JP2004522789A - 乳頭腫ウイルスワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、免疫原及びワクチン、及びこれらの調製及び使用に関する。具体的に本発明は、乳頭腫ウイルス・タンパク質抗原を対象とするプライマー及びブースタ免疫原を含む組み合わせ免疫原、及びヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染に対し予防薬又は療法などの乳頭腫ウイルスに対する免疫応答を刺激するためのこれらの使用に進展する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫原およびワクチンならびにこれらの調製および使用に関する。
【0002】
具体的には本発明は、組み合わせ免疫原及びワクチンに関する。特定する例における本発明は、乳頭腫ウイルスの感染、具体的な例としてヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染、たとえば慢性的感染、およびこうした感染にて形成される腫瘍又は他の損傷を予防的に、又は療法的な治療に使用するワクチンに関する。
【背景技術】
【0003】
「プライマー」及び「ブースタ」投与としばしば称されるワクチンを逐次的な用量にて投与することが知られている。一般的にブースタ投与は、前に与えられたワクチン投与が免疫応答を惹起すると予測される選択された間隔の後、たとえば間隔として数週間の後に投与される。
【0004】
さらに組み合わせワクチンが、これまで提示されてきたが、プライマーおよびブースタのタワクチンが、違った処方からのものである。
【0005】
たとえば、米国特許第5,686,078(Connaught Laboratories:RS Beckerら)では、異なる生理化学的形状の「ウイルス細菌抗原」を用いる一次及び二次免疫化法が提示され、そこに特異性の高い免疫原の形状、たとえば非活性化又は弱毒化された「全細胞ウイルス」、たとえばインフルエンザ・ウイルスを、最初動物に投与し、その後弱い免疫原の形状の抗原、たとえばインフルエンザ・ウエルスから分離、精製されたHA(p)抗原が提示され、それがブースタ免疫反応を行うと意図したものである。
【0006】
J W Hodgeらの(in Vaccine,15(6/7)(1997)pp759-768)では、ガン胎児性抗原CEAをコードするワクシニア・ウイルスベクターによるプライミング免疫化法、さらにその後のガン胎児性抗原をコードする非複製組換え型アビポックス(avipox)・ウイルスベクターによる免疫応答というブースティングに基づく、とりわけマウスの「プライム及びブースト」が、記載されている。この対となる免疫化法は、両方の場合に組み換えワクシニア・ウイルスを用いる逐次的免疫化法と比較して、CEAに特異的T細胞の応答を増大させることが、報告されている。
【0007】
さらにWO 98/56919(SC Gilbertら)では、ウイルスベクターあるいはDNA又はRNAあるいは標的抗原でもよいプライミング・ワクチン、及び非複製、又は複製に損傷のあるポックスウイルスベクター(poxvirus vector)であるブースティングワクチンに基づく、たとえばプラスモジウム・ファルシパルム((Plasmodium falciparum)マラリア)又はHIV に対し、CD8+T細胞免疫応答を生成する組み合わせ体が提示されている。本発明の目的は、有益な特定免疫原性を伴う免疫原とワクチンとのさらなる組み合わせを提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の観点によれば乳頭腫ウイルス・タンパク質抗原を対象とする組み合わせ免疫原が提供される。これらは、(i)プライマー免疫原及び(ii)ブースタ免疫原を含むことができる。プライマー免疫原(i)は、乳頭腫ウイルス・タンパク質から誘導される抗原決定基を有するポリペプチドを含むか、あるいは乳頭腫ウイルス・タンパク質から誘導されるこうした抗原決定基をコードするDNAを含むことができ、そしてブースタ免疫原(ii)は、乳頭腫ウイルス抗原をコードするウイルスベクターを含むことができ、そのベクターにて治療されたヒト、又はヒト以外の動物の宿主細胞を感染する時、前記抗原を発現することができる。プライマー免疫原にて提示される抗原に対し、免疫応答が発生できると予測される選択された経過期間の後に、前記ブースタ免疫原を、別に生成し、前にプライマー免疫原にて処置された対象物に投与することを意図している。2種以上の用量の各成分を、一般的にプライマー免疫原の後にある間隔にて1又は2種のブースタ免疫原を与えることができ、しかし別のものとの組み合わせ及び用量の数は、本発明の範囲内にて可能である。
【0009】
プライマー免疫原及びブースタ免疫原を形状の適切な例が、さらに以下に記載されている。
【0010】
プライマー免疫原は、WO 96/26277及び米国特許6,123,948(Cantab Pharmaceuticals:NR Whittle ら)(これにより全ての目的のためにその全体を引用により組み入れられる)に記載された免疫原又はワクチンにて可能である。特定の有益な例における、ヒト乳頭腫ウイルス型16からの抗原に基づくポリペプチド・ワクチンを含むことができる。
【0011】
特定の有益な例における、ブースタ免疫原が、WO 92/16636及び米国特許5,719,054(Cantab Pharmaceuticals:ME Boursnellら)(これにより全ての目的のためにその全体を引用により組み入れられる)記載されたようなヒト免疫原又はワクチン、たとえばヒト乳頭腫ウイルスの型16及び18のE6及びE8タンパク質配列に基づく融合タンパク質をコードし、発現できる異種性DNA挿入体を輸送するワクチン・ウイルスベクターにて可能である。
【0012】
上記の組み合わせでは、驚くべきことに、類似した2種の組成物を使用するが、最初用いられるウイルス・ベクター免疫原又はワクチンを逆の順序にて用いる場合よりも有意的に強い免疫応答を誘発できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
プライマー免疫原及びブースタ免疫原のそれぞれに含まれるか、又はそれによりコードされる抗原が、全体に又は部分的において互いに相互作用することができる。たとえば、下記の例におけるプライマー免疫原及びブースタ免疫原が共に、ヒト乳頭腫ウイルスの型16のE6及び/又はE7タンパク質における全長又は実質的に全長のアミノ酸配列を含むか又は(とりわけ)それをコードすることができる。
【0014】
好ましくはプライマー免疫原が、乳頭腫ウイルス由来の抗原、たとえば少なくとも2種の異なる乳頭腫ウイルス・タンパク質のそれぞれから結合する融合ポリペプチドを基盤としており、たとえば、(a) 少なくとも1つの乳頭腫ウイルスL2タンパク質及び/又はL1タンパク質の抗原決定基、及び(b)E1、E2、E4、E5、E6、及びE7の乳頭腫ウイルス・タンパク質及び(a)におけるより異なる乳頭腫ウイルス型のL2乳頭腫ウイルス・タンパク質から選択される少なくとも1つの抗原決定基を含むことが好ましい。
【0015】
さらにこれにより提供される融合ポリペプチドが、E1、E2、E4、E5、E6、及びE7の乳頭腫ウイルス・タンパク質から選択される少なくとも2種の乳頭腫ウイルス・タンパク質からの抗原決定基を含む、たとえばこの場合前記タンパク質が、異なる乳頭腫ウイルス型由来タンパク質である。
【0016】
他のヒト乳頭腫ウイルスの型、及び他の種からの乳頭腫ウイルスの抗原が、本発明の適用を受け入れることもできるが、特に好ましいポリペプチド及び組成物が、ヒト乳頭腫ウイルス・タンパク質、たとえばHPV型6、11、16、18の抗原決定基を含んでいる。さらに他のHPV型のタンパク質及びヒト以外の動物の乳頭腫ウイルス・タンパク質の抗原決定基が、作成、使用することができる。さらに有益なものとしては、合成ペプチド配列があり、これは、乳頭腫ウイルス・タンパク質のこうした有益な抗原決定基をコードしたものである。
【0017】
ポリペプチドは、融合分子を含むか、又は互いに結合又は凝集された個体のポリペプチドから誘導することができる。可溶な形状又は溶解された形状のポリペプチドを、本発明に従って使用することができる。
【0018】
さらにプライマー免疫原の特徴は、本明細書引用の文献に記載されている。
【0019】
ブースタ免疫原における乳頭腫ウイルス抗原をコードするため使用されるウイルス・ベクターが、たとえばワクシニア(vaccinia)などのポックスウイルス・ベクターにて可能である。別の選択肢として、一般的に等価なポックスウイルスベクターは、カナリヤポックスなどのそれ自体周知なアビポックス(avipox)ベクターを含み、そして遺伝的に弱毒化され又は性能欠陥のあるポックスウイルス・ベクターを含む。選択肢として、ブースタ免疫原に用いられるウイルス・ベクターが、別の型のウイルス(ベクター)、たとえばそれ自体周知なヘルペスウイルス又はアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスあるいはヘルペスウイルス・アプリコンに基づいて、そして乳頭腫ウイルス抗原をコードする挿入された異種配列を輸送し、適切に配置され、そしてそのウイルス・ベクターが、ワクチン治療の対象物の宿主細胞に感染する時、乳頭腫ウイルス抗原を発現するよう適切なプロモータの制御下に、することができる。さらに別の例において、ブースタ免疫原が、所望の抗原をコードするDNAワクチンでも良く、あるいはこうしたDNAワクチンを輸送する非ウイルス・ベクターでも良い。さらに好ましい例におけるプライマー免疫原が、所望の抗原をコードするDNAワクチンでも良く、あるいはこうしたDNAワクチンを輸送する非ウイルス・ベクターでも良い。
【0020】
例として乳頭腫ウイルス配列を、たとえば、本明細書の実施例に記載されたSIV抗原の代わりに、WO 92/05263及び米国特許第5,665,362(Cantab Pharmaceuticals/Immunology Ltd:Inglis et al)(これによりあらゆる目的のためこれら全体を引用により組み入れられる)に記載のように遺伝的に無能としたヘルペスウイルスに挿入することができ、そしてこうして得られた乳頭腫ウイルス・タンパク質抗原をコードするウイルス・ベクターを、本発明と関係するブースタ免疫原の別の形状として使用することができる。
【0021】
たとえば、ヒト又はヒト以外の動物の療法的又は予防的なワクチンとして使用するため、本発明の例による免疫原組成物のプライマー成分が、上記のように得ることのできるポリペプチドをその上に吸着した「アルム(alum)」(つまり従来ワクチンのアジュバントとして使用される水酸化アルミニウム、通常アルハイドロゲル(Alhydrogel(TM))又はレハイドロゲル(Rehydrogel(TM))と称す)を含む吸着複合体成分を形成するポリペプチド抗原を含むことができる。吸着複合体が、アルム(alum)とポリペプチドから成る2量複合体でもよく、又は下記のようなたとえばMPLなどのさらなる構造体のある、たとえばMPL、alum及びポリペプチドの3量複合体を形成する場合もあり得る。
【0022】
ポリペプチド免疫原は、療法抗原としてその効果を高めるため、さらにはレシピエント患者に好ましい型の免疫応答を刺激するための免疫刺激分子などのジュバント又は他のアクセサリー物質により形成することができる。
【0023】
有益なアジュバントは、たとえばアルハイドロゲル(Alhydrogel(TM))又はレハイドロゲル(Rehydrogel(TM))の形状の水酸化アルミニウム(「アルム(「alum」);たとえば米国特許4,912,094(Ribi Immunochem Reserch:KR Myers and AT Truchot:describing adjuvants based on modified lipopoly-saccharide,de-3-O-acyl monophosphoryl lipid A)に記載されているような3D-MPL(3-デアクリレート・モノホスフォリル脂質A)を含むが限定されることがなく、それが、米国特許4,912,094に記載されたように、又はWO 94/21292(Smithiine Beecham:P Hauser et al:Vaccine compositions containing 3-O-deacylated monophosphoryl Lipid A)の明細書に記載され、実施例として適応することができる。
【0024】
アルム(alum)とMPLが共に使用される場合、タンパク質を、最初アルム(alum)に吸着され、その後にMPLが付加されることが好ましい。さらに使用できるものは、トレハローズ・ジマイコレートなどのトレハローズ・エステル、たとえば、WO 88/09336(Cambridge Bioscience:CA Kensil et al:Saponin ajuvant)及びWO 93/05789(Cambridge Biotech:CA Kensil et al:Saponin-antigen conjugates)の明細書に記載されたようにQuil A又はQS-21などのサポニン(saponins)、及びこれらの誘導体;たとえば、WO 90/03184(B Morein et al:Iscom matrix with immunomodulating activity,comprising lipid and optionally also adjuvants)及びWO 92/21331(Kabi Pharmacia AB:B Morein et al:Pharmaceutical carriers comprising sterol and saponin)に記載されているようなISCOMS又はISCOMマトリックス(matrix);ムラミル・ジペプチド、又はコレラ・トキシンB(cholera toxin B)である。さらにアジュバントとして使用できるものは、CpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド(AM Krieg & HL Davis,Curr.Opin.Mol.Ther.,3(1),2001,pp15-24)であり、そしてこれらのアジュバントは、プライマー免疫原がポリペプチドを含む場合、特に好ましい。
【0025】
ポリペプチドワクチンを、たとえば生物的に変性可能な微小粒子又はリポゾームのカプセル、又は非イオン界面活性剤小胞によりカプセル化することができる。これらの技術に対しては、たとえば、WO 94/27718(DT O'Hagan et al:microparticles containing entrapped antigens and their use in immunization)及びWO 93/19781(PCT/BG93/00716)(Proteus Molecular Design:J Alexander et al:Vaccine containing non-ionic surfactant vesicles with entrapped antigen)のそれぞれの明細書を参照。ポリペプチド・ワクチンをカプセル化に有益に使用できる微小粒子の試料が、PLG微小球体(C Berkland et al.,J Control Release 73(1),2001,pp59-74)である。選択肢として、これら又は他の種のリポソームを、アジュバントとしてポリペプチドと共に使用することもできる。
【0026】
さらにこの結合に有益なアクセサリー又は免疫刺激分子が、インターロイキンなどのサイトカインを含む、そのインターロイキンがGM-CSF、IL-12、IL-2、IL-3、及びIL-7を含むが限定されない、さらに有益なものは、CD40を活性にするたとえばアゴニスト抗-CD40抗体又はCD40Lなどの分子である。こうしたアジュバント及び/又はアクセサリー物質が、所望により個別に又は組み合わせて用いることができる。
【0027】
投与されるペプチド量を、治療されるべき生成物及びその条件により選択することができる。一般的に、その用量が、1-2000μg、好ましくは10-300μg、例として10-250μgの範囲であると想定される。最適な量が、対象物に容易に決定することができる。1又は複数の用量のワクチンを、ある間隔をおいて投与することができる(たとえば実施例13を参照)。その構成を、対象物に容易に最適化することができる。
【0028】
同様に、ウイルスベクター・ワクチンを基盤とするブースタ免疫原の用量が、それ自体先行技術として十分知られた方法により選択及び最適化することができる、すなわち、たとえばプラック形成単位(pfu)10Λ4-10Λ8の範囲における用量を使用することができ、能力喪失のウイルス・ベクターの場合に、pfuが、新たなウイルス粒子の製造及び増殖を裏付できるよう選択される宿主細胞型、又は組み換え細胞の培養試験にて測定される。
【実施例】
【0029】
本発明の非限定的試料が、ポリペプチド初回免疫原としてL2E7E6融合タンパク質を用いて作例され、前記L2E7E6融合タンパク質には、米国特許6,123,948(Cantab Pharmaceuticals:NR Whittle et al)の一般的教示に従い、元となる抗原の交互結合(alternate combination)に使用するように変化した特異的試料をそれ自体定まった適用による、ヒト乳頭腫ウイルスの型16のものによる配列が含まれている。この融合タンパク質が、リポソーム・アジュバントと共に使用される。アジュバント及びその性質は、あまり重要なものではない。
【0030】
本発明の本試料におけるブースタ免疫原は、米国特許5,719,054(Cantab Pharmaceuticals:ME Boursnell et al)記載のようなワクシニア・ウイルスベクターで、それが、型16と型17両方のヒト乳頭腫ウイルスのE6及びE7タンパク質配列に基づいて融合タンパク質をコードし、発現できる異種DNA挿入物を輸送する。
【0031】
本試料に使用する適切なL2E7E6融合タンパク質抗原を、HPVタンパク質をコードする核酸配列を用いて作成され、臨床的単離物から標準的なPCR技術を用い得られ、こうして得られた配列を修飾して、たとえば、米国特許6,123,948(Cantab Pharmaceuticals:NR Whittle et al)の記載のように、大腸菌(E.coli)にて発現するための融合タンパク質の配列を形成することができる。言及された前記開示内容が、異なる資源(source)及び配列の遺伝子ソース(source)物質を前記系に適合するよう選択された、それ自体周知の定められた修飾及び適合例として使用することができる。
【0032】
HPVの型16の遺伝物質は、たとえば生検の頚部物質CIN1によるHPV感染のケラチノサイト(keratinocytes)から誘導される、W12細胞株(MA StanleyらのInt J Cancer 1989,43,672-676における記載のように)から得られていたが、しかしこれか他のいずれか特定の資源を使用することは、あまり重要でなく、多くの臨床資源が適切であり、そして得らた配列が、検証のための定まった方法にて比較でき、又はEMBL(European Molecular Biology Laboratory)データベースに、たとえばPPH16をアクセス番号K02718にとして登録したL2,E7及びE6の配列と比較することができる。使用される配列が、EMBL基準配列と完全に一致するか、それと同定するかは、重要ではない。
【0033】
大腸菌(E.coli)宿主における組み換え全長融合タンパク質を最適に発現し、そして産生させるための、下記のように配列に置換変異体を導入することが、現段階で好ましい、すなわち、TTTコドンをTTCにて置き換え、大腸菌(E.coli)宿主においてほとんど用いられコドンを、同じアミノ酸をコードするように(これは、E6遺伝子コード配列の最初100の核酸残基に特に適用)、その宿主細胞に有意的に頻繁に使用される他のコドンによって置き換え、及びアラニンをその代わりに含む置換配列(ala-6)によりL2(pro val pro ser val pro)におけるプロリン(pro)の豊富な配列に置き換えること、である。
【0034】
さらに、WO 92/16636記載のように、原ガン遺伝子の形状と結びつく可能性を回避できるように主に使用の際の安全性を考慮して、初期のタンパク質配列における非形質転換の点変異体を使用することは、周知であり好ましいことである。E7における2個所の好ましい変異化は、E7をコードする配列の残基70及び77にて、それぞれの場合にsysとgluをglyに変え、C Edmonds & KH Vousden,J Virol(1989)63,2650-2656の教示によるRBタンパク質にE7の結合を排除することを示し、それが正常な遺伝子配列によってコードされる形質転換能力の欠陥のあるHPV E7変異体の配列を開示する。
【0035】
E6における2個所の好ましい変異化は、E6コード配列における残基66及び106でそれぞれの場合cycをglyに変え、ここに、HPV16E7の形質転換を高めるための天然タンパク質に示される能力の欠陥のあるHPV16のE6のタンパク質配列変異体を開示し、T Kandaら(Virology(1991)185pp536-543)の教示に従いE6及びp53腫瘍抑制遺伝子産生物との間の複合体の形成に関与されると知られる置換残基同様の塩基上にて作成される。
【0036】
こうしたプライマー及びブースタによるマウスの実験では、下記のように異種のプライマーとブースタとの構成における、組み換えHPV16のL2E6E7融合タンパク質・ワクチンの予備臨床的な安全性及び効果が示されている。
【0037】
従って、本試料を含む本発明を適応する試料は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)E6及びE7の原ガン性タンパク質(oncoproteins)を標的に、たとえば頚部上皮内前ガン形成(CIN)(又は膣上皮内前ガン形成VIN)及びガンをT細胞に基づく免疫治療である。単一融合タンパク質(本明細書ではTA-CINと指定)としてHPV16のL2,E6及びE7を含むワクチンでが、症状発現前のマウス・モデルにおけるHPV16特異的CTL,Tヘルパー細胞及び抗体を惹起することが示された。これらの免疫応答が、予防的処置、及び最少残存疾患の処置におけるHPV-特異的腫瘍細胞の増殖を効果的に防止した。TA-CINを臨床的等級のワクシニアに基づくワクチンとしての、TA-HPVと組み合わせて異種性のプライマーとブースタの構成にて用いられる時、最も激しいCTLの免疫性を誘発した。
【0038】
これらの結果が、傾向としてHPVにて誘発される頚部損傷のワクチンの使用を裏付けている。
【0039】
付随する図として、図1-4が本発明によるワクチン投与の構成を含む、以下記載のワクチン投与の構成を用いて得られた結果の特徴を示す(本発明の範囲をこれにより限定する意図のないことを示す)。
【0040】
実施例に対する背景
以下の記載における4角カッコ内の数値が、末尾にある引例一覧を指している。
【0041】
頚部上皮内ガン(CIN)は、頚部内皮細胞が異常に増殖する状態である。患者のかなりの割合において、この状態から頚部ガンに進行し、それが、世界における40歳以下の女性におけるガン関連死の主要な原因の1つである。強い疫学的、及び分子生物的実証によれば、初期頚部ガンが、生殖感染にヒト乳頭腫ウイルス(HPV)(1)の原ガン型と、密接に結びついていることが示されている。大部分の頚部ガンが、HPV16由来によるE6及びE7タンパク質[2]を発現する。したがって、これらのタンパク質は、免疫学的に介在し、さらに頚部ガンを防止するため極めて良好な標的抗原である。
【0042】
HPV誘発疾患に対する保護における免疫系に関与する実証としては、多くの知見から成る。第1は、免疫欠陥患者[3,4]におけるCIN及び頚部ガンの罹患率の増大、第2は、細胞媒介による免疫応答[5,6]の特徴付けるにおけるHPVによる誘発損傷の自然発生的退化、第3は、リンパ球の浸潤と頚部ガン患者[7]の改良された臨床的結果との間の関連付けである。
【0043】
免疫系が正常な感染に十分に応答できない多くの理由がある。たとえば、HPVの感染が封じ込められ、通常炎症にはならない。こうしたことにより、ほんとうに弱い免疫応答か、又は免疫学とて無視できる程度に生成する結果となろう([8]に再検討された)。しかしながら、HPVの感染と疾患との密接な関係が、頚部損傷を治療すべきヒト免疫系の効力と協働する発展的戦略に明確な機会を提供する。
【0044】
HPV16誘発による原ガン性損傷に対し誘発されるよう作成されたワクチン、又はそれに対するブーストによるT細胞の活性を、種々の形状にて得られる。最少T細胞エピトープを含むペプチドに基づくワクチンが、十分に明示されているが、小さなT細胞レパートリーしか引き出さず、そのことが、応答の制限幅がこうしたワクチンの効力を制限することを示唆する。さらにこうしたペプチドワクチンが、患者に対し特定のHLA型[9-11]にてよく制限される。対照的に抗原全体を含むか、又はそれをコードする組み換えタンパク質、DNA又はウイルスに基づくベクターが、あらゆる可能性のあるCTL及びTヘルパー(Th)エピトープを含む、従ってその免疫系が最も適切なCTL及び単一のThエピトープを選択することを可能にする。前にHPV16及び18のE6及びE7遺伝子(TA-HPVと指定された)の修飾形状を発現する組み換えワクシニアによるワクチンを、頚部ガン患者[12,13]の療法的治療の臨床試験にて試験した。このワクチンは、こうした患者のHPV特異的T細胞免疫性を誘発することが示されるが、このワクシニアを使用すれば、たとえば免疫感染容易性の(immunocompromised)個体に、その使用に関し幾つか制限する。
【0045】
タンパク質に基づくワクチン(指定TA-CIN)が、上記引用の、公開された特許出願WO 96/26277記載の教示に基づいて開発された。TA-CINは、上記のようにHPV16のL2、E6及びE7抗原から誘導されるアミノ酸配列から構成される融合タンパク質である。これら抗原の選択が、HPV、ウシ乳頭腫ウイルス又はワタオウサギ乳頭腫ウイルス[14-17]を用いる動物モデルにおけるワクチン投与研究に基づいている。C57/BL6予備臨床のマウス・モデル(TC-1)におけるTA-CINの免疫原性の分析では、TA-CINが、HPV16特異的CTL、Th細胞及び抗体を効果的に誘発することが実証された。さらに、TA-CINでは、最少残存疾患の処方(minimal residual disease setting)における予防的及び療法的にHPV16+腫瘍の増殖を抑制することが示された。
【0046】
物質及び方法
抗原及びワクチンの生成:TA-CINが、本明細書に引用される文献に記載されているように、還元条件下、可溶化された大腸菌含有本体内から単離され、クロマトグラフィにより精製された組み換えHPV16のL2E7E6から成る。80kDのL2E7E6の単量体(monomer)では、725のアミノ酸が含まれる。最終生成物は、5mMのリン酸、0.9mMのシステインを含む5mMのグリシン緩衝液(pH8.0)にて生成された、分離され、0.22μmの濾出可能で安定な、タンパク質の集合体であった。そのタンパク質を使用するまでー70℃にて保存した。本研究に用いられるアジュバント(本明細書に認識され、Novavax Inc.の商標名Novasomesと指定)は、両親媒性を基本とする非リン脂質の小胞性膜構造にて、粒子サイズが0.2乃至5.0μmの範囲から成る。NovasomesTMアジュバントが、5.9mMのリン酸、0.63mMのシステインを含む3.5mMのグリシン緩衝液にて生成された。ワクチンを投与する前に、TA-CINタンパク質を、7:3の比にてアジュバントに添加した。アジュバントに付加され得られたTA-CINワクチンは、均一な白色液体であった。HPV6から誘導され、密接に関連する融合タンパク質組成物と、指定TA-GW[18]、及び組み換えワクシニア・ウイルス指定TA-HPV[18]の構成及び特徴付けが、前に詳細に記載されてきた。
【0047】
マウス、ワクチン投与(Vaccination)、TC-1の保護及び治療実験
C57BL/6(B6,H-2b)マウスを、Netherlands Cancer Instituteより入手し、特定病原のない状態で保持した。HPV-16のE6及びE7、そしてc-Ha-ras原ガン遺伝子(T.C.Wu博士から提示された種)により共形質転換されたC57BL/6マウスの一次内皮細胞から誘導されたTC-1を、IMDM+10%FCSにて培養した。
【0048】
B6マウスは、200μlのアジュバントに32μg又は200μgのTA-CINを皮下に、又は200μlのPBSにTA-HPV(5x106pfu;)を腹腔内(指示されれば皮下に)に、0日と21日(プライマーとブースタ実験)目にワクチン投与した。マウスを42日で、HPV特異的細胞免疫性の分析のためか、提供されるか、250μlのPBSに50,000のTC-1細胞を投与攻撃(challenged)のため(TA-CINワクチン投与実験のみ)かのいずれかに提供した。TC-1の投与攻撃の後にマウスに発生する腫瘍を、70日の追跡期間において監視した。治療実験におけるB6マウスを、50,000のTC-1細胞にて投与攻撃(challenged)し、さらに4時間後にワクチン投与した。腫瘍の形成を90日の追跡期間において監視した。
【0049】
抗体の分析:L2E7E6特異的血清抗体を、ELISAにより測定した。96ウエル・プレート(Nunc Maxisorp)を、L2E7E6にて、100mMの炭酸塩緩衝液、pH9.6、4℃で1昼夜被覆した。ウエルを、PBSにおける2%ウシ血清アルブミンにより、37℃、1時間にて停止させた。血清試料と、2%のBSA/PBSに希釈された周知のポジテブ試料を1/100か1/500のいずれかにした滴量を、3重にしてウエルに付加し、そして37℃にて1時間インキュベートした。
【0050】
IgG及びIgG2b:PBS/0.05%Tween-20にて洗浄した後、ヤギ抗-マウスIgG西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(Biorad)、かウシ抗マウスIgG2b西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(Serotec)のいずれかの検出試薬を、添加しそして37℃にて1時間インキュベートした。IgG1:PBS/0.05%Tween-20にて洗浄した後、モノクロナール・ラット抗マウスIgG1(Pharmingen)の検出試薬を、添加し、そして37℃にて1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ヤギ抗-ラット西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ接合体(Southern Biotechnology Associates)にて37℃にて1時間インキュベートした。
【0051】
プレートを洗浄し、そしてo-フェニレン・ジアミン(POD)/H2O2により室温にて30分間、発生させ(developed)、そして吸光度を、490nmにて測定した。タイターを、1.0の吸光度における希釈の逆数を、log10として記録した。CTLの分析:脾臓細胞を、腫瘍細胞株13.2を用いる、新鮮な単離物(ELISPOT and FACS analysis with H2-DbE749-57(RAHYNIVTF)-containing tetramers)、又は、7日経過したin vitroにおける増殖物(細胞傷害性の細胞内におけるIFNγ染色、及び4量体の染色)のいずれかにて試験し、前記使用の腫瘍細胞株13.2が、H-2DbE1Aエピトープが、刺激細胞としてHPV16E749-57CTLエピトープに置き換えてられた、アデノウイルス型5由来のE1タンパク質にて、形質転換されたマウスの胚性細胞より誘導された細胞株である。
【0052】
ELISPOT: ELISPOTを用いて新鮮な単離された脾臓細胞における、ペプチド特異的IFNγ産生CTLの数を、下記のように測定した。5x106の脾臓細胞を、1μg/mlのE749-57のペプチドを伴う場合と伴わない場合、そして24ウエル・プレート(Costar,Cambridge,MA)において、10%FCSで豊富にした1mlのISCOVE'培地(Gibco)にて、5IU rlL-2/mlを伴い37℃で、1昼夜刺激した。翌日その細胞を、収集し洗浄し、さらにIFNγ捕捉抗体(PBSにおける、ラット・抗マウスIFNγ5μg/ml、Pharmingen,Cat.554431)にて被覆されたマルチスクリーン96-ウエル・プレート(Millipore,Etten-Leur,The Netherlands)にて、250,000細胞/ウエルの濃度にてプレートに入れた。プレートを、37℃にて24時間インキュベートした。その後、そのプレートをPBS/Tween0.5%にて5回洗浄し、さらに流水(tap water)にて5回洗浄した。各ウエルに対し、ビオチンにて標識化された抗マウスIFNγを100μg(PBS/Tween0.05%における5μg/ml、Pharmingen,Cat.554410)を添加し、4℃にて1昼夜インキュベートした。
【0053】
翌日そのプレートをPBS/Tween0.05%にて6回洗浄し、そしてエクストラアビジン・アルカリ・ホスファターゼ接合体100μl(PBS/Tween0.05%/BSA1%において1:2000、Sigma)を、付加した。その後室温、1時間インキュベートし、そのプレートをPBS/Tween0.05%にて3回、そしてPBSにて3回洗浄した。100μl/ウエルのBCIP/NBT(Sigma,B-5655)基質を添加えることにより、呈色した。スポットが十分に形成されると、その反応を流水(tap water)により十分に洗浄し停止させた。プレートを乾燥し、微孔接着組織(Millipore adhesive tissue)に移した。スポット数を、全自動コンピュータ支援のビデオ画像分析システム(Carl Zeiss Vision)により分析した。
【0054】
細胞内サイトカインの染色:13.2細胞株にて刺激された脾臓培養物にて7日経過したCD8+IFNγ産生T細胞の割合(percentage)を、下記のように細胞内サイトカインを染色することにより測定した。応答脾臓細胞を収集し、計数し、ISCOVE'S/BSA0.1%の1x106細胞/mlにて懸濁した。200μlの応答脾臓細胞を、10μg/mlE749-57のペプチド(STIMULATED)を伴う場合と伴わない(NON-STIMULATED)場合、200μlのISCOVE's/BSA0.1%に付加した。37℃にて1時間インキュベート後、1600μlのISCOVE's+10%のFCS+12.5μg/mlのBrefeldin A(Sigma)を付加し、そして細胞を37℃にてさらに5時間インキュベートした。
【0055】
次にその細胞を氷冷PBSにて2回洗浄し、氷上にて4%のパラホルムアルデヒド1mlにより4分間固定した。固定後その細胞を、冷PBSにて2回洗浄し、そして氷上にて1mlのPBS/NaAz0.2%/BSA0.5%/Saponin 0.1%/FCS10%により10分間インキュベートした。細胞をPBS/NaAz0.2%/BSA0.5%/Saponin0.1%にて2回洗浄し、そして96ウエルのV型ボトム・プレート(V-bottom plate)に移した。1μlのPE標識化ラット抗マウスIFNγ(0.5μg/ml,Pharmingen,Cat.01044D),及び2μlのFITCにて標識化された抗CD8a(2.5μg/ml,Phamingen,Cat.01044D)を含む、25μlのPBS/NaAz0.2%/BSA0.5%/Saponin0.1%を付加する前に、細胞を攪拌沈降させて上清物を除去した。4℃にてインキュベート(欠失(of delete))して30分後、その細胞を洗浄し、100μlのパラホルムアルデヒドにて懸濁し、FACScanにて分析した。
【0056】
4量体(Tetramers):H2-DbE749-57(RAHYNIVTF)含有4量体が、最初に[19]に記載されたようにペプチド特異的CTLの数を分析するために構成され、そして使用された。新鮮な、単離された脾臓細胞及び7日間の拡張の脾臓細胞を、共に使用した。
【0057】
細胞傷害性:細胞介在のE749-57特異的細胞傷害性を、標準的な51CR放出アッセイ(release assay)にて測定した。RMA(H-2Db+腫瘍細胞)を、放射能により標識化し、そして10μg/mlの濃度にてE749-57のペプチドの伴う場合と、伴わない場合をパルス計測した(pulsed)。in vitroにおける増殖されたイフェクター細胞(effector cells)の変化する数が、2000Na2 51CrO4(51Cr)にて標識化された標的細胞に付加され、37℃にて5時間インキュベートされた。特定溶解の割合(percentage)が、以下のように計算された、すなわち、特定溶解の%=[(cpm実験的な放出-cmp自然発生的な放出)/(cpm最大、2%Triton X-100、放出 - cmp自然発生放出)x100にて計算。ペプチド-パルス(pulsed)RMA細胞の特定溶解からRMA細胞の特定溶解を引いて、ペプチドの特定溶解を計算した。
【0058】
結果
TA-CINによる予防としてのワクチン投与
B6マウスが、H-2Db制限HPV16E749-57CD8+CTLエピトープ、RAHYNIVTF[14,20]を介してHPV16+腫瘍細胞に対し保護される。HPV-16のE6及びE7-ポジテブ腫瘍細胞株TC-1[21]が、B6オリジン (B6-origin)にて、本CTLエピトープを顕著に発現させ、HPVにて誘発される腫瘍[22,23]に対し新しいワクチンの性能を実現すべき適切なモデルを代表する。最初本発明者が、予防ワクチンとして使用される場合のTA-CINの効果を分析した。10匹のマウスから成る群を、アジュバントと混合したTA-CINにより、2種の異なる用量でワクチン投与し、3週間の間隔にてブースト投与した。ブースト投与3週間後のマウスには、致死量となる50,000TC-1腫瘍細胞を投与攻撃(challenged)した。図1aに示すように、アジュバントのみ注入されたコントロール・マウスが、7日間の内に大きな進行性腫瘍を発症した。32μgのTA-CINが注入されたマウスが、1部保護された(図1b)。重要なことは、200μgのTA-CINが注入されたマウスが、腫瘍増殖に対し完全に保護された(図1c)ことである。
【0059】
TA-CINによる治療としてのワクチン投与
TA-CINの保護容量が確立された。さらにTA-CINが療法的処置(setting) として使用できるかどうか、更に検討された。50,000のTC-1細胞を投与攻撃(challenge)下では、マウスが、触診可能な腫瘍を発生させ、4-7日以内にその腫瘍を急速に成長させ、14日以内に前記マウスを死に至らせる(図1a)。このように、新たに攻撃投与(challenge)されたマウスを、最少残留疾患に対する免疫介在の適切なモデルとみなすことができる。したがって、50,000のTC-1細胞にて攻撃投与(challenge)されたマウスには、攻撃投与(challenge)の日にワクチンが投与され、腫瘍発症が監視された。コントロール・マウスの全てでは、腫瘍が早期に発生した(図1d)。TA-CIN200μgを治療としてワクチン投与すると、腫瘍増殖に対し大部分のマウスが保護された。3匹の腫瘍陽性マウスにて腫瘍増殖の開始が、(攻撃投与(challenge)後28-50日)と遅くなった。32μgのTA-CINによる保護効果が、かなり弱い(図1e)。共に服用すると(take together)、アジュバントの注入当り200μgの用量にて投与される時、TA-CINが、強力なワクチン成形物を構成し、それが予防的及び治療的処置(setting)において極めて有効であることを、そのデータが示している。
【0060】
用量依存方式におけるTA-CIN誘発E7-特異的CTL
H2-Db制限E749-57CD8+CTLエピトープ[21]に対するCTLの応答することが、TC-1に対し保護免疫応答における中核的特徴であることが示され、E749-57特異的CTLを誘発するTA-CINの容量が、アセスされた。マウスにワクチン投与し、そして3週間の間隔にてアジュバントに32μgか200μgのいずれかのTA-CIN、又はアジュバントのみをブースト投与した。最終ワクチン投与して3週間後、脾臓細胞をELISPOT IFNγアッセイにて直接試験したか、又は、1週間培地にいれて有効細胞を増殖させ、E749-57特異的細胞傷害性、及びCD8+CTLによるIFNγの産生を測定した。さらに血清を、TA-CIN特異的IgG抗体を検出するために単離した。図2に示すように、200μg用量のTA-CINを注入すると、最も多い数のE749-57特異的CTLが惹起された。ペプチド・特異的細胞障害性(図2a)及びIFNγ-ELISPOT(図2b)おけるスポット数の用量依存による増大を、32μgのTA-CIN対200μgのTA-CINにて注入されたマウスにて測定した。in vitroにて1週間刺激された脾臓細胞の培地における、CD8+T細胞によるIFNγ産生物の細胞内染色によるE7に特異的CTLを分析して、これらの結果が確認された(図2c及び図3)。
【0061】
TA-CINが、特異的抗体及びTh-細胞を誘発。
【0062】
全抗原のワクチン投与が、体液性免疫を誘発すると予測されることから、全マウスからの血清を、TA-CINに特異的抗体に対し分析した。実際に、TA-CINを注入された両方の群が、TA-CINに特異的抗体の高い力価を示した(図2d)。抗体応答のより詳細な分析では、個々の実験において、アジュバントにおけるTA-CINによる以下の免疫化を検出し、IgG1とIgG2b両方の型における抗体の存在を示し、そのことが、ヘルパー2型と1型の混合したサイトカイン応答(表1の下側を参照)を明示している。
【0063】
実証可能なレベルの抗TA-CINIgG抗体の外観が、IgG1にイソ型(isotype)切り替えが、Th細胞依存性[24,25]であることから、TA-CINt特異的CD4+Th細胞の存在を間接的に指摘している。IFNγELISPOT(表2)を介してTA-CINワクチン投与されたマウスのTヘルパー免疫性の分析では、特定脾臓細胞培養物が、TA-CINと反応するがコントロールタンパク質TA-GWに反応しないことを示した。TA-CINにより注入された全てのマウス#4-6、#10-12及び#16-18が、TA-CIN-特異的IFNγ-スポットで高い数値を示すが、CTLエピトープへの応答に欠損しており、そのことが、付随したTA-CIN特異的Th-1型の応答(表2を参照)[24,25]を明示した。
【0064】
TA-CIN及びTA-HPVを用いる異種性のプライマーとブースタの構成により、最も激しいCTL免疫性が最適に誘発される。
【0065】
ネズミのウイルス感染に関する幾つかの研究における、CTL前駆体の頻度と保護免疫性[26,27]間のポジティブな相互関係(positive correlation)が検出された。選択抗原を共有する2種の異なる型のワクチンを使用する、特定異種性のプライマーとブースタの免疫化構成では、相同性(1種類の型のワクチンを使用するプライマーとブースタ)免疫化構成([28]に記載)より、T細胞応答の刺激に有意的に有効であることが、報告された。本発明者が、変更された形状のHPV16/18E6及びE7(TA-HPV)[12,13]を発現する臨床等級の組み換えワクチン投与ベクターの利用性を用い、そして幾つかのワクチン投与方法を用いてE7特異的CTLの増殖における本ワクチン及びTA-CINの効果を評価した。
【0066】
マウスを、7種の異なるワクチン投与構成により注入し、そして最後の免疫投与3週間後に脾臓を取り出し、そして特異的CTL応答を、IFNγELISPOT及びH2-DbE749-57(RAHYNIVTF)を含む4量体により直接に、及び後にin vitroにて増殖(4量体のみ)させて測定した。ワクチン投与全ての構成により、E749-57特異的CTLのプライミング投与が行われ、そして一般に2回ワクチン投与されたマウスが、4量体ポジテブCD8+CTLの高い数値を示した。興味深いことに、TA-CINによるプライミング投与の後、TA-HPVによるブースチングを行うと、特に高レベルの抗原特異的CTLが得られた(表2及び図4)。独立した実験では、TA-CINの後のTA-HPVは、これらの実験に極めて有効なワクチン投与構成であることが(表3)確認された。さらにこれらの実験では、この異種構成が、TA-HPVが皮下又は静脈内に注入される場合と同等に十分に作用することが実証された。さらにその効果が、TA-CINの注入にアジュバントを伴うかどうかに、依存することがなかった(表3及びデータでは示されていない)。全ての症例におけるこの異種性による方法が、E749-57CTL応答の誘発を最適にした。
【0067】
これらの実験では、前臨床のマウスモデルにおけるHPV16に対する臨床等級のワクチン評価が与えられた。そのデータは、TA-CINにより予防ワクチン投与を行うとHPV16+腫瘍細胞に対し完全に保護されることを示している。大部分のマウスが、TA-CINが最少残留疾患の処置に治療として注入される場合、腫瘍の増殖に対して保護された。TA-CINにてワクチン投与すると、TA-CIN特異的細胞(CTL及びTh)と体液性免疫を共に誘発することになる。これらの結果が、HPV16にて誘発される疾患に対し予防的にも治療的にも介在する候補ワクチンの使用を裏付けている。
【0068】
前臨床マウス研究[12]を受け、そして頚部ガン患者[13]にて試験されたワクシニア・ウイルスに基づくワクチンTA-HPVの利用性により、異なるプライマーとブースタの構成にTA-CIN及びTA-HPVを使用する機会が提供された。両方のワクチンが、相同性プライマーとブースタの戦略に使用される場合、特異的CTLの実質的数値を誘発できるが、TA-CINによるプライミング及びTA-HPVによるブースティングが、他のいかなる組み合わせより有意的に有効であることが、見出された。そうしたTA-CINプライマーが可能であり、E749-57CTLエピトープに対する免疫系の中核となっている。CTL免疫性のこうした経路の結果として、TA-HPV組み換えワクシニア・ウイルスに対する応答が、E7遺伝子産生物に焦点が当てられ、ウイルス粒子それ自体に少なく、E749-57を対象とするCTLの応答にだけ強く増大することになる。さらに、ポックスウイルスが、これらウイルスの広い宿主範囲によるりCD8+T細胞の応答、及びこれらが惹起する強い炎症性応答([28]に記載)に、おそらくブースタ投与に有効である。
【0069】
ペプチドに基づくワクチン、又はTA-HPVを用いる、高い等級のCIN損傷か頚部ガン腫であるHPV16+個体の治療としてワクチン投与をすると、頚部ガン患者における応答を最少に、そしてCINと[9-11,13]診断された患者の応答を有意的に顕著にする。しかしながら、TA-CINとTA-HPVを組み合わせて、現在では体液性免疫及び細胞性免疫を誘発するための強い混合体を構成することが、示された。特に非免疫感染容易性のHPV16+個体、本例又は関係例のプライマーとブースタの構成を用い、高い等級のCINか一次頚部ガンのいずれかにより診断された、特に非免疫感染容易性のHPV16+個体の治療的なワクチン投与することが、乳頭腫ウイルス、本明細書のHPV16に対する有効な免疫応答となると予測されている。
【0070】
本発明は、当業者により理解できるように修飾、及び変更が可能である。すなわち、これらの開示では、本明細書に言及又は記載され、本明細書に引用された文献における特徴の組み合わせ、及び小部分の組み合わせを含む修飾及び変更を拡張したもので、そのそれぞれが、あらゆる目的のためその全体を参照文献として組み入れられる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
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1 TA-CIN,TA-HPV 又はその両方によりワクチン投与されたマウスにおける TA-CIN 特異的 IgG1 及び IgG2b の抗体応答
【0072】
【表1】
Figure 2004522789
【0073】
aTA-CIN特異的抗体力価、力価は、1のOD値となる血清希釈の逆数の対数(log)としてあらわされる。アスタリスク(*)にて印された値が最も低い希釈度(100x)にて、OD値<1を示した血清のOD値である。NT:試験なし
2 いくつかのプライム - ブウート構成における ELISPOT H-2D b -RAHYNIVTF4 量体による E7 49-57 CTL 頻度の分析
【0074】
【表2】
Figure 2004522789
【0075】
a示されているのは、指示抗原による刺激に従う25,000の脾臓細胞当りのスポット数である。CTLエピトープ:PAHYNIVTFペプチド。
【0076】
b 新鮮に、単離された脾臓細胞におけるH-2Db-RAHYNIVTF4量体ポジティブCD8+T細胞及び7日経過の刺激された脾臓細胞培養物が示される。
【0077】
3 TA-HPV の腹腔内又は皮下投与の後 H-2D b -RAHYNIVTF4 量体による E7 49-57 CTL 頻度の分析
【0078】
【表3】
Figure 2004522789
【0079】
a7日経過の刺激脾臓細胞の培養物におけるH-2Db-RAHYNIVTF4量体ポジティブCD8+T細胞のパーセント
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】マウス(グループ当りn=10)における (a-c):3週間に2回の間隔にてアジュバントのみ(a)、32μgのTA-CIN(b)又は200μgのTA-CIN(b)、又は(d-f):TC-1の腫瘍の投与攻撃(challenge)の日に1回ワクチン投与され、TC-1腫瘍発生を阻害状態を示す。各線は、追跡下にて指示された日数にて測定されたマウス個体それぞれのTC-1腫瘍の容量(volume)を表している。
【図2】図2は、ワクチンにより誘発されたワクチン応答の監視状況を示す。3群のマウス(n=3)を、アジュバントのみ(左側)、32μgのTA-CIN(中央)又は200μgのTA-CIN(右側)にて、3週間に2回の間隔でワクチン投与した。(a)脾臓細胞を、vitroにおいてHPV16E7+細胞株13.2にて7日間刺激し、さらにE749-57、すなわちRAHYNIVTFペプチトを有する場合と有さない場合のHLA-Db+RMA細胞に対する細胞障害性を試験した。特異的細胞傷害性が、RMA+E749-57のペプチドの溶離物からRMA特異的溶離物を引くことにより計算され、3群全ての個々のマウスが表示された。(b)自然発生(白棒)又はE749-57ペプチドを伴う刺激(黒棒グラフ)後に、ELISPOTにより検出されるような、刺激下にIFNγを産生する250,000脾臓細胞当りのT細胞数、(c) E749-57CTRエピトープを有しない(白色棒)場合と有する(黒色棒)場合、刺激下細胞内サイトカインの染色により検出されるような、細胞株13.2にて刺激される脾臓細胞培養物に、in vitroにて7日後に存在するIFNγ産生CD8+E7特異的CTLの割合(percentage)、(d) 3群全ての個体マウスにおける血清に存在するTA-CIN特異的IgG抗体、である。
【図3】図3は、E749-57、つまりRAHYNIVTFのペプチドを有する刺激でCD8+脾臓細胞によりIFN産生物の細胞内サイトカイン染色FACS分析を示している。コントロール・マウス(M#3)、32μのTA=CIN(M#5)を注入されたマウス、又は200μのTA=CIN(M#9)を注入されたマウスから誘導された脾臓細胞が、示されている。プロットが、CD8+と染色処理にてゲートされた細胞を示す。プロットの水平軸がCD8の染色状態を示し、そして垂直軸がINFγの染色状態を示す。この値はIFNγ産生CD8+T細胞の二重ポジティブ(double positive)の割合(percentage)を示している。
【図4】図4は、TA-CIN及び/又はTA-HPVの指示されたプライムとブーストマーとの組み合わせによるワクチン投与した後、マウスの脾臓細胞におけるE749-57特異的CTLの割合(percentage)の分析を示している。新たに単離された脾臓細胞(上部列)、又は刺激された脾臓細胞(低部列)の7日経過における4量体ポジテブT細胞のFACS分析プロット(CD8+T細胞のゲート作用(gated))を示す。指示例は、各群の1例、すなわちコントロール・マウス(M#1)、TA-CIN/TA-CIN(M#10),TA-CIN/TA-HPV(M#15),TA-HPV/TA-CIN(M#18)又はTA-HPV/TA-HPV(M#21)である。2重ポジテブ、H-2Db-RAHYNIVTF4量体ポシテブCD8+T-細胞の割合(percentage)を示す。

Claims (16)

  1. (i)一次投与のためのプライマー、及び(ii)二次投与のためのブースタを含む乳頭腫ウイルスに対する免疫応答を惹起すべき成分を逐次投与するする組み合わせ免疫原において、この場合プライマーが、乳頭腫ウイルス・タンパク質から誘導される抗原決定基を伴うポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードするDNAであり、そしてブースタが、乳頭腫ウイルス抗原をコードするウイルスベクターを含み、そしてそれが、宿主細胞に感染する時、前記乳頭腫ウイルス抗原を発現することができる、組み合わせ免疫原。
  2. 前記プライマーおよび/又はブースタが、ポリペプチド抗原、又は前記ポリペプチドをコードするDNAを含み、そしてそのポリペプチドが、型6,11,16および18から選択されるヒト乳頭腫ウイルス由来である、請求項1記載の免疫原。
  3. 前記乳頭腫ウイルス抗原が、全体又は1部にて相互に対応するプライマーおよびブースタに含まれるか、又はそれによりコードされる請求項1又は2のいずれか1項記載の免疫原。
  4. 前記プライマーが、少なくとも2種の異なる乳頭腫ウイルス・タンパク質のそれぞれからの配列を含む融合ポリペプチドである請求項1から3のいずれか1項記載の免疫原。
  5. 前記融合ペプチドが、L2,L1,E1,E2,E4,E5,E6およびE7の乳頭腫ウイルス・タンパク質から選択される少なくとも2種の乳頭腫ウイルス・タンパク質からの抗原決定基を含む請求項4記載の免疫原。
  6. 乳頭腫ウイルス・タンパク質が、異なる乳頭腫ウイルス型由来である請求項5記載の免疫原。
  7. 前記融合ポリペプチドが、乳頭腫ウイルスL2タンパク質からの抗原決定基を含む請求項5又は6のいずれか1項記載の免疫原。
  8. 前記ブースタが、ポックスウイルス(poxvirus)、ヘルペスウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスから選択されるウイルスである前記請求項のいずれか1項記載の免疫原。
  9. 前記ブースタ・ウイルスが、ヒト乳頭腫ウイルスの16型及び18型のE6及びE7配列に基づく融合タンパク質をコードし、そして発現する挿入された異種配列を搬送するワクシニア・ウイルスである請求項8記載の免疫原。
  10. 前記プライマーが、ヒト乳頭腫ウイルスの16型のものに基づく配列を含む、L2E7E6融合タンパク質である、請求項9記載の免疫原。
  11. アジュバント及び/又はさらに免疫刺激分子などの別のアクセサリー物質をさらに含む前記請求項のいずれか1項記載の免疫原。
  12. 医薬的に受け入れ可能な賦形剤と組み合わせた前記請求項のいずれか1項記載の免疫原を含む医薬剤。
  13. 医薬剤として使用するための請求項12記載の医薬剤。
  14. 乳頭腫ウイルスに対する免疫応答を惹起するための薬剤の製造における、請求項12記載の医薬剤の使用。
  15. (i)プライマー、その後の(ii)ブースタを対象物に投与することを含む、前記対象物における乳頭腫ウイルスに対する免疫応答を惹起する方法において、前記プライマーが乳頭腫ウイルス・タンパク質から誘導される抗原決定基を伴うポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードするDNAを含む、そして前記ブースタが、乳頭腫ウイルス抗原をコードするウイルス・ベクターを含む、そしてそれが宿主細胞に感染する時に前記抗原を発現することのできる、方法。
  16. 前記アジュバント及び/又はさらに免疫刺激分子などの別のアクセサリー物質が、さらに前記対象物に投与される請求項15記載の方法。
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