JP2004525086A - 鏡像異性体的に純粋なヒドロキシエステルおよび酸の製造方法 - Google Patents

鏡像異性体的に純粋なヒドロキシエステルおよび酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(1)(式中、Rは、非置換もしくは置換C〜Cアルキルか、または式−COORの基であって、このRが、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、Rは、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、Xは、−O−または−NH−基であり、Yは、水素か、またはアシルもしくはシリル基であり、nは、0、1または2の数であり、そして式(1)の化合物中の印を付したキラル炭素原子は、主にRまたはS配置のいずれかの純粋な形態である)の化合物の製造方法であって、式(2)の化合物を、エナンチオ選択的水素化によって、そして適切な場合には、Y基の導入によって変換して、式(3)の化合物の、鏡像異性体(RまたはS配置体)の一方が富化された鏡像異性体の混合物を形成させ、そしてその鏡像異性体の混合物を、酵素による立体選択的な加水分解、アルコーリシス、アミノリシスまたはアンモノリシスによって分離させ、そして、Xが−NH−基である式(1)の化合物を製造する場合には、その分割を、R′が前記Rの定義と同じである式NH−R′の化合物の存在下において、酵素による立体選択的なアミノリシスまたはアンモノリシスによって遂行させる方法に関する。

Description

【0001】
本発明は、鏡像異性体的に純粋なヒドロキシエステルの、および相当する酸の、水素化分解的および酵素的合成の組み合わせによる製造方法に関する。
【0002】
以下に述べる式(1)の化合物は、医薬品または殺虫剤の製造においてとりわけ重要な中間体である。
【0003】
たとえば、2−ヒドロキシ酪酸エステル類は、薬理学的に活性なACE阻害剤(ACE:アンギオテンシン変換酵素)の製造において、とりわけ重要な中間体である。
【0004】
ACE阻害剤は、抗高血圧剤の活性成分群に属しており、そして経口投与後、いわゆるアンギオテンシン変換酵素に対する拮抗阻害と、その結果の血圧低下をもたらす。特に好ましい2−ヒドロキシ酪酸エステル類は、R配置を有する。
【0005】
重要な活性成分は、塩酸3−〔(1−(エトキシカルボニル)−3−フェニル−(1S)−プロピル)アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−(3S)−ベンザゼピン−1−酢酸であり、これはINNのbenazepril hydrochloride(塩酸ベナゼプリル)として知られていて、経口投与用の種々の形態、たとえばCibacen(登録商標)(Novartis AG, Basle, Switzerlandの商標)の名称の錠剤として市販されている。
【0006】
2−ヒドロキシ酪酸エステル類は、他の既知のACE阻害剤、たとえばenalapril(エナラプリル)、cilazapril(シラザプリル)、spirapril(スピラプリル)、quinapril(キナプリル)、ramipril(ラミプリル)およびlisinopril(リシノプリル)(いずれもINN)の製造における中間体としても使用することができる。また2−ヒドロキシ酪酸エステル類は、種々の型の殺虫剤の製造においても使用できる。
【0007】
さらに、たとえば4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルは、L−カルニチン(ビタミンB)、抗てんかん薬、またはコレステロール生合成阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤)の合成における薬剤中間体として使用される。
【0008】
たとえばリンゴ酸の場合、両方の鏡像異性体とも合成で使用される。これらはとりわけラセミ体分割における補助試薬として用いられるが、この理由により、安価で大量に入手できる必要がある。リンゴ酸はまた、種々のピロン、クマル酸、パクリタキセル側鎖および殺虫剤の汎用成分でもある。
【0009】
WO−A−99/50223は、相当するジケト化合物の立体選択的水素化によって、2−ヒドロキシ酪酸エステルを製造する方法を開示している。この場合、鏡像異性体は、通例の方法、たとえば適切な溶媒からの結晶化によって分離される。しかしながら、このような方法は、所望する鏡像異性体の収率および純度の両方についての要求を満たさない。立体選択的水素化と、酵素を用いる鏡像異性体の分離とを組み合わることによって、今や驚くべきことに、所望する鏡像異性体を高い光学純度で高収率に得ることのできる方法を見出した。
【0010】
したがって、本発明は、式:
【0011】
【化8】
Figure 2004525086
【0012】
(式中、
は、非置換もしくは置換C〜Cアルキルか、または式−COORの基であって、このRが、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、
は、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、
Xは、−O−または−NH−基であり、
Yは、水素か、またはアシルもしくはシリル基であり、
nは、0、1または2の数であり、そして
式(1)の化合物中の印を付したキラル炭素原子は、主にRまたはS配置のいずれかの純粋な形態で存在している)
の化合物の製造方法に関するものであって、その方法において、式:
【0013】
【化9】
Figure 2004525086
【0014】
の化合物は、エナンチオ選択的水素化によって、そして適切な場合には、Y基の導入によって変換して、式:
【0015】
【化10】
Figure 2004525086
【0016】
の化合物の、鏡像異性体(RまたはS配置体)の一方が富化された鏡像異性体の混合物を形成させ、そしてその鏡像異性体の混合物を酵素による立体選択的な加水分解、アルコーリシス、アミノリシスまたはアンモノリシスによって分離させ、
また、Xが−NH−基である式(1)の化合物を製造する場合は、その分割を、R′がRの前記定義と同じである式NH−R′の化合物の存在下において、酵素による立体選択的なアミノリシスまたはアンモノリシスによって遂行させることに関する。
【0017】
のための非置換または置換されたC〜Cアルキルとしては、特に相当するC〜Cアルキル基、好ましくは相当するメチルまたはエチル基が考慮に値する。言及されてよいアルキル基の置換基の例は、ハロゲンであるか、または非置換もしくはさらに置換されたフェニルもしくはベンゾイルである。ハロゲン置換基が存在する場合、それらは、この場合および以後において、特に塩素または臭素、好ましくは塩素である。置換基として言及されるフェニルおよびベンゾイル基は、非置換であるか、あるいはたとえばC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによって、特にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシによって、またはハロゲンによって置換されていてよい。フェニル基は、好ましくは非置換のものである。ベンゾイル基は、好ましくは非置換か、または塩素で置換されたものである。
【0018】
のための非置換または置換されたC〜Cアルキルとしては、たとえばRについて前に述べたアルキル基が、考慮に値する。そのアルキル基の置換基としては、非置換またはさらに置換されたフェニル基が、特に言及されてよい。そのフェニル基は、Rについて前記したように置換されていてよい。フェニル基は、好ましくは非置換のものである。
【0019】
は、好ましくはC〜Cアルキルであって、このものは非置換か、またはハロゲンによって、またはフェニルもしくはベンゾイルによって置換されており、そしてこのフェニルもしくはベンゾイルは、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによってさらに置換されているか;あるいは
式−COORの基であって、ここでRは、水素か、または非置換もしくはフェニル置換C〜Cアルキルであり、そしてこのフェニル基は、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによって、さらに置換されている。
【0020】
は、特にC〜Cアルキルであって、このものは非置換か、またはハロゲンによって、またはフェニルもしくはベンゾイルによって置換されており、そしてこのフェニルもしくはベンゾイルは、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによってさらに置換されたものである。フェニルまたはベンゾイル基の好ましい置換基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはハロゲン(たとえば塩素)である。
【0021】
は、特に好ましくはメチルまたはエチルであって、そのそれぞれが非置換か、あるいはハロゲンによって、またはフェニルもしくはベンゾイルによって置換されており、そしてこのフェニルもしくはベンゾイルは、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシによって、またはハロゲンによってさらに置換されたものである。とりわけ興味があるのは、R基がメチルまたはエチルであって、これが非置換か、または塩素、フェニルによって、または非置換もしくは塩素でさらに置換されたベンゾイルによって置換されているものである。
【0022】
のための非置換または置換C〜Cアルキルとしては、たとえばRについて前に述べたアルキル基が、考慮に値する。そのアルキル基の置換基としては、非置換か、またはさらに置換されたフェニル基を特に言及してよい。そのフェニル基は、Rの場合について前に述べたのと同様に、置換されていてもよい。そのフェニル基は、好ましくは非置換のものである。Rは、好ましくは水素、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、特にC〜Cアルキルまたはベンジルである。言及してよいR基の例は、メチル、エチルおよびベンジルである。特に好ましいのはメチル、そしてとりわけエチルである。
【0023】
Xは、好ましくは−O−基である。
【0024】
アシル基としてのYは、たとえば、式−C(O)−Rであって、ここでRは、非置換またはフェニル置換C〜Cアルキルである。Rは、好ましくは非置換またはフェニル置換C〜Cアルキル、特に非置換またはフェニル置換メチルまたはエチルである。アセチルがとりわけ好ましい。
【0025】
シリル基としてのYは、たとえば、式−Si(Rの基であって、ここで置換基Rは、同一または異なる意味を有することができ、そして非置換またはフェニル置換C〜Cアルキルである。Rは、好ましくは非置換C〜Cアルキルであり、特にC〜Cアルキル、そして好ましくはメチルまたはt−ブチルである。
【0026】
Yは、好ましくはアシル基である。
【0027】
nは、好ましくは0または1の数、特に1の数である。
【0028】
式(1)に関連して、“主に純粋形態で”という表現は、鏡像異性体分布がラセミ体の50/50分布から離れ、RまたはS配置体を優位成分とした95/5〜100/0、特に97.5/2.5〜100/0、そして好ましくは99/1〜100/0になっていることを意味する。鏡像異性体分布は、特に好ましくは99.5/0.5〜100/0である。
【0029】
式(1)の化合物で、そのRが、非置換またはさらに置換されたベンゾイルによって置換されたアルキルであるものについては、S配置体が好ましい。その他の場合にはR配置体が好ましい。
【0030】
構造式中の記号:
【0031】
【化11】
Figure 2004525086
【0032】
は、主たる数の分子が、表示された立体化学的配置をキラル中心において有していることを示しており、その配置は、Kahn、Ingold および Prelogの命名法(R、S命名法)に従い、RまたはSのいずれかで示してある。
【0033】
式(2)の化合物は、それに相当する互変異性体をも包含すると理解すべきである。
【0034】
式(2)の化合物は、既知であるか、または既知の方法を準用して得ることができる。
【0035】
エナンチオ選択的水素化は、好ましくはキラル変性剤の存在下、特にキラル変性剤としてのシンコナアルカロイド(たとえばWO−A−99/50223参照)の存在下で、触媒として白金を用いて実施される。
【0036】
キラル変性剤は、1個またはそれ以上のキラル中心の近傍に位置する塩基性窒素原子を有しており、そしてそのキラル中心自体は、二環式芳香族基に結合している。適したキラル変性剤は、A.PfaltzおよびT.Heintzにより、Topics in Catalysis 4(1997)229−239に記載されている。好ましいものは、シンコナアルカロイドであるが、これはその名称で既知となっていて、主にシンコナおよびレミジア両属の樹皮から単離できるキノリン植物塩基群に属している。この定義は、特にアルカロイド(−)−キニン、(+)−キニジン、(+)−シンコニンおよび(−)−シンコニジンを包含する。(−)−キニンおよび(−)−シンコニジンを用いると、結果としてR形態の化合物(3)が生成し、一方、(+)−キニジンおよび(+)−シンコニンを用いた場合には、S形態の化合物(3)が得られる。(−)−シンコニジンおよびそれの誘導体の使用が好ましい。
【0037】
特に好ましい実施態様においては、使用されるキラル変性剤は、式:
【0038】
【化12】
Figure 2004525086
【0039】
(式中、Rは水素、メチル、アセチル、ラクトイルまたはベンジルエステル化ラクトイルであり、そしてR′はエチルまたはヒドロキシメチルであり、そしてキラル中心は、記号により示してある)
のシンコニジンの誘導体である。
【0040】
式中、Rが水素で、R′がエチルである上述の化合物は、10,11−ジヒドロシンコニジン(HCd)として知られており、Rがメチルで、R′がエチルである化合物は、O−メトキシ−10,11−ジヒドロシンコニジン(MeOHCd)として知られており、Rが水素で、R′がヒドロキシメチルの化合物は、ノルシンコールとして知られている。
【0041】
本方法の好ましい実施態様においては、10,11−ジヒドロシンコニジン(HCd)が、キラル変性剤として用いられる。
【0042】
エナンチオ選択的還元は、それ自体既知の方法で実施される。用いられる白金触媒は、たとえば X.ZuoほかによりTetrahedron Letter 39(1998)1941−1944に記述されているような、いわゆるポリマー安定化コロイド金属クラスターの形態で存在していてよく、または好ましくは適切な担体に担持させてある。適切な担体の例は、炭素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、Cr、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸アルミニウムである。好ましいものは、酸化アルミニウムである。触媒は、それ自体既知の方法により、水素を用いて約200〜400℃で活性化し、ついでシンコナアルカロイドの溶液に浸漬して変性し、そして/または還元反応中にシンコナアルカロイドを直接添加する。
【0043】
水素化は、水または有機溶媒の存在下で実施される。好ましいのは、極性および無極性の非プロトン性溶媒、または極性のプロトン性溶媒、またはそれらの混合物の使用である。
【0044】
適切な無極性の非プロトン性溶媒の例は、炭化水素類、たとえば脂肪族炭化水素類であって、例としてヘキサン、ヘプタンまたは石油エーテル;環状脂肪族炭化水素類であって、例としてシクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン;芳香族炭化水素類であって、例としてベンゼン、トルエンまたはキシレンである。
【0045】
適切な極性の非プロトン性溶媒の例は、エーテル類、たとえば脂肪族エーテル類であって、例としてジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタンまたはt−ブチルメチルエーテル;環状エーテル類であって、例としてテトラヒドロフランまたはジオキサンであり;アミド類、たとえばジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンである。特に適しているのは、エーテル類、特にテトラヒドロフランである。
【0046】
適切な極性プロトン性溶媒の例は、たとえばアルコール類であって、例としてエタノールまたはn−ブタノールである。
【0047】
本方法は、好ましくは、液相中で不連続的にまたは連続的に、特に触媒懸濁液を使用して液相水素化とし、もしくは気泡塔中において、または賦形触媒を使用して、灌液床中において実施する。本反応はまた、気相中で、微粉化触媒を使用した流動床中において、または賦形触媒を使用した固定床中において実施することもできる。
【0048】
水素化は、広範な温度範囲内で実施できる。室温〜約100℃、特に20℃〜約50℃の温度が有利であることが判明した。
【0049】
水素化における水素圧は、広い範囲内、たとえば1〜200bar、好ましくは5〜100bar、特に10〜60barの範囲で変化しうる。用いられる水素圧は、使用できる水素化装置に事実上依存する。
【0050】
反応時間は、広い範囲内で変化しうる。これは使用される触媒、水素圧、反応温度および使用される装置に依存する。これは、たとえば0.5〜24時間でありうる。約0.5〜2時間が好都合である。
【0051】
反応生成物は、既知の方法に従って、たとえばろ過および蒸発による溶媒の除去によって単離される。
【0052】
式(3)の化合物の鏡像異性体混合物であって、水素化によって一方の鏡像異性体を富化したものは、好ましくはR配置体またはS配置体を優位成分とした、65/35〜95/5、特に70/30〜95/5、そして好ましくは75/25〜95/5の鏡像異性体分布を有する。特に好ましいには、80/20〜95/5の鏡像異性体分布である。
【0053】
酵素による分離は、たとえば以下の手順に従って実施できる。
【0054】
a)式(3)の化合物であって、式中、Rが非置換または置換C〜Cアルキルであり、その鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換して、式:
【0055】
【化13】
Figure 2004525086
【0056】
(式中、
は、前記定義のとおりであり、
、Yおよびnは、式(1)で定義したとおりであり、そして
式(4a)および(4b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(4a)および(4b)の化合物の他方はS配置体である)
の化合物の混合物を形成させる。
【0057】
b)式(3)の化合物であって、式中、Yがアシル基であり、その鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換して、式:
【0058】
【化14】
Figure 2004525086
【0059】
(式中、
Yは、前記定義のとおりであり、
、Rおよびnは、式(1)で定義したとおりであり、そして
式(5a)および(5b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(5a)および(5b)の化合物の他方はS配置体である)
の化合物の混合物を形成させる。
【0060】
c)式(3)の化合物であって、式中、Rが非置換または置換C〜Cアルキルであり、そしてYがアシル基であり、その鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換して、式:
【0061】
【化15】
Figure 2004525086
【0062】
(式中、
およびYは、前記定義のとおりであり、
およびnは、式(1)で定義したとおりであり、そして
式(6a)および(6b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(6a)および(6b)の化合物の他方はS配置体である)
の化合物の混合物を形成させる。
【0063】
d)式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、式NH−R′の化合物の存在下で、酵素によるアミノリシスまたはアンモノリシスによって変換して、式:
【0064】
【化16】
Figure 2004525086
【0065】
(式中、
、R、R′およびnは、式(1)で定義したとおりであり、そして
式(7a)および(7b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(7a)および(7b)の化合物の他方はS配置体である)
の化合物の混合物を形成させる。
【0066】
好ましいのは、方法変種a)、b)およびc)、特にa)およびc)であり、好ましくはc)である。
【0067】
方法変種a)、b)およびc)においては、追加的に、式HO−R′の化合物を加えることもでき、その場合、アルコーリシスの結果として、それぞれ式(4b)、5b)および6b)の化合物に対応した、ただし−COORまたは−COOH基の代わりに−COOR′を含有する化合物が得られる。Rの前記定義および好ましい意味は、R′基にも適用される。
【0068】
望むならば、その生成物は、鏡像異性体の純度を上げるために、再結晶によって再び精製することができる。
【0069】
Y基の導入は、既知の方法に従って、たとえばアシル化によって実施できる。
【0070】
酵素として、特に加水分解酵素として適しているのは、特にエステラーゼ類、リパーゼ類およびプロテアーゼ類(アミダーゼ類)である(これに関しては、U.T.Bornscheuer, R.T.Kazlauskas: Hydrolases in Organic Synthesis; Wiley−VCH,1999, p65−195, ISBN 3−527−30104−6も参照のこと)。
【0071】
エステラーゼ類としては、たとえば動物由来(たとえばPLE)、微生物由来または菌由来のエステラーゼ類を挙げることができる(たとえば B.subtilisエステラーゼ、Pichiaエステラーゼ類、酵母エステラーゼ類、Rhizopus sp. エステラーゼ類、Penicillium sp. エステラーゼ類)。
【0072】
リパーゼ類としては、たとえば動物由来(たとえばPPL)、菌および微生物由来(G.candidum (GCL)、H.lanuginosa(HLL)、Rhizopus sp.(RML、ROL)、Candida sp.(CAL−A、CAL−B、CCL)、Aspergillus sp.(ANL)、Pseudomonas sp.(PCL、PFL))のリパーゼ類を挙げることができる。
【0073】
プロテアーゼ類としては、たとえば、ズブチリシン(subtilisin)、テルミターゼ(thermitase)、キモトリプシン(chymotrypsin)、サーモライシン(thermolysin)、パパイン(papain)、アミノアシラーゼ類(aminoacylases)、ペニシリンアミダーゼ類(penicillin amidases)およびトリプシン(trypsin)を挙げることができる。
【0074】
本発明による生体触媒の使用は、もちろん列記した酵素類に限定されるものではない。これら酵素は、本発明による立体選択的な加水分解、アルコーリシス、アミノリシスに、またはアンモノリシスにも使用できる。
【0075】
酵素は、天然原料から、および/または現代のクローン方法、たとえば過発現および増幅による微生物から、粗単離物として、および/または精製形態で得ることができる。酵素は、商業的に入手することも可能である。適した酵素は、たとえばFluka、Sigma、Novo、Amano、Rocheの各社から入手できる。最近の文献に記載されている酵素についても言及してよい(これに関しては、たとえば、H.−J.Rehm, G.Reed: Biotechnology, VCH 1998, 第2版, p40−42を参照のこと)。
【0076】
酵素は、そのままか、またはシリカゲル、セライト(Celite)、オイパーギット(Eupergit)などのような種々の担体上に固定または吸着させたものとして、またはALTUS BIOLOGICS社から供給されているような、いわゆるCLEC類(架橋酵素類)として使用できるが、使用は、もちろん上記のものに限定されるものではない(これに関しては、以下も参照のこと:U.T.Bornscheuer, R.T.Kazlauskas: Hydrolases in Organic Synthesis, Wiley−VCH,1999, p61−65, ISBN 3−527−30104−6; K.Faber: Biotransformation in Organic Chemistry, Springer 1997, 第3版, 345−357,ISBN 3−540−61688−8; H.−J.Rehm, G.Reed: Biotechnology, VCH 1998, 第2版,407−411)。
【0077】
酵素は、たとえばヘキサン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、塩化メチレンなどの純粋な有機溶媒中で、またはこの種の溶媒の混合物中で、水または水性緩衝液とともに使用することができる。通常、水相は緩衝され(たとえばpH=5〜9)、これには通例の緩衝剤を使用することができる(これに関しては、K.Faber: Biotransformation in Organic Chemistry, Springer 1997, 第3版,305; U.T.Bornscheuer, R.T.Kazlauskas: Hydrolases in Organic Synthesis, Wiley−VCH,1999, p61−65を参照のこと)。反応中は、pH値を一定に保持する。目的に最適なのは、設定された塩基または酸の溶液を有する自動滴定機である。反応温度は、たとえば10〜50℃、好ましくは25〜40℃の範囲にある。用いられる生体触媒の量および試薬類の濃度は、広範囲に変化でき、そしておのおのの場合の基体および選んだ反応条件に応じて選択してよい。
【0078】
立体選択的水素化の結果として、単なる結晶化だけで所望の主たる鏡像異性体が多量に分離でき、そして高い鏡像異性体的純度が得られる場合には、この方法は、母液から所望の鏡像異性体の残部を回収するのにもきわめて適している。このようにして、所望の鏡像異性体を、非常な高収率で得ることが可能である。
【0079】
以下の例で、本発明を具体的に説明する。
【0080】
例1
a)水素化
【0081】
【化17】
Figure 2004525086
【0082】
式(101)の化合物(MW220.24)2.0gを、二重壁ジャケット、磁気撹拌機および電流ブレーカーを備えた50mLステンレス鋼オートクレーブ中で、トルエン30mLを用いて溶解した。5%Pt/Al(Engelhard 4759、H中400℃で2時間前処理ずみ)50mgおよび(+)−10,11−ジヒドロシンコニジン5mgをそれに加えた。オートクレーブを閉じ、アルゴンで2回、そして水素で2回フラッシュした。ついで60barのH圧を加え、そして磁気撹拌機で撹拌する(1,200rpm)ことによって、反応を開始させた。反応中、温度を25℃(恒温槽)、そしてH圧を60barに維持した。反応時間160分後、水素の吸収が止まった。圧力を開放して、ただちにオートクレーブをアルゴンで再びフラッシュした。反応混合物をろ過し、そして蒸発により濃縮して、式(102)の化合物〔MW222.24、両配置体の比R/S=20.5/79.5〕を得た。
【0083】
b)酵素による分離
【0084】
【化18】
Figure 2004525086
【0085】
水素化によって得た式(102)の化合物5.0gを、水43mLと0.1Mリン酸塩緩衝液(pH=7)4.8mLを混合したものの中に懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)75mgを加え、混合物を室温で激しく撹拌した。pHは、0.5N水酸化ナトリウム溶液を用いて(理論消費量39.14mL)、6.9〜7.2に維持した。ついでタンパク質をセライト上でろ過して除いた。その後、水溶液を酢酸エチルで抽出し、そして有機相を分離して飽和塩化ナトリウム溶液で逆抽出した。有機相を蒸発により脱溶媒した後、そこから式(103)の化合物1.09gを得た。水相を2N塩酸でpH=1〜2に調整し、同様に酢酸エチルで抽出した。溶媒除去後、式(104)の所望の化合物3.06g(88%)を、白色固体の形態で得た。
【0086】
【表1】
Figure 2004525086
【0087】
式(104)の化合物の鏡像異性体比率を決定するために、通例の方法に従い、ラセミ化を起こさせることなく、酸を(トリメチルシリル)ジアゾメタンによってエステル化した。
HPLC(Chiracel AD)により、R/S比=2.7/97.3と決定した。
R異性体の保持時間:48.15分;
S異性体の保持時間:42.88分。
【0088】
例2
a)水素化
水素化は、例1a)に示したのと同様にして実施した。
【0089】
b)アセチル化
【0090】
【化19】
Figure 2004525086
【0091】
例2a)により得られる式(102)の化合物10.0gを、0℃で塩化メチレンに溶解した。これに塩化アセチル3.7gおよびピリジン3.8mLを加え、この混合物を、変換が完了するまで撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、順に1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液を用いて洗浄し、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。脱溶媒により、式(105)の化合物11.5g(97%)が生成した。
【0092】
【表2】
Figure 2004525086
【0093】
c)酵素による分離
【0094】
【化20】
Figure 2004525086
【0095】
例2b)により得られる式(105)の化合物1.0gを、ヘキサン/トルエン混合物(体積比4/1)50mL中に、0.1Mリン酸塩緩衝液25mL(pH=7)と一緒に懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)250mgを加え、混合物を室温で激しく撹拌した。約28時間後、タンパク質をセライト上でろ過して除いた。その後、水相を有機相から分離し、2N塩酸でpH=1〜2に調整し、酢酸エチルで抽出した。溶媒除去後、式(107)の所望の化合物0.54g(93%)を、白色固体の形態で得た。それに加えて、式(106)の化合物0.2g(100%)をトルエン相から回収した。
【0096】
例3
a)水素化
【0097】
【化21】
Figure 2004525086
【0098】
水素化は、例1a)における製法と同様にして実施した。
【0099】
b)酵素による分離
【0100】
【化22】
Figure 2004525086
【0101】
例3)により得られる式(109)の化合物5.0gを、水43mLと0.1Mリン酸塩緩衝液(pH=7)4.8mLを混合したものの中に懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)100mgを加えて、混合物を室温で激しく撹拌した。pHは、0.5N水酸化ナトリウム溶液を用いて(理論消費量39.14mL)6.9〜7.2に維持した。ついでタンパク質をセライト上でろ過して除去した。その後、水溶液を酢酸エチルで抽出し、そして有機相を分離して飽和塩化ナトリウム溶液で逆抽出した。有機相を蒸発により脱溶媒した後、そこから式(110)の所望の化合物3.46g(95%)を得た。
【0102】
【表3】
Figure 2004525086
【0103】
式(110)の化合物については、HPLC(Chiracel OD)により、R/S比=98.5/1.5と決定した。
R異性体の保持時間:7.38分;
S異性体の保持時間:6.26分。
【0104】
例4
a)水素化
水素化は、例3a)における製法と同様にして実施した。
【0105】
b)アセチル化
【0106】
【化23】
Figure 2004525086
【0107】
アセチル化は、例2b)における製法と同様にして実施した。アセチル化された鏡像異性体は、Chiracel ADを用いて分析した。
R異性体の保持時間:4.61分;
S異性体の保持時間:5.55分。
【0108】
【表4】
Figure 2004525086
【0109】
c)酵素による分離
【0110】
【化24】
Figure 2004525086
【0111】
例4b)により得られる式(112)の化合物1.0gを、ヘキサン50mL中に0.1Mリン酸塩緩衝液25mL(pH=7)と一緒に懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)400mgを加え、その混合物を室温で振とうした。約32時間後、タンパク質をセライト上でろ過除去した。その後、水相を有機相から分離除去し、そして飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を蒸発させて濃縮すると、式(113)の所望化合物0.65g(89%)が生成した。水相を2N塩酸でpH=1〜2に調整し、そして酢酸エチルで抽出した。溶媒除去後、式(114)の化合物0.15g(79%)を、白色固体の形態で得た。
【0112】
例5
a)水素化
水素化は、例1a)における製法と同様にして実施した。
【0113】
b)アセチル化
アセチル化は、例2b)における製法と同様にして実施した。
【0114】
c)酵素による分離
【0115】
【化25】
Figure 2004525086
【0116】
工程a)およびb)により得られる式(115)の化合物1.0gを、ヘキサン50mL中で0.1Mリン酸塩緩衝液25mL(pH=7)と一緒に懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)400mgを加え、混合物を室温で振とうした。約32時間後、タンパク質をセライト上でろ過除去した。その後、水相を有機相から分離除去し、そして飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を蒸発させて濃縮すると、式(116)の化合物0.22g(89%)が生成した。水相を2N塩酸でpH=1〜2に調整し、そして酢酸エチルで抽出した。溶媒除去後、式(117)の所望の化合物0.41g(76%)を、白色固体の形態で得た。
【0117】
例6
a)水素化
【0118】
【化26】
Figure 2004525086
【0119】
水素化は、例1a)における製法と同様にして実施した。
【0120】
b)酵素による分離
【0121】
【化27】
Figure 2004525086
【0122】
a)に示したようにして得た式(119)の化合物4.0gを、ジオキサン32mL中に、ベンジルアミン0.55gと一緒に溶解した。これにNovozym 435(NOVO)1.44gを加え、室温で激しく振とうした。1.25時間後、タンパク質をろ過除去し、ろ液をDowex(酸型)とともに撹拌した。ろ過、脱溶後、蒸留後の残留物から生成物を得た。式(120)の所望の化合物2.95g(91%)が得られた。固定化した酵素は、活性を失うことなく、繰り返し再使用できた。
【0123】
【表5】
Figure 2004525086
【0124】
式(120)の化合物については、HPLC(Chiracel OD)により、R/S比=99.3/0.7と決定した。
R異性体の保持時間:10.32分;
S異性体の保持時間:7.32分。
【0125】
例7
a)水素化
【0126】
【化28】
Figure 2004525086
【0127】
水素化は、例1a)における製法と同様にして実施した。
【0128】
b)アセチル化
【0129】
【化29】
Figure 2004525086
【0130】
アセチル化は、例2b)における製法と同様にして実施した。
【0131】
アセチル化された鏡像異性体を、Chiracel ADを用いて分析した。酢酸エステルが定量的に得られた。
R異性体の保持時間:17.47分;
S異性体の保持時間:18.96分。
【0132】
【表6】
Figure 2004525086
【0133】
c)酵素による分離
【0134】
【化30】
Figure 2004525086
【0135】
工程a)およびb)により得られる式(124)の化合物1.0gを、ヘキサン/トルエン混合物(体積比4/1)40mL中に、0.1Mリン酸塩緩衝液20mL(pH=7)とともに懸濁させた。これにリパーゼPS(AMANO)190mgを加え、その混合物を室温で振とうした。約24時間後、タンパク質をセライト上でろ過除去した。ジエチルエーテルまたは酢酸エチルで希釈し、そして水相を有機相から分離除去した。ついで有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。蒸発により有機相を濃縮すると、式(125)の化合物0.13g(100%)が生成した。水相を2N塩酸でpH=1〜2に調整し、酢酸エチルで抽出した。溶媒除去後、式(126)の所望化合物0.59g(79%)を白色固体の形態で得た。HPLCデータによれば、式(125)の再単離化合物は、100%のR異性体からなっていた。
式(126)の化合物の鏡像異性体のR/S比は、試料をエタノールでエステル化した後、HPLCによって決定した(R/S=1.3/98.7)。
【0136】
【表7】
Figure 2004525086

Claims (16)

  1. 式:
    Figure 2004525086
    (式中、
    は、非置換もしくは置換C〜Cアルキルか、または式−COORの基であって、このRが、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、
    は、水素か、または非置換もしくは置換C〜Cアルキルであり、
    Xは、−O−または−NH−基であり、
    Yは、水素か、またはアシルもしくはシリル基であり、
    nは、0、1または2の数であり、そして
    式(1)の化合物中の印を付したキラル炭素原子は、主にRまたはS配置のいずれかの純粋な形態である)
    の化合物の製造方法であって、式:
    Figure 2004525086
    の化合物を、エナンチオ選択的水素化によって、そして適切な場合には、Y基の導入によって変換して、式:
    Figure 2004525086
    の化合物の、鏡像異性体(RまたはS配置体)の一方が富化された鏡像異性体の混合物を形成させ、そしてその鏡像異性体の混合物を、酵素による立体選択的な加水分解、アルコーリシス、アミノリシスまたはアンモノリシスによって分離させ、
    そして、Xが−NH−基である式(1)の化合物を製造する場合には、その分割を、R′が前記Rの定義と同じである式NH−R′の化合物の存在下において、酵素による立体選択的なアミノリシスまたはアンモノリシスによって遂行させる方法。
  2. がC〜Cアルキルであって、これは非置換か、またはハロゲンによって、またはフェニルもしくはベンゾイルによって置換されており、そしてこのフェニルもしくはベンゾイルが、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによってさらに置換されているか;あるいは
    が、式−COORの基であり、
    は、水素か、または非置換もしくはフェニル置換C〜Cアルキルであり、そしてこのフェニル基は、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによってさらに置換されている、
    請求項1記載の方法。
  3. が、C〜Cアルキルであって、このものは非置換か、またはハロゲンによって、またはフェニルもしくはベンゾイルによって置換されており、そしてこのフェニルもしくはベンゾイルが、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシによって、またはハロゲンによってさらに置換されている、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. が、水素か、または非置換もしくはフェニル置換C〜Cアルキルであって、このフェニル基が、非置換か、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルカノイル、アミノ、ニトロによって、またはハロゲンによってさらに置換されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. が、C〜Cアルキルまたはベンジルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. Xが、−O−基である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. Yが、式−C(O)−Rまたは−Si(Rの基であって、このRおよびRが、非置換またはフェニル置換C〜Cアルキルである、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. nが、0または1の数、特に1の数である、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. エナンチオ選択的水素化を、キラル変性剤の存在下、触媒として白金を用いて実施する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. エナンチオ選択的水素化を、キラル変性剤としてのシンコナアルカロイドの存在下、触媒として白金を用いて実施する、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. が非置換または置換C〜Cアルキルである式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換し、式:
    Figure 2004525086
    (式中、
    は、前記定義のとおりであり、
    、Yおよびnは、請求項1で定義したとおりであり、そして
    式(4a)および(4b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(4a)および(4b)の化合物の他方はS配置体である)
    の化合物の混合物を形成させる、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. Yがアシル基である式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換し、式:
    Figure 2004525086
    (式中、
    Yは、前記定義のとおりであり、
    、Rおよびnは、請求項1で定義したとおりであり、そして
    式(5a)および(5b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(5a)および(5b)の化合物の他方はS配置体である)
    の化合物の混合物を形成させる、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  13. が非置換または置換C〜Cアルキルであり、そしてYがアシルである式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、酵素による加水分解によって変換し、式:
    Figure 2004525086
    (式中、
    およびYは、前記定義のとおりであり、
    およびnは、請求項1で定義したとおりであり、そして
    式(6a)および(6b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(6a)および(6b)の化合物の他方はS配置体である)
    の化合物の混合物を形成させる、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  14. 式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物を、式NH−R′の化合物の存在下で、酵素によるアミノリシスまたはアンモノリシスによって変換し、式:
    Figure 2004525086
    (式中、
    、R、R′、Yおよびnは、請求項1で定義したとおりであり、そして
    式(7a)および(7b)の化合物の一方はR配置体であり、そして式(7a)および(7b)の化合物の他方はS配置体である)
    の化合物の混合物を形成させる、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  15. 式(3)の化合物の、鏡像異性体の一方が富化されている鏡像異性体の混合物が、RまたはS配置体を優位成分として、65/35〜95/5、特に70/30〜95/5の鏡像異性体分布を有する、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 鏡像異性体分布が、RまたはS配置体を優位成分として、80/20〜95/5である、請求項15記載の方法。
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