JP2004524024A - 新規の核酸およびポリペプチド分子 - Google Patents
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Abstract
本発明は、MURF1、MURF3、またはMA−61と命名される新規の哺乳動物分子内シグナル伝達ポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。本発明はまた、MURF1遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物を結合する因子を検出および/または測定するのに使用され得るアッセイシステムを提供する。本発明はまた、MURF1もしくはMAFBXと、シグナル伝達を開始するかまたはMURF1もしくはMA−61への結合、MURF1、MURF3、もしくはMA−61のmRNA発現の阻害因子、またはMURF1経路、MURF3経路、もしくはMAFBX経路の阻害を介してユビキチン結合の阻害を開始する因子との間の相互作用に基づく診断方法および治療方法を提供する。
Description
【0001】
本出願全体にわたり、種々の刊行物が、参照される。それらの内容におけるこれらの刊行物の開示は、本明細書により、本出願において参考として援用される。本出願は、米国仮出願第60/264,926号(2001年1月30日に出願された)、同第60/311,697号(2001年8月10日に出願された)および同第60/338,742号(2001年10月22日に出願された)に対する優先権を主張する。
【0002】
(序論)
本発明は、新規のヒトヌクレオチド配列に関する。これらの2つ(本明細書中で示される、MURF1およびMA−61)は、ユビキチンリガーゼの新規の基質標的サブユニットをコードし、そして筋萎縮症を誘導するか、阻害するかまたは逆転させる(reverse)かのいずれかである状態または薬剤により変調される(modulated)。MuRF−1に対する高い相同性を有するさらなる配列は、基質がシンコイリン(Syncoilin)である、本明細書中に示される分子MuRF−3をコードする。萎縮症の誘導は、これらの遺伝子のmRNAの発現における増加を引き起こし;萎縮症の逆転(reversal)または防止は、これらの遺伝子発現を減少させるかまたはブロックする。本明細書中に記載されるMURF1およびMAFBXのcDNA配列、ならびにさらなる実験は、MURF1およびMAFBXタンパク質分子が、ユビキチン化(細胞内でのタンパク質分解を開始させる特定の経路)を引き起こすことを立証する。本発明は、MURF1、MURF−3および/またはMA−61をコードする核酸分子、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス、宿主細胞発現系、ならびに本発明のヌクレオチドによってコードされるタンパク質を含む。本発明はさらに、これらの遺伝子自身およびそれらがコードするタンパク質、ユビキチン化、筋萎縮症ならびに関連する疾患、障害および状態に効果を現すような、強力な治療薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるこれらの核酸の使用に関する。加えて本発明はさらに、関連疾患の処置のための、治療プロトコルおよびユビキチン経路およびその基質を標的化することを示す薬学的組成物を含む。本明細書中に開示される分子は、筋萎縮症を変調するか、または筋肥大を誘導するように機能する。
【0003】
(発明の背景)
筋肉重量(mass)の減少、または萎縮は、種々の生理学的状態および病理学的状態に関与する。例えば、筋萎縮症は、以下に起因して脱神経から生じ得る:神経損傷;変性ニューロパシー、代謝性ニューロパシーまたは炎症性ニューロパシー(例えば、グイリムバール症候群(Guillian Barre syndrome));末梢ニューロパシー;または環境毒または薬物によって引き起こされる神経損傷。筋萎縮症はまた、以下に起因して、脱神経から生じ得る:運動性ニューロパシー(例えば、成人の運動ニューロン疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー・ゲーリグ病)を含む);乳児脊髄性筋萎縮および若年性脊髄性筋萎縮;ならびに多数の導体ブロック(conductor block)を伴う自己免疫性運動ニューロパシー。筋萎縮症はまた、例えば、以下に起因する麻痺から生じる慢性疾患から生じ得る:脳卒中または脊髄損傷;損傷(例えば、骨折、捻挫または脱臼)に起因する骨格不動化;あるいは、長期の床上安静(R.T.Jagoe、A.L.Goldberg、Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 4,183(2001)。代謝性ストレスまたは栄養性機能不全(nutritional insufficiency)(また、筋萎縮症を結果として生じ得る)としては、特に、癌の悪液質、AIDS、および他の慢性疾患、飢餓(fasting)、または横紋筋融解症、および内分泌性障害(例えば、甲状腺および糖尿病の障害)が挙げられる。筋萎縮症は、筋ジストロフィー症候群(例えば、デュシェーヌ、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型(fascioscapulohumeral)、エメリー−ドライフス、眼咽頭、肩甲上腕、四肢帯(limb girdle)、および先天性型)、ならびに遺伝性遠位型ミオパシーとして知られるジストロフィーに起因し得る。筋萎縮症はまた、先天性ミオパシー(例えば、良性先天性低張(benign congenital hypotonia)、中心コア病、ネマリンミオパシー(nemalene myopathy)、および筋細管(中心核)ミオパシー)に起因し得る。筋萎縮症はまた、老化プロセス中に起こる。
【0004】
種々の病理学的状態における筋萎縮症は、蛋白分解の増大および筋タンパク質合成の減少に関連する。筋細胞は、リソソームプロテアーゼおよび細胞質可溶性プロテアーゼを含む。細胞質可溶性プロテアーゼとしては、Ca2+−活性化中性プロテアーゼ(カルパイン)およびATP依存性ユビキチン−プロテアソーム蛋白分解系が挙げられる。リソソーム系および細胞質可溶性系は、インビトロで筋タンパク質を分解し得るが、インビボでの筋タンパク質分解におけるそれらの役割については、ほとんど知られていない。いくつかの研究は、プロテアソームインヒビターが、ラットの骨格筋の萎縮における蛋白分解を減少させ(例えば、Tawaら(1997)J.Clin.Invest 100:197)、ユビキチン−プロテアソーム経路が、蛋白分解の増大において役割を有するという示唆を導くことを報告している。しかし、筋肉の萎縮における蛋白分解の詳細な機構は、十分に特徴付けられていないままである。蛋白分解のよりよい理解は、萎縮症の予防および処置のための戦略計画および薬剤を与える。
【0005】
タンパク質分解は、タンパク質の存在量を制御するために細胞によって使用される共通のメカニズムである。しかし、全てのタンパク質を単に分解するのではなく、ユビキチン作用が、タンパク質標的選択に対して非常に特異的であるように思われる。このようなユビキチン−タンパク質結合体の形成は、3つの構成成分(ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、および基質特異性決定構成成分(E3))からなるタンパク質複合体を伴って生じる(Skowyraら、1997,Cell 91:209−219)。どのタンパク質標的がユビキチン化されるかを調節する、いくつかの別個の分子戦略が存在する。最近発見された機構は、SCF E3 ユビキチンリガーゼ複合体と言われる(複合体の図解表示について図1を参照のこと)。このSCFタンパク質複合体は、いくつかの別個のタンパク質サブユニット(「F−box」と呼ばれるドメインを有するタンパク質を含む)を含む。リン酸化基質の存在下で、このSCF複合体は、その基質に結合し、そしてSCF複合体の一部でもあるE2 ユビキチントランスフェラーゼを用いて、それをユビキチン化する(Pattonら、1998、Genes&Development 12:692−705)。この結果は、基質の特異的なタンパク分解性の分解である。F−boxタンパク質は、以下の3つのサブファミリーに分類され得る大きなファミリーを含む:1)複数のTrp−Asp反復(WD−40反復)によって特徴付けられる、Fbws;2)ロイシンリッチな反復によって特徴付けられる、Fbls;および3)既知のタンパク質相互作用ドメインを欠いている、Fbxs(現在既知の哺乳動物のF−boxタンパク質ファミリーメンバーの考察について、Winstonら、1999、Current Biology 9:1180−1182を参照のこと)。F−boxタンパク質は、通常、特定のタンパク質基質およびF−boxと呼ばれる、42〜48アミノ酸のモチーフと相互作用するさらなる基質結合ドメインを含む(Winston、1999)。hMAFBXの、他のF−boxを含むタンパク質との比較について、図2を参照のこと。
【0006】
ユビキチンの、特定の基質への結合に関する別の機構は、「環状ドメイン」を含むタンパク質に関与する。環状ドメインタンパク質は、独立した単量体のユビキチンリガーゼとして作用し得るか、またはそれらのタンパク質は、SCF複合体の一部分として機能し得るかのいずれかである。環状ドメインタンパク質は、F−boxタンパク質を有する場合、通常、特定の基質に結合する第2のドメインを含む。この環状ドメインは、ユビキチンリガーゼを補強する。最終的な結果は、最終的に蛋白質分解を生じる、基質のユビキチン化である。
【0007】
正常な筋組織の維持に関連する別のタンパク質複合体は、筋細胞の細胞外マトリクスとアクチン細胞骨格との間の連結において不可欠な役割を果たすと考えられる、ジストロフィンタンパク質複合体である。ジストロフィンタンパク質複合体の鍵となる成分は、a−ジストロブレビン(dystrobrevin)(その非存在が、神経筋接合部欠損および筋ジストロフィーを結果的に生じる、ジストロフィン関連タンパク質)である。最近、シンコイリン(Syncoilin)と呼ばれる、新規のa−ジストロブレビン結合パートナーが、同定された(Neweyら、JBC Papers in Press、2000年10月25日)。シンコイリンは、中間フィラメントファミリーのメンバーである。これは、骨格筋および心臓において高発現され、そして神経筋接合部に集まる。
【0008】
本発明に従って、MURF1(正式には、MUSCLE ATROPHY−16またはMA−16と呼ばれる)、MURF3、およびMUSCLE ATROPHY−61(MA−61)と名付けられた新規のタンパク質分子が、発見されている。MAFBXは、骨格筋および心筋において、そしてそれ程の程度ではないが、脳の特定の領域において特異的に発現される、新規のF−boxタンパク質である(図解表示について図3を参照のこと)。MAFBXmRNAの発現レベルは、骨格筋萎縮症の間に、顕著に増加する。MURF1は、骨格筋および心臓で特異的に発現される、新規の環状ドメインタンパク質(略図について、図4を参照のこと)である。MURF1 mRNAの発現レベルは、骨格筋萎縮症の間に顕著に増加する。従って、MURF1またはMAFBXのmRNA発現が、筋萎縮症についての独特のマーカーを提供するという本発明と一致して発見されている。MURF3は、新規の環状ドメインタンパク質であり、その基質は、ジストロフィンタンパク質複合体に関与するシンコイリンである。この複合体は、正常な筋組織を維持に関与するので、MURF−3はまた、萎縮症、ならびに筋系の他の疾患および合併症の予防に有用である。本発明の発見は、萎縮症の処置および予防のための薬剤の同定、ならびに萎縮症の処置および予防のための標的薬剤に有用な経路の同定を可能にする。本発明は、特に、SCFタンパク質複合体およびジストロフィン複合体に関する正常な筋肉の機能に一般的識見を提供する。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、新規の哺乳動物の細胞外シグナル伝達分子(MURF1、MURF3、およびMUSCLE ATROPHY−61(MA−61)と呼ばれる)のタンパク質および核酸配列、ならびに筋萎縮症もしくは他の関連疾患の処置における治療プロトコルおよびこのような分子を利用した組成物を提供する。本発明は、これらの分子の基質を同定するためのスクリーニングアッセイ、およびこれらの分子を変調するかまたは標的化する薬剤、ユビキチン結合またはユビキチン経路、もしくはジストロフィン複合体の同定に関する。これらのスクリーニングアッセイは、筋萎縮症および関連する障害の処置のための強力な治療薬剤を同定するために使用され得る。
【0010】
本発明は、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1およびMURF3の環状ドメインを含むタンパク質またはポリペプチド、ならびにこのようなモチーフおよび/またはドメインをコードする核酸を提供する。
【0011】
本発明はまた、MURF3核酸とシンコイリン遺伝子との間の共結合(co−association)を記載する。この相互作用は、正常筋細胞の機能、および特に、ジストロフィンタンパク質複合体、中間フィラメントスーパーファミリー、およびユビキチン結合タンパク質複合体の間の相互関係の識見を提供する。
【0012】
本発明はさらに、MA−61の新規のタンパク質−タンパク質相互作用ドメインを記載する。このドメインは、MAFBXタンパク質を、以前に発見されたF−boxを含むタンパク質(Fbx25)と比較することにより決定された。これら2つのタンパク質は、F−boxドメインと異なる相同な領域を含む。本出願人らは、このドメインを、Fbx25相同ドメインと呼ぶ。MAFBXのFbx25との比較に関して、図5A〜5Bを参照のこと。
【0013】
本発明はさらに、単離されたMURF1、MURF3、またはMAFBXの核酸分子、あるいはMAFBXのF−boxモチーフ、またはMURF1もしくはMURF3の環状ドメインを含むベクターを提供する。このベクターは、MURF1ペプチド、MURF3ペプチドまたはMAFBXペプチド、あるいはMA−61のF−boxモチーフ、あるいはMURF1核酸またはMURF3核酸の環状ドメイン、あるいはMURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質を、細菌内、酵母内、または哺乳動物細胞内で発現させるために、使用され得る。
【0014】
従って、本発明は、以下の核酸配列、このような核酸配列を発現する宿主細胞、ならびに以下のようなヌクレオチド配列の発現産物を含む:(a)MURF1、MURF3、またはMA−61をコードする、ヌクレオチド配列(ヒトホモログおよびラットホモログの両方を含む)、ならびにそれらの遺伝子産物;(b)MURF1分子、MURF3分子、およびMAFBX分子のサブユニットを標的化する新規の基質タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列(MA−61のF−boxモチーフ、MURF1またはMURF3の環状ドメイン、MURF3分子のシンコイリン遺伝子と共結合する部分、ならびにMA61のFbx25相同ドメインを含む);(c)ドメインの全てまたは一部が欠失または変化された、新規分子(MURF1、MURF3、およびMAFBXin)の変異体、ならびにこのようなヌクレオチド配列により特定されるポリペプチド産物をコードする、ヌクレオチド配列;(d)新規のユビキチン経路分子、または別のポリペプチドと融合した、1つのドメインを含む融合タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列ドメイン、ならびに新規のジストロフィン複合体タンパク質または別のポリペプチドと融合したそれらのドメインの1つをコードする、ヌクレオチド配列ドメイン、(e)上記に列挙されたヌクレオチド配列のいずれかと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列(ストリンジェントな条件としては、例えば、5×SSPE(0.18M NaCl、0.01M NaPO4、pH7.7、0.001M EDTA)緩衝液中に30%ホルムアミドを含む緩衝液中で、42℃の温度でハイブリダイズし、42℃で、0.2×SSPEによって洗浄された場合に結合を維持する条件;好ましくは、5×SSPE緩衝液中に50%ホルムアミドを含む緩衝液中で、42℃の温度でハイブリダイズし、42℃で、0.2×SSPE緩衝液によって洗浄された場合に結合を維持する条件;または、好ましくは、20%SDS、10% BSA、1M NaPO4、0.5M EDTA、pH8を含む緩衝液中で、60℃の温度でハイブリダイズし、65℃で、0.1% SDSを含む2×SSCによって洗浄された場合に結合を維持する条件);ならびに(f)少なくとも100塩基対の長さで配列のブロック内で、上記に列挙されるヌクレオチド配列に65%相同である、ヌクレオチド配列。
【0015】
本発明はさらに、ユビキチン経路、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の活性または発現、筋萎縮および/あるいはジストロフィン複合体と相互作用するかまたはこれらを調節する、薬物または因子をスクリーニングする際の、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質、MA−61のF−boxモチーフ、MURF1またはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と同時結合するMURF3分子の部分、およびMA−61のFbx25相同性ドメインの使用を提供する。従って、本発明は、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質および/あるいはそれらの特定のドメインの使用を提供し、細胞内(特定には、筋細胞であるが、MAFBX発現はまた、脳の領域で検出されるので、特定の神経細胞も含む)の特定の薬物、因子または分子の相互作用を追跡または調節するための使用を提供する。特定の実施形態において、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1もしくはMURF3のリングドメインは、MURF1分子、MURF3分子またはMAFBX分子との相互作用するかあるいはこれらの活性または発現を調節する分子または因子をスクリーニングするために利用される。他の実施形態において、MURF1核酸またはMURF1タンパク質、MURF3核酸またはMURF3タンパク質およびMAFBX核酸またはMAFBXタンパク質は、筋萎縮をブロックまたは防止する薬物を見出すためのアッセイ実験の間のマーカーとして使用される。
【0016】
本発明はまた、MURF1タンパク質もしくはMURF1ペプチド、MURF3タンパク質もしくはMURF3ペプチドおよびMAFBXタンパクもしくはMAFBXペプチドの発現または活性を調節するか、あるいはユビキチン化を阻害するために細胞内でMURF1タンパク質、MURF3タンパク質およびMAFBXタンパク質の相互作用をもたらすことによって、ユビキチン化および/または筋萎縮を低下させるためのMURF1核酸またはMURF1核酸タンパク質、MURF3核酸またはMURF3タンパク質およびMAFBX核酸またはMAFBXタンパク質の使用を提供する。
【0017】
本発明はさらに、新規のMURF1分子、MURF3分子およびMAFBX分子ならびにそれらのサブユニットの全てのアゴニストおよびアンタゴニスト(低分子、高分子、ネイティブなMURF1結合タンパク質、MURF3結合タンパク質およびMAFBX結合タンパク質と競合する変異体、ならびに抗体を含む)、ならびに、MURF1タンパク質およびMURF1ペプチド、MURF3タンパク質およびMURF3ペプチドならびにMAFBXタンパク質およびMAFBXペプチドの発現を阻害するために使用され得る(アンチセンス分子およびリボザイム分子ならびに遺伝子調節構築物または遺伝子置換構築物を含む)、またはMURF1タンパク質もしくはMURF1ペプチド、MURF3タンパク質もしくはMURF3ペプチドおよびMAFBXタンパク質もしくはMAFBXペプチドの発現を増強するためのヌクレオチド配列(MURF1遺伝子、MURF3遺伝子またはMAFBX遺伝子を強力なプロモータ配列の制御下に置く発現構築物を含む)、そして、MURF1導入遺伝子、MURF3導入遺伝子もしくはMAFBX導入遺伝子を発現するトランスジェニック動物またはMURF1分子、MURF3分子もしくはMUFBX分子を発現しないノックアウト動物を包含する。
【0018】
本発明はまた、ヒト(h)MURF1、げっ歯類(r)MURF1、(h)MURF3、(r)MURF3、(h)MA−61、または(r)MAFBXDNAの配列の範囲内に含まれる配列とハイブリダイズ可能な核酸プローブを提供し、ヒトおよびげっ歯類においてMURF1 mRNA、MURF3 mRNAまたはMAFBX mRNAを発現する組織の検出のために有用である。
【0019】
本発明はさらに、MURF1、MURF3およびMAFBXの結合サブユニットの誘導体およびアナログ(これらは、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害の予防のための潜在的な治療法として分子の活性を調節する)を同定するためのスクリーニング方法を包含する。本発明は、MURF1、MURF3およびMA−61またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン(例えば、MA−61のF−boxモチーフ、MURF1およびMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と同時結合するMURF3分子の部分、ならびにMA−61のFbx25相同性ドメイン)と相互作用するタンパク質をスクリーニングするための方法を提供する。本発明に従って、スクリーニング方法は、タンパク質−タンパク質相互作用を同定するための既知のアッセイを利用し得、このようなアッセイとして、ファージディスプレイアッセイ、タンパク質に結合する抗体を用いる免疫沈降に続くサイズ分画分析、ウエスタン分析、ゲル電気泳動,酵母2ハイブリッドアッセイ系またはこれらの改変が挙げられる。
【0020】
本発明はさらに、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、もしくはMAFBXタンパク質、またはMAFBXタンパク質のF−boxモチーフ、またはMURF1タンパク質もしくはMURF3タンパク質のリングドメイン、またはそれらのフラグメントもしくは誘導体に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む、抗体を提供する。
【0021】
本発明はさらに、診断上および治療上の有用性を有する。このような方法は、診断検査または遺伝子検査のための遺伝子配列および/または遺伝子産物配列を利用し得る。本発明の特定の実施形態において、MURF1 mRNA、MURF3 mRNAもしくはMAFBX mRNAの発現の検出方法、または本明細書中に記載されるMURF1タンパク質、MURF3タンパク質もしくはMAFBXタンパク質の検出方法は、神経筋接合部を冒すものを含む、心臓または骨格の、種々の病気、症候群または障害と関連する骨格筋萎縮の診断において使用され得る。ユビキチン経路を調節または標的化する分子における変異は、検出され得、そして被験体は、筋萎縮に関連する疾患または障害が進行する危険性について評価され得る。
【0022】
他の実施形態において、MURF1 mRNA、MURF3 mRNAまたはMAFBX mRNAの発現の操作、あるいはこれらの遺伝子もしくは遺伝子産物の活性もしくは発現と相互作用するかまたは遺伝子もしくは遺伝子産物を調節する他の因子は、筋萎縮およびジストロフィーに関連する病気、症候群または障害(例えば、骨格筋または心筋の障害)の処置において使用され得る。さらに、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMUFBX核酸もしくはMUFBXタンパク質のレベルまた活性の測定または分析は、他の実施形態において、薬学的因子が萎縮過程を撹乱するか否かを決定するために使用され得;発現の増加は、タンパク質の崩壊における増加と相関するが、発現の減少または妨害は、筋タンパク質の崩壊の効果的な減少または妨害と相関する。さらなる実施形態において、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1もしくはMURF3のリングドメインを、筋萎縮およびジストロフィーと関連する病気、症候群または障害(例えば、骨格筋または心筋の障害)の処置のために操作し得る。
【0023】
本発明はさらに、筋細胞における萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、細胞を、MURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくはMURF3核酸またはMAFBXタンパク質もしくはMAFBX核酸のインヒビター、MURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビター、あるいはユビキチン化のインヒビターと接触させる工程を包含する。本発明はさらに、筋細胞における萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、細胞を、筋萎縮のインヒビターと接触させる工程を包含し、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の発現の減少あるいはMURF1ペプチドもしくはMURF1タンパク質、MURF3ペプチドもしくはMURF3タンパク質またはMAFBXペプチドもしくはMAFBXタンパク質の活性の減少を生じる。この実施形態において、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の発現、あるいはMURF1ペプチドもしくはMURF1タンパク質、MURF3ペプチドもしくはMURF3タンパク質またはMAFBXペプチドもしくはMAFBXタンパク質の活性は、筋萎縮またはそれに関連する疾患を阻害における試験化合物の効率を証明するためのマーカーとして使用される。
【0024】
本発明はさらに、筋萎縮と関連する疾患または障害の処置において有用な因子をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、図7、9、11、13、17、19および22のアミノ酸配列をそれぞれ有するMURF1、MURF3またはMAFBX、あるいはそのフラグメントを発現する細胞およびその基質を化合物と接触させる工程、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のいずれかの活性の変化を検出する工程を包含する。活性のこのような変化は、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物と1つ以上のタンパク質(例えば、そのタンパク質の基質の1つまたはユビキチン経路の構成要素の一つ)との相互作用における変化によってか、あるいはユビキチン化または基質の分解の変化によって、明らかにされ得る。
【0025】
本発明はさらに、筋萎縮に関連する疾患または障害の処置において有用な因子をスクリーニングするための方法を提供し、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質を生成する工程、およびこれらのタンパク質のいずれかをインビトロユビキチンリガーゼアッセイにおいて使用する工程を包含する。因子は、インビトロでの遍在性連結(ubiquity ligation)阻害におけるその有効性についてスクリーニングされる。
【0026】
本発明はまた、筋萎縮と関連する動物の疾患または障害を処置する方法を提供し、このような疾患または障害の症状が緩和されるように、MURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路、ユビキチン化、あるいはMURF1遺伝子もしくはMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子もしくはMURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子もしくはMAFBX遺伝子産物の合成、発現または活性を調節する化合物をその動物に投与する工程を包含する。
【0027】
本発明は、筋萎縮と関連する動物の疾患または障害を診断する方法を提供し、この方法は、患者または患者サンプル中のMURF1遺伝子、MURF3遺伝子、またはMAFBX遺伝子の発現を測定する工程を包含する。例えば、本発明は、哺乳動物における筋萎縮を検出するための方法を包含し、この方法は、a)画像化因子と結合されたMURF1核酸もしくはMURF1ポリペプチド、MURF3核酸もしくはMURF3ポリペプチドまたはMAFBX核酸もしくはMAFBXポリペプチドを検出し得る分子を含む組成物を、その哺乳動物に投与する工程;b)その組成物を筋肉中に蓄積可能にする工程;ならびにc)筋萎縮の指標としてMURF1、MURF3またはMA−16の存在を検出するために、この蓄積された組成物を検出する工程。MURF1分子、MURF3分子、またはMAFBX分子に結合または付着し得るこのような分子は、例えば、化学物質、核酸、ポリペプチド、またはペプチドであり得る。さらに、このような診断薬は、転写物の量または発現産物の量を直接的に定量することによって遺伝子の発現を測定し得る。例えば、MURF1、MURF3またはMA−61ならびにこれらにコードされるタンパク質のレベルが、測定され得る。このような測定は、当該分野で公知の標準的技術(限定しないが、PCR、Taqman PCR、ノザン分析、ウエスタン分析または免疫組織化学が挙げられる)の使用を介してなされ得る。
【0028】
本発明はさらに、上記された方法を包含し、ここで、筋細胞は、トランスジェニック生物から得られるかまたはトランスジェニック生物内に存在し、ここで、このトランスジェニック生物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明はさらに、萎縮が誘導する状態を有する動物において萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、有効量のMURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくはMURF3核酸、またはMAFBXタンパク質もしくはMAFBX核酸のインヒビターで哺乳動物を処置する工程、あるいは細胞をMURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビターで処理する工程を包含する。本発明はさらに、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害の処置に有用な化合物をスクリーニングする方法を包含し、MURF1を発現する筋細胞を化合物と接触させる工程、およびMURF1タンパク質活性、MURF3タンパク質活性またはMAFBXタンパク質活性における変化を検出する工程を包含する。この変化は、PCR、Taqman PCR、ファージディスプレイ系、ゲル電気泳動、酵母2ハイブリッドアッセイ、ノザン分析またはウエスタン分析、免疫組織化学、慣用的なシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直進スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、またはX線装置によって検出され得る。MURF1タンパク質活性、MURF3タンパク質活性またはMAFBXタンパク質活性の変化はまた、MURF1、MURF3またはMAFBXと1つ以上のタンパク質との相互作用の変化を検出することによって検出され得る。この方法は、筋細胞が骨格由来であるか、培養細胞であるか、トランスジェニック生物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類)から得られたものであるか、あるいは、トランスジェニック生物において、使用され得る。タンパク質発現の変化は、ユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のタンパク質量の変化によって実証され得る。
【0030】
本発明はさらに、動物における萎縮を阻害する方法を包含し、ここでこの動物は、萎縮が誘導する状態への曝露または発症に先立って処置される。このような、萎縮が誘導する状態は、不動化、脱神経、飢餓、栄養の欠乏、代謝性ストレス、糖尿病、老化、筋ジストロフィーまたはミオパシーを含み得る。好ましい実施形態において、萎縮が誘導する状態は、不動化、老化または床上安静である。好ましい実施形態において、萎縮が誘導する状態は、癌またはAIDSである。
【0031】
本発明はさらに、骨格筋細胞において筋の肥大を生じる方法を包含し、この方法は、骨格筋細胞をMURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくMURF3核酸またはMAFBXタンパク質もしくはMURF3核酸のインヒビターで処置する工程、あるいは骨格筋細胞をMURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビターで処置する工程を包含する。
【0032】
化合物検出システムを利用する本発明の実施形態において、任意の検出器が、当該分野で公知であり、例えば、PCR、Taqman PCR、ノザン分析またはウエスタン分析、免疫組織化学、慣用的なシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直進スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、およびX線装置である。さらに、当該分野で公知の任意の画像化因子(例えば、放射性核種またはキレート)が、使用され得る。
【0033】
MURF1、MURF3またはMAFBXを検出し得る分子は、核酸およびmRNAまたは合成オリゴヌクレオチドもしくは合成ポリペプチドであり得る。
【0034】
本発明のさらなる実施形態において、過剰なMURF1、MURF3またはMAFBXを罹患する患者は、MURF1遺伝子コード領域、MURF3遺伝子コード領域またはMUFBX遺伝子コード領域に対応する有効量のアンチセンスRNA、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド、またはRNAiを投与することによって処置され、それによって、MURF1、MURF3および/またはMA−61の発現を減少され得る。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明は、本出願人による、分子MURF1、MURF3およびMA−61の発見および特徴付けに基づく。MURF1およびMAFBXは、ラットおよびヒトの成体心臓および成体骨格筋の両方で発現され、そして、これらの発現は、骨格筋萎縮の様々な状態下で増加する。本発明は、ヒト(h)MURF1、ヒト(h)MURF3およびHUMAN MUSCLE ATROPHY−61(hMA−61)と呼ばれる新規ヒト細胞内シグナル伝達分子のタンパク質および核酸、ならびにRAT MURF1、RAT MURF3およびRAT MUSCLE ATROPHY−61(rMA−61)と呼ばれる新規ラット細胞内シグナル伝達分子のタンパク質および核酸を提供する。本説明の全体にわたって、MURF1、MURF3、またはMAFBXのタンパク質および核酸の言及としては、本明細書中で記載されるようなhMURF1、hMURF3、hMA−61、rMURF1、rMURF3またはrMAFBXのタンパク質および核酸の特定の実施形態が挙げられるが、これらに限定されない。MURF1分子およびMURF3分子はリング(ring)ドメインを含み、そしてMAFBXは、F−ボックスモチーフを含む。この分子のこれらのドメインの両方は、この分子と、それらの基質とユビキチンリガーゼ系との間の相互作用を促進する。
【0036】
本発明は、ユビキチン経路に関する新規タンパク質およびその基質に関連する。本発明は、筋成長、筋機能化および筋増殖の障害に関与する新規核酸およびポリペプチドを提供する。これらとしては、このような活性を有する以下のようなMURF1、MURF3またはMAFBXのタンパク質もしくは核酸、またはそれらのドメインが挙げられる:例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と共同提携(co−associate)するMURF3分子の一部、およびMA−61のFbx25相同ドメイン。
【0037】
本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXの核酸、MURF1、MURF3およびMAFBXのポリペプチド、それらの誘導体およびアナログ、ならびにMURF1、MURF3もしくはMAFBXの核酸またはタンパク質の欠失変異体または種々のアイソフォームを含む。これらは、融合生成物(例えば、非MURF1、MURF3またはMAFBXのポリペプチドおよび核酸との融合生成物)として提供され得る。さらに、MURF1、MURF3およびMAFBXの核酸およびペプチドは、宿主発現系に関連され得る。
【0038】
本発明はさらに、MURF1、MURF3およびMA−61をコードするヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、MURF1、MURF3およびMA−61に対する抗体、それらのアゴニストおよびアンタゴニストの使用を提供する。本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXならびに/または分子の基質を同定するように設計されたスクリーニングアッセイに関し、この基質は、新規な分子であるMURF1、MURF3およびMAFBXの活性を、独立してかまたはそれらの基質に関連して調節する。さらに、本発明は、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害を阻害、ブロックまたは改善する見込みのある治療薬を同定するために使用されるスクリーニングアッセイの使用に関する。
【0039】
(遺伝子)
本発明は、核酸分子(これは、MURF1、MURF3またはMA−61をコードする)を提供する。本発明は、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物(MURF1、MURF3およびMA−61の機能的ドメイン(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と共同提携するMURF3分子の一部、およびMA−61のFbx25相同ドメイン)を含む)に対応するポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列、またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン、それらの変異形態、短縮形態または欠失形態、および前述のいずれかを組み込むかまたは生成する宿主細胞発現系を含む。
【0040】
本発明は、図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21中のDNA配列;図7、図9、図11、図13、図17および図19のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする任意のDNA配列;ストリンジェント条件下または高ストリンジェント条件下で、図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の相補鎖にハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列、および/または低ストリンジェント条件下で、図7、図9、図11、図13、図17、図19および図22のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の相補鎖にハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0041】
特定の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、図10、図12および図18に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、そしてF−ボックスモチーフのいずれかを含む遺伝子産物をコードし、そして、少なくとも47ヌクレオチド長である、哺乳動物ゲノム由来の任意のヌクレオチド配列を含む。
【0042】
本発明は、哺乳動物供給源由来の核酸分子およびタンパク質を含む。核酸配列としては、ゲノムDNA、cDNAまたは合成DNAが挙げられ得る。特定のアミノ酸配列をコードする核酸をいう場合、この核酸は、特定のアミノ酸配列をコードするようにプロセシングされたmRNA種が転写されるcDNA配列であり得ることが理解されるべきである。
【0043】
本発明はまた、開示された配列および/またはそれらの相補鎖のいずれか(これらは、調節エレメントに連結され得る)を含むベクターおよび宿主細胞を含む。このような調節エレメントとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:発現を駆動するかまたは調節するためのプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび当業者に公知の他のエレメント(例えば、CMV、SV40、MCK、HSAおよびアデノプロモーター、lac系、trp系、TRC系、ファージAのプロモーターおよびオペレーター)。
【0044】
本発明はさらに、本明細書中に開示された核酸配列、および、開示された配列に対して約50%よりも高いアミノ酸同一性を有するMURF1、MURF3およびMAFBXの遺伝子産物をコードする遺伝子配列のいずれかのフラグメントを含む。
【0045】
特定の実施形態において、本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXをコードする核酸配列のヌクレオチドフラグメント(図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21)を提供する。このようなフラグメントは、MURF1、MURF3またはMAFBXの遺伝子配列の少なくとも8つのヌクレオチド(すなわち、ハイブリダイゼーション部分)からなり;他の実施形態において、この核酸は、MURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列の少なくとも25個連続するヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、150ヌクレオチドまたは200ヌクレオチドからなる。別の実施形態において、この核酸は、47ヌクレオチド長より短い。本発明はまた、前述の配列に対してハイブリダイズ可能な核酸、または前述の配列の相補鎖に関する。全配列は、1本鎖であるか、2本鎖であり得る。さらに、本発明のヌクレオチド配列としては、図7、図9、図11、図13、図17および図19のMURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列によってコードされるポリペプチドに対して、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が挙げられ得る。
【0046】
本発明の1つの実施形態は、本明細書中の図7、図9、図11、図13、図17および図1に記載のアミノ酸配列に対応するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチド、またはMURF1、MURF3もしくはMA−61特異的活性もしくは特異的発現レベルを有するそれらのフラグメントをコードする組換え核酸である。
【0047】
なお別の実施形態は、ネイティブMURF1またはMAFBXの配列を有する核酸の相補鎖に特異的にハイブリダイズし得る少なくとも18個連続した塩基を有する、本明細書中の図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21に記載のヌクレオチド配列、またはそれらのフラグメントを含む単離された核酸である。
【0048】
さらに、開示されたMURF1核酸、MURF3核酸またはMAFBX核酸の配列は、選択された発現系のために最適化され得るか(Hollerら、(1993)Gene 136:323〜328;Martinら、(1995)Gene 154:150〜166)、または核酸配列をコードする天然のMURF1、MURF3またはMAFBXの単離において使用するための縮重オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを生成するために使用され得る(「GCG」ソフトウェア、Genetics Computer Group,Inc.,Madison,WI)。MURF1、MURF3またはMAFBXをコードする核酸は、例えば、以下のために、発現ベクターの一部となり得、そして組換え宿主細胞に組み込まれ得る:発現およびスクリーニング、トランスジェニック動物、または、機能的研究(例えば、MURF1またはMA−61媒介細胞活性、またはMURF1、MURF3もしくはMAFBXのmRNAおよび/もしくはタンパク質発現に関連する疾患に対する候補薬剤の効果)。発現系は、選択的な翻訳後プロセシングを介して、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドの構造改変体および機能的改変体を達成するために、選択および/または変更される。
【0049】
特許請求されたMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸は、単離されていても、純粋でも、かつ/または非天然でもよい。「純粋な」核酸は、所定のサンプル中の全ての核酸の少なくとも約90重量%、好ましくは、少なくとも約99重量%を構成する。「非天然」の核酸は、天然の産物であると考えられないかもしれない程度に操作された核酸である。非天然の核酸の1つの例は、当該分野において公知の組換え技術を介して産生された核酸である。この目的の核酸は、合成されても、組換え技術によって産生されても、細胞から精製されてもよい。本明細書中に開示されるヌクレオチド配列およびそれらのフラグメントを含む核酸は、それが天然の染色体上で結合されている配列以外の配列に直接隣接するか、またはそれが天然の染色体上で結合されている配列以外の配列に直接隣接する10kbより短い(好ましくは2kbより短い)ネイティブの隣接領域に隣接するように配列またはフラグメントを末端に含み得る。この核酸は、通常、RNA配列またはDNA配列であり、他の塩基またはヌクレオチドアナログを含む核酸を用いて、例えば、改変された安定性を提供することは、しばしば有利である。
【0050】
本発明は、以下を含むが、これらに限定されないMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸の広範な種々の適用を提供する:筋萎縮症、ユビキチン化、あるいはMURF1核酸、MURF3核酸、およびMAFBX核酸またはポリペプチド自体の発現もしくは活性を調節する分子、薬剤および薬物の同定および研究;筋萎縮症またはユビキチン化のマーカーとして;筋萎縮症またはユビキチン化の予防または軽減のためのマーカーとして;筋ジストロフィーを調節する分子、薬剤および薬物の同定および研究;筋ジストロフィーのマーカーとして;筋ジストロフィーの予防または軽減のためのマーカーとして;翻訳可能な転写物、ハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマー、または診断核酸、イメージング剤として;MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、またはMAFBX遺伝子および遺伝子転写物の存在の検出;ならびにさらなるMURF1ホモログ、MURF3ホモログ、またはMAFBXホモログおよび構造的アナログをコードする核酸の検出または増幅。
【0051】
本明細書中に記載される、MURF1mRNA、MURF3mRNA、またはMAFBXmRNAに結合するか、またはその発現を調節する新規薬剤は、MURF1mRNA、MURF3mRNA、またはMAFBXmRNAを発現する細胞において筋萎縮症を予防し得る。本明細書中に記載される、MURF1、MURF3、またはMA−61に結合するかまたはそれが媒介するユビキチン化もしくはそれらの活性を調節する新規薬剤は、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質のいずれかを含む細胞において筋萎縮症を予防し得る。MAFBXmRNAの発現もしくはMAFBXタンパク質の活性を阻害するか、またはMA61経路を阻害する薬物または薬剤は、標的タンパク質の、特定のSCF E3ユビキチンリガーゼ媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MURF1mRNA、MURF3mRNAの発現、またはMURF1タンパク質もしくはMURF3タンパク質の活性を阻害するか、あるいはMURF1経路もしくはMURF3経路を阻害する薬物または薬剤は、標的タンパク質の、特定の環状ドメイン媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MA61mRNAの発現またはMAFbxタンパク質の活性を阻害する薬物(rug)または薬剤は、標的タンパク質のF−ボックス媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNAまたはゲノムDNAの優性ネガティブな阻害形態は、骨格筋萎縮症をブロックするための遺伝子治療に用いられ得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNAまたはゲノムDNAの優性ネガティブ阻害形態(MA−61のF−ボックスドメインもしくはFbx25ホモロジードメイン、またはMURF1もしくはMURF3の環状ドメインのいずれかが単独で発現される)もまた、骨格筋萎縮症をブロックするための遺伝子治療に用いられ得る。
【0052】
本発明は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、およびMAFBX遺伝子(例えば、転写因子阻害剤、アンチセンスおよびリボザイム分子、ならびに遺伝子または調節配列置換構築物を含む)の発現を阻害するか、あるいはMURF1、MURF3、またはMAFBXの優性ネガティブ形態(例えば、このコード配列が、発現制御エレメントに作動可能に連結される発現構築物を含む)の発現を促進する抗体、アンタゴニスト、アゴニスト、化合物、またはヌクレオチド構築物をさらに包含する。
【0053】
本発明は、MURF1、MURF3、およびMA−61をコードする核酸の検出を提供する。これは、MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNA特異的配列を有し、かつ図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18、および図21との特異的なハイブリダイゼーションをもたらすのに十分な核酸ハイブリダイゼーションプローブおよび複製/増幅プライマーの使用を通じて行われ得る。特異的なハイブリダイゼーションを実証することは、一般的に、ストリンジェントな条件(例えば、42℃の温度で、5×SSPE(0.18M NaCl、0.01M NaPO4、pH7.7、0.001M EDTA)緩衝液中に30%ホルムアミドを含む緩衝液中でハイブリダイズし、そして42℃の温度で、0.2×SSPEを用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること;好ましくは42℃の温度で、5×SSPE緩衝液中に50%のホルムアミドを含む緩衝液中で、ハイブリダイズし、そして42℃の温度で、0.2×SSPE緩衝液を用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること;最も好ましくは、60℃の温度で、20%SDS、10%BSA、1M NaPO4、.5M EDTAを含む緩衝液(pH8)中で、ハイブリダイズし、そして65℃で、2×SSC、1%SDSを用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること)を必要とする。MURF1またはMAFBXcDNAホモログはまた、アラインメントアルゴリズム(例えば、BLASTX(Altschulら、(1990)Basic Local Alignment Search Tool、J.Mol.Biol.215:403〜410))を用いて夫々区別され得る。
【0054】
本明細書中に開示される配列と遺伝子的または物理学的に同じ位置に存在する遺伝子配列を同定および単離するための、開示される配列の使用もまた包含され、そしてそのような配列は、例えば、標準的配列決定および細菌性人工染色体(BAC)技術を通して得られ得る。ヒトまたは他の種における遺伝子ホモログをクローニングするための、開示される配列の使用もまた、包含される。そのようにするために、この開示される配列は、標識され得、そしてcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いられ得る。必要とされるストリンジェンシーのレベルは、用いられるDNAの供給源に依存する。従って、低いストリンジェンシー条件は、特定の環境において適切であり得、そしてそのような技術は、当該分野において周知である(例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Press、N.Y.を参照のこと)。さらに、MURF1ホモログ、MURF3ホモログ、またはMAFBXホモログは、本明細書中に開示される配列を用いて設計された2つの変性オリゴヌクレオチドプライマーのプールにより、PCRを用いて単離され得る。次いで、この同定されたフラグメントは、さらに、当該分野において公知の種々の技術(cDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングを含む)を用いて全長のクローンを単離するために用いられ得る。さらに、PCRは、全長cDNA配列を直接的に同定するために用いられ得る(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。これらの開示される配列はまた、変異体MURF1対立遺伝子、変異体MURF3対立遺伝子、または変異体MAFBX対立遺伝子を同定するために用いられ得る。変異体対立遺伝子は、高スループットの臨床的診断剤のための対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブを作製するために用いられる。MURF1対立遺伝子、MURF3対立遺伝子、およびMAFBX対立遺伝子は、当該分野において公知の多数の技術(1本鎖配座多型性(SSCP)変異検出技術、サザンブロッティング、および/またはPCR増幅技術が挙げられるが、これらに限定されない)によって同定され得る。
【0055】
MURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸はまた、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの細胞性発現または細胞内の濃度もしくはアベイラビリティを調節するために用いられ得る。MURF1阻害性核酸、MURF3阻害性核酸、またはMAFBX阻害性核酸は、代表的に、開示されるMURF1コード配列、MURF3コード配列、またはMAFBXコード配列の相補体を含むアンチセンス1本鎖配列である。所定のMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの発現のアンチセンス調節は、遺伝子調節配列に作動可能に連結されたアンチセンス核酸を用い得る。細胞は、プロモーター配列を伴いMURF1配列、MURF3配列、またはMAFBX配列を含むベクターを用いてトランスフェクトされ、このプロモーター配列は、この遺伝子の転写が、内因性MURF1コードmRNA、内因性MURF3コードmRNA、または内因性MAFBXコードmRNAに結合し得るアンチセンスの転写物を産生するように配置されている。このアンチセンス核酸の転写は、構成的でも誘導性でもよく、そしてこのベクターは、安定な染色体外維持または組込みを提供し得る。あるいは、所定のMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドをコードするゲノムDNAまたはmRNAに結合する1本鎖アンチセンス核酸は、標的化されたポリペプチドの発現の実質的な減少を生じる濃度で、標的細胞に投与され得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXの発現または活性の増強は、対応する遺伝子産物の機能的発現を増大させるMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸の、標的化された細胞型への導入によってもたらされる。そのような核酸は、MURF1発現ベクター、MURF3発現ベクター、もしくはMAFBX発現ベクター、内因性対立遺伝子の機能的発現をアップレギュレートするベクター、または変異体対立遺伝子の標的とされる修正のための置換ベクターであり得る。生存細胞に核酸を導入するための技術は、当該分野において公知であり、そしてレトロウイルスに基づくトランスフェクションまたはウイルスコートタンパク質−リポソーム媒介トランスフェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
(タンパク質およびペプチド)
本発明は、MURF1、MURF3、またはMAFBXの遺伝子産物(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子と共に結合されるMURF3分子の部分、そしてMA−61のFbx25ホモロジードメイン、またはそれらの誘導体、フラグメントもしくはドメイン、それらの変異、短縮または欠失形態、それらの融合タンパク質、のようなMURF1、MURF3、およびMA−61の機能性ドメインが挙げられる)に対応するポリペプチドまたはペプチドならびに上記のいずれかを組み込むかまたは産生する宿主細胞発現系を提供する。
【0057】
本発明の1つの実施形態は、本明細書中、図7、図9、図17、図11、図13、図19、および図22に示されるとおりのアミノ酸配列を含む単離されたMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、もしくはMAFBXポリペプチド、またはそれらのフラグメントであり、これらは、MURF1、MURF3もしくはMA−61に特異的な活性または発現レベルを有する。
【0058】
開示されるMURF1ポリペプチド配列、MURF3ポリペプチド配列、またはMAFBXポリペプチド配列の配列は、MURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸から推定される。本発明の、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドは、単離されていても、純粋でも、および/または非天然でもよい。「単離された」ポリペプチドとは、それがその天然の状態で関連しているいくつかの物質をもはや伴わないポリペプチドであり、所定のサンプルの全てのポリペプチドの、好ましくは少なくとも約0.5重量%、より好ましくは約5重量%を構成する。「純粋な」ポリペプチドは、所定のサンプル中の全てのポリペプチドの少なくとも約90重量%、好ましくは、少なくとも約99重量%を構成する。目的のポリペプチドは、合成されても、組換え技術により産生されても、細胞から精製されてもよい。「非天然」のポリペプチドは、もはや天然の産物であると考えられないかもしれない程度に操作されたポリペプチドである。非天然のポリペプチドの1つの例は、当該分野において公知の組換え技術を介して作製されたポリペプチドである。広範な種々の分子生化学的方法は、目的の組成物の生化学的合成、分子発現および精製により入手可能である(例えば、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY;Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、編、Greene Publ.Assoc.、Wiley−Interscience、NY)を参照のこと)。
【0059】
本発明はまた、例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子と共に結合されるMURF3分子の部分、そしてMA−61のFbx25ホモロジードメイン、またはそれらの誘導体、フラグメントもしくはドメインのような、MURF1、MURF3、およびMA−61の機能性ドメインに対応するポリペプチドまたはペプチド、、それらの変異形態、短縮形態または欠失形態、それらの融合タンパク質ならびにスクリーニングのために上記のいずれかを組み込むかまたは産生する宿主細胞発現系、あるいはこれらの分子、筋肉萎縮症ならびに関連する疾患および障害と相互作用するかまたは改変する薬剤の使用を提供する。分子のスクリーニングは、当該分野において公知の任意の数の方法によって達成され得、この方法としては、免疫沈降、サイズフラクショネーション(size fractionization)、ウェスタンブロット、およびゲル電気泳動が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、スクリーニングの方法は、酵母ツーハイブリッドシステム、またはそれらの任意のバリエーションである。本発明は、低分子、高分子、化合物、組換えタンパク質、ペプチド、核酸および抗体をスクリーニングし得るインビトロおよびインビボでの試験の両方を含む。
【0060】
MURF1、MURF3、またはMAFBXのポリペプチド、またはペプチドフラグメントの多数の適用が、これらの特性から提唱される。これらは、筋萎縮症、筋ジストロフィー、ユビキチン化、またはMURF1、MURF3、またはMAFBX自体の発現もしくは活性を調節する分子、薬剤、および薬物の同定および研究に有用であり得る。これらは、筋萎縮症、筋ジストロフィー、またはユビキチン化のマーカーとして、および筋萎縮症、筋ジストロフィー、またはユビキチン化の予防もしくは軽減のためのマーカーとして有用であり得る。これらはまた、抗体の作製のためにも用いられ得る。
【0061】
さらに、これらの開示されるポリペプチドおよび核酸は、筋萎縮、筋ジストロフィー、MURF1経路、MURF3経路、およびMAFBX経路、またはユビキチン化の阻害に有用であり得る。さらに、これらは、筋萎縮、筋ジストロフィー、増大されたユビキチン化に関連する状態の処置に有用であり得る。MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドは、増殖因子、サイトカインおよび/またはホルモンを用いて処置される状態に類似する状態の研究、処置または診断に有用であり得る。機能的に等価なMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、およびMAFBX遺伝子産物は、欠失、付加、および/または置換を含み得る。そのような変化は、この遺伝子産物の機能的変化を全く生じなくてもよく、この遺伝子産物に変化を生じるようにこの遺伝子産物が、操作されてもよい。そのような遺伝子産物は、当該分野において公知の技術を介する組換え技術(例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換え)によって産生され得る(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。さらに、そのような遺伝子産物をコードするRNAは、当該分野において公知の技術を持ちいて化学合成され得る(例えば、「Oligonucleotide Synthesis」、1984 Gait、編、IRL Press、Oxfordを参照のこと)。
【0062】
(抗体)
本発明はまた、本明細書中に記載されるMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドに対する抗体も提供し、この抗体は、例えば、診断適用におけるこのポリペプチドの検出に有用である。MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドに対して指向されるモノクローナル抗体の調製のために、培養における連続的な細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術が、用いられ得る。例えば、KohlerおよびMilsteinにより最初に開発されたハイブリドーマ技術(1975、Nature 256:495〜497)、およびトリオマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術)Kozborら、1983、Immunology Today 4:72)ならびにヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、in 「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R.Liss、Inc.pp77〜96)などは、本発明の範囲内にある。
【0063】
診断的用途または治療的用途のためのモノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体またはキメラヒト−マウス(もしくは他の種)モノクローナル抗体であり得る。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野において公知の多数の技術のいずれか(例えば、Tengら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:7308−7312;Kozborら,1983,Immunology Today 4:72−79;Olssonら,1982,Meth.Enzymol.92:3−16)によって作製され得る。ヒト定常領域と共にマウス抗原結合ドメインを含むキメラ抗体分子が、調製され得る(Morrisonら,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851,Takedaら,1985、Nature 314:452)。
【0064】
当該分野において公知の種々の手順が、本明細書中に記載されるMURF1ポリペプチドに対するポリクローナル抗体、MURF3ポリペプチドに対するポリクローナル抗体またはMAFBXポリペプチドに対するポリクローナル抗体の生成のために使用され得る。抗体の生成のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない)が、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチド、あるいはこれらのフラグメントまたは誘導体を注射することによって免疫化され得る。種々のアジュバントが、宿主の種に依存する免疫応答を増大するために使用され得、アジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)、鉱物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、活面活性剤(例えば、リゾレチシン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ポリペプチド、油乳濁物、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール)および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
選択されたMURF1ポリペプチドエピトープ、MURF3ポリペプチドエピトープまたはMAFBXポリペプチドエピトープに対する抗体の分子クローンは、公知の技術によって調製され得る。組換えDNA方法論(例えば、Maniatisら,1982,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)が、モノクローナル抗体分子またはその抗原結合領域をコードする核酸配列を構築するために使用され得る。
【0066】
本発明は、抗体分子およびこのような抗体分子のフラグメントを提供する。この分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知の技術によって作製され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって生成され得るF(ab’)2フラグメント、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFab’フラグメント、ならびにパパインおよび還元剤を用いて抗体分子を処理することによって生成され得るFabフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。抗体分子は、公知の技術によって精製され得、公知の技術としては、免疫吸着クロマトグラフィーもしくは免疫親和性クロマトグラフィー、クロマトグラフィー法(例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー))、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明はまた、単鎖Fvを提供する。単鎖Fv(scFv)は、軽鎖のV領域に合成ペプチドのストレッチによって連結された重鎖のV領域のみを有する、切断されたFabである。例えば、本明細書中で参考として援用されるCambridge Antibody Technologyに譲渡された米国特許第5,565、332号;同第5、733、743号;同第5,837、242号;同第5,858,657号、および同第5,871,907号を参照のこと。
【0068】
(アッセイ)
本発明のMURF1核酸、MURF3核酸およびMAFBX核酸、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドおよびMAFBXポリペプチド、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドならびにMAFBXポリペプチドに結合する抗体は、広い種々の使用を見出し、この使用としては、免疫原としての使用;スクリーニングアッセイにおける標的としての使用;および筋萎縮症またはユビキチン結合を調節、阻害、検出または測定するための生理活性剤としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。前述で列挙される分子は、任意の都合よい方法によって特定の細胞集団に導入され得るか、発現され得るか、または抑制され得、任意の都合よい方法としては、マイクロインジェクション、組換えタンパク質のプロモーター特異的発現または脂質ビヒクルを介する標的化送達が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
この発明の1つの局面は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物の、基質ならびにそのフラグメント、誘導体およびアナログをアッセイおよびスクリーニングするための方法を提供し、そしてMURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物と相互作用する因子を同定するための方法を提供する。本発明はまた、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物とそれらの基質および/またはユビキチンリガーゼ複合体サブユニットとの相互作用を調節または阻害する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。本発明のスクリーニングアッセイはまた、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子、およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物の発現ならびに活性のモジュレーターを同定する高処理スクリーニングアッセイを含む。このようなアッセイは、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のアゴニストまたはアンタゴニストを同定し得る。
【0070】
本発明は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物と結合するかまたは直接相互作用する、因子の同定のためのスクリーニング方法を提供する。このようなスクリーニング方法論は、当該分野において周知である(例えば、1996年、10月31日に公開されたPCT国際公開番号WO96/34099を参照のこと)。この因子は、内因性細胞成分および外因性細胞成分の両方を含む。これらのアッセイは、インビトロでか、または培養物におけるインタクトな細胞でか、または動物モデルにおいて実行され得る。
【0071】
好ましい実施形態において、酵母ツーハイブリッド系が、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、およびMAFBX遺伝子の基質、ならびにそのフラグメント、誘導体およびアナログを決定するため、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、およびMAFBX遺伝子産物と相互作用する因子を同定するために使用される(FieldsおよびSong,1989,Nature 340:245〜246および米国特許第5,283,173号)。この系は、レポーター遺伝子の発現の検出に基づき、このレポーター遺伝子の転写は、それぞれ転写レギュレーターの半分に融合する2つのタンパク質の相互作用による転写レギュレーターの再構成に依存する。MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、およびMAFBXタンパク質またはその誘導体および試験されるべきタンパク質は、DNA結合ドメインおよび転写調節ドメインとの融合タンパク質として発現される。
【0072】
本発明は、MURF1特異的結合因子、MURF3特異的結合因子またはMA−61特異的結合因子、このような因子を同定および作製する方法、ならびに診断、治療および医薬の開発におけるその使用を提供する。MURF1特異的結合因子、MURF3特異的結合因子、またはMA−61特異的結合因子としては、MURF1特異的抗体、MURF3特異的抗体、またはMA−61特異的抗体が挙げられ、そしてまたアッセイ(例えば、1−ハイブリッドスクリーニング、2−ハイブリッドスクリーニング、および3−ハイブリッドスクリーニング)で同定される他の結合因子、および以下に記載されるような化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然の結合因子が挙げられる(例えば、抗体の製造および使用の考察について、HarlowおよびLane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと)。特に目的の因子は、MURF1、MURF3またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチドの機能、活性または発現を調節する。
【0073】
本発明は、MURF1、MURF3、またはMAFBXが調節可能な細胞機能またはMURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチド発現のレベルで活性な因子、化合物または因子のリード化合物を同定する効率的な方法を提供する。一般に、これらのスクリーニング方法は、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドまたはMURF1核酸、MURF3核酸またはMAFBX核酸と天然のMURF1結合標的、MURF3結合標的、またはMAFBX結合標的との相互作用を調節する化合物についてアッセイする工程、あるいはMURF1、MURF3またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチドの発現を調節する化合物についてアッセイする工程を包含する。発現を調節する結合因子または因子についての広範な種々のアッセイが提供され、このアッセイとしては、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、イムノアッセイ、または細胞に基づくアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい方法は、リード化合物についての化学ライブラリーの自動化され、費用効率の良い高処理スクリーニングにされ易い。
【0074】
インビトロ結合アッセイは、別のペプチドまたはポリペプチド(例えば、検出またはアンカーのためのタグ)との融合産物の一部であり得る、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドを含む成分の混合物を用いる。このアッセイ混合物は、天然のMURF1結合標的またはMAFBX結合標的を含む。天然の結合標的が使用され得る一方で、その一部が、アッセイにおいて都合よく測定可能な対象のMURF1、MURF3またはMAFBXに対する結合親和性および結合力を提供する限り、その一部を使用することが頻繁に好まれる。このアッセイ混合物はまた、候補の薬理学的因子を含む。候補因子は、多数の化学的クラスを含むが、代表的にこれらは、有機的化合物であり、好ましくは小さい有機化合物であり、そして合成化合物ライブラリーまたは天然化合物ライブラリーを含む広範な種々の供給源から得られる。種々の他の試薬(例えば、塩、緩衝液、天然タンパク質(例えば、アルブミン)、洗剤、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、または抗菌剤)もまた、含まれ得る。この混合成分は、必須の結合を提供する、任意の順序で添加され得、そしてインキュベーションが、最適の結合を促進する任意の温度で実行され得る。この混合物は、候補の薬理学的因子の存在下でなければ、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドが、参照の結合親和性で結合標的、部分またはアナログと特異的に結合する条件下でインキュベートされる。インキュベーション期間は、最適の結合について選択されるが、しかしまた迅速な高処理スクリーニングを容易にするために最短化される。
【0075】
インキュベーション後、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドと1つ以上の結合標的との間のその因子に基づく結合とは、任意の都合よい方法によって検出される。無細胞結合型アッセイについて、分離工程が、しばしば結合していない成分から結合成分を分離するために使用される。分離は、多数の方法によってもたらされ得、この方法としては、沈殿または固定化に続く、例えば、膜ろ過、またはゲルクロマトグラフィーによる洗浄が挙げられるが、これに限定されない。無細胞結合アッセイについて、成分の1つは、通常標識を含むか、または標識に結合される。この標識は、放射活性、蛍光、光学密度または電子密度のような直接的検出、あるいはエピトープタグまたは酵素のような間接的検出を提供し得る。種々の方法が、標識および他のアッセイ成分の性質に依存する標識の検出のために使用され得、この方法としては、光学密度または電子密度、放射活性放射、非放射活性エネルギー転移を介するか、または非制限的な例として抗体結合体を用いる間接的な検出が挙げられるが、これらに限定されない。因子の存在下での結合親和性と比較した因子の非存在下での標的に対するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの結合親和性における差異は、この因子が、対応する結合標的に対するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドの結合を調節することを示す。本明細書中で使用される場合、差異は、統計学的に有意であり、そして好ましくは、少なくとも50%の差異、より好ましくは少なくとも90%の差異を表す。
【0076】
本発明はさらに、筋萎縮症と関連する疾患または障害の処置において有用な因子についてスクリーニングするための方法を提供し、それぞれ図7、9、17、11、13、19、および22のアミノ酸配列、またはそのフラグメントを発現する細胞とその基質とMURF1、MURF3、またはMAFBXを有する化合物とを接触させる工程、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のいずれかの活性における変化を検出する工程を包含する。活性におけるこのような変化は、1つ以上のタンパク質(例えば、それらの基質またはユビキチン経路の成分の1つ)とMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、またはMAFBX遺伝子産物との相互作用における変化においてか、または基質のユビキチン結合または分解における変化によって明白になり得る。
【0077】
MURF1、MURF3またはMA−61の比活性、機能または発現は、都合のよいインビトロアッセイ、細胞に基づくアッセイまたはインビボアッセイによって決定され得る。インビトロアッセイまたは細胞に基づくアッセイとしては、結合アッセイおよび細胞培養アッセイおよびユビキチン結合アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。インビボアッセイとしては、免疫応答、遺伝子治療およびトランスジェニック動物および萎縮症に羅患した動物が挙げられるが、これらに限定されない。結合アッセイは、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドと結合標的との特異的分子相互作用が評価されるか、または、MURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAまたはタンパク質発現レベルまたは活性が、評価されるか、または基質の結合もしくはユビキチン結合が評価される、任意のアッセイを含む。この結合標的は、例えば、リン酸化タンパク質、特異的免疫ポリペプチド(例えば、抗体)、またはMURF1核酸特異的結合因子、MURF3核酸特異的結合因子もしくはMA−61核酸特異的結合因子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)であり得る。MURF1核酸、MURF3核酸、およびMAFBX核酸およびMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、およびMAFBXポリペプチドについての潜在的な結合標的としては、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体およびジストロフィンタンパク質複合体の他の公知のメンバーが挙げられる。例えば、他のF−box含有タンパク質が、Cullin−1と呼ばれるタンパク質、またはCullinファミリーのファミリーメンバー(例えば、Cullin−2、Cullin−3、Cullin−4a、Cullin−4b、またはCullin−5)に結合することが公知である(Lisztwan J,Marti A,Sutterluty H,Gstaiger M,およびWirbelauer C,Krek W,1998 EMBO 17(2):368〜83;Lyapina SA,Correll CC,Kipreos ET,Deshaies RJ.,1998 Proc Natl Acad Sci USA 95(13):7451〜6)。それ故、1つの潜在的アッセイは、試験化合物が、Cullinファミリーメンバーに対するMAFBXの結合を破壊し得るか否かを観察することである。また、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体の1部であるF−boxタンパク質は、Skp−1またはSkp−1ファミリーメンバーに結合することが公知である(Skowyraら,1997,Cell 91:209〜219)。それ故、潜在的アッセイが、試験化合物が、Skp−1またはSkp−1ファミリーメンバーに対するMAFBXの結合を破壊し得る場合、決定され得る。さらに、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体の1部であるF−boxタンパク質は、リン酸化基質に結合し、これは次いでユビキチン結合される(Skowyraら,1997,Cell 91:209〜219)。そのため、本発明の特徴的実施形態において、潜在的なアッセイが、試験化合物が、リン酸化基質に対するMAFBXタンパク質の結合を破壊し得る場合、決定されるか、または試験化合物が、リン酸化基質のMA−61媒介ユビキチン結合を減少し得る場合、決定される。
【0078】
MURF3タンパク質が、ジストロフィン複合体のメンバーと結合するという知見は、MURF3タンパク質またはMURF3核酸の阻害が、その複合体を安定化し得、従って、筋ジストロフィー、およびジストロフィン複合体がユビキチン媒介性分解に供される他の状態の処置を助け得ることを示唆する。従って、本発明の別の実施形態は、MURF1、MURF3もしくはMA−61またはこの経路に関する他の分子、ならびにMURF1、MURF3もしくはMAFBX経路の阻害または筋ジストロフィーおよび神経筋接合部における欠損と関連する症状、状態および疾患の処置における特にそのインヒビターの使用である。
【0079】
MURF1 cDNA、MURF3 cDNA、またはMAFBX cDNA、あるいはMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドを認識する抗体は、診断の手段として(例えば、そのオリゴヌクレオチドプライマーに類似性を有する配列を増幅する試験におけるプライマーとしてのオリゴヌクレオチドの使用、およびMURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAが、正常および異常(例えば、萎縮症の状態)下で特定の組織またはサンプル中にどの程度存在するかを見出すPCR試験におけるプライマーとしてのオリゴヌクレオチドの使用を介して)か、または抗体を用いる免疫染色、もしくは抗体を用いるELISA試験によるMURF1、MURF3、またはMAFBXタンパク質の上方制御の測定を介して有用であり得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXの単離は、これらの分子と相互作用するか、またはこれらの分子もしくはその経路の発現もしくは活性を変更する因子について、その特性を研究する手がかり、およびこの因子についてのアッセイを設計する手がかりを提供する。MURF1、MURF3またはMAFBXの単離はまた、MURF1、MURF3またはMAFBXの発現または活性が中断される状態についての処置を開発する手がかりを提供する。
【0080】
本発明はまた、患者サンプル中のMURF1遺伝子、MURF3遺伝子またはMAFBX遺伝子の発現を測定する工程を包含する、筋萎縮に関連する疾患または障害を診断する方法を提供する。例えば、本発明は、哺乳動物における筋萎縮を検出するための方法を包含し、本方法は、以下、a)造影剤に結合されたMURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドを検出し得る分子を含む組成物を、哺乳動物に投与する工程;b)この組成物を筋内に蓄積させる工程;およびc)筋萎縮を画像化するために、蓄積された組成物を検出する工程、を包含する。さらに、MURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドは、被験体から取得されたmRNAまたはタンパク質を使用して、および標準的方法論(例えば、PCRT、Northern分析、Western分析、ELISAまたは免疫染色)を使用して、検出され得る。
【0081】
検出における使用のためのMURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドに結合され得る適切な造影剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:磁気共鳴画像法(MRI)で有用な薬剤(例えば、ガドリニウムキレート(例えば、Ladd,DLら、1999、Bioconjug Chem 10:361〜370を参照のこと)、共有結合非イオン性、大環状、多量体ランタニドキレート(例えば、Ranganathan,RSら、1998、Invet Radiol 33:779〜797を参照のこと)、およびモノクローナル抗体コート化マグネタイト粒子(To,SYら、1992、J Clin Laser Med Surg 10:159〜169を参照のこと)。MRIの基本原理に関する総覧としては、Kirsch,JE、1991、Top Magn Reson Imaging 3:1〜18およびWallis,FおよびGilbert,FJ、1999、J R Coll Surg Edinb 44:117〜125を参照のこと。放射性ヌクレオチドもまた、核医学技術(例えば、陽子射出断層撮影法(PET)、単一陽子射出断層撮影法(SPECT)およびコンピューター断層撮影(CAT)スキャン)における使用に適した造影剤である。非限定的な例として、このような薬剤としては、テクネチウム99m、クエン酸ガリウム67、ヨウ素123およびインジウム111が挙げられる(Coleman,RE、1991、Cancer 67:1261〜1270を参照のこと)。造影剤として適切な他の放射性ヌクレオチドとしては、123Iおよび111In−DTPAが挙げられる(Kaltsas,GAら、1998、Clin Endocrinol(Oxf)49:685〜689を参照のこと)、放射標識化抗体(Goldenberg,DMおよびNabi,HA、1999、Semin Nucl Med 29:41〜48、およびSteffens,MGら、1999,J Nucl Med 40:829〜836を参照のこと)が挙げられる。放射性核医薬技術の基本原理に関する総覧としては、Schiepers,C.およびHoh,CK,1998、Eur Radiol 8:1481〜1494、およびFerrand,SKら、1999,Surg Oncol Clin N Am 8:185〜204を参照のこと。例えば、放射ヌクレオチドまたはキレートを含む任意の造影剤が、利用され得る。
【0082】
開示された方法は、インビボまたはインビトロで適用可能であり得、そして、この細胞としては、例えば、培養化筋細胞、筋芽細胞、C2C12細胞、分化筋芽細胞または筋管が挙げられ得る。
【0083】
本発明はまた、動物における筋萎縮に関する疾患または障害を処置する方法を提供し、本方法は、この動物に、MURF1、MURF3またはMAFBX遺伝子または遺伝子産物の合成、発現または活性を調節する化合物を投与し、その結果、このような疾患または障害の症状が緩和される工程を包含する。
【0084】
(本明細書中で記載される本発明の使用のための他のアッセイおよび方法の詳細な説明として、PCT国際公開番号WO00/12679号(2000年3月9日公開)(本明細書中にその全体が参考として援用される)もまた参照のこと)。
【0085】
本発明はまた、MURF1、MURF3およびMA−61の機能的ドメイン(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1またはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子に同時結合するMURF3分子、およびMA−61のFbx25相同ドメイン、またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン、その変異形態、短縮形態もしくは欠損形態、その融合タンパク質)に一致するMURF1、MURF3またはMAFBXポリペプチドまたはペプチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞および動物、ならびに上述のいずれかを組み込むかまたは生成する宿主発現系、ならびにこれらを阻害するか、または「ノックアウト」発現するように遺伝子操作された宿主細胞および動物に関する。いずれかの種の動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ヤギ、ヒツジおよび非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない)は、トランスジェニック動物およびその子孫を生成するために使用され得、ここで、「トランスジェニック」は、別の供給源(例えば、別の種)由来の遺伝子配列を発現すること、ならびに内因性MURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列を過剰発現すること、または内因性遺伝子配列の非発現(ノックアウト)を意味する。当該分野で公知の任意の技術を使用して、MURF1導入遺伝子またはMAFBX導入遺伝子を動物に導入し、トランスジェニック動物の創始株を生成し得、この技術は以下を含む:前核注入(HoppeおよびWagner、1989、米国特許第4,873,191号);生殖細胞系へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Puttennら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 82、6148〜6152);胚幹細胞における遺伝子の標的化(Thompsonら、1989、Cell 56、313〜321);エレクトロポレーションまたは胚(Lo、1983、Mol.Cell Biol.3,1803〜1814);および精子媒介遺伝子移入(Lavitranoら、1989、Cell 57、717〜723)。さらに、任意の技術は、MURF1導入遺伝子、MURF3導入遺伝子またはMAFBX導入遺伝子を含むトランスジェニック動物クローンを生成するために使用され得る(例えば、休止状態に誘導された培養化胚細胞、胎児細胞または成人細胞由来の核の除核された卵母細胞への核の移入)(Campbellら、1996、Nature 380、64〜66;Wilmutら、Nature 385、810〜813)。本発明は、全細胞、ならびにいくつかの細胞のみ(例えば、特定の細胞型)に導入遺伝子を有する動物を提供する。
【0086】
本発明の核酸、ポリペプチド、ならびに本発明の作製方法および使用方法を記載する前に、本発明は、記載された特定の分子または方法のみに限定されないということは理解される。この分子および方法は変化し得、そして、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的である。この用語および定義は、保護の範囲は最終的に特許請求の範囲に依存するので、限定であることが意図されない。
【0087】
(実施例)
(実施例1:萎縮についての動物モデル)
骨格筋は、全筋質量の損失、およびその結果としての個体の筋繊維の大きさの減少に関する萎縮、プロセスを起こすことによって、活性および負荷を減少させるように適応される。R.T.Jagoe,A.L.Goldberg,Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 4、183(2001)。筋萎縮は、脱神経、損傷関節固定、減量または寝たきり、グルココルチコイド処置、炎症性疾患(例えば、セプシス、癌および老化)の結果として生じる(C.Rommelら、Nature Cell Biology 3,1009(2001))。
【0088】
筋萎縮を試験するために、げっ歯類(マウスまたはラット)の足関節を、90°の屈曲で固定化した。この手順は、足関節(例えば、ヒラメ筋、内部腓腹筋内側頭および側方腓腹筋内側頭、前脛骨筋)で作用する筋肉の萎縮を、様々な程度まで誘導する。再現性のある量の萎縮を、14日間にわたって後肢筋肉において測定し得る。
【0089】
固定手順は、ギプス包帯することか(マウス)または足関節を固定すること(ラット)のいずれかに関し得る。げっ歯類に、ケタミン/キシラジンで麻酔をかけ、そして、右足関節を固定化する。ラットにおいては、足軸に沿って、かかと領域までわたって、0.5cm切開する。次いで、ネジ(1.2×8mm)を、石灰および尾部を介して、脛骨幹に挿入する。創傷は、皮膚膠に近い。マウスにおいて、関節の周りに軽量ギプス包帯物質(VET−LITE)用いて、足関節を90°に固定する。この物質を、水中に浸し、次いで、足の周りを包む。この物質は乾燥した場合、強固であるが、軽量である。
【0090】
固定化の7日後および14日後に、動物に麻酔をかけ、そして、脛部脱臼によって屠殺する。前脛骨筋(TA)、内側腓腹筋(MG)、およびヒラメ筋(Sol)を、右後肢(固定化)および左後肢(インタクト)から収集し、重量を測定し、そして、液体窒素冷却化イソペンタン中、固定長で凍結する。実験動物と同一の体重および年齢であるコントロール動物の一群をまた屠殺し、そして、筋肉を収集し、重量を測定し、そして凍結する。萎縮量を、固定化した足由来の筋肉の重量と、コントロール動物由来の筋肉の重量を比較することによって、評価する。萎縮のさらなる評価を、筋線維の大きさおよび筋肉緊張力を測定することで行なう。
【0091】
ラットにおける脱神経、固定化(関節固定による)、および非過重(unweighting)化(後肢の懸吊化による)は全て、類似の内側腓腹筋質量の減少速度を生じ(図1A)、萎縮を誘導する共通の機構があるという見解と少なくとも一致する結果を生じる。萎縮の普遍マーカーが存在するか否かを決定するために、本発明者らは、最初に、固定化および脱神経での遺伝子発現と、萎縮の間に変化するような、文献から選択された一組の筋肉特異的遺伝子を比較した。さらに、本発明者らは、これらの2つのモデルの間の遺伝子発現パターンが驚くほど類似している事を発見した(図1B、中央のパネルに対して左のパネルを比較する)。しかし、非過重モデル(後肢懸吊)を分析した場合、選択された遺伝子のいずれも、固定化および脱神経と類似の調節をされておらず、これは、これらの遺伝子が萎縮プロセスのための「普遍」マーカーでないことを示した(図1B)。萎縮の潜在的普遍マーカーを同定するために、本発明者らは、最初に、1つの特定のモデル(固定化)で調節される遺伝子の同定を試み、そして、これらの遺伝子がもしあれば、複数の他のモデルにおいても同様に調節されるか否かを決定した(図1C)。
【0092】
本発明者らは、3つの萎縮モデル(固定化、脱神経および後肢懸吊)に関するラットの筋肉由来のRNAを用いてノーザンブロットを実施した。ノーザンブロットは、muscle creatine kinase(MCK)、myoD、myogeninおよびMyf5の発現に対する萎縮の効果を示す。筋肉を、時間経過(示すような0日、1日、3日、7日、10日または14日のいずれか)とともに、ラットから取得した。各レーンについて、全RNAを、3つのラット内側腓腹筋(MG)からプールした(図24)。
【0093】
本発明者らはまた、MuRF1のイムノブロットを実施し、これは、MuRF1タンパク質が足関節固定誘導化萎縮(Imm)後にアップレギュレートされることを実証した。図25Aにおいて、レーン1は、COS細胞中で発現された組換えラットMuRF1のコントロール(登録番号AY059627号)である。溶解物をこれらの細胞から作製し、その結果、MuRF1の予想サイズを確立し得た。レーン2〜7について、タンパク質溶解物を、非処置ラット(CON)、固定化後1日目のラット(Imm1)および3日目のラット(Imm3)から選ばれた3つの腓腹筋からプールした。イムノブロットを、全長ラットMuRF1に対して産生した抗体を使用して示す。GST、GST−MAFbxまたはGST−MAFbxDFb(MAFbxアミノ酸216〜263のF−ボックス欠損)をコードする哺乳動物発現ベクターを、Cos7細胞へ一過的にトランスフェクトし、そして、1%のNP40、1mMのEDTA、1mMのPMSF、10mg/mlのアプロチニン、10mg/mlのロイペプチン、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、25mMのβグリセロホスフェート、100nMのオカダ酸、20nMのミクロシスチンLRおよび5mMのN−エチルマレイミドを含む冷リン酸緩衝化生理食塩水中で、48時間後にこの細胞を溶解した。30μlのグルタチオン−アガロースビーズ(Amersham Pharmacia)を浄化溶解物(500mg)に添加し、そして、4℃で3時間回転した。ビーズを、溶解緩衝液を用いて遠心分離することで3回洗浄し、還元SDSサンプル緩衝液中で煮沸し、そして、抗Skp1(Transductino Labs)および抗Cullin1(Zymed)を用いるSDS−PAGE/イムノブロット分析に供した。筋肉溶解物(1mg)を免疫沈降し、そして、固定化GSTで予備吸収されたGTS−MuRF1に対して産生された抗血清を用いてイムノブロットした。
【0094】
マウスmyoDに対するノーザンプローブはコード配列の571bp〜938bp部位にわたり;マウスmyogeninに対するプローブはコード配列の423bp〜861bpにわたり、マウスMyf5に対するプローブは、コード配列の406bp〜745bpにわたる。コード配列の24bp〜612bpにわたるラットMuRF1に対するノーザンプローブをPCRによって作成した。マウスMuRF2について、プローブを、5’PCRオリゴ:GAACACAGGAGGAGAAACTGGAACATGTCおよび3’PCRオリゴ:CCCGAAATGGCAGTATTTCTGCAG(これは、マウスMuRF2の第5番目のエキソン部位にわたる)を使用して作製した。マウスMuRF3について、プローブは、867bp〜1101bpにわたった。ラットMAFbxについて、プローブをPCRによって作製し、そして、コード配列の21bp〜563bpにわたった。ヒトMAFbxについて、プローブは、205bp〜585bpにわたった。MAFbx+/+マウス、MAFbx+/−マウスおよびMAFbx−/−マウスのmRNAのノーザンを、660bp〜840bpにわたるコード配列を用いてプローブした。ロードした全RNAの量について制御するために、アガロースゲルを臭化エチジウムで染色し、そして撮影し、リボソームRNAバンドを評価した。5’末端のMAFbx対立遺伝子の欠損を確認するサザンを、マウスMAFbxゲノムプローブを用いて実施し、これは、ATGの上流および示されるEcoRI部位の下流の1.1kb SacIIフラグメントにわたる。MuRF1+/+マウス、MuRF1+/−マウス、MuRF1−/−マウス由来のmRNAのノーザンを、1bp〜500bpのラットMuRF1(登録AY059627)にわたるコード配列を用いてプローブした。5’末端のMuRF1対立遺伝子の欠損を確認するサザンを、マウスMuRF1ゲノムプローブを用いて実施し、これは、ATGの上流および示すEcoRI部位の下流の0.5kbのBglIIフラグメントにわたる。
【0095】
(実施例2:ラットMURF1遺伝子、筋肉特異的環ドメイン遺伝子のクローニング)
この実験を、骨格筋萎縮条件の間に、遺伝子が差示的に発現されることを決定する目的で、実施した。ディファレンシャルディスプレイ分析は、74の転写産物を生じ、これらの転写産物を、MA1−MA74(筋萎縮(Muscle Atrophy)について「MA」)と標識した。元来の転写産物および続くRACEd cDNAに対するバイオインフォマティック分析によって、61の転写産物の決定が可能となった。転写解析を、GenetagTM法(L.Y.Wongら、Biotechniques 28,776(2000))を使用して実施した(図23)。
【0096】
前出の実施例1において概説したように、ラットを、萎縮を誘導する(atrophy−inducing)モデルの対象とした。手術3日後、筋肉組織を、外科的に処置した動物から収集した。コントロールとして、筋肉組織をまた、未処置の動物から収集した。メッセンジャーRNAを、萎縮した筋肉組織およびコントロールの筋肉組織から単離し、そしてディファレンシャルディスプレイアッセイの対象とした。3’のMURF1転写物の未翻訳部分を含有する遺伝子転写物の1つは、萎縮の間にアップレギュレーションされることを見出した。この3’フラグメントを、DNAプローブを作製するために使用し、このDNAプローブを、MURF1のコード配列を含有する全長遺伝子をクローン化するために使用した。rMURF1 VRVスプライス形態(splice form)と命名されるより小さな代替的なスプライス形態もまた同定された。この代替的な形態は、3’末端で全長の形態と異なり、全長の形態は、より長い152アミノ酸を有する。この代替的なスプライス形態は、そのカルボキシ末端にアミノ酸配列「VRV」を有し、この「VRV」は、PDZ相互作用ドメインである(Torres R,Firestein BL,Dong H,Staudinger J,Olson EN,Huganir RL,Bredt DS,Gale NW,Yancopoulos GD(1998)Neuron:1453−63)。PDZ相互作用ドメインの存在は、このタンパク質がタンパク質−タンパク質相互作用に関与し得ることを予測させる。対照的に、全長の形態は、他のタンパク質相互作用ドメイン、例えば、アミノ酸配列「DEEEEFTEEEEEEDQEE」を含有する酸性ドメインを有する。このドメインの存在は、この形態もまた他のタンパク質と相互作用し得ることを予測させる。全長rMURF1についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図6および図7に添える。rMURF1 VRVスプライス形態についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図16および図17に添える。
【0097】
(実施例3:ヒトMURF3遺伝子、筋肉特異的リング(ring)ドメイン遺伝子のクローニング)
ラットMURF1コード配列を、標準的な分子生物学的技術によって、ヒトMURF3を単離するために使用した。このコード配列は、既に、1999年12月10日に特許寄託記号(Patent Deposit Designation)#PTA−1049、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMA16 C8として、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))に寄託されている。hMURF3についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図8A〜8Cおよび図9に添える。ヒトMURF1を、標準的な技術によって、ラットMURF1にハイブリダイズさせるために使用した。
【0098】
(実施例4:ラットMA−61、筋肉特異的F−ボックス遺伝子のクローニング)
この実験を、骨格筋萎縮の条件の間、どの遺伝子が差示的に発現されるかを決定するという目的で実施した。このような遺伝子を発見するために、前出の実施例1において概説したように、ラットを、萎縮を誘導するモデルの対象とした。手術3日後、筋肉組織を、外科的に処置した動物から収集した。コントロールとして、筋肉組織をまた、未処置の動物から収集した。メッセンジャーRNAを、萎縮した筋肉組織およびコントロールの筋肉組織から単離し、そしてディファレンシャルディスプレイアッセイの対象とした。3’のMAFBX転写物の未翻訳部分を含有する遺伝子転写物の1つは、萎縮の間にアップレギュレーションされることを見出した。この3’フラグメントを、DNAプローブを作製するために使用し、このDNAプローブを、標準的な分子生物学的技術によって、MA−61のコード配列を含有する全長遺伝子をクローン化するために使用した。rMAFBXについてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図10および図11に添える。
【0099】
(実施例5:ヒトMAFBX遺伝子、筋肉特異的F−ボックス遺伝子のクローニング)
ラットMAFBXコード配列を、標準的な分子生物学的技術によって、MAFBXD18のヒトホモログを単離するために使用した。この遺伝子の2つの代替的な形態を同定し、hMAFBXD18およびhMAFBXK8と命名した。この遺伝子のD18形態は、タンパク質をコードし、このタンパク質は、K8形態よりもカルボキシ末端で11個のアミノ酸だけより長い。この遺伝子が2つの形態を有することの有意性は未知である。しかし、代替的なスプライス形態が、タンパク質−タンパク質相互作用の調節に貢献することは頻繁な事例である。これらのコード配列は、既に、特許寄託記号#PTA−1048、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMAFBXK8および特許寄託記号#PTA−1050、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMAFBXD18として、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))に寄託されている。hMAFBXK8についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図12および図13に添える。hMAFBXD18についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図18、および図19に添える。
【0100】
ラットおよびヒトのMAFbxタンパク質、およびヒトFbx25の配列を、整列させた(C.Cenciarelliら、Curr.Biol.9,1177(1999))。公開された部分的なFbx25配列は、MAFbxのアミノ酸85に示されるロイシン(L)で始まる。F−ボックスの周囲の領域を、2連の核局在化シグナルと同じように示す(図26)。ラットおよびヒトのMAFbxの登録(accession)番号は、それぞれAY059628およびAY059629である。
【0101】
(実施例6:MURF1およびMAFBXが筋肉萎縮に対する普遍的なマーカーであることの証明)
ノザンブロット分析によって、MURF1およびMAFBXが、固定化に誘導される筋肉萎縮の間、両方ともにアップレギュレーションされることを確認した後、他のモデルの筋肉萎縮を試験した。筋肉は、筋肉への神経が分断される脱神経;筋肉負荷を減少させるために肢が物理的に吊られる後肢懸吊;糖質コルチコイド薬物デキサメタゾンを用いる処置を含む、種々のストレス下で萎縮を生じ得る。これらの萎縮性条件のそれぞれの対象とされた筋肉組織から得られたmRNAのノザン分析は、MURF1およびMAFBXが、試験した萎縮のモデルの全てにおいてアップレギュレーションされることを示した。従って、MURF1およびMAFBXの転写性のアップレギュレーションは、筋肉萎縮についての臨床的指標として貢献し得る。
【0102】
本発明者らは、初めて、GeneTagTMディファレンシャルディスプレイアプローチによって、3日間固定化したラット骨格筋(内側の腓腹筋)由来のmRNAをコントロールの筋肉由来のmRNAと比較した。本発明者らは、マーカーと同様に、萎縮過程の潜在的なトリガーとして機能し得る遺伝子を同定するために、より長い時点(例えば、14日)とは対照的に、比較的初期の時点(3日)での分析を選択した。発現が3倍またはそれよりも高く変化した遺伝子のみを、差示的に調節されるとして受容した。次いで、受容可能な転写物を、1〜14日の期間、脱神経、固定化または無負荷(unweight)の対象にした筋肉から調製されたmRNAのパネルを使用するノザン分析によって「普遍性」についてアッセイした。経過観察として、糖質コルチコイドまたはIL−1を用いる全身性処置に続いて、萎縮した筋肉由来のmRNAをまた分析した。最終的に、肥大を生じている筋肉から調製されたmRNAのパネルを、これらの遺伝子が、萎縮の間に調節されるかを観察するために試験し、肥大の間に反対方向に調節した。
【0103】
実施されるようなディファレンシャルディスプレイ技術の不都合の1つは、結果として得られたcDNAが、しばしば、3’未翻訳配列に制限され、そして75塩基対の平均長であることであった。従って、十分な配列を入手して遺伝子同定を行うために、引き続くPCRベースの3’および5’のRACE分析を実施することが頻繁に必要であった。ディファレンシャルディスプレイ分析は74個の転写物を生じ、この転写物をMA1〜MA74(筋肉萎縮の「MA」)と標識した。初代の転写物および引き続くRACEd cDNAに関するバイオインフォマティクス分析は、61個の転写物での決定を可能にした(図23)。
【0104】
遺伝子のいくつかの主要なクラスは、関節の固定化に誘導される筋肉萎縮に引き続いて調節された。「エネルギー利用経路」に関わる遺伝子は、ダウンレギュレーションされる遺伝子の最大のクラスを構成し、そして乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、およびフルクトース1,6二リン酸を含む。これらの経路のダウンレギュレーションは、エネルギー経路が、持久力運動の場合に観察されているように転写的に調節され得ることを示す(K.Baar,E.Blough,B.Dineen,K.Esser,Exerc Sport Sci Rev 27,333−379(1999))。最大のクラスのアップレギュレーションされた遺伝子は、26sプロテアソーム調節性サブユニットp31、ポリユビキチン、プロテアソームアクチベーターサブユニットpa28β、および以下に議論される2つの新規なユビキチンリガーゼを含む、ユビキチン化(ubiquitylation)およびプロテアソーム経路に関する遺伝子であった。標的タンパク質へのユビキチンの添加およびプロテアソームによるそれらの引き続くタンパク質分解を介して、ATP依存性のタンパク質分解は、筋肉萎縮の間増加されることが既に示されているが(R.Medina,S.S.Wing,A.Haas,A.L.Goldberg,Biomed Biochim Acta 50,347−356(1991);S.Temparisら、Cancer Res 54,5568−73(1994);R.Medina,S.S.Wing,A.L.Goldberg,Biochem J 307,631−637(1995))、ユビキチン化に関わる遺伝子のいずれかが、萎縮過程に対するマーカーを構成し得るか、またはこれらの遺伝子のいずれかが、萎縮を誘導するために、実際に要求されるかもしくはまさに十分であるのか、のどちらであるかは明らかでなかった。
【0105】
固定化の間混乱される遺伝子の大多数は、脱神経の間同様に調節される一方で、同様な萎縮の速度が1日と7日との間のこれらのモデルで見られるという事実にも関わらず(図1A)、これらの遺伝子のほとんどは、無負荷のモデルにおいて変更されなかった(データを示さず)。
【0106】
ラットの内側の腓腹筋の筋肉損失の時間経過を、3つのインビボのモデルで試験した:脱神経、固定化および後肢懸吊。250〜275gmの体重のメスのSprague Dawleyラットを、全てのモデルにおいて用いた。脱神経の手順について:右坐骨神経を、中央の大腿領域で切断し、下部肢筋肉の脱神経をもたらした。固定化の手順について:右足関節を、踵骨および尾を介して、脛骨幹にねじ(1.2×8mm)を挿入することによって90°の屈曲で固定化した。後肢懸吊の手順について:後肢を、記載されるような尾−牽引の帯具を用いて、ラットをそれらの尾から吊るすことによって無負荷にした(D.B.Thomason,R.E.Herrick,D.Surdyka,K.M.Baldwin,J.Appl.Physiol.63,130(1987))。示された日に、ラットを殺し、そして後肢筋肉を採取、計量および凍結した。重さの一致した未処置のラットをコントロールとして供した。データは、平均±s.e.m.、n=10のラットである(図28A〜28DA)。
【0107】
ノザンブロットをまた、MuRF1転写物およびMAFbx転写物に萎縮の効果を示すように実施した。内側の腓腹筋を、3つの萎縮モデル(足関節固定、脱神経、および後肢懸吊)の時間経過(0日、1日、3日、および7日)を被っているラットから入手した(図28A〜28D B)。
【0108】
これらの知見は、脱神経および固定化が、無負荷から転写的に容易に区別可能であることを示す。おそらくなぜなら、無負荷は、吊られた肢における比較的正常な神経活性および関節運動が存在することに特徴があるからである。しかし、本発明者らは、萎縮の3つのモデルの全てにおいてアップレギュレーションされる2つの遺伝子を同定した;後にMuRF1として同定されるMA16(筋肉特異的なリングフィンガー(ring finger)タンパク質について)、およびMA61(筋肉萎縮F−ボックスタンパク質について、引き続いてMAFbxと呼ばれる)(図2A)。
【0109】
MuRF1およびMAFbxの発現を、骨格筋萎縮の2つのさらなるモデルにおいて分析した:悪液質のサイトカイン、インターロイキン−1(IL−1)を用いた処置(R.N.Cooney,S.R.Kimball,T.C.Vary,Shock 7,1−16(1997))および糖質コルチコイド、デキサメタゾンを用いた処置(A.L.Goldberg,J Biol Chem 244,3223−9(1969))。最初の3つのモデルが、神経活性の変更および/または筋肉が種々の程度に被る外部負荷によって筋肉萎縮を誘導する一方で、これらのさらなるモデルは、これらのパラメーターに直接影響することなしに萎縮を誘導する。ノザンブロットを、MuRF1およびMAFbxの発現に対するデキサメタゾン(DEX)およびインターロイキン−1(IL−1)の効果を示すために実施した。内側の腓腹筋の筋肉を、未処置のラット(CON)、および9日間6μg/mlの濃度で経口的に送達されるDEXで処置したラット、および3日間0.1mg/kgの用量で毎日皮下に送達されるIL−1で処置したラットから入手した。図28A〜28D(c)。両方の悪液質の薬剤は、MuRF1およびMAFbxのアップレギュレーションを引き起こし、デキサメタゾンは、MuRF1およびMAFbxの発現において10倍よりも大きい増加をもたらした(図2B)。
【0110】
発現が、萎縮の間アップレギュレーションされ、そして肥大の間ダウンレギュレーションされる遺伝子の同定は、この遺伝子が、萎縮の表現型についてのマーカーであるという主張を非常に強固にし、そして目的の遺伝子が、萎縮過程の直接的なメディエーター(mediator)として機能し得るという相関性の証拠を提供する。従って、本発明者らは、骨格筋肥大の2つのモデルにおけるMuRF1およびMAFbxの発現を試験した:14日間の無負荷期間に続く後肢の再負荷(D.B.Thomason,R.E.Herrick,D.Surdyka,K.M.Baldwin,J Appl Physiol 63,130−7(1987))、ならびに腓腹筋およびヒラメ筋の筋肉を除去し、これらの協力筋の損失を補償するために足底筋を残す代償的な肥大(G.R.Adams,F.Haddad,J Appl Physiol 81,2509−16(1996);R.R.Royら、J Appl Physiol 83,280−90(1997))。これらのモデルの両方において、MuRF1およびMAFbxの発現は、減少し、これらの遺伝子が、萎縮とポジティブに相関があるだけでなく、肥大ともネガティブに相関があることを示す(図2C)。さらに、ラットの「組織ブロット(tissue blot)」およびヒトの「組織ブロット」の両方に対するノザンブロットは、心筋および骨格筋の両方において(図2D)、筋肉特異的であるとして、MuRF1およびMAFbxを同定し、これらの組織においてそれらが果たす特定の役割と一致する。
【0111】
ラットおよびヒトの組織(Clontech)から入手した総RNAを、示される遺伝子についてのプローブとハイブリダイズさせた(図28A〜28DD)。
【0112】
(実施例7:MURF1が、ユビキチンリガーゼ複合体中で機能し得ることの立証)
最近、リングドメインを含む遺伝子が、「単量体ユビキチンリガーゼ」として機能し得ることが示された。特定の条件下で、これらのタンパク質は、同時に基質およびユビキチンリガーゼに結合し、基質のユビキチン化およびプロテアソーム媒介性分解を引き起こす。このプロセスにおいて、リングドメインタンパク質そのものは、ユビキチン化される。ラットMURF1遺伝子をコードするベクターを、ユビキチンのHAエピトープタグ化形態をコードするべクターと一緒に、COS細胞にトランスフェクトした。タンパク質溶解物をCOS細胞から回収した。MURF1を、MURF1ペプチドに対して惹起された抗体を使用して、溶解物から免疫沈降した。免疫沈降されたタンパク質を、HAタグに対する抗体を使用して、ウエスタンブロット分析にかけた。MURF1が、高度にユビキチン化されることが見られた。さらに、コントロールとして、遺伝子のリングドメイン部分を除去したMURF1の変異型形態をコードするベクターを、タグ化ユビキチンを用いてCOSに同時トランスフェクトした。この場合、ユビキチン化は見られなかった。これらの結果は、MURF1が、ユビキチン複合体の一部として機能し、リングドメインが、他のリングドメインタンパク質で見られるように、ユビキチン化に必要であるという仮説と一致する。図14は、hMURF1と、他のリングフィンガータンパク質との比較である。
【0113】
MuRF1は、大きな(300kD)サルコメアのタンパク質タイチンの30kDドメインをコードする構築物を使用した、酵母のツーハイブリッド実験において、相互作用によって、以前にクローン化された(T.Centnerら、J Mol Biol 306、717−726(2001))。MuRF1中の「リングフィンガードメイン(K.L.Borden,P.S.Freemont,Curr Opin Struct Biol 6,396−401(1996);P.S.Freemont,Ann N Y Acad Sci 684,74−192(1993))」の存在が、以前に注目されたのに対して、MuRF1が、ユビキチンリガーゼとして機能し得るかどうかを見るための、さらなる分析はなされなかった。本発明者らは、MuRF1が、リングドメイン含有単量体ユビキチンリガーゼの全ての正準の構造的特徴を含むことに注目し(P.S.Freemont,Curr Biol 10,R84−87(2000);C.A.Joaeiro,A.M.Wiessman,Cell 102,549−552(2000))、さらに分解に対して筋肉タンパク質を標的化し得るユビキチンリガーゼが、筋肉萎縮を媒介する強力な候補であることを理由付けた。
【0114】
MuRF1タンパク質およびその潜在的なユビキチンリガーゼ活性の特徴づけを開始するために、本発明者らは、まず、mRNAの発現レベルに加えて、MuRF1タンパク質レベルが、MuRF1を認識する抗体で固定に供された動物から得られる筋肉溶解物を免疫ブロッティングすることによって、萎縮の間増加することを示した(図3A)。次に、組換えMuRF1タンパク質が産出され、基質として放射標識されたユビキチンを使用した、インビトロのアッセイにおいて、ユビキチンリガーゼ活性について試験した。MuRF1は、潜在的なユビキチンリガーゼであることが示され(図3B)、そこでは、タンパク質1μgあたりの、放射標識化ユビキチン自己結合体の量によって決定されるように、MuRF1の非存在下では、ユビキチンリガーゼ活性は検出されず(図3B)、このアッセイで試験された他のリングフィンガーユビキチンリガーゼは、MuRF1ほど強力ではない。
【0115】
MuRF1タンパク質は、ユビキチンリガーゼ活性を有する。精製されたグルタチオンセファロース結合MuRF1タンパク質(GST−MuRF1)を、記載されるように、ユビキチンリガーゼ反応物に加えた。A.Chenら、J.Biol.Chem.275,15432(2000)。簡潔には、組換えGST−MuRF1(100ng)を、ATP、E1、および組換えUbc5cの存在下で、32P−ユビキチン(3mg)と共にインキュベーションした(図29A〜29D(D)、レーン5)。レーン1〜4において、指示された成分を、省いた。反応物のアリコートを、12.5%SDS−PAGEによって分析し、32P−標識化高分子量ユビキチン結合体を検出した。「ユビキチンポリマー」は、ユビキチン化されたUbc5cおよびMuRF1を含み得る。図29A〜29DD。
【0116】
(実施例8:MAFBXが、「SCF」ユビキチンリガーゼ複合体において機能し得ることの実証)
最近、F−ボックスドメインを含む遺伝子が、「SCF」複合体と呼ばれるユビキチンリガーゼ複合体の一部として機能し得ることが示され、ここで、Sは遺伝子産物SKP1を表し、Cはクリン(Cullin)と呼ばれる遺伝子産物を表し、そして、「F」はFボックスタンパク質を表す。MAFBXが、SCF複合体の一部であるかどうかを決定するために、共免疫沈降アッセイをすることによって、MAFBXが、SKP1またはクリンのいずれに結合するかを決定するために研究した。GST(GST/CON)、GST−MAFbx、またはGST−MAFbxDFb(MAFbxのFボックス欠失体、アミノ酸216〜263)をコードするベクターを、Cos7細胞に一時的にトランスフェクトした。クリン1およびSKP1の両方を、グルタチオンアガロースビーズを使用して、GST−MAFbxでトランスフェクトされた細胞の溶解物から同時精製し得た(図29A〜29D(A)、レーン3を参照のこと)。Fボックスの検出は、共沈殿されるクリン1およびSkp1の量を、著しく減少した(図29A〜29D(A)、レーン4を参照のこと)。
【0117】
MAFbxの過剰発現は、萎縮を引き起こす。C2C12筋管は、感染されない(CON)か、またはEGFPを発現するアデノウイルスもしくはMycエピトープタグ化ラットMAFbx遺伝子およびEGFP(MAFbx−EGFP)の両方を発現するアデノウイルスのいずれかで、感染されるかのいずれかである。分化後4日で、蛍光筋管を撮影し、筋管の直径を測定した(右)。アデノウイルスを、記載されるように作製した(T.−C.Heら、Proc.Natl.Acad.Sci.U S A 95,2509(1998))。較正=50mm。図29A〜29D(B)。
【0118】
EGFPウイルスおよびMAFbx−EGFPウイルスが、EGFP遺伝子を含むために、抗EGFP免疫ブロット(I.B.)は、感染レベルの相対的な決定を可能にする。溶解物の免疫ブロット(I.B.)は、MAFbxウイルスで感染された筋管における、Mycエピトープタグ化MAFbxタンパク質の存在を確認した。図29A〜29DC。
【0119】
これらの結果は、MAFBXが、SCFユビキチンリガーゼ複合体の一部として機能し、この複合体の他のメンバーで見られるように、Fボックスドメインが、結合に必要であるという仮説と一致する。
【0120】
(実施例9:MURF3の基質が、シンコイリン(Syncoilin)遺伝子である実証)
MURF3に対する潜在的な基質を決定するために、「酵母ツーハイブリッド」実験を行った。これは、目的のタンパク質と同時結合するタンパク質を検出する標準的な方法である。この実験において、目的の遺伝子をコードするベクターが、同時トランスフェクトされ、そして酵母LexAドメインに融合され、cDNAをコードするライブラリーは、GAL4ドメインに融合される。ライブラリー中のcDNAが、試験遺伝子と結合する場合、LexAドメインおよびGAL4ドメインは、一緒になり、決定的な酵母タンパク質の産出を生じ、酵母が、特定の培地中で生育可能になる。この方法を使用して、本発明者らは、MURF3に対する基質が、シンコイリンという最近クローン化された遺伝子であることを決定した。
【0121】
(実施例10:萎縮をブロックし、MURF1およびMA−61のアップレギュレーションをブロックする、クレンブテロール(Clenbuterol)処理)
MURF1およびMAFBXが、筋痙攣プロセスに対するマーカーおよび痙攣をブロックする強力な標的となり得るかどうかをさらに確立するために、クレンブテロールと呼ばれる薬物を、筋痙攣を阻害するために使用し、この阻害がMURF1およびMA−61のアップレギュレーションの減少に関連するかどうかを見た。クレンブテロール、βアドレナリン作用性アゴニストは、筋痙攣のインヒビターとして確立されている(例えば、Sneddon AA,Delday MI,Maltin CA,(2000)を参照のこと)。クレンブテロールによる脱神経誘導性の痙攣の改善は、増加したPKC−α活性に関連する(Am J Physiol Endocrinol Metab 2000 Jul;279(1):E188−95)。
【0122】
ラット四肢の筋肉を、上述の実施例1で記載されるように、固定した。ラットを固定すると同時に、これらを、クレンブテロールで処理した(3mg/kg、s.c.)。コントロールの固定された動物は、処理されないままにした。コントロール動物の筋肉組織およびクレンブテロール処理動物の筋肉組織由来のメッセンジャーRNAを、標準的な方法(MURF1プローブおよびMAFBXプローブを使用するノーザンハイブリダイゼーション)によって、MURF1発現およびMAFBX発現について試験した。痙攣を有意にブロックする、クレンブテロールでの処理によって、MURF1およびMA−61のアップレギュレーションもまたブロックされたことが見出された。
【0123】
(実施例11:MuRF2およびMuRF3の分析)
MuRF1に密接に関連する2つの遺伝子が、クローン化され、MuRF2およびMuRF3と名づけられた(T.Centnerら、J Mol Biol 306,717−726(2001),J.A.Spencer,S.Eliazer,R.L.Ilaria,J.A.Richardson,E.N.Olsen,J.Cell Biol.150,771−784(2000))。ノーザン分析は、MuRF2発現およびMuRF3発現が、筋肉特異的で、MuRF1に高度に相同であるにも関わらず、骨格筋痙攣の間、一貫してアップレギュレーションされるわけではないことを示した(図4C)(T.Centnerら、J Mol Biol 306,717−726(2001))。筋肉を、3つの痙攣モデル:固定、脱神経、および後肢浮遊の時間経過(0日、1日、3日、および7日)を経験するラットから得た。各々のレーンにおいて、全RNAを、3つのラット内側腓腹筋(MG)からプールした。ノーザンハイブリダイゼーションを、示された遺伝子に対するプローブを用いて実行した。マウスmyoDに対するノーザンプローブは、コード配列の塩基対571〜938にまたがり、マウスmyogeninは、コード配列の塩基対423〜861にまたがり、マウスMyf5は、コード配列の406〜745にまたがった。ラットMuRF1に対するノーザンプローブを、PCRによって作製し、コード配列の塩基対24〜612にまたがった。マウスMuRF2に対して、プローブを、5’PCRオリゴ:
【0124】
【化1】
および3’PCRオリゴ:
【0125】
【化2】
を使用して作製し、マウスMuRF2の5番目のエクソンにまたがった。マウスMuRF3に対して、プローブは、コード配列の塩基対867〜1101にまたがった。負荷された全RNA量を制御するために、アガロースゲルを、エチジウムブロマイドで染色し、撮影し、リボソームRNAのバンドを評価した。MuRF2またはMuRF3が、ユビキチンリガーゼとして機能するかどうかは、未知である。
【0126】
(実施例12:ユビキチン化は、筋痙攣の間増加する)
上記に示されるように、MURF1は、ユビキチンリガーゼのリングドメインの一部であり、MAFBXは、「SCF」ユビキチンリガーゼ複合体の一部である。ユビキチン化は、筋痙攣のプロセスに関与することを示すために、ウエスタンブロットを、コントロールの筋組織から、および脱神経または固定誘導痙攣を受ける筋組織から得られるタンパク質を用いて実行した。両痙攣条件下で、ユビキチン化のレベルが痙攣の間増加することが示された。この点はまた、文献中で確立されている(例えば、Solomon V,Baracos V,Sarraf P,Goldberg AL.(1998)を参照のこと)。ユビキチン結合の速度は、主にN末端規則経路の活性化を通して、痙攣と共に増加する。Proc Natl Acad Sci U S A.1998 Oct 13;95(21):12602−7。
【0127】
(実施例13:MAFBXは、MAFBXとSkp1との間の酵母ツーハイブリッド結合によって示されるように、SCF E3ユビキチンリガーゼファミリーのメンバーである)
本発明者らは、この遺伝子について、全長のラットcDNAおよびヒトcDNAをクローン化した。ラットMAFbx cDNA配列およびヒトMAFbx cDNA配列のオープンリーディングフレームによって、90%同一であるタンパク質が予想される(図4A)。このタンパク質の配列は、「Fボックス」ドメインの存在が顕著であり、Fボックスドメインが、「SCFユビキチンリガーゼ複合体」と呼ばれる、特定のE3ユビキチンリガーゼのメンバーであるタンパク質において同定されているので、このFボックスドメインの存在は、興味深い(D.Skowyra,K.L.Craig,M.Tyers,S.J.Elledge,J.W.Harper,Cell 91,209−19(1997);J.Lisztwanら、EMBO J 17,368−83(1998)。従って、SCF複合体は、それが、以下のタンパク質:Skip1(Skp1)、クリン1(Cul1)および多くの「Fボックス」含有タンパク質(Fbp)の1つの間の安定な相互作用に関与するために、名づけられる。38より多くの異なるFbpが、ヒトで同定された(J.T.Winston,D.M.Koepp,C.Zhu,S.J.Elledge,J.W.Harper,Curr Biol 9,1180−2(1999);C.Cenciarelliら、Curr Biol 9,1177−9(1999))。MAFbxに最も近接な遺伝子は、Fbx25であり、それは、Fボックス含有タンパク質についての大きな検索で、以前にクローン化された遺伝子である(19)。興味深いことに、MAFbx発現が、骨格筋および心臓に限定されるのに対して、Fbx25は、ほとんどの他の組織において発現されるが、骨格筋では発現されない(データは示さず)。本発明者らは、MAFbxが、実際、2つの様式で、SCF型E3ユビキチンリガーゼであることを示した。第1に、「ベイト」として、全長MAFbxを使用する酵母ツーハイブリッドクローニングによって、Skp1の94の独立したクローンを得、全94クローン以外は、相互作用実験から得られた(データは示さず)。第2に、MAFbxでトランスフェクトされた哺乳動物細胞からのMAFbxの免疫沈澱から、Skp1およびCul1の両方の共沈殿を得た(図4B)。この共沈殿は、MAFbx中のFボックスドメインの存在に依存した(図4B、レーン3および4を比較のこと)。Fボックスモチーフは、FbpとSkp1の間の相互作用に必要であることが示された(E.T.Kipreos,M.Pagano,Genome Biol.1(2000))。
【0128】
(実施例14:MURF1は、ユビキチンリガーゼとして機能する)
MURF1が、ユビキチンリガーゼとして機能するかどうかを決定するために、組換えMURF1タンパク質を、標準的な技術を使用して、E.Coli細菌中で生成した。この組換えタンパク質を、精製し、Chenら、2000,J Biol Chem,275,pg15432−15439に記載されるように、インビトロのユビキチンリガーゼアッセイで使用した。MURF1は、高度に活性で、この活性は、E2として、E1およびUBC5cの両方に依存することが見出された(E1成分およびE2成分は、リングドメインタンパク質媒介性ユビキチンライゲーションにとって必要である)。ネガティブコントロールタンパク質は、作用しなかった。ポジティブコントロールとしての、他のリングドメイン含有タンパク質もまた、このアッセイで機能したが、ユビキチン結合によって測定した場合、より低い効率であった。MURF1がどのようにしてユビキチンリガーゼとして機能したかの図示に関しては、図15を参照のこと。
【0129】
(実施例16:ノックアウト動物)
(MAFBXノックアウト動物は、筋痙攣の減少を示す)
MAFbxの機能をさらに解明するために、本発明者らは、マウス中でMAFbxヌル対立遺伝子を遺伝子操作した。ここで、ATGからFボックス領域をコードするエクソンにわたるゲノムDNAが、LacZ/ネオマイシンカセットによって置換され(図5A)、同時にMAFbx機能の破壊、およびMAFbxの発現パターンを決定するための、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)染色を可能にした。MAFbx座の分析は、MAFbx+/−動物およびMAFbx−/−動物での期待される摂動を示した(図5B)。さらに、MAFbx−/−動物は、MAFbx mRNAについてヌルであった(図5C)。MAFbx−/−マウスは、生存可能で、受胎能力があり、そして正常に見える。MAFbx欠損マウスは、野生型の同産児に関する正常な成長曲線を有し、そして骨格筋および心臓は、通常の重さおよび形態を有した(データは示さず)。
【0130】
明らかな表現型の非存在を考慮して、本発明者らは、骨格筋の損失を引き起こすことにおけるMAFbxの役割を(もしあれば)決定するために、萎縮モデルにおいてマウスを検証することに決めた。筋萎縮は、坐骨神経を切断することにより誘導され、これは前脛骨筋および腓腹筋の脱神経および不使用を生じた。脱神経は、MAFbx+/−マウスの前脛骨筋におけるb−gal染色(図6A)により実証されるように、全ての筋線維におけるMAFbx遺伝子座の上方調節を生じた。有意な筋萎縮は、脱神経後の7日目および14日目に、野生型のMAFbx+/+マウスの前脛骨筋および腓腹筋で生じた(図6B)。MAFbx欠乏性(MAFbx−/−)マウスは、7日目および14日目の両方でのMAFbx+/+マウスより顕著に少ない萎縮を有した(図6B)。実際に、MAFbx−/−マウスは、7日目と14日目の間の更なる筋損失がないことを示したのに対して、MAFbx+/+は、質量を失い続けた。14日目の筋質量の保持はまた、平均の線維サイズおよび線維サイズの可変性の保持に反映され;MAFbx−/−マウスは、MAFbx+/+マウスより顕著に大きな線維を有し、そして非脱神経されていない肢でみられるのと同じ線維サイズの可変性を維持した(図6C)。これらのデータは、MAFbxが、筋萎縮の必要とされる調節因子であり、筋タンパク質の分解における重要な役割を果たし得る強い証拠を提供する。
【0131】
(MuRF−1ノックアウト動物は、筋萎縮における減少を示す)
MuRF1の機能をさらに解明するために、本発明者らは、マウスにおいて、MuRF1ヌル対立遺伝子を遺伝学的に操作し、このマウスにおいて、F−box領域をコードするエキソンを通りATGにまたがるゲノムDNAを、LacZ/ネオマイシンカセットと取り替え、これは、(図5A)MuRF1発現パターンを決定するために、本発明者らがMuRF1の機能を乱し、そして同時にb−ガラクトシダーゼ(b−gal)染色を実施することを可能にする。MuRF1座の分析は、MuRF1+/−および−/−動物における予想された混乱を実証した(図5B)。さらに、MuRF1−/−動物は、MuRF1のmRNAに対するヌルであった(図5C)。MuRF1−/−マウスは、生存可能で、稔性であり、そして正常に思われた。MuRF1欠乏性のマウスは、野生型の同腹仔の片方に比例して正常な増殖曲線を有し、骨格筋および心臓は、正常な重さおよび正常な形態学を有した(データは示されていない)。
【0132】
この研究において、本発明者らは、筋特異的であり、そして種々の撹乱により誘導された筋萎縮の間に上方調節される2つの遺伝子を同定した。MuRF1とMAFbxの両方は、E3ユビキチンリガーゼの異なる型をコードする。骨格筋萎縮の多数のモデルに対するマーカーとして2つのユビキチンリガーゼの発見は、高い不同性の撹乱(脱神経からグルココルチコイド処置までの範囲である)が、共通の萎縮誘導経路を活性化することを示唆する。さらに、ATP依存プロテアソームによるタンパク分解のための別個の基質を標的化する、ユビキチンリガーゼの特定の機能は、特定のタンパク質の分解経路が、萎縮の間に上方調節されそしてMAFbxおよびMuRF1により媒介されることを示唆する。
【0133】
MuRF1は、リングフィンガードメインを含み、そしてインビトロにおいてユビキチンリガーゼとして機能することが示され、その結果、これは、単量体のリング−フィンガーリガーゼとして骨格筋において機能し得ることを示唆した。本研究は、基質を同定しなかったが、これまでの研究は、MuRF1がサルコメリック(sarcomeric)タンパク質タイチンに結合すると確認し、これはMuRF1が、筋節複合体の重要なオーガナイザーである、タイチンに対するユビキチンリガーゼとして機能し得る可能性を生じる(T.Centnerら、J Mol Biol 306、717〜726(2001).)。
【0134】
MAFbxは、F−boxを含むSCFファミリーのメンバーである。基質は、これらの研究においてMAFbxについて決定されていない;しかし、インビトロにおける骨格筋管におけるMAFbxの発現は、これらの細胞において萎縮を誘導するのに十分であった。さらに、MAFbx欠乏性マウスは、脱神経モデルにおける野生型マウスより顕著に少ない萎縮を示した。この発見は、MAFbxが、重大な筋タンパク質の分解の調節を介する可能性が最もありそうな、筋萎縮プロセスの決定的な調節因子であることを実証する。さらなる萎縮および肥大モデルにおけるこれらのMAFbx欠乏性のマウスの分析は、筋萎縮およびタンパク質の代謝回転におけるMAFbxの役割をさらに解明する。
【0135】
今後の研究は、MAFbxおよびMuRF1の基質の同定そしてMAFbxまたはMURF1のいずれか、MuRFの関連物、ならびに種々の組み合わせを欠如するマウスのさらなる試験に焦点をあてる。MuRF1欠乏性のマウスの予備的な分析は、それらが生存可能であり、そして外見および増殖の特徴において正常であることを示す(データは示されない)。現在の研究は、骨格筋萎縮のマーカーとして、および萎縮の臨床的な状況における骨格筋の欠失を妨げる治療的な介入に対する強力な標的としてMuRF1およびMAFbxを同定する。MuRF1およびMAFbxの両方はまた、心筋で特異的に発現されるので、心臓の再構築および疾患におけるこれらのユビキチンリガーゼの役割を試験することもまた重要である。
【0136】
(MAFbxおよびMuRF1座の標的化)
MAFbx座の標的化。マウスのES細胞における相同組換えのためのベクターを標的化する遺伝子を産生するために、BACゲノムクローンを、MAFbx遺伝子の第一のコードエキソンに特異的なプローブを用い、Genome Systems 129Sv/Jゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得た。このBACは、約95kbのゲノムDNAの挿入を含み、そして全体のMAFbx遺伝子を包含した。これは9個のコードエキソンからなる(ラットおよびヒトの相同分子種における場合)。MAFbx遺伝子を乱すために、LacZ/ネオマイシンカセットを、MAFbxプロモーターにより由来されるLacZ遺伝子発現を可能にさせるために、ATG開始コドンに正確に挿入した。LacZの挿入では、コードエキソン1〜7およびエキソン8のほとんどを含む、約35kbのMAFbxゲノム配列を同時に取り替えた。このF−boxは、マウスMAFbx遺伝子、ラットMAFbx遺伝子およびヒトMAFbx遺伝子におけるエキソン7および8によりコードされる。この標的化ベクターを、Not1を用いる消化により直線化し、そしてCJ7のES細胞にエレクトロポレーションした(T.M.DeChiaraら、Cell 85、501(1996))。G418における選択において生存したES細胞クローンを、スクリーニングし、相同組換えされた異型接合ES細胞を同定した。3つの標的化クロ−ンを、4.6%の組換え頻度を生じるスクリーニングされた65のクローンから同定した。図27A〜27BAを参照のこと。
【0137】
MuRF1座の標的化。マウスのES細胞における相同組換えのためのベクターを標的化する遺伝子を産生するために、BACゲノムクローンを、MuRF1遺伝子の第一のコードエキソンに特異的なプローブを用い、Genome Systems 129Sv/Jゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得た。このBACは、約33kbのゲノムDNAの挿入を含み、そしてMuRF1遺伝子の最初の5エキソンを含んだ。MuRF1遺伝子を乱すために、LacZ/ネオマイシンカセットを、MuRF1プロモーターにより由来されるLacZ遺伝子発現を可能にさせるために、ATG開始コドンに正確に挿入した。LacZの挿入では、コードエキソン1〜4およびエキソン5のほとんどを含む、約8kbのMuRF1ゲノム配列を同時に取り替えた。このRINGフィンガーは、マウスMuRF1遺伝子、ラットMuRF1遺伝子およびヒトMuRF1遺伝子におけるエキソン1および2によりコードされる。この標的化ベクターを、Not1を用いる消化により直線化し、そしてCJ7のES細胞にエレクトロポレーションした(T.M.DeChiaraら、Cell 85、501(1996))。G418における選択において生存したES細胞クローンを、スクリーニングし、相同組換えされた異型接合ES細胞を同定した。3つの標的化クロ−ンを、14%の組換え頻度を生じるスクリーニングされた22のクローンから同定した。図27A〜27BBを参照のこと。
【0138】
(標的化対立遺伝子の非存在の確認:MAFbx)
MAFbx遺伝子の標的化を、ES細胞および異型接合MAFbx変異体マウスおよび同型接合MAFbx変異体マウスの両方で、内因性(end.対立遺伝子)3.1kbおよび標的化(mut.対立遺伝子)4.9kbのEcoR1フラグメントを検出するために、EcoR1を用いてゲノムテールDNAを消化することおよび5’1.1kb SacIIフラグメントを用いてプローブすることにより確認した(図30A〜30DA)。
【0139】
MAFbx遺伝子における標的化変異を、MAFbxプローブ(コード配列の660〜840bpにまたがる(MAFbx;上パネル))、ならびに挿入されたLacZ遺伝子のプローブを用いてMAFbx+/+、+/−および−/−マウスから調製した前脛骨筋(TA)および腓腹筋(GA)の両方からmRNAをプローブすることにより証明した(図30A〜30DB)。
【0140】
(標的化対立遺伝子の非存在の確認:MuRF1)
MuRF1遺伝子の標的化を、ES細胞および異型接合MuRF1変異体マウスおよび同型接合MuRF1変異体マウスの両方で、内因性(ebd.対立遺伝子)15kbおよび標的化(mut.対立遺伝子)10kbのEcoR1フラグメントを検出するために、EcoR1を用いてゲノムテールDNAを消化することおよび5’0.5kb BglIIフラグメントを用いてプローブすることにより確認した(図30A〜30D(C))。
【0141】
MuRF1遺伝子における標的化変異を、ラットMuRF1コード配列の1〜500bpにまたがるプローブ(MuRF1;上パネル)ならびに挿入されたLacZ遺伝子のプローブを用いて、MuRF1+/+、+/−および−/−マウスから調製した前脛骨筋(TA)および腓腹筋(GA)の両方からmRNAをプローブすることにより証明した(図30A〜30DD)。
【0142】
(MAFbxおよびMuRF1遺伝子が、脱神経後の筋肉において上方調節されることの確認)
MAFbxおよびMuRF1遺伝子の調節を、MAFbx+/−およびMuRF1+/−マウスにおけるb−gal染色を使用して、試験した。右側の坐骨神経を、異型接合マウスにおいて切断し、前脛骨(TA)筋の脱神経を生じた。7日後、右および左の前脛骨筋を、切り出し、そして同じ時間、同じ培地中でb−gal活性について染色した。コントロールの筋肉において、いくつかの(主に深い領域)(しかし全てではない)TAの筋線維におけるMAFbxの発現の低いレベルがある。比較において、MuRF1は、MAFbxよりわずかに高いレベルで全ての線維において発現される。脱神経後、MAFbxおよびMuRF1発現の両方は、全ての筋線維で上方調節される。図31A〜31C(A)。
【0143】
欠乏性のMAFbxおよびMuRF1由来の筋質量を、野生型(+/+)マウスと比較し、そして野生型(+/+)マウスと比較した場合、脱神経後にマウスが筋質量を維持することが見出された。成体のマウス(MAFbx+/+および−/−)の右後肢筋を、右坐骨神経を切断することにより脱神経した。各動物の左後肢は、それ自身のコントロールとして役立った。脱神経後7日および14日目に、右および左の腓腹筋複合体(GA)を、除去し、そして重さを量った。筋重量(GA)を、コントロールの%(右/左の筋重量データが、平均値±s.e.m.、n=5〜10匹のマウスとなるように計算される)としてプロットした。図30A〜30D(B)。
【0144】
筋線維のサイズおよび可変性は、脱神経後、MAFbx欠乏性マウス由来の筋肉において維持された。前脛骨筋からとられた切断面を、ラミニンに対する抗体(Sigma)を用いて染色した。図30A〜30D(C)において、代表的な切断面は、前脛骨筋から示されている:野生型(+/+)、コントロールの左側(左上);野生型(+/+)、脱神経されて14日目の右側(左下);異型接合(−/−)、コントロールの左側(右上);異型接合、脱神経されて14日目の右側。
【0145】
本明細書中で論じられるような、ノックアウト動物の生成において使用され得る方法論の詳細な説明については、内容が本明細書により参考として援用される、2000年10月31日に出願された米国特許出願第60/244,665号より優先を主張する2000年12月7日に出願された米国特許出願第09/732,234を参照のこと。
【0146】
本願を通して、用語MURF1およびMURF3は、MAFbxであるとして、使用される。本発明者らが以前に出願した優先出願において、用語MA−16およびMAFBXは使用された。用語におけるこの変化は、命名法における変化を表わし、そして分子は、これらの配列によりさらに正確に同定される。
【0147】
(生物材料の寄託)
以下のクローンは、1999年12月10日に、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))、10801 University Boulevard、Manassas、VA20110−2209に寄託された。
クローン 特許寄託命名
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA61K8 PTA−1048
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA16C8 PTA−1049
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA61D18 PTA−1050
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態による範囲に限定されない。実際は、本明細書中に記載されるものに加えて本発明の種々の改変は、前述の説明および添付の図から当業者に明白となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、SCF複合体のMAFBXタンパク質に関連する構成成分の概略図を示す。
【図2】
図2は、MA−61のF−ボックスドメインを示す配列比較を示す。
【図3】
図3は、ヒトMAFBXタンパク質の構造ドメインの概略図を示す。
【図4】
図4は、ヒトMURF1タンパク質の構造ドメインの概略図を示す。
【図5A】
図5A〜図5Bは、広範な相同性を示すMAFBXとFbx25との間の配列比較を示す。
【図5B】
図5A〜図5Bは、広範な相同性を示すMAFBXとFbx25との間の配列比較を示す。
【図6】
図6は、ラットMURF1のヌクレオチド配列を示す。
【図7】
図7は、ラットMURF1の推定アミノ酸配列を示す。
【図8】
図8〜8Cは、ヒトMURF1のヌクレオチド配列を示す。
【図9】
図9は、ヒトMURF1の推定アミノ酸配列を示す。
【図10】
図10は、ラットMAFBXのヌクレオチド配列を示す。
【図11】
図11は、ラットMAFBXの推定アミノ酸配列を示す。
【図12】
図12は、ヒトMAFBXクローンK8のヌクレオチド配列を示す。
【図13】
図13は、ヒトMAFBXクローンK8の推定アミノ酸配列を示す。
【図14】
図14は、MURF1のリングドメインを示す配列比較を示す。
【図15】
図15は、ユビキチンリガーゼ複合体のMURF1タンパク質に関連する構成成分の概略図を示す。
【図16】
図16は、ラットMURF1 VRVスプライス形態のヌクレオチド配列を示す。
【図17】
図17は、ラットMURF1 VRVスプライス形態の推定アミノ酸配列を示す。
【図18】
図18は、ヒトMAFBXクローンD18のヌクレオチド配列を示す。
【図19】
図19は、ヒトMAFBXクローンD18の推定アミノ酸配列を示す。
【図20】
図20は、hMURF3とrMURF1の配列アライメントを示す。
【図21】
図21は、ヒトMURF3クローンC8のヌクレオチド配列を示す。
【図22】
図22は、ヒトMURF3クローンC8の推定アミノ酸配列を示す。
【図23】
図23は、萎縮症に関する遺伝子の差示的表示分析を示す。
【図24】
図24は、筋肉クレアチニンキナーゼ(muscle creatine kinase)(MCK)、myoD、ミオゲニン(myogenin)およびMyf5の発現に対する萎縮症の効果を示すノーザンブロットを示す。
【図25】
図25Aは、全長のラットMuRF1に対して惹起される抗体を用いての免疫ブロットを示す。図25Bは、MuRF2およびMuRF3のノーザン分析を示す。
【図26】
図26は、ラットMAFbxタンパク質およびヒトMAFbxタンパク質、ならびにヒトFbx25の配列アライメントを示す。
【図27】
図27A〜図27BAは、LacZ/PGK neoと交換されるMAFbx遺伝子の部分を示す概略図を示す。図27A〜図27BBは、LacZ/PGK neoと交換されるMuRF1遺伝子の部分を示す概略図を示す。
【図28】
図28A〜図28DAは、ラットの内側腓腹筋の質量減少の時間経過が、3つのインビボモデルで試験されたことを示す:脱神経、固定化および後肢吊り下げ。図28A〜図28DBは、MuRF1およびMAFbx転写物に対する萎縮症の効果を示すノーザンブロットを示す。図28A〜図28DCは、MuRF1およびMAFbxの発現に対するデキサメタゾン(DEX)およびインターロイキン−1(IL−1)の効果を示すノーザンブロットを示す。
図28A〜図28DDは、MuRF1およびMAFbxの組織特異的発現を示す。
【図29】
図29A〜図29DAは、共沈殿を示す:MAFbx、Cullin、Skp−1。図29A〜図29DBは、MAFbxの過剰発現によって誘発される萎縮症を示す。図29A〜図29DCは、MAFbxウイルスに感染した筋管中における、Myc−エピトープでタグ化MAFbxタンパク質の存在を確認する溶解物の免疫ブロット(I.B.)を示す。図29A〜図29DDは、32P標識高分子量ユビキチン結合体の検出を示す。
【図30】
図30A〜図30DAは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MAFbx。図30A〜図30DBは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MAFbx。図30A〜図30DCは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MuRF1。図30A〜図30DDは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MuRF1。
【図31】
図31A〜図31CAは、マウスの(MAFbx+/−およびMuRF1+/−組織のB−gal染色を示す。図31A〜図31CBは、野生型(+/+)マウスと比較した場合の脱神経後の筋肉塊を示す。図31A〜図31CCは、脱神経後のMAFbx決失マウス由来の筋肉中の筋線維サイズおよび変動性を示す。
【図32】
図32は、MAFbxタンパク質が、MA61と同じタンパク質であることを示す配列アライメントを示し、そして異なる名前は、命名法での変化を示す。
【図33】
図33は、MuRF1タンパク質が、MA16と同じタンパク質であることを示す配列アライメントを示し、そして異なる名前は、命名法での変化を示す。
【図34】
図34は、hMURF1とrMA16の配列アライメントを示す。
本出願全体にわたり、種々の刊行物が、参照される。それらの内容におけるこれらの刊行物の開示は、本明細書により、本出願において参考として援用される。本出願は、米国仮出願第60/264,926号(2001年1月30日に出願された)、同第60/311,697号(2001年8月10日に出願された)および同第60/338,742号(2001年10月22日に出願された)に対する優先権を主張する。
【0002】
(序論)
本発明は、新規のヒトヌクレオチド配列に関する。これらの2つ(本明細書中で示される、MURF1およびMA−61)は、ユビキチンリガーゼの新規の基質標的サブユニットをコードし、そして筋萎縮症を誘導するか、阻害するかまたは逆転させる(reverse)かのいずれかである状態または薬剤により変調される(modulated)。MuRF−1に対する高い相同性を有するさらなる配列は、基質がシンコイリン(Syncoilin)である、本明細書中に示される分子MuRF−3をコードする。萎縮症の誘導は、これらの遺伝子のmRNAの発現における増加を引き起こし;萎縮症の逆転(reversal)または防止は、これらの遺伝子発現を減少させるかまたはブロックする。本明細書中に記載されるMURF1およびMAFBXのcDNA配列、ならびにさらなる実験は、MURF1およびMAFBXタンパク質分子が、ユビキチン化(細胞内でのタンパク質分解を開始させる特定の経路)を引き起こすことを立証する。本発明は、MURF1、MURF−3および/またはMA−61をコードする核酸分子、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス、宿主細胞発現系、ならびに本発明のヌクレオチドによってコードされるタンパク質を含む。本発明はさらに、これらの遺伝子自身およびそれらがコードするタンパク質、ユビキチン化、筋萎縮症ならびに関連する疾患、障害および状態に効果を現すような、強力な治療薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイにおけるこれらの核酸の使用に関する。加えて本発明はさらに、関連疾患の処置のための、治療プロトコルおよびユビキチン経路およびその基質を標的化することを示す薬学的組成物を含む。本明細書中に開示される分子は、筋萎縮症を変調するか、または筋肥大を誘導するように機能する。
【0003】
(発明の背景)
筋肉重量(mass)の減少、または萎縮は、種々の生理学的状態および病理学的状態に関与する。例えば、筋萎縮症は、以下に起因して脱神経から生じ得る:神経損傷;変性ニューロパシー、代謝性ニューロパシーまたは炎症性ニューロパシー(例えば、グイリムバール症候群(Guillian Barre syndrome));末梢ニューロパシー;または環境毒または薬物によって引き起こされる神経損傷。筋萎縮症はまた、以下に起因して、脱神経から生じ得る:運動性ニューロパシー(例えば、成人の運動ニューロン疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー・ゲーリグ病)を含む);乳児脊髄性筋萎縮および若年性脊髄性筋萎縮;ならびに多数の導体ブロック(conductor block)を伴う自己免疫性運動ニューロパシー。筋萎縮症はまた、例えば、以下に起因する麻痺から生じる慢性疾患から生じ得る:脳卒中または脊髄損傷;損傷(例えば、骨折、捻挫または脱臼)に起因する骨格不動化;あるいは、長期の床上安静(R.T.Jagoe、A.L.Goldberg、Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 4,183(2001)。代謝性ストレスまたは栄養性機能不全(nutritional insufficiency)(また、筋萎縮症を結果として生じ得る)としては、特に、癌の悪液質、AIDS、および他の慢性疾患、飢餓(fasting)、または横紋筋融解症、および内分泌性障害(例えば、甲状腺および糖尿病の障害)が挙げられる。筋萎縮症は、筋ジストロフィー症候群(例えば、デュシェーヌ、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型(fascioscapulohumeral)、エメリー−ドライフス、眼咽頭、肩甲上腕、四肢帯(limb girdle)、および先天性型)、ならびに遺伝性遠位型ミオパシーとして知られるジストロフィーに起因し得る。筋萎縮症はまた、先天性ミオパシー(例えば、良性先天性低張(benign congenital hypotonia)、中心コア病、ネマリンミオパシー(nemalene myopathy)、および筋細管(中心核)ミオパシー)に起因し得る。筋萎縮症はまた、老化プロセス中に起こる。
【0004】
種々の病理学的状態における筋萎縮症は、蛋白分解の増大および筋タンパク質合成の減少に関連する。筋細胞は、リソソームプロテアーゼおよび細胞質可溶性プロテアーゼを含む。細胞質可溶性プロテアーゼとしては、Ca2+−活性化中性プロテアーゼ(カルパイン)およびATP依存性ユビキチン−プロテアソーム蛋白分解系が挙げられる。リソソーム系および細胞質可溶性系は、インビトロで筋タンパク質を分解し得るが、インビボでの筋タンパク質分解におけるそれらの役割については、ほとんど知られていない。いくつかの研究は、プロテアソームインヒビターが、ラットの骨格筋の萎縮における蛋白分解を減少させ(例えば、Tawaら(1997)J.Clin.Invest 100:197)、ユビキチン−プロテアソーム経路が、蛋白分解の増大において役割を有するという示唆を導くことを報告している。しかし、筋肉の萎縮における蛋白分解の詳細な機構は、十分に特徴付けられていないままである。蛋白分解のよりよい理解は、萎縮症の予防および処置のための戦略計画および薬剤を与える。
【0005】
タンパク質分解は、タンパク質の存在量を制御するために細胞によって使用される共通のメカニズムである。しかし、全てのタンパク質を単に分解するのではなく、ユビキチン作用が、タンパク質標的選択に対して非常に特異的であるように思われる。このようなユビキチン−タンパク質結合体の形成は、3つの構成成分(ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、および基質特異性決定構成成分(E3))からなるタンパク質複合体を伴って生じる(Skowyraら、1997,Cell 91:209−219)。どのタンパク質標的がユビキチン化されるかを調節する、いくつかの別個の分子戦略が存在する。最近発見された機構は、SCF E3 ユビキチンリガーゼ複合体と言われる(複合体の図解表示について図1を参照のこと)。このSCFタンパク質複合体は、いくつかの別個のタンパク質サブユニット(「F−box」と呼ばれるドメインを有するタンパク質を含む)を含む。リン酸化基質の存在下で、このSCF複合体は、その基質に結合し、そしてSCF複合体の一部でもあるE2 ユビキチントランスフェラーゼを用いて、それをユビキチン化する(Pattonら、1998、Genes&Development 12:692−705)。この結果は、基質の特異的なタンパク分解性の分解である。F−boxタンパク質は、以下の3つのサブファミリーに分類され得る大きなファミリーを含む:1)複数のTrp−Asp反復(WD−40反復)によって特徴付けられる、Fbws;2)ロイシンリッチな反復によって特徴付けられる、Fbls;および3)既知のタンパク質相互作用ドメインを欠いている、Fbxs(現在既知の哺乳動物のF−boxタンパク質ファミリーメンバーの考察について、Winstonら、1999、Current Biology 9:1180−1182を参照のこと)。F−boxタンパク質は、通常、特定のタンパク質基質およびF−boxと呼ばれる、42〜48アミノ酸のモチーフと相互作用するさらなる基質結合ドメインを含む(Winston、1999)。hMAFBXの、他のF−boxを含むタンパク質との比較について、図2を参照のこと。
【0006】
ユビキチンの、特定の基質への結合に関する別の機構は、「環状ドメイン」を含むタンパク質に関与する。環状ドメインタンパク質は、独立した単量体のユビキチンリガーゼとして作用し得るか、またはそれらのタンパク質は、SCF複合体の一部分として機能し得るかのいずれかである。環状ドメインタンパク質は、F−boxタンパク質を有する場合、通常、特定の基質に結合する第2のドメインを含む。この環状ドメインは、ユビキチンリガーゼを補強する。最終的な結果は、最終的に蛋白質分解を生じる、基質のユビキチン化である。
【0007】
正常な筋組織の維持に関連する別のタンパク質複合体は、筋細胞の細胞外マトリクスとアクチン細胞骨格との間の連結において不可欠な役割を果たすと考えられる、ジストロフィンタンパク質複合体である。ジストロフィンタンパク質複合体の鍵となる成分は、a−ジストロブレビン(dystrobrevin)(その非存在が、神経筋接合部欠損および筋ジストロフィーを結果的に生じる、ジストロフィン関連タンパク質)である。最近、シンコイリン(Syncoilin)と呼ばれる、新規のa−ジストロブレビン結合パートナーが、同定された(Neweyら、JBC Papers in Press、2000年10月25日)。シンコイリンは、中間フィラメントファミリーのメンバーである。これは、骨格筋および心臓において高発現され、そして神経筋接合部に集まる。
【0008】
本発明に従って、MURF1(正式には、MUSCLE ATROPHY−16またはMA−16と呼ばれる)、MURF3、およびMUSCLE ATROPHY−61(MA−61)と名付けられた新規のタンパク質分子が、発見されている。MAFBXは、骨格筋および心筋において、そしてそれ程の程度ではないが、脳の特定の領域において特異的に発現される、新規のF−boxタンパク質である(図解表示について図3を参照のこと)。MAFBXmRNAの発現レベルは、骨格筋萎縮症の間に、顕著に増加する。MURF1は、骨格筋および心臓で特異的に発現される、新規の環状ドメインタンパク質(略図について、図4を参照のこと)である。MURF1 mRNAの発現レベルは、骨格筋萎縮症の間に顕著に増加する。従って、MURF1またはMAFBXのmRNA発現が、筋萎縮症についての独特のマーカーを提供するという本発明と一致して発見されている。MURF3は、新規の環状ドメインタンパク質であり、その基質は、ジストロフィンタンパク質複合体に関与するシンコイリンである。この複合体は、正常な筋組織を維持に関与するので、MURF−3はまた、萎縮症、ならびに筋系の他の疾患および合併症の予防に有用である。本発明の発見は、萎縮症の処置および予防のための薬剤の同定、ならびに萎縮症の処置および予防のための標的薬剤に有用な経路の同定を可能にする。本発明は、特に、SCFタンパク質複合体およびジストロフィン複合体に関する正常な筋肉の機能に一般的識見を提供する。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、新規の哺乳動物の細胞外シグナル伝達分子(MURF1、MURF3、およびMUSCLE ATROPHY−61(MA−61)と呼ばれる)のタンパク質および核酸配列、ならびに筋萎縮症もしくは他の関連疾患の処置における治療プロトコルおよびこのような分子を利用した組成物を提供する。本発明は、これらの分子の基質を同定するためのスクリーニングアッセイ、およびこれらの分子を変調するかまたは標的化する薬剤、ユビキチン結合またはユビキチン経路、もしくはジストロフィン複合体の同定に関する。これらのスクリーニングアッセイは、筋萎縮症および関連する障害の処置のための強力な治療薬剤を同定するために使用され得る。
【0010】
本発明は、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1およびMURF3の環状ドメインを含むタンパク質またはポリペプチド、ならびにこのようなモチーフおよび/またはドメインをコードする核酸を提供する。
【0011】
本発明はまた、MURF3核酸とシンコイリン遺伝子との間の共結合(co−association)を記載する。この相互作用は、正常筋細胞の機能、および特に、ジストロフィンタンパク質複合体、中間フィラメントスーパーファミリー、およびユビキチン結合タンパク質複合体の間の相互関係の識見を提供する。
【0012】
本発明はさらに、MA−61の新規のタンパク質−タンパク質相互作用ドメインを記載する。このドメインは、MAFBXタンパク質を、以前に発見されたF−boxを含むタンパク質(Fbx25)と比較することにより決定された。これら2つのタンパク質は、F−boxドメインと異なる相同な領域を含む。本出願人らは、このドメインを、Fbx25相同ドメインと呼ぶ。MAFBXのFbx25との比較に関して、図5A〜5Bを参照のこと。
【0013】
本発明はさらに、単離されたMURF1、MURF3、またはMAFBXの核酸分子、あるいはMAFBXのF−boxモチーフ、またはMURF1もしくはMURF3の環状ドメインを含むベクターを提供する。このベクターは、MURF1ペプチド、MURF3ペプチドまたはMAFBXペプチド、あるいはMA−61のF−boxモチーフ、あるいはMURF1核酸またはMURF3核酸の環状ドメイン、あるいはMURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質を、細菌内、酵母内、または哺乳動物細胞内で発現させるために、使用され得る。
【0014】
従って、本発明は、以下の核酸配列、このような核酸配列を発現する宿主細胞、ならびに以下のようなヌクレオチド配列の発現産物を含む:(a)MURF1、MURF3、またはMA−61をコードする、ヌクレオチド配列(ヒトホモログおよびラットホモログの両方を含む)、ならびにそれらの遺伝子産物;(b)MURF1分子、MURF3分子、およびMAFBX分子のサブユニットを標的化する新規の基質タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列(MA−61のF−boxモチーフ、MURF1またはMURF3の環状ドメイン、MURF3分子のシンコイリン遺伝子と共結合する部分、ならびにMA61のFbx25相同ドメインを含む);(c)ドメインの全てまたは一部が欠失または変化された、新規分子(MURF1、MURF3、およびMAFBXin)の変異体、ならびにこのようなヌクレオチド配列により特定されるポリペプチド産物をコードする、ヌクレオチド配列;(d)新規のユビキチン経路分子、または別のポリペプチドと融合した、1つのドメインを含む融合タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列ドメイン、ならびに新規のジストロフィン複合体タンパク質または別のポリペプチドと融合したそれらのドメインの1つをコードする、ヌクレオチド配列ドメイン、(e)上記に列挙されたヌクレオチド配列のいずれかと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列(ストリンジェントな条件としては、例えば、5×SSPE(0.18M NaCl、0.01M NaPO4、pH7.7、0.001M EDTA)緩衝液中に30%ホルムアミドを含む緩衝液中で、42℃の温度でハイブリダイズし、42℃で、0.2×SSPEによって洗浄された場合に結合を維持する条件;好ましくは、5×SSPE緩衝液中に50%ホルムアミドを含む緩衝液中で、42℃の温度でハイブリダイズし、42℃で、0.2×SSPE緩衝液によって洗浄された場合に結合を維持する条件;または、好ましくは、20%SDS、10% BSA、1M NaPO4、0.5M EDTA、pH8を含む緩衝液中で、60℃の温度でハイブリダイズし、65℃で、0.1% SDSを含む2×SSCによって洗浄された場合に結合を維持する条件);ならびに(f)少なくとも100塩基対の長さで配列のブロック内で、上記に列挙されるヌクレオチド配列に65%相同である、ヌクレオチド配列。
【0015】
本発明はさらに、ユビキチン経路、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の活性または発現、筋萎縮および/あるいはジストロフィン複合体と相互作用するかまたはこれらを調節する、薬物または因子をスクリーニングする際の、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質、MA−61のF−boxモチーフ、MURF1またはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と同時結合するMURF3分子の部分、およびMA−61のFbx25相同性ドメインの使用を提供する。従って、本発明は、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質および/あるいはそれらの特定のドメインの使用を提供し、細胞内(特定には、筋細胞であるが、MAFBX発現はまた、脳の領域で検出されるので、特定の神経細胞も含む)の特定の薬物、因子または分子の相互作用を追跡または調節するための使用を提供する。特定の実施形態において、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1もしくはMURF3のリングドメインは、MURF1分子、MURF3分子またはMAFBX分子との相互作用するかあるいはこれらの活性または発現を調節する分子または因子をスクリーニングするために利用される。他の実施形態において、MURF1核酸またはMURF1タンパク質、MURF3核酸またはMURF3タンパク質およびMAFBX核酸またはMAFBXタンパク質は、筋萎縮をブロックまたは防止する薬物を見出すためのアッセイ実験の間のマーカーとして使用される。
【0016】
本発明はまた、MURF1タンパク質もしくはMURF1ペプチド、MURF3タンパク質もしくはMURF3ペプチドおよびMAFBXタンパクもしくはMAFBXペプチドの発現または活性を調節するか、あるいはユビキチン化を阻害するために細胞内でMURF1タンパク質、MURF3タンパク質およびMAFBXタンパク質の相互作用をもたらすことによって、ユビキチン化および/または筋萎縮を低下させるためのMURF1核酸またはMURF1核酸タンパク質、MURF3核酸またはMURF3タンパク質およびMAFBX核酸またはMAFBXタンパク質の使用を提供する。
【0017】
本発明はさらに、新規のMURF1分子、MURF3分子およびMAFBX分子ならびにそれらのサブユニットの全てのアゴニストおよびアンタゴニスト(低分子、高分子、ネイティブなMURF1結合タンパク質、MURF3結合タンパク質およびMAFBX結合タンパク質と競合する変異体、ならびに抗体を含む)、ならびに、MURF1タンパク質およびMURF1ペプチド、MURF3タンパク質およびMURF3ペプチドならびにMAFBXタンパク質およびMAFBXペプチドの発現を阻害するために使用され得る(アンチセンス分子およびリボザイム分子ならびに遺伝子調節構築物または遺伝子置換構築物を含む)、またはMURF1タンパク質もしくはMURF1ペプチド、MURF3タンパク質もしくはMURF3ペプチドおよびMAFBXタンパク質もしくはMAFBXペプチドの発現を増強するためのヌクレオチド配列(MURF1遺伝子、MURF3遺伝子またはMAFBX遺伝子を強力なプロモータ配列の制御下に置く発現構築物を含む)、そして、MURF1導入遺伝子、MURF3導入遺伝子もしくはMAFBX導入遺伝子を発現するトランスジェニック動物またはMURF1分子、MURF3分子もしくはMUFBX分子を発現しないノックアウト動物を包含する。
【0018】
本発明はまた、ヒト(h)MURF1、げっ歯類(r)MURF1、(h)MURF3、(r)MURF3、(h)MA−61、または(r)MAFBXDNAの配列の範囲内に含まれる配列とハイブリダイズ可能な核酸プローブを提供し、ヒトおよびげっ歯類においてMURF1 mRNA、MURF3 mRNAまたはMAFBX mRNAを発現する組織の検出のために有用である。
【0019】
本発明はさらに、MURF1、MURF3およびMAFBXの結合サブユニットの誘導体およびアナログ(これらは、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害の予防のための潜在的な治療法として分子の活性を調節する)を同定するためのスクリーニング方法を包含する。本発明は、MURF1、MURF3およびMA−61またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン(例えば、MA−61のF−boxモチーフ、MURF1およびMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と同時結合するMURF3分子の部分、ならびにMA−61のFbx25相同性ドメイン)と相互作用するタンパク質をスクリーニングするための方法を提供する。本発明に従って、スクリーニング方法は、タンパク質−タンパク質相互作用を同定するための既知のアッセイを利用し得、このようなアッセイとして、ファージディスプレイアッセイ、タンパク質に結合する抗体を用いる免疫沈降に続くサイズ分画分析、ウエスタン分析、ゲル電気泳動,酵母2ハイブリッドアッセイ系またはこれらの改変が挙げられる。
【0020】
本発明はさらに、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、もしくはMAFBXタンパク質、またはMAFBXタンパク質のF−boxモチーフ、またはMURF1タンパク質もしくはMURF3タンパク質のリングドメイン、またはそれらのフラグメントもしくは誘導体に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む、抗体を提供する。
【0021】
本発明はさらに、診断上および治療上の有用性を有する。このような方法は、診断検査または遺伝子検査のための遺伝子配列および/または遺伝子産物配列を利用し得る。本発明の特定の実施形態において、MURF1 mRNA、MURF3 mRNAもしくはMAFBX mRNAの発現の検出方法、または本明細書中に記載されるMURF1タンパク質、MURF3タンパク質もしくはMAFBXタンパク質の検出方法は、神経筋接合部を冒すものを含む、心臓または骨格の、種々の病気、症候群または障害と関連する骨格筋萎縮の診断において使用され得る。ユビキチン経路を調節または標的化する分子における変異は、検出され得、そして被験体は、筋萎縮に関連する疾患または障害が進行する危険性について評価され得る。
【0022】
他の実施形態において、MURF1 mRNA、MURF3 mRNAまたはMAFBX mRNAの発現の操作、あるいはこれらの遺伝子もしくは遺伝子産物の活性もしくは発現と相互作用するかまたは遺伝子もしくは遺伝子産物を調節する他の因子は、筋萎縮およびジストロフィーに関連する病気、症候群または障害(例えば、骨格筋または心筋の障害)の処置において使用され得る。さらに、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMUFBX核酸もしくはMUFBXタンパク質のレベルまた活性の測定または分析は、他の実施形態において、薬学的因子が萎縮過程を撹乱するか否かを決定するために使用され得;発現の増加は、タンパク質の崩壊における増加と相関するが、発現の減少または妨害は、筋タンパク質の崩壊の効果的な減少または妨害と相関する。さらなる実施形態において、MAFBXのF−boxモチーフまたはMURF1もしくはMURF3のリングドメインを、筋萎縮およびジストロフィーと関連する病気、症候群または障害(例えば、骨格筋または心筋の障害)の処置のために操作し得る。
【0023】
本発明はさらに、筋細胞における萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、細胞を、MURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくはMURF3核酸またはMAFBXタンパク質もしくはMAFBX核酸のインヒビター、MURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビター、あるいはユビキチン化のインヒビターと接触させる工程を包含する。本発明はさらに、筋細胞における萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、細胞を、筋萎縮のインヒビターと接触させる工程を包含し、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の発現の減少あるいはMURF1ペプチドもしくはMURF1タンパク質、MURF3ペプチドもしくはMURF3タンパク質またはMAFBXペプチドもしくはMAFBXタンパク質の活性の減少を生じる。この実施形態において、MURF1核酸もしくはMURF1タンパク質、MURF3核酸もしくはMURF3タンパク質またはMAFBX核酸もしくはMAFBXタンパク質の発現、あるいはMURF1ペプチドもしくはMURF1タンパク質、MURF3ペプチドもしくはMURF3タンパク質またはMAFBXペプチドもしくはMAFBXタンパク質の活性は、筋萎縮またはそれに関連する疾患を阻害における試験化合物の効率を証明するためのマーカーとして使用される。
【0024】
本発明はさらに、筋萎縮と関連する疾患または障害の処置において有用な因子をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、図7、9、11、13、17、19および22のアミノ酸配列をそれぞれ有するMURF1、MURF3またはMAFBX、あるいはそのフラグメントを発現する細胞およびその基質を化合物と接触させる工程、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のいずれかの活性の変化を検出する工程を包含する。活性のこのような変化は、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物と1つ以上のタンパク質(例えば、そのタンパク質の基質の1つまたはユビキチン経路の構成要素の一つ)との相互作用における変化によってか、あるいはユビキチン化または基質の分解の変化によって、明らかにされ得る。
【0025】
本発明はさらに、筋萎縮に関連する疾患または障害の処置において有用な因子をスクリーニングするための方法を提供し、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質を生成する工程、およびこれらのタンパク質のいずれかをインビトロユビキチンリガーゼアッセイにおいて使用する工程を包含する。因子は、インビトロでの遍在性連結(ubiquity ligation)阻害におけるその有効性についてスクリーニングされる。
【0026】
本発明はまた、筋萎縮と関連する動物の疾患または障害を処置する方法を提供し、このような疾患または障害の症状が緩和されるように、MURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路、ユビキチン化、あるいはMURF1遺伝子もしくはMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子もしくはMURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子もしくはMAFBX遺伝子産物の合成、発現または活性を調節する化合物をその動物に投与する工程を包含する。
【0027】
本発明は、筋萎縮と関連する動物の疾患または障害を診断する方法を提供し、この方法は、患者または患者サンプル中のMURF1遺伝子、MURF3遺伝子、またはMAFBX遺伝子の発現を測定する工程を包含する。例えば、本発明は、哺乳動物における筋萎縮を検出するための方法を包含し、この方法は、a)画像化因子と結合されたMURF1核酸もしくはMURF1ポリペプチド、MURF3核酸もしくはMURF3ポリペプチドまたはMAFBX核酸もしくはMAFBXポリペプチドを検出し得る分子を含む組成物を、その哺乳動物に投与する工程;b)その組成物を筋肉中に蓄積可能にする工程;ならびにc)筋萎縮の指標としてMURF1、MURF3またはMA−16の存在を検出するために、この蓄積された組成物を検出する工程。MURF1分子、MURF3分子、またはMAFBX分子に結合または付着し得るこのような分子は、例えば、化学物質、核酸、ポリペプチド、またはペプチドであり得る。さらに、このような診断薬は、転写物の量または発現産物の量を直接的に定量することによって遺伝子の発現を測定し得る。例えば、MURF1、MURF3またはMA−61ならびにこれらにコードされるタンパク質のレベルが、測定され得る。このような測定は、当該分野で公知の標準的技術(限定しないが、PCR、Taqman PCR、ノザン分析、ウエスタン分析または免疫組織化学が挙げられる)の使用を介してなされ得る。
【0028】
本発明はさらに、上記された方法を包含し、ここで、筋細胞は、トランスジェニック生物から得られるかまたはトランスジェニック生物内に存在し、ここで、このトランスジェニック生物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明はさらに、萎縮が誘導する状態を有する動物において萎縮を阻害する方法を包含し、この方法は、有効量のMURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくはMURF3核酸、またはMAFBXタンパク質もしくはMAFBX核酸のインヒビターで哺乳動物を処置する工程、あるいは細胞をMURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビターで処理する工程を包含する。本発明はさらに、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害の処置に有用な化合物をスクリーニングする方法を包含し、MURF1を発現する筋細胞を化合物と接触させる工程、およびMURF1タンパク質活性、MURF3タンパク質活性またはMAFBXタンパク質活性における変化を検出する工程を包含する。この変化は、PCR、Taqman PCR、ファージディスプレイ系、ゲル電気泳動、酵母2ハイブリッドアッセイ、ノザン分析またはウエスタン分析、免疫組織化学、慣用的なシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直進スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、またはX線装置によって検出され得る。MURF1タンパク質活性、MURF3タンパク質活性またはMAFBXタンパク質活性の変化はまた、MURF1、MURF3またはMAFBXと1つ以上のタンパク質との相互作用の変化を検出することによって検出され得る。この方法は、筋細胞が骨格由来であるか、培養細胞であるか、トランスジェニック生物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類)から得られたものであるか、あるいは、トランスジェニック生物において、使用され得る。タンパク質発現の変化は、ユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のタンパク質量の変化によって実証され得る。
【0030】
本発明はさらに、動物における萎縮を阻害する方法を包含し、ここでこの動物は、萎縮が誘導する状態への曝露または発症に先立って処置される。このような、萎縮が誘導する状態は、不動化、脱神経、飢餓、栄養の欠乏、代謝性ストレス、糖尿病、老化、筋ジストロフィーまたはミオパシーを含み得る。好ましい実施形態において、萎縮が誘導する状態は、不動化、老化または床上安静である。好ましい実施形態において、萎縮が誘導する状態は、癌またはAIDSである。
【0031】
本発明はさらに、骨格筋細胞において筋の肥大を生じる方法を包含し、この方法は、骨格筋細胞をMURF1タンパク質もしくはMURF1核酸、MURF3タンパク質もしくMURF3核酸またはMAFBXタンパク質もしくはMURF3核酸のインヒビターで処置する工程、あるいは骨格筋細胞をMURF1経路、MURF3経路またはMAFBX経路のインヒビターで処置する工程を包含する。
【0032】
化合物検出システムを利用する本発明の実施形態において、任意の検出器が、当該分野で公知であり、例えば、PCR、Taqman PCR、ノザン分析またはウエスタン分析、免疫組織化学、慣用的なシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直進スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、およびX線装置である。さらに、当該分野で公知の任意の画像化因子(例えば、放射性核種またはキレート)が、使用され得る。
【0033】
MURF1、MURF3またはMAFBXを検出し得る分子は、核酸およびmRNAまたは合成オリゴヌクレオチドもしくは合成ポリペプチドであり得る。
【0034】
本発明のさらなる実施形態において、過剰なMURF1、MURF3またはMAFBXを罹患する患者は、MURF1遺伝子コード領域、MURF3遺伝子コード領域またはMUFBX遺伝子コード領域に対応する有効量のアンチセンスRNA、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド、またはRNAiを投与することによって処置され、それによって、MURF1、MURF3および/またはMA−61の発現を減少され得る。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明は、本出願人による、分子MURF1、MURF3およびMA−61の発見および特徴付けに基づく。MURF1およびMAFBXは、ラットおよびヒトの成体心臓および成体骨格筋の両方で発現され、そして、これらの発現は、骨格筋萎縮の様々な状態下で増加する。本発明は、ヒト(h)MURF1、ヒト(h)MURF3およびHUMAN MUSCLE ATROPHY−61(hMA−61)と呼ばれる新規ヒト細胞内シグナル伝達分子のタンパク質および核酸、ならびにRAT MURF1、RAT MURF3およびRAT MUSCLE ATROPHY−61(rMA−61)と呼ばれる新規ラット細胞内シグナル伝達分子のタンパク質および核酸を提供する。本説明の全体にわたって、MURF1、MURF3、またはMAFBXのタンパク質および核酸の言及としては、本明細書中で記載されるようなhMURF1、hMURF3、hMA−61、rMURF1、rMURF3またはrMAFBXのタンパク質および核酸の特定の実施形態が挙げられるが、これらに限定されない。MURF1分子およびMURF3分子はリング(ring)ドメインを含み、そしてMAFBXは、F−ボックスモチーフを含む。この分子のこれらのドメインの両方は、この分子と、それらの基質とユビキチンリガーゼ系との間の相互作用を促進する。
【0036】
本発明は、ユビキチン経路に関する新規タンパク質およびその基質に関連する。本発明は、筋成長、筋機能化および筋増殖の障害に関与する新規核酸およびポリペプチドを提供する。これらとしては、このような活性を有する以下のようなMURF1、MURF3またはMAFBXのタンパク質もしくは核酸、またはそれらのドメインが挙げられる:例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と共同提携(co−associate)するMURF3分子の一部、およびMA−61のFbx25相同ドメイン。
【0037】
本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXの核酸、MURF1、MURF3およびMAFBXのポリペプチド、それらの誘導体およびアナログ、ならびにMURF1、MURF3もしくはMAFBXの核酸またはタンパク質の欠失変異体または種々のアイソフォームを含む。これらは、融合生成物(例えば、非MURF1、MURF3またはMAFBXのポリペプチドおよび核酸との融合生成物)として提供され得る。さらに、MURF1、MURF3およびMAFBXの核酸およびペプチドは、宿主発現系に関連され得る。
【0038】
本発明はさらに、MURF1、MURF3およびMA−61をコードするヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、MURF1、MURF3およびMA−61に対する抗体、それらのアゴニストおよびアンタゴニストの使用を提供する。本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXならびに/または分子の基質を同定するように設計されたスクリーニングアッセイに関し、この基質は、新規な分子であるMURF1、MURF3およびMAFBXの活性を、独立してかまたはそれらの基質に関連して調節する。さらに、本発明は、筋萎縮ならびに関連する疾患および障害を阻害、ブロックまたは改善する見込みのある治療薬を同定するために使用されるスクリーニングアッセイの使用に関する。
【0039】
(遺伝子)
本発明は、核酸分子(これは、MURF1、MURF3またはMA−61をコードする)を提供する。本発明は、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物(MURF1、MURF3およびMA−61の機能的ドメイン(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3のリングドメイン、Syncoilin遺伝子と共同提携するMURF3分子の一部、およびMA−61のFbx25相同ドメイン)を含む)に対応するポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列、またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン、それらの変異形態、短縮形態または欠失形態、および前述のいずれかを組み込むかまたは生成する宿主細胞発現系を含む。
【0040】
本発明は、図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21中のDNA配列;図7、図9、図11、図13、図17および図19のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする任意のDNA配列;ストリンジェント条件下または高ストリンジェント条件下で、図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の相補鎖にハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列、および/または低ストリンジェント条件下で、図7、図9、図11、図13、図17、図19および図22のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の相補鎖にハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0041】
特定の実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、図10、図12および図18に対して、ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、そしてF−ボックスモチーフのいずれかを含む遺伝子産物をコードし、そして、少なくとも47ヌクレオチド長である、哺乳動物ゲノム由来の任意のヌクレオチド配列を含む。
【0042】
本発明は、哺乳動物供給源由来の核酸分子およびタンパク質を含む。核酸配列としては、ゲノムDNA、cDNAまたは合成DNAが挙げられ得る。特定のアミノ酸配列をコードする核酸をいう場合、この核酸は、特定のアミノ酸配列をコードするようにプロセシングされたmRNA種が転写されるcDNA配列であり得ることが理解されるべきである。
【0043】
本発明はまた、開示された配列および/またはそれらの相補鎖のいずれか(これらは、調節エレメントに連結され得る)を含むベクターおよび宿主細胞を含む。このような調節エレメントとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:発現を駆動するかまたは調節するためのプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび当業者に公知の他のエレメント(例えば、CMV、SV40、MCK、HSAおよびアデノプロモーター、lac系、trp系、TRC系、ファージAのプロモーターおよびオペレーター)。
【0044】
本発明はさらに、本明細書中に開示された核酸配列、および、開示された配列に対して約50%よりも高いアミノ酸同一性を有するMURF1、MURF3およびMAFBXの遺伝子産物をコードする遺伝子配列のいずれかのフラグメントを含む。
【0045】
特定の実施形態において、本発明は、MURF1、MURF3およびMAFBXをコードする核酸配列のヌクレオチドフラグメント(図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21)を提供する。このようなフラグメントは、MURF1、MURF3またはMAFBXの遺伝子配列の少なくとも8つのヌクレオチド(すなわち、ハイブリダイゼーション部分)からなり;他の実施形態において、この核酸は、MURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列の少なくとも25個連続するヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、150ヌクレオチドまたは200ヌクレオチドからなる。別の実施形態において、この核酸は、47ヌクレオチド長より短い。本発明はまた、前述の配列に対してハイブリダイズ可能な核酸、または前述の配列の相補鎖に関する。全配列は、1本鎖であるか、2本鎖であり得る。さらに、本発明のヌクレオチド配列としては、図7、図9、図11、図13、図17および図19のMURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列によってコードされるポリペプチドに対して、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が挙げられ得る。
【0046】
本発明の1つの実施形態は、本明細書中の図7、図9、図11、図13、図17および図1に記載のアミノ酸配列に対応するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチド、またはMURF1、MURF3もしくはMA−61特異的活性もしくは特異的発現レベルを有するそれらのフラグメントをコードする組換え核酸である。
【0047】
なお別の実施形態は、ネイティブMURF1またはMAFBXの配列を有する核酸の相補鎖に特異的にハイブリダイズし得る少なくとも18個連続した塩基を有する、本明細書中の図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18および図21に記載のヌクレオチド配列、またはそれらのフラグメントを含む単離された核酸である。
【0048】
さらに、開示されたMURF1核酸、MURF3核酸またはMAFBX核酸の配列は、選択された発現系のために最適化され得るか(Hollerら、(1993)Gene 136:323〜328;Martinら、(1995)Gene 154:150〜166)、または核酸配列をコードする天然のMURF1、MURF3またはMAFBXの単離において使用するための縮重オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを生成するために使用され得る(「GCG」ソフトウェア、Genetics Computer Group,Inc.,Madison,WI)。MURF1、MURF3またはMAFBXをコードする核酸は、例えば、以下のために、発現ベクターの一部となり得、そして組換え宿主細胞に組み込まれ得る:発現およびスクリーニング、トランスジェニック動物、または、機能的研究(例えば、MURF1またはMA−61媒介細胞活性、またはMURF1、MURF3もしくはMAFBXのmRNAおよび/もしくはタンパク質発現に関連する疾患に対する候補薬剤の効果)。発現系は、選択的な翻訳後プロセシングを介して、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドの構造改変体および機能的改変体を達成するために、選択および/または変更される。
【0049】
特許請求されたMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸は、単離されていても、純粋でも、かつ/または非天然でもよい。「純粋な」核酸は、所定のサンプル中の全ての核酸の少なくとも約90重量%、好ましくは、少なくとも約99重量%を構成する。「非天然」の核酸は、天然の産物であると考えられないかもしれない程度に操作された核酸である。非天然の核酸の1つの例は、当該分野において公知の組換え技術を介して産生された核酸である。この目的の核酸は、合成されても、組換え技術によって産生されても、細胞から精製されてもよい。本明細書中に開示されるヌクレオチド配列およびそれらのフラグメントを含む核酸は、それが天然の染色体上で結合されている配列以外の配列に直接隣接するか、またはそれが天然の染色体上で結合されている配列以外の配列に直接隣接する10kbより短い(好ましくは2kbより短い)ネイティブの隣接領域に隣接するように配列またはフラグメントを末端に含み得る。この核酸は、通常、RNA配列またはDNA配列であり、他の塩基またはヌクレオチドアナログを含む核酸を用いて、例えば、改変された安定性を提供することは、しばしば有利である。
【0050】
本発明は、以下を含むが、これらに限定されないMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸の広範な種々の適用を提供する:筋萎縮症、ユビキチン化、あるいはMURF1核酸、MURF3核酸、およびMAFBX核酸またはポリペプチド自体の発現もしくは活性を調節する分子、薬剤および薬物の同定および研究;筋萎縮症またはユビキチン化のマーカーとして;筋萎縮症またはユビキチン化の予防または軽減のためのマーカーとして;筋ジストロフィーを調節する分子、薬剤および薬物の同定および研究;筋ジストロフィーのマーカーとして;筋ジストロフィーの予防または軽減のためのマーカーとして;翻訳可能な転写物、ハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマー、または診断核酸、イメージング剤として;MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、またはMAFBX遺伝子および遺伝子転写物の存在の検出;ならびにさらなるMURF1ホモログ、MURF3ホモログ、またはMAFBXホモログおよび構造的アナログをコードする核酸の検出または増幅。
【0051】
本明細書中に記載される、MURF1mRNA、MURF3mRNA、またはMAFBXmRNAに結合するか、またはその発現を調節する新規薬剤は、MURF1mRNA、MURF3mRNA、またはMAFBXmRNAを発現する細胞において筋萎縮症を予防し得る。本明細書中に記載される、MURF1、MURF3、またはMA−61に結合するかまたはそれが媒介するユビキチン化もしくはそれらの活性を調節する新規薬剤は、MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、またはMAFBXタンパク質のいずれかを含む細胞において筋萎縮症を予防し得る。MAFBXmRNAの発現もしくはMAFBXタンパク質の活性を阻害するか、またはMA61経路を阻害する薬物または薬剤は、標的タンパク質の、特定のSCF E3ユビキチンリガーゼ媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MURF1mRNA、MURF3mRNAの発現、またはMURF1タンパク質もしくはMURF3タンパク質の活性を阻害するか、あるいはMURF1経路もしくはMURF3経路を阻害する薬物または薬剤は、標的タンパク質の、特定の環状ドメイン媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MA61mRNAの発現またはMAFbxタンパク質の活性を阻害する薬物(rug)または薬剤は、標的タンパク質のF−ボックス媒介ユビキチン化を減少させることが予想される。MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNAまたはゲノムDNAの優性ネガティブな阻害形態は、骨格筋萎縮症をブロックするための遺伝子治療に用いられ得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNAまたはゲノムDNAの優性ネガティブ阻害形態(MA−61のF−ボックスドメインもしくはFbx25ホモロジードメイン、またはMURF1もしくはMURF3の環状ドメインのいずれかが単独で発現される)もまた、骨格筋萎縮症をブロックするための遺伝子治療に用いられ得る。
【0052】
本発明は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、およびMAFBX遺伝子(例えば、転写因子阻害剤、アンチセンスおよびリボザイム分子、ならびに遺伝子または調節配列置換構築物を含む)の発現を阻害するか、あるいはMURF1、MURF3、またはMAFBXの優性ネガティブ形態(例えば、このコード配列が、発現制御エレメントに作動可能に連結される発現構築物を含む)の発現を促進する抗体、アンタゴニスト、アゴニスト、化合物、またはヌクレオチド構築物をさらに包含する。
【0053】
本発明は、MURF1、MURF3、およびMA−61をコードする核酸の検出を提供する。これは、MURF1、MURF3、またはMAFBXのcDNA特異的配列を有し、かつ図6、図8(a〜c)、図10、図12、図16、図18、および図21との特異的なハイブリダイゼーションをもたらすのに十分な核酸ハイブリダイゼーションプローブおよび複製/増幅プライマーの使用を通じて行われ得る。特異的なハイブリダイゼーションを実証することは、一般的に、ストリンジェントな条件(例えば、42℃の温度で、5×SSPE(0.18M NaCl、0.01M NaPO4、pH7.7、0.001M EDTA)緩衝液中に30%ホルムアミドを含む緩衝液中でハイブリダイズし、そして42℃の温度で、0.2×SSPEを用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること;好ましくは42℃の温度で、5×SSPE緩衝液中に50%のホルムアミドを含む緩衝液中で、ハイブリダイズし、そして42℃の温度で、0.2×SSPE緩衝液を用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること;最も好ましくは、60℃の温度で、20%SDS、10%BSA、1M NaPO4、.5M EDTAを含む緩衝液(pH8)中で、ハイブリダイズし、そして65℃で、2×SSC、1%SDSを用いる洗浄に供する場合に結合を保持すること)を必要とする。MURF1またはMAFBXcDNAホモログはまた、アラインメントアルゴリズム(例えば、BLASTX(Altschulら、(1990)Basic Local Alignment Search Tool、J.Mol.Biol.215:403〜410))を用いて夫々区別され得る。
【0054】
本明細書中に開示される配列と遺伝子的または物理学的に同じ位置に存在する遺伝子配列を同定および単離するための、開示される配列の使用もまた包含され、そしてそのような配列は、例えば、標準的配列決定および細菌性人工染色体(BAC)技術を通して得られ得る。ヒトまたは他の種における遺伝子ホモログをクローニングするための、開示される配列の使用もまた、包含される。そのようにするために、この開示される配列は、標識され得、そしてcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いられ得る。必要とされるストリンジェンシーのレベルは、用いられるDNAの供給源に依存する。従って、低いストリンジェンシー条件は、特定の環境において適切であり得、そしてそのような技術は、当該分野において周知である(例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Press、N.Y.を参照のこと)。さらに、MURF1ホモログ、MURF3ホモログ、またはMAFBXホモログは、本明細書中に開示される配列を用いて設計された2つの変性オリゴヌクレオチドプライマーのプールにより、PCRを用いて単離され得る。次いで、この同定されたフラグメントは、さらに、当該分野において公知の種々の技術(cDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングを含む)を用いて全長のクローンを単離するために用いられ得る。さらに、PCRは、全長cDNA配列を直接的に同定するために用いられ得る(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。これらの開示される配列はまた、変異体MURF1対立遺伝子、変異体MURF3対立遺伝子、または変異体MAFBX対立遺伝子を同定するために用いられ得る。変異体対立遺伝子は、高スループットの臨床的診断剤のための対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブを作製するために用いられる。MURF1対立遺伝子、MURF3対立遺伝子、およびMAFBX対立遺伝子は、当該分野において公知の多数の技術(1本鎖配座多型性(SSCP)変異検出技術、サザンブロッティング、および/またはPCR増幅技術が挙げられるが、これらに限定されない)によって同定され得る。
【0055】
MURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸はまた、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの細胞性発現または細胞内の濃度もしくはアベイラビリティを調節するために用いられ得る。MURF1阻害性核酸、MURF3阻害性核酸、またはMAFBX阻害性核酸は、代表的に、開示されるMURF1コード配列、MURF3コード配列、またはMAFBXコード配列の相補体を含むアンチセンス1本鎖配列である。所定のMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの発現のアンチセンス調節は、遺伝子調節配列に作動可能に連結されたアンチセンス核酸を用い得る。細胞は、プロモーター配列を伴いMURF1配列、MURF3配列、またはMAFBX配列を含むベクターを用いてトランスフェクトされ、このプロモーター配列は、この遺伝子の転写が、内因性MURF1コードmRNA、内因性MURF3コードmRNA、または内因性MAFBXコードmRNAに結合し得るアンチセンスの転写物を産生するように配置されている。このアンチセンス核酸の転写は、構成的でも誘導性でもよく、そしてこのベクターは、安定な染色体外維持または組込みを提供し得る。あるいは、所定のMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドをコードするゲノムDNAまたはmRNAに結合する1本鎖アンチセンス核酸は、標的化されたポリペプチドの発現の実質的な減少を生じる濃度で、標的細胞に投与され得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXの発現または活性の増強は、対応する遺伝子産物の機能的発現を増大させるMURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸の、標的化された細胞型への導入によってもたらされる。そのような核酸は、MURF1発現ベクター、MURF3発現ベクター、もしくはMAFBX発現ベクター、内因性対立遺伝子の機能的発現をアップレギュレートするベクター、または変異体対立遺伝子の標的とされる修正のための置換ベクターであり得る。生存細胞に核酸を導入するための技術は、当該分野において公知であり、そしてレトロウイルスに基づくトランスフェクションまたはウイルスコートタンパク質−リポソーム媒介トランスフェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
(タンパク質およびペプチド)
本発明は、MURF1、MURF3、またはMAFBXの遺伝子産物(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子と共に結合されるMURF3分子の部分、そしてMA−61のFbx25ホモロジードメイン、またはそれらの誘導体、フラグメントもしくはドメイン、それらの変異、短縮または欠失形態、それらの融合タンパク質、のようなMURF1、MURF3、およびMA−61の機能性ドメインが挙げられる)に対応するポリペプチドまたはペプチドならびに上記のいずれかを組み込むかまたは産生する宿主細胞発現系を提供する。
【0057】
本発明の1つの実施形態は、本明細書中、図7、図9、図17、図11、図13、図19、および図22に示されるとおりのアミノ酸配列を含む単離されたMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、もしくはMAFBXポリペプチド、またはそれらのフラグメントであり、これらは、MURF1、MURF3もしくはMA−61に特異的な活性または発現レベルを有する。
【0058】
開示されるMURF1ポリペプチド配列、MURF3ポリペプチド配列、またはMAFBXポリペプチド配列の配列は、MURF1核酸、MURF3核酸、またはMAFBX核酸から推定される。本発明の、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドは、単離されていても、純粋でも、および/または非天然でもよい。「単離された」ポリペプチドとは、それがその天然の状態で関連しているいくつかの物質をもはや伴わないポリペプチドであり、所定のサンプルの全てのポリペプチドの、好ましくは少なくとも約0.5重量%、より好ましくは約5重量%を構成する。「純粋な」ポリペプチドは、所定のサンプル中の全てのポリペプチドの少なくとも約90重量%、好ましくは、少なくとも約99重量%を構成する。目的のポリペプチドは、合成されても、組換え技術により産生されても、細胞から精製されてもよい。「非天然」のポリペプチドは、もはや天然の産物であると考えられないかもしれない程度に操作されたポリペプチドである。非天然のポリペプチドの1つの例は、当該分野において公知の組換え技術を介して作製されたポリペプチドである。広範な種々の分子生化学的方法は、目的の組成物の生化学的合成、分子発現および精製により入手可能である(例えば、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY;Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、編、Greene Publ.Assoc.、Wiley−Interscience、NY)を参照のこと)。
【0059】
本発明はまた、例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1もしくはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子と共に結合されるMURF3分子の部分、そしてMA−61のFbx25ホモロジードメイン、またはそれらの誘導体、フラグメントもしくはドメインのような、MURF1、MURF3、およびMA−61の機能性ドメインに対応するポリペプチドまたはペプチド、、それらの変異形態、短縮形態または欠失形態、それらの融合タンパク質ならびにスクリーニングのために上記のいずれかを組み込むかまたは産生する宿主細胞発現系、あるいはこれらの分子、筋肉萎縮症ならびに関連する疾患および障害と相互作用するかまたは改変する薬剤の使用を提供する。分子のスクリーニングは、当該分野において公知の任意の数の方法によって達成され得、この方法としては、免疫沈降、サイズフラクショネーション(size fractionization)、ウェスタンブロット、およびゲル電気泳動が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、スクリーニングの方法は、酵母ツーハイブリッドシステム、またはそれらの任意のバリエーションである。本発明は、低分子、高分子、化合物、組換えタンパク質、ペプチド、核酸および抗体をスクリーニングし得るインビトロおよびインビボでの試験の両方を含む。
【0060】
MURF1、MURF3、またはMAFBXのポリペプチド、またはペプチドフラグメントの多数の適用が、これらの特性から提唱される。これらは、筋萎縮症、筋ジストロフィー、ユビキチン化、またはMURF1、MURF3、またはMAFBX自体の発現もしくは活性を調節する分子、薬剤、および薬物の同定および研究に有用であり得る。これらは、筋萎縮症、筋ジストロフィー、またはユビキチン化のマーカーとして、および筋萎縮症、筋ジストロフィー、またはユビキチン化の予防もしくは軽減のためのマーカーとして有用であり得る。これらはまた、抗体の作製のためにも用いられ得る。
【0061】
さらに、これらの開示されるポリペプチドおよび核酸は、筋萎縮、筋ジストロフィー、MURF1経路、MURF3経路、およびMAFBX経路、またはユビキチン化の阻害に有用であり得る。さらに、これらは、筋萎縮、筋ジストロフィー、増大されたユビキチン化に関連する状態の処置に有用であり得る。MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドは、増殖因子、サイトカインおよび/またはホルモンを用いて処置される状態に類似する状態の研究、処置または診断に有用であり得る。機能的に等価なMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、およびMAFBX遺伝子産物は、欠失、付加、および/または置換を含み得る。そのような変化は、この遺伝子産物の機能的変化を全く生じなくてもよく、この遺伝子産物に変化を生じるようにこの遺伝子産物が、操作されてもよい。そのような遺伝子産物は、当該分野において公知の技術を介する組換え技術(例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換え)によって産生され得る(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。さらに、そのような遺伝子産物をコードするRNAは、当該分野において公知の技術を持ちいて化学合成され得る(例えば、「Oligonucleotide Synthesis」、1984 Gait、編、IRL Press、Oxfordを参照のこと)。
【0062】
(抗体)
本発明はまた、本明細書中に記載されるMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドに対する抗体も提供し、この抗体は、例えば、診断適用におけるこのポリペプチドの検出に有用である。MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドに対して指向されるモノクローナル抗体の調製のために、培養における連続的な細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術が、用いられ得る。例えば、KohlerおよびMilsteinにより最初に開発されたハイブリドーマ技術(1975、Nature 256:495〜497)、およびトリオマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術)Kozborら、1983、Immunology Today 4:72)ならびにヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、in 「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R.Liss、Inc.pp77〜96)などは、本発明の範囲内にある。
【0063】
診断的用途または治療的用途のためのモノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体またはキメラヒト−マウス(もしくは他の種)モノクローナル抗体であり得る。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野において公知の多数の技術のいずれか(例えば、Tengら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:7308−7312;Kozborら,1983,Immunology Today 4:72−79;Olssonら,1982,Meth.Enzymol.92:3−16)によって作製され得る。ヒト定常領域と共にマウス抗原結合ドメインを含むキメラ抗体分子が、調製され得る(Morrisonら,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851,Takedaら,1985、Nature 314:452)。
【0064】
当該分野において公知の種々の手順が、本明細書中に記載されるMURF1ポリペプチドに対するポリクローナル抗体、MURF3ポリペプチドに対するポリクローナル抗体またはMAFBXポリペプチドに対するポリクローナル抗体の生成のために使用され得る。抗体の生成のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない)が、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチド、あるいはこれらのフラグメントまたは誘導体を注射することによって免疫化され得る。種々のアジュバントが、宿主の種に依存する免疫応答を増大するために使用され得、アジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)、鉱物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、活面活性剤(例えば、リゾレチシン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ポリペプチド、油乳濁物、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール)および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0065】
選択されたMURF1ポリペプチドエピトープ、MURF3ポリペプチドエピトープまたはMAFBXポリペプチドエピトープに対する抗体の分子クローンは、公知の技術によって調製され得る。組換えDNA方法論(例えば、Maniatisら,1982,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)が、モノクローナル抗体分子またはその抗原結合領域をコードする核酸配列を構築するために使用され得る。
【0066】
本発明は、抗体分子およびこのような抗体分子のフラグメントを提供する。この分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知の技術によって作製され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって生成され得るF(ab’)2フラグメント、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFab’フラグメント、ならびにパパインおよび還元剤を用いて抗体分子を処理することによって生成され得るFabフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。抗体分子は、公知の技術によって精製され得、公知の技術としては、免疫吸着クロマトグラフィーもしくは免疫親和性クロマトグラフィー、クロマトグラフィー法(例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー))、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明はまた、単鎖Fvを提供する。単鎖Fv(scFv)は、軽鎖のV領域に合成ペプチドのストレッチによって連結された重鎖のV領域のみを有する、切断されたFabである。例えば、本明細書中で参考として援用されるCambridge Antibody Technologyに譲渡された米国特許第5,565、332号;同第5、733、743号;同第5,837、242号;同第5,858,657号、および同第5,871,907号を参照のこと。
【0068】
(アッセイ)
本発明のMURF1核酸、MURF3核酸およびMAFBX核酸、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドおよびMAFBXポリペプチド、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドならびにMAFBXポリペプチドに結合する抗体は、広い種々の使用を見出し、この使用としては、免疫原としての使用;スクリーニングアッセイにおける標的としての使用;および筋萎縮症またはユビキチン結合を調節、阻害、検出または測定するための生理活性剤としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。前述で列挙される分子は、任意の都合よい方法によって特定の細胞集団に導入され得るか、発現され得るか、または抑制され得、任意の都合よい方法としては、マイクロインジェクション、組換えタンパク質のプロモーター特異的発現または脂質ビヒクルを介する標的化送達が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
この発明の1つの局面は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物の、基質ならびにそのフラグメント、誘導体およびアナログをアッセイおよびスクリーニングするための方法を提供し、そしてMURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物と相互作用する因子を同定するための方法を提供する。本発明はまた、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物とそれらの基質および/またはユビキチンリガーゼ複合体サブユニットとの相互作用を調節または阻害する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。本発明のスクリーニングアッセイはまた、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子、およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物の発現ならびに活性のモジュレーターを同定する高処理スクリーニングアッセイを含む。このようなアッセイは、MURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のアゴニストまたはアンタゴニストを同定し得る。
【0070】
本発明は、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子およびMAFBX遺伝子およびMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物およびMAFBX遺伝子産物と結合するかまたは直接相互作用する、因子の同定のためのスクリーニング方法を提供する。このようなスクリーニング方法論は、当該分野において周知である(例えば、1996年、10月31日に公開されたPCT国際公開番号WO96/34099を参照のこと)。この因子は、内因性細胞成分および外因性細胞成分の両方を含む。これらのアッセイは、インビトロでか、または培養物におけるインタクトな細胞でか、または動物モデルにおいて実行され得る。
【0071】
好ましい実施形態において、酵母ツーハイブリッド系が、MURF1遺伝子、MURF3遺伝子、およびMAFBX遺伝子の基質、ならびにそのフラグメント、誘導体およびアナログを決定するため、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、およびMAFBX遺伝子産物と相互作用する因子を同定するために使用される(FieldsおよびSong,1989,Nature 340:245〜246および米国特許第5,283,173号)。この系は、レポーター遺伝子の発現の検出に基づき、このレポーター遺伝子の転写は、それぞれ転写レギュレーターの半分に融合する2つのタンパク質の相互作用による転写レギュレーターの再構成に依存する。MURF1タンパク質、MURF3タンパク質、およびMAFBXタンパク質またはその誘導体および試験されるべきタンパク質は、DNA結合ドメインおよび転写調節ドメインとの融合タンパク質として発現される。
【0072】
本発明は、MURF1特異的結合因子、MURF3特異的結合因子またはMA−61特異的結合因子、このような因子を同定および作製する方法、ならびに診断、治療および医薬の開発におけるその使用を提供する。MURF1特異的結合因子、MURF3特異的結合因子、またはMA−61特異的結合因子としては、MURF1特異的抗体、MURF3特異的抗体、またはMA−61特異的抗体が挙げられ、そしてまたアッセイ(例えば、1−ハイブリッドスクリーニング、2−ハイブリッドスクリーニング、および3−ハイブリッドスクリーニング)で同定される他の結合因子、および以下に記載されるような化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然の結合因子が挙げられる(例えば、抗体の製造および使用の考察について、HarlowおよびLane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと)。特に目的の因子は、MURF1、MURF3またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチドの機能、活性または発現を調節する。
【0073】
本発明は、MURF1、MURF3、またはMAFBXが調節可能な細胞機能またはMURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチド発現のレベルで活性な因子、化合物または因子のリード化合物を同定する効率的な方法を提供する。一般に、これらのスクリーニング方法は、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドまたはMURF1核酸、MURF3核酸またはMAFBX核酸と天然のMURF1結合標的、MURF3結合標的、またはMAFBX結合標的との相互作用を調節する化合物についてアッセイする工程、あるいはMURF1、MURF3またはMAFBXのmRNAまたはポリペプチドの発現を調節する化合物についてアッセイする工程を包含する。発現を調節する結合因子または因子についての広範な種々のアッセイが提供され、このアッセイとしては、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、イムノアッセイ、または細胞に基づくアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい方法は、リード化合物についての化学ライブラリーの自動化され、費用効率の良い高処理スクリーニングにされ易い。
【0074】
インビトロ結合アッセイは、別のペプチドまたはポリペプチド(例えば、検出またはアンカーのためのタグ)との融合産物の一部であり得る、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドを含む成分の混合物を用いる。このアッセイ混合物は、天然のMURF1結合標的またはMAFBX結合標的を含む。天然の結合標的が使用され得る一方で、その一部が、アッセイにおいて都合よく測定可能な対象のMURF1、MURF3またはMAFBXに対する結合親和性および結合力を提供する限り、その一部を使用することが頻繁に好まれる。このアッセイ混合物はまた、候補の薬理学的因子を含む。候補因子は、多数の化学的クラスを含むが、代表的にこれらは、有機的化合物であり、好ましくは小さい有機化合物であり、そして合成化合物ライブラリーまたは天然化合物ライブラリーを含む広範な種々の供給源から得られる。種々の他の試薬(例えば、塩、緩衝液、天然タンパク質(例えば、アルブミン)、洗剤、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、または抗菌剤)もまた、含まれ得る。この混合成分は、必須の結合を提供する、任意の順序で添加され得、そしてインキュベーションが、最適の結合を促進する任意の温度で実行され得る。この混合物は、候補の薬理学的因子の存在下でなければ、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドが、参照の結合親和性で結合標的、部分またはアナログと特異的に結合する条件下でインキュベートされる。インキュベーション期間は、最適の結合について選択されるが、しかしまた迅速な高処理スクリーニングを容易にするために最短化される。
【0075】
インキュベーション後、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドと1つ以上の結合標的との間のその因子に基づく結合とは、任意の都合よい方法によって検出される。無細胞結合型アッセイについて、分離工程が、しばしば結合していない成分から結合成分を分離するために使用される。分離は、多数の方法によってもたらされ得、この方法としては、沈殿または固定化に続く、例えば、膜ろ過、またはゲルクロマトグラフィーによる洗浄が挙げられるが、これに限定されない。無細胞結合アッセイについて、成分の1つは、通常標識を含むか、または標識に結合される。この標識は、放射活性、蛍光、光学密度または電子密度のような直接的検出、あるいはエピトープタグまたは酵素のような間接的検出を提供し得る。種々の方法が、標識および他のアッセイ成分の性質に依存する標識の検出のために使用され得、この方法としては、光学密度または電子密度、放射活性放射、非放射活性エネルギー転移を介するか、または非制限的な例として抗体結合体を用いる間接的な検出が挙げられるが、これらに限定されない。因子の存在下での結合親和性と比較した因子の非存在下での標的に対するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドの結合親和性における差異は、この因子が、対応する結合標的に対するMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドの結合を調節することを示す。本明細書中で使用される場合、差異は、統計学的に有意であり、そして好ましくは、少なくとも50%の差異、より好ましくは少なくとも90%の差異を表す。
【0076】
本発明はさらに、筋萎縮症と関連する疾患または障害の処置において有用な因子についてスクリーニングするための方法を提供し、それぞれ図7、9、17、11、13、19、および22のアミノ酸配列、またはそのフラグメントを発現する細胞とその基質とMURF1、MURF3、またはMAFBXを有する化合物とを接触させる工程、ならびにMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物またはMAFBX遺伝子産物のいずれかの活性における変化を検出する工程を包含する。活性におけるこのような変化は、1つ以上のタンパク質(例えば、それらの基質またはユビキチン経路の成分の1つ)とMURF1遺伝子産物、MURF3遺伝子産物、またはMAFBX遺伝子産物との相互作用における変化においてか、または基質のユビキチン結合または分解における変化によって明白になり得る。
【0077】
MURF1、MURF3またはMA−61の比活性、機能または発現は、都合のよいインビトロアッセイ、細胞に基づくアッセイまたはインビボアッセイによって決定され得る。インビトロアッセイまたは細胞に基づくアッセイとしては、結合アッセイおよび細胞培養アッセイおよびユビキチン結合アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。インビボアッセイとしては、免疫応答、遺伝子治療およびトランスジェニック動物および萎縮症に羅患した動物が挙げられるが、これらに限定されない。結合アッセイは、MURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、またはMAFBXポリペプチドと結合標的との特異的分子相互作用が評価されるか、または、MURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAまたはタンパク質発現レベルまたは活性が、評価されるか、または基質の結合もしくはユビキチン結合が評価される、任意のアッセイを含む。この結合標的は、例えば、リン酸化タンパク質、特異的免疫ポリペプチド(例えば、抗体)、またはMURF1核酸特異的結合因子、MURF3核酸特異的結合因子もしくはMA−61核酸特異的結合因子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)であり得る。MURF1核酸、MURF3核酸、およびMAFBX核酸およびMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチド、およびMAFBXポリペプチドについての潜在的な結合標的としては、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体およびジストロフィンタンパク質複合体の他の公知のメンバーが挙げられる。例えば、他のF−box含有タンパク質が、Cullin−1と呼ばれるタンパク質、またはCullinファミリーのファミリーメンバー(例えば、Cullin−2、Cullin−3、Cullin−4a、Cullin−4b、またはCullin−5)に結合することが公知である(Lisztwan J,Marti A,Sutterluty H,Gstaiger M,およびWirbelauer C,Krek W,1998 EMBO 17(2):368〜83;Lyapina SA,Correll CC,Kipreos ET,Deshaies RJ.,1998 Proc Natl Acad Sci USA 95(13):7451〜6)。それ故、1つの潜在的アッセイは、試験化合物が、Cullinファミリーメンバーに対するMAFBXの結合を破壊し得るか否かを観察することである。また、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体の1部であるF−boxタンパク質は、Skp−1またはSkp−1ファミリーメンバーに結合することが公知である(Skowyraら,1997,Cell 91:209〜219)。それ故、潜在的アッセイが、試験化合物が、Skp−1またはSkp−1ファミリーメンバーに対するMAFBXの結合を破壊し得る場合、決定され得る。さらに、SCF E3ユビキチンリガーゼ複合体の1部であるF−boxタンパク質は、リン酸化基質に結合し、これは次いでユビキチン結合される(Skowyraら,1997,Cell 91:209〜219)。そのため、本発明の特徴的実施形態において、潜在的なアッセイが、試験化合物が、リン酸化基質に対するMAFBXタンパク質の結合を破壊し得る場合、決定されるか、または試験化合物が、リン酸化基質のMA−61媒介ユビキチン結合を減少し得る場合、決定される。
【0078】
MURF3タンパク質が、ジストロフィン複合体のメンバーと結合するという知見は、MURF3タンパク質またはMURF3核酸の阻害が、その複合体を安定化し得、従って、筋ジストロフィー、およびジストロフィン複合体がユビキチン媒介性分解に供される他の状態の処置を助け得ることを示唆する。従って、本発明の別の実施形態は、MURF1、MURF3もしくはMA−61またはこの経路に関する他の分子、ならびにMURF1、MURF3もしくはMAFBX経路の阻害または筋ジストロフィーおよび神経筋接合部における欠損と関連する症状、状態および疾患の処置における特にそのインヒビターの使用である。
【0079】
MURF1 cDNA、MURF3 cDNA、またはMAFBX cDNA、あるいはMURF1ポリペプチド、MURF3ポリペプチドまたはMAFBXポリペプチドを認識する抗体は、診断の手段として(例えば、そのオリゴヌクレオチドプライマーに類似性を有する配列を増幅する試験におけるプライマーとしてのオリゴヌクレオチドの使用、およびMURF1、MURF3、またはMAFBXのmRNAが、正常および異常(例えば、萎縮症の状態)下で特定の組織またはサンプル中にどの程度存在するかを見出すPCR試験におけるプライマーとしてのオリゴヌクレオチドの使用を介して)か、または抗体を用いる免疫染色、もしくは抗体を用いるELISA試験によるMURF1、MURF3、またはMAFBXタンパク質の上方制御の測定を介して有用であり得る。MURF1、MURF3、またはMAFBXの単離は、これらの分子と相互作用するか、またはこれらの分子もしくはその経路の発現もしくは活性を変更する因子について、その特性を研究する手がかり、およびこの因子についてのアッセイを設計する手がかりを提供する。MURF1、MURF3またはMAFBXの単離はまた、MURF1、MURF3またはMAFBXの発現または活性が中断される状態についての処置を開発する手がかりを提供する。
【0080】
本発明はまた、患者サンプル中のMURF1遺伝子、MURF3遺伝子またはMAFBX遺伝子の発現を測定する工程を包含する、筋萎縮に関連する疾患または障害を診断する方法を提供する。例えば、本発明は、哺乳動物における筋萎縮を検出するための方法を包含し、本方法は、以下、a)造影剤に結合されたMURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドを検出し得る分子を含む組成物を、哺乳動物に投与する工程;b)この組成物を筋内に蓄積させる工程;およびc)筋萎縮を画像化するために、蓄積された組成物を検出する工程、を包含する。さらに、MURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドは、被験体から取得されたmRNAまたはタンパク質を使用して、および標準的方法論(例えば、PCRT、Northern分析、Western分析、ELISAまたは免疫染色)を使用して、検出され得る。
【0081】
検出における使用のためのMURF1、MURF3またはMAFBX核酸またはポリペプチドに結合され得る適切な造影剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:磁気共鳴画像法(MRI)で有用な薬剤(例えば、ガドリニウムキレート(例えば、Ladd,DLら、1999、Bioconjug Chem 10:361〜370を参照のこと)、共有結合非イオン性、大環状、多量体ランタニドキレート(例えば、Ranganathan,RSら、1998、Invet Radiol 33:779〜797を参照のこと)、およびモノクローナル抗体コート化マグネタイト粒子(To,SYら、1992、J Clin Laser Med Surg 10:159〜169を参照のこと)。MRIの基本原理に関する総覧としては、Kirsch,JE、1991、Top Magn Reson Imaging 3:1〜18およびWallis,FおよびGilbert,FJ、1999、J R Coll Surg Edinb 44:117〜125を参照のこと。放射性ヌクレオチドもまた、核医学技術(例えば、陽子射出断層撮影法(PET)、単一陽子射出断層撮影法(SPECT)およびコンピューター断層撮影(CAT)スキャン)における使用に適した造影剤である。非限定的な例として、このような薬剤としては、テクネチウム99m、クエン酸ガリウム67、ヨウ素123およびインジウム111が挙げられる(Coleman,RE、1991、Cancer 67:1261〜1270を参照のこと)。造影剤として適切な他の放射性ヌクレオチドとしては、123Iおよび111In−DTPAが挙げられる(Kaltsas,GAら、1998、Clin Endocrinol(Oxf)49:685〜689を参照のこと)、放射標識化抗体(Goldenberg,DMおよびNabi,HA、1999、Semin Nucl Med 29:41〜48、およびSteffens,MGら、1999,J Nucl Med 40:829〜836を参照のこと)が挙げられる。放射性核医薬技術の基本原理に関する総覧としては、Schiepers,C.およびHoh,CK,1998、Eur Radiol 8:1481〜1494、およびFerrand,SKら、1999,Surg Oncol Clin N Am 8:185〜204を参照のこと。例えば、放射ヌクレオチドまたはキレートを含む任意の造影剤が、利用され得る。
【0082】
開示された方法は、インビボまたはインビトロで適用可能であり得、そして、この細胞としては、例えば、培養化筋細胞、筋芽細胞、C2C12細胞、分化筋芽細胞または筋管が挙げられ得る。
【0083】
本発明はまた、動物における筋萎縮に関する疾患または障害を処置する方法を提供し、本方法は、この動物に、MURF1、MURF3またはMAFBX遺伝子または遺伝子産物の合成、発現または活性を調節する化合物を投与し、その結果、このような疾患または障害の症状が緩和される工程を包含する。
【0084】
(本明細書中で記載される本発明の使用のための他のアッセイおよび方法の詳細な説明として、PCT国際公開番号WO00/12679号(2000年3月9日公開)(本明細書中にその全体が参考として援用される)もまた参照のこと)。
【0085】
本発明はまた、MURF1、MURF3およびMA−61の機能的ドメイン(例えば、MA−61のF−ボックスモチーフ、MURF1またはMURF3の環状ドメイン、Syncoilin遺伝子に同時結合するMURF3分子、およびMA−61のFbx25相同ドメイン、またはその誘導体、フラグメントもしくはドメイン、その変異形態、短縮形態もしくは欠損形態、その融合タンパク質)に一致するMURF1、MURF3またはMAFBXポリペプチドまたはペプチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞および動物、ならびに上述のいずれかを組み込むかまたは生成する宿主発現系、ならびにこれらを阻害するか、または「ノックアウト」発現するように遺伝子操作された宿主細胞および動物に関する。いずれかの種の動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ヤギ、ヒツジおよび非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない)は、トランスジェニック動物およびその子孫を生成するために使用され得、ここで、「トランスジェニック」は、別の供給源(例えば、別の種)由来の遺伝子配列を発現すること、ならびに内因性MURF1配列、MURF3配列またはMAFBX配列を過剰発現すること、または内因性遺伝子配列の非発現(ノックアウト)を意味する。当該分野で公知の任意の技術を使用して、MURF1導入遺伝子またはMAFBX導入遺伝子を動物に導入し、トランスジェニック動物の創始株を生成し得、この技術は以下を含む:前核注入(HoppeおよびWagner、1989、米国特許第4,873,191号);生殖細胞系へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Puttennら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 82、6148〜6152);胚幹細胞における遺伝子の標的化(Thompsonら、1989、Cell 56、313〜321);エレクトロポレーションまたは胚(Lo、1983、Mol.Cell Biol.3,1803〜1814);および精子媒介遺伝子移入(Lavitranoら、1989、Cell 57、717〜723)。さらに、任意の技術は、MURF1導入遺伝子、MURF3導入遺伝子またはMAFBX導入遺伝子を含むトランスジェニック動物クローンを生成するために使用され得る(例えば、休止状態に誘導された培養化胚細胞、胎児細胞または成人細胞由来の核の除核された卵母細胞への核の移入)(Campbellら、1996、Nature 380、64〜66;Wilmutら、Nature 385、810〜813)。本発明は、全細胞、ならびにいくつかの細胞のみ(例えば、特定の細胞型)に導入遺伝子を有する動物を提供する。
【0086】
本発明の核酸、ポリペプチド、ならびに本発明の作製方法および使用方法を記載する前に、本発明は、記載された特定の分子または方法のみに限定されないということは理解される。この分子および方法は変化し得、そして、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的である。この用語および定義は、保護の範囲は最終的に特許請求の範囲に依存するので、限定であることが意図されない。
【0087】
(実施例)
(実施例1:萎縮についての動物モデル)
骨格筋は、全筋質量の損失、およびその結果としての個体の筋繊維の大きさの減少に関する萎縮、プロセスを起こすことによって、活性および負荷を減少させるように適応される。R.T.Jagoe,A.L.Goldberg,Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 4、183(2001)。筋萎縮は、脱神経、損傷関節固定、減量または寝たきり、グルココルチコイド処置、炎症性疾患(例えば、セプシス、癌および老化)の結果として生じる(C.Rommelら、Nature Cell Biology 3,1009(2001))。
【0088】
筋萎縮を試験するために、げっ歯類(マウスまたはラット)の足関節を、90°の屈曲で固定化した。この手順は、足関節(例えば、ヒラメ筋、内部腓腹筋内側頭および側方腓腹筋内側頭、前脛骨筋)で作用する筋肉の萎縮を、様々な程度まで誘導する。再現性のある量の萎縮を、14日間にわたって後肢筋肉において測定し得る。
【0089】
固定手順は、ギプス包帯することか(マウス)または足関節を固定すること(ラット)のいずれかに関し得る。げっ歯類に、ケタミン/キシラジンで麻酔をかけ、そして、右足関節を固定化する。ラットにおいては、足軸に沿って、かかと領域までわたって、0.5cm切開する。次いで、ネジ(1.2×8mm)を、石灰および尾部を介して、脛骨幹に挿入する。創傷は、皮膚膠に近い。マウスにおいて、関節の周りに軽量ギプス包帯物質(VET−LITE)用いて、足関節を90°に固定する。この物質を、水中に浸し、次いで、足の周りを包む。この物質は乾燥した場合、強固であるが、軽量である。
【0090】
固定化の7日後および14日後に、動物に麻酔をかけ、そして、脛部脱臼によって屠殺する。前脛骨筋(TA)、内側腓腹筋(MG)、およびヒラメ筋(Sol)を、右後肢(固定化)および左後肢(インタクト)から収集し、重量を測定し、そして、液体窒素冷却化イソペンタン中、固定長で凍結する。実験動物と同一の体重および年齢であるコントロール動物の一群をまた屠殺し、そして、筋肉を収集し、重量を測定し、そして凍結する。萎縮量を、固定化した足由来の筋肉の重量と、コントロール動物由来の筋肉の重量を比較することによって、評価する。萎縮のさらなる評価を、筋線維の大きさおよび筋肉緊張力を測定することで行なう。
【0091】
ラットにおける脱神経、固定化(関節固定による)、および非過重(unweighting)化(後肢の懸吊化による)は全て、類似の内側腓腹筋質量の減少速度を生じ(図1A)、萎縮を誘導する共通の機構があるという見解と少なくとも一致する結果を生じる。萎縮の普遍マーカーが存在するか否かを決定するために、本発明者らは、最初に、固定化および脱神経での遺伝子発現と、萎縮の間に変化するような、文献から選択された一組の筋肉特異的遺伝子を比較した。さらに、本発明者らは、これらの2つのモデルの間の遺伝子発現パターンが驚くほど類似している事を発見した(図1B、中央のパネルに対して左のパネルを比較する)。しかし、非過重モデル(後肢懸吊)を分析した場合、選択された遺伝子のいずれも、固定化および脱神経と類似の調節をされておらず、これは、これらの遺伝子が萎縮プロセスのための「普遍」マーカーでないことを示した(図1B)。萎縮の潜在的普遍マーカーを同定するために、本発明者らは、最初に、1つの特定のモデル(固定化)で調節される遺伝子の同定を試み、そして、これらの遺伝子がもしあれば、複数の他のモデルにおいても同様に調節されるか否かを決定した(図1C)。
【0092】
本発明者らは、3つの萎縮モデル(固定化、脱神経および後肢懸吊)に関するラットの筋肉由来のRNAを用いてノーザンブロットを実施した。ノーザンブロットは、muscle creatine kinase(MCK)、myoD、myogeninおよびMyf5の発現に対する萎縮の効果を示す。筋肉を、時間経過(示すような0日、1日、3日、7日、10日または14日のいずれか)とともに、ラットから取得した。各レーンについて、全RNAを、3つのラット内側腓腹筋(MG)からプールした(図24)。
【0093】
本発明者らはまた、MuRF1のイムノブロットを実施し、これは、MuRF1タンパク質が足関節固定誘導化萎縮(Imm)後にアップレギュレートされることを実証した。図25Aにおいて、レーン1は、COS細胞中で発現された組換えラットMuRF1のコントロール(登録番号AY059627号)である。溶解物をこれらの細胞から作製し、その結果、MuRF1の予想サイズを確立し得た。レーン2〜7について、タンパク質溶解物を、非処置ラット(CON)、固定化後1日目のラット(Imm1)および3日目のラット(Imm3)から選ばれた3つの腓腹筋からプールした。イムノブロットを、全長ラットMuRF1に対して産生した抗体を使用して示す。GST、GST−MAFbxまたはGST−MAFbxDFb(MAFbxアミノ酸216〜263のF−ボックス欠損)をコードする哺乳動物発現ベクターを、Cos7細胞へ一過的にトランスフェクトし、そして、1%のNP40、1mMのEDTA、1mMのPMSF、10mg/mlのアプロチニン、10mg/mlのロイペプチン、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、25mMのβグリセロホスフェート、100nMのオカダ酸、20nMのミクロシスチンLRおよび5mMのN−エチルマレイミドを含む冷リン酸緩衝化生理食塩水中で、48時間後にこの細胞を溶解した。30μlのグルタチオン−アガロースビーズ(Amersham Pharmacia)を浄化溶解物(500mg)に添加し、そして、4℃で3時間回転した。ビーズを、溶解緩衝液を用いて遠心分離することで3回洗浄し、還元SDSサンプル緩衝液中で煮沸し、そして、抗Skp1(Transductino Labs)および抗Cullin1(Zymed)を用いるSDS−PAGE/イムノブロット分析に供した。筋肉溶解物(1mg)を免疫沈降し、そして、固定化GSTで予備吸収されたGTS−MuRF1に対して産生された抗血清を用いてイムノブロットした。
【0094】
マウスmyoDに対するノーザンプローブはコード配列の571bp〜938bp部位にわたり;マウスmyogeninに対するプローブはコード配列の423bp〜861bpにわたり、マウスMyf5に対するプローブは、コード配列の406bp〜745bpにわたる。コード配列の24bp〜612bpにわたるラットMuRF1に対するノーザンプローブをPCRによって作成した。マウスMuRF2について、プローブを、5’PCRオリゴ:GAACACAGGAGGAGAAACTGGAACATGTCおよび3’PCRオリゴ:CCCGAAATGGCAGTATTTCTGCAG(これは、マウスMuRF2の第5番目のエキソン部位にわたる)を使用して作製した。マウスMuRF3について、プローブは、867bp〜1101bpにわたった。ラットMAFbxについて、プローブをPCRによって作製し、そして、コード配列の21bp〜563bpにわたった。ヒトMAFbxについて、プローブは、205bp〜585bpにわたった。MAFbx+/+マウス、MAFbx+/−マウスおよびMAFbx−/−マウスのmRNAのノーザンを、660bp〜840bpにわたるコード配列を用いてプローブした。ロードした全RNAの量について制御するために、アガロースゲルを臭化エチジウムで染色し、そして撮影し、リボソームRNAバンドを評価した。5’末端のMAFbx対立遺伝子の欠損を確認するサザンを、マウスMAFbxゲノムプローブを用いて実施し、これは、ATGの上流および示されるEcoRI部位の下流の1.1kb SacIIフラグメントにわたる。MuRF1+/+マウス、MuRF1+/−マウス、MuRF1−/−マウス由来のmRNAのノーザンを、1bp〜500bpのラットMuRF1(登録AY059627)にわたるコード配列を用いてプローブした。5’末端のMuRF1対立遺伝子の欠損を確認するサザンを、マウスMuRF1ゲノムプローブを用いて実施し、これは、ATGの上流および示すEcoRI部位の下流の0.5kbのBglIIフラグメントにわたる。
【0095】
(実施例2:ラットMURF1遺伝子、筋肉特異的環ドメイン遺伝子のクローニング)
この実験を、骨格筋萎縮条件の間に、遺伝子が差示的に発現されることを決定する目的で、実施した。ディファレンシャルディスプレイ分析は、74の転写産物を生じ、これらの転写産物を、MA1−MA74(筋萎縮(Muscle Atrophy)について「MA」)と標識した。元来の転写産物および続くRACEd cDNAに対するバイオインフォマティック分析によって、61の転写産物の決定が可能となった。転写解析を、GenetagTM法(L.Y.Wongら、Biotechniques 28,776(2000))を使用して実施した(図23)。
【0096】
前出の実施例1において概説したように、ラットを、萎縮を誘導する(atrophy−inducing)モデルの対象とした。手術3日後、筋肉組織を、外科的に処置した動物から収集した。コントロールとして、筋肉組織をまた、未処置の動物から収集した。メッセンジャーRNAを、萎縮した筋肉組織およびコントロールの筋肉組織から単離し、そしてディファレンシャルディスプレイアッセイの対象とした。3’のMURF1転写物の未翻訳部分を含有する遺伝子転写物の1つは、萎縮の間にアップレギュレーションされることを見出した。この3’フラグメントを、DNAプローブを作製するために使用し、このDNAプローブを、MURF1のコード配列を含有する全長遺伝子をクローン化するために使用した。rMURF1 VRVスプライス形態(splice form)と命名されるより小さな代替的なスプライス形態もまた同定された。この代替的な形態は、3’末端で全長の形態と異なり、全長の形態は、より長い152アミノ酸を有する。この代替的なスプライス形態は、そのカルボキシ末端にアミノ酸配列「VRV」を有し、この「VRV」は、PDZ相互作用ドメインである(Torres R,Firestein BL,Dong H,Staudinger J,Olson EN,Huganir RL,Bredt DS,Gale NW,Yancopoulos GD(1998)Neuron:1453−63)。PDZ相互作用ドメインの存在は、このタンパク質がタンパク質−タンパク質相互作用に関与し得ることを予測させる。対照的に、全長の形態は、他のタンパク質相互作用ドメイン、例えば、アミノ酸配列「DEEEEFTEEEEEEDQEE」を含有する酸性ドメインを有する。このドメインの存在は、この形態もまた他のタンパク質と相互作用し得ることを予測させる。全長rMURF1についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図6および図7に添える。rMURF1 VRVスプライス形態についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図16および図17に添える。
【0097】
(実施例3:ヒトMURF3遺伝子、筋肉特異的リング(ring)ドメイン遺伝子のクローニング)
ラットMURF1コード配列を、標準的な分子生物学的技術によって、ヒトMURF3を単離するために使用した。このコード配列は、既に、1999年12月10日に特許寄託記号(Patent Deposit Designation)#PTA−1049、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMA16 C8として、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))に寄託されている。hMURF3についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図8A〜8Cおよび図9に添える。ヒトMURF1を、標準的な技術によって、ラットMURF1にハイブリダイズさせるために使用した。
【0098】
(実施例4:ラットMA−61、筋肉特異的F−ボックス遺伝子のクローニング)
この実験を、骨格筋萎縮の条件の間、どの遺伝子が差示的に発現されるかを決定するという目的で実施した。このような遺伝子を発見するために、前出の実施例1において概説したように、ラットを、萎縮を誘導するモデルの対象とした。手術3日後、筋肉組織を、外科的に処置した動物から収集した。コントロールとして、筋肉組織をまた、未処置の動物から収集した。メッセンジャーRNAを、萎縮した筋肉組織およびコントロールの筋肉組織から単離し、そしてディファレンシャルディスプレイアッセイの対象とした。3’のMAFBX転写物の未翻訳部分を含有する遺伝子転写物の1つは、萎縮の間にアップレギュレーションされることを見出した。この3’フラグメントを、DNAプローブを作製するために使用し、このDNAプローブを、標準的な分子生物学的技術によって、MA−61のコード配列を含有する全長遺伝子をクローン化するために使用した。rMAFBXについてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図10および図11に添える。
【0099】
(実施例5:ヒトMAFBX遺伝子、筋肉特異的F−ボックス遺伝子のクローニング)
ラットMAFBXコード配列を、標準的な分子生物学的技術によって、MAFBXD18のヒトホモログを単離するために使用した。この遺伝子の2つの代替的な形態を同定し、hMAFBXD18およびhMAFBXK8と命名した。この遺伝子のD18形態は、タンパク質をコードし、このタンパク質は、K8形態よりもカルボキシ末端で11個のアミノ酸だけより長い。この遺伝子が2つの形態を有することの有意性は未知である。しかし、代替的なスプライス形態が、タンパク質−タンパク質相互作用の調節に貢献することは頻繁な事例である。これらのコード配列は、既に、特許寄託記号#PTA−1048、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMAFBXK8および特許寄託記号#PTA−1050、Stratagene T3/T7ベクターのヒトMAFBXD18として、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))に寄託されている。hMAFBXK8についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図12および図13に添える。hMAFBXD18についてのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、それぞれ以下の図18、および図19に添える。
【0100】
ラットおよびヒトのMAFbxタンパク質、およびヒトFbx25の配列を、整列させた(C.Cenciarelliら、Curr.Biol.9,1177(1999))。公開された部分的なFbx25配列は、MAFbxのアミノ酸85に示されるロイシン(L)で始まる。F−ボックスの周囲の領域を、2連の核局在化シグナルと同じように示す(図26)。ラットおよびヒトのMAFbxの登録(accession)番号は、それぞれAY059628およびAY059629である。
【0101】
(実施例6:MURF1およびMAFBXが筋肉萎縮に対する普遍的なマーカーであることの証明)
ノザンブロット分析によって、MURF1およびMAFBXが、固定化に誘導される筋肉萎縮の間、両方ともにアップレギュレーションされることを確認した後、他のモデルの筋肉萎縮を試験した。筋肉は、筋肉への神経が分断される脱神経;筋肉負荷を減少させるために肢が物理的に吊られる後肢懸吊;糖質コルチコイド薬物デキサメタゾンを用いる処置を含む、種々のストレス下で萎縮を生じ得る。これらの萎縮性条件のそれぞれの対象とされた筋肉組織から得られたmRNAのノザン分析は、MURF1およびMAFBXが、試験した萎縮のモデルの全てにおいてアップレギュレーションされることを示した。従って、MURF1およびMAFBXの転写性のアップレギュレーションは、筋肉萎縮についての臨床的指標として貢献し得る。
【0102】
本発明者らは、初めて、GeneTagTMディファレンシャルディスプレイアプローチによって、3日間固定化したラット骨格筋(内側の腓腹筋)由来のmRNAをコントロールの筋肉由来のmRNAと比較した。本発明者らは、マーカーと同様に、萎縮過程の潜在的なトリガーとして機能し得る遺伝子を同定するために、より長い時点(例えば、14日)とは対照的に、比較的初期の時点(3日)での分析を選択した。発現が3倍またはそれよりも高く変化した遺伝子のみを、差示的に調節されるとして受容した。次いで、受容可能な転写物を、1〜14日の期間、脱神経、固定化または無負荷(unweight)の対象にした筋肉から調製されたmRNAのパネルを使用するノザン分析によって「普遍性」についてアッセイした。経過観察として、糖質コルチコイドまたはIL−1を用いる全身性処置に続いて、萎縮した筋肉由来のmRNAをまた分析した。最終的に、肥大を生じている筋肉から調製されたmRNAのパネルを、これらの遺伝子が、萎縮の間に調節されるかを観察するために試験し、肥大の間に反対方向に調節した。
【0103】
実施されるようなディファレンシャルディスプレイ技術の不都合の1つは、結果として得られたcDNAが、しばしば、3’未翻訳配列に制限され、そして75塩基対の平均長であることであった。従って、十分な配列を入手して遺伝子同定を行うために、引き続くPCRベースの3’および5’のRACE分析を実施することが頻繁に必要であった。ディファレンシャルディスプレイ分析は74個の転写物を生じ、この転写物をMA1〜MA74(筋肉萎縮の「MA」)と標識した。初代の転写物および引き続くRACEd cDNAに関するバイオインフォマティクス分析は、61個の転写物での決定を可能にした(図23)。
【0104】
遺伝子のいくつかの主要なクラスは、関節の固定化に誘導される筋肉萎縮に引き続いて調節された。「エネルギー利用経路」に関わる遺伝子は、ダウンレギュレーションされる遺伝子の最大のクラスを構成し、そして乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、およびフルクトース1,6二リン酸を含む。これらの経路のダウンレギュレーションは、エネルギー経路が、持久力運動の場合に観察されているように転写的に調節され得ることを示す(K.Baar,E.Blough,B.Dineen,K.Esser,Exerc Sport Sci Rev 27,333−379(1999))。最大のクラスのアップレギュレーションされた遺伝子は、26sプロテアソーム調節性サブユニットp31、ポリユビキチン、プロテアソームアクチベーターサブユニットpa28β、および以下に議論される2つの新規なユビキチンリガーゼを含む、ユビキチン化(ubiquitylation)およびプロテアソーム経路に関する遺伝子であった。標的タンパク質へのユビキチンの添加およびプロテアソームによるそれらの引き続くタンパク質分解を介して、ATP依存性のタンパク質分解は、筋肉萎縮の間増加されることが既に示されているが(R.Medina,S.S.Wing,A.Haas,A.L.Goldberg,Biomed Biochim Acta 50,347−356(1991);S.Temparisら、Cancer Res 54,5568−73(1994);R.Medina,S.S.Wing,A.L.Goldberg,Biochem J 307,631−637(1995))、ユビキチン化に関わる遺伝子のいずれかが、萎縮過程に対するマーカーを構成し得るか、またはこれらの遺伝子のいずれかが、萎縮を誘導するために、実際に要求されるかもしくはまさに十分であるのか、のどちらであるかは明らかでなかった。
【0105】
固定化の間混乱される遺伝子の大多数は、脱神経の間同様に調節される一方で、同様な萎縮の速度が1日と7日との間のこれらのモデルで見られるという事実にも関わらず(図1A)、これらの遺伝子のほとんどは、無負荷のモデルにおいて変更されなかった(データを示さず)。
【0106】
ラットの内側の腓腹筋の筋肉損失の時間経過を、3つのインビボのモデルで試験した:脱神経、固定化および後肢懸吊。250〜275gmの体重のメスのSprague Dawleyラットを、全てのモデルにおいて用いた。脱神経の手順について:右坐骨神経を、中央の大腿領域で切断し、下部肢筋肉の脱神経をもたらした。固定化の手順について:右足関節を、踵骨および尾を介して、脛骨幹にねじ(1.2×8mm)を挿入することによって90°の屈曲で固定化した。後肢懸吊の手順について:後肢を、記載されるような尾−牽引の帯具を用いて、ラットをそれらの尾から吊るすことによって無負荷にした(D.B.Thomason,R.E.Herrick,D.Surdyka,K.M.Baldwin,J.Appl.Physiol.63,130(1987))。示された日に、ラットを殺し、そして後肢筋肉を採取、計量および凍結した。重さの一致した未処置のラットをコントロールとして供した。データは、平均±s.e.m.、n=10のラットである(図28A〜28DA)。
【0107】
ノザンブロットをまた、MuRF1転写物およびMAFbx転写物に萎縮の効果を示すように実施した。内側の腓腹筋を、3つの萎縮モデル(足関節固定、脱神経、および後肢懸吊)の時間経過(0日、1日、3日、および7日)を被っているラットから入手した(図28A〜28D B)。
【0108】
これらの知見は、脱神経および固定化が、無負荷から転写的に容易に区別可能であることを示す。おそらくなぜなら、無負荷は、吊られた肢における比較的正常な神経活性および関節運動が存在することに特徴があるからである。しかし、本発明者らは、萎縮の3つのモデルの全てにおいてアップレギュレーションされる2つの遺伝子を同定した;後にMuRF1として同定されるMA16(筋肉特異的なリングフィンガー(ring finger)タンパク質について)、およびMA61(筋肉萎縮F−ボックスタンパク質について、引き続いてMAFbxと呼ばれる)(図2A)。
【0109】
MuRF1およびMAFbxの発現を、骨格筋萎縮の2つのさらなるモデルにおいて分析した:悪液質のサイトカイン、インターロイキン−1(IL−1)を用いた処置(R.N.Cooney,S.R.Kimball,T.C.Vary,Shock 7,1−16(1997))および糖質コルチコイド、デキサメタゾンを用いた処置(A.L.Goldberg,J Biol Chem 244,3223−9(1969))。最初の3つのモデルが、神経活性の変更および/または筋肉が種々の程度に被る外部負荷によって筋肉萎縮を誘導する一方で、これらのさらなるモデルは、これらのパラメーターに直接影響することなしに萎縮を誘導する。ノザンブロットを、MuRF1およびMAFbxの発現に対するデキサメタゾン(DEX)およびインターロイキン−1(IL−1)の効果を示すために実施した。内側の腓腹筋の筋肉を、未処置のラット(CON)、および9日間6μg/mlの濃度で経口的に送達されるDEXで処置したラット、および3日間0.1mg/kgの用量で毎日皮下に送達されるIL−1で処置したラットから入手した。図28A〜28D(c)。両方の悪液質の薬剤は、MuRF1およびMAFbxのアップレギュレーションを引き起こし、デキサメタゾンは、MuRF1およびMAFbxの発現において10倍よりも大きい増加をもたらした(図2B)。
【0110】
発現が、萎縮の間アップレギュレーションされ、そして肥大の間ダウンレギュレーションされる遺伝子の同定は、この遺伝子が、萎縮の表現型についてのマーカーであるという主張を非常に強固にし、そして目的の遺伝子が、萎縮過程の直接的なメディエーター(mediator)として機能し得るという相関性の証拠を提供する。従って、本発明者らは、骨格筋肥大の2つのモデルにおけるMuRF1およびMAFbxの発現を試験した:14日間の無負荷期間に続く後肢の再負荷(D.B.Thomason,R.E.Herrick,D.Surdyka,K.M.Baldwin,J Appl Physiol 63,130−7(1987))、ならびに腓腹筋およびヒラメ筋の筋肉を除去し、これらの協力筋の損失を補償するために足底筋を残す代償的な肥大(G.R.Adams,F.Haddad,J Appl Physiol 81,2509−16(1996);R.R.Royら、J Appl Physiol 83,280−90(1997))。これらのモデルの両方において、MuRF1およびMAFbxの発現は、減少し、これらの遺伝子が、萎縮とポジティブに相関があるだけでなく、肥大ともネガティブに相関があることを示す(図2C)。さらに、ラットの「組織ブロット(tissue blot)」およびヒトの「組織ブロット」の両方に対するノザンブロットは、心筋および骨格筋の両方において(図2D)、筋肉特異的であるとして、MuRF1およびMAFbxを同定し、これらの組織においてそれらが果たす特定の役割と一致する。
【0111】
ラットおよびヒトの組織(Clontech)から入手した総RNAを、示される遺伝子についてのプローブとハイブリダイズさせた(図28A〜28DD)。
【0112】
(実施例7:MURF1が、ユビキチンリガーゼ複合体中で機能し得ることの立証)
最近、リングドメインを含む遺伝子が、「単量体ユビキチンリガーゼ」として機能し得ることが示された。特定の条件下で、これらのタンパク質は、同時に基質およびユビキチンリガーゼに結合し、基質のユビキチン化およびプロテアソーム媒介性分解を引き起こす。このプロセスにおいて、リングドメインタンパク質そのものは、ユビキチン化される。ラットMURF1遺伝子をコードするベクターを、ユビキチンのHAエピトープタグ化形態をコードするべクターと一緒に、COS細胞にトランスフェクトした。タンパク質溶解物をCOS細胞から回収した。MURF1を、MURF1ペプチドに対して惹起された抗体を使用して、溶解物から免疫沈降した。免疫沈降されたタンパク質を、HAタグに対する抗体を使用して、ウエスタンブロット分析にかけた。MURF1が、高度にユビキチン化されることが見られた。さらに、コントロールとして、遺伝子のリングドメイン部分を除去したMURF1の変異型形態をコードするベクターを、タグ化ユビキチンを用いてCOSに同時トランスフェクトした。この場合、ユビキチン化は見られなかった。これらの結果は、MURF1が、ユビキチン複合体の一部として機能し、リングドメインが、他のリングドメインタンパク質で見られるように、ユビキチン化に必要であるという仮説と一致する。図14は、hMURF1と、他のリングフィンガータンパク質との比較である。
【0113】
MuRF1は、大きな(300kD)サルコメアのタンパク質タイチンの30kDドメインをコードする構築物を使用した、酵母のツーハイブリッド実験において、相互作用によって、以前にクローン化された(T.Centnerら、J Mol Biol 306、717−726(2001))。MuRF1中の「リングフィンガードメイン(K.L.Borden,P.S.Freemont,Curr Opin Struct Biol 6,396−401(1996);P.S.Freemont,Ann N Y Acad Sci 684,74−192(1993))」の存在が、以前に注目されたのに対して、MuRF1が、ユビキチンリガーゼとして機能し得るかどうかを見るための、さらなる分析はなされなかった。本発明者らは、MuRF1が、リングドメイン含有単量体ユビキチンリガーゼの全ての正準の構造的特徴を含むことに注目し(P.S.Freemont,Curr Biol 10,R84−87(2000);C.A.Joaeiro,A.M.Wiessman,Cell 102,549−552(2000))、さらに分解に対して筋肉タンパク質を標的化し得るユビキチンリガーゼが、筋肉萎縮を媒介する強力な候補であることを理由付けた。
【0114】
MuRF1タンパク質およびその潜在的なユビキチンリガーゼ活性の特徴づけを開始するために、本発明者らは、まず、mRNAの発現レベルに加えて、MuRF1タンパク質レベルが、MuRF1を認識する抗体で固定に供された動物から得られる筋肉溶解物を免疫ブロッティングすることによって、萎縮の間増加することを示した(図3A)。次に、組換えMuRF1タンパク質が産出され、基質として放射標識されたユビキチンを使用した、インビトロのアッセイにおいて、ユビキチンリガーゼ活性について試験した。MuRF1は、潜在的なユビキチンリガーゼであることが示され(図3B)、そこでは、タンパク質1μgあたりの、放射標識化ユビキチン自己結合体の量によって決定されるように、MuRF1の非存在下では、ユビキチンリガーゼ活性は検出されず(図3B)、このアッセイで試験された他のリングフィンガーユビキチンリガーゼは、MuRF1ほど強力ではない。
【0115】
MuRF1タンパク質は、ユビキチンリガーゼ活性を有する。精製されたグルタチオンセファロース結合MuRF1タンパク質(GST−MuRF1)を、記載されるように、ユビキチンリガーゼ反応物に加えた。A.Chenら、J.Biol.Chem.275,15432(2000)。簡潔には、組換えGST−MuRF1(100ng)を、ATP、E1、および組換えUbc5cの存在下で、32P−ユビキチン(3mg)と共にインキュベーションした(図29A〜29D(D)、レーン5)。レーン1〜4において、指示された成分を、省いた。反応物のアリコートを、12.5%SDS−PAGEによって分析し、32P−標識化高分子量ユビキチン結合体を検出した。「ユビキチンポリマー」は、ユビキチン化されたUbc5cおよびMuRF1を含み得る。図29A〜29DD。
【0116】
(実施例8:MAFBXが、「SCF」ユビキチンリガーゼ複合体において機能し得ることの実証)
最近、F−ボックスドメインを含む遺伝子が、「SCF」複合体と呼ばれるユビキチンリガーゼ複合体の一部として機能し得ることが示され、ここで、Sは遺伝子産物SKP1を表し、Cはクリン(Cullin)と呼ばれる遺伝子産物を表し、そして、「F」はFボックスタンパク質を表す。MAFBXが、SCF複合体の一部であるかどうかを決定するために、共免疫沈降アッセイをすることによって、MAFBXが、SKP1またはクリンのいずれに結合するかを決定するために研究した。GST(GST/CON)、GST−MAFbx、またはGST−MAFbxDFb(MAFbxのFボックス欠失体、アミノ酸216〜263)をコードするベクターを、Cos7細胞に一時的にトランスフェクトした。クリン1およびSKP1の両方を、グルタチオンアガロースビーズを使用して、GST−MAFbxでトランスフェクトされた細胞の溶解物から同時精製し得た(図29A〜29D(A)、レーン3を参照のこと)。Fボックスの検出は、共沈殿されるクリン1およびSkp1の量を、著しく減少した(図29A〜29D(A)、レーン4を参照のこと)。
【0117】
MAFbxの過剰発現は、萎縮を引き起こす。C2C12筋管は、感染されない(CON)か、またはEGFPを発現するアデノウイルスもしくはMycエピトープタグ化ラットMAFbx遺伝子およびEGFP(MAFbx−EGFP)の両方を発現するアデノウイルスのいずれかで、感染されるかのいずれかである。分化後4日で、蛍光筋管を撮影し、筋管の直径を測定した(右)。アデノウイルスを、記載されるように作製した(T.−C.Heら、Proc.Natl.Acad.Sci.U S A 95,2509(1998))。較正=50mm。図29A〜29D(B)。
【0118】
EGFPウイルスおよびMAFbx−EGFPウイルスが、EGFP遺伝子を含むために、抗EGFP免疫ブロット(I.B.)は、感染レベルの相対的な決定を可能にする。溶解物の免疫ブロット(I.B.)は、MAFbxウイルスで感染された筋管における、Mycエピトープタグ化MAFbxタンパク質の存在を確認した。図29A〜29DC。
【0119】
これらの結果は、MAFBXが、SCFユビキチンリガーゼ複合体の一部として機能し、この複合体の他のメンバーで見られるように、Fボックスドメインが、結合に必要であるという仮説と一致する。
【0120】
(実施例9:MURF3の基質が、シンコイリン(Syncoilin)遺伝子である実証)
MURF3に対する潜在的な基質を決定するために、「酵母ツーハイブリッド」実験を行った。これは、目的のタンパク質と同時結合するタンパク質を検出する標準的な方法である。この実験において、目的の遺伝子をコードするベクターが、同時トランスフェクトされ、そして酵母LexAドメインに融合され、cDNAをコードするライブラリーは、GAL4ドメインに融合される。ライブラリー中のcDNAが、試験遺伝子と結合する場合、LexAドメインおよびGAL4ドメインは、一緒になり、決定的な酵母タンパク質の産出を生じ、酵母が、特定の培地中で生育可能になる。この方法を使用して、本発明者らは、MURF3に対する基質が、シンコイリンという最近クローン化された遺伝子であることを決定した。
【0121】
(実施例10:萎縮をブロックし、MURF1およびMA−61のアップレギュレーションをブロックする、クレンブテロール(Clenbuterol)処理)
MURF1およびMAFBXが、筋痙攣プロセスに対するマーカーおよび痙攣をブロックする強力な標的となり得るかどうかをさらに確立するために、クレンブテロールと呼ばれる薬物を、筋痙攣を阻害するために使用し、この阻害がMURF1およびMA−61のアップレギュレーションの減少に関連するかどうかを見た。クレンブテロール、βアドレナリン作用性アゴニストは、筋痙攣のインヒビターとして確立されている(例えば、Sneddon AA,Delday MI,Maltin CA,(2000)を参照のこと)。クレンブテロールによる脱神経誘導性の痙攣の改善は、増加したPKC−α活性に関連する(Am J Physiol Endocrinol Metab 2000 Jul;279(1):E188−95)。
【0122】
ラット四肢の筋肉を、上述の実施例1で記載されるように、固定した。ラットを固定すると同時に、これらを、クレンブテロールで処理した(3mg/kg、s.c.)。コントロールの固定された動物は、処理されないままにした。コントロール動物の筋肉組織およびクレンブテロール処理動物の筋肉組織由来のメッセンジャーRNAを、標準的な方法(MURF1プローブおよびMAFBXプローブを使用するノーザンハイブリダイゼーション)によって、MURF1発現およびMAFBX発現について試験した。痙攣を有意にブロックする、クレンブテロールでの処理によって、MURF1およびMA−61のアップレギュレーションもまたブロックされたことが見出された。
【0123】
(実施例11:MuRF2およびMuRF3の分析)
MuRF1に密接に関連する2つの遺伝子が、クローン化され、MuRF2およびMuRF3と名づけられた(T.Centnerら、J Mol Biol 306,717−726(2001),J.A.Spencer,S.Eliazer,R.L.Ilaria,J.A.Richardson,E.N.Olsen,J.Cell Biol.150,771−784(2000))。ノーザン分析は、MuRF2発現およびMuRF3発現が、筋肉特異的で、MuRF1に高度に相同であるにも関わらず、骨格筋痙攣の間、一貫してアップレギュレーションされるわけではないことを示した(図4C)(T.Centnerら、J Mol Biol 306,717−726(2001))。筋肉を、3つの痙攣モデル:固定、脱神経、および後肢浮遊の時間経過(0日、1日、3日、および7日)を経験するラットから得た。各々のレーンにおいて、全RNAを、3つのラット内側腓腹筋(MG)からプールした。ノーザンハイブリダイゼーションを、示された遺伝子に対するプローブを用いて実行した。マウスmyoDに対するノーザンプローブは、コード配列の塩基対571〜938にまたがり、マウスmyogeninは、コード配列の塩基対423〜861にまたがり、マウスMyf5は、コード配列の406〜745にまたがった。ラットMuRF1に対するノーザンプローブを、PCRによって作製し、コード配列の塩基対24〜612にまたがった。マウスMuRF2に対して、プローブを、5’PCRオリゴ:
【0124】
【化1】
および3’PCRオリゴ:
【0125】
【化2】
を使用して作製し、マウスMuRF2の5番目のエクソンにまたがった。マウスMuRF3に対して、プローブは、コード配列の塩基対867〜1101にまたがった。負荷された全RNA量を制御するために、アガロースゲルを、エチジウムブロマイドで染色し、撮影し、リボソームRNAのバンドを評価した。MuRF2またはMuRF3が、ユビキチンリガーゼとして機能するかどうかは、未知である。
【0126】
(実施例12:ユビキチン化は、筋痙攣の間増加する)
上記に示されるように、MURF1は、ユビキチンリガーゼのリングドメインの一部であり、MAFBXは、「SCF」ユビキチンリガーゼ複合体の一部である。ユビキチン化は、筋痙攣のプロセスに関与することを示すために、ウエスタンブロットを、コントロールの筋組織から、および脱神経または固定誘導痙攣を受ける筋組織から得られるタンパク質を用いて実行した。両痙攣条件下で、ユビキチン化のレベルが痙攣の間増加することが示された。この点はまた、文献中で確立されている(例えば、Solomon V,Baracos V,Sarraf P,Goldberg AL.(1998)を参照のこと)。ユビキチン結合の速度は、主にN末端規則経路の活性化を通して、痙攣と共に増加する。Proc Natl Acad Sci U S A.1998 Oct 13;95(21):12602−7。
【0127】
(実施例13:MAFBXは、MAFBXとSkp1との間の酵母ツーハイブリッド結合によって示されるように、SCF E3ユビキチンリガーゼファミリーのメンバーである)
本発明者らは、この遺伝子について、全長のラットcDNAおよびヒトcDNAをクローン化した。ラットMAFbx cDNA配列およびヒトMAFbx cDNA配列のオープンリーディングフレームによって、90%同一であるタンパク質が予想される(図4A)。このタンパク質の配列は、「Fボックス」ドメインの存在が顕著であり、Fボックスドメインが、「SCFユビキチンリガーゼ複合体」と呼ばれる、特定のE3ユビキチンリガーゼのメンバーであるタンパク質において同定されているので、このFボックスドメインの存在は、興味深い(D.Skowyra,K.L.Craig,M.Tyers,S.J.Elledge,J.W.Harper,Cell 91,209−19(1997);J.Lisztwanら、EMBO J 17,368−83(1998)。従って、SCF複合体は、それが、以下のタンパク質:Skip1(Skp1)、クリン1(Cul1)および多くの「Fボックス」含有タンパク質(Fbp)の1つの間の安定な相互作用に関与するために、名づけられる。38より多くの異なるFbpが、ヒトで同定された(J.T.Winston,D.M.Koepp,C.Zhu,S.J.Elledge,J.W.Harper,Curr Biol 9,1180−2(1999);C.Cenciarelliら、Curr Biol 9,1177−9(1999))。MAFbxに最も近接な遺伝子は、Fbx25であり、それは、Fボックス含有タンパク質についての大きな検索で、以前にクローン化された遺伝子である(19)。興味深いことに、MAFbx発現が、骨格筋および心臓に限定されるのに対して、Fbx25は、ほとんどの他の組織において発現されるが、骨格筋では発現されない(データは示さず)。本発明者らは、MAFbxが、実際、2つの様式で、SCF型E3ユビキチンリガーゼであることを示した。第1に、「ベイト」として、全長MAFbxを使用する酵母ツーハイブリッドクローニングによって、Skp1の94の独立したクローンを得、全94クローン以外は、相互作用実験から得られた(データは示さず)。第2に、MAFbxでトランスフェクトされた哺乳動物細胞からのMAFbxの免疫沈澱から、Skp1およびCul1の両方の共沈殿を得た(図4B)。この共沈殿は、MAFbx中のFボックスドメインの存在に依存した(図4B、レーン3および4を比較のこと)。Fボックスモチーフは、FbpとSkp1の間の相互作用に必要であることが示された(E.T.Kipreos,M.Pagano,Genome Biol.1(2000))。
【0128】
(実施例14:MURF1は、ユビキチンリガーゼとして機能する)
MURF1が、ユビキチンリガーゼとして機能するかどうかを決定するために、組換えMURF1タンパク質を、標準的な技術を使用して、E.Coli細菌中で生成した。この組換えタンパク質を、精製し、Chenら、2000,J Biol Chem,275,pg15432−15439に記載されるように、インビトロのユビキチンリガーゼアッセイで使用した。MURF1は、高度に活性で、この活性は、E2として、E1およびUBC5cの両方に依存することが見出された(E1成分およびE2成分は、リングドメインタンパク質媒介性ユビキチンライゲーションにとって必要である)。ネガティブコントロールタンパク質は、作用しなかった。ポジティブコントロールとしての、他のリングドメイン含有タンパク質もまた、このアッセイで機能したが、ユビキチン結合によって測定した場合、より低い効率であった。MURF1がどのようにしてユビキチンリガーゼとして機能したかの図示に関しては、図15を参照のこと。
【0129】
(実施例16:ノックアウト動物)
(MAFBXノックアウト動物は、筋痙攣の減少を示す)
MAFbxの機能をさらに解明するために、本発明者らは、マウス中でMAFbxヌル対立遺伝子を遺伝子操作した。ここで、ATGからFボックス領域をコードするエクソンにわたるゲノムDNAが、LacZ/ネオマイシンカセットによって置換され(図5A)、同時にMAFbx機能の破壊、およびMAFbxの発現パターンを決定するための、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)染色を可能にした。MAFbx座の分析は、MAFbx+/−動物およびMAFbx−/−動物での期待される摂動を示した(図5B)。さらに、MAFbx−/−動物は、MAFbx mRNAについてヌルであった(図5C)。MAFbx−/−マウスは、生存可能で、受胎能力があり、そして正常に見える。MAFbx欠損マウスは、野生型の同産児に関する正常な成長曲線を有し、そして骨格筋および心臓は、通常の重さおよび形態を有した(データは示さず)。
【0130】
明らかな表現型の非存在を考慮して、本発明者らは、骨格筋の損失を引き起こすことにおけるMAFbxの役割を(もしあれば)決定するために、萎縮モデルにおいてマウスを検証することに決めた。筋萎縮は、坐骨神経を切断することにより誘導され、これは前脛骨筋および腓腹筋の脱神経および不使用を生じた。脱神経は、MAFbx+/−マウスの前脛骨筋におけるb−gal染色(図6A)により実証されるように、全ての筋線維におけるMAFbx遺伝子座の上方調節を生じた。有意な筋萎縮は、脱神経後の7日目および14日目に、野生型のMAFbx+/+マウスの前脛骨筋および腓腹筋で生じた(図6B)。MAFbx欠乏性(MAFbx−/−)マウスは、7日目および14日目の両方でのMAFbx+/+マウスより顕著に少ない萎縮を有した(図6B)。実際に、MAFbx−/−マウスは、7日目と14日目の間の更なる筋損失がないことを示したのに対して、MAFbx+/+は、質量を失い続けた。14日目の筋質量の保持はまた、平均の線維サイズおよび線維サイズの可変性の保持に反映され;MAFbx−/−マウスは、MAFbx+/+マウスより顕著に大きな線維を有し、そして非脱神経されていない肢でみられるのと同じ線維サイズの可変性を維持した(図6C)。これらのデータは、MAFbxが、筋萎縮の必要とされる調節因子であり、筋タンパク質の分解における重要な役割を果たし得る強い証拠を提供する。
【0131】
(MuRF−1ノックアウト動物は、筋萎縮における減少を示す)
MuRF1の機能をさらに解明するために、本発明者らは、マウスにおいて、MuRF1ヌル対立遺伝子を遺伝学的に操作し、このマウスにおいて、F−box領域をコードするエキソンを通りATGにまたがるゲノムDNAを、LacZ/ネオマイシンカセットと取り替え、これは、(図5A)MuRF1発現パターンを決定するために、本発明者らがMuRF1の機能を乱し、そして同時にb−ガラクトシダーゼ(b−gal)染色を実施することを可能にする。MuRF1座の分析は、MuRF1+/−および−/−動物における予想された混乱を実証した(図5B)。さらに、MuRF1−/−動物は、MuRF1のmRNAに対するヌルであった(図5C)。MuRF1−/−マウスは、生存可能で、稔性であり、そして正常に思われた。MuRF1欠乏性のマウスは、野生型の同腹仔の片方に比例して正常な増殖曲線を有し、骨格筋および心臓は、正常な重さおよび正常な形態学を有した(データは示されていない)。
【0132】
この研究において、本発明者らは、筋特異的であり、そして種々の撹乱により誘導された筋萎縮の間に上方調節される2つの遺伝子を同定した。MuRF1とMAFbxの両方は、E3ユビキチンリガーゼの異なる型をコードする。骨格筋萎縮の多数のモデルに対するマーカーとして2つのユビキチンリガーゼの発見は、高い不同性の撹乱(脱神経からグルココルチコイド処置までの範囲である)が、共通の萎縮誘導経路を活性化することを示唆する。さらに、ATP依存プロテアソームによるタンパク分解のための別個の基質を標的化する、ユビキチンリガーゼの特定の機能は、特定のタンパク質の分解経路が、萎縮の間に上方調節されそしてMAFbxおよびMuRF1により媒介されることを示唆する。
【0133】
MuRF1は、リングフィンガードメインを含み、そしてインビトロにおいてユビキチンリガーゼとして機能することが示され、その結果、これは、単量体のリング−フィンガーリガーゼとして骨格筋において機能し得ることを示唆した。本研究は、基質を同定しなかったが、これまでの研究は、MuRF1がサルコメリック(sarcomeric)タンパク質タイチンに結合すると確認し、これはMuRF1が、筋節複合体の重要なオーガナイザーである、タイチンに対するユビキチンリガーゼとして機能し得る可能性を生じる(T.Centnerら、J Mol Biol 306、717〜726(2001).)。
【0134】
MAFbxは、F−boxを含むSCFファミリーのメンバーである。基質は、これらの研究においてMAFbxについて決定されていない;しかし、インビトロにおける骨格筋管におけるMAFbxの発現は、これらの細胞において萎縮を誘導するのに十分であった。さらに、MAFbx欠乏性マウスは、脱神経モデルにおける野生型マウスより顕著に少ない萎縮を示した。この発見は、MAFbxが、重大な筋タンパク質の分解の調節を介する可能性が最もありそうな、筋萎縮プロセスの決定的な調節因子であることを実証する。さらなる萎縮および肥大モデルにおけるこれらのMAFbx欠乏性のマウスの分析は、筋萎縮およびタンパク質の代謝回転におけるMAFbxの役割をさらに解明する。
【0135】
今後の研究は、MAFbxおよびMuRF1の基質の同定そしてMAFbxまたはMURF1のいずれか、MuRFの関連物、ならびに種々の組み合わせを欠如するマウスのさらなる試験に焦点をあてる。MuRF1欠乏性のマウスの予備的な分析は、それらが生存可能であり、そして外見および増殖の特徴において正常であることを示す(データは示されない)。現在の研究は、骨格筋萎縮のマーカーとして、および萎縮の臨床的な状況における骨格筋の欠失を妨げる治療的な介入に対する強力な標的としてMuRF1およびMAFbxを同定する。MuRF1およびMAFbxの両方はまた、心筋で特異的に発現されるので、心臓の再構築および疾患におけるこれらのユビキチンリガーゼの役割を試験することもまた重要である。
【0136】
(MAFbxおよびMuRF1座の標的化)
MAFbx座の標的化。マウスのES細胞における相同組換えのためのベクターを標的化する遺伝子を産生するために、BACゲノムクローンを、MAFbx遺伝子の第一のコードエキソンに特異的なプローブを用い、Genome Systems 129Sv/Jゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得た。このBACは、約95kbのゲノムDNAの挿入を含み、そして全体のMAFbx遺伝子を包含した。これは9個のコードエキソンからなる(ラットおよびヒトの相同分子種における場合)。MAFbx遺伝子を乱すために、LacZ/ネオマイシンカセットを、MAFbxプロモーターにより由来されるLacZ遺伝子発現を可能にさせるために、ATG開始コドンに正確に挿入した。LacZの挿入では、コードエキソン1〜7およびエキソン8のほとんどを含む、約35kbのMAFbxゲノム配列を同時に取り替えた。このF−boxは、マウスMAFbx遺伝子、ラットMAFbx遺伝子およびヒトMAFbx遺伝子におけるエキソン7および8によりコードされる。この標的化ベクターを、Not1を用いる消化により直線化し、そしてCJ7のES細胞にエレクトロポレーションした(T.M.DeChiaraら、Cell 85、501(1996))。G418における選択において生存したES細胞クローンを、スクリーニングし、相同組換えされた異型接合ES細胞を同定した。3つの標的化クロ−ンを、4.6%の組換え頻度を生じるスクリーニングされた65のクローンから同定した。図27A〜27BAを参照のこと。
【0137】
MuRF1座の標的化。マウスのES細胞における相同組換えのためのベクターを標的化する遺伝子を産生するために、BACゲノムクローンを、MuRF1遺伝子の第一のコードエキソンに特異的なプローブを用い、Genome Systems 129Sv/Jゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得た。このBACは、約33kbのゲノムDNAの挿入を含み、そしてMuRF1遺伝子の最初の5エキソンを含んだ。MuRF1遺伝子を乱すために、LacZ/ネオマイシンカセットを、MuRF1プロモーターにより由来されるLacZ遺伝子発現を可能にさせるために、ATG開始コドンに正確に挿入した。LacZの挿入では、コードエキソン1〜4およびエキソン5のほとんどを含む、約8kbのMuRF1ゲノム配列を同時に取り替えた。このRINGフィンガーは、マウスMuRF1遺伝子、ラットMuRF1遺伝子およびヒトMuRF1遺伝子におけるエキソン1および2によりコードされる。この標的化ベクターを、Not1を用いる消化により直線化し、そしてCJ7のES細胞にエレクトロポレーションした(T.M.DeChiaraら、Cell 85、501(1996))。G418における選択において生存したES細胞クローンを、スクリーニングし、相同組換えされた異型接合ES細胞を同定した。3つの標的化クロ−ンを、14%の組換え頻度を生じるスクリーニングされた22のクローンから同定した。図27A〜27BBを参照のこと。
【0138】
(標的化対立遺伝子の非存在の確認:MAFbx)
MAFbx遺伝子の標的化を、ES細胞および異型接合MAFbx変異体マウスおよび同型接合MAFbx変異体マウスの両方で、内因性(end.対立遺伝子)3.1kbおよび標的化(mut.対立遺伝子)4.9kbのEcoR1フラグメントを検出するために、EcoR1を用いてゲノムテールDNAを消化することおよび5’1.1kb SacIIフラグメントを用いてプローブすることにより確認した(図30A〜30DA)。
【0139】
MAFbx遺伝子における標的化変異を、MAFbxプローブ(コード配列の660〜840bpにまたがる(MAFbx;上パネル))、ならびに挿入されたLacZ遺伝子のプローブを用いてMAFbx+/+、+/−および−/−マウスから調製した前脛骨筋(TA)および腓腹筋(GA)の両方からmRNAをプローブすることにより証明した(図30A〜30DB)。
【0140】
(標的化対立遺伝子の非存在の確認:MuRF1)
MuRF1遺伝子の標的化を、ES細胞および異型接合MuRF1変異体マウスおよび同型接合MuRF1変異体マウスの両方で、内因性(ebd.対立遺伝子)15kbおよび標的化(mut.対立遺伝子)10kbのEcoR1フラグメントを検出するために、EcoR1を用いてゲノムテールDNAを消化することおよび5’0.5kb BglIIフラグメントを用いてプローブすることにより確認した(図30A〜30D(C))。
【0141】
MuRF1遺伝子における標的化変異を、ラットMuRF1コード配列の1〜500bpにまたがるプローブ(MuRF1;上パネル)ならびに挿入されたLacZ遺伝子のプローブを用いて、MuRF1+/+、+/−および−/−マウスから調製した前脛骨筋(TA)および腓腹筋(GA)の両方からmRNAをプローブすることにより証明した(図30A〜30DD)。
【0142】
(MAFbxおよびMuRF1遺伝子が、脱神経後の筋肉において上方調節されることの確認)
MAFbxおよびMuRF1遺伝子の調節を、MAFbx+/−およびMuRF1+/−マウスにおけるb−gal染色を使用して、試験した。右側の坐骨神経を、異型接合マウスにおいて切断し、前脛骨(TA)筋の脱神経を生じた。7日後、右および左の前脛骨筋を、切り出し、そして同じ時間、同じ培地中でb−gal活性について染色した。コントロールの筋肉において、いくつかの(主に深い領域)(しかし全てではない)TAの筋線維におけるMAFbxの発現の低いレベルがある。比較において、MuRF1は、MAFbxよりわずかに高いレベルで全ての線維において発現される。脱神経後、MAFbxおよびMuRF1発現の両方は、全ての筋線維で上方調節される。図31A〜31C(A)。
【0143】
欠乏性のMAFbxおよびMuRF1由来の筋質量を、野生型(+/+)マウスと比較し、そして野生型(+/+)マウスと比較した場合、脱神経後にマウスが筋質量を維持することが見出された。成体のマウス(MAFbx+/+および−/−)の右後肢筋を、右坐骨神経を切断することにより脱神経した。各動物の左後肢は、それ自身のコントロールとして役立った。脱神経後7日および14日目に、右および左の腓腹筋複合体(GA)を、除去し、そして重さを量った。筋重量(GA)を、コントロールの%(右/左の筋重量データが、平均値±s.e.m.、n=5〜10匹のマウスとなるように計算される)としてプロットした。図30A〜30D(B)。
【0144】
筋線維のサイズおよび可変性は、脱神経後、MAFbx欠乏性マウス由来の筋肉において維持された。前脛骨筋からとられた切断面を、ラミニンに対する抗体(Sigma)を用いて染色した。図30A〜30D(C)において、代表的な切断面は、前脛骨筋から示されている:野生型(+/+)、コントロールの左側(左上);野生型(+/+)、脱神経されて14日目の右側(左下);異型接合(−/−)、コントロールの左側(右上);異型接合、脱神経されて14日目の右側。
【0145】
本明細書中で論じられるような、ノックアウト動物の生成において使用され得る方法論の詳細な説明については、内容が本明細書により参考として援用される、2000年10月31日に出願された米国特許出願第60/244,665号より優先を主張する2000年12月7日に出願された米国特許出願第09/732,234を参照のこと。
【0146】
本願を通して、用語MURF1およびMURF3は、MAFbxであるとして、使用される。本発明者らが以前に出願した優先出願において、用語MA−16およびMAFBXは使用された。用語におけるこの変化は、命名法における変化を表わし、そして分子は、これらの配列によりさらに正確に同定される。
【0147】
(生物材料の寄託)
以下のクローンは、1999年12月10日に、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))、10801 University Boulevard、Manassas、VA20110−2209に寄託された。
クローン 特許寄託命名
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA61K8 PTA−1048
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA16C8 PTA−1049
StratageneT3/T7ベクターの
ヒトMA61D18 PTA−1050
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態による範囲に限定されない。実際は、本明細書中に記載されるものに加えて本発明の種々の改変は、前述の説明および添付の図から当業者に明白となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、SCF複合体のMAFBXタンパク質に関連する構成成分の概略図を示す。
【図2】
図2は、MA−61のF−ボックスドメインを示す配列比較を示す。
【図3】
図3は、ヒトMAFBXタンパク質の構造ドメインの概略図を示す。
【図4】
図4は、ヒトMURF1タンパク質の構造ドメインの概略図を示す。
【図5A】
図5A〜図5Bは、広範な相同性を示すMAFBXとFbx25との間の配列比較を示す。
【図5B】
図5A〜図5Bは、広範な相同性を示すMAFBXとFbx25との間の配列比較を示す。
【図6】
図6は、ラットMURF1のヌクレオチド配列を示す。
【図7】
図7は、ラットMURF1の推定アミノ酸配列を示す。
【図8】
図8〜8Cは、ヒトMURF1のヌクレオチド配列を示す。
【図9】
図9は、ヒトMURF1の推定アミノ酸配列を示す。
【図10】
図10は、ラットMAFBXのヌクレオチド配列を示す。
【図11】
図11は、ラットMAFBXの推定アミノ酸配列を示す。
【図12】
図12は、ヒトMAFBXクローンK8のヌクレオチド配列を示す。
【図13】
図13は、ヒトMAFBXクローンK8の推定アミノ酸配列を示す。
【図14】
図14は、MURF1のリングドメインを示す配列比較を示す。
【図15】
図15は、ユビキチンリガーゼ複合体のMURF1タンパク質に関連する構成成分の概略図を示す。
【図16】
図16は、ラットMURF1 VRVスプライス形態のヌクレオチド配列を示す。
【図17】
図17は、ラットMURF1 VRVスプライス形態の推定アミノ酸配列を示す。
【図18】
図18は、ヒトMAFBXクローンD18のヌクレオチド配列を示す。
【図19】
図19は、ヒトMAFBXクローンD18の推定アミノ酸配列を示す。
【図20】
図20は、hMURF3とrMURF1の配列アライメントを示す。
【図21】
図21は、ヒトMURF3クローンC8のヌクレオチド配列を示す。
【図22】
図22は、ヒトMURF3クローンC8の推定アミノ酸配列を示す。
【図23】
図23は、萎縮症に関する遺伝子の差示的表示分析を示す。
【図24】
図24は、筋肉クレアチニンキナーゼ(muscle creatine kinase)(MCK)、myoD、ミオゲニン(myogenin)およびMyf5の発現に対する萎縮症の効果を示すノーザンブロットを示す。
【図25】
図25Aは、全長のラットMuRF1に対して惹起される抗体を用いての免疫ブロットを示す。図25Bは、MuRF2およびMuRF3のノーザン分析を示す。
【図26】
図26は、ラットMAFbxタンパク質およびヒトMAFbxタンパク質、ならびにヒトFbx25の配列アライメントを示す。
【図27】
図27A〜図27BAは、LacZ/PGK neoと交換されるMAFbx遺伝子の部分を示す概略図を示す。図27A〜図27BBは、LacZ/PGK neoと交換されるMuRF1遺伝子の部分を示す概略図を示す。
【図28】
図28A〜図28DAは、ラットの内側腓腹筋の質量減少の時間経過が、3つのインビボモデルで試験されたことを示す:脱神経、固定化および後肢吊り下げ。図28A〜図28DBは、MuRF1およびMAFbx転写物に対する萎縮症の効果を示すノーザンブロットを示す。図28A〜図28DCは、MuRF1およびMAFbxの発現に対するデキサメタゾン(DEX)およびインターロイキン−1(IL−1)の効果を示すノーザンブロットを示す。
図28A〜図28DDは、MuRF1およびMAFbxの組織特異的発現を示す。
【図29】
図29A〜図29DAは、共沈殿を示す:MAFbx、Cullin、Skp−1。図29A〜図29DBは、MAFbxの過剰発現によって誘発される萎縮症を示す。図29A〜図29DCは、MAFbxウイルスに感染した筋管中における、Myc−エピトープでタグ化MAFbxタンパク質の存在を確認する溶解物の免疫ブロット(I.B.)を示す。図29A〜図29DDは、32P標識高分子量ユビキチン結合体の検出を示す。
【図30】
図30A〜図30DAは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MAFbx。図30A〜図30DBは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MAFbx。図30A〜図30DCは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MuRF1。図30A〜図30DDは、標的化された対立遺伝子の決失の確認を示す:MuRF1。
【図31】
図31A〜図31CAは、マウスの(MAFbx+/−およびMuRF1+/−組織のB−gal染色を示す。図31A〜図31CBは、野生型(+/+)マウスと比較した場合の脱神経後の筋肉塊を示す。図31A〜図31CCは、脱神経後のMAFbx決失マウス由来の筋肉中の筋線維サイズおよび変動性を示す。
【図32】
図32は、MAFbxタンパク質が、MA61と同じタンパク質であることを示す配列アライメントを示し、そして異なる名前は、命名法での変化を示す。
【図33】
図33は、MuRF1タンパク質が、MA16と同じタンパク質であることを示す配列アライメントを示し、そして異なる名前は、命名法での変化を示す。
【図34】
図34は、hMURF1とrMA16の配列アライメントを示す。
Claims (99)
- 図7、9および17に示されるようなアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
- MURF1、またはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子であって、以下:
(a)図6、8、または17に示されるようなMURF1のコード領域を含むヌクレオチド配列;
(b)相補体が、(a)のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、MURF1の生物学的活性を有する分子をコードする、配列;または
(c)遺伝コードの縮重がなければ、該(a)のヌクレオチド配列の相補体または該(b)の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、そして該ヌクレオチド配列は、MURF1の生物学的活性を有する分子をコードする、配列、
からなる群から選択される配列を有する、核酸分子。 - 哺乳動物ゲノム由来の単離された核酸分子であって、以下:
a)ストリンジェントな条件下で図6、8、または16の核酸分子にハイブリダイズし;そして
b)環状ドメインを含む遺伝子産物をコードする、
核酸分子。 - MURF1、またはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子であって、以下:
(a)図6、8、または16に示されるようなMURF1のコード領域を含むヌクレオチド配列;
(b)相補体が(a)のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、MURF1の生物学的活性を有する分子をコードする、配列;または
遺伝コードの縮重がなければ、(c)該(a)のヌクレオチド配列の相補体または該(b)の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、そして該ヌクレオチド配列は、MURF1の生物学的活性を有する分子をコードする、配列、および
(d)MURF3(図21)をコードするヌクレオチド配列を包含しない配列からなる群から選択される配列を有する、核酸分子。 - 請求項1、2、3、または4に記載の核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチド。
- 請求項1、2、3、または4に記載の核酸分子を含むベクター。
- 請求項6に記載のベクターであって、ここで前記核酸分子は、宿主細胞においてその発現を指向し得る発現制御配列に作動可能に連結される、ベクター。
- MURF1ポリペプチドの産生のための宿主ベクター系であって、ここで該宿主ベクター系は、請求項6のベクターで形質転換された宿主細胞を含む、宿主ベクター系。
- 請求項8に記載の宿主ベクター系であって、ここで前記宿主細胞が細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞である、宿主ベクター系。
- 請求項1、2、3、または4に記載の核酸を含む導入遺伝子を保有する細胞を有する、トランスジェニック動物。
- 請求項1、2、3、または4に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子座において不活化される動物。
- 請求項5に記載のMURF1ポリペプチドを結合する抗体。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMURF1発現またはMURF1活性の調節の方法における使用のためのMURF1アンタゴニスト。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMURF1発現またはMURF1活性の調節の方法における使用のためのMURF1経路のアンタゴニスト。
- 筋肉萎縮の処置またはMURF1を発現する筋肉細胞と化合物とを接触させる工程を包含する萎縮および関連する疾患および障害の検出、ならびにMURF1タンパク質活性またはユビキチン結合における変化の検出のために有用な化合物をスクリーニングする方法。
- 請求項15に記載の方法であって、ここで前記変化は、PCR、Taqman PCR、ファージディスプレイ系、ゲル電気泳動、酵母−ツーハイブリッドアッセイ、ノーザン分析もしくはウエスタン分析、免疫組織化学、従来のシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直線スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、またはX線装置によって測定される、方法。
- 請求項15に記載の方法であって、ここでMUFR1タンパク質活性における前記変化は、MURF1と1つ以上のタンパク質との相互作用における変化の検出によってか、別のタンパク質と環状ドメインとの相互作用における変化の検出によってか、またはユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のユビキチン結合のレベルにおける変化の検出によって検出される、方法。
- 1つ以上のタンパク質のうちの1つがMURF1の基質である、請求項15に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が骨格筋起源である、請求項15に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、培養された細胞である、請求項15に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物由来である、請求項15に記載の方法。
- 前記トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求項21に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物内にある、請求項15に記載の方法。
- 前記トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求23に記載の方法。
- 前記MURF1およびMURF1を検出し得る分子が、核酸である、請求項15に記載の方法。
- 前記MURF1およびMURF1を検出し得る分子が、ポリペプチドである、請求項15に記載の方法。
- 前記化合物が、MURF1のための基質である、請求項15に記載の方法。
- タンパク質発現における前記変化が、前記ユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のタンパク質量における変化によって示される、請求項15に記載の方法。
- 患者サンプルにおいてMURF1を測定する工程を包含する、動物において筋肉萎縮を検出する方法。
- MURF1もしくはその環状ドメインを調節することによる萎縮の阻害または肥大の誘導をする方法。
- 症状が緩和されるように、MURF1経路、ユビキチン結合、MURF1またはMURF1の環状ドメインの発現または活性を調節する化合物を、動物に投与する工程を包含する、筋肉萎縮に関連する疾病、症候群または障害を処置する方法。
- 前記動物が、哺乳動物である、請求項31に記載の方法。
- 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項31に記載の方法。
- 図22に示されるようなアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
- MURF3、またはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子であって、以下:
(a)図21に示されるようなMURF1のコード領域を含むヌクレオチド配列;
(b)相補体が(a)のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、MURF3の生物学的活性を有する分子をコードする、配列;または
(c)遺伝コードの縮重がなければ、該(a)のヌクレオチド配列の相補体または該(b)の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、そして該ヌクレオチド配列は、MURF3の生物学的活性を有する分子をコードする、配列、
からなる群から選択される配列を有する、核酸分子。 - 哺乳動物ゲノム由来の単離された核酸分子であって、以下:
a)ストリンジェントな条件下で図21の核酸分子にハイブリダイズし;そして
b)環状ドメインを含む遺伝子産物をコードする、
核酸分子。 - MURF3、またはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子であって、以下:
(a)配列番号7に示されるようなMURF1のコード領域を含むヌクレオチド配列;
(b)相補体が(a)のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、MURF3の生物学的活性を有する分子をコードする、配列;または
(e)遺伝コードの縮重がなければ、該(a)のヌクレオチド配列の相補体または該(b)の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、そして該ヌクレオチド配列は、MURF3の生物学的活性を有する分子をコードする、配列;および
(f)MURF1(図6、8、または16)をコードするヌクレオチド配列を包含しない配列、
からなる群から選択される配列を有する、核酸分子。 - 請求項33、34、35または36に記載の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項33、34、35、または36に記載の核酸分子を含む、ベクター。
- 請求項39に記載のベクターであって、ここで前記核酸分子は、宿主細胞においてその発現を指向し得る発現制御配列に作動可能に連結される、ベクター。
- 請求項38に記載のベクターで形質転換される宿主細胞を含む、MURF3ポリペプチドの産生のための宿主−ベクター系。
- 前記宿主細胞が、細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞である、請求項40に記載の宿主−ベクター系。
- 請求項33、34、35、または36に記載の核酸を含む導入遺伝子を保有する細胞を有するトランスジェニック動物。
- 請求項33、34、35、または36に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子座において不活化された動物。
- 請求項37に記載のMURF3ポリペプチドを結合する抗体。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMURF3発現またはMURF3活性の調節の方法における使用のためのMURF3アンタゴニスト。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMURF3発現またはMURF3活性の調節の方法における使用のためのMURF3経路のアンタゴニスト。
- 筋肉萎縮の処置またはMURF3を発現する筋肉細胞と化合物とを接触させる工程を含有する萎縮および関連する疾患および障害の検出、ならびにMURF3タンパク質活性またはユビキチン結合における変化の検出のために有用な化合物をスクリーニングする方法。
- 請求項47に記載の方法であって、ここで前記変化は、PCR、Taqman PCR、ファージディスプレイ系、ゲル電気泳動、酵母−ツーハイブリッドアッセイ、ノーザン分析もしくはウエスタン分析、免疫組織化学、従来のシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直線スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、またはX線装置によって測定される、方法。
- 請求項47に記載の方法であって、ここで前記MUFR3タンパク質活性における変化は、MURF3と1つ以上のタンパク質との相互作用における変化の検出によってか、別のタンパク質と環状ドメインとの相互作用における変化の検出によってか、またはユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のうちの1つのユビキチン結合のレベルにおける変化の検出によって検出される、方法。
- 1つ以上のタンパク質のうちの1つがMURF3の基質である、請求項47に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が骨格筋起源である、請求項47に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、培養された細胞である、請求項47に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物由来である、請求項47に記載の方法。
- 前記トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求項53に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物内にある、請求項47に記載の方法。
- トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求55に記載の方法。
- 前記MURF3およびMURF3を検出し得る分子が、核酸である、請求項47に記載の方法。
- 前記MURF3およびMURF3を検出し得る分子が、ポリペプチドである、請求項47に記載の方法。
- 前記化合物が、MURF3のための基質である、請求項47に記載の方法。
- タンパク質発現における前記変化が、前記ユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のタンパク質量における変化によって示される、請求項47に記載の方法。
- 患者サンプルにおいてMURF3を測定する工程を包含する、動物において筋肉萎縮を検出する方法。
- MURF3もしくはその環状ドメインを調節することにより、萎縮の阻害または肥大の誘導をする方法。
- 症状が緩和されるように、MURF3経路、ユビキチン結合、MURF3の発現または活性を調節する化合物を、動物に投与する工程を包含する、筋肉萎縮に関連する疾病、症候群または障害を処置する方法。
- 前記動物が、哺乳動物である、請求項63に記載の方法。
- 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項63に記載の方法。
- 図11、13、または19に示されるようなアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
- MAFBX、またはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子であって、以下:
(a)図10、12、または19に示されるようなMAFBXのコード領域を含むヌクレオチド配列;
(b)相補体が(a)のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、MAFBXの生物学的活性を有する分子をコードする、配列;または
(c)遺伝コードの縮重がなければ、該(a)のヌクレオチド配列の相補体または該(b)の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、そして該ヌクレオチド配列は、MAFBXの生物学的活性を有する分子をコードする、配列、
からなる群から選択される配列を有する、核酸分子。 - 哺乳動物ゲノム由来の単離された核酸分子であって、以下:
a)ストリンジェントな条件下で図10、12、または18の核酸分子にハイブリダイズし;そして
b)F−boxドメインを含む遺伝子産物をコードする、
核酸分子。 - 哺乳動物ゲノム由来の単離された核酸分子であって、以下:
a)ストリンジェントな条件下で図10、12、または18の核酸分子にハイブリダイズし;そして
b)Fbx25ドメインを含む遺伝子産物をコードする、
核酸分子。 - 請求項66、67、68、または69に記載の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項66、67、68、または69に記載の核酸分子を含む、ベクター。
- 請求項71に記載のベクターであって、ここで前記核酸分子は、宿主細胞においてその発現を指向し得る発現制御配列に作動可能に連結される、ベクター。
- 請求項6に記載のベクターで形質転換された宿主細胞を含むMAFBXポリペプチドの産生のための宿主−ベクター系。
- 前記宿主細胞が、細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞である、請求項73に記載の宿主−ベクター系。
- 請求項66、67、68、または69に記載の核酸を含む導入遺伝子を保有する細胞を有する、トランスジェニック動物。
- 請求項66、67、68、または69に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子座において不活化された、動物。
- 請求項70に記載のMAFBXポリペプチドを結合する、抗体。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMAFBX発現またはMAFBX活性の調節の方法における使用のためのMAFBXアンタゴニスト。
- 萎縮の阻害、肥大の誘導、ユビキチン結合の減少、ユビキチン経路の妨害、またはMAFBX発現またはMAFBX活性の調節の方法における使用のためのMAFBX経路のアンタゴニスト。
- 筋肉萎縮の処置またはMAFBXを発現する筋肉細胞と化合物とを接触させる工程を包含する萎縮および関連する疾患および障害の検出、ならびにMAFBXタンパク質活性またはユビキチン結合における変化の検出のために有用な化合物をスクリーニングする方法。
- 請求項80に記載の方法であって、ここで前記変化は、PCR、Taqman PCR、ファージディスプレイ系、ゲル電気泳動、酵母−ツーハイブリッドアッセイ、ノーザン分析もしくはウエスタン分析、免疫組織化学、従来のシンチレーションカメラ、ガンマカメラ、直線スキャナ、PETスキャナ、SPECTスキャナ、MRIスキャナ、NMRスキャナ、またはX線装置によって測定される、方法。
- 請求項80に記載の方法であって、ここで前記MAFBXタンパク質活性における変化は、MAFBXとの1つ以上のタンパク質と相互作用における変化の検出によってか、またはユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のユビキチン結合のレベルにおける変化の検出によって検出される、方法。
- 1つ以上のタンパク質のうちの1つがMAFBXの基質である、請求項80に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が骨格起源である、請求項80に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、培養された細胞である、請求項80に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物由来である、請求項80に記載の方法。
- 前記トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求項86に記載の方法。
- 前記筋肉細胞が、トランスジェニック生物内にある、請求項80に記載の方法。
- トランスジェニック生物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシまたは霊長類が挙げられるが、これらに限定されない、請求88に記載の方法。
- 前記MAFBXおよびMAFBXを検出し得る分子が、核酸である、請求項80に記載の方法。
- 前記MAFBXおよびMAFBXを検出し得る分子が、ポリペプチドである、請求項80に記載の方法。
- 前記化合物が、MAFBXのための基質である、請求項80に記載の方法。
- タンパク質発現における前記変化が、前記ユビキチン経路における1つ以上のタンパク質のタンパク質量における変化によって示される、請求項80に記載の方法。
- 患者サンプルにおいてMAFBXタンパク質またはmRNAを測定する工程を包含する、動物において筋肉萎縮を検出する方法。
- MAFBXまたはそのF−boxを調節することにより萎縮の阻害または肥大の誘導をする方法。
- 症状が緩和されるように、MAFBX経路、ユビキチン結合、MAFBXまたはMAFBXのF−boxの発現または活性を調節する化合物を動物に投与する工程を包含する、筋肉萎縮に関連する疾病、症候群または障害を治療する方法。
- 前記動物が、哺乳動物である、請求項96に記載の方法。
- 前記動物が、ヒトである、請求項96に記載の方法。
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