):544−547;及びPanaretou C.他(1997)J.Biol.Chem.272(4):2477−2485)に関与すると考えられている。
【0380】
従って、ラット19rは、PTDINSTPとの相同性に基づき、例えばKv4などのカリウムチャネルの活性を、PLC−ベータシグナリング経路及び/又はPtdIns3−キナーゼシグナリング経路を介して調節する可能性がある。ラットp19rは、例えばKv4などのカリウムチャネルの輸送にも関与している可能性がある。
【0381】
例24:ヒト9qの染色体局在化
この例では、放射線ハイブリッドパネル(Panel GB4)を用いたヒトPCIP 9qの染色体マッピングを行った。h9qは、部分てんかんとの連関を有することが以前に示されている染色体10qの一領域であるD10S192:10q22−q24(Ottman他(1995)Nature Genetics 10:56−60)(図43参照)に位置した。この観察に基づき、本発明は、9qタンパク質ファミリーが抗てんかん薬開発の標的及びてんかんへの医療的介入の標的となりうることを明確に立証する。
【0382】
更に、h9qは、IOSCAとの連関を有することが以前に示されている染色体10qの一領域であるD10S192及びD10S1265:10q24−Nikali(Genomics 39:185−191(1997))(図42及び43参照)に位置した。この観察に基づき、本発明は、9qタンパク質ファミリーが抗脊髄小脳失調薬開発の標的及び脊髄小脳失調への医療的介入の標的となりうることを明確に立証する。
【0383】
例25:Kv4/KChIPチャネルのアラキドン酸による調節
AAによるKv4電流の反応速度調節はKChIP依存性である
アラキドン酸(AA)は、アフリカツメガエル卵母細胞において発現される組換えKv4電流を抑制することが示されている(Villarroel,A.及びSchwarz,T.L.(1996)J.Neuroscience 16:2522−32)。しかし、この調節が観察されたのはピーク電流振幅においてのみであり、電流反応速度パラメータは、AAの存在下では影響を受けなかった。これに対し、海馬神経細胞からの膜パッチの記録から、AAは、ピーク振幅を抑制するのに加えて、Kv4チャネルによるA電流の反応速度パラメータを変化させることが示された(Keros,S.及びMcBain,C.J.(1997)J.Neuroscience 17:3476−87)。特に注目すべき点として、失活時定数が大幅に減少した(注:失活時定数は、失活速度と逆相関する)。従って、失活速度が増加した(Keros(1997)同上)。
【0384】
この例では、KChIPが上述の反応速度の差異の原因となる欠落した補助サブユニットなのではないかという仮説を、CHO細胞及びアフリカツメガエル卵母細胞の双方において、Kv4を単独で又はKChIPと同時に発現させ、これらの失活時定数を測定することで検証した(例えばAn他(2000)Nature 403:553−6;Keros,S.及びMcBain,C.J.(1997)J.Neuroscience 17:3476−87;及びVillarroel,A.及びSchwarz,T.L.(1996)J.Neuroscience 16:2522−32に記載の当業で周知の方法を用いた)。
【0385】
AAによるKv4の反応速度の調節は、KChIP依存性であることが示された(表3)。Kv4.2がCHO細胞中で単独で発現された場合には、発生した電流の失活時定数は、AA10μMの有無にかかわらず変化しなかった(32±3対32±2ミリ秒(ms)±標準誤差(SEM))。これに対し、KChIP1と同時に発現させた場合には、Kv4.2の失活時定数は、AAの非存在下における88±8msから、AA10μMの存在下では37±3msまで減少した。アフリカツメガエル卵母細胞中のKChIP1(表4)及びKChIP2についても、同様の結果が得られた。これらの結果は、AAによるKv4電流の反応速度の調節が、KChIPの存在に依存していることを示す。AAの存在下におけるKv4/KChIPの反応速度の変化は、神経細胞膜に関する上述の記載(Keros(1997)同上)と一致し、KChIPがKv4電流の内在性サブユニットであるという仮説を支持するものである。
【0386】
AAがCHO細胞及びアフリカツメガエル卵母細胞の双方におけるKv4/KChIP電流のピーク振幅をも抑制した(表3及び4)点にも注目すべきである。このことは、K4電流のピーク振幅の調節がKChIPとは無関係であることを示している。
【0387】
(表3)
Figure 2004525610
【0388】
A電流に及ぼすアラキドン酸の影響についても、Kv4及びKChIPの双方が存在する神経細胞系(培養された初代小脳顆粒細胞)で調べた。TEA(10mM)を加えて、少量の持続的な外向き電流成分を遮断した。アラキドン酸10μMの非存在下及び存在下におけるA電流の失活時定数は、それぞれ、44±5ms及び21±3ms(平均±SEM)であった。対応するピーク振幅は、2.0±0.6nAから1.2±0.4nAまで減少した。これらの結果は、アラキドン酸が天然の細胞においてKv4 A電流の振幅及び反応速度の双方を調節することを裏付けるものである。
【0389】
アラキドン酸によるKv4/KChIP電流の調節は濃度依存的かつ可逆的である
アラキドン酸の様々な濃度がKv4/KChIP電流に及ぼす影響を、アフリカツメガエル卵母細胞で調べた。アラキドン酸の生理的濃度は多くの場合10μM未満である(Needleman他、1986 Annu Rev Biochem 55:69−102;Anderson及びWelsh,1990,Proc Natl Acad Sci USA 87:7334−8;Meves,1994,Prog Neurobiol 43:175−86)ので、アラキドン酸を1乃至10μMの範囲内で検査した。Kv4.3電流のピーク振幅の濃度依存性の遮断は、KChIP1の存在とは無関係であった(図64A参照)。更に、濃度増加の関数としての振幅減少の傾きは、KChIPの有無に無関係に非常に類似していた。ピーク電流の遮断は、10μMまでは飽和しないと思われた。Villarroel及びSchwarz,(1996)J.Neurosci 16:2522−32は、アラキドン酸のKv4 αサブユニットに対するIC50が、卵母細胞でおよそ8μMであることを報告している。KChPI1の非存在下での失活時定数は、検査した全てのアラキドン酸濃度で不変であった。しかし、KChIP1の存在下では、失活時定数は濃度依存的に減少した(図64B参照)。
【0390】
アラキドン酸10μMによるKChIP依存性失活の加速開始及びKChIPに無関係なKv4.3電流の遮断は、殆ど同時であった(図65)。僅かな遅れ(14秒)の少なくとも一部は、溶液をリザーバから記録チャンバに移したことによるものであった。振幅の遮断は、長時間にわたって徐々に発生した(図65A)。KChIP1の存在によって、電流遮断の減少率又は速度が長時間にわたって大幅に変化することはなく、またKv4.3電流振幅の回復速度が長時間にわたって変化することもなかった(図65A)。前記振幅遮断の緩やかな発生とは異なり、Kv4反応速度に対するKChIP1依存性の作用は、アラキドン酸の潅流後により急速に発生し、迅速に安定状態に向かった(図65B)。アラキドン酸の洗浄除去後、Kv4.3電流振幅及び失活時定数は、KChIP1の存在下における場合と同様の速度で完全に回復した(図65Aと65Bとを比較されたい)。パネルBのKv4.3のみの場合のプロットにおける2つの小さな変曲は、緩衝液の交換による人為現象であった。
【0391】
その他の脂肪酸によるKv4/KChIPの調節
幾つかの脂肪酸は、アフリカツメガエル卵母細胞においてKv4 αが単独で発現された場合のKv4電流に対するアラキドン酸の作用と同様の作用を及ぼすことが以前に示されている(Villarroel及びSchwarz、J.Neurosci 16:2522−32(1996))。従って、KChIPの存在下における脂肪酸のKv4電流に対する選択性を調べた。アラキドン酸は、炭素骨格数20、4つのcis二重結合を持ち、最初の二重結合がC5(20:4c5)の脂肪酸である。構造上の特徴が異なる以下のアラキドン酸類似体について調べた:γ−リノレン酸(18:3 c9)は、4つの二重結合の代わりに3つのcis二重結合を持ち、リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)(18:2 t9)は4つのcis二重結合の代わりに2つのtrans二重結合を持ち、5,8,11,14−エイコサテトライン酸(原語eicosatetraynoic acid)(ETYA、20:4 n5)は、アラキドン酸に見られる二重結合の代わりに、4つの三重結合を有し(nは最初の三重結合の位置を表す)、5,8,11−エイコサトリイン酸(原語eicosatriynoic acid)(ETI、20:3 n5)は3つの三重結合を有する。図66Aは、Kv4.3のピーク振幅が、脂肪酸を含まないコントロールと比較して、γ−リノレン酸、ETI、ETYA及びアラキドン酸10μMによって、KChIP1の有無に無関連に有意に抑制されたことを示す。Kv4のみの場合とKv4/KChIPの場合とで、振幅の抑制率は、これらの脂肪酸のいずれについても有意な差はなかった。リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)10μMによるKv4電流振幅の少量だが統計学上有意な遮断が、値をそれぞれのコントロールと比較した場合に、KChIP1の存在下では観察され、KChIP1の非存在下では観察されなかった。しかし、Kv4.3のみの場合とKv4.3/KChIP KChIP1の場合とを比較すると、有意な差はなかった。
【0392】
KChIP1の非存在下では、検査対象のいずれの脂肪酸も、Kv4.3失活時定数に対する有意な作用を示さなかった(図66B)。KChIPとは無関係に有意な電流遮断を発生させた脂肪酸(γ−リノレン酸、ETI、ETYA及びアラキドン酸)のみが、KChIP1と同時に発現された場合にKv4.3失活時定数を減少させた。KChIP依存性のKv4.3電流遮断がわずかであったリノレン酸は、Kv4.3失活時定数に影響を及ぼさなかった(図66B)。従って、幾つかの長鎖脂肪酸は、アラキドン酸と同様に、Kv4電流の反応速度をKChIP依存的に調節する可能性がある。一般に、ある任意の脂肪酸がピーク振幅を遮断する能力と、再構成されたKv4/KChIP電流の反応速度を調節する能力との間には、高い関連性がある。
【0393】
アラキドン酸はKv4とKChIPとの結び付きを分断しない
この実験では、以下のアッセイを利用した。
【0394】
In vitro結合アッセイ
ラットKv4.3のN末端ドメインをGST融合体(GST−Kv4.3N)として発現させ、アマーシャム・ファーマシア・バイオテック社(ニュージャージー州ピスカタウェイ)が提供するプロトコルに概ね従って大腸菌から精製した。組換えラットKChIP1タンパク質を最初に発現させ、GST融合体として精製した後に、前記GST成分をPreScissionプロテアーゼ(アマーシャム・ファーマシア・バイオテック社)を用いて開裂させ、遊離状態のKChIP1タンパク質を生成させた。GST−Kv4.3Nタンパク質及びKChIPタンパク質は、双方ともに、変性ゲルのクーマシー染色による評価で95%を上回る純度であった。in vitro結合アッセイを、スウェーデン、ウプサラのバイオコアAB社からのBiocore3000を使用して実施した。前記実験を、1mMのCaClと0.05%のポリソルベートP−20とを加えたpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中にて行った。抗GST抗体(バイオコアAB社)を、2000レゾナンスユニット(RU)のレベルで、アミン結合により、3フローセルのCM−5チップ(バイオコアAB社)に結合させた。最後のフローセルが、基準コントロール表面として使用したエタノールアミンによって活性化及び遮断された。GST−Kv4.3N末端ドメインは、前記抗GSTフローセルのうちの2つに捕捉され、GST単独のドメインは、第3の抗GSTフローセルに150RUのレベルで結合した。次に、アラキドン酸10μMの存在下及び非存在下で、1μMの精製KChIP1を、4つのフローセル全てに注入した。アラキドン酸(10μM)単独の注入も行った。データをGST基準減算センサーグラムとして示す。
【0395】
酵母2ハイブリッド株及び増殖アッセイ
おとり(Kv4.3のN末端ドメイン又は空ベクターpGBT9)プラスミド及び餌食(KChIP1)プラスミドが含まれる二倍体株を、An他、2000に記載の方法で作製した。同期化のために、これらの株を飽和まで増殖させた後、均等なOD600値で、相互作用依存性の増殖を選択する5mlの合成完全TrpLeuHisドロップアウト(SC−WLH)培地又は10μMのETYAの存在下でも非存在下でも非選択的な5mlのSC−WL培地中に接種した。前記Kv4.3N末端ドメインおとりからの弱い自己活性化活性を抑制するために、前記培地に5mMの3−AT(3−アミノ−1,2,4−トリアゾール)を含有させた。培養株を30℃で17時間増殖させ、OD600値を分光光度計にて読み取った。
【0396】
アラキドン酸がKv4とKChIPとの間の結合を妨害することによって作用するという仮説を検証するために、最初に表面プラスモン共鳴測定(バイオセンサ社)によって、アラキドン酸の存在下及び非存在下におけるKv4−KChIP相互作用の結合相及び分離相をモニタした。Kv4.3の細胞内N末端ドメインは、GST融合タンパク質(GST−Kv4.3N)として発現され、バイオセンサチップの表面上に固定化された。組換えKChIP1タンパク質は、アラキドン酸10μMの存在下でも非存在下でも、前記チップ表面上を通過した。図67Aに図示するように、KChIP1タンパク質はGST−Kv4.3N表面に結合したが、KChIP1とKv4.3のN末端ドメインとの結合相においても分離相においても、質的な差は観察されなかった。このバイオセンサの結果は、酵母2ハイブリッドアッセイにおいて、SC−WLH選択培地中のKv4−KChIP相互作用依存性の増殖が10μMのETYAによる作用を受けなかったことで、更に確証された(図67B)。これらの実験では、アラキドン酸の代わりにETYAを用いたが、これは、ETYAとアラキドン酸とはKv4電流にほぼ同じ作用を及ぼすが、ETYAは非代謝性であり、従ってこの実験により適しているからである。併せて考慮すると、これらの結果は、検査した脂肪酸のいずれも、Kv4とKChIPとの間の結合を阻害しないことを示している。
【0397】
Kv4/KChIPはKv1.1/Kvβ1よりもAA調節感受性が高い
カリウムチャネルを含めたイオンチャネルの小孔形成アルファサブユニットは、単独では機能しない場合が多い。これらのサブユニットは、補助サブユニットと結合するが、これらの補助サブユニットは、チャネル活性を大きく変化させうる。従って、生理学的に関連した複数のチャネルは複数のアルファ補助サブユニットからなる複合体であることから、アルファサブユニットとこれらの補助サブユニットとを組み合わせて研究するとより有益であろう。
【0398】
組換えKv4アルファサブユニットは、単独で発現された場合、幾つかの他の(例えばKv1.1などの)電圧依存性カリウムチャネルのアルファサブユニットよりも遙かにAA阻害に対する感受性が高いことが示されている(Villarroel(1996)同上)。しかし、この論文は、これらのチャネルのアルファサブユニットのみのAA調節を検証したものである。全てのチャネルを、それらの同源の補助サブユニットの存在下で検査した場合でも、Kv4電流のAA調節に対する感受性が他のチャネルの電流の前記感受性よりも高いか否かは、知られていなかった。
【0399】
この例では、2つのアルファ/補助複合体:Kv4.3/KChIP1及びKv1.1/Kvβ1を測定することで、上述の点を検査した。(Kvβ1は、典型的なカリウムチャネルベータサブユニットの1つであり、Kv1.1の反応速度を大きく変化させる)。Kv4.3/KChIP1及びKv1.1/Kvβ1を、アフリカツメガエル卵母細胞中でそれぞれ発現させ、その結果生じた電流を、10μMのAA存在下又は非存在下で記録した。結果は、Kv1.1/Kvβ1電流のピーク振幅は、10μMのAA存在下では有意に増加しなかった(11±4から14±1μA)が、一方、Kv4.3/KChIP1のピーク振幅は、大幅に減少した(44±10から21±4μA、表4)。反応速度の点では、Kv4.3/KChIP1は、Kv1.1/Kvβ1よりもAA調節に対する感受性が高かった(図4)。Kv1.1/Kvβ1の失活時定数は、10μMのAAによっては統計学上有意に減少しなかった(11±1から9±1ms)が、Kv4.3/KChIP1の失活時定数は、同濃度のAAによって大幅に減少した(104±7から55±4ms)。これらの結果は、天然の神経細胞におけるKv4.3/KChIP1カリウム電流の反応速度及び振幅は、Kv1.1/Kvβ1の反応速度及び振幅よりもAAによる調節を受けやすいことを示している。
【0400】
(表4)
Figure 2004525610
【0401】
例26:Kチャネル相互作用タンパク質−2(KChIP2)のスプライスバリアント、染色体構成及び局在化
この例では、KChIP2のバリアント及びこれらの染色体構成を、標準的な技術を用いて同定した。KChIP2遺伝子は、ヒト、ラット及びマウス間で、アミノ酸レベルで高度に保存されている。複数のヒトスプライスバリアントが、データベースマイニング及びcDNAライブラリスクリーニングによって同定されている。選択的スプライシングによって、長さは様々に異なるが、コアC末端ドメインはKv4と結合してこれを調節することの可能な複数のN末端ドメインが生成される。ヒトKChIP2遺伝子は、ヒト10番染色体のq23領域のWI−8488とWI−6750との間に18kbにわたって存在する。この領域は、マウス19番染色体のD19Mit40からD19Mit11までに相当する。データベースマイニングによって発見されたラットの一バリアントは、最後のアミノ酸5個が変化していたが、Kv4と結び付いてこれを調節する能力は保持していた。従って、これらのKChIP2の複数のバリアントは、同じKv4調節機能を有するものと思われる。
【0402】
例27:KChIP1Lの機能及び発現
RT−PCRを実施して、ラットKChIP1l(KChIP1の長型)スプライスバリアントの組織発現を調べた。心臓、脳、肺、脾臓、肝臓、骨格筋、腎臓及び精巣からのポリA+RNAを、クロンテック社より購入した。RT−PCRの実施に当たっては、クロンテック社のワンステップRT−PCRキットを用いて、増幅用5’プライマGGTACCTTCTCGTCCCTGCAGACCAAACAAAG(配列番号:104)及び3’プライマCGGTAAAGGACTTGCAGTTCTCTC(配列番号:105)を使用し、PCR条件を以下のように変化させた:50℃で1時間;94℃で3分間;94℃で30秒間、65℃で30秒間、68℃で2秒間を50サイクル。5’プライマはKChIP1特異的である。同じプライマ対を用いてKChIP1とKChIP1lとを増幅させ、電気泳動で2つのバンドに分離する2つのサイズの異なるPCR産物を生成させることが可能である。KChIP1l特異的バンドは、脳のみにおいて観察された。このことは、KChIP1lが脳において特異的に発現されることを示す。同じ反応で、強いKChIP1特異的信号が脳において観察され、骨格筋では可視バンドが僅かに現れた。KChIP1又はKChIP1l信号は、検査したその他のいずれの組織でも観察されなかった。要約すると、KChIP1l発現は脳に特異的であるのに対し、KChIP1は主に脳で発現され、骨格筋ではきわめて低いレベルで発現される。
【0403】
アフリカツメガエル卵母細胞におけるKChIP1lの機能についても調べた。Kv4.3 cRNAを、KChIP1l cRNAと一緒に又は単独でアフリカツメガエル卵母細胞に注入した。KChIP1と同様に、KChIP1lは、Kv4.3のピーク振幅を15±4から55±7μAに増加させ、失活時定数を56±4から100±8msに増加させた(表5)。これらのデータは、KChIP1lが、KChIP1と同様に、Kv4電流のピーク振幅及び反応速度をin vitroで調節することを示している。
【0404】
KChIP1とKChIP1lとに共通するC末端の185個のアミノ酸がKv4.3への結合の原因であると仮定すると、KChIP1lは脳内でKv4とも結び付いている可能性がある。前記KChIP1lタンパク質中に別のアミノ酸を挿入することが、未知の機能を生じさせる重要な条件である可能性があり、これらのアミノ酸をコードするDNA配列を、この特定のスプライスバリアントの細胞組織及び/又は細胞種特異的な発現を検出するための遺伝子特異的マーカとして用いてもよい。
【0405】
前記KChIP1lスプライスバリアントに特異的な前記DNA及びタンパク質配列は、ラットとヒトとの間で相同である。従って、一方の種からのKChIP1l分子について得た機能データは、他方の種からのKChIP1l分子についても当てはまる。
【0406】
(表5)
Figure 2004525610
【0407】
例28:KChIP1Nの機能及び発現
ラットKChIP1Nの発現を、Taqman法にて、プローブGGCAAAGAAGCGCGATTTT(配列番号:106)、正プライマTCCCGGGTAGGCAAGCA(配列番号:107)及び逆プライマCCTGCTCAAGCCCAGCACTGCA(配列番号:108)を使用して調べた。前記プローブは、KChIP1Nに特異的である。図68に示すように、KChIP1Nは後根神経節(DRG)において主に発現され、脊髄及び脳で低レベルに発現される。
【0408】
アフリカツメガエル卵母細胞におけるKChIP1Nの機能についても調べた。Kv4.3 cRNAを、KChIP1N cRNAと一緒に又は単独でアフリカツメガエル卵母細胞に注入した。KChIP1及びKChIP1lの場合とは異なり、KChIP1NはKv4.3のピーク振幅に影響を及ぼさなかった(単独の場合とKChIP1Nと一緒の場合とで、15±4と18±3、表5)。驚くべきことに、KChIP1Nは、KChIP1又はKChIP1lよりも遙かに大きくKv4.3の失活時定数を増加させた(KChIP1Nでは32倍の増加、KChIP1又はKChIP1lでは2倍以下の増加、表5)。
【0409】
上述のデータは、KChIP1Nは、KChIP1又はKChIP1lとは異なる仕方で、in vitroでKv4電流を調節することを示している。第1に、KChIP1Nによる失活時定数の増加度は、KChIP1又はKChIP1lによる前記増加度よりも著しく大きかった。この結果、KChIP1Nは、急速に失活するKv4.3電流(200msで殆ど完全に失活)を、500msの間殆ど失活しない+40ボルトのパルスへと変化させることができた。第2に、KChIP1Nは、検査した特定の濃度では、Kv4のピーク振幅に影響を及ぼさなかった。全てのKChIP1スプライスバリアントが共通のC末端のアミノ酸196個を持つことから、これらのデータは、KChIP1Nに固有の36個のアミノ酸からなるN末端ドメインが重要かつ独自の機能を有することを示している。
【0410】
例29:KChIP2スプライスバリアントの機能
この例では、KChIP2スプライスバリアントであるラットKChIP2l、ヒトKChIP2及びラットKChIP2Cのアフリカツメガエル卵母細胞における機能を調べた。実験の結果を以下の表に要約する。
【0411】
(表6)
Figure 2004525610
【0412】
これらのデータは、これらのKChIP2スプライスバリアントが、KChIP2mと同様にKv4電流を調節することを示している(表6)。ラット及びヒトのKChIP2はアミノ酸レベルでの相同性が非常に高い(>95%)ことから、一方の種からのKChIP2分子を用いて得られた結果は、他方の種からのKChIP2分子についての結果と同様であろうと考えられる。
【0413】
例30:KChIP4の機能及び発現
ノーザン分析を実施して、KChIP4の組織発現を調べた。KChIP4の全てのN末端スプライスバリアントに共通なラットKChIP4の3’UT領域(598−909)から作製したプローブを用いて、ラットのクロンテックMTVノーザンブロットを行った。前記ノーザンブロットで使用した組織(心臓、脳、肺、脾臓、肝臓、筋肉、腎臓及び精巣)のうち、約2.4kbの太いバンドが、脳のみにおいて観察された。移動度の僅かに高い微弱なバンドが、腎臓で現れた。従って、KChIP4のN末端スプライスバリアントが主に脳で発現され、より低いレベルで腎臓で発現されることは明白である。
【0414】
KChIP4がKv4と結び付く能力についても、酵母2ハイブリッドアッセイにて調べた。標準的な技術を用いて、KChIP4の全てのN末端スプライスバリアントに共通であり、かつその他のKChIPと相同な、KChIP4のHドメイン(C末端のアミノ酸185個)を「餌食」として発現させ、Kv4.3、Kv4.2の各N末端ドメインを「おとり」(それぞれKv4.3N、Kv4.2N)として発現させた。増殖アッセイ及びβ−ガラクトシダーゼアッセイの双方において、KChIP4HはKv4.3N及びKv4.2Nと結合したが、Kv1.1N又はその他のコントロールおとりとは結合しなかった。これらの結果は、KChIP4がKv4チャネルと特異的に結合することを示している。
【0415】
例31:KChIP4N2の機能の分析
KChIP4N2は、KChIP1、KChIP2及びKChIP3とは異なり、アフリカツメガエル卵母細胞にKv4.3と一緒に注入された場合に、Kv4.3のピーク振幅に対して用量依存性の影響を示した(表7)。(例えば原液の5倍希釈などの)高い濃度では、KChIP4N2はKv4.3電流振幅を抑制したが、より低濃度に希釈した場合では、KChIP4N2は、Kv4電流振幅を増加させるか、または影響を全く及ぼさなかった(表7)。
【0416】
KChIP4N2は、KChIP1、KChIP2及びKChIP3とは異なり、アフリカツメガエル卵母細胞にKv4.3と一緒に注入された場合に、Kv4.3の失活反応速度に対して用量依存性の影響を示した(表7)。KChIP4は、高い濃度では、急速に失活するKv4.3電流を、殆ど失活しない電流へと変化させた(例えば原液の5倍希釈の場合、電流曲線は長時間にわたって非常にゆっくりと低下するので、失活時定数に達することはなかった)。より低濃度に希釈したKChIP4N2 cRNAを注入した場合は、失活時定数はKChIP4N2の非存在下で得られた値に向かって低減した。
【0417】
(表7)
Figure 2004525610
【0418】
KChIP4N2のN末端ドメインは、KChIP4N2の前記観察された作用に不可欠である。前記N末端ドメインが欠失していると、野生型KChIP4N2がKv4.3のピーク振幅及び失活時定数に対して及ぼす作用が失われた(表8)。
【0419】
KChIP4N2のN末端ドメインの前記作用は、他のKChIP分子に対して優性であると考えられる。KChIP4N2の前記N末端ドメインがKChIP1のC末端のアミノ酸185個からなるHドメイン(KChIP1H、他のKChIPと相同である)と融合したキメラ分子である4N−1Hを作製した。KChIP1Hは、Kv4と同時に発現された場合に、KV4電流をKChIP1と殆ど同様に調節し、KChIP4N2によって惹起される調節プロフィールとは全く異なる調節プロフィールを示した(以前の出願、[An F.他(2000)Nature 403:553−556)。しかし、Kv4.3と同時に発現された場合には、4N−1Hの調節プロフィールは、KChIP1H又はKChIP1の場合(表6)とは異なり、KChIP4N2の調節プロフィールと殆ど同じであった。このことは、KChIP4N2のN末端ドメインが一モジュールとして機能可能であり、その調節作用が他のKChIPの調節作用に対して優性であることを示している。
【0420】
(表8)
Figure 2004525610
【0421】
KChIP4とその他のKChIPとがKv4のN末端ドメイン(Kv4N)と結び付くことから、これらのKChIPはKv4Nの前記同じ部位に結合すると考えることができる。もしそうであるならば、KChIP4N2とKChIP1とは、これらが双方ともにKv4と同時に発現された場合に、Kv4電流の調節に当たって互いに競合するはずである。この仮定を検証し、図61に示すように、KChIP4N2とKChIP1とは、Kv4電流の調節に当たって実際に互いに競合した。アフリカツメガエル卵母細胞に注入するKChIP4 cRNAの濃度を一定に保つ一方で、KChIP1 cRNAの濃度を次第に増加させると、Kv4.3電流プロフィールはKChIP4とKChIP1とで異なっていた。逆に、KChIP1 cRNAの濃度を一定に保つ一方で、KChIP4 cRNAの濃度を次第に増加させた場合でも、Kv4.3電流プロフィールはKChIP1とKChIP4とで異なっていた。
【0422】
これらの結果は、KChIP1とKChIP4とは、おそらくKv4.3Nの同じ部位への競合的な結合のために、互いに機能的に競合することを示している。これらの結果はまた、KChIP4N2とその他のKChIPとの異なる組合せから生じる電流が、親のプロフィールと量的及び質的に同じか又は異なる雑種プロフィールを有するであろうことをも示している。KChIP4N2とその他のKChIPとは、(例えば脳内などの)幾つかの細胞種においてin vivoで同時に発現されると考えられる。従って、ある特定の細胞種におけるin vivoでの濃度により、KChIP4N2とその他のKChIPとは、小孔形成アルファサブユニットが同じKv4分子である場合でも、全く異なる電流を生じさせる可能性がある。
【0423】
KChIP4N2に関する上述の観察からは、多くの推測が得られる。これらのデータは、前記N末端ドメインが、前記Hドメインの機能とは別個の優勢な調節機能(An他、同上に記載のKv4との結合及びKv4電流振幅及び反応速度の調節であるが、KChIP4N2のN末端ドメインの前記機能とは異なる)をもたらすことを示している。従って、KChIP4N2のN末端ドメインは、Kv4の前記N末端ドメイン以外のカリウムチャネル部分と相互作用すると考えられる。KChIP4N2が失活反応速度に劇的な作用を及ぼすのであれば、Kv4上のこれらのその他の部位は、前記チャネルを介したカリウムイオンの移動の制御において重要な役割を果たすと考えられる。それならば、KChIP4N2の前記N末端ドメインを、これらの特有の活性を読み出しとして使用したタンパク質/ペプチド/化合物スクリーニングのデザイン及び実施のためのツールとして用いることが可能である。これらのスクリーニングアッセイによって、KChIP依存的に又は非依存的にKv4活性を調節するタンパク質/ペプチド/化合物を得ることが可能である。
【0424】
上述のように、KChIP1NとKChIP4N2とは、同じKv4電流調節特性を有する。双方とも、急速に失活するKv4電流を、殆ど失活しない電流へと変化させることが可能である。双方とも、Kv4のピーク振幅に対しては影響を及ぼさない。これらの特性は、KChIP1、KChIP2及びKChIP3の作用とは異なる。興味深いことに、ヒトKChIPNとサルKChIP4N2との前記N末端ドメインを(DNAスター社のMegalinを使用して)アライニングすると、これらのドメインは、相当な相同性を示した(図62)。このことは、KChIPN及びKChIP4N2に特有の調節が、あるタンパク質モチーフの存在によって起こることを示唆している。これに対し、ヒト/ラットKChIP1及びサルKChIP4N2のN末端ドメインは、全く異なっていた(図62)。
【0425】
例32:KChIP4N1及びKChIP4N3の機能の分析
KChIP4N1及びKChIP4N3を、Kv4.3 cRNAと一緒にアフリカツメガエル卵母細胞に注入した。これらのタンパク質がKv4.3に及ぼす調節作用を、表9に要約する。双方とも、Kv4.3の失活時定数を増加させた。KChIP4N3はKv4.3のピーク振幅を増加させたが、KChIP4N1はKv4.3のピーク振幅に対して統計学上有意な作用を及ぼさなかった(ns)。
【0426】
(表9)
Figure 2004525610
【0427】
等価物
当業者は、本明細書に記載した発明の実施態様の等価物を数多く、通常の実験で理解し、あるいは確認することが可能であろう。そのような等価物については、請求項に含まれるものとする。
【0428】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト1vのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:1の核酸1乃至1463に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:2のアミノ酸1乃至216に対応する。
【図2】ラット1vのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:3の核酸1乃至1856に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:4のアミノ酸1乃至245に対応する。
【図3】マウス1vのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:5の核酸1乃至1907に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:6のアミノ酸1乃至216に対応する。
【図4】ラット1vlのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:7の核酸1乃至1534に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:8のアミノ酸1乃至227に対応する。
【図5】マウス1vlのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:9の核酸1乃至1540に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:10のアミノ酸1乃至227に対応する。
【図6】部分長ラット1vnのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:11の核酸1乃至955に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:12のアミノ酸1乃至203に対応する。(全長ラット1vn配列については、以下の図63で述べる)
【図7】ヒト9qlのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:13の核酸1乃至2009に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:14のアミノ酸1乃至270に対応する。
【図8】ラット9qlのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:15の核酸1乃至1247に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:16のアミノ酸1乃至257に対応する。
【図9】マウス9qlのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:17の核酸1乃至2343に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:18のアミノ酸1乃至270に対応する。
【図10】ヒト9qmのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:19の核酸1乃至1955に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:20のアミノ酸1乃至252に対応する。
【図11】ラット9qmのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:21の核酸1乃至2300に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:22のアミノ酸1乃至252に対応する。
【図12】ヒト9qsのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:23の核酸1乃至1859に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:24のアミノ酸1乃至220に対応する。
【図13】サル9qsのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:25の核酸1乃至2191に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:26のアミノ酸1乃至220に対応する。
【図14】ラット9qcのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:27の核酸1乃至2057に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:28のアミノ酸1乃至252に対応する。
【図15】ラット8tのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:29の核酸1乃至1904に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:30のアミノ酸1乃至225に対応する。
【図16】ヒトp19のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:31の核酸1乃至619に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:32のアミノ酸1乃至200に対応する。
【図17】ラットp19のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:33の核酸1乃至442に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:34のアミノ酸1乃至109に対応する。
【図18】マウスp19のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:35の核酸1乃至2644に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:36のアミノ酸1乃至256に対応する。
【図19】ヒトW28559のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:37の核酸1乃至380に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:38のアミノ酸1乃至126に対応する。
【図20】ヒトp193のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:39の核酸1乃至2176に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:40のアミノ酸1乃至41に対応する。
【図21】ラット1v、ラット9pm及びマウスp19タンパク質の概略図であり、これらのタンパク質間で保存されているドメインを示すべくアライメントしたものである。
【図22】ヒト9qのゲノムDNA配列である。
【図22A】エキソン1及びそのフランキングイントロン配列(配列番号:46)である。
【図22B】エキソン2乃至11及びそのフランキングイントロン配列(配列番号:47)である。
【図23】サルKChIP4aのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:48の核酸1乃至2413に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:49のアミノ酸1乃至233に対応する。
【図24】サルKChIP4bのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:50の核酸1乃至1591に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:51のアミノ酸1乃至233に対応する。
【図25】KChIP4a、KChIP4b、9ql、1v、p19及び関連するヒトパラログ(hsncspara)W28559のアライメントである。コンセンサス配列と一致するアミノ酸には黒、保存されているアミノ酸には灰色で網かけした。
【図26】ラット33b07のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:52の核酸1乃至2051に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:53のアミノ酸1乃至407に対応する。
【図27】ヒト33b07のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:54の核酸1乃至4148に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:55のアミノ酸1乃至414に対応する。
【図28】ラット1pのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:56の核酸1乃至2643に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:57のアミノ酸1乃至267に対応する。
【図29】ラット7sのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:58の核酸1乃至2929に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:59のアミノ酸1乃至270に対応する。
【図30】ラット29xのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:60の核酸1乃至1489に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:61のアミノ酸1乃至351に対応する。
【図31】ラット25rのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:62の核酸1乃至1194に対応する。
【図32】ラット5pのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:63の核酸1乃至600に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:64のアミノ酸1乃至95に対応する。
【図33】ラット7qのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:65の核酸1乃至639に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:66のアミノ酸1乃至212に対応する。
【図34】ラット19rのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:67の核酸1乃至816に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:68のアミノ酸1乃至271に対応する。
【図35】サルKChIP4cのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:69の核酸1乃至2263に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:70のアミノ酸1乃至229に対応する。
【図36】サルKChIP4dのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:71の核酸1乃至2259に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:72のアミノ酸1乃至250に対応する。
【図37】KChIP4a、KChIP4b、KChIP4c及びKChIP4dのアライメントである。
【図38】Kv4.2をKChIP2(9ql)と同時に又は単独で発現しているCHO細胞からの電流トレースを示すグラフである。細胞を−80mVで電圧クランプし、200msの間、−60mVから+50mVまで段階的に増加させた。様々なテスト電圧におけるピーク電流振幅を、右側のパネルに示す。更に、KChIP2(9ql)がKv4.2に及ぼす振幅及び反応速度作用を記した表も示す。KChIP2発現は、ピーク電流振幅、失活時定数、失活からの回復時定数及び活性化V1/2を変化させる。
【図39】Kv4.2をKChIP3(p19)と同時に又は単独で発現しているCHO細胞からの電流トレースを示すグラフである。細胞を−80mVで電圧クランプし、200msの間、−60mVから+50mVまで段階的に増加させた。様々なテスト電圧におけるピーク電流振幅を、右側のパネルに示す。更に、KChIP3(p19)がKv4.2に及ぼす振幅及び反応速度作用を記した表も示す。KChIP3発現は、ピーク電流振幅、失活時定数及び失活からの回復時定数を変化させる。
【図40】KChIP1との同時発現が、CHO細胞内で発現されるKv4.2チャネルの電流密度及び反応速度を大きく変化させることを示す、電気生理学的実験の結果を図示したものである。
【図40A】Kv4.2によってトランスフェクトされたCHO細胞からの複数の電流トレースを示す。細胞を、−80mVの保持電位から−60乃至50mVのテスト電位まで連続的に脱分極させることにより、電流を誘発した。p/5プロトコルを用いて、電流トレースのリーク減算を行った。電流振幅の変化を強調するために、電流軸を(b)と同じ倍率で示す。挿入図は、電流軸を拡大した50mVでの単独の電流トレースであり、電流の活性化及び失活の反応速度を示す。
【図40B】(a)と同様の電流トレースであるが、Kv4.2及びKChIP1について等量のDNAでトランスフェクトされた細胞からの電流トレースである。
【図40C】Kv4.2のみでトランスフェクトされた細胞(細胞数=11)又はKChIP1と一緒にトランスフェクトされた細胞(細胞数=9)からの全ての電圧におけるピーク電流振幅を図示したものである。
【図40D、40E】2つのパルスプロトコルを用いた失活からの回復を図示したものである。単独で発現されたKv4.2(D)又はKChIP1と同時に発現されたKv4.2(E)を、50mVの第1のパルスで失活状態とし、前記第1のパルス後の様々な時点で、50mVの第2のパルスを印加する。全てのパルスの前後で、保持電流は−80mVである。
【図40F】Kv4.2でトランスフェクトされた細胞(細胞数=8)とKv4.2及びKChIP1でトランスフェクトされた細胞(細胞数=5)のパルス間のピーク電流回復率を総括した図である。失活からの回復時定数は、単一の指数関数に一致する。
【図41】ヒトKChIPファミリーメンバーと、Ca2+感知タンパク質のリカバリンファミリーの密接に関連したメンバーとのアライメントを図示したものである。(HIP:ヒトのヒポカルシン;NCS1:ラット神経細胞のカルシウムセンサ1)。前記アライメントを、PAM250残基重量テーブル及びデフォルトパラメータを用いたMacintosh(DNASTAR社からのバージョン4.00)用のMegAlignプログラムにて実施し、BOXSHADEを用いて網かけを行った。コンセンサス配列と相同な残基は黒で、保存的置換は灰色で網かけした。X、Y、Z及び−X、−Y、−Zは、EFハンドにおけるカルシウムイオンへの結合を起こさせる残基の位置を表す。
【図42】IOSCA領域の物理的マップである。
【図43】h9qの位置並びにIOSCA及びてんかんと連関した既知のマーカを示す連鎖マップである。
【図44】ヒト1vl(KChIP1l)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:79の核酸1乃至1477に対応する。大文字と小文字との違いは、個々のエキソンを表す。KCIP1l(KChIP1の長型)特異的エキソンは、図示した配列の第2のエキソンである。このアミノ酸配列は、配列番号:109のアミノ酸1乃至227に対応する。
【図45】ヒトKChIP1NのN末端スプライスバリアントのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:80の核酸1乃至1639に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:81のアミノ酸1乃至232に対応する。
【図46】ラット及びヒトKChIP1NのN末端ドメインのアライメントを図示したものであり、このN末端ドメインがこれら2つの配列間で保存されていることを示す。
【図47】ヒトKChIP2(KChIP2l、m、s及びNを含む)のゲノムDNA配列を図示したものである。このヌクレオチド配列は、配列番号:74の核酸1乃至17,803に対応する。大文字はエキソンを、小文字はイントロンを表す。
【図48】ラットKChIP2LのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:75の核酸1乃至1285に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:76のアミノ酸1乃至270に対応する。
【図49】ヒト8t(KChIP2N)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:77の核酸1乃至2076に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:78のアミノ酸1乃至225に対応する。
【図50】ラット及びヒトKChIP2N(8t)タンパク質のN末端ドメインのアライメントを図示したものであり、これらのタンパク質が96.5%の相同性を有することを示す。
【図51】全長ヒトKChIP3のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:82の核酸1乃至2835に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:83のアミノ酸1乃至256に対応する。大文字と小文字との違いは、個々のエキソンを表す。
【図52】ラットKChIP3のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:84の核酸1乃至2414に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:85のアミノ酸1乃至178に対応する。大文字はコード領域を、小文字は3’UTRを表す。
【図53】サルKChIP4XC(KChIP4b)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:86の核酸1乃至1005に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:87のアミノ酸1乃至127に対応する。
【図54】マウスKChIP4N2(KChIP4c)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:88の核酸1乃至2181に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:89のアミノ酸1乃至229に対応する。
【図55】ラットKChIP4のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:90の核酸1乃至2022に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:91のアミノ酸1乃至198に対応する。
【図56】KChIP4N1の短い方のスプライスバリアントであるヒトKChIP4aS(KChIP4N1S)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:92の核酸1乃至2366に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:93のアミノ酸1乃至188に対応する。
【図57】ヒトKChIP4a(KChIP4N1)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:94の核酸1乃至2431に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:95のアミノ酸1乃至233に対応する。
【図58】ヒトKChIP4c(KChIPN2)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:96の核酸1乃至2261に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:97のアミノ酸1乃至229に対応する。
【図59】ヒトKChIP4d(KChIP4N3)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:98の核酸1乃至2299に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:99のアミノ酸1乃至250に対応する。
【図60】KChIP4N1のスプライスバリアントであるラットのKChIP4N1xのcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:100の核酸1乃至2246に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:101のアミノ酸1乃至272に対応する。
【図61】KChIP4N2及びKChIP1によるKv4.3失活時定数の競合的調節を示す一対のグラフである。cRNAのセクションに注入したcRNAの種類を列記し、4.3はKv4.3を、1はKChIP1を、4はKChIP4を表す。括弧内の数字は、注入したcRNAの希釈倍数であり、1x=原液である。棒グラフ上方の三角形は、KChIP4N2又はKChIP1の一定量及びKChIP1又はKChIP4N2の増加量をそれぞれ表す。
【図62】ヒトKChIP1NのN末端ドメインとサルKChIP4N2のN末端ドメインとが相同であり、ヒト/ラットKChIP1のN末端ドメインとサルKChIP4N2のN末端ドメインとが異なることを示すタンパク質アライメントである。
【図63】ラットKChIP1N(1vn)のcDNA配列及び推定アミノ酸配列である。このヌクレオチド配列は、配列番号:102の核酸1乃至1856に対応する。このアミノ酸配列は、配列番号:103のアミノ酸1乃至232に対応する。
【図64】アフリカツメガエル卵母細胞におけるKv4.3電流及びKv4.3/KChIP1電流のアラキドン酸による濃度依存的調節を示すグラフである。保持電位−80mV乃至+40mVへの脱分極パルス(持続時間=500ms)。アラキドン酸は、Kv4.3 cRNAのみを注入した卵母細胞(実線)並びにKv4.3及びKChIP1双方のcRNAを同時に注入した卵母細胞(点線)において、1乃至10μMでピーク振幅(A)を抑制し(A)、失活時定数(τinact)を減少させた(B)。各データポイントにおける卵母細胞数=5である。
【図65】Kv4.3電流及びKv4.3/KChIP1電流のアラキドン酸による調節が可逆的であることを示すグラフである。アフリカツメガエル卵母細胞において、保持電位−80mV乃至+40mV(持続時間=500ms)への脱分極パルスで、電流を7秒間隔で誘発させた。ピーク振幅(A)及び失活時定数(τinact)(B)に対する作用を、アラキドン酸10μMの投与を網かけした棒で、BSA0.5mg/mlを添加したND96培地による洗浄を中抜きの棒で示す(各データポイントにおける卵母細胞数=5)。
【図66】Kv4.3及びKv4.3/KChIP1の脂肪酸による調節を図示したものである。(A)アフリカツメガエル卵母細胞における、リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)(Kv4.3、Kv4.3/KChIP1の各卵母細胞数=9、8)、γ−リノレン酸(卵母細胞数=9、8)、ETI(卵母細胞数=4,6)、ETYA(卵母細胞数=4、6)及びアラキドン酸(卵母細胞数=8、9)10μMによるKv4(中抜きの棒)及びKv4.3/KChIP1(網かけの棒)ピーク振幅の抑制率。リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)/Kv4のみの場合を除いた全ての値は、脂肪酸を含まないコントロールと比較して統計上有意であった。全ての脂肪酸について、Kv4.3の値とKv4.3+KChIP1の値との差は、統計学上有意ではなかった。(B)パネルAにおける電流の、同じ条件下での失活時定数(τinact)の抑制率。各値を平均±SEMとして示す。Kv4.3のみの場合の値は全て、脂肪酸を含まないコントロールと比較して統計学上有意ではなかった。リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)を除いては、Kv4.3+KChIP1の値は全て、脂肪酸を含まないコントロールと比較して統計学上有意であった。Kv4.3の値とKv4.3+KChIP1の値との間の差は、リノエライジン酸(原語linolelaidic acid)を除いた全ての脂肪酸処理で有意であった。
【図67】アラキドン酸がKChIP1とKv4.3のN末端との結合を阻害しないことを示すグラフである。(A)バイオセンサアッセイにおいて、Kv4の細胞内N末端ドメインとKChIP1との間の相互作用の結合相及び分離相のいずれも、アラキドン酸10μMによる質的変化を受けないことを示す重畳センサーグラム。(B)SC−WLH選択培地中で、Kv4.3のN末端ドメインとKChIP1との相互作用依存性の増殖は、ETYA10μMによる変化を受けなかった。前記Kv4.3のN末端とKChIP1との間の相互作用に無関係に株を増殖させる非選択培地SC−WLを、ETYAが前記株に及ぼす非特異的な作用を調節するために使用した。値を平均±SEMとして示す。各データポイントにおける卵母細胞数=4である。
【図68】ラットKChIP1Nの組織発現のTaqman分析の結果を示すグラフである。

Claims (53)

  1. a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102、ATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはその相補配列と少なくとも60%相補なヌクレオチド配列を有する核酸分子と;
    b)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102、ATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはその相補配列を有する核酸の少なくとも583個のヌクレオチドからなる断片を有する核酸分子と;
    c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも60%相補なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子と;
    d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片をコードする核酸分子であって、前記断片が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続するアミノ酸残基を有する、核酸分子と;
    e)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントをコードする核酸分子であって、前記核酸分子が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートを有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸分子と;
    からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  2. a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列或いはその相補配列を有する核酸分子と;
    b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子と;
    からなる群から選択される、請求項1の単離された核酸分子。
  3. ベクター核酸配列を更に有する、請求項1に記載の核酸分子。
  4. 非相同なポリペプチドをコードする核酸配列を更に有する、請求項1に記載の核酸分子。
  5. 請求項1に記載の核酸分子を有する宿主細胞。
  6. 哺乳類の宿主細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 請求項1の核酸分子を有する、非ヒト哺乳類の宿主細胞。
  8. a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片であって、前記断片が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続するアミノ酸を有する、ポリペプチドの断片と;
    b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントであって、前記ポリペプチドが、配列番号:1、配列番号:3 配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートを有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントと;
    c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートのヌクレオチド配列を有する核酸と少なくとも60%相同なヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされるポリペプチドと;
    d)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を有するポリペプチドと;
    からなる群から選択される、単離されたポリペプチド。
  9. 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の単離されたポリペプチド。
  10. 非相同なアミノ酸配列を更に有する、請求項8に記載のポリペプチド。
  11. 請求項8のポリペプチドと選択的に結合する抗体。
  12. a)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドと;
    b)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片であって、前記断片が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列の少なくとも15個の連続するアミノ酸を有する、ポリペプチドの断片と;
    c)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55、配列番号:57、配列番号:59、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:78、配列番号:81、配列番号:83、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:99、配列番号:101、配列番号:103又は配列番号:109のアミノ酸配列或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントであって、前記ポリペプチドが、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:58、配列番号:69、配列番号:71、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:77、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:82、配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:100又は配列番号:102或いはATCCに登録番号98936、98937、98938、98939、98940、98941、98942、98943、98944、98945、98946、98947、98948、98949、98950、98951、98991、98993、98994又はPTA−316で寄託されたプラスミドのDNAインサートを有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、ポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子バリアントと;
    からなる群から選択されるポリペプチドの作製方法であって、請求項5の宿主細胞を、前記核酸分子が発現される条件下で培養することが含まれる、方法。
  13. 試料中の請求項8に記載のポリペプチドの存在を検出するための、以下を含む方法:
    a)前記試料を、前記ポリペプチドと選択的に結合する化合物と接触させることと;
    b)前記化合物が前記試料中の前記ポリペプチドと結合するか否かを調べることにより、前記試料中の請求項8に記載のポリペプチドの存在を検出すること。
  14. 前記ポリペプチドと結合する前記化合物が抗体であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項8に記載のポリペプチドと選択的に結合する化合物と、使用説明書と、が含まれるキット。
  16. 試料中の請求項1に記載の核酸分子の存在を検出するための、以下を含む方法:
    a)前記試料を、前記核酸分子と選択的にハイブリダイズする核酸プローブ又はプライマと接触させることと;
    b)前記核酸プローブ又はプライマが前記試料中の核酸分子と結合するか否かを調べることにより、前記試料中の請求項1に記載の核酸分子の存在を検出すること。
  17. 前記試料にmRNA分子が含有され、かつ前記試料を核酸プローブと接触させる、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項1に記載の核酸分子と選択的にハイブリダイズする化合物と、使用説明書と、が含まれるキット。
  19. 請求項8に記載のポリペプチドと結合する化合物を同定するための、以下を含む方法:
    a)前記ポリペプチド又は前記ポリペプチドを発現している細胞を試験化合物と接触させることと;
    b)前記ポリペプチドが前記試験化合物と結合するか否かを調べること。
  20. 請求項19に記載の方法において、前記試験化合物と前記ポリペプチドとの結合を:
    a)試験化合物とポリペプチドとの結合を直接に検出することによる、結合の検出と;
    b)競合的結合アッセイを利用した、結合の検出と;
    c)PCIP活性のアッセイを利用した、結合の検出と;
    からなる群より選択される方法によって検出する、方法。
  21. 請求項8に記載のポリペプチドの活性を調節する方法であって、前記ポリペプチド又は前記ポリペプチドを発現している細胞を、前記ポリペプチドの前記活性を調節するのに十分な濃度の、前記ポリペプチドと結合する化合物と接触させることが含まれる、方法。
  22. 請求項8に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を同定するための、以下を含む方法:
    a)請求項8に記載のポリペプチドを試験化合物と接触させることと;
    b)前記試験化合物が前記ポリペプチドの前記活性に及ぼす影響を調べることにより、前記ポリペプチドの前記活性を調節する化合物を同定すること。
  23. 異常なPCIP核酸発現又はPCIPタンパク質活性によって特徴付けられる障害を治療することの可能な化合物の同定方法であって、前記化合物又は物質が請求項1に記載のPCIPタンパク質核酸分子の発現又は請求項8に記載のPCIPポリペプチドの活性を調節する能力を分析することにより、異常なPCIP核酸発現又はPCIPタンパク質活性によって特徴付けられる障害を治療することの可能な化合物を同定することが含まれる、方法。
  24. 前記障害が中枢神経系障害であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  25. 前記障害がてんかんであることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 前記障害が脊髄小脳失調であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  27. 前記障害が心臓血管障害であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  28. 前記心臓血管障害が異常なIto電流を伴うことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
  29. 対象が異常な又は病的なPCIP核酸発現及び/又はPCIPタンパク質活性によって特徴付けられる障害に罹患する危険性があるか否かの判定方法であって、前記対象からの試料細胞中の遺伝子損傷の有無を検出することが含まれる方法において、前記遺伝子損傷が、請求項8に記載のPCIPポリペプチドをコードする遺伝子の完全性に影響を与える変化又は請求項1に記載のPCIP核酸分子の誤った発現によって特徴付けられることを特徴とする、方法。
  30. 前記障害が中枢神経系障害であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  31. 前記障害がてんかんであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  32. 前記障害が脊髄小脳失調であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
  33. 前記障害が心臓血管障害であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  34. 前記心臓血管障害が異常なIto電流を伴うことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  35. 異常な又は病的なPCIP核酸発現及び/又はPCIPタンパク質活性によって特徴付けられる障害に罹患している対象の特定方法であって、前記対象から生体試料を採取し、該試料中の遺伝子損傷の有無を検出することが含まれる方法において、前記遺伝子損傷が、請求項8に記載のPCIPポリペプチドをコードする遺伝子の完全性に影響を与える変化又は請求項1に記載のPCIP核酸分子の誤った発現によって特徴付けられることによって、異常な又は病的なPCIP核酸発現及び/又はPCIPタンパク質活性によって特徴付けられる障害に罹患している対象が特定されることを特徴とする、方法。
  36. 前記障害が中枢神経系障害であることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
  37. 前記障害がてんかんであることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
  38. 前記障害が脊髄小脳失調であることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
  39. 前記障害が心臓血管障害であることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
  40. 前記心臓血管障害が異常なIto電流を伴うことを特徴とする、請求項40に記載の方法。
  41. カリウムチャネル関連障害を有する対象の治療方法であって、前記対象に請求項8に記載のPCIPポリペプチド又はその一部分を、治療効果が生じるように投与することが含まれる、方法。
  42. 前記障害が中枢神経系障害であることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
  43. 前記障害がてんかんであることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
  44. 前記障害が脊髄小脳失調であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
  45. 前記障害が心臓血管障害であることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
  46. 前記心臓血管障害が異常なIto電流を伴うことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
  47. カリウムチャネル関連障害を有する対象の治療方法であって、前記対象に、請求項8に記載のPCIPポリペプチド又はその一部分を、治療効果が生じるように投与することが含まれる、方法。
  48. 前記障害が中枢神経系障害であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  49. 前記障害がてんかんであることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
  50. 前記障害が脊髄小脳失調であることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
  51. 前記障害が心臓血管障害であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  52. 前記心臓血管障害が異常なIto電流を伴うことを特徴とする、請求項52に記載の方法。
  53. 請求項23に記載の方法で同定された化合物のカリウムチャネル関連障害の治療への使用。
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