JP2004522042A - 燃焼機関 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図1A
Description
【0001】
本発明は、一端をヘッドによって区切られ、第2の端をピストンによって区切られ、ピストンはピストンピンによって連接棒の上に配列された少なくとも1つの燃焼室、ピストンピンに関して移動可能であり、前記燃焼室の中で可変の容積を容易にする区切り面を有するボデー、燃焼室の方向で前記面へばね力を働かせる圧縮ばね、供給ダクトを介して圧力源から作動油を供給される圧力室であって、燃焼圧力に依存して燃焼室のサイズを調整する目的で作動油によって前記移動可能区切り面の移動に影響するように意図された圧力室を含む燃焼機関に関する。本発明の使用が意図される機関は、特に、様々な型の自動車機関、たとえばディーゼル機関およびガソリン機関、並びに主として過給が起こるこの種の機関である。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃焼機関は、よく知られている。それらの機関は様々なバージョンを有するが、様々な型の4ストロークエンジンが最も一般的である。全ての機関の共通点は、1つまたは複数のシリンダを含み、ピストンがシリンダの中で上下に動き、燃焼室内の圧力に依存して、ピストンが連結されているクランクシャフトを駆動できることである。燃焼室内の圧力は真空と非常に高い瞬間圧力との間で変化する。ピストンは、通常、横方向のいわゆるピストンピンを設けられ、その周りに連接棒が回転可能に支持される。連接棒は他端でクランクシャフトの周りに支持され、クランクシャフトを駆動する。シリンダ室の中には潤滑油があり、潤滑油は約4〜5バールの圧力で送り出され、相互に滑る全ての面を潤滑する。
【0003】
燃焼機関は駆動エネルギーを発生する。その場合、燃料と空気との混合物が、圧力によりピストンの上の燃料室の中へ吸引または導入され、火花が燃料空気混合物を点火し、燃料空気混合物は迅速に燃焼して高い圧力を生成し、この高い圧力はピストンを押し下げる。ピストンの下降移動はクランクシャフトの回転運動へ変換される。機関のパワータッピング(power tapping)は、燃料空気混合物の組成および点火前の機関内の圧力に高度に依存する。燃料空気混合物がピストンの上昇運動によって圧縮されるとき、機関内の温度は増加し、火花が現れる前に混合物が点火され、所望されない燃焼プロセスを生成する危険が存在する。この早期点火はノッキングと呼ばれ、機関の外部から容易に聞くことができる。この問題は、燃料空気混合物が吸気される代わりに強制されるターボ過給機関で特に大きい。燃料空気混合物を供給するときノッキングなどを避けるため、極端に低い圧縮比からスタートすることが必要である。たとえば、通常の大通りで低負荷のターボ過給自動車を駆動するとき、吸気マニホルドの中に真空が存在するであろう。真空および最初から機関内に低圧縮比が存在する事実は、燃料が実際に提供することのできる最適燃焼および経済性が得られないことを意味する。
【0004】
理想は、全ての速度および機関負荷において、ノッキング限界に近い圧縮圧力を有することであろう。こうして、全ての条件、すなわち、低いパワータッピングを伴う高い圧縮比、および高いパワータッピングを伴ってターボ過給を許す低い圧縮比で、最適燃焼を得ることができる。これは、可変圧縮室を使用して達成されることができる。油圧調整を使用して、動作中に、そのように圧縮比を変更/最適化することは、既にDE3714762から知られている。クレイム1は、この既知の従来技術によって限定される。しかし、DE3714762は、厳格な油圧調整、すなわち、動作中に圧縮比の自動瞬間調整を可能にしない調整を利用する。既に、US4,286,552から、瞬間調整を容易にする装置の使用が知られている。この瞬間調整は、燃焼室内の逆圧に依存してピストンの可動限定面の位置に作用するばねによって達成される。しかし、US4,286,552による解決法は大きな欠点を有する。すなわち、或る動作条件では好ましくない振動が生じ、この振動は最悪の場合に全体の破壊をもたらす。したがって、そのような解決法は不可能ではないが、実用的実現は非常に困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によれば、前述した問題は、前記圧力室を取り入れダクトと連通させ、圧力室内の圧力が供給ダクト内の圧力より下に降下するとき取り入れダクトが常に前記圧力源から圧力室へ作動油を補給するようにし、少なくとも1つの制限装置と連通する出口を前記圧力室に設け、圧力室内の圧力が前記出口内の圧力を超過するとき前記制限装置が連続的に圧力室から作動油を流出させるようにし、前記区切り面を有する前記ボデーの移動の制動が動作中に得られるようにすることによって、解決または少なくとも最小化された。
【0006】
本発明は、以下で、同封された図面を参照して、より詳細に説明されるであろう。
【0007】
図1は、燃焼機関内のピストン1を示し、ピストンピン2はピストンの下方部分によってピストン1の中へ挿入され、ピストンピンの周りに連接棒3がはめ込まれる。これらの要素自身は知られており、詳細に説明されない。連接棒3は連続ダクト4を有し、それを通して圧力下の油がピストンピン2内のキャビティ5の中へ流れる。油の圧力源は機関の潤滑油槽であり、この潤滑油槽は、通常、動作中に4〜5バールの圧力を加えられる。したがって、油がピストンピン2の中へ流れることができるように、孔6がピストンピン2の中に含まれる。ピストン1の外側の上端に、ピストンリングを受け取る溝7が設けられる。
【0008】
ピストン1の中で、その上方側から凹所が作られ、本発明に従ってピストン1の中でボデー/調整ピストン8が配列される。この調整ピストン8は、底で下方シーリング9Aによってシーリングされる。下方シーリング9Aは、前記凹所の円筒内部に対して底で調整ピストン8をシーリングする。上部では、調整ピストン8は更なるシーリング9Bを設けられる。シーリング9Bは、スリーブ形部分70の内側に対して調整ピストン8をシーリングする。スリーブ形部分70は、前記凹所の内側で上部に固定される。調整ピストン8は、その下方側に凹所を設けられ、その凹所の中にコイルばね10が挿入されている。ばね10は、この凹所の底およびピストン1内の凹所の底に対向して置かれる。したがって、このコイルばね10は、調整ピストン8をその上方位置へ移動しようと努め、このコイルばね10内のばね力は、調整ピストン8が下方へ押されるためには、燃焼圧力によって克服されなければならない。調整ピストンの下端に、シーリング9を支持するフランジ8Bが配列される。調整ピストンのフランジ8Bとスリーブ形ボデー70との間に環状ギャップ空間が形成される。この空間は一種の圧力室を形成する。この空間/圧力室11は、調整ピストン8の上下の運動を制動する油を保持するように意図される。この油は、ダクト12および逆止め弁13Bを介してピストンピン2内の空間5から圧力室11へ供給される。空間11からの油の出口として(空間11の内部で或る圧力を超過したとき)、制限装置14Aおよび逆止め弁14Bを含む出口14が存在する。油が出口14を出たとき、それはピストン1の外側へ流れ出る。機関内に油圧が存在するとき、空間11は油で満たされるであろう。
【0009】
図1Aは、原理的には、図1と同じ型の解決法を示すが、幾つかの設計上の相違がある。第1に、図1Aに従った設計は、ただ1つの逆止め弁13Bを有する。すなわち、入口部分、すなわち圧力室11の前に、ただ1つの逆止め弁を設けることで全く十分である。他の相違は、この実施形態に従った取り入れダクト12自身も、サプライライン内で制限装置13Aを形成することである。更に、調整ピストン8は、底8Bおよび上部8Cの双方でフランジ部分を設けられる。スリーブ形ボデー70は、ピストン1内の凹所を通して全体へ延長されることによってこの設計に適合化され、内側へ向いたフランジ型部分70Aを中央部分に有する。したがって、このフランジ形部分70Aと調整ピストンの上方フランジ8Cとの間に、圧力空間11が形成される。フランジ形部分70Aの中に、圧力室11を出口室14Dへ連結する連結ダクト14Cが置かれる。出口室14Dは出口14Aと直接連通する。更に、出口14Aは、制限装置を含むダクトを設けられる。シーリング9Bとピストンの内側との間のダクト60は、余分の油が排出されて戻されることを可能にする。図1Bは、図1Aで示される実施に従ったスリーブ形ボデー70を上方から見た図である。ボデー70は複数の垂直ダクト14Cを設けられ、ダクト14Cは圧力室11と出口室14Dとの間の連通を可能にすることが明らかである。
【0010】
図2は、本発明の更なる実施形態を示す。この実施形態において、図1および図1Aと同じ参照符号が同じ要素に適用される。
【0011】
実施形態の間の重要な相違は、図2によれば、全体のピストンケーシング1がピストンピン2に関して移動可能に配置されることである。更に、圧力室11はピストンピン2の下の部分へ移動されているが、他の点では図1Aに示される原理に従って構成される。更なる相違は、コイルばね10の代わりに、ここではカップばねが使用されることである。
【0012】
このように、本発明は、機関内の燃焼の瞬間圧力が、機関の作業サイクルの非常に短い期間の間、調整ピストン8の上へ下方に作用するように機能する。調整ピストン8の上下運動は、圧力室11との間の流入および流出について、それぞれ制限装置13Aおよび14Aのおかげで油によって制動される。
【0013】
残りの時間、機械ばねは、調整ピストンを上昇させるように努める。ばねは、実際の燃焼プロセスに対して時間動作するので、ばね力は、上部死点、すなわち、ばねの最小圧縮位置において、5〜20N/cm2(意図される面は、ピストンの全上面である)であれば十分である。
【0014】
ここで、機能的平衡状態は、多数の作業サイクルの後に達成される(大きな損失を生成する強い振り子運動が除かれる)。調整ピストン8は、機関の充填レベルに対応する位置へ自分自身を自動的に調整するであろう。(増加した充填レベルは、たとえば、増加した機関速度と対照的に、特定の作業サイクルの間、ピストン面への圧力に影響する。)これは、調整ピストン8が、特定の作業サイクルに許される燃料空気混合物の可変量が充填レベルと等しくなる場合に、単にその位置を変化させることを意味する。
【0015】
調整ピストン8の連続上下運動に起因して、調整ピストンの側面壁のドライアウト(膠着)の危険は減少する。このいわゆるドライアウトは、知られた問題であり、ドライアウト区域の増大した摩耗がその結果である。
【0016】
図3は、本発明に従った燃焼空間の更なる実施形態を示す。この実施によれば、ピストン1は通常の配列を含む。したがって、ピストン1の上に可動部分は存在せず、連接棒3の内部に圧力ダクト4は存在しない。その代わりに、円筒形ケーシング51を含み、その内部に、別個のピストン52が移動可能に配置され、更に燃焼空間40の一部分を区切る下面8Aを有する調整装置50が、燃焼室40の上端、すなわち、シリンダヘッド41の中に置かれる。区切り面8Aはピストン52によって移動可能である。ピストン52は前記ケーシング51の内部で転置可能である。調整ピストン52は、圧力室11の生成を容易にするシーリング53を設けられ、圧力室11は逆止め弁13Bを介して作動油を供給されるように入口12へ連結される。調整ピストン52は、その上端に更なるシーリング54を設けられる。シーリング54は、ケーシング51の上部から油が漏れるのを防止する。圧力室11は制限装置14Aを介して出口14と連通し、作動油は出口14を介して圧力室11から排出されることができる。固定停止部55と調整ピストンの上端52Aとの間に、圧縮ばね10が配置され、圧縮ばね10が燃焼室40へ向かって調整ピストン52を下方へ連続的に転置するように努める。実施は、全体的に、図1および図2で説明した原理に従って機能するが、例外は、調整装置の運動がピストン1に従わないことである。
【0017】
前述したように、調整ピストン8の位置は、機関の作業力に依存して自動的に調整される。この位置/平衡状態は、ばね10によって生じる対向力に依存することが認められる。調整ピストン8は、機関破壊の危険なしに、油圧の或る低減を許容する。
【0018】
本発明に従った機関のシミュレートされた例において、直径80mm、すなわち約50cm2のピストン面を有する火花点火機関ピストンが使用される。ここで、圧縮比は1:8と1:17との間である。様々な寄与変数に依存して、スタート位置/上部死点における最適ばね力は少なくとも400Nであり、或る場合の最大圧縮位置では、4000Nまでが所望の仕事率を与える。制動要件、すなわち制限効果は、調査された例で、200kNs/mへ大きく一定に保たれた。制動が低くなれば、位置決めは敏速になり、制動が高くなれば、振動損失は小さくなる。本発明に従った機関では、大きな利点を得ることができる。圧縮比を1:10.5から1:18へ増加することによって、シミュレートされた1.6リットル機関内の仕事率は、部分負荷の下で8.2から11.0kWへ増加した。
【0019】
もし小さなターボ過給機関からスタートすれば、可変圧縮によって非常に良好なパフォーマンス、すなわち高いトルクおよび30〜40%の燃料節約を得ることができる。部分負荷の下で圧縮比を増加するだけで、10〜15%の燃料節約が達成される。
【0020】
本発明は、示された実施形態に限定されず、クレイムの範囲内で異なった態様へ変更されることができる。特に、異なった型のばねを使用できること、およびこれらのばねを、異なった用途で異なった態様に最適化できることが認められる。更に、ばね10からの対向力を、或る用途では有利に調整できることが認められる。図5の実施によれば、これは、単に、たとえばサーボモータまたは油圧式調整弁によって、停止部55を移動可能/調整可能にすることによって達成される。代替的には、空気ばね装置を使用して達成される。調整は、コンピュータによって、所望の制御データ、たとえば負荷、速度、排出値、空気温度、機関温度などに基づいて最良に制御され、これらのデータに起因して平衡状態を瞬間的に適合化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態を軸方向断面で示す。
【図1A】好ましい実施形態の軸方向断面を示す。
【図1B】図1AのR−Rに沿った径方向断面を示す
【図2】本発明の他の実施形態を軸方向断面で示す。
【図3】本発明の第3の実施形態を軸方向断面で示す。
【符号の説明】
【0022】
1 ピストン
2 ピストンピン
3 連接棒
4 連続ダクト
5 キャビティ
8 ボデー/調整ピストン
8A 区切り面、下面
8C 上部、上方フランジ
9A 下方シーリング
9B シーリング
10 コイルばね
11 空間/圧力室
12 ダクト
13A 制限装置
13B 逆止め弁
14 出口
14A 制限装置
14C 連結ダクト
14D 出口室
40 燃焼空間
40A
60 ダクト
70 スリーブ形部分
70A フランジ形部分
Claims (10)
- 一端をヘッド(41)によって区切られ、第2の端をピストン(1)によって区切られ、ピストンはピストンピン(2)によって連接棒(3)の上に配列された少なくとも1つの燃焼室(40)、ピストンピン(2)に関して移動可能であり、前記燃焼室(40)の中で可変の容積を容易にする区切り面(8A)を有するボデー(1、8、52)、燃焼室(40)の方向で前記面(8A)へばね力を働かせる圧縮ばね(10)、供給ダクト(12、13)を介して圧力源から作動油を供給される圧力室(11)であって、燃焼圧力に依存して燃焼室のサイズを調整する目的で作動油によって前記移動可能区切り面(8A)の移動を起こすように配置される圧力室(11)を含む燃焼機関であって、前記圧力室(11)は入口ダクト(13)と連通し、前記入口ダクト(13)は、圧力室(11)内の圧力(P2)が供給ダクト(13)内の圧力(P1)の下へ降下するとき、常に前記圧力源から圧力室(11)へ作動油の補給を容易にすること、および前記圧力室(11)は、少なくとも1つの制限装置(14A)と連通する出口(14)を設けられ、前記制限装置は、室(11)内の圧力(P2)が前記出口(14)内の圧力(P3)を超過する場合に圧力室(11)からの作動油の流出を継続的に容易にし、それによって前記区切り面(8A)を有する前記ボデーの移動の制動が動作中に得られることを特徴とする燃焼機関。
- 前記出口(14)が少なくとも1つの逆止め弁(14B)を設けられることを特徴とする、請求項1に記載の燃焼機関。
- 前記供給ダクト(13)が少なくとも1つの逆止め弁(13B)を設けられることを特徴とする、請求項2に記載の燃焼機関。
- ばね力が機械ばねによって達成され、前記機械ばねは、スタート位置/上部死点でピストン面のcm2当たり5〜20N、好ましくは7〜15N/cm2の範囲でばね力を働かせることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼機関。
- 前記区切り面(8A)が前記ピストン(1)の上に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼機関。
- 前記移動可能な区切り面(8A)がピストン(1)の上面の一部分のみを形成することを特徴とする、請求項5に記載の燃焼機関。
- 燃焼室に対向したピストン(1)の面の中の凹所に移動可能ボデー(8)が配列され、該移動可能ボデーは前記移動可能区切り面(8A)を有することを特徴とする、請求項6に記載の燃焼機関。
- 各々の制限装置(13A、14A)が1つまたは複数のキャビティを含み、前記キャビティがピストン面のcm2当たり2〜20kNs/m、好ましくは5〜15kNs/m/cm2の制動を提供することを特徴とする、請求項2に記載の燃焼機関。
- 前記移動可能区切り面(8A)がヘッド(41)の上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の燃焼機関。
- 最大圧縮位置にある前記ばね(10)が、ピストン面のcm2当たり40〜140N、好ましくは60〜120N/cm2の範囲のばね力を働かせることを特徴とする、請求項4に記載の燃焼機関。
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