JP2004524338A - 軽質フィードを熱分解する方法 - Google Patents

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クリユエイスベルフ,エミール・エデユアルト・アントニウス
ホーセンス,ユルーン・コルネーリス・ヨセフス・マリア
フアン・ウエストレネン,ユルーン
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シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
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Abstract

重質フィードの熱分解用に設計された熱分解炉中で軽質フィードを熱分解する方法であって、軽質フィードの一部を熱分解炉の対流ゾーンのフィード入口から導入し、別の軽質フィードを希釈ガスと共に対流ゾーン中に導入する方法。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、軽質フィードを熱分解する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン、特にエテンの生産は、一般に、常圧蒸留塔から得られるガス油、ナフサ、天然ガス液、ブタン、プロパンまたはエタン等の石油炭化水素供給材料を熱分解することによって達成される。分解装置によっては、減圧蒸留塔から得られるガス油等それより重質の供給材料をも使用することができる。
【0003】
熱分解は、また水蒸気分解とも呼ばれ、希釈ガスが存在する中での炭化水素の熱による分解を含む。そのプロセスは、対流ゾーン、分解ゾーン、冷却ゾーンおよび分離ゾーンを含む。熱分解炉は、対流ゾーンおよび分解ゾーンを含む。対流ゾーンは、第1の予熱ゾーンおよび第2の予熱ゾーンを含む。一般に、フィードを第1の予熱ゾーンで加熱し、そのフィードに希釈ガスを加えた後、そのフィードと希釈ガスの混合物を第2の予熱ゾーンに送る。フィードが液体である場合は、一般にそのフィードの少なくとも一部を第1の予熱ゾーンで気化する。
【0004】
運転中に分解ゾーン中にコークスが堆積することは良く知られている。このコークスの層は、分解ゾーン中の加熱媒体からの熱伝達を阻害し、それによって壁の温度が上昇し、管断面の流面積が減少する。分解ゾーン中にコークスが形成されるので、そのコークスを除去するために熱分解炉を定期的に停止しなければならない。
【0005】
一般に、液体フィードを転化するオレフィンプラントは、数個の熱分解炉を含んでいるが、その大多数は液体フィードの熱分解用に設計されており、一般に、1つの炉だけが気体フィードの熱分解用に設計されている。気体フィードの大部分は、通常、オレフィンプラント自身の中で生成される。気体フィード用として設計された熱分解炉が役に立たなくなった場合は、気体フィードは別の熱分解ユニットで処理する必要がある。一般に気体フィードを熱分解するための余分の能力は十分にはないので、気体フィードは一般に液体フィードを熱分解するために設計された熱分解ユニットに送られる。しかしながら、比較的少量の気体フィードしか液体フィード用に設計された炉には送ることができない。液体フィード用として設計された対流ゾーンにおける細くて長い管は、大きな圧力低下を引き起すのである。そのため、気体フィード用に設計された熱分解炉が運転できないときは、気体フィードの一部を燃料ガス中に加える場合がある。さらに、気体および液体の熱分解用フィードを単一の熱分解炉で処理するのはフィード毎の処理条件が異なるので不利である。
【0006】
熱分解にかけることができる液体フィードは、ガス油およびナフサを含む。ガス油は一般にナフサより高い初留点および最終沸点を有する。重質フィードは軽質フィードより高い初留点を持ち、第1の予熱ゾーンの主たる目的がフィード(の一部)を気化し、フィードを加熱することであるため、重質フィード処理用として設計された炉は、軽質フィード用として設計された炉より第1の予熱ゾーンにおいて大きい熱伝達表面面積を有する。ナフサのような軽質フィードがガス油の熱分解用として設計された炉に供給された場合、ナフサは一般に第1の予熱ゾーンの一部を通過したときに完全に気化するであろう。熱分解炉に送られる軽質フィードの量が炉の設計の対象である重質フィードの量と同じであった場合は、大量のガスが第1の予熱ゾーン中を流れるために第1の予熱ゾーンに関して容認できない大きな圧力低下があるであろう。それゆえ、重質フィード用として設計された炉では比較的少量の軽質フィードしか処理することができない。
【0007】
気体フィードを気化する必要がないため、気体フィードを処理するために設計された炉は、液体フィード用として設計された炉より小さい第1の予熱ゾーン中の熱伝達表面面積を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、重質フィードの熱分解用として設計された炉中で軽質フィードを熱分解すること、より詳細には、液体フィードの熱分解用として設計された炉中で気体フィードを熱分解することを可能にする方法に関する。これは、軽質フィード用に設計された熱分解炉が運転不能となったときに軽質フィードをより有効に役立てることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、
(1)対流ゾーンでフィードを加熱するステップと、
(2)分解ゾーンで対流ゾーンの生成物をさらに加熱し、そこでフィードをより低沸の生成物に転化するステップと、
(3)分解ゾーンの生成物を冷却するステップと、
(4)冷却した生成物を所望の最終製品に分離するステップとを含み、軽質フィードを対流ゾーンのフィード入口で導入し、さらに軽質フィードを希釈ガスと共に対流ゾーンに導入する重質フィードの熱分解用として設計された熱分解炉中で軽質フィードを熱分解する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の範囲は、記述した各プロセスステップの間または記述した1つのプロセスステップ内の起点と最終沸点の間に任意の数およびタイプのプロセスステップを含み得ることが理解されなければならない。
【0011】
通常は、そして好ましくは、1つのプロセスステップの全ての生成物は、次のプロセスステップに回す。しかしながら、プロセスステップの生成物の一部だけを次のプロセスステップに送ることも可能である。
【0012】
フィードは、標準の入口およびフィードを希釈ガスと共に導入する入口以外の別の入口からプロセスに導入することができる。しかしながら、フィードおよび希釈ガスと一緒の別のフィードは、対流ゾーンの標準の入口だけから導入するのが好ましい。
【0013】
希釈ガスは単一の入口から加えることができ、またはいくつかの入口を経由して加えることができる。しかしながら、希釈ガスは単一の入口から加えるのが好ましい。
【0014】
この明細書で言う温度は、フィードが到達する温度である。
【0015】
軽質フィードは希釈ガスとは異なり、すなわち、軽質フィードは主に少なくとも2個の炭素原子を含有する炭化水素からなる。炭化水素は水素と炭素および場合によってヘテロ原子からなる。好ましくは、軽質フィードは、少なくとも2個の炭素原子を含有する炭化水素を、少なくとも60重量%、より特定的には、少なくとも70重量%、さらに特定的には、少なくとも80重量%、最も特定的には、少なくとも90重量%含有する。
【0016】
重質フィードは、軽質フィードより高い初留点を有するフィードである。軽質フィードと重質フィードの沸点範囲は重なり得るが、重質フィードは、一般に、初留点と最終沸点が両方共より高い。
【0017】
気体フィードは、対流ゾーンに入った時点で大部分がガス状のフィードであって、対流ゾーンに入った時点で、好ましくは、フィードの少なくとも80重量%がガス状であり、より好ましくは、少なくとも95重量%がガス状であり、最も好ましくは、フィード全体がガス状である。対流ゾーンに入った時点で一般にガス状であるフィードの例としては、エタン、プロパン、ブタン、液化石油ガス、またはこれらフィードの任意の組み合わせがある。液化石油ガス(LPG)は、プロパン、イソブタンおよびn−ブタン等の軽質炭化水素の混合物である。エタンは湿性天然ガスおよび製油所廃ガスから得ることができる。エタンは単独またはプロパン等の他の化合物と組み合わせて分解することができる。プロパンは、湿性天然ガス、天然ガソリンおよび製油所廃ガスから得ることができる。ブタンは、天然ガソリンおよび製油所廃ガスから得ることができる。一般にLPGは、天然ガソリンおよび製油所ガスから得ることができる。好ましくは、気体フィードはエタンである。
【0018】
液体フィードは、対流ゾーンに入った時点で大部分が液状のフィードであって、対流ゾーンに入った時点で、好ましくは、フィードの少なくとも80重量%が液状であり、より好ましくは、少なくとも95重量%が液状であり、最も好ましくは、フィード全体が液状である。液体フィードの1つはナフサである。ナフサの初留点は0から100℃であり得るが、最終沸点は90から250℃の範囲であり得る。他の液体フィードとしてはガス油がある。ガス油の初留点は100℃を超えて300℃までの範囲であることができ、一方、最終沸点は300から600℃の範囲であり得る。好ましくは、炉はナフサの熱分解用として設計するか、または炉はガス油の熱分解用として設計する。より好ましくは、炉はナフサの熱分解用として設計する。
【0019】
重質フィード用として設計された熱分解プロセスの対流ゾーンは、軽質フィード用として設計された対流ゾーンとは特に第1の予熱ゾーンにおいて異なる。重質フィード用対流ゾーンの第1の予熱ゾーンは、軽質フィード用の第1の予熱ゾーンより大きい熱伝達表面面積を有する。正確な熱伝達表面面積は適用するプロセス条件および使用される金属類等のさらなる状況に依存するが、当技術分野の熟練者であれば、第1の予熱ゾーンの熱伝達表面面積から、適用されるプロセス条件を結び付けて、どちらのフィード用として炉が設計されているかが分かるであろう。
【0020】
液体フィードの熱分解用として設計された熱分解プロセスの対流ゾーンは、気体フィード熱分解プロセスの対流ゾーンとは特に第1の予熱ゾーンにおいて基本的に異なる。液体フィード熱分解用対流ゾーン、より特定すれば、その第1の予熱ゾーンは、比較的狭い管を有しており、フィードはその対流ゾーン、より特定すれば、その第1の予熱ゾーン中により長時間留まるであろう。対流ゾーン中のより長い滞留時間は、対流ゾーン、より特定すれば、その第1の予熱ゾーン中をより頻繁に通過させることによって達成される。液体フィード対流ゾーン中に存在する管は、一般的には7から8cmの直径を有しているが、管の長さ、通過の回数、許容できる圧力低下および転化するフィード等のさらなる条件によって異なる直径も使用することができる。
【0021】
気体フィードの熱分解用対流ゾーン、より特定すれば、その第1の予熱ゾーンは、より太い管を有しており、また、そのゾーン中の滞留時間は気体フィードに対しては一般に比較的短くて十分である。短い滞留時間は、フィードをほんの限定された回数だけそのゾーン中を通過させることにより一般に達成される。気体フィードの対流ゾーン中に存在する管は、一般的には8から9cmの直径を有しているが、管の長さ、通過の回数、許容できる圧力低下および転化するフィード等のさらなる条件によって異なる直径も使用することができる。液体フィードの対流ゾーンと気体フィードの対流ゾーンの間の違いは、主として気体フィードは蒸発させる必要がないという事実によるものである。
【0022】
対流ゾーンは一般に第1の予熱ゾーンおよび第2の予熱ゾーンを含み、その間に希釈ガス用の入口が位置している。第1の予熱ゾーンの中でフィードは加熱する。第1の予熱ゾーンの後は、フィードに希釈ガスを加えることができ、得られたその混合物を第2の予熱ゾーン中で分解が起こり始める温度のすぐ下の温度まで加熱することができる。対流ゾーンから得られる生成物の温度は、フィードによって、通常400から800℃、より特定すれば450から750℃である。
【0023】
熱分解炉は、重質フィードの熱分解用として設計され、オレフィン等の低沸生成物を生産するために運転される特に管状の水蒸気分解炉を含む任意のタイプの通常のオレフィン類熱分解炉であってよい。熱分解炉の対流ゾーン内の管は、平行の管の層として配列するか、または、供給材料が対流ゾーン中を1回だけ通過するように管を配列することができる。各層は管を螺旋タイプまたは蛇行タイプの配列で配置することができる。フィードは、入口でいくつかの管に分かれさせるか、または、全部のフィードが第1段目の予熱装置の入口から出口まで流れる1つだけの通過管に供給してもよい。対流ゾーンの第1および/または第2の予熱ゾーンは、好ましくは、フィードが第1および/または第2の予熱ゾーンを複数の管を経由して通過する多重通過型管状反応器を含む。多重通過型管状反応器は、フィードが十分に加熱されて希釈ガスと混合し、第2の予熱ゾーンに回されるか、または分解ゾーンに送られるまでフィードを1つの管から次の管に導く連結部をその末端に有する管をしばしば含有している。
【0024】
本発明による方法においては、通常重質フィードを導入する標準的なフィードの入口から軽質フィードの一部を対流ゾーンに導入する。
【0025】
容認できない処理量の限界を回避するために、希釈ガスと共に導入する別の軽質フィードは、希釈ガスとは別々に導入することもできるし、希釈ガスと混合した後にプロセスに導入することもできる。通常、別の軽質フィードは、上で述べた理由により標準の入口を経由しては導入できない残りのフィードであろう。ところが、本発明のプロセスには残りの軽質フィードの全部を導入しない理由があり得る。軽質フィードを希釈ガスとは別に導入する場合、フィードを導入できるのは希釈ガスの導入の前か希釈ガスの導入の後のいずれかである。別の軽質フィードと希釈ガスの導入の場所は互いに接近しているのが好ましい。別の軽質フィードを希釈ガスの導入前に導入する場合、あまりに間隔のあいた導入は、本発明の方法において防がなければならない容認できない圧力低下をもたらすことになるであろう。
【0026】
別の軽質フィードは希釈ガスと混合した後に導入することができる。しかしながら、別の軽質フィードを希釈ガス、より特定すれば水蒸気と混合した後で導入する場合、対流ゾーンへの導入前に混合物の温度が低下し、その結果凝縮が始まってそれにより水滴が形成されるかもしれない。水滴の存在は腐食を引き起こし得るので一般に避けるべきである。
【0027】
別の軽質フィードを希釈ガスの導入後に導入する場合、その導入は、別の軽質フィードがその後の分解ゾーンにおける分解のために十分加熱されるようなものであることが好ましい。
【0028】
大部分のフィードは、標準のフィードの入口と希釈ガス用の入口に近い入口の両方から導入するのが好ましいけれども、少量のフィードは別の位置で導入することができる。
【0029】
最も好ましくは、別の軽質フィードは、希釈ガスを導入する前に対流ゾーンに導入する。
【0030】
フィードを第1の予熱ゾーンの入口に供給する時点の圧力と温度は重要ではなく、一般的にその温度は0から300℃である。
【0031】
第1の予熱ゾーンでフィードを加熱する最適温度は、フィードの圧力、およびプロセスのその他のものの性能および働きに依存する。第1の予熱ゾーンの生成物は、一般に少なくとも120℃の出口温度を有する。第1の予熱ゾーン中のフィードの温度の上限は、フィードの安定性が損なわれる点までに限定される。一定の温度でフィードのコークス化傾向は増大する。この温度の限界は、第1および第2予熱ゾーンの両方およびこれらゾーン中の全ての管に当てはまる。第1の予熱ゾーン内のフィードの出口温度は、好ましくは、520℃以下であり、最も好ましくは、500℃以下である。
【0032】
対流ゾーンの第1および第2予熱ゾーンの加熱要素は、一般的には管の層であって、管の内容は、いわゆる煙道ガスである熱分解炉の分解ゾーンから出てくる燃焼ガスによる対流熱伝によって主として加熱される。しかしながら、異なる加熱要素も使用することができる。
【0033】
第1および第2予熱ゾーン内の圧力は、特には限定されない。圧力は一般に4から21バールまで、より好ましくは、5から13バールまでの範囲内である。
【0034】
本発明の方法において、軽質フィードの一部は対流ゾーンの標準のフィード入口を経由して導入し、軽質フィードの一部は対流ゾーン中のさらに下流に導入する。標準のフィード入口で導入する軽質フィード対希釈ガスと共に導入する軽質フィードの重量比は、1:3から20:1、好ましくは、1:2から15:1、より好ましくは、1:1から5:1である。
【0035】
希釈ガスは、対流ゾーンに加える。これは、対流ゾーンの任意の場所で行うことができる。希釈ガスは、好ましくは、装置の維持および入れ替えを容易にするために熱分解炉の外部の場所で加える。
【0036】
希釈ガスは、対流ゾーンへの注入点で気化物質である。希釈ガスの例としては、水蒸気、好ましくは過熱水蒸気(沸点より上の水蒸気)、メタン、エタン、窒素、水素、天然ガス、乾性ガス、製油所オフガス、気化ナフサ等がある。好ましくは、希釈ガスは、過熱水蒸気、製油所オフガス、またはそれらの混合物である。最も好ましくは、希釈ガスは過熱水蒸気である。
【0037】
希釈ガスを別の軽質フィードと混合してからプロセス中に導入する場合、プロセス中に導入する別の軽質フィードと混合する前の希釈ガスの温度は、別の軽質フィードと希釈ガスの組み合わされたものが、希釈ガスの一部が凝縮することなくプロセス中に導入できるように、十分に高いことが望ましい。
【0038】
希釈ガス/フィード合流点における一般的な希釈ガスの温度は、140℃から800℃、より好ましくは、150℃から780℃、さらに好ましくは、200から750℃の範囲である。
【0039】
希釈ガスの圧力は特に制限はないが、注入するのに十分であることが望ましい。原油中に加える代表的な希釈ガスの圧力は、一般に6から15バールの範囲内である。
【0040】
一般に希釈ガスを第1の予熱ゾーンと第2の予熱ゾーンの間に加えるのは、フィード1kg当たり希釈ガス1kg以下の量が望ましい。しかしながら、それより多い量の希釈ガスが有利である状況もあり得る。
【0041】
希釈ガスとフィードの混合物は、第2の予熱ゾーンに供給し、そこでその混合物はさらに加熱する。第2の予熱ゾーンの管は、炉の分解ゾーンからの煙道ガスによって加熱することができる。第2の予熱ゾーン内では、かなりの供給材料の熱分解およびそれに付随する予熱器内のコークスの堆積が起こる温度の近くまたはすぐ下まで混合物を十分に予熱する。
【0042】
その後、対流ゾーンの生成物は、分解ゾーンに送る。水蒸気とフィードの混合物の温度は、滞留時間、温度プロフィルおよび分圧を制御しながら、さらに上昇させる。分解ゾーン内で得られる生成物の出口温度は、一般に、700から1000℃まで、より特定すれば、750から950℃である。圧力は、一般に、2から25バール、より好ましくは、3から18バールの範囲内である。
【0043】
分解ゾーン内の反応は高い吸熱を伴い、それゆえ、高い割合のエネルギー入力が必要である。
【0044】
分解ゾーンを離れるとき生成物は一般に直ちに冷却する。生成物の温度は、通常、二次的反応による劣化を防ぐために、200から700℃、より好ましくは、250から650℃の温度に下げる。分解ゾーンで得られた生成物の冷却は、直接急冷、間接急冷による等、適当な任意の方法で行うことができる。
【0045】
冷却した生成物は、その後所望の最終製品に分離する。所望の最終製品の分離は、冷却するときに始まり、そこで重質成分を除去することができる。さらに、冷却の途中で得られたガスを圧縮することができ、酸と水を除去することができる。その後、生成物は乾燥することができ、未分解のフィード、エタンおよびプロパンを熱分解用フィードとしてリサイクルするために回収することができる。分解のシビアリティが、得られた生成物の組成に影響する。
【0046】
オレフィン類熱分解炉の生成物としては、限定はしないが、エテン、プロペン、ブタジエン、ベンゼン、水素、メタン、および他の関連するオレフィン系、パラフィン系、芳香族系生成物が含まれる。エテンが一般に主たる生成物であって、一般的には、フィード重量を基準として15から60重量%の範囲にある。
【0047】
代表的な操作においては、分解ゾーンの生成物は、水急冷の助けを借りて冷却し、一般的には4から6段の多段圧縮が後に続く。圧縮の最終段の前にガスは苛性アルカリで処理し、硫化水素および二酸化炭素を取り除く。アセチレンは、水素リッチのコンプレッサガスで水素化することができる。圧縮の最終段の後、分解ガスは、一般的には、冷やすことによって脱水し、モレキュラーシーブを使用して乾燥する。メタンおよび水素は、脱メタン装置中で取り除くことができる。脱メタン装置内では、2個の炭素原子を含有する炭化水素は塔頂で生成し、3個以上の炭素原子を含有する炭化水素は塔底の生成物となる。塔頂流は、水素化してアセチレンを除去し、次いで分別してエテンとエタンを生成させることができる。エタンはリサイクルすることができる。塔底生成物は、適切である場合は、さらに分別して4個以上の炭素原子を含有する化合物を含むヘビーエンドを取り除くことができる。脱プロパン装置からの塔頂流は、水素化してメチルアセチレンおよびプロパジエンを除去することができ、販売用に回収するかまたは他の手段で除去することができる。プロペンは、脱プロパン装置からの塔頂流として得ることができ、塔底のプロパン留分はリサイクルすることができる。
【0048】
上で記したように本発明の方法は、軽質フィードが気体フィードである場合で且つ重質フィードが液体フィードである場合に特に有利である。本発明が特に有利となる軽質フィードはエタンである。
【0049】
本発明で使用する熱分解炉は、ナフサの熱分解用として設計された炉またはガス油の熱分解用として設計された炉が有利である。最も多くは、炉はナフサの熱分解用として設計された炉である。
【0050】
本発明による代表的な方法を図1に示した。しかしながら、本発明はこの代表的な方法に限定されない。
【0051】
対流ゾーンIは、第1の予熱ゾーンのゾーンIaと第2の予熱ゾーンのゾーンIbからなる。ゾーンIIは分解ゾーンであり、ゾーンIIIは冷却ゾーンである。
【0052】
この代表的な方法において第1および第2の予熱ゾーンは両方共煙道ガスにより加熱する。好ましくは、煙道ガスは、ライン10を経由して分解ゾーンIIに誘導する。煙道ガスは1350℃までの温度を有することができる。分解ゾーンIIの加熱に使用した後煙道ガスはライン11を経由して第2の予熱ゾーンIbに導く。第2の予熱ゾーンIbの加熱に使用した後煙道ガスはライン12を経由して第1の予熱ゾーンに送ることができる。煙道ガスは、ライン13を経由して第1の予熱ゾーンから除去することができる。
【0053】
本発明の方法にかける軽質フィードは、ライン1を経由して対流ゾーンに導入する。その軽質フィードは予熱ゾーンIaで加熱する。希釈ガスはライン3を経由して対流ゾーンに加える。別の軽質フィードはライン2、4および/または5を経由してプロセスに導入することができる。上で述べたように、別の軽質フィードは、希釈ガスの導入に近いがそこから分離しているライン2を経由して導入するのが好ましい。他の選択肢は、軽質フィードをライン4からライン3を経由して加えることにより、少なくとも一部の別の軽質フィードを希釈ガスと混合することである。さらなる選択肢は、別の軽質フィードを、ライン5を経由して導入するものであり、それにより別の軽質フィードを希釈ガスの導入後それに接近して導入するようにする。第1の予熱ゾーンIaで加熱された軽質フィードは、ライン6を経由して第2の予熱ゾーンIbに送る。
【0054】
軽質フィードと希釈ガスの混合物は第2の予熱ゾーンIbでさらに加熱する。
【0055】
得られた加熱混合物はライン7を経由して分解ゾーンIIに送り、そこでフィードを低沸生成物に転化する。分解ゾーンの生成物はライン8を経由してゾーンIIIに送り、そこでその生成物を冷却する。冷媒の流体はライン14を経由して導入し、ライン15を経由して除去することができる。冷却した生成物は分離ゾーン(表示なし)でさらに処理して上で記したような所望の生成物を得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による代表的な方法を示す図である。

Claims (8)

  1. (1)対流ゾーンでフィードを加熱するステップと、
    (2)分解ゾーンで対流ゾーンの生成物をさらに加熱し、そこでフィードをより低沸の生成物に転化するステップと、
    (3)分解ゾーンの生成物を冷却するステップと、
    (4)冷却した生成物を所望の最終製品に分離するステップとを含み、
    軽質フィードを対流ゾーンのフィード入口で導入し、別の軽質フィードを希釈ガスと共に対流ゾーンに導入する、
    重質フィードの熱分解用として設計された熱分解炉中で軽質フィードを熱分解する方法。
  2. 軽質フィードが気体フィードであり、熱分解炉が液体フィード用として設計されている請求項1に記載の方法。
  3. フィード入口で導入される軽質フィード対希釈ガスと共に導入される軽質フィードの重量比が1:3から20:1である請求項1または2に記載の方法。
  4. 希釈ガスが過熱蒸気である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 軽質フィードがエタンである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 炉がナフサの熱分解用として設計されているか、または、炉がガス油の熱分解用として設計されている請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 炉がナフサの熱分解用として設計されている請求項6に記載の方法。
  8. 希釈ガスを導入する前に別の軽質フィードを対流ゾーンに導入する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
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